JP2008001550A - 被覆粒状肥料 - Google Patents

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JP2008001550A JP2006171542A JP2006171542A JP2008001550A JP 2008001550 A JP2008001550 A JP 2008001550A JP 2006171542 A JP2006171542 A JP 2006171542A JP 2006171542 A JP2006171542 A JP 2006171542A JP 2008001550 A JP2008001550 A JP 2008001550A
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Abstract

【課題】溶出終了後の被膜分解性が良好で、かつ初期溶出を厳密に抑制した時限型の溶出パターンを示すとともに、水田に使用した場合には、溶出終了後の被膜が浮上しにくい時限溶出型被覆粒状肥料を提供する。
【解決手段】ロジン系樹脂及び低密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレン及び無機フィラーを含む被膜で粒状肥料を被覆する。
【選択図】なし

Description

本発明は、溶出終了後の被膜分解性が良好で、かつ初期溶出が極めて厳密に抑制された時限溶出型の被覆粒状肥料に関する。更に、本発明は、水田に使用した場合には、溶出終了後の被膜が代掻き時等に浮上しにくい、いわゆる環境への負荷が少ない被覆粒状肥料に関する。水稲用の被覆粒状肥料としては、初期溶出が抑制された時限溶出型の溶出パターンを示す被覆粒状肥料が好ましい。
施肥の省力化、ないしは植物の生育に応じた肥効を発現させる目的で種々の緩行性肥料が開発されている。緩行性肥料の代表的なものとしては、肥料の表面を種々の樹脂や無機物などでコートした被覆粒状肥料がある。被覆粒状肥料は、その肥料成分を作物の生育に応じて供給できるという特徴を有することから、幅広い農業分野で使用されている。
被覆粒状肥料には多くの物性が要求される。本来の特徴である肥料成分の溶出がコントロールされていること、輸送、保管、使用時に負荷される種々の応力に対し、必要な力学的強度を有すること、さらには製造する際の生産性が優れていること等が要求される。また、環境負荷の観点から、被覆粒状肥料の被膜が長期間、土壌に残存しないこと、即ち、自然環境下で分解性を有することも求められている。
さらに、近年になって、水田では、投入した被覆粒状肥料の被膜(溶出終了後の殻)が、使用した翌年の代掻き時等に水面に浮上して河川に流出するという問題が発生している。特に、水稲用肥料として、水田に使用する被覆粒状肥料には、溶出終了後の被膜を浮上させないことも重要な物性として求められてきている。
従来、被覆粒状肥料の被膜材としては、ポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、硫黄などが使用されることが多かったが、近年では被膜の分解性を改良するため、光による分解、酸化分解、土壌中での生物的な分解などを考慮した被膜材料が使用されてきている。被膜分解性を向上させる手段のうち、土壌中での生物的な分解が、光の当たらない土中においても分解が進行する点で優れている。
上記のいわゆる土壌中での生物的な分解を引き起こす材料として、各種の生分解性ポリマーが開発され、被覆粒状肥料の被膜材料として使用されつつあるが、溶出コントロール性、実用強度の面で未だ改良の余地が残っている。例えば、特許文献1には、被膜にポリ乳酸を使用した被覆粒状肥料が、特許文献2には、脂肪属ポリエステルとマイクロワックスを併用した被覆粒状肥料が開示されているが、両者とも、被膜が高い生分解性を有するものの、力学的物性が十分満足のいくものではなく、当然ながら、初期溶出を極めて厳密に抑制した時限溶出型の被覆粒状肥料に関しては提供できていなかった。また、水田における溶出終了後の被膜浮上に関しても、満足な防止性能を持ちえていなかった。
一方、目的は異なるものの、本発明に用いる天然物由来のロジン系樹脂を被覆粒状肥料の膜材として使用する技術として特許文献3には、ロジンと高分子物質を使用する技術が開示されているが、高分子物質の分子量が非常に低いためか、耐衝撃性などの力学的強度が極端に低く、実用的な被覆粒状肥料ではなかった。また、水田における溶出終了後の被膜浮上に関しても、満足な防止性能を持ちえていなかった。
さらにロジンについては、α−オレフィン(共)重合体と併用する技術も開示されており、例えば、特許文献4では、ポリエチレン樹脂とロジンを併用して被覆肥料を製造する技術も開示されているが、ロジン類の含量が少ないためか、分解性が満足できるレベルではなかった。
さらに、ロジン系樹脂を使用した被覆粒状肥料については、特許文献5にロジン系樹脂の特定量とα−オレフィン(共)重合体の特定量を含有させた被膜で被覆した被覆粒状肥料が提案されている。上記被覆粒状肥料は優れた生分解性を有していたが、力学的強度及び溶出コントロール性が、実用的には今一歩であり、更には、初期溶出を極めて厳密に抑制した時限溶出型の被覆粒状肥料ではなかった。また、水田における溶出終了後の被膜浮上に関しても、満足な防止性能を持ちえていなかった。
また、水田における溶出終了後の被膜浮上率を低減させる技術として、特許文献6に通常の被膜で被覆粒状肥料を製造した後に、ポリビニルアルコール等の親水性物質で更に被覆する技術が開示されているが、製造装置を追加する必要があり、コストが増大する問題があった。また、肝心の溶出終了後の被膜浮上に関しては、代掻き時に浮上する被膜として圧倒的に多い形態であるピンポン玉状の被膜(被膜がほぼ完全な形態で残り、中身の肥料溶解液や水分が抜けた後に、被膜内部に空気が侵入したもの)の発生を完全に抑制できないためか、満足に浮上粒を低減できているとはいえなかった。推測ではあるが、上記技術では、溶出終了後の被膜内部へ空気が侵入することを完全に抑制できないために、ピンポン玉状の被膜が発生するものと思われる。
特開平10−7484号公報 特開平11−263689号公報 特開平5−279158号公報 特公平7−505号公報 特開平11−92260号公報 特開2002−242392号公報
本発明は、溶出終了後の被膜分解性が良好で、かつ初期溶出を厳密に抑制した時限型の溶出パターンを示すとともに、水田に使用した場合には、溶出終了後の被膜が代掻き時等に浮上しにくい時限溶出型被覆粒状肥料の提供を目的とする。
本発明者は、前記課題を解決するため、鋭意検討を行った結果、特定の酸価をもつロジン系樹脂を被膜に配合することにより、溶出終了後の被膜分解性が良好で、かつ良好な時限溶出型の溶出パターンを示し、さらに水田に使用した場合には、溶出終了後の被膜が代掻き時等に浮上しにくい時限溶出型被覆粒状肥料が得られることを見出し、本発明に至った。
本発明におけるロジン系樹脂は、時限型溶出パターンの発現や使用後の被膜分解性の改善、溶出終了後の被膜浮上の防止に大きく関与しているが、その作用機構について一応下記のように説明することができる。ロジン系樹脂は松脂等から精製され加工される天然物由来の樹脂であり、土壌中に入った場合には微生物分解等を受けやすい。
また、特定の酸価及び特定量のロジン系樹脂を被膜に配合すると、まずロジン系樹脂が耐水性を持つことから、被膜の水蒸気透過度が低下し、初期の溶出が抑制され、溶出抑止日数が確保される。次に、時間経過とともに被膜を介して被覆粒状肥料内部に水分が侵入した後は、原料肥料が溶解膨潤して被膜に対し膨張圧力が発生するが、この時、ロジン系樹脂が配合されていると、破裂的に膜が裂けやすくなり、大きな溶出口が形成され、急激な主溶出が発生する。よって、ロジン系樹脂を被膜に配合させると、良好な時限型溶出パターンが得られやすい。
また、上記のように溶出メカニズムが破裂型であることが、水田における溶出終了後の
被膜浮上防止に関して非常に重要である。本発明の被覆粒状肥料は、溶出終了後の被膜に、大きな裂け目や割れ目が発生しやすいので、代掻き時に浮上する被膜として圧倒的に多い形態であるピンポン玉状の被膜(被膜がほぼ完全な形態で残り、中身の肥料溶解液や水分が抜けた後に、被膜内部に空気が侵入したもの)の発生が極端に少ない。また、溶出終了後の被膜は微生物による劣化を受け、さらに代掻き時等には土壌等が被膜内部に詰まりやすく、空気が混入しにくいので水田における溶出終了後の被膜が浮上しにくくなり、浮上率を有意に低下させることができる。
すなわち、本発明は、
(A)ロジン系樹脂及び低密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレン及び無機フィラーを含む被膜で被覆したことを特徴とする被覆粒状肥料であり、
(B)酸価が60〜120を示すロジン系樹脂が、被膜中の全樹脂質量に対し20〜60質量%含有されることを特徴とする被覆粒状肥料であり、
(C)被膜中の高密度ポリエチレンの配合割合が、低密度ポリエチレンの質量に対し、5〜40質量%であることを特徴とする被覆粒状肥料であり、
(D)被膜中の無機フィラー含量が30〜65質量%であることを特徴とする被覆粒状肥料であり、
(E)原料肥料が尿素系肥料であることを特徴とする被覆粒状肥料である。
本発明の被覆粒状肥料は、第一に溶出終了後の被膜分解性が良好であり、第二に初期溶出が厳密に抑制された時限型の溶出パターンを示し、第三に水田に使用した場合には、溶出終了後の被膜が代掻き時等に浮上しにくいといった3つの効果を併せ持つ。
本発明について、以下具体的に説明する。
本発明における好適な被覆粒状肥料の溶出パターンとは、水稲の養分要求特性にマッチする初期溶出が厳密に抑制された時限型の溶出パターンであり、具体的には、25℃水中溶出において、溶出抑止日数(溶出率5%到達日数)が40日以上で、かつ溶出抑止期間を溶出日数(溶出率80%到達日数)で割った値が0.3以上のものである。この値が0.5以上であれば、水稲栽培においてさらに好ましい。
(1)ロジン系樹脂
本発明におけるロジン系樹脂は、ガムロジン、トールロジン、ウッドロジン等の原料ロジンとカルシウム、亜鉛等との塩、及びこれらを水添した水添ロジン不均化ロジン、重合ロジン及びアルキルアルコールやグリセリン、ペンタエリストールなどのアルコール類をエステル化したエステル化ロジン、(無水)マレイン酸等を付加した変性ロジンとそのエステル類、フェノール変性ロジンの内、酸価が60〜120を示すものである。その中でも、特にガムロジンとカルシウムを反応させたライムロジン(アビエチン酸カルシウム)等を好適に使用できる。
酸価とは、油脂中の遊離脂肪酸の量を示し、油脂1g中に含まれる遊離脂肪酸を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数で表す。ロジン系樹脂における酸価の測定方法は次のとおりである。ロジン系樹脂1gを100mlマイヤーに採り、アルトル40mlを加え、静置溶解する。(アルトルは、エタノールとトルエンを体積比1:2の割合で混合し、水酸化カリウムで中和処理した溶媒である。)次に、フェノールフタレイン溶液を指示薬として、0.5mol/Lのアルコール性水酸化カリウム溶液で、滴定する。微紅色が30秒以上消失しなくなった点を滴定終点とする。
本発明に使用するロジン系樹脂の酸価は、60〜120であり、好ましくは70〜110であり、更に好ましくは80〜100である。ロジン系樹脂の酸価が60未満では、被
覆粒状肥料の溶出日数が長期化し、溶出パターンが時限溶出型とならず好ましくない。また、ロジン系樹脂の酸価が120を超えると、被覆粒状肥料の初期溶出が早まり、溶出パターンが時限溶出型とならず好ましくない。
また、本発明における酸価が60〜120のロジン系樹脂の配合割合は、被膜中の全樹脂質量を100質量%とした場合、20〜60質量%であり、好ましくは25〜55質量%であり、更に好ましくは30〜50質量%である。酸価が60〜120のロジン系樹脂の全樹脂質量に対する配合割合が20質量%未満では、被覆粒状肥料の溶出パターンが時限溶出型とならず、また被膜の分解性が低下するので好ましくない。また、酸価が60〜120のロジン系樹脂の全樹脂質量に対する配合割合が60質量%を超えると、被覆製造時に製造不良(被覆粒状肥料どうしの固着等)が発生する恐れがあり、また被膜強度が実用レベル以下に低下し好ましくない。
(2)低密度ポリエチレン
本発明における低密度ポリエチレンは、JIS K7112等に従って測定した密度が0.890〜0.939g/cmのものである。
低密度ポリエチレンとしては、数気圧〜数十気圧の低圧反応器において、触媒を使用してエチレンとα−オレフィンを共重合させる直鎖状低密度ポリエチレン、数百気圧〜数千気圧の高圧反応器において、エチレン単独、あるいはエチレンとα−オレフィンをラジカル重合させて長鎖分岐、及び短鎖分岐を生成させる高圧法低密度ポリエチレン、及びこれらの混合物等を使用することができる。
低密度ポリエチレン製造時の触媒については、特に制限はなく、チーグラー触媒やメタロセン触媒等で製造されたものを好適に使用できる。
低密度ポリエチレンは、被膜強度上、GPCで測定される重量平均分子量が20,000以上250,000以下であることが好ましく、さらに好ましくは30,000以上200,000以下であることが好ましい。
(3)高密度ポリエチレン
本発明における高密度ポリエチレンは、JIS K7112等に従って測定した密度が0.940〜0.975g/cmのものである。
高密度ポリエチレンとしては、数気圧〜数十気圧の低圧反応器において触媒を使用してエチレンを単独重合させた低圧法高密度ポリエチレン、数気圧〜数十気圧の低圧反応器において、触媒を使用してエチレンと少量のα−オレフィンを共重合させた中密度ポリエチレンあるいは高密度ポリエチレンを使用することができる。
高密度ポリエチレン製造時の触媒については、特に制限はなく、チーグラー触媒やメタロセン触媒等で製造されたものを好適に使用できる。
高密度ポリエチレンは、被膜強度上、GPCで測定される重量平均分子量が20,000以上200,000以下であることが好ましく、さらに好ましくは30,000以上150,000以下であることが好ましい。
また、高密度ポリエチレンは、分子量分布がシャープであればさらに好ましく、例えば、GPCで測定される重量平均分子量を数平均分子量で除した値が1〜10のものを用いると好適であり、より好ましくは、1〜6である。
高密度ポリエチレンの配合割合は、低密度ポリエチレンの質量に対し、好ましくは5〜40質量%であり、更に好ましくは、10〜35質量%であり、最も好ましくは15〜30質量%である。配合割合が5質量%未満では、初期溶出が早まって時限型の溶出パターンが得られず、さらには被膜の実用強度が不十分となり好ましくない。また、配合割合が40質量%を超えると、被覆製造時における樹脂溶解液の粘度が高まり、被膜の製膜性が悪化し、時限型の溶出パターンが得られず、また被膜の分解性が低下するので好ましくない。
(4)その他の樹脂成分
例えば、被膜の透湿性を制御する目的で、透湿性の高い樹脂として酢酸ビニル含量が15〜40%のエチレン−酢酸ビニル共重合体等を併用することができる。
また、被膜強度を向上させる目的で、エチレン・1−オクテン共重合体等のプラストマーを併用することも可能である。プラストマーの密度は、0.830〜0.910g/cmが好ましく、配合割合は、低密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンの合計質量に対し、5〜25質量%とするのが好ましい。
(5)無機フィラー
本発明に使用できる無機フィラーは、球状、及び/又は板状の無機フィラーである。例えば、タルク、クレー、珪藻土、カオリン、ベントナイト、マイカ、ガラス、アルミナ、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム等があげられ、これらの内、初期溶出の抑制効果が優れている点から、親水性の低いタルク、クレーが好ましい。
一般に、作物の養分吸収量は、周辺環境が高温になるほど多く、低温になるほど少なくなるといった感温性を示す。肥料成分の供給も同様な感温性を持つことが好ましいが、無機フィラーは、被覆粒状肥料の溶出パターンに作物の養分吸収量と同様な感温性を与えるものである。よって、被膜材料として無機フィラーを用いないと、被覆粒状肥料の溶出パターンは、作物の養分吸収量と同様の感温性を持たないので、例えば、周辺環境が高温の際は、作物は多量に養分を要求するのに被覆粒状肥料からは充分な肥料成分が供給されず養分不足になる不具合が、また逆に低温の際には、作物は少量の養分しか要求しないのに、被覆粒状肥料から過剰な肥料成分が供給され作物に濃度傷害を与える不具合等が生じる可能性が高く、好ましくない。
また、無機フィラーは、一般に樹脂や有機充填材より安価であり、被膜材料として使用すると製造コストを削減できるというメリットを持つ。
これらの無機フィラーのレーザー回折式粒度分布測定機により測定された50%粒子径は、0.1〜40μmであることが必要であり、好ましくは、0.2〜30μmである。粒径の小さな無機フィラーが好ましいが、0.1μm未満では膜形成時に無機フィラーが凝集して実質的に大粒径と成りやすく、また40μmを越えると被膜の欠陥が多く発生し、溶出の制御性が低下するので好ましくない。
被膜中の無機フィラー含量は、全被膜質量を100質量%とした場合に、30〜65質量%が好ましく、更に好ましくは40〜60質量%である。被膜中の無機フィラー含量が30質量%未満では、被覆粒状肥料の溶出が長期化し、溶出パターンが時限溶出型とならず好ましくない。また、被膜中の無機フィラー含量が65質量%を超えると、被覆粒状肥料の初期溶出が早まり、時限溶出型の溶出パターンとならず好ましくない。
(6)その他の被膜成分
本発明の被膜には、必要に応じて、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコールとプロピレングリコールの共重合によるポリアルキレングリコール、ポリビニルアルコール等の水溶性物質、ポリエチレングリコール−アルキルエーテル、ポリエチレングリコール−分岐アルキルエーテル等のエーテル型ノニオン系界面活性剤、ポリエチレングリコール−アルキルエステル、ポリエチレングリコール−分岐アルキルエステル等のエステル型ノニオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、陰イオン系界面活性剤、両性イオン系界面活性剤及びこれらの混合物等を添加することによって被覆粒状肥料の溶出速度を調整することができる。
また、有機顔料、カーボンブラック、チタンホワイト等の着色剤を被膜に添加することによって被覆粒状肥料の区別を容易にすることも可能である。
あるいは、ポリカプロラクトンやGPCで測定される重量平均分子量が300〜100
00の低分子量域ポリエチレンまたは石油ワックス等を被膜に添加することによって被覆粒状肥料の土壌中における被膜分解速度を調整することもできる。
また、本発明の被膜には、被覆粒状肥料の製造バラツキ、溶出バラツキを低減させる目的で、公知の樹脂用酸化防止剤(熱安定剤)を被膜に添加することができる。例えば、公知のフェノール系酸化防止剤やリン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤等を被膜に添加することが可能である。その中でも、フェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤を1:1〜1:3の割合で併用するのが好ましく、リン系酸化防止剤にについてはペンタエリストールタイプを好ましく使用できる。酸化防止剤の添加方法については、他の被膜材料と同様に、特に制限はないが、添加量については、1種または2種以上を併用する場合において、酸化防止剤の合計質量が全被膜質量に対して0.05質量%〜0.50質量%となるのが好ましい。
また、本発明の被膜には、被覆粒状肥料の被膜の親水性を向上させる目的で公知の永久帯電防止剤や親水性付与剤等を被膜に添加することができる。添加方法については、他の被膜材料と同様に特に制限はないが、添加量については、全被膜質量に対して0.05質量%〜2.00質量%となるのが好ましい。
(7)有機金属錯体
本発明においては、必要に応じ、被膜に有機金属錯体を含有させても良い。本発明における有機金属錯体とは、鉄、ニッケル、コバルト、銅、マンガン、銀、パラジウム、モリブデン、クロム、タングステン、セリウム等の金属元素とアセチルアセトン等のβ−ジケトン類、β−ケトエステル類、ジアルキルジチオカーバメイト、ジアルキルチオホスフェート、アルキルサンテート、メルカプトベンゾチアゾール等の錯形成材が、酸素原子あるいは硫黄原子を介して錯形成したものであり、これらの有機金属錯体は単独でも良いし、2種以上組み合わせても構わない。例えば、アセチルアセトン第二鉄、鉄アセトニルアセテート、鉄ジエチルジチオカーバメート、鉄ジブチルジチオカーバメート、鉄ジイソノニルジチオカーバメート、ニッケルジブチルジチオカーバメート、ニッケルジメチルジチオカーバメート、ニッケルジイソノニルジチオカーバメート、マンガンジエチルジチオカーバメート、亜鉛ジブチルジチオカーバメート、亜鉛イソプロピルジチオホスフェート等を用いることができる。
更に好ましくは、有機鉄錯体、有機ニッケル錯体、及びこれらの混合物である。
有機金属錯体の効果を発揮させるには、被覆粒状肥料の被膜中の含有率は、0.0001〜2質量%が好ましく、更に好ましくは0.0002〜1質量%であり、特に好ましくは0.005〜0.5質量%である。有機金属錯体を2種以上用いる場合には、有機金属錯体の被膜中の合計の含有率も同様に、0.0001〜2質量%が好ましく、更に好ましくは0.0002〜1質量%であり、特に好ましくは0.005〜0.5質量%である。
(8)原料肥料
本発明で用いる原料肥料は粒状であれば、特に制限はなく、公知の粒状化学肥料を用いることができる。具体例としては、ホルムアルデヒド縮合尿素、イソブチルアルデヒド縮合尿素等のアルデヒド縮合尿素類、尿素、硫酸グアニル尿素類等の尿素系肥料、石灰窒素、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム等のアンモニウム化合物、硝酸カリウム、塩化カリウム、硫酸カリウム等のカリウム塩、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、硝酸カルシウム、塩化カルシウム等のカルシウム塩、硝酸マグネシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、リン酸マグネシウム等のマグネシウム塩、硝酸第一鉄、硝酸第二鉄、リン酸第一鉄、リン酸第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、塩酸第一鉄、塩酸第二鉄等の鉄塩を好適に使用でき、さらには、上記塩類の複塩、ないしはこれらを二つ以上複合したものも好適に使用できる。
これらの中でも、尿素を主成分とする尿素系肥料は、溶出抑制後の主溶出速度が高まる傾向を示すので、被覆粒状肥料を製造した際に、時限型の溶出パターンが得られやすく好
ましい。
原料肥料は表面が平滑で球形に近い方が好ましい。具体的には、原料肥料粒子を平面画像として捉えた時の面積をS、外周長さをAとする時、A/4πSが1.00〜1.15の範囲にある粒子が全体の60%以上であることが好ましい。
また、原料肥料の押しつぶし強度は、0.5kg以上あることが好ましく、さらに好ましくは1.0kg以上である。
原料肥料の粒子径は、好ましくは0.5〜10mm、更に好ましくは1〜6mmである。また、篩分処理等によって、原料肥料粒子の粒度分布を狭くして、粒子毎のバラツキを小さくする方法を用いるとよい。
(9)被膜形成の方法
本発明の被覆粒状肥料において、被膜の形成方法に関しては特に制限はないが、噴流塔で流動する原料肥料に、被覆材料を必要に応じて溶媒と供に供給して、熱風で乾燥させる噴流方式、転動ドラム内で転動する原料肥料に被覆材料を必要に応じて溶媒と供に供給して、熱風で乾燥させる回転ドラム方式、及びこれらを組み合わせたもの、例えば噴流パン方式等を用いることが出来る。被覆材料を溶媒と供に供給する場合のスプレーノズルに関しても特に制限はなく、1液型のノズル、ガスアシストによる2流体型のノズル等を使用することが出来る。
(10)原料肥料に対する被膜の割合
被覆粒状肥料を被覆する被膜の割合は、原料肥料の質量を基準に1〜50質量%であり、好ましくは2〜35質量%であり、特に好ましくは5〜20質量%である。被膜が1質量%未満では、原料肥料の全粒の周囲全体に均一に被膜を形成させることが困難であって、溶出制御が出来ない。また、被膜が50質量%を越えると被覆粒状肥料の含有肥料成分量が低下して好ましくない。
本発明を実施例に基づいて説明する。尚、実施例、比較例の結果は表1にまとめて記した。
(I)実施例で使用した材料
1)ロジン系樹脂
ロジン系樹脂(1)(RO(1)と略記):ライムロジン(酸価:90)(荒川化学工業(株)社製 商品名 ライムレジンNo.1)
ロジン系樹脂(2)(RO(2)と略記):ライムロジン(酸価:75)(荒川化学工業(株)社製 商品名 ライムレジンNo.12)
ロジン系樹脂(3)(RO(3)と略記):ロジンエステル(酸価:18)(荒川化学工業(株)社製 商品名 スーパーエステルT−125)
ロジン系樹脂(4)(RO(4)と略記):マレイン酸ロジン(酸価:135)(荒川化学工業(株)社製 商品名 マルキードNo.32)
2)低密度ポリエチレン(PO(1)):密度0.922(旭化成ケミカルズ(株)社製 商品名 サンテックM2270)
ポリマーラボラトリー社製高温GPC装置(PL−GPC 210型)に、同社製カラム(PL gel MIXED−B、2本)を装着し、オーブン温度140℃、オルトジクロロベンゼンを溶離液として測定した重量平均分子量は74000であった。尚、標品は同社の標準ポリエチレンを使用した。
3)高密度ポリエチレン(PO(2)):密度0.961(旭化成ケミカルズ(株)社製 商品名 サンテックJ300)
上記PO(1)と同様の方法で測定した重量平均分子量は、50000であった。
4) プラストマー(PO(3):エチレン・1−オクテン共重合体):密度0.867(ダウ・ケミカル日本(株)社製 商品名 アフィニティーEG8150G)
上記PO(1)と同様の方法で測定した重量平均分子量は、130000であった。
5)無機フィラー:タルク
FM77(富士タルク(株)製)を使用した。レーザー回析式粒度分布測定機により測定された50%粒子径は、8μであった。
6)原料肥料
粒状尿素(46−0−0:全窒素として46質量%を含有)(三井物産(株)社製 商品名 大粒尿素)
を3.03mm〜3.88mmの篩いで粒度調整したものを使用した。
(II)溶出日数及び溶出抑止日数の測定
下記に示すとおり、25℃水中での溶出評価を行った。
被覆粒状肥料5gをポリエチレン製の溶出瓶に入れ、200mlの蒸留水を満たして密栓する。この溶出瓶を25℃のインキュベーターに保存し、一定時間経過毎に蒸留水に溶けだした全窒素を測定した。被覆粒状肥料の溶出率は、もとの被覆粒状肥料に含まれていた全窒素に対する溶出してきた全窒素の百分率で表示する。
上記溶出率を経過日数毎にグラフ等にプロットすると、溶出率が5%に達した日数として溶出抑止日数が、溶出率が80%に達した日数として溶出日数が得られる。
(III)被膜強度試験(動力散布機試験)
背負い型動力散布機(丸山製作所、MDJ60GTS−26)を使用し、エンジンスロットル4、シャッター開度7の条件で、被覆粒状肥料500gを噴管先端から吐出散布し、散布された被覆粒状肥料を回収した。
試験前の被覆粒状肥料20gと散布機から回収した被覆粒状肥料20gを各々、蒸留水400mlと共にポリエチレン製の溶出瓶に仕込み、25℃のインキュベーターで保管した。10日後に、各々の溶出瓶をインキュベーターから抜き出し、試料液を採取した後、全窒素の測定を行って各々の被覆粒状肥料の溶出率を算出した。本発明においては、散布機試験後の被覆粒状肥料の溶出率から、試験前の被覆粒状肥料の溶出率を差し引いた値が、5%以下のものを被膜強度が良好であるとし、3%以下であるものを更に良好であるとした。
(IV)CF被膜浮上試験
50cm*85cm*深さ18cmの大型トレーを用意し、5mm未満のサイズに調整した水田土壌(富士市柏原産)を底から10cmの高さまで投入した。次に、被覆粒状肥料330粒(約100g)をトレーに投入し、被覆粒状肥料を傷つけないように注意しながら、鍬を使用して水田土壌とよく混合した。次に、土壌表面から5cmの高さまで注水を行った。次いで、3株づつ18束のコシヒカリをトレーに定植した。
トレーは、屋外放置とし、試験開始から6ヶ月後にトレー下部の排水口から排水するまでは、トレー内の水位が変動しないように人為的に灌水を行った。試験開始から6ヶ月後以降は、人為的な灌水は実施しなかった。尚、トレー上部には網付の水位調節口を設け、大雨等でトレー内の水位が増した場合には、調節口から排水するようにした。コシヒカリの収穫は、試験開始から7ヶ月後に行った。
試験開始1年後に、トレー内の雑草を除去した。この時、草は根ごと引き抜かず土壌表面で裁断し、地上部だけ除いた。次に、鍬でトレー内の土壌を大きな塊が存在しなくなるまで攪拌した。続いて、土壌表面から2cmの高さまで注水を行った。その後、スコップでトレー内をよく攪拌した。暫く静置後に、土壌表面が均一な高さになるよう調整した。次に、土壌表面から5cmの高さまで再度注水し、一晩静置した。翌日、水面に浮上して
いる被覆粒状肥料の被膜(カラ)を網で回収し、浮上粒数をカウントした。被膜浮上率は、浮上粒数を投入粒数(330)で除した値に100を乗じて計算した。本発明においては、この被膜浮上率が10%未満であることが好ましく、5%未満であることが更に好ましい。尚、当試験は、実際の水田土壌を模したものであるので、自然条件(温度、水分)等を考慮すると、試験を開始する時期としては、4月から5月が好ましい。
(V)被膜分解性試験
静岡県富士市岩本地区から採取した黒ボク土1kgに被覆粒状肥料1000粒を混合し、網底のポットに入れ、網底面が土中10cmの深さになるように屋外に埋設した。2年経過後に被覆粒状肥料を取り出し、試験用の篩いで肥料殻と土を選別し、球状の肥料の殻に穴が空いているもの、形態をほとんど留めないものを被膜分解粒としてカウントし、1000粒に対する被膜分解粒の百分率を被膜分解率とした。本発明では、2年後の被膜分解率が90%以上のものを良好な被膜分解性をもつ被覆粒状肥料とした。尚、この被膜分解率が95%以上のものは、土と選別しようとした際に、極めて殻らしき残骸が見つけづらいものであった。
[実施例1]
図1に示した噴流塔型被覆装置を使用して被覆粒状肥料を製造した。1は噴流塔本体、2は原料肥料投入口、3は被膜材料を溶解分散させた液体をスプレーするノズル、4は噴流状態にある原料肥料、5は被膜材料の溶解分散液をスプレーノズルに供給する送液ポンプ、6は被覆肥料抜き出し口、7は熱風を送風する加熱装置、8はオリフィス流量計、9はガス循環ブロアー、10は除塵装置、11は溶剤凝縮器、12は溶剤貯槽、13は溶剤貯槽から溶解槽に溶剤を供給する送液ポンプ、14は被膜材料を溶剤で溶解する溶解槽、15は被膜材料の溶解分散液である。
より詳しく説明すると、1は塔径400mm、高さ3000mm、下部円錐角60℃、下部オリフィス部内径60mmの噴流塔であり、噴流塔の下部オリフィス部に熱風の入り口及び頭頂部に熱風の出口を有する。また、塔の中段部に2の原料肥料投入口を有し、原料肥料を被覆した後は6の製品抜き出し口より被覆肥料を排出する。10はバグフィルター(除塵装置)であり、内部に内径150mm、長さ2000mm、1μmの微粒子除去能力99.5%のフィルターを9本内蔵している。11は有効伝熱面積56平方mのフィンチューブ式冷却凝縮器であり、噴流塔内で気化した溶剤は、ここで液化し、12の溶剤貯槽に戻る。被膜材料を溶解分散させる際には、溶剤が13の送液ポンプによって、12の溶剤貯槽から14の溶解槽に供給される。溶解槽には、撹拌装置と加熱のためのスチームジャケット及び温度調節器がついている。5は溶解槽で被膜材料が加熱溶解あるいは加熱分散された溶解分散液を3のスプレーノズルに供給する送液ポンプであり、6.6kg/minの送液能力を持つ。9は600N立方m/hr、0.35atmの送風能力を持つルーツ型ブロアーであり、8のオリフィス流量計によって風量が制御される。7は、有効伝熱面積7.5平方mのフィンチューブ式熱風発生装置である。
(1)被覆液の調整
57kgのテトラクロロエチレンに、PO(1)750g、PO(2)150g、RO(1)600gを秤量して投入し、該溶剤の沸点まで加熱リフラックスさせて、これらの樹脂を溶解させた。さらに、この溶液にタルク1500gを加え、十分に攪拌して被覆液を調整した。
(2)被覆粒状肥料の製造
粒状尿素30kgを上記被覆装置の噴流塔に投入し、熱風を送風して安定な噴流状態を形成させた。塔内の温度は65℃であった。次に、上記で調整した被覆液を送液ポンプにより、スプレーノズルから18分を要して噴流塔内に供給し、粒状肥料に全量被覆させた。この間、噴流塔内は65±2℃となるよう熱風の温度を調整した。その後、熱風を冷風に切り替え、45℃以下となった時点で噴流塔から製品を抜き出した。
製造された被覆粒状肥料の質量は33kgであり、供給された固形分のほぼ全量が被覆されていたことがわかった。
(3)被覆粒状肥料の評価
得られた被覆粒状肥料の各物性を評価した結果を表1に示す。
[実施例2]
RO(1)をRO(2)とした以外は、実施例1と同様の方法で被覆粒状肥料を得た。得られた被覆粒状肥料は33kgであり、供給された固形分のほぼ全量が被覆されていたことがわかった。得られた被覆粒状肥料の各物性を評価した結果を表1に示す。
[実施例3]
PO(1)を660gとし、RO(1)を540gとし、タルクを1650gとした以外は、実施例1と同様の方法で被覆粒状肥料を得た。得られた被覆粒状肥料は33kgであり、供給された固形分のほぼ全量が被覆されていたことがわかった。得られた被覆粒状肥料の各物性を評価した結果を表1に示す。
[実施例4]
PO(1)を600gとし、PO(3)を150g追加投入した以外は、実施例1と同様の方法で被覆粒状肥料を得た。得られた被覆粒状肥料は33kgであり、供給された固形分のほぼ全量が被覆されていたことがわかった。得られた被覆粒状肥料の各物性を評価した結果を表1に示す。
[実施例5]
PO(1)を900gとし、PO(2)を180gとし、RO(1)を720gとし、タルクを1200gとした以外は、実施例1と同様の方法で被覆粒状肥料を得た。得られた被覆粒状肥料は33kgであり、供給された固形分のほぼ全量が被覆されていたことがわかった。得られた被覆粒状肥料の各物性を評価した結果を表1に示す。
[実施例6]
PO(1)を630gとし、PO(2)を120gとし、RO(1)を750gとした以外は、実施例1と同様の方法で被覆粒状肥料を得た。得られた被覆粒状肥料は33kgであり、供給された固形分のほぼ全量が被覆されていたことがわかった。得られた被覆粒状肥料の各物性を評価した結果を表1に示す。
[比較例1]
RO(1)をRO(3)とした以外は、実施例1と同様の方法で被覆粒状肥料を得た。得られた被覆粒状肥料は33kgであり、供給された固形分のほぼ全量が被覆されていたことがわかった。得られた被覆粒状肥料の各物性を評価した結果を表1に示す。
[比較例2]
RO(1)をRO(4)とした以外は、実施例1と同様の方法で被覆粒状肥料を得た。得られた被覆粒状肥料は33kgであり、供給された固形分のほぼ全量が被覆されていたことがわかった。得られた被覆粒状肥料の各物性を評価した結果を表1に示す。
[比較例3]
PO(1)を1140gとし、PO(2)を210gとし、RO(1)を150gとした以外は、実施例1と同様の方法で被覆粒状肥料を得た。得られた被覆粒状肥料は33kgであり、供給された固形分のほぼ全量が被覆されていたことがわかった。得られた被覆粒状肥料の各物性を評価した結果を表1に示す。
[比較例4]
PO(1)を240gとし、PO(2)を60gとし、RO(1)を1200gとした以外は、実施例1と同様の方法で被覆粒状肥料を製造したが、被覆時に若干のブロッキング(肥料粒同士の付着)が認められた。得られた被覆粒状肥料は32.9kgであり、供給された
固形分のほぼ全量が被覆されていたことがわかった。得られた被覆粒状肥料の各物性を評価した結果を表1に示す。
[比較例5]
PO(1)を450gとし、PO(2)を90gとし、RO(1)を360gとし、タルクを2100gとした以外は、実施例1と同様の方法で被覆粒状肥料を得た。得られた被覆粒状肥料は33kgであり、供給された固形分のほぼ全量が被覆されていたことがわかった。得られた被覆粒状肥料の各物性を評価した結果を表1に示す。
[比較例6]
PO(1)を1110gとし、PO(2)を240gとし、RO(1)を900gとし、タルクを750gとした以外は、実施例1と同様の方法で被覆粒状肥料を製造したが、被覆時に若干のブロッキング(肥料粒同士の付着)が認められた。得られた被覆粒状肥料は32.9kgであり、供給された固形分のほぼ全量が被覆されていたことがわかった。得られた被覆粒状肥料の各物性を評価した結果を表1に示す。
[比較例7]
PO(1)を900gとし、PO(2)を添加しなかった以外は、実施例1と同様の方法で被覆粒状肥料を得た。得られた被覆粒状肥料は33kgであり、供給された固形分のほぼ全量が被覆されていたことがわかった。得られた被覆粒状肥料の各物性を評価した結果を表1に示す。
[比較例8]
PO(1)を600gとし、PO(2)を300gとした以外は、実施例1と同様の方法で被覆粒状肥料を得た。得られた被覆粒状肥料は32.9kgであり、供給された固形分のほぼ全量が被覆されていたことがわかった。但し、高密度ポリエチレンの配合量が多いため、テトラクロロエチレンへの溶解時間が、実施例1〜6及び比較例1〜7より長くなり、さらには少量の溶解残査がスプレー配管のストレーナーに残留していた。得られた被覆粒状肥料の各物性を評価した結果を表1に示す。
表1に示すように、実施例1〜6で得られた被覆粒状肥料は、使用前の被膜強度に優れながらも、溶出終了後の被膜分解性に優れ、かつ溶出終了後の被膜が代掻き時等に浮上しにくく、更に初期溶出が厳密に抑制された時限型の溶出パターンを示しており、水稲栽培用の被覆粒状肥料として好適である。
それに対し、比較例1〜8の被覆粒状肥料は、使用前の被覆強度、溶出終了後の被膜分解性、溶出終了後の被膜浮上性、水稲栽培に適した時限型の溶出パターンといった複数の要求特性を同時に満たすものではなく、水稲栽培用の被覆粒状肥料として好適ではなかった。
Figure 2008001550
本発明の被覆粒状肥料は、被覆粒状肥料の分野、特に水稲栽培で好適に使用できる。
実施例1で用いた噴流塔型被覆装置の説明図である。
符号の説明
1 噴流塔本体
2 原料肥料投入口
3 被膜材料を溶解分散させた液体をスプレーするノズル
4 噴流状態にある原料肥料
5 被膜材料の溶解分散液をスプレーノズルに供給する送液ポンプ
6 被覆肥料抜き出し口
7 熱風を送風する加熱装置
8 オリフィス流量計
9 ガス循環ブロアー
10 除塵装置
11 溶剤凝縮器
12 溶剤貯槽
13 溶剤貯槽から溶解槽に溶剤を供給する送液ポンプ
14 被膜材料を溶剤で溶解する溶解槽
15 被膜材料の溶解分散液
SL スチーム

Claims (5)

  1. ロジン系樹脂及び低密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレン及び無機フィラーを含む被膜で原料肥料を被覆したことを特徴とする被覆粒状肥料
  2. 酸価が60〜120を示すロジン系樹脂が、被膜中の全樹脂質量に対し20〜60質量%含有されることを特徴とする請求項1の被覆粒状肥料
  3. 被膜中の高密度ポリエチレンの配合割合が、低密度ポリエチレンの質量に対し、5〜40質量%であることを特徴とする請求項1〜2の被覆粒状肥料
  4. 被膜中の無機フィラー含量が30〜65質量%であることを特徴とする請求項1〜3の被覆粒状肥料
  5. 原料肥料が尿素系肥料であることを特徴とする請求項1〜4の被覆粒状肥料
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