JP3359606B2 - 導電配向性フレーク状酸化亜鉛およびその製法 - Google Patents

導電配向性フレーク状酸化亜鉛およびその製法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、亜鉛塩とアミノア
ルコールを原料とし、且つ導電性付与のためのドーピン
グ成分として3価金属化合物を使用することによって得
られる新規な導電配向性フレーク状酸化亜鉛とその製法
に関し、この導電配向性フレーク状酸化亜鉛は、帯電防
止剤や帯電防止塗料などへの導電性付与剤や化粧料、樹
脂、繊維、塗料等への熱線反射・紫外線遮蔽剤として好
適に使用できる。また抗菌剤、脱臭剤、ゴムの加硫促進
剤、陶磁器のうわ薬、医薬、触媒等としても使用するこ
ともできる。
【0002】
【従来の技術】導電性酸化亜鉛を製造する方法として
は、その前駆体である水酸化亜鉛もしくは塩基性硫酸亜
鉛を製造する際に3価もしくは4価の金属化合物を少量
添加し、これを還元雰囲気下で焼成する方法が知られて
いる(たとえば特開平3−60429、特開平4−26
514号公報、特開平7−69631号公報など)。
【0003】ところがそれら従来の方法によって得られ
る導電性酸化亜鉛は、導電性が高々1.0×10-6S/
cm程度と低く、また、板状物が崩壊した形状の粒子径
バラツキの大きなものであり、導電性付与剤としての特
性は必ずしも高いものとはいえない。
【0004】一方、JOURNAL OF MATERIAL SCIENCE 27,
2713-2718には酸化亜鉛をη−Al2O3と混合し1000℃で
焼成することにより、C軸に配向した酸化亜鉛が得られ
る旨の記述が見られる。しかしこの方法では、酸化亜鉛
が部分的に配向したものが得られるだけで、全体に亘っ
て均一に配向したものが得られる訳ではなく、しかもそ
の粒子形状はフレーク状と針状の混合物である。そし
て、これを塩化アンモニウム−アンモニウム溶液で分解
すると、高配向性の酸化亜鉛を得ることができるが、球
状のη−Al2O3との混合状態で得られるのみで、酸化
亜鉛単独の高配向性物として得られる訳ではなく、また
その粒子径も平均粒子径で20μm程度の粗大なもので
ある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の様な従
来技術に鑑みてなされたものであって、その目的は、焼
成後の粒子径が微細で且つ揃っており、しかも高配向性
で高い導電性を示すフレーク状酸化亜鉛とその製法を提
供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すること
のできた本発明に係る導電配向性フレーク状酸化亜鉛と
は、下記式(1)によって求められる配向性指数が40
以上であり、且つ、3価金属の酸化物が金属換算で酸化
亜鉛1モル当たり1×10-4〜2×10-1モル含まれ、
平均粒子径が0.2〜1μm未満、平均厚さが0.03
μm以下、配向性指数が40以上であり、且つ圧粉体と
しての導電率が1×10-3S/cm以上であるところに
要旨を有している。 配向性指数=[34.56°/(31.88°+34.56°+36.36°)]×100…(1) (式中の各数値は、X線回折における2θ角の強度を表
わす)
【0007】この導電配向性フレーク状酸化亜鉛は、帯
電防止剤や帯電防止塗料などへの導電性付与剤などとし
て非常に優れた性能を発揮し、また紫外線遮蔽能、赤外
線反射能を有しているので、例えば化粧料、各種樹脂
材、繊維、塗料などに熱線反射能・紫外線遮蔽性能を与
えるための添加剤等としても有効に活用できる。また形
状がフレーク状であるため、抗菌剤、脱臭剤、ゴムの加
硫促進剤、陶磁器のうわ薬、医薬、触媒等としても使用
することが可能である。
【0008】また本発明の製法は、上記特性を備えた導
電配向性フレーク状酸化亜鉛の製造に適した方法を提供
するもので、その構成は、亜鉛塩とアミノアルコールを
上記亜鉛塩1モルあたり1×10-4〜2×10-1モルの
3価金属化合物の存在下に水溶液中で加熱し、生成する
沈殿を還元性雰囲気下で焼成することころに要旨を有し
ている。
【0009】上記方法を実施する際に用いられる亜鉛塩
としては、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、塩化亜鉛、炭酸亜鉛お
よび酢酸亜鉛が好ましく使用され、これらは単独で使用
し得る他、必要によっては2種以上を併用しても構わな
い。またアミノアルコールとしては、2−アミノエタノ
ール、2,2'−イミノジエタノールおよび2,2',2''
−ニトリロトリエタノールが好ましく使用され、これら
も単独で使用し得る他、2種以上を併用できる。また、
上記亜鉛塩およびアミノアルコールと併用される3価の
金属化合物として特に好ましいのは、アルミニウム、ガ
リウム、インジウム、タリウムの化合物であり、これら
も単独で使用し得る他、2種以上を併用できる。
【0010】上記亜鉛塩とアミノアルコールとの好まし
い組成比は、亜鉛塩の亜鉛1に対しアミノアルコール中
のアミノ基が0.9〜1.5の範囲となる様に調整する
ことが望ましく、また前記3価の金属化合物は、前記亜
鉛塩1モルに対して各金属換算で1×10-4〜2×10
-1モルの範囲で使用することが望ましく、この様な条件
を特定することによって、高レベルの導電性と共に、前
記配向性指数、粒度構成、圧粉体導電率などの要件を満
たす導電配向性フレーク状酸化亜鉛をより確実に得るこ
とができる。
【0011】
【発明の実施の形態】上記の様に本発明の導電配向性フ
レーク状酸化亜鉛は、前記式(1)で示される配向性指
数が40以上を示す点で新規なものであり、該配向性指
数の特異性は、通常の酸化亜鉛粉末の前記式(1)によ
って求められる配向性指数が21.8であること(JC
PDS No.36-1451)によっても窺われる。
【0012】即ち、前記式(1)で示される配向性指数
は、該酸化亜鉛粉末個々のc軸方向への配向度合いを表
しており、従来材においてこの配向性指数が22程度で
あるということは、該酸化亜鉛のc軸方向への配向度合
いが低いことを意味している。これに対し配向性指数が
40以上であるということは、該酸化亜鉛の結晶が主と
し帯電防止剤や帯電防止塗料などに対する導電性付与剤
等として利用する際に極めて重要な特性となる。
【0013】導電性向上の観点からすると、該配向性指
数の上限は特に制限されず、理論上の上限値である10
0であるものであっても勿論構わないが、後述する様な
製法を採用したとしても、該配向性指数を60以上に高
めることは極めて困難であるので、製造可能性を踏まえ
たうえでの配向性指数の上限を示すとすれば、60程度
以下が実際的と思われ、実用上は45〜55程度が好ま
しいと判断される。
【0014】また本発明では、導電性を与える上で欠く
ことのできない要件として3価金属の酸化物をドーピン
グすることが必須であり、3価金属の酸化物として金属
換算で酸化亜鉛を1モル当たり1×10-4〜2×10-1
モル含有させることが必須の要件となる。ちなみに、3
価金属酸化物の量が不足する場合は、前記配向性指数の
要件を満たすものであっても、ドーピング不足により満
足のいく導電性が与えられず、導電性付与剤としての要
求特性を満足し得なくなる。ただし、ドーピング剤を過
度に多くしても導電性向上効果は飽和してそれ以上の改
質効果が得られなくなるばかりでなく、却って導電性と
赤外線反射能が阻害される恐れが生じてくるので、過剰
量のドーピングは避けるべきである。
【0015】上記の様な障害を招くことなく高レベルの
導電性を与える上でより好ましいドーピング量は、酸化
亜鉛1モル当たり5×10-3〜5×10-2モルの範囲で
ある。
【0016】また、本発明の導電配向性フレーク状酸化
亜鉛は、たとえば帯電防止剤や帯電防止塗料などに均一
に混合・分散させてその優れた導電性付与効果を発揮さ
せ、また化粧料や塗料、成形用樹脂材料や繊維等への赤
外線反射・紫外線遮蔽用配合剤などとして利用する際
に、それら基材成分への均一分散を容易にしてその性能
を有効に発揮させるには、平均粒子径が0.2〜1.0
μm未満、平均厚さが0.03μm以下、より好ましく
は0.02μm以下で、圧粉体としての導電率が0.0
1S/cm以上、より好ましくは0.02S/cm以上
のものでなければならない。
【0017】ちなみに平均粒子径が0.2μm未満の過
度に微細な粒子では、フレーク状である利点が活かされ
ず、しかも分散が著しく悪くなり、逆に1μm以上の粗
粒物になると、例えば塗料や化粧料や成形材料などに配
合する時の分散が不均一になり、均一な導電性付与効果
が得られ難くなる。更に圧粉体として導電率が1×10-3
S/cmに満たないものでは、導電性不足により本発明
で意図する導電性付与成分としての適性が確保できなく
なる。
【0018】尚本発明でいう「フレーク状」とは、酸化
亜鉛が粉末状態で偏平な板状を呈していることを意味し
ており、こうした形状特性は、帯電防止剤や導電性塗料
や日焼け止め化粧料、熱線反射・紫外線遮蔽用フィルム
の如く特に薄片状に加工された時の酸化亜鉛粉末同士の
接触を密にし、導電性等をより効果的に発揮させる上で
重要な特性となる。
【0019】次に、上記特性を備えた導電配向性フレー
ク状酸化亜鉛を効率よく製造することのできる方法につ
いて説明する。
【0020】即ち本発明の製法では、亜鉛塩とアミノア
ルコールとを、水溶液中で該亜鉛塩1モルあたり1×1
-4〜2×10-1モルの3価金属化合物の存在下に混合
することによって錯体を生成させ、これを更に加熱処理
することによってヒドロキシ亜鉛塩よりなる沈殿を生成
させた後、これを還元性雰囲気下で焼成する方法が採用
される。この方法を採用することによって、最終的に得
られる酸化亜鉛は微細で粒子径の揃ったフレーク状の導
電配向性を示すものとなる。
【0021】この時、導電配向性を示す酸化亜鉛を得る
には、前記原料を混合して錯体を形成する過程で、系内
に3価の金属原子を共存させることが不可欠であり、3
価金属が共存しない場合は、最終的に得られる酸化亜鉛
に導電性を与えることができず、導電性付与成分として
の機能が確保できなくなる。
【0022】本発明で使用されるアミノアルコールとし
ては、2−アミノエタノール、2,2'−イミノジエタノ
ール、2,2',2''−ニトリロトリエタノール、2−
(ジメチルアミノ)エタノール、2−(ジエチルアミ
ノ)エタノール、1,1,1−ニトリロトリ−2−プロパ
ノール等を挙げることができ、これらは単独で使用し得
る他、必要により2種以上を適宜併用することができ
る。
【0023】上記アミノアルコールの中でも、本発明に
おいて特に好ましく使用されるのは、2−アミノエタノ
ール、2,2'−イミノジエタノール、2,2',2''−ニ
トリロトリエタノールである。
【0024】なお本発明では、該錯塩生成反応にアミノ
アルコールを使用することが必須の要件であり、これ以
外のアミンを使用した場合は、中間体として生成する沈
殿がフレーク状にならなかったり、あるいは粒子径が不
揃いなものとなり、これを焼成しても本発明で意図する
様な配向性指数と粒子形状や粒度構成などを満たす導電
配向性フレーク状酸化亜鉛を得ることができない。
【0025】また本発明で使用される亜鉛塩としては、
硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、塩化亜鉛、炭酸亜鉛又は酢酸亜鉛
などを挙げることができ、これらも単独で使用し得る
他、必要により2種以上を併用しても構わない。
【0026】本発明で酸化亜鉛に導電性を付与するため
のドーピング剤として使用される3価の金属化合物とし
ては、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム
などの金属の化合物が例示され、これらは前記亜鉛塩と
アミノアルコールの共存系に水溶液として添加すればよ
く、通常は上記3価金属の硫酸塩、硝酸塩、塩化物、酢
酸塩の如き水溶性塩として添加するのが一般的である
が、この他、亜鉛塩に対し、乾式混合、湿式混合などに
よって予め混入させておくことも有効である。
【0027】そして、上記3価金属化合物の共存下に水
溶液中で亜鉛塩とアミノアルコールを混合すると、それ
らは直ちに反応して錯体を生成するが、好ましくはこの
時のpHを6〜10、より好ましくは7〜9の範囲に調
整すれば、錯体生成がより短時間で進行するので好まし
い。上記亜鉛塩とアミノアルコールの混合手順は特に制
限がなく、両者を反応容器に同時にもしくは逐次加えて
混合し、もしくは何れかの溶液を滴下して混合すること
もできる。また該錯体生成反応は、亜鉛塩やアミノアル
コールの濃度には殆ど影響を受けないので、この混合は
亜鉛塩の飽和溶解量以下で行えばよい。
【0028】この錯体形成反応は、亜鉛1とアミノ基1
の当量反応であるため、反応に用いる亜鉛塩とアミノア
ルコールの比率は、亜鉛塩1モルに対してアミノ基が1
モル前後、好ましくは0.9〜1.5モルの範囲となる
様に使用比率を調整することが望ましい。ちなみに、ア
ミノアルコールの量がアミノ基換算で亜鉛塩1モルに対
し0.9モル未満では、未反応亜鉛塩の量が多くなって
錯体の生成率が低下し、一方1.5モルを超えると、錯
体形成反応は進行するものの、得られる錯体を加熱する
ことによって生成するヒドロキシ亜鉛塩を還元焼成して
も、本発明で意図する様な配向性指数の導電フレーク状
酸化亜鉛が得られ難くなる。
【0029】また、該錯体生成反応系に共存させる前記
3価金属化合物の量は、亜鉛塩1モルあたり1×10-4
〜1×10-1モルの範囲、より好ましくは1×10-4
1×10-2モルの範囲とするのがよく、かかる範囲の3
価金属化合物を錯体生成系に共存させることが好まし
い。そして、かかる量の3価金属化合物の共存下で生成
する錯体中には、該3価金属化合物のほぼ全量が取り込
まれる。生成する錯体は非晶質の綿状として生成し、こ
れを固液分離することは極めて困難であるが、これを加
熱処理すると、錯体は3価金属のヒドロキシル塩を含む
固液分離および洗浄等の容易なヒドロキシ亜鉛塩の沈殿
に変わるので、これを固液分離し、残存イオンなどの可
溶成分を水洗によって除去すると共に、好ましくは更に
乾燥時の凝集などを抑えるために低級アルコールやエー
テル、ケトン、エステルなどで洗浄してから乾燥し、こ
れを還元性雰囲気下で焼成すると、前記配向性指数を満
たす導電配向性フレーク状酸化亜鉛粉末を得ることがで
きる。
【0030】上記錯体を加熱処理してヒドロキシ亜鉛塩
に変える時の好ましい温度は70℃以上、より好ましく
は80℃以上で、熱処理時間は10分〜4時間程度で十
分である。70℃未満の低温、もしくは10分未満の短
時間ではヒドロキシ亜鉛塩の生成反応が十分に進行せ
ず、非晶質の錯体のままで固液分離などが極めて困難に
なる。反応温度にもよるが、上記ヒドロキシ亜鉛塩への
変化は約4時間でほぼ完了するので、それ以上に加熱処
理時間を延長するのは無駄である。
【0031】加熱処理後、固液分離および洗浄・乾燥す
ることによって得られるヒドロキシ亜鉛塩は、その後、
必要により仮焼(仮焼する場合の好ましい条件は、酸化
性雰囲気下で800〜1400℃、好ましくは800〜
1000℃で10分以上、好ましくは30分〜2時間程
度)し、次いで還元性雰囲気下、たとえば水素、アンモ
ニア、一酸化炭素などの雰囲気ガス条件下に700〜1
00℃で10分〜2時間程度焼成を行うと、本発明で意
図する配向性指数を満たす高導電性のフレーク状酸化亜
鉛粉末が得られる。ここで、最終的な焼成を還元性雰囲
気下で行うのは、焼成体中に含まれる3価金属酸化物の
少なくとも一部を還元状態とし、ドーピングによる導電
性付与効果を有効に発揮させるためである。
【0032】本発明の導電性配向性フレーク状酸化亜鉛
は、形状がフレーク状で前述の如くc軸配向性を有して
いるので、従来の導電性状酸化亜鉛に比べても優れた導
電性を示し、帯電防止剤や帯電防止塗料、導電性付与剤
などの素材として極めて有効に活用できる。特にこの導
電配向性酸化亜鉛は、たとえば酸化インジウムと混合し
て焼成を行うと層状に化合して(ZnO)5InO3を生成する
が、これは伝熱材料などしても優れた性能を発揮し得る
ものとして有効に活用できる。
【0033】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限
を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範
囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であ
り、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0034】なお、実施例において平均粒子径の測定は
レーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所製の「S
ALD−2000A」)を用いて行ない、厚さは走査型
電子顕微鏡(日本電子製の「JSM−5200」)、X
線回折はX線回折測定装置(島津製作所製の「XD−D
1」)を用いて夫々測定した。また圧粉体としての導電
率は10MPa加圧下において導電率計を用いて測定し
た。
【0035】実施例1 硫酸亜鉛0.25モル/リットルと硫酸アルミニウム
0.25ミリモル/リットルを含む水溶液2リットル
と、2−アミノエタノール0.3モル/リットルを含む
水溶液を2リットル混合し、攪拌すると、直ちに綿状
(アモルファス状)の錯体が生成する。この錯体を90
℃で1時間加熱すると、ヒドロキシ硫酸アルミニウムを
含む固液分離の容易なヒドロキシ硫酸亜鉛の沈殿に変わ
る。この間の反応液のpHは7.3であった。反応液を
常温まで冷却してから固液分離することにより、生成し
た沈殿を濾取する。得られた沈殿を十分に水洗した後、
更にエタノール洗浄してから120℃で2時間乾燥す
る。
【0036】次いでこれを昇温速度10℃/分で850
℃まで昇温し、同温度で30分間仮焼し、次いで水素ガ
ス雰囲気下に700℃で10分間還元焼成を行なうと、
酸化アルミニウムをアルミニウム換算で酸化亜鉛の亜鉛
1モルに対し0.001モル含むフレーク状の酸化亜鉛
57gを得られる。該フレーク状酸化亜鉛の平均粒子径
は0.2μm、厚さ0.02μm、配向性指数52で、
圧粉体としての導電率0.03S/cmであり、優れた
導電性と高いc軸配向性を有するものであった。該導電
配向性フレーク状酸化亜鉛のX線回折チャートを図1に
示す。
【0037】実施例2 上記実施例1において、2−アミノエタノールを2,2'
−イミノジエタノールに代え、錯体を加熱反応させる際
の温度を95℃に代えた以外は同様にして、導電配向性
フレーク状酸化亜鉛58gを得た。錯体生成時および加
熱反応時のpHは7.6であった。得られた導電配向性
フレーク状酸化亜鉛には、酸化亜鉛の亜鉛1モルに酸化
アルミニウムがアルミニウム換算で0.001モル含ま
れており、その平均粒子径は0.3μm、平均厚さは
0.02μm、配向性指数は43、圧粉体としての導電
率は0.02S/cmであった。該導電酸化亜鉛粉末の
X線回折チャートを図2に示す。
【0038】実施例3 塩化亜鉛0.25モル/リットルと塩化アルミニウム
0.25ミリモル/リットルを含む水溶液2リットル
と、2−アミノエタノール0.3モル/リットルを含む
水溶液2リットルをを混合して錯体を生成させ、これを
更に90℃で1時間加熱すると、ヒドロキシ塩化アルミ
ニウムを含むヒドロキシ塩化亜鉛の沈殿が得られる。上
記錯塩生成反応およびヒドロキシ塩化亜鉛生成反応中の
反応液のpHは7.3であった。加熱終了後、固液分離
して沈殿を濾取し、水洗およびエタノール洗浄の後、1
20℃で2時間乾燥してから、昇温速度10℃/分で8
50℃まで昇温し、同温度で30分間仮焼し、次いで水
素ガス雰囲気下に700℃で10分間還元焼成を行って
フレーク状の酸化亜鉛粉末59gを得た。該粉末の平均
粒子径は0.2μm、厚さ0.02μm、配向性指数4
5で、圧粉体としての導電率は0.03S/cmであっ
た。該酸化亜鉛粉末のX線回折チャートを図3に示す。
【0039】比較例1 前記実施例1において、2−アミノエタノールをヘキサ
メチレンテトラミンに変更し、反応温度を95℃に代え
た以外は同様にして酸化亜鉛粉末を48g得た。反応時
のpHは6.5であった。得られた酸化亜鉛粉末は粒子
径のバラツキが大きく、平均粒子径は5μm、最大粒子
径は87μmであり、平均厚さは0.5μm、配向性指
数は21.8で、圧粉体としての導電率は0.005S
/cmであった。該酸化亜鉛粉末のX線回折チャートを
図4に示す。
【0040】比較例2 前記実施例1において、2−アミノエタノール濃度を
0.5モル/リットルに代えた以外は同様にして錯体生
成と加熱処理行い、ヒドロキシ硫酸亜鉛の沈殿を得た。
加熱処理時のpHは9.3であった。このヒドロキシ硫
酸亜鉛の沈殿は不定形であり、固液分離が極めて困難で
あるばかりではなく、これを遠心分離によって固液分離
してから前記と同様な条件で還元焼成を行ったが、導電
配向性フレーク状の酸化亜鉛は生成できなかった。
【0041】応用例1(塗料としての使用例) 前記実施例1〜3および比較例1で得た各酸化亜鉛50
gを2倍量のトルエンに懸濁し、これをアクリル系樹脂
塗料100gに加えてペイントシェーカーで十分に分散
させた後、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に乾
燥膜厚が5μmとなる様に塗布し、得られた各塗膜の表
面固有抵抗値をJIS K7194に準拠して測定し
た。また従来品として、ハクスイテック社製の導電性酸
化亜鉛粉末「23−K」をアクリル系樹脂塗料と同様の
方法で混合し、被膜形成したものについて、同様の方法
で表面固有抵抗値を測定した。結果は下記の通りであ
り、本発明の導電配向性フレーク状酸化亜鉛は、比較例
1のものはもとより、従来の導電性酸化亜鉛に比べても
優れた導電性付与性能を有していることがわかる。
【0042】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、酸
化亜鉛1モルに対して少量の3価金属の酸化物でドーピ
ングされ、且つその配向性指数が40以上でc軸方向へ
配向性が高められたもので、帯電防止剤や帯電防止塗料
などへの導電性付与剤として極めて有用なものであり、
また本発明の製法によれば、こうした特性を備えた導電
配向性フレーク状酸化亜鉛を効率よく製造し得ることに
なった。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得た導電配向性フレーク状酸化亜鉛
のX線回折チャートである。
【図2】実施例2で得た導電配向性フレーク状酸化亜鉛
のX線回折チャートである。
【図3】実施例3で得た導電配向性フレーク状酸化亜鉛
のX線回折チャートである。
【図4】比較例1で得た導電配向性フレーク状酸化亜鉛
のX線回折チャートである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01B 1/08 H01B 5/02 C01G 9/02

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(1)によって求められる配向性指
    数が40以上であり、且つ、3価金属の酸化物が金属換
    算で酸化亜鉛1モル当たり1×10-4〜2×10-1モル
    含まれ、平均粒子径が0.2〜1μm未満、平均厚さが
    0.03μm以下であり、且つ圧粉体としての導電率が
    1×10 -3 S/cm以上であることを特徴とする導電配
    向性フレーク状酸化亜鉛。 配向性指数=[34.56°/(31.88°+34.56°+36.36°)]×100…(1) (式中の各数値は、X線回折における2θ角の強度を表
    わす)
  2. 【請求項2】 亜鉛塩とアミノアルコールを、上記亜鉛
    塩1モル当たり1×10-4〜2×10-1モルの3価金属
    化合物の存在下に水溶液中で加熱し、生成する沈殿を還
    元性雰囲気下で焼成することを特徴とする導電配向性フ
    レーク状酸化亜鉛の製法。
  3. 【請求項3】 亜鉛塩が硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、塩化亜
    鉛、炭酸亜鉛および酢酸亜鉛よりなる群から選択される
    少なくとも1種である請求項2に記載の製法。
  4. 【請求項4】 アミノアルコールが、2−アミノエタノ
    ール、2,2’−イミノジエタノールおよび2,2’,
    2’’−ニトリロトリエタノールよりなる群から選択さ
    れる少なくとも1種である請求項2または3に記載の製
    法。
  5. 【請求項5】 3価の金属化合物が、アルミニウム、ガ
    リウム、インジウム、タリウムよりなる群から選択され
    る少なくとも1種の金属の化合物である請求項2〜4の
    いずれかに記載の製法。
  6. 【請求項6】 亜鉛塩とアミノアルコールとの組成比
    を、亜鉛塩の亜鉛1に対し、アミノアルコール中のアミノ
    基を0.9〜1.5の範囲とする請求項2〜5のいずれ
    かに記載の製法。
  7. 【請求項7】 前記請求項1に記載の要件を満たす導電
    配向性フレーク状酸化亜鉛を得る請求項2〜6のいずれ
    かに記載の製法。
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