JP2003025412A - アクリル系樹脂フィルムとその製造方法 - Google Patents
アクリル系樹脂フィルムとその製造方法Info
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Abstract
耐折曲白化性に優れ、フィッシュアイ等のフィルムの表
面の凸部を減少させて表面性を改良し、印刷抜けを起こ
さず、かつフィルムの膜厚精度を向上させ、着色剤配合
時の色ムラを改善する。 【解決手段】 ゴム弾性体層を含む多層構造アクリル系
樹脂を溶融押出法でフィルムに成形する際、リップクリ
アランス/フィルムの平均膜厚10〜1.2、エアギャ
ップ100mm以下で、ゴム弾性体層を含む多層構造ア
クリル系樹脂がTg以上である間に、ロールまたは金属
ベルトに両面を接触させて成形する。
Description
て、膜厚精度に優れたアクリル系樹脂フィルムとその製
造方法、及びアクリル系樹脂フィルムに関する。さらに
詳しくは、ゴム弾性体層を含む多層構造アクリル系樹脂
を溶融押出法でフィルムに成形する際、ゴム弾性体層を
含む多層構造アクリル系樹脂がTg以上である間に、ロ
ールまたは金属ベルトに両面を接触させて成形し、エア
ギャップが100mm以下であり、リップクリアランス
/フィルムの平均膜厚が10以下である、厚みが30〜
300μmであり、フィルムを3cmの幅で区分した時
に隣り合う区分の膜厚差が平均膜厚の1%以下かつ1m
2中の膜厚精度が3%以下であるアクリル系樹脂フィル
ムとその製造方法に関する。
透明性、および耐候性により、ポリカーボネート、塩化
ビニルなどの表面保護などに使用されており、透明性、
耐候性、フィルム成形性に優れたアクリル樹脂組成物が
特開昭63−77963号公報に開示されているが、こ
の方法では、膜厚精度に限界があり、十分とは言えな
い。アクリルフィルムの膜厚精度を向上させる方法とし
てキャスト法が公知であるが、この方法であると使用す
る有機溶剤の処理等の大型の設備が必要であるため設備
費がかさむ上に単位時間当たりの生産性も良くない。ま
た、両面をロールや金属ベルトで接触してなるアクリル
フィルムが特開平10−279766号公報に記載され
ているが、この方法であると、100μm未満のフィル
ムの成形が難しい上に、フィルムが硬くて耐衝撃性が著
しく悪い。さらに、その他樹脂フィルムに関して特開平
3−124425号公報、特開平4−82725号公報
があるが、アクリルフィルムの膜厚精度の制御等につい
て記載なく効果は不明確である。溶融押出法での膜厚精
度を向上させる方法として、特開平2000−0868
53号公報に開示があるが、これは1m2中の最大、最
小膜厚のことについてのみ言及しており、膜厚精度を示
す指標としては充分ではない。また、この方法では、2
種類の樹脂を使用しなければならず、生産性に問題があ
る。
着色してフィルム化することがあり、その際フィルムの
膜厚精度が悪いと着色剤が濃淡となって表れ、色ムラと
いう現象が起き、最終の成形体の外観が悪化するという
問題がある。特開平2000−086853号公報には
染色法によって着色してなる旨が記載されているが、1
m2中の最大、最小膜厚を制御しても、更なる厚み精度
が要求される色ムラを改善するのは困難であり、同発明
には、色ムラ改善について具体的技術開示がない。
を解決することを目的とするものであり、アクリルフィ
ルムの特徴である透明性、耐候性、耐衝撃性を損なうこ
となく、膜厚精度、色ムラを改良したフィルムを得るこ
とを目的としたものである。
について鋭意検討の結果、特定の成形方法を採用し、特
定の膜厚精度のゴム弾性体層を含む多層構造アクリル系
樹脂フィルムにすることにより、上記問題点が解決でき
ることを見出し、本発明を完成した。 すなわち、本発
明は、(1)ゴム弾性体層を含む多層構造アクリル系樹
脂を溶融押出してアクリル系樹脂フィルムを製造する方
法であって、 溶融物が吐出される出口(以下、ダイスリップと記
す)の開口度(以下、リップクリアランスと記す)/フ
ィルムの平均膜厚が10〜1.2であるダイスリップを
通して溶融物を押出し、 該多層構造アクリル系樹脂のガラス転移温度(以下、
Tgと記す)以上である間に、 ダイスリップから接触させるロールまたは金属ベルト
までの距離(以下、エアギャップと記す)が100mm
以下で、 ロールまたは金属ベルトに両面を接触させて成形する
こと、を特徴とするアクリル系樹脂フィルムの製造方法
(請求項1)、(2)ゴム弾性体層を含む多層構造アク
リル系樹脂が、アクリル酸アルキルエステル50〜10
0重量%と共重合可能な他のビニル系単量体1種又は2
種以上50〜0重量%とを含む単量体と、該単量体10
0重量部に対して、0.1〜20重量部の該単量体と共
重合しうる1分子当たり2個以上の非共役二重結合を有
する多官能性単量体からなる1層または2層以上のアク
リル系弾性重合体(a−1)10〜90重量%と、アク
リル系弾性重合体(a−1)の存在下、メタクリル酸ア
ルキルエステル70〜100重量%と共重合可能な他の
ビニル系単量体1種又は2種以上30〜0重量%からな
る1層または2層以上のグラフト成分(a−2)90〜
10重量%を共重合してなるものである請求項1記載の
アクリル系樹脂フィルムの製造方法(請求項2)、
(3)アクリル系弾性重合体(a−1)の重量平均粒子
径が20〜150nmである請求項1又は2記載のアク
リル系樹脂フィルムの製造方法(請求項3)、(4)ゴ
ム弾性体層を含む多層構造アクリル系樹脂100重量部
に対して、1種又は2種以上の着色剤を0.1〜50重
量部配合してなる請求項1〜3のいずれかに記載のアク
リル系樹脂フィルムの製造方法(請求項4)、(5)全
光線透過率が10%以上である請求項1〜4のいづれか
に記載のアクリル系樹脂フィルムの製造方法(請求項
5)、(6)ゴム弾性体層を含む多層構造アクリル系樹
脂を溶融押出法により成形したアクリル系樹脂フィルム
であって、フィルム厚みが30〜300μmであり、フ
ィルムを3cmの幅で区分した時に隣り合う区分の膜厚
差が平均膜厚の1%以下かつ1m2中の膜厚精度が3%
以下であるアクリル系樹脂フィルム(請求項6)、
(7)ゴム弾性体層を含む多層構造アクリル系樹脂がア
クリル酸アルキルエステル50〜100重量%と共重合
可能な他のビニル系単量体1種又は2種以上50〜0重
量%とを含む単量体と、該単量体100重量部に対し
て、0.1〜20重量部の該単量体と共重合しうる1分
子当たり2個以上の非共役二重結合を有する多官能性単
量体からなる1層または2層以上のアクリル系弾性重合
体(a−1)10〜90重量%とアクリル系弾性重合体
(a−1)の存在下、メタクリル酸アルキルエステル7
0〜100重量%と共重合可能な他のビニル系単量体1
種又は2種以上30〜0重量%からなる1層または2層
以上のグラフト成分(a−2)90〜10重量%を共重
合してなるものである請求項6記載のアクリル系樹脂フ
ィルム(請求項7)、(8)アクリル系弾性重合体(a
−1)の重量平均粒子径が20〜150nmである請求
項6または7に記載のアクリル系樹脂フィルム(請求項
8)、(9)ゴム弾性体層を含む多層構造アクリル系樹
脂100重量部に対して、1種又は2種以上の着色剤を
0.1〜50重量部配合してなる請求項6〜8のいずれ
かに記載のアクリル系樹脂フィルム(請求項9)、およ
び(10)全光線透過率が10%以上である請求項6〜
9のいずれかに記載のアクリル系樹脂フィルム、に関す
る。
層構造アクリル系樹脂を溶融押出法でフィルムに成形す
る際、ゴム弾性体層を含む多層構造アクリル系樹脂がガ
ラス転移温度Tg以上、好ましくはTg+10℃以上、
さらに好ましくはTg+20℃以上である間に、ロール
または金属ベルトに両面を接触させて成形し、エアギャ
ップが100mm以下、好ましくは90mm以下、さら
に好ましくは80mm以下であり、リップクリアランス
/フィルムの平均膜厚の比が10〜1.2、好ましくは
9〜1.5、さらに好ましくは7〜2.0であることを
特徴とし、厚みが30〜300μmであり、フィルムを
3cmの幅で区分した時に隣り合う区分の膜厚差が平均
膜厚の1%以下かつ1m2中の膜厚精度が3%以下であ
るアクリルフィルムを得ることにある。
D)のフィルムの膜厚精度はフィルムの延伸倍率が支配
要因であり、幅方向(TD)の膜厚精度はリップクリア
ランスの精度が問題となる。
度は、MD、TDの両方向の膜厚精度が重要である。
常、幅600〜1500mmに成形されロール状に巻き
取られるが、通常TD方向で精度のばらつきがでやすい
ため、本発明のアクリル系樹脂フィルムの膜厚精度を得
るためには、特にTD方向での精度のばらつきを制御す
ることが重要である。
の膜厚精度を向上するのに有効であり、膜厚精度に優れ
たアクリル系樹脂フィルムを容易に得ることができる。
本発明では、フィルムを3cmの幅で区分した時に隣り
合う区分の膜厚差が平均膜厚の2%以下、好ましくは1
%、かつ1m2中の膜厚精度が5%以下、好ましくは、
3%以下のアクリル系樹脂フィルムとする必要がある。
フィルムを3cmの幅で区分した時に隣り合う区分の膜
厚差が平均膜厚の2%を超えると着色した際の色ムラが
問題となり、1m2(フィルム最大幅に対して、面積が
1m2になるようカッティングしたもの)中の膜厚精度
が5%をこえると、フィルムに歪みが生じ、フィルムを
用いた成形品の外観が悪化する問題があり、好ましくな
い。
ゲージを用いて、フィルム1m2中で100箇所ランダ
ムに膜厚を測定し、平均膜厚(TAV)、最大膜厚(T
MAX)、最小膜厚(TMIN)をそれぞれ求め、平均膜厚
(TAV)と最大膜厚(TMAX)との差または平均膜厚
(TAV)と最小膜厚(TMIN)との差のうちで大きい方
の膜厚をΔTとして、計算式(1) 膜厚精度(%)=(ΔT/TAV)×100 (1)
により算出した。
アクリル系樹脂がロールまたは金属ベルト両面が接触す
る際の温度がTg未満の場合には、フィルム表面の凸部
の平滑化が充分でなく印刷抜けを起こしたり、充分な膜
厚精度が得られないので、好ましくない。ロールの材質
は金属またはゴム及びその併用など特に限定されない。
ゴムの材質としては一般的なEPDMゴム、シリコンゴ
ム、NBRゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、クロロ
プレンゴム、イソプレンゴム、フッ素ゴム等が挙げられ
るが、耐熱性とフィルムの膜厚精度、表面の平滑化の観
点から、EPDMゴム、シリコンゴムを使用するのが好
ましい。
出だし樹脂がダイスリップからロールまたは金属ベルト
に接触するまでの距離、およびリップクリアランス/フ
ィルムの平均膜厚の比率が重要である。エアギャップが
100mmを越える場合には、充分な膜厚精度が得られ
ないので好ましくない。また、リップクリアランス/フ
ィルムの平均膜厚が10を超える場合には、充分な膜厚
精度が得られないので、好ましくない。
ムを得るため、エアギャップが、100mm以下であ
り、かつ、リップクリアランス/フィルムの平均膜厚の
比率が10〜1.2であることが必須である。
造アクリル系樹脂は特に限定されないが、次に挙げられ
る樹脂が好ましく用いられる。
0〜100重量%と共重合可能な他のビニル系単量体1
種又は2種以上50〜0重量%とを含む単量体と、該単
量体100重量部に対して、0.1〜20重量部の該単
量体と共重合しうる1分子当たり2個以上の非共役二重
結合を有する多官能性単量体からなる1層または2層以
上の重量平均粒子径が20〜150nmのアクリル系弾
性重合体(a−1)10〜90重量%とアクリル系弾性
重合体(a−1)の存在下、メタクリル酸アルキルエス
テル70〜100重量%と共重合可能な他のビニル系単
量体1種又は2種以上30〜0重量%からなる1層また
は2層以上のグラフト成分(a−2)90〜10重量%
を共重合したものである。アクリル系弾性重合体(a−
1)に用いられるアクリル酸アルキルエステルのアルキ
ル基の炭素数は、1〜8が好ましく、例えば、アクリル
酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、ア
クリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、ア
クリル酸−n−オクチル等が挙げられる。これらは単独
で用いてもよく、2種以上併用してもよい。前記アクリ
ル酸アルキルエステルのアルキル基は直鎖状でも分岐鎖
状でもよいが、炭素数が8を超える場合には反応速度が
遅くなるので好ましくない。アクリル系弾性重合体(a
−1)に用いられるアクリル酸アルキルエステルの使用
範囲は、50〜100重量%、好ましくは、60〜99
重量%、さらに好ましくは、70〜98重量%である。
アクリル酸アルキルエステルが50重量%未満になると
耐衝撃性が低下して好ましくない。また、アクリル系弾
性重合体(a−1)に用いられる1分子当たり2個以上
の非共役二重結合を有する多官能性単量体は、架橋剤、
グラフト交叉剤として使用する成分であり、例えば、エ
チレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコ
ールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタ
クリレート、ジブチレングリコールジメタクリレートな
どのジアルキレングリコールジメタクリレートまたはこ
れらのメタクリレートをアクリレートにしたもの、ジビ
ニルベンゼン、ジビニルアジペート等のビニル基含有多
官能性単量体、ジアリルフタレート、ジアリルマレエー
ト、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、トリ
アリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等の
アリル基含有多官能性単量体などが挙げられ、これらは
単独または2種以上組み合わせて用いられる。前記多官
能性単量体の使用割合は、アクリル系弾性重合体(a−
1)に使用する単量体100重量部に対して、0.1〜
20重量部、好ましくは、0.5〜15重量部、さらに
好ましくは、0.7〜10重量部である。多官能性単量
体の使用割合が0.1重量部未満ではフィルムの耐溶剤
性が低下し、20重量部を超えるとフィルムの伸度や耐
衝撃性が低下して好ましくない。アクリル系弾性重合体
(a−1)の重量平均粒子径は、20〜150nm、好
ましくは、30〜120nm、さらに好ましくは、50
〜100nmである。重量平均粒子径が50nm未満で
はフィルムの耐衝撃性が低下し、150nmを超えると
透明性や耐折曲白化性が低下して好ましくない。アクリ
ル系弾性重合体(a−1)は、一層でも多層でも規定の
単量体の範囲内であれば特に規定されない。
クリル酸アルキルエステルのアルキル基の炭素数は1〜
4が好ましく、例えば、代表例として、メタクリル酸メ
チルが挙げられるが、メタクリル酸エチル、メタクリル
酸プロピル、メタクリル酸ブチル等が挙げられる。これ
らは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。前
記メタクリル酸アルキルエステルのアルキル基は直鎖状
でも分岐鎖状でもよいが、炭素数が4を超える場合には
反応速度が遅くなるので好ましくない。グラフト成分
(a−2)に用いられるメタクリル酸アルキルエステル
の使用範囲は、70〜100重量%、好ましくは、75
〜98重量%、さらに好ましくは、80〜95重量%で
ある。メタクリル酸アルキルエステルが70重量%未満
になると透明性が低下して好ましくない。
でも規定の単量体の範囲内であれば特に規定されない。
脂の製造方法は特に限定されない。例えば、懸濁重合
法、乳化重合法などが挙げられるが、アクリル酸アルキ
ルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、これらの
単量体と共重合しうる1分子当たり2個以上の非共役二
重結合を有する多官能性単量体を用い、乳化重合法で製
造するのが好ましい。
いて、アクリル系弾性重合体(a−1)を得て、グラフ
ト成分(a−2)を同一重合機で製造することができ
る。
始剤、特に遊離基を発生する重合開始剤が使用される。
このような重合開始剤の具体例としては、たとえば、過
硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の無機過酸化物や、
クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパオキサイ
ドなどの有機過酸化物などが挙げられる。さらにアゾビ
スイソブチロニトリルなどの油溶性開始剤も使用され
る。これらは単独または2種以上組み合わせて用いられ
る。
チオ硫酸ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒドスル
フォキシレート、アスコルビン酸、硫酸第一鉄などの還
元剤と組み合わせた通常のレドックス型開始剤として使
用してもよい。
特に限定はなく、通常の乳化重合用の界面活性剤であれ
ば使用することができる。例えば、アルキル硫酸ソー
ダ、アルキルベンゼンスルフォン酸ソーダ、ラウリン酸
ソーダなどの陰イオン性界面活性剤やアルキルフェノー
ル類とエチレンオキサイドとの反応生成物などの非イオ
ン性界面活性剤が挙げられる。これらの界面活性剤は単
独で用いてもよく、2種類以上併用してもよい。さらに
必要に応じて、アルキルアミン塩酸塩などの陽イオン性
界面活性剤を使用してもよい。このような共重合によっ
て得られる重合体ラテックスから、通常の凝固(例え
ば、塩を用いた凝固)と洗浄、脱水、乾燥により、また
は噴霧、凍結乾燥などによる処理によって樹脂分が分
離、回収される。
型ダイス押出法により成形するのが望ましく、高延伸加
工性が良好で、耐衝撃性、透明性、耐候性、耐溶剤性、
折曲白化性、傷つき性に優れ、印刷抜けの改良されたフ
ィルムが得られる。フィルムの厚みは、20〜300μ
mであり、30〜200μmが好ましい。
増すために紫外線吸収剤を添加することができる。その
使用割合は、ゴム弾性体層を含む多層構造アクリル系樹
脂100重量部に対して、10重量部以下、好ましくは
8重量部以下、さらに好ましくは5重量部以下である。
10重量部を超えると、紫外線吸収剤がフィルムの表面
にブリードし、透明性が低下して好ましくない。本発明
に使用する紫外線吸収剤は、ゴム弾性体層を含む多層構
造アクリル系樹脂と相溶性を有するものであれば特に制
限されるものではなく、1種又は2種以上併用して用い
ることができる。
シ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−
(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−ターシャリーブ
チルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒド
ロキシ−3’−ターシャリーブチル−5’−メチルフェ
ニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(5−メ
チル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール等
のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2,4−ジヒド
ロキシ・ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキ
シ・ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メ
トキシ・ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−
4,4’−ジメトキシ・ベンゾフェノン、2,2’−ジ
ヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−5−スルホベンゾ
フェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、〔2−
(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−
イル)−5−(ヘキシル)オキシフェノール〕、〔2−
(4,6−ビス−(2,4ジメチルフェニル)−1,
3,5−トリアジン−2−イル)−5−(オクチルオキ
シ)フェノール〕等のトリアジン系紫外線吸収剤、フェ
ニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート
等のサリチル酸誘導体系紫外線吸収剤、2,4−ジ−タ
ーシャリーブチルフェニル−3,5−ジ−ターシャリー
ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、エチル−2−シ
アノ−3,3’−ジフェニルアクリレート等のその他の
紫外線吸収剤を挙げることができる。
リル系樹脂は、意匠性を増すために無機系又は有機系の
着色剤を添加することができる。その使用割合は、ゴム
弾性体層を含む多層構造アクリル系樹脂100重量部に
対して、0.1〜50重量部、好ましくは0.15〜4
0重量部、さらに好ましくは0.2〜30重量部であ
る。
有する着色フィルム、例えば、全光線透過率が10%以
上の着色フィルムに応用した場合に優れた効果を発揮し
うる。このような用途では、フィルムの膜厚精度が悪い
場合には色ムラがでやすくなるためである。
を含む多層構造アクリル系樹脂と相溶性を有するもので
あれば特に制限されるものではなく、1種又は2種以上
併用して用いることができる。無機系着色剤の例とし
て、酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化クロム、亜酸化
銅、珪酸カルシウム、酸化鉄、カーボンブラック、グラ
ファイト、チタンイエロー、コバルトブルー等が挙げら
れ、有機系着色剤の例として、レーキレッド、リソール
レッド、ブリリアントカーミン等の溶性アゾ顔料、ジニ
トリアンオレンジ、ファストイエロー等の不溶性アゾ顔
料、モノクロロフタロシアニンブルー、ポリクロロフタ
ロシアニンブルー、ポリブロモフタロシアニングリーン
等のフタロシアニン顔料、インジゴブルー、ペリレンレ
ッド、イソインドリノンイエロー、キナクリドンレッド
等の縮合多環系顔料、オラセットイエロー等の染料等が
挙げられる。
リル系樹脂には、その他、熱や酸素、光に対する安定性
を増すために酸化防止剤、光安定剤等を1種又は2種以
上組み合わせて添加してもよい。
して、通常成形品に意匠性を付与するために、必要に応
じて適当な印刷法により印刷したものを用いることがで
きる。この場合、アクリルフィルムに片側印刷処理を施
したものを用いることが好ましく、成形時には印刷面を
基材樹脂との接着面に配することが印刷面の保護の点か
ら好ましい。
に具体的に説明するが、これらは何ら本発明を限定する
ものではない。なお、以下の記載において、「部」又は
「%」は、特に断らない限り、それぞれ「重量部」、
「重量%」を示す。
件及び方法を用いて行った。 (1)ガラス転移温度(Tg) セイコー電子の走査型熱量計(DSC)を用いて、昇温
速度を20℃/分でJIS K7121に準拠して測定
した。単位は℃である。 (2)膜厚精度1 フィルムのTD方向に3cm間隔で膜厚を測定し、隣り
合った箇所との膜厚差をそれぞれ算出し、最大値
(tM)を求め、平均膜厚(TMAX)から、次の式で算出
した。単位は%である。
て、フィルム1m2(幅900mm、長さ1110m
m)中で100箇所ランダムに膜厚を測定し、平均膜厚
(TAV)、最大膜厚(TMAX)、最小膜厚(TMIN)をそ
れぞれ求め、平均膜厚(TAV)と最大膜厚(TMAX)と
の差または平均膜厚(TAV)と最小膜厚(TMIN)との
差のうちで大きい方の膜厚をΔTとして、次の計算式を
用いて算出した。単位は%である。
ードの上に乗せ、色の濃淡を次の基準により、目視で評
価した。 ○;目視では濃淡が分からない。 ×;目視での濃淡が明らかに判別できる。 (5)耐衝撃性 50μmの厚みのフィルムをポリカーボネート製板
(0.8mm厚)にラミネートし、デュポン衝撃でJI
S K7211に準拠し、半数破壊高さ×錘の重量から
エネルギーを測定した。−20℃で行い、単位はJ(ジ
ュール)である。 (6)光沢 日本電色工業株式会社製のグロスメーター(GLOSS
METER)を用いて、低温ロール側の面の60度反
射率をJIS Z8741に準拠して測定した。23℃
で測定し、単位は%である。 (7)耐溶剤性 厚み50μmのフィルムを幅10mm、長さ100mm
の短冊状に切り取り、3.2gの錘を吊して、トルエン
中に浸漬し、フィルムが切れる時間を測定した。単位は
秒である。 (8)折曲白化性 厚み50μmのフィルムを180度折り曲げ、次の基準
により評価した。
て、次の基準により評価した。
定に押し出すことができる。
何時で安定に押し出すことができない。
定である。 (10)表面性 フィルムを肉眼で次の基準により評価した。
ある。 (11)印刷抜け フィルムにグラビア印刷を施し、幅が1mで長さが10
mのフィルムについて目視で検査し、その印刷抜け個数
を1m2当たりに換算した。単位は、個/m2。 (12)全光線透過率 日本電色工業株式会社製のヘイズメーター(型式VGS
−300A)を用いて、JIS K 7361−1に準
拠して、100mの厚みのフィルムを測定した。また、
以下の記載による略号は、それぞれ下記の物質を表す。
造 攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、モノマー供給管、還
流冷却器を備えた8リットル重合機に以下の物質 水 200部 ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート 0.15部 硫酸第一鉄・2水塩 0.0015部 エチレンジアミン四酢酸−2−ナトリウム 0.006部 と表1に示したOSAを仕込み、器内を窒素ガスで充分
に置換して実質的に酸素のない状態とした後、内温を6
0℃にし、表1に示す混合物(1)を15部/時間の割
合で連続的に添加し、重合させた。添加終了後更に1時
間重合を継続し、重合転化率を98%以上にし、その
後、表1に示す混合物(2)を15部/時間の割合で連
続的に添加し、重合させた。添加終了後更に1時間重合
を継続し、重合転化率を98%以上にし、アクリル系弾
性重合体(a−1)を得た。
存在下、表1に示す混合物(3)を15部/時間の割合
で連続的に添加し、重合させた。添加終了後更に1時間
重合を継続し、重合転化率を98%以上にし、その後、
表1に示す混合物(4)を10部/時間の割合で連続的
に添加して重合させ、更に、1時間重合を継続し、重合
転化率を98%以上にして、多層構造アクリル系樹脂
(A)の重合を終了させ、ラテックスを得た。
て、水洗、乾燥を行い、ゴム弾性体層を含む多層構造ア
クリル系樹脂の乾燥粉末を得た。
ル系樹脂フィルムの製造 表2に示す多層構造アクリル系樹脂(A)及び、フタロ
シアニングリーン顔料を1重量部とをヘンシェルミキサ
ーで混合した。この混合物をベント式押出機で190℃
設定で押し出し、ペレット化し、前記した物性、特性の
測定、評価に供した。該ペレットをT型ダイス付き押出
機でダイスの温度を210℃設定とし、表2に示すシー
ト温度及び両面を接触する2本のロール温度でフィルム
に成形し、前記した物性、特性の測定、評価に供した。
また、比較例−4は、フィルムの片面のみロールに接触
させた。
リル系樹脂フィルム生産性を向上させ、30μmの薄膜
まで製造でき、表2から明らかなように、実施例で代表
される本発明のアクリル系樹脂フィルムは、耐折曲白化
性に優れ、フィッシュアイ等の如きフィルムの表面の凸
部を減少させることにより表面性に優れ、印刷抜けを起
こさない。また、本発明のアクリル系樹脂フィルムは、
膜厚精度が良く着色剤を配合した場合の色むらもなく、
外観上優れている。
Claims (10)
- 【請求項1】 ゴム弾性体層を含む多層構造アクリル系
樹脂を溶融押出してアクリル系樹脂フィルムを製造する
方法であって、(1)溶融物が吐出される出口(以下、
ダイスリップと記す)の開口度(以下、リップクリアラ
ンスと記す)/フィルムの平均膜厚が10〜1.2であ
るダイスリップを通して溶融物を押出しし、(2)該多
層構造アクリル系樹脂のガラス転移温度(以下、Tgと
記す)以上である間に、(3)ダイスリップから接触さ
せるロールまたは金属ベルトまでの距離(以下、エアギ
ャップと記す)が100mm以下で、(4)ロールまた
は金属ベルトに両面を接触させて成形すること、を特徴
とするアクリル系樹脂フィルムの製造方法。 - 【請求項2】 ゴム弾性体層を含む多層構造アクリル系
樹脂が、アクリル酸アルキルエステル50〜100重量
%と共重合可能な他のビニル系単量体1種又は2種以上
50〜0重量%とを含む単量体と、該単量体100重量
部に対して、0.1〜20重量部の該単量体と共重合し
うる1分子当たり2個以上の非共役二重結合を有する多
官能性単量体からなる1層または2層以上のアクリル系
弾性重合体(a−1)10〜90重量%と、アクリル系
弾性重合体(a−1)の存在下、メタクリル酸アルキル
エステル70〜100重量%と共重合可能な他のビニル
系単量体1種又は2種以上30〜0重量%からなる1層
または2層以上のグラフト成分(a−2)90〜10重
量%を共重合してなるものである請求項1記載のアクリ
ル系樹脂フィルムの製造方法。 - 【請求項3】 アクリル系弾性重合体(a−1)の重量
平均粒子径が20〜150nmである請求項1又は2記
載のアクリル系樹脂フィルムの製造方法。 - 【請求項4】 ゴム弾性体層を含む多層構造アクリル系
樹脂100重量部に対して、1種又は2種以上の着色剤
を0.1〜50重量部配合してなる請求項1〜3のいず
れかに記載のアクリル系樹脂フィルムの製造方法。 - 【請求項5】全光線透過率が10%以上である請求項1
〜4のいづれかに記載のアクリル系樹脂フィルムの製造
方法。 - 【請求項6】 ゴム弾性体層を含む多層構造アクリル系
樹脂を溶融押出法により成形したアクリル系樹脂フィル
ムであって、フィルム厚みが30〜300μmであり、
フィルムを3cmの幅で区分した時に隣り合う区分の膜
厚差が平均膜厚の1%以下かつ1m2中の膜厚精度が3
%以下であるアクリル系樹脂フィルム。 - 【請求項7】 ゴム弾性体層を含む多層構造アクリル系
樹脂がアクリル酸アルキルエステル50〜100重量%
と共重合可能な他のビニル系単量体1種又は2種以上5
0〜0重量%とを含む単量体と、該単量体100重量部
に対して、0.1〜20重量部の該単量体と共重合しう
る1分子当たり2個以上の非共役二重結合を有する多官
能性単量体からなる1層または2層以上のアクリル系弾
性重合体(a−1)10〜90重量%とアクリル系弾性
重合体(a−1)の存在下、メタクリル酸アルキルエス
テル70〜100重量%と共重合可能な他のビニル系単
量体1種又は2種以上30〜0重量%からなる1層また
は2層以上のグラフト成分(a−2)90〜10重量%
を共重合してなるものである請求項6記載のアクリル系
樹脂フィルム。 - 【請求項8】 アクリル系弾性重合体(a−1)の重量
平均粒子径が20〜150nmである請求項6または7
に記載のアクリル系樹脂フィルム。 - 【請求項9】 ゴム弾性体層を含む多層構造アクリル系
樹脂100重量部に対して、1種又は2種以上の着色剤
を0.1〜50重量部配合してなる請求項6〜8のいず
れかに記載のアクリル系樹脂フィルム。 - 【請求項10】全光線透過率が10%以上である請求項
6〜9記載のアクリル系樹脂フィルム。
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