JP2016044300A - アクリル樹脂フィルム、並びにそれを用いた再帰反射シート及び再帰反射物品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アクリル樹脂成分であるゴム含有重合体(A)と、アンチブロッキング剤(B)とを含有するアクリル樹脂組成物(D)の成形物であり、アクリル樹脂フィルムにおける、引張弾性率(x)(単位:MPa)と、静摩擦係数(M)とが、1000≦x/M≦3500の関係を満たす、アクリル樹脂フィルム。引張弾性率(x)が300〜3000MPaであり、静摩擦係数(M)が0.5〜1.1であるアクリル樹脂フィルム。アンチブロッキング剤(B)の粒子径が0.1〜10μmであるアクリル樹脂フィルム。
【選択図】なし
Description
再帰反射シート表皮用着色アクリル樹脂フィルムとしては、XYZ表色系での色度座標(x,y)が特定の範囲にある着色アクリル樹脂フィルムが開示されている(特許文献1及び2)。
このブロッキングを改良する方法として、アンチブロッキング剤を添加する方法が提唱されている(特許文献3)。
[1]アクリル樹脂成分であるゴム含有重合体(A)と、アンチブロッキング剤(B)とを含有するアクリル樹脂組成物(D)の成形物であり、以下の条件(i)を満たす、アクリル樹脂フィルム。
条件(i):該アクリル樹脂フィルムにおける、引張弾性率(x)(単位:MPa)と、静摩擦係数(M)とが、下記式(1)の関係を満たすこと。
1000≦x/M≦3500 ・・・(1)
[2]前記引張弾性率(x)が300MPa以上3000MPa以下である、[1]に記載のアクリル樹脂フィルム。
[3]前記静摩擦係数(M)が0.5以上1.1以下である、[1]または[2]に記載のアクリル樹脂フィルム。
[4]前記アクリル樹脂フィルムにおいて、前記アンチブロッキング剤(B)を前記アクリル樹脂組成物(D)に含む場合のヘイズ(H2)(単位:%)と含まない場合のヘイズ(H1)(単位:%)とが、下記式(2)の関係を満たす、[1]〜[3]のいずれか1つに記載のアクリル樹脂フィルム。
H2−H1<2.0 ・・・(2)
[5]前記アンチブロッキング剤(B)の粒子径が0.1μm以上10μm以下である、[1]〜[4]のいずれか1つに記載のアクリル樹脂フィルム。
[6]前記アンチブロッキング剤(B)が架橋アクリル樹脂粒子である、[1]〜[5]のいずれか1つに記載のアクリル樹脂フィルム。
[7]前記アクリル樹脂組成物(D)中に、前記アンチブロッキング剤(B)が、アクリル樹脂成分の合計含有量100質量部に対して、0.02質量部以上0.5質量部以下含まれる、[1]〜[6]のいずれか1つに記載のアクリル樹脂フィルム。
[8]表皮材として、[1]〜[7]のいずれか1つに記載のアクリル樹脂フィルムを有する、再帰反射シート。
[9]前記再帰反射シートが反射素子層を有し、該反射素子層が、ビーズ形状のレンズまたはプリズム形状のレンズである、[8]に記載の再帰反射シート。
[10][8]または[9]に記載の再帰反射シートを用いた、再帰反射物品。
本発明のアクリル樹脂フィルムは、アクリル樹脂成分であるゴム含有重合体(A)と、アンチブロッキング剤(B)とを含有するアクリル樹脂組成物(D)を成形して得られるもの(成形物)である。アクリル樹脂組成物(D)については後述する。また、本発明のアクリル樹脂フィルムは以下の条件(i)を満たす。
条件(i):アクリル樹脂フィルムにおける、引張弾性率(x)(単位:MPa)と、静摩擦係数(M)とが、下記式(1)の関係を満たすこと。
1000≦x/M≦3500 … (1)。
上記引張弾性率(x)は、以下の試験条件下、アクリル樹脂フィルムより作製した下記試験片を5点評価した際に得られる弾性率5点の平均値である。
・試験片
JIS−K7127(ISO527−3)に規定されるフィルム状の試験片(JIS−K7127に記載の短冊状試験片(試験片タイプ2)、幅:15mm、長さ:150mm)。
・試験条件
JIS−K7161に準拠した条件であり、試験雰囲気:温度23℃、相対湿度50%、チャック間距離:100mm、引張試験速度:100mm/min。
上記静摩擦係数(M)は、下記装置および滑り片を用い、下記試験条件にて、アクリル樹脂フィルムより作製した下記試験片を2枚ずつ3組測定して得られる静摩擦係数の平均値である。
・装置
JIS−K7125に準拠した摩擦試験測定用の装置。
・滑り片
接触面積40cm2(一片の長さ63mm)で200g±2gの滑り片。
・試験片
40cm2(一片の長さ63mm、滑り片と同形状)の試験片(アクリル樹脂フィルム)。
・試験条件
試験速度:100mm/min、試験雰囲気:温度23℃、相対湿度50%。
フィルムの動摩擦係数(MD)は、静摩擦係数(M)と同様に、フィルムがより滑りやすくなることでブロッキングを防止する効果が非常に期待されることから、0.4以上1.1以下であることが好ましく、0.5以上1.1以下であることがより好ましい。
なお、フィルムの動摩擦係数(MD)は、前記静摩擦係数を測定した際に同時に得られる値であり、静摩擦係数(M)と同様に、アクリル樹脂フィルムより作製した上記試験片を2枚ずつ3組測定して得られる動摩擦係数の平均値である。
本発明のアクリル樹脂フィルムにおいて、アンチブロッキング剤(B)をアクリル樹脂組成物(D)に含む場合のヘイズ(H2)(単位:%)と含まない場合のヘイズ(H1)(単位:%)とが、下記式(2)の関係を満たすことが好ましい。
H2−H1<2.0 … (2)。
なお、上記ヘイズ(H1)と(H2)とは、アンチブロッキング剤を添加したフィルムの透明性の観点から、H2−H1<1.6の関係を満たすことがより好ましく、H2−H1<1.2の関係を満たすことが更に好ましい。
なお、アクリル樹脂フィルムのヘイズは、JIS K7136に準拠した測定により求めることができる。
アクリル樹脂フィルムの厚みとしては、アクリル樹脂フィルムの取り扱い性の観点から、10μm以上500μm以下が好ましく、30μm以上200μm以下がより好ましい。
上述したように、アクリル樹脂組成物(D)は、アクリル樹脂フィルムを得るために用いられる樹脂組成物である。アクリル樹脂組成物(D)は、アクリル樹脂成分であるゴム含有重合体(A)と、アンチブロッキング剤(B)とを含有し、必要に応じて、アクリル樹脂成分である後述する熱可塑性樹脂(C)、および、後述する各種配合剤を含有することができる。
アクリル樹脂組成物(D)は、アクリル樹脂成分として、ゴム含有重合体(A)を含有し、さらに必要に応じて、後述する熱可塑性重合体(C)を含有することができる。
ゴム含有重合体(A)は、以下の2種類のゴム含有重合体のいずれか一方または両方である。
I)アクリル酸アルキルおよび多官能性単量体を必須成分として含む単量体成分(A−a)を重合して得られるゴム重合体(Aa)の存在下に、メタクリル酸アルキルを必須成分として含む単量体成分(A−b)を重合して得られるゴム含有重合体。
II)アクリル酸アルキルおよび多官能性単量体を必須成分として含む単量体成分(A−a)を重合して得られるゴム重合体(Aa)の存在下に、後述する単量体成分(A−c)を重合した後、さらにメタクリル酸アルキルを必須成分として含む単量体成分(A−b)を重合して得られるゴム含有重合体。
ゴム重合体(Aa)のガラス転移温度(以下、Tgと称することがある)は、ゴム含有重合体(A)の柔軟性の観点から、好ましくは25℃未満、より好ましくは10℃以下、更に好ましくは0℃以下である。
単量体成分(A−a)は、アクリル酸アルキルおよび多官能性単量体、ならびに、必要に応じて、後述する他の単量体を含むことができる。
単量体成分(A−a)中の必須成分であるアクリル酸アルキルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル及びアクリル酸n−オクチルが挙げられる。これらの中で、ゴム重合体(Aa)のTgの制御の観点から、アクリル酸n−ブチルが好ましい。これらは、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
単量体成分(A−a)中の必須成分である多官能性単量体としては、例えば、共重合性の二重結合を1分子内に2個以上有する架橋性単量体が挙げられる。多官能性単量体としては、例えば、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,3−ブチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,4−ブチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸プロピレングリコール等のジ(メタ)アクリル酸アルキレングリコール;ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン等のポリビニルベンゼン;トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等のシアヌレート系単量体;メタクリル酸アリル等のα,β−不飽和カルボン酸;ジカルボン酸のアリル、メタリル又はクロチルエステルが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
ル」の一方または両方を意味する。
単量体成分(A−a)中のアクリル酸アルキル及び多官能性単量体以外の単量体としては、これらと共重合可能な二重結合を有する他の単量体が挙げられる。
アクリル酸アルキル及び多官能性単量体と共重合可能な二重結合を有する他の単量体としては、例えば、以下のものが挙げられる。即ち、メタクリル酸アルキル、アクリル酸低級アルコキシ、アクリル酸シアノエチル、アクリルアミド、(メタ)アクリル酸等の(メタ)アクリル系単量体;スチレン、アルキル置換スチレン等の芳香族ビニル単量体;ならびに、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
(a−i)アクリル酸アルキル 40質量%以上99.9質量%以下、(a−ii)多官能性単量体 0.1質量%以上10質量%以下、
(a−iii)メタクリル酸アルキル 0質量%以上59.9質量%以下、
(a−iv)共重合可能な二重結合を有する他の単量体(上記単量体(a−i)〜(a−iii)を除く) 0質量%以上30質量%以下。
単量体成分(A−a)を重合してゴム重合体(Aa)を得る際には、必要に応じて、連鎖移動剤を用いることができる。
上記の連鎖移動剤としては、例えば、炭素数2以上20以下のアルキルメルカプタン、メ
ルカプト酸類、チオフェノール及び四塩化炭素が挙げられる。
単量体成分(A−a)を重合する際の連鎖移動剤の使用量は、作製するゴム重合体(Aa)の性能に応じて適宜変更することができる。
単量体成分(A−b)は、メタクリル酸アルキルを必須成分とし、必要に応じて、メタクリル酸アルキルと共重合可能な二重結合を有する他の単量体を含むことができる。
メタクリル酸アルキルとしては、単量体成分(A−a)において用いることができるメタクリル酸アルキルを同様に用いることができる。
単量体成分(A−b)中のメタクリル酸アルキルの含有率は、好ましくは51質量%以上100質量%以下であり、メタクリル酸アルキルは、単量体成分(A−b)中に主成分として含まれることができる。なお、主成分とは、対象物(ここでは、単量体成分(A−b))中に含有される成分のうち、最も含有割合の多い成分を意味する。
メタクリル酸アルキルと共重合可能な二重結合を有する他の単量体としては、アクリル酸アルキル、アクリル酸低級アルコキシ、アクリル酸シアノエチル、アクリルアミド、(メタ)アクリル酸等の(メタ)アクリル系単量体;スチレン、アルキル置換スチレン等の芳香族ビニル単量体;ならびに、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。アクリル酸アルキルとしては、単量体成分(A−a)において用いることができるアクリル酸アルキルを同様に用いることができる。
(b−i)メタクリル酸アルキル 51質量%以上100質量%以下、(b−ii)アクリル酸アルキル 0質量%以上20質量%以下、
(b−iii)共重合可能な二重結合を有する他の単量体(上記単量体(b−i)および(b−ii)を除く) 0質量%以上49質量%以下。
単量体成分(A−b)を重合する際には、単量体成分(A−a)において用いることができる連鎖移動剤を同様に用いることができる。
単量体成分(A−c)は、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキルおよび多官能性単量体、ならびに、必要に応じて、これらと共重合可能な二重結合を有する他の単量体を含むことができる。このアクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキルおよび多官能性単量体は、単量体成分(A−a)に用いることができるものを同様に用いることができる。なお、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキルおよび多官能性単量体と共重合可能な二重結合を有する他の単量体としては、アクリル酸低級アルコキシ、アクリル酸シアノエチル、アクリルアミド、(メタ)アクリル酸等の(メタ)アクリル系単量体;スチレン、アルキル置換スチレン等の芳香族ビニル単量体;ならびに、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
(c−i)アクリル酸アルキル 9.9質量%以上90質量%以下、
(c−ii)メタクリル酸アルキル 9.9質量%以上90質量%以下、
(c−iii)多官能性単量体 0.1質量%以上10質量%以下、
(c−iv)共重合可能な二重結合を有する他の単量体(上記単量体(c−i)〜(c−iii)を除く) 0質量%以上20質量%以下。
単量体成分(A−c)を重合する際には、単量体成分(A−a)において用いることができる連鎖移動剤を同様に用いることができる。
ゴム含有重合体(A)中の単量体成分(A−a)〜(A−c)単位の合計含有率を100質量%としたときに、ゴム含有重合体(A)中の単量体成分(A−a)単位の含有率は、製膜性、耐折曲白化性、耐熱性及び柔軟性の観点から、好ましくは5質量%以上80質量%以下、より好ましくは20質量%以上70質量%以下である。
ゴム含有重合体(A)の製造法としては、例えば、逐次多段乳化重合法、および乳化懸濁重合法が挙げられる。なお、各単量体成分を重合する際には、重合開始剤を使用することができる。
ゴム含有重合体(A)を乳化縣濁重合法で製造する方法としては、ゴム重合体(Aa)の存在下に、必要に応じて単量体成分(A−c)を逐次多段乳化重合させた後に、単量体成分(A−b)重合時に懸濁重合系に転換させる方法を用いることができる。
ゴム含有重合体(A)を逐次多段乳化重合法で製造する方法としては、例えば、ゴム重合体(Aa)を得るための単量体成分(A−a)、水及び界面活性剤を混合して調製した乳化液を反応器に供給して重合した後に、単量体成分(A−c)及び単量体成分(A−b)をそれぞれ順に反応器に供給して重合する方法が挙げられる。なお、単量体成分(A−c)の使用は省略することができる。
上記の乳化液としては、単量体成分(A−a)の油中に水滴が分散したW/O型、および、水中に単量体成分(A−a)の油滴が分散したO/W型のいずれの分散体でも使用することができる。
ゴム含有重合体(A)を逐次多段乳化重合法で製造する際に使用される界面活性剤としては、例えば、アニオン系、カチオン系及びノニオン系の界面活性剤が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
単量体成分(A−a)、水及び界面活性剤を混合して乳化液を調製する方法としては、例えば、水中に単量体成分(A−a)を仕込んだ後、界面活性剤を投入する方法;水中に界面活性剤を仕込んだ後に単量体成分(A−a)を投入する方法;及び単量体成分(A−a)中に界面活性剤を仕込んだ後に水を投入する方法が挙げられる。
単量体成分(A−a)を水及び界面活性剤と混合して乳化液を調製するための混合装置としては、例えば、攪拌翼を備えた攪拌機;ホモジナイザー、ホモミキサー等の強制乳化装置;及び膜乳化装置が挙げられる。
尚、ゴム重合体(Aa)の重合方法としては、例えば、単量体成分(A−a)を一括(一段階)で重合する方法、単量体成分(A−a)を2以上(二段階以上)に分けて、多段で重合する方法が挙げられる。多段で重合する場合の単量体成分(A−a)は、同一成分(同一組成)の単量体成分を多段階で重合してもよいし、成分(組成)の異なる単量体成分を多段階で重合してもよい。
ゴム含有重合体(A)中の単量体成分(A−a)、単量体成分(A−b)及び単量体成分(A−c)をそれぞれ重合する際に使用できる重合開始剤としては、公知のものが使用できる。また、その添加方法としては、例えば、反応系における、水相、および単量体相のいずれか片方に添加する方法、または、双方に添加する方法が挙げられる。
ゴム含有重合体(A)はラテックスの形態で得られることができる。ゴム含有重合体(A)を含むラテックスの製造方法として、単量体成分(A−a)を水及び界面活性剤と混合して調製した乳化液を反応器に供給して重合した後に、単量体成分(A−c)、及び単量体成分(A−b)をそれぞれ順に反応器に供給して重合する方法を用いる場合、以下の手順で重合開始剤を添加し、ゴム含有重合体(A)を含むラテックスを製造することが好ましい。即ち、まず、重合反応容器内に、酸化剤として硫酸第一鉄、キレート剤としてエチレンジアミン四酢酸ニナトリウム塩、及び、還元剤としてロンガリットを含む水溶液を調製し、その水溶液を重合温度まで昇温する。続いて、単量体成分(A−a)及び過酸化物を水及び界面活性剤と混合して調製した乳化液を、この反応容器に供給して重合する。次いで、単量体成分(A−c)及び過酸化物と、単量体成分(A−b)及び過酸化物とを順次、この反応容器に供給して重合し、ゴム含有重合体(A)を含むラテックスを得る。なお、この際、上記単量体成分(A−c)の使用は省略することができる。
ゴム含有重合体(A)を含むラテックスを得るための重合温度としては、用いる重合開始剤の種類や量によって異なるが、例えば、40℃以上120℃以下とすることができる。
重合により得られたゴム含有重合体(A)を含むラテックスは、必要に応じて濾材を配した濾過装置を用いて処理することができる。この濾過処理は、ゴム含有重合体(A)を含むラテックスからの、重合中に発生したスケールの除去、ならびに、重合原料中若しくは重合中に外部から混入する夾雑物の除去に使用される。
ゴム含有重合体(A)はゴム含有重合体(A)を含むラテックスから回収することによって粉状物として得ることができる。
上述したように、本発明のアクリル樹脂フィルムを構成するアクリル樹脂組成物(D)には、アクリル樹脂成分として、ゴム含有重合体(A)以外に、熱可塑性重合体(C)を含有させることができる。
アクリル樹脂フィルムの耐熱性の観点から、熱可塑性重合体(C)は、以下の単量体を含有する単量体組成物(単量体成分)(C)を重合して得られる重合体であることが好ましい。
(C−1)メタクリル酸アルキル 50質量%以上100質量%以下、
(C−2)アクリル酸アルキル 0質量%以上50質量%以下、
(C−3)これら(単量体成分(C−1)および(C−2))と共重合可能な二重結合を有する他の単量体 0質量%以上49質量%以下。
本発明のアクリル樹脂フィルムを構成するアクリル樹脂組成物(D)は、アンチブロッキング剤(B)を必須成分として含有する。
アクリル樹脂組成物(D)中には、必要に応じて、安定剤、滑剤、加工助剤、艶消し剤、光拡散剤、可塑剤、耐衝撃助剤、発泡剤、充填剤、着色剤、抗菌剤、防かび剤、離型剤、帯電防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤等の各種配合剤を含むことができる。
アクリル樹脂フィルムを使用した製品を保護するために、アクリル樹脂フィルムに耐候性を付与する観点から、アクリル樹脂組成物(D)中には、紫外線吸収剤及び光安定剤を配合することが好ましい。
アクリル樹脂組成物(D)中に配合される紫外線吸収剤の分子量としては300以上が好ましく、400以上がより好ましい。紫外線吸収剤の分子量が300以上の場合、アクリル樹脂フィルムを製造する際に使用される金型の汚れを抑制することが容易である。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の市販品としては、例えば、BASF社製の商品名:チヌビン234、ADEKA社製の商品名:アデカスタブLA−31が挙げられる。
トリアジン系紫外線吸収剤の市販品としては、例えば、BASF社の商品名:チヌビン1577、チヌビン1600、ADEKA社製の商品名:LA−F70が挙げられる。
また、紫外線吸収剤の添加量は、フィルムの製膜時の工程汚れ、耐溶剤性、透明性の観点から、アクリル樹脂成分合計100質量部に対して、5質量部以下がより好ましく、3質量部以下が更に好ましい。
光安定剤としては、アクリル樹脂フィルムの分野で公知のものを用いることができるが、耐候性付与の観点から、特にヒンダードアミン系光安定剤等のラジカル捕捉剤が好ましい。
このような光安定剤の市販品として、例えば、BASF社製の商品名:CHIMASSORB2020、CHIMASSORB944、チヌビン765、チヌビン770、ADEKA社の商品名:アデカスタブLA−57、アデカスタブLA−67、アデカスタブLA−77等が挙げられる。
光安定剤の添加量は、耐候性付与の観点から、アクリル樹脂成分合計100質量部に対して、より好ましくは0.15質量部以上、更に好ましくは0.20質量部以上である。ま
た、光安定剤の添加量は、フィルムの製膜時の工程汚れを防止する観点から、アクリル樹脂成分合計100質量部に対して、より好ましくは2質量部以下、更に好ましくは1質量部以下である。
本発明のアクリル樹脂フィルムを表皮材(表皮層)に用いた再帰反射シートを作製する場合には、再帰反射シートの用途に応じて、アクリル樹脂組成物(D)に着色剤を配合することが好ましい。
また、必要に応じて、染料及び顔料を併用することもできる。
アクリル樹脂組成物(D)の形状は、特に制限されないが、例えば、塊状物、粉体状物及びペレット状物とすることができる。これらの中で、アクリル樹脂組成物(D)の取り扱い性の観点から、アクリル樹脂組成物(D)は、ペレット状物とすることが好ましい。
アクリル樹脂フィルムの製造法としては、例えば、溶融流延法、Tダイ法、インフレーション法等の溶融押出法及びカレンダー法が挙げられるが、経済性の観点から、Tダイ法が好ましい。
アクリル樹脂フィルムはTダイを備えた押出機等で製膜した後、巻き取り機で紙管等の管状物に巻き取って、ロール状物品とすることができる。
これらの中で、微細構造を有する金型を加熱した後に、アクリル樹脂フィルムの表面に、加熱された金型をプレスしてアクリル樹脂フィルムの表面に微細構造を形成する熱転写法が生産性や経済性の点で好ましい。
上記の微細構造を有する金型を作製する方法としては、例えば、サンドブラスト法、エッチング法及び放電加工法が挙げられる。
本発明の再帰反射シートは、表皮材として、本発明のアクリル樹脂フィルムを有する。再帰反射シートの種類としては、封入レンズ型再帰反射シート、アルミニウム蒸着を施したガラスビーズを基材に埋め込んだカプセル型再帰反射シート、プリズム加工した樹脂シートを反射体として使用したプリズム型再帰反射シート等がある。本発明のアクリル樹脂フィルムは、いずれのタイプの再帰反射シートについても、その表面に配置して、表皮材(表皮層)として使用することができる。
測定条件:再帰反射シートのアクリル樹脂フィルム側を、反射測定の0°照明、45°円周受光により、標準の光D65、10°視野の条件で測定する。
まず、仮支持体層にガラスビーズの上半球部分を一旦埋込み、ビーズの下半球部分とビーズ相互の間隙にわたって一面に金属膜を蒸着してから、これに密着して熱可塑性ポリマからなる支持フィルムを塗布形成する。次に、その面を更に耐熱性樹脂などからなるフィルムで被覆して反対側の上記仮支持体層を剥離し、露呈したガラスビーズの上半球部の上に本発明のアクリル樹脂フィルムを重ねる。次に、所望の独立小区画空室を作るための凸形網目パターンを有する金型によって、耐熱性樹脂などからなるフィルム側から加熱プレスし、支持フィルムを熱溶融してアクリル樹脂フィルムと部分的に密着させる。そして、上記パターンどおりの連結壁を形成して独立小区画空室を形成して、カプセル型再帰反射シートを製造する。
本発明の再帰反射物品は、本発明の再帰反射シートを用いる。再帰反射物品の具体例としては、看板、道路標識等を挙げることができる。
n−BA: アクリル酸n−ブチル
St: スチレン
BDMA: ジメタクリル酸1,3−ブチレングリコール
AMA: メタクリル酸アリル
CHP: クメンハイドロパーオキサイド
t−BH: t−ブチルハイドロパーオキサイド
n−OM: n−オクチルメルカプタン
EDTA: エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム
SFS: ソジウムホルムアルデヒドスルホキシレート(ロンガリット)
RS610NA:ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸ナトリウム(東邦化学工業(株)製、商品名:フォスファノールRS610NA)。
各種評価については、以下の方法により実施した。
得られたアクリル樹脂フィルムを、試験片の長さ方向とMD方向が水平となるように、JIS−K7127(ISO527−3)に規定されるフィルム状の試験片(JIS−K7127に記載の短冊状試験片(試験片タイプ2)、幅:15mm、長さ:150mm)のサイズにカットし、この試験片を5つ用意した。
試験条件はJIS−K7161に準拠した、試験雰囲気:温度23℃、相対湿度50%、チャック間距離:100mm、引張試験速度:100mm/minの条件の下、用意した試験片5つをそれぞれ引張試験にかけて、得られた5つの弾性率の平均値を引張弾性率(x)(単位:MPa)として用いた。
尚、引張試験機としては、島津製作所(株)製の「精密万能試験機 AGS−X−5kN(商品名)」において1kNのロードセルを用いた。
JIS−K7125に準拠した摩擦試験測定用の装置、接触面積40cm2(一片の長さ63mm)で200g±2gの滑り片を用い、試験速度:100mm/min、試験雰囲気:温度23℃、相対湿度50%の試験条件にて、アクリル樹脂フィルムの静摩擦係数(M)及び動摩擦係数(MD)の測定を行った。
試験片としては、滑り片(40cm2、一片の長さ63mm)と同形状のアクリル樹脂フィルムを2枚ずつ3組用意した。
また、測定の際3組とも、フィルムをロール状物とした際に、フィルム同士が重なる面と同じ面が重なるよう設置し、更に試験方向とフィルムのMD方向が平行になるように実施した。
静摩擦係数(M)、及び動摩擦係数(MD)ともに3組の試験結果の平均値を測定値として用いた。
尚、摩擦試験測定装置としては、東洋精機(株)製の「水平型摩擦試験機 TR−2(商品名)」において10Nのロードセルを用いた。
前述した(1)及び(2)で得られた引張弾性率(x)及び静摩擦係数(M)の測定結果を用いて、x/Mを算出した。
得られたアクリル樹脂フィルムをA4サイズにカットし、このカットしたフィルムを、ロール状物とした際にフィルム同士が重なる面と同じ面が重なるように約40枚重ね合わせた。その後、重ね合わせたフィルムを温度23℃、相対湿度50%の環境下で30日間静置した。静置後、フィルム同士がブロッキングしているかどうかを以下の基準に基づいて評価した。
(評価基準)
〇:目視でフィルム同士のブロッキングが確認されず、フィルムを剥がした際にも抵抗を感じない。さらに、ブロッキングに起因するシワや凹凸も確認されない。
×:目視でフィルム同士のブロッキングが確認でき、フィルムを剥がした際に貼り付きによる抵抗を感じる。さらに、ブロッキングに起因するシワや凹凸が確認される。
製造した直後のアクリル樹脂フィルムの全光線透過率(単位:%)及びヘイズ(単位:%)を測定した。
尚、ヘイズはJIS K7136に準拠して、日本電色工業(株)製のNDH4000(商品名)を用いて測定した。
アクリル樹脂組成物(D)にアンチブロッキング剤を含む場合のフィルムのヘイズ(H2)と、アンチブロッキング剤を含まない場合のフィルムのヘイズ(H1)との差(H2−H1)を、上記(5)で得られたヘイズの測定結果を用いて算出した。
市販のカプセルレンズ型再帰反射シート(白)(ニッカポリマ(株)製、商品名:ニッカライトULS)上に得られたアクリル樹脂フィルムを貼り合わせた。そして、そのアクリル樹脂フィルム側を、反射測定の0°照明、45°円周受光により、標準の光D65、10°視野の条件で測定し、色度座標(x,y)が、ASTM D4956に規定される色度座標(x,y)の範囲内であるかどうか、及びY値がASTM D4956の範囲内であるかどうかを確認した。そして各例の結果を図2、図4または図6に記載した。
得られた再帰反射シートを、暗所にてハロゲンランプで照らし、反射する光を目視で確認することで、再帰反射性能(視認性)を以下の基準により評価した。
○:再帰反射性能が高く、視認性が良好。
△:再帰反射性能は僅かに劣るものの、光の反射は十分にあり視認性は良好。
×:再帰反射性能に劣るため、光の反射はあるものの視認性は不良。
用いるアンチブロッキング剤(B)をイオン交換水に分散させ、測定に十分な濃度まで希釈し、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置((株)島津製作所製、商品名:「SALD−7100」)を用いて、体積平均換算におけるメジアン径を求め、そのメジアン径を粒子径とした。
攪拌機及び冷却器を備えた容器にイオン交換水8.5部を仕込んだ後、この容器に、MMA0.3部、n−BA4.5部、BDMA0.2部、および、AMA0.05部からなる単量体成分(A−a−1)、ならびに、重合開始剤であるCHP0.025部を投入し、攪拌混合した。次いで、乳化剤としてRS610NA1.1部を攪拌しながら上記容器に投入し、再度20分間攪拌を継続し、単量体成分(A−a−1)を含有する乳化液を調製した。
ゴム含有重合体(A−1)の組成については表1にまとめた。
冷却器付き反応容器内にイオン交換水195部を投入し、70℃に昇温し、更に、イオン交換水5部にSFS0.10部、硫酸第一鉄0.0002部、およびEDTA0.0006部を加えて調製した混合物をこの容器に一括投入した。
次いで、窒素下で撹拌しながら、MMA2.3部、n−BA2.13部、St0.37部、およびBDMA0.2部からなる単量体成分(A−a−3)、ならびに、重合開始剤であるCHP0.01部、及び乳化剤(RS610NA)1.3部を含む混合物を8分間かけて上記反応容器に滴下した後、15分間反応を継続させて単量体成分(A−a−3)から得られる重合体を得た。
ゴム含有重合体(A−2)の組成については表1にまとめた。
調製例1で得られたゴム含有重合体(A−1)100部からなるアクリル樹脂成分に、アンチブロッキング剤(B)として(株)日本触媒製の粒子径が3.0μm(体積平均換算におけるメジアン径から算出)、屈折率が1.51である架橋アクリル樹脂粒子「エポ
スターMA1002」(商品名)を0.02部添加し、更に紫外線吸収剤、光安定剤、抗酸化剤を表2に示す配合量で添加し、ヘンシェルミキサーを用いて混合し、アクリル樹脂組成物(D)を得た。
結果を表2に示す。
実施例1に用いたアンチブロッキング剤(B)の使用量を0.1部に変更した以外は、実施例1と同様にして、アクリル樹脂フィルムを作製し、その評価を行った。
ルム同士のブロッキングは確認されなかった。また、ブロッキングに起因するシワや凹凸も確認されなかった。これは、アクリル樹脂組成物(D)がアンチブロッキング剤(B)を含有し、かつ、引張弾性率(x)と静摩擦係数(M)から求められるx/Mの値が1200となり上述した式(1)の関係を満たしたためだと考えられる。
上記フィルムを評価して得られたY値および色度座標(x,y)は、ASTM D4956に規定される白色の再帰反射シートの規格を満たすことが確認された。更にこのフィルムを用いた再帰反射シートの視認性は良好であった。
結果を表2に示す。
実施例1に用いたアンチブロッキング剤(B)の使用量を0.3部に変更した以外は、実施例1と同様にして、アクリル樹脂フィルムを作製し、その評価を行った。
上記フィルムを評価して得られたY値および色度座標(x,y)は、ASTM D4956に規定される白色の再帰反射シートの規格を満たすことが確認された。また、このフィルムを用いた再帰反射シートの視認性は、上述した実施例と比較してヘイズの差が大きいため、これらの実施例と比較して僅かに劣るものの、良好であった。
結果を表2に示す。
アンチブロッキング剤(B)を、(株)日本触媒製の粒子径が4.3μm(体積平均換算におけるメジアン径から算出)である架橋アクリル樹脂粒子「エポスターMA1004」(商品名)0.02部に変更した以外は、実施例1と同様にして、アクリル樹脂フィルムを作製し、その評価を行った。
上記フィルムを評価して得られたY値および色度座標(x,y)は、ASTM D4956に規定される白色の再帰反射シートの規格を満たすことが確認された。更にこのフィルムを用いた再帰反射シートの視認性は良好であった。
結果を表2に示す。
アンチブロッキング剤(B)を、(株)日本触媒製の粒子径が6.1μm(体積平均換算におけるメジアン径から算出)である架橋アクリル樹脂粒子「エポスターMA1006」(商品名)0.02部に変更した以外は、実施例1と同様にして、アクリル樹脂フィルムを作製し、その評価を行った。
上記フィルムを評価して得られたY値および色度座標(x,y)は、ASTM D4956に規定される白色の再帰反射シートの規格を満たすことが確認された。更にこのフィルムを用いた再帰反射シートの視認性は良好であった。
結果を表2に示す。
実施例1においてアンチブロッキング剤(B)を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、アクリル樹脂フィルムを作製し、その評価を行った。
ィルムを剥がした際にもフィルム同士の貼り付きによる抵抗を感じた。さらに、ブロッキングに起因するシワや凹凸も確認された。これは、引張弾性率(x)と静摩擦係数(M)から求められるx/Mの値が480となり、上述した式(1)の関係を満たすことができず、且つ、アクリル樹脂組成物(D)がアンチブロッキング剤(B)を含有しなかったためだと考えられる。また、このフィルムを用いた再帰反射シートの視認性は、ブロッキングによる凹凸により僅かに劣るものの良好であった。
結果を表2に示す。
実施例4に用いたアンチブロッキング剤(B)の使用量を0.005部に変更した以外は、実施例4と同様にして、アクリル樹脂フィルムを作製し、その評価を行った。
結果を表2に示す。
実施例5に用いたアンチブロッキング剤(B)の使用量を0.005部に変更した以外は、実施例5と同様にして、アクリル樹脂フィルムを作製し、その評価を行った。
また、比較例3では、フィルム同士は目視でブロッキングが確認でき、フィルムを剥がした際にもフィルム同士の貼り付きによる抵抗を感じた。さらに、ブロッキングに起因するシワや凹凸も確認された。これは、アクリル樹脂組成物(D)がアンチブロッキング剤(B)を含有するものの、引張弾性率(x)と静摩擦係数(M)から求められるx/Mの値が750となり、上述した式(1)の関係を満たすことができなかったためだと考えられる。また、このフィルムを用いた再帰反射シートの視認性は、ブロッキングによる凹凸により僅かに劣るものの良好であった。
結果を表2に示す。
実施例1に用いた紫外線吸収剤を変更し、さらに着色剤を添加した以外は、実施例1と同様にして、アクリル樹脂フィルムを作製し、その評価を行った。具体的に、紫外線吸収剤としては、BASF(株)製のトリアジン系紫外線吸収剤である「チヌビン1577」(商品名)を1.5部用いた。また、着色剤としては、アンスラキノン系染料のCI Solvent Yellow 163である、大日精化工業(株)製の「ダイミックカラーMBR−D05エロー」(商品名)を4部用いた。
上記フィルムを評価して得られたY値および色度座標(x,y)は、ASTM D4956に規定される黄色の再帰反射シートの規格を満たすことが確認された。更にこのフィルムを用いた再帰反射シートの視認性は良好であった。
結果を表3に示す。
実施例6に用いたアンチブロッキング剤(B)の使用量を0.05部に変更した以外は、実施例6と同様にして、アクリル樹脂フィルムを作製し、その評価を行った。
上記フィルムを評価して得られたY値および色度座標(x,y)は、ASTM D4956に規定される黄色の再帰反射シートの規格を満たすことが確認された。更にこのフィルムを用いた再帰反射シートの視認性は良好であった。
結果を表3に示す。
実施例6に用いたアンチブロッキング剤(B)の使用量を0.10部に変更した以外は、実施例6と同様にして、アクリル樹脂フィルムを作製し、その評価を行った。
上記フィルムを評価して得られたY値および色度座標(x,y)は、ASTM D4956に規定される黄色の再帰反射シートの規格を満たすことが確認された。更にこのフィルムを用いた再帰反射シートの視認性は良好であった。
結果を表3に示す。
アンチブロッキング剤(B)を、(株)日本触媒製の架橋アクリル樹脂粒子「エポスターMA1004」(商品名)0.025部に変更した以外は、実施例6と同様にして、アクリル樹脂フィルムを作製し、その評価を行った。
上記フィルムを評価して得られたY値および色度座標(x,y)は、ASTM D4956に規定される黄色の再帰反射シートの規格を満たすことが確認された。更にこのフィルムを用いた再帰反射シートの視認性は良好であった。
結果を表3に示す。
実施例9に用いたアンチブロッキング剤(B)の使用量を0.030部に変更した以外は、実施例9と同様にして、アクリル樹脂フィルムを作製し、その評価を行った。
上記フィルムを評価して得られたY値および色度座標(x,y)は、ASTM D4956に規定される黄色の再帰反射シートの規格を満たすことが確認された。更にこのフィルムを用いた再帰反射シートの視認性は良好であった。
結果を表3に示す。
実施例6においてアンチブロッキング剤(B)を添加しなかったこと以外は、実施例6と同様にして、アクリル樹脂フィルムを作製し、その評価を行った。
ィルムを剥がした際にもフィルム同士の貼り付きによる抵抗を感じた。さらに、ブロッキングに起因するシワや凹凸も確認された。これは、引張弾性率(x)と静摩擦係数(M)から求められるx/Mの値は462となり、上述した式(1)の関係を満たすことができず、且つ、アクリル樹脂組成物(D)がアンチブロッキング剤(B)を含有しなかったためだと考えられる。また、このフィルムを用いた再帰反射シートの視認性は、ブロッキングによる凹凸により僅かに劣るものの良好であった。
結果を表3に示す。
実施例6に用いたアンチブロッキング剤(B)の使用量を0.01部に変更した以外は、実施例6と同様にして、アクリル樹脂フィルムを作製し、その評価を行った。
また、比較例5では、フィルム同士は目視でブロッキングが確認でき、フィルムを剥がした際にもフィルム同士の貼り付きによる抵抗を感じた。さらに、ブロッキングに起因するシワや凹凸も確認された。これは、アクリル樹脂組成物(D)がアンチブロッキング剤(B)を含有するものの、引張弾性率(x)と静摩擦係数(M)から求められるx/Mの値が857となり、上述した式(1)の関係を満たすことができなかったためだと考えられる。また、このフィルムを用いた再帰反射シートの視認性は、ブロッキングによる凹凸により僅かに劣るものの良好であった。
結果を表3に示す。
アクリル樹脂成分として、調製例1で得られたゴム含有重合体(A−1)80部と、熱可塑性重合体(C−1)20部(ゴム含有重合体と熱可塑性重合体の合計100部)とを用いて、実施例6に用いたアンチブロッキング剤(B)の使用量を0.1部に変更した以外は、実施例6と同様にして、アクリル樹脂フィルムを作製し、その評価を行った。
上記フィルムを評価して得られたY値および色度座標(x,y)は、ASTM D4956に規定される黄色の再帰反射シートの規格を満たすことが確認された。更にこのフィルムを用いた再帰反射シートの視認性は良好であった。
結果を表4に示す。
アンチブロッキング剤(B)を、(株)日本触媒製の架橋アクリル樹脂粒子「エポスターMA1004」(商品名)0.02部に変更した以外は、実施例11と同様にして、アクリル樹脂フィルムを作製し、その評価を行った。
上記フィルムを評価して得られたY値および色度座標(x,y)は、ASTM D4956に規定される黄色の再帰反射シートの規格を満たすことが確認された。更にこのフィルムを用いた再帰反射シートの視認性は良好であった。
結果を表4に示す。
実施例11において、アンチブロッキング剤(B)を添加しなかったこと以外は、実施例11と同様にして、アクリル樹脂フィルムを作製し、その評価を行った。
結果を表4に示す。
実施例11に用いたアンチブロッキング剤(B)の使用量を0.01部に変更した以外は、実施例11と同様にして、アクリル樹脂フィルムを作製し、その評価を行った。
結果を表4に示す。
実施例11に用いたアンチブロッキング剤(B)の使用量を0.02部に変更した以外は、実施例11と同様にして、アクリル樹脂フィルムを作製し、その評価を行った。
結果を表4に示す。
実施例11に用いた着色剤を、フタロシアニン系銅化合物の顔料のC.I.Pigment Blue 15:1を50質量%含有する、大日精化工業(株)製の「DIMIC MBR−653 ブルー(商品名)」1.24部に変更した。また、実施例11に用いた紫外線吸収剤を、ADEKA社製のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤である「LA−31」(商品名)に変更した。それら以外は実施例11と同様にして、アクリル樹脂フィルムを作製し、その評価を行った。
上記フィルムを評価して得られたY値および色度座標(x,y)は、ASTM D4956に規定される青色の再帰反射シートの規格を満たすことが確認された。更にこのフィルムを用いた再帰反射シートの視認性は良好であった。
結果を表5に示す。
実施例13において、アンチブロッキング剤(B)を添加しなかった以外は、実施例13と同様にして、アクリル樹脂フィルムを作製し、その評価を行った。
結果を表5に示す。
アクリル樹脂成分として、調製例2で得られたゴム含有重合体(A−2)60部と、上記熱可塑性重合体(C−1)20部と、熱可塑性重合体(C−2)20部(ゴム含有重合体と熱可塑性重合体の合計100部)とを用いた以外は、実施例6と同様にして、アクリル樹脂フィルムを作製し、その評価を行った。
結果を表6に示す。
実施例14において、アンチブロッキング剤(B)を添加しなかった以外は、実施例14と同様にして、アクリル樹脂フィルムを作製し、その評価を行った。
結果を表6に示す。
Claims (10)
- アクリル樹脂成分であるゴム含有重合体(A)と、アンチブロッキング剤(B)とを含有するアクリル樹脂組成物(D)の成形物であり、
以下の条件(i)を満たす、アクリル樹脂フィルム。
条件(i):該アクリル樹脂フィルムにおける、引張弾性率(x)(単位:MPa)と、静摩擦係数(M)とが、下記式(1)の関係を満たすこと。
1000≦x/M≦3500 ・・・(1) - 前記引張弾性率(x)が300MPa以上3000MPa以下である、請求項1に記載のアクリル樹脂フィルム。
- 前記静摩擦係数(M)が0.5以上1.1以下である、請求項1または2に記載のアクリル樹脂フィルム。
- 前記アクリル樹脂フィルムにおいて、前記アンチブロッキング剤(B)を前記アクリル樹脂組成物(D)に含む場合のヘイズ(H2)(単位:%)と含まない場合のヘイズ(H1)(単位:%)とが、下記式(2)の関係を満たす、請求項1〜3のいずれか1項に記載のアクリル樹脂フィルム。
H2−H1<2.0 ・・・(2) - 前記アンチブロッキング剤(B)の粒子径が0.1μm以上10μm以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のアクリル樹脂フィルム。
- 前記アンチブロッキング剤(B)が架橋アクリル樹脂粒子である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のアクリル樹脂フィルム。
- 前記アクリル樹脂組成物(D)中に、前記アンチブロッキング剤(B)が、アクリル樹脂成分の合計含有量100質量部に対して、0.02質量部以上0.5質量部以下含まれる、請求項1〜6のいずれか1項に記載のアクリル樹脂フィルム。
- 表皮材として、請求項1〜7のいずれか1項に記載のアクリル樹脂フィルムを有する、再帰反射シート。
- 前記再帰反射シートが反射素子層を有し、該反射素子層が、ビーズ形状のレンズまたはプリズム形状のレンズである、請求項8に記載の再帰反射シート。
- 請求項8または9に記載の再帰反射シートを用いた、再帰反射物品。
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