JP4087636B2 - バンパ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、閉中空断面を有するバンパリィンフォースと、深絞り成形により製作されるクラッシュボックスを有するバンパ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両の衝突時の衝撃エネルギーをバンパ装置により吸収し、乗員への衝撃を出来る限り小さくすることは乗員の安全を保障する観点からも極めて重要なことである。
バンパ装置は、基本的には、バンパリィンフォース(フロントバンパビームとも言う)と、衝撃エネルギー吸収体と、車体側のサイドフレーム(サイドメンバーとも言う)とから構成される。衝撃エネルギー吸収体として、たとえば、中空部材からなるクラッシュボックスが用いられる。
【0003】
特開2001−63626公報は、サイドフレームを前段と後段の2部品より構成し、前部サイドフレームにクラッシュボックスの機能をもたせ、この前部サイドフレームにバンパリィンフォースを固定する技術手段を開示する。
この公報は、前部サイドフレームの剛性を後部サイドフレームの剛性より小さく設定することを教示する。これにより、低速衝突時、前部サイドフレームの塑性変形により、衝撃エネルギーを吸収している。
バンパリィンフォースに大きい衝撃エネルギーが作用すると、前部サイドフレームの座屈変形に加えて、後部サイドフレームを座屈変形させ、大きい衝撃エネルギーの吸収を図っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述した従来例で、クラッシュボックスに対応する前部サイドフレームは、衝撃エネルギーを軸心方向の座屈変形により吸収している。しかし、このような変形では潰れ残り(前部サイドフレームが中実の固まりとなり、エネルギー吸収能を失う状態)が発生することから、必要な衝撃エネルギー吸収量を確保するため、前部サイドフレームの軸方向の長さは大とせざるを得ない。
【0005】
又、前述した従来例では、前部サイドフレームの座屈による塑性変形と併せて、後部サイドフレームを塑性変形させ、大きい衝撃エネルギーの吸収を図ることを意図しているが、実際には、前部サイドフレームの潰れ残りが早い段階で発生し、意図した作用が得られない。
【0006】
それ故に、本発明は前述した従来技術の不具合を解消させることを解決すべき課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前述した課題を解決するために、バンパリィンフォースを閉中空断面形状とし、クラッシュボックスは塑性変形しながら、サイドフレームの中空部内へと移動可能な技術手段を用いる。
さらに、バンパリィンフォースに衝撃荷重が作用するとクラッシュボックスが塑性変形をしながらサイドフレームの中空部内に入っていきバンパリィンフォースがサイドフレームに当接する。
【0008】
このような技術手段の採用は、バンパリィンフォースに衝撃荷重が作用すると、クラッシュボックスとバンパリィンフォースとの接触面を受圧面として荷重がクラッシュボックスに伝達され、クラッシュボックスを塑性変形させながら、サイドフレーム内へとクラッシュボックスが入っていく。やがて、バンパリィンフォースがサイドフレームに当接し、受圧面を大とさせた形で、荷重をサイドフレームに伝達する。
受圧面が拡大することでバンパリィンフォースの潰れ強度を向上させ得る。
【0009】
本発明によれば、車両の幅方向に延在するバンパリィンフォースと、バンパリィンフォースに固定されるクラッシュボックスと、クラッシュボックスを車体側に固定するサイドフレームを有し、バンパリィンフォースが閉中空断面を有し、クラッシュボックスが塑性変形しながらサイドフレームの中空部内に入っていく寸法を有し、バンパリィンフォースに衝撃荷重が作用するとクラッシュボックスが塑性変形をしながらサイドフレームの中空部内に入っていきバンパリィンフォースがサイドフレームに当接することを特徴とするバンパ装置が提供される。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1乃至4を参照して、本発明の第1実施例を説明する。
バンパ装置1は、断面日の字状の閉中空断面を有するバンパリィンフォース2と、鋼板を深絞りして成形した管体からなるクラッシュボックス3と、車体側の中空のサイドフレーム4とからなる。
バンパリィンフォース2は、アルミニウム合金の押出形材からなり、図3と図4に示す如く車幅方向に延在する。
【0011】
サイドフレーム4は、図8に示す如く、その先端開口縁に取付片5、上下方向に長い中空部6を有す。図8に示す例は、2枚のスチールプレートをボルトで固定することで中空部6を作っているが、中空押出形材或いはプレスものを用いてもよい。
【0012】
クラッシュボックス3は、たとえば、SPC270材の鋼板(板厚:1.8〜2.9mm)を深絞りすることで成形される底部7付きの管体8を有し、管体8の開口縁には側外方に延在するフランジ9が一体に形成される。
フランジ9は、車体側のサイドフレーム4の取付片5に固定され、底部7がバンパリィンフォース2に固定される。管体8のサイドフレーム4の取付片5とバンパリィンフォース2への固定はボルト(図示なし)又は溶接手段を用いる。
【0013】
管体8とフランジ9との結合部は、バンパリィンフォース2側に谷部となった反転部としての変形部10を形成する。この変形部10はR3.3mmの円弧状とすると良い。
クラッシュボックス3を鋼板の深絞り成形により構成することにより、クラッシュボックス3は加工硬化を受け強度が向上する。
【0014】
クラッシュボックス3の管体8に設けた反転部としての変形部10は、図1に示すように、取付状態で、サイドフレーム4の中空部6内に位置し、その内壁面とは、好ましくは2〜10mm離間している。
クラッシュボックス3の剛性はサイドフレーム4の剛性より小とし、バンパリィンフォース2の剛性をサイドフレーム4のそれより大とする。
【0015】
図1乃至4に示すように、バンパリィンフォース2に衝突による衝撃荷重(F)が作用すると、管体8の変形部10を起点とする管体8の塑性変形が生じ、管体8が順次サイドフレーム4の内部へと入り込んでいき、バンパリィンフォース2がフランジ9に接近していく。このような管体8の塑性変形、即ち、管体8が新たな円弧状の変形部10を作りながら、この変形部10をサイドフレーム4の内部へと送り込んでいく塑性変形が生じる。これにより、衝撃エネルギーを吸収する。
バンパリィンフォース2がクラッシュボックス3のフランジ9を介してサイドフレーム4に当接する。これとは別に、バンパリィンフォースがクラッシュボックスのフランジを介さず直接、サイドフレームに当接する形態を採用しても良い。
【0016】
図3と図4に示す如く、クラッシュボックス3とバンパリィンフォース2との接触面の幅(a)は、クラッシュボックス3の完全塑性変形状態時、即ちクラッシュボックス3がサイドフレーム4の中空部6内に入り込んだ状態では、その幅が(b)と拡大し、衝撃荷重Fのサイドフレーム4への伝達を円滑とさせている。
バンパリィンフォース2の受圧面の幅が(a)から(b)へ拡大することで、バンパリィンフォース2の潰れ強度が向上するため、軽量なバンパリィンフォースでサイドフレーム4の塑性変形を起こすことが可能となる。
【0017】
図5に示すバンパリィンフォース2−2は、上下に離間した2個の閉中空部11,11を有するスチール製のものである。中空部11,11を画定する後壁部12,12を、クラッシュボックス3の底部5にボルト止めしかつ荷重伝達面としている。
【0018】
図6に示すバンパリィンフォース2−3は、対の離間中空部13,13及びその間の中央中空部を有し、中空部13,13及び中央中空部を画定する後壁部12の中央部に管体8の外径に相当する孔を穿け、管体8の前部をこの孔に挿入し、バンパリィンフォース2−3の前壁部14をクラッシュボックス3の底部7にボルト止めさせているものである。
前壁部14と底部7との間にクッション材を配しても良い。
中空部13,13は、断面三角形状をなし、その対向壁部間にクラッシュボックス3の先端が挿入されている。クラッシュボックス3の塑性変形に応じて、中空部13,13を画定する斜壁部15,15の後端部がフランジ9に接近し、やがて、フランジ9に当接しながら、管体8とサイドフレーム4との間隙にくい込み、荷重Fをサイドフレーム4に伝達させる。
【0019】
図7に示すバンパリィンフォース2−4は、図5の例と同じく上下に離間した対の中空部11,11を有するが、このバンパリィンフォース2−4は、連結部材16を介して、クラッシュボックス3に固定される。連結部材16は断面略コの字をなし、その対向側壁部がクラッシュボックス3の外周面部に固定され、バンパリィンフォース2−4の後壁部12,12が連結部材16の底部に固定される。
【0020】
図5乃至7の例においても、衝撃荷重Fがバンパリィンフォース2に作用すると、変形部10が中空部6内へと移行する管体8の塑性変形が生じ、図1乃至4の例と同じようにして衝撃エネルギーを吸収する。
【0021】
図9に示す例は、管体8の径より大きな上下方向の寸法を有するバンパリィンフォース2−5と管体8との取り付けのため、別部材としての連結部材17を用いたものである。
連結部材17は、管体8の外周面に沿うよう管体8がその内に挿入される本体部18とバンパリィンフォース2−5の後面部に沿う取付片19とからなる円筒状体(フランジ付き)のものである。
バンパリィンフォース2−5は、断面目の字状で中空部材からなり、その後面部を取付片19にボルト(図示なし)で固定される。連結部材17が管体8と同材質のものであるときは、連結部材17の本体部18を管体8に溶接するが、異なる材質のものであるときはボルトやビスを用いて固定する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例のバンパ装置の縦断面図である。
【図2】クラッシュボックスが塑性変形した状態を示す縦断面図である。
【図3】図1の例の横断面図である。
【図4】図2の状態の横断面図である。
【図5】クラッシュボックスの第2実施例を示す断面図である。
【図6】クラッシュボックスの第3実施例を示す断面図である。
【図7】クラッシュボックスの第4実施例を示す断面図である。
【図8】サイドフレームを示す図1の矢視VIII−VIIIより見た断面図である。
【図9】バンパリィンフォースとクラッシュボックスの固定手段に連結部材を用いている本発明の第5実施例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 バンパ装置
2,2−2,2−3,2−4,2−5 バンパリィンフォース
3 クラッシュボックス
4 サイドフレーム
5 取付片
6 中空部
7 底部
8 管体
9 フランジ
10 変形部
16,17 連結手段
Claims (4)
- 車両の幅方向に延在するバンパリィンフォースと、バンパリィンフォースに固定されるクラッシュボックスと、クラッシュボックスを車体側に固定するサイドフレームと、を備えるバンパ装置であって、
バンパリィンフォースが閉中空断面を有し、
クラッシュボックスは、管体と、管体の開口縁より側外方に延在するフランジと、を有し、管体とフランジとの結合部がバンパリィンフォース側に谷部となった円弧状の変形部であり、
クラッシュボックスをバンパリィンフォースに固定した取付状態で、変形部がサイドフレームの中空部内に位置するとともに中空部の内壁面から離間し、
クラッシュボックスが塑性変形しながらサイドフレームの中空部内に入っていく寸法を有し、
バンパリィンフォースに衝撃荷重が作用するとクラッシュボックスが塑性変形をしながらサイドフレームの中空部内に入っていきバンパリィンフォースがサイドフレームに当接することを特徴とする、
バンパ装置。 - クラッシュボックスの管体は、鋼板の深絞り管体である、
請求項1に記載のバンパ装置。 - 中空部を有するバンパリィンフォースの側壁部が、クラッシュボックスの底部に固定されている、
請求項2に記載のバンパ装置。 - バンパリィンフォースとクラッシュボックスとの接触面の幅が、サイドフレームの取付片の幅より小である、
請求項2又は3に記載のバンパ装置。
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