JP2003040058A - 衝撃吸収構造 - Google Patents
衝撃吸収構造Info
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Abstract
るエネルギー吸収特性を安定させることが可能な衝撃吸
収構造を提供する。 【解決手段】中心軸線Lに沿って延びる円筒状のインナ
材23を包囲するように円筒状のアウタ材24を配置す
る。アウタ材24の前端周縁24aを内側に折り返して
インナ材23の外周面に連結することで、インナ材23
の外周域に第1の塑性変形部H1を形成する。他方、イ
ンナ材23の後端周縁23bを外側に折り返してアウタ
材24の後端縁に連結することで、アウタ材24の後端
部内周域に第2の塑性変形部H2を形成する。こうし
て、インナ材23とアウタ材24との間に、中心軸線L
に沿った縦断面内で閉じた連結関係を構築し、衝突時に
無限軌道状の連鎖的塑性変形を生じさせることにより、
衝撃を吸収する。
Description
造材の塑性変形によって吸収又は緩和する衝撃吸収構造
に関する。
度部材には、衝突時の衝撃を吸収緩和するための衝撃吸
収構造が採用され、更には衝撃吸収体が別途付加される
傾向にある。例えば、車体のサイドメンバの端部とバン
パーリインフォースメントとの間には、俗にクラッシュ
ボックスと呼ばれる衝撃吸収体(衝撃吸収構造)が設け
られている。従来のクラッシュボックスとしては、例え
ば円筒状又は角筒状の中空な金属体の側面にビードを形
成したものが知られている。かかるクラッシュボックス
では、その筒状金属体の軸方向(即ち想定衝突方向)に
衝突荷重を受けたときに、当該筒状体を蛇腹状に塑性変
形させることで衝突時のエネルギーを吸収している。
ようなビード付き構造では、ビード間の腹に相当する部
分がビード部分と比較してエネルギーの吸収効果が相対
的に低いこと、及び、衝突時には荷重を受けた端部側か
ら順次部分的に蛇腹変形せざるを得ないという事情のた
めに、衝突時のF−S特性(変形ストローク量Sに対す
る荷重又は反力Fの変化特性)が不可避的に不安定化す
る。具体的には、図5のグラフに破線で示すように、ス
トローク量Sに対する荷重Fの変化が脈動的に波打つよ
うな傾向を見せる。衝撃吸収体の力学的特性に関して
は、絶対的なエネルギー吸収量が多いこともさることな
がら、ストローク量Sの広い範囲において荷重Fの変化
ができるだけフラットであること、即ちF−S特性が安
定していることが望ましいとされている。この点で、従
来のビード付き構造の衝撃吸収体は、理想的とは言い難
いものであった。他方、理想的なエネルギー吸収特性を
得るためとは言え、衝撃吸収体の構造の複雑化や重量増
大を招くことは好ましくない。また、衝突時の荷重が想
定衝突方向に対し傾斜して入力される場合にも、衝撃吸
収の目的をある程度達成できることが望ましい。
である。本発明の目的は、比較的簡素な構造でありなが
ら、衝突時におけるエネルギー吸収特性を安定させるこ
とができる衝撃吸収構造を提供することにある。
時の衝撃を塑性変形によって吸収又は緩和する衝撃吸収
構造であって、想定衝突方向に延びる筒状の内側構造部
と、想定衝突方向に延びると共に前記内側構造部を包囲
する筒状の外側構造部と、前記外側構造部の前端寄り部
分を内側に折り返して前記内側構造部の一部に連結する
ことで前記内側構造部の外周域に形成された第1の塑性
変形部と、前記内側構造部の後端寄り部分を外側に折り
返して前記外側構造部の一部に連結することで前記外側
構造部の内周域に形成された第2の塑性変形部とを備え
たことを特徴とする。
通りの方向(想定衝突方向)に衝撃が加わると、当該衝
撃吸収構造の前後両端間には、それら両端を相互接近さ
せようとする力(圧縮力)が働き、この力に基づいて内
側構造部と外側構造部との間で相対移動が起きる。する
と、第1の塑性変形部では、外側構造部の前端寄り部分
を内側に巻き込むと共にその巻き込んだ部位を内側構造
部に沿って整列させるような塑性変形が生じ、他方、第
2の塑性変形部では、内側構造部の後端寄り部分を外側
にめくり上げると共にそのめくり上げた部位を外側構造
部に沿って整列させるような塑性変形が生じる。即ち、
衝突の際の内側及び外側構造部の相対移動に伴って、前
後二箇所の塑性変形部で部材の巻き込みとめくり上げと
が同時発生することによる連鎖的な塑性変形により、衝
撃(衝突時のエネルギー)が効果的に吸収又は緩和され
る。そして、衝突時に両塑性変形部で起きる塑性変形
は、内側及び外側構造部の相対移動に伴った連鎖的又は
連続的なものであり、脈動化の要素がない。このため、
衝突時のF−S特性が安定化する。
が想定衝突方向に沿って前後に並ぶ配置をとることか
ら、想定衝突方向に対して傾斜した荷重を受けた場合で
も、負荷(又は曲げ応力)を巧妙に二分散でき、機械的
耐性に優れている。また、前後に並ぶ二つの塑性変形部
を介して内側及び外側構造部が相互連結されていること
は、ある程度の傾斜荷重に対しても、上述のような二つ
の塑性変形部での連鎖的塑性変形に基づく衝撃吸収作用
を発揮することを可能とし、予期しない方向からの衝突
に対しても柔軟な対応が可能となる。
衝突方向に対し直交する横断面形状が閉じた断面形状を
有することをいい、円筒状及び角筒状を含む概念であ
る。
吸収構造にあって、想定衝突方向に沿った当該衝撃吸収
構造の縦断面において、前記外側構造部、その外側構造
部の前端寄り部分と内側構造部とを連結する第1の塑性
変形部、前記内側構造部およびその内側構造部の後端寄
り部分と外側構造部とを連結する第2の塑性変形部の四
部位が、衝突時に無限軌道状の連鎖的塑性変形を生じ得
る閉じた連結関係を構築していることを特徴とする。
徴を、想定衝突方向に沿った縦断面での構造という観点
から更に明確化したものであり、その技術的意義は、請
求項1のそれに準ずる。
形によって吸収又は緩和する衝撃吸収構造であって、想
定衝突方向に延びる内側構造部と、想定衝突方向に延び
ると共に前記内側構造部の外側に位置する外側構造部
と、前記外側構造部の前端寄り部分と内側構造部とを連
結する第1の塑性変形部と、前記内側構造部の後端寄り
部分と外側構造部とを連結する第2の塑性変形部の少な
くとも四部位を備えており、想定衝突方向に沿った当該
衝撃吸収構造の縦断面において、前記四部位が、衝突時
に無限軌道状の連鎖的塑性変形を生じ得る閉じた連結関
係を構築していることを特徴とする。
を更にシンプルな表現形式で記載したものであり、その
技術的意義は、請求項1のそれに準ずる。
の衝撃吸収構造にあって、前記内側構造部又は外側構造
部において、前記第1及び第2の塑性変形部と共に前記
閉じた連結関係を構築している部位以外の部位が、前記
第1及び第2の塑性変形部と共に前記閉じた連結関係を
構築している部位よりも厚肉化されていることを特徴と
する。
当該衝撃吸収構造が前後方向に過大な圧縮力を受けた場
合に、前記閉じた連結関係を構築している部位が連鎖的
な塑性変形による衝撃吸収作用を発揮する以前に、前記
閉じた連結関係を構築している部位以外の部位が座屈し
てしまって荷重が第1及び第2の塑性変形部に直に伝わ
らないという事態を回避できる。つまり、第1及び第2
の塑性変形部と共に閉じた連結関係を構築している部位
以外の部位を相対的に厚肉化することにより、第1及び
第2の塑性変形部での連鎖的な塑性変形による衝撃吸収
作用を十分に発揮させることが可能となる。
か一項に記載の衝撃吸収構造にあって、前記第1及び第
2の塑性変形部と共に前記閉じた連結関係を構築してい
る部位以外の部位において、前記内側構造部及び外側構
造部は、外面と内面とが相互接触する重層構造を採用し
ていることを特徴とする。
等の加工技術を用いて、内側構造部と外側構造部とを別
個に又は同時に形成することが容易となる。また、内側
構造部の外面と外側構造部の内面とが相互接触する重層
構造部分では、そのような重層構造を採用することによ
る厚肉化が図られ、結果として、前記請求項4と同様の
作用効果を奏する。
か一項に記載の衝撃吸収構造において、前記第1の塑性
変形部は、その縦断面が前方に張り出す弧状となるよう
に湾曲形成されており、前記第2の塑性変形部は、その
縦断面が後方に張り出す弧状となるように湾曲形成され
ていることを特徴とする。
形部においては外側構造部の先端寄り部分が内側に巻き
込まれ易くなると共に、第2の塑性変形部においては内
側構造部の後端寄り部分が外側にめくり上げられ易くな
り、両塑性変形部での巻き込みとめくり上げによる連鎖
的な塑性変形が円滑に進行する。
おいて、内側構造部と外側構造部とは、別体化されてい
ても一体化されていてもどちらでもよい。また、請求項
1〜6に記載の衝撃吸収構造は、外側構造部が車輌本体
に固定され内側構造部の前端側で衝突時の荷重を最初に
受け止めるように配設されることは好ましい。
シュボックスに具体化した一実施形態を図面を参照して
説明する。図1に示すように、本実施形態のクラッシュ
ボックス10は、車輌前方のバンパリインフォースメン
ト11と、車体の基本骨格を構成するフロントサイドメ
ンバ12との間に介装される衝撃吸収体である。クラッ
シュボックス10は左右一対で使用されるが、図1には
片方のみを示す。
クス10はその前後に、正面略方形状のフロントフラン
ジ21及びリヤフランジ22を有しており、これらフラ
ンジ21,22を介して前記バンパリインフォースメン
ト11及びフロントサイドメンバ12に対しボルト等
(図示略)を用いてそれぞれ結合されている。特に図3
に示すように、クラッシュボックス10は、前後一対の
フランジ21,22の他に、インナ材23と、該インナ
材23を包囲するアウタ材24とを備えている。本実施
形態では、インナ材23が「内側構造部」に相当し、ア
ウタ材24及びリヤフランジ22が「外側構造部」に相
当する。尚、フランジ21,22は熱延鋼板で作られ、
インナ材23及びアウタ材24は機械構造用鋼で作られ
ている。
つ内部が中空な形状(つまり略円筒形状)をなし、その
中心軸線Lは想定衝突方向に沿って延びている。アウタ
材24も、横断面がほぼ円形状で且つ内部が中空な形状
(つまり略円筒形状)をなしている。但し、アウタ材2
4の軸方向長さはインナ材23の軸方向長さの約半分程
度であり、しかも、アウタ材24の径R2はインナ材2
3の径R1よりも大きく設定されている(R1<R
2)。
横断面形状に対応した孔21aを有している。その孔2
1a内にインナ材23の前端周縁23aを嵌入した状態
で、その嵌入部位の近傍に全周にわたる溶接W1を施す
ことにより、インナ材23の前端にフロントフランジ2
1を固定している。他方、リヤフランジ22は、アウタ
材24の横断面形状にほぼ対応した孔22aを有してい
る。その孔22aの内周縁にアウタ材24の後端周縁2
4bを接合した状態で、その接合部位に全周にわたる溶
接W2を施すことにより、アウタ材24の後端にリヤフ
ランジ22を固定している。なお、後述するように溶接
W2は、インナ材23とアウタ材24の後端部同士の連
結にも関与する。
の中心軸線Lが一致するように位置決めされ、その結
果、アウタ材24はインナ材23に対し所定距離(R2
−R1)を隔てた位置に相対配置されている。そして、
そのような相対配置関係が恒久的に維持されるよう、両
部材23,24間には特異な相互連結関係が構築されて
いる。具体的には、「外側構造部の前端寄り部分」とし
てのアウタ材24の前端周縁24aをその周縁全体にわ
たって内側に折り返して断面略U字状に曲げ、その折り
返された前端周縁24aをインナ材23の外周面に当接
させている。そして、その当接領域の一部(例えば溶接
点P1)にほぼ全周にわたる電気溶接を施して、アウタ
材24の前端周縁24aをインナ材23の長手方向中程
の外周面に連結固定している。このインナ材23の外周
面に連結されたアウタ材24の前端周縁24aにより、
前方に略円弧状に張り出すように湾曲した第1の塑性変
形部H1が構成される。
に、「内側構造部の後端寄り部分」としてのインナ材2
3の後端周縁23bをその周縁全体にわたって外側に折
り返して断面略U字状に曲げ、その折り返された後端周
縁23bの先をアウタ材24の後端周縁24bに合致さ
せている。このとき、インナ材23の後端周縁23bと
アウタ材24の後端周縁24bとの合致点が、アウタ材
24の後端周縁24bとリヤフランジ孔22aの内周縁
との接合域にほぼ重なる。このため、前述の溶接W2に
よって、アウタ材24の後端周縁24bと折り返された
インナ材23の後端周縁23bとの相互連結が同時に達
成される。このアウタ材24の後端周縁24bに連結さ
れたインナ材23の後端周縁23bにより、後方に略円
弧状に張り出すように湾曲した第2の塑性変形部H2が
構成される。
連結されたアウタ材24の前端周縁24aによって第1
の塑性変形部H1が形成されると共に、アウタ材24の
後端周縁24b及びリヤフランジ22に連結されたイン
ナ材23の後端周縁23bによって第2の塑性変形部H
2が形成される。そして、各塑性変形部H1,H2にお
いて、アウタ材24の前端周縁24aが内側に折り返さ
れてインナ材23の一部に連なると共に、インナ材23
の後端周縁23bが外側に折り返されてアウタ材24の
一部に連なる結果、インナ材23とアウタ材24との間
には、衝突時に無限軌道状の連鎖的塑性変形を生じ得る
閉じた連結関係が構築されている。
0の衝撃吸収作用等について説明する。例えば、このク
ラッシュボックス10を具備した車輌が障害物に正面衝
突すると、バンパリインフォースメント11によって受
け止められた衝撃(荷重F)は、フロントフランジ21
を介してインナ材23に伝達される。その一方で、イン
ナ材23の後端部は、リヤフランジ22を介してサイド
メンバ12にしっかり固定されている。それ故、中心軸
線Lに沿った方向(想定衝突方向)に加えられた荷重F
は、クラッシュボックス10を前後方向に押し潰そうと
する圧縮力として作用し、この圧縮力に基づいてインナ
材23とアウタ材24には、瞬間的に中心軸線L方向へ
の相対移動が起きる。
Lに沿って後退する場合、図4に示すように、第1の塑
性変形部H1では、アウタ材24の前端周縁24aを内
側に巻き込むと共にその巻き込んだ部位をインナ材23
の外周面に沿って整列させるような塑性変形が生じる。
同時に、第2の塑性変形部H2では、インナ材23の後
端周縁23bを外側にめくり上げると共にそのめくり上
げた部位をアウタ材24の後方向に沿って整列させるよ
うな塑性変形が生じる。つまり、第1の塑性変形部H1
におけるアウタ材24の外から内側への連鎖的な巻き込
みと、第2の塑性変形部H2におけるインナ材23の内
から外側への連鎖的なめくり上げとを同時に生じなが
ら、インナ材23及びアウタ材24の双方が、サイドメ
ンバ12の中空な内部空間に向けて次第に後退してい
く。インナ材23及びアウタ材24の相対移動に伴っ
て、部材の巻き込みとめくり上げが連続する様は、無限
軌道輪(いわゆるキャタピラ)が駆動する様子に似てい
る。このように、アウタ材24、第1の塑性変形部H
1、インナ材23及び第2の塑性変形部H2を巡る無限
軌道状の連鎖的塑性変形により、衝突時の衝撃が吸収又
は緩和される。
のクラッシュボックス10のF−S特性を示す。他方、
図5のグラフにおける破線は、従来例(側面にビードを
付与した中空構造の衝撃吸収体)のF−S特性を示す。
図5からわかるように、従来例のF−S特性は脈動的で
不安定であるのに対し、本実施形態のクラッシュボック
ス10は、衝撃吸収体の潰れ始めから潰れ終わりまでの
ストローク量Sの広い範囲にわたって、ほぼフラットで
安定した荷重Fの吸収特性を示した。これは、両塑性変
形部H1,H2における塑性変形のあり方が連鎖的であ
り、ストローク量Sの如何にかかわらず、力学的変形の
連続性が保たれるためと考えられる。
主に想定衝突方向(中心軸線Lの方向)に作用する荷重
Fを吸収することを意図した設計ではあるが、想定衝突
方向に対して傾斜した方向から入力される傾斜荷重F’
に対しても、優れた衝撃吸収性能を発揮できるという利
点がある。これは、第1及び第2の塑性変形部H1,H
2が中心軸線Lに沿って所定間隔を隔てて並ぶ設計を採
用したことに由来する。
1,H2を備えた本実施形態の衝撃吸収構造を模式的に
示したものであり、図6(B)は、前側の塑性変形部H
1のみを備えた衝撃吸収構造(比較例)を模式的に示し
たものである。いずれの衝撃吸収構造でも、想定衝突方
向に入力する荷重Fに対しては塑性変形部H1(及びH
2)の連鎖的塑性変形によってその衝撃を効果的に吸収
でき、その点では両者間に顕著な違いはない(但し、吸
収エネルギー量の絶対値は、二つの塑性変形部を持つ本
実施形態の方が大きい)。しかしながら、想定衝突方向
に対して傾斜した方向から入力される傾斜荷重F’に対
する衝撃吸収作用に関する限り、両者は顕著な違いを見
せる。
吸収構造にあっては、傾斜荷重F’に対して、上述のよ
うな連鎖的塑性変形による衝撃吸収が可能となる傾斜角
度θBの最大値(=臨界角度)は極めて小さい。これに
対し、図6(A)のような二点連結の衝撃吸収構造にあ
っては、傾斜荷重F’に対して、上述のような連鎖的塑
性変形による衝撃吸収が可能となる傾斜角度θAの最大
値(=臨界角度)は、前記θBの最大値よりもはるかに
大きくなる。つまり、本実施形態のような前後一対の塑
性変形部H1,H2による二点連結の衝撃吸収構造を採
用することで、想定衝突方向に対して傾斜入力される傾
斜荷重F’に対する衝撃吸収能力(つまり、衝撃吸収の
対応能力)が飛躍的に高められる。
(B)参照)にあっては、傾斜荷重F’に対する機械的
耐性の確保が難しく、角度θBの大きな傾斜荷重F’に
よって、塑性変形部H1が破断又は折損し易いという欠
点がある(即ち、傾斜荷重F’に起因する曲げ応力に弱
い)。これに対し、本実施形態の衝撃吸収構造(図6
(A)参照)によれば、角度θAの大きな傾斜荷重F’
を受けても、その傾斜荷重F’に起因する曲げ応力を巧
妙に二分散できるため、機械的耐性に優れている。
によれば、衝突事故の発生時でも衝撃の程度が小さけれ
ば、サイドメンバ12はほとんど無傷のままで、バンパ
リインフォースメント11とクラッシュボックス10の
破損だけにとどめることができる。即ち、仮に衝突事故
が発生しても、クラッシュボックス10等の小規模で安
価な部品の交換だけで車輌の修理を完了できるため、損
害保険金のランク対応に関するダメージャビリティを大
幅に低減することができ、車輌ユーザーの経済的負担を
実質的に軽減することができる。
に変更してもよい。・上記実施形態(図1〜図4)で
は、インナ材23とアウタ材24とを別個の部材とした
が、両者を一体成形し、予め一体の部材として提供して
もよい。
に受け止めるインナ材23の前半部分の厚みt1を、イ
ンナ材23の後半部分の厚みt2よりも厚肉化してもよ
い。この構成によれば、衝突時に、第1及び第2の塑性
変形部H1,H2で連鎖的な塑性変形による衝撃吸収作
用を発揮する前に、インナ材23の前半部分が瞬間的に
座屈する事態を回避でき、両塑性変形部H1,H2での
連鎖的な塑性変形による衝撃吸収作用を十分に発揮させ
ることができる。なお、図7の例では、インナ材23の
前半部分が「第1及び第2の塑性変形部と共に閉じた連
結関係を構築している部位以外の部位」に相当し、イン
ナ材23の後半部分が「第1及び第2の塑性変形部と共
に閉じた連結関係を構築している部位」に相当する。
変形部H1,H2と共に閉じた連結関係を構築している
部位以外の部位において、インナ材23とアウタ材24
との間で外周面と内周面とが相互接触する重層構造を採
用してもよい。より具体的には、アウタ材24におい
て、その前端寄り部分24aよりも前方側に、インナ材
23の前半部分と密接する円筒状部分を延設する。そし
て、そのアウタ材24の前方延設部分と、インナ材23
の前半部分との密接領域の一部(例えば溶接点P2)に
ほぼ全周にわたる電気溶接を施して両者を連結する。ま
た、インナ材23の後端寄り部分23bよりも後ろの部
分を、アウタ材24の後端部の内周面に密接させ、その
密接領域の一部(例えば溶接点P3)にほぼ全周にわた
る電気溶接を施して両者を連結する。但し、図8の構造
を採用する場合でも、第1及び第2の塑性変形部H1,
H2では、それぞれが前方及び後方に円弧状に張り出し
た湾曲形状を確保しておく。
グ等の加工技術を用いて、インナ材23及びアウタ材2
4に所望形状を付与しながら形成することが容易とな
る。また、インナ材23の外周面とアウタ材24の内周
面とが相互接触する重層構造部分は、実質的な厚肉化が
図られるため、図7に示した厚みt1の肉厚部分と同様
の作用効果を期待することができる。
よい。図9の構造は、インナ材23とアウタ材24との
間で外周面と内周面とが相互接触する重層構造を採用し
ているという点で、図8の構造と同じ範疇に含まれる。
但し、図9の構造は、インナ材23及びアウタ材24と
もにその後端部分がサイドメンバ12の中空な内部空間
内に大きく延設されている点で、図8の構造とは異な
る。ちなみに図9では、インナ材23の後方延設部分
と、アウタ材24の後方延設部分との密接領域の前部及
び後部(例えば溶接点P3,P4)にほぼ全周にわたる
電気溶接を施して、二つの後方延設部分を密接状態で連
結している。このような構造を採用すれば、サイドメン
バ12の内部空間の一部をクラッシュボックス10の設
置スペースとして有効活用することができる。
シュボックス10をバンパリインホースメント11やサ
イドメンバ12に結合するのに、ボルト等の締結具を用
いたが、溶接等で直付けしてもよい。例えば、フロント
フランジ21を省略し、クラッシュボックス10の前端
部分をバンパリインホースメント11に直に溶接しても
よい。
ンジ21,22の構成材料は、熱延鋼板に限定されるも
のではなく、冷間圧延鋼板を用いたり、鋳物製としてよ
い。また、インナ材23及びアウタ材24についても、
機械構造用鋼に代えて、ステンレス材料(例えばSUS
材)やアルミニウム系材料を採用してもよい。
所(例えば溶接点P1〜P4)の溶接に際して電気溶接
を用いたが、高密度エネルギーによる溶接(例えばレー
ザービーム溶接)等を採用してもよい。
衝撃吸収構造によれば、比較的簡素な構造でありなが
ら、衝突時におけるエネルギー吸収特性を安定させるこ
とが可能となる。
示す平面図。
のA−A断面)。
面図。
フ。
半縦断面図。
ントフランジ、22…リヤフランジ、23…インナ材
(内側構造部)、23b…後端周縁(後端寄り部分)、
24…アウタ材(22,24は外側構造部を構成す
る)、24a…前端周縁(前端寄り部分)、H1…第1
の塑性変形部、H2…第2の塑性変形部、L…中心軸線
(想定衝突方向)。
Claims (6)
- 【請求項1】衝突時の衝撃を塑性変形によって吸収又は
緩和する衝撃吸収構造であって、 想定衝突方向に延びる筒状の内側構造部と、 想定衝突方向に延びると共に前記内側構造部を包囲する
筒状の外側構造部と、 前記外側構造部の前端寄り部分を内側に折り返して前記
内側構造部の一部に連結することで前記内側構造部の外
周域に形成された第1の塑性変形部と、 前記内側構造部の後端寄り部分を外側に折り返して前記
外側構造部の一部に連結することで前記外側構造部の内
周域に形成された第2の塑性変形部とを備えたことを特
徴とする衝撃吸収構造。 - 【請求項2】想定衝突方向に沿った当該衝撃吸収構造の
縦断面において、前記外側構造部、その外側構造部の前
端寄り部分と内側構造部とを連結する第1の塑性変形
部、前記内側構造部およびその内側構造部の後端寄り部
分と外側構造部とを連結する第2の塑性変形部の四部位
が、衝突時に無限軌道状の連鎖的塑性変形を生じ得る閉
じた連結関係を構築していることを特徴とする請求項1
に記載の衝撃吸収構造。 - 【請求項3】衝突時の衝撃を塑性変形によって吸収又は
緩和する衝撃吸収構造であって、 想定衝突方向に延びる内側構造部と、想定衝突方向に延
びると共に前記内側構造部の外側に位置する外側構造部
と、前記外側構造部の前端寄り部分と内側構造部とを連
結する第1の塑性変形部と、前記内側構造部の後端寄り
部分と外側構造部とを連結する第2の塑性変形部の少な
くとも四部位を備えており、 想定衝突方向に沿った当該衝撃吸収構造の縦断面におい
て、前記四部位が、衝突時に無限軌道状の連鎖的塑性変
形を生じ得る閉じた連結関係を構築していることを特徴
とする衝撃吸収構造。 - 【請求項4】前記内側構造部又は外側構造部において、
前記第1及び第2の塑性変形部と共に前記閉じた連結関
係を構築している部位以外の部位が、前記第1及び第2
の塑性変形部と共に前記閉じた連結関係を構築している
部位よりも厚肉化されていることを特徴とする請求項2
又は3に記載の衝撃吸収構造。 - 【請求項5】前記第1及び第2の塑性変形部と共に前記
閉じた連結関係を構築している部位以外の部位におい
て、前記内側構造部及び外側構造部は、外面と内面とが
相互接触する重層構造を採用していることを特徴とする
請求項2〜4のいずれか一項に記載の衝撃吸収構造。 - 【請求項6】前記第1の塑性変形部は、その縦断面が前
方に張り出す弧状となるように湾曲形成されており、前
記第2の塑性変形部は、その縦断面が後方に張り出す弧
状となるように湾曲形成されていることを特徴とする請
求項1〜5のいずれか一項に記載の衝撃吸収構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001233564A JP2003040058A (ja) | 2001-08-01 | 2001-08-01 | 衝撃吸収構造 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2001233564A JP2003040058A (ja) | 2001-08-01 | 2001-08-01 | 衝撃吸収構造 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003040058A true JP2003040058A (ja) | 2003-02-13 |
Family
ID=19065325
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001233564A Pending JP2003040058A (ja) | 2001-08-01 | 2001-08-01 | 衝撃吸収構造 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003040058A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005153567A (ja) * | 2003-11-20 | 2005-06-16 | Toyota Motor Corp | 衝撃吸収部材 |
Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2000320595A (ja) * | 1999-04-15 | 2000-11-24 | Sollac | 衝撃吸収体と、その製造方法 |
-
2001
- 2001-08-01 JP JP2001233564A patent/JP2003040058A/ja active Pending
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