JP2008074916A - 紫外線カットフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】黄変し難く、製造時の不具合も発生し難い紫外線吸収剤含有アクリルフィルムを提供する。
【解決手段】メタクリル樹脂、分子量が400以上であるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、及び分子量が400以上であるベンゾエート系紫外線吸収剤を含有し、厚さが300μm以下であるアクリルフィルムとする。上記ベンゾエート系紫外線吸収剤の含有量は、上記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の含有量の0.4〜0.8重量倍であるのがよい。
【選択図】なし

Description

本発明は、紫外線カット能を有するアクリルフィルムに関するものである。また、本発明は、このアクリルフィルムを用いてなる積層フィルム、さらには積層成形体にも関係している。
アクリルフィルムは、耐候性と可視光域の透明性に優れることから、各種基材に積層され、基材に耐候性と共に透明性に由来する意匠性を付与するためのフィルムとして好ましく用いられている。また、このアクリルフィルムには、基材を紫外線から保護するため、紫外線吸収剤を含有させて紫外線カット能を付与することが種々検討されており、該紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系やトリアジン系、アゾメチン系、インドール系、ベンゾフェノン系などのものが用いられ、中でもベンゾトリアゾール系のものが好ましく用いられている(例えば特許文献1〜5参照)。
特開昭63−8449号公報 特開2000−7873号公報 特開2000−169767号公報 特開2000−226779号公報 特開2004−227843号公報
従来の紫外線吸収剤含有アクリルフィルムでは、紫外線吸収剤が光劣化し易いためか、黄変し易いという問題があった。また、製造の際、紫外線吸収剤が熱揮散して、作業環境の悪化や設備の汚染、得られるフィルムの表面荒れなどの不具合を招くこともあった。
そこで、本発明の目的は、黄変し難く、製造時の不具合も発生し難い紫外線吸収剤含有アクリルフィルムを提供することにある。そして、このアクリルフィルムを用いて、黄変し難い積層フィルム、さらには積層成形体を有利に提供することにある。
本発明者は、鋭意研究を行った結果、メタクリル樹脂に所定の紫外線吸収剤を併用して配合し、所定の厚さのフィルムとすることにより、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、メタクリル樹脂、分子量が400以上であるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、及び分子量が400以上であるベンゾエート系紫外線吸収剤を含有し、厚さが300μm以下であることを特徴とするアクリルフィルムを提供するものである。
このアクリルフィルムは、例えば片面に印刷を施すこともでき、また、その印刷が施された面に樹脂層を設けることにより、積層フィルムとすることもできる。そして、上記アクリルフィルムの印刷が施された面、又は上記積層フィルムの樹脂層が設けられた面に、樹脂成形体を積層することにより、黄変し難い積層成形体を得ることができる。
本発明のアクリルフィルムは、黄変し難く、製造時の不具合も発生し難いので、これを用いることにより、黄変し難い積層フィルム、さらには積層成形体を容易に得ることができる。
本発明のアクリルフィルムを構成する基材樹脂であるメタクリル樹脂は、メタクリル酸エステルを主体とする重合体であり、メタクリル酸エステルの単独重合体であってもよいし、メタクリル酸エステル50重量%以上とこれ以外の単量体50重量%以下との共重合体であってもよい。ここで、メタクリル酸エステルとしては、通常、メタクリル酸のアルキルエステルが用いられる。
メタクリル樹脂の好ましい単量体組成は、全単量体を基準として、メタクリル酸アルキルが50〜100重量%、アクリル酸アルキルが0〜50重量%、これら以外の単量体が0〜49重量%であり、より好ましくは、メタクリル酸アルキルが50〜99.9重量%、アクリル酸アルキルが0.1〜50重量%、これら以外の単量体が0〜49重量%である。
ここで、メタクリル酸アルキルの例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシルなどが挙げられ、そのアルキル基の炭素数は通常1〜8、好ましくは1〜4である。中でもメタクリル酸メチルが好ましく用いられる。
また、アクリル酸アルキルの例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルなどが挙げられ、そのアルキル基の炭素数は通常1〜8、好ましくは1〜4である。
また、メタクリル酸アルキル及びアクリル酸アルキル以外の単量体は、単官能単量体、すなわち分子内に重合性の炭素−炭素二重結合を1個有する化合物であってもよいし、多官能単量体、すなわち分子内に重合性の炭素−炭素二重結合を少なくとも2個有する化合物であってもよいが、単官能単量体が好ましく用いられる。そして、この単官能単量体の例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンの如き芳香族アルケニル化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリルの如きアルケニルシアン化合物などが挙げられる。また、多官能単量体の例としては、エチレングリコールジメタクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートの如き多価アルコールのポリ不飽和カルボン酸エステル、アクリル酸アリル、メタクリル酸アリル、ケイ皮酸アリルの如き不飽和カルボン酸のアルケニルエステル、フタル酸ジアリル、マレイン酸ジアリル、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレートの如き多塩基酸のポリアルケニルエステル、ジビニルベンゼンの如き芳香族ポリアルケニル化合物などが挙げられる。
なお、上記のメタクリル酸アルキル、アクリル酸アルキル、及びこれら以外の単量体は、それぞれ、必要に応じてそれらの2種以上を用いてもよい。
メタクリル樹脂は、フィルムの耐熱性の点から、そのガラス転移温度が40℃以上であるのが好ましく、60℃以上であるのがより好ましい。このガラス転移温度は、単量体の種類やその割合を調整することにより、適宜設定することができる。
メタクリル樹脂は、その単量体成分を、懸濁重合、乳化重合、塊状重合などの方法により重合させることにより、調製することができる。その際、好適なガラス転移温度を得るため、又は好適なフィルムへの成形性を示す粘度を得るため、重合時に連鎖移動剤を使用することが好ましい。連鎖移動剤の量は、単量体の種類やその割合などに応じて、適宜決定すればよい。
メタクリル樹脂には紫外線吸収剤を配合して、その組成物によりアクリルフィルムを構成する。そして、本発明では、該紫外線吸収剤として、分子量が400以上であるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤と、分子量が400以上であるベンゾエート系紫外線吸収剤とを併用する。かかる所定の紫外線吸収剤を併用することにより、長期にわたり黄変し難い、紫外線カット能を有するアクリルフィルムとすることができる。また、製造の際、紫外線吸収剤の熱揮散による、作業環境の悪化や設備の汚染、得られるフィルムの表面荒れなどの不具合を抑制することもできる。さらに、基材樹脂であるメタクリル樹脂の光劣化を抑制することもできる。
上記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の例としては、2,2’−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール](分子量659;市販品の例としては株式会社ADEKAのLA31)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール(分子量447.6;市販品の例としてはチバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社のチヌビン234)などが挙げられる。また、上記ベンゾエート系紫外線吸収剤の例としては、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート(分子量438.7;市販品の例としては住友化学株式会社のSumisorb400)などが挙げられる。なお、上記紫外線吸収剤はそれぞれ、必要に応じてそれらの2種以上を用いることもできる。また、必要により、上記紫外線吸収剤以外の紫外線吸収剤、例えば、サリチル酸誘導体、置換アクリロニトリル、ニッケル錯体、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤などを、フィルムに含有させることもできる。
アクリルフィルムにおける上記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤と上記ベンゾエート系紫外線吸収剤の含有割合については、上記ベンゾエート系紫外線吸収剤の含有量が、上記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤に対し、通常0.1〜2重量倍であり、好ましくは0.4〜0.8倍である。上記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の含有量があまり少ないと、長波長域(300〜370nm程度)の紫外線カット能が不足し易く、一方、上記ベンゾエート系紫外線吸収剤の含有量があまり少ないと、短波長域(250〜300nm程度)の紫外線カット能が不足し易くなる。
また、アクリルフィルムにおける上記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及び上記ベンゾエート系紫外線吸収剤の含有量は、アクリルフィルムの面積あたりの両者の合計含有量として、通常0.5〜5m2であり、好ましくは0.75〜3g/m2である。この含有量があまり少ないと、紫外線カット能が不十分になり易く、一方、この含有量があまり多いと、フィルムの外観や成膜性が低下し易くなる。
本発明のアクリルフィルムを構成する上記樹脂組成物には、フィルムの耐衝撃性や柔軟性を高めるために、ゴム粒子を含有させるのが望ましい。ゴム粒子としては、例えば、アクリル系、ブタジエン系、スチレン−ブタジエン系などのものを用いることができるが、中でも、耐侯性の点から、アクリルゴム粒子が好ましく用いられる。
アクリルゴム粒子は、ゴム成分としてアクリル酸エステルを主体とする弾性重合体を含有する粒子であり、この弾性重合体のみからなる単層構造の粒子であってもよいし、この弾性重合体の層を有する多層構造の粒子であってもよいが、フィルムの表面硬度の点から、多層構造の粒子であることが好ましい。また、この弾性重合体は、アクリル酸エステルの単独重合体であってもよいし、アクリル酸エステル50重量%以上とこれ以外の単量体50重量%以下との共重合体であってもよい。ここで、アクリル酸エステルとしては、通常、アクリル酸のアルキルエステルが用いられる。
アクリル酸エステルを主体とする弾性重合体の好ましい単量体組成は、全単量体を基準として、アクリル酸アルキルが50〜99.9重量%、これ以外の単官能単量体が0〜49.9重量%、多官能単量体が0.1〜10重量%である。
ここで、アクリル酸アルキルの例は、先にメタクリル樹脂の単量体成分として挙げたアクリル酸アルキルの例と同様であり、そのアルキル基の炭素数は通常1〜8、好ましくは4〜8である。
また、アクリル酸アルキル以外の単官能単量体は、メタクリル酸アルキルその他の単官能単量体であることができ、その例は、先にメタクリル樹脂の単量体成分として挙げたメタクリル酸アルキルの例や、メタクリル酸アルキル及びアクリル酸アルキル以外の単官能単量体の例と同様である。
また、多官能単量体の例は、先にメタクリル樹脂の単量体成分として挙げた多官能単量体の例と同様であり、中でも、不飽和カルボン酸のアルケニルエステルや、多塩基酸のポリアルケニルエステルが好ましく用いられる。
なお、上記のアクリル酸アルキル、これ以外の単官能単量体、及び多官能単量体は、それぞれ、必要に応じてそれらの2種以上を用いてもよい。
アクリルゴム粒子として多層構造のものを使用する場合、その好適な例としては、アクリル酸エステルを主体とする弾性重合体の層の外側に、メタクリル酸エステルを主体とする重合体の層を有するもの、すなわち、アクリル酸エステルを主体とする弾性重合体を内層とし、メタクリル酸エステルを主体とする重合体を外層とする、少なくとも2層構造のものを挙げることができる。ここで、外層の重合体の単量体成分であるメタクリル酸エステルとしては、通常、メタクリル酸アルキルが用いられる。また、外層の重合体は、内層の弾性重合体100重量部に対し、通常10〜400重量部、好ましくは20〜200重量部の割合で形成するのがよい。外層の重合体を、内層の弾性重合体100重量部に対し10重量部以上とすることで、該弾性重合体の凝集が生じ難くなり、フィルムの透明性が良好となる。
上記外層の重合体の好ましい単量体組成は、全単量体を基準として、メタクリル酸アルキルが50〜100重量%、アクリル酸アルキルが0〜50重量%、これら以外の単量体が0〜49重量%である。
ここで、メタクリル酸アルキルの例は、先にメタクリル樹脂の単量体成分として挙げたメタクリル酸アルキルの例と同様であり、そのアルキル基の炭素数は通常1〜8、好ましくは1〜4である。中でもメタクリル酸メチルが好ましく用いられる。
また、アクリル酸アルキルの例は、先にメタクリル樹脂の単量体成分として挙げたアクリル酸アルキルの例と同様であり、そのアルキル基の炭素数は通常1〜8、好ましくは1〜4である。
また、メタクリル酸アルキル及びアクリル酸アルキル以外の単量体は、単官能単量体であってもよいし、多官能単量体であってもよいが、単官能単量体が好ましく用いられる。そして、この単官能単量体の例は、先にメタクリル樹脂の単量体成分として挙げたメタクリル酸アルキル及びアクリル酸アルキル以外の単官能単量体の例と同様であり、また、多官能単量体の例は、先にメタクリル樹脂の単量体成分として挙げた多官能単量体の例と同様である。
なお、上記のメタクリル酸アルキル、アクリル酸アルキル、及びこれら以外の単量体は、それぞれ、必要に応じてそれらの2種以上を用いてもよい。
また、多層構造のアクリルゴム粒子の好適な例として、上記2層構造の内層であるアクリル酸エステルを主体とする弾性重合体の層の内側に、さらにメタクリル酸エステルを主体とする重合体の層を有するもの、すなわち、このメタクリル酸エステルを主体とする重合体を内層とし、アクリル酸エステルを主体とする弾性重合体を中間層とし、先のメタクリル酸エステルを主体とする重合体を外層とする、少なくとも3層構造のものを挙げることもできる。ここで、内層の重合体の単量体成分であるメタクリル酸エステルとしては、通常、メタクリル酸アルキルが用いられる。また、内層の重合体は、中間層の弾性重合体100重量部に対し、通常10〜400重量部、好ましくは20〜200重量部の割合で形成するのがよい。
上記内層の重合体の好ましい単量体組成は、全単量体を基準として、メタクリル酸アルキルが70〜100重量%、これ以外の単量体0〜30重量%である。
ここで、メタクリル酸アルキルの例は、先にメタクリル樹脂の単量体成分として挙げたメタクリル酸アルキルの例と同様であり、そのアルキル基の炭素数は通常1〜8、好ましくは1〜4である。中でもメタクリル酸メチルが好ましく用いられる。
また、メタクリル酸アルキル以外の単量体は、アクリル酸アルキルその他の単官能単量体であってもよいし、多官能単量体であってもよい。そして、この単官能単量体の例は、先にメタクリル樹脂の単量体成分として挙げたアクリル酸アルキルの例や、メタクリル酸アルキル及びアクリル酸アルキル以外の単官能単量体の例と同様であり、また、多官能単量体の例は、先にメタクリル酸樹脂の単量体成分として挙げた多官能単量体の例と同様である。
なお、上記のメタクリル酸アルキル、及びこれら以外の単量体は、それぞれ、必要に応じてそれらの2種以上を用いてもよい。
このような3層構造のアクリルゴム粒子は、例えば、特公昭55−27576号公報(米国特許第3793402号明細書)に開示されている。特に、同公報の実施例3に記載のものは、好ましい組成の一つである。
アクリルゴム粒子は、先に述べたアクリル酸エステルを主体とする弾性重合体の単量体成分を、乳化重合法などにより、少なくとも1段の反応で重合させることにより、調製することができる。その際、先に述べた如く、上記弾性重合体の層の外側に、メタクリル酸エステルを主体とする重合体の層を形成する場合は、この外層の重合体の単量体成分を、上記弾性重合体の存在下に、乳化重合法などにより、少なくとも1段の反応で重合させることにより、上記弾性重合体にグラフトさせればよい。また、先に述べた如く、上記弾性重合体の層の内側に、さらにメタクリル酸エステルを主体とする重合体の層を形成する場合は、まず、この内層の重合体の単量体成分を、乳化重合法などにより、少なくとも1段の反応で重合させ、次いで、得られる重合体の存在下に、上記弾性重合体の単量体成分を、乳化重合法などにより、少なくとも1段の反応で重合させることにより、上記内層の重合体にグラフトさせ、さらに、得られる弾性重合体の存在下に、上記外層の重合体の単量体成分を、乳化重合法などにより、少なくとも1段の反応で重合させることにより、上記弾性重合体にグラフトさせればよい。なお、各層の重合を、それぞれ2段以上で行う場合、いずれも、各段の単量体組成ではなく、全体としての単量体組成が所定の範囲内にあればよい。
ゴム粒子としては、平均粒子径が0.05〜0.4μmであるものが好ましく用いられる。ゴム粒子の平均粒子径があまり小さいと、フィルムの表面硬度が低下して、傷が付き易くなったり、フィルムの耐衝撃性や柔軟性が低下して、割れ易くなったりする。一方、ゴム粒子の平均粒子径があまり大きいと、フィルムの透明性や表面平滑性が低下して、外観が悪化し易くなる。ゴム粒子は、一般的には乳化重合により製造することができ、その際、乳化剤の添加量や単量体の仕込み量などを調節することによって、平均粒子径を所望の値にコントロールすることができる。
上記樹脂組成物にゴム粒子を含有させる場合、その量は、メタクリル樹脂及びゴム粒子の合計100重量部を基準に、通常5〜70重量部、好ましくは10〜60重量部である。ゴム粒子の含有量があまり多いと、フィルムの表面硬度が低下して、傷が付き易くなったり、フィルムの透明性や表面平滑性が低下して、外観が悪化し易くなったりする。一方、ゴム粒子の含有量があまり少ないと、フィルムの耐衝撃性や柔軟性の向上効果が十分に得られ難い。
なお、上記樹脂組成物には、ゴム粒子の他、安定剤、加工助剤、可塑剤などの一般の配合剤を必要に応じて含有させてもよい。
以上説明したメタクリル樹脂、分子量が400以上であるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、分子量が400以上であるベンゾエート系紫外線吸収剤、及び必要に応じて他の成分を含有する樹脂組成物をフィルム化することにより、本発明のアクリルフィルムが得られる。このフィルム化の方法は適宜選択されるが、Tダイ法などの溶融押出法が有利に採用される。
本発明のアクリルフィルムは、その厚さが、300μm以下であり、好ましくは30〜250μm、より好ましくは40〜200μmである。あまり厚いフィルムは、製造や取り扱いが困難であり、単位面積あたりの単価が増加して、コスト的にも不利となる。一方、あまり薄いフィルムは、特に表面平滑性の高いものを得ようとする場合に、成膜し難くなる。また、本発明のアクリルフィルムのYI(黄色度)は、外観の点から、3以下であるのが好ましい。
本発明のアクリルフィルムは、アクリルフィルム本来の優れた耐候性及び透明性を有するうえ、長期にわたり黄変し難いことから、各種基材、例えば住宅や自動車の内装部材や外装部材などに積層され、基材に意匠性を付与するためのフィルムとして好適に用いられる。その際、少なくとも一方の面、好ましくは片面には、加飾手段としての印刷を施すのが有利であり、その方法としては、例えば、グラビア印刷法やシルク印刷法などが挙げられる。
また、特に片面に印刷が施された上記アクリルフィルムは、その印刷が施された面に樹脂層を設けることにより、積層フィルムとするのも有利である。ここで、樹脂層を構成する基材樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂の如きポリオレフィン樹脂などが挙げられ、発泡樹脂であってもよい。かかる積層フィルムは、印刷が施された上記アクリルフィルムと上記樹脂層を構成する基材樹脂からなるフィルムとを、熱ラミネーションや接着剤による接着などにより貼り合わせることにより、有利に製造できる。
そして、片面に印刷が施された上記アクリルフィルム、又はその印刷が施された面に樹脂層が設けられてなる上記積層フィルムを、アクリルフィルム層が表側に配置されるように、樹脂成形体に積層することにより、すなわち、上記アクリルフィルムであれば、印刷が施された面に、樹脂成形体を積層することにより、また、上記積層フィルムであれば、樹脂層が設けられた面に、樹脂成形体を積層することにより、黄変し難い積層成形体を得ることができる。ここで樹脂成形体を構成する基材樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂の如きポリオレフィン樹脂などが挙げられ、発泡樹脂であってもよい。
上記積層成形体を得るための方法としては、射出成形同時貼合法が有利に採用される。具体的には、上記フィルムを予備成形することなく射出成形金型内に挿入し、そこに溶融樹脂を射出して、上記フィルムと一体化する方法(狭義の射出成形同時貼合法と呼ばれることもある)や、上記フィルムを真空成形や圧空成形などにより予備成形してから射出成形金型内に挿入し、そこに溶融樹脂を射出して、上記フィルムと一体化する方法(インサート成形法と呼ばれることもある)、上記フィルムを射出成形金型内で真空成形や圧空成形などにより予備成形した後、そこに溶融樹脂を射出して、上記フィルムと一体化する方法(インモールド成形法と呼ばれることもある)などが挙げられる。射出成形同時貼合法のさらに詳しい説明は、例えば、特公昭63−6339号公報、特公平4−9647号公報、特開平7−9484号公報などに記載されている。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらによって限定されるものではない。例中、含有量ないし使用量を表す%及び部は、特記ないかぎり重量基準である。
メタクリル樹脂として、メタクリル酸メチルと少量のアクリル酸メチルを用いて重合させた熱可塑性重合体(ガラス転移温度104℃)のペレットを用いた。
アクリルゴム粒子として、特公昭55−27576号公報の実施例3に準じて製造され、最内層がメタクリル酸メチルと少量のメタクリル酸アリルを用いて重合させた硬質重合体、中間層がアクリル酸ブチルを主成分としてさらにスチレン及び少量のメタクリル酸アリルを用いて重合させた弾性重合体、最外層がメタクリル酸メチルと少量のアクリル酸メチルを用いて重合させた硬質重合体からなる球形3層構造であり、平均粒子径が0.22μmのものを用いた。
紫外線吸収剤として、次のものを使用した。
紫外線吸収剤(A):2,2’−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール](分子量659;株式会社ADEKAのLA31)。
紫外線吸収剤(B):2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート(分子量438.7;住友化学株式会社のSumisorb400)。
紫外線吸収剤(C):2−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(分子量315.8;住友化学株式会社のSumisorb300)。
メタクリル樹脂のペレットを80部、アクリルゴム粒子を20部、及び紫外線吸収剤を表1に示す含有量になるようにスーパーミキサーで混合し、二軸押出機で溶融混練して樹脂組成物のペレットとした。このペレットを、65mmφ一軸押出機によりT型ダイを介して溶融押出し、ポリシングロールに両面が完全に接するようにして冷却し、厚さ125μmのアクリルフィルムを得た。
上記フィルム製造の際、ポリシングロールの汚れ及びフィルムの表面荒れの有無を目視で評価し、結果を表1に示した。
また、得られたフィルムに対して、岩崎電気株式会社のアイスーパーUVテスターを用いて、48時間紫外線照射(70mW/cm2)による促進耐候試験を行った。試験前後のYI(黄色度)をJIS K7105に従って測定し、結果を表1に示した。
また、得られたフィルムについて、株式会社島津製作所のUV3100PCを用いて、250〜300nm及び300〜375nmの各波長域での最大透過率を測定し、結果を表1に示した。
Figure 2008074916

Claims (12)

  1. メタクリル樹脂、分子量が400以上であるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、及び分子量が400以上であるベンゾエート系紫外線吸収剤を含有し、厚さが300μm以下であることを特徴とするアクリルフィルム。
  2. 前記ベンゾエート系紫外線吸収剤の含有量が、前記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の含有量の0.4〜0.8重量倍である請求項1に記載のアクリルフィルム。
  3. フィルム面積あたりの前記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及び前記ベンゾエート系紫外線吸収剤の含有量が、合計で0.75〜3g/m2である請求項1又は2に記載のアクリルフィルム。
  4. メタクリル樹脂が、メタクリル酸アルキルを主体とする重合体である請求項1〜3のいずれかに記載のアクリルフィルム。
  5. さらにアクリルゴム粒子を含有する請求項1〜4のいずれかに記載のアクリルフィルム。
  6. アクリルゴム粒子が、アクリル酸アルキルを主体とする弾性重合体を含有する粒子である請求項5に記載のアクリルフィルム。
  7. アクリルゴム粒子が、前記弾性重合体の層の外側に、メタクリル酸アルキルを主体とする重合体の層を有する多層構造の粒子である請求項6に記載のアクリルフィルム。
  8. アクリルゴム粒子が、前記弾性重合体の層の内側に、メタクリル酸アルキルを主体とする重合体の層を有する多層構造の粒子である請求項7に記載のアクリルフィルム。
  9. 片面に印刷が施されている請求項1〜8のいずれかに記載のアクリルフィルム。
  10. 請求項9に記載のアクリルフィルムの印刷が施された面に、樹脂層が設けられてなる積層フィルム。
  11. 請求項9に記載のアクリルフィルムの印刷が施さた面に、樹脂成形体が積層されてなる積層成形体。
  12. 請求項10に記載の積層フィルムの樹脂層が設けられた面に、樹脂成形体が積層されてなる積層成形体。
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