JPH09254166A - サニタリー用メタクリル樹脂二層板およびその製法 - Google Patents

サニタリー用メタクリル樹脂二層板およびその製法

Info

Publication number
JPH09254166A
JPH09254166A JP6982696A JP6982696A JPH09254166A JP H09254166 A JPH09254166 A JP H09254166A JP 6982696 A JP6982696 A JP 6982696A JP 6982696 A JP6982696 A JP 6982696A JP H09254166 A JPH09254166 A JP H09254166A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
methacrylic resin
methacrylic
cell
thickness
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP6982696A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazuhiro Yokoo
和宏 横尾
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Chemical Co Ltd filed Critical Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority to JP6982696A priority Critical patent/JPH09254166A/ja
Publication of JPH09254166A publication Critical patent/JPH09254166A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Casting Or Compression Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い熱成形性とサニタリーに用いた時に外観
上の深み感を与える材料を提供する。 【解決手段】 セル中の片面にメタクリル樹脂板を設置
したセルに、メタクリル系単量体混合物を注液、重合す
ることによって得られ、厚み1mm以上の透明層と厚み
1mm以上の不透明層の二層よりなることを特徴とする
サニタリー用メタクリル樹脂二層板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、バスタブや洗面ボ
ウルなどの、いわゆるサニタリー用途に好適なメタクリ
ル樹脂板に関する。
【0002】
【従来の技術】メタクリル樹脂板は、その高い耐久性や
表面光沢、プラスチックとしては高い表面硬度などの特
徴があり、また真空成形や圧空成形などの熱成形法によ
り容易にさまざまな形状を付与できることから、バスタ
ブ、洗面ボウルなどのサニタリー用品に成形されて使用
されている。特に最近では酸、アルカリ、あるいは熱水
によって加水分解による劣化が生じにくいことが注目さ
れ、市場でメタクリル樹脂製のサニタリー用品が多く用
いられるようになってきている。
【0003】これらのサニタリー用途に適したメタクリ
ル樹脂板が、特開平6−322035号公報などに提案
されているが、開示されているサニタリー用のメタクリ
ル樹脂板の構成は、均一な単層構造のものである。
【0004】また、メタクリル樹脂板としては均一な単
層構造のもの以外にも、少なくともその一層がメタクリ
ル樹脂である多層構造のものも知られている。例えば、
特表平3−502785号公報には、塩化ビニル樹脂、
アクリル樹脂またはABS樹脂などの熱可塑性樹脂の板
上に、アクリルモノマーを主成分とするアクリル組成物
を注液し、重合することによって得られる多層成形性複
合積層体について提案されている。この積層体の用途と
して、流し台、浴槽、小ボート用船体、電気器具本体部
品、自動車本体部品などが列挙されており、またその実
施例には、基板として硬質塩化ビニル板または塩化ビニ
ルとABSとの共押出板を使用する例が示されている。
【0005】一方、これらのメタクリル樹脂製のサニタ
リー用材料とは別に、不飽和ポリエステルにガラスフリ
ットなどの充填剤を添加したいわゆる人工大理石調のも
のもある。このものはマトリックス中に、屈折率の類似
した充填剤が存在するために、外観上深み感があって、
高級感を感じさせる材料である。しかし不飽和ポリエス
テルは熱水によって加水分解を起こすことがあり、とく
に近年増加してきたいわゆる24時間バスにおいては加
水分解に基づく表面劣化が問題となっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】サニタリー用途におい
て、不飽和ポリエステル系の人工大理石調の材料が有す
る深み感とメタクリル樹脂の持つ化学的安定性、表面光
沢なとの特徴を合わせ持った材料が望まれている。しか
しながら前記の特開平6−322035号公報などに示
されているサニタリー用メタクリル樹脂板は均一な単層
構造の板材料であるため、成形品の表面に深み感をもた
せることが困難である。
【0007】一方、特表平3−502785号公報に示
される多層構造をもつ樹脂板は、塩化ビニル、ABSな
どの各種熱可塑性樹脂板の表面を、磨耗抵抗性、耐候性
などの点で優れているアクリル樹脂層で被覆すること
で、該熱可塑性樹脂自体の持つ欠点をカバーするととも
に、両層の密着性を改良することを主目的としているも
のであり、サニタリー用材料に求められる、高い熱成形
性、および外観上の深み感に関しては十分な改善がなさ
れているとは言いがたい。
【0008】本発明の目的は、高い熱成形性に加え外観
上の深み感を合わせ持ったサニタリー用メタクリル樹脂
板を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、特定厚みの
透明層と特定厚みの不透明層よりなるメタクリル樹脂板
二層板が、高い熱成形性と外観上の深み感を与えるサニ
タリー用材料として好適であることを見い出し、本発明
を完成した。
【0010】すなわち本発明は、セル中の片面にメタク
リル樹脂板を設置したセルに、メタクリル系単量体混合
物を注液、重合することによって得られ、厚み1mm以
上の透明層と厚み1mm以上の不透明層の二層よりなる
サニタリー用メタクリル樹脂二層板である。以下、本発
明を詳細に説明する。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明におけるメタクリル樹脂板
とは、メタクリル酸メチル単独重合体またはメタクリル
酸メチル80重量%と他の共重合可能なエチレン性不飽
和単量体との共重合体からなるメタクリル樹脂板であ
る。共重合可能なエチレン性不飽和単量体としては、メ
チルアクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチ
ル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)
アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、
ベンジル(メタ)アクリレートなどの単官能の(メタ)
アクリレート類や、スチレン、アクリロニトリル、シク
ロヘキシルマレイミドなどの単官能単量体類、エチレン
グリコールジ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)ア
クリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリ
レート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレ
ートなどの多官能の(メタ)アクリル酸エステル類また
はジビニルベンゼン、ジアリルフタレートのような炭素
−炭素二重結合を有する多官能の単量体類を例示するこ
とができる。
【0012】該メタクリル樹脂板の製造方法は特に限定
されるものではなく、例えば、キャスト板、押出板、連
続キャスト板など公知の製法が使用できる。
【0013】浴槽、洗面ボウルなどのサニタリー用途に
おいては高温の温水に接する機会が多いことから、該メ
タクリル樹脂板が本発明の透明層を構成する場合には、
ガラス転移温度が85℃以上となるよう、共重合可能な
エチレン性不飽和単量体の種類と量を選択するのが好ま
しい。具体的には、メチルアクリレートなどの単官能の
アクリレートはガラス転移温度を下げる効果を持つもの
が多いので、5重量%以下の範囲で用いるのが好まし
い。
【0014】なお、本発明におけるガラス転移温度は、
JIS K7121「プラスチックの転移温度測定方
法」に基づき示差走査型熱量測定(通称、DSC)によ
り求められ、該JIS試験方法に規定される補外ガラス
転移開始温度を意味する。
【0015】該メタクリル樹脂板の板厚は1mm以上必
要である。1mm以上であれば特に制限はないが、厚す
ぎると熱成形がし難くなるので、約6mm以下が好まし
い。さらに好ましくは2〜5mmの範囲である。
【0016】次にセルに注液するメタクリル系単量体混
合物としては、メタクリル酸メチルを主成分とし、場合
によって他の共重合可能な単官能のコモノマーおよび/
またはメタクリル酸メチルに可溶の重合体を含有する単
量体混合物である。単官能のコモノマーを含まずメタク
リル酸メチル単独で使用することも可能であるが、必要
に応じ耐熱分解性の向上など物性の改良のため、共重合
可能な単官能のコモノマーを一部含ませることもでき
る。共重合可能な単官能のコモノマーの具体例として
は、先に挙げた共重合可能なエチレン性不飽和単量体が
挙げられる。この場合においても該メタクリル樹脂系単
量体混合物よりなる重合層が本発明の透明層を構成する
場合においては、ガラス転移温度が85℃以上となるよ
う、共重合可能なエチレン性不飽和単量体の種類と量を
選択するのが好ましい。具体的には、メチルアクリレー
トなどの単官能のアクリレートはガラス転移温度を下げ
る効果を持つものが多いので、5重量%以下の範囲で用
いるのが好ましい。
【0017】本発明におけるメタクリル系単量体混合物
は、メタクリル酸メチルを主成分とする単量体の他に、
重合体を含有した単量体混合物、すなわち、いわゆるシ
ロップとすることもできる。この場合、シロップ中に重
合体を含有させる方法としては、微量のラジカル重合開
始剤のみを用いて部分重合するいわゆる予備重合法と、
懸濁重合、バルク重合、キャスト重合などの方法により
予め得られた重合体を単量体中に溶解させてシロップと
する方法などの公知のシロップ製造方法を取ることがで
きる。その場合用いられる重合体の組成は、単量体混合
物と同一もしくは類似した組成のメタクリル樹脂が一般
的である。
【0018】このほかに、ラジカル重合開始剤が混合さ
れる。使用するラジカル重合開始剤は、メタクリル樹脂
板の製造に用いられている通常の重合開始剤を用いるこ
とができる。その例としては、例えば、ラウロイルパー
オキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチ
ルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘ
キサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、
t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキ
シベンゾエート、t−ブチルパーオキシアセテート、ジ
イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−sec−
ブチルパーオキシジカーボネートなどの過酸化物系開始
剤や、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,
2’−アゾビス(2,4ージメチルバレロニトリル)な
どのアゾ系開始剤、または過酸化物開始剤とアミン類、
メルカプタン類などの還元性化合物を主成分として組み
合わされた公知のレドックス系開始剤系などが挙げられ
る。
【0019】また成形性の改良のため、連鎖移動剤を添
加することもできる。連鎖移動剤としては、ラウリルメ
ルカプタン、オクチルメルカプタン、ブチルメルカプタ
ンのごときアルキルメルカプタン類、チオグリコール酸
2−エチルヘキシル、チオグリコール酸エチルなどのチ
オグリコール酸のエステル類を初めとするメルカプタン
類や、α−スチレンダイマーなどを例示することができ
る。
【0020】このほかに本発明の樹脂の特徴を損なわな
い範囲で、用途に応じて各種公知の添加剤、例えば、酸
化防止剤、紫外線吸収剤、離型剤、帯電防止剤、可塑
剤、染料などを添加することも可能である。
【0021】本発明においては重合後得られるメタクリ
ル樹脂二層板において、厚み1mm以上の透明層と厚み
1mm以上の不透明層を有することを特徴とする。この
条件をみたすメタクリル樹脂二層板とすることで、サニ
タリー用途に望まれている深み感のある外観が得られ
る。
【0022】本発明において透明層の役割のひとつは、
得られたサニタリー用成形品を眺めた際に、透明層を通
して不透明層を見ることで、深み感を付与する役割であ
り、そのためには不透明層が目視で確認できる程度の透
明性が必要である。従って本発明における透明とは無色
透明のほか、色透明、半透明を含むが、いずれにして
も、不透明層がない場合の透明層単独での全光線透過率
が、70%以上あることが好ましい。さらに好ましくは
80%以上である。
【0023】透明層の厚みは1mm以上必要である。透
明層の厚みが1mm未満であると、成形前の樹脂板の段
階では外観上の深み感がある程度有していても、サニタ
リー用品ではかなり高倍率の延伸がなされることが多
く、透明層が著しく薄くなって、成形品において外観上
の深み感が十分得られないので好ましくない。
【0024】次に本発明における不透明層の役割は、得
られたサニタリー用品の色合い自体を決める役割と共
に、サニタリー用品において一般的な、FRPによる裏
側の補強に対し、その補強層を隠蔽する役割をも持つ。
従って本発明における不透明層は二層板としての全光線
透過率が約20%以下となる隠蔽力を持つことが好まし
い。さらに好ましくは二層板としての全光線透過率が1
0%以下となる隠蔽力である。そのような隠蔽力を付与
する手段としては、例えば酸化チタン、ベンガラなど公
知の顔料を適当量含ませることで達成される。
【0025】不透明層の厚みは1mm以上必要である。
不透明層の厚みが1mm未満であると、成形品の裏面が
透けて見えることがあるため、FRPで補強されること
が一般的なサニタリー用品においては、補強されたFR
Pが使用される表面から見えて商品価値を損なうので好
ましくない。
【0026】不透明層においては意匠性の付与、深み感
をさらに強調するために、不透明層内には隠蔽用顔料以
外に石質の着色粒子、樹脂製の着色粒子、あるいは薄片
などを添加してもよい。これらの粒子、薄片のサイズは
平均100μm以上である方が、深み感がより強調され
るので好ましい。
【0027】次に、セルは通常、2枚の対向した板とシ
ール材よりなり、本発明においてはそのキャビテイ内の
片面にメタクリル樹脂基板を設置したものである。この
場合セル本体を構成する2枚の板はその材質に特に制限
はなくガラス板、ステンレス板などが使用できる、なか
でもメタクリル樹脂板に接触するセル内面が艶消し表面
になっている物が、得られるメタクリル樹脂二層板の表
面の平滑性に優れるので好ましい。
【0028】セルのキャビティにメタクリル系単量体混
合物を注液する。
【0029】厚み1mm以上の透明層と厚み1mm以上
の不透明層の二層よりなるサニタリー用メタクリル樹脂
二層板を得る手段としては、メタクリル樹脂板として隠
蔽用顔料を含有しないものを用い、メタクリル系単量体
混合物として隠蔽用顔料を含有するものを用いる方法
と、これとは逆にメタクリル樹脂基板として隠蔽用顔料
を含有するものを用い、メタクリル系単量体混合物とし
ては隠蔽用顔料を含有しないものを用いる方法の2つが
あり、いずれの方法でも所望の樹脂板を得ることは可能
である。このうち前者の方法、すなはち、セル中の片面
に透明なメタクリル樹脂板を設置したセルに、隠蔽用顔
料を含有したメタクリル系単量体混合物を注液、重合す
る方法の方が、得られる二層板において透明層の厚みが
より厚くなるため、透明層の厚みを大きくしたい場合に
はこの方法が好ましい。
【0030】注液後の重合はいわゆるセルキャスト法と
いわれる周知の方法で行う。すなわち、注液後のセルを
水浴あるいは空気浴中で加熱することにより重合させ
る。
【0031】重合条件にはとくに制限はなく使用するラ
ジカル重合開始剤の種類、量、また所望するメタクリル
樹脂二層板の厚みなどをもとに適宜選択するが、通常、
室温以上150℃以下の範囲で数十分〜数十時間重合を
行う。
【0032】重合後このセルを開枠してメタクリル樹脂
二層板を得る。
【0033】本発明のメタクリル樹脂二層板はバスタブ
や洗面ボウルなどのサニタリー用品を得るために、真空
成形、圧空成形などの熱成形法により深絞り成形されて
使用される。従って深絞り可能なように加熱時に十分な
伸びを示すものであることが好ましい。具体的には、引
っ張り速度500mm/分、温度180℃の条件で、J
ISK7113「プラスチックの引っ張り試験方法」に
規定されている2号形試験片の形状を有する二層板試験
片の引っ張り試験を行った際の破断伸び率が500%以
上であることが望ましい。
【0034】このような加熱時の十分な伸び率を示す材
料とするためには、前記のメタクリル樹脂板およびメタ
クリル系単量体混合物の単量体組成、分子量、架橋され
ている場合は架橋成分の量と非架橋成分の比率、および
非架橋成分の分子量を選択することで達成される。
【0035】より具体的には、n−ブチルアクリレー
ト、2−エチルヘキシルアクリレートなどの脂肪族アク
リレート類を0.1〜5重量%用いる方法、重量平均分
子量を10〜100万程度にする方法、または全体の5
0〜90%が架橋した構造であり、残りの非架橋構造成
分は重量平均分子量が10〜100万程度であるような
組成、およびこれらを組み合わせた手法を用いることで
達成できる。全体の50〜90%が架橋した構造であ
り、残りの非架橋構造成分は重量平均分子量が10〜1
00万程度となる組成を得る方法の一例としては、例え
ば、特開昭49−51383号公報の実施例に示されて
いるようなジメタクリレート系架橋剤とメルカプタン類
とを併用する手法を用いることができる。
【0036】このメタクリル樹脂二層板は、所望の形状
に熱成形されて、バスタブ、洗面ボウルなどのサニタリ
ー用品として使用される。熱成形の手法としては、真空
成形、圧空成形などが好適である。なお成形時には、深
み感のある外観を得るために、透明層側を成形品の表面
となるようにセットして成形する。
【0037】
【発明の効果】本発明のサニタリー用メタクリル樹脂二
層板は、従来の単層のサニタリー用メタクリル樹脂板を
使用したサニタリー用品よりもさらに深み感のある外観
を得ることができるため、メタクリル樹脂の持つ高級感
を一層引き立たせることができる。そして浴槽、洗面ボ
ウルなどのサニタリー用品に好適に使用される。またバ
ックアップ層に対する隠蔽性をも有しているため、バッ
クアップ層のガラス繊維のムラなども使用する面からは
見え難く、バックアップ層形成に神経をつかう労力が軽
減される。さらにサニタリー用品は、温水の影響によっ
ては、バックアップ層と表層のメタクリル層とが部分剥
離したり、メタクリル樹脂層の裏側にクレイズなどの欠
陥を生じる場合もあるが、本発明のサニタリー用二層板
によって得られる成形品は不透明層による隠蔽性を有し
ているため、これらの欠陥が生じた場合でも、表面から
その欠陥が見え難く、実用的な寿命を伸ばす効果も期待
できる。
【0038】
【実施例】以下、実施例で本発明を具体的に説明する
が、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、実施例、比較例における部は、重量部を表す。ま
た、実施例中において行った物性測定、試験方法は、以
下の通りである。 (1)ガラス転移温度:セイコー電子工業(株)製熱分
析装置(型式:SSC550)を用い、昇温速度10℃
/分の条件により測定し、JIS K7121「プラス
チックの転移温度測定方法」に規定されている補外ガラ
ス転移開始温度をもってガラス転移温度とした。 (2)引っ張り伸び率:インストロン(株)製 引っ張
り試験装置を用い、サンプルは JISK7113にお
ける2号形試験片形状とし、引っ張り速度500mm/
分、温度180℃の条件で引っ張り試験を行い、破断伸
び率を求めた。
【0039】実施例1 まず、メチルメタクリレート71部、2−エチルヘキシ
ルアクリレート5部、ネオペンチルグリコールジメタク
リレート0.1部、重量平均分子量約15万のメタクリ
ル樹脂20部、ラジカル重合開始剤としてアゾビスイソ
ブチロニトリル0.1部、および白色顔料としての酸化
チタン0.2部よりなるシロップ状の混合物をガラスセ
ルに注液したのちキャスト重合して、厚み2mmのメタ
クリル樹脂板を得た。この板の全光線透過率は5%であ
った。このメタクリル樹脂板を2枚のガラス板とシール
材より構成されるガラスセル内に設置して、キャビティ
の厚みが5mmであるセルを構成した。
【0040】次に、メチルメタクリレート71部、2−
エチルヘキシルアクリレート5部、ネオペンチルグリコ
ールジメタクリレート0.1部、重量平均分子量約15
万のメタクリル樹脂20部を溶解し、ラジカル重合開始
剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.1部を添加混
合して、シロップ状のメタクリル系単量体混合物を得
た。
【0041】このメタクリル系単量体混合物を脱気した
のち先のセル内に注液し、60℃で5時間、その後10
5℃で1時間、エアオーブン中で加熱して重合を行っ
た。
【0042】重合完了後セルを開枠して、片面が透明
層、もう一方の面が白色の不透明層であるトータル厚み
7mmのメタクリル樹脂二層板を得た。透明層の厚みは
4.5mm、白色の不透明層の厚みは2.5mmであっ
た。このメタクリル樹脂二層板の透明層のガラス転移温
度は88℃であった。また、メタクリル樹脂二層板の破
断伸び率は700%であった。
【0043】得られたメタクリル樹脂二層板を、ミニバ
スタブ金型を設置した真空成形装置により、真空成形法
にて成形し、バスタブ内側に透明層を、バスタブ外側に
不透明層を有するミニバスタブ成形品を得た。この成形
品の外側にガラス繊維と不飽和ポリエステル樹脂によ
り、ハンドレイアップ法によりFRP層を積層して、補
強されたミニバスタブを得た。このミニバスタブ成形品
の内側は厚みが1mm以上の透明層を有しており、深み
感のある良好な外観を示した。また、内側からみてバッ
クアップされたFRP層が透けて見えることはなかっ
た。
【0044】実施例2 予備重合によって作成されたメチルメタクリレートシロ
ップ98部、2−エチルヘキシルアクリレート2部、ネ
オペンチルグリコールジメタクリレート0.1部、ラウ
リルメルカプタン0.1部、およびラジカル重合開始剤
としてのアゾビスイソブチロニトリル0.1部シロップ
状の混合物をガラスセルに注液したのちキャスト重合し
て、厚み3mmのメタクリル樹脂板を得た。この板の全
光線透過率は92%であった。このメタクリル樹脂板を
2枚のガラス板とシール材より構成されるガラスセル内
に設置して、キャビティの厚みが6mmであるセルを構
成した。
【0045】次に、予備重合によって作成されたメチル
メタクリレートシロップ100部、ラウリルメルカプタ
ン0.2部、アゾビスイソブチロニトリル0.1部、お
よびパール調の薄片状顔料イリオジン(メルク社製)
1.0部を添加混合して、シロップ状のメタクリル系単
量体混合物を得た。このメタクリル系単量体混合物を脱
気したのち先のセル内に注液し、60℃で8時間、その
後120℃で1時間、エアオーブン中で加熱して重合を
行った。
【0046】重合完了後セルを開枠して、片面が透明
層、もう一方の面がパール調を示す不透明層であるトー
タル厚み6mmのメタクリル樹脂二層板を得た。透明層
の厚みは3.5mm、パール調を示す不透明層の厚みは
2.5mmであった。このメタクリル樹脂二層板の透明
層のガラス転移温度は102℃であった。また、メタク
リル樹脂二層板の破断伸び率は820%であった。また
全光線透過率は5%であった。
【0047】比較例1 厚みが8mmで灰色不透明の硬質塩化ビニール製板を2
枚のガラス板とシール材より構成されるガラスセル内に
設置して、キャビティの厚みが3mmであるセルを構成
した。次に予備重合法によって得られたメチルメタクリ
レートシロップ100部、ラウリルメルカプタン0.0
5部、アゾビスイソブチロニトリル0.1部よりなる混
合物を脱気後、先のセルに注液し、60℃で8時間、そ
の後120℃で1時間重合を行い、片面が透明なアクリ
ル層、もう一方の面が不透明な硬質塩化ビニル層よりな
る樹脂二層板を得た。この樹脂二層板の破断伸び率は1
40%であった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29K 105:32 B29L 9:00

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セル中の片面にメタクリル樹脂板を設置
    したセルに、メタクリル系単量体混合物を注液、重合す
    ることによって得られ、厚み1mm以上の透明層と厚み
    1mm以上の不透明層の二層よりなることを特徴とする
    サニタリー用メタクリル樹脂二層板。
  2. 【請求項2】 透明層のガラス転移温度が85℃以上で
    ありかつ、引っ張り速度500mm/分、温度180℃
    の条件でJIS K7113における2号形試験片形状
    での引っ張り試験を行った際の破断伸び率が500%以
    上であることを特徴とする請求項1のサニタリー用メタ
    クリル樹脂二層板。
  3. 【請求項3】 不透明層が顔料を含有するメタクリル系
    単量体混合物を重合してなる請求項1のサニタリー用メ
    タクリル樹脂二層板。
  4. 【請求項4】 セル中の片面に透明層として、透明なメ
    タクリル樹脂板を設置したセルに、顔料を含有するメタ
    クリル系単量体混合物を注液、重合して不透明層を形成
    させることを特徴とする請求項1記載のサニタリー用メ
    タクリル樹脂二層板の製法。
  5. 【請求項5】 セル中の片面に不透明層として、顔料を
    含有するメタクリル系単量体混合物を重合してなるメタ
    クリル樹脂板を設置したセルに、メタクリル系単量体混
    合物を注液、重合して透明層を形成することを特徴とす
    る請求項1記載のサニタリー用メタクリル樹脂二層板の
    製法。
  6. 【請求項6】 重合して透明なメタクリル樹脂板を得る
    ためのメタクリル系単量体混合物中に、脂肪族アクリレ
    ート類および/またはジメタクリレート系架橋剤とメル
    カプタン類と含有する請求項4または請求項5記載の製
    法。
JP6982696A 1996-03-26 1996-03-26 サニタリー用メタクリル樹脂二層板およびその製法 Pending JPH09254166A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6982696A JPH09254166A (ja) 1996-03-26 1996-03-26 サニタリー用メタクリル樹脂二層板およびその製法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6982696A JPH09254166A (ja) 1996-03-26 1996-03-26 サニタリー用メタクリル樹脂二層板およびその製法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09254166A true JPH09254166A (ja) 1997-09-30

Family

ID=13413962

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6982696A Pending JPH09254166A (ja) 1996-03-26 1996-03-26 サニタリー用メタクリル樹脂二層板およびその製法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09254166A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001146506A (ja) * 1999-09-06 2001-05-29 Nippon Shokubai Co Ltd 樹脂シートおよびこれを用いた成形品
JP2008093972A (ja) * 2006-10-12 2008-04-24 Sumitomo Chemical Co Ltd 樹脂多層板の製造方法
JP2011046799A (ja) * 2009-08-26 2011-03-10 Sumitomo Chemical Co Ltd メタクリル樹脂組成物

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001146506A (ja) * 1999-09-06 2001-05-29 Nippon Shokubai Co Ltd 樹脂シートおよびこれを用いた成形品
JP2008093972A (ja) * 2006-10-12 2008-04-24 Sumitomo Chemical Co Ltd 樹脂多層板の製造方法
JP2011046799A (ja) * 2009-08-26 2011-03-10 Sumitomo Chemical Co Ltd メタクリル樹脂組成物

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CA2495107C (en) Sanitary material resistant to hot water cycles and composed of pmma moulding composition or of impact-modified pmma moulding composition
US9062211B2 (en) Reactive mixture for coating molded objects by means of reaction injection molding and coated molded object
JP3142774B2 (ja) アクリルフィルムおよびこれを用いたアクリル積層射出成型品
JP4658457B2 (ja) 耐候性、耐衝撃強度を有するアクリル系組成物
JP3835275B2 (ja) アクリル系樹脂フィルム及びそれを積層した射出成形品
JP3956712B2 (ja) 耐白化性アクリル系樹脂フィルムとそれを用いた積層成形品
NZ280213A (en) Multilayer composite comprising a layer of impact-resistant polymethylmethacrylate and a layer of styrene-acrylonitrile copolymer; moulded articles
JP2003253016A (ja) 表面加飾用アクリルフィルム及びそれで加飾された成形体
JP4291994B2 (ja) アクリルフィルムおよびその積層品
JP4291993B2 (ja) アクリルフィルムおよびその積層品
JPH09254166A (ja) サニタリー用メタクリル樹脂二層板およびその製法
EP1249339A1 (en) Acrylic resin film, method of producing the same, and laminate using the same
JP2002309059A (ja) アクリル樹脂フィルムおよびこれを用いた積層体
JP3964234B2 (ja) アクリル樹脂フィルムの製造方法
JP3479645B2 (ja) 塗装代替用アクリル樹脂フィルムおよびこれを用いたアクリル積層成形品
JPH0315648B2 (ja)
JP4669142B2 (ja) アクリル樹脂積層フィルム、その製造方法、およびこれを用いた積層体
TW454028B (en) Laminated extruded resin sheet
JP2003340986A (ja) 塗装代替用積層フィルム又はシート、その製造方法、及び塗装代替用積層フィルム又はシートを有する積層体
JP4851045B2 (ja) 水酸基含有アクリル系重合体、熱可塑性樹脂組成物、熱可塑性樹脂フィルム、積層体、建築材料
JPH1045854A (ja) 耐候性の改良された多層構造重合体およびその多層構造重合体からなるアクリル樹脂フィルム
JPH11228710A (ja) 化粧板用アクリル樹脂フィルム
KR102585620B1 (ko) 무광 메탈릭 복합시트 및 이의 제조방법
JP4031951B2 (ja) 塗装代替用積層フィルムまたはシート、その製造方法、および、この塗装代替用積層フィルムまたはシートを含む積層体
WO2020138498A1 (ja) 加飾フィルム用のベースフィルムおよびそれを含む加飾フィルム