JP2000086892A - ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物および成形体 - Google Patents

ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物および成形体

Info

Publication number
JP2000086892A
JP2000086892A JP25581998A JP25581998A JP2000086892A JP 2000086892 A JP2000086892 A JP 2000086892A JP 25581998 A JP25581998 A JP 25581998A JP 25581998 A JP25581998 A JP 25581998A JP 2000086892 A JP2000086892 A JP 2000086892A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
weight
polyphenylene sulfide
parts
sulfide resin
resin composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP25581998A
Other languages
English (en)
Inventor
Shigemitsu Suzuki
茂光 鈴木
Kazuhiko Kominami
一彦 小南
Hirokazu Kobayashi
裕和 小林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP25581998A priority Critical patent/JP2000086892A/ja
Publication of JP2000086892A publication Critical patent/JP2000086892A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】高いエポキシ樹脂との接着強度を有し、接着強
度のバラツキが小さく、かつワイヤーボンディング性、
流動性、低ガス性、難燃性、耐熱性、寸法特性、機械的
強度に優れる電気式モーターで車軸を駆動する機構を有
する車搭載用パワーモジュール用PPS樹脂組成物およ
び成形体を得ることを課題とする。 【解決手段】(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂10
0重量部および(B)ガラス繊維5〜300重量部、お
よび(C)ガラス繊維以外の充填材5〜300重量部を
配合してなる樹脂組成物であって、クロロホルム抽出量
1.0(wt%)以上、かつMFR50(g/10mi
n)以上であるパワーモジュールに用いられるポリフェ
ニレンスルフィド樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エポキシ樹脂との
接着性、ワイヤーボンディング性、流動性、低ガス性、
難燃性、耐熱性、寸法特性、機械的強度に優れる電気式
モーターで車軸を駆動する機構を有する車搭載用パワー
モジュール用ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物およ
び成形体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリフェニレンスルフィド樹脂(以下P
PS樹脂と略す。)は優れた耐熱性、耐熱水性、耐薬品
性、および難燃性などエンジニアリングプラスチックと
しては好適な性質を有していることから、射出成形用を
中心として各種電気部品、機械部品、および自動車部品
などに使用されている。
【0003】しかしながら、PPS樹脂は他のエンジニ
アリングプラスチックに比べ、エポキシ樹脂との接着強
度が比較的低い。あるいは、PPS樹脂とエポキシ樹脂
との界面で破壊し易いため、接着強度のバラツキが大き
いなどの問題がある。そのため、PPS樹脂は高い耐熱
性、剛性、電気絶縁性、難燃性、耐湿熱性といった電気
部品材料としての優れた特性を有しているにも関わら
ず、エポキシ樹脂との接着性を要求されるような用途へ
の適用は制限されているのが実情である。
【0004】このような現状から、PPS樹脂のエポキ
シ樹脂との接着性改良を目的としてこれまでにもいくつ
かの検討がなされている。例えば、PPS樹脂に特定の
ポリエステルを配合する方法(特開平6−166816
号公報)、またはタルクを配合する方法(特開平9−2
72284号公報)等が知られている。
【0005】しかし、上記特定のポリエステルを配合し
たPPS樹脂組成物では、成形時の発生ガスが多い、金
属端子へのガス付着物が多い、ワイヤーボンディング時
の不良率が高い、エポキシ樹脂との接着性と難燃性の特
性バランスが悪いなどの問題があり、電気式モーターで
車軸を駆動する機構を有する車搭載用パワーモジュール
用成形体としては特性が十分といえるものではなかっ
た。また、通常のPPS樹脂にタルクを配合した樹脂組
成物でも、エポキシ樹脂との接着強度が比較的低い。あ
るいは、PPS樹脂とエポキシ樹脂との界面で破壊する
ので、接着強度のバラツキが大きいなどの問題があり、
特性が十分と言えるものではなく、単純には適用できな
いことが判明した。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、高
いエポキシ樹脂との接着強度を有し、接着強度のバラツ
キが小さく、かつワイヤーボンディング性、流動性、低
ガス性、難燃性、耐熱性、寸法特性、機械的強度に優れ
る電気式モーターで車軸を駆動する機構を有する車搭載
用パワーモジュール用ポリフェニレンスルフィド樹脂組
成物、および成形体を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、
(1)(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量
部および(B)ガラス繊維5〜300重量部、および
(C)ガラス繊維以外の充填材5〜300重量部を配合
してなる樹脂組成物であって、スパイラルフロー長12
0(mm)以上、かつ加熱減量0.3〜2.0(wt
%)であるパワーモジュールに用いられるポリフェニレ
ンスルフィド樹脂組成物、(2)(A)ポリフェニレン
スルフィド樹脂100重量部に対して、(B)ガラス繊
維5〜300重量部、および(C)ガラス繊維以外の充
填材5〜300重量部を配合してなる樹脂組成物であっ
て、スパイラルフロー長120(mm)以上、かつ加熱
減量0.3〜2.0(wt%)であるエポキシ樹脂と接
着して用いられる成形品用ポリフェニレンスルフィド樹
脂組成物、(3)(A)(a1)クロロホルム抽出量
1.0(wt%)以上、かつMFR1000(g/10
min)以上であるポリフェニレンスルフィド樹脂、
(a2)クロロホルム抽出量0.3(wt%)以下、か
つMFR250(g/10min)以上であるポリフェ
ニレンスルフィド樹脂、(B)ガラス繊維5〜300重
量部、および(C)ガラス繊維以外の充填材5〜300
重量部を配合してなり、全ポリフェニレンスルフィド樹
脂中、(a1)が10〜100重量%、(a2)が0〜
90重量%であって、全ポリフェニレンスルフィド樹脂
100重量部に対する(B)の配合量が5〜300重量
部、(C)の配合量が5〜300重量部であるパワーモ
ジュールに用いられるポリフェニレンスルフィド樹脂組
成物、(4)(A)(a1)クロロホルム抽出量1.0
(wt%)以上、かつMFR1000(g/10mi
n)以上であるポリフェニレンスルフィド樹脂、(a
2)クロロホルム抽出量0.3(wt%)以下、かつM
FR250(g/10min)以上であるポリフェニレ
ンスルフィド樹脂、(B)ガラス繊維5〜300重量
部、および(C)ガラス繊維以外の充填材5〜300重
量部を配合してなり、全ポリフェニレンスルフィド樹脂
中、(a1)が10〜100重量%、(a2)が0〜9
0重量%であって、全ポリフェニレンスルフィド樹脂1
00重量部に対する(B)の配合量が5〜300重量
部、(C)の配合量が5〜300重量部であるエポキシ
樹脂と接着して用いられる成形体用ポリフェニレンスル
フィド樹脂組成物、(5)(C)ガラス繊維以外の充填
材の少なくとも1種がタルクである上記(1)〜(4)
いずれか記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物、
(6)さらにエステル結合、エーテル結合、アミノ結
合、アミド結合を有する熱可塑性樹脂から選ばれた1種
以上を全ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に
対して、0〜50重量部を配合してなる上記(1)〜
(5)のいずれか記載のポリフェニレンスルフィド樹脂
組成物、(7)パワーモジュールが車搭載用である上記
(1)、(3)、(5)〜(6)いずれか記載のポリフ
ェニレンスルフィド樹脂組成物、(8)車搭載用パワー
モジュールが電気式モーターで車軸を駆動する機構を有
する車用である上記(7)記載のポリフェニレンスルフ
ィド樹脂組成物、(9)パワーモジュールがエポキシ樹
脂との接着面を有するものである上記(1)、(3)、
(5)〜(8)のいずれか記載のポリフェニレンスルフ
ィド樹脂組成物、(10)上記(1)、(3)、(5)
〜(8)のいずれか記載のポリフェニレンスルフィド樹
脂組成物を用いて製造されたパワーモジュール、(1
1)上記(2)、(4)〜(6)のいずれか記載のポリ
フェニレンスルフィド樹脂組成物を用いて製造されたエ
ポキシ樹脂と接着面を有する複合成形体、(12)パワ
ーモジュールが2以上の成形体の複合成形体であって、
その少なくとも1つ以上が上記(1)、(3)、(5)
〜(8)のいずれか記載のポリフェニレンスルフィド樹
脂組成物を成形してなる成形体である複合成形体、(1
3)複合成形体が、さらに2以上の成形体の複合成形体
であって、その少なくとも1つ以上が上記(2)、
(4)〜(6)のいずれか記載のポリフェニレンスルフ
ィド樹脂組成物を成形してなる成形体である上記(1
1)記載のエポキシ樹脂と接着面を有する複合成形体で
ある。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明で使用するPPS樹脂と
は、下記構造式(I)で示される繰り返し単位を有する
重合体であり、
【化1】 耐熱性の観点から、好ましくは上記構造式で示される繰
り返し単位含む重合体を70モル%以上、より好ましく
は90モル%以上含む重合体である。またPPS樹脂は
その繰り返し単位の30モル%未満程度が、下記の構造
を有する繰り返し単位等で構成されていてもよい。
【0009】
【化2】
【0010】本発明で用いられるPPS樹脂の溶融粘度
は、溶融混練が可能であれば特に制限はないが、通常5
〜2,000Pa・s(320℃、せん断速度1000s
ec-1)、好ましくは10〜200Pa・sのものが使用
される。
【0011】かかるPPS樹脂は通常公知の方法即ち特
公昭45−3368号公報で代表される製造方法により
得られる比較的分子量の小さな重合体を得る方法或いは
特公昭52−12240号公報や特開昭61−7332
号公報に記載される比較的分子量の大きな重合体を得る
方法などによって製造できる。
【0012】本発明において上記の様に得られたPPS
樹脂を空気中加熱による架橋/高分子量化、窒素などの
不活性ガス雰囲気下或は減圧下での熱処理、また、有機
溶媒、熱水、酸水溶液などによる洗浄を施した上で使用
することも可能である。有機溶媒で洗浄する場合、用い
る有機溶媒としてはPPSを分解する作用を有しないも
のであれば特に制限はなく、例えば、N−メチルピロリ
ドン、ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルアセトアミ
ド、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ヘキサメチル
ホスホラスアミド、ピペラジノン類などの含窒素極性溶
媒、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、スルホ
ランなどのスルホキシド・スルホン系溶媒、アセトン、
メチルエチルケトン、ジエチルケトン、アセトフェノン
などのケトン系溶媒、ジメチルエ−テル、ジプロピルエ
−テル、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエ−テ
ル系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、トリクロロエ
チレン、2塩化エチレン、パ−クロルエチレン、モノク
ロルエタン、ジクロルエタン、テトラクロルエタン、パ
−クロルエタン、クロルベンゼンなどのハロゲン系溶
媒、メタノ−ル、エタノ−ル、プロパノ−ル、ブタノ−
ル、ペンタノ−ル、エチレングリコ−ル、プロピレング
リコ−ル、フェノ−ル、クレゾ−ル、ポリエチレングリ
コ−ル、ポリプロピレングリコ−ルなどのアルコ−ル・
フェノ−ル系溶媒、及びベンゼン、トルエン、キシレン
などの芳香族炭化水素系溶媒などが挙げられる。洗浄温
度についても特に制限はなく、通常、常温〜300℃程
度が選択される。酸水溶液で洗浄する場合、用いる酸と
してはPPSを分解する作用を有しないものであれば特
に制限はなく、例えば、酢酸、塩酸、硫酸、リン酸、珪
酸、炭酸及びプロピル酸などが挙げられる。また、酸無
水物基、エポキシ基、イソシアネ−ト基などの官能基含
有化合物による活性化などの種々の処理を施した上で使
用することも可能である。
【0013】本発明においては、エポキシ樹脂との接着
強度およびそのバラツキ、ワイヤーボンディング性、低
ガス性の点からPPS樹脂として、(a1)クロロホル
ム抽出量1.0(wt%)以上、かつMFR1000
(g/10min)以上であるPPS樹脂を用いること
が好ましく、特に該(a1)に加えてさらに(a2)ク
ロロホルム抽出量0.3(wt%)以下、かつMFR2
50(g/10min)以上であるPPS樹脂を併用す
ることが特に好ましい。なお、クロロホルム抽出量は3
00(ml)のビーカーにPPS樹脂を10.0
(g)、クロロホルムを150(ml)入れ、30(m
in)浸漬させ、濾過し、エバポレーターでクロロホル
ムだけを揮発させ、抽出量を算出したものである。ま
た、MFRはJISK7210に準じ、PPS樹脂重量
5g、測定温度315.5℃、荷重5kgで測定したも
のである。
【0014】上記PPS樹脂(a1)は、クロロホルム
抽出量1.0(wt%)以上、かつMFR1000(g
/10min)以上であることが好ましく、特に、クロ
ロホルム抽出量1.5〜5.0(wt%)、かつMFR
1500〜5000(g/10min)以上であること
が好ましい。かかるPPS樹脂を用いることは高いエポ
キシ樹脂との接着強度を有し、接着強度のバラツキが小
さい樹脂組成物を得る上で好ましい。
【0015】また、前記PPS樹脂(a2)は、クロロ
ホルム抽出量0.3(wt%)以下、かつMFR250
(g/min)以上、特に、クロロホルム抽出量0.0
1〜0.2(wt%)、かつMFR300〜800(g
/min)であるPPS樹脂であることが好ましい。
【0016】上記(a1)及び(a2)の全PPS樹脂
に対する配合比率は(a1)10〜100重量%、(a
2)90〜0重量%であることが好ましく、特に、(a
1)20〜80重量%、(a2)80〜20重量%以上
であることが、エポキシ樹脂との接着強度およびそのバ
ラツキ、ワイヤーボンディング性、低ガス性、機械的強
度を得る上でより好ましい。
【0017】本発明で用いる(B)ガラス繊維として
は、SiO2を45〜75重量%含有している無アルカ
リガラス(Eガラス)、含アルカリガラス(Cガラス)
が好ましく挙げられる。また、平均繊維径3〜15μm
はであることが好ましい。かかるガラス繊維をイソシア
ネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート
系化合物、有機ボラン系化合物、エポキシ化合物などの
カップリング剤で予備処理して使用することは耐熱性、
機械的強度を高める上でより好ましい。
【0018】ガラス繊維のカップリング剤付着量は0.
2〜0.9重量%であることが好ましい。なお、ガラス
繊維のカップリング剤付着量はガラス繊維5gを110
℃で1時間予備乾燥し、ガラス繊維の重量を測定し、6
25℃の雰囲気で15分処理後、再度ガラス繊維の重量
を測定する。625℃の処理による重量の減量を、処理
前のガラス繊維の重量で徐してパーセント表示したもの
である。
【0019】また、本発明におけるガラス繊維のPPS
樹脂組成物中での繊維長は数平均で50〜500μm、
特に、200〜400μmであることが、機械的強度、
流動性を得る上で好ましい。なお、数平均繊維長は、組
成物を炭化させた後、走査型電子顕微鏡を用いて繊維を
観察し、その中の任意の1000本の繊維の長さをそれ
ぞれ数平均したものである。
【0020】ガラス繊維を用いることは、耐熱性、機械
的強度を高めるために配合することが好ましい。
【0021】その(B)ガラス繊維の配合量は(A)P
PS樹脂100重量部に対して5〜300重量部であ
り、好ましくは10〜200重量部、より好ましくは2
0〜100重量部である。配合量が少なすぎると、耐熱
性、機械的強度が不十分となる傾向にあり、配合量が多
すぎると流動性が不十分となる傾向にある。
【0022】本発明で用いる(C)充填材としては
(B)成分として用いるガラス繊維以外であれば特に制
限はなく、繊維状であっても非繊維状であってもよい。
かかる繊維状および/または非繊維状充填材は、ガラス
ミルドファイバー、炭素繊維、チタン酸カリウムウィス
カー、酸化亜鉛ウィスカー、硼酸アルミニウムウィスカ
ー、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラ
ミック繊維、アスベスト繊維、石コウ繊維、金属繊維な
どの繊維状充填材、ワラステナイト、ゼオライト、セリ
サイト、カオリン、マイカ、クレー、パイロフィライ
ト、ベントナイト、アスベスト、タルク、アルミナシリ
ケートなどの珪酸塩、アルミナ、酸化珪素、酸化マグネ
シウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄などの
金属化合物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロ
マイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムな
どの硫酸塩、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、
水酸化アルミニウムなどの水酸化物、ガラスビーズ、ガ
ラスフレーク、セラミックビーズ、窒化ホウ素、炭化珪
素、カーボンブラック、金属粉末およびシリカなどの非
繊維状充填材が挙げられ、これらは中空であってもよ
く、さらにはこれら充填材を2種以上併用することも可
能である。また、これら繊維状および/または非繊維状
充填材をイソシアネート系化合物、有機シラン系化合
物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物、エ
ポキシ化合物などのカップリング剤で予備処理して使用
することも可能である。
【0023】特に、タルクを用いることは、エポキシ樹
脂との接着強度、低ガス性、寸法特性を得る上でより好
ましい。
【0024】上記(C)無機充填材の配合量は(A)P
PS樹脂100重量部に対して、5〜300重量部の範
囲が選択され、好ましくは7〜200重量部、より好ま
しくは10〜100重量部である。配合量が少なすぎる
と、エポキシとの接着性、寸法特性が不十分となる傾向
にあり、配合量が多すぎると流動性、機械的強度が不十
分となる傾向にある。
【0025】さらに本発明のPPS樹脂組成物には、本
発明の効果を損なわない範囲において、エステル結合、
エーテル結合、アミノ結合、アミド結合を有する熱可塑
性樹脂から選ばれた1種以上を配合することができる。
【0026】好ましいエステル結合、エーテル結合、ア
ミノ結合、アミド結合を有する熱可塑性樹脂としては、
ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリ
ブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレ
ンテレフタレート、ポリ(エチレンテレフタレート/シ
クロヘキサンジメチレンテレフタレート)などのエステ
ル結合を有する熱可塑性樹脂、変性ポリフェニレンエー
テル、ポリエーテルスルホンなどのエーテル結合を有す
る熱可塑性樹脂、ポリウレタンなどのアミノ結合を有す
る熱可塑性樹脂、ポリアミド、ポリアミドエラストマな
どのアミド結合を有する熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0027】エステル結合、エーテル結合、アミノ結
合、アミド結合を有する熱可塑性樹脂を配合すること
は、エポキシ樹脂との接着性をさらに高める上で好まし
い。
【0028】上記エステル結合、エーテル結合、アミノ
結合、アミド結合を有する熱可塑性樹脂の配合量は
(A)PPS樹脂100重量部に対して、0〜50重量
部であり、好ましくは1〜30重量部、より好ましくは
2〜15重量部である。
【0029】さらに本発明のPPS樹脂組成物には、本
発明の効果を損なわない範囲において、イソシアネート
系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合
物、有機ボラン系化合物、エポキシ化合物などのカップ
リング剤、ポリアルキレンオキサイドオリゴマ系化合
物、チオエーテル系化合物、エステル系化合物、有機リ
ン系化合物などの可塑剤、カオリン、有機リン化合物、
ポリエーテルエーテルケトンなどの結晶核剤、モンタン
酸ワックス類、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ア
ルミ等の金属石鹸、エチレンジアミン・ステアリン酸・
セバシン酸重宿合物などの離型剤、次亜リン酸塩などの
着色防止剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、紫外線防止
剤、着色剤、難燃剤、発泡剤などの通常の添加剤を添加
することができる。
【0030】モンタン酸ワックス類、ステアリン酸リチ
ウム、ステアリン酸アルミ等の金属石鹸、エチレンジア
ミン・ステアリン酸・セバシン酸重宿合物などの離型剤
を配合することは、エポキシ樹脂との接着性をさらに高
める上で好ましい。
【0031】上記離型剤の配合量は(A)PPS樹脂1
00重量部に対して、0.05〜5重量部であり、好ま
しくは0.1〜3重量部である。
【0032】本発明で用いられる樹脂組成物の調製方法
は特に制限はないが、原料の混合物を単軸あるいは2軸
の押出機、バンバリ−ミキサ−、ニ−ダ−、ミキシング
ロ−ルなど通常公知の溶融混合機に供給して280〜3
80℃の温度で混練する方法などを例として挙げること
ができる。また、原料の混合順序にも特に制限はなく、
全ての原材料を配合後上記の方法により溶融混練する方
法、一部の原材料を配合後上記の方法により溶融混練し
さらに残りの原材料を配合し溶融混練する方法、あるい
は一部の原材料を配合後単軸あるいは二軸の押出機によ
り溶融混練中にサイドフィーダーを用いて残りの原材料
を混合する方法など、いずれの方法を用いてもよい。ま
た、少量添加剤成分については、他の成分を上記の方法
などで混練しペレット化した後、成形前に添加して成形
に供することももちろん可能である。
【0033】本発明の樹脂組成物は、通常、スパイラル
フロー長120(mm)以上、かつ加熱減量0.3〜
2.0(wt%)となるように調製される。なかでもス
パイラルフロー長は、140(mm)以上であることが
好ましく、160(mm)以上であることがより好まし
い。また、加熱減量は0.3〜1.0(wt%)である
ことが好ましく、より好ましくは0.3〜0.7(wt
%)であることがエポキシ樹脂との接着強度およびその
バラツキ、ワイヤーボンディング性、低ガス性、流動性
を得る上で好ましい。
【0034】上記樹脂組成物を得るためには、用いるP
PS樹脂として(a1)を用いる、あるいは(a1)お
よび(a2)を併用して用いる等PPS樹脂を選択し樹
脂組成物全体のバランスをとる方法、(B)成分あるい
は(C)成分の配合割合によりバランスをとる方法、P
PS樹脂以外の熱可塑性樹脂を更に配合することにより
バランスをとる方法、およびこれらを複合した方法等を
採用することができる。
【0035】なお、スパイラルフロー長はシリンダー温
度320℃、金型温度130℃、射出圧力1000(k
g/cm2 )の条件で、成形片形状:幅5.0(mm)
×厚み1.0(mm)、スパイラル形状、ゲート形状:
幅5.0(mm)×厚み1.0(mm)のフイルムゲー
ト、スプルー:長径φ5.8(mm)×短径φ3.0
(mm)×長さ75(mm)、ランナー:幅5.0(m
m)×厚み5.0(mm)×長さ10.0(mm)のも
のを成形して、成形後の成形片の長さを測定したもので
ある。また、加熱減量は樹脂組成物のペレット10gを
アルミカップに入れ、150℃の雰囲気で1時間予備乾
燥する。ペレット重量を測定し、320℃の雰囲気で2
時間処理後、再度ペレット重量を測定する。320℃の
処理による重量の減量を処理前のペレットの重量で徐し
てパーセント表示したのが加熱減量である。
【0036】本発明により得られたPPS樹脂組成物
は、射出成形、押出成形、圧縮成形、吹込成形、射出圧
縮成形など各種公知の成形法により成形することが可能
であり、なかでも射出成形により成形することが成形す
ることが好ましい。
【0037】本発明の組成物は、高いエポキシ樹脂との
接着強度およびそのバラツキ、ワイヤーボンディング
性、流動性、低ガス性、難燃性、耐熱性、寸法特性、機
械的強度の向上に有効であることからパワーモジュール
に極めて適している。
【0038】本発明におけるパワーモジュールは、半導
体が集積した電流、電圧変換装置であり、特に電気式モ
ーターで車軸を駆動する機構を有する車搭載用のパワー
モジュールに有用である。代表例としては、電気自動車
やガソリン、天然ガス、メタノールその他の燃料を使用
する内燃機関と電気モーターの両方を搭載したハイブリ
ッド車等の車搭載用のパワーモジュールなどが挙げられ
る。
【0039】上記パワーモジュールは、通常、アルミ
板、銅板、骨格、蓋、金属端子がインサートされたター
ミナルなどの部品から成り、シリコーンあるいはエポキ
シで骨格内を封止されている。また、半導体と金属端子
を金属線で電極間結線(ワイヤーボンディング)も施さ
れている。
【0040】上記パワーモジュールの骨格とターミナル
は、骨格とターミナルを一度に成形された成形体であっ
てもよいし、または、骨格とターミナルを別々に成形し
ておき、その後、骨格とターミナルをエポキシ樹脂等の
接着剤で接着した複合成形体であってもよい。別々に成
形する場合には、そのうちの1以上の成形品が本発明の
樹脂組成物を成形して得られる成形品であればよいが、
骨格、ターミナルとも本発明の樹脂組成物であることが
好ましい。
【0041】また、本発明のPPS樹脂組成物はエポキ
シ樹脂との接着性に優れるが、かかるエポキシ樹脂には
特に制限はなく、例えば、ビスフェノールA、ビスフェ
ノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールAF、ビ
スフェノールAD、4,4’−ジヒドロキシビフェニ
ル、レゾルシン、サリゲニン、トリヒドロキシジフェニ
ルジメチルメタン、テトラフェニロールエタンこれらの
ハロゲン置換体およびアルキル基置換体、ブタンジオー
ル、エチレングリコール、エリスリット、ノボラック、
グリセリン、ポリオキシアルキレン等のヒドロキシル基
を分子内に2個以上含有する化合物とエピクロルヒドリ
ン等から合成されるグリシジルエーテル系、フタル酸グ
リシジルエステル等のグリシジルエステル系、アニリ
ン、ジアミノジフェニルメタン、メタキシレンジアミ
ン、1,3−ビスアミニメチルシクロヘキサン等の第一
または第二アミンとエピクロロヒドリン等から合成され
るグリシジルアミン系、等々のグリシジルエポキシ樹
脂、エポキシ化大豆油、エポキシ化ポリオレフィン、ビ
ニルシクロヘキセンジオキサイド、ジシクロペンタジエ
ンジオキサイド等々の非グリシジルエポキシ樹脂が挙げ
られる。これらのエポキシ樹脂は単独または2種類以上
の混合物として使用される。また、これらエポキシ樹脂
は一般に硬化剤により硬化させて使用される。硬化剤の
例としてはアミン類、ポリアミド、アミノ樹脂、酸無水
物類、多価フェノール類、フェノール樹脂、多硫化物、
イソシアネート類等が挙げられる。
【0042】本発明により得られたPPS樹脂組成物
は、高いエポキシ樹脂との接着強度およびそのバラツ
キ、ワイヤーボンディング性、流動性、低ガス性、難燃
性、耐熱性、寸法特性、機械的強度に優れた樹脂組成物
であり、上述したパワーモジュールの他、かかる特性の
1以上を生かしてコネクター、コイルをはじめとする電
気電子部品用途、センサー、LED、ランプソケット、
抵抗器、リレーケース、小型スイッチ、コイルボビン、
コンデンサー、バリコンケース、光ピックアップ、発振
子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント基板、チュ
ーナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、
小型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、
半導体、液晶、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、モ
ーターブラッシュホルダー、パラボナアンテナ、コンピ
ューター関連部品等に代表されるその他電子部品;発電
機、電動機、変圧器、変流器、電圧調整器、整流器、イ
ンバーター、継電器、電力用接点、開閉器、遮断機、ナ
イフスイッチ、他極ロッド、電気部品キャビネットなど
の電気機器部品用途、VTR部品、テレビ部品、アイロ
ン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、
音響部品、オーディオ・レーザーディスク・コンパクト
ディスク等の音声機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エ
アコン部品、タイプライター部品、ワードプロセッサー
部品等に代表される家庭、事務電気製品部品;オフィス
コンピューター関連部品、電話器関連部品、ファクシミ
リ関連部品、複写機関連部品、洗浄用冶具、モーター部
品、ライター、タイプライターなどに代表される機械関
係部品;顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計等に代表される
光学機器、精密機械関連部品;オルタネーターターミナ
ル、オルタネータコネクタ、ICレギレータケース、ラ
イトディヤー用ポテンシオメーターベース、排気ガスバ
ルブ等の各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パ
イプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテーク
マニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイン
ト、キャブレターメインボディ、キャブレタースペーサ
ー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサ
ー、ブレーキパットウェアーセンサー、スロットルポジ
ションセンサー、クランクシャフトポジションセンサ
ー、エアーフローメーター、ブレーキパッド摩耗センサ
ー、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フロー
コントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシ
ュホルダー、ウォーターホンプインペラー、タービンベ
イン、ワイパーモーター関係部品、デュストリビュータ
ー、スタータースイッチ、スターターリレー、トランス
ミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウォッシャー
ノズル、エアコンパネルスイッチ基板、燃料関係電磁気
弁用コイル、ヒューズ用コネクター、ホーンターミナ
ル、電装部品絶縁板、ステップモーターローター、ラン
プソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、
ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイル
フィルター、点火装置ケース等の自動車・車両関連部品
等々、各種用途に有用できるが、なかでも特にエポキシ
樹脂との接着面を有するような複合成形体に適してお
り、とりわけエポキシ樹脂との接着強度、接着強度のバ
ラツキ、流動性、低ガス性の要求される用途(例えば、
各種センサー部品、ICケースなど)に特に適してい
る。エポキシ樹脂との接着面を有する複合成形品は、エ
ポキシ樹脂で封止された複合成形体、あるいは本発明の
PPS樹脂組成物で成形された成形体と同じ素材または
異なる素材により成形された成形体をエポキシ樹脂で接
着せしめた複合成形体などが挙げられる。エポキシ樹脂
と接着せしめるPPS樹脂組成物からなる成形体は上記
組み合わせ成形体であってもよい。
【0043】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説
明する。
【0044】実施例および比較例の中で述べられるエポ
キシ接着強度、加熱減量、引張強度は次の方法に従っ
た。
【0045】[PPS樹脂のクロロホルム抽出量]30
0(ml)のビーカーにPPS樹脂、あるいはPPS樹
脂組成物を10.0(g)、クロロホルムを150(m
l)入れ、30(min)浸漬させ、濾過し、エバポレ
ーターでクロロホルムだけを揮発させ、抽出量を算出し
た。
【0046】[PPS樹脂のMFR]JISK7210
に準じ、PPS樹脂重量5g、測定温度315.5℃、
荷重5kgで測定した。
【0047】[スパイラルフロー長]シリンダー温度3
20℃、金型温度130℃、射出圧力1000(kg/
cm2)の条件で、成形片形状:幅5.0(mm)×厚
み1.0(mm)、スパイラル形状、ゲート形状:幅
5.0(mm)×厚み1.0(mm)のフイルムゲー
ト、スプルー:長径φ5.8(mm)×短径φ3.0
(mm)×長さ75(mm)、ランナー:幅5.0(m
m)×厚み5.0(mm)×長さ10.0(mm)のも
のを成形して、成形後の成形片の長さを測定したもので
ある。
【0048】[加熱減量]樹脂組成物のペレット10g
をアルミカップに入れ、150℃の雰囲気で1時間予備
乾燥する。ペレット重量を測定し、320℃の雰囲気で
2時間処理後、再度ペレット重量を測定する。320℃
の処理による重量の減量を処理前のペレットの重量で徐
してパーセント表示したのが加熱減量である。この加熱
減量が少ない樹脂組成物ほど、低ガス性、ワイヤーボン
ディング性に優れる。
【0049】[エポキシ接着強度]シリンダ温度320
℃、金型温度130℃の条件で成形したASTM1号ダ
ンベル片を2等分して、接着面積が50mm2 となるよ
うにスペーサ(厚み1.8〜2.2mm)およびエポキ
シ樹脂(長瀬チバ(株)製、一液型エポキシ樹脂、XN
R3506)を挟んで固定した。これを雰囲気温度13
0℃で30minの条件で硬化して、歪み速度1mm/
min、支点間距離80mmの条件で引張強度を測定
し、強度の最大値を接着面積で割った値をエポキシ接着
強度とした。
【0050】また、上記エポキシ接着試験後の破壊形態
は全てPPS樹脂自体で破壊したものを○とし、全てP
PS樹脂とエポキシ樹脂との界面で破壊したもの、ある
いは、PPS樹脂とエポキシ樹脂との界面で破壊した
り、PPS樹脂自体で破壊したりしたもの×とした。P
PS樹脂自体が破壊するものほど接着強度のバラツキは
小さくなる。
【0051】[引張強度] ASTM D638 [参考例1(PPSの製造)] PPS−1の製造 攪拌機付きオートクレーブに水硫化ナトリウム水溶液
4.67kg(水硫化ナトリウム25モル)、50%水
酸化ナトリウム2.00kg(水酸化ナトリウム25モ
ル)ならびにN−メチル−2−ピロリドン(以下NMP
と略す。)8kgを仕込み、撹拌しながら徐々に205
℃まで昇温し、水3.8kgを含む留出水4.1リット
ルを除去した。残留混合物に1,4−ジクロロベンゼン
3.75kg(25.5モル)ならびにNMP2kgを
加えて、230℃で1時間、更に260℃で30分加熱
した。反応生成物を温水で5回洗浄し、80℃で24時
間減圧乾燥して、クロロホルム抽出量3.5(wt
%)、MFR2000(g/10min)のPPS−1
を得た。
【0052】PPS−2の製造 上記同様にして重合を行い、230℃で16時間加熱処
理して、クロロホルム抽出量2.0(wt%)、MFR
550(g/10min)のPPS−2を得た。
【0053】PPS−3の製造 攪拌機付きオートクレーブに硫化ナトリウム9水塩6.
005kg(25モル)、酢酸ナトリウム0.205k
g(2.5モル)およびNMP5kgを仕込み、窒素を
通じながら徐々に205℃まで昇温し、水3.6リット
ルを留出した。次に反応容器を180℃に冷却後、1,
4−ジクロロベンゼン3.719kg(25.3モル)
ならびにNMP3.7kgを加えて、窒素下に密閉し、
270℃まで昇温後、270℃で2.5時間反応した。
冷却後、反応生成物を温水で5回洗浄し、次に100℃
に加熱されNMP10kg中に投入して、約1時間攪拌
し続けたのち、濾過し、さらに熱湯で数回洗浄した。こ
れを90℃に加熱されたpH4の酢酸水溶液25リット
ル中に投入し、約1時間攪拌し続けたのち、濾過し、濾
過のpHが7になるまで約90℃のイオン交換水で洗浄
後、80℃で24時間減圧乾燥して、クロロホルム抽出
量0.15(wt%)、MFR600(g/10mi
n)のPPS−3を得た。
【0054】[実施例および比較例で用いた配合材] (A)PPS樹脂:PPS−1、PPS−2、PPS−
3。
【0055】(B)ガラス繊維:無アルカリガラス、繊
維径10μm、カップリング剤付着量0.4重量%。
【0056】(C)ガラス繊維以外の充填材:タルク
林化成(株)製 PK−S。
【0057】エステル結合、エーテル結合、アミノ結
合、アミド結合を有する熱可塑性樹脂:ポリシクロヘキ
サンジメチレンテレフタレート 実施例1〜4 PPS樹脂(PPS−1、PPS−3)、ガラス繊維、
および無機充填材を表1に示す割合でドライブレンドし
た後、320℃の押出条件に設定したスクリュー式押出
機により溶融混練後ペレタイズした。得られたペレット
を乾燥後、射出成形機を用いて、シリンダー温度320
℃、金型温度130℃の条件で射出成形することによ
り、ASTM1号ダンベル片、幅10(mm)×厚み
1.0(mm)の試験片形状を得た。得られた試験片、
およびペレットについて、前述した方法でスパイラルフ
ロー、加熱減量、エポキシ接着強度、および引張強度を
測定した。その結果を表1に示す。
【0058】ここで得られた樹脂組成物および成形体は
高いエポキシ樹脂との接着強度、接着強度のバラツキ、
ワイヤーボンディング性、低ガス性、寸法特性、機械的
強度に優れ、実用価値の高いものであった。また、組成
物中のガラス繊維の数平均繊維長は350μmであっ
た。
【0059】実施例5 ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート用いたこ
と以外は、実施例1と同様にして、表1に示す割合でド
ライブレンドした後、溶融混練、ペレタイズ、成形、評
価を行った。その結果を表1に示す。
【0060】ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレ
ートを用いた組成物および成形体はワイヤーボンディン
グ性、低ガス性は実施例1〜4より劣るが、実用レベル
であった。また、組成物中のガラス繊維の数平均繊維長
は330μmであった。
【0061】比較例1、2 PPS−1を用いないこと以外は、実施例1と同様にし
て、表1に示す割合でドライブレンド、溶融混練、ペレ
タイズ、成形、評価を行った。その結果を表1に示す。
【0062】PPS−1を用いない組成物は、エポキシ
接着強度は比較的低く、接着強度のバラツキも大きく、
実用レベルではなかった。また、組成物中のガラス繊維
の数平均繊維長は300μmであった。
【0063】比較例3 タルクを用いないこと以外は、実施例1と同様にして、
表1に示す割合でドライブレンド、溶融混練、ペレタイ
ズ、成形、評価を行った。その結果を表1に示す。
【0064】タルクを用いない組成物は、エポキシ接着
強度は比較的低く、接着強度のバラツキも大きく、実用
レベルではなかった。また、組成物中のガラス繊維の数
平均繊維長は350μmであった。
【0065】比較例4 ガラス繊維を用いないこと以外は、実施例1と同様にし
て、表1に示す割合でドライブレンド、溶融混練、ペレ
タイズ、成形、評価を行った。その結果を表1に示す。
【0066】ガラス繊維を用いない組成物は、エポキシ
接着強度は比較的低く、接着強度のバラツキも大きく、
また、機械的強度も低く、実用レベルではなかった。
【0067】
【表1】
【0068】
【発明の効果】本発明のPPS樹脂組成物および成形体
は、高いエポキシ樹脂との接着強度を有し、接着強度の
バラツキが小さく、かつワイヤーボンディング性、流動
性、低ガス性、難燃性、耐熱性、寸法特性、機械的強度
に優れており、電気式モーターで車軸を駆動する機構を
有する車搭載用パワーモジュール等に有用である。
フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 CF052 CF062 CF072 CG002 CH072 CK022 CL002 CL063 CN011 CN032 DA017 DA037 DA067 DE047 DE077 DE087 DE097 DE107 DE117 DE137 DE147 DE187 DE237 DG047 DG057 DJ007 DJ017 DJ027 DJ037 DJ047 DJ057 DK007 DL006 DL007 DM007 FA017 FA043 FA046 FA047 FA067 FA087 FA107 FB086 FB087 FB096 FB166 FB266 FD013 FD016 FD017 FD160 FD200 GM00 GN00 GQ00 GQ01

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂10
    0重量部および(B)ガラス繊維5〜300重量部、お
    よび(C)ガラス繊維以外の充填材5〜300重量部を
    配合してなる樹脂組成物であって、スパイラルフロー長
    120(mm)以上、かつ加熱減量0.3〜2.0(w
    t%)であるパワーモジュールに用いられるポリフェニ
    レンスルフィド樹脂組成物。
  2. 【請求項2】(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂10
    0重量部に対して、(B)ガラス繊維5〜300重量
    部、および(C)ガラス繊維以外の充填材5〜300重
    量部を配合してなる樹脂組成物であって、スパイラルフ
    ロー長120(mm)以上、かつ加熱減量0.3〜2.
    0(wt%)であるエポキシ樹脂と接着して用いられる
    成形品用ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
  3. 【請求項3】(A)(a1)クロロホルム抽出量1.0
    (wt%)以上、かつMFR1000(g/10mi
    n)以上であるポリフェニレンスルフィド樹脂、(a
    2)クロロホルム抽出量0.3(wt%)以下、かつM
    FR250(g/10min)以上であるポリフェニレ
    ンスルフィド樹脂、(B)ガラス繊維5〜300重量
    部、および(C)ガラス繊維以外の充填材5〜300重
    量部を配合してなり、全ポリフェニレンスルフィド樹脂
    中、(a1)が10〜100重量%、(a2)が0〜9
    0重量%であって、全ポリフェニレンスルフィド樹脂1
    00重量部に対する(B)の配合量が5〜300重量
    部、(C)の配合量が5〜300重量部であるパワーモ
    ジュールに用いられるポリフェニレンスルフィド樹脂組
    成物。
  4. 【請求項4】(A)(a1)クロロホルム抽出量1.0
    (wt%)以上、かつMFR1000(g/10mi
    n)以上であるポリフェニレンスルフィド樹脂、(a
    2)クロロホルム抽出量0.3(wt%)以下、かつM
    FR250(g/10min)以上であるポリフェニレ
    ンスルフィド樹脂、(B)ガラス繊維5〜300重量
    部、および(C)ガラス繊維以外の充填材5〜300重
    量部を配合してなり、全ポリフェニレンスルフィド樹脂
    中、(a1)が10〜100重量%、(a2)が0〜9
    0重量%であって、全ポリフェニレンスルフィド樹脂1
    00重量部に対する(B)の配合量が5〜300重量
    部、(C)の配合量が5〜300重量部であるエポキシ
    樹脂と接着して用いられる成形体用ポリフェニレンスル
    フィド樹脂組成物。
  5. 【請求項5】(C)ガラス繊維以外の充填材の少なくと
    も1種がタルクである請求項1〜4いずれか記載のポリ
    フェニレンスルフィド樹脂組成物。
  6. 【請求項6】さらにエステル結合、エーテル結合、アミ
    ノ結合、アミド結合を有する熱可塑性樹脂から選ばれた
    1種以上を全ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量
    部に対して、0〜50重量部を配合してなる請求項1〜
    5のいずれか記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成
    物。
  7. 【請求項7】パワーモジュールが車搭載用である請求項
    1、3、5〜6いずれか記載のポリフェニレンスルフィ
    ド樹脂組成物。
  8. 【請求項8】車搭載用パワーモジュールが電気式モータ
    ーで車軸を駆動する機構を有する車用である請求項7記
    載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
  9. 【請求項9】パワーモジュールがエポキシ樹脂との接着
    面を有するものである請求項1、3、5〜8のいずれか
    記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
  10. 【請求項10】請求項1、3、5〜8のいずれか記載の
    ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を用いて製造され
    たパワーモジュール。
  11. 【請求項11】請求項2、4〜6のいずれか記載のポリ
    フェニレンスルフィド樹脂組成物を用いて製造されたエ
    ポキシ樹脂と接着面を有する複合成形体。
  12. 【請求項12】パワーモジュールが2以上の成形体の複
    合成形体であって、その少なくとも1つ以上が請求項
    1、3、5〜8のいずれか記載のポリフェニレンスルフ
    ィド樹脂組成物を成形してなる成形体である複合成形
    体。
  13. 【請求項13】複合成形体が、さらに2以上の成形体の
    複合成形体であって、その少なくとも1つ以上が請求項
    2、4〜6のいずれか記載のポリフェニレンスルフィド
    樹脂組成物を成形してなる成形体である請求項11記載
    のエポキシ樹脂と接着面を有する複合成形体。
JP25581998A 1998-09-09 1998-09-09 ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物および成形体 Pending JP2000086892A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP25581998A JP2000086892A (ja) 1998-09-09 1998-09-09 ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物および成形体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP25581998A JP2000086892A (ja) 1998-09-09 1998-09-09 ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物および成形体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000086892A true JP2000086892A (ja) 2000-03-28

Family

ID=17284071

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP25581998A Pending JP2000086892A (ja) 1998-09-09 1998-09-09 ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物および成形体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000086892A (ja)

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002188005A (ja) * 2000-12-20 2002-07-05 Sumitomo Bakelite Co Ltd ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物
JP2005298669A (ja) * 2004-04-12 2005-10-27 Polyplastics Co ポリアリーレンサルファイド樹脂組成物及びその成形品
JP2006012649A (ja) * 2004-06-28 2006-01-12 Toray Ind Inc 樹脂被覆電線
JP2008013617A (ja) * 2006-07-04 2008-01-24 Tosoh Corp ポリアリーレンスルフィド組成物
JP2008041755A (ja) * 2006-08-02 2008-02-21 Nippon Inter Electronics Corp 絶縁型大電力用半導体装置の製造方法
JP2009197214A (ja) * 2008-01-23 2009-09-03 Toray Ind Inc ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物および成形体
JP2009215512A (ja) * 2008-03-13 2009-09-24 Toray Ind Inc ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物、成形体および箱型成形体部品
JP2010285581A (ja) * 2009-06-15 2010-12-24 Toyota Motor Corp 絶縁樹脂組成物
CN110719938A (zh) * 2017-06-08 2020-01-21 索尔维特殊聚合物美国有限责任公司 聚苯硫醚聚合物组合物及相应制品
CN112266615A (zh) * 2020-11-19 2021-01-26 南京特塑复合材料有限公司 一种高尺寸稳定性聚苯硫醚复合材料制备方法

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002188005A (ja) * 2000-12-20 2002-07-05 Sumitomo Bakelite Co Ltd ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物
JP2005298669A (ja) * 2004-04-12 2005-10-27 Polyplastics Co ポリアリーレンサルファイド樹脂組成物及びその成形品
JP2006012649A (ja) * 2004-06-28 2006-01-12 Toray Ind Inc 樹脂被覆電線
JP2008013617A (ja) * 2006-07-04 2008-01-24 Tosoh Corp ポリアリーレンスルフィド組成物
JP2008041755A (ja) * 2006-08-02 2008-02-21 Nippon Inter Electronics Corp 絶縁型大電力用半導体装置の製造方法
JP2009197214A (ja) * 2008-01-23 2009-09-03 Toray Ind Inc ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物および成形体
JP2009215512A (ja) * 2008-03-13 2009-09-24 Toray Ind Inc ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物、成形体および箱型成形体部品
JP2010285581A (ja) * 2009-06-15 2010-12-24 Toyota Motor Corp 絶縁樹脂組成物
CN110719938A (zh) * 2017-06-08 2020-01-21 索尔维特殊聚合物美国有限责任公司 聚苯硫醚聚合物组合物及相应制品
CN110719938B (zh) * 2017-06-08 2022-10-11 索尔维特殊聚合物美国有限责任公司 聚苯硫醚聚合物组合物及相应制品
CN112266615A (zh) * 2020-11-19 2021-01-26 南京特塑复合材料有限公司 一种高尺寸稳定性聚苯硫醚复合材料制备方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5982824B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物の製造方法、熱可塑性樹脂組成物および成形品
JP2005306926A (ja) ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物および成形体
JP4788032B2 (ja) ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物および成形体
JP2007106834A (ja) ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物
JP2013256082A (ja) 樹脂複合成形体および樹脂複合成形体を製造する方法
WO2019208377A1 (ja) ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物、成形品、複合成形品及びそれらの製造方法
WO2013141364A1 (ja) ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物および成形体
JP2000086892A (ja) ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物および成形体
JP2012046721A (ja) ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物および成形品
JP2005060454A (ja) ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物および複合成形体
JP3635766B2 (ja) ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物
WO2020196273A1 (ja) ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物および成形品
JPH09291213A (ja) ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物
JP3473186B2 (ja) ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物
JP2018065965A (ja) ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物、成形品及び製造方法
JP2021172675A (ja) ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物および成形体
JP2000230120A (ja) ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物
JP2011012139A (ja) ポリアリーレンスルフィド組成物
JP2021080363A (ja) ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物、成形品、複合成形体及びそれら製造方法
WO2020116434A1 (ja) 樹脂組成物およびその成形体
WO2020080289A1 (ja) 樹脂組成物およびその成形体
JP2001031867A (ja) ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物
JP3206212B2 (ja) ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物および複合成形品
JPH09235468A (ja) ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物
JP2008163221A (ja) ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物およびそれからなる成形品