JP2003055079A - 土中分解性被覆肥料 - Google Patents

土中分解性被覆肥料

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JP2003055079A
JP2003055079A JP2001243260A JP2001243260A JP2003055079A JP 2003055079 A JP2003055079 A JP 2003055079A JP 2001243260 A JP2001243260 A JP 2001243260A JP 2001243260 A JP2001243260 A JP 2001243260A JP 2003055079 A JP2003055079 A JP 2003055079A
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Shigeo Yokoyama
茂雄 横山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 リニア溶出型の溶出を示し初期の溶出率が
低く、70日〜180日の溶出日数を調節可能であ
り、その優れた溶出制御性を機械施肥においても損な
わない被膜強度を有し、溶出終了後の被膜残査の自然
分解性に優れた被覆肥料を提供することにある。 【解決手段】 生分解性性樹脂と非生分解性樹脂とを含
む樹脂配合物で被覆された被覆粒状肥料であり、そのミ
クロ構造において、生分解性樹脂および非生分解性樹脂
が相分離をおこしており、生分解性樹脂が帯状に分散し
た構造となっていることを特徴とする被覆粒状肥料であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、農業分野、園芸分
野等で広く利用されている被覆肥料に関するものであ
り、特に初期の溶出率が低く、長期に亘る安定した溶出
制御性、優れた機械的な強度および土壌中での被膜の分
解性を兼ね備えた被覆肥料に関する。
【0002】
【従来の技術】施肥の省力化、植物の生育に応じた肥効
調節、過剰な肥料成分による環境汚染への対策などの見
地から、被覆肥料は幅広い農業分野で使用されるに至っ
ている。被覆肥料は粒状肥料の表面を硫黄などの無機物
質や熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などにより被覆したも
のが使用されており、作物に応じて肥料成分含量や溶出
パターンや溶出期間などの異なるものが使用されてい
る。被覆肥料にはいくつかの性能が要求される。まず第
一には、本来の性能である溶出制御が正確になされてい
ることである。通常溶出速度は温度により影響を受ける
ことから、作物の肥料要求パターンや地温を勘案し、好
適な溶出パターンや溶出期間を選択し使用がなされてい
る。
【0003】被覆肥料の肥料成分の溶出パターンとして
は、施肥直後から溶出期間の約2/3までは期間溶出率
がほぼ同一で、その後徐々に期間溶出率の減少するリニ
ア溶出型と、施肥直後からしばらくの期間はほとんど溶
出しなく、ある期間をすぎてから急激に溶出を開始し、
その後徐々に期間溶出率が減少するシグモイド溶出型が
ある。いずれの溶出パターンを示す被覆肥料において
も、施肥直後溶出率が高いものは、その溶出率の分を安
価な無被覆の肥料を混ぜたものと同一の効果しか得られ
ないことから、初期の溶出率が低いものが好まれてい
る。また、溶出期間としては畑作、水稲用には通常70
日から180日程度の被覆肥料が多く用いられる。果樹
や幼木の育苗などでは、100〜700日程度の幅広い
溶出期間のものが用いられる。
【0004】昨今、被覆肥料の被膜が土壌に堆積した
り、河川に流出する問題が指摘されている。かかる問題
に対応するために、自然環境下において残留被膜が分解
する性質を有するような設計をしようという試みがなさ
れている。ポリエステル、ポリ乳酸、ポリカプロラクト
ン、低分子量ポリエチレンなどのような生分解性の樹脂
を応用する方法などが知られている。例えば、特開平1
1−130576号には、ポリカプロラクトンと所定量
のポリエチレンとを含む被膜分解性被覆肥料の例示があ
る。しかし、被覆肥料の施肥法としては、ブロードキャ
スターや背負い式動力散布機で代表される施肥機械で散
布することが多く、被膜強度の弱い被覆肥料では施肥機
内の肥料の搬送部分、計量部分や散布部分で傷がつくこ
とがあり、せっかくの優れた被覆肥料の溶出性が台無し
になることになる。以上述べたように、被覆肥料に要求
される優れた溶出特性、被膜分解性および施肥時の損傷
の無いことを充分満足する肥料はなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、リ
ニア溶出型の溶出を示し初期の溶出率が低く、70日
〜180日の溶出日数を調節可能であり、その優れた
溶出制御性を機械施肥においても損なわない被膜強度を
有し、溶出終了後の被膜残査の自然分解性に優れた被
覆肥料を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、これらの問
題点について種々検討した結果、上記の課題を満足する
には、使用した樹脂の被膜中でのミクロな分布構造が大
きな要因であることを見いだし、本発明を完成するに至
った。すなわち、本発明は、生分解性樹脂と非生分解性
樹脂とを含む樹脂配合物で被覆された被覆粒状肥料であ
り、その被覆肥料被膜のミクロ構造において、生分解性
樹脂および非生分解性樹脂が相分離をおこしており、生
分解性樹脂が帯状に分散した構造となっていることを特
徴とする被覆粒状肥料である。さらには、上記の生分解
性樹脂が脂肪族ポリエステルであることを特徴とする被
覆粒状肥料である。また、上記の非生分解性樹脂がポリ
オレフィンであることを特徴とする被覆粒状肥料であ
る。
【0007】本発明における被覆肥料の被膜の内側に存
在する肥料としては、従来公知のものが使用できる。具
体例をあげるならば、尿素、ホルムアルデヒド縮合尿
素、イソブチルアルデヒド縮合尿素などのアルデヒド縮
合尿素類、硫酸グアニル尿素類、石灰窒素、硝酸アンモ
ニウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸
二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウムなどの
アンモニウム化合物、硝酸カリウム、塩化カリウム、硫
酸カリウムなどのカリウム塩、リン酸カルシウム、硫酸
カルシウム、硝酸カルシウム、塩化カルシウムなどのカ
ルシウム塩、硝酸マグネシウム、塩化マグネシウム、硫
酸マグネシウム、リン酸マグネシウムなどのマグネシウ
ム塩、硝酸第一鉄、硝酸第二鉄、リン酸第一鉄、リン酸
第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、塩酸第一鉄、塩酸第
二鉄等の鉄塩、およびこられの複塩、ないしはこれらを
二つ以上複合したものがあげられる。
【0008】本発明における生分解性樹脂とは、微生物
により分解される天然および/または合成の樹脂であ
り、微生物が豊富に存在する土壌中に数年間埋設するこ
とにより分解される樹脂である。本発明に使用されるこ
のような生分解性樹脂としては、脂肪族ポリエステル、
全カルボン酸中の脂肪族カルボン酸含量が60重量%以
上の芳香脂肪族ポリエステル、酢酸セルロース、脂肪族
ポリオールと脂肪族イソシアナートからなる脂肪族ポリ
ウレタンなどを挙げることができる。また、生分解性樹
脂として、これらの混合物を使用することもできる。生
分解性樹脂を使用することにより、被覆肥料に溶出終了
後の被膜残査の優れた自然分解性を付与することができ
る。
【0009】脂肪族ポリエステルの具体的な例として
は、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリブチレン−ア
ジペート、ポリエチレン−アジペートおよびこれらの共
重合体やブレンドしたものがあげられる。また、全カル
ボン酸中の脂肪族カルボン酸含量が60重量%以上の芳
香脂肪族ポリエステルの例としては、ブタンジオールと
アジピン酸とテレフタル酸の縮重合物をあげることがで
きる。さらに、脂肪族ポリオールと脂肪族イソシアナー
トからなる脂肪族ポリウレタンの例としては、アジピン
酸とジエチレングリコールなどから製造されたポリエス
テルポリオールとヘキサメチレンジイソシアナートやイ
ソホロンジイソシアナートから製造されたポリウレタン
をあげることができる。なかでも、生分解性樹脂とし
て、有機溶剤に対する溶解性が高いことおよび土壌中で
の生分解速度が速いこと等の理由から、脂肪族ポリエス
テルを用いることが好ましい。
【0010】本発明における非生分解性樹脂とは、微生
物により殆ど分解を受けない樹脂であり、微生物が豊富
に存在する土壌中に10年間埋設しても、その形状が殆
ど変化しないような樹脂である。このような非生分解性
樹脂としては、有機溶剤に可溶なポリエチレン、ポリプ
ロピレン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合
体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−オクテン共
重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフ
ィンやポリメチルメタクリレート、ポリブチルアクリレ
ート、ポリカーボネート、ポリスチレンなどの透明性樹
脂、芳香族ポリエステルなどがあげられる。また、これ
らの樹脂を混合して使用することもできる。
【0011】本発明に使用される非生分解性樹脂として
は、有機溶剤への溶解性が高く、耐衝撃強度および破断
強度の高いポリオレフィンが好ましい。非生分解性樹脂
を配合することにより、長期に亘る溶出制御性が付与さ
れる。粒状肥料を被覆する樹脂配合物中には、上記の生
分解性樹脂と非生分解性樹脂の他に、タルクやクレーな
どの無機質充填剤、有機顔料や澱粉に代表される糖重合
体等の有機質充填剤や、溶出速度を加速するための界面
活性剤を含むことができる。
【0012】本発明の被覆粒状肥料の製造法としては、
生分解性樹脂と非生分解性樹脂を有機溶剤に溶解させ、
他の樹脂配合成分、例えば、タルク等の無機充填剤や澱
粉等の有機充填剤をこの液中に混合分散させた樹脂配合
物溶解液を、核となる肥料の表面にスプレー等の方法に
より塗布し、乾燥することにより得られる。肥料に対す
る樹脂配合物の重量は、通常、肥料100重量部に対し
て4〜20重量部の範囲である。樹脂配合物中の生分解
性樹脂と非生分解性樹脂の合計量は、少なくとも40重
量%以上存在することが好ましく、この量以下では初期
の溶出率を低く押さえることが困難となる。また、生分
解性樹脂と非生分解性樹脂との重量比は1/3から3の
範囲が好ましく、この範囲を逸脱すると被膜のミクロ相
分離構造が帯状分散に成り難い場合があり、本発明の低
い初期溶出率、長期に亘る安定した溶出制御性、優れた
機械的な強度および土中での被膜の分解性を兼ね備えた
被覆肥料に成り難いことがある。
【0013】本発明での被膜のミクロ構造において、生
分解性樹脂が帯状に分散した構造をとっているとは、非
生分解性樹脂が連続層をなしており、生分解性樹脂が帯
状の連続層および/または帯状の島構造をなしているこ
とを意味する。逆に言えば、生分解性樹脂が溶解または
円型の島状に分散していない構造である。本発明におい
ては、被膜断面の薄切片を四酸化ルテニウム等により染
色し、その透過電子顕微鏡観察において、数万倍の倍率
での観察において、相分離構造が観察され、下記の定義
による帯状分散率が40%以上のものを、生分解性樹脂
が帯状に分散した構造をとっているとした。 帯状分散率の定義:生分解性樹脂部分の全面積および長
径/短径比が3未満の円型島状分散生分解性樹脂の面積
を求める。帯状分散率=(全面積−円型島状分散面積)
/全面積*100 被膜のミクロ相分離構造において、生分解性樹脂がこの
ような帯状に分散した構造をとるか否かは、両樹脂の溶
解度パラメーターが異なっていること、両樹脂の比率、
樹脂の配合組成、樹脂配合物濃度、被膜の製造条件等に
より異なるが、これまでに記載した範囲であれば、概ね
帯状分散構造を形成する被膜を製造することが可能であ
る。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の実施例、比較例を具体的
に下記に示す。実施例、比較例中の試験は下記の方法に
よった。なお、実施例中の「部」および「%」は但し書
きが無い限り、重量基準である。 <帯状分散率の測定>被覆肥料を半分に切断し、水洗に
より内部の肥料成分を除去し、被覆肥料の被膜を得た。
被膜を適当な大きさに切断し、四酸化ルテニウムにて染
色後、エポキシ樹脂に包埋してウルトラミクロトームに
て超薄切片(厚み約70nm)を作成し、コロジオン膜
を張った検鏡用グリットに載せ、カーボンを6nm程度
蒸着して検鏡資料とした。資料を透過電子顕微鏡で観察
し、5万倍の倍率の透過電子顕微鏡写真を撮影し、この
写真を画像処理機にかけ、生分解性樹脂部分の全面積お
よび長径/短径比が3未満の円型島状分散生分解性樹脂
の面積を求めた。帯状分散率=(全面積−円型島状分散
面積)/全面積*100として求めた。
【0015】<水中溶出試験>10gの被覆肥料を20
0gの脱イオン水に浸漬し、25℃の恒温槽に保管し
た。一定時間経過毎に水に溶出した肥料成分を比色法を
用いて測定した。溶出率はもとの被覆肥料に含まれてい
た肥料成分に対し、溶出してきた成分の百分率で表す。 <動力散布機試験>10kgの被覆肥料を共立社製DM
D6100型動力散布機に投入し、散布速度最大、散布
距離15mの設定で全量グランドシート上に散布した。
散布した被覆肥料および散布前の被覆肥料を縮分し、1
0gをとり水中溶出を測定した。散布前の肥料と散布後
の肥料の10日目の溶出率差を△Fで示す。△Fが大き
い被覆肥料ほど傷がついていることを示している。
【0016】<被膜の自然分解試験>静岡県富士市岩本
地区から採取した黒ボク土1kgに被覆肥料500粒を
混合し、網底のポットに入れ、網底面が土中10cmの
深さになるように屋外に埋設した。2年経過後被覆肥料
を取り出し、球状の肥料の殻の形態の残っているものを
被膜残存粒とし、被膜の殻に穴が空いているもの、形態
体をほとんど留めないものを分解粒とした。分解粒の割
合を100分率で表示した。
【0017】
【実施例1】噴霧ノズル、熱風供給装置を備えた噴流塔
型被覆装置を用いた。生分解性樹脂として、ポリカプロ
ラクトン(TONE、P787、ユニオンカーバイド
(株)製)30部、非生分解性樹脂としてポリエチレン
20部(サンテックLD、M2270、旭化成(株)
製)、無機充填剤としてタルク(FM−77C 富士タ
ルク(株)製)50部からなる混合物を900部のテト
ラクロロエチレンに、加熱溶解ないしは分散した。2−
4mmで篩分された粒状尿素1000部(平均粒径2.
9mm)を噴流塔に仕込み、100℃の熱気流下で噴流
状態の尿素に上記テトラクロロエチレン液をスプレー供
給することにより、電子顕微鏡観察による帯状分散率8
2%の被覆肥料1100部を得た。この肥料の溶出試験
結果は、リニア型溶出を示しており、3日目の溶出率は
1.5%と低く、溶出率が80%に到達する日数は12
0日と長かった。また、動力散布機試験による△F値
は、2%と低かった。さらに、被膜の自然分解試験にお
ける分解率は100%と全ての粒が穴が開いていたり、
バラバラに分解していた。
【0018】
【実施例2】ポリカプロラクトンの量を20部、ポリエ
チレンの量を30とした以外は実施例1と同じ操作によ
り、帯状分散率63%の被覆肥料1100部を得た。図
1にこの肥料の電子顕微鏡写真を示す。図1において、
白く見えてる部分が生分解性樹脂であり、多くの生分解
性樹脂は帯状の分散をしている。また、図3に電子顕微
鏡写真の解析モデル図を示す。生分解性樹脂と他の部分
を明確にするため、生分解性樹脂の部分を実線で囲い、
さらに、画像解析で長径/短径比が3以上を示すものを
斜線で表示した。この肥料の溶出試験結果は、リニア型
溶出を示しており、3日目の溶出率は1.0%と低く、
溶出率が80%に到達する日数は165日と長かった。
また、動力散布機試験による△F値は、1.5%と低か
った。さらに、被膜の自然分解試験における分解率は9
5%とほとんど全ての粒が穴が開いていたり、バラバラ
に分解していた。
【0019】
【実施例3】ポリカプロラクトンの量を15部、ポリエ
チレンの量を35部とし、パークロルエチレンの量を2
900部とした以外は実施例1と同じ操作により、帯状
分散率45%の被覆肥料1100部を得た。この肥料の
溶出試験結果は、リニア型溶出を示しており、3日目の
溶出率は0.8%と低く、溶出率が80%に到達する日
数は180日と長かった。また、動力散布機試験による
△F値は、2%と低かった。さらに、被膜の自然分解試
験における分解率は90%とほとんど全ての粒が穴が開
いていたり、バラバラに分解していた。
【0020】
【比較例1】噴霧ノズル、熱風供給装置を備えた噴流塔
型被覆装置を用いた。生分解性樹脂として、ポリカプロ
ラクトン(TONE、P787、ユニオンカーバイド
(株)製)10部、非生分解性樹脂としてポリエチレン
40部(サンテックLD、M2270、旭化成(株)
製)、無機充填剤としてタルク(FM−77C 富士タ
ルク(株)製)50部からなる混合物を900部のテト
ラクロロエチレンに、加熱溶解ないしは分散した。2−
4mmで篩分された粒状尿素1000部(平均粒径2.
9mm)を噴流塔に仕込み、100℃の熱気流下で噴流
状態の尿素に上記テトラクロロエチレン液をスプレー供
給することにより、電子顕微鏡観察による帯状分散率8
%の被覆肥料1100部を得た。
【0021】図2にこの肥料の電子顕微鏡写真を示す。
図2において、白く見えてる部分が生分解性樹脂であ
り、多くの生分解性樹脂は帯状の分散をしている。ま
た、図4に電子顕微鏡写真の解析モデル図を示す。生分
解性樹脂と他の部分を明確にするため、生分解性樹脂の
部分を実線で囲い、さらに、画像解析で長径/短径比が
3以上を示すものを斜線で表示した。この肥料の溶出試
験結果は、リニア型溶出を示しており、3日目の溶出率
は0.8%と低く、溶出率が80%に到達する日数は1
90日と長かった。また、動力散布機試験による△F値
は、7%と比較的高かった。さらに、被膜の自然分解試
験における分解率は12%と低く、一部の粒に穴が開い
ている程度であった。
【0022】
【比較例2】ポリカプロラクトンの量を15部、ポリエ
チレンの量を35部とした以外は比較例1と同じ操作に
より、帯状分散率23%の被覆肥料1100部を得た。
この肥料の溶出試験結果は、リニア型溶出を示してお
り、3日目の溶出率は0.8%と低く、溶出率が80%
に到達する日数は180日と長かった。また、動力散布
機試験による△F値は、10%と高かった。さらに、被
膜の自然分解試験における分解率は16%と低く、一部
の粒に穴が開いている程度であった。
【0023】
【比較例3】ポリカプロラクトンの量を40部、ポリエ
チレンの量を10部とした以外は比較例1と同じ操作に
より、被覆肥料1100部を得た。この被覆肥料のミク
ロ相分離構造は、ポリカプロラクトンが連続層となって
おり、ポリエチレンが島状に分散しており、本発明の生
分解性樹脂が帯状分散している構造ではなかった。この
肥料の溶出試験結果は、リニア型溶出を示しており、3
日目の溶出率は15%と高く、溶出率が80%に到達す
る日数は32日と短かった。また、動力散布機試験によ
る△F値は、15%と高かった。さらに、被膜の自然分
解試験における分解率は100%と高かった。
【0024】〔実施例および比較例のまとめ〕これらの
結果をまとめて表1に示す。実施例1、2および比較例
1、2、3は被覆樹脂配合物中の生分解性樹脂と非生分
解性樹脂との割合を変化させた例である。両樹脂の割合
を変えることにより、帯状分散が変化することが明らか
である。また、実施例3と比較例2は、生分解性樹脂と
非生分解性樹脂との割合は同一であるが、樹脂配合物の
濃度が異なる例である。樹脂配合物濃度が薄いほうが帯
状分散率が高くなる傾向を示した。これらの被覆肥料の
内、帯状分散率が40%よりも高いものは、初期溶出率
が低く押さえられ、70〜180日の長期に亘る溶出制
御が可能であり、動力散布機による散布を行っても被覆
肥料の傷が少なく、かつ、自然分解性に優れた被覆肥料
である。
【0025】
【表1】
【0026】
【発明の効果】本発明によれば、リニア溶出型の溶出を
示し初期の溶出率が低く、70日〜180日の溶出日数
を調節可能であり、その優れた溶出制御性を機械施肥に
おいても損なわない被膜強度および溶出終了後の被膜残
査の自然分解性に優れた被覆肥料を供給できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2の被覆肥料の電子顕微鏡写真である。
【図2】比較例1の被覆肥料の電子顕微鏡写真である。
【図3】実施例2の被覆肥料の電子顕微鏡写真の解析例
を示す。
【図4】比較例1の被覆肥料の電子顕微鏡写真の解析例
を示す。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生分解性樹脂と非生分解性樹脂とを含む
    樹脂配合物で被覆された被覆粒状肥料であり、その被覆
    肥料被膜のミクロ構造において、生分解性樹脂および非
    生分解性樹脂が相分離をおこしており、生分解性樹脂が
    帯状に分散した構造となっていることを特徴とする被覆
    粒状肥料。
  2. 【請求項2】 生分解性樹脂が脂肪族ポリエステルであ
    ることを特徴とする請求項1記載の被覆粒状肥料。
  3. 【請求項3】 非生分解性樹脂がポリオレフィンである
    ことを特徴とする請求項1または2記載の被覆粒状肥
    料。
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