JP3662208B2 - 多孔質無機粉末の製造方法 - Google Patents

多孔質無機粉末の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多孔質無機粉末の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、多孔質無機粉末は、電子材料、導電材料、触媒、担体、光学材料、マイクロカプセル材料、隠蔽材、充填材、顔料、研磨材、センサー材料、濾過材、ガス吸着材等に利用され、更なる応用の期待から種々の研究がなされている。多孔質無機粉末の製造方法としては、例えば、発泡ポリスチレンビーズ等の樹脂粒子を芯材として用い、該樹脂粒子の表面に、シリカ、ライム、アルミナ、マグネシア、ドロマイト、シャモット等の無機粉末をバインダーにより付着させて無機粉末からなる殻を形成した後、焼成して樹脂粒子を除去する方法(特開昭61−215238号公報、特開平2−277544号公報等)、平均粒径0.8〜100μm程度の芯材となる樹脂粒子と該粒子の1/5以下の平均粒径を有する無機粉末とを、気流中で高速攪拌して、芯材となる樹脂粒子表面を無機粉末で被覆した後、焼成して樹脂粒子を除去する方法(特開平5−138009号公報)、高速攪拌によって、芯材となる樹脂粒子表面を銅系無機粉末で被覆し、これを不活性ガス雰囲気下で焼成する方法(特開平6−39273号公報)等が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の方法によれば、芯材となりうる樹脂粒子の形状や粒径を均一なものとすることが困難であることから、得られる多孔質無機粉末は、粒径が著しく不均一となり、例えば、樹脂の充填材として用いた場合に、分散性が良好ではなく、均一な物性を樹脂に付与できないという重大な欠点がある。
また、従来の方法により得られる多孔質無機粉末は、その内部が空洞(中空で且つ内部に何も無い状態)になったものであり、強度が低く、樹脂に充填する際に、空洞の大部分が壊れてしまうという欠点がある。
更に、従来の方法によれば、芯材となる樹脂粒子の粒子径を小さくすることに限界があることから、得られる多孔質無機粉末は、最も小さいものでも、平均粒径が数ミクロンから数十ミクロン程度の大きさのものであり、これを透明性樹脂に充填した場合には、樹脂の透明性を損なうという欠点がある。
そこで、本発明の課題は、従来の方法により得られる多孔質無機粉末の欠点を解消し、種々の用途に好適に使用できる多孔質無機粉末を得ることができる多孔質無機粉末の製造方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、多孔質無機粉末の新規な製造方法を開発することに成功し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、樹脂エマルジョンに、金属化合物を添加し、前記樹脂エマルジョンを構成する樹脂粒子の表面に前記金属化合物を析出もしくは沈降させた後、該樹脂粒子を分離して焼成することを特徴とする多孔質無機粉末の製造方法に係る。
【0005】
本発明によれば、樹脂エマルジョンを構成する樹脂粒子の形状及び粒子径が比較的均一であるためか、得られる多孔質無機粉末は、粒子形状及び粒子径が略均一に揃っており、しかも、樹脂等に対して非常に良好な分散性を示し、樹脂に略均一な物性を付与し得る。
更に、樹脂エマルジョンを構成する樹脂粒子が非常に微細であることから、得られる多孔質無機粉末は、通常数ナノメーター〜数百ナノメーター程度の非常に微細な粒子となるため、透明性樹脂に充填した場合には、樹脂の透明性を実質的に損なうことがないと言う優れた特性をも有している。
【0006】
また、本発明によれば、多孔質の外殻を有する中空状の多孔質無機粉末を得ることができるが、該多孔質無機粉末は、内部(中空部分)が単なる空洞ではなく、細孔が網目状に且つ三次元的に連結した多孔質形状になっていると考えられ、従来のものより高い強度を示し、樹脂に充填しても中空状を保持し易く、通常、充填量の少なくとも1/2が中空状を保持したまま存在しうる。
さらに、本発明により得られる多孔質無機粉末は、非常に大きな表面積を有している。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明に用いる樹脂エマルジョンとしては特に制限されず、公知のものをいずれも使用でき、例えば、樹脂粒子を水系もしくは溶媒系にてエマルジョン化したもの、乳化重合等により製造されたエマルジョン状態の樹脂エマルジョン等を挙げることができる。
より具体的には、例えば、ポリスチレンエマルジョン、ポリ酢酸ビニルエマルジョン、エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン、酢酸ビニル−バーサテート共重合体エマルジョン、エチレン−酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体エマルジョン、エチレン−酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体エマルジョン、アクリル酸エステル重合体エマルジョン、アクリル酸エステル−スチレン共重合体エマルジョン、ポリ塩化ビニルエマルジョン、シリコーン樹脂エマルジョン、エポキシ樹脂エマルジョン等を挙げることができる。
これらの中でも、シリコーン樹脂エマルジョン及びエポキシ樹脂エマルジョンを除いた他の樹脂エマルジョンが好ましく、ポリスチレンエマルジョン等が特に好ましい。樹脂エマルジョンとしては、1種を単独で使用でき又は必要に応じて2種以上を併用できる。
【0008】
樹脂エマルジョンを構成する樹脂粒子の粒径としては、特に制限はないが、通常は1nm〜1μm程度のものを用いればよい。
本発明において、樹脂エマルジョンに添加する金属化合物としても特に制限はないが、例えば、銅、銀、金、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、イットリウム、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ゲルマニウム、スズ、鉛、バナジウム、ニオブ、タンタル、アンチモン、ビスマス、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、コバルト及びニッケルから選ばれる1種又は2種以上の金属の無機塩、有機塩、酸化物等を挙げることができる。
これらの中でも、金属の無機塩や酸化物が好ましく、水酸化物、塩化物、炭酸塩、硫酸塩、酸化物等が特に好ましい。より具体的には、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化ジルコニウム、水酸化チタン、水酸化カルシウムなどの水酸化物、塩化アルミニウム、塩化マグネシウム、塩化チタン、塩化ジルコニウム、塩化カルシウムなどの塩化物、硫酸アルミニウム、硫酸マグネシウム、硫酸チタニル、硫酸ジルコニウム、硫酸カルシウムなどの硫酸塩、あるいはリン酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの各種塩類、アルミナ、マグネシア、酸化銅、酸化鉄、酸化チタン、酸化スズ、酸化クロム、酸化イットリウム、ジルコニア、酸化鉛、酸化銀、酸化コバルト、酸化亜鉛、酸化ニオブ、酸化ルテニウム等の酸化物、チタン酸バリウム、カオリン、珪酸ジルコニウム、炭化チタン、窒化アルミニウム、窒化鉄、ケイ化モリブデンなどの各種金属化合物を挙げることができる。金属化合物は、1種を単独で使用でき又は必要に応じて2種以上を併用できる。
【0009】
金属化合物は粉末の状態で樹脂エマルジョンに添加できるが、水溶液もしくは溶媒溶液又は水分散液もしくは溶媒分散液の形態で添加するのが、樹脂エマルジョンに対してより均一な分散状態(分散液の場合)を形成させる等により、樹脂粒子毎に析出又は沈降する金属化合物量の均一化を図るという観点から好ましい。
これらの溶液又は分散液における金属化合物の含有量は特に制限されず、作業性等を考慮して、広い範囲から適宜選択すればよい。
【0010】
金属化合物の使用量は特に制限されず、樹脂エマルジョンを構成する樹脂粒子の種類や粒径、金属化合物自体の種類、得ようとする多孔質無機粉末の用途等の各種条件に応じて広い範囲から適宜選択できるが、通常樹脂粒子100重量部に対して、1〜100重量部、好ましくは5〜50重量部とすればよい。
【0011】
本発明において、金属化合物又はその溶液若しくは分散液を樹脂エマルジョンに添加するに際しては、該樹脂エマルジョンを15〜95℃程度に加温してもよく、又は加温しなくてもよい。
【0012】
本発明においては、金属化合物を前記樹脂粒子に析出又は沈降させるために、樹脂エマルジョンにpH調整剤を添加することが好ましい。
樹脂エマルジョン(金属化合物、その溶液又はその分散液が混合された樹脂エマルジョンを含む)にpH調整剤を添加することにより、樹脂粒子表面の全面又は一部を金属化合物で容易に被覆することができる。即ち、pHを調整することにより金属化合物溶液から金属化合物を樹脂エマルジョンを構成する樹脂粒子表面に析出させ、もしくは金属化合物ゾルを樹脂粒子表面に沈降させることができ、樹脂粒子表面を金属化合物で容易に被覆することができる。尚、析出する金属化合物は、樹脂エマルジョンに添加する金属化合物と必ずしも一致している必要はない。
【0013】
金属化合物が樹脂粒子表面に析出・沈降するpH範囲は、金属化合物の種類によって異なるので、適宜変更する必要があるが、予備実験により容易に決定することができる。
【0014】
使用するpH調整剤としては特に制限されず、公知のものをいずれも使用できる。酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、炭酸等の無機酸、酢酸、クエン酸等の有機酸等を挙げることができる。アルカリ剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム等の炭酸塩、アンモニア水、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム等のアンモニウム化合物等を挙げることができる。pH調整剤は、通常、水溶液もしくは気体の形態で使用することができる。水溶液とした場合のpH調整剤の濃度は、金属化合物を析出させるのに必要な量や作業性等を考慮して適宜決定すればよい。
pH調整剤は、樹脂エマルジョンに、金属化合物(その溶液若しくは分散液を含む)と同時に添加してもよく、また、別々に添加してもよい。
【0015】
本発明においては、pH調整等により得られる、金属化合物で表面が被覆された樹脂粒子を、濾過、遠心分離等の一般的な方法で反応混合物中から分離し、必要に応じて乾燥させた後、焼成し、樹脂粒子を熱分解することにより、多孔質無機粉末を製造できる。
【0016】
乾燥工程を設ける場合、通常30〜100℃程度の比較的低い温度下に行うのが好ましく、1〜30時間程度で終了する。
焼成温度は、樹脂粒子が熱分解し得る温度であれば特に制限されないが、樹脂粒子をほぼ完全に熱分解すると共に、多孔質無機粉末内部の細孔が融着しないようにするため、通常、500〜1400℃、好ましくは600〜1000℃とするのがよい。焼成時間は、通常0.5〜10時間、好ましくは1〜3時間とするのがよい。
【0017】
焼成の際の雰囲気は特に制限されず、例えば、空気等の酸化性雰囲気、水素ガス、一酸化炭素ガス、アンモニアガス等の還元性雰囲気、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス等の不活性雰囲気等を挙げることができる。酸化性雰囲気中で焼成を行うと、表面に炭素被膜の殆どない多孔質無機粉末が得られる。還元性雰囲気又は不活性雰囲気中で焼成を行うと、樹脂粒子中の炭素成分によって炭素被膜が表面に形成された多孔質無機粉末が得られる。
【0018】
このようにして得られる多孔質無機粉末は、通常1nm〜500nm程度の非常に微細な粒径を有し、BET比表面積が大きいもので1500m2/g程度あり、通常は100〜500m2/g程度である。
【0019】
本発明により得られる多孔質無機粉末は、例えば、各種樹脂の充填材として好適に使用できる。ここで樹脂としては特に制限はなく、例えば、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリスチレン、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、サーモトロピック液晶ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、PTFE、PFA等の熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル、ポリウレタン等の熱硬化性樹脂、天然ゴム、ニトリルゴム、ニトリルブタジエンゴム、ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、EPDM、シリコンゴム等のゴム類等を挙げることができる。
【0020】
多孔質無機粉末を樹脂に配合する方法としては、特に制限はないが、熱可塑性樹脂やゴム類の場合は、加熱混練等により混合・分散させるのが一般的である。加熱混練は、予め樹脂粉末又は樹脂ペレットと多孔質無機粉末とを乾式混合した後に行ってもよい。また、多孔質無機粉末を高濃度で含むマスターバッチを製造し、これと樹脂とを加熱混練してもよい。
熱硬化性樹脂の場合は、湿式で混合・分散させる方法、粉末樹脂と乾式混合する方法等を挙げることができる。
【0021】
得られる組成物は、射出成形、押出成形、トランスファー成形、注型成形等の一般的な成形手段により、任意の形状の成形品とすることができる。
【0022】
また、本発明により得られる多孔質無機粉末は、溶剤に溶解させた樹脂、反応型の液状プラスチック等の塗料用樹脂に配合することができる。塗料用途に好適な樹脂としては、例えば、フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、アルキド樹脂、酢酸ビニル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン等を挙げることができる。更に樹脂の代わりにゴム類も使用できる。ゴム類としては、例えば、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ポリサルファイドゴム、シリコーンゴム等を挙げることができる。
本発明によって得られる多孔質無機粉末は、その多孔質性を利用し、例えば、触媒、触媒の担体、吸着剤等としても有用性が高い。
【0023】
【実施例】
以下に、参考例、実施例及び比較例を挙げ、本発明を具体的に説明する。
参考例1
ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート(試薬、和光純薬(株)製)10gを脱イオン水1800gに溶解させた後、スチレンモノマー(試薬、和光純薬(株)製)200gを徐々に加えて乳化させた。次にペルオキソ二硫酸カリウム1gを脱イオン水10gに溶解したものを加え、窒素雰囲気下、70℃で24時間乳化重合を行い、ポリスチレンの水系エマルジョンを製造した。
【0024】
実施例1
塩化アルミニウム(III)6水和物(試薬特級、和光純薬(株)製)71gを脱イオン水200gに溶解させ、溶液Aを調製した。水酸化ナトリウム(試薬特級、和光純薬(株)製)40gを脱イオン水200gに溶解させ、溶液Bを調製した。
参考例1のポリスチレンエマルジョン350g(ポリスチレン含量35g)を70℃に昇温し、攪拌下に、溶液A及び溶液Bを同時に徐々に滴下し、pH7を維持した。滴下終了後、同温度に保持しながら更に2時間攪拌し、固形物を水洗しながら濾取し、50℃で24時間乾燥し、白色粉末を製造した。
得られた白色粉末は、TEM観察から、平均粒径50〜500nmの球状粒子であり、その表面には略均一な被覆層が形成されていることが確認された。また、熱重量分析の結果、この白色粉末はポリスチレンが約70重量%とアルミニウム成分がAl23換算で約30重量%とからなることが確認された。
この白色粉末を、電気炉にて、800℃で1時間焼成し、多孔質アルミナ粉末を製造した。この粉末は、TEM観察から、加熱処理前の平均粒径(50〜500nm)よりややサイズの小さな、中空状のアルミナ粉末であることが確認された。該中空状のアルミナ粉末は、0.05〜0.10g/mlの嵩密度及び150〜200m2/gの比表面積を有していた。
【0025】
実施例2
実施例1と同様にして製造された、ポリスチレン粒子の表面にアルミニウム成分が均一に被覆された平均粒径50〜500nmの白色粉末を、箱型の雰囲気調整炉中で窒素雰囲気下、950℃で1時間焼成し、黒色粉末を製造した。
得られた黒色粉末をTEMにより観察したところ、焼成前の平均粒径よりもやや小さい中空状の多孔質粉末であり、その表面にカーボンが被覆されていることが確認された。
【0026】
比較例1
平均粒径200μmのポリスチレン粒子100重量部とポリビニルアルコールの15%水溶液(粘度1000ポイズ)300重量部とをモルタルミキサーで混合した。更に、アルミナ2500重量部を加え、引き続き混合し、ポリスチレン粒子の表面をアルミナで被覆した。得られたアルミナ被覆物を70℃で10時間乾燥し、更に電気炉で4時間焼成し、白色粉末(中空アルミナ粉末)を製造した。
この白色粉末について、TEM観察を行ったところ、平均粒径は約100〜150μmであり、実施例1の本発明品に比べ粒径の大きなものであることが確認された。
試験例1
実施例1及び比較例1の白色粉末60gを、SBR(商品名:SBR−1712、日本合成ゴム(株)製)137.5gに加え、1軸押出機にて混練し、成形して、厚さ3mmのシートを製造した。
該シートを切断し、その切断面をTEM観察したところ、実施例1の白色粉末を用いたシートでは、該白色粉末が略均一に分散し、その70%が略完全に中空を保ったままであったのに対し、比較例1の白色粉末を用いたシートでは、その殆どが破壊され、元の中空形状を保持しているものはなかった。更に、比較例1の白色粉末が破壊された破片は、一部分に集中していることが多く、部分的には破片の存在すら認められず、分散状態が良好でないことも確認された。
【0027】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、(1)粒子形状及び粒子径が略均一に揃い、樹脂等に対して非常に良好な分散性を示し、略均一な物性を樹脂に付与でき、(2)中空状であるが、従来の多孔質無機粉末よりも強度が高く、樹脂に充填しても中空状を保持し易く、(3)粒径が通常、数ナノメーター〜数百ナノメーター程度の非常に微細な粒子であり、透明性樹脂に充填しても、該樹脂の透明性を実質的に損なうことがなく、更に、(4)比表面積が大きい多孔質無機粉末を簡便に得ることができる。

Claims (5)

  1. 樹脂エマルジョンに、金属化合物を添加し、前記樹脂エマルジョンを構成する樹脂粒子の表面に金属化合物を析出もしくは沈降させた後、該樹脂粒子を分離して焼成することを特徴とする多孔質無機粉末の製造方法。
  2. 前記樹脂エマルジョンにpH調整剤を添加することにより、金属化合物を前記樹脂粒子に析出又は沈降させる請求項1記載の多孔質無機粉末の製造方法。
  3. 前記樹脂エマルジョンが、ポリスチレンエマルジョン、ポリ酢酸ビニルエマルジョン、エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン、酢酸ビニル−バーサテート共重合体エマルジョン、エチレン−酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体エマルジョン、エチレン−酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体エマルジョン、アクリル酸エステル重合体エマルジョン、アクリル酸エステル−スチレン共重合体エマルジョン、ポリ塩化ビニルエマルジョン、シリコーン樹脂エマルジョン及びエポキシ樹脂エマルジョンから選ばれる1種又は2種以上である請求項1又は2に記載の多孔質無機粉末の製造方法。
  4. 前記樹脂エマルジョンに添加する金属化合物が、銅、銀、金、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、イットリウム、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ゲルマニウム、スズ、鉛、バナジウム、ニオブ、タンタル、アンチモン、ビスマス、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、コバルト及びニッケルから選ばれる1種又は2種以上の金属の無機塩、有機塩又は酸化物である請求項1乃至3の何れかに記載の多孔質無機粉末の製造方法。
  5. 500〜1400℃の温度下に焼成を行う請求項1乃至4の何れかに記載の多孔質無機粉末の製造方法。
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