JP2003049017A - ポリフェニレンスルフィド樹脂発泡成形品 - Google Patents

ポリフェニレンスルフィド樹脂発泡成形品

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JP2003049017A
JP2003049017A JP2001242048A JP2001242048A JP2003049017A JP 2003049017 A JP2003049017 A JP 2003049017A JP 2001242048 A JP2001242048 A JP 2001242048A JP 2001242048 A JP2001242048 A JP 2001242048A JP 2003049017 A JP2003049017 A JP 2003049017A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリフェニレンスルフィド樹脂本来の特性を
損なわずに微細かつ均一な発泡状態を有するポリフェニ
レンスルフィド樹脂発泡成形品の提供。 【解決手段】 ポリフェニレンスルフィド樹脂と超臨界
流体とを射出成形機に導入し、射出成形して得られるポ
リフェニレンスルフィド樹脂発泡成形品であって、前記
ポリフェニレンスルフィド樹脂のメルトインデックスの
自然対数値が3.8〜8.8であることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリフェニレンス
ルフィド樹脂本来の特性を損なわずに微細かつ均一な発
泡状態を有するポリフェニレンスルフィド樹脂発泡成形
品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリフェニレンスルフィド樹脂は、優れ
た成形性、機械特性、耐熱性、耐久性および耐薬品性な
どを有していることから、これらの特性を生かして自動
車用途や電気・電子用途を始めとする種々の用途に広く
利用されている。そして、ポリフェニレンスルフィド樹
脂は、特に金属に比べて比重が小さいため、軽量化の目
的で金属代替用途に使用されるケースが多いが、近年で
は更なる軽量化の要望が強い。
【0003】しかしながら、ポリフェニレンスルフィド
樹脂を用いて均一かつ微細な発泡状態を有する発泡成形
品を製造する方法については現状では知られていない。
【0004】一般に、樹脂発泡成形品を得る方法として
は、例えば有機または無機の熱分解性発泡剤による発泡
法および揮発性発泡剤による発泡法などが知られてお
り、これらについては、「実用プラスチック成形加工事
典」、産業調査会、1997年発行、第398〜400
ページに記載されているが、これらの発泡方法ではポリ
フェニレンスルフィド樹脂を微細かつ均一に発泡させる
ことが難しく、結果としてポリフェニレンスルフィド樹
脂が有する本来の特性が発揮できないという問題があっ
た。
【0005】一方、近年では、超臨界流体を用いた発泡
成形技術の研究開発が盛んに行われており、射出成形機
に樹脂と共に超臨界状態の窒素ガスや炭酸ガスを導入し
て発泡樹脂成形品を得るという射出成形技術が開発され
ている。
【0006】例えば、超臨界流体を樹脂材料に連続的に
導入して材料を発泡させて得られる発泡体(米国特許第
4473665号、米国特許第5158986号、米国
特許5334356号、日本特許2625576号)、
およびスチレン系樹脂50〜99重量部とポリプロピレ
ン樹脂1〜50重量部からなる樹脂組成物を射出成形す
る際に超臨界流体を導入して発泡成形品を得る方法(特
開平10−24436号公報)などが知られている。
【0007】しかしながら、上記「実用プラスチック成
形加工事典」、産業調査会、1997年発行、398〜
400ページに記載されている方法を単純にポリフェニ
レンスルフィド樹脂に適用したとしても、ポリフェニレ
ンスルフィド樹脂に微細かつ均一な発泡状態を形成させ
ることが難しい場合があり、結果としてポリフェニレン
スルフィド樹脂が有する本来の特性が発揮できないとい
う問題があることが判明した。
【0008】また、上記米国特許第4473665号、
米国特許第5158986号、米国特許5334356
号、日本特許2625576号、および上記特開平10
−24436号公報には、超臨界流体を用いた発泡射出
成形方法については記載されているものの、ポリフェニ
レンスルフィド樹脂の発泡に関する記述については全く
認められない。
【0009】このように、ポリフェニレンスルフィド樹
脂を用いて、その特性を損なわずに微細かつ均一な発泡
状態を有する射出発泡成形品を得る方法はこれまで見出
されていなかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した従
来技術における問題点の解決を課題として検討した結果
達成されたものである。
【0011】したがって、本発明の目的は、ポリフェニ
レンスルフィド樹脂本来の特性を損なうことなく微細か
つ均一な発泡状態を有するポリフェニレンスルフィド樹
脂発泡成形品を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明らは、上記の課題
を解決すべく検討した結果、特定のメルトインデックス
を有するポリフェニレンスルフィド樹脂を用い、このポ
リフェニレンスルフィド樹脂と超臨界流体とを射出成形
機に導入して射出成形することによって、上記の目的に
合致したポリフェニレンスルフィド樹脂発泡成形品が得
られることを見出し、本発明に到達した。
【0013】すなわち、本発明のポリフェニレンスルフ
ィド樹脂発泡成形品は、ポリフェニレンスルフィド樹脂
と超臨界流体とを射出成形機に導入し、射出成形して得
られるポリフェニレンスルフィド樹脂発泡成形品であっ
て、前記ポリフェニレンスルフィド樹脂のメルトインデ
ックス(g/10min)の自然対数値が3.8〜8.
8であることを特徴とする。
【0014】そして、本発明のポリフェニレンスルフィ
ド樹脂発泡成形品においては、前記ポリフェニレンスル
フィド樹脂が無機充填材を含有すること、および前記無
機充填材がガラス繊維、炭酸カルシウムおよび炭素繊維
から選ばれた1種以上であることが、いずれも好ましい
条件である。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明のポリフェニレンス
ルフィド樹脂発泡成形品について詳細に説明する。な
お、本発明において「重量」とは「質量」を意味する。
【0016】本発明で用いるポリフェニレンスルフィド
樹脂とは、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を
有する重合体であり、前記繰り返し単位の含有量は、耐
熱性の面から70モル%以上であることが好ましく、よ
り好ましくは80モル%以上、特に好ましくは90モル
%以上である。前記繰り返し単位の含有量が70モル%
未満の場合には、耐熱性および剛性が低下する傾向が見
られる。
【0017】
【化1】
【0018】ここで、前記一般式(1)で表される繰り
返し単位以外の繰り返し単位としては、下記一般式
(2)〜(8)で表される構造単位が用いられる。
【0019】
【化2】
【0020】
【化3】
【0021】
【化4】
【0022】
【化5】
【0023】
【化6】
【0024】
【化7】
【0025】
【化8】
【0026】本発明で用いるポリフェニレンスルフィド
樹脂は、長さ8mm、ノズル径2.095mmのオリフ
ィスを用い、荷重5kg、温度315.6℃、サンプル
量7g、サンプル仕込みから測定開始までのプレヒート
時間5minでの条件で測定した時のメルトインデック
ス(g/10min)の自然対数値が3.8〜8.8、
好ましくは4.2〜8.0、更に好ましくは4.6〜
7.8の範囲にあることを必須の要件とする。
【0027】ポリフェニレンスルフィド樹脂のメルトイ
ンデックスの自然対数値が上記の範囲を外れる場合に
は、微細かつ均一な発泡状態を形成させることができな
い。その理由については完全には明らかにされてはいな
いが、ポリフェニレンスルフィド樹脂と超臨界流体との
粘度比およびポリフェニレンスルフィド樹脂末端と超臨
界流体との親和性が、超臨界流体の分散性に大きく影響
することに起因すると考えられ、メルトインデックスの
自然対数値がこれらの因子と強い相関関係を有している
ためであると予想される。
【0028】また、本発明で用いるポリフェニレンスル
フィド樹脂の灰分は、450〜500℃で炭化させた
後、538℃で6時間灰化させた時の灰分残渣量で0.
30重量%以下、好ましくは0.25重量%以下、更に
好ましくは0.22重量%以下であることが望ましい。
【0029】このようなポリフェニレンスルフィド樹脂
は、公知の方法、例えば特公昭45−3368号公報、
特公昭52−12240号公報、および特開昭61−7
332号公報などに記載されている方法を用いて製造す
ることができる。
【0030】本発明においては、上記公報に記載されて
いる方法で得られたポリフェニレンスルフィド樹脂を、
空気中加熱による架橋・高分子量化、窒素などのガス雰
囲気下あるいは減圧下での熱処理、および有機溶剤・熱
水・酸性水溶液・アルカリ性水溶液などによる洗浄など
を施した上で使用してもよい。特に、有機溶剤で洗浄し
た場合には、低分子量成分が除去されるため、溶融成形
時のガス発生、金型腐蝕が低減される。その場合に使用
する有機溶剤としては、N−メチルピロリドン、N,
N’−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセ
トアミド、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ヘキサ
メチルホスホンアミド、ピペラジノンなどの含窒素溶
剤、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、スルホ
ランなどのスルホン系溶剤、アセトン、メチルエチルケ
トン、ジエチルケトン、アセトフェノンなどのケトン系
溶剤、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピ
ルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン
などのエーテル系溶剤、クロロホルム、メチレンジクロ
リド、四塩化炭素、トリクロロエチレン、ジクロロエチ
レン、クロルベンゼンなどのハロゲン系溶剤、メタノー
ル、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノ
ール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポ
リエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなど
のアルコール系溶剤、フェノール、クレゾールなどのフ
ェノール系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの
芳香族炭化水素系溶剤、およびペンタン、ヘキサン、シ
クロヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの飽和炭化水素
系溶剤などが挙げられる。
【0031】また、洗浄に用いる酸性水溶液およびアル
カリ性水溶液については、ポリフェニレンスルフィド樹
脂を分解する作用のないものであれば特に制限はなく、
例えば酢酸、塩酸、硫酸、燐酸、有機カルボン酸、有機
スルホン酸、および各種水酸化アルカリ水溶液などが用
いられる。
【0032】なお、ポリフェニレンスルフィド樹脂を、
酸無水物、エポキシ基、イソシアネート基などの官能基
を有する化合物で処理してから用いることもできる。
【0033】本発明で使用するポリフェニレンスルフィ
ド樹脂は、無機充填材を含有していてもよい。
【0034】本発明で使用し得る無機充填材としては、
一般に強化ポリフェニレンスルフィド樹脂に使用される
ガラス繊維、炭酸カルシウムおよび炭素繊維が好ましい
が、その他の様々な繊維状または非繊維状の充填材を用
いることにより、さらに成形品表面性などの改善を図る
ことも可能である。ガラス繊維に代表される無機充填材
の繊維径および繊維長については特に限定はない。その
他の無機充填材の例としては、チタン酸カリウムウィス
カ、酸化亜鉛ウィスカ、硼酸アルミニウムウィスカ、ア
ラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック
繊維、アスベスト繊維、石コウ繊維、金属繊維などの繊
維状充填剤、ワラステナイト、ゼオライト、セリサイ
ト、カオリン、マイカ、クレー、パイロフィライト、ベ
ントナイト、アスベスト、タルク、アルミナシリケート
などの珪酸塩、アルミナ、酸化珪素、酸化マグネシウ
ム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄などの金属
酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイ
トなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの
硫酸塩、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸
化アルミニウムなどの水酸化物、ガラスフレーク、ガラ
スビーズ、セラミックビーズ、窒化ホウ素、炭化珪素お
よびシリカなどの非繊維状充填材などが挙げられ、これ
らは中空であってもよい。これら充填材を複数種類併用
することも可能である。 また、これら繊維状/非繊維
状の無機充填材を、イソシアネート系化合物、有機シラ
ン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化
合物、およびエポキシ化合物などのカップリング剤で同
時にもしくは予備的に処理して使用することは、より優
れた機械的特性や成形品外観を得る意味において好まし
い。
【0035】無機充填材の添加量については特に制限は
ないが、通常はポリフェニレンスルフィド樹脂100重
量部に対して5〜1900重量部、好ましくはポリフェ
ニレンスルフィド樹脂100重量部に対して10〜90
0重量部、更に好ましくはポリフェニレンスルフィド樹
脂100重量部に対して20〜600重量部の範囲であ
る。
【0036】さらに、ポリフェニレンスルフィド樹脂に
は、本発明の目的を損なわない範囲で、要求される特性
に応じて、他のポリマー類、添加剤、結晶核剤、耐熱剤
や紫外線吸収剤などの安定剤、難燃剤、帯電防止剤、可
塑剤、滑剤、着色剤およびカップリング剤などを添加す
ることも可能である。
【0037】また、本発明で用いられるポリフェニレン
スルフィド樹脂に対し、エポキシ基、アミノ基、イソシ
アネート基、水酸基、メルカプト基およびウレイド基の
中から選ばれた少なくとも1種の官能基を有するアルコ
キシシランを添加することは、機械的強度、靱性などの
向上にとって有効である。かかる化合物の具体例として
は、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ
−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−
(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキ
シシランなどのエポキシ基含有アルコキシシラン化合
物、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−
メルカプトプロピルトリエトキシシランなどのメルカプ
ト基含有アルコキシシラン化合物、γ−ウレイドプロピ
ルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメト
キシシラン、γ−(2−ウレイドエチル)アミノプロピ
ルトリメトキシシランなどのウレイド基含有アルコキシ
シラン化合物、γ−イソシアナトプロピルトリエトキシ
シラン、γ−イソシアナトプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−イソシアナトプロピルメチルジメトキシシラ
ン、γ−イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラ
ン、γ−イソシアナトプロピルエチルジメトキシシラ
ン、γ−イソシアナトプロピルエチルジエトキシシラ
ン、γ−イソシアナトプロピルトリクロロシランなどの
イソシアナト基含有アルコキシシラン化合物、γ−(2
−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラ
ン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメト
キシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシランな
どのアミノ基含有アルコキシシラン化合物、およびγ−
ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−ヒドロキ
シプロピルトリエトキシシランなどの水酸基含有アルコ
キシシラン化合物などが挙げられる。
【0038】かかるシラン化合物の好適な添加量は、ポ
リフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対し、0.
05〜5重量部の範囲が選択される。
【0039】本発明で使用される超臨界流体としては、
射出成形時に超臨界状態となって使用されるものであれ
ば、特に制限はない。超臨界流体は単一物質であって
も、混合物であってもかまわない。一般的には、二酸化
炭素、窒素、アルゴンおよびヘリウムなどの不活性ガス
が使用され、二酸化炭素および窒素が好ましく用いら
れ、特に好ましくは二酸化炭素である。
【0040】射出成形時に注入される超臨界流体の量に
ついては特に制限はないが、通常はポリフェニレンスル
フィド樹脂100重量部に対して0.01〜100重量
部、好ましくは0.05〜50重量部、更に好ましくは
0.1〜30重量部の範囲である。
【0041】射出成形中に溶融ポリフェニレンスルフィ
ド樹脂に超臨界流体を注入する方法については特に制限
はないが、たとえば、気体状態の不活性ガスをそのまま
注入する方法、加圧して注入する方法、減圧して注入す
る方法、および液体状態または超臨界流体状態の不活性
ガスをプランジャーポンプなどにより注入する方法など
が挙げられる。
【0042】次に、本発明のポリフェニレンスルフィド
樹脂発泡成形品を製造する方法の一例について、図1の
構成概略図を用いて説明する。
【0043】まず、ポリフェニレンスルフィド樹脂ペレ
ットAをホッパーBより供給し、加熱溶融させる。超臨
界流体となる窒素や炭酸ガスなどの不活性ガスは、ガス
ボンベKより供給され、昇圧ポンプJによって昇圧され
た後、溶融したポリフェニレンスルフィド樹脂に供給さ
れる。この際、不活性ガスは超臨界流体となって供給さ
れてもよいし、射出成形のシリンダー内に供給されてか
ら超臨界流体になってもかまわない。シリンダーDの内
部は、供給された不活性ガスが超臨界状態を保ち、溶融
したポリフェニレンスルフィド樹脂内に短時間で溶解・
拡散されるように、臨界温度以上かつ臨界圧力以上に保
たれている。例えば、窒素の場合、臨界温度は−127
℃、臨界圧力は3.5MPaであり、炭酸ガスの場合、
臨界温度は31℃、臨界圧力は7.4MPaである。
【0044】シリンダーD内にて溶融ポリフェニレンス
ルフィド樹脂と不活性ガスがスクリューCによって混練
され、更にスタティックミキサーEおよび拡散チャンバ
ーFで溶融ポリフェニレンスルフィド樹脂と不活性ガス
の完全相溶状態が形成され、続いてノズルGを通して金
型IのキャビティHに射出され、圧力解放されて微細か
つ均一な発泡状態を有するポリフェニレンスルフィド樹
脂発泡成形品が形成される。
【0045】ここで、金型I内にカウンタープレッシャ
ーを負荷させることにより発泡径をコントロールするこ
とも可能であり、必要に応じてカウンタープレッシャー
用ガスボンベLから不活性ガスを供給してもかまわな
い。その際の圧力としては特に制限は無いが、0.5〜
15MPaの範囲であることが好ましい。
【0046】また、金型I内で急激に圧力低下させて発
泡を促進させる方法として、溶融したポリフェニレンス
ルフィド樹脂を金型IのキャビティH内に射出した後、
金型のコアの一部または全部を後退させて金型内容積を
急激に増大させてもかまわない。
【0047】本発明のポリフェニレンスルフィド樹脂発
泡成形品は、一般にポリフェニレンスルフィド樹脂が適
用し得るあらゆる用途に適用可能である。例えば、軽量
化要求の大きい自動車分野としては、シリンダーヘッド
カバー、タイミングベルトカバー、バランスシャフトギ
ア、オイル制動バルブ、オイルレベルゲージ、オイルク
リーナーケース、ラジエータータンク、ウォーターポン
プインペラー、サーモスタットハウジング、クーリング
ファン、インタークーラータンク、エアーダクト、エア
コントロールバルブ、エアレギュレーター、エアフロー
メーターハウジング、エアーダクトインテーク、サイレ
ンサー、レゾネーター、排ガスポンプサイドシール、排
ガスバルブ、キャブレター、ガソリン噴射ノズル、ピス
トンバルブ、キャブレターバルブ、サージタンク、フュ
ーエルフィルターハウジング、フューエルストレーナ
ー、フューエルセジメンタルケース、キャニスター、E
GIチューブ、ソレノイドバルブ、ガソリンフロート、
ガソリンチャンバー、フューエルチェックバルブ、フュ
ーエルインジェクター、フューエルインジェクターコネ
クター、フューエルインジェクターノズルカバー、フュ
ーエルフィラーキャップ、マスターシリンダーピスト
ン、クラッチオイルリザーバー、スラストワッシャー、
シフトアームコーティング、シフトレバーノブ、トラン
スミッションケース、トルコンスラストワッシャー、ト
ランスミッションブッシュ、パワーステアリングタン
ク、ステアリングコラムカバー、ステアリングホーンパ
ッド、ステアリングボールジョイント、ホイールフルキ
ャップ、ホイールキャップセンター、ホイールセンター
ハブキャップ、ブレーキオイルリザーバー、ブレーキオ
イルフロート、ブレーキリザーバーキャップ、サイドブ
レーキワイヤープロテクター、ラジエーターグリル、フ
ロントエンドバンパー、リアエンドバンパー、バンパー
モール、フロントフェンダー、サイドミラーステイ、サ
イドミラーハウジング、エンブレム、リトラクタブルヘ
ッドランプカバー、電動ミラーベース、フューエルリッ
ド、ボンネットフードルーパー、エクストラクトグリ
ル、ドア、サイドルーバー、ドアラッチカバー、ドアサ
イドモール、アウタードアハンドル、ピラールーバー、
トランクロアーバックフィニシャー、トランクリアエプ
ロン、ハッチバックスライドブラケット、ライセンスプ
レート、ライセンスプレートポケット、フューエルリッ
ド、サンルーフフレーム、サイドモール、ウィンドウピ
ボット、ウィンドウガラススライダー、ウィンドウモー
ル、エアースポイラー、インストゥルメントパネルコ
ア、リッドアウター、センタークラスター、スイッチ、
アッパーガーニッシュ、リッドクラスター、メーターフ
ード、メーターパネル、グローブボックス、チェンジレ
バーカバー、グローブボックスリッド、グローブボック
スノブ、グローブドアアウター、アッシュトレイランプ
ハウジング、アッシュトレイパネル、サンバイザーブラ
ケット、サンバイザーシャフト、サンバイザーホルダ
ー、ピラーガーニッシュ、ルームミラーステイ、レギュ
レーターハンドル、ドアトリム、インサイドドアロック
ノブ、インナーロックノブ、ウィンドウレギュレーター
ハンドル、ウィンドウレギュレーターハンドルノブ、ル
ーフサイドレールガーニッシュ、アームレストインサー
ト、アームレストベース、アームレストガイド、リアシ
ェルフサイド、ヘッドレストガイド、シートベルトタン
グプレート、シートベルトリトラクターギア、シートベ
ルトバックル、シートベルトスルーアンカー、リッドク
ラスター、安全ベルト機構部品、クーラーシロッコファ
ン、クーラーバキュームポンプ、エアコンマグネットク
ラッチボビン、エアコンアクチュエーター、コンプレッ
サーバルブ、エアーベンチレーションフィン、エアコン
調節ツマミ、ヒーターコアタンク、ヒーターバルブ、ジ
ェネレーターコイルボビン、ジェネレーターカバー、ジ
ェネレーターブッシュ、サーキットボード、ブラシホル
ダー、コンデンサーケース、レギュレーターケース、ス
ターターレバー、スターターコイルボビン、スターター
インターバルギア、ディストリビューターポイントブッ
シュ、イグニッションコイルケース、イグニッションコ
イルボビン、ディストリビューター絶縁端子、ディスト
リビューターキャップ、スリーブベアリング、ヘリカル
ギアー、バキュームコントローラー、ジャンクションボ
ックス、ワイヤーハーネスコネクター、リレーターミナ
ルベースケースコイルボビン、ヒューズボックス、スイ
ッチベース、リレーケース、各種スイッチ基板、ランプ
ソケット、ランプリフレクター、バックホーンハウジン
グ、サイレントギア、パワーウィンドウスイッチ基板ケ
ース、ワイパーレバー、ウォッシャーモーターハウジン
グ、ワイパーモーターインシュレーター、ワイパーアー
ムヘッドカバー、ウォッシャーノズル、ワイパーアーム
ヘッド、スピードメータードリブンギア、スピードメー
ターコントロール、メーターコネクター、回転センサ
ー、スピードセンサー、パワーシートギアハウジング、
ブラシホルダー、コンミュテーター、モーターギア、ボ
ンネットクリップ、モールクリップ、内装クリップ、バ
ンパークリップ、電気配線用バンドクリップ、アンテナ
インナーチューブ、フェンダー、スポイラー、ルーフレ
ール、テールゲート、およびバンパーなどが挙げられ
る。
【0048】電気・電子用途としては、センサー、LE
Dランプ、コネクター、ソケット、抵抗器、リレーケー
ス、スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、バリコン
ケース、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変成
器、プラグ、プリント基板、チューナー、スピーカー、
マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘ
ッドベース、パワーモジュール、半導体、液晶、FDD
キャリッジ、FDDシャーシ、モーターブラッシュホル
ダー、パラボラアンテナ、コンピューター関連部品、V
TR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤー、
炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディオ・
レーザーディスク(登録商標)・コンパクトディスク等
の音声機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部
品、タイプライター部品、ワードプロセッサー部品、オ
フィスコンピューター関連部品、電話器関連部品、ファ
クシミリ関連部品、および複写機関連部品などが挙げら
れる。
【0049】その他の用途としては、洗浄用治具、モー
ター部品、ライター、タイプライター等の機械関連部
品、顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計等の光学機器、精密
機械関連部品、水道蛇口コマ、混合水栓、ポンプ部品、
パイプジョイント、水量調節弁、逃がし弁、湯温センサ
ー、水量センサー、水道メーターハウジングなどの水廻
り部品、医療機器、建材関係部品、家具用部品などが挙
げられる。
【0050】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に
説明する。本発明はこれら実施例の記載に限定されるも
のではない。また、実施例および比較例中に示された配
合割合において特に注釈のない「%」は、全て重量%を
意味する。
【0051】また、各種特性の評価は次に記載の方法に
より行った。 [ポリフェニレンスルフィド樹脂のメルトインデックス
(MI)] ・130℃の熱風乾燥機で3時間乾燥したポリフェニレ
ンスルフィド樹脂について、長さ8mm、ノズル径2.
095mmのオリフィスを用い、荷重5kg、温度31
5.6℃、サンプル量7g、サンプル仕込みから測定開
始までのプレヒート時間5minでの条件で測定した。
単位はg/10min。 [射出成形機] ・最大型締力 2000kN ・スクリュー径 42mm(L/D=28) [比重] ・得られた成形品を用い、ASTM D792に準じて
測定した。 [気泡径] ・顕微鏡を用いた形態観察により、任意の気泡500個
について気泡径を測定し、その平均値を気泡サイズとし
た。 [機械特性] ・引張特性: ASTM D638に準じて測定した。 ・曲げ特性: ASTM D790に準じて測定した。 [そり、ひけ] ・得られた発泡成形品のそり、ヒケを目視により評価し
た。 [参考例1]ポリフェニレンスルフィド樹脂(A−1)
の製造 撹拌機付きオートクレーブに、水硫化ナトリウム水溶液
4.67kg(水硫化ナトリウム25モル)、50%水
酸化ナトリウム2kg(水酸化ナトリウム25モル)な
らびにN−メチル−2−ピロリドン8kgを仕込み、撹
拌しながら徐々に昇温し、水3.8kgを含む留出水
4.1Lを除去した。残留混合物に1,4−ジクロロベ
ンゼン3.75kg(25.5モル)ならびにN−メチ
ル−2−ピロリドン2kgを加えて230℃で1時間加
熱した。反応生成物を温水で5回洗浄後、90℃、pH
4の酢酸水溶液25L中に投入し、1時間撹拌した。ポ
リフェニレンスルフィド樹脂を濾過し、濾液のpHが7
になるまで90℃のイオン交換水で洗浄した後、80℃
で24時間真空乾燥した。得られたポリフェニレンスル
フィド樹脂のメルトインデックスの自然対数値は8.5
2であった。 [参考例2]ポリフェニレンスルフィド樹脂(A−2)
の製造 参考例1で得られたポリフェニレンスルフィド樹脂を、
スパイラル型撹拌翼を備えた撹拌釜に仕込み、1L/m
inの空気を送り込みながら回転数60rpmで7時間
撹拌した。得られたポリフェニレンスルフィド樹脂のメ
ルトインデックスの自然対数値は5.70であった。 [参考例3]ポリフェニレンスルフィド樹脂(A−3)
の製造 参考例1で得られたポリフェニレンスルフィド樹脂を、
スパイラル型撹拌翼を備えた撹拌釜に仕込み、1L/m
inの空気を送り込みながら回転数60rpmで9時間
撹拌した。得られたポリフェニレンスルフィド樹脂のメ
ルトインデックスの自然対数値は4.00であった。 [参考例4]ポリフェニレンスルフィド樹脂(A−4)
の製造 撹拌機付きオートクレーブに、水硫化ナトリウム水溶液
4.67kg(水硫化ナトリウム25モル)、50%水
酸化ナトリウム2kg(水酸化ナトリウム25モル)な
らびにN−メチル−2−ピロリドン8kgを仕込み、撹
拌しながら徐々に昇温し、水3.8kgを含む留出水
4.1Lを除去した。残留混合物に1,4−ジクロロベ
ンゼン3.75kg(25.5モル)ならびにN−メチ
ル−2−ピロリドン2kgを加えて230℃で25分加
熱した。反応生成物を温水で5回洗浄後、90℃、pH
4の酢酸水溶液25L中に投入し、45分撹拌した。ポ
リフェニレンスルフィド樹脂を濾過し、濾液のpHが7
になるまで90℃のイオン交換水で洗浄した後、80℃
で24時間真空乾燥した。得られたポリフェニレンスル
フィド樹脂のメルトインデックスの自然対数値は8.9
8であった。 [参考例5]ポリフェニレンスルフィド樹脂(A−5)
の製造 参考例1で得られたポリフェニレンスルフィド樹脂をス
パイラル型撹拌翼を備えた撹拌釜に仕込み、1L/mi
nの空気を送り込みながら回転数60rpmで14時間
撹拌した。得られたポリフェニレンスルフィド樹脂のメ
ルトインデックスの自然対数値は2.30であった。な
お、以下の実施例では全て図1に構成概略を示した態様
の射出成形機を使用した。シリンダー温度はノズル側か
らホッパー側に向けて、300℃/290℃/280℃
/270℃のように設定した。また、成形品はASTM
1号引張試験片および50mm×50mm×30mmサ
イズで厚み1.5mmの箱の2種を成形し、前者で比
重、引張特性、曲げ特性を測定し、後者でソリ、ヒケの
評価を行った。金型温度はいずれの場合も30℃とし
た。超臨界流体としては窒素または炭酸ガスを使用し、
注入量はポリフェニレンスルフィド樹脂またはポリフェ
ニレンスルフィド樹脂組成物100gに対して1gとし
た。 [実施例1〜3]参考例1〜3で製造したポリフェニレ
ンスルフィド樹脂A−1,A−2およびA−3のそれぞ
れに対して、ガラス繊維(旭ファイバーガラス製JA5
23)を40重量%溶融混練した材料を使用し、超臨界
流体として窒素ガスを用いて超臨界発泡射出成形を行っ
た。得られた成形品の物性および外観の評価結果を表1
に示す。 [実施例4〜6]超臨界流体として炭酸ガスを用いた以
外は、実施例1〜3と同様にして超臨界発泡射出成形を
行った。得られた成形品の物性および外観の評価結果を
表1に併せて示す。 [実施例7〜9]参考例1〜3で製造したポリフェニレ
ンスルフィド樹脂A−1,A−2およびA−3のそれぞ
れに対して、ガラス繊維(旭ファイバーガラス製JA5
23)45重量%および炭酸カルシウム(同和カルファ
イン製KSS1000)20重量%を溶融混練した材料
を使用し、超臨界流体として窒素ガスを用いて超臨界発
泡射出成形を行った。得られた成形品の物性および外観
の評価結果を表1に併せて示す。 [実施例10〜12]超臨界流体として炭酸ガスを用い
た以外は、実施例7〜9と同様にして超臨界発泡射出成
形を行った。得られた成形品の物性及び外観の評価結果
を表1に併せて示す。 [実施例13〜15]参考例1〜3で製造したポリフェ
ニレンスルフィド樹脂A−1,A−2およびA−3のそ
れぞれに対して、PAN系炭素繊維(東レ製T300)
を30重量%溶融混練した材料を使用し、超臨界流体と
して窒素ガスを用いて超臨界発泡射出成形を行った。得
られた成形品の物性および外観の評価結果を表1に併せ
て示す。 [実施例16〜18]超臨界流体として炭酸ガスを用い
た以外は、実施例13〜15と同様にして超臨界発泡射
出成形を行った。得られた成形品の物性および外観の評
価結果を表1に併せて示す。
【0052】
【表1】
【0053】[参考例6〜8]超臨界流体を注入しない
こと以外は、実施例1〜3と同様にして射出成形を行っ
た。すなわち、通常の射出成形である。得られた成形品
の物性および外観の評価結果を表2に示す。 [参考例9〜11]超臨界流体を注入しないこと以外
は、実施例7〜9と同様にして射出成形を行った。すな
わち、通常の射出成形である。得られた成形品の物性お
よび外観の評価結果を表2に併せて示す。 [参考例12〜14]超臨界流体を注入しないこと以外
は、実施例13〜15と同様にして射出成形を行った。
すなわち、通常の射出成形である。得られた成形品の物
性および外観の評価結果を表2に併せて示す。
【0054】
【表2】
【0055】[比較例1〜2]参考例4〜5で製造した
ポリフェニレンスルフィド樹脂A−4またはA−5を使
用したこと以外は、実施例1と同様にして超臨界発泡射
出成形を行った。得られた成形品の物性および外観の評
価結果を表3に示す。 [比較例3〜4]参考例4〜5で製造したポリフェニレ
ンスルフィド樹脂A−4またはA−5を使用したこと以
外は、実施例4と同様にして超臨界発泡射出成形を行っ
た。得られた成形品の物性および外観の評価結果を表3
に併せて示す。 [比較例5〜6]参考例4〜5で製造したポリフェニレ
ンスルフィド樹脂A−4またはA−5を使用したこと以
外は、実施例7と同様にして超臨界発泡射出成形を行っ
た。得られた成形品の物性および外観の評価結果を表3
に併せて示す。 [比較例7〜8]参考例4〜5で製造したポリフェニレ
ンスルフィド樹脂A−4またはA−5を使用したこと以
外は、実施例10と同様にして超臨界発泡射出成形を行
った。得られた成形品の物性および外観の評価結果を表
3に併せて示す。 [比較例9〜10]参考例4〜5で製造したポリフェニ
レンスルフィド樹脂A−4またはA−5を使用したこと
以外は、実施例13と同様にして超臨界発泡射出成形を
行った。得られた成形品の物性および外観の評価結果を
表3に併せて示す。 [比較例11〜12]参考例4〜5で製造したポリフェ
ニレンスルフィド樹脂A−4またはA−5を使用したこ
と以外は、実施例16と同様にして超臨界発泡射出成形
を行った。得られた成形品の物性および外観の評価結果
を表3に併せて示す。 [比較例13]参考例1で製造したポリフェニレンスル
フィド樹脂A−1の60重量部に、ガラス繊維(旭ファ
イバーガラス製JA523)40重量部を溶融混練して
得たペレット100重量部に、熱分解性発泡剤として5
−フェニルテトラゾール(永和化成工業“セルテトラ”
PT5)を0.5重量部をドライブレンドした材料を使
用し、超臨界流体を使用しない以外は、実施例1と同様
にして射出成形を行った。得られた成形品の物性および
外観の評価結果を表3に示す。 [比較例14]参考例1で製造したポリフェニレンスル
フィド樹脂A−1の35重量部にガラス繊維(旭ファイ
バーガラス製JA523)45重量部、炭酸カルシウム
(同和カルファイン製KSS1000)20重量部を溶
融混練して得たペレット100重量部に、熱分解性発泡
剤として5−フェニルテトラゾール(永和化成工業“セ
ルテトラ”PT5)を0.5重量部をドライブレンドし
た材料を使用し、超臨界流体を使用しない以外は、実施
例7と同様にして射出成形を行った。得られた成形品の
物性および外観の評価結果を表3に併せて示す。 [比較例15]参考例1で製造したポリフェニレンスル
フィド樹脂A−1の70重量部にPAN系炭素繊維(東
レ製T300)を30重量%溶融混練して得たペレット
100重量部に、熱分解性発泡剤として5−フェニルテ
トラゾール(永和化成工業“セルテトラ”PT5)を
0.5重量部をドライブレンドした材料を使用し、超臨
界流体を使用しない以外は、実施例13と同様にして射
出成形を行った。得られた成形品の物性および外観の評
価結果を表3に併せて示す。
【0056】
【表3】
【0057】実施例1〜3の結果より、メルトインデッ
クスの自然対数値が3.8〜8.8の範囲にあるポリフ
ェニレンスルフィド樹脂にガラス繊維を配合した組成物
を、超臨界発泡射出成形することにより、顕微鏡観察に
よる発泡形態が微細・均一であり、軽量かつ物性に優れ
た成形品が得られることがわかる。また、ソリやヒケの
ない箱状成形品が得られることがわかる。実施例4〜6
の結果より、超臨界流体を窒素から炭酸ガスに変更して
も、窒素を用いた実施例1〜3と同様の効果が得られる
ことがわかる。実施例7〜9の結果より、メルトインデ
ックスの自然対数値が3.8〜8.8の範囲にあるポリ
フェニレンスルフィド樹脂に、ガラス繊維および炭酸カ
ルシウムを配合した組成物を超臨界発泡射出成形するこ
とにより、発泡が微細・均一であり、軽量かつ物性に優
れた成形品が得られることがわかる。また、ソリやヒケ
のない箱状成形品が得られることがわかる。実施例10
〜12の結果より、超臨界流体を窒素から炭酸ガスに変
更しても、窒素を用いた実施例7〜9と同様の効果が得
られることがわかる。実施例13〜15の結果より、メ
ルトインデックスの自然対数値が3.8〜8.8の範囲
にあるポリフェニレンスルフィド樹脂に炭素繊維を配合
した組成物を超臨界発泡射出成形することにより、発泡
が微細・均一であり、軽量かつ物性に優れた成形品が得
られることがわかる。また、ソリやヒケのない箱状成形
品が得られることがわかる。実施例16〜18の結果よ
り、超臨界流体を窒素から炭酸ガスに変更しても、窒素
を用いた実施例13〜15と同様の効果が得られること
がわかる。参考例6〜14の結果より、通常の射出成形
で得られた成形品は、機械物性は優れているが、箱状成
形品ではソリやヒケが観察され、この点で問題のあるこ
とがわかる。比較例1〜4の結果より、メルトインデッ
クスの自然対数が3.8〜8.8の範囲にないポリフェ
ニレンスルフィド樹脂にガラス繊維を配合した組成物
を、超臨界発泡射出成形した場合には、ソリ、ヒケのな
い成形品が得られるものの、比重、気泡径が大きく、物
性が低いことがわかる。比較例5〜8の結果より、メル
トインデックスの自然対数が3.8〜8.8の範囲にな
いポリフェニレンスルフィド樹脂にガラス繊維および炭
酸カルシウムを配合した組成物を、超臨界発泡射出成形
した場合には、ソリ、ヒケのない成形品が得られるもの
の、比重、気泡径が大きく、物性が低いことがわかる。
比較例9〜12の結果より、メルトインデックスの自然
対数が3.8〜8.8の範囲にないポリフェニレンスル
フィド樹脂に炭素繊維を配合した組成物を、超臨界発泡
射出成形した場合には、ソリ、ヒケのない成形品が得ら
れるものの、比重、気泡径が大きく、物性が低いことが
わかる。比較例13の結果より、メルトインデックスの
自然対数が3.8〜8.8の範囲にあるポリフェニレン
スルフィド樹脂にガラス繊維を配合した組成物を用いて
も、化学発泡剤による発泡射出成形した場合には、ソ
リ、ヒケのない成形品が得られるものの、比重、気泡径
が大きく、物性が低いことがわかる。比較例14の結果
より、メルトインデックスの自然対数が3.8〜8.8
の範囲にあるポリフェニレンスルフィド樹脂にガラス繊
維および炭酸カルシウムを配合した組成物を用いても、
化学発泡剤による発泡射出成形した場合には、ソリ、ヒ
ケのない成形品が得られるものの、比重、気泡径が大き
く、物性が低いことがわかる。比較例15の結果より、
メルトインデックスの自然対数が3.8〜8.8の範囲
にあるポリフェニレンスルフィド樹脂に炭素繊維を配合
した組成物を用いても、化学発泡剤による発泡射出成形
した場合には、ソリ、ヒケのない成形品が得られるもの
の、比重、気泡径が大きく、物性が低いことがわかる。
【0058】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のポリフェ
ニレンスルフィド樹脂発泡成形品は、ポリフェニレンス
ルフィド樹脂の特性を保持したまま、微細かつ均一な発
泡状態を有するものであり、軽量化が可能である上に、
ヒケやソリが少ないという優れた特性を有するものであ
る。したがって、本発明によれば、各種ポリフェニレン
スルフィド樹脂成形品の軽量化と共に、外観および寸法
精度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用される射出成形機の一例を示す概
略構成図である。
【符号の説明】
A ポリフェニレンスルフィド樹脂ペレット B ホッパー C スクリュー D シリンダー E スタティックミキサー F 拡散チャンバー G ノズル H キャビティ(成形品) I 金型 J 昇圧ポンプ K ガスボンベ L カウンタープレッシャー用ガスボンベ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 81:02 C08L 81:02

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリフェニレンスルフィド樹脂と超臨界
    流体とを射出成形機に導入し、射出成形して得られるポ
    リフェニレンスルフィド樹脂発泡成形品であって、前記
    ポリフェニレンスルフィド樹脂のメルトインデックス
    (g/10min)の自然対数値が3.8〜8.8であ
    ることを特徴とするポリフェニレンスルフィド樹脂発泡
    成形品。
  2. 【請求項2】 前記ポリフェニレンスルフィド樹脂が、
    無機充填材を含有することを特徴とする請求項1記載の
    ポリフェニレンスルフィド樹脂発泡成形品。
  3. 【請求項3】 前記無機充填材が、ガラス繊維、炭酸カ
    ルシウムおよび炭素繊維から選ばれた1種以上であるこ
    とを特徴とする請求項2記載のポリフェニレンスルフィ
    ド樹脂発泡成形品。
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