JP2003033161A - 肉類の食感及び風味改良剤 - Google Patents

肉類の食感及び風味改良剤

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 肉類に対して接触処理を行うことにより、焼
く、炒める、揚げるなどの加熱調理を行っても、柔らか
い肉質で、肉汁に富み且つ良好な風味と食感を与えるこ
とができる肉類の食感及び風味改良剤を提供すること。 【解決手段】 デューテロライシンを有効成分として含
有することを特徴とする肉類の食感及び風味改良剤。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、肉類の食感及び風
味改良剤に関し、更に詳しくは、肉類に対して接触処理
を行うことにより、焼く、炒める、揚げるなどの加熱調
理を行っても、柔らかい肉質で、肉汁に富み且つ良好な
風味と食感を与えることのできる肉類の食感及び風味改
良剤に関する。 【0002】 【従来の技術及び課題】牛、豚、羊などの畜肉、鶏、鴨
などの鳥肉は調理に際して、焼く、炒める、揚げるなど
の調理方法に拘わらず、適度な柔らかさと、旨味、コク
味を有した状態で食されることが望まれている。特に最
近、安価な輸入牛肉が購入できるようになっているが、
一般に、輸入牛肉は国産牛肉に比べ肉質が硬く、旨味、
コク味に欠けるという難点がある。 【0003】従来、肉の軟化剤としてプロテアーゼが用
いられており、例えば、パパイン、ブロメライン、フィ
シンなどの植物由来のプロテアーゼを肉に作用させるこ
とにより軟化処理が行われている。しかしながら、これ
らのプロテアーゼは基質特異性が低いため、軟化制御が
難しく、添加量、反応時間を精密にコントロールしない
と軟化が進みすぎて、肉の組織が脆くなり、べたつき感
が生じて食感が損なわれてしまうという欠点がある。ま
た、肉自体の風味や呈味性の著しい向上は認められず、
酵素の種類によっては分解生成物由来の異臭や苦味が生
じることがある。 【0004】一方、基質特異性の高いプロテアーゼを肉
の軟化乃至風味改良剤として用いる方法として、例え
ば、エラスターゼを用いて肉中の硬蛋白を特異的に分解
し、軟化する方法(特開平4−197156号公報、特
開平5−276899号公報)、バチルス属に属する菌
株の生産する金属プロテアーゼを作用させる方法(特開
平8−56664号公報)などが提案されている。 【0005】上記の基質特異性の高いプロテアーゼを肉
に作用させる方法は、肉を適度な柔らかさに軟化する点
ではそれなりの効果は見られるが、その効果を発現させ
るためにかなりの酵素量、処理時間を必要としたり、肉
の旨味、コク味を向上させる点では必ずしも満足できる
ものではない。 【0006】従って、本発明の目的は、肉類に対して接
触処理を行うことにより、焼く、炒める、揚げるなどの
加熱調理を行っても、柔らかい肉質で、肉汁に富み且つ
良好な風味と食感を与えることのできる肉類の食感及び
風味改良剤を提供することである。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、麹菌が生
産する耐熱性金属プロテアーゼであり、基質特異性の高
いデューテロライシンに着目し、その利用検討について
鋭意研究を重ねた結果、今回、該酵素を肉類に対して接
触処理を行うと、焼く、炒める、揚げるなどの加熱調理
を行っても、柔らかい肉質で、肉汁に富み且つ良好な風
味と食感を与えることができることを見いだし本発明を
完成するに至った。 【0008】かくして、本発明は、デューテロライシン
(Deuterolysin)を有効成分として含有す
ることを特徴とする肉類の食感及び風味改良剤を提供す
るものである。 【0009】以下、本発明の肉類の食感及び風味改良剤
について、更に詳細に説明する。 【0010】 【発明の実施の形態】本発明に使用されるデューテロラ
イシンは、麹菌が生産する耐熱性金属プロテアーゼ(E
C3.4.24.39)であり(化学と生物,Vol.
39,No.3,149−151,2000年)、例え
ば、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus
oryzae)、アスペルギルス・ソヤ(Asper
gillus sojae)、アスペルギルス・タマリ
Aspergillus tamarii)、アスペ
ルギルス・アワモリ(Aspergillus awa
mori)、アスペルギルス・ニガー(Aspergi
llus niger)、アスペルギルス・メレウス
Aspergillus melleus)、アスペ
ルギルス・ニデュランス(Aspergillus
idulans)、エメリセラ・ニデュランス(Eme
ricella nidulans)、リゾープス・ミ
クロスポラス(Rhizopus microspor
us)、ムコール・フェマリス(Mucor hiem
alis)などの微生物を常法に従って培養することに
より得ることができる。具体的には、例えば、公的保存
機関にタイプ・カルチャーとして寄託されているアスペ
ルギルス・オリゼ AHU 7138、アスペルギルス
・ソヤ IAM 2669、アスペルギルス・タマリI
AM 2138、アスペルギルス・アワモリ ATCC
11364、アスペルギルス・ニガー IAM 30
01、アスペルギルス・メレウス ATCC1688
9、アスペルギルス・ニデュランス IAM 213
8、エメリセラ・ニデュランス IFO 8003、リ
ゾープス・ミクロスポラス・バー・オリゴスポラス I
FO 32003、ムコール・フェマリス IFO 4
565などの微生物を、例えば、小麦フスマまたは米糠
等を栄養源とした固体培地、もしくは通常使用されてい
る液体栄養培地に接種し、培養することによりデューテ
ロライシンを得ることができる。培養物中からのデュー
テロライシンの採取および精製は、通常の酵素の採取お
よび精製手段に準じて行うことができる。例えば、培養
物から遠心分離、濾過などにより菌体を分離し、その培
養濾液から通常の分離手段、例えば、塩析法、等電点沈
殿法、溶媒抽出法によって蛋白を沈殿させたり、また限
外濾過により濃縮することにより得ることができる。 【0011】本発明では、デューテロライシンを含有す
る培養物そのものでも使用することができるが、共存す
る他のプロテアーゼを除去するため、通常汎用されてい
るカラムクロマトグラフィーなどの適宜な分離手段を用
いて精製して使用することが好ましい。また、デューテ
ロライシンは耐熱性のプロテアーゼであるため培養液
を、例えば、約75℃にて約10分以上加熱し、共存す
る他のプロテアーゼを失活させてデューテロライシンの
みの活性を利用することもできる。 【0012】また更に、麹菌由来の市販プロテアーゼ、
例えば、スミチームMP(新日本化学工業(株)製、アス
ペルギルス・エスピー由来のプロテアーゼ)、プロテア
ーゼM(アマノエンザイム(株)製、アスペルギルス・
オリゼ由来のプロテアーゼ)、プロテアーゼP(アマノ
エンザイム(株)製、アスペルギルス・メレウス由来の
プロテアーゼ)、 プロテアーゼA(アマノエンザイム
(株)製、アスペルギルス・オリゼ由来のプロテアー
ゼ)、ウマミザイム(アマノエンザイム(株)製、アス
ペルギルス・オリゼ由来のプロテアーゼ)、プロテアー
ゼNP−2((株)ヤクルト本社製、アスペルギルス・
オリゼ由来のプロテアーゼ)、ブロチンFN(大和化成
(株)製、アスペルギルス・オリゼ由来のプロテアー
ゼ)、PROMOD 192P(BIOCATALYSTS(株)製、カビ由来
のプロテアーゼ)、オリエンターゼ ON(阪急バイオイ
ンダストリー (株)製、アスペルギルス・オリゼ由来
のプロテアーゼ)、オリエンターゼ ON5(阪急バイオイ
ンダストリー (株)製、アスペルギルス・オリゼ由来
のプロテアーゼ)、IP酵素(キッコーマン(株)製、
アスペルギルス・ソーヤ由来のプロテアーゼ)、AO-プ
ロテアーゼ(キッコーマン(株)製、アスペルギルス・
オリゼ由来のプロテアーゼ)、サカナーゼ(科研ファル
マ(株)製、アスペルギルス・ソーヤ由来のプロテアー
ゼ)、フレーバーザイム(ノボノルディスクバイオイン
ダストリー(株)製、 アスペルギルス・オリゼ由来の
プロテアーゼ)、デナチーム AP(ナガセ生化学工業
(株)製、アスペルギルス・オリゼ由来のプロテアー
ゼ)、コクラーゼSS(三共(株)、アスペルギルス・オ
リゼ由来のプロテアーゼ)などのプロテアーゼを水に溶
解後、例えば、約75℃にて約10分以上加熱し、共存
する他のプロテアーゼを失活させてデューテロライシン
のみの活性を利用することもできる。 【0013】本発明の肉類の食感及び風味改良剤は、以
上のようにして得られる酵素液をそのまま肉類の食感及
び風味改良剤として用いることもできるが、比活性を上
げるためにそれ自体既知の方法により濃縮、精製して使
用することもできる。更に酵素液を凍結乾燥し、酵素粉
末の形態として用いることもできる。凍結乾燥すること
により酵素活性が長期間にわたり安定に保たれ、また幅
広い利用が可能となる。また例えば、他の調味剤に混合
して利用することもできる。 【0014】本発明の肉類の食感及び風味改良剤は、種
々の肉に適用することができ、例えば、牛、豚、羊など
の畜肉;鶏、鴨などの鳥肉などの肉に適用することがで
きる。肉に対する適用方法は、肉が屠殺直後から調理さ
れるまでの間に酵素が肉に対して有効に作用する方法で
ある限り、特に限定されないが、一般的には、肉を液状
の本発明の食感及び風味改良剤に漬け込む、液状の本発
明の食感及び風味改良剤を肉に注入する、粉末または液
状の本発明の食感及び風味改良剤を肉に振りかける等の
方法により適用することができる。本発明の肉類の食感
及び風味改良剤はその本質が酵素であるので、酵素反応
が充分に進行するように、酵素の至適条件下に肉と該改
良剤との接触状態を一定時間保持するのが望ましい。通
常、肉を本発明の改良剤にて処理後、例えば、約5℃〜
約25℃の範囲内の温度で、約3〜約8の範囲内のpH
で、約0.5時間〜約20時間保存するのが好都合であ
る。 【0015】本発明の肉類の食感及び風味改良剤の使用
量は、処理する肉の種類や目的とする肉の柔らかさ、あ
るいは処理温度、処理時間、処理方法などにより異なる
が、通常、酵素活性量として肉1.0g当たり約0.0
5〜約1ユニットの範囲内の量が適当である。 【0016】なお、酵素活性は0.5%サルミン溶液
(pH8.0)を基質とし、30℃、20分間反応後、
TCA溶液(12.5%)を加え、その可溶化画分をニ
ンヒドリン発色法にて測定することができる。その際、
標準アミノ酸としてチロシンを用い、反応1分間に1μ
molのアミノ酸(チロシン相当)を遊離する酵素量を
1ユニットと定義する。 【0017】以下、実施例により本発明を更に具体的に
説明する。 【0018】 【実施例】参考例1(デューテロライシンの調製方法:
微生物から分離する方法) 麹菌(アスペルギルス・オリゼ AHU7138)を小麦フスマ培
地(小麦ふすま:水=1:1)にて30℃、3日間培養
し、これをシードとした。次いでこのシード5gをGPYC
液体培地(Bacto Peptone 1.5%, casamino acid 0.1%,
Yeast Extract 0.5%, KH2PO4 0.5%, MgSO4・7H2O 0.05%,
glucose 3 %)20Lに添加し、30℃で48時間、通気、撹
拌培養した。この培養液より菌体部分を遠心分離器によ
り除去した後、ろ紙ろ過を行うことにより、培養ろ液18
kgを得た。この培養ろ液に対し80%飽和になるよう
に(10.1Kg)硫酸アンモニウムを加え、硫安塩析を
行い、遠心分離により沈殿を得た。 【0019】この沈殿をpH5.0の20mM酢酸緩衝
液に溶解後、同緩衝液に対し一晩透析を行い、650m
lの粗酵素液を得た。得られた粗酵素液を予め50mM
NaCl/20mM酢酸緩衝液(pH5.0)にて平衡化
したセルロファインGCL−300(東ソー(株))に
供し、同緩衝液によるゲルろ過クロマトグラフィーを行
い、活性画分3.6Lを分取した。この活性画分を脱塩
濃縮し、20mM酢酸緩衝液(pH5.0) にて平衡化
したQ Shepharose (アマシャムファルマシアバイオテク
(株))に供し、NaCl濃度勾配によるイオン交換ク
ロマトグラフィーを行い、活性画分1.5Lを分取し、
蒸留水に対し透析を行った後、凍結乾燥し、SDS−P
AGEにて均一な精製デューテロライシン280ngを
得た。 (酵素活性およびデューテロライシンであることの確
認)酵素活性は前述のようにサルミンを基質とした活性
測定法にて測定できる。すなわち、サルミン(PROTAMINE
SULFATE Grade X: シグマアルドリッチジャパン
(株))をpH6.0の0.1Mリン酸緩衝液にて0.
5%(W/W)になるように溶解し、基質溶液とした。
この基質溶液1.0mlを試験管に分注し30℃にプレ
インキュベートした。この基質溶液に適度に希釈した酵
素溶液(30℃にプレインキュベート)を1.0ml添
加し、30℃で20分振とう反応させた。このとき盲検
として酵素未添加の試験管も用意し、インキュベートし
た。反応は12.5%のTCA溶液を2.0ml添加す
ることで停止した。盲検に対してもTCA溶液を加えた
後、同酵素溶液を加えた。反応液および盲検液を10分
間、30℃にて静置後、東洋ろ紙No.2によりろ過
し、ろ液を得た。それぞれのろ液0.2ml、および1
00μMチロシン溶液、チロシンブランク溶液0.2m
lをそれぞれ試験管に分注した。これらそれぞれの試験
管に0.5Mクエン酸緩衝液4.0mlおよびニンヒド
リン試薬溶液(ニンヒドリン試液−セット:和光純薬工
業(株))2.0mlを加え撹拌後、100℃で15分
間加熱し発色させた。加熱後、氷冷し直ちに570nm
の吸光度を測定した。活性は以下の式にて算出した。 【0020】活性(u/ml)=(試料の吸光度−盲検
の吸光度)/(チロシンの吸光度−ブランクの吸光度)
× 希釈倍率 /50 参考例1で得られた酵素画分を90℃で5分加熱し、上
記の方法で酵素活性を測定したところ、80%以上の活
性が残存しており、本酵素が耐熱性酵素であることが確
認された。また、本酵素はEDTA等のキレート剤によ
りその活性が阻害されることから、本酵素が金属プロテ
アーゼであることが確認された。参考例1で得られた酵
素のSDS−PAGEより分子質量は19.8kDaで
あった。さらに、本酵素のN末端アミノ酸配列を測定し
たところ、TEVTDCKGDAであった。これらの結
果より、参考例1で得られた酵素はデューテロライシン
であることが確認された。 参考例2(デューテロライシンの調製方法:市販プロテ
アーゼから調製する方法)スミチームMP原末(新日本
化学工業(株)製)100gに対し、10倍容量の水を
加え溶解した。この酵素溶液を70℃で15分加熱し、
遠心分離を行い上清970gを得た。この上清に対し8
0%飽和になるように硫酸アンモニウム(544g)を
加え、硫安塩析を行い、遠心分離により沈殿84gを得
た。この沈殿をpH5.0の20mM酢酸緩衝液に溶解
後、同緩衝液に対し一晩透析を行い粗酵素液150ml
を得た。得られた透析液を予め50mMNaCl/20
mM酢酸緩衝液(pH5.0)にて平衡化したセルロフ
ァインGCL−300 (東ソー(株))に供し、同緩衝
液によるゲルろ過クロマトグラフィーを行い、活性画分
を分取した。この活性画分230mlを50mlまで脱
塩濃縮し、20mM酢酸緩衝液(pH5.0)にて平衡
化したQ Shepharose (アマシャムファルマシアバイオテ
ク(株))に供し、NaCl濃度勾配によるイオン交換
クロマトグラフィーを行い、活性画分を分取し、SDS
−PAGEにて均一な精製デューテロライシン3.85
mgを得た。 (酵素活性およびデューテロライシンであることの確
認)酵素活性は参考例1と同様にして測定した。また、
参考例2で得られた酵素も前記と同様な確認試験により
デューテロライシンであることが確認された。 【0021】実施例1 牛もも肉スライス(厚さ約5mm)、豚もも肉スライス
(厚さ約7mm)および鶏ささみスライス(厚さ約1c
m)を約15〜約25gを皿に入れ、これに参考例2で
得られたデューテロライシンまたはパパイン(長瀬産業
(株)製パパイン末)を各1ユニット/mlの濃度に調
整した酵素水溶液を肉重量の1/10量塗布した。コン
トロールとして酵素水溶液の代わりに同量の水を塗布
し、それぞれ20℃にて1、3、6、24時間反応させ
た。反応後の肉は、220℃のホットプレートで、肉の
中まで完全に火が通るように、牛肉では、片面20秒、
裏面30秒、豚肉および鶏肉では、表90秒、裏60秒
で焼成し、直ちにレオメーターで最大荷重を測定した。
数値はコントロールを100とした相対値で求めた。ま
た、同時に専門パネラーによる官能評価も行った。 (レオメーターによる軟化度の測定)レオメーター(不
動工業 RT−2002J;侵入速度:50mm/mi
n;プランジャー:3mm平板)により肉の軟化度を、
その最大荷重の相対比(コントロール品の最大荷重を1
00とする)で求めた。 (1)牛肉 肉片1枚につき2カ所でレオメーターの測定を行った。
4点測定を行い最も高い値と低い値を除去し、中心2点
の平均を測定値とした。その結果を表1および図1に示
す。この結果、デューテロライシンにて処理した肉は経
時的に徐々に軟化するが、6時間より最大荷重の低下は
緩やかになる。これに対して、パパイン処理の肉は3時
間までに急激に最大荷重が下がり、24時間では肉中の
水分の離水が起った。 (2)豚肉 牛肉と同様にレオメーターの測定を行った。その結果を
表2および図2に示す。この結果、デューテロライシン
にて処理した肉は1時間で最大荷重がやや下がったもの
の24時間の反応でも最大荷重の著しい低下は見られな
かった。一方、パパイン処理の肉は6時間までは最大荷
重が経時的に低下し、牛肉と同様に24時間で過消化に
より離水を起こした。 (3)鶏肉 牛肉、豚肉と同様にレオメーターの測定を行った。その
結果を表3および図3に示す。この結果、デューテロラ
イシンにて処理した肉は6時間の処理で約75%に最大
荷重が低下し、さらに24時間の処理でも約70%の最
大荷重が維持されていた。一方、パパイン処理の肉は3
時間処理で最大荷重が約63%まで低下し離水を起こし
た。 【0022】 【表1】 【0023】 【表2】 【0024】 【表3】 【0025】(官能評価) (1)牛肉 デューテロライシン処理では、1時間処理ではあまり変
化を感じないが、3時間処理で適度に柔らかくなり24
時間処理においても適度の柔らかさを保っていた。風味
については、熟成感を伴った旨味、コク味があり良好な
評価であった。一方、パパイン処理では1時間の処理で
も柔らか過ぎ、6時間処理では歯ごたえがなくなり離水
が始まった。風味としては、パパイン由来の臭みが強
く、苦味も強く感じられた。デューテロライシン処理で
は3〜6時間程度の処理が適当と思われる。また、パパ
イン処理では活性を落とし、処理時間をコントロールす
るのが難しいと考えられる。 (2)豚肉 デューテロライシン処理では、牛肉の場合と比較して軟
化する傾向は弱いが、24時間処理においても適度な柔
らかさを保っていた。風味については、熟成感を伴った
旨味、コク味があり良好な評価であった。一方、パパイ
ン処理では3時間処理で適度な柔らかさになるが、6時
間処理では離水が始まった。風味としては、豚肉特有の
臭みを軽減するが、やや苦味を感じた。 (3)鶏肉 デューテロライシン処理では、1時間処理で適度な柔ら
かさとなり、ささみの繊維は残していた。6時間処理で
はさらに柔らかくなったが、ささみの繊維は維持してい
るため鶏肉特有の歯ごたえは残った。風味については、
熟成感を伴った旨味、コク味があり良好な評価であっ
た。一方、パパイン処理では1時間の処理でも過消化が
起こり、柔らか過ぎてささみの繊維が全くなくなった。
風味としては、パパイン由来の臭みが強く、苦味も強く
感じられた。 【0026】 【発明の効果】上記実施例から明らかなとおり、本発明
の肉類の食感及び風味改良剤は、肉類に対して接触処理
を行うことにより、焼く、炒める、揚げるなどの加熱調
理を行っても、柔らかい肉質で、肉汁に富みかつ良好な
風味と食感を与えることができる。
【図面の簡単な説明】 【図1】牛肉の酵素処理による軟化度の経時変化を示す
グラフである。 【図2】豚肉の酵素処理による軟化度の経時変化を示す
グラフである。 【図3】鶏肉の酵素処理による軟化度の経時変化を示す
グラフである。
フロントページの続き (72)発明者 駒井 強 神奈川県川崎市中原区苅宿335 長谷川香 料株式会社技術研究所内 (72)発明者 一島 英治 東京都世田谷区粕谷3−15−17−101 (72)発明者 李 秉魯 東京都八王子市犬目町162−1エルタウン 須崎203号 Fターム(参考) 4B042 AC05 AD39 AE03 AG02 AG03 AG04 AG06 AG07 AH01 AK16

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 デューテロライシン(Deuterol
    ysin)を有効成分として含有することを特徴とする
    肉類の食感及び風味改良剤。
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