JP3029588B2 - 乾燥食物の製造方法 - Google Patents

乾燥食物の製造方法

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JP3029588B2
JP3029588B2 JP9668497A JP9668497A JP3029588B2 JP 3029588 B2 JP3029588 B2 JP 3029588B2 JP 9668497 A JP9668497 A JP 9668497A JP 9668497 A JP9668497 A JP 9668497A JP 3029588 B2 JP3029588 B2 JP 3029588B2
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昇 雑賀
正男 池田
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株式会社雑賀電機製作所
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は乾燥食物の製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】食物の保存方法として乾燥保存がよく知
られており、乾燥食物は、乾燥野菜や乾燥果物、乾燥ハ
ーブ等の植物性乾燥食物と、魚貝類を乾燥させた干物や
食肉を乾燥させた乾燥肉等の動物性乾燥食物とに大別さ
れる。乾燥野菜はネギやニンニク等の生野菜を乾燥させ
たものである。乾燥果物はリンゴやバナナ等の生果物を
乾燥させたものである。乾燥ハーブはペパーミントやジ
ャスミン等の芳香性のあるハーブ植物を乾燥させたもの
である。最近では乾燥ハーブをお茶や紅茶に入れて、香
りの組み合わせの妙を楽しむ嗜好が定着しつつある。植
物性乾燥食物および動物性乾燥食物はいずれも食用なの
で、色彩や味、香りが損なわれないように保存すること
が望まれる。
【0003】食物を乾燥させるときに、食物の色彩や
味、香りを損なってしまうと食用としての価値は激減す
る。色彩を劣化させる主な原因としては(i)酵素によ
る酵素褐変、(ii)酵素によらない非酵素褐変とがあ
る。また、味を劣化させる主な原因は腐敗であるが、褐
変などの酸化による場合もある。そして、香りを劣化さ
せる主な原因は、乾燥時の加熱温度による香気成分蒸散
や、凍結真空乾燥方法などでは真空圧による香気成分蒸
散がある。 (i)酵素による酵素褐変とは:食物中のポリフェノー
ルが褐変酵素により酸化促進され生じる。この褐変酵素
は30℃〜45℃の温度帯で最も活性化し、55℃〜6
0℃で活動の停止が始まり、さらに温度が上昇するに伴
って失活する。 (ii)酵素によらない非酵素褐変とは:乾燥過程で食物
中の水分率が低下すると、食物中のアミノ酸と糖類の濃
度が高まり結合反応を起こし褐変するが、この反応は温
度が高いほど早く、乾燥温度が70℃を越える温度にな
ると、さらに反応が促進されて著しく褐変する。したが
って、植物を効率よく乾燥させて、乾燥食物とするには
45℃〜70℃が乾燥適温帯である。乾燥温度が、この
乾燥適温帯より高過ぎると植物が熱によって酸化しやす
くなり、逆に、乾燥温度が、この乾燥適温帯より低過ぎ
ると酵素によって酸化したり、乾燥時間が長くなり効率
的ではない。
【0004】乾燥食物を作るのに手っ取り早いのは、天
日乾燥である。しかし、天日乾燥は気象に左右されるの
で、均一の乾燥が得られない。乾燥食物を作るための工
業的乾燥手段としては、主に、(M1)ニクロム線に通
電し加熱させて食物を乾燥させる方法、(M2)遠赤外
線を食物に放射する方法、(M3)高周波を食物に放射
する方法、(M4)温風を食物に吹き付ける方法、(M
5)冷風を食物に吹き付ける方法、(M6)食物を凍結
し真空で乾燥させる方法などがある。
【0005】 (M1):ニクロム線乾燥は、ヒータそのものの温度が
高い。そこで、前記適温帯に乾燥温度を調整するため
に、サーモスタット制御方式のヒータがよく用いられて
いる。 (M2):遠赤外線乾燥は、ニクロム線と遠赤外線放射
材料とを単に組み合わせただけのものであり、ニクロム
線による乾燥と同様に、ヒータそのものの温度が高い。
そこで、前記適温帯に乾燥温度を調整するために、サー
モスタット制御方式のヒータがよく用いられている。 (M3):高周波乾燥は、10KHz〜100MHzの
超短波を利用したもの(例えば、特願平4−13910
1号公報参照)で、周波数の高い電波を食物に照射する
と、食物内部に双極子の回転運動が起こり、分子の内部
摩擦熱により、内部から加熱されるので、物体の内部も
表面も同様に加熱することができる。この結果、食物を
早く乾燥させることができる。市販の電子レンジはこれ
と同じ原理によるものである。 (M4):温風乾燥は、40℃程度の温風を食物に吹き
付けて、食物を乾燥させる方法である。とくに米などの
穀類の乾燥に用いられている。 (M5):冷風乾燥は、4℃程度の冷風を食物に吹き付
けて、食物を乾燥させる方法である。特に、魚の干物な
ど動物性食物の乾燥に用いられている。 (M6):凍結真空乾燥は、食物を急速に凍結させた
後、真空で乾燥させる方法である。この方法によれば、
食物中の凍結された固体の水分が、液体相を経ずに直ち
に気体となる。このため、乾燥後の食物は、水分の抜け
た部分が多孔質となり、嵩高いものとなる。用途として
は、インスタント食品などの乾燥によく用いられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、従来の(M
1)〜(M6)の乾燥方法には、それぞれ以下のような
問題がある。まず、前記(M1)および(M2)のサー
モスタットで温度を制御するニクロム線内蔵のヒータに
よる乾燥食物の製造における問題を説明する。図11は
従来のサーモスタット制御によるニクロム線内蔵のヒー
タにおける表面温度特性の説明図であって、縦軸は温
度、横軸は経過時間、符号Sはヒータの特性曲線を示し
ている。このヒータはセンサの感知温度が55℃を越え
ると通電が切れ、センサの感知温度が55℃を下回ると
通電するようにサーモスタットを設定したものである。
このセンサは食物の位置に配設しておく。図11の符号
Sに示すように、このニクロム線内蔵のヒータに通電す
ると発熱するが、この熱は熱伝導によってヒータ表面か
ら徐々に遠方へと伝わり、ヒータ周辺部から遠方に向か
って徐々に温める。つまり、同一時刻において、ヒータ
温度と食物の乾燥温度は一致せず、ヒータ温度が55℃
まで上昇しても、乾燥温度は55℃に達していない。ヒ
ータ温度が70℃になってはじめて、乾燥温度が55℃
に達し、サーモスタットが作動し、ヒータへの通電は切
られる。したがって、時間遅れが発生し、乾燥温度は食
物を乾燥させるのに好適な乾燥適温帯を越えてしまう。
このため、食物は酸化しやすくなっており、品質の劣化
を招きやすいという問題がある。とくに、香りを重視す
るハーブ植物や柚子などの場合、高温で乾燥させると食
物に含まれている香気成分は著しく蒸散して、香りを損
なうので乾燥食物の質の低下を招くという問題がある。
ヒータ温度の下降時において、ヒータの通電が切れてい
るので、ヒータ温度は急激に下降するが、前記のごと
く、ヒータ温度と乾燥温度は一致しないので、ヒータ温
度が55℃まで下降しても、乾燥温度は55℃まで下降
していない。このヒータ温度が50℃になってはじめ
て、乾燥温度が55℃に達し、サーモスタットが作動
し、ヒータは再び通電され発熱する。つまり、時間遅れ
が発生し、乾燥温度はサーモスタットの設定温度より低
温となってしまう。このため、食物中の褐変酵素による
酵素褐変が生じたり、乾燥時間が長くなり効率的ではな
いという問題がある。
【0007】また、前述のごとく、時間遅れが発生する
ので、その分の熱エネルギーは無駄であり、無駄な電力
を消費しているという問題がある。
【0008】このように、従来のサーモスタット制御に
よるニクロム線内蔵のヒータは、常に一定温度を維持し
ているわけでなく、大幅な温度幅をもって変動してい
る。このため、乾燥温度を前記乾燥適温帯で維持できな
いので、乾燥食物の品質の劣化を招きやすい。そこで、
温度に対して敏感な、すなわち設定した温度に対して変
動が少なく、常に一定温度を維持できる精度の高い温度
調節器が必要であるがこれは高価で、しかも装置全体が
複雑になるという問題がある。
【0009】前記(M3)の高周波乾燥においては、ご
く短時間の内に乾燥温度が急激に上昇し高温となり、こ
の熱によって食物が乾燥過多になったり、さらには、炭
化現象により、色彩や味や香りを劣化させるという問題
がある。
【0010】前記(M4)の温風乾燥においては、温風
が直接当たる箇所の乾燥温度が高くなり良く乾燥する
が、逆に温風が当たらない食物の内部や設置深部は乾燥
温度が低くなり、乾燥が遅くなったり乾燥ムラが発生し
たりするという問題がある。さらには、このような乾燥
温度ムラが酵素褐変等の劣化を生じさせるという問題が
ある。前記(M5)の冷風乾燥においては、低い温度帯
で食物をその表面から徐々に乾燥するので、褐変や香気
成分が蒸散する等の劣化は少ないが、乾燥効率が非常に
悪く、ランニングコストが高いという問題がある。ま
た、魚の干物などの場合には、低い乾燥温度では、食味
を向上させるアミノ酸等の生成を阻害し、食味を向上さ
せないという問題がある。前記(M6)の凍結真空乾燥
による方法においては、真空圧内での昇華による水分蒸
発ととも香気成分も蒸散し、食物の香りが殆んど残らな
いという問題がある。また、凍結真空乾燥によるランニ
ングコストは、冷風乾燥によるランニングコストよりも
さらに高いという問題がある。
【0011】本発明はかかる事情に鑑み、食物をその本
来の色彩、香りおよび味を維持したまま乾燥させること
ができ、温度調整器を付けずとも乾燥温度を乾燥適温帯
に維持することができ、消費電力を低減できる乾燥食物
の製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1の乾燥食物の製
造方法は、導電性樹脂と、発熱性を有する半導体樹脂
と、遠赤外線放射材料と、絶縁性樹脂とからなる発熱体
を有し、温度の上昇によって電気抵抗値が上昇し、上限
温度に達すると前記電気抵抗値が一定となる自己温度制
御型の面状の遠赤外線ヒータを用いて、食物に7〜12
μmの波長の遠赤外線を放射し、45〜70℃の乾燥温
度で該食物を乾燥させることを特徴とする。請求項2の
乾燥食物の製造方法は、導電性樹脂と、発熱性を有する
半導体樹脂と、遠赤外線放射材料と、絶縁性樹脂とから
なる発熱体を有し、温度の上昇によって電気抵抗値が上
昇し、上限温度に達すると前記電気抵抗値が一定となる
自己温度制御型の面状の遠赤外線ヒータを用いて、肉厚
食物に7〜12μmの波長の遠赤外線を放射し、45〜
70℃の乾燥温度で該肉厚食物を乾燥させることを特徴
とする。請求項3の乾燥食物の製造方法は、請求項1ま
たは2記載の発明において、上部が開いており底部に通
気孔が形成された容器の内部側壁に、前記自己温度制御
型の遠赤外線ヒータを互いに内側に向けて対向させて配
設させ、前記容器の内部に食物を配置させて、該食物を
乾燥させることを特徴とする。請求項4の乾燥食物の製
装置は、導電性樹脂と、発熱性を有する半導体樹脂
と、遠赤外線放射材料と、絶縁性樹脂とからなる発熱体
を有し、温度の上昇によって電気抵抗値が上昇し、上限
温度に達すると前記電気抵抗値が一定となる自己温度制
御型の面状の遠赤外線ヒータであって、食物に7〜12
μmの波長の遠赤外線を放射し、45〜70℃の乾燥温
度で該食物を乾燥させることを特徴とする。請求項5の
乾燥食物の製造装置は、導電性樹脂と、発熱性を有する
半導体樹脂と、遠赤外線放射材料と、絶縁性樹脂とから
なる発熱体を有し、温度の上昇によって電気抵抗値が上
昇し、上限温度に達すると前記電気抵抗値が一定となる
自己温度制御型の面状の遠赤外線ヒータであって、肉厚
食物に7〜12μmの波長の遠赤外線を放射し、45〜
70℃の乾燥温度で該肉厚食物を乾燥させることを特徴
とする。請求項6の乾燥食物の製造装置は、上部が開い
ており底部に通気孔が形成された容器の内部側壁に、前
記自己温度制御型の遠赤外線ヒータを互いに内側に向け
て対向させて配設させ、前記容器の内部に食物を配置さ
せて、該食物を乾燥させることを特徴とする。
【0013】請求項3および4記載の「乾燥用ヒータ」
とは、自己制御型の面状の遠赤外線ヒータであって、食
物に7〜12μmの波長の遠赤外線を放射し、45〜7
0℃の乾燥温度でその食物を乾燥させるヒータをいう。
また、本明細書において、「乾燥食物」とは、植物性の
乾燥食物と動物性の乾燥食物とを含む概念である。前者
の「植物性の乾燥食物」とは、ペパーミントやジャスミ
ン等のハーブ植物を乾燥させた乾燥ハーブ、バナナやプ
ルーン等の生果物を乾燥させた乾燥果物、ネギやニンニ
ク等の生野菜を乾燥させた乾燥野菜などを含む概念であ
る。後者の「動物性の乾燥食物」とは、活魚やイカ、貝
等の魚貝類や牛肉等の食肉を乾燥させたものや、干物の
ように半乾燥させたものを含む概念である。さらに、本
明細書において、「乾燥温度」とは乾燥すべき食物の位
置における温度をいい、「ヒータ温度」とは乾燥ヒータ
の表面における温度をいい、両者は互いに異なる概念で
ある。
【0014】
【発明の実施の形態】つぎに、本発明の乾燥食物の製造
方法を図面に基づき説明する。図1は本発明の乾燥食物
の第1製造方法の説明図である。同図に示すように、本
発明の乾燥食物の第1製造方法は、食物P1を乾燥させ
て乾燥食物を製造する方法である。同図に示すように、
本発明の乾燥食物の製造方法は、自己制御型の面状の遠
赤外線ヒータを乾燥用ヒータ1として用いて食物P1を
乾燥させ、乾燥食物を製造する方法である。この乾燥用
ヒータ1は、食物P1に遠赤外線を放射し、45〜70
℃の乾燥温度でこの食物を乾燥させることができるもの
である。なお、食物を乾燥させる装置は、乾燥用ヒータ
1だけでなく食物P1に遠赤外線を放射し、45〜70
℃の乾燥温度でこの食物を乾燥させることができるもの
であれば種々の装置を採択しうる。
【0015】まず、図3〜10に基づいて乾燥用ヒータ
1を説明する。図3は乾燥用ヒータ1の平面図、図4は
乾燥用ヒータ1の図3のIV−IV線断面図である。図3〜
4に示すように、乾燥用ヒータ1は、面状ヒータ10の
片側全面に断熱シート2が貼着されており、この面状ヒ
ータ10および断熱シート2の全周面に樹脂フィルム3
が被覆されたものである。符号4は電源コードを示して
いる。前記面状ヒータ10は、通電により遠赤外線を放
射する遠赤外線ヒータで、かつ非常に薄いものである
が、詳細については後述する。
【0016】断熱シート2は、発泡樹脂シートなどの表
面に遠赤外線等の電磁波を遮断するアルミ箔が被覆され
たものである。この断熱シート2は、面状ヒータ10が
放射する遠赤外線を遮蔽して、この遠赤外線が外部へ漏
洩したり、面状ヒータ10の熱が外部へ放散したりする
のを防止するものである。なお、断熱シート2はなくて
もよいが、その場合面状ヒータ10の両面から熱が放散
するので、本実施形態のごとく、面状ヒータ10の片面
に断熱シート2を貼着しておけば、所望の片面にのみ集
熱させることができるので好適である。さらになお、断
熱シート2は遠赤外線等の電磁波と熱を遮断しうるもの
であれば、種々の材料を採択しうる。樹脂フィルム3
は、軟質塩化ビニール樹脂、ナイロン樹脂、ポリウレタ
ン樹脂などの合成樹脂を薄く延ばしたものであり、面状
ヒータ10から放射される遠赤外線を透過させることが
できる。なお、樹脂フィルム3は軟質塩化ビニール樹
脂、ナイロン樹脂、ポリウレタン樹脂だけでなく、遠赤
外線を透過させるものであれば種々の材料を採択しう
る。
【0017】つぎに、面状ヒータ10について説明す
る。図5は面状ヒータ10の模式図である。同図に示す
ように、この面状ヒータ10は、非常に薄い発熱体11
の両面に絶縁フィルム12が被覆され、この発熱体11
の適所に電極13p、13nが設けられたものである。
この発熱体11は、約10〜20ミクロンの非常に薄
く、軽く、屈曲性・耐折り曲げ性に優れたもので、平面
はもとより曲面にも取り付けることができ、また延ばし
て広い面積に加工することができるものである。さら
に、発熱体11は、通電されると遠赤外線を放射し、温
度が高くなると電気抵抗値が大きくなるものであるが、
詳細は後述する。電極13p、13nは、いずれも電導
性を有する金属を常法によって、発熱体11に印刷して
貼付すればよい。絶縁フィルム12は絶縁性を有するポ
リエステルなどの樹脂を約50〜200 ミクロンの厚さに
延ばしたもので、ラミネート加工によって発熱体11に
被覆すればよい。
【0018】つぎに、面状ヒータ10の発熱体11につ
いて詳細に説明する。図6は、面状ヒータ10の発熱体
11の作用説明図であって、(A)は常温時の状態模式
図、(B)は高温時の状態模式図である。図5および図
6(A)、(B)に示すように、発熱体11は、絶縁性
樹脂17に、セラミックなどの遠赤外線放射材料14
と、半導体樹脂15と、黒鉛やカーボンなどの導電性樹
脂16とを練り込んだものである。半導体樹脂15、導
電性樹脂16はいずれも電気が供給されると発熱するも
のである。遠赤外線放射材料14は加熱されると遠赤外
線を放射するものである。ところで、対向する一対の導
電体を非常に接近させておき、この一対の導電体の間に
電圧を加えれば、たとえ一対の導電体の間に絶縁体が介
在していても、一対の導電体の間に電気が流れるという
誘電現象が知られている。もちろん、一対の導電体が充
分離れてしまえば、絶縁体の介在によって一対の導電体
間に電気は通じない。
【0019】図6(A)に示すように、常温時では発熱
体11の半導体樹脂15と導電性樹脂16との間には絶
縁性樹脂17が介在しているものの半導体樹脂15と導
電性樹脂16は接触または非常に接近しており、電極1
3p、13n間に連鎖を形成している。このため、電極
13p、13n間の発熱体11に通電すると、前記誘電
現象により半導体樹脂15と導電性樹脂16との連鎖に
電気が流れる。この通電により半導体樹脂15および導
電性樹脂16は発熱し、この発熱により遠赤外線放射材
料14が遠赤外線を放射する。
【0020】一方、図6(B)に示すように、発熱体1
1の温度が高くなると、発熱体11が熱膨張して発熱体
11の体積は増加する。半導体樹脂15や導電性樹脂1
6は、その回りを絶縁性樹脂17で埋められているの
で、前記発熱体11が熱膨張すると、常温時に比較し
て、導電性樹脂16と半導体樹脂15との間隙が広が
る。電極13p、13n間の発熱体11における半導体
樹脂15と導電性樹脂16との連鎖に電気が流れにくく
なる。換言すれば、導電体である半導体樹脂15と導電
性樹脂16との間隙が広くなるので、前記誘電現象によ
る誘電状態が制限され、半導体樹脂15と導電性樹脂1
6とが形成する連鎖に流れる電流量が低下する。
【0021】上記のごとく、発熱体11の温度が低くな
るにつれて、発熱体11に電流が流れやすく、発熱体1
1が発熱しやすくなる。一方、発熱体11の温度が高く
なるにつれて、発熱体11に電流が流れにくく、発熱体
11が発熱しにくくなる。したがって、発熱体11に通
電して、発熱体11を一定の温度まで上昇させるか、あ
るいは、発熱体11を一定の電気抵抗値にまで下降させ
れば、発熱体11を通る電流量と発熱体11の発熱量と
が均衡を保ち、発熱体11はその温度を継続的に維持す
る。
【0022】この発熱体11の上限温度は、主に、半導
体樹脂15の保有抵抗値、電極13p、13n間の電気
抵抗値によって決定されており、絶縁性樹脂17の体積
膨張率によっても微妙に変動するので、これらの値を変
更することにより発熱体11の温度の上限を設定するこ
とができる。また、発熱体11の発熱量は、単位面積当
たりの半導体樹脂15の密度および導電性樹脂16の密
度によって決定されているので、絶縁性樹脂17に対す
る半導体樹脂15の量の割合を増減させることによっ
て、発熱体11の発熱量を設定することができる。
【0023】発熱体11の上限温度を、食物の乾燥温度
が55℃になるように設定しているが、もし発熱体11
の上限温度を食物の乾燥温度が45℃を越えずに40℃
前後になるように設定すると、前述のごとく、食物中の
褐変酵素によって酸化褐変されやすく、乾燥食物の味お
よび香りの劣化を招く。さらに、発熱体11の上限温度
を食物の乾燥温度が40℃前後よりも低くなるように設
定すると、食物の乾燥時間が長くなって効率的でない。
しかも、乾燥時間が長すぎると、食物が腐敗してしまう
こともある。逆に、発熱体11の上限温度を食物の乾燥
温度が70℃を越えるように設定すると、熱による非酵
素褐変が促進され、食物の品質の劣化させたり、香気成
分を著しく蒸散させる。このため、この発熱体11の上
限温度は食物の乾燥温度が45〜70℃になるように設
定するのが適しており、特に55〜60℃前後が好適
で、食物の褐変や香気成分の蒸散を防止することができ
るという効果を奏する。
【0024】また、この発熱体11は従来のニクロム
線、カーボン繊維、アルミニウム線などの発熱体とは異
なり、設定された上限温度を越えて高温にならない。ま
た、断線や短絡による通電不良などによる危険性がない
ので長時間運転であっても、安全に安定した操業を維持
できるという効果を奏する。
【0025】図7は面状ヒータ10の自己温度制御特性
の説明図であって、縦軸は温度、横軸は経過時間を示し
ており、符号Fは本実施形態の面状ヒータ10の特性曲
線、符号Sは従来のサーモスタット制御方式のヒータの
特性曲線を示している。図7の符号Sで示すように、従
来のサーモスタット制御方式のヒータ温度は、大幅な温
度変動を繰り返している。一方、図7の符号Fで示すよ
うに、面状ヒータ10のヒータ温度は通電後10分程度
の短時間で、面状ヒータ10の設定された上限温度まで
急上昇し、以後それ以上温度は上昇せずに一定温度を維
持している。
【0026】図8は面状ヒータ10の自己温度制御特性
の模式図および、温度グラフであって縦軸が温度値で、
(A)は偏温差がない状態、(B)は偏温差がある状態
である。図8(A)の符号t0で示すように、面状ヒー
タ10の面が均一のヒータ温度であれば、面状ヒータ1
0の面のどの局所であっても同一の電気抵抗値を示し、
同一量の電流Iが通電する。もし、面状ヒータ10の任
意の局所Dが周辺よりも高温になると、図8(B)の符
号t1で示すように局所Dの電気抵抗値が大きくなり局
所Dに電流が流れにくくなり、局所Dの発熱は抑えら
れ、それ以上ヒータ温度が上がらない。逆に、面状ヒー
タ10の任意の局所Dが周辺よりも低温になると、局所
Dの電気抵抗値が小さくなり局所Dに電流が流れやすく
なり、局所Dの発熱は促進されヒータ温度が上昇する。
つまり、面状ヒータ10は自己温度制御特性を有してお
り、ヒータ温度の変化に対してフィードバックが働く。
【0027】上記のごとく、この面状ヒータ10は自己
温度制御特性を有しているので、面状ヒータ10を用い
ることによって、温度調整器を付設することなく、ヒー
タ温度を一定に維持でき、しかもヒータ温度のバラツキ
を少なく維持することができるという効果を奏する。
【0028】つぎに、面状ヒータ10の消費電力につい
て説明する。図9は面状ヒータ10の消費電力特性の説
明図であって、Ftは面状ヒータ10の温度曲線であっ
て縦軸が温度値、横軸が経過時間であり、Fwは面状ヒ
ータ10の消費電力曲線であって縦軸が消費電力量、横
軸が経過時間である。図12のFtで示すように、面状
ヒータ10のヒータ温度が上昇するにしたがって、面状
ヒータ10の消費電力は減少する。面状ヒータ10のヒ
ータ温度がその設定された上限温度になると、面状ヒー
タ10のヒータ温度はそれ以上上昇しなくなり、一定温
度を維持する。面状ヒータ10のヒータ温度が一定温度
をしている期間では、面状ヒータ10の消費電力も低い
値のまま一定の値を維持する。このため、温度調整器を
付設せずとも、無駄な熱を放散することなく、消費電力
を大幅に節減できるという効果を奏する。
【0029】つぎに、乾燥用ヒータ1から放射される遠
赤外線について説明する。図10は温度55℃におけ
る、乾燥用ヒータ1の遠赤外線特性グラフであって、F
hは乾燥用ヒータ1の特性曲線、Fcは徳島県立工業技
術センターの標準物質の特性曲線である。横軸は波長を
示しており、縦軸はレベルを示している。標準物質と
は、材料の値付けの基準として用いられる素材または物
質で、その特性値が目的を達成するのに十分な程度に確
定されているものをいう。同図に示すように、乾燥用ヒ
ータ1から放射される遠赤外線のレベルは、どの波長に
おいても、標準物質から放射される遠赤外線のレベルに
接近している。とくに、波長が7〜12(μm)の波長
帯Rにおいて、乾燥用ヒータ1は標準物質のレベルに接
近している。この波長帯Rの遠赤外線は植物組織への吸
収性および共振性が高く、この波長帯Rの遠赤外線によ
って乾燥が促進されやすい。つまり、現時点において、
乾燥用ヒータ1は標準物質の能力に限りなく近いもので
ある。
【0030】つぎに、本発明の乾燥食物の第1製造方法
を説明する。上記のごとき構成の乾燥用ヒータ1のヒー
タ温度の上限温度を、食物の乾燥温度が55℃になるよ
うに設定した。図1は本発明の乾燥食物の第1製造方法
の説明図である。本発明の乾燥食物の第1製造方法はハ
ーブ食物や生野菜、生果物、食肉、魚等の食物を乾燥さ
せて乾燥食物を製造する方法である。同図に示すよう
に、本発明の乾燥食物の第1製造方法はまず、乾燥用ヒ
ータ1をその面状ヒータ10を上向きにして置く。この
乾燥用ヒータ1の上に樹脂製のザルなどの容器21を置
く。この容器21の中に、ハーブやねぎ、リンゴなどの
食物P1を入れる。この食物P1は、切り刻んだり、薄
くスライスしておくとよい。なお、容器21は前記ザル
だけでなく、通気性を有するものであれば、シート状の
紙や布などでもよく、この場合、シート状の紙や布の上
に食物P1を直接載せておけばよく、種々のものを採択
しうる。
【0031】しかる後、乾燥用ヒータ1に通電すると、
面状ヒータ10の半導体樹脂15および導電性樹脂16
は発熱し、この発熱により面状ヒータ10の遠赤外線放
射材料14が遠赤外線を放射する。この結果、面状ヒー
タ10は遠赤外線を放射し始めるとともに、面状ヒータ
10のヒータ温度が上昇し始める。他方、面状ヒータ1
0から放射される遠赤外線は、従来のニクロム線の熱伝
導と異なり、放射によって食物P1の温度を直接上昇さ
せる。面状ヒータ10のヒータ温度は上昇を続けるが、
設定された上限温度に達すると、面状ヒータ10の自己
温度制御特性によって、それ以上ヒータ温度が上昇しな
い。以後、面状ヒータ10によって乾燥温度を前記乾燥
適温帯に維持し、食物P1を乾燥させることができる。
このため、本発明の乾燥食物の第1製造方法によって食
物P1の本来の色彩や味や香りを残したまま、乾燥食物
を製造することができるという効果を奏する。
【0032】図2は本発明の乾燥食物の第2製造方法の
説明図である。本発明の乾燥植物の第2製造方法はハー
ブ植物や生野菜、生果物、食肉、魚等の食物を乾燥させ
て乾燥食物を製造する方法である。同図に示すように、
まず、上部が開いており底部に通気孔33が形成された
容器31の内部側壁に、一対の乾燥用ヒータ1、1を互
いに内側に向けて、対向させて配設する。そして、容器
31の上開口部に例えば棒32などで食物P2を吊し
て、乾燥用ヒータ1、1で囲まれた空間に、食物P2を
配置させる。なお、容器31の材料は樹脂、金属、紙な
ど種々の材料を採択しうる。さらになお、乾燥用ヒータ
1、1で囲まれた空間に食物P2を配置させる手段は、
前記棒32に吊しておくだけでなく、種々の手段を採択
しうる。さらになお、図2では一対の乾燥用ヒータ1に
よって、囲われた空間を形成させているが、乾燥用ヒー
タ1の数に限定されるわけではなく、その個数はいくつ
であってもよい。
【0033】しかる後、一対の乾燥用ヒータ1、1に通
電すると、それぞれの面状ヒータ10の半導体樹脂15
および導電性樹脂16は発熱し、この発熱により面状ヒ
ータ10の遠赤外線放射材料14が遠赤外線を放射す
る。この結果、面状ヒータ10は遠赤外線を放射し始め
るとともに、面状ヒータ10のヒータ温度が上昇し始め
る。他方、面状ヒータ10から放射される遠赤外線は、
従来のニクロム線の熱伝導と異なり、放射によって食物
P2の温度を直接上昇させる。面状ヒータ10のヒータ
温度は上昇を続けるが、設定された上限温度に達する
と、面状ヒータ10の自己温度制御特性によって、それ
以上ヒータ温度が上昇しない。以後、面状ヒータ10に
よって乾燥温度を前記乾燥適温帯に維持し、食物P2を
乾燥させることができる。このため、本発明の乾燥食物
の第2製造方法で製造された食物P2は本来の味や香り
を残したまま、乾燥食物を作ることができるという効果
を奏する。しかも、食物P2から蒸散した水分は、通気
孔33から容器31の内部に入ってきた空気に追いやら
れた周囲の暖気とともに上昇して容器31から抜けてい
くので、前述の第1製造方法より効率的に食物P2を乾
燥させることができる。このため、肉厚の食物P2であ
っても、その内部まで乾燥させることができるという効
果を奏する。
【0034】本発明の乾燥食物の第1〜2製造方法によ
って乾燥しうる食物を〈表11〉に列挙する。 <表11> : 原 料 : 代表的食品 農産物 : 穀類 : 米、小麦、麺類等 : いも類 : サツマイモ、ジャガイモ : 豆類 : エンドウ豆、もやし、油あげ : 果物類 : バナナ、プルーン、ゆず皮、すだち皮 : 野菜類 : ネギ、ニンニク、ニンジン、だいこん葉 ほうれんそう、ゴボウ : 種実類 : ごま : その他 : 茶の葉、ペパーミント、ジャスミン、バラ 林産物 : キノコ類: シイタケ、マツタケ、キクラゲ、マイタケ 水産物 : 魚類等 : サンマ、イワシ、アジ、カマス イカ、タコ、エビ : 貝類 : アワビ、ハマグリ、アサリ、サザエ : 海藻類 : ワカメ、コンブ、ひじき、のり、寒天 〈表11〉に示すごとく、種々の植物を乾燥させて乾燥
食物とすることができる。なお、この〈表11〉に列挙
した食物は、単なる例示に過ぎず、〈表11〉以外の食
物であっても被乾燥物となり得ることはいうまでもな
い。
【0035】つぎに、本発明の乾燥食物の第3製造方法
を説明する。本発明の乾燥食物の第3製造方法は、前述
の乾燥食物の第1または2製造方法を行う直前に、予備
乾燥を行うものである。この予備乾燥としては、温風乾
燥などがよく、この予備乾燥によって食物の水分率を効
率よく下げておいてから、引き続き第1または2製造方
法を行う。本発明の乾燥食物の第3製造方法は、前述の
乾燥食物の第1または2製造方法の効果を損うことな
く、より短時間で食物を乾燥させることができるという
効果を奏する。なお、前述の乾燥食物の第1または2の
製造方法を行う直前の予備乾燥は温風乾燥だけでなく、
種々の乾燥方法によって行なってもよい。さらになお、
本発明の乾燥食物の第1または2の製造方法のを行いな
がら、温風乾燥などを併用すれば、より早く効率的に乾
燥させることができるという効果を奏する。
【0036】
【実施例】つぎに、本発明の乾燥食物の第1〜3の製造
方法に基づき、それぞれの方法による実施例を第1〜3
実施例として説明する。第1〜3の実施例はいずれもつ
ぎに示す条件下で実施したものである。面状ヒータ10
は32cm×52cmの面積とし、断熱シート2は6mmの厚
みとし、樹脂フィルム3は軟質塩化ビニールフィルムと
した。電圧はAC 100V、面状ヒータ10のヒータ温度
の上限設定温度は60℃とした。消費電力は安定時で3
0ワットであった。
【0037】本発明の乾燥食物の第1製造方法を用いた
実施例1を説明する。〈表1〉に食物名とその設置量、
および乾燥時間と、乾燥基準を示す。 <表1 実施例1> 食物 設置量 乾燥時間 乾燥の基準 細ネギ 300g 10時間 (水分率15%以下) ニンニク(スライス) 400g 18時間 〃 シイタケ(スライス) 200g 19時間 〃 バナナ(剥き) 650g 130時間 (水分率35%以下) 活小アジ開き6匹 420g 8時間 (重量比15%以上) パセリ(刻み) 200g 8時間 (水分率15%以下) ゆず皮(刻み) 500g 22時間 (水分率15%以下) ペパーミント(葉) 100g 18時間 (水分率15%以下) リンゴ(スライス) 300g 20時間 (水分率15%以下) 油あげ(刻み) 100g 6時間 (水分率15%以下) 活サンマ開き3匹 380g 10時間 (重量比15%以上) 調理済み薄切り牛肉 100g 9時間 (水分率15%以下) この結果、〈表1〉のいずれの食物であっても、その食
物は本来の色彩や味、香りを維持したまま、乾燥食物と
なった。
【0039】本発明の乾燥食物の第2製造方法を用いた
実施例2を説明する。食物は、前記〈表1〉の食物のう
ち代表的なものとした。〈表2〉に食物名と乾燥時間を
示す。 <表2 乾燥時間> 食物 実施例1 実施例2 細ネギ(刻み) 10時間 5時間 ニンニク(スライス) 18時間 10時間 シイタケ(スライス) 19時間 12時間 バナナ(剥き6本) 130時間 80時間 活小アジ開き6匹 8時間 6時間 この結果、〈表2〉のいずれの食物であっても、その食
物は本来の色彩や味、香りを維持したまま、乾燥食物と
なった。しかも、「バナナ」や「活小アジ開き」のよう
な肉厚の食物であっても、その食物は内部の水分率まで
低くなっていた。つまり、食物の表面だけ乾燥して内部
が乾燥していない状態ではなく、表面から内部までどの
部分も乾燥していた。
【0039】本発明の乾燥食物の第3製造方法を用いた
実施例3を説明する。温度40℃の温風を食物に1時間
あてて、予備乾燥を施した後、その食物を本発明の乾燥
食物の第1製造方法により乾燥させた。〈表3〉に食物
名と乾燥時間を示す。 <表3 乾燥時間> 食物 実施例1 実施例3 細ネギ(刻み) 10時間 7時間 ニンニク(スライス) 18時間 15時間 シイタケ(スライス) 19時間 17時間 バナナ(剥き6本) 130時間 120時間 活小アジ開き6匹 8時間 7時間 この結果、〈表3〉のいずれの食物であっても、その食
物は本来の色彩や味、香りを維持したまま、乾燥食物と
なった。しかも、実施例1に比べてより早く効率的に食
物を乾燥できた。
【0040】上記のごとく、本発明の乾燥食物の第1〜
3製造方法は、食物をその本来の色彩や香りや味を維持
したまま乾燥させることができ、温度調整器を付けずと
も乾燥温度を乾燥適温帯に維持することができ、消費電
力を低減できる。
【0041】
【発明の効果】請求項1の乾燥食物の製造方法によれ
ば、食物をその本来の色彩や香りや味を維持したまま乾
燥させることができる。しかも、自己温度制御型の遠赤
外線ヒータのヒータ温度は設定された上限温度以上には
上昇しないので、温度調整器を付けずとも乾燥温度を乾
燥適温帯に維持することができる。また、自動的に異常
高温を避けることができるので火災の恐れはなく安全で
ある。さらに、安価で装置が複雑にならず、余分な電力
を使用しないので消費電力を軽減できる。請求項2の乾
燥食物の製造方法によれば、肉厚の食物であっても、そ
の本来の色彩や香りや味を維持したまま乾燥させること
ができ、しかも、その食物の表面だけでなく内部まで乾
燥できる。請求項3の乾燥食物の製造方法によれば、食
物をその本来の色彩や香りや味を維持したまま乾燥させ
ることができる。請求項4の乾燥食物の製造装置によれ
ば、食物をその本来の色彩や香りや味を維持したまま乾
燥させることができる。しかも、自己温度制御型の遠赤
外線ヒータのヒータ温度は設定された上限温度以上には
上昇しないので、温度調整器を付けずとも乾燥温度を乾
燥適温帯に維持することができる。また、自動的に異常
高温を避けることができるので火災の恐れはなく安全で
ある。さらに、安価で装置が複雑にならず、余分な電力
を使用しないので消費電力を軽減できる。請求項5の乾
燥食物の製造装置によれば、肉厚の食物であっても、そ
の本来の色彩や香りや味を維持したまま乾燥させること
ができ、しかも、その食物の表面だけでなく内部まで乾
燥できる。請求項6の乾燥食物の製造装置によれば、
物をその本来の色彩や香りや味を維持したまま乾燥させ
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の乾燥食物の第1製造方法の使用説明図
である。
【図2】本発明の乾燥食物の第2製造方法の使用説明図
である。
【図3】乾燥用ヒータ1の平面図である。
【図4】図3のIV−IV線断面図である。
【図5】面状ヒータ10の模式図である。
【図6】面状ヒータ10の拡大模式図であって、(A)
は常温時の状態、(B)は高温時の状態である。
【図7】面状ヒータ10の自己温度制御特性の模式図で
ある。
【図8】面状ヒータ10の温度特性の説明図である。
【図9】面状ヒータ10の消費電力特性の説明図であ
る。
【図10】乾燥用ヒータ1および標準物質から放射され
る遠赤外線の特性グラフである。
【図11】従来のサーモスタット制御によるニクロム線
内蔵ヒータにおける表面温度特性の説明図である。
【符号の説明】
1 乾燥用ヒータ P1 食物 P2 食物
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−119885(JP,A) 特開 平4−179466(JP,A) 実開 平4−120591(JP,U) 実開 昭63−167892(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23L 3/36 - 3/54

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】導電性樹脂と、発熱性を有する半導体樹脂
    と、遠赤外線放射材料と、絶縁性樹脂とからなる発熱体
    を有し、温度の上昇によって電気抵抗値が上昇し、上限
    温度に達すると前記電気抵抗値が一定となる自己温度制
    御型の面状の遠赤外線ヒータを用いて、 食物に7〜12μmの波長の遠赤外線を放射し、45〜
    70℃の乾燥温度で該食物を乾燥させることを特徴とす
    る乾燥食物の製造方法。
  2. 【請求項2】導電性樹脂と、発熱性を有する半導体樹脂
    と、遠赤外線放射材料と、絶縁性樹脂とからなる発熱体
    を有し、温度の上昇によって電気抵抗値が上昇し、上限
    温度に達すると前記電気抵抗値が一定となる自己温度制
    御型の面状の遠赤外線ヒータを用いて、肉厚 食物に7〜12μmの波長の遠赤外線を放射し、4
    5〜70℃の乾燥温度で該肉厚食物を乾燥させることを
    特徴とする乾燥食物の製造方法。
  3. 【請求項3】上部が開いており底部に通気孔が形成され
    た容器の内部側壁に、 前記自己温度制御型の遠赤外線ヒータを互いに内側に向
    けて対向させて配設させ、 前記容器の内部に食物を配置させて、該食物を乾燥させ
    ことを特徴とする請求項1または2記載の乾燥食物の
    製造方法。
  4. 【請求項4】導電性樹脂と、発熱性を有する半導体樹脂
    と、遠赤外線放射材料と、絶縁性樹脂とからなる発熱体
    を有し、温度の上昇によって電気抵抗値が上昇し、上限
    温度に達すると前記電気抵抗値が一定となる自己温度制
    御型の面状の遠赤外線ヒータであって、 食物に7〜12μmの波長の遠赤外線を放射し、45〜
    70℃の乾燥温度で 該食物を乾燥させることを特徴とす
    る乾燥食物の製造装置
  5. 【請求項5】導電性樹脂と、発熱性を有する半導体樹脂
    と、遠赤外線放射材料と、絶縁性樹脂とからなる発熱体
    を有し、温度の上昇によって電気抵抗値が上昇し、上限
    温度に達すると前記電気抵抗値が一定となる自己温度制
    御型の面状の遠赤外線ヒータであって、 肉厚食物に7〜12μmの波長の遠赤外線を放射し、4
    5〜70℃の乾燥温度で該肉厚食物を 乾燥させることを
    特徴とする乾燥食物の製造装置
  6. 【請求項6】上部が開いており底部に通気孔が形成され
    た容器の内部側壁に、 請求項4または5の自己温度制御型の遠赤外線ヒータを
    互いに内側に向けて対向させて配設させ、 前記容器の内部に食物を配置させて、該食物を 乾燥させ
    ることを特徴とする乾燥食物の製造装置
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