JP2016044300A - アクリル樹脂フィルム、並びにそれを用いた再帰反射シート及び再帰反射物品 - Google Patents

アクリル樹脂フィルム、並びにそれを用いた再帰反射シート及び再帰反射物品 Download PDF

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Abstract

【課題】柔軟性を有するアクリル樹脂フィルムのフィルム同士のブロッキングによるシワの発生、及び、ロール状に巻き取ったフィルムのブロッキングに起因する凹凸の発生を抑制する方法の提供。
【解決手段】アクリル樹脂成分であるゴム含有重合体(A)と、アンチブロッキング剤(B)とを含有するアクリル樹脂組成物(D)の成形物であり、アクリル樹脂フィルムにおける、引張弾性率(x)(単位:MPa)と、静摩擦係数(M)とが、1000≦x/M≦3500の関係を満たす、アクリル樹脂フィルム。引張弾性率(x)が300〜3000MPaであり、静摩擦係数(M)が0.5〜1.1であるアクリル樹脂フィルム。アンチブロッキング剤(B)の粒子径が0.1〜10μmであるアクリル樹脂フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、アクリル樹脂フィルム、並びにそれを用いた再帰反射シート及び再帰反射物品に関する。
入射した光を光源方向に向けて反射させる再帰反射シートは従来からよく知られており、その再帰反射性及び暗所における優れた視認性を利用して、種々の分野で使用されている。
例えば、再帰反射シートを用いた道路標識、工事標識等の標識は、夜間等の暗所で走行する車両のヘッドライトの光源からの光を光源方向、即ち走行する車両の方向へ向けて反射させ、標識の視認者である車両の運転者に対して優れた視認性を提供し、明確な情報伝達を可能にするという優れた特性を有している。
上記の用途に使用される再帰反射シートとして、封入レンズ型再帰反射シートや、再帰反射性能が優れることからプリズムを用いたプリズム型再帰反射シート(例えば、三角錐型キューブコーナー再帰反射シート)の利用も年々拡大しつつある。
このような道路標識、工事標識等の標識として用いられる再帰反射シートとして着色されたアクリル樹脂フィルムを表皮材として用いることによって、耐候性や視認性等の優れた特性を付与することができる。
再帰反射シート表皮用着色アクリル樹脂フィルムとしては、XYZ表色系での色度座標(x,y)が特定の範囲にある着色アクリル樹脂フィルムが開示されている(特許文献1及び2)。
また、近年の再帰反射シートの品質向上の傾向から、着色アクリル樹脂フィルムについても同様に品質向上が求められている。特許文献1および2にそれぞれ記載の着色アクリル樹脂フィルムでは、フィルム同士のブロッキングによりシワが発生することがあり、また、ロール状に巻き取ったアクリル樹脂フィルムにもブロッキングに起因する凹凸が発生することがあり、アクリル樹脂フィルムの外観に課題が発生することがあった。
このブロッキングを改良する方法として、アンチブロッキング剤を添加する方法が提唱されている(特許文献3)。
特開2005−112982号公報 特開2008−208197号公報 特開2010−275434号公報
しかしながら、検討の結果、特許文献3に記載の方法をゴム含有重合体を含有する柔軟性の高いアクリル樹脂フィルムに用いても、アンチブロッキング剤によるブロッキング防止効果が十分に得られない場合があることが確認された。そのため、柔軟性の高いアクリル樹脂フィルムへのアンチブロッキング剤の応用には検討の余地があった。
本発明の目的は、柔軟性を有するアクリル樹脂フィルムのフィルム同士のブロッキングによるシワの発生、および、ロール状に巻き取ったフィルムのブロッキングに起因する凹凸の発生を抑制することにある。
本発明は、以下の[1]〜[10]である。
[1]アクリル樹脂成分であるゴム含有重合体(A)と、アンチブロッキング剤(B)とを含有するアクリル樹脂組成物(D)の成形物であり、以下の条件(i)を満たす、アクリル樹脂フィルム。
条件(i):該アクリル樹脂フィルムにおける、引張弾性率(x)(単位:MPa)と、静摩擦係数(M)とが、下記式(1)の関係を満たすこと。
1000≦x/M≦3500 ・・・(1)
[2]前記引張弾性率(x)が300MPa以上3000MPa以下である、[1]に記載のアクリル樹脂フィルム。
[3]前記静摩擦係数(M)が0.5以上1.1以下である、[1]または[2]に記載のアクリル樹脂フィルム。
[4]前記アクリル樹脂フィルムにおいて、前記アンチブロッキング剤(B)を前記アクリル樹脂組成物(D)に含む場合のヘイズ(H2)(単位:%)と含まない場合のヘイズ(H1)(単位:%)とが、下記式(2)の関係を満たす、[1]〜[3]のいずれか1つに記載のアクリル樹脂フィルム。
H2−H1<2.0 ・・・(2)
[5]前記アンチブロッキング剤(B)の粒子径が0.1μm以上10μm以下である、[1]〜[4]のいずれか1つに記載のアクリル樹脂フィルム。
[6]前記アンチブロッキング剤(B)が架橋アクリル樹脂粒子である、[1]〜[5]のいずれか1つに記載のアクリル樹脂フィルム。
[7]前記アクリル樹脂組成物(D)中に、前記アンチブロッキング剤(B)が、アクリル樹脂成分の合計含有量100質量部に対して、0.02質量部以上0.5質量部以下含まれる、[1]〜[6]のいずれか1つに記載のアクリル樹脂フィルム。
[8]表皮材として、[1]〜[7]のいずれか1つに記載のアクリル樹脂フィルムを有する、再帰反射シート。
[9]前記再帰反射シートが反射素子層を有し、該反射素子層が、ビーズ形状のレンズまたはプリズム形状のレンズである、[8]に記載の再帰反射シート。
[10][8]または[9]に記載の再帰反射シートを用いた、再帰反射物品。
本発明により、柔軟性を有するアクリル樹脂フィルムのフィルム同士のブロッキングによるシワの発生、および、ロール状に巻き取ったフィルムのブロッキングに起因する凹凸の発生を抑制することができる。
色度座標(x,y)における(0.303,0.300)、(0.368,0.366)、(0.340,0.393)及び(0.274,0.329)そして最初の(0.303,0.300)の各座標を順に直線で結ぶことによって囲まれる領域を示す図である。 色度座標(x,y)の図1に示す領域における、実施例1〜5の結果を示す図である。 色度座標(x,y)における(0.498,0.412)、(0.557,0.442)、(0.479,0.520)及び(0.438,0.472)そして最初の(0.498,0.412)の各座標を順に直線で結ぶことによって囲まれる領域を示す図である。 色度座標(x,y)の図3に示す領域における、実施例6〜12、および14の結果を示す図である。 色度座標(x,y)における(0.140,0.035)、(0.224,0.210)、(0.190,0.255)及び(0.065,0.216)そして最初の(0.140,0.035)の各座標を順に直線で結ぶことによって囲まれる領域を示す図である。 色度座標(x,y)の図5に示す領域における、実施例13の結果を示す図である。
本発明は、再帰反射シートの表皮材として用いることができ、必要に応じて着色することができるアクリル樹脂フィルム、並びにそれを用いた再帰反射シート及び再帰反射物品に関する。本発明のアクリル樹脂フィルムは、柔軟性を有し、且つフィルム同士のブロッキングによるシワの発生、および、ロール状に巻き取ったアクリル樹脂フィルムのブロッキングに起因する凹凸の発生を抑制することができる。また、このフィルムを用いることで、シワの増加や外観の低下に起因する再帰反射シートを得る際の歩留りの低下を抑制することが可能となる。更に、このフィルムを再帰反射シートの表皮材として用いることにより、看板、道路標識等の表面を保護するとともに、意匠性を付与することができる。
<<アクリル樹脂フィルム>>
本発明のアクリル樹脂フィルムは、アクリル樹脂成分であるゴム含有重合体(A)と、アンチブロッキング剤(B)とを含有するアクリル樹脂組成物(D)を成形して得られるもの(成形物)である。アクリル樹脂組成物(D)については後述する。また、本発明のアクリル樹脂フィルムは以下の条件(i)を満たす。
条件(i):アクリル樹脂フィルムにおける、引張弾性率(x)(単位:MPa)と、静摩擦係数(M)とが、下記式(1)の関係を満たすこと。
1000≦x/M≦3500 … (1)。
上記引張弾性率(x)と静摩擦係数(M)との関係(以下、x/M)が上記式(1)を満たせば、フィルム同士を重ねて保管しておいた際のアクリル樹脂フィルムのブロッキングによるシワの発生を抑制でき、更にロール状に巻き取ったフィルムのブロッキングに起因する凹凸の発生をも抑制することが可能となる。
x/Mの範囲としては、フィルムの柔軟性と静摩擦係数とのバランスの観点から、好ましくは1000≦x/M≦2700であり、より好ましくは1000≦x/M≦2000である。
(引張弾性率(x))
上記引張弾性率(x)は、以下の試験条件下、アクリル樹脂フィルムより作製した下記試験片を5点評価した際に得られる弾性率5点の平均値である。
・試験片
JIS−K7127(ISO527−3)に規定されるフィルム状の試験片(JIS−K7127に記載の短冊状試験片(試験片タイプ2)、幅:15mm、長さ:150mm)。
・試験条件
JIS−K7161に準拠した条件であり、試験雰囲気:温度23℃、相対湿度50%、チャック間距離:100mm、引張試験速度:100mm/min。
引張試験の引張方向としては、後述するアクリル樹脂組成物(D)をフィルム状に成形する際のフィルムの流れ方向(以下、MD方向)と流れ方向に直交する方向(以下、TD方向)のいずれを用いてもよいが、得られる引張弾性率の安定性の観点からMD方向で試験を行うことが好ましく、MD方向の試験で得られる引張弾性率の値を用いることが好ましい。
引張弾性率(x)は、得られるフィルムの柔軟性の観点から、300MPa以上3000MPa以下であることが好ましい。引張弾性率(x)を300MPa以上とすることで、柔軟で、且つ、取扱う上で適度な強度を保持することが可能となる。また、引張弾性率(x)を3000MPa以下とすることで、フィルムが脆くなることを防ぎ、さらに、適度な柔軟性を有するフィルムとすることができる。引張弾性率(x)は、フィルムの柔軟性の観点から、より好ましくは300MPa以上2500MPa以下、更に好ましくは300MPa以上2000MPa以下である。
(静摩擦係数(M))
上記静摩擦係数(M)は、下記装置および滑り片を用い、下記試験条件にて、アクリル樹脂フィルムより作製した下記試験片を2枚ずつ3組測定して得られる静摩擦係数の平均値である。
・装置
JIS−K7125に準拠した摩擦試験測定用の装置。
・滑り片
接触面積40cm(一片の長さ63mm)で200g±2gの滑り片。
・試験片
40cm(一片の長さ63mm、滑り片と同形状)の試験片(アクリル樹脂フィルム)。
・試験条件
試験速度:100mm/min、試験雰囲気:温度23℃、相対湿度50%。
また、静摩擦係数(M)の測定に際して、フィルムをロール状物とした際にフィルム同士が重なる面と同じ面を重ね合わせて試験を行い、更に試験方向とフィルムのMD方向が平行になるように実施することが好ましい。フィルム同士が重なる面の判定が困難である場合は、特に制限は無く、任意の方向で試験を行ってもよい。
静摩擦係数(M)は、得られるフィルムがより滑りやすくなりブロッキングを防止する効果が非常に期待されることから、0.5以上1.1以下であることが好ましい。静摩擦係数(M)が0.5以上であれば、フィルムをロール状に巻き取った際のフィルムの巻きずれを抑制することができる。また、静摩擦係数(M)を1.1以下とすることでブロッキングによるシワの発生やロール状に巻き取ったフィルムのブロッキングに起因する凹凸の発生を抑制できるため好ましい。静摩擦係数(M)は、フィルムの巻きずれ防止の観点から、より好ましくは0.6以上1.1以下、ブロッキング防止の観点から、更に好ましくは0.6以上1.0以下である。
(動摩擦係数(M))
フィルムの動摩擦係数(M)は、静摩擦係数(M)と同様に、フィルムがより滑りやすくなることでブロッキングを防止する効果が非常に期待されることから、0.4以上1.1以下であることが好ましく、0.5以上1.1以下であることがより好ましい。
なお、フィルムの動摩擦係数(M)は、前記静摩擦係数を測定した際に同時に得られる値であり、静摩擦係数(M)と同様に、アクリル樹脂フィルムより作製した上記試験片を2枚ずつ3組測定して得られる動摩擦係数の平均値である。
(ヘイズ)
本発明のアクリル樹脂フィルムにおいて、アンチブロッキング剤(B)をアクリル樹脂組成物(D)に含む場合のヘイズ(H2)(単位:%)と含まない場合のヘイズ(H1)(単位:%)とが、下記式(2)の関係を満たすことが好ましい。
H2−H1<2.0 … (2)。
上記式(2)を満たすことで、アンチブロッキング剤の添加の有無によるフィルムの外観変化をより少なくすることができる。更に上記式(2)を満たすアクリル樹脂フィルムを用いた再帰反射シートは、再帰反射性能を維持することが可能となるため好ましい。
なお、上記ヘイズ(H1)と(H2)とは、アンチブロッキング剤を添加したフィルムの透明性の観点から、H2−H1<1.6の関係を満たすことがより好ましく、H2−H1<1.2の関係を満たすことが更に好ましい。
なお、アクリル樹脂フィルムのヘイズは、JIS K7136に準拠した測定により求めることができる。
(厚み)
アクリル樹脂フィルムの厚みとしては、アクリル樹脂フィルムの取り扱い性の観点から、10μm以上500μm以下が好ましく、30μm以上200μm以下がより好ましい。
<<アクリル樹脂組成物(D)>>
上述したように、アクリル樹脂組成物(D)は、アクリル樹脂フィルムを得るために用いられる樹脂組成物である。アクリル樹脂組成物(D)は、アクリル樹脂成分であるゴム含有重合体(A)と、アンチブロッキング剤(B)とを含有し、必要に応じて、アクリル樹脂成分である後述する熱可塑性樹脂(C)、および、後述する各種配合剤を含有することができる。
<アクリル樹脂成分>
アクリル樹脂組成物(D)は、アクリル樹脂成分として、ゴム含有重合体(A)を含有し、さらに必要に応じて、後述する熱可塑性重合体(C)を含有することができる。
上記アクリル樹脂成分(100質量%)中のゴム含有重合体(A)の含有率は、特に制限されないが、好ましくは10質量%以上100質量%以下である。アクリル樹脂成分中のゴム含有重合体(A)の含有率をこの範囲内とすることで、得られるアクリル樹脂フィルムに適度な柔軟性を容易に付与することが可能となる。アクリル樹脂成分中のゴム含有重合体(A)の含有率は、フィルムの柔軟性維持の観点から、より好ましくは20質量%以上100質量%以下であり、更に好ましくは30質量%以上100質量%以下である。
上記アクリル樹脂成分中の熱可塑性重合体(C)の含有率は、特に制限されないが、好ましくは0質量%以上90質量%以下である。アクリル樹脂成分中に、熱可塑性重合体(C)を90質量%以下含有することで、得られるアクリル樹脂フィルムに適度な柔軟性と耐熱性とを容易に付与することが可能となる。アクリル樹脂成分中の熱可塑性重合体(C)の含有率は、フィルムの柔軟性維持の観点から、より好ましくは0質量%以上80質量%以下であり、更に好ましくは0質量%以上70質量%以下である。
以上より、上記アクリル樹脂成分中の、ゴム含有重合体(A)および熱可塑性重合体(C)の含有率はそれぞれ以下とすることが好ましい。即ち、アクリル樹脂成分(100質量%)が、ゴム含有重合体(A)を10質量%以上100質量%以下含み、かつ、熱可塑性重合体(C)を0質量%以上90質量%以下含むことが好ましい。また、アクリル樹脂成分(100質量%)が、ゴム含有重合体(A)を20質量%以上100質量%以下含み、かつ、熱可塑性重合体(C)を0質量%以上80質量%以下含むことがより好ましい。さらに、アクリル樹脂成分(100質量%)が、ゴム含有重合体(A)を30質量%以上100質量%以下含み、かつ、熱可塑性重合体(C)を0質量%以上70質量%以下含むことが特に好ましい。
なお、このアクリル樹脂成分中の、ゴム含有重合体(A)と熱可塑性重合体(C)との比率を変えることで容易にアクリル樹脂フィルムの耐熱性や柔軟性を調整できる。
<ゴム含有重合体(A)>
ゴム含有重合体(A)は、以下の2種類のゴム含有重合体のいずれか一方または両方である。
I)アクリル酸アルキルおよび多官能性単量体を必須成分として含む単量体成分(A−a)を重合して得られるゴム重合体(Aa)の存在下に、メタクリル酸アルキルを必須成分として含む単量体成分(A−b)を重合して得られるゴム含有重合体。
II)アクリル酸アルキルおよび多官能性単量体を必須成分として含む単量体成分(A−a)を重合して得られるゴム重合体(Aa)の存在下に、後述する単量体成分(A−c)を重合した後、さらにメタクリル酸アルキルを必須成分として含む単量体成分(A−b)を重合して得られるゴム含有重合体。
〔ゴム重合体(Aa)〕
ゴム重合体(Aa)のガラス転移温度(以下、Tgと称することがある)は、ゴム含有重合体(A)の柔軟性の観点から、好ましくは25℃未満、より好ましくは10℃以下、更に好ましくは0℃以下である。
尚、本発明において、Tgはポリマーハンドブック〔Polymer HandBook(J.Brandrup,Interscience,1989)〕に記載されている値を用いてFOXの式から算出した値をいう。
(単量体成分(A−a))
単量体成分(A−a)は、アクリル酸アルキルおよび多官能性単量体、ならびに、必要に応じて、後述する他の単量体を含むことができる。
・アクリル酸アルキル
単量体成分(A−a)中の必須成分であるアクリル酸アルキルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル及びアクリル酸n−オクチルが挙げられる。これらの中で、ゴム重合体(Aa)のTgの制御の観点から、アクリル酸n−ブチルが好ましい。これらは、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
単量体成分(A−a)中のアクリル酸アルキルの含有率は、好ましくは40質量%以上、99.9質量%以下である。単量体成分(A−a)中のアクリル酸アルキルの含有率が40質量%以上99.9質量%以下の範囲内であれば、ゴム重合体(Aa)に所望のTgを付与することが容易となる。また、単量体成分(A−a)中のアクリル酸アルキルの含有率は、ゴム重合体(Aa)のTgの制御の観点から、45質量%以上99.9質量%以下がより好ましく、50質量%以上99.9質量%以下が更に好ましい。
・多官能性単量体
単量体成分(A−a)中の必須成分である多官能性単量体としては、例えば、共重合性の二重結合を1分子内に2個以上有する架橋性単量体が挙げられる。多官能性単量体としては、例えば、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,3−ブチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,4−ブチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸プロピレングリコール等のジ(メタ)アクリル酸アルキレングリコール;ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン等のポリビニルベンゼン;トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等のシアヌレート系単量体;メタクリル酸アリル等のα,β−不飽和カルボン酸;ジカルボン酸のアリル、メタリル又はクロチルエステルが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」および「メタクリ
ル」の一方または両方を意味する。
単量体成分(A−a)中の多官能性単量体の含有率は、好ましくは0.1質量%以上10質量%以下である。単量体成分(A−a)中の多官能性単量体の含有率が0.1質量%以上であれば、柔軟性を有するゴム重合体(Aa)を得ることが容易となり、10質量%以下であれば、適度な架橋による柔軟性の維持が容易となる。また、単量体成分(A−a)中の多官能性単量体の含有率は、柔軟性の維持の観点から、0.2質量%以上9質量%以下がより好ましく、0.3質量%以上8質量%以下が更に好ましい。
・他の単量体
単量体成分(A−a)中のアクリル酸アルキル及び多官能性単量体以外の単量体としては、これらと共重合可能な二重結合を有する他の単量体が挙げられる。
アクリル酸アルキル及び多官能性単量体と共重合可能な二重結合を有する他の単量体としては、例えば、以下のものが挙げられる。即ち、メタクリル酸アルキル、アクリル酸低級アルコキシ、アクリル酸シアノエチル、アクリルアミド、(メタ)アクリル酸等の(メタ)アクリル系単量体;スチレン、アルキル置換スチレン等の芳香族ビニル単量体;ならびに、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
メタクリル酸アルキルとしては、例えば、アルキル基が直鎖状、分岐鎖状または環状のものが挙げられる。メタクリル酸アルキルの具体例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル及びメタクリル酸n−ブチル等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
他の単量体として、メタクリル酸アルキルを用いる場合、単量体成分(A−a)中のメタクリル酸アルキルの含有率は、好ましくは0質量%以上59.9質量%以下である。単量体成分(A−a)がメタクリル酸アルキルを59.9質量%以下含むことにより、ゴム重合体(Aa)のTgを制御することが容易となる。また、単量体成分(A−a)中のメタクリル酸アルキルの含有率は、得られるゴム重合体(Aa)のTgの観点から、0質量%以上54.9質量%以下がより好ましく、0質量%以上49.9質量%以下が更に好ましい。
他の単量体として、メタクリル酸アルキル以外の単量体を用いる場合、単量体成分(A−a)中のこれらと共重合可能な二重結合を有する他の単量体(メタクリル酸アルキルを除く)の含有率は、好ましくは0質量%以上30質量%以下である。単量体成分(A−a)がこれらの単量体を30質量%以下含むことにより、ゴム重合体(Aa)のTgを制御することが容易となる。
以上より、単量体成分(A−a)は、以下の組成を有する単量体組成物であることができる。
(a−i)アクリル酸アルキル 40質量%以上99.9質量%以下、(a−ii)多官能性単量体 0.1質量%以上10質量%以下、
(a−iii)メタクリル酸アルキル 0質量%以上59.9質量%以下、
(a−iv)共重合可能な二重結合を有する他の単量体(上記単量体(a−i)〜(a−iii)を除く) 0質量%以上30質量%以下。
・連鎖移動剤
単量体成分(A−a)を重合してゴム重合体(Aa)を得る際には、必要に応じて、連鎖移動剤を用いることができる。
上記の連鎖移動剤としては、例えば、炭素数2以上20以下のアルキルメルカプタン、メ
ルカプト酸類、チオフェノール及び四塩化炭素が挙げられる。
単量体成分(A−a)を重合する際の連鎖移動剤の使用量は、作製するゴム重合体(Aa)の性能に応じて適宜変更することができる。
(単量体成分(A−b))
単量体成分(A−b)は、メタクリル酸アルキルを必須成分とし、必要に応じて、メタクリル酸アルキルと共重合可能な二重結合を有する他の単量体を含むことができる。
・メタクリル酸アルキル
メタクリル酸アルキルとしては、単量体成分(A−a)において用いることができるメタクリル酸アルキルを同様に用いることができる。
単量体成分(A−b)中のメタクリル酸アルキルの含有率は、好ましくは51質量%以上100質量%以下であり、メタクリル酸アルキルは、単量体成分(A−b)中に主成分として含まれることができる。なお、主成分とは、対象物(ここでは、単量体成分(A−b))中に含有される成分のうち、最も含有割合の多い成分を意味する。
・他の単量体
メタクリル酸アルキルと共重合可能な二重結合を有する他の単量体としては、アクリル酸アルキル、アクリル酸低級アルコキシ、アクリル酸シアノエチル、アクリルアミド、(メタ)アクリル酸等の(メタ)アクリル系単量体;スチレン、アルキル置換スチレン等の芳香族ビニル単量体;ならびに、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。アクリル酸アルキルとしては、単量体成分(A−a)において用いることができるアクリル酸アルキルを同様に用いることができる。
他の単量体としてアクリル酸アルキルを用いる場合、単量体成分(A−b)中のアクリル酸アルキルの含有率は、好ましくは0質量%以上20質量%以下である。単量体成分(A−b)がアクリル酸アルキルを20質量%以下含むことにより、単量体成分として、単量体成分(A−b)のみを重合して得られる重合体のTgを制御することが容易となる。
他の単量体としてアクリル酸アルキル以外の単量体を用いる場合、単量体成分(A−b)中のメタクリル酸アルキルと共重合可能な二重結合を有する他の単量体(アクリル酸アルキルは除く)の含有率は、好ましくは0質量%以上49質量%以下である。単量体成分(A−b)がこれらの他の単量体(アクリル酸アルキルを除く)を49質量%以下含むことにより、単量体成分として、単量体成分(A−b)のみを重合して得られる重合体のTgの低下を抑制しつつ、これらの他の単量体に起因する物性をゴム含有重合体(A)に付与することが可能となる。
単量体成分として、単量体成分(A−b)のみを重合して得られる重合体のTgとしては、ゴム含有重合体(A)の耐熱性の観点から、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上、更に好ましくは70℃以上である。
以上より、単量体成分(A−b)は、以下の組成を有する単量体組成物であることができる。
(b−i)メタクリル酸アルキル 51質量%以上100質量%以下、(b−ii)アクリル酸アルキル 0質量%以上20質量%以下、
(b−iii)共重合可能な二重結合を有する他の単量体(上記単量体(b−i)および(b−ii)を除く) 0質量%以上49質量%以下。
・連鎖移動剤
単量体成分(A−b)を重合する際には、単量体成分(A−a)において用いることができる連鎖移動剤を同様に用いることができる。
(単量体成分(A−c))
単量体成分(A−c)は、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキルおよび多官能性単量体、ならびに、必要に応じて、これらと共重合可能な二重結合を有する他の単量体を含むことができる。このアクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキルおよび多官能性単量体は、単量体成分(A−a)に用いることができるものを同様に用いることができる。なお、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキルおよび多官能性単量体と共重合可能な二重結合を有する他の単量体としては、アクリル酸低級アルコキシ、アクリル酸シアノエチル、アクリルアミド、(メタ)アクリル酸等の(メタ)アクリル系単量体;スチレン、アルキル置換スチレン等の芳香族ビニル単量体;ならびに、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
また、単量体成分(A−c)は、以下の組成を有する単量体組成物であることが好ましい。
(c−i)アクリル酸アルキル 9.9質量%以上90質量%以下、
(c−ii)メタクリル酸アルキル 9.9質量%以上90質量%以下、
(c−iii)多官能性単量体 0.1質量%以上10質量%以下、
(c−iv)共重合可能な二重結合を有する他の単量体(上記単量体(c−i)〜(c−iii)を除く) 0質量%以上20質量%以下。
単量体成分(A−c)を上記組成とすることで、ゴム含有重合体(A)を含有するアクリル樹脂フィルムを折り曲げた際に生じる白化(耐折曲白化性)を抑制することが可能となる。
単量体成分として、単量体成分(A−c)のみを重合して得られる重合体のTgとしては、アクリル樹脂フィルムの耐折曲白化性の観点から、ゴム重合体(Aa)(単量体成分として単量体成分(A−a)のみを重合して得られる重合体)のTgより高いことが好ましい。単量体成分として、単量体成分(A−c)のみを重合して得られる重合体のTgの下限値は、耐熱性及び柔軟性の観点から、10℃以上が好ましい。また、単量体成分として、単量体成分(A−c)のみを重合して得られる重合体のTgの上限値は、製膜性及び耐折曲白化性の観点から、好ましくは100℃以下、より好ましくは80℃以下、更に好ましくは70℃以下である。
単量体成分(A−c)の組成は、単量体成分(A−a)の組成と異なることが好ましい。単量体成分(A−a)と単量体成分(A−c)との組成を異ならせることで、アクリル樹脂フィルムの耐折曲白化性を良好にすることが容易となる。
尚、重合体に関して言う「異なる組成」とは、重合体を形成する単量体の種類及び含有率のうちの少なくとも1つが異なるものをいう。
・連鎖移動剤
単量体成分(A−c)を重合する際には、単量体成分(A−a)において用いることができる連鎖移動剤を同様に用いることができる。
(各単量体成分の含有割合)
ゴム含有重合体(A)中の単量体成分(A−a)〜(A−c)単位の合計含有率を100質量%としたときに、ゴム含有重合体(A)中の単量体成分(A−a)単位の含有率は、製膜性、耐折曲白化性、耐熱性及び柔軟性の観点から、好ましくは5質量%以上80質量%以下、より好ましくは20質量%以上70質量%以下である。
ゴム含有重合体(A)中の単量体成分(A−a)〜(A−c)単位の合計含有率を100質量%としたときに、ゴム含有重合体(A)中の単量体成分(A−b)単位の含有率は、製膜性、耐成形白化性、耐熱性及び柔軟性の点から、好ましくは20質量%以上95質量%以下、より好ましくは30質量%以上80質量%以下である。
ゴム含有重合体(A)中の単量体成分(A−a)〜(A−c)単位の合計含有率を100質量%としたときに、単量体成分(A−c)単位の含有率は、製膜性、耐成形白化性、耐熱性及び柔軟性の点から、好ましくは0質量%以上35質量%以下、より好ましくは0質量%以上20質量%以下である。
なお、ゴム含有重合体(A)中の各単量体成分単位の含有割合は、ゴム含有重合体(A)を調製する際の各単量体成分の合計使用量を100質量%としたときの、各単量体成分の使用量(全単量体成分における含有率)(質量%)を計算することにより特定することができる。
<ゴム含有重合体(A)の製造方法>
ゴム含有重合体(A)の製造法としては、例えば、逐次多段乳化重合法、および乳化懸濁重合法が挙げられる。なお、各単量体成分を重合する際には、重合開始剤を使用することができる。
〔乳化縣濁重合法〕
ゴム含有重合体(A)を乳化縣濁重合法で製造する方法としては、ゴム重合体(Aa)の存在下に、必要に応じて単量体成分(A−c)を逐次多段乳化重合させた後に、単量体成分(A−b)重合時に懸濁重合系に転換させる方法を用いることができる。
〔逐次多段乳化重合法〕
ゴム含有重合体(A)を逐次多段乳化重合法で製造する方法としては、例えば、ゴム重合体(Aa)を得るための単量体成分(A−a)、水及び界面活性剤を混合して調製した乳化液を反応器に供給して重合した後に、単量体成分(A−c)及び単量体成分(A−b)をそれぞれ順に反応器に供給して重合する方法が挙げられる。なお、単量体成分(A−c)の使用は省略することができる。
上記の逐次多段乳化重合法で得られたゴム含有重合体(A)を用いて得られるアクリル樹脂フィルムは、フィルム中のフィッシュアイ数が少ないという特性の点で、好ましい。
(乳化液)
上記の乳化液としては、単量体成分(A−a)の油中に水滴が分散したW/O型、および、水中に単量体成分(A−a)の油滴が分散したO/W型のいずれの分散体でも使用することができる。
・界面活性剤
ゴム含有重合体(A)を逐次多段乳化重合法で製造する際に使用される界面活性剤としては、例えば、アニオン系、カチオン系及びノニオン系の界面活性剤が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
アニオン系の界面活性剤としては、例えば、ロジン石鹸、オレイン酸カリウム、ステアリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、N−ラウロイルザルコシン酸ナトリウム、アルケニルコハク酸ジカリウム系等のカルボン酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム等の硫酸エステル塩;ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム系等のスルホン酸塩;及びポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸ナトリウム系等のリン酸エステル塩が挙げられる。
アニオン系の界面活性剤の市販品の具体例としては、三洋化成工業(株)製の商品名:エレミノールNC−718、東邦化学工業(株)製の商品名:フォスファノールLS−529、フォスファノールRS−610NA、フォスファノールRS−620NA、フォスファノールRS−630NA、フォスファノールRS−640NA、フォスファノールRS−650NA及びフォスファノールRS−660NA、並びに、花王(株)製の商品名:ラテムルP−0404、ラテムルP−0405、ラテムルP−0406及びラテムルP−0407が挙げられる。
・乳化液の調製方法
単量体成分(A−a)、水及び界面活性剤を混合して乳化液を調製する方法としては、例えば、水中に単量体成分(A−a)を仕込んだ後、界面活性剤を投入する方法;水中に界面活性剤を仕込んだ後に単量体成分(A−a)を投入する方法;及び単量体成分(A−a)中に界面活性剤を仕込んだ後に水を投入する方法が挙げられる。
・混合装置
単量体成分(A−a)を水及び界面活性剤と混合して乳化液を調製するための混合装置としては、例えば、攪拌翼を備えた攪拌機;ホモジナイザー、ホモミキサー等の強制乳化装置;及び膜乳化装置が挙げられる。
(ゴム重合体(Aa)の重合方法)
尚、ゴム重合体(Aa)の重合方法としては、例えば、単量体成分(A−a)を一括(一段階)で重合する方法、単量体成分(A−a)を2以上(二段階以上)に分けて、多段で重合する方法が挙げられる。多段で重合する場合の単量体成分(A−a)は、同一成分(同一組成)の単量体成分を多段階で重合してもよいし、成分(組成)の異なる単量体成分を多段階で重合してもよい。
(重合開始剤)
ゴム含有重合体(A)中の単量体成分(A−a)、単量体成分(A−b)及び単量体成分(A−c)をそれぞれ重合する際に使用できる重合開始剤としては、公知のものが使用できる。また、その添加方法としては、例えば、反応系における、水相、および単量体相のいずれか片方に添加する方法、または、双方に添加する方法が挙げられる。
上記の重合開始剤としては、例えば、過酸化物、アゾ系開始剤、及び、過酸化物と酸化剤と還元剤とを組み合わせたレドックス系開始剤が挙げられる。
レドックス系開始剤の具体例としては、硫酸第一鉄、エチレンジアミン四酢酸ニナトリウム塩、ロンガリット及びヒドロパーオキサイドを組み合わせたスルホキシレート系開始剤が挙げられる。ヒドロパーオキサイドとして、クメンハイドロパーオキサイド、および、t−ブチルハイドロパーオキサイドが具体例として挙げられる。
(ゴム含有重合体(A)を含むラテックスの製造方法)
ゴム含有重合体(A)はラテックスの形態で得られることができる。ゴム含有重合体(A)を含むラテックスの製造方法として、単量体成分(A−a)を水及び界面活性剤と混合して調製した乳化液を反応器に供給して重合した後に、単量体成分(A−c)、及び単量体成分(A−b)をそれぞれ順に反応器に供給して重合する方法を用いる場合、以下の手順で重合開始剤を添加し、ゴム含有重合体(A)を含むラテックスを製造することが好ましい。即ち、まず、重合反応容器内に、酸化剤として硫酸第一鉄、キレート剤としてエチレンジアミン四酢酸ニナトリウム塩、及び、還元剤としてロンガリットを含む水溶液を調製し、その水溶液を重合温度まで昇温する。続いて、単量体成分(A−a)及び過酸化物を水及び界面活性剤と混合して調製した乳化液を、この反応容器に供給して重合する。次いで、単量体成分(A−c)及び過酸化物と、単量体成分(A−b)及び過酸化物とを順次、この反応容器に供給して重合し、ゴム含有重合体(A)を含むラテックスを得る。なお、この際、上記単量体成分(A−c)の使用は省略することができる。
・重合温度
ゴム含有重合体(A)を含むラテックスを得るための重合温度としては、用いる重合開始剤の種類や量によって異なるが、例えば、40℃以上120℃以下とすることができる。
・濾過処理
重合により得られたゴム含有重合体(A)を含むラテックスは、必要に応じて濾材を配した濾過装置を用いて処理することができる。この濾過処理は、ゴム含有重合体(A)を含むラテックスからの、重合中に発生したスケールの除去、ならびに、重合原料中若しくは重合中に外部から混入する夾雑物の除去に使用される。
上記の濾材を配した濾過装置としては、例えば、袋状のメッシュフィルターを利用したISPフィルターズ・ピーテーイー・リミテッド社のGAFフィルターシステム、円筒型濾過室内の内側面に円筒型の濾材を配し、この濾材内に攪拌翼を配した遠心分離型濾過装置、ならびに、濾材がこの濾材面に対して水平の円運動及び垂直の振幅運動をする振動型濾過装置が挙げられる。
(ゴム含有重合体(A)の回収方法)
ゴム含有重合体(A)はゴム含有重合体(A)を含むラテックスから回収することによって粉状物として得ることができる。
ゴム含有重合体(A)を含むラテックスからゴム含有重合体(A)を回収する方法としては、例えば、塩析または酸析による凝固方法、噴霧乾燥法及び凍結乾燥法が挙げられる。
ゴム含有重合体(A)を、金属塩を用いた塩析処理による凝固法で回収する場合、最終的に得られたゴム含有重合体(A)中の残存金属含有量を800質量ppm以下にすることが好ましく、さらに、残存金属含有量は微量であるほど好ましい。
上記の塩析処理における金属塩として、例えば、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム等の水との親和性の強い金属塩が挙げられる。この中でも、残存金属によるアクリル樹脂フィルムへの着色の観点から、金属塩として、カルシウム塩を用いることが好ましい。これらの金属塩を使用する場合には、ゴム含有重合体(A)中の残存金属含有量を極力少なくすることにより、アクリル樹脂フィルムを沸騰水中に浸漬する際の白化現象を容易に抑制できる。
<熱可塑性重合体(C)>
上述したように、本発明のアクリル樹脂フィルムを構成するアクリル樹脂組成物(D)には、アクリル樹脂成分として、ゴム含有重合体(A)以外に、熱可塑性重合体(C)を含有させることができる。
熱可塑性重合体(C)は、メタクリル酸アルキル単位を主成分とする重合体である。
アクリル樹脂フィルムの耐熱性の観点から、熱可塑性重合体(C)は、以下の単量体を含有する単量体組成物(単量体成分)(C)を重合して得られる重合体であることが好ましい。
(C−1)メタクリル酸アルキル 50質量%以上100質量%以下、
(C−2)アクリル酸アルキル 0質量%以上50質量%以下、
(C−3)これら(単量体成分(C−1)および(C−2))と共重合可能な二重結合を有する他の単量体 0質量%以上49質量%以下。
上記単量体(C−1)〜(C−3)は、ゴム重合体(Aa)において用いることができるものを同様に用いることができる。なお、単量体(C−3)は、メタクリル酸アルキルおよびアクリル酸アルキル以外の単量体である。これらの単量体は、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
単量体組成物(C)中のメタクリル酸アルキルの含有率は、アクリル樹脂フィルムの耐熱性の観点から、好ましくは50質量%以上100質量%以下、より好ましくは65質量%以上99.9質量%以下、更に好ましくは80質量%以上99.9質量%以下である。
単量体組成物(C)中のアクリル酸アルキルの含有率は、アクリル樹脂フィルムの耐熱性の観点から、好ましくは0質量%以上50質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上35質量%以下、更に好ましくは0.1質量%以上20質量%以下である。
単量体組成物(C)中の上記これらと共重合可能な二重結合を有する他の単量体の含有率は、アクリル樹脂フィルムの耐熱性の観点から、好ましくは0質量%以上49質量%以下である。
熱可塑性重合体(C)の重合方法としては、例えば、懸濁重合法、乳化重合法及び塊状重合法を用いることができる。
<アンチブロッキング剤(B)>
本発明のアクリル樹脂フィルムを構成するアクリル樹脂組成物(D)は、アンチブロッキング剤(B)を必須成分として含有する。
アンチブロッキング剤(B)を含有することで、アクリル樹脂フィルム同士のブロッキングによるシワの発生、ロール状に巻き取ったフィルムのブロッキングに起因する凹凸の発生を抑制することが可能となる。
アクリル樹脂フィルムの透明性や摩擦係数の観点から、アクリル樹脂組成物(D)における、アンチブロッキング剤(B)の含有量は、アクリル樹脂成分の合計含有量100質量部に対して、0.02質量部0.5質量部以下であることが好ましい。アンチブロッキング剤の含有量を0.02質量部以上とすることで、フィルムのブロッキングを容易に防止することが可能となり、0.5質量部以下とすることで、ブロッキングを容易に防止することができ、さらに、フィルムの透明性を容易に維持することが可能となる。アクリル樹脂成分合計100質量部に対する、アンチブロッキング剤の含有量は、ブロッキングの抑制とフィルムの透明性の両立の観点から、より好ましくは0.02質量部以上0.4質量部以下、更に好ましくは0.02質量部以上0.3質量部以下である。
アンチブロッキング剤(B)としては、特に制限はなく、公知のアンチブロッキング剤を適宜用いることができる。このアンチブロッキング剤(B)としては、例えば、有機系架橋粒子、無機系架橋粒子、および有機無機複合粒子等の粒子を挙げることができる。これらは1種を単独で用いても良く、また、2種以上を併用しても良い。
有機系架橋粒子としては、例えば、スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン等のスチレン系モノマーと、多官能性単量体とから得られる架橋スチレン樹脂粒子;メタクリル酸メチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸メチル、アクリル酸n−ブチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル類と、多官能性単量体とから得られる架橋アクリル樹脂粒子;架橋させたウレタン樹脂からなる架橋ウレタン樹脂粒子;メラミン樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂からなる架橋粒子が挙げられる。なお、多官能性単量体としては、例えば、単量体成分(A−a)に用いることができるものを同様に用いることができる。
無機系架橋粒子としては、例えば、二酸化ケイ素、アルミノシリケート、タルク等のケイ酸マグネシウム、カオリン等のケイ酸アルミニウム、アルミナ、チタニア、ホウ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、シリコン樹脂が挙げられる。
なお、得られるアクリル樹脂フィルムの透明性の観点から、アンチブロッキング剤(B)として、有機系架橋粒子を用いることが好ましい。中でも、屈折率が1.45以上1.53以下の有機系架橋粒子を用いることがより好ましく、さらに、屈折率が1.47以上1.51以下の有機系架橋粒子を用いることが特に好ましい。
また、アンチブロッキング剤(B)は、本発明に用いるアクリル樹脂成分との屈折率差の観点から、有機系架橋粒子の中でも、(メタ)アクリル酸アルキルエステル類と、多官能性単量体とから得られる架橋アクリル樹脂粒子であることが好ましい。
アンチブロッキング剤(B)の粒子径は、特に制限はないが、0.1μm以上10μm以下であることが好ましい。粒子径がこの範囲内であれば、フィルム同士のブロッキングを容易に抑制しつつ、フィルムの透明性を容易に維持することが可能となる。アンチブロッキング剤(B)の粒子径は、ブロッキングの抑制とフィルムの透明性の両立の観点から、より好ましくは0.3μm以上8μm以下、更に好ましくは0.5μm以上6μm以下である。
なお、アンチブロッキング剤(B)の粒子径は、以下の方法により特定することができる。まず、用いるアンチブロッキング剤(B)をイオン交換水に分散させ、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置((株)島津製作所製、商品名:「SALD−7100」)を用いて、体積平均換算におけるメジアン径を求める。そして、そのメジアン径を粒子径とすることにより、アンチブロッキング剤(B)の粒子径を特定することができる。
<配合剤>
アクリル樹脂組成物(D)中には、必要に応じて、安定剤、滑剤、加工助剤、艶消し剤、光拡散剤、可塑剤、耐衝撃助剤、発泡剤、充填剤、着色剤、抗菌剤、防かび剤、離型剤、帯電防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤等の各種配合剤を含むことができる。
(紫外線吸収剤および光安定剤)
アクリル樹脂フィルムを使用した製品を保護するために、アクリル樹脂フィルムに耐候性を付与する観点から、アクリル樹脂組成物(D)中には、紫外線吸収剤及び光安定剤を配合することが好ましい。
・紫外線吸収剤
アクリル樹脂組成物(D)中に配合される紫外線吸収剤の分子量としては300以上が好ましく、400以上がより好ましい。紫外線吸収剤の分子量が300以上の場合、アクリル樹脂フィルムを製造する際に使用される金型の汚れを抑制することが容易である。
紫外線吸収剤の種類としては、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及びトリアジン系紫外線吸収剤が挙げられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の市販品としては、例えば、BASF社製の商品名:チヌビン234、ADEKA社製の商品名:アデカスタブLA−31が挙げられる。
トリアジン系紫外線吸収剤の市販品としては、例えば、BASF社の商品名:チヌビン1577、チヌビン1600、ADEKA社製の商品名:LA−F70が挙げられる。
紫外線吸収剤の添加量は、耐候性付与の観点から、アクリル樹脂組成物(D)を構成するアクリル樹脂成分合計100質量部に対して、0.1質量部以上10質量部以下が好ましい。紫外線吸収剤の添加量は、耐候性付与の観点から、アクリル樹脂成分合計100質量部に対して、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは1.0質量部以上である。
また、紫外線吸収剤の添加量は、フィルムの製膜時の工程汚れ、耐溶剤性、透明性の観点から、アクリル樹脂成分合計100質量部に対して、5質量部以下がより好ましく、3質量部以下が更に好ましい。
・光安定剤
光安定剤としては、アクリル樹脂フィルムの分野で公知のものを用いることができるが、耐候性付与の観点から、特にヒンダードアミン系光安定剤等のラジカル捕捉剤が好ましい。
このような光安定剤の市販品として、例えば、BASF社製の商品名:CHIMASSORB2020、CHIMASSORB944、チヌビン765、チヌビン770、ADEKA社の商品名:アデカスタブLA−57、アデカスタブLA−67、アデカスタブLA−77等が挙げられる。
光安定剤の添加量は、耐候性付与の観点から、アクリル樹脂組成物(D)を構成するアクリル樹脂成分合計100質量部に対して、0.1質量部以上5質量部以下が好ましい。
光安定剤の添加量は、耐候性付与の観点から、アクリル樹脂成分合計100質量部に対して、より好ましくは0.15質量部以上、更に好ましくは0.20質量部以上である。ま
た、光安定剤の添加量は、フィルムの製膜時の工程汚れを防止する観点から、アクリル樹脂成分合計100質量部に対して、より好ましくは2質量部以下、更に好ましくは1質量部以下である。
(着色剤)
本発明のアクリル樹脂フィルムを表皮材(表皮層)に用いた再帰反射シートを作製する場合には、再帰反射シートの用途に応じて、アクリル樹脂組成物(D)に着色剤を配合することが好ましい。
着色剤の添加量は、得られるアクリル樹脂フィルムや再帰反射シートの外観や規格に応じて適宜決定することができる。
着色剤の種類としては、特に制限はなく、用途に応じた色にアクリル樹脂フィルムを着色可能であれば、染料および顔料のいずれであっても構わない。
染料としては、水溶性染料、分散染料、および、油溶性染料のいずれでも構わないが、フィルムとした際の耐候性、耐水白化性の観点から、油溶性染料もしくは分散染料を用いることが好ましい。これらの染料は単一成分のものを単独で用いてもよいし、複数の種類を組み合わせて用いてもよい。
顔料としては、無機顔料および有機顔料のいずれも使用できる。顔料の種類は、アクリル樹脂への分散性を考慮し、適宜決定することができる。顔料は単一成分のものを単独で用いてもよいし、複数の種類を組み合わせて用いてもよい。
また、必要に応じて、染料及び顔料を併用することもできる。
<アクリル樹脂組成物(D)の調製方法>
アクリル樹脂組成物(D)の形状は、特に制限されないが、例えば、塊状物、粉体状物及びペレット状物とすることができる。これらの中で、アクリル樹脂組成物(D)の取り扱い性の観点から、アクリル樹脂組成物(D)は、ペレット状物とすることが好ましい。
アクリル樹脂組成物(D)中にアンチブロッキング剤(B)を添加する方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。アクリル樹脂組成物(D)をペレット状物にする前に、アンチブロッキング剤(B)をあらかじめ添加しておき、その後、アクリル樹脂組成物(D)をペレット状物とする方法。ペレット状物としたアクリル樹脂組成物(D)(アンチブロッキング剤(B)を除く)に、アンチブロッキング剤(B)を添加する方法。
これらの方法の中でも、アクリル樹脂組成物(D)をフィルム状に成形した際の、フィルム中のアンチブロッキング剤(B)濃度のバラツキの観点から、アクリル樹脂組成物(D)をペレット状物とする前にアンチブロッキング剤(B)をあらかじめ添加しておく方法が好ましい。
各種配合剤を添加する方法としては、アンチブロッキング剤(B)を添加する方法と同様に、アクリル樹脂組成物(D)をペレット状物とする前にあらかじめ配合剤を添加しておく方法が好ましい。
以上より、アクリル樹脂成分(例えば、ゴム含有重合体(A)および熱可塑性重合体(C))と、アンチブロッキング剤(B)と、必要に応じて各種配合剤とを混合して、アクリル樹脂組成物(D)を調製し、この樹脂組成物をペレット状物にすることが好ましい。
<アクリル樹脂フィルムの製造方法(アクリル樹脂組成物(D)の成形方法)>
アクリル樹脂フィルムの製造法としては、例えば、溶融流延法、Tダイ法、インフレーション法等の溶融押出法及びカレンダー法が挙げられるが、経済性の観点から、Tダイ法が好ましい。
アクリル樹脂フィルムはTダイを備えた押出機等で製膜した後、巻き取り機で紙管等の管状物に巻き取って、ロール状物品とすることができる。
アクリル樹脂フィルムの表面には、微細構造を形成することもできる。微細構造を形成する方法としては、例えば、熱転写法及びエッチング法が挙げられる。
これらの中で、微細構造を有する金型を加熱した後に、アクリル樹脂フィルムの表面に、加熱された金型をプレスしてアクリル樹脂フィルムの表面に微細構造を形成する熱転写法が生産性や経済性の点で好ましい。
上記の熱転写法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。微細構造を有する金型を、ロール状物品から切り出されたアクリル樹脂フィルムに加熱プレスして微細構造を枚葉で熱転写させる方法。ならびに、加熱されたベルト状の微細構造を有する金型に、ニップロールを用いてロール状物品から巻き出されたアクリル樹脂フィルムを挟みこみ加圧し、アクリル樹脂フィルムの表面に微細構造を熱転写させる連続賦形方法。
上記の微細構造を有する金型を作製する方法としては、例えば、サンドブラスト法、エッチング法及び放電加工法が挙げられる。
<<再帰反射シート>>
本発明の再帰反射シートは、表皮材として、本発明のアクリル樹脂フィルムを有する。再帰反射シートの種類としては、封入レンズ型再帰反射シート、アルミニウム蒸着を施したガラスビーズを基材に埋め込んだカプセル型再帰反射シート、プリズム加工した樹脂シートを反射体として使用したプリズム型再帰反射シート等がある。本発明のアクリル樹脂フィルムは、いずれのタイプの再帰反射シートについても、その表面に配置して、表皮材(表皮層)として使用することができる。
再帰反射シートの構成としては、例えば、光の入射する方向から、本発明のアクリル樹脂フィルム(表皮層)、再帰反射素子層(反射素子層)、および、結合剤層の順に構造が形成されている再帰反射シートが挙げられる。この際、再帰反射シートの保護と意匠性付与のために、アクリル樹脂フィルムが表皮材となる。用いるアクリル樹脂フィルムは1層でも2層以上の多層構造であってもよい。
上記反射素子層は、後述する再帰反射物品の再帰反射性能の観点から、ビーズ形状のレンズまたはプリズム形状のレンズであることが好ましい。
また、結合剤層の背面(反射素子層とは反対側の面)には、再帰反射シートの強度の向上、寸法安定性の改善、水分及び化学薬品等の浸入を防止する目的で、支持体層を設置することも可能である。この支持体層を構成する材料としては、例えば、樹脂、繊維、布、ならびに、ステンレス鋼およびアルミニウムなどの薄層金属シートを、それぞれ単独で、または、複数を併用することができる。
さらに、結合剤層もしくは支持体層の背面には、再帰反射シートを金属板、木板、ガラス板、プラスティック板などに貼付するために、接着剤層を設けることができ、さらに、この接着剤層保護のための剥離材層を設けることができる。接着剤及び剥離材は適宜、再帰反射シートの分野で公知のものを選択して用いることができる。
即ち、再帰反射シートは、光の入射する方向から、本発明のアクリル樹脂フィルム、反射素子層、結合剤層、支持体層、接着剤層、および、剥離材層をこの順に有する積層構造とすることができる。
また、本発明のアクリル樹脂フィルムが積層された再帰反射シートは、以下の測定条件におけるXYZ表色系での色度座標(x,y)が、各色ともASTM D4956に規定される色度座標の範囲内であることが好ましい。また、明るさの尺度とされるY値も同様に、ASTM D4956に規定される値の範囲内であることが好ましい。
測定条件:再帰反射シートのアクリル樹脂フィルム側を、反射測定の0°照明、45°円周受光により、標準の光D65、10°視野の条件で測定する。
ASTM D4956に規定される色度座標の具体例としては、例えば、白色の再帰反射シートであれば、上記測定条件で測定した再帰反射シートの色度座標(x,y)が、(0.303,0.300)、(0.368,0.366)、(0.340,0.393)及び(0.274,0.329)そして最初の(0.303,0.300)の各座標を順に直線で結ぶことによって囲まれる領域内にあることとされる。なお、この領域を図1に示す。また、ガラスビーズを用いた白色のカプセル型再帰反射シートのY値としては、27以上であることとされている。
黄色の再帰反射シートであれば、上記測定条件で測定した再帰反射シートの色度座標(x,y)が、(0.498,0.412)、(0.557,0.442)、(0.479,0.520)及び(0.438,0.472)そして最初の(0.498,0.412)の各座標を順に直線で結ぶことによって囲まれる領域内にあることとされる。なお、この領域を図3に示す。また、ガラスビーズを用いた黄色のカプセル型再帰反射シートのY値としては、15以上45以下であることとされている。
青色の再帰反射シートであれば、上記測定条件で測定した再帰反射シートの色度座標(x,y)が、(0.140,0.035)、(0.224,0.210)、(0.190,0.255)及び(0.065,0.216)そして最初の(0.140,0.035)の各座標を順に直線で結ぶことによって囲まれる領域内にあることとされる。なお、この領域を図5に示す。また、ガラスビーズを用いた青色のカプセル型再帰反射シートのY値としては、1.0以上10以下であることとされている。
例えば、カプセル型再帰反射シートは以下のようにして製造される。
まず、仮支持体層にガラスビーズの上半球部分を一旦埋込み、ビーズの下半球部分とビーズ相互の間隙にわたって一面に金属膜を蒸着してから、これに密着して熱可塑性ポリマからなる支持フィルムを塗布形成する。次に、その面を更に耐熱性樹脂などからなるフィルムで被覆して反対側の上記仮支持体層を剥離し、露呈したガラスビーズの上半球部の上に本発明のアクリル樹脂フィルムを重ねる。次に、所望の独立小区画空室を作るための凸形網目パターンを有する金型によって、耐熱性樹脂などからなるフィルム側から加熱プレスし、支持フィルムを熱溶融してアクリル樹脂フィルムと部分的に密着させる。そして、上記パターンどおりの連結壁を形成して独立小区画空室を形成して、カプセル型再帰反射シートを製造する。
また、アクリル樹脂フィルムの表面に直接上記のプリズム加工を施し、プリズム加工されていない側を表面側、プリズム加工側を再帰反射素子として、アクリル樹脂フィルムをそのままプリズム型再帰反射シートとすることもできる。
アクリル樹脂フィルムをそのままプリズム型再帰反射シートとする場合の製造方法としては、例えば、まず熱プレスにより微細構造を有するアクリル樹脂フィルムを作製し、得られたアクリル樹脂フィルムと結合剤層もしくは結合剤層と支持体層が一体化したシートを網目状の突起を持った金型ロールとゴムロールの間に通して、密封封入構造を形成させる再帰反射シートの製造方法が挙げられる。
<<再帰反射物品>>
本発明の再帰反射物品は、本発明の再帰反射シートを用いる。再帰反射物品の具体例としては、看板、道路標識等を挙げることができる。
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。尚、以下において、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を表す。また、以下の説明で使用される略語は以下の通りである。
MMA: メタクリル酸メチル
n−BA: アクリル酸n−ブチル
St: スチレン
BDMA: ジメタクリル酸1,3−ブチレングリコール
AMA: メタクリル酸アリル
CHP: クメンハイドロパーオキサイド
t−BH: t−ブチルハイドロパーオキサイド
n−OM: n−オクチルメルカプタン
EDTA: エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム
SFS: ソジウムホルムアルデヒドスルホキシレート(ロンガリット)
RS610NA:ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸ナトリウム(東邦化学工業(株)製、商品名:フォスファノールRS610NA)。
各種評価については、以下の方法により実施した。
(1)アクリル樹脂フィルムの引張弾性率(x)
得られたアクリル樹脂フィルムを、試験片の長さ方向とMD方向が水平となるように、JIS−K7127(ISO527−3)に規定されるフィルム状の試験片(JIS−K7127に記載の短冊状試験片(試験片タイプ2)、幅:15mm、長さ:150mm)のサイズにカットし、この試験片を5つ用意した。
試験条件はJIS−K7161に準拠した、試験雰囲気:温度23℃、相対湿度50%、チャック間距離:100mm、引張試験速度:100mm/minの条件の下、用意した試験片5つをそれぞれ引張試験にかけて、得られた5つの弾性率の平均値を引張弾性率(x)(単位:MPa)として用いた。
尚、引張試験機としては、島津製作所(株)製の「精密万能試験機 AGS−X−5kN(商品名)」において1kNのロードセルを用いた。
(2)アクリル樹脂フィルムの静摩擦係数(M)及び動摩擦係数(M
JIS−K7125に準拠した摩擦試験測定用の装置、接触面積40cm(一片の長さ63mm)で200g±2gの滑り片を用い、試験速度:100mm/min、試験雰囲気:温度23℃、相対湿度50%の試験条件にて、アクリル樹脂フィルムの静摩擦係数(M)及び動摩擦係数(M)の測定を行った。
試験片としては、滑り片(40cm、一片の長さ63mm)と同形状のアクリル樹脂フィルムを2枚ずつ3組用意した。
また、測定の際3組とも、フィルムをロール状物とした際に、フィルム同士が重なる面と同じ面が重なるよう設置し、更に試験方向とフィルムのMD方向が平行になるように実施した。
静摩擦係数(M)、及び動摩擦係数(M)ともに3組の試験結果の平均値を測定値として用いた。
尚、摩擦試験測定装置としては、東洋精機(株)製の「水平型摩擦試験機 TR−2(商品名)」において10Nのロードセルを用いた。
(3)アクリル樹脂フィルムの引張弾性率(x)/静摩擦係数(M)
前述した(1)及び(2)で得られた引張弾性率(x)及び静摩擦係数(M)の測定結果を用いて、x/Mを算出した。
(4)アクリル樹脂フィルムのブロッキング性評価
得られたアクリル樹脂フィルムをA4サイズにカットし、このカットしたフィルムを、ロール状物とした際にフィルム同士が重なる面と同じ面が重なるように約40枚重ね合わせた。その後、重ね合わせたフィルムを温度23℃、相対湿度50%の環境下で30日間静置した。静置後、フィルム同士がブロッキングしているかどうかを以下の基準に基づいて評価した。
(評価基準)
〇:目視でフィルム同士のブロッキングが確認されず、フィルムを剥がした際にも抵抗を感じない。さらに、ブロッキングに起因するシワや凹凸も確認されない。
×:目視でフィルム同士のブロッキングが確認でき、フィルムを剥がした際に貼り付きによる抵抗を感じる。さらに、ブロッキングに起因するシワや凹凸が確認される。
(5)アクリル樹脂フィルムの光学特性(全光線透過率及びヘイズ)
製造した直後のアクリル樹脂フィルムの全光線透過率(単位:%)及びヘイズ(単位:%)を測定した。
尚、ヘイズはJIS K7136に準拠して、日本電色工業(株)製のNDH4000(商品名)を用いて測定した。
(6)アクリル樹脂組成物(D)にアンチブロッキング剤(AB剤)を含む場合(H2)と含まない場合(H1)とのヘイズの差(H2−H1)
アクリル樹脂組成物(D)にアンチブロッキング剤を含む場合のフィルムのヘイズ(H2)と、アンチブロッキング剤を含まない場合のフィルムのヘイズ(H1)との差(H2−H1)を、上記(5)で得られたヘイズの測定結果を用いて算出した。
なお、後述の実施例1〜5および比較例2〜3では、H1として比較例1のヘイズ値を利用した。実施例6〜10および比較例5では、H1として比較例4のヘイズ値を使用した。実施例11〜12および比較例7〜8では、H1として比較例6のヘイズ値を使用した。実施例13では、H1として比較例9のヘイズ値を利用し、実施例14では、H1として比較例10のヘイズ値を利用した。
(7)アクリル樹脂フィルムの色度座標(x,y)及びY値
市販のカプセルレンズ型再帰反射シート(白)(ニッカポリマ(株)製、商品名:ニッカライトULS)上に得られたアクリル樹脂フィルムを貼り合わせた。そして、そのアクリル樹脂フィルム側を、反射測定の0°照明、45°円周受光により、標準の光D65、10°視野の条件で測定し、色度座標(x,y)が、ASTM D4956に規定される色度座標(x,y)の範囲内であるかどうか、及びY値がASTM D4956の範囲内であるかどうかを確認した。そして各例の結果を図2、図4または図6に記載した。
尚、色度座標(x,y)及びY値の測定装置としては、日本電色工業(株)製のSE−2000(商品名)を用いて上記条件により測定した。
(8)再帰反射シートの視認性
得られた再帰反射シートを、暗所にてハロゲンランプで照らし、反射する光を目視で確認することで、再帰反射性能(視認性)を以下の基準により評価した。
○:再帰反射性能が高く、視認性が良好。
△:再帰反射性能は僅かに劣るものの、光の反射は十分にあり視認性は良好。
×:再帰反射性能に劣るため、光の反射はあるものの視認性は不良。
(9)アンチブロッキング剤(B)の粒子径の測定方法
用いるアンチブロッキング剤(B)をイオン交換水に分散させ、測定に十分な濃度まで希釈し、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置((株)島津製作所製、商品名:「SALD−7100」)を用いて、体積平均換算におけるメジアン径を求め、そのメジアン径を粒子径とした。
[調製例1]ゴム含有重合体(A−1)
攪拌機及び冷却器を備えた容器にイオン交換水8.5部を仕込んだ後、この容器に、MMA0.3部、n−BA4.5部、BDMA0.2部、および、AMA0.05部からなる単量体成分(A−a−1)、ならびに、重合開始剤であるCHP0.025部を投入し、攪拌混合した。次いで、乳化剤としてRS610NA1.1部を攪拌しながら上記容器に投入し、再度20分間攪拌を継続し、単量体成分(A−a−1)を含有する乳化液を調製した。
次に、冷却器付き反応容器内にイオン交換水186.5部を投入し、これを70℃に昇温し、更に、イオン交換水5部にSFS0.20部、硫酸第一鉄0.0001部、およびEDTA0.0003部を加えて調製した混合物をこの反応容器に一括投入した。次いで、窒素下で撹拌しながら、単量体成分(A−a−1)を含有する乳化液を8分間かけてこの反応容器に滴下した後、15分間反応を継続させて単量体成分(A−a−1)から得られる重合体を得た。
続いて、上記容器内に、MMA1.5部、n−BA22.5部、BDMA1.0部、およびAMA0.25部からなる単量体成分(A−a−2)、ならびに、重合開始剤であるCHP0.016部を90分間かけて添加した後、60分間反応を継続させてゴム重合体(Aa−1)を得た。ここで、ゴム重合体(Aa−1)のTgは−47℃であった。
続いて、MMA6.0部、n−BA4.0部、およびAMA0.08部からなる単量体成分(A−c−1)、ならびに、重合開始剤であるCHP0.013部を45分間かけて上記反応容器に滴下した後、60分間反応を継続させて中間重合体(Aac−1)を形成させた。ここで、単量体成分として、単量体成分(A−c−1)のみから構成される重合体のTgは20℃であった。
次いで、MMA55.2部、およびn−BA4.8部からなる単量体成分(A−b−1)、ならびに、連鎖移動剤であるn−OM0.22部、および重合開始剤であるt−BH0.08部を140分間かけて上記反応容器に滴下した後、60分間反応を継続させてゴム含有重合体(A−1)を含むラテックスを得た。ここで、単量体成分として、単量体成分(A−b−1)のみから構成される重合体のTgは84℃であった。
得られたアクリル系ゴム含有重合体(A−1)を含むラテックスを、濾材にSUS(ステンレス鋼)製のメッシュ(平均目開き62μm)を取り付けた振動型濾過装置を用いて濾過した後、酢酸カルシウム3部を含む水溶液中で塩析させ、水洗回収後、乾燥し、粉体状のゴム含有重合体(A−1)を得た。
ゴム含有重合体(A−1)の組成については表1にまとめた。
[調製例2]ゴム含有重合体(A−2)の製造
冷却器付き反応容器内にイオン交換水195部を投入し、70℃に昇温し、更に、イオン交換水5部にSFS0.10部、硫酸第一鉄0.0002部、およびEDTA0.0006部を加えて調製した混合物をこの容器に一括投入した。
次いで、窒素下で撹拌しながら、MMA2.3部、n−BA2.13部、St0.37部、およびBDMA0.2部からなる単量体成分(A−a−3)、ならびに、重合開始剤であるCHP0.01部、及び乳化剤(RS610NA)1.3部を含む混合物を8分間かけて上記反応容器に滴下した後、15分間反応を継続させて単量体成分(A−a−3)から得られる重合体を得た。
続いて、この重合容器内に、n−BA24.54部、St4.26部、BDMA1.2部、およびAMA0.225部からなる単量体成分(A−a−4)、ならびに、重合開始剤であるCHP0.03部を90分間かけて添加した後、60分間反応を継続させてゴム重合体(Aa−2)を得た。ここで、ゴム重合体(Aa−2)のTgは−34℃であった。
続いて、上記重合容器内に、MMA6部、n−BA3.28部、St0.72部、およびAMA0.15部からなる単量体成分(A−c−2)、ならびに、重合開始剤であるCHP0.02部を30分間かけて滴下した後、60分間反応を継続させて重合体を形成させた。ここで、単量体成分として、単量体成分(A−c−2)のみから構成される重合体のTgは32℃であった。
次いで、上記重合容器内に、MMA52.25部、n−BA2.26部、およびSt0.49部からなる単量体成分(A−b−2)、ならびに、連鎖移動剤であるn−OM0.193部、および重合開始剤であるtBH0.055部を130分間かけて滴下した後、60分間反応を継続させて重合体を形成させ、ゴム含有重合体(A−2)を含有するアクリル樹脂ラテックスを得た。ここで、単量体成分として、単量体成分(A−b−2)のみから構成される重合体のTgは94℃であった。
得られたゴム含有重合体(A−2)を含むラテックスを、濾材にSUS製のメッシュ(平均目開き62μm)を取り付けた振動型濾過装置を用い濾過した後、酢酸カルシウム3部を含む水溶液中で塩析させ、水洗回収後、乾燥し、粉体状のゴム含有重合体(A−2)を得た。
ゴム含有重合体(A−2)の組成については表1にまとめた。
[実施例1]
調製例1で得られたゴム含有重合体(A−1)100部からなるアクリル樹脂成分に、アンチブロッキング剤(B)として(株)日本触媒製の粒子径が3.0μm(体積平均換算におけるメジアン径から算出)、屈折率が1.51である架橋アクリル樹脂粒子「エポ
スターMA1002」(商品名)を0.02部添加し、更に紫外線吸収剤、光安定剤、抗酸化剤を表2に示す配合量で添加し、ヘンシェルミキサーを用いて混合し、アクリル樹脂組成物(D)を得た。
ここで、紫外線吸収剤としては、ADEKA社製のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤である「LA−31」(商品名)を用いた。光安定剤としては、ADEKA社製のヒンダードアミン系光安定剤である「LA−57」(商品名)を用いた。抗酸化剤としては、BASF(株)製のヒンダードフェノール系酸化防止剤である「イルガノックス1076」(商品名)を用いた。
このアクリル樹脂組成物(D)を240℃に加熱した脱気式2軸混練押出機(東芝機械(株)製、商品名:TEM−35B)に供給し、混練してアクリル樹脂組成物(D)のペレット状物を得た。
得られたアクリル樹脂組成物(D)のペレットを、300mm幅のTダイを取り付けた40mmφ(直径)のノンベントスクリュー型押出機(L/D=26)を用いてシリンダー温度200℃〜240℃、Tダイ温度250℃及び冷却ロール温度80℃の条件で製膜した。そして、得られたアクリル樹脂フィルムを巻き取り機で紙管に巻き取り、厚さが75μmである、無色で透明性の高いアクリル樹脂フィルムを得た。
アクリル樹脂フィルムの引張弾性率(x)は1200MPaであり柔軟性に優れるフィルムであった。アクリル樹脂フィルムの静摩擦係数(M)は1.1、動摩擦係数(M)は0.9であった。
また、実施例1では、フィルムを重ね合わせて30日間静置した際のフィルム同士のブロッキングは確認されなかった。また、ブロッキングに起因するシワや凹凸も確認されなかった。これは、アクリル樹脂組成物(D)がアンチブロッキング剤(B)を含有し、かつ、引張弾性率(x)と静摩擦係数(M)から求められるx/Mの値が1091となり上述した式(1)の関係を満たしたためだと考えられる。
フィルムの全光線透過率は93%であり、後述するアンチブロッキング剤(B)を含有しない比較例1に記載のアクリル樹脂フィルムとのヘイズの差も+0.1を示したことから、アンチブロッキング剤(B)を含有しつつも、透明性を維持できていることが確認された。
また、上記フィルムを評価して得られたY値は30.3であり、色度座標(x,y)も(0.303,0.300)、(0.368,0.366)、(0.340,0.393)及び(0.274,0.329)の4点で囲まれる範囲内にあり、ASTM D4956に規定される白色の再帰反射シートの規格を満たすことが確認された。更にこのフィルムを用いた再帰反射シートの視認性は良好であった。
結果を表2に示す。
[実施例2]
実施例1に用いたアンチブロッキング剤(B)の使用量を0.1部に変更した以外は、実施例1と同様にして、アクリル樹脂フィルムを作製し、その評価を行った。
得られたアクリル樹脂フィルムの静摩擦係数(M)は1.0、動摩擦係数(M)は0.8であった。また、実施例2では、フィルムを重ね合わせて30日間静置した際のフィ
ルム同士のブロッキングは確認されなかった。また、ブロッキングに起因するシワや凹凸も確認されなかった。これは、アクリル樹脂組成物(D)がアンチブロッキング剤(B)を含有し、かつ、引張弾性率(x)と静摩擦係数(M)から求められるx/Mの値が1200となり上述した式(1)の関係を満たしたためだと考えられる。
フィルムの全光線透過率は93%であり、ヘイズの差も+1.0を示したことから、アンチブロッキング剤(B)を含有しつつも、透明性を維持できていることが確認された。
上記フィルムを評価して得られたY値および色度座標(x,y)は、ASTM D4956に規定される白色の再帰反射シートの規格を満たすことが確認された。更にこのフィルムを用いた再帰反射シートの視認性は良好であった。
結果を表2に示す。
[実施例3]
実施例1に用いたアンチブロッキング剤(B)の使用量を0.3部に変更した以外は、実施例1と同様にして、アクリル樹脂フィルムを作製し、その評価を行った。
得られたアクリル樹脂フィルムの静摩擦係数(M)は0.7、動摩擦係数(M)は0.7であった。また、実施例3では、フィルムを重ね合わせて30日間静置した際のフィルム同士のブロッキングは確認されなかった。また、ブロッキングに起因するシワや凹凸も確認されなかった。これは、アクリル樹脂組成物(D)がアンチブロッキング剤(B)を含有し、かつ、引張弾性率(x)と静摩擦係数(M)から求められるx/Mの値が1714となり上述した式(1)の関係を満たしたためだと考えられる。
フィルムの全光線透過率は92%であったが、ヘイズの差は+3.0を示したことから、上述した実施例より得られたフィルムと比較すると、透明性に劣るフィルムであることが確認された。
上記フィルムを評価して得られたY値および色度座標(x,y)は、ASTM D4956に規定される白色の再帰反射シートの規格を満たすことが確認された。また、このフィルムを用いた再帰反射シートの視認性は、上述した実施例と比較してヘイズの差が大きいため、これらの実施例と比較して僅かに劣るものの、良好であった。
結果を表2に示す。
[実施例4]
アンチブロッキング剤(B)を、(株)日本触媒製の粒子径が4.3μm(体積平均換算におけるメジアン径から算出)である架橋アクリル樹脂粒子「エポスターMA1004」(商品名)0.02部に変更した以外は、実施例1と同様にして、アクリル樹脂フィルムを作製し、その評価を行った。
得られたアクリル樹脂フィルムの静摩擦係数(M)は1.1、動摩擦係数(M)は1.0であった。また、実施例4では、フィルムを重ね合わせて30日間静置した際のフィルム同士のブロッキングは確認されなかった。また、ブロッキングに起因するシワや凹凸も確認されなかった。これは、アクリル樹脂組成物(D)がアンチブロッキング剤(B)を含有し、かつ、引張弾性率(x)と静摩擦係数(M)から求められるx/Mの値が1091となり上述した式(1)の関係を満たしたためだと考えられる。
フィルムの全光線透過率は93%であり、ヘイズの差も+0.2を示したことから、アンチブロッキング剤(B)を含有しつつも、透明性を維持できていることが確認された。
上記フィルムを評価して得られたY値および色度座標(x,y)は、ASTM D4956に規定される白色の再帰反射シートの規格を満たすことが確認された。更にこのフィルムを用いた再帰反射シートの視認性は良好であった。
結果を表2に示す。
[実施例5]
アンチブロッキング剤(B)を、(株)日本触媒製の粒子径が6.1μm(体積平均換算におけるメジアン径から算出)である架橋アクリル樹脂粒子「エポスターMA1006」(商品名)0.02部に変更した以外は、実施例1と同様にして、アクリル樹脂フィルムを作製し、その評価を行った。
得られたアクリル樹脂フィルムの静摩擦係数(M)は1.0、動摩擦係数(M)は1.0であった。また、実施例5では、フィルムを重ね合わせて30日間静置した際のフィルム同士のブロッキングは確認されなかった。また、ブロッキングに起因するシワや凹凸も確認されなかった。これは、アクリル樹脂組成物(D)がアンチブロッキング剤(B)を含有し、かつ、引張弾性率(x)と静摩擦係数(M)から求められるx/Mの値が1200となり上述した式(1)の関係を満たしたためだと考えられる。
フィルムの全光線透過率は93%であり、ヘイズの差も+0.2を示したことから、アンチブロッキング剤(B)を含有しつつも、透明性を維持できていることが確認された。
上記フィルムを評価して得られたY値および色度座標(x,y)は、ASTM D4956に規定される白色の再帰反射シートの規格を満たすことが確認された。更にこのフィルムを用いた再帰反射シートの視認性は良好であった。
結果を表2に示す。
[比較例1]
実施例1においてアンチブロッキング剤(B)を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、アクリル樹脂フィルムを作製し、その評価を行った。
得られたアクリル樹脂フィルムの静摩擦係数(M)は2.5、動摩擦係数(M)は2.2であった。また、比較例1では、フィルム同士は目視でブロッキングが確認でき、フ
ィルムを剥がした際にもフィルム同士の貼り付きによる抵抗を感じた。さらに、ブロッキングに起因するシワや凹凸も確認された。これは、引張弾性率(x)と静摩擦係数(M)から求められるx/Mの値が480となり、上述した式(1)の関係を満たすことができず、且つ、アクリル樹脂組成物(D)がアンチブロッキング剤(B)を含有しなかったためだと考えられる。また、このフィルムを用いた再帰反射シートの視認性は、ブロッキングによる凹凸により僅かに劣るものの良好であった。
結果を表2に示す。
[比較例2]
実施例4に用いたアンチブロッキング剤(B)の使用量を0.005部に変更した以外は、実施例4と同様にして、アクリル樹脂フィルムを作製し、その評価を行った。
得られたアクリル樹脂フィルムの静摩擦係数(M)は1.7、動摩擦係数(M)は1.6であった。また、比較例2では、フィルム同士は目視でブロッキングが確認でき、フィルムを剥がした際にもフィルム同士の貼り付きによる抵抗を感じた。さらに、ブロッキングに起因するシワや凹凸も確認された。これは、アクリル樹脂組成物(D)がアンチブロッキング剤(B)を含有するものの、引張弾性率(x)と静摩擦係数(M)から求められるx/Mの値が706となり、上述した式(1)の関係を満たすことができなかったためだと考えられる。また、このフィルムを用いた再帰反射シートの視認性は、ブロッキングによる凹凸により僅かに劣るものの良好であった。
結果を表2に示す。
[比較例3]
実施例5に用いたアンチブロッキング剤(B)の使用量を0.005部に変更した以外は、実施例5と同様にして、アクリル樹脂フィルムを作製し、その評価を行った。
得られたアクリル樹脂フィルムの静摩擦係数(M)は1.6、動摩擦係数(M)は1.4であった。
また、比較例3では、フィルム同士は目視でブロッキングが確認でき、フィルムを剥がした際にもフィルム同士の貼り付きによる抵抗を感じた。さらに、ブロッキングに起因するシワや凹凸も確認された。これは、アクリル樹脂組成物(D)がアンチブロッキング剤(B)を含有するものの、引張弾性率(x)と静摩擦係数(M)から求められるx/Mの値が750となり、上述した式(1)の関係を満たすことができなかったためだと考えられる。また、このフィルムを用いた再帰反射シートの視認性は、ブロッキングによる凹凸により僅かに劣るものの良好であった。
結果を表2に示す。
[実施例6]
実施例1に用いた紫外線吸収剤を変更し、さらに着色剤を添加した以外は、実施例1と同様にして、アクリル樹脂フィルムを作製し、その評価を行った。具体的に、紫外線吸収剤としては、BASF(株)製のトリアジン系紫外線吸収剤である「チヌビン1577」(商品名)を1.5部用いた。また、着色剤としては、アンスラキノン系染料のCI Solvent Yellow 163である、大日精化工業(株)製の「ダイミックカラーMBR−D05エロー」(商品名)を4部用いた。
得られたアクリル樹脂フィルムの静摩擦係数(M)は1.0、動摩擦係数(M)は1.1であった。また、実施例6では、フィルムを重ね合わせて30日間静置した際のフィルム同士のブロッキングは確認されなかった。また、ブロッキングに起因するシワや凹凸も確認されなかった。これは、アクリル樹脂組成物(D)がアンチブロッキング剤(B)を含有し、かつ、引張弾性率(x)と静摩擦係数(M)から求められるx/Mの値が1200となり上述した式(1)の関係を満たしたためだと考えられる。
フィルムの全光線透過率は77%であり、ヘイズの差も+0.4を示したことから、アンチブロッキング剤(B)を含有しつつも、透明性を維持できていることが確認された。
上記フィルムを評価して得られたY値および色度座標(x,y)は、ASTM D4956に規定される黄色の再帰反射シートの規格を満たすことが確認された。更にこのフィルムを用いた再帰反射シートの視認性は良好であった。
結果を表3に示す。
[実施例7]
実施例6に用いたアンチブロッキング剤(B)の使用量を0.05部に変更した以外は、実施例6と同様にして、アクリル樹脂フィルムを作製し、その評価を行った。
得られたアクリル樹脂フィルムの静摩擦係数(M)は0.9、動摩擦係数(M)は0.9であった。また、実施例7では、フィルムを重ね合わせて30日間静置した際のフィルム同士のブロッキングは確認されなかった。また、ブロッキングに起因するシワや凹凸も確認されなかった。これは、アクリル樹脂組成物(D)がアンチブロッキング剤(B)を含有し、かつ、引張弾性率(x)と静摩擦係数(M)から求められるx/Mの値が1333となり上述した式(1)の関係を満たしたためだと考えられる。
フィルムの全光線透過率は77%であり、ヘイズの差も+0.4を示したことから、アンチブロッキング剤(B)を含有しつつも、透明性を維持できていることが確認された。
上記フィルムを評価して得られたY値および色度座標(x,y)は、ASTM D4956に規定される黄色の再帰反射シートの規格を満たすことが確認された。更にこのフィルムを用いた再帰反射シートの視認性は良好であった。
結果を表3に示す。
[実施例8]
実施例6に用いたアンチブロッキング剤(B)の使用量を0.10部に変更した以外は、実施例6と同様にして、アクリル樹脂フィルムを作製し、その評価を行った。
得られたアクリル樹脂フィルムの静摩擦係数(M)は0.8、動摩擦係数(M)は0.7であった。また、実施例8では、フィルムを重ね合わせて30日間静置した際のフィルム同士のブロッキングは確認されなかった。また、ブロッキングに起因するシワや凹凸も確認されなかった。これは、アクリル樹脂組成物(D)がアンチブロッキング剤(B)を含有し、かつ、引張弾性率(x)と静摩擦係数(M)から求められるx/Mの値が1500となり上述した式(1)の関係を満たしたためだと考えられる。
フィルムの全光線透過率は77%であり、ヘイズの差も+0.7を示したことから、アンチブロッキング剤(B)を含有しつつも、透明性を維持できていることが確認された。
上記フィルムを評価して得られたY値および色度座標(x,y)は、ASTM D4956に規定される黄色の再帰反射シートの規格を満たすことが確認された。更にこのフィルムを用いた再帰反射シートの視認性は良好であった。
結果を表3に示す。
[実施例9]
アンチブロッキング剤(B)を、(株)日本触媒製の架橋アクリル樹脂粒子「エポスターMA1004」(商品名)0.025部に変更した以外は、実施例6と同様にして、アクリル樹脂フィルムを作製し、その評価を行った。
得られたアクリル樹脂フィルムの静摩擦係数(M)は1.1、動摩擦係数(M)は1.1であった。また、実施例9では、フィルムを重ね合わせて30日間静置した際のフィルム同士のブロッキングは確認されなかった。また、ブロッキングに起因するシワや凹凸も確認されなかった。これは、アクリル樹脂組成物(D)がアンチブロッキング剤(B)を含有し、かつ、引張弾性率(x)と静摩擦係数(M)から求められるx/Mの値が1091となり上述した式(1)の関係を満たしたためだと考えられる。
フィルムの全光線透過率は77%であり、ヘイズの差も+0.1を示したことから、アンチブロッキング剤(B)を含有しつつも、透明性を維持できていることが確認された。
上記フィルムを評価して得られたY値および色度座標(x,y)は、ASTM D4956に規定される黄色の再帰反射シートの規格を満たすことが確認された。更にこのフィルムを用いた再帰反射シートの視認性は良好であった。
結果を表3に示す。
[実施例10]
実施例9に用いたアンチブロッキング剤(B)の使用量を0.030部に変更した以外は、実施例9と同様にして、アクリル樹脂フィルムを作製し、その評価を行った。
得られたアクリル樹脂フィルムの静摩擦係数(M)は1.0、動摩擦係数(M)は1.0であった。また、実施例10では、フィルムを重ね合わせて30日間静置した際のフィルム同士のブロッキングは確認されなかった。また、ブロッキングに起因するシワや凹凸も確認されなかった。これは、アクリル樹脂組成物(D)がアンチブロッキング剤(B)を含有し、かつ、引張弾性率(x)と静摩擦係数(M)から求められるx/Mの値が1200となり上述した式(1)の関係を満たしたためだと考えられる。
フィルムの全光線透過率は77%であり、ヘイズの差も+0.3を示したことから、アンチブロッキング剤(B)を含有しつつも、透明性を維持できていることが確認された。
上記フィルムを評価して得られたY値および色度座標(x,y)は、ASTM D4956に規定される黄色の再帰反射シートの規格を満たすことが確認された。更にこのフィルムを用いた再帰反射シートの視認性は良好であった。
結果を表3に示す。
[比較例4]
実施例6においてアンチブロッキング剤(B)を添加しなかったこと以外は、実施例6と同様にして、アクリル樹脂フィルムを作製し、その評価を行った。
得られたアクリル樹脂フィルムの静摩擦係数(M)は2.6、動摩擦係数(M)は2.1であった。また、比較例4では、フィルム同士は目視でブロッキングが確認でき、フ
ィルムを剥がした際にもフィルム同士の貼り付きによる抵抗を感じた。さらに、ブロッキングに起因するシワや凹凸も確認された。これは、引張弾性率(x)と静摩擦係数(M)から求められるx/Mの値は462となり、上述した式(1)の関係を満たすことができず、且つ、アクリル樹脂組成物(D)がアンチブロッキング剤(B)を含有しなかったためだと考えられる。また、このフィルムを用いた再帰反射シートの視認性は、ブロッキングによる凹凸により僅かに劣るものの良好であった。
結果を表3に示す。
[比較例5]
実施例6に用いたアンチブロッキング剤(B)の使用量を0.01部に変更した以外は、実施例6と同様にして、アクリル樹脂フィルムを作製し、その評価を行った。
得られたアクリル樹脂フィルムの静摩擦係数(M)は1.4、動摩擦係数(M)は1.4であった。
また、比較例5では、フィルム同士は目視でブロッキングが確認でき、フィルムを剥がした際にもフィルム同士の貼り付きによる抵抗を感じた。さらに、ブロッキングに起因するシワや凹凸も確認された。これは、アクリル樹脂組成物(D)がアンチブロッキング剤(B)を含有するものの、引張弾性率(x)と静摩擦係数(M)から求められるx/Mの値が857となり、上述した式(1)の関係を満たすことができなかったためだと考えられる。また、このフィルムを用いた再帰反射シートの視認性は、ブロッキングによる凹凸により僅かに劣るものの良好であった。
結果を表3に示す。
[実施例11]
アクリル樹脂成分として、調製例1で得られたゴム含有重合体(A−1)80部と、熱可塑性重合体(C−1)20部(ゴム含有重合体と熱可塑性重合体の合計100部)とを用いて、実施例6に用いたアンチブロッキング剤(B)の使用量を0.1部に変更した以外は、実施例6と同様にして、アクリル樹脂フィルムを作製し、その評価を行った。
ここで、上記熱可塑性重合体(C−1)としては、商品名:ダイヤナールBR−75(三菱レイヨン(株)製、還元粘度0.060/g、JIS K7191の1.8MPaにおける荷重たわみ温度89℃)を使用した。
得られたアクリル樹脂フィルムの引張弾性率(x)は1500MPaであり、柔軟性に優れるフィルムであった。アクリル樹脂フィルムの静摩擦係数(M)は0.8、動摩擦係数(M)は0.8であった。また、実施例11では、フィルムを重ね合わせて30日間静置した際のフィルム同士のブロッキングは確認されなかった。また、ブロッキングに起因するシワや凹凸も確認されなかった。これは、アクリル樹脂組成物(D)がアンチブロッキング剤(B)を含有し、かつ、引張弾性率(x)と静摩擦係数(M)から求められるx/Mの値が1875となり、上述した式(1)の関係を満たしたためだと考えられる。
フィルムの全光線透過率は77%であり、後述するアンチブロッキング剤(B)を含有しない比較例6に記載のアクリル樹脂フィルムとのヘイズの差も+0.9を示したことから、アンチブロッキング剤(B)を含有しつつも、透明性を維持していることが確認された。
上記フィルムを評価して得られたY値および色度座標(x,y)は、ASTM D4956に規定される黄色の再帰反射シートの規格を満たすことが確認された。更にこのフィルムを用いた再帰反射シートの視認性は良好であった。
結果を表4に示す。
[実施例12]
アンチブロッキング剤(B)を、(株)日本触媒製の架橋アクリル樹脂粒子「エポスターMA1004」(商品名)0.02部に変更した以外は、実施例11と同様にして、アクリル樹脂フィルムを作製し、その評価を行った。
得られたアクリル樹脂フィルムの静摩擦係数(M)は0.8、動摩擦係数(M)は0.8であった。また、実施例12では、フィルムを重ね合わせて30日間静置した際のフィルム同士のブロッキングは確認されなかった。また、ブロッキングに起因するシワや凹凸も確認されなかった。これは、アクリル樹脂組成物(D)がアンチブロッキング剤(B)を含有し、かつ、引張弾性率(x)と静摩擦係数(M)から求められるx/Mの値が1875となり、上述した式(1)の関係を満たしたためだと考えられる。
フィルムの全光線透過率は77%であり、ヘイズの差も+0.1を示したことから、アンチブロッキング剤(B)を含有しつつも、透明性を維持していることが確認された。
上記フィルムを評価して得られたY値および色度座標(x,y)は、ASTM D4956に規定される黄色の再帰反射シートの規格を満たすことが確認された。更にこのフィルムを用いた再帰反射シートの視認性は良好であった。
結果を表4に示す。
[比較例6]
実施例11において、アンチブロッキング剤(B)を添加しなかったこと以外は、実施例11と同様にして、アクリル樹脂フィルムを作製し、その評価を行った。
得られたアクリル樹脂フィルムの静摩擦係数(M)は3.5、動摩擦係数(M)は2.4であった。また、比較例6では、フィルム同士は目視でブロッキングが確認でき、フィルムを剥がした際にもフィルム同士の貼り付きによる抵抗を感じた。さらに、ブロッキングに起因するシワや凹凸も確認された。これは、引張弾性率(x)と静摩擦係数(M)から求められるx/Mの値が429となり、上述した式(1)の関係を満たすことができず、且つ、アクリル樹脂組成物(D)がアンチブロッキング剤(B)を含有しなかったためだと考えられる。また、このフィルムを用いた再帰反射シートの視認性は、ブロッキングによる凹凸により僅かに劣るものの良好であった。
結果を表4に示す。
[比較例7]
実施例11に用いたアンチブロッキング剤(B)の使用量を0.01部に変更した以外は、実施例11と同様にして、アクリル樹脂フィルムを作製し、その評価を行った。
得られたアクリル樹脂フィルムの静摩擦係数(M)は2.0、動摩擦係数(M)は1.6であった。また、比較例7では、フィルム同士は目視でブロッキングが確認でき、フィルムを剥がした際にもフィルム同士の貼り付きによる抵抗を感じた。さらに、ブロッキングに起因するシワや凹凸も確認された。これは、アクリル樹脂組成物(D)がアンチブロッキング剤(B)を含有するものの、引張弾性率(x)と静摩擦係数(M)から求められるx/Mの値が750となり、上述した式(1)の関係を満たすことができなかったためだと考えられる。また、このフィルムを用いた再帰反射シートの視認性は、ブロッキングによる凹凸により僅かに劣るものの良好であった。
結果を表4に示す。
[比較例8]
実施例11に用いたアンチブロッキング剤(B)の使用量を0.02部に変更した以外は、実施例11と同様にして、アクリル樹脂フィルムを作製し、その評価を行った。
得られたアクリル樹脂フィルムの静摩擦係数(M)は1.6、動摩擦係数(M)は1.2であった。また、比較例8では、フィルム同士は目視でブロッキングが確認でき、フィルムを剥がした際にもフィルム同士の貼り付きによる抵抗を感じた。さらに、ブロッキングに起因するシワや凹凸も確認された。これは、アクリル樹脂組成物(D)がアンチブロッキング剤(B)を含有するものの、引張弾性率(x)と静摩擦係数(M)から求められるx/Mの値が938となり、上述した式(1)の関係を満たすことができなかったためだと考えられる。また、このフィルムを用いた再帰反射シートの視認性は、ブロッキングによる凹凸により僅かに劣るものの良好であった。
結果を表4に示す。
[実施例13]
実施例11に用いた着色剤を、フタロシアニン系銅化合物の顔料のC.I.Pigment Blue 15:1を50質量%含有する、大日精化工業(株)製の「DIMIC MBR−653 ブルー(商品名)」1.24部に変更した。また、実施例11に用いた紫外線吸収剤を、ADEKA社製のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤である「LA−31」(商品名)に変更した。それら以外は実施例11と同様にして、アクリル樹脂フィルムを作製し、その評価を行った。
得られたアクリル樹脂フィルムの静摩擦係数(M)は0.9、動摩擦係数(M)は0.8であった。また、実施例13では、フィルムを重ね合わせて30日間静置した際のフィルム同士のブロッキングは確認されなかった。また、ブロッキングに起因するシワや凹凸も確認されなかった。これは、アクリル樹脂組成物(D)がアンチブロッキング剤(B)を含有し、かつ、引張弾性率(x)と静摩擦係数(M)から求められるx/Mの値が1667となり、上述した式(1)の関係を満たしたためだと考えられる。
フィルムの全光線透過率は21%であり、後述するアンチブロッキング剤(B)を含有しない比較例9に記載のアクリル樹脂フィルムとのヘイズの差も+0.7を示したことから、アンチブロッキング剤(B)を含有しつつも、透明性を維持していることが確認された。
上記フィルムを評価して得られたY値および色度座標(x,y)は、ASTM D4956に規定される青色の再帰反射シートの規格を満たすことが確認された。更にこのフィルムを用いた再帰反射シートの視認性は良好であった。
結果を表5に示す。
[比較例9]
実施例13において、アンチブロッキング剤(B)を添加しなかった以外は、実施例13と同様にして、アクリル樹脂フィルムを作製し、その評価を行った。
得られたアクリル樹脂フィルムの静摩擦係数(M)は1.2、動摩擦係数(M)は1.2であった。また、比較例9では、フィルム同士は目視でブロッキングが確認でき、フィルムを剥がした際にもフィルム同士の貼り付きによる抵抗を感じた。さらに、ブロッキングに起因するシワや凹凸も確認された。これは、引張弾性率(x)と静摩擦係数(M)から求められるx/Mの値は1250となり、上述した式(1)の関係を満たすものの、アクリル樹脂組成物(D)がアンチブロッキング剤(B)を含有していないためだと考えられる。また、このフィルムを用いた再帰反射シートの視認性は、ブロッキングによる凹凸により僅かに劣るものの良好であった。
結果を表5に示す。
[実施例14]
アクリル樹脂成分として、調製例2で得られたゴム含有重合体(A−2)60部と、上記熱可塑性重合体(C−1)20部と、熱可塑性重合体(C−2)20部(ゴム含有重合体と熱可塑性重合体の合計100部)とを用いた以外は、実施例6と同様にして、アクリル樹脂フィルムを作製し、その評価を行った。
ここで、上記熱可塑性重合体(C−2)としては、商品名:ダイヤナールBR−80(三菱レイヨン(株)製、還元粘度0.057/g、JIS K7191の1.8MPaにおける荷重たわみ温度100℃)を使用した。
得られたアクリル樹脂フィルムの引張弾性率(x)は2200MPaであり、柔軟性を有するフィルムであった。アクリル樹脂フィルムの静摩擦係数(M)は0.7、動摩擦係数(M)は0.7であった。また、実施例14では、フィルムを重ね合わせて30日間静置した際のフィルム同士のブロッキングは確認されなかった。また、ブロッキングに起因するシワや凹凸も確認されなかった。これは、アクリル樹脂組成物(D)がアンチブロッキング剤(B)を含有し、かつ、引張弾性率(x)と静摩擦係数(M)から求められるx/Mの値が3143となり、上述した式(1)の関係を満たしたためだと考えられる。
得られたアクリル樹脂フィルムの全光線透過率は77%であり、後述するアンチブロッキング剤を含有しない比較例10に記載のアクリル樹脂フィルムとのヘイズの差も+0.1を示したことから、アンチブロッキング剤(B)を含有しつつも、透明性を維持していることが確認された。
また、フィルムのY値は19.5であり、色度座標(x,y)も(0.498,0.412)、(0.557,0.442)、(0.479,0.520)及び(0.438,0.472)の4点で囲まれる範囲内にあり、ASTM D4956に規定される黄色に着色していることが確認された。更にこのフィルムを用いた再帰反射シートの視認性は良好であった。
結果を表6に示す。
[比較例10]
実施例14において、アンチブロッキング剤(B)を添加しなかった以外は、実施例14と同様にして、アクリル樹脂フィルムを作製し、その評価を行った。
得られたアクリル樹脂フィルムの静摩擦係数(M)は2.1、動摩擦係数(M)は1.8であった。また、比較例10では、フィルム同士は目視でブロッキングが確認でき、フィルムを剥がした際にもフィルム同士の貼り付きによる抵抗を感じた。さらに、ブロッキングに起因するシワや凹凸も確認された。これは、引張弾性率(x)と静摩擦係数(M)から求められるx/Mの値は1048となり、上述した式(1)の関係を満たすものの、アクリル樹脂組成物(D)がアンチブロッキング剤(B)を含有していないためだと考えられる。また、このフィルムを用いた再帰反射シートの視認性は、ブロッキングによる凹凸により僅かに劣るものの良好であった。
結果を表6に示す。
以上説明したように、本発明のアクリル樹脂フィルムは、柔軟性を有するとともに、フィルム同士のブロッキングによるシワの発生、ならびに、ロール状に巻き取ったアクリル樹脂フィルムのブロッキングに起因する凹凸の発生を抑制することができる。
また、このフィルムを用いることで、シワの増加や外観の低下に起因する再帰反射シートを得る際の歩留りの低下を抑制することが可能となる。更に、再帰反射シートの表皮材として用いることにより、看板、道路標識等の表面を保護するとともに、意匠性を付与することができる。

Claims (10)

  1. アクリル樹脂成分であるゴム含有重合体(A)と、アンチブロッキング剤(B)とを含有するアクリル樹脂組成物(D)の成形物であり、
    以下の条件(i)を満たす、アクリル樹脂フィルム。
    条件(i):該アクリル樹脂フィルムにおける、引張弾性率(x)(単位:MPa)と、静摩擦係数(M)とが、下記式(1)の関係を満たすこと。
    1000≦x/M≦3500 ・・・(1)
  2. 前記引張弾性率(x)が300MPa以上3000MPa以下である、請求項1に記載のアクリル樹脂フィルム。
  3. 前記静摩擦係数(M)が0.5以上1.1以下である、請求項1または2に記載のアクリル樹脂フィルム。
  4. 前記アクリル樹脂フィルムにおいて、前記アンチブロッキング剤(B)を前記アクリル樹脂組成物(D)に含む場合のヘイズ(H2)(単位:%)と含まない場合のヘイズ(H1)(単位:%)とが、下記式(2)の関係を満たす、請求項1〜3のいずれか1項に記載のアクリル樹脂フィルム。
    H2−H1<2.0 ・・・(2)
  5. 前記アンチブロッキング剤(B)の粒子径が0.1μm以上10μm以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のアクリル樹脂フィルム。
  6. 前記アンチブロッキング剤(B)が架橋アクリル樹脂粒子である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のアクリル樹脂フィルム。
  7. 前記アクリル樹脂組成物(D)中に、前記アンチブロッキング剤(B)が、アクリル樹脂成分の合計含有量100質量部に対して、0.02質量部以上0.5質量部以下含まれる、請求項1〜6のいずれか1項に記載のアクリル樹脂フィルム。
  8. 表皮材として、請求項1〜7のいずれか1項に記載のアクリル樹脂フィルムを有する、再帰反射シート。
  9. 前記再帰反射シートが反射素子層を有し、該反射素子層が、ビーズ形状のレンズまたはプリズム形状のレンズである、請求項8に記載の再帰反射シート。
  10. 請求項8または9に記載の再帰反射シートを用いた、再帰反射物品。
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