JP2003061589A - 食品の水分調整装置および方法、発芽食品の生産装置および方法並びに発酵食品の生産装置および方法 - Google Patents

食品の水分調整装置および方法、発芽食品の生産装置および方法並びに発酵食品の生産装置および方法

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JP2003061589A JP2001259733A JP2001259733A JP2003061589A JP 2003061589 A JP2003061589 A JP 2003061589A JP 2001259733 A JP2001259733 A JP 2001259733A JP 2001259733 A JP2001259733 A JP 2001259733A JP 2003061589 A JP2003061589 A JP 2003061589A
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    • A47J39/00Heat-insulated warming chambers; Cupboards with heating arrangements for warming kitchen utensils
    • A47J39/02Dish-warmers; Devices to keep food hot

Abstract

(57)【要約】 【課題】水分調整すべき食品の温度を一定温度に維持し
て水分調整食品の品質劣化を防止できる水分調整装置お
よび方法を提供し、発芽食品を効率よく生産することが
できる発芽食品の生産装置および方法を提供し、発酵食
品を効率よく生産することができる発酵食品の生産装置
および方法を提供する。 【解決手段】食品用の水分調整庫30と、この水分調整
庫30内に設けられ、食品mに向けて遠赤外線を放射さ
せるための面状の遠赤外線ヒータであり、通電により、
放射エネルギーのピークが8〜10μmの波長の遠赤外
線を放射するとともに、温度の上昇に伴なって電気抵抗
値が上昇し、上限温度に達すると前記電気抵抗値が一定
となり、40〜60℃の食品温度で食品を水分調整させ
る自己温度制御型の遠赤外線ヒータ1と、水分調整完了
前の食品温度の上昇を抑える食品温度上昇防止装置、す
なわち排風機50および排気量調整装置60から構成さ
れている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、食品の水分調整装
置および方法、発芽食品の生産装置および方法並びに発
酵食品の生産装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】野菜・果実及び魚介や肉などの水分調整
するときには、食品を加温することが一般的である。食
品の加熱温度が高すぎると、食品に含まれる酵素が失活
し、タンパク質の変性や熱酸化などの食品の劣化が生じ
る。そこで、従来よりヒータ温度を一定温度に維持でき
る自己温度制御型の遠赤外線ヒータを用いて、食品を乾
燥させる技術があり、例えば、特許第3029588 号特許公
報に開示されている。この従来技術は、遠赤外線ヒータ
を用いて、7〜12μmの波長の遠赤外線を食品に放射
し、かつ、45〜70℃の乾燥温度で食品を乾燥させる
方法である。この乾燥方法により、食品を乾燥させて、
食品に含まれる水分を調整することができる。
【0003】他方、発芽食品を生産するための研究は、
最近始まったばかりであり、生産技術として確立したも
のが少ないのが現状である。発芽食品の代表的なもの
に、玄米の発芽がある。これは玄米を25〜35℃の水
に24時間浸しておくと、玄米の胚芽部よりでてくる小
さな芽のことをいう。この発芽期の玄米には、通常の玄
米には含有量が非常に少ない栄養成分、例えば遊離アミ
ノ酸、ガンマアミノ酪酸(GABA)、抗酸化物質(フェル
ラ酸、フィチン酸、トコトリエノール)、イノシトール
およびミネラル等が多量に含まれているため、健康食品
として注目されている。
【0004】一方、ヨーグルトや味噌、納豆、甘酒等の
発酵食品を生産するときに、最適温度より高温になると
発酵菌が失活して、最適温度より低温になると発酵が停
止してしまうことが知られている。そこで、従来より、
ヒータ温度を、発酵菌が失活および停止しない一定の温
度にして、発酵室内の発酵食品の原料を加温して発酵食
品を生産している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、従来の食品
の水分調整技術、発芽食品の生産技術および発酵食品の
生産技術には、以下の(i)〜(iii)の問題がある。 (i)自己温度制御型の遠赤外線ヒータを用いて食品を乾
燥させた場合、ヒータ温度は一定温度を維持する。とこ
ろが、食品の温度は、乾燥初期には一定温度を保ってい
るが、乾燥完了前には急上昇してしまう。つまり、たと
えヒータ温度が一定であっても、食品の乾燥完了前に
は、蒸発する水分量が激減し、水分蒸発による気化冷却
作用が低減することにより、食品温度の急上昇が生じ、
この結果、食品の品質劣化が生じるという問題がある。 (ii)発芽食品を効率よく安定生産することができる装置
はなかった。 (iii)発酵菌が失活するのを防止するには、温度を一定
に維持することが必要であることは知られているが、発
酵菌を活性化させる要因について十分な研究が行われて
いない。このため、遠赤外線ヒータを使用して発酵菌を
活性化させて発酵食品を効率よく生産することができる
装置はなかったのである。
【0006】本発明はかかる事情に鑑み、水分調整すべ
き食品の温度を一定温度に維持して水分調整食品の品質
劣化を防止できる水分調整装置および方法を提供し、発
芽食品を効率よく生産することができる発芽食品の生産
装置および方法を提供し、発酵食品を効率よく生産する
ことができる発酵食品の生産装置および方法を提供する
ことを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1の水分調整装置
は、食品用の水分調整庫と、該水分調整庫内に設けら
れ、食品に向けて遠赤外線を放射させるための面状の遠
赤外線ヒータであり、通電により、放射エネルギーのピ
ークが8〜10μmの波長の遠赤外線を放射するととも
に、温度の上昇に伴なって電気抵抗値が上昇し、上限温
度に達すると前記電気抵抗値が一定となり、40〜60
℃の温度帯で一定の食品温度で食品を水分調整させる自
己温度制御型の遠赤外線ヒータと、水分調整完了前の食
品温度の上昇を抑える食品温度上昇防止手段とからなる
ことを特徴とする。請求項2の水分調整装置は、請求項
1記載の発明において、前記水分調整庫に排気口が形成
されており、前記食品温度上昇防止手段が、前記水分調
整庫の内部の空気を排気口から排出させるための排風機
と、前記水分調整庫の内部の空気の排気量を調整する排
気量調整装置とからなることを特徴とする。請求項3の
水分調整装置は、請求項1または2記載の発明におい
て、前記食品温度上昇防止手段が、前記遠赤外線ヒータ
への電圧を制御する電圧制御装置からなることを特徴と
する。請求項4の水分調整装置は、請求項1または2記
載の発明において、前記食品温度上昇防止手段が、前記
遠赤外線ヒータに供給される電流を制御する電流制御装
置からなることを特徴とする。請求項5の水分調整装置
は、請求項1または2記載の発明において、前記食品温
度上昇防止手段が、前記遠赤外線ヒータへの電圧を制御
する電圧制御装置と、前記遠赤外線ヒータに供給される
電流を制御する電流制御装置とからなることを特徴とす
る。請求項6の水分調整装置は、食品を乗せるための載
置台と、該載置台の下方に設けられ、食品に向けて遠赤
外線を放射させるための面状の遠赤外線ヒータであり、
通電により、放射エネルギーのピークが8〜10μmの
波長の遠赤外線を放射するとともに、温度の上昇に伴な
って電気抵抗値が上昇し、上限温度に達すると前記電気
抵抗値が一定となり、40〜60℃の食品温度で食品を
水分調整させる自己温度制御型の遠赤外線ヒータと、該
遠赤外線ヒータと前記戴置台との間に取り付けられた伸
縮バネとからなることを特徴とする。請求項7の発芽食
品の生産装置は、請求項1〜6記載の食品の水分調整装
置と、発芽させるべき食品を入れる容器とからなること
を特徴とする。請求項8の発酵食品の生産装置は、請求
項1〜6記載の食品の水分調整装置と、発酵させるべき
食品を入れる容器とからなることを特徴とする。請求項
9の食品の水分調整方法は、食品の食品温度が40〜6
0℃の温度帯で一定温度となるように、該食品に向け
て、放射エネルギーのピークが8〜10μmの波長の遠
赤外線を放射することを特徴とする。請求項10の発芽
食品の生産方法は、発芽させるべき食品を水に浸漬し、
水温が30℃で一定温度となるように、前記食品に向け
て、放射エネルギーのピークが8〜10μmの波長の遠
赤外線を放射することを特徴とする。請求項11の発酵
食品の生産方法は、発酵させるべき食品の食品温度が3
0〜60℃の温度帯で一定温度となるように、該食品に
向けて、放射エネルギーのピークが8〜10μmの波長
の遠赤外線を放射することを特徴とする。
【0008】請求項1の発明によれば、遠赤外線ヒータ
から食品に放射される遠赤外線は、放射エネルギーのピ
ークが8〜10μmの波長の遠赤外線であり、食品を4
0〜60℃の食品温度で水分調整するから、食品中の酵
素を失活させずに活性化させたまま、食品を水分調整さ
せることができる。しかも、食品の水分調整開始から水
分調整完了前までは、自己制御型の遠赤外線ヒータによ
って一定温度で食品を水分調整することができ、食品の
水分調整完了前から水分調整が完了するまでは、食品温
度上昇防止手段によって、食品温度の上昇を抑えること
ができる。よって、高品質な食品を生産することができ
る。請求項2の発明によれば、排気量調整装置によっ
て、排風機により水分調整庫の排気口から外部に排出さ
せる温かい空気の排気量を調整することができるから、
食品温度が水分調整完了前から水分調整が完了するまで
上昇するのを防止することができる。請求項3の発明に
よれば、食品の水分調整完了前から水分調整が完了する
までは、電圧制御装置によって遠赤外線ヒータの電圧を
抑えることができる。このため、遠赤外線ヒータから放
射される遠赤外線のエネルギーを抑えることができるか
ら、食品温度が水分調整完了前に上昇するのを防止する
ことができる。請求項4の発明によれば、食品の水分調
整完了前から水分調整が完了するまでは、電流制御装置
によって遠赤外線ヒータに供給される電流を制御するこ
とができる。このため、遠赤外線ヒータから放射される
遠赤外線のエネルギーを抑えることができるから、食品
温度が水分調整完了前に上昇するのを防止することがで
きる。請求項5の発明によれば、電流制御装置および電
圧制御装置を併用することによって、自己温度制御型の
遠赤外線ヒータに供給される電流および電圧をいずれも
制御することにより、遠赤外線ヒータの発熱量を意図的
に減少させることができる。このため、食品の水分調整
開始から水分調整完了前までは、一定温度で食品を水分
調整することができ、食品の水分調整完了前から水分調
整が完了するまでは、食品温度の上昇を抑えることがで
きる。よって、食品を高品質に保つことができる。請求
項6の発明によれば、食品の水分調整が進行するにつ
れ、食品から水分が蒸発し、食品の重さが軽くなるか
ら、伸縮バネが伸長し、遠赤外線ヒータから設置台が食
品とともに遠ざかる。このため、水分調整初期には水分
調整加温を強くし、水分調整終期には水分調整加温を弱
くすることができる。しかも、簡単な構成であり、設置
スペースが少なくてよいので、家庭用の水分調整器とし
て使用することができる。請求項7の発明によれば、容
器の中に発芽すべき食品を入れて、請求項1〜6記載の
食品の水分調整装置によって食品を加熱して食品の発芽
に最適な温度を一定に調節することにより、発芽食品を
効率よく生産することができる。請求項8の発明によれ
ば、容器の中に発酵すべき食品を入れて、請求項1〜6
記載の食品の水分調整装置によって食品を加熱して食品
の発酵に最適な温度を一定に調節することにより、乳酸
菌や麹菌などの微生物を活性化させて効率良く発酵食品
を生産することができる。請求項9の発明によれば、食
品に放射される遠赤外線は、放射エネルギーのピークが
8〜10μmの波長の遠赤外線であり、食品を40〜6
0℃の一定の食品温度で水分調整するから、食品中の酵
素を失活させずに活性化させたまま、食品を水分調整さ
せることができる。よって、高品質な食品を効率よく生
産することができる。請求項10の発明によれば、発芽
させるべき食品に放射される遠赤外線は、放射エネルギ
ーのピークが8〜10μmの波長の遠赤外線であり、食
品を一定の25〜35℃の食品温度で加温するから、高
品質な発芽食品を効率よく生産することができる。請求
項11の発明によれば、発酵させるべき食品に放射され
る遠赤外線は、放射エネルギーのピークが8〜10μm
の波長の遠赤外線であり、食品を30〜60℃の任意で
一定な食品温度で加温するから、高品質なあらゆる発酵
食品を効率よく生産することができる。
【0009】本発明において、遠赤外線ヒータの温度を
ヒータ温度、水分調整すべき食品の温度を食品温度をい
い、区別している。また、食品の水分調整とは、食品か
ら水分を除去して食品の水分を所望の水分率にすること
をいう。
【0010】
【発明の実施の形態】つぎに、本発明の実施形態を図面
に基づき説明する。図1は本実施形態の水分調整装置の
側面断面図である。図2は本実施形態の水分調整装置の
正面図である。図1〜2に示すように、本実施形態の水
分調整装置20は、水分調整庫30、自己温度制御型の
遠赤外線ヒータ1および図示しない食品温度上昇防止装
置から構成されたものである。
【0011】まず、水分調整庫30を説明する。水分調
整庫30は、食品を水分調整させるための食品用の水分
調整庫である。符号31は外壁であり、外壁31の前面
には、食品を出し入れするために、開閉自在に扉32が
取り付けられている。底板33の下部には、吸気口33h
が形成されている。前記外壁31の内側には内壁35が
設けられており、外壁31と内壁35との間が、通気路
36となっている。内壁35には、適所に通気孔35h が
形成されており、空気が通過できるようになっている。
前記通気路36の上部には、ダクト37の一端が接続さ
れており、このダクト37の内部には、排気口34が形
成されている。水分調整庫30の内部には、複数段の遠
赤外線ヒータ1が併設されている。このため、吸気口33
h から水分調整庫30の内部へ入った空気は、食品mの
表面を通過し、通気孔35h →通気路36→ダクト37→
排気口34の順に通り抜けることができる。
【0012】隣接する遠赤外線ヒータ1、1間には、そ
れぞれ水平な設置台38が設けられている。設置台38
には、水分調整すべき食品mが載せられている。食品m
としては、特に限定はない。なお、水分調整庫30の大
きさには、特に限定はなく、家庭用の小さなものでもよ
い。
【0013】自己温度制御型の遠赤外線ヒータ1は、食
品に向けて遠赤外線を放射させて食品を水分調整させる
ためのものである。この自己温度制御型の遠赤外線ヒー
タ1は、通電により温度が上昇すると温度の上昇に伴っ
て電気抵抗値が上昇し、一定の上限温度に達すると、電
気抵抗値が一定となる性質を有しているが詳細は後述す
る。
【0014】つぎに、本発明で特に重要な食品温度上昇
防止装置を説明する。食品温度上昇防止装置は、排風機
50および排気量調整装置60から構成されたものであ
る。
【0015】まず、排風機50を説明する。前記水分調
整庫30の内部における上部には、例えばファン等の排
風機50が配設されている。この排風機50によって吸
気口33h から吸い込ませた空気を、水分調整庫30の下
部に送ることができる。このため、この空気は、水分調
整庫30の下部から上部ヘ移動し、通気孔35h と通気路
36を通り排気口32から排気する。したがって、吸い
込んだ空気を水分調整庫30内に行き渡らせることがで
きる。
【0016】つぎに、排気量調整装置60を説明する。
図3は排気量調整装置60のブロック図である。図4
は、図1のIV-IV 線矢視断面図である。図3〜4に示す
ように、排気量調整装置60は、開閉弁61、開閉コン
トローラ62およびタイマ63から構成されたものであ
る。開閉弁61は、水分調整庫30の排気口34に開閉
自在に取り付けられている。開閉コントローラ62は、
開閉弁61に開閉命令を送り、開閉弁61の開閉の調整
を行うことができるものである。開閉コントローラ62
の開閉タイミングは、タイマ63によって行われてい
る。タイマ63に水分調整完了時刻を予めセットしてお
くと、水分調整完了時刻の少し前に、タイマ63から開
閉コントローラ62に開閉命令が送られる。このため、
開閉弁61の開閉率を調整することによって、水分調整
庫30の内部から排気口34を通って排気される排気量
を調整することができる。なお、マイコン制御式で、水
分調整すべき食品または発酵すべき食品の生産条件に適
合するように、温度変化を自動的にコントロールさせて
もよい。
【0017】したがって、食品の水分調整完了前に、排
風機50および排気量調整装置60によって、食品温度
の上昇を抑えることができる。なお、初期から30〜40℃
前後に食品温度を下げる設定にしておくと、味噌、ヨー
グルトなどの発酵食品を生産することができる。発酵食
品のうち、甘酒などの50℃程度の高温で発酵する発酵食
品も生産することができる。
【0018】また、食品温度上昇防止装置として、図5
に示すように、前記自己温度制御型の遠赤外線ヒータ1
への電圧を制御しうる電圧制御装置70を使用してもよ
い。この場合、電圧制御装置70により、自己温度制御
装型の遠赤外線ヒータ1の発熱量を減少させることがで
きる。したがって、食品の水分調整完了前に、電圧制御
装置70によって、食品温度の上昇を抑えることができ
る。
【0019】さらに、食品温度上昇防止装置として、図
6に示すように、前記自己温度制御装型の遠赤外線ヒー
タ1に供給される電流を制御しうる電流制御装置80を
使用してもよい。この場合、電流制御装置80により、
自己温度制御装型の遠赤外線ヒータ1の発熱量を減少さ
せることができる。したがって、食品の水分調整完了前
に、電流制御装置80によって、食品温度の上昇を抑え
ることができる。
【0020】つぎに、図7〜12に基づいて自己温度制
御型の遠赤外線ヒータ1(以下単に遠赤外線ヒータ1と
いう)を詳細に説明する。図7は遠赤外線ヒータ1の平
面図、図8は遠赤外線ヒータ1の図7のVIII-VIII 線断
面図である。図7〜8に示すように、遠赤外線ヒータ1
は、面状ヒータ10の全周面に樹脂フィルム3が被覆さ
れたものである。符号4は電源コードを示している。
【0021】前記樹脂フィルム3は、軟質塩化ビニール
樹脂、ナイロン樹脂、ポリウレタン樹脂などの合成樹脂
を薄く延ばしたものであり、面状ヒータ10から放射さ
れる遠赤外線を透過させることができる。なお、樹脂フ
ィルム3は軟質塩化ビニール樹脂、ナイロン樹脂、ポリ
ウレタン樹脂だけでなく、遠赤外線を透過させるもので
あれば種々の材料を採択しうる。
【0022】つぎに、面状ヒータ10について説明す
る。図9は面状ヒータ10の模式図である。同図に示す
ように、面状ヒータ10は、通電により遠赤外線を放射
する遠赤外線ヒータで、かつ非常に薄いものである。こ
の面状ヒータ10は、非常に薄い発熱体11の両面に絶
縁フィルム12が被覆され、この発熱体11の適所に電
極13p、13nが設けられたものである。発熱体11
は、約10〜20ミクロンの非常に薄く、軽く、屈曲性
・耐折り曲げ性に優れたもので、平面はもとより曲面に
も取り付けることができ、また延ばして広い面積に加工
することができるものである。さらに、発熱体11は、
通電されると遠赤外線を放射し、温度が高くなると電気
抵抗値が大きくなるものであるが、詳細は後述する。電
極13p、13nは、いずれも電導性を有する金属を常
法によって、発熱体11に印刷して貼付すればよい。絶
縁フィルム12は絶縁性を有するポリエステルなどの樹
脂を約50〜200 ミクロンの厚さに延ばしたもので、ラ
ミネート加工によって発熱体11に被覆すればよい。
【0023】つぎに、面状ヒータ10の発熱体11につ
いて説明する。図10は、面状ヒータ10の発熱体11
の作用説明図であって、(A)は常温時の状態模式図、
(B)は高温時の状態模式図である。図9〜10に示す
ように、発熱体11は、絶縁性樹脂17に、セラミック
などの遠赤外線放射材料14と、半導体樹脂15と、誘
電性樹脂16とを練り込んだものである。半導体樹脂1
5は、電気が供給されると発熱するものである。遠赤外
線放射材料14は加熱されると遠赤外線を放射するもの
である。ところで、対向する一対の導電体を非常に接近
させておき、この一対の導電体の間に電圧を加えれば、
たとえ一対の導電体の間に絶縁体が介在していても、一
対の導電体の間には、その間の距離に応じた電流が流れ
るという誘電現象が知られている。もちろん、一対の導
電体が充分離れてしまえば、絶縁体の介在によって一対
の導電体間に電気は通じない。誘電性樹脂16は、この
誘電現象を助長する性質を持っている。
【0024】図10(A)に示すように、常温時では発
熱体11の半導体樹脂15と誘電性樹脂16との間には
絶縁性樹脂17が介在しているものの半導体樹脂15と
誘電性樹脂16は接触または非常に接近しており、電極
13p、13n間に連鎖を形成している。このため、電
極13p、13n間の発熱体11に通電すると、前記誘
電現象により半導体樹脂15と誘電性樹脂16との連鎖
に電気が流れる。この通電により半導体樹脂15は発熱
し、この発熱により遠赤外線放射材料14が遠赤外線を
放射する。
【0025】一方、図10(B)に示すように、発熱体
11は、その温度が高くなると、熱膨張して体積は増加
する。半導体樹脂15や誘電性樹脂16は、その回りを
絶縁性樹脂17で埋められているので、前記発熱体11
が熱膨張すると、常温時に比較して、誘電性樹脂16と
半導体樹脂15との間の間隙が広がる。電極13p、1
3n間の発熱体11における半導体樹脂15と誘電性樹
脂16との連鎖に電気が流れにくくなる。換言すれば、
導電体である半導体樹脂15と誘電性樹脂16との間隙
が広くなるので、前記誘電現象による誘電状態が制限さ
れ、半導体樹脂15と誘電性樹脂16とが形成する連鎖
に流れる電流量が低下する。
【0026】上記のごとく、発熱体11は、その温度が
低くなるにつれて、電流が流れやすく、発熱しやすくな
る。逆に、発熱体11は、その温度が高くなるにつれ
て、電流が流れにくく、発熱しにくくなる。
【0027】この発熱体11の上限温度は、主に、半導
体樹脂15の保有抵抗値、電極13p、13n間の電気
抵抗値によって決定されており、絶縁性樹脂17の体積
膨張率によっても微妙に変動するので、これらの値を変
更することにより発熱体11の温度の上限を設定するこ
とができる。また、発熱体11の発熱量は、単位面積当
たりの半導体樹脂15の密度および誘電性樹脂16の密
度によって決定されているので、絶縁性樹脂17に対す
る半導体樹脂15の量の割合を増減させることによっ
て、発熱体11の発熱量を設定することができる。
【0028】発熱体11の上限温度は、食品の水分調整
温度が40〜60℃になるように設定すると好適であ
り、本実施形態の場合には、発熱体11の上限温度を、
食品の水分調整温度が55℃になるように設定してい
る。もし、発熱体11の上限温度を、食品の水分調整温
度が45℃を越えずに40℃前後になるように設定する
と、食品中の褐変酵素によって酸化褐変されやすく、水
分調整食品の味および香りの劣化を招く。さらに、食品
の水分調整温度が40℃前後よりも低くなるように設定
すると、食品の水分調整時間が長くなって効率的でな
い。逆に、発熱体11の上限温度を、食品の水分調整温
度が60℃を越えるように設定すると、熱による非酵素
褐変が促進され、食品の品質の劣化させたり、香気成分
を著しく蒸散させる。このため、発熱体11の上限温度
は、食品の水分調整温度が40〜60℃になるように設
定するのが適しており、特に50〜55℃前後が好適
で、食品の褐変や香気成分の蒸散を防止することができ
るという効果を奏する。
【0029】また、この発熱体11は従来のニクロム
線、カーボン繊維、アルミニウム線などの発熱体とは異
なり、設定された上限温度を越えて高温にならない。ま
た、断線や短絡による通電不良などによる危険性がない
ので長時間運転であっても、安全に安定した操業を維持
できるという効果を奏する。
【0030】上記のごとく、この面状ヒータ10は自己
温度制御特性を有しているので、面状ヒータ10を用い
ることによって、温度調整器を付設することなく、ヒー
タ温度を一定に維持でき、しかもヒータ温度のバラツキ
を少なく維持することができる。
【0031】つぎに、面状ヒータ10の消費電力につい
て説明する。図11は面状ヒータ10の消費電力特性の
説明図であって、Ftは面状ヒータ10の温度曲線であ
って縦軸が温度値、横軸が経過時間であり、Fwは面状
ヒータ10の消費電力曲線であって縦軸が消費電力量、
横軸が経過時間である。図10のFtで示すように、面
状ヒータ10は、そのヒータ温度が上昇するにしたがっ
て、消費電力は減少する。面状ヒータ10のヒータ温度
は、設定された上限温度になると、それ以上上昇しなく
なり、一定温度を維持する。面状ヒータ10のヒータ温
度が一定温度を維持している期間では、面状ヒータ10
の消費電力も低い値のまま一定の値を維持する。このた
め、温度調整器を付設せずとも、無駄な熱を放散するこ
となく、消費電力を大幅に節減できるという効果を奏す
る。
【0032】つぎに、遠赤外線ヒータ1から放射される
遠赤外線について説明する。図12は温度55℃におけ
る、遠赤外線ヒータ1の遠赤外線特性グラフであって、
Fhは遠赤外線ヒータ1の遠赤外線放射特性曲線、Fc
は標準黒体の特性曲線である。横軸は波長を示してお
り、縦軸はレベルを示している。標準黒体とは、材料の
値付けの基準として用いられる素材または物質であり、
その遠赤外線放射特性値が現存する物質では最も高いレ
ベルで遠赤外線が放射されるものとして確定されたもの
である。同図に示すように、遠赤外線ヒータ1から放射
される遠赤外線のレベルは、どの波長においても、標準
黒体から放射される遠赤外線のレベルに接近している。
とくに、波長が7〜12(μm)の波長帯Rにおいて、
遠赤外線ヒータ1は標準黒体のレベルに接近している。
この波長帯Rの遠赤外線は植物組織への吸収性および共
振性が高く、この波長帯Rの遠赤外線によって水分調整
が促進されやすい。つまり、現時点において、遠赤外線
ヒータ1は標準黒体の能力に限りなく近いものである。
【0033】つぎに、本実施形態の水分調整装置20の
作用・効果を説明する。本実施形態の水分調整装置20
によれば、以下の(1)〜(4)の効果を奏する。 (1)遠赤外線ヒータ1から食品に放射される遠赤外線
は、ピークが8〜10μmの波長の遠赤外線であり、食
品を40〜60℃の食品温度で水分調整するから、食品
中の酵素を失活させずに活性化させたまま、食品を水分
調整させることができる。しかも、食品の水分調整開始
から水分調整完了前までは、自己制御型の遠赤外線ヒー
タ1によって一定温度で食品を水分調整することがで
き、食品の水分調整完了前から水分調整が完了するまで
は、食品温度上昇防止装置、すなわち排風機50および
排気量調整装置60によって、食品温度の上昇を抑える
ことができる。よって、食品の含水率が10%以下にな
っても水分調整温度を一定温度に維持することができる
から、高品質な水分調整食品を生産することができる。
【0034】(2)排気量調整装置60によって、排風
機50により水分調整庫30の排気口34から外部に排
出させる温かい空気の排気量を調整することができるか
ら、食品温度が水分調整完了前から水分調整が完了する
まで上昇するのを防止することができるという効果を奏
する。
【0035】(3)食品の水分調整完了前から水分調整
が完了するまでは、電圧制御装置70によって遠赤外線
ヒータ1の電圧を抑えることができる。このため、遠赤
外線ヒータ1から放射される遠赤外線のエネルギーを抑
えることができるから、食品温度が水分調整完了前に上
昇するのを防止することができるという効果を奏する。
【0036】(4)食品の水分調整完了前から水分調整
が完了するまでは、電流制御装置80によって遠赤外線
ヒータに供給される電流を制御することができる。この
ため、遠赤外線ヒータ1から放射される遠赤外線のエネ
ルギーを抑えることができるから、食品温度が水分調整
完了前に上昇するのを防止することができるという効果
を奏する。なお、電流制御装置70および電圧制御装置
80を併用することによって、自己温度制御型の遠赤外
線ヒータに供給される電流および電圧をいずれも制御す
ることにより、遠赤外線ヒータ1の発熱量を意図的に減
少させることができる。
【0037】つぎに、第2実施形態の水分調整装置20B
を説明する。図13は第2実施形態の面状ヒータ10B の
側面断面図である。同図に示すように、第2実施形態の
水分調整装置20B は、遠赤外線ヒータ1の上面に、伸縮
バネ39B を介して、設置台38B を配設し、この設置台38
B の上に食品mを入れて水分調整させるようにした構成
である。設置台38B は、食品mを入れておけるものであ
って金属製のもの以外であればよく、例えばポリプロピ
レン製の皿などを使用しうる。伸縮バネ39B は、常時伸
長しているが、加圧により収縮するバネである。
【0038】図13(A) に示すように、水分調整前には
伸縮バネ39B は、食品mの重さで縮んでおり、食品mと
遠赤外線ヒータ1との間の距離は短い。このため、食品
mを強く水分調整することができる。そして、食品mの
水分調整が進行するにつれ、食品mから水分が蒸発し、
食品mの重さが軽くなる。すると、図13(B) に示すよ
うに、伸縮バネ39B は伸長するので、食品mと遠赤外線
ヒータ1との間の距離は拡がり、食品mの水分調整度合
が緩和される。したがって、食品mを水分調整させる場
合に、水分調整初期には水分調整加温を強くし、水分調
整終期には水分調整加温を弱くすることができる。この
ため、第2実施形態の水分調整装置20B によれば、簡単
な構成であり、設置スペースが少なくてよいので、家庭
用の水分調整器として使用することができるという効果
を奏する。
【0039】つぎに、本実施形態の水分調整装置20に
よる食品の水分調整例を説明する。本実施形態の水分調
整装置20によって、天然果汁野菜汁、野菜・果実、冷
凍用さしみ、冷凍用野菜、魚介、魚介珍味、甘納豆、佃
煮および食肉・煮魚等の食品を、各食品に適した温度で
加温し、水分を調整した。次表は、各食品毎に、食品
名、加温温度、水分率、効果を記した表である。 食品名 :加温温度 :水分率 :効果 天然果汁野菜汁:55℃前後 :約30〜20%に濃縮 :天然果汁野菜汁の濃縮 野菜・果実 :55℃前後 :残留水分10%以下 :野菜・果実の酵素活性乾燥 冷凍用さしみ :40℃前後 :約5%程度水分除去 :解凍時のドリップの防止 冷凍用野菜 :55℃前後 :約10%の水分除去 :解凍時のドリップの防止 魚介 :40〜55℃ :75〜50%の水分除去 :魚介の干物乾燥 魚介珍味 :40〜55℃ :50〜70%の水分除去 :魚介珍味の半乾燥 甘納豆 :40℃前後 :残留水分率18%程度 :甘納豆の仕上げ乾燥 佃煮 :55〜60℃ :所定水分率まで濃縮 :佃煮の仕上げ乾燥 食肉・煮魚介 :55〜60℃ :上乾 :食肉・煮魚介の乾燥
【0040】本実施形態の水分調整装置20によれば、
食品に放射される遠赤外線は、放射エネルギーのピーク
が8〜10μmの波長の遠赤外線であり、食品を40〜
60℃の一定の食品温度で水分調整するから、食品中に
酵素が活性の状態である場合は、酵素を失活させずに活
性化させたまま、食品を水分調整させることができる。
よって、高品質な水分調整された乾燥食品を効率よく生
産することができる。
【0041】本実施形態の水分調整装置20は、発芽食
品の生産装置として使用することができる。そこで、本
実施形態の水分調整装置20を使用した発芽食品の生産
方法を説明する。まず、容器に玄米と水を入れる。そし
て、本実施形態の水分調整装置20によって、玄米と水
が入れられた容器を30℃の水温で24時間加温するこ
とにより、玄米の胚芽部より小さな芽が出てくる。この
発芽期の玄米には、通常の玄米には含有量が非常に少な
い栄養成分、例えば遊離アミノ酸、ガンマアミノ酪酸
(GABA)、抗酸化物質(フェルラ酸、フィチン酸、トコ
トリエノール)、イノシトールおよびミネラル等が多量
に含まれている。本実施形態の水分調整装置20を発芽
食品の生産装置として使用すれば、発芽させるべき食品
に放射される遠赤外線は、放射エネルギーのピークが8
〜10μmの波長の遠赤外線であり、食品を一定の30
℃の食品温度で加熱するから、発芽率が高く、高品質な
発芽食品を効率よく生産することができる。
【0042】本実施形態の水分調整装置20は、発酵食
品の生産装置として使用することができる。そこで、本
実施形態の水分調整装置20を使用した発酵食品の生産
方法を説明する。まず、容器にヨーグルトや味噌、納
豆、甘酒等の発酵すべき食品を入れる。そして、本実施
形態の水分調整装置20によって、発酵すべき食品が入
れられた容器を加温することにより、発酵食品を効率よ
く生産することができる。次表は、発酵食品毎に、発酵
食品名、加温温度、加温時間を記した表である。発酵熟
成では発酵菌が乳酸菌であるか麹菌又は納豆菌などの種
類によって異なり、各菌に適した温度管理をすればよ
い。 発酵食品名 :加温温度 :加温時間 ヨーグルト :30℃ :約8時間 味噌 :40℃ :約2週間 納豆 :40℃ :約10時間 甘酒 :60℃ :約8時間 本実施形態の水分調整装置20を発酵食品の生産装置と
して使用すれば、発酵させるべき食品に放射される遠赤
外線は、放射エネルギーのピークが8〜10μmの波長
の遠赤外線であり、食品を30〜60℃の任意な一定の
発酵温度で加熱するから、高品質な発酵食品を効率よく
生産することができる。
【0043】
【実施例】つぎに、本実施形態の水分調整装置20を使
用した実施例および比較例を説明する。実施例および比
較例に使用した水分調整装置20の構成は以下のとおり
である。水分調整庫30は、SUS304製で厚さ0.8mmの金
属板で構成されている。水分調整庫30の容積は、高さ
1420×幅1115×奥行855(mm)である。遠赤外線ヒータ1
は、その上限温度が75℃のものである。図14に示す
ように、食品mは、キャベツの葉である。温度センサC
をキャベツの葉に刺し、周りをキャベツの葉で覆った。
これらを、設置台38の上に置いた。設置台38は、セ
イロを用いている。
【0044】図15は排風調整による温度特性グラフで
ある。図16は排風調整なしでの温度特性グラフであ
る。グラフの縦軸は温度[℃]で、横軸は経過時刻
[時:分]であり、上側の実践グラフD1は遠赤外線ヒ
ータ1のヒータ温度、グラフD2、D3は食品温度、グ
ラフD1は水分調整庫30内の温度を示している。図1
6に示すように、排風調整なしで、食品mを水分調整す
ると、水分調整初期および中期では食品mからの水分蒸
発による気化冷却作用により、適温とされる50℃〜5
5℃の食品温度が保たれるが、水分調整終了直前では、
食品mからの水分蒸発が減少し、結果として気化冷却効
果が無くなり、材料食品温度は急激に上昇して適温限界
の60℃を超える。60℃を超える温度域では、酵素群
が失活し、また香り成分も急激に蒸散して大幅な品質劣
化を招いてしまっている。
【0045】図15に示すように、水分調整終期、例え
ば時刻t1に、水分調整庫30内の空気を排出させる
と、食品温度は低くなった。
【0046】水分調整終了直前の食品温度上昇時期を予
測して、水分調整開始から20時間後に庫内の換気量
(排気量)を200 %に増加させて食品温度を確認した。
結果として、排気量を増加させた時点よりは約8℃下が
り、水分調整終了及びその後も水分調整適温の50℃〜
55℃に食品温度は安定した。今回の試験により次の
(1)〜(4)の事項が確認できた。 (1)水分調整庫30内の換気量(排気量)を増加する
ことにより、食品温度の上昇抑制効果がある。 (2)水分調整条件が同じであれば、急激な食品温度上
昇の時期はほぼ正確に予測することができ、タイマーな
どの時限装置で温度調整の制御が可能である。 (3)排風量の調節を段階的に行なえば、更に緻密な食
品温度調整や、食品温度の上下調整も可能である。 (4)水分調整終了直前に食品温度が急激に上昇する。 上記のごとく、本実施形態の水分調整装置20によれ
ば、水分調整すべき食品mの温度を一定温度に維持して
水分調整食品の品質劣化を防止できるという効果を奏す
る。
【0047】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、遠赤外線ヒー
タから食品に放射される遠赤外線は、放射エネルギーの
ピークが8〜10μmの波長の遠赤外線であり、食品を
40〜60℃の食品温度で水分調整するから、食品中の
酵素を失活させずに活性化させたまま、食品を水分調整
させることができる。しかも、食品の水分調整開始から
水分調整完了前までは、自己制御型の遠赤外線ヒータに
よって一定温度で食品を水分調整することができ、食品
の水分調整完了前から水分調整が完了するまでは、食品
温度上昇防止手段によって、食品温度の上昇を抑えるこ
とができる。よって、高品質な水分調整食品を生産する
ことができる。請求項2の発明によれば、排気量調整装
置によって、排風機により水分調整庫の排気口から外部
に排出させる温かい空気の排気量を調整することができ
るから、食品温度が水分調整完了前から水分調整が完了
するまで上昇するのを防止することができる。請求項3
の発明によれば、食品の水分調整完了前から水分調整が
完了するまでは、電圧制御装置によって遠赤外線ヒータ
の電圧を抑えることができる。このため、遠赤外線ヒー
タから放射される遠赤外線のエネルギーを抑えることが
できるから、食品温度が水分調整完了前に上昇するのを
防止することができる。請求項4の発明によれば、食品
の水分調整完了前から水分調整が完了するまでは、電流
制御装置によって遠赤外線ヒータに供給される電流を制
御することができる。このため、遠赤外線ヒータから放
射される遠赤外線のエネルギーを抑えることができるか
ら、食品温度が水分調整完了前に上昇するのを防止する
ことができる。請求項5の発明によれば、電流制御装置
および電圧制御装置を併用することによって、自己温度
制御型の遠赤外線ヒータに供給される電流および電圧を
いずれも制御することにより、遠赤外線ヒータの発熱量
を意図的に減少させることができる。このため、食品の
水分調整開始から水分調整完了前までは、一定温度で食
品を水分調整することができ、食品の水分調整完了前か
ら水分調整が完了するまでは、食品温度の上昇を抑える
ことができる。よって、水分調整食品を高品質に保つこ
とができる。請求項6の発明によれば、食品の水分調整
が進行するにつれ、食品から水分が蒸発し、食品の重さ
が軽くなるから、伸縮バネが伸長し、遠赤外線ヒータか
ら設置台が食品とともに遠ざかる。このため、水分調整
初期には水分調整加温を強くし、水分調整終期には水分
調整加温を弱くすることができる。しかも、簡単な構成
であり、設置スペースが少なくてよいので、家庭用の水
分調整器として使用することができる。請求項7の発明
によれば、容器の中に発芽すべき食品を入れて、請求項
1〜6記載の食品の水分調整装置によって食品を加熱し
て食品の発芽に最適な温度を一定に調節することによ
り、食品中の酵素を失活させずに活性化させたまま、発
芽食品を生産することができる。請求項8の発明によれ
ば、容器の中に発酵すべき食品を入れて、請求項1〜6
記載の食品の水分調整装置によって食品を加熱して食品
の水分の調整することにより、乳酸菌や麹菌などの微生
物を活性化させて効率良く、発酵食品を生産することが
できる。請求項9の発明によれば、食品に放射される遠
赤外線は、放射エネルギーのピークが8〜10μmの波
長の遠赤外線であり、食品を40〜60℃の一定の食品
温度で水分調整するから、食品中の酵素を失活させずに
活性化させたまま、食品を水分調整させることができ
る。よって、高品質な水分調整食品を効率よく生産する
ことができる。請求項10の発明によれば、発芽させる
べき食品に放射される遠赤外線は、放射エネルギーのピ
ークが8〜10μmの波長の遠赤外線であり、食品を一
定の25〜35℃の食品温度で加温するから、高品質な
発芽食品を効率よく生産することができる。請求項11
の発明によれば、発酵させるべき食品に放射される遠赤
外線は、放射エネルギーのピークが8〜10μmの波長
の遠赤外線であり、食品を30〜60℃の任意で一定な
食品温度で加温するから、高品質なあらゆる発酵食品を
効率よく生産することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の水分調整装置の側面断面図であ
る。
【図2】本実施形態の水分調整装置の正面図である。
【図3】排気量調整装置60のブロック図である。
【図4】図1のIV-IV 線矢視断面図である。
【図5】電圧制御装置70のブロック図である。
【図6】電流制御装置80のブロック図である。
【図7】遠赤外線ヒータ1の平面図である。
【図8】遠赤外線ヒータ1の図3のVIII-VIII 線断面図
である。
【図9】面状ヒータ10の模式図である。
【図10】面状ヒータ10の発熱体11の作用説明図で
あって、(A)は常温時の状態模式図、(B)は高温時
の状態模式図である。
【図11】面状ヒータ10の消費電力特性の説明図であ
る。
【図12】温度55℃における、遠赤外線ヒータ1の遠
赤外線特性グラフであって、Fhは遠赤外線ヒータ1遠
赤外線放射特性曲線、Fcは標準黒体の特性曲線であ
る。
【図13】第2実施形態の面状ヒータ10B の側面断面図
である。
【図14】実施例の説明図である。
【図15】排風調整による温度特性グラフである。
【図16】排風調整なしでの温度特性グラフである。
【符号の説明】
1 遠赤外線ヒータ 20 水分調整装置 20B 水分調整装置 30 水分調整庫 33 吸気口 34 排気口 39B 伸縮バネ 50 排風機 60 排気量調整装置 70 電圧制御装置 80 電流制御装置
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成13年10月25日(2001.10.
25)
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図14
【補正方法】変更
【補正内容】
【図14】

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】食品用の水分調整庫と、該水分調整庫内に
    設けられ、食品に向けて遠赤外線を放射させるための面
    状の遠赤外線ヒータであり、通電により、放射エネルギ
    ーのピークが8〜10μmの波長の遠赤外線を放射する
    とともに、温度の上昇に伴なって電気抵抗値が上昇し、
    上限温度に達すると前記電気抵抗値が一定となり、40
    〜60℃の温度帯で一定の食品温度で食品を水分調整さ
    せる自己温度制御型の遠赤外線ヒータと、水分調整完了
    前の食品温度の上昇を抑える食品温度上昇防止手段とか
    らなることを特徴とする食品の水分調整装置。
  2. 【請求項2】前記水分調整庫に排気口が形成されてお
    り、前記食品温度上昇防止手段が、前記水分調整庫の内
    部の空気を排気口から排出させるための排風機と、前記
    水分調整庫の内部の空気の排気量を調整する排気量調整
    装置とからなることを特徴とする請求項1記載の食品の
    水分調整装置。
  3. 【請求項3】前記食品温度上昇防止手段が、前記遠赤外
    線ヒータへの電圧を制御する電圧制御装置からなること
    を特徴とする請求項1または2記載の食品の水分調整装
    置。
  4. 【請求項4】前記食品温度上昇防止手段が、前記遠赤外
    線ヒータに供給される電流を制御する電流制御装置から
    なることを特徴とする請求項1または2記載の食品の水
    分調整装置。
  5. 【請求項5】前記食品温度上昇防止手段が、前記遠赤外
    線ヒータへの電圧を制御する電圧制御装置と、前記遠赤
    外線ヒータに供給される電流を制御する電流制御装置と
    からなることを特徴とする請求項1または2記載の食品
    の水分調整装置。
  6. 【請求項6】食品を乗せるための載置台と、該載置台の
    下方に設けられ、食品に向けて遠赤外線を放射させるた
    めの面状の遠赤外線ヒータであり、通電により、放射エ
    ネルギーのピークが8〜10μmの波長の遠赤外線を放
    射するとともに、温度の上昇に伴なって電気抵抗値が上
    昇し、上限温度に達すると前記電気抵抗値が一定とな
    り、40〜60℃の食品温度で食品を水分調整させる自
    己温度制御型の遠赤外線ヒータと、該遠赤外線ヒータと
    前記戴置台との間に取り付けられた伸縮バネとからなる
    ことを特徴とする食品の水分調整装置。
  7. 【請求項7】請求項1〜6記載の食品の水分調整装置
    と、発芽させるべき食品を入れる容器とからなることを
    特徴とする発芽食品の生産装置。
  8. 【請求項8】請求項1〜6記載の食品の水分調整装置
    と、発酵させるべき食品を入れる容器とからなることを
    特徴とする発酵食品の生産装置。
  9. 【請求項9】食品の食品温度が40〜60℃の温度帯で
    一定温度となるように、該食品に向けて、放射エネルギ
    ーのピークが8〜10μmの波長の遠赤外線を放射する
    ことを特徴とする食品の水分調整方法。
  10. 【請求項10】発芽させるべき食品を水に浸漬し、水温
    が30℃で一定温度となるように、前記食品に向けて、
    放射エネルギーのピークが8〜10μmの波長の遠赤外
    線を放射することを特徴とする発芽食品の生産方法。
  11. 【請求項11】発酵させるべき食品の食品温度が30〜
    60℃の温度帯で一定温度となるように、該食品に向け
    て、放射エネルギーのピークが8〜10μmの波長の遠
    赤外線を放射することを特徴とする発酵食品の生産方
    法。
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