JP2015010117A - ポリアミド樹脂成形品およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐熱性および断熱性に優れるポリアミド樹脂成形品を提供すること。
【解決手段】ポリアミド樹脂(A)100重量部に対して、無機充填材(B)1〜150重量部および樹状ポリエステル樹脂(C)0.1〜30重量部を配合してなる樹脂組成物を成形してなる、発泡倍率が1.4倍以上であることを特徴とするポリアミド樹脂成形品。
【選択図】図1

Description

本発明は、ポリアミド樹脂組成物を成形してなる、発泡倍率が高いポリアミド樹脂成形品に関するものである。
ポリプロピレンフォームなどのプラスチックの発泡成形品は、比較的耐熱性が高いことから、自動車内装のダッシュボードや天井材などに使用されている。また、断熱や軽量化の観点から、目地材や断熱材に使用されている。しかしながら、ポリプロピレンは、耐熱性の指標である荷重たわみ温度が120℃未満であり、120℃以上の荷重たわみ温度が要求される自動車エンジンルーム内部品などには適用が制限されている。そのため、耐熱性および断熱性に優れる発泡成形品が要求されている。
このような現状から、発泡成形品について、これまでにいくつかの検討がなされている。例えば、特定のポリアミド樹脂組成物と発泡剤を含むマスターバッチを混合し、溶融成形するポリアミド樹脂発泡体の製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、内部に発泡部分を有し、表層部に非発泡層を有し、見かけ比重が、樹脂組成物が有する比重の95〜99.5%の範囲である結晶性樹脂組成物により得られる成形品が提案されている(例えば、特許文献2参照)。また、熱可塑性樹脂に二酸化炭素を含浸させた後、発泡成形する肉厚が1mmを超える発泡成形体の製造方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、これらに開示された技術により得られる発泡成形体は、断熱性が不十分である課題があった。
一方、コアバック法により射出成形された、ソリッド層からなるスキン層と発泡層が形成された発泡樹脂パネルが提案されている(例えば、特許文献4参照)。しかしながら、発泡倍率については言及されていない。また、耐熱性が不十分である課題があった。
目的は異なるが、熱可塑性樹脂に液晶性樹脂と発泡剤を配合し、オーブンで加熱した発泡成形体が提案されている(例えば、特許文献5参照)。また、ポリアミド樹脂に液晶性樹脂と酸無水物を配合してなるポリアミド樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献6参照)。しかしながら、これらに開示された技術により得られる発泡成形体は、断熱性が不十分である課題があった。
特開2009−249549号公報 特開2002−96348号公報 特開2006−328319号公報 特開2011−207118号公報 特開2001−72790号公報 特開2000−34404号公報
本発明は、上記背景技術の課題に鑑み、耐熱性および断熱性に優れるポリアミド樹脂成形品を提供することを課題とする。
本発明は、ポリアミド樹脂(A)100重量部に対して、無機充填材(B)1〜150重量部および樹状ポリエステル樹脂(C)0.1〜30重量部を配合してなる樹脂組成物を成形してなる、発泡倍率が1.4倍以上であることを特徴とするポリアミド樹脂成形品である。
本発明によれば、ポリアミド樹脂成形品の発泡倍率を1.4倍以上とすることにより、耐熱性および断熱性に優れるポリアミド樹脂成形品を提供することができる。本発明のポリアミド樹脂成形品は、自動車エンジンルーム内部品を始め、耐熱性および断熱性が要求される用途に好ましく使用することができる。
ポリアミド樹脂成形品の製造装置の一例を示す概略構成図である。
以下、本発明のポリアミド樹脂成形品について詳細に説明する。
本発明に用いられるポリアミド樹脂(A)とは、アミド結合を有する高分子からなる樹脂のことである。ポリアミド樹脂(A)は、アミノ酸、ラクタムあるいはジアミンとジカルボン酸を主たる原料とする。アミノ酸としては、例えば、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸などが挙げられる。ラクタムとしては、例えば、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタムなどが挙げられる。ジアミンとしては、例えば、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミンなどの芳香族ジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、アミノエチルピペラジンなどの脂環族ジアミンなどが挙げられる。ジカルボン酸としては、例えば、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などの脂肪族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸などが挙げられる。これら原料を2種以上用いてもよく、ポリアミド樹脂(A)はホモポリマーであってもコポリマーであってもよい。
本発明においては、150℃以上の結晶融解温度を有するポリアミド樹脂が好ましく、得られるポリアミド樹脂成形品の耐熱性や強度をより向上させることができる。
本発明に好ましく用いられるポリアミド樹脂の具体的な例としては、ポリカプロアミド(ポリアミド6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ポリアミド66)、ポリペンタメチレンアジパミド(ポリアミド56)、ポリテトラメチレンアジパミド(ポリアミド46)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)、ポリペンタメチレンセバカミド(ポリアミド510)、ポリテトラメチレンセバカミド(ポリアミド410)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリウンデカンアミド(ポリアミド11)、ポリドデカンアミド(ポリアミド12)、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンアジパミドコポリマー(ポリアミド6/66)、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ポリアミド6/6T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ポリアミド66/6T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ポリアミド66/6I)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミド/ポリカプロアミドコポリマー(ポリアミド66/6I/6)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ポリアミド6T/6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリデカンアミドコポリマー(ポリアミド6T/12)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ポリアミド66/6T/6I)、ポリキシリレンアジパミド(ポリアミドXD6)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリ−2−メチルペンタメチレンテレフタルアミドコポリマー(ポリアミド6T/M5T)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリペンタメチレンテレフタルアミドコポリマー(ポリアミド6T/5T)、ポリペンタメチレンテレフタルアミド/ポリペンタメチレンアジパミドコポリマー(5T/56)、ポリノナメチレンテレフタルアミド(ポリアミド9T)、ポリデカメチレンテレフタルアミド(ポリアミド10T)およびこれらの重合体などが挙げられる。成形性、耐熱性、靭性、表面性などの必要特性に応じて、これらを2種以上用いてもよい。
これらの中でも、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド56、ポリアミド610、ポリアミド510、ポリアミド410、ポリアミド612、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6/66、ポリアミド66/6T、ポリアミド6T/6I、ポリアミド66/6I/6、ポリアミド6T/5Tなどがより好ましい。ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610がより好ましく、射出成形性と、得られるポリアミド樹脂成形品の強度、剛性、耐熱性をより高いレベルで両立することができる。成形品の耐熱性をさらに向上させる観点からはポリアミド66がより好ましく、成形品の拡張性を維持しながら、発泡倍率および断熱性をさらに向上させる観点からはポリアミド6およびポリアミド610がより好ましい。
ポリアミド樹脂(A)の末端基量には特に制限はないが、アミノ末端基量が3×10−5mol/g以上であることが好ましく、得られるポリアミド樹脂成形品の発泡倍率をより高くすることができる。ここでいうアミノ末端基量とは、85重量%フェノール−エタノール溶液にポリアミド樹脂を溶解し、チモールブルーを指示薬として塩酸水溶液で滴定することにより求めることができる。
ポリアミド樹脂(A)の重合度には特に制限がないが、粘度数VNが70〜200ml/gであることが好ましい。VNを70ml/g以上とすることにより、成形品の拡張性を維持しながら、発泡倍率および断熱性をより向上させることができる。さらに、成形品の強度および靭性を向上させることができる。85ml/g以上がより好ましく、100ml/g以上がさらに好ましい。一方、VNを200ml/g以下とすることにより、成形性が向上することに加え、成形品の拡張性を維持しながら、発泡倍率および断熱性をより向上させることができる。180ml/g以下がより好ましく、150ml/g以下がさらに好ましい。ここでいう粘度数VNとは、96%硫酸を溶媒としてISO307に準拠して測定した値をいう。
ポリアミド樹脂(A)のVNを上記範囲にする方法としては、例えば、所望の重合度を有するポリアミド樹脂を選択して用いる方法や、重合度の異なる2種以上のポリアミド樹脂(A)を組み合わせて、VNを上記範囲内に調整する方法などを挙げることができる。
本発明において、ポリアミド樹脂組成物は、無機充填材(B)を配合してなる。無機充填材(B)を配合することにより、得られるポリアミド樹脂成形品の拡張性を維持しながら、耐熱性、強度、発泡倍率および断熱性をより向上させることができる。無機充填材(B)を配合することにより、成形時に表層部とコア部の結晶化速度に差異が生じ、表層部が素早くスキン層を形成する。そのため、表層部が固化状態、コア部が半固化状態となるため成形時に拡張しやすく、成形品の拡張性を維持しながら、発泡倍率をより向上させることができるものと考えられる。
無機充填材(B)としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウムウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、硼酸アルミニウムウィスカ、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石コウ繊維、金属繊維などの繊維状無機充填材、ワラステナイト、ゼオライト、セリサイト、カオリン、マイカ、クレー、パイロフィライト、ベントナイト、アスベスト、タルク、アルミナシリケートなどの珪酸塩、アルミナ、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄などの金属酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの金属炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの金属硫酸塩、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウムなどの金属水酸化物、ガラスビーズ、セラミックビーズ、窒化ホウ素および炭化珪素などの非繊維状無機充填材が挙げられ、これらは中空であってもよい。これら無機充填材を2種以上併用することも可能である。また、これら無機充填材は、イソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物、エポキシ化合物などのカップリング剤で予備処理されていてもよく、機械的特性をより向上させることができる。
前記に示した無機充填材の中でも、ガラス繊維、炭素繊維、ワラステナイト、カオリン、マイカ、クレー、タルク、アルミナ、ガラスビーズが好ましく、ガラス繊維、炭素繊維がより好ましく、ガラス繊維がさらに好ましく用いられる。
本発明に用いられるガラス繊維には特に制限はなく、公知のものが使用できる。通常、ガラス繊維は、所定長さにカットしたチョップドストランド、ロービングストランド、ミルドファイバーなどの形状があり、平均繊維径5〜15μmのものが好ましく使用される。
本発明において、ポリアミド樹脂組成物における無機充填材(B)の配合量は、ポリアミド樹脂(A)100重量部に対して、1〜150重量部である。無機充填材(B)の配合量が1重量部未満であると、成形品の耐熱性、強度、断熱性、発泡倍率が低下する。10重量部以上がより好ましく、15重量部以上がさらに好ましい。一方、無機充填材(B)の配合量が150重量部を超えると、成形品の耐熱性、強度、断熱性、発泡倍率が低下する。120重量部以下がより好ましく、100重量部以下がさらに好ましい。
本発明において、ポリアミド樹脂組成物は、さらに樹状ポリエステル樹脂(C)を配合してなる。樹状ポリエステル樹脂(C)を配合することにより、成形時のポリアミド樹脂組成物の流動性を向上させ、成形品の断熱性、発泡倍率を向上させることができる。
本発明において、ポリアミド樹脂組成物における樹状ポリエステル樹脂(C)の配合量は、ポリアミド樹脂(A)100重量部に対して、0.1〜30重量部である。樹状ポリエステル樹脂(C)の配合量が0.1重量部未満であると、ポリアミド樹脂組成物の流動性向上効果が低く、成形品の断熱性、発泡倍率が低下する。0.5重量部以上がより好ましく、1重量部以上がさらに好ましい。一方、樹状ポリエステル樹脂(C)の配合量が30重量部を超えると、成形品の断熱性、発泡倍率が低減する。15重量部以下がより好ましく、5重量部以下がさらに好ましい。
本発明に用いられる樹状ポリエステル樹脂(C)とは、芳香族オキシカルボニル単位(S)、芳香族および/または脂肪族ジオキシ単位(T)、および、芳香族ジカルボニル単位(U)からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造単位と3官能以上の有機残基(D)とを含み、かつ、Dの含有量が樹状ポリエステルを構成する全単量体に対して7.5〜50モル%の範囲にある樹状ポリエステル樹脂である。芳香族オキシカルボニル単位(S)、芳香族および/または脂肪族ジオキシ単位(T)、および、芳香族ジカルボニル単位(U)をいずれも含むものが好ましい。
ここで、芳香族オキシカルボニル単位(S)、芳香族および/または脂肪族ジオキシ単位(T)、および、芳香族ジカルボニル単位(U)は、それぞれ下式(1)で表される構造単位であることが好ましい。
Figure 2015010117
ここで、R1およびR3は、それぞれ芳香族残基である。R2は、芳香族残基または脂肪族残基である。樹状ポリエステル樹脂(C)において、複数のR1、R2およびR3は、それぞれ同一でも異なってもよい。上記の芳香族残基としては、例えば、置換または非置換のフェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基などが挙げられる。脂肪族残基としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレンなどが挙げられる。R1、R2およびR3は、それぞれ下式で表される構造が好ましい。
Figure 2015010117
ただし、式中Yは同じでも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子またはアルキル基である。ここでアルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。式中nは2〜8の整数である。
具体的には、R1は芳香族オキシカルボニル単位由来の構造であり、p−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成した構造単位が挙げられる。好ましくはp−ヒドロキシ安息香酸由来の構造単位であり、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸由来のものを一部併用することも可能である。また、本発明の効果を損なわない範囲で、グリコール酸、乳酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸などの脂肪族ヒドロキシカルボン酸由来の構造単位を含有してもよい。
R2は芳香族および/または脂肪族ジオキシ単位由来の構造であり、例えば、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、t−ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロキノン、メチルハイドロキノン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールなどから生成した構造単位などが挙げられる。好ましくは、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、エチレングリコールから生成した構造単位であり、4,4’−ジヒドロキシビフェニルとハイドロキノンもしくは4,4’−ジヒドロキシビフェニルとエチレングリコールから生成した構造単位が含まれることが液晶性の制御の点から好ましい。
R3は芳香族ジカルボニル単位から生成される構造単位であり、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、1,2−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸および4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸などから生成した構造単位が挙げられる。好ましくはテレフタル酸、イソフタル酸から生成した構造単位であり、特に両者を併用した場合に融点調節がしやすく好ましい。また、本発明の効果を損なわない範囲で、セバシン酸やアジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸から生成される構造単位が一部含まれていてもよい。
本発明における樹状ポリエステル樹脂(C)は、3官能以上の有機残基(D)が、互いにエステル結合および/またはアミド結合により直接、あるいは、枝構造部分であるS、TおよびUから選ばれる構造単位を介して結合した、3分岐以上の分岐構造を基本骨格としている。分岐構造は、3分岐、4分岐など単一の基本骨格で形成されていてもよいし、3分岐と4分岐など、複数の基本骨格が共存していてもよい。ポリマーの全てが該基本骨格からなる必要はなく、例えば、末端封鎖のために末端に他の構造が含まれてもよい。また、Dが3官能の有機残基である場合には、樹状ポリエステル樹脂中には、Dの3つの官能基が全て反応している構造、2つだけが反応している構造、および1つだけしか反応していない構造が混在していてもよい。Dの3つの官能基が全て反応した構造が、D全体に対して15モル%以上であることが好ましく、より好ましくは20モル%以上であり、さらに好ましくは30モル%以上である。また、Dが4官能の有機残基である場合には、樹状ポリエステル樹脂中には、Dの4つの官能基が全て反応している構造、3つだけが反応している構造、2つだけが反応している構造、および1つしか反応していない構造が混在していてもよい。Dの4つの官能基が全て反応した構造がD全体に対して10モル%以上かつ3つの官能基が反応した構造が20モル%以上であることが好ましく、より好ましくは4つの官能基が反応した構造がD全体に対して20モル%以上かつ3つの官能基が反応した構造がD全体に対して30モル%以上であり、さらに好ましくは4つの官能基が反応した構造がD全体に対して25モル%以上かつ3つの官能基が反応した構造がD全体に対して35モル%以上である。
Dは3官能化合物および/または4官能化合物の有機残基であることが好ましく、3官能化合物の有機残基であることが最も好ましい。
上記3分岐の基本骨格を模式的に示すと、式(2)で示される。また上記4分岐の基本骨格を模式的に示すと、式(3)で示される。
Figure 2015010117
Figure 2015010117
本発明における樹状ポリエステル樹脂(C)は、溶融液晶性を示すことが好ましい。ここで溶融液晶性を示すとは、室温から昇温した際に、ある温度域で液晶状態を示すことである。液晶状態とは、せん断下において光学的異方性を示す状態である。
溶融液晶性を示すために、3分岐の場合の基本骨格は、下式(4)で示されるように、有機残基(D)が、S、TおよびUからなる群より選ばれる構造単位により構成される枝構造部分Rを介して結合していることが好ましい。
Figure 2015010117
同様に、4分岐の場合の基本骨格は、下式(5)で示される構造が好ましい。
Figure 2015010117
Dで表される3官能の有機残基については特に限定されないが、カルボキシル基、ヒドロキシル基およびアミノ基からなる群より選ばれる官能基を含有する化合物の有機残基であることが好ましい。例えば、グリセロール、メチロールプロパン、トリカルバリル酸、ジアミノプロパノール、ジアミノプロピオン酸など脂肪族化合物由来のもの、トリメシン酸、トリメリット酸、4−ヒドロキシ−1,2−ベンゼンジカルボン酸、フロログルシノール、α−レゾルシン酸、β―レゾルシン酸、γ―レゾルシン酸、トリカルボキシナフタレン、ジヒドロキシナフトエ酸、アミノフタル酸、5−アミノイソフタル酸、アミノテレフタル酸、ジアミノ安息香酸、メラミン、シアヌル酸など芳香族化合物由来のものを挙げることができる。これらの中で芳香族化合物由来のものであることが好ましく、下記式(6)で表されるものであることが更に好ましい。具体的には、トリメシン酸、α−レゾルシン酸由来のものが好ましく、特に好ましくはトリメシン酸由来のものである。
Figure 2015010117
また、4官能以上の有機残基Dとしては、カルボキシル基、ヒドロキシル基およびアミノ基からなる群より選ばれる官能基を含有する化合物の有機残基であることが好ましい。例えば、エリスリトール、ペンタエリスリトール、スレイトール、キシリトール、グルシトール、マンニトール、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラオール、1,2,3,4,5−シクロヘキサンペンタンオール、1,2,3,4,5,6−シクロヘキサンヘキサンオール、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸、1,2,3,4,5−シクロヘキサンペンタカルボン酸、1,2,3,4,5,6−シクロヘキサンヘキサカルボン酸、クエン酸、酒石酸などの脂肪族化合物の残基や、1,2,4,5−ベンゼンテトラオール、1,2,3,4−ベンゼンテトラオール、1,2,3,5−ベンゼンテトラオール、1,2,3,4,5−ベンゼンペンタンオール、1,2,3,4,5,6−ベンゼンヘキサンオール、2,2’,3,3’−テトラヒドロキシビフェニル、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシビフェニル、3,3’,4,4’−テトラヒドロキシビフェニル、3,3’,5,5’−テトラヒドロキシビフェニル、2,3,6,7−ナフタレンテトラオール、1,4,5,8−ナフタレンテトラオール、ピロメリット酸、メロファン酸、プレーニト酸、メリット酸、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,2’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,5,5’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、2,3,6,7−ナフタレンテトラオール、1,4,5,8−ナフタレンテトラオール、1,2,4,5,6,8−ナフタレンヘキサオール、1,2,4,5,6,8−ナフタレンヘキサカルボン酸、没食子酸などの芳香族化合物の残基が挙げられる。下式(7)で表される残基がさらに好ましい。具体的には、1,2,4,5−ベンゼンテトラオール、1,2,3,4−ベンゼンテトラオール、1,2,3,5−ベンゼンテトラオール、ピロメリット酸、メロファン酸、プレーニト酸、没食子酸などの残基が好ましく、没食子酸の残基が特に好ましい。
Figure 2015010117
また、樹状ポリエステル樹脂(C)の芳香族ヒドロキシカルボニル単位(S)、芳香族および/または脂肪族ジオキシ単位(T)、芳香族ジカルボニル単位(U)は、樹状ポリエステル樹脂(C)の分岐間の枝構造部分を構成する単位である。p、q、rをそれぞれ構造単位S、TおよびUの平均含有量(モル比)とすると、Dの含有量dを1モルとした場合にp+q+r=1〜10であることが好ましい。p+q+rは、より好ましくは2〜6の範囲である。枝鎖長を前記範囲とすることにより、剛直で綿密な樹状構造に基づくせん断応答性などの効果をより向上させることができる。このp、q、rの値は、例えば、樹状ポリエステル樹脂をペンタフルオロフェノール50重量%:クロロホルム50重量%の混合溶媒に溶解し、40℃でプロトン核の核磁気共鳴スペクトル分析を行った結果のそれぞれの構造単位に由来するピーク強度比から求めることができる。各構造単位のピーク面積強度比から、平均含有率を算出し、小数点3桁は四捨五入する。分岐構造Dの含有量dにあたるピークとの面積強度比から、枝部分Rの平均鎖長を算出し、p+q+rの値とする。この場合にも小数点3桁は四捨五入する。
pとqおよびpとrの比率(p/q、p/r)は、いずれも5/95〜95/5が好ましく、より好ましくは10/90〜90/10であり、より好ましくは20/80〜80/20である。この範囲であれば、液晶性が発現しやすく好ましい。p/q、p/rの比率を95/5以下とすることで、樹状ポリエステル樹脂の融点を適当な範囲とすることができ、p/q、p/rを5/95以上とすることで樹状ポリエステル樹脂の溶融液晶性を発現することができるため好ましい。
qとrは、実質的に等モルであることが好ましいが、末端基を制御するためにどちらかの成分を過剰に加えることもできる。q/rの比率としては0.7〜1.5の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.9〜1.1である。ここでいう等モルとは、繰り返し単位内でのモル量が等しいことを意味し、末端構造は含めない。ここで、末端構造とは、枝構造部分の末端を意味し、末端が封鎖されている場合などには、最も末端に近い枝構造部分の末端を意味する。
本発明における樹状ポリエステル樹脂の枝構造部分は、主としてポリエステル骨格からなることが好ましいが、カーボネート構造やアミド構造、ウレタン構造などを特性に大きな影響を与えない程度に導入することも可能であり、中でもアミド構造を導入することが好ましい。このような別の結合を導入することで、多種多様な熱可塑性樹脂に対する相溶性を調整することが可能であり、好ましい。アミド結合の導入の方法としては、例えば、p−アミノ安息香酸、m−アミノ安息香酸、p−アミノフェノール、m−アミノフェノール、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミンなどの芳香族アミン化合物、テトラメチレンジアミンペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミンなどの脂肪族アミン化合物、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、アミノエチルピペラジンなどの脂環族アミン化合物などを共重合する方法が好ましく、中でもp−アミノフェノール、p−アミノ安息香酸を共重合する方法が好ましい。
S、TおよびUからなる群より選ばれる構造単位により構成される枝構造部分Rの具体例としては、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位および6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成した構造単位からなる構造、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、テレフタル酸から生成した構造単位からなる構造、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、テレフタル酸から生成した構造単位、イソフタル酸から生成した構造単位からなる構造、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、ハイドロキノンから生成した構造単位、テレフタル酸から生成した構造単位、イソフタル酸から生成した構造単位からなる構造、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、テレフタル酸から生成した構造単位からなる構造、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、テレフタル酸から生成した構造単位からなる構造、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、ハイドロキノンから生成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、テレフタル酸から生成した構造単位、2,6−ナフタレンジカルボン酸から生成した構造単位からなる構造、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成した構造単位、ハイドロキノンから生成した構造単位、テレフタル酸から生成した構造単位からなる構造などが挙げられる。
特に好ましいのは、下記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)から構成されるRもしくは下記構造単位(I)、(II)、(VI)および(IV)から構成されるRである。
Figure 2015010117
Figure 2015010117
上記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)から構成されるRの場合には、構造単位(I)の含有量pは構造単位の合計p+q+rに対して30〜70%であり、より好ましくは45〜60%である。また、構造単位(II)の含有量q(II)は構造単位(II)および(III)の合計qに対して60〜75%であり、より好ましくは65〜73%である。また、構造単位(IV)の含有量r(IV)は構造単位(IV)および(V)の合計rに対して60〜92%であり、好ましくは60〜70%であり、より好ましくは62〜68%である。このような場合には、せん断応答性や熱可塑性樹脂への添加による流動性改良効果が顕著に発現するため好ましい。
構造単位(II)および(III)の合計qと(IV)および(V)の合計rは実質的に等モルであることが好ましいが、ポリマーの末端基を調節するためにカルボン酸成分またはヒドロキシル成分を過剰に加えてもよい。すなわち「実質的に等モル」とは、末端を除くポリマー主鎖を構成するユニットとしては等モルであるが、末端を構成するユニットとしては必ずしも等モルとは限らないことを意味する。ここで末端が誘導体もしくは封鎖されている場合には、骨格Rの末端を意味する。
上記構造単位(I)、(II)、(VI)および(IV)から構成されるRの場合には、上記構造単位(I)の含有量pは構造単位(I)、(II)および(VI)の合計に対して30〜90モル%が好ましく、40〜80モル%がより好ましい。また、構造単位(VI)の含有量q(VI)は(II)と(VI)の合計qに対して70〜5モル%が好ましく、60〜8モル%がより好ましい。また、構造単位(IV)は構造単位(II)および(VI)の合計と実質的に等モルであることが好ましいが、いずれかの成分を過剰に加えてもよい。
また、本発明における樹状ポリエステル樹脂の末端は、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、またはそれらの誘導体が好ましい。水酸基の誘導体もしくは、カルボン酸の誘導体としては、例えば、メチルエステルなどのアルキルエステルやフェニルエステルやベンジルエステルなどの芳香族エステルが挙げられる。また、単官能エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、オルトエステル、酸無水物化合物などを用いて末端封鎖することも可能である。末端封鎖の方法としては、樹状ポリエステル樹脂を合成する際に、あらかじめ単官能性の有機化合物を添加する方法や、ある程度樹状ポリステル樹脂の骨格が形成された段階で単官能性の有機化合物を添加する方法などが挙げられる。
具体的には、水酸基末端やアセトキシ末端を封鎖する場合には、安息香酸、4−t−ブチル安息香酸、3−t−ブチル安息香酸、4−クロロ安息香酸、3−クロロ安息香酸、4−メチル安息香酸、3−メチル安息香酸、3,5−ジメチル安息香酸などを添加することで可能である。
また、カルボキシル基末端の封鎖は、カルボン酸反応性単官能化合物を反応することにより行うことができる。ここで、カルボン酸反応性単官能化合物とは、常温または加熱時にカルボン酸と反応し、エステル、アミド、ウレタン、ウレア結合を形成しうる官能基を分子内に1つ有する化合物をいう。樹状ポリエステル樹脂の分子末端に存在するカルボン酸基に、カルボン酸反応性単官能化合物を反応させ、分子末端に単官能化合物を導入することにより、樹状ポリエステル樹脂の滞留安定性や耐加水分解性を向上させ、さらに他の熱可塑性樹脂や充填剤と混練した際には、熱可塑性樹脂や充填剤の分解を抑制でき、また樹状ポリエステルの分散性が向上することによって、流動性や物性の改良が期待できる。
本発明における樹状ポリエステル樹脂に用いることのできるカルボン酸反応性単官能化合物としては、例えば、オキサゾリン、エポキシド、オルトエステル、イソシアネート、カルボジイミド化合物、ジアゾ化合物などが挙げられる。カルボン酸との反応性およびハンドリング性の観点から、オキサゾリン化合物、エポキシ化合物、オルトエステル化合物、イソシアネート化合物が好ましく用いられる。これらを2種以上併用しても構わない。
本発明に用いることのできるカルボン酸反応性単官能化合物のうちオキサゾリン化合物としては、例えば、2−メトキシ−2−オキサゾリン、2−エトキシ−2−オキサゾリン、2−プロポキシ−2−オキサゾリン、2−ブトキシ−2−オキサゾリン、2−ペンチルオキシ−2−オキサゾリン、2−ヘキシルオキシ−2−オキサゾリン、2−ヘプチルオキシ−2−オキサゾリン、2−オクチルオキシ−2−オキサゾリン、2−デシルオキシ−2−オキサゾリン、2−シクロペンチルオキシ−2−オキサゾリン、2−シクロヘキシル−2−オキサゾリン、2−アリルオキシ−2−オキサゾリン、2−メタアリルオキシ−2−オキサゾリン、2−フェノキシ−2−オキサゾリン、2−クレジル−2−オキサゾリン、2−p−フェニルフェノキシ−2−オキサゾリン、2−メチル−2−オキサゾリン、2−エチル−2−オキサゾリン、2−プロピル−2−オキサゾリン、2−ブチル−2−オキサゾリン、2−ペンチル−2−オキサゾリン、2−ヘキシル−2−オキサゾリン、2−ヘプチル−2−オキサゾリン、2−オクチル−2−オキサゾリン、2−ノニル−2−オキサゾリン、2−デシル−2−オキサゾリン、2−イソプロピル−2−オキサゾリン、2−イソブチル−2−オキサゾリン、2−sec−ブチル−2−オキサゾリン、2−tert−ブチル−2−オキサゾリン、2−シクロペンチル−2−オキサゾリン、2−シクロヘキシル−2−オキサゾリン、2−アリル−2−オキサゾリン、2−メタアリル−2−オキサゾリン、2−クロチル−2−オキサゾリン、2−フェニル−2−オキサゾリン、2−ビフェニル−2−オキサゾリンなどが挙げられる。このうち、樹状ポリエステル樹脂との反応性や親和性、および耐熱性の観点から、2−フェニル−2−オキサゾリンが好ましく用いられる。
本発明に用いることのできるカルボン酸反応性単官能化合物のうちエポキシ化合物としては、例えば、N−グリシジルフタルイミド、N−グリシジル−4−メチルフタルイミド、N−グリシジル−4,5−ジメチルフタルイミド、N−グリシジル−3−メチルフタルイミド、N−グリシジル−3,6−ジメチルフタルイミド、N−グリシジル−4−エトキシフタルイミド、N−グリシジル−4−クロルフタルイミド、N−グリシジル−4,5−ジクロルフタルイミド、N−グリシジルサクシンイミド、N−グリシジルヘキサヒドロフタルイミド、N−グリシジルマレインイミド、N−グリシジルベンズアミド、N−グリシジル−p−メチルベンズアミド、N−グリシジルナフトアミド、N−グリシジルステラアミド、o−フェニルフェニルグリシジルエーテル、2−メチルオクチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、3−(2−キセニルオキシ)−1,2−エポキシプロパン、アリルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、ラウリルグリシジルエーテル、ベンジルグリシジルエーテル、シクロヘキシルグリシジルエーテル、α−クレシルグリシジルエーテル、p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、メタクリル酸グリシジルエーテル、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、スチレンオキサイド、オクトイレンオキサイド、酢酸グリシジルエステル、プロピオン酸グリシジルエステル、ブタン酸グリシジルエステル、ペンタン酸グリシジルエステル、ヘキサン酸グリシジルエステル、オクタン酸グリシジルエステル、デカン酸グリシジルエステル、ネオデカン酸グリシジルエステル、安息香酸グリシジルエステルなどが挙げられる。このうち、樹状ポリエステル樹脂との反応性や親和性の観点から、安息香酸グリシジルエステルが好ましく用いられる。
本発明に用いることのできるカルボン酸反応性単官能化合物のうちオルトエステル化合物としては、例えば、オルト酢酸トリメチル、オルト酢酸トリエチル、オルト酢酸トリプロピル、オルト酢酸トリブチル、オルト酢酸トリベンジル、オルト蟻酸トリメチル、オルト蟻酸トリエチル、オルト蟻酸トリプロピル、オルト蟻酸トリブチル、オルト蟻酸トリベンジル、オルトプロピオン酸トリメチル、オルトプロピオン酸トリエチル、オルトプロピオン酸トリプロピル、オルトプロピオン酸トリブチル、オルトプロピオン酸トリベンジル、オルト安息香酸トリメチル、オルト安息香酸トリエチル、オルト安息香酸トリプロピル、オルト安息香酸トリブチル、オルト安息香酸トリベンジルなどが挙げられる。このうち、樹状ポリエステル樹脂との反応性や親和性およびハンドリング性の観点から、オルト酢酸トリメチルまたはオルト酢酸トリエチルが好ましく用いられる。
本発明に用いることのできるカルボン酸反応性単官能化合物のうちイソシアネート化合物としては、例えば、メチルイソシアネート、エチルイソシアネート、プロピルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ペンチルイソシアネート、ヘキシルイソシアネート、ヘプチルイソシアネート、オクチルイソシアネート、ノニルイソシアネート、デシルイソシアネート、ドデシルイソシアネート、オクタデシルイソシアネート、ベンジルイソシアネート、シクロへキシルイソシアネート、フェニルイソシアネート、p−クロロフェニルイソシアネート、p−ニトロフェニルイソシアネート、2−クロロエチルイソシアネート、ステアロイルイソシアネート、p−トルオルスルフォニルイソシアネートが挙げられる。このうち、樹状ポリエステル樹脂との反応性や親和性の観点から、フェニルイソシアネートが好ましい。
本発明に用いることのできるカルボン酸反応性単官能化合物のうちジアゾ化合物としては、例えば、ジアゾメタン、ジアゾエタン、ジアゾプロパン、ジアゾブタン、トリメチルシリルジアゾメタンが挙げられる。このうち、樹状ポリエステル樹脂との反応性や親和性の観点から、ジアゾメタンおよびトリメチルシリルジアゾメタンが好ましく用いられる。
理論的には、上記末端の封鎖に用いる有機化合物を、封鎖したい末端基に相当する量添加することで末端封鎖が可能である。末端封鎖をより効果的に行うためには、封鎖したい末端基相当量に対して、末端封鎖に用いる有機化合物を、1.005倍当量以上用いることが好ましく、より好ましくは1.008倍当量以上である。また、末端封鎖に用いる有機化合物の添加量は、系中に残存する有機化合物に起因するガス発生を抑制する観点から、封鎖したい末端基相当量に対して、2.5倍当量以下であることが好ましい。
また、有機残基Dの含有量は、樹状ポリエステルを構成する全単量体に対する、有機残基を生成する多官能化合物の配合割合を示し、その含有量は7.5モル%以上であり、10モル%以上がより好ましい。このような場合に、枝構造部分の連鎖長が、樹状ポリエステルが樹状の形態をとるのに適した長さとなるため好ましい。有機残基Dの含有量の上限は50モル%以下であり、45モル%以下が好ましく、40モル%以下がより好ましい。また本発明の樹状ポリエステル樹脂は特性に影響が出ない範囲で、部分的に架橋構造を有していてもよい。
本発明において使用する上記樹状ポリエステル樹脂の製造方法は、特に制限がなく、公知のポリエステルの重縮合法に準じて製造できる。前記R1、R2、R3で表される構造単位を構成する原料単調対をアシル化した後、3官能単量体を反応させる際に、3官能単量体の添加量(モル)を全仕込み単量体(モル)に対して7.5モル%以上となるようにして製造する方法が好ましい。多官能単量体の添加量は、より好ましくは10モル%以上、より好ましくは15モル%以上、さらに好ましくは20モル%以上である。また、添加量の上限としては、50モル%以下が好ましく、より好ましくは33モル%以下である。
例えば、前記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)から構成されるRとトリメシン酸から構成される樹状ポリエステル樹脂の製造において、次の製造方法が好ましく挙げられる。
(1)p−アセトキシ安息香酸および4,4’−ジアセトキシビフェニル、ジアセトキシベンゼンとテレフタル酸、イソフタル酸から脱酢酸重縮合反応によって液晶性ポリエステルオリゴマーを合成し、トリメシン酸を加えて脱酢酸重合反応させて製造する方法。
(2)p−アセトキシ安息香酸および4,4’−ジアセトキシビフェニル、ジアセトキシベンゼンとテレフタル酸、イソフタル酸およびトリメシン酸から脱酢酸重縮合反応によって製造する方法。
(3)p−ヒドロキシ安息香酸および4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンとテレフタル酸、イソフタル酸に無水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアシル化した後、脱酢酸重縮合反応によって液晶性ポリエステルオリゴマーを合成し、トリメシン酸を加えて脱酢酸重合反応させて製造する方法。
(4)p−ヒドロキシ安息香酸および4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンとテレフタル酸、イソフタル酸およびトリメシン酸に無水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアシル化した後、脱酢酸重縮合反応によって製造する方法。
(5)p−ヒドロキシ安息香酸のフェニルエステルおよび4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンとテレフタル酸、イソフタル酸のジフェニルエステルから脱フェノール重縮合反応により液晶性ポリエステルオリゴマーを合成し、トリメシン酸を加えて脱フェノール重縮合反応によって製造する方法。
(6)p−ヒドロキシ安息香酸のフェニルエステルおよび4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンとテレフタル酸、イソフタル酸のジフェニルエステルおよびトリメシン酸のフェニルエステルから脱フェノール重縮合反応によって製造する方法。
(7)p−ヒドロキシ安息香酸およびテレフタル酸、イソフタル酸、トリメシン酸などの芳香族ジカルボン酸に所定量のジフェニルカーボネートを反応させて、それぞれフェニルエステルとした後、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物を加え、脱フェノール重縮合反応によって製造する方法。
なかでも(1)〜(4)の製造方法が好ましく、鎖長制御と立体規制の点から(3)または(4)の製造方法がより好ましい。
無水酢酸の使用量は、鎖長制御の点からフェノール性水酸基の合計の0.95当量以上1.10当量以下であることが好ましく、1.00当量以上1.05当量以下であることがより好ましい。
本発明における樹状ポリエステル樹脂を脱酢酸重縮合反応により製造する際に、樹状ポリエステル樹脂が溶融する温度で、場合によっては減圧下で反応させ、所定量の酢酸を留出させ、重縮合反応を完了させる溶融重合法が好ましい。
例えば、所定量のp−ヒドロキシ安息香酸および4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、テレフタル酸、イソフタル酸、無水酢酸を撹拌翼、留出管を備え、下部に吐出口を備えた反応容器中に仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら加熱し水酸基をアセチル化させた後、200〜350℃まで昇温して酢酸を留出し、理論留出量の50%まで留出した段階で、トリメシン酸を所定量加えてさらに理論留出量の91%まで酢酸留出させ、反応を完了させる方法が挙げられる。
アセチル化させる条件は、通常130〜170℃の範囲、好ましくは135〜155℃の範囲で通常0.5〜6時間、好ましくは135〜145℃の範囲で1〜2時間反応させる。
重縮合させる温度は、樹状ポリエステル樹脂の溶融温度、例えば、200〜350℃の範囲であり、好ましくは樹状ポリエステル樹脂の融点+10℃以上の温度であり、具体的には240〜320℃が好ましい。重縮合させるときは常圧窒素下でも問題ないが、減圧すると反応が早く進み、系内の残留酢酸が少なくなるため好ましい。減圧度は通常0.1mmHg(13.3Pa)〜200mmHg(26600Pa)であり、好ましくは1mmHg(133Pa)〜100mmHg(13300Pa)である。なお、アセチル化と重縮合は同一の反応容器で連続して行ってもよいが、アセチル化と重縮合を異なる反応容器で行ってもよい。
得られた樹状ポリエステル樹脂は、それが溶融する温度で反応容器内を例えば、およそ0.01〜1.0kg/cm(0.001〜0.1MPa)に加圧し、反応容器下部に設けられた吐出口よりストランド状に吐出することができる。吐出口には断続的に開閉する機構を設け、液滴状に吐出することも可能である。吐出した樹状ポリエステル樹脂は、空気中もしくは水中を通過して冷却されたのち必要に応じて、カッティングもしくは粉砕される。得られたペレット、もしくは粒状または粉状の樹状ポリエステル樹脂は、更に必要に応じて、熱乾燥や真空乾燥により水、酢酸などを除くことができ、重合度の微調整や更に重合度を上げるために、固相重合をすることも可能である。例えば、窒素気流下、または、減圧下、樹状ポリエステル樹脂の融点−5℃〜融点−50℃(例えば、200〜300℃)の範囲で1〜50時間加熱し、所望の重合度まで重縮合し、反応を完了させる方法が挙げられる。
樹状ポリエステル樹脂の重縮合反応は無触媒でも進行するが、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸カリウムおよび酢酸ナトリウム、三酸化アンチモン、金属マグネシウムなどの金属化合物を使用することもできる。
本発明で用いられる樹状ポリエステル樹脂(C)は、数平均分子量が1,000〜40,000であることが好ましく、より好ましく1,000〜30,000、更に好ましくは1,000〜20,000である。なお、この数平均分子量は樹状ポリエステル樹脂(C)が可溶な溶媒を使用してGPC−LS(ゲル浸透クロマトグラフ−光散乱)法により測定した値である。
また、本発明における樹状ポリエステル樹脂の溶融粘度は0.01〜50Pa・sが好ましく、0.5〜20Pa・sがより好ましく、さらには1〜10Pa・sが特に好ましい。なお、この溶融粘度は樹状ポリエステル樹脂の液晶開始温度+10℃の条件で、ずり速度100/sの条件下で高化式フローテスターによって測定した値である。
本発明において、ポリアミド樹脂組成物は、さらに酸無水物(E)を配合することができる。酸無水物(E)を配合することにより、得られるポリアミド樹脂組成物の流動性をより向上させ、成形品の断熱性および発泡倍率を飛躍的に向上させることができる。
本発明において、ポリアミド樹脂組成物における酸無水物(E)の配合量は、ポリアミド樹脂(A)100重量部に対して、0.01〜3重量部が好ましい。酸無水物(E)の配合量を0.01重量部以上とすることにより、ポリアミド樹脂組成物の流動性をより向上させ、成形品の断熱性、発泡倍率をより向上させることができる。0.05重量部以上がより好ましく、0.1重量部以上がさらに好ましい。一方、酸無水物(E)の配合量を3重量部以下とすることにより、ポリアミド樹脂組成物の流動性をより向上させ、成形品の断熱性、発泡倍率をより向上させることができる。2.5重量部以下がより好ましく、2重量部以下がさらに好ましい。
本発明に用いられる酸無水物(E)としては、例えば、無水安息香酸、無水イソ酪酸、無水イタコン酸、無水オクタン酸、無水グルタル酸、無水コハク酸、無水酢酸、無水ジメチルマレイン酸、無水デカン酸、無水トリメリット酸、無水1,8−ナフタル酸、無水フタル酸、無水マレイン酸およびその誘導体などが挙げられる。これらを2種以上配合してもよい。中でも無水コハク酸、無水フタル酸が好ましく用いられ、特に無水コハク酸が好ましく用いられる。
本発明において、ポリアミド樹脂組成物には、その特性を損なわない範囲で、必要に応じて、各種添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば、結晶核剤、着色防止剤、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、ヒドロキノン系、ホスファイト系およびこれらの置換体、ハロゲン化銅、ヨウ化化合物などの酸化防止剤や熱安定剤、レゾルシノール系、サリシレート系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒンダードアミン系などの耐候剤、脂肪族アルコール、脂肪族アミド、脂肪族ビスアミド、エチレンビスステアリルアミドや高級脂肪酸エステルなどの離型剤、p−オキシ安息香酸オクチル、N−ブチルベンゼンスルホンアミドなどの可塑剤、滑剤、ニグロシン、アニリンブラックなどの染料系、硫化カドミウム、フタロシアニン、カーボンブラックなどの顔料系の着色剤、アルキルサルフェート型アニオン系帯電防止剤、4級アンモニウム塩型カチオン系帯電防止剤、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートなどの非イオン系帯電防止剤、ベタイン系両性帯電防止剤、メラミンシアヌレート、ポリリン酸アンモニウム、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリフェニレンオキシド、臭素化ポリカーボネート、臭素化エポキシ樹脂あるいはこれらの臭素系難燃剤と三酸化アンチモンとの組み合わせなどの難燃剤、発泡剤などが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
これらの中でも、酸化防止剤や熱安定剤としては、ヒンダードフェノール系化合物、リン系化合物が好ましく用いられる。ヒンダードフェノール系化合物としては、エステル型高分子ヒンダードフェノールタイプが好ましく、具体的には、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ペンタエリスリチルテトラキス[3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス[2−(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなどが挙げられる。リン系化合物の具体例としては、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ビス(2,4−ジ−クミルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビスフェニレンホスファイト、ジ−ステアリルペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、トリフェニルホスファイト、3,5−ジ−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスフォネートジエチルエステルなどが挙げられる。
本発明において、ポリアミド樹脂組成物における添加剤の配合量は、特に制限はないが、ポリアミド樹脂(A)100重量部に対して、0.01〜20重量部が好ましい。
前記ポリアミド樹脂組成物の製造方法は特に制限するものではなく、例えば、ポリアミド樹脂(A)、無機充填材(B)、樹状ポリエステル樹脂(C)および必要により他の成分を溶融混練する方法を用いることができる。溶融混練には、単軸あるいは2軸押出機、バンバリーミキサーおよびミキシングロールなどの溶融混練機が好ましく用いられ、中でも2軸押出機が好ましく用いられる。溶融混練機には、脱気機構(ベント装置)を装備してもよい。例えば、無機充填材(B)、樹状ポリエステル樹脂(C)、酸無水物(E)を含む樹脂組成物を2軸押出機で溶融混練する方法としては、ポリアミド樹脂(A)、無機充填材(B)、樹状ポリエステル樹脂(C)、酸無水物(E)をあらかじめブレンダーを用いて混合し、2軸押出機のメインフィーダーから供給して溶融混練する方法、2軸押出機のメインフィーダーからポリアミド樹脂(A)、樹状ポリエステル樹脂(C)、酸無水物(E)を供給し、無機充填材(B)を押出機の先端部分のサイドフィーダーから供給して溶融混練する方法や、事前にポリアミド樹脂(A)、樹状ポリエステル樹脂(C)、酸無水物(E)を溶融混練した後、無機充填材(B)と溶融混練する方法などが挙げられる。
本発明のポリアミド樹脂成形品は、発泡倍率が1.4以上であることを特徴とする。発泡倍率が1.4倍未満であると、成形品の断熱性が不十分となる。発泡倍率を2倍以上とすることで、成形品の断熱性をより向上させることができる。4倍以上がより好ましく、6倍以上がさらに好ましい。一方、成形品内部の大きなボイド(空洞)の発生を抑制し、成形品の断熱性をより向上させる観点から、発泡倍率は20倍以下が好ましく、15倍以下がより好ましく、12倍以下がさらに好ましい。また、金型に忠実に成形品のエッジ面を形成する拡張性の観点からは、発泡倍率は3.5倍以下が好ましい。
ここで、本発明における発泡倍率は、成形に用いられる発泡前のポリアミド樹脂組成物の比重/発泡品の比重より算出する。ポリアミド樹脂組成物の比重は、ASTM D792により求めることができる。
成形品の発泡倍率を上記範囲にする方法としては、例えば、ポリアミド樹脂組成物に超臨界状ガスを含浸させて金型内に充填した後、発泡倍率の規定寸法分、金型の少なくとも一部を後退させて金型容積を拡張する後述のコアバック法により発泡成形する方法を挙げることができる。
本発明のポリアミド樹脂成形品は、内部に発泡部分を有し、表層部に非発泡層を有することが好ましい。樹脂組成物を発泡成形して得られる成形品は、通常、気泡を実質的に含まないソリッドスキン層である非発泡層と気泡を含むコア層である発泡部分からなるサンドイッチ構造を有する。非発泡層の厚みを500μm未満とすることにより、成形品の耐熱性、強度、断熱性をより向上させることができる。400μm以下がより好ましく、300μm以下がさらに好ましい。ここで、本発明における非発泡層の厚みは、成形品の表層部をSEMで10、30、70、150、300倍に拡大観察することにより求めることができる。
非発泡層の厚みを上記範囲にする方法としては、例えば、ポリアミド樹脂組成物に超臨界状ガスを含浸させて金型内に充填した後、発泡倍率の規定寸法分、金型の少なくとも一部を後退させて金型容積を拡張する後述のコアバック法により発泡成形する方法を挙げることができる。
本発明のポリアミド樹脂成形品の製造方法としては、例えば、ポリアミド樹脂組成物に超臨界状ガスを含浸させて金型内に充填し、発泡成形する方法を挙げることができる。ポリアミド樹脂組成物に超臨界状ガスを含浸させることにより両者を相溶させ、ガスが浸透したポリアミド樹脂組成物を脱ガスさせることにより、発泡成形することができる。例えば、米国特許第4473665号、米国特許第5158986号などに記載されている方法を用いることができる。
本発明においては、ポリアミド樹脂組成物に超臨界状ガスを含浸させて金型内に充填した後、金型の少なくとも一部を後退させて金型容積を拡張するコアバック法により発泡成形する方法がより好ましい。
この際用いる超臨界状ガスとしては、ポリアミド樹脂組成物に溶け込むことができ、かつ不活性であればよく、特に制限はないが、安全性、コスト面から、二酸化炭素、窒素が好ましい。超臨界状ガスは、ポリアミド樹脂組成物100重量部に対して、0.01〜20重量部用いることが好ましく、より好ましくは0.05〜10重量部である。
超臨界状ガスは、混練機内で溶融状態のポリアミド樹脂組成物に含浸させることが好ましい。その方法としては、例えば、気体状態の不活性ガスを直接あるいは加圧または減圧した状態で混練機に注入する方法、液体状態の不活性ガスをプランジャーポンプなどで混練機に注入する方法などが挙げられる。超臨界状ガスをポリアミド樹脂に含浸させる場合のガス圧は、少なくとも金型内にポリアミド樹脂組成物を充填するまでは、含浸させるガスの臨界圧以上に維持する。含浸速度をより向上させるためには、ガス圧を1MPa以上とすることが好ましく、より好ましくは5MPa以上である。
次に、このようにして超臨界状ガスを含浸させたポリアミド樹脂組成物を、超臨界状態を保持したまま金型内に充填した後、脱ガスして発泡させる。金型への充填方法としては、射出充填が好ましく用いられる。前述のとおり、超臨界状ガスを含浸させたポリアミド樹脂組成物を金型に充填し終わるまで超臨界状態を保つことにより、より効果的に発泡させることができる。また、シルバー発生を抑制することができる。超臨界状ガスを含浸させたポリアミド樹脂組成物を金型に射出充填し、脱ガス処理が終了するまの間、実際の金型温度を30〜90℃にすることが好ましい。金型温度をかかる範囲とすることにより、超臨界状ガスを含浸させたポリアミド樹脂組成物が金型に転写し、その後素早くスキン層を形成するため、ガスが成形品の表面と金型キャビティ面に滞留することを抑制することができる。その結果、転写性に優れ、高光沢を有し、シルバー発生などの外観不良を低減した、最大発泡セル径が500μm以下のポリアミド樹脂成形品を容易に得ることができる。
超臨界状ガスを含浸させたポリアミド樹脂組成物を金型内に充填した後、金型内のポリアミド樹脂組成物の少なくとも一部が溶融状態にある間に、金型内の圧力を急激に下げることで、多数の発泡核が生成し、それを中心に発泡セルが成長するため、均一な発泡セルをもつ高転写、高光沢のポリアミド樹脂成形品が得られる。前記金型内の圧力を急激に下げる方法としては、例えば、(1)金型の型締め圧をゆるめる方法、(2)超臨界状ガスを含浸させたポリアミド樹脂組成物を充填する前の金型内に、1〜20MPa程度の不活性ガスを充満しておき、ポリアミド樹脂組成物を導入直後に不活性ガスを抜く方法、(3)金型温度を急速に下げる方法、(4)金型の少なくとも一部を後退させて(以下、コアバックという)金型容積を拡張する方法などが挙げられる。本発明においては、(4)に記載する方法が好ましく、金型内のポリアミド樹脂組成物が、金型に接する表層がスキン層を形成し、内部が溶融状態にある間に、コアバックにより金型容積を拡張する方法がより好ましい。金型内のポリアミド樹脂組成物が、金型に接する表層がスキン層を形成し、内部が溶融状態にある間にコアバックすることにより、平均セル径が多少大きくなる傾向があるものの、発泡セル径の分布が小さくなり、特に、ゲート付近と末端部の発泡セル径バラツキが小さくなる。金型を後退させる割合は、必要とする発泡倍率に応じて選定することができる。金型を後退させる機構としては、公知の射出成形、射出圧縮成形の金型ユニットを用いることができる。
図1に、本発明に好ましく用いられるポリアミド樹脂成形品の製造装置の一例を示す概略構成図を示す。射出成形機1に、ポリアミド樹脂組成物を供給するホッパー3を備え、必要に応じて超臨界状ガスを導入するためのガスボンベ4、昇圧機5および圧力制御バルブ6が接続される。射出成形機の下流には、開閉バルブ7を介して金型2が配される。
本発明のポリアミド樹脂成形品は、一般にポリアミド樹脂が適用し得るあらゆる用途に適用可能である。例えば、軽量化要求の大きい自動車分野としては、シリンダーヘッドカバー、タイミングベルトカバー、エンジンカバー、バランスシャフトギア、オイル制動バルブ、オイルレベルゲージ、オイルクリーナーケース、ラジエータータンク、ウォーターポンプインペラー、サーモスタットハウジング、クーリングファン、インタークーラータンク、エアーダクト、エアコントロールバルブ、エアレギュレーター、エアフローメーターハウジング、エアーダクトインテーク、エアークリーナー、サイレンサー、レゾネーター、排ガスポンプサイドシール、排ガスバルブ、キャブレター、ガソリン噴射ノズル、ピストンバルブ、キャブレターバルブ、サージタンク、フューエルフィルターハウジング、フューエルストレーナー、フューエルセジメンタルケース、キャニスター、EGIチューブ、ソレノイドバルブ、ガソリンフロート、ガソリンチャンバー、フューエルチェックバルブ、フューエルインジェクター、フューエルインジェクターコネクター、フューエルインジェクターノズルカバー、フューエルフィラーキャップ、マスターシリンダーピストン、クラッチオイルリザーバー、スラストワッシャー、シフトアームコーティング、シフトレバーノブ、トランスミッションケース、トルコンスラストワッシャー、トランスミッションブッシュ、パワーステアリングタンク、ステアリングコラムカバー、ステアリングホーンパッド、ステアリングボールジョイント、ホイールフルキャップ、ホイールキャップセンター、ホイールセンターハブキャップ、ブレーキオイルリザーバー、ブレーキオイルフロート、ブレーキリザーバーキャップ、サイドブレーキワイヤープロテクター、ラジエーターグリル、フロントエンドバンパー、リアエンドバンパー、バンパーモール、フロントフェンダー、サイドミラーステイ、サイドミラーハウジング、エンブレム、リトラクタブルヘッドランプカバー、電動ミラーベース、フューエルリッド、ボンネットフードルーパー、エクストラクトグリル、ドア、サイドルーバー、ドアラッチカバー、ドアサイドモール、アウタードアハンドル、ピラールーバー、トランクロアーバックフィニシャー、トランクリアエプロン、ハッチバックスライドブラケット、ライセンスプレート、ライセンスプレートポケット、フューエルリッド、サンルーフフレーム、サイドモール、ウィンドウピボット、ウィンドウガラススライダー、ウィンドウモール、エアースポイラー、インストゥルメントパネルコア、リッドアウター、センタークラスター、スイッチ、アッパーガーニッシュ、リッドクラスター、メーターフード、メーターパネル、グローブボックス、チェンジレバーカバー、グローブボックスリッド、グローブボックスノブ、グローブドアアウター、アッシュトレイランプハウジング、アッシュトレイパネル、サンバイザーブラケット、サンバイザーシャフト、サンバイザーホルダー、ピラーガーニッシュ、ルームミラーステイ、レギュレーターハンドル、ピラートリム、ドアトリム、インサイドドアロックノブ、インナーロックノブ、ウィンドウレギュレーターハンドル、ウィンドウレギュレーターハンドルノブ、ルーフサイドレールガーニッシュ、アームレストインサート、アームレストベース、アームレストガイド、リアシェルフサイド、ヘッドレストガイド、シートベルトタングプレート、シートベルトリトラクターギア、シートベルトバックル、シートベルトスルーアンカー、リッドクラスター、安全ベルト機構部品、クーラーシロッコファン、クーラーバキュームポンプ、エアコンマグネットクラッチボビン、エアコンアクチュエーター、コンプレッサーバルブ、エアーベンチレーションフィン、エアコン調節ツマミ、ヒーターコアタンク、ヒーターバルブ、ジェネレーターコイルボビン、ジェネレーターカバー、ジェネレーターブッシュ、サーキットボード、ブラシホルダー、コンデンサーケース、レギュレーターケース、スターターレバー、スターターコイルボビン、スターターインターバルギア、ディストリビューターポイントブッシュ、イグニッションコイルケース、イグニッションコイルボビン、ディストリビューター絶縁端子、ディストリビューターキャップ、スリーブベアリング、ヘリカルギアー、バキュームコントローラー、ジャンクションボックス、ワイヤーハーネスコネクター、リレーターミナルベースケース、コイルボビン、ヒューズボックス、スイッチベース、リレーケース、各種スイッチ基板、ランプソケット、ランプリフレクター、バックホーンハウジング、サイレントギア、パワーウィンドウスイッチ基板ケース、ワイパーレバー、ウォッシャーモーターハウジング、ワイパーモーターインシュレーター、ワイパーアームヘッドカバー、ウォッシャーノズル、ワイパーアームヘッド、スピードメータードリブンギア、スピードメーターコントロール、メーターコネクター、回転センサー、スピードセンサー、パワーシートギアハウジング、ブラシホルダー、コンミュテーター、モーターギア、ボンネットクリップ、モールクリップ、内装クリップ、バンパークリップ、電気配線用バンドクリップ、アンテナインナーチューブ、フェンダー、スポイラー、ルーフレール、テールゲート、フード、クラッシュボックス、フロントクロスメンバー、カウルルーバ、断熱部材、衝撃吸収部材、遮音部材、制振部材、各種ペダルおよびバンパーなどが挙げられる。
また、その他用途として、パソコン、液晶プロジェクターモバイル機器、携帯電話などの筐体、内燃機関用途、電動工具ハウジング類などの機械部品を始め、各種電気・電子部品、医療部品、食品容器、家庭・事務用品、建材関係部品および家具用部品などが挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例により限定されるものではない。
実施例および比較例の中で述べられる比重、発泡倍率、拡張性、非発泡層の厚さ、荷重たわみ温度、熱伝導率、MFRは次の方法により評価した。
<比重の評価>
ASTM D792に準拠し測定した。
<発泡倍率の評価>
各実施例および比較例により得られたペレットの比重/発泡品の比重より算出した。数値が高いほど発泡性に優れ、発泡倍率が高倍率である。
<拡張性の評価>
各実施例および比較例により得られた成形品のエッジ面を目視観察した。エッジ面が直角のものを○、エッジ面が丸まっているものを×と判定した。エッジ面が直角のものほど拡張性に優れている。
<非発泡層の厚さの評価>
各実施例および比較例により得られた成形品の表層部をSEMで10、30、70、150、300倍に拡大し、非発泡層の厚みを測定した。
<荷重たわみ温度の評価>
各実施例および比較例により得られたペレットを用いて、シリンダー温度250〜300℃、金型温度80℃の条件でISO3167(A型)試験片(未発泡品)を射出成形した。得られた試験片を80mm×10mm×4mm厚に切削加工した試験片を用いて、ISO 75に準拠し測定した。荷重:0.45MPa。数値が高いほど荷重たわみ温度が高く、耐熱性に優れている。
<熱伝導率の評価>
各実施例および比較例により得られた成形品について、ASTM E1530に準拠し測定した。試験機:アルバック理工社製熱伝導測定装置GH−1S。試験片形状:20mm×20mm、厚み2.5〜10mm。測定方法:定常法。数値が低いほど熱伝導率が低く、断熱性に優れている。
<MFRの評価>
各実施例および比較例により得られたペレットを用いて、ISO1133に準拠し測定した。試験機:東洋精機社製MELT INDEXER。測定温度:275℃または290℃。荷重:2160g。滞留時間:5分。数値が大きいほど流動性が優れている。
実施例および比較例で用いた材料を以下に示す。
ポリアミド樹脂(A)
A−1:ポリアミド6樹脂(粘度数VN115ml/g)
A−2:ポリアミド6樹脂(粘度数VN65ml/g)
A−3:ポリアミド6樹脂(粘度数VN220ml/g)
A−4:ポリアミド66樹脂(粘度数VN135ml/g)
A−5:ポリアミド610樹脂(粘度数VN135ml/g)
無機充填材(B)
B−1:ガラス繊維(日本電気硝子社製T−249)
B−2:ガラス繊維(日本電気硝子社製T−289)
樹状ポリエステル樹脂(C)
C−1:参考例1
酸無水物(E)
E−1:無水コハク酸(キシダ化学社製)
参考例1
撹拌翼および留出管を備えた500mLの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸51.93g(0.38モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル19.1g(0.10モル)、テレフタル酸5.86g(0.035モル)、トリメシン酸21.2g(0.10モル)、安息香酸5.55g(0.045モル)、固有粘度が約0.6dl/gのポリエチレンテレフタレート11.3g(0.059モル)および無水酢酸65.3g(フェノール性水酸基合計の1.10当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら145℃で2時間反応させた。3時間かけて290℃まで昇温した後、重合温度を290℃に保持したまま30分で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、撹拌トルクが2.5kg・cmに到達したところで重合反応を停止し内容物を水中に吐出した。得られた樹状ポリエステルを、110℃で4時間加熱乾燥した後ブレンダーを用いて粉砕し、エタノールおよび脱イオン水で洗浄した。その後、真空加熱乾燥機を用いて110℃で16時間真空乾燥し、得られた粉体状樹状ポリエステル(E−1)を各種測定に供した。
得られた樹状ポリエステル(E−1)について核磁気共鳴スペクトル分析を行った結果、トリメシン酸含有量は14モル%であった。
核磁気共鳴スペクトルは、サンプルをペンタフルオロフェノール50重量%:重クロロホルム50重量%混合溶媒に溶解し、40℃でプロトン核の核磁気共鳴スペクトル分析を行った。p−オキシベンゾエート単位由来の7.44ppmおよび8.16ppmのピーク、4,4’−ジオキシビフェニル単位由来の7.04ppm、7.70ppmのピーク、テレフタレート単位由来の8.31ppmのピーク、エチレンオキシド単位由来の4.75ppmのピーク、トリメシン酸由来の9.25ppmのピークが検出された。各ピークの面積強度比から、トリメシン酸含有量を算出し、小数点以下は四捨五入した。
得られた樹状ポリエステルの融点は235℃、液晶開始温度は191℃で数平均分子量12500であった。高化式フローテスターを用い、温度270℃、剪断速度100/sで測定した溶融粘度は18Pa・sであった。
なお、融点(Tm)は示差走査熱量測定において、ポリマーを室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)の観測後、Tm1+20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却した後、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm)とした。
液晶開始温度は、剪断応力加熱装置(CSS−450)により剪断速度100(1/秒)、昇温速度5.0℃/分、対物レンズ60倍において測定し、視野全体が流動開始する温度として測定した。
また、分子量は以下の条件で、GPC(ゲル浸透クロマトグラフ)法により測定した。
カラム :K−806M(2本)、K−802(1本)(昭和電工)
溶媒 :ペンタフルオロフェノール/クロロホルム=35/65(重量%)
流速 :0.8mL/min
試料濃度:0.08%(wt/vol)
注入量 :0.200mL
温度 :23℃
検出器 :示差屈折率(RI)検出器(東ソー製RI−8020)
校正曲線:単分散ポリスチレンによる校正曲線を使用
実施例1〜23
株式会社日本製鋼所社製2軸押出機TEX30αを用いて、上流側の供給口から表1〜2に示すポリアミド樹脂(A)、樹状ポリエステル樹脂(C)、酸無水物(E)を供給し、下流側の供給口から表1に示す無機充填材(B)を供給し、樹脂溶融温度を250〜300℃、スクリュー回転を200rpmに設定して溶融混練した後、ペレット化した。
図1に示す装置を用いて、次の方法により樹脂成形品を得た。株式会社日本製鋼所社製J450AD−1400H−mucellを用いて、射出成形機1のシリンダー温度を250〜300℃、金型温度を80℃に設定して、得られたペレットをホッパー3に供給した。ガスボンベ4の窒素を昇圧機5で26MPaに昇圧させ、圧力制御バルブ6で25MPaに調整し、ポリアミド樹脂組成物100重量部に対して、超臨界状窒素ガスを0.3重量部に制御し、射出成形機1に注入した。射出成形機1内でポリアミド樹脂(組成物)に超臨界状窒素ガスを含浸させて、開閉バルブ7を介して金型2に射出充填した。金型内に射出充填した後、金型の少なくとも一部を表1〜2に示す発泡倍率の規定寸法分だけ後退させて金型容積を拡張するコアバック法により発泡成形することにより、所定の特性評価用成形品(試験片)を得た。得られた試験片について、前述した方法で比重、発泡倍率、拡張性、非発泡層の厚さ、荷重たわみ温度、熱伝導率を測定した。その結果を表1〜2に示す。ここで得られたポリアミド樹脂成形品は、耐熱性と断熱性とがバランス良く優れ、実用価値の高いものであった。
比較例1
無機充填材(B)の配合量が1重量部未満であること以外は実施例1と同様にして、試験片を成形し、評価を行った。その結果を表3に示す。発泡倍率が1.2倍と低いため熱伝導性が高く、断熱性が不十分であった。
比較例2
無機充填材(B)の配合量が150重量部を越えること以外は実施例1と同様にして、試験片を成形したが、MFRが1以下のため成形品を得ることができず、評価できなかった。
比較例3
樹状ポリエステル樹脂(C)の配合量が30重量部を越えること以外は実施例1と同様にして、試験片を成形し、評価を行った。その結果を表3に示す。発泡倍率が1.2倍と低いため熱伝導性が高く、断熱性が不十分であった。
比較例4
樹状ポリエステル樹脂(C)の配合量が0.1重量部未満であること以外は実施例3と同様にして、試験片を成形したが、MFRが1以下のため成形品を得ることができず、評価できなかった。
Figure 2015010117
Figure 2015010117
Figure 2015010117
1 射出成形機
2 金型
3 ホッパー
4 ガスボンベ
5 昇圧機
6 圧力制御バルブ
7 開閉バルブ

Claims (5)

  1. ポリアミド樹脂(A)100重量部に対して、無機充填材(B)1〜150重量部および樹状ポリエステル樹脂(C)0.1〜30重量部を配合してなる樹脂組成物を成形してなる、発泡倍率が1.4倍以上であることを特徴とするポリアミド樹脂成形品。
  2. 前記樹脂組成物が、ポリアミド樹脂(A)100重量部に対して、酸無水物(E)0.01〜3重量部を配合してなることを特徴とする請求項1記載のポリアミド樹脂成形品。
  3. 前記ポリアミド樹脂(A)の粘度数VNが70〜200ml/gであることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載のポリアミド樹脂成形品。
  4. 内部に発泡部分を有し、表層部に厚さ500μm未満の非発泡層を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリアミド樹脂成形品。
  5. 前記樹脂組成物に超臨界状ガスを含浸させて金型内に充填した後、金型の少なくとも一部を後退させて金型容積を拡張するコアバック法により発泡成形することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリアミド樹脂成形品の製造方法。
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WO2018092838A1 (ja) * 2016-11-18 2018-05-24 住友化学株式会社 発泡成形体および発泡成形体の製造方法
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