JP2003055501A - セルロースアシレート溶液、およびセルロースアシレートフイルムの製造方法 - Google Patents
セルロースアシレート溶液、およびセルロースアシレートフイルムの製造方法Info
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Abstract
しつつ、フイルムの製造における剥離性を改良し、フイ
ルム面状を改良する。 【解決手段】 セルロースアシレートを実質的に非塩素
系溶剤から構成される溶剤に溶解したセルロースアシレ
ート溶液であって、水溶液中での酸解離指数pKaが
1.93〜4.50である多塩基酸の部分エステル体、
そのアルカリ金属塩およびそのアルカリ土類金属塩から
選ばれる添加剤を含有することを特徴とするセルロース
アシレート溶液からフイルムを形成する。
Description
ートフイルム溶液、およびセルロースアシレートフイル
ムの製造方法に関する。
強靭性と難燃性から各種の写真材料や光学材料に用いら
れている。セルロースアシレートフイルムは、代表的な
写真感光材料の支持体である。また、セルロースアシレ
ートフイルムは、その光学的等方性から、近年市場の拡
大している液晶表示装置にも用いられている。液晶表示
装置における具体的な用途としては、偏光板の保護フイ
ルムおよびカラーフィルターが代表的である。
ソルベントキャスト法またはメルトキャスト法により製
造する。ソルベントキャスト法では、セルロースアシレ
ートを溶媒中に溶解した溶液(ドープ)を支持体上に流
延し、溶媒を蒸発させてフイルムを形成する。メルトキ
ャスト法では、セルロースアシレートを加熱により溶融
したものを支持体上に流延し、冷却してフイルムを形成
する。ソルベントキャスト法の方が、メルトキャスト法
よりも平面性の高い良好なフイルムを製造することがで
きる。このため、実用的には、ソルベントキャスト法の
方が普通に採用されている。ソルベントキャスト法につ
いては、多くの文献に記載がある。最近のソルベントキ
ャスト法では、ドープを支持体上へ流延してから、支持
体上の成形フイルムを剥離するまでに要する時間を短縮
して、製膜工程の生産性を向上させることが課題になっ
ている。例えば、特公平5−17844号公報には、高
濃度ドープを冷却ドラム上に流延することにより、流延
後、剥ぎ取りまでの時間を短縮することが提案されてい
る。
にセルロースアシレートを溶解することだけでなく、様
々な条件が要求される。平面性に優れ、厚みの均一なフ
イルムを、経済的に効率よく製造するためには、適度な
粘度とポリマー濃度を有する保存安定性に優れた溶液
(ドープ)を調製する必要がある。ドープについては、
ゲル化が容易であることや支持体からの剥離が容易であ
ることも要求される。そのようなドープを調製するため
は、溶媒の種類の選択が極めて重要である。溶媒につい
ては、蒸発が容易で、フイルム中の残留量が少ないこと
も要求される。セルロースアシレートの溶媒として様々
な有機溶媒が提案されている。実用化されている有機溶
媒としては実質的にはメチレンクロリドに限定される
が、メチレンクロリドはその環境適性、沸点等の問題を
有しており、その代替となるような溶媒の探索が行なわ
れている。
ol,chem.,143巻、105頁(1971年))においては、置換度が
2.80乃至2.90の範囲にあるセルロースアシレー
トを、アセトン中で−80℃から−70℃に冷却した
後、加温することにより、アセトン中にセルロースアシ
レートが0.5乃至5質量%に溶解している希薄溶液が
得られたことを報告している(ただし、ここでのアシル
基はアセチル基に限定されている)。以下、このよう
に、セルロースアシレートと有機溶媒との混合物を冷却
して、溶液を得る方法を「冷却溶解法」と称する。ま
た、セルロースアシレートのアセトン中への溶解につい
ては、上出健二他の論文「三酢酸セルロースのアセトン
溶液からの乾式紡糸」、繊維機械学会誌、34巻、57
頁(1981年)にも記載がある。この論文は、その標
題のように、冷却溶解法を紡糸方法の技術分野に適用し
たものである。論文では、得られる繊維の力学的性質、
染色性や繊維の断面形状に留意しながら、冷却溶解法を
検討している。この論文では、繊維の紡糸のために10
乃至25質量%の濃度を有するセルロースアセテートの
溶液を用いている。また、上記冷却溶解以外にも、混合
物を高温、高圧条件下で溶解させる「高温溶解法」が提
案されている。
セルロースアシレート溶液(ドープ)を金属支持体上に
流延し、支持体からフイルムを剥離、乾燥する流延法に
おいては、得られたセルロースアシレートフイルムの面
状が良好でなかったり、透明性等の光学物性が良好でな
いことが多々あった。また、金属支持体からの剥離抵抗
が高く、フイルムが一部金属支持体に残存してしまうこ
とがあった。
安定性にすぐれ、実用可能なドープ濃度領域において金
属支持体からの剥離性の点で問題のないセルロースアシ
レート溶液を提供することである。さらにまた本発明の
目的は、面状、光学特性、更には膜強度に優れたセルロ
ースアシレートフイルムを製造することでもある。
記の(1)〜(14)の方法を実施することで達成でき
る。 (1)セルロースアシレートを、実質的に非塩素系溶剤
から構成される溶剤に溶解したセルロースアシレート溶
液であって、水溶液中での酸解離指数pKaが1.93
乃至4.50である多塩基酸の部分エステル体、そのア
ルカリ金属塩、およびそのアルカリ土類金属塩から選ば
れる添加剤を含有することを特徴とするセルロースアシ
レート溶液。 (2)該添加剤が、複数の多塩基酸の部分エステル体、
そのアルカリ金属塩、およびそのアルカリ土類金属塩か
ら選ばれる化合物の混合物からなることを特徴とする
(1)に記載のセルロースアシレート溶液。 (3)該添加剤の添加量が、セルロースアシレート1g
当たり、1×10-9〜3×10-5モルの範囲にあること
を特徴とする(1)もしくは(2)に記載のセルロース
アシレート溶液。
酒石酸、クエン酸、コハク酸、グルタル酸の部分エステ
ル体、そのアルカリ金属塩、およびそのアルカリ土類金
属塩から選ばれる添加物、およびこれらの混合物である
ことを特徴とする(1)乃至(3)のうちのいずれかに
記載のセルロースアシレート溶液。 (5)該非塩素系溶剤が、少なくとも溶解度パラメータ
が19乃至21のケトン類と溶解度パラメータ19乃至
21エステル類の混合溶剤からなることを特徴とする
(1)乃至(4)のうちのいずれかに記載のセルロース
アシレート溶液。 (6)該非塩素系溶剤が、全溶剤に対して2乃至30質
量%のアルコールを含有する(1)乃至(5)のうちの
いずれかに記載のセルロースアシレート溶液。
換度の合計が、2.75以上2.90以下であり、かつ
6位のアシル置換度が0.90以上であるセルロースア
シレートから実質的に構成されている(1)乃至(6)
のうちのいずれかに記載のセルロースアシレート溶液。 (8)平均粒子径が0.1μm以下のシリカ粒子、可塑
剤、および紫外線吸収剤が添加されたことを特徴とする
(1)乃至(7)のうちのいずれかに記載のセルロース
アシレート溶液。 (9)溶剤とセルロースアシレートの混合物を、−80
乃至−10℃、又は80乃至220℃の温度に曝して溶
解することを特徴とする(1)乃至(8)のうちのいず
れかに記載のセルロースアシレート溶液の製造方法。
かに記載のセルロースアシレート溶液を支持体上に塗布
して、セルロースアシレートフイルムを形成することを
特徴とするセルロースアシレートフイルムの製造方法。 (11)共流延法により二層以上の層を流延製膜するこ
とを特徴とする(10)に記載のセルロースアシレート
フイルムの製造方法。 (12)セルロースアシレートフイルムが二層以上の多
層構造を有し、該セルロースアシレートフイルムの少な
くとも一方の側の外部層の厚さが1乃至50μmの範囲
にあることを特徴とする(11)に記載のセルロースア
シレートフイルムの製造方法。 (13)金属支持体と接する層の溶液にのみ該添加剤を
添加することを特徴とする(11)もしくは(12)に
記載のセルロースアシレートフイルムの製造方法。 (14)(10)乃至(13)のうちのいずれかに記載
の製造方法により得たセルロースアシレートフイルムか
ら形成されたことを特徴とする偏光板保護膜。
ロースアシレート原料綿については、発明協会公開技報
2001−1745,7頁右段の26行目以降に記載の
「4.セルロースアシレート原料綿」に関する記載事項
を用いることができる。
な原理は、右田他、木材化学180〜190頁(共立出
版、1968年)に記載されている。代表的な合成方法
は、無水酢酸−酢酸−硫酸触媒による液相酢化法であ
る。具体的には、木材パルプ等のセルロース原料を適当
量の有機酸で前処理した後、予め冷却したアシル化混液
に投入してエステル化し、完全セルロースアシレート
(2位、3位および6位のアシル置換度の合計が、ほぼ
3.00)を合成する。上記アシル化混液は、一般に、
溶媒としての有機酸、エステル化剤としての無水有機酸
および触媒としての硫酸を含む。無水有機酸は、これと
反応するセルロースおよび系内に存在する水分の合計よ
りも、化学量論的に過剰量で使用することが普通であ
る。アシル化反応終了後に、系内に残存している過剰の
無水有機酸の加水分解およびエステル化触媒の一部の中
和のために、中和剤(例えば、カルシウム、マグネシウ
ム、鉄、アルミニウムまたは亜鉛の炭酸塩、酢酸塩また
は酸化物)の水溶液を添加する。次に、得られた完全セ
ルロースアシレートを少量の酢化反応触媒(一般には、
残存する硫酸)の存在下で、50〜90℃に保つことに
より、ケン化熟成し、所望のアシル置換度および重合度
を有するセルロースアシレートまで変化させる。所望の
セルロースアシレートが得られた時点で、系内に残存し
ている触媒を前記のような中和剤を用いて完全に中和す
るか、あるいは、中和することなく、水または希硫酸中
にセルロースアシレート溶液を投入(あるいは、セルロ
ースアシレート溶液中に、水または希硫酸を投入)して
セルロースアシレートを分離し、洗浄および安定化処理
によりセルロースアシレートを得る。
セルロースアシレートフイルムを製造することが好まし
く、セルロースアシレートドープを用いてフイルムは製
造される。用いられる有機溶媒は特に限定されないが、
ケトン類、エステル類を混合したものであり、その溶解
度パラメータは19乃至21の溶剤が好ましく用いられ
る。これらのエステル類、ケトン類は環状構造を有して
いてもよく、2種類以上の官能基を有するものでもよ
い。
載する。溶解度パラメータは、液体のモル蒸発熱をΔ
H、モル体積をVとするとき(ΔH/V)1/2 で定義さ
れる量であり、溶解度は両者の溶解度パラメータの差が
小さいほど大きくなる。溶解度パラメータについて記載
された書籍は多数あるが、例えばJ.Brandru
p,E.Hらの文献( Polymer Handbook(fourth editi
on),VII/671〜VII/714)に詳細に記載されている。
チル、蟻酸プロピル、酢酸メチル、酢酸エチル等が挙げ
られる。このうち酢酸メチルが特に好ましい。ケトン類
の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケ
トン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シ
クロヘキサノン等が挙げられる。このうちアセトン、シ
クロペンタノン、シクロヘキサノンが特に好ましい。
有機溶媒は塩素系溶剤を実質的に含まないものであるこ
とが好ましい。「実質的に含まない」とは、有機溶媒中
の塩素系溶剤の割合が10質量%未満であり、好ましく
は5質量%未満、より好ましくは3質量%未満であるこ
とを意味する。また、製造したセルロースアシレートフ
イルムから、メチレンクロリドのような塩素系溶剤が全
く検出されないことが好ましい。
エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1
−ブタノール、2−ブタノール、シクロヘキサノール、
2−フルオロエタノール、2,2,2−トリフルオロエ
タノールなどが挙げられる。このうち特に好ましいのは
メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロ
パノール、1−ブタノールである。
0〜95質量%、好ましくは50〜80質量%であり、
ケトン類は全溶剤の5〜50質量%、好ましくは10〜
40質量%であることが好ましい。更にケトン類および
エステル類が全溶媒の70質量%以上であることが好ま
しい。また、アルコール類は全溶剤の2〜30質量%含
まれることが好ましい。
せの具体例は、発明協会公開技報2001−1745,
15頁右段の1行目から16頁左段の8行目に記載のも
のを挙げることができる。但し、上述の通り塩素系溶剤
は原則含まれないものを選ぶことが必要である。
いて記載する。セルロースを構成するβ−1,4結合し
ているグルコース単位は、2位、3位および6位に遊離
の水酸基を有しており、セルロースアシレートは、これ
らの水酸基の一部または全部を酢酸によりエステル化し
たポリマーである。アシル置換度は、2位、3位および
6位のそれぞれについて、セルロースがエステル化して
いる割合(100%のエステル化は、1.00)を意味
する。本発明で用いるセルロースアシレートは、その置
換度に関しては限定されないが、全アシル置換度の合計
が2.75以上2.90以下であり、かつ6位のアシル
置換度が0.90以上であるセルロースアシレートを好
ましく用いることができる。
合、フイルムが吸湿しやすくなり、加水分解を受けやす
くなるためフイルムの耐久性が低下する。また、湿度等
による寸法変化も大きくなる。逆に、2.90以上であ
るとセルロースアシレートの有機性が上がるため溶媒と
の親和性が増大し、ドープの粘度が上昇してしまう。従
って、全アシル置換度の合計は、2.75以上、2.9
0であることが好ましい。
基と異なり一級水酸基であるため、水酸基の水素結合が
極めて起こりやすいことがわかってきた。従って6位の
アシル置換度を090以上とすることにより、溶剤への
溶解性は著しく向上し、粘度が低下するために流延適性
上好ましいドープを得ることが可能となる。6位のアシ
ル置換度の範囲は、合成適正等を考慮すると、0.90
以上0.99以下が好ましく、0.92以上0.98以
下がさらに好ましい。また、6位のアシル置換度が0.
90以上のセルロースアシレートは膜強度の観点からア
シル置換基の炭素数は小さい方が望ましく、全てアセチ
ル基であるほうが好ましい。なお、特開平11−585
1号公報には、全アセチル置換基の合計が2.67以上
であり、2位、3位のアセチル置換基の合計が1.97
以下のセルロースアセテートが記載されているが、これ
はフイルムの光学適性からは好ましい範囲を記載したも
のであり、流延適性、面状、膜強度等の観点では本明細
書に記載の範囲の方がより好ましい。
は、室温下でタンク中の溶剤を撹拌しながら上記セルロ
ースアシレートを添加することでまず溶剤への膨潤を行
う。膨潤時間は最低10分以上が必要であり、10分以
下では不溶解物が残存する。また、セルロースアシレー
トを十分膨潤させるためには溶剤の温度は、0から40
℃が好ましい。0℃以下では膨潤速度が低下し不溶解物
が残存する傾向にあり、40℃以上では膨潤が急激に起
こるために中心部分が十分膨潤しない。膨潤工程の後に
セルロースアシレートを溶解するには、冷却溶解法、高
温溶解法のいずれか、あるいは両方を用いることが好ま
しい。
方法としては、発明協会公開技報2001−1745,
24頁左段の15行目から25頁左段の9行目の(冷却
溶解法)、(高温溶解法)に記載のものを挙げることが
できる。
スアシレートは、場合により、更に溶解し易くするため
に低い濃度で溶解してから、しかる後に濃縮手段を用い
て濃縮してもよい。具体的な方法としては、発明協会公
開技報2001−1745,25頁左段の10行目から
同28行目の(溶液濃縮)に記載のものを挙げることが
できる。
の適当な濾材を用いて、未溶解物やゴミ、不純物などの
異物を濾過除去しておくのが好ましい具体的な方法とし
ては、発明協会公開技報2001−1745,25頁左
段の29行目から右段の33行目の(ろ過)に記載のも
のを挙げることができる。
程において用途に応じた種々の添加剤を加えることがで
きる。添加剤の例としては、可塑剤、紫外線防止剤や劣
化防止剤(例、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル
禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン)、微粒子
等が挙げられる。具体的には、発明協会公開技報200
1−1745,16頁左段の28行目から20頁左段の
33行目までに記載のものを挙げることができる。
す。本発明のセルロースアシレートフイルムを形成する
にあたり、該セルロースアシレート溶液を流延する前に
添加剤を少なくとも一種添加する。剥離剤としては水溶
液中での酸解離指数pKaが1.93〜4.50である
多塩基酸の部分エステル体、そのアルカリ金属塩、およ
びそのアルカリ土類金属塩から選ばれる化合物であるこ
とが必要である。「部分エステル」とは、多塩基酸の酸
の一部がエステル化されたものを意味し、例えばクエン
酸の場合、クエン酸モノエステル体およびクエン酸ジエ
ステル体を表す。本発明者らは、剥離剤として種々の酸
(例えば、シュウ酸、コハク酸、クエン酸等)を用いて
きたが、これらの酸はアルカリ金属塩、アルカリ土類金
属塩を形成すると溶液中での析出が起こることがあり本
発明に至ったものである。
Kaとともに示すが、使用可能な剥離剤はこれに限定さ
れない。例えば、脂肪族多価カルボン酸[マロン酸モノ
エチル(2.65)およびモノメチル(2.65)、コ
ハク酸モノプロピル(4.00)、グルタル酸モノメチ
ル(4.13)、アジピン酸モノメチル(4.26)、
ピメリン酸モノエチル(4.31)、アゼライン酸モノ
メチル(4.39)、フマル酸モノブチル(2.85)
など]、オキシカルボン酸[酒石酸モノエチル(2.8
9)およびジエチル(2.82−2.99)、クエン酸
モノエチル(2.87)、クエン酸メチルエチルエステ
ル(2.87)など]、芳香族多価カルボン酸[フタル
酸モノエチル(2.75)、イソフタル酸モノプロピル
(3.50)、テレフタル酸モノブチル(3.54)な
ど]、複素環式多価カルボン酸[2,6−ピリジンジカ
ルボン酸モノエチル(2.09)など]、アミノ酸類
[グルタミン酸モノエチル(2.18)など]を挙げる
ことができる。
系素材を併用することにより剥離性の改良が期待でき
る。これらはその溶解性の観点から界面活性剤の形であ
ることが好ましい。具体的には特開昭61−24383
7号公報に記載された素材を好適に用いることができ
る。具体例としては、C12H25O−P(=O)−(O
K) 2 、C12H25OCH2 CH2 O−P(=O)−(O
K)2 、(iso−C9 H19)2 −C6 H3 −O−(C
H2 CH2 O)3 −(CH2 )4 SO3 Naがある。
リ金属塩又はアルカリ土類金属塩として用いてもよい。
アルカリ金属としては、リチウム、カリウム、ナトリウ
ムなどが例示でき、アルカリ土類金属としては、カルシ
ウム、マグネシウム、バリウム、ストロンチウムなどが
例示できる。好ましいアルカリ金属には、ナトリウムが
含まれ、好ましいアルカリ土類金属には、カルシウム、
マグネシウムが含まれる。但し、アルカリ金属の方が、
アルカリ土類金属よりもより好ましい。これらのアルカ
リ金属、アルカリ土類金属はそれぞれ単独で又は二種以
上組み合わせて使用でき、アルカリ金属とアルカリ土類
金属とを併用してもよい。
離性,透明性などを損なわない範囲、例えば、セルロー
スアシレート1g当たり、1×10-9〜3×10-5モ
ル、好ましくは1×10-8〜2×10-5モル(例えば、
5×10-7〜1.5×10-5モル)、さらに好ましくは
1×10-7〜1×10-5モル(例えば、5×10-6〜8
×10-6モル)程度の範囲から選択でき、通常、5×1
0-7〜5×10-6モル(例えば、6×10-7〜3×10
-6モル)程度である。
たフイルムの製造方法について述べる。セルロースアシ
レートフイルムを製造する方法及び設備は、従来セルロ
ーストリアセテートフイルム製造に供する溶液流延製膜
方法及び溶液流延製膜装置が用いられる。溶解タンク
(釜)から調製されたドープ(セルロースアシレート溶
液)をストックタンクで一旦貯蔵し、ドープに含まれて
いる泡を脱泡したり最終調製をする。ドープをドープ排
出口から、例えば回転数によって高精度に定量送液でき
る加圧型定量ギヤポンプを通して加圧型ダイに送り、ド
ープを加圧型ダイの口金(スリット)からエンドレスに
走行している流延部の金属支持体の上に均一に流延さ
れ、金属支持体がほぼ一周した剥離点で、生乾きのドー
プ膜(ウェブとも呼ぶ)を金属支持体から剥離する。得
られるウェブの両端をクリップで挟み、幅保持しながら
テンターで搬送して乾燥し、続いて乾燥装置のロール群
で搬送し乾燥を終了して巻き取り機で所定の長さに巻き
取る。テンターとロール群の乾燥装置との組み合わせは
その目的により変わる。ハロゲン化銀写真感光材料や電
子ディスプレイ用機能性保護膜に用いる溶液流延製膜方
法においては、溶液流延製膜装置の他に、下引層、帯電
防止層、ハレーション防止層、保護層等のフイルムへの
表面加工のために、塗布装置が付加されることが多い。
溶液を、金属支持体としての平滑なバンド上或いはドラ
ム上に2層以上の複数のセルロースアシレート液を共流
延する。例えば、複数のセルロースアシレート溶液を流
延する場合、金属支持体の進行方向に間隔を置いて設け
た複数の流延口からセルロースアシレートを含む溶液を
それぞれ流延させて積層させながらフイルムを作製して
もよく、例えば特開平11−198285号公報などに
記載の方法が適応できる。また、2つの流延口からセル
ロースアシレート溶液を流延することによってフイルム
化する方法が挙げられ、特開平6−134933号公報
に記載の方法で実施できる。また、特開昭56−162
617号公報に記載の高粘度セルロースアシレート溶液
の流れを低粘度のセルロースアシレート溶液で包み込
み、その高、低粘度のセルロースアシレート溶液を同時
に押出す流延方法でもよい。このような共流延を行なう
ことにより、前述の様に表面の乾燥における平滑化が進
行するため、面状の大幅な改良が期待できる。共流延の
場合、各層の厚さは特に限定されないが、好ましくは外
部層が内部層より薄いことが好ましい。その際の外部層
の膜厚は、1〜50μmであることが好ましく、特に好
ましくは1〜30μmである。ここで、外部層とは、2
層の場合はバンド面(ドラム面)ではない面、3層以上
の場合は完成したフイルムの両表面側の層を示す。内部
層とは、2層の場合はバンド面(ドラム面)。3層以上
の場合は外部層より内側に有る層を示す。さらに本発明
のセルロースアシレート溶液は、他の機能層(例えば、
接着層、染料層、帯電防止層、アンチハレーション層、
UV吸収層、偏光層など)を同時に流延することも実施
しうる。
製造に係わる金属支持体上におけるドープの乾燥は、乾
燥工程における乾燥温度は30〜250℃、特に40〜
180℃が好ましく、特公平5−17844号公報に記
載がある。更には、積極的に幅方向に延伸する方法もあ
り、本発明では、例えば、特開昭62−115035
号、特開平4−152125号、同4−284211
号、同4−298310号、および同11−48271
号の各公報などに記載されている。フイルムの延伸は、
一軸延伸でもよく二軸延伸でもよい。フイルムの延伸倍
率(元の長さに対する延伸による増加分の比率)は、1
0〜30%であることが好ましい。
厚さは、使用目的によって異なるが、通常5〜500μ
mの範囲であり、更に20〜250μmの範囲が好まし
く、特に30〜180μmの範囲が最も好ましい。な
お、光学用途としては30〜110μmの範囲が特に好
ましい。フイルム厚さの調製は、所望の厚さになるよう
に、ドープ中に含まれる固形分濃度、ダイの口金のスリ
ット間隙、ダイからの押し出し圧力、金属支持体速度等
を調節すればよい。
フイルムの表面処理を行うことによって、セルロースア
シレートフイルムと各機能層(例えば、下塗層およびバ
ック層)との接着の向上を達成することができる。具体
的には発明協会公開技報2001−1745,32頁左
段の16行目から32頁右段の42行目に記載のものを
あげることができる。
イルムの少なくとも一層に帯電防止層を設けたり、偏光
子と接着するための親水性バインダー層が設けられるこ
とが好ましい。具体的には、発明協会公開技報2001
−1745,32頁右段の下から12行目から45頁左
段の下から3行目に記載の層を設けることができる。
ースアシレートフイルムは、様々な用途で用いることが
できる。具体的には、発明協会公開技報2001−17
45,45頁右段の下から5行目以降に記載されている
「14.用途」の項目を挙げることができる。
溶液およびフイルムの化学的性質および物理的性質は、
以下のように測定および算出した。
(%) 酢化度はケン化法により測定した。乾燥したセルロース
アシレートを精秤し、アセトンとジメチルスルホキシド
との混合溶媒(容量比4:1)に溶解した後、所定量の
1N−水酸化ナトリウム水溶液を添加し、25℃で2時
間ケン化した。フェノールフタレインを指示薬として添
加し、1N−硫酸(濃度ファクター:F)で過剰の水酸
化ナトリウムを滴定した。また、上記と同様の方法によ
り、ブランクテストを行った。そして、下記式に従って
酢化度(%)を算出した。 酢化度(%)=(6.005×(B−A)×F)/W 式中、Aは試料の滴定に要した1N−硫酸量(ml)、
Bはブランクテストに要した1N−硫酸量(ml)、F
は1N−硫酸のファクター、Wは試料質量を示す。尚、
複数のアシル基を含有する系では、そのpKaの差を使
って、各アシル基の量を求めた。また、T.Sei、
K.Ishitani、R.Suzuki、およびK.
Ikematsuの文献( Polymer Journal 17,1065(1
985))に記載の方法によっても同様に求めた。さらに、
これらにより求められた酢化度、その他のアシル基の量
からモル分子量を考慮して置換度に換算した。さらに、
セルロースアシレートの2位、3位および6位のアシル
置換度は、セルロースアセテートをアシル化に用いてい
ないアシル基でアシル化処理した後、手塚他の文献(Ca
rbohydr. Res. 273(1995)83-91)に記載の方法で13C−
NMRにより求めた。
合度(DP) 絶乾したセルロースアシレート約0.2gを精秤し、メ
チレンクロリド:エタノール=9:1(質量比)の混合
溶剤100mlに溶解した。これをオストワルド粘度計
にて25℃で落下秒数を測定し、重合度を以下の式によ
り求めた。 ηrel =T/T0 T :測定試料の落下秒数 [η]=(1nηrel )/C T0:溶剤単独の落下秒数 DP=[η]/Km C :濃度(g/l) Km:6×10-4
た。 A:フイルム表面は平滑であり、きわめて面状が良好で
ある。 B:フイルム表面は平滑であるが、まれに凹凸が認めら
れる。 C:フイルム表面は平滑であるが、弱い凹凸が比較的多
数見られる。 D:フイルム全面に弱い凹凸が認められる。 E:フイルムに強い凹凸が見られ、異物が見られる。
用いて測定した。
3/2−1983の規格に従い、引裂に要した引裂荷重
を求めた。
て流延し、室温で5分乾燥後、フイルムをガラス板から
剥ぎ取った。剥離性については、○:簡単に剥離可能、
△:剥離時に若干の荷重が必要、×:フイルム変形程度
まで荷重をかけないと剥離不能、の3段階で評価した。
尚、共流延のサンプルについては金属支持体に接する溶
液のみを評価した。
製 下記の2種の溶解方法にてセルロースアシレート溶液を
作製した。各本発明および比較例の詳細な溶剤組成につ
いては第1表に記載した。なお、シリカ粒子(粒径20
nm)、トリフェニルフォスフェート/ビフェニルジフ
ェニルフォスフェート(1/2)、2,4−ビス−(n
−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ
−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジンを
それぞれセルロースアシレートの0.5質量%、10質
量%、1.0質量%添加した。また、剥離剤として第1
表に記載の素材を添加した。。尚、本発明における共流
延の内部層、外部層を形成する液としては上記セルロー
スアシレート溶液を濃度および溶剤を変えて用いた。詳
細は第1表に合わせて示した。
記載) 溶剤中に、よく攪拌しつつ第1表記載のセルロースアシ
レートを徐々に添加し、室温(25℃)にて3時間放置
し膨潤させた。得られた膨潤混合物をゆっくり撹拌しな
がら、−8℃/分で−30℃まで冷却、その後第1表記
載の温度まで冷却し6時間経過した後、+8℃/分で昇
温し内容物のゾル化がある程度進んだ段階で、内容物の
撹拌を開始した。50℃まで加温しドープを得た。 (1−1b)高圧高温溶解(第1表に「高温」と記載) 溶剤中に、よく攪拌しつつ第1表記載のセルロースアシ
レートを徐々に添加し、室温(25℃)にて3時間放置
し膨潤させた。得られた膨潤混合物を、二重構造のステ
ンレス製密閉容器に入れた。容器の外側のジャケットに
高圧水蒸気を通すことで+8℃/分で加温し1MPa
下、第1表記載の温度で5分間保持した。この後、外側
のジャケットに50℃の水を通し−8℃/分で50℃ま
で冷却し、ドープを得た。
過 次に得られたドープを50℃にて、絶対濾過精度0.0
1mmの濾紙(東洋濾紙(株)製、#63)で濾過し、
さらに絶対濾過精度0.0025mmの濾紙(ポール社
製、FH025)にて濾過した。
の作製 (1−2)の溶液を、特開昭56−162617号公報
に記載の流延機を用いて流延し、120℃の環境下で3
0分乾燥して溶剤を蒸発させてセルロースアシレートフ
イルムを得た。層構成は本発明においては二層または三
層であり、二層ではバンド面から内部層/外部層の構
成、三層では外部層/内部層/外部層のサンドイッチ型
構成であった。詳細は第1表に示した。
上述の項目に従って評価した。本発明のセルロースアシ
レート溶液およびフイルムは、その溶液安定性、フイル
ムの機械物性、光学物性において特に問題は認められな
かった。一方、比較例1、3ではフイルム剥ぎ取りが不
能であり得られたフイルムの面状、特に凹凸に問題が認
められ、比較例2、4では剥離性は良好であるものの液
中への添加剤の析出が起こりフイルムの面状(透明性)
に問題があった。
乾燥工程中にオンラインで、あるいはその後オフライン
で130℃にて10%〜30%MD、TD延伸延伸し
た。これらは、延伸倍率に比例し40nm〜160nm
にレターデーションを増加させることができた。このよ
うにして得たセルロースアシレートフイルムを、特開平
10−48420号公報の実施例1に記載の液晶表示装
置、特開平9−26572号公報の実施例1に記載のデ
ィスコティック液晶分子を含む光学的異方性層、ポリビ
ニルアルコールを塗布した配向膜、特開2000−15
4261号公報の図2〜9に記載のVA型液晶表示装
置、特開2000−154261号公報の図10〜15
に記載のOCB型液晶表示装置に用いたところ良好な性
能が得られた。さらに、特開昭54−016575号公
報に記載の偏光板として用いたところ、良好な性能が得
られた。
系溶剤から構成される溶剤に溶解したセルロースアシレ
ート溶液であって、水溶液中での酸解離指数pKaが
1.93〜4.50である多塩基酸の部分エステル体、
そのアルカリ金属塩およびそのアルカリ土類金属塩から
選ばれる添加剤を含有することを特徴とするセルロース
アシレート溶液により、フイルムの剥離性、面状を改良
すると共に機械特性等で問題のないセルロースアシレー
トフイルムの製造方法を達成した。
Claims (14)
- 【請求項1】 セルロースアシレートを、実質的に非塩
素系溶剤から構成される溶剤に溶解したセルロースアシ
レート溶液であって、水溶液中での酸解離指数pKaが
1.93乃至4.50である多塩基酸の部分エステル
体、そのアルカリ金属塩、およびそのアルカリ土類金属
塩から選ばれる添加剤を含有することを特徴とするセル
ロースアシレート溶液。 - 【請求項2】 該添加剤が、複数の多塩基酸の部分エス
テル体、そのアルカリ金属塩、およびそのアルカリ土類
金属塩から選ばれる化合物の混合物からなることを特徴
とする請求項1に記載のセルロースアシレート溶液。 - 【請求項3】 該添加剤の添加量が、セルロースアシレ
ート1g当たり、1×10-9〜3×10-5モルの範囲に
あることを特徴とする請求項1もしくは2に記載のセル
ロースアシレート溶液。 - 【請求項4】 該添加剤が、シュウ酸、マロン酸、酒石
酸、クエン酸、コハク酸、グルタル酸の部分エステル
体、そのアルカリ金属塩、およびそのアルカリ土類金属
塩から選ばれる添加物、およびこれらの混合物であるこ
とを特徴とする請求項1乃至3のうちのいずれかの項に
記載のセルロースアシレート溶液。 - 【請求項5】 該非塩素系溶剤が、少なくとも溶解度パ
ラメータが19乃至21のケトン類と溶解度パラメータ
19乃至21エステル類の混合溶剤からなることを特徴
とする請求項1乃至4のうちのいずれかの項に記載のセ
ルロースアシレート溶液。 - 【請求項6】 該非塩素系溶剤が、全溶剤に対して2乃
至30質量%のアルコールを含有する請求項1乃至5の
うちのいずれかの項に記載のセルロースアシレート溶
液。 - 【請求項7】 セルロースアシレートの全アシル置換度
の合計が、2.75以上2.90以下であり、かつ6位
のアシル置換度が0.90以上であるセルロースアシレ
ートから実質的に構成されている請求項1乃至6のうち
のいずれかの項に記載のセルロースアシレート溶液。 - 【請求項8】 平均粒子径が0.1μm以下のシリカ粒
子、可塑剤、および紫外線吸収剤が添加されたことを特
徴とする請求項1乃至7のうちのいずれかの項に記載の
セルロースアシレート溶液。 - 【請求項9】 溶剤とセルロースアシレートの混合物
を、−80乃至−10℃、又は80乃至220℃の温度
に曝して溶解することを特徴とする請求項1乃至8のう
ちのいずれかの項に記載のセルロースアシレート溶液の
製造方法。 - 【請求項10】 請求項1乃至9のうちのいずれかの項
に記載のセルロースアシレート溶液を支持体上に塗布し
て、セルロースアシレートフイルムを形成することを特
徴とするセルロースアシレートフイルムの製造方法。 - 【請求項11】 共流延法により二層以上の層を流延製
膜することを特徴とする請求項10に記載のセルロース
アシレートフイルムの製造方法。 - 【請求項12】 セルロースアシレートフイルムが二層
以上の多層構造を有し、該セルロースアシレートフイル
ムの少なくとも一方の側の外部層の厚さが1乃至50μ
mの範囲にあることを特徴とする請求項11に記載のセ
ルロースアシレートフイルムの製造方法。 - 【請求項13】 金属支持体と接する層の溶液にのみ該
添加剤を添加することを特徴とする請求項11もしくは
12に記載のセルロースアシレートフイルムの製造方
法。 - 【請求項14】 請求項10乃至13のうちのいずれか
の項に記載の製造方法により得たセルロースアシレート
フイルムから形成されたことを特徴とする偏光板保護
膜。
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JP2009157162A (ja) * | 2007-12-27 | 2009-07-16 | Konica Minolta Opto Inc | 光学フィルム、光学フィルムの製造方法、それを用いた偏光板、及び液晶表示装置 |
JP2009160796A (ja) * | 2007-12-29 | 2009-07-23 | Konica Minolta Opto Inc | 光学フィルム、その製造方法、光学フィルムを用いた偏光板、及び表示装置 |
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- 2001-08-15 JP JP2001246403A patent/JP4636744B2/ja not_active Expired - Lifetime
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