JP2003054916A - 多孔質無機粉末の製造方法 - Google Patents

多孔質無機粉末の製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 種々の用途に好適に使用できる多孔質無機粉
末を得ることができる多孔質無機粉末の製造方法を提供
する。 【解決手段】 本発明は、樹脂エマルジョンに、金属化
合物を添加し、前記樹脂エマルジョンを構成する樹脂粒
子の表面に前記金属化合物を析出もしくは沈降させた
後、該樹脂粒子を分離して焼成することを特徴とする多
孔質無機粉末の製造方法に係る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多孔質無機粉末の
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、多孔質無機粉末は、電子材
料、導電材料、触媒、担体、光学材料、マイクロカプセ
ル材料、隠蔽材、充填材、顔料、研磨材、センサー材
料、濾過材、ガス吸着材等に利用され、更なる応用の期
待から種々の研究がなされている。多孔質無機粉末の製
造方法としては、例えば、発泡ポリスチレンビーズ等の
樹脂粒子を芯材として用い、該樹脂粒子の表面に、シリ
カ、ライム、アルミナ、マグネシア、ドロマイト、シャ
モット等の無機粉末をバインダーにより付着させて無機
粉末からなる殻を形成した後、焼成して樹脂粒子を除去
する方法(特開昭61−215238号公報、特開平2
−277544号公報等)、平均粒径0.8〜100μ
m程度の芯材となる樹脂粒子と該粒子の1/5以下の平
均粒径を有する無機粉末とを、気流中で高速攪拌して、
芯材となる樹脂粒子表面を無機粉末で被覆した後、焼成
して樹脂粒子を除去する方法(特開平5−138009
号公報)、高速攪拌によって、芯材となる樹脂粒子表面
を銅系無機粉末で被覆し、これを不活性ガス雰囲気下で
焼成する方法(特開平6−39273号公報)等が提案
されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の方法によれば、芯材となりうる樹脂粒子の形状や粒
径を均一なものとすることが困難であることから、得ら
れる多孔質無機粉末は、粒径が著しく不均一となり、例
えば、樹脂の充填材として用いた場合に、分散性が良好
ではなく、均一な物性を樹脂に付与できないという重大
な欠点がある。また、従来の方法により得られる多孔質
無機粉末は、その内部が空洞(中空で且つ内部に何も無
い状態)になったものであり、強度が低く、樹脂に充填
する際に、空洞の大部分が壊れてしまうという欠点があ
る。更に、従来の方法によれば、芯材となる樹脂粒子の
粒子径を小さくすることに限界があることから、得られ
る多孔質無機粉末は、最も小さいものでも、平均粒径が
数ミクロンから数十ミクロン程度の大きさのものであ
り、これを透明性樹脂に充填した場合には、樹脂の透明
性を損なうという欠点がある。そこで、本発明の課題
は、従来の方法により得られる多孔質無機粉末の欠点を
解消し、種々の用途に好適に使用できる多孔質無機粉末
を得ることができる多孔質無機粉末の製造方法を提供す
ることにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決すべく鋭意研究を重ねた結果、多孔質無機粉末の新
規な製造方法を開発することに成功し、本発明を完成す
るに至った。即ち、本発明は、樹脂エマルジョンに、金
属化合物を添加し、前記樹脂エマルジョンを構成する樹
脂粒子の表面に前記金属化合物を析出もしくは沈降させ
た後、該樹脂粒子を分離して焼成することを特徴とする
多孔質無機粉末の製造方法に係る。
【0005】本発明によれば、樹脂エマルジョンを構成
する樹脂粒子の形状及び粒子径が比較的均一であるため
か、得られる多孔質無機粉末は、粒子形状及び粒子径が
略均一に揃っており、しかも、樹脂等に対して非常に良
好な分散性を示し、樹脂に略均一な物性を付与し得る。
更に、樹脂エマルジョンを構成する樹脂粒子が非常に微
細であることから、得られる多孔質無機粉末は、通常数
ナノメーター〜数百ナノメーター程度の非常に微細な粒
子となるため、透明性樹脂に充填した場合には、樹脂の
透明性を実質的に損なうことがないと言う優れた特性を
も有している。
【0006】また、本発明によれば、多孔質の外殻を有
する中空状の多孔質無機粉末を得ることができるが、該
多孔質無機粉末は、内部(中空部分)が単なる空洞では
なく、細孔が網目状に且つ三次元的に連結した多孔質形
状になっていると考えられ、従来のものより高い強度を
示し、樹脂に充填しても中空状を保持し易く、通常、充
填量の少なくとも1/2が中空状を保持したまま存在し
うる。さらに、本発明により得られる多孔質無機粉末
は、非常に大きな表面積を有している。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明に用いる樹脂エマルジョン
としては特に制限されず、公知のものをいずれも使用で
き、例えば、樹脂粒子を水系もしくは溶媒系にてエマル
ジョン化したもの、乳化重合等により製造されたエマル
ジョン状態の樹脂エマルジョン等を挙げることができ
る。より具体的には、例えば、ポリスチレンエマルジョ
ン、ポリ酢酸ビニルエマルジョン、エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体エマルジョン、酢酸ビニル−バーサテート共
重合体エマルジョン、エチレン−酢酸ビニル−塩化ビニ
ル共重合体エマルジョン、エチレン−酢酸ビニル−アク
リル酸エステル共重合体エマルジョン、アクリル酸エス
テル重合体エマルジョン、アクリル酸エステル−スチレ
ン共重合体エマルジョン、ポリ塩化ビニルエマルジョ
ン、シリコーン樹脂エマルジョン、エポキシ樹脂エマル
ジョン等を挙げることができる。これらの中でも、シリ
コーン樹脂エマルジョン及びエポキシ樹脂エマルジョン
を除いた他の樹脂エマルジョンが好ましく、ポリスチレ
ンエマルジョン等が特に好ましい。樹脂エマルジョンと
しては、1種を単独で使用でき又は必要に応じて2種以
上を併用できる。
【0008】樹脂エマルジョンを構成する樹脂粒子の粒
径としては、特に制限はないが、通常は1nm〜1μm
程度のものを用いればよい。本発明において、樹脂エマ
ルジョンに添加する金属化合物としても特に制限はない
が、例えば、銅、銀、金、ベリリウム、マグネシウム、
カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、イット
リウム、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウ
ム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ゲルマニウ
ム、スズ、鉛、バナジウム、ニオブ、タンタル、アンチ
モン、ビスマス、クロム、モリブデン、タングステン、
マンガン、鉄、コバルト及びニッケルから選ばれる1種
又は2種以上の金属の無機塩、有機塩、酸化物等を挙げ
ることができる。これらの中でも、金属の無機塩や酸化
物が好ましく、水酸化物、塩化物、炭酸塩、硫酸塩、酸
化物等が特に好ましい。より具体的には、水酸化アルミ
ニウム、水酸化マグネシウム、水酸化ジルコニウム、水
酸化チタン、水酸化カルシウムなどの水酸化物、塩化ア
ルミニウム、塩化マグネシウム、塩化チタン、塩化ジル
コニウム、塩化カルシウムなどの塩化物、硫酸アルミニ
ウム、硫酸マグネシウム、硫酸チタニル、硫酸ジルコニ
ウム、硫酸カルシウムなどの硫酸塩、あるいはリン酸ア
ルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの
各種塩類、アルミナ、マグネシア、酸化銅、酸化鉄、酸
化チタン、酸化スズ、酸化クロム、酸化イットリウム、
ジルコニア、酸化鉛、酸化銀、酸化コバルト、酸化亜
鉛、酸化ニオブ、酸化ルテニウム等の酸化物、チタン酸
バリウム、カオリン、珪酸ジルコニウム、炭化チタン、
窒化アルミニウム、窒化鉄、ケイ化モリブデンなどの各
種金属化合物を挙げることができる。金属化合物は、1
種を単独で使用でき又は必要に応じて2種以上を併用で
きる。
【0009】金属化合物は粉末の状態で樹脂エマルジョ
ンに添加できるが、水溶液もしくは溶媒溶液又は水分散
液もしくは溶媒分散液の形態で添加するのが、樹脂エマ
ルジョンに対してより均一な分散状態(分散液の場合)
を形成させる等により、樹脂粒子毎に析出又は沈降する
金属化合物量の均一化を図るという観点から好ましい。
これらの溶液又は分散液における金属化合物の含有量は
特に制限されず、作業性等を考慮して、広い範囲から適
宜選択すればよい。
【0010】金属化合物の使用量は特に制限されず、樹
脂エマルジョンを構成する樹脂粒子の種類や粒径、金属
化合物自体の種類、得ようとする多孔質無機粉末の用途
等の各種条件に応じて広い範囲から適宜選択できるが、
通常樹脂粒子100重量部に対して、1〜100重量
部、好ましくは5〜50重量部とすればよい。
【0011】本発明において、金属化合物又はその溶液
若しくは分散液を樹脂エマルジョンに添加するに際して
は、該樹脂エマルジョンを15〜95℃程度に加温して
もよく、又は加温しなくてもよい。
【0012】本発明においては、金属化合物を前記樹脂
粒子に析出又は沈降させるために、樹脂エマルジョンに
pH調整剤を添加することが好ましい。樹脂エマルジョ
ン(金属化合物、その溶液又はその分散液が混合された
樹脂エマルジョンを含む)にpH調整剤を添加すること
により、樹脂粒子表面の全面又は一部を金属化合物で容
易に被覆することができる。即ち、pHを調整すること
により金属化合物溶液から金属化合物を樹脂エマルジョ
ンを構成する樹脂粒子表面に析出させ、もしくは金属化
合物ゾルを樹脂粒子表面に沈降させることができ、樹脂
粒子表面を金属化合物で容易に被覆することができる。
尚、析出する金属化合物は、樹脂エマルジョンに添加す
る金属化合物と必ずしも一致している必要はない。
【0013】金属化合物が樹脂粒子表面に析出・沈降す
るpH範囲は、金属化合物の種類によって異なるので、
適宜変更する必要があるが、予備実験により容易に決定
することができる。
【0014】使用するpH調整剤としては特に制限され
ず、公知のものをいずれも使用できる。酸としては、例
えば、塩酸、硫酸、硝酸、炭酸等の無機酸、酢酸、クエ
ン酸等の有機酸等を挙げることができる。アルカリ剤と
しては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等
のアルカリ金属の水酸化物、炭酸水素ナトリウム、炭酸
ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム等の炭酸
塩、アンモニア水、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモ
ニウム等のアンモニウム化合物等を挙げることができ
る。pH調整剤は、通常、水溶液もしくは気体の形態で
使用することができる。水溶液とした場合のpH調整剤
の濃度は、金属化合物を析出させるのに必要な量や作業
性等を考慮して適宜決定すればよい。pH調整剤は、樹
脂エマルジョンに、金属化合物(その溶液若しくは分散
液を含む)と同時に添加してもよく、また、別々に添加
してもよい。
【0015】本発明においては、pH調整等により得ら
れる、金属化合物で表面が被覆された樹脂粒子を、濾
過、遠心分離等の一般的な方法で反応混合物中から分離
し、必要に応じて乾燥させた後、焼成し、樹脂粒子を熱
分解することにより、多孔質無機粉末を製造できる。
【0016】乾燥工程を設ける場合、通常30〜100
℃程度の比較的低い温度下に行うのが好ましく、1〜3
0時間程度で終了する。焼成温度は、樹脂粒子が熱分解
し得る温度であれば特に制限されないが、樹脂粒子をほ
ぼ完全に熱分解すると共に、多孔質無機粉末内部の細孔
が融着しないようにするため、通常、500〜1400
℃、好ましくは600〜1000℃とするのがよい。焼
成時間は、通常0.5〜10時間、好ましくは1〜3時
間とするのがよい。
【0017】焼成の際の雰囲気は特に制限されず、例え
ば、空気等の酸化性雰囲気、水素ガス、一酸化炭素ガ
ス、アンモニアガス等の還元性雰囲気、窒素ガス、ヘリ
ウムガス、アルゴンガス等の不活性雰囲気等を挙げるこ
とができる。酸化性雰囲気中で焼成を行うと、表面に炭
素被膜の殆どない多孔質無機粉末が得られる。還元性雰
囲気又は不活性雰囲気中で焼成を行うと、樹脂粒子中の
炭素成分によって炭素被膜が表面に形成された多孔質無
機粉末が得られる。
【0018】このようにして得られる多孔質無機粉末
は、通常1nm〜500nm程度の非常に微細な粒径を
有し、BET比表面積が大きいもので1500m2/g
程度あり、通常は100〜500m2/g程度である。
【0019】本発明により得られる多孔質無機粉末は、
例えば、各種樹脂の充填材として好適に使用できる。こ
こで樹脂としては特に制限はなく、例えば、ポリオレフ
ィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリスチレ
ン、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリアセ
タール、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、サーモト
ロピック液晶ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリ
エーテルエーテルケトン、ポリエーテル、ポリフェニレ
ンサルファイド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、P
TFE、PFA等の熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、エ
ポキシ樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル、ポリウ
レタン等の熱硬化性樹脂、天然ゴム、ニトリルゴム、ニ
トリルブタジエンゴム、ブタジエンゴム、スチレン・ブ
タジエンゴム、クロロプレンゴム、EPDM、シリコン
ゴム等のゴム類等を挙げることができる。
【0020】多孔質無機粉末を樹脂に配合する方法とし
ては、特に制限はないが、熱可塑性樹脂やゴム類の場合
は、加熱混練等により混合・分散させるのが一般的であ
る。加熱混練は、予め樹脂粉末又は樹脂ペレットと多孔
質無機粉末とを乾式混合した後に行ってもよい。また、
多孔質無機粉末を高濃度で含むマスターバッチを製造
し、これと樹脂とを加熱混練してもよい。熱硬化性樹脂
の場合は、湿式で混合・分散させる方法、粉末樹脂と乾
式混合する方法等を挙げることができる。
【0021】得られる組成物は、射出成形、押出成形、
トランスファー成形、注型成形等の一般的な成形手段に
より、任意の形状の成形品とすることができる。
【0022】また、本発明により得られる多孔質無機粉
末は、溶剤に溶解させた樹脂、反応型の液状プラスチッ
ク等の塗料用樹脂に配合することができる。塗料用途に
好適な樹脂としては、例えば、フッ素樹脂、ポリ塩化ビ
ニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ア
クリル樹脂、アルキド樹脂、酢酸ビニル樹脂、シリコー
ン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステ
ル、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン等を挙げる
ことができる。更に樹脂の代わりにゴム類も使用でき
る。ゴム類としては、例えば、スチレンブタジエンゴ
ム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ポリサルファイド
ゴム、シリコーンゴム等を挙げることができる。本発明
によって得られる多孔質無機粉末は、その多孔質性を利
用し、例えば、触媒、触媒の担体、吸着剤等としても有
用性が高い。
【0023】
【実施例】以下に、参考例、実施例及び比較例を挙げ、
本発明を具体的に説明する。参考例1 ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート(試薬、和
光純薬(株)製)10gを脱イオン水1800gに溶解
させた後、スチレンモノマー(試薬、和光純薬(株)
製)200gを徐々に加えて乳化させた。次にペルオキ
ソ二硫酸カリウム1gを脱イオン水10gに溶解したも
のを加え、窒素雰囲気下、70℃で24時間乳化重合を
行い、ポリスチレンの水系エマルジョンを製造した。
【0024】実施例1 塩化アルミニウム(III)6水和物(試薬特級、和光
純薬(株)製)71gを脱イオン水200gに溶解さ
せ、溶液Aを調製した。水酸化ナトリウム(試薬特級、
和光純薬(株)製)40gを脱イオン水200gに溶解
させ、溶液Bを調製した。参考例1のポリスチレンエマ
ルジョン350g(ポリスチレン含量35g)を70℃
に昇温し、攪拌下に、溶液A及び溶液Bを同時に徐々に
滴下し、pH7を維持した。滴下終了後、同温度に保持
しながら更に2時間攪拌し、固形物を水洗しながら濾取
し、50℃で24時間乾燥し、白色粉末を製造した。得
られた白色粉末は、TEM観察から、平均粒径50〜5
00nmの球状粒子であり、その表面には略均一な被覆
層が形成されていることが確認された。また、熱重量分
析の結果、この白色粉末はポリスチレンが約70重量%
とアルミニウム成分がAl23換算で約30重量%とか
らなることが確認された。この白色粉末を、電気炉に
て、800℃で1時間焼成し、多孔質アルミナ粉末を製
造した。この粉末は、TEM観察から、加熱処理前の平
均粒径(50〜500nm)よりややサイズの小さな、
中空状のアルミナ粉末であることが確認された。該中空
状のアルミナ粉末は、0.05〜0.10g/mlの嵩
密度及び150〜200m2/gの比表面積を有してい
た。
【0025】実施例2 実施例1と同様にして製造された、ポリスチレン粒子の
表面にアルミニウム成分が均一に被覆された平均粒径5
0〜500nmの白色粉末を、箱型の雰囲気調整炉中で
窒素雰囲気下、950℃で1時間焼成し、黒色粉末を製
造した。得られた黒色粉末をTEMにより観察したとこ
ろ、焼成前の平均粒径よりもやや小さい中空状の多孔質
粉末であり、その表面にカーボンが被覆されていること
が確認された。
【0026】比較例1 平均粒径200μmのポリスチレン粒子100重量部と
ポリビニルアルコールの15%水溶液(粘度1000ポ
イズ)300重量部とをモルタルミキサーで混合した。
更に、アルミナ2500重量部を加え、引き続き混合
し、ポリスチレン粒子の表面をアルミナで被覆した。得
られたアルミナ被覆物を70℃で10時間乾燥し、更に
電気炉で4時間焼成し、白色粉末(中空アルミナ粉末)
を製造した。この白色粉末について、TEM観察を行っ
たところ、平均粒径は約100〜150μmであり、実
施例1の本発明品に比べ粒径の大きなものであることが
確認された。試験例1 実施例1及び比較例1の白色粉末60gを、SBR(商
品名:SBR−1712、日本合成ゴム(株)製)13
7.5gに加え、1軸押出機にて混練し、成形して、厚
さ3mmのシートを製造した。該シートを切断し、その
切断面をTEM観察したところ、実施例1の白色粉末を
用いたシートでは、該白色粉末が略均一に分散し、その
70%が略完全に中空を保ったままであったのに対し、
比較例1の白色粉末を用いたシートでは、その殆どが破
壊され、元の中空形状を保持しているものはなかった。
更に、比較例1の白色粉末が破壊された破片は、一部分
に集中していることが多く、部分的には破片の存在すら
認められず、分散状態が良好でないことも確認された。
【0027】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、(1)
粒子形状及び粒子径が略均一に揃い、樹脂等に対して非
常に良好な分散性を示し、略均一な物性を樹脂に付与で
き、(2)中空状であるが、従来の多孔質無機粉末より
も強度が高く、樹脂に充填しても中空状を保持し易く、
(3)粒径が通常、数ナノメーター〜数百ナノメーター
程度の非常に微細な粒子であり、透明性樹脂に充填して
も、該樹脂の透明性を実質的に損なうことがなく、更
に、(4)比表面積が大きい多孔質無機粉末を簡便に得
ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G042 DA01 DB10 DB22 DB28 DB31 DC01 DD01 DD06 DE04 DE12 4G076 AA02 AB04 AB11 BA13 BA22 BA38 BB08 BC02 BF06 CA02 CA12 DA01 DA02 DA15 DA30

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂エマルジョンに、金属化合物を添加
    し、前記樹脂エマルジョンを構成する樹脂粒子の表面に
    金属化合物を析出もしくは沈降させた後、該樹脂粒子を
    分離して焼成することを特徴とする多孔質無機粉末の製
    造方法。
  2. 【請求項2】 前記樹脂エマルジョンにpH調整剤を添
    加することにより、金属化合物を前記樹脂粒子に析出又
    は沈降させる請求項1記載の多孔質無機粉末の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 前記樹脂エマルジョンが、ポリスチレン
    エマルジョン、ポリ酢酸ビニルエマルジョン、エチレン
    −酢酸ビニル共重合体エマルジョン、酢酸ビニル−バー
    サテート共重合体エマルジョン、エチレン−酢酸ビニル
    −塩化ビニル共重合体エマルジョン、エチレン−酢酸ビ
    ニル−アクリル酸エステル共重合体エマルジョン、アク
    リル酸エステル重合体エマルジョン、アクリル酸エステ
    ル−スチレン共重合体エマルジョン、ポリ塩化ビニルエ
    マルジョン、シリコーン樹脂エマルジョン及びエポキシ
    樹脂エマルジョンから選ばれる1種又は2種以上である
    請求項1又は2に記載の多孔質無機粉末の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記樹脂エマルジョンに添加する金属化
    合物が、銅、銀、金、ベリリウム、マグネシウム、カル
    シウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、イットリウ
    ム、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、チ
    タン、ジルコニウム、ハフニウム、ゲルマニウム、ス
    ズ、鉛、バナジウム、ニオブ、タンタル、アンチモン、
    ビスマス、クロム、モリブデン、タングステン、マンガ
    ン、鉄、コバルト及びニッケルから選ばれる1種又は2
    種以上の金属の無機塩、有機塩又は酸化物である請求項
    1乃至3の何れかに記載の多孔質無機粉末の製造方法。
  5. 【請求項5】 500〜1400℃の温度下に焼成を行
    う請求項1乃至4の何れかに記載の多孔質無機粉末の製
    造方法。
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JP2006213534A (ja) * 2005-02-01 2006-08-17 Kawamura Inst Of Chem Res 無機酸化物周期構造体
JP2006282399A (ja) * 2005-03-11 2006-10-19 Sumitomo Osaka Cement Co Ltd ナノ粒子の製造方法
JP2008532913A (ja) * 2005-03-18 2008-08-21 シンベンション アーゲー 多孔性の焼結化金属材料の調製のためのプロセス
JP2016031854A (ja) * 2014-07-29 2016-03-07 住友金属鉱山株式会社 遷移金属複合水酸化物粒子とその製造方法、およびそれを用いた非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法

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