JPH0856664A - プロテアーゼ及び肉軟化剤 - Google Patents

プロテアーゼ及び肉軟化剤

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JPH0856664A
JPH0856664A JP6216660A JP21666094A JPH0856664A JP H0856664 A JPH0856664 A JP H0856664A JP 6216660 A JP6216660 A JP 6216660A JP 21666094 A JP21666094 A JP 21666094A JP H0856664 A JPH0856664 A JP H0856664A
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softening
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protease
beef
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JP6216660A
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Yoko Sakurai
葉子 桜井
Shunichi Akiba
俊一 秋葉
Kazuichi Kuroda
和一 黒田
Hirobumi Takigawa
博文 滝川
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Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 輸入牛肉などの筋の多い硬い肉を、酵素量、
処理時間等の特別な制御を行わなくとも適度な柔らかさ
に軟化することができる金属プロテアーゼ、及び該プロ
テアーゼを含有した肉軟化剤を提供する。 【構成】 牛もも肉10g当り酵素単位で300ユニッ
トの割合にて接触させた状態で20℃に保存した場合に
おいて、24時間経過後は肉の軟化を進行させることの
ない金属プロテアーゼ。該金属プロテーアーゼを含む肉
軟化剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、食肉の軟化に好適な金
属プロテアーゼ及び該プロテアーゼを含有する肉軟化剤
に関する。
【0002】
【従来の技術】牛肉の輸入自由化に伴い、豊富に安価で
牛肉が購入できるようになった。輸入牛肉は国産牛に比
べて脂肪が少なく健康に良いが一般に肉質が硬いという
欠点がある。我が国が比較的柔らかな肉を好むことや、
高齢化社会を迎えることを考えると肉を適度な柔らかさ
にする肉の軟化剤の開発が望まれる。
【0003】肉の軟化剤としてタンパク質分解酵素を用
いることは従来から行われている。最も一般的に用いら
れる肉の軟化剤としてはパパイア由来のパパインが挙げ
られるが、軟化制御(すなわち、軟化の進行を適当なレ
ベルで抑制すること)が難しく、添加量と処理時間に制
限されるとの問題がある。実際、パパインを用いて肉の
軟化実験を行ったところ、その添加量を肉の重量の0.
1%という極小量に抑えた場合でも室温で1時間以内
に、4℃に置いても24時間で過剰軟化を示し、食する
に耐えない肉となった。これは植物由来のタンパク質分
解酵素の基質特異性が低いためであり、他のタンパク質
分解酵素であるパイナップル由来のブロメリンやキィウ
イ由来のアクチニジンも同じような軟化特性を示す。
【0004】一方、基質特異性の高いエラスターゼを用
いて肉の中の硬蛋白を特異的に分解し、軟化する方法
(特開平4−197156号、特開平5ー276899
号各公報)も提案されているが、上記のようなタンパク
質分解酵素に比べて製造、調製が困難なことや、効果を
発現するためにかなりの酵素量、処理時間を必要とし、
また酵素量、処理時間を増やした場合でも軟化が不十分
であることも指摘されている(特開平6−169729
号公報)。実際に試薬のエラスターゼで肉を処理してみ
ると、僅かに軟化を示すものの効果は不十分であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、輸入
牛肉などの筋の多い硬い肉を、酵素量、処理時間等の特
別な制御を行わなくとも適度な柔らかさに軟化すること
ができる金属プロテアーゼ、及び該プロテアーゼを含有
した肉軟化剤を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】肉の味噌漬けは肉をおい
しく貯蔵し、軟らかく食べる方法として良く知られてい
る。本発明者は、味噌中のプロテアーゼに着目し、これ
が、肉の軟化の一端を担っていると考え、肉の味噌漬け
に用いる各種の味噌にプロテアーゼ生産菌を求めたとこ
ろ、肉を適度に軟化し、酵素量、処理時間を増やしても
パパインのような過剰軟化を示さない新規なプロテアー
ゼを生産する細菌を見出し、本発明を完成したものであ
る。
【0007】本発明は、牛もも肉10g当り酵素単位で
300ユニットの割合にて接触させた状態で20℃に保
存した場合において、24時間経過後は肉の軟化を進行
させることのない金属プロテアーゼにある。
【0008】また本発明は、上記のような金属プロテア
ーゼを含む肉軟化剤にある。
【0009】本発明は、以下の態様であることが好まし
い。 (1)金属プロテアーゼが、5mm厚の牛もも肉を用い
た場合に、その軟化終了後の肉の切断応力値が、軟化前
の肉の切断応力値の65%〜25%(特に50%〜30
%)の範囲にあるように牛もも肉を軟化させるものであ
る。 (2)金属プロテアーゼが、15mm厚の牛もも肉を用
いた場合に、その軟化終了後の肉の切断応力値が、軟化
前の肉の切断応力値の70%〜30%(更に好ましくは
70%〜40%、特に60%〜40%)の範囲にあるよ
うに牛もも肉を軟化させるものである。
【0010】以下に、本発明の金属プロテアーゼおよび
これを含む肉軟化剤について説明する。本発明の金属プ
ロテアーゼは、上記のように肉を適度に軟化し、酵素
量、処理(作用)時間を増やしても従来のプロテアーゼ
のような過剰軟化を示さない特徴を有するプロテアーゼ
であるが、このような特性を示すプロテアーゼであれば
特に制限はない。本発明で好ましく用い得る金属プロテ
アーゼとしては、例えば、バチルス属に属する菌株(K
SM−PF1、KSM−PF)の培養物から得られるプ
ロテアーゼを挙げることができる。なお、上記のような
特性を有するプロテアーゼを生産する微生物は、バチル
ス・エスピー(Bacillus sp.)KSM−PF1、KSM
−PF2とそれぞれ命名され、工業技術院微生物工業技
術研究所に寄託番号、微工研菌寄第14408号、およ
び第14409号として寄託されており、菌株は、それ
ぞれ以下に示すような菌学的性質を有する。
【0011】 ──────────────────────────────────── 菌学的性質 KSM−PF1 KSM−PF2 ──────────────────────────────────── (A)形態的性質 a)細胞の形状 捍菌 捍菌 細胞の大きさ 0.6-0.8μm 0.8-1.0 μm ×1.2-2.0 μm ×1.2-2.5 μm b)多形成 なし なし c)運動性 あり(周鞭毛を有する) あり(周鞭毛を有する) d)胞子 0.8-1.0μm 1.0-1.2μm ×1.2-1.6 μm ×1.4-2.0 μm 楕円形,中央及び準端 楕円形,中央及び準端 e)グラム染色 陽性 陽性 f)抗酸性 陰性 陰性 g)肉汁寒天平板上 円形、表面円滑 円形、表面にしわ有り での発育形態 h)肉汁寒天斜面上 不規則な葉状、表面円滑 不規則な葉状、表面に での生育 しわ有り i)肉汁液体培養 生育良好、均一に混濁 生育良好、菌膜形成 j)ゼラチン穿刺培養 生育良好で液化する 生育良好で液化する k)リトマスミルク ペプトン化、凝固あり ペプトン化、凝固無し ────────────────────────────────────
【0012】 ──────────────────────────────────── 菌学的性質 KSM−PF1 KSM−PF2 ──────────────────────────────────── (B)生理的性質 a)硝酸塩の還元 陽性 陽性 b)脱膣反応 陰性 陰性 c)MRテスト 陰性 陰性 d)VPテスト 陽性 陽性 e)インドール生成 陰性 陰性 f)硫化水素生成 陰性 陰性 g)澱粉加水分解 陰性 陽性 h)クエン酸の利用 陽性 陽性 i)無機窒素 硝酸塩及びアンモ 硝酸塩及びアンモニ 源の利用 ニウム塩を利用する ウム塩を利用する j)色素の生成 陰性 陰性 k)ウレアーゼ 陰性 陰性 l)オキシダーゼ 陽性 陽性 m)カタラーゼ 陽性 陽性 n)生育温度範囲 15℃〜50℃ 17℃〜55℃ o)生育pH範囲 pH5. 0〜10. 0 pH5. 5〜9. 5 p)酸素に対する態度 好気的 好気的 q)OFテスト F型 O型 r)塩化ナトリウムに 7. 5% 10% 対する耐性 ────────────────────────────────────
【0013】 s)糖からの酸生成及びガス生成 ──────────────────────────────────── 糖の種類 KSM−PF1 KSM−PF2 ──────────────────────────────────── D−リボース + + L−アラビノース + + D−キシロース + + D−フルクトース + + D−グルコース + + D−マンノース + + D−ガラクトース + + マルトース + + シュークロース + + ラクトース + + トレハロース + + 澱粉 + − ソルビット + + イノシット + + マンニット + + グリセリン + + デキストリン + − ラフィノース + − ──────────────────────────────────── 上記糖類のすべてからのガス生成は認められない。
【0014】以上の菌学的性質について「バージェーズ
マニュアル オブ システマティック バクテリオロ
ジー(Williams & Wilkins社、1986年)」(Berg
ey'sManual of Systematic Bacteriology )の記載に準
じ検討したところ、KSM−PF1はバチルス・プミル
ス(Bacillus pumilus)に、KSM−PF2はバチルス
・ズブチリス(Batillus subutilis)に属させることが
妥当であるとの結論に達した。しかし、KSM−PF1
は10℃で生育できない点及び硝酸塩を還元する点でバ
チルス・プミルスと異なり、KSM−PF2は55℃で
生育できる点で、バチルス・ズブチリスと異なるなどの
相違点がある。また他の公知の菌株とも異なる。
【0015】上記の菌株を用いて本発明の金属プロテア
ーゼを得るためには前記菌体を適当な培地に接種し、常
法に従って培養すればよい。使用される培地としては、
通常の微生物の培地に用いられ当該菌体が生育可能なも
のであれば何れをも使用することができるが、該培地中
には資化し得る炭素及び窒素源を適当量含有せしめてお
くことが好ましい。この炭素源及び窒素源については特
に制限はないが、その例として炭素源はKSM−PF1
及びKSM−PF2共に資化することのできるアラビノ
ース、キシロース、グルコース、グリセリン、廃糖蜜、
転化糖など、また、資化しうる有機酸、例えば酢酸など
が挙げられる。窒素源としては、例えば、コーングルテ
ンミール、大豆粉、コーンスチープリカー、カザミノ
酸、酵母エキス、ファーマメディア、イワシミール、肉
エキス、ペプトン、ハイプロ、アジパワー、コーンミー
ル、イソビーンミール、コーヒー粕、綿実油粕、カルチ
ベーター、アミフレックス及びアジプロン、ゼスト、ア
ジックス等が挙げられる。また、りん酸、Mg2+、Ca
2+、Mn2+、Zn2+、Co2+、Na2+、K+ 等の無機塩
や、必要であれば無機、有機微量栄養源を培地中に適宜
添加することもできる。
【0016】培養物中からの目的物質である金属プロテ
アーゼの採取及び精製は、一般の酵素の採取及び精製手
段に準じて行うことができる。すなわち、培養物を遠
心、又はろ過などによって菌体を分離し、その培養ろ液
から通常の分離手段、例えば、塩析法、等電点沈澱法、
溶媒沈澱法(メタノール、エタノール、イソプロピルア
ルコール、アセトン等)によって蛋白を沈澱させたり、
また限外濾過により濃縮することにより得ることができ
る。
【0017】なお、上記菌株から得られるプロテアーゼ
(以下、菌株KSM−PF1から得られるプロテアーゼ
を単に、PF−1と称し、また菌株KSM−PF2から
得られるプロテアーゼを単に、PF−2と称する場合が
ある)は、金属プロテアーゼの阻害剤であるエチレンジ
アミン四酢酸(EDTA)で活性が阻害され、セリンプ
ロテアーゼの阻害剤であるジイソプロピルフルオロりん
酸(DFP)、フェニルメタンスルホニルフルオリド
(PMSF)、及びシステインプロテアーゼの阻害剤で
あるモノヨード酢酸、ジチオトレイトール、ロイペプチ
ン、またアスパラギン酸プロテアーゼの阻害剤であるペ
プスタチンで阻害されなかったことから、共に金属プロ
テアーゼであることが確認された。
【0018】本発明の金属プロテアーゼは、牛もも肉1
0g当り酵素単位で300ユニットの割合にて接触させ
た状態で20℃に保存した場合において、24時間経過
後は肉の軟化を進行させることのない酵素である。すな
わち、本発明の金属プロテアーゼは、酵素量や処理時間
(肉に接触させている時間)を増やしても肉をある一定
の柔らかさの範囲に留め、その後の経時的な軟化作用を
殆ど示さない特徴を有するものである。そして本発明に
おいて、肉の軟化の終了点が、軟化が開始後24時間以
内(更に好ましくは10時間以内)であるような金属プ
ロテアーゼであることが好ましい。例えば、上記プロテ
アーゼ(PF−2)の場合には、肉の軟化の終了点は軟
化が開始後6〜7時間以内である。またプロテアーゼ
(PF−1)の場合には、肉の軟化の終了点は軟化が開
始後15〜20時間以内である。
【0019】本発明の金属プロテアーゼは、これを用い
て5mm厚の牛もも肉を軟化させる場合に、軟化終了後
の肉の切断応力値が、軟化前の肉(すなわち、本発明の
金属プロテアーゼで処理しない肉)の切断応力値の70
%〜20%(更に好ましくは65%〜25%、特に50
%〜30%)の範囲にあるように軟化させるものである
ことが好ましい。但し、本明細書において、切断応力値
は、20℃で酵素処理後、牛もも肉の両面を200℃で
焼成し(片側1分、そして返してその片側45秒)、そ
の後、ミートシェアー(ワーナーブラッツラー3000
型、ワーナーブラッツラー社製)により測定した値であ
る。
【0020】また、本発明の金属プロテアーゼは、これ
を用いて15mm厚の牛もも肉を軟化させる場合に、軟
化終了後の肉の切断応力値が、軟化前の肉(すなわち、
本発明の金属プロテアーゼで処理しない肉)の切断応力
値の70%〜30%(更に好ましくは70%〜40%、
特に60%〜40%)の範囲にあるように軟化させるも
のであることも好ましい。この場合の切断応力値も上記
の5mm厚の牛もも肉を用いた場合と同様な条件で測定
した値である。
【0021】本発明の肉軟化剤は、以上のようにして得
られる酵素液をそのまま肉軟化剤として用いることもで
きるが、比活性を上げるために公知の方法により濃縮、
精製して用いることもできる。更に酵素液を凍結乾燥
し、酵素粉末として用いることもできる。凍結乾燥する
ことで酵素活性が長期間に渡り安定に保たれ、また幅広
い利用が可能となる。例えば、他の調味剤に混合して利
用することもできる。
【0022】本発明の肉軟化剤は、種々の肉に適用でき
る。例えば、牛、豚、鶏肉などの鳥獣肉、あるいは魚肉
などを挙げることができ、特に、スジの多い硬い肉、例
えば、もも、肩などの比較的低品質の肉に有効である。
【0023】本発明の肉軟化剤の使用量は、酵素の種
類、添加量によって異なるが、肉1gに対して酵素換算
で通常3〜30ユニット、好ましくは、5〜10ユニッ
トである。特に、本発明で好ましく用いられる前記プロ
テアーゼ(PF−1)を含む肉軟化剤の場合は、その使
用量は、肉1gに対して酵素換算で通常3〜30ユニッ
ト、好ましくは、10〜30ユニットである。また前記
プロテアーゼ(PF−2)を含む肉軟化剤の場合は、そ
の使用量は、肉1gに対して酵素換算で通常3〜30ユ
ニット、好ましくは、3〜10ユニットである。
【0024】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明を更に具体的
に説明する。 [実施例1] (プロテアーゼPF−1生産菌KSM−PF1の分離)
市販の豚肉の味噌漬けからその味噌の部分を小量かき取
り、滅菌水に懸濁した。懸濁液を適当に希釈し、スキム
ミルク寒天培地へ接種し、30℃で1〜2日間培養し
た。上記寒天培地は市販のSCD寒天培地(ダイゴ)に
スキムミルクを0.5%添加したものである。ハローが
生じたコロニーについて常法に従い、均一のプロテアー
ゼ生産菌バチルス・エスピー(KSM−PF1)を取得
した。 (プロテアーゼPF−1の生産)上記で得られたバチル
ス・エスピー(KSM−PF1)をSCD寒天培地(ダ
イゴ)に接種し、5リットルのジャーファーメンター
(培地3リットル)を用いて通気撹拌培養(30℃、2
0時間)した後、培養液を遠心分離することによって培
養上清2.8リットル(1.2U(ユニット、以下同
じ)/ml)を得た。更にMF膜(0.22ミクロン)
による除菌、UF膜による脱塩濃縮後、凍結乾燥して酵
素粉末6.1gを得た。
【0025】[実施例2] (プロテアーゼ生産菌KSM−PF2の分離)および (プロテアーゼPF−2の生産)上記実施例1におい
て、市販の豚肉の味噌漬けの代わりに、市販の牛肉の味
噌漬けを用いた以外は、実施例1と同様にしてプロテア
ーゼ生産菌バチルス・エスピー(KSM−PF2)を取
得した。また上記実施例1と同様にしてプロテアーゼP
F−2の酵素粉末を得た。
【0026】なお、上記プロテアーゼの蛋白分解活性は
アゾカゼインを基質として行った。すなわち、0. 1M
りん酸バッファー(pH7. 0)0. 8mlに適当に希
釈した酵素液0. 2mlを加え、40℃にてプレインキ
ュベートした後、2%アゾカゼイン溶液1mlを加え反
応を開始した。20分反応後、5%TCA溶液2mlを
加えることで反応を停止した。反応液は濾紙でろ過し、
440nmの吸光度を測定した。酵素量1Uは1μmo
l相当のアゾ色素を1分間でTCA可溶部に生産する量
とした。
【0027】(PF−1の精製および諸性質)PF−1
の酵素粉末を蒸留水に溶解した粗酵素液(540U)を
10mMりん酸バッファー(pH6. 5)で平衡化した
DEAE−Toyopearlカラムにかけ、0〜0.
4Mまでの塩化ナトリウムを含む同緩衝液で溶出させ
た。活性画分は限外濾過膜で濃縮し、20mMトリスバ
ッファー(pH8. 0)で平衡化したSephadex
−G75カラムでゲル濾過クロマトグラフィーにかけ
た。ここまでで得られた活性画分(192U)を用いて
以下の方法でPF−1の諸性質を調べた。
【0028】(PF−2の精製および諸性質)PF−2
の酵素粉末を蒸留水に溶解した粗酵素液(408U)を
10mMりん酸バッファー(pH7. 5)で平衡化した
DEAE−Toyopearlカラムにかけ、同バッフ
ァーにて洗浄することで本条件で非吸着である活性画分
を回収した(351U)。活性画分は限外濾過膜で濃縮
し、同バッファーで平衡化したSephadex−G7
5カラムでゲル濾過クロマトグラフィーに202U相当
量かけた。ここまでで得られた活性画分(147U)を
用いて以下の方法でPF−2の諸性質を調べた。
【0029】(1)分子量はドデシル硫酸ナトリウム
(SDS)−ポリアクリルアミドゲル電気泳動により調
べた。 (2)等電点は、等電点電気泳動法により調べた。ポリ
アクリルアミドゲル用の両性坦体にはBIOーRAD社
製のバイオライトを用いた。 (3)至適温度は、0. 1Mのりん酸バッファーpH
7. 0に0. 2UのPF−1及びPF−2を加え、20
℃〜70℃の範囲で反応を行った。最も高い活性を示す
温度を至適温度とした。 (4)至適pHは、0. 1Mの様々なpHのバッファー
に0. 2UのPF−1及びPF−2を加え、40℃で反
応を行った。pH4. 0〜pH6. 0はクエン酸緩衝
液、pH6. 0〜pH8. 0はりん酸緩衝液、pH7.
5〜pH9. 0はトリス緩衝液、pH9. 0〜pH1
0. 0はグリシン−NaOH緩衝液を使用した。最も高
い活性を示すpHを至適pHとした。 (5)安定温度は至適温度と同じ条件で様々な温度に2
0分置いた後、基質を加え、40℃での残存活性を処理
前の活性と比較した。80%以上の活性が残っている温
度を安定温度とした。
【0030】(6)安定pHは至適pHと同じ条件でバ
ッファーに酵素を加え、30℃で20分置いた後、pH
7. 0のりん酸バッファーと基質を加え、残存活性を処
理前の活性と比較した。80%以上の活性が残っている
pHを安定pHとした。 (7)阻害剤及び金属の影響は、以下の表に記載の阻害
剤及び金属塩を記載の終濃度となるように加えた0. 1
Mトリスバファー(pH7. 0)に、0. 2UのPF1
−及びPF−2をそれぞれ加え、30℃にて20分処理
した後のそれぞれの残存活性を、阻害剤、金属塩を加え
ずに同様に処理したそれぞれのコントロールと比較し
た。コントロールを100とした時の相対活性を調べ、
著しく低下しているものについて阻害効果ありとした。
【0031】 ──────────────────────────────────── 阻害剤及び金属塩 PF−1 PF−2 ──────────────────────────────────── DFP 5mM 125% 5mM 100% PMSF 5mM 124% 5mM 80% EDTA 5mM 45% 5mM 30% DTT 5mM 70% 5mM 81% ペプスタチン 5mM 108% 5mM 100% ロイペプシン 5mM 82% 5mM 91% モノヨード酢酸 5mM 105% 5mM 100% CaCl2 10mM 104% 10mM 76% HgCl2 10mM 40% 10mM 62% FeCl2 − − 10mM 28% FeCl3 10mM 98% 10mM 9% CoCl2 10mM 103% 10mM 78% CuCl2 10mM 37% 10mM 20% ZnCl2 10mM 88% 10mM 58% NiCl2 10mM 92% 10mM 28% MgCl2 10mM 107% 10mM 74% MnCl2 10mM 103% 10mM 62% ────────────────────────────────────
【0032】以上の測定結果に基づき、PF−1および
PF−2の特徴を以下に示す。 ──────────────────────────────────── PF−1 PF−2 ──────────────────────────────────── (1)分子量 55,000 30,000 (2)等電点 pI6. 5 pI9. 0付近 (3)至適温度 40℃ 50℃ (4)至適pH pH7. 7 pH6. 5〜7. 5 (5)安定温度 40℃以下 30℃以下 (6)安定pH pH6. 0〜8. 0 pH6. 5〜9. 5 (7)阻害剤 EDTA、Hg2+、 EDTA、Cu2+、Fe2+、 Cu2+ Ni2+ ──────────────────────────────────── 上記特徴から、キレート剤であるEDTAで活性が阻害
されること、至適pHが中性であることから、PF−1
およびPF−2は共に中性金属プロテアーゼであること
が確認された。
【0033】[実施例3] (肉軟化試験)上記で得たPF−1及びPF−2の酵素
粉末を用いて、以下のような肉軟化試験を行った。肉
は、オーストラリア産輸入牛肉で、低品質のもも肉(1
00g)を用いた。肉をミートスライサーにて5mm厚
にスライスし、目だった筋を除き、20g程度に成形し
た。成形した肉に酵素粉末をまんべんなく振りかけ、ラ
ップで覆って一定の時間室温(20℃)にて放置した。
その後200℃のホットプレートにて片面1分、返して
45秒焼成し、3cm幅の帯状にカットしてミートシェ
アー(ワーナーブラッツラー3000型、ワーナーブラ
ッツラー社製)にて切断応力(SFV)を測定した。ま
た、比較酵素としてパパイン粉末(天野(株)製)とエ
ラスターゼ粉末(市販試薬(Sigma(株)製))を
用いて、上記と同様に肉の軟化試験を行った。結果を図
1に示す。
【0034】図1に示される結果から明らかなように、
本発明に従うPF−1酵素粉末を用いた場合(10gの
肉当たり100Uの酵素量で処理した場合)には、数時
間で適度な軟化効果(切断応力(SFV)値が1〜2k
gf/cm2 :酵素処理しない肉の切断応力値の31%
〜63%に相当)を示し、24時間までこの状態を保っ
ている。また本発明に従うPF−2酵素粉末を用いた場
合(10gの肉当たり45Uの酵素量で処理した場合)
にも、30分以内で適度な軟化効果を示し、その後、2
4時間までその状態を維持している。一方、比較酵素で
あるパパイン粉末を用いた場合(10gの肉当たり10
U、及び1Uの酵素量で処理した場合)には、いずれの
場合にも数時間で過剰軟化が認められる。またエラスタ
ーゼを用いた場合(試薬表示に基づき、10gの肉当た
り、エラスチン分解活性で250Uの酵素量で処理した
場合)には、24時間まで若干の軟化効果はあるものの
適度な軟化には至っていない。
【0035】[実施例4] (肉軟化試験)上記PF−1及びPF−2の酵素粉末を
用いて、上記実施例3と同様に肉軟化試験を行った。上
記実施例3で用いた肉と同様の肉をミートスライサーに
て筋繊維に垂直に15mm厚にスライスした。スライス
肉のなるべく均一な部分を30g程度の棒状に成形し、
これに上記酵素粉末をまんべんなく振りかけ、ラップで
覆って一定時間室温(20℃)にて放置した。その後、
200℃のホットプレートにて片面3分づつ焼成し、2
cm幅の帯状にカットして上記と同様に切断応力を測定
した。また実施例3と同様に比較酵素としてパパイン粉
末(天野(株)製)とエラスターゼ粉末(市販試薬(S
igma(株)製)を用いて、上記と同様に肉の軟化試
験を行った。結果を図2に示す。
【0036】図2に示されるように、実施例3の結果
(図1)と同様な結果を得ることができる。すなわち、
本発明に従うPF−1酵素粉末を用いた場合(10gの
肉当たり100Uの酵素量で処理した場合)には、数時
間で適度な軟化効果(切断応力(SFV)値が2.75
〜3.5kgf/cm2 :酵素処理しない肉の切断応力
値の50%〜64%に相当)を示し、24時間までこの
状態を保っている。また本発明に従うPF−2酵素粉末
を用いた場合(10gの肉当たり45Uの酵素量で処理
した場合)にも、30分以内で適度な軟化効果を示し、
その後、24時間までその状態を維持している。一方、
比較酵素であるパパイン粉末を用いた場合(10gの肉
当たり10U、及び1Uの酵素量で処理した場合)に
は、いずれの場合にも数時間で過剰軟化が認められる。
またエラスターゼを用いた場合(試薬表示に基づき、1
0gの肉当たり、エラスチン分解活性で250Uの酵素
量で処理した場合)には、24時間まで若干の軟化効果
はあるものの適度な軟化には至っていない。
【0037】以上の結果から、本発明に従うプロテアー
ゼ(PF−1及びPF−2)は、肉厚5mm、15mm
のいづれの場合でも数時間で適正軟化を示し、24時間
まで過剰軟化は認められないことがわかる。またPF−
2はPF−1より少ない酵素量でより早く(1時間以
内)で適正軟化を示すこともわかる。一方、パパインは
酵素量が多いと数分〜数十分で過剰軟化を示し、また酵
素量を減らしても適正軟化を示す時間が長くはなるが、
やはり数時間で過剰軟化を示し、またエラスターゼは適
度な軟化に至る効果は認められないことが明らかであ
る。
【0038】
【発明の効果】本発明の金属プロテアーゼは、比較的短
時間で肉を軟化するが、従来の酵素のように過剰軟化に
は至らず、適度な軟化に留め、またその状態を維持す
る。このため、添加量や処理時間に比較的制限されるこ
となく使用できるので、非常に使用し易い酵素というこ
とができる。特に肉の軟化剤としての利用が有利であ
り、この酵素で処理した肉は、非常に食べ易くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、5mm厚の肉を種々のプロテアーゼで
処理し、焼成した後の肉の切断応力を示すグラフであ
る。
【図2】図2は、15mm厚の肉を種々のプロテアーゼ
で処理し、焼成した後の肉の切断応力を示すグラフであ
る。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 牛もも肉10g当り酵素単位で300ユ
    ニットの割合にて接触させた状態で20℃に保存した場
    合において、24時間経過後は肉の軟化を進行させるこ
    とのない金属プロテアーゼ。
  2. 【請求項2】 牛もも肉10g当り酵素単位で300ユ
    ニットの割合にて接触させた状態で20℃に保存した場
    合において、その肉を軟化させ、かつその軟化の終了点
    が軟化開始後24時間以内である請求項1に記載の金属
    プロテアーゼ。
  3. 【請求項3】 軟化終了後の肉の切断応力値が、軟化前
    の肉の切断応力値の70%〜20%の範囲にあるように
    牛もも肉を軟化させる請求項1に記載の金属プロテアー
    ゼ。
  4. 【請求項4】 軟化の終了点が軟化開始後10時間以内
    にある請求項2に記載の金属プロテアーゼ。
  5. 【請求項5】 バチルス属細菌により生産されたもので
    ある請求項1〜4のいずれかの項に記載の金属プロテア
    ーゼ。
  6. 【請求項6】 バチルス属に属する菌株KSM−PF1
    又はKSM−PF2の培養上清より分離したものである
    請求項1〜5のいずれかの項に記載の金属プロテアー
    ゼ。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかの項に記載の金
    属プロテアーゼを含む肉軟化剤。
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