JP4101485B2 - 肉類の食感及び風味改良剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、肉類の食感及び風味改良剤に関し、更に詳しくは、肉類に対して接触処理を行うことにより、焼く、炒める、揚げるなどの加熱調理を行っても、柔らかい肉質で、肉汁に富み且つ良好な風味と食感を与えることのできる肉類の食感及び風味改良剤に関する。
【0002】
【従来の技術及び課題】
牛、豚、羊などの畜肉、鶏、鴨などの鳥肉は調理に際して、焼く、炒める、揚げるなどの調理方法に拘わらず、適度な柔らかさと、旨味、コク味を有した状態で食されることが望まれている。特に最近、安価な輸入牛肉が購入できるようになっているが、一般に、輸入牛肉は国産牛肉に比べ肉質が硬く、旨味、コク味に欠けるという難点がある。
【0003】
従来、肉の軟化剤としてプロテアーゼが用いられており、例えば、パパイン、ブロメライン、フィシンなどの植物由来のプロテアーゼを肉に作用させることにより軟化処理が行われている。しかしながら、これらのプロテアーゼは基質特異性が低いため、軟化制御が難しく、添加量、反応時間を精密にコントロールしないと軟化が進みすぎて、肉の組織が脆くなり、べたつき感が生じて食感が損なわれてしまうという欠点がある。また、肉自体の風味や呈味性の著しい向上は認められず、酵素の種類によっては分解生成物由来の異臭や苦味が生じることがある。
【0004】
一方、基質特異性の高いプロテアーゼを肉の軟化乃至風味改良剤として用いる方法として、例えば、エラスターゼを用いて肉中の硬蛋白を特異的に分解し、軟化する方法(特開平4−197156号公報、特開平5−276899号公報)、バチルス属に属する菌株の生産する金属プロテアーゼを作用させる方法(特開平8−56664号公報)などが提案されている。
【0005】
上記の基質特異性の高いプロテアーゼを肉に作用させる方法は、肉を適度な柔らかさに軟化する点ではそれなりの効果は見られるが、その効果を発現させるためにかなりの酵素量、処理時間を必要としたり、肉の旨味、コク味を向上させる点では必ずしも満足できるものではない。
【0006】
従って、本発明の目的は、肉類に対して接触処理を行うことにより、焼く、炒める、揚げるなどの加熱調理を行っても、柔らかい肉質で、肉汁に富み且つ良好な風味と食感を与えることのできる肉類の食感及び風味改良剤を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、麹菌が生産する耐熱性金属プロテアーゼであり、基質特異性の高いデューテロライシンに着目し、その利用検討について鋭意研究を重ねた結果、今回、該酵素を肉類に対して接触処理を行うと、焼く、炒める、揚げるなどの加熱調理を行っても、柔らかい肉質で、肉汁に富み且つ良好な風味と食感を与えることができることを見いだし本発明を完成するに至った。
【0008】
かくして、本発明は、デューテロライシン(Deuterolysin)を有効成分として含有することを特徴とする肉類の食感及び風味改良剤を提供するものである。
【0009】
以下、本発明の肉類の食感及び風味改良剤について、更に詳細に説明する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明に使用されるデューテロライシンは、麹菌が生産する耐熱性金属プロテアーゼ(EC3.4.24.39)であり(化学と生物,Vol.39,No.3,149−151,2000年)、例えば、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス・ソヤ(Aspergillus sojae)、アスペルギルス・タマリ(Aspergillus tamarii)、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス・メレウス(Aspergillus melleus)、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)、エメリセラ・ニデュランス(Emericella nidulans)、リゾープス・ミクロスポラス(Rhizopus microsporus)、ムコール・フェマリス(Mucor hiemalis)などの微生物を常法に従って培養することにより得ることができる。具体的には、例えば、公的保存機関にタイプ・カルチャーとして寄託されているアスペルギルス・オリゼ AHU 7138、アスペルギルス・ソヤ IAM 2669、アスペルギルス・タマリ IAM 2138、アスペルギルス・アワモリ ATCC 11364、アスペルギルス・ニガー IAM 3001、アスペルギルス・メレウス ATCC 16889、アスペルギルス・ニデュランス IAM 2138、エメリセラ・ニデュランス IFO 8003、リゾープス・ミクロスポラス・バー・オリゴスポラス IFO 32003、ムコール・フェマリス IFO 4565などの微生物を、例えば、小麦フスマまたは米糠等を栄養源とした固体培地、もしくは通常使用されている液体栄養培地に接種し、培養することによりデューテロライシンを得ることができる。培養物中からのデューテロライシンの採取および精製は、通常の酵素の採取および精製手段に準じて行うことができる。例えば、培養物から遠心分離、濾過などにより菌体を分離し、その培養濾液から通常の分離手段、例えば、塩析法、等電点沈殿法、溶媒抽出法によって蛋白を沈殿させたり、また限外濾過により濃縮することにより得ることができる。
【0011】
本発明では、デューテロライシンを含有する培養物そのものでも使用することができるが、共存する他のプロテアーゼを除去するため、通常汎用されているカラムクロマトグラフィーなどの適宜な分離手段を用いて精製して使用することが好ましい。また、デューテロライシンは耐熱性のプロテアーゼであるため培養液を、例えば、約75℃にて約10分以上加熱し、共存する他のプロテアーゼを失活させてデューテロライシンのみの活性を利用することもできる。
【0012】
また更に、麹菌由来の市販プロテアーゼ、例えば、スミチームMP(新日本化学工業(株)製、アスペルギルス・エスピー由来のプロテアーゼ)、プロテアーゼM(アマノエンザイム(株)製、アスペルギルス・オリゼ由来のプロテアーゼ)、プロテアーゼP(アマノエンザイム(株)製、アスペルギルス・メレウス由来のプロテアーゼ)、 プロテアーゼA(アマノエンザイム(株)製、アスペルギルス・オリゼ由来のプロテアーゼ)、ウマミザイム(アマノエンザイム(株)製、アスペルギルス・オリゼ由来のプロテアーゼ)、プロテアーゼNP−2((株)ヤクルト本社製、アスペルギルス・オリゼ由来のプロテアーゼ)、ブロチンFN(大和化成(株)製、アスペルギルス・オリゼ由来のプロテアーゼ)、PROMOD 192P(BIOCATALYSTS(株)製、カビ由来のプロテアーゼ)、オリエンターゼ ON(阪急バイオインダストリー (株)製、アスペルギルス・オリゼ由来のプロテアーゼ)、オリエンターゼ ON5(阪急バイオインダストリー (株)製、アスペルギルス・オリゼ由来のプロテアーゼ)、IP酵素(キッコーマン(株)製、 アスペルギルス・ソーヤ由来のプロテアーゼ)、AO-プロテアーゼ(キッコーマン(株)製、アスペルギルス・オリゼ由来のプロテアーゼ)、サカナーゼ(科研ファルマ(株)製、アスペルギルス・ソーヤ由来のプロテアーゼ)、フレーバーザイム(ノボノルディスクバイオインダストリー(株)製、 アスペルギルス・オリゼ由来のプロテアーゼ)、デナチーム AP(ナガセ生化学工業 (株)製、アスペルギルス・オリゼ由来のプロテアーゼ)、コクラーゼSS(三共(株)、アスペルギルス・オリゼ由来のプロテアーゼ)などのプロテアーゼを水に溶解後、例えば、約75℃にて約10分以上加熱し、共存する他のプロテアーゼを失活させてデューテロライシンのみの活性を利用することもできる。
【0013】
本発明の肉類の食感及び風味改良剤は、以上のようにして得られる酵素液をそのまま肉類の食感及び風味改良剤として用いることもできるが、比活性を上げるためにそれ自体既知の方法により濃縮、精製して使用することもできる。更に酵素液を凍結乾燥し、酵素粉末の形態として用いることもできる。凍結乾燥することにより酵素活性が長期間にわたり安定に保たれ、また幅広い利用が可能となる。また例えば、他の調味剤に混合して利用することもできる。
【0014】
本発明の肉類の食感及び風味改良剤は、種々の肉に適用することができ、例えば、牛、豚、羊などの畜肉;鶏、鴨などの鳥肉などの肉に適用することができる。肉に対する適用方法は、肉が屠殺直後から調理されるまでの間に酵素が肉に対して有効に作用する方法である限り、特に限定されないが、一般的には、肉を液状の本発明の食感及び風味改良剤に漬け込む、液状の本発明の食感及び風味改良剤を肉に注入する、粉末または液状の本発明の食感及び風味改良剤を肉に振りかける等の方法により適用することができる。本発明の肉類の食感及び風味改良剤はその本質が酵素であるので、酵素反応が充分に進行するように、酵素の至適条件下に肉と該改良剤との接触状態を一定時間保持するのが望ましい。通常、肉を本発明の改良剤にて処理後、例えば、約5℃〜約25℃の範囲内の温度で、約3〜約8の範囲内のpHで、約0.5時間〜約20時間保存するのが好都合である。
【0015】
本発明の肉類の食感及び風味改良剤の使用量は、処理する肉の種類や目的とする肉の柔らかさ、あるいは処理温度、処理時間、処理方法などにより異なるが、通常、酵素活性量として肉1.0g当たり約0.05〜約1ユニットの範囲内の量が適当である。
【0016】
なお、酵素活性は0.5%サルミン溶液(pH8.0)を基質とし、30℃、20分間反応後、TCA溶液(12.5%)を加え、その可溶化画分をニンヒドリン発色法にて測定することができる。その際、標準アミノ酸としてチロシンを用い、反応1分間に1μmolのアミノ酸(チロシン相当)を遊離する酵素量を1ユニットと定義する。
【0017】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。
【0018】
【実施例】
参考例1(デューテロライシンの調製方法:微生物から分離する方法)
麹菌(アスペルギルス・オリゼ AHU7138)を小麦フスマ培地(小麦ふすま:水=1:1)にて30℃、3日間培養し、これをシードとした。次いでこのシード5gをGPYC液体培地(Bacto Peptone 1.5%, casamino acid 0.1%, Yeast Extract 0.5%, KH2PO4 0.5%, MgSO4・7H2O 0.05%, glucose 3 %)20Lに添加し、30℃で48時間、通気、撹拌培養した。この培養液より菌体部分を遠心分離器により除去した後、ろ紙ろ過を行うことにより、培養ろ液18 kgを得た。この培養ろ液に対し80%飽和になるように(10.1Kg)硫酸アンモニウムを加え、硫安塩析を行い、遠心分離により沈殿を得た。
【0019】
この沈殿をpH5.0の20mM酢酸緩衝液に溶解後、同緩衝液に対し一晩透析を行い、650mlの粗酵素液を得た。得られた粗酵素液を予め50mMNaCl/20mM酢酸緩衝液(pH5.0)にて平衡化したセルロファインGCL−300(東ソー(株))に供し、同緩衝液によるゲルろ過クロマトグラフィーを行い、活性画分3.6Lを分取した。この活性画分を脱塩濃縮し、20mM酢酸緩衝液(pH5.0) にて平衡化したQ Shepharose (アマシャムファルマシアバイオテク(株))に供し、NaCl濃度勾配によるイオン交換クロマトグラフィーを行い、活性画分1.5Lを分取し、蒸留水に対し透析を行った後、凍結乾燥し、SDS−PAGEにて均一な精製デューテロライシン280ngを得た。
(酵素活性およびデューテロライシンであることの確認)
酵素活性は前述のようにサルミンを基質とした活性測定法にて測定できる。すなわち、サルミン(PROTAMINE SULFATE Grade X: シグマアルドリッチジャパン(株))をpH6.0の0.1Mリン酸緩衝液にて0.5%(W/W)になるように溶解し、基質溶液とした。この基質溶液1.0mlを試験管に分注し30℃にプレインキュベートした。この基質溶液に適度に希釈した酵素溶液(30℃にプレインキュベート)を1.0ml添加し、30℃で20分振とう反応させた。このとき盲検として酵素未添加の試験管も用意し、インキュベートした。反応は12.5%のTCA溶液を2.0ml添加することで停止した。盲検に対してもTCA溶液を加えた後、同酵素溶液を加えた。反応液および盲検液を10分間、30℃にて静置後、東洋ろ紙No.2によりろ過し、ろ液を得た。それぞれのろ液0.2ml、および100μMチロシン溶液、チロシンブランク溶液0.2mlをそれぞれ試験管に分注した。これらそれぞれの試験管に0.5Mクエン酸緩衝液4.0mlおよびニンヒドリン試薬溶液(ニンヒドリン試液−セット:和光純薬工業(株))2.0mlを加え撹拌後、100℃で15分間加熱し発色させた。加熱後、氷冷し直ちに570nmの吸光度を測定した。活性は以下の式にて算出した。
【0020】
活性(u/ml)=(試料の吸光度−盲検の吸光度)/(チロシンの吸光度−ブランクの吸光度)× 希釈倍率 /50
参考例1で得られた酵素画分を90℃で5分加熱し、上記の方法で酵素活性を測定したところ、80%以上の活性が残存しており、本酵素が耐熱性酵素であることが確認された。また、本酵素はEDTA等のキレート剤によりその活性が阻害されることから、本酵素が金属プロテアーゼであることが確認された。参考例1で得られた酵素のSDS−PAGEより分子質量は19.8kDaであった。さらに、本酵素のN末端アミノ酸配列を測定したところ、TEVTDCKGDAであった。これらの結果より、参考例1で得られた酵素はデューテロライシンであることが確認された。
参考例2(デューテロライシンの調製方法:市販プロテアーゼから調製する方法)
スミチームMP原末(新日本化学工業(株)製)100gに対し、10倍容量の水を加え溶解した。この酵素溶液を70℃で15分加熱し、遠心分離を行い上清970gを得た。この上清に対し80%飽和になるように硫酸アンモニウム(544g)を加え、硫安塩析を行い、遠心分離により沈殿84gを得た。この沈殿をpH5.0の20mM酢酸緩衝液に溶解後、同緩衝液に対し一晩透析を行い粗酵素液150mlを得た。得られた透析液を予め50mMNaCl/20mM酢酸緩衝液(pH5.0)にて平衡化したセルロファインGCL−300 (東ソー(株))に供し、同緩衝液によるゲルろ過クロマトグラフィーを行い、活性画分を分取した。この活性画分230mlを50mlまで脱塩濃縮し、20mM酢酸緩衝液(pH5.0)にて平衡化したQ Shepharose (アマシャムファルマシアバイオテク(株))に供し、NaCl濃度勾配によるイオン交換クロマトグラフィーを行い、活性画分を分取し、SDS−PAGEにて均一な精製デューテロライシン3.85mgを得た。
(酵素活性およびデューテロライシンであることの確認)
酵素活性は参考例1と同様にして測定した。また、参考例2で得られた酵素も前記と同様な確認試験によりデューテロライシンであることが確認された。
【0021】
実施例1
牛もも肉スライス(厚さ約5mm)、豚もも肉スライス(厚さ約7mm)および鶏ささみスライス(厚さ約1cm)を約15〜約25gを皿に入れ、これに参考例2で得られたデューテロライシンまたはパパイン(長瀬産業(株)製パパイン末)を各1ユニット/mlの濃度に調整した酵素水溶液を肉重量の1/10量塗布した。コントロールとして酵素水溶液の代わりに同量の水を塗布し、それぞれ20℃にて1、3、6、24時間反応させた。反応後の肉は、220℃のホットプレートで、肉の中まで完全に火が通るように、牛肉では、片面20秒、裏面30秒、豚肉および鶏肉では、表90秒、裏60秒で焼成し、直ちにレオメーターで最大荷重を測定した。数値はコントロールを100とした相対値で求めた。また、同時に専門パネラーによる官能評価も行った。
(レオメーターによる軟化度の測定)
レオメーター(不動工業 RT−2002J;侵入速度:50mm/min;プランジャー:3mm平板)により肉の軟化度を、その最大荷重の相対比(コントロール品の最大荷重を100とする)で求めた。
(1)牛肉
肉片1枚につき2カ所でレオメーターの測定を行った。4点測定を行い最も高い値と低い値を除去し、中心2点の平均を測定値とした。その結果を表1および図1に示す。この結果、デューテロライシンにて処理した肉は経時的に徐々に軟化するが、6時間より最大荷重の低下は緩やかになる。これに対して、パパイン処理の肉は3時間までに急激に最大荷重が下がり、24時間では肉中の水分の離水が起った。
(2)豚肉
牛肉と同様にレオメーターの測定を行った。その結果を表2および図2に示す。この結果、デューテロライシンにて処理した肉は1時間で最大荷重がやや下がったものの24時間の反応でも最大荷重の著しい低下は見られなかった。一方、パパイン処理の肉は6時間までは最大荷重が経時的に低下し、牛肉と同様に24時間で過消化により離水を起こした。
(3)鶏肉
牛肉、豚肉と同様にレオメーターの測定を行った。その結果を表3および図3に示す。この結果、デューテロライシンにて処理した肉は6時間の処理で約75%に最大荷重が低下し、さらに24時間の処理でも約70%の最大荷重が維持されていた。一方、パパイン処理の肉は3時間処理で最大荷重が約63%まで低下し離水を起こした。
【0022】
【表1】
Figure 0004101485
【0023】
【表2】
Figure 0004101485
【0024】
【表3】
Figure 0004101485
【0025】
(官能評価)
(1)牛肉
デューテロライシン処理では、1時間処理ではあまり変化を感じないが、3時間処理で適度に柔らかくなり24時間処理においても適度の柔らかさを保っていた。風味については、熟成感を伴った旨味、コク味があり良好な評価であった。一方、パパイン処理では1時間の処理でも柔らか過ぎ、6時間処理では歯ごたえがなくなり離水が始まった。風味としては、パパイン由来の臭みが強く、苦味も強く感じられた。デューテロライシン処理では3〜6時間程度の処理が適当と思われる。また、パパイン処理では活性を落とし、処理時間をコントロールするのが難しいと考えられる。
(2)豚肉
デューテロライシン処理では、牛肉の場合と比較して軟化する傾向は弱いが、24時間処理においても適度な柔らかさを保っていた。風味については、熟成感を伴った旨味、コク味があり良好な評価であった。一方、パパイン処理では3時間処理で適度な柔らかさになるが、6時間処理では離水が始まった。風味としては、豚肉特有の臭みを軽減するが、やや苦味を感じた。
(3)鶏肉
デューテロライシン処理では、1時間処理で適度な柔らかさとなり、ささみの繊維は残していた。6時間処理ではさらに柔らかくなったが、ささみの繊維は維持しているため鶏肉特有の歯ごたえは残った。風味については、熟成感を伴った旨味、コク味があり良好な評価であった。一方、パパイン処理では1時間の処理でも過消化が起こり、柔らか過ぎてささみの繊維が全くなくなった。風味としては、パパイン由来の臭みが強く、苦味も強く感じられた。
【0026】
【発明の効果】
上記実施例から明らかなとおり、本発明の肉類の食感及び風味改良剤は、肉類に対して接触処理を行うことにより、焼く、炒める、揚げるなどの加熱調理を行っても、柔らかい肉質で、肉汁に富みかつ良好な風味と食感を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】牛肉の酵素処理による軟化度の経時変化を示すグラフである。
【図2】豚肉の酵素処理による軟化度の経時変化を示すグラフである。
【図3】鶏肉の酵素処理による軟化度の経時変化を示すグラフである。

Claims (1)

  1. デューテロライシン(Deuterolysin)を有効成分として含有することを特徴とする肉類の食感及び風味改良剤。
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