JP2003028163A - 玉軸受用保持器 - Google Patents

玉軸受用保持器

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JP2003028163A JP2001212383A JP2001212383A JP2003028163A JP 2003028163 A JP2003028163 A JP 2003028163A JP 2001212383 A JP2001212383 A JP 2001212383A JP 2001212383 A JP2001212383 A JP 2001212383A JP 2003028163 A JP2003028163 A JP 2003028163A
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卓也 山本
Shigenori Hoya
茂則 保谷
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ポケット部を従来のものより小ならしめ、それ
でいて保持器の剛性が損なわれることがなく、また、ボ
ールに対するポケットの対接触面積を小ならしめる。 【解決手段】環状を呈する保持器本体２にボール支持用
の多数のポケット３を保持器本体の円周方向に有し、各
ポケットは本体の一方の外縁に形成した多少弾性を有す
る相対峙する突部４、４間によって入口部５が形成され
る玉軸受用の保持器であって、各ポケットは、前記入口
部に続く左右の略上半部分３ａの内周面の溝がポケット
の周方向及び幅方向においてボールよりもわずかに大な
る曲率の曲面を呈し、この上半部分に続く下半部分３ｂ
は幅方向においては前記上半部分と同様に曲面をなす
が、周方向には下細りテーパー状でボールに対し接線と
なる直線をなし、かつ下半部分に続く底部３ｃは幅方向
において上半部分、下半部分同様曲面を呈するが、周方
向ではボール６に対し水平な接線となる直線をなすもの
としてあり、また、前記ポケット周り部分２ａの肉厚を
小ならしめる反面、ポケット周り以外の部分２ｂの肉厚
は大ならしめた。

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は各種の軸受、特にオ
フィスオートメーション機器(ＯＡ機器)の回転部分の軸
受用に好適なボール保持器に関する。
【０００２】
【従来の技術】玉軸受には、内外輪間の適正位置にボー
ルを配するために保持器（リテーナ）を設けてある。保
持器には冠型のものがあり、従来のものは図８に示すよ
うに環状体よりなる本体２１に、ボールを支えるポケッ
ト２２を本体の円周方向に等間隔に多数設けてある。
【０００３】ポケットにはボールを充填する際の入口部
２３があり、この入口部２３は相対峙する突部２４、２
４間で形成されている。また、ポケットの内周面はボー
ルの表面と対応せしめた球分状凹面を呈している。
【０００４】
【課題】このような従来の保持器は強度、剛性を保持す
るために本体の肉厚ｄを大にしてあり、したがってポケ
ット内周の面積は大となり、ボールとポケット内周面と
の摩擦抵抗が大となる。
【０００５】また、摩擦抵抗はポケットの内周面がボー
ルの表面と相似する球分状凹面となっていることからも
大となっている。
【０００６】
【目的】本発明はポケット部を従来のものより小ならし
め、それでいて保持器の剛性が損なわれることがなく、
また、ボールに対するポケットの対接触面積を小ならし
めて前述の課題を解消できるようにした。
【０００７】また、ポケットの上半部分と下半部分との
連続部分および下半部分と底部との連続部分にそれぞれ
ボールとの間に略三角状の潤滑油溜りを形成して潤滑油
の供給を円滑に行えるようにした。
【０００８】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の玉軸受用保持器は、環状を呈する保持器本
体にボール支持用の多数のポケットを保持器本体の円周
方向に有し、各ポケットは本体の一方の外縁に形成した
多少弾性を有する相対峙する突部間によって入口部が形
成される玉軸受用の保持器であって、各ポケットは、前
記入口部に続く左右の略上半部分の内周面の溝がポケッ
トの周方向及び幅方向においてボールよりもわずかに大
なる曲率の曲面を呈し、この上半部分に続く下半部分は
幅方向においては前記上半部分と同様に曲面をなすが、
周方向には下細りテーパー状でボールに対し接線となる
直線をなし、かつ下半部分に続く底部は幅方向において
上半部分、下半部分同様曲面を呈するが、周方向ではボ
ールに対し水平な接線となる直線をなすものとしてあ
り、また、前記ポケット周り部分の肉厚を小ならしめる
反面、ポケット周り以外の部分の肉厚は大ならしめたも
のとしてある。
【０００９】
【実施態様】以下に本発明に係る保持器の実施態様を添
付図面に示す具体例によって説明する。図１において符
号１は本発明に係る保持器を示し、符号２は保持器本体
を示し、環状を呈しており、合成樹脂製のものとしてあ
る。
【００１０】本体２にはボールを支持するポケット３、
３・・・を等間隔に形成してある。個々のポケットは相
対峙する突部４、４間で形成される入口部５が本体の一
方の外周縁（図１〜３では上縁）に形成されており、こ
の入口部５に続く左右のほぼ上半部分の内周面３ａ、３
ａは、図２、３のようにポケットの周方向にボール６の
球分面に倣う曲面を呈し、かつ幅方向（本体の厚さ方
向）でもボールの球分面に倣う曲面の溝となっている。
換言すれば、上半部分３ａ、３ａの溝は周方向、幅方向
でボールよりわずかに曲率の大なる曲面のものとしてあ
る。なお、突部４、４は多少の弾性があって、ボールが
突部４、４を押し開いてポケット内に入り込めるように
してある。
【００１１】また、ポケットにおける上半部から底部に
続く左右の下半部分の内周面３ｂ、３ｂは、幅方向では
上半部分と同様に曲面を呈しているが、ポケットの周方
向では曲面ではなく、下細りテーパー状の直線で、ボー
ルに対して接線をなす溝となっている。
【００１２】しかしてポケットの底部内面３ｃは幅方向
では上半部分、下半部分と同様に円曲しているが、周方
向では水平な直線で、ボールに対して接線をなす溝とな
っている。
【００１３】したがって、ポケットの下半部分と底部は
ボールに対する接触面積が小となって摩擦抵抗が低減さ
れるだけではなく、ポケットの上半部分と下半部分との
連続部分および下半部分と底部との連続部分において
は、図３に示されるようにそれぞれボールとの間に略三
角状の潤滑油溜り１０、１１が形成され、潤滑油例えば
グリースの供給が円滑に行われる。
【００１４】さらに本発明は、一方ではポケット内周の
面積を小ならしめるべく、ポケット周り部分２ａの本体
の肉厚ｄ１を小ならしめてあるが、他方では前記ポケッ
ト周り以外の部分２ｂの本体の肉厚ｄ２を大にしてあ
る。
【００１５】なお、符号２ｃは保持器本体における各ポ
ケット間の連続部であり、実施例図１ではこの部分の肉
厚は大になっていないが、より剛性を保持するには連続
部も肉厚の大なるものにすればよい。
【００１６】
【作用、効果】上述した本発明の保持器は各ポケットに
入口部５からボールを押し込み、図７のように軸受の内
輪７、外輪８間に介在せしめて使用する。なお、図７中
の符号９はシール板である。
【００１７】保持器のポケットは、ほぼ上半部分の内周
の溝が周方向および幅方向にボールの曲率よりもわずか
に大なる曲率の曲面を呈してボールとの対接触面積が大
となっており、上半部分に続く下半部分とこれに続く底
部は幅方向ではボールに倣って円曲しているが、周方向
では曲線ではなく直線、すなわちボールに対して接線と
なる直線となっているので、下半部分と底部は周方向で
はボールに対して点接触することになり、ポケット内周
面全体がボールに倣う曲面のものよりもはるかに対接触
面積が少なく、したがってボールとの摩擦抵抗が低減さ
れる。
【００１８】また、ポケットの上半部分と下半部分との
連続部分および下半部分と底部との連続部分においては
それぞれボールとの間に略三角状の潤滑油溜りが形成さ
れるので、潤滑油の供給も円滑に行われる。
【００１９】しかもポケット周りの保持器本体の肉厚ｄ
１を小ならしめてあるので、これとも相俟ってボールの
摩擦はより小となる。
【００２０】ボールとの摩擦抵抗を小ならしめるために
ポケット周りの保持器本体の肉厚ｄ１は小ならしめてあ
るので、保持器の製作過程や玉軸受への組込み作業時お
よび玉軸受の使用時における保持器本体の強度が懸念さ
れるが、保持器本体はポケット周り以外の部分の本体の
肉厚ｄ２を大としてあるので、保持器本体の強度はさし
て損なわれることはなく、充分に保たれる。
【００２１】以上のように、本発明の保持器はポケット
におけるボールとの対接触面積を可及的小ならしめるよ
うにしてあるとともに、ポケットとボールとの間の潤滑
油溜りから潤滑油が円滑に供給されるので、ボールとの
齧り現象が発生するおそれは殆どなく、摩擦抵抗が小
で、静粛に回転する玉軸受を提供でき、特にハードディ
スクドライブ装置（ＨＤＤ）の回転部に使用する玉軸受
用に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に係る保持器の実施例を示す全体斜視
図。
【図２】ポケット部の拡大正面図。
【図３】ポケット部の縦断正面図。
【図４】図２のIV−IV線断面図。
【図５】図２のＶ−Ｖ線断面図。
【図６】図２のVI−VI線断面図。
【図７】玉軸受の縦断面図。
【図８】従来の保持器の一例を示す斜視図。
【符号の説明】
１ 保持器 ２ 保持器本体 ３ ポケット ４ 突部 ５ 入口部 ６ ボール ７ 内輪 ８ 外輪 ９ シール板 １０、１１ 潤滑油溜り
フロントページの続き Ｆターム(参考） 3J101 AA02 AA32 AA42 AA62 BA25 BA44 GA53

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】環状を呈する保持器本体にボール支持用の
    多数のポケットを保持器本体の円周方向に有し、各ポケ
    ットは本体の一方の外縁に形成した多少弾性を有する相
    対峙する突部間によって入口部が形成される玉軸受用の
    保持器であって、各ポケットは、前記入口部に続く左右
    の略上半部分の内周面の溝がポケットの周方向及び幅方
    向においてボールよりもわずかに大なる曲率の曲面を呈
    し、この上半部分に続く下半部分は幅方向においては前
    記上半部分と同様に曲面をなすが、周方向には下細りテ
    ーパー状でボールに対し接線となる直線をなし、かつ下
    半部分に続く底部は幅方向において上半部分、下半部分
    同様曲面を呈するが、周方向ではボールに対し水平な接
    線となる直線をなす玉軸受用保持器。
  2. 【請求項２】環状を呈する保持器本体にボール支持用の
    多数のポケットを保持器本体の円周方向に有し、各ポケ
    ットは本体の一方の外縁に形成した多少弾性を有する相
    対峙する突部間によって入口部が形成される玉軸受用の
    保持器であって、各ポケットは、前記入口部に続く左右
    の略上半部分の内周面の溝がポケットの周方向及び幅方
    向においてボールよりもわずかに大なる曲率の曲面を呈
    し、この上半部分に続く下半部分は幅方向においては前
    記上半部分と同様に曲面をなすが、周方向には下細りテ
    ーパー状でボールに対し接線となる直線をなし、かつ下
    半部分に続く底部は幅方向において上半部分、下半部分
    同様曲面を呈するが、周方向ではボールに対し水平な接
    線となる直線をなし、しかも、前記ポケット周り部分の
    肉厚を小ならしめる反面、ポケット周り以外の部分の肉
    厚は大ならしめた玉軸受用保持器。
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