JP2003019807A - 印字装置およびインクジェットヘッド回復方法 - Google Patents

印字装置およびインクジェットヘッド回復方法

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JP2003019807A JP2001206249A JP2001206249A JP2003019807A JP 2003019807 A JP2003019807 A JP 2003019807A JP 2001206249 A JP2001206249 A JP 2001206249A JP 2001206249 A JP2001206249 A JP 2001206249A JP 2003019807 A JP2003019807 A JP 2003019807A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ワイパを良好にクリーニングすることがで
き、確実に印字不具合を防止できる印字装置及びインク
ジェットヘッド回復方法を提供すること。 【解決手段】 まずワイパ部材65の往復運動の往路に
てインクジェットヘッド40のノズル面を払拭し、イン
クジェットヘッド40を退避位置とした後に、ワイパ部
材65を復路移動させ、その後、復路終端付近に設けら
れたブレードクリーナー67によって、ワイパ部材65
の先端部65cをクリーニングする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェットヘ
ッドを用いた印字装置、及びこの印字装置においてイン
クジェットヘッドを回復するインクジェットヘッド回復
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、複数のインク室及び各インク室に
対応した複数のノズルを備えたインクジェットヘッドを
用いたインクジェット記録装置において、ノズルやイン
ク室におけるインクの状態が、時間の経過により、埃の
混入や溶媒の揮発などにより劣化し、一部のノズルで不
吐出がおこることがあった。そこで、このようなノズル
近傍におけるインク状態を劣化状態から良好な状態に回
復するための回復機構が従来よりこの種のインクジェッ
ト記録装置に設置されている。そして、この回復機構と
して、インクジェットヘッドのノズル形成面を払拭する
ワイパ装置が設けられている。このワイパ装置は、ゴム
製のワイパブレードを合成樹脂製のホルダに保持し、ワ
イパ装置とインクジェットヘッドとを相対移動させる途
中でワイパブレード先端部とノズル形成面とを摺動させ
ることによって作動する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
ワイパ装置において、インクジェットヘッドのノズル形
成面を払拭することにより、ワイパブレードの先端部に
インクが付着するが、このインクを放置したのでは、様
々な問題が生じる。例えば、付着インクが多量の場合、
ワイパブレードを印字装置内で往復移動させる機構であ
れば、インクが飛び散ってしまう。また、付着インクが
少量であっても、付着インクがワイパブレード先端付近
において埃や溶媒揮発等で劣化したり乾燥固化し、これ
が再びインクジェットヘッドのノズル形成面に接触すれ
ば、かえってノズル形成面が汚染されてしまう。
【0004】本発明は、上述した問題点を解決するため
になされたものであり、ワイパを良好にクリーニングす
ることができ、確実に印字不具合を防止できる印字装置
及びインクジェットヘッド回復方法を提供することを目
的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、請求項1に記載の印字装置は、複数のインク室及び
各インク室に対応した複数のノズルを有するインクジェ
ットヘッドと、前記インクジェットヘッドの前記複数の
ノズルが形成された表面を拭うワイパと、前記ワイパを
往復運動させるワイパ駆動機構と、前記ワイパの往復運
動における往路において前記インクジェットヘッドの前
記表面を前記ワイパの先端と当接可能な位置と、復路に
おいて前記ワイパが前記インクジェットヘッドに当接し
ないように前記インクジェットヘッドを退避させる位置
とに前記インクジェットヘッドの位置を調整するヘッド
位置調整機構と、前記往復運動の往路において前記イン
クジェットヘッドの前記表面を拭った前記ワイパを、前
記往復運動における復路終端側においてクリーニングす
るクリーニング機構とを備えたことを特徴とする印字装
置。
【0006】上記構成を有する請求項1に記載の印字装
置において、ワイパ駆動機構は、インクジェットヘッド
の複数のノズルが形成された表面を拭うワイパを往復運
動させる。ヘッド位置調整機構は、インクジェットヘッ
ドの位置を、クリーニング位置と退避位置とに調整す
る。ここで、クリーニング位置とは、ワイパの往復運動
における往路において、インクジェットヘッドのノズル
形成面をワイパの先端と当接可能に、ワイパに対して対
向させた位置である。これに対して、退避位置とは、ワ
イパの往復運動における復路において、ワイパがインク
ジェットヘッドに当接しない程度に、インクジェットヘ
ッドをワイパから退避させた位置である。クリーニング
機構は、ワイパの往復運動の往路において前記インクジ
ェットヘッドのノズル形成面を拭ったワイパが、インク
ジェットヘッドが退避位置に移動された後に、往復運動
の復路終端側に達した後、ワイパに付着したインクをク
リーニングする。
【0007】請求項2に記載の印字装置は、請求項1に
記載の印字装置において、前記ワイパ駆動機構は、前記
ワイパを前記往復運動における復路終端より往路方向に
変位した待機位置から、前記往復運動における往路終端
へ移動する第1の動作と、前記ワイパを前記往路終端か
ら前記復路終端まで移動する第2の動作と、前記ワイパ
を前記復路終端から前記待機位置に復帰する第3の動作
を行う。
【0008】上記構成を有する請求項2に記載の印字装
置は、請求項1に記載の印字装置と同様に作用する上、
ワイパ駆動機構は、ワイパを、その往復運動における復
路終端より往路方向に若干変位した待機位置から、往復
運動における往路終端へ移動しつつノズル形成面を払拭
する第1の動作と、ワイパをその往復運動における往路
終端から復路終端まで移動する第2の動作と、ワイパを
その往復運動における復路終端から待機位置に復帰する
第3の動作を行う。
【0009】請求項3に記載の印字装置は、請求項2に
記載の印字装置において、前記クリーニング機構は、前
記第3の動作中に前記ワイパの前記先端と当接すること
により、前記先端をクリーニングする。
【0010】上記構成を有する請求項3に記載の印字装
置は、請求項2に記載の印字装置と同様に作用する上、
クリーニング機構は、上記の第3の動作中にワイパの先
端と当接してクリーニングする。
【0011】請求項4に記載の印字装置は、請求項3に
記載の印字装置において、前記クリーニング機構は、前
記第3の動作中に前記ワイパの前記先端と当接するクリ
ーニング部と、前記クリーニング部に付着されたインク
を除去するインク除去部とを備えている。
【0012】上記構成を有する請求項4に記載の印字装
置は、請求項3に記載の印字装置と同様に作用する上、
クリーニング機構のクリーニング部は、上述の第3の動
作中にワイパの先端と当接して、ワイパ先端に付着した
インクを自己に付着させる。インク除去部は、ワイパ先
端からクリーニング部に付着されたインクを、クリーニ
ング部から除去する。
【0013】請求項5に記載の印字装置は、請求項4に
記載の印字装置において、前記クリーニング部は、前記
第3の動作中における前記ワイパの前記先端と対向する
小突起部からなり、前記インク除去部は、前記小突起部
から前記復路終端方向に向けて斜め下方に形成された斜
面を備えている。
【0014】上記構成を有する請求項5に記載の印字装
置は、請求項4に記載の印字装置と同様に作用する上、
クリーニング部としての小突起部が、上述の第3の動作
中におけるワイパの先端と対向することによりワイパ先
端からインクを除去し、インク除去部は、小突起部に付
着されたインクを、ワイパ往復運動の復路終端方向に向
けて斜め下方に流すことにより除去する。
【0015】請求項6に記載のインクジェットヘッド回
復方法は、インクジェットヘッドのノズル形成面を、往
復運動可能なワイパで拭うことによって、インクジェッ
トヘッドの回復を行うものであって、ワイパの往復運動
における往路において、前記インクジェットヘッドのノ
ズル形成面をワイパの先端と当接させ、ワイパの往復運
動における復路において、インクジェットヘッドを退避
させ、続く往復運動の往路において、インクジェットヘ
ッドのノズル形成面を拭ったワイパを、ワイパの往復運
動における復路終端側においてクリーニングすることを
特徴としている。
【0016】請求項7に記載のインクジェットヘッド回
復方法は、請求項6に記載のインクジェットヘッド回復
方法において、ワイパは、その往復運動における復路終
端より往路方向に変位した待機位置から、往復運動にお
ける往路終端へ移動する第1の動作と、往路終端から復
路終端まで移動する第2の動作と、復路終端から待機位
置に復帰する第3の動作を行う。
【0017】請求項8に記載のインクジェットヘッド回
復方法は、請求項7に記載のインクジェットヘッド回復
方法において、上述の第3の動作中に、ワイパの先端
を、クリーニング部材に当接することによりクリーニン
グする。
【0018】請求項9に記載のインクジェットヘッド回
復方法は、請求項8に記載のインクジェットヘッド回復
方法において、第3の動作中に、ワイパの先端をクリー
ニング部に当接させ、このクリーニング部に付着したイ
ンクを、インク除去部により除去する。
【0019】請求項10に記載のインクジェットヘッド
回復方法は、請求項9に記載のインクジェットヘッド回
復方法において、ワイパの前記先端と当接することによ
り前記小突起に付着したインクを、斜面に沿って下方に
排出する。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
にしたがって説明する。
【0021】図1は、本実施の形態の印字装置の内部構
造の一部を取り出して示す説明図である。
【0022】本実施形態の印字装置1は、図1に示すよ
うに、被記録媒体たる記録用紙Pにおける略水平に配置
された部分に、インクジェットヘッド40によりインク
を下方に向けて吐出することにより印字を行うように構
成されている。
【0023】印字装置1には、給紙された記録用紙Pを
矢印F2で示す方向へ紙送りするプラテンローラ2が備
えられている。このプラテンローラ2の近傍には、記録
用紙Pを挟むように、プラテンローラ2の軸線と平行に
キャリッジ軸3が設けられている。このキャリッジ軸3
には、インクジェットヘッド40が搭載されたキャリッ
ジ4が支持されている。キャリッジ軸3の一端部の近傍
にはキャリッジモータ5が設けられており、その回転軸
には、プーリ6が取付けられている。キャリッジ軸3の
他端部の近傍にもプーリ6が設けられており、このプー
リ6間には、無端状のベルト7が掛け渡されている。
【0024】このベルト7には、キャリッジ4が取付け
られている。キャリッジ4は、キャリッジモータ5の駆
動により、キャリッジ軸3上を矢印F7およびF8方向
に往復走査する。インクジェットヘッド40には、ブラ
ックインクを吐出するブラック用ヘッド41と、イエロ
ーインクを吐出するイエロー用ヘッド42と、シアンイ
ンクを吐出するシアン用ヘッド43と、マゼンタインク
を吐出するマゼンタ用ヘッド44とが備えられている。
【0025】記録用紙Pに対して常に記録範囲外とな
る、プラテンローラ2の、キャリッジ走査方向における
外側の所定箇所には、フラッシングを実行する際に各ヘ
ッド41ないし44から吐出されるインクを吸収する廃
インク収容部たる多孔質材製のインク吸収パッド8が設
けられている。そのフラッシングには、吸引パージ時の
吸引キャップ61が外される際にノズルから侵入した気
泡を含む不良インクや気泡を排出する目的で行うフラッ
シングと、ノズルの乾きによるインクの吐出不良を防止
する目的で所定の時間おきに行われる通常フラッシング
とがある。
【0026】記録範囲外となる、プラテンローラ2の、
キャリッジ走査方向における外側であって、インク吸収
パッド8と反対の側には、各ヘッド41ないし44の不
吐出、または、吐出不良を回復するためのパージ装置6
0が配置されている。このパージ装置60は、吸引キャ
ップ61を備えており、その吸引キャップ61をパージ
ングポジションに到達したインクジェットヘッド40に
向けて、カム62の回転により図中矢印F3で示す方向
に進出させ、各ヘッド41ないし44のノズル形成面を
択一的に覆う。そして、吸引ポンプ63が駆動し、この
吸引ポンプ63により発生した負圧により、各ヘッド4
1ないし44のインク室内の気泡を含んだ不良インクを
ノズルから吸引して各ヘッドの吐出機能を回復させる。
【0027】吸引キャップ61の、キャリッジ走査方向
における内側には、吸引パージを行った各ヘッド41な
いし44のノズル形成面に付着したインクや異物を払拭
するワイパ部材65が設けられている。このワイパ部材
65は、各ヘッドについて吸引パージが完了してインク
ジェットヘッド40がワイプ位置に移動された後、図中
矢印F4で示す方向に進出し、記録領域へ移動する各ヘ
ッド41ないし44のノズル形成面を払拭する。これに
より、ノズル形成面のインクなどが払拭され、記録用紙
Pの記録面が、余分なインクで汚れるのが防止される。
【0028】吸引キャップ61の、キャリッジ走査方向
における外側には、ホームポジションに復帰したインク
ジェットヘッド40の各ヘッド41ないし44のノズル
形成面に蓋をするキャップ69が設けられている。キャ
ップ69は、インクジェットヘッド40がホームポジシ
ョンに復帰した際に、図中矢印F5で示す方向に進出
し、各ヘッド41ないし44のノズル形成面を覆う。こ
れにより、印字装置1を使用していない間の各ヘッド4
1ないし44のインクの乾きが防止される。
【0029】次に、印字装置1の主な制御系の構成につ
いて、それをブロックで示す図2を参照して説明する。
【0030】図2に示すように、印字装置1は、インク
ジェットヘッド40への記録動作指令およびフラッシン
グ指令の出力、または、パージ装置60への吸引パージ
指令の出力を行い、ならびにその他の上記各装置を制御
するCPU70と、ホストコンピュータ71から送信さ
れた記録データをインターフェース72を介して受信
し、記録データの展開の制御を行うゲートアレイ73と
を備えている。また、CPU70には、インクジェット
ヘッド40がメンテナンスを実行するタイミングを計測
するタイマTが内蔵されている。CPU70とゲートア
レイ73との間には、作業プログラムやフラッシング時
の吐出回数などが記憶されているROM74、およびゲ
ートアレイ73がホストコンピュータ71から受信した
上記記録データを一時的に記憶するためのRAM75と
を備え、これらとの間で必要なデータの入出力を行う。
【0031】また、CPU70には、記録用紙Pの有無
を検出するペーパセンサ76、インクジェットヘッド4
0がホームポジションにあることを検出する原点センサ
77、キャリッジモータ5を駆動するための第1のモー
タドライバ78、プラテンローラ2の回転駆動用のライ
ンフィードモータ79を駆動するための第2のモータド
ライバ80、各種の信号をCPU70に与える操作パネ
ル81、後述するインク供給・循環系の駆動モータであ
るインク供給モータ88を駆動するための第3のモータ
ドライバ89などが接続されている。このインク供給モ
ータ88及び第3のモータドライバ89は、後述するイ
ンク供給系の駆動モータの数に応じて、図2に示すよう
な、インク供給モータ88a、88b・・、第3のモー
タドライバ89a、89b・・のように複数組備えられ
ていてもよい。また、ゲートアレイ73には、ホストコ
ンピュータ71から受信した記録データをイメージデー
タとして一時的に記憶するイメージメモリ82が接続さ
れている。ヘッドドライバIC210は、ゲートアレイ
73から出力された記録データ84、転送クロック8
5、および記録クロック86に基づいて動作し、インク
ジェットヘッド40を駆動する。
【0032】図3は、印字装置1におけるインク流路の
概略構成を示す。
【0033】インク供給源としての大容量のインクカー
トリッジ10は、可撓性の補充チューブ11、インク供
給ポンプ13、後述する第3ジョイント部18、及び供
給チューブ19を介してサブタンク12に接続されてい
る。
【0034】インク供給ポンプ13は、公知のチューブ
ポンプからなり、可撓性で弾力性のあるチューブ部材1
3aと、このチューブ部材13aを局所的に押しつぶす
圧子13bと、この圧子13bを円周方向に複数支持し
たロータ13cと、このロータ13cを回転させるモー
タなどの駆動機構13dとから構成される。そして、駆
動機構13dによるロータ13cの回転によって、チュ
ーブ部材13aが圧子13bに押しつぶされる箇所が、
図中矢印r1方向に移動することにより、インクカート
リッジ10からサブタンク12に向けたインク流を発生
させる。ここで、圧子13bは、ロータ13cの円周方
向につき複数設けられているので、インク供給ポンプ1
3の停止時には、そのうちの少なくとも1つの圧子13
bがチューブ部材13aを局所的に押しつぶして、当該
チューブ部材13aにおけるインク流路を遮断、すなわ
ちインク流を停止する。
【0035】サブタンク12の内部は、当該サブタンク
12の上部に設けられたエア抜きチューブ15を介し
て、大気に連通している。
【0036】サブタンク12内のインクは、可撓性の連
絡チューブ14、後述する第1ジョイント部16及び第
2ジョイント部17を介してバッファタンク20に供給
され、バッファタンク20内のインクはマニホールド3
0に供給され、ここからインクジェットヘッド40の複
数のインク室に分配される。そして、これらのインク室
のうちの、ドット形成すべき位置のものに対して、当該
インク室内のインクに圧力を加えることにより、インク
をノズルから噴射することにより、所望のドットパター
ンを形成して印字を行うことができる。
【0037】バッファタンク20の天井壁から導出され
たエアまたは泡入りインクは、第2ジョイント部17、
第1ジョイント部16、バッファパージチューブ50、
バッファパージポンプ51、第3ジョイント部18、及
び供給チューブ19を介して、エアまたは泡を含んだイ
ンクがサブタンク12に還付される。
【0038】このバッファタンク20からのエアまたは
泡入りインクの流れは、バッファパージチューブ50の
一部に設けられた公知のチューブポンプからなるバッフ
ァパージポンプ51によって作られる。
【0039】バッファパージポンプ51は、公知のチュ
ーブポンプからなり、可撓性で弾力性のあるチューブ部
材51aと、このチューブ部材51aを局所的に押しつ
ぶす圧子51bと、この圧子51bを円周方向に複数支
持したロータ51cと、このロータ51cを回転させる
モータ等の駆動機構51dとから構成される。そして、
駆動機構51dによるロータ51cの回転によって、チ
ューブ部材51aが圧子51bに押しつぶされる箇所
が、図中矢印r2方向に移動することにより、バッファ
タンク20からサブタンク12に向けたインク流を発生
させる。ここで、圧子51bは、ロータ51cの円周方
向につき複数設けられているので、バッファパージポン
プ51の停止時には、そのうちの少なくとも1つの圧子
51bがチューブ部材51aを局所的に押しつぶして、
当該チューブ部材51aにおけるインク流路を遮断、す
なわちインク流を停止する。
【0040】第3ジョイント部18は、インク供給ポン
プ13からのインクが流入する第1流入口18aと、バ
ッファパージポンプ51からのインクまたはエアが流入
する第2流入口18bと、第1流入口18a及び第2流
入口18bからのインクやエアの流れを合流してサブタ
ンク12に送る排出口18cとを備えている。そして、
排出口18cは、供給チューブ19を介してサブタンク
12に接続されている。
【0041】サブタンク12の、供給チューブ19から
のインク等の流入口、及び連絡チューブ14への流出口
は、いずれも、サブタンク12の底側に形成されてい
る。したがって、供給チューブ19を介してインクカー
トリッジ10からサブタンク12に流入した清浄なイン
クについては、高所からの落下による泡立ちや空気の巻
き込み等の不具合が生じない。また、供給チューブ19
を介してバッファパージポンプ51からサブタンクに流
入したエアまたは泡入りインクについては、エアや泡が
流入口から上方に移動して、サブタンク12の底部には
泡のない良好な状態のインクが滞留することとなる。そ
して、この良好な状態のインクが、流出口から連絡チュ
ーブ14を介してバッファタンク20に向けて供給され
る。
【0042】インクジェットヘッド40のインク噴射動
作中(印字時、フラッシング時)を含む通常時、吸引ポ
ンプ63による吸引パージ時、およびワイパ部材65に
よるワイピング時には、バッファパージポンプ51は停
止してバッファパージチューブ50内の通路を閉塞し、
バッファタンク20内を密閉した状態にし、インクジェ
ットヘッド40とサブタンク12との高さの差により、
インクジェットヘッド40に作用するインク圧力を負圧
に維持している。
【0043】インク供給ポンプ13の駆動機構13d、
バッファパージポンプ51の駆動機構51dおよび吸引
ポンプ63の動作は、公知のCPUなどからなる制御手
段70により制御される。
【0044】吸引ポンプ63は、図3のように、インク
供給ポンプ13等と同様のチューブポンプで構成しても
よいし、公知のシリンダ方式のポンプで構成してもよ
い。
【0045】吸引ポンプ63は、独自にモータを備えて
いてもよいし、公知の遊星ギヤ機構によって、上述のイ
ンク供給ポンプ13の駆動機構13dまたはバッファパ
ージポンプ51の駆動機構51dの回転方向の切換によ
り、インク供給ポンプ13またはバッファパージポンプ
51と択一的に駆動可能に構成してもよい。また、ライ
ンフィードモータ79により、図示しない遊星ギヤ機構
を用いて、モータ正転時にプラテンローラ2を回転駆動
し、モータ逆転時には吸引ポンプ63を駆動するように
してもよい。
【0046】図4及び図5は、印字装置1に対して着脱
可能に構成されたヘッドユニット9の概略構成を示す断
面図である。
【0047】図4において、(a)はヘッドユニット9
の概観を示す断面図、(b)はヘッドユニット9が装着
される印字装置1側の構成を示す断面図、(c)はヘッ
ドユニット9を印字装置1側に装着した状態の断面図で
ある。図5は、ヘッドユニット9をさらに拡大した断面
図である。
【0048】ヘッドユニット9は、上部筐体9a及び下
部筐体9b内に、第2ジョイント部17と、バッファタ
ンク20と、マニホールド30と、インクジェットヘッ
ド40とを備えている。カバー9eは、上部筐体9aの
上側に配置される化粧カバー部材である。
【0049】バッファタンク20は、天井壁と側壁から
なる第1のケース21と、第1のケースの開放下面を密
閉状態に覆って接着固定されバッファタンク20の底壁
をなす第2のケース22とからなる。両ケースとも合成
樹脂材料の射出成形によって製作される。第1のケース
21の天井壁には、内部にインク導入路23aを形成す
る中空筒状壁23が内部に垂下しかつ外部にも突出して
形成されており、その先端であるインク導入口23b
は、第2のケース22の壁面に近接配置されている。こ
の中空筒状壁23には、連絡チューブ14を介してサブ
タンク12から供給されてきたインクをバッファタンク
20に導入するための導入チューブ54が接続されてい
る。
【0050】このような構成により、印字装置1のサブ
タンク12から供給されて来たインクは、バッファタン
ク20の底面付近でバッファタンク20内に供給される
ので、インクの落下による泡立ちを防ぐことができる。
特に、インク導入口23bがインク中に没している場
合、インク導入による泡立ちなどの乱れがほとんど起こ
らない。
【0051】バッファタンク20の下側には、インクジ
ェットヘッド40の各インク室にインクを供給するため
のマニホールド30が配置されている。バッファタンク
20の底壁をなす第2のケース22には、貫通孔として
のインク供給口24が形成され、マニホールド30の上
部に突き出して形成された導入管33に対応して、供給
管25が下側に突き出して形成されている。また、第2
のケース22には、インク供給口24を覆うようにフィ
ルタ26が配置されている。すなわち、フィルタ26、
インク供給口24、供給管25、導入管33が、バッフ
ァタンク20からマニホールド30へのインク供給チャ
ンネルを構成している。
【0052】バッファタンク20の第1のケース21に
おける天井壁21aは、水平面と交差する斜面状または
曲面状に形成されており、その最上部には導出口52が
形成され、その導出口52には、エア及び泡が混入した
インクを抜いてバッファパージチューブ50に向けて送
るための導出チューブ53が接続されている。
【0053】すなわち、インクに発生した泡は、バッフ
ァタンク20の天井壁21aにおける最上部に集まり、
導出口52からバッファタンク20の外に導出される。
これに対して、泡立ちのない良好な状態のインクがバッ
ファタンク20の底面付近に貯留されており、これがフ
ィルタ26を通って下方のマニホールド30に供給され
る。したがって、インクジェットヘッド40には、泡立
ちや介在物などがない良好な状態のインクが供給され
る。
【0054】第2ジョイント部17は、導入チューブ5
4に接続される導入ジョイント17aと、導出チューブ
53に接続される導出ジョイント17bと、導入ジョイ
ント17a及び導出ジョイント17bを保持する第2ジ
ョイントカバー17cとから構成される。導入ジョイン
ト17aと導出ジョイント17bとは、図中、紙面と垂
直方向に並んで配置されている。導入ジョイント17a
及び導出ジョイント17bは、それぞれ略円筒形状で構
成されており、鉛直線に対しておおむね35ないし55
度の角度をもって傾けられた状態で配置されている。し
たがって、導入ジョイント17a及び導出ジョイント1
7bは、その開口部が、水平面と交差する平面を構成す
るように配置される。また、導入ジョイント17a及び
導出ジョイント17bは、その内部にフィルタ17fを
備えている。
【0055】下部筐体9bの第2ジョイント部17が設
けられる部分には、傾斜面9cが設けられ、この傾斜面
9cには、鉛直方向に貫通孔9dが形成されている。そ
して、第2ジョイント部17は、第2ジョイントカバー
17cが傾斜面9cに対向することにより、貫通孔9d
に対応する位置に、導入ジョイント17a及び導出ジョ
イント17bの開口部が配置される。さらに、貫通孔9
dの下端部と、導入ジョイント17a及び導出ジョイン
ト17bの開口部における下端部とは、水平位置におい
て略一致するように配置されている。
【0056】したがって、ヘッドユニット9を印字装置
1のキャリッジ4に対して着脱する際に、導入ジョイン
ト17a及び導出ジョイント17bの開口部の下端部か
らインクが滴下しても、この滴下インクは、貫通孔9d
の下端側の傾斜面9cで受けられ、下部筐体9b内に留
まる。また、導入ジョイント17a及び導出ジョイント
17bに設けられたフィルタ17fは、インクで濡れて
いるので、ヘッドユニット9を印字装置1のキャリッジ
4に対して着脱する際に、空気が導入チューブ54や導
出チューブ53に入ることがなく、導入チューブ54や
導出チューブ53からインクが導入ジョイント17a及
び導出ジョイント17bの開口部に向けて漏出しようと
しても、フィルタ17fによって大部分が阻止される。
【0057】印字装置1側のキャリッジ4には、第1ジ
ョイント部16が配置されている。この第1ジョイント
部16は、導入ジョイント17aに接続される供給ジョ
イント16aと、導出ジョイント17bに接続される還
付ジョイント16bと、供給ジョイント16a及び還付
ジョイント16bとを支持するとともに、ヘッドユニッ
ト9の支持部ともなる装着部16cとから構成されてい
る。そして、供給ジョイント16aは、連絡チューブ1
4に接続され、還付ジョイント16bは、バッファパー
ジチューブ50に接続されている。
【0058】よって、装着部16cにヘッドユニット9
を装着することにより、導入ジョイント17aと供給ジ
ョイント16aとが接続されるとともに、導出ジョイン
ト17bと還付ジョイント16bとが接続される。
【0059】以下、上述の構成を有するインク循環経路
の動作を説明する。
【0060】サブタンク12内のインク量が一定量以下
になったことが図示しないセンサにより検知されると、
インク供給ポンプ13が駆動され、インクが所定量にな
るまでサブタンク12内にインクカートリッジ10から
インクが供給される。この動作は、バッファパージポン
プ51、吸引ポンプ63、インクジェットヘッド40の
動作とは独立に行われる。インク供給ポンプ13は、上
述の通り、公知のチューブポンプから構成されており、
ロータ13cの回転方向も矢印r1方向のみ(逆転不
能)となるように、機械的若しくは制御的に構成されて
いる。よって、インク供給ポンプ13の動作時及び停止
時に拘わらず、インクカートリッジ10に向かった逆流
方向のインク流が生じることはない。
【0061】バッファタンク20およびインクジェット
ヘッド40にインクを充填するには、まず制御手段70
の制御の下に、吸引キャップ61でインクジェットヘッ
ド40の全噴射口を密閉し、バッファパージポンプ51
を駆動する。これによって、バッファタンク20内が減
圧され、サブタンク12からのインクがバッファタンク
20全体にインクが効率よく導入される。インク供給口
24の上方に十分インクが溜められた後、制御手段70
の制御の下に吸引ポンプ63を駆動すると、バッファタ
ンク20内のインクがインク供給口24からインクジェ
ットヘッド40の全噴射チャンネルに充填される。この
結果、バッファタンク20内で気泡が除去されたインク
がインクジェットヘッド40に供給され、インクジェッ
トヘッド40の噴射チャンネルに気泡が進入することが
なくなる。
【0062】インクジェットヘッド40のインク噴射動
作中(印字時、フラッシング時)を含む通常時、吸引ポ
ンプ63による吸引パージ時、およびワイパ部材65に
よるワイピング時には、バッファパージポンプ51は停
止してバッファパージチューブ50内の通路を閉塞し、
バッファタンク20内を密閉した状態にしている。それ
によって、インクジェットヘッド40とサブタンク12
との高さの差により、インクジェットヘッド40に作用
するインク圧力を負圧に維持している。インクジェット
ヘッド40でインクが噴射されると、その消費された量
を補給するべくサブタンク12からバッファタンク20
内へインクが供給される。
【0063】この際、インク導入口23bが、バッファ
タンク20の底面を構成する第2のケース22の壁面に
近接しており、特にインク中に開口していることで、供
給されたインクがインク液面に上方から衝突する場合の
ように、泡だったり空気を巻き込むことがない。
【0064】周期的あるいは任意の時期に、インクジェ
ットヘッドの噴射口を吸引キャップ61で密閉した状態
にして、バッファパージポンプ51を所定時間駆動する
ことにより、バッファタンク20の上部に滞留したエア
や気泡を導出口52から排除することができる。これに
より、バッファタンク20内の最上部に溜まった気泡を
効果的に排除することができる。さらに、この際、連絡
チューブ14内に発生した気泡もインクとともにバッフ
ァタンク20内に導入されるから、上記のようにインク
から気泡を分離して排除することができる。
【0065】バッファパージポンプ51もインク供給ポ
ンプ13と同様に、ロータ51cが矢印r2方向にのみ
回転駆動可能に構成されている。これにより、駆動時と
停止時とに拘わらず、インクやエアの逆流(バッファタ
ンク20に向けた流れ)が生じない。
【0066】このように、バッファパージポンプ51の
動作により、サブタンク12とバッファタンク20との
間におけるインク循環が行われ、これにより、バルブ機
構など複雑な機構を用いることなく、インクジェットヘ
ッド40に気泡のない清浄なインクを常に供給すること
ができる。ここで、バッファパージポンプ51は、バッ
ファタンク20に対して負圧を発生させる方向で作用す
るので、単位時間当たりのインク循環量を多くして素早
くインク循環を行っても、インクジェットヘッド40の
ノズルから誤ってインクが漏出してしまうことがない。
【0067】また、インク循環経路におけるインク循環
の有無は、バルブ操作ではなく、逆流不能に構成された
チューブポンプからなるバッファパージポンプ51の作
動の有無によって切り換えられるので、この切換時に、
意図しないインク逆流が起こることがなく、インク圧力
の変動を引き起こしてノズルのメニスカスを乱すことも
ない。
【0068】なお、バッファパージポンプ51の上述の
ような駆動は、例えば、後述する吸引パージの実行直前
に行ったり、長期(1週間に1回など)または短期(所
定枚数印字毎とか所定時間毎)の間隔で定期的になされ
ればよい。また、装置周辺の環境温度により間隔を変動
させてもよい。特に、長期間装置が停止していた場合に
は、チューブ部材のガス透過性により、インク循環経路
内の至る所に気泡が生じるので、多量のインクを循環し
て、連絡チューブ14及びヘッドユニット9内の気泡を
サブタンク12の上部に集め、連絡チューブ14及びヘ
ッドユニット9内から気泡を除去することができる。
【0069】次に、吸引パージおよびフラッシングを行
うためにCPU70により実行される制御について、図
6のフローチャートを参照して説明する。
【0070】吸引パージは、(1)記録動作を開始する
前に、その直前の不使用期間の長さ(CPU70の一部
において構成されるタイマTで計測される時間の長さ)
に応じて適宜変更されたり、(2)インクカートリッジ
を交換した後、記録ヘッドに新しいインクカートリッジ
のインクを吸引ポンプ63により吸引して導入するため
に実行されたり、(3)吐出不良を発見したときに、使
用者によるキー操作などに基づいて実行される。
【0071】上記のように自動または任意に吸引パージ
指令の信号が出されると(ステップ100)、インクジ
ェットヘッド40を、吸引キャップ61と対向するパー
ジングポジションへ移動させる(ステップ110)。そ
して、インクジェットヘッド40のノズル形成面に吸引
キャップ61を被せ、バッファパージポンプ51を停止
させ、吸引ポンプ63を駆動してインクジェットヘッド
40のノズルからインクを吸引する(ステップ12
0)。この吸引パージにより、インクジェットヘッド4
0のインク室内の気泡を含んだ不良インクが吸引され
る。
【0072】そして、吸引パージが完了すると、バッフ
ァパージポンプ51を停止させたまま、インクジェット
ヘッド40をワイプ位置に移動させ、ワイパ部材65で
ノズル形成面を払拭する。その後、インクジェットヘッ
ド40をフラッシングポジションへ移動させ(ステップ
130)、バッファパージポンプ51を停止させたま
ま、インク室内のインクをインク吸収パッド8に向けて
吐出するフラッシングを行う(ステップ140)。この
フラッシングにより、上記吸引パージを行った際に気泡
が誤ってインク室内に侵入していても、インクと共に確
実にノズルから吐出することができる。
【0073】
【実施例】次に、バッファパージポンプ51及びワイパ
部材65の動作についての実施例を、図面を参照しつつ
説明する。
【0074】図7は、インクジェット記録装置における
インク流路をユニット化した実施例の概略構成図であ
る。
【0075】ポンプユニットフレーム55には、図3に
て説明したような、インク供給ポンプ13と、第3ジョ
イント部18と、供給チューブ19と、サブタンク12
と、連絡チューブ14と、バッファパージチューブ50
と、バッファパージポンプ51と、モータ軸ギヤ56
と、遊星ギヤ機構57と、吸引ポンプ63と、ワイパ部
材65とが組み付けられている。
【0076】この実施例においては、バッファパージポ
ンプ51と吸引ポンプ63とは、1つのインク供給モー
タ88a(図2参照)の回転方向の切換で択一的に駆動
されるように構成されている。すなわち、ポンプユニッ
トフレーム55には、インク供給モータ88aの駆動軸
に設置されたモータ軸ギヤ56と、このモータ軸ギヤ5
6の駆動力を、その回転方向に応じて、バッファパージ
ポンプ51又は吸引ポンプ63に伝達する遊星ギヤ機構
57とが設けられている。また、インク供給ポンプ13
は、インク供給モータ88b(図2参照)によって駆動
される。
【0077】図8ないし図11は、バッファパージポン
プ51及びワイパ部材65を駆動させるための駆動機構
の概略構成を示す図である。
【0078】合成樹脂により一体に形成されたロータ5
1cは、外周に歯車が形成されたポンプギヤ90と、板
状のフランジ部92と、ポンプギヤ90及びフランジ部
92を同一中心で接続する円筒部96とからなる。その
ポンプギヤ90には、全周のうちの一部に歯車欠損部9
1が設けられている。
【0079】ポンプギヤ90にはまた、その中心軸がポ
ンプギヤ90の回転中心軸を中心とした同一半径の円弧
状をなす第1円環溝93及び第2円環溝95が、円筒部
96の外側に位置するように形成されている。この第1
円環溝93と第2円環溝95とは、ポンプギヤ90の回
転中心軸を中心として対向するように設けられており、
第1円環溝93の一端部93cと、第2円環溝95の一
端部95bとは、ポンプギヤ90の回転中心軸を中心と
して対称である。
【0080】フランジ部92は、その回転中心軸(ポン
プギヤ90の回転中心軸と同軸)を中心とした略円盤状
の部材である。フランジ部92には、当該回転中心軸を
中心に対称の位置にある2つの第5突起99が、前記第
1円環溝93の一端部93c及び第2円環溝95の一端
部95bに対応する位置に設けられている。フランジ部
92にはまた、第1円環溝93の他端部93aと、第2
円環溝95の他端部95aに対応する位置に、圧子51
bの半径より若干大きい半径を有する略円弧状の欠損部
92aが設けられている。
【0081】ポンプギヤ90とフランジ部92との間に
は、円筒形状のローラ状部材からなる圧子51bが2個
配置される。そして、第1円環溝93及び第2円環溝9
5には、圧子51bの両端に形成された中心軸の一方が
挿通される。圧子51bの中心軸の他方は、フランジ部
92の外周と当接しており、また、フランジ部92の外
周には一対の第5突起99が設けられている。そして、
ロータ51cの矢印r2方向の回転により、第5突起9
9が圧子51bの中心軸を矢印r2方向に付勢すること
によって、圧子51bが矢印F1方向に回転する。
【0082】また、第1円環溝93には、当該第1円環
溝93に張り出すように弾性保持部94が設けられ、第
2円環溝95にも当該第2円環溝95に張り出すように
弾性保持部94が設けられている。
【0083】上述のような弾性保持部94、第1円環溝
93、及び第2円環溝95とは、バッファパージポンプ
51の組み付けや出荷時において良好に用いられる。す
なわち、圧子51bの組み付け時は、圧子51bはフラ
ンジ部92の欠損部92aの位置に配置され、第1円環
溝93の他端部93a及び第2円環溝95の他端部95
aに圧子51bの中心軸が位置する。次に、組み付け者
は、圧子51bの中心軸を、第1円環溝93の一端部9
3c及び第2円環溝95の一端部95b方向に移動さ
せ、弾性保持部94を乗り越えさせる。そして、圧子5
1bの中心軸を、第1円環溝93における弾性保持部9
4を乗り越えた直後の位置93bと、第2円環溝95の
一端部95bに位置させる。この状態が図11に示され
ており、印字装置1の工場出荷時において、圧子51b
によりチューブ部材51aが圧縮されていない状態とす
るものである。すなわち、印字装置1が工場出荷後、販
売されて実際に使用されるまでにどれくらいの時間が経
過するか不明であるが、可撓性のチューブ部材51a
が、圧子51bによって長い間圧搾状態にあると、チュ
ーブ部材51aが永久変形してしまい不都合である。そ
こで、工場出荷時においては、圧子51bがチューブ部
材51aを圧搾していない状態とする。そして、印字装
置1の実際の使用時においては、ロータ51cが矢印r
2の方向に回転した場合に圧子51bに作用する、チュ
ーブ部材51aとの当接による抵抗力により、圧子51
bの中心軸が、第5突起99に当接して矢印r2方向に
回転するようになるのである。
【0084】ポンプギヤ90にはまた、フランジ部92
と反対側に突出した第1突起97及び第2突起98を備
えている。
【0085】合成樹脂により一体に形成されたカムギヤ
58は、外周に歯車58aが形成されており、全周のう
ちの一部に欠損部58bが設けられている。歯車58a
は、ロータ51cのポンプギヤ90と歯車のピッチ円半
径が同じに構成されている。また、カムギヤ58には、
前記第1突起97と当接可能な第3突起58dと、前記
第2突起98と当接可能な第4突起58eとが設けら
れ、その裏側には、ワイパ部材65を駆動するためのカ
ム溝58cが設けられている。カム溝58cには、ノッ
チ58kが設けられている。
【0086】カムギヤ58にはまた、その回転方向につ
いての原点を検知するための凹部58fが形成されてお
り、その凹部58fの両端には、比較的緩やかなスロー
プ状に形成された第1エッジ58gと、比較的急峻に形
成された第2エッジ58hとを有している。
【0087】ロータ51cとカムギヤ58とは、それぞ
れ、第1突起97及び第2突起98が設けられた面と、
第3突起58d及び第4突起58eが設けられた面とが
向き合うように重ね合わせられる。そして、歯車58a
とポンプギヤ90とは、遊星ギヤ59と当接された場合
に、当該遊星ギヤ59と同時または交互に噛み合うこと
ができるように、同軸に軸支される。
【0088】図12ないし図14は、ワイパ部材65の
概略構成を示す図である。ワイパ部材65は、ゴムブレ
ード65aと、ブレードホルダー65fとから構成され
る。
【0089】ゴムブレード65aは、比較的厚肉の本体
部65dの一端に、比較的薄肉の薄肉部65bを接続し
た、一体の板状合成ゴム部材からなる。薄肉部65bの
先端は、尖鋭に形成された先端部65cを有している。
【0090】薄肉部65bの一側面は、本体部65dの
一側面と面一に構成され、その面には、溝65eが形成
されている。この溝65eは、先端部65cから数ミリ
ほど本体部65d側に下がった地点から、本体部65d
側に、鉛直線と平行に多数形成されている。また、本体
部65dには、ブレードホルダー65fに取り付けて保
持するための取付孔65sが形成されている。
【0091】ブレードホルダー65fは、互いに平行に
対峙した後面壁65g及び前面壁65hと、その下方に
形成された回転軸65kと、その回転軸65kの下方に
設けられたアクチュエータ65mとからなる。
【0092】ゴムブレード65aは、前記一側面が前面
壁65hと対向するような方向で後面壁65gと前面壁
65hとの間に挿入される。そして、前面壁65hから
後面壁65gに突出した係止部65tが取付孔65sに
挿入されることにより、ゴムブレード65aがブレード
ホルダー65fに保持される。
【0093】前面壁65hの高さは、後面壁65gより
も若干高く、かつゴムブレード65aを挟持した場合
に、少なくとも先端部65cから1ミリ以上薄肉部65
bが突出するように構成されている。前面壁65hとゴ
ムブレード65aとが接する部分には、インクが毛管現
象にて保持され、かつ下に漏れ出ない程度に形成されて
たインク保持部65vが構成されている。このインク保
持部65vは、インクが毛管現象にて保持され、かつ下
に漏れ出ない程度の、前面壁65hとゴムブレード65
aとの隙間から構成され、より好ましくは、インクを吸
収可能な多孔質体(例えば、活性炭やスポンジなど)
や、1枚以上のフィルム部材が間に挟まれていてもよ
い。
【0094】前面壁65hにおける前記後面壁65gの
反対側には、フック65pが形成されており、このフッ
ク65pには、ばね66の一端が取り付けられ、ばね6
6の他端はポンプユニットフレーム55に取り付けられ
ている。よって、フック65pがばね66によって引っ
張られることにより、ワイパ部材65の回転軸65kよ
り上(先端部65c側)はばね66による引っ張り方向
に付勢される。アクチュエータ65mは、ポンプユニッ
トフレーム55に回動可能に軸支される回転軸65kを
挟んでフック65pの反対側に設けられており、ばね6
6によるフック65pの引っ張り方向と反対方向に付勢
されることになる。
【0095】ワイパ部材65は、カム溝58cと、リン
ク64の一端部のピン64aとの作用により、図20に
示す往復運動の往路始端・復路終端位置と、図19に示
す往復運動の往路終端・復路始端位置との間で往復揺動
される。
【0096】ワイパ部材65の動作は、詳細は後述する
が、カムギヤ58に設けられたカム溝58cにより駆動
される。そして、カムギヤ58の回転によりカム溝58
cが回転し、このカム溝58cによってリンク64が揺
動され、このリンク64の揺動がアクチュエータ65m
に伝達されることにより、ワイパ部材65が回転軸65
kを中心に往復揺動する。図15において、リンク64
の一端部に設けられたピン64aが、カム溝58cにお
けるカムギヤ58の回転中心軸と同軸の円弧状の部分と
係合している場合、及びカムギヤ58の歯車欠損部91
が遊星ギヤ59と対面した場合には、ワイパ部材65は
停止する。また、リンク64の一端部に設けられたピン
64aが、カム溝58cにおける前記中心軸方向に近づ
いた場合には、ワイパ部材65は、その先端部65cが
図中右方向に移動するように駆動される。
【0097】すなわち、図10に示すように、カム溝5
8cは、(ア)ないし(キ)の7つの部分に分けられ
る。カム溝58cは、カムギヤ58の回転中心軸から遠
ざかる程、図18(a)のような左側(往路始端・復路
終端側)にワイパ部材65を動かし、カムギヤ58の回
転中心軸に近づく程、図18(b)のような右側(往路
終端・復路始端側)にワイパ部材65を動かす。
【0098】(ア)は、カムギヤ58の回転中心軸と同
軸状に設けられた比較的長い円弧状の部分であって、カ
ムギヤ58の外周寄りに設けられた部分である。この部
分にピン64aが係合した場合、カムギヤ58が矢印r
2方向に回転しても、ピン64aとカムギヤ58aの回
転中心軸との位置関係は変化しないので、ワイパ部材6
5aは待機位置で停止している。
【0099】(イ)は、(ア)の端部から回転中心軸方
向に入っていく部分である。この部分にピン64aが係
合した場合、カムギヤ58が矢印r2方向に回転する
と、ピン64aがカムギヤ58aの回転中心軸に近づ
き、図18(b)のような右側(往路終端・復路始端
側)にワイパ部材65を動かす。
【0100】(ウ)は、回転中心軸に最も近づいた比較
的短い部分であって、回転中心軸と同軸状部分である。
この部分にピン64aが係合した場合、カムギヤ58が
矢印r2方向に回転しても、ピン64aとカムギヤ58
aの回転中心軸との位置関係は変化しないので、ワイパ
部材65aは停止している。
【0101】(エ)は、回転中心軸に最も近づいた
(ウ)から、回転中心軸から最も離れた(オ)までを結
ぶ部分であり、最もワイパ部材65の動きが大きい。こ
の部分にピン64aが係合した場合、カムギヤ58が矢
印r2方向に回転すると、ピン64aがカムギヤ58a
の回転中心軸から離れるので、図18(a)のような左
側(往路始端・復路終端側)にワイパ部材65を動か
す。
【0102】(オ)は、回転中心軸から最も離れた部分
であって、回転中心軸と同軸状の比較的短い部分であ
る。この部分にピン64aが係合した場合、カムギヤ5
8が矢印r2方向に回転しても、ピン64aとカムギヤ
58aの回転中心軸との位置関係は変化しないので、ワ
イパ部材65aは停止している。
【0103】(カ)は、(オ)の端部から回転中心軸に
近づくように設けられた部分である。この部分にピン6
4aが係合した場合、カムギヤ58が矢印r2方向に回
転すると、ピン64aがカムギヤ58aの回転中心軸に
近づき、図18(b)のような右側(往路終端・復路始
端側)にワイパ部材65を動かす。
【0104】(キ)は、(カ)の端部から外周方向に移
動して(ア)の端部に接続する部分である。この部分に
ピン64aが係合した場合、カムギヤ58が矢印r2方
向に回転すると、ピン64aがカムギヤ58aの回転中
心軸から離れるので、図18(a)のような左側(往路
始端・復路終端側)にワイパ部材65を動かす。
【0105】また、図15に示すように、カム溝58c
には、リンク64の一端部に設けられたピン64aが係
合しており、リンク64の他端部64bには、アクチュ
エータ65mが係合している。
【0106】また、ワイパ部材65の往復運動の往路始
端・復路終端位置に対応して、ゴムブレード65aの先
端部65cに付着したインクをクリーニングするための
ブレードクリーナー67が配置されている。なお、図1
5に示したように、ワイパ部材65の往復運動における
往路途中で、ゴムブレード65aの先端部65cがブレ
ードクリーナー67を超えた直後の位置を、「待機位
置」と称する。
【0107】そして、図18に示すように、ワイパ部材
65の状態が待機位置(a)から往路終端(b)に至る
までに、ワイパ部材65における先端部65cによっ
て、インクジェットヘッド40のノズル面が払拭され
る。これにより、インクジェットヘッド40のノズル面
に付着していたインクは、ゴムブレード65aの先端部
65c付近で前面壁65h側の面に、図18(b)に示
すように付着する。この付着したインクは、溝65eに
より、ゴムブレード65aと前面壁65hとの隙間部分
に移動してインク保持部65vにより毛管現象により当
該部分に保持される。これにより、先端部65cにおけ
る付着インク量は、払拭直後と比して少なくなる。
【0108】また、ワイパ部材65における後面壁65
gの高さや、薄肉部65bの厚さ及び長さは、インクジ
ェットヘッド40のノズル面を払拭する際のノズル面に
対する当接力を適切に調整すべく、適宜の寸法に設定さ
れる。さらに、前面壁65hの高さは、ノズル面に干渉
せず、且つ先端部65cに付着したインクが迅速にイン
ク保持部65vに移動することができるような適宜寸法
に設定される。
【0109】さらに、図18(b)に示すように、ワイ
パ部材65が2点鎖線の待機位置から実線の往路終端ま
で動く際に、ゴムブレード65aの薄肉部65bは、イ
ンクジェットヘッド40のノズル面との接触中に撓む。
これにより、前面壁65hと薄肉部65bとの間が開口
し、前面壁65hの先端付近において保持されていたイ
ンクが下方に移行可能となる。
【0110】そして、ブレード部材65は、図21に示
すように、その先端部65cがブレードクリーナー67
によりクリーニングされる。
【0111】ブレードクリーナー67は、その内側(図
中下側)面が水平面に対して斜面を構成する天板67a
と、その天板67aと接続する鉛直面である背面板67
cと、背面板67cの下部に設けられた箱状の支持部6
7dとから構成されている。そして、天板67aの先端
部、すなわち図中右端には、図中下側に突起した突起部
67bが設けられている。突起部67bは、その先端が
尖鋭に形成されている。このブレードクリーナー67
は、合成樹脂により一体に形成されている。
【0112】インクジェットヘッド40のノズル面払拭
直後において図18(b)のように付着していたインク
(誇張して表現している)が、溝65eにより、前面壁
65hとゴムブレード65aの間のインク保持部65v
に毛管現象により吸収されたとしても、図21(a)の
状態において、ゴムブレード65aの先端部65c付近
のインクが付着していた面は、インクによって濡れてい
る。そこで、このインクが濡れている面を、図21
(b)に示すように、ブレードクリーナー67の内側先
端の突起部67bと当接して摺動することにより、ゴム
ブレード65aの先端部65cにわずかに付着していた
インクをクリーニングする。このクリーニングされたイ
ンクは、ゴムブレード65aの先端部65cの移動方向
と反対方向に下がった斜面を構成する天板部67aの内
側面を伝って下方に移動し、背面板67cを介して支持
部67dに至る。
【0113】なお、支持部67dには、図21に示すと
おり、開口部67fが設けられており、流入してきたイ
ンクを当該開口部67fから下方の図示しないインク吸
収体に向けて流出させるように構成されているが、当該
支持部67dの内側にウレタンフォームなどのインク吸
収体を備えてもよい。
【0114】以下、ワイパ部材65とバッファパージポ
ンプ51の動作について、詳細に説明する。
【0115】図15ないし図28は、バッファパージポ
ンプ51、カムギヤ58、及びワイパ部材の1サイクル
の動作を説明するための図である。
【0116】図15における位置をポジション(0)と
する。ポジション(0)においては、遊星ギヤ59には
カムギヤ58の歯車58aが噛み合っており、ポンプギ
ヤ90については、その歯車欠損部91が遊星ギヤ59
と対面しているためポンプギヤ90は遊星ギヤ59とは
噛み合っていない。また、リンク64の一端部に設けら
れたピン64aは、カムギヤ58のカム溝58cにおけ
る、ギヤ中心と同心の円弧状部分の途中に係合してい
る。したがって、このポジション(0)において、遊星
ギヤ59が図中矢印方向に回転しても、カムギヤ58が
図中時計回りに回転するのみであって、ポンプギヤ90
は回転しないからロータ51c及び圧子51bが回転せ
ず、よってバッファパージポンプ51は停止状態(チュ
ーブ部材51aを閉塞してバッファパージチューブ50
にインク流が発生していない状態)となる。また、ピン
64aはカム溝58cにおける(ア)の部分に係合して
いるので、ワイパ部材65も待機位置で停止している。
【0117】ポジション(0)においては、インクジェ
ットヘッド40がワイパ部材65上を移動してもワイパ
部材65とインクジェットヘッド40とは接触しない。
そして、ワイプするときには、インクジェットヘッド4
0をワイプ位置に移動して、インクジェットヘッド40
がワイパ部材65によりワイピング可能に設定される。
【0118】ポジション(0)から、遊星ギヤ59を介
してカムギヤ58が19.06度回転した状態が、図1
6及び図17に示すポジション(1)であり、この際、
原点センサ47のアクチュエータは第2エッジ58hと
当接し、カムギヤ58の原点を検出する。この状態で
も、ポンプギヤ90には遊星ギヤ59の駆動力は伝達さ
れず、ポンプギヤ90は停止しており、したがってバッ
ファパージポンプ51は停止状態である。また、図17
を図15と比較しても明らかなように、リンク64の一
端部に設けられたピン64aは、カムギヤ58のカム溝
58cにおける、ギヤ中心と同心の円弧状部分の途中に
係合した状態が継続している。したがって、ワイパ部材
65は待機位置のままである。
【0119】ポジション(1)からカムギヤ58が6
2.73度回転した状態が、図19に示すポジション
(2)である。ポジション(1)からポジション(2)
にわたって、遊星ギヤ59の回転駆動によりカムギヤ5
8のみが回転し、ポンプギヤ90は停止した状態を継続
している。この際、図17に示すポジション(1)の状
態から図19に示すポジション(2)の状態にわたっ
て、ピン64aは、カムギヤ58の中心軸方向に近づい
ているカム溝58cの部分(イ)に係合する。したがっ
て、カム溝58cと係合しているリンク64の一端部に
設けられたピン64aが前記中心軸に近づき、リンク6
4の他端部64bが図中左側に揺動される。これによ
り、ワイパ部材65は、その先端部65cが、待機位置
からワイパ往復運動における往路終端まで揺動する。
【0120】ここで、図18に示すように、ワイパ部材
65の状態が待機位置(a)から往路終端(b)に至る
までに、ワイパ部材65における先端部65cによっ
て、インクジェットヘッド40のノズル面が払拭され
る。これにより、インクジェットヘッド40のノズル面
に付着していたインクは、ゴムブレード65aの先端部
65c付近で前面壁65h側の面に、図18(b)に示
すように付着する。この付着したインクは、溝65eに
より、ゴムブレード65aと前面壁65hとの間のイン
ク保持部65vに移動して毛管現象により当該部分に保
持される。
【0121】そして、ポジション(2)においては、ピ
ン64aは、カム溝58cの(ウ)の部分に係合してい
る。このカム溝58cの(ウ)の部分は、カムギヤ58
の回転中心軸に最も近づいた位置にあり、且つこの回転
中心軸と同軸状の円弧部分であるので、ワイパ部材65
を往路終端・復路始端位置で安定的に保持できる。ここ
では、後述するように、インク供給モータ88aを一度
停止させ、インクジェットヘッド40を、ワイパ部材6
5が往復運動しても先端部65cに触れないように退避
させる制御を行うことができる。
【0122】ポジション(2)からカムギヤ58が7
1.59度(原点であるポジション(1)より134.
32度)回転した状態が、図20に示すポジション
(3)である。ポジション(2)からポジション(3)
にわたって、遊星ギヤ59の回転駆動によりカムギヤ5
8のみが回転し、ポンプギヤ90は停止した状態を継続
している。この際、図19に示すポジション(2)の状
態から図20に示すポジション(3)の状態にわたっ
て、ピン64aは、カムギヤ58の中心軸から遠ざかる
カム溝58cの部分(エ)に係合する。したがって、カ
ム溝58cと係合しているリンク64の一端部に設けら
れたピン64aが前記中心軸から遠ざかり、リンク64
の他端部64bが図中右側に揺動される。これにより、
ワイパ部材65は、その先端部65cが、往路終端・復
路始端位置から復路終端まで揺動する。
【0123】このとき、ゴムブレード65aのノズル面
と接触していない面が、ブレードクリーナー67の天板
部67aにおける突起部67bと接触しつつ、これを乗
り越えて、図20に示すポジション(3)の状態に至
る。
【0124】そして、ポジション(3)においては、ピ
ン64aは、カム溝58cの(オ)の部分に係合してい
る。このカム溝58cの(オ)の部分は、カムギヤ58
の回転中心軸から最も遠ざかった位置にあり、且つこの
回転中心軸と同軸状の円弧部分であるので、ワイパ部材
65を復路終端位置で安定的に保持できる。また、この
状態は、ワイパ部材65がブレードクリーナー67に当
接している。ここで、ゴムブレード65aのノズル面と
接触していない面が、ブレードクリーナー67に接触し
た状態を保持している。
【0125】ポジション(3)からカムギヤ58が5
4.55度(原点から188.87度)回転した状態
が、図22に示す状態である。この状態においては、ブ
レード部材65は、ピン64aがカム溝58cの(カ)
の部分に係合することにより、往復運動における往路側
に若干移動している。この間に、ブレード部材65は、
図21に示すように、ノズル面と接触した先端部65c
の面がブレードクリーナー67によりクリーニングされ
る。
【0126】ここで、図21(b)における実線で示し
た状態から、インクジェットヘッド40のノズル面の払
拭を終えた2点鎖線の状態に至る際に、ゴムブレード6
5aの薄肉部65bが、実線のような撓んだ状態から弾
性的に復元するが、この際、ゴムブレード65aと前面
壁65hとの間のインク保持部65vにインク保持可能
な多孔質体やフィルムなど挿入物を有すれば、当該隙間
に保持されたインクが上記弾性復元の際に飛び散ること
がない。
【0127】また、図22に示す状態においては、遊星
ギヤ59の回転駆動によって時計回りに回転するカムギ
ヤ58の第3突起58dが、これまで停止していたポン
プギヤ90(ロータ51c)の第1突起97と当接し、
これ以降、遊星ギヤ59の駆動力は、カムギヤ58のみ
ならず、カムギヤ58の第3突起58dが第1突起97
を当接してこれを付勢することにより、ポンプギヤ90
(ロータ51c)にも回転駆動力が伝達される。すなわ
ち、カムギヤ58とポンプギヤ90(ロータ51c)と
が連れ回りする。これにより、圧子51bが図中時計回
りに回転し始めるので、バッファパージポンプ51は、
バッファタンク20からサブタンク12に向けたインク
流を、バッファパージチューブ50に発生させ始める。
【0128】図22における状態から、カムギヤ58と
ポンプギヤ90(ロータ51c)とが遊星ギヤ59の駆
動力により8.87度(原点から延べ197.74度)
回転した状態が、図23に示すポジション(4)であ
る。図22に示す状態から図23に示すポジション
(4)の状態に至るまでに、カムギヤ58とポンプギヤ
90(ロータ51c)とが連れ回りする。すなわち、バ
ッファパージポンプ51が作動するとともに、カム溝5
8cの回転により、リンク64の一端部に設けられたピ
ン64aが、カムギヤ58の回転中心軸方向に若干移動
する。これにより、ワイパ部材65は、その先端部65
cの図中右方向の移動(往路)が完了し、ワイパクリー
ニングが完了する。
【0129】ポジション(4)からカムギヤ58とポン
プギヤ90(ロータ51c)とが遊星ギヤ59の駆動力
により81.58度(原点より延べ279.32度)回
転した状態が、図24に示す状態である。ポジション
(4)から図24に示す状態に至る間に、カムギヤ58
とポンプギヤ90(ロータ51c)の双方が遊星ギヤと
噛み合って連れ回りするとともに、ワイパ部材65が待
機位置に復帰する。
【0130】また、この図24に示す状態において、カ
ムギヤ58の欠損部58bが遊星ギヤ59に対面する。
これに対し、ポンプギヤ90は遊星ギヤ59と噛み合っ
ている。よって、ポンプギヤ90(ロータ51c)は遊
星ギヤ59の駆動力によって図中時計回りに回転を続
け、ロータ51cの第1突起97もまた時計回りに回転
する。これに対し、カムギヤ58に対する遊星ギヤ59
の駆動力伝達がなくなり、カムギヤ58は図中時計回り
に回転しなくなるので、カムギヤ58の第3突起58d
は図中時計回りに回転しない。よって、これ以降、バッ
ファパージポンプ51のみが作動し続ける。
【0131】図24に示す、カムギヤ58が遊星ギヤ5
9との噛み合いから外れた状態からカムギヤ58が2.
5度程回転した状態が、図25に示す状態である。図2
5に示すように、ワイパ部材65は、ばね66(図7参
照)により、矢印g1方向に付勢されている。そして、
この付勢力は、回転軸65kにより、アクチュエータ6
5mの矢印g2方向の付勢力に変換される。これによ
り、リンク64の一端部に設けられたピン64aには、
矢印g3方向の付勢力が働き、ピン64aはカム溝58
cの内側に沿って動く。
【0132】ここで、ワイパ部材65を待機位置に位置
させるために、カム溝58cの円弧状部分(ア)の一部
には、V字形切り欠き部であるノッチ58kが設けられ
ている。そして、図25に示す状態において、カム溝5
8cのノッチ58kにピン64aが係合することによ
り、カムギヤ58の回転が確実に停止されるとともに、
カムギヤ58の振動が抑えられる。
【0133】そして、図24の状態から図25の状態へ
の変化は、図24に示す状態(図37(b)参照)にお
いて、ノッチ58kのV字形切り欠き部の斜面に対して
ピン64aが付勢力により当接することによって、ピン
64aに対してノッチ58kのV字形切り欠き部の中心
が係合しようとする作用によるものである。
【0134】図24に示す状態から遊星ギヤ59の駆動
力によりポンプギヤ90が245.45度(原点より延
べ524.77度)回転した状態が、図26に示す状態
である。図25に示す状態から図26に示す状態に至る
までは、ポンプギヤ90のみに遊星ギヤ59の回転駆動
力が与えられ、バッファパージポンプ51のみが動作す
る。
【0135】そして、図24に示す状態以降、カムギヤ
58は停止し、したがって第3突起58d、第4突起5
8eもまた停止している。一方、ポンプギヤ90(ロー
タ51c)は回転し、したがって第1突起97、第2突
起98もまた回転している。よって、図24に示した状
態以降、第3突起58dと第1突起97との当接が解除
され、両者は離れる。そして、ポンプギヤ90(ロータ
51c)の回転とともに回転している第2突起98は、
図26に示す状態において、カムギヤ58の第4突起5
8eと当接する。この図26に示す状態以降は、第2突
起98が第4突起58eを付勢することにより、カムギ
ヤ58には、ポンプギヤ90(ロータ51c)に対して
与えられる遊星ギヤ59の回転駆動力が与えられ、ポン
プギヤ90(ロータ51c)とカムギヤ58とは連れ回
りする。
【0136】図26に示す状態から遊星ギヤ59の駆動
力によりカムギヤ58とポンプギヤ90(ロータ51
c)とが24.1度(原点より延べ548.87度)回
転した状態が、図27に示す状態である。図26に示す
状態から図27に示す状態に至るまでは、カムギヤ58
は、その第4突起58eがポンプギヤ90(ロータ51
c)の第2突起98に付勢されることにより、ポンプギ
ヤ90とともに回転し、その間に、歯車58aが遊星ギ
ヤ59に噛み合うに至る。ワイパ部材65は、カム溝5
8cの形状により、待機位置から移動しない。
【0137】そして、図27に示す状態においては、ポ
ンプギヤ90の歯車欠損部91が遊星ギヤ59と対面
し、ポンプギヤ90と遊星ギヤ59との噛み合いが解除
される。これ以降、ポンプギヤ90は回転せず、遊星ギ
ヤ59と噛み合ったカムギヤ58のみが回転する。
【0138】そして、図27に示す状態から遊星ギヤ5
9の駆動力によりカムギヤ58のみが56.58度(原
点より605.45度)回転すると、原点であるポジシ
ョン(1)に復帰する。
【0139】このように、遊星ギヤ59の駆動力による
カムギヤ58とポンプギヤ90との延べ605.45度
の間欠的な回転駆動により、ワイパ部材56とバッファ
パージポンプ51とが間欠的に駆動される。この様子を
示したのが図28である。この図28の線図(a)から
明らかなように、ポジション(1)からポジション
(2)に至るワイピング動作の際には、バッファパージ
ポンプ51が作動しない。これにより、適切なヘッド回
復動作が可能となる。すなわち、ワイピング前及びワイ
ピング中など、インクジェットヘッド40のノズル部分
におけるインクの状態(メニスカス状態)が乱れている
場合には、バッファパージポンプ51を停止させること
により、埃等で汚れたインクや気泡の混じったインクを
インクジェットヘッド40のインク室内に吸い込むこと
がない。そして、ワイピングによりメニスカス状態が正
常となってからバッファパージポンプ51を作動させ
る。
【0140】図28における線図(b)は、ワイピング
動作を行う場合の、モータ軸ギヤ56を備えたモータの
駆動制御線図である。図示の如く、ポジション(1)か
らポジション(2)に至るまでにワイピングがなされ
る。そして、ポジション(2)でモータを一度停止さ
せ、インクジェットヘッド40を退避させた後、モータ
を低速で駆動して、ワイパ部材65を、その先端部65
cに付着したインクが飛散しないようにゆっくりと、ポ
ジション(3)の位置へ移動させる。そして、ポジショ
ン(3)で一度停止させた後、低速でモータを駆動して
ワイパクリーニングを行う。ワイパクリーニングを終了
したら、ポジション(4)以降、バッファパージポンプ
51を作動させるためにモータ速度を若干上げる。そし
て、バッファパージポンプ51の作動が終了したら、モ
ータ速度を低速にする。
【0141】図28における線図(c)及び(d)は、
ワイピング動作を行わない場合の、モータ軸ギヤ56を
備えたモータの駆動制御線図である。
【0142】線図(c)の場合は、吸引ポンプ63によ
る吸引パージを行う場合であり、この後に線図(b)の
ワイピング動作が行われる。よって、線図(c)の場合
は、ある程度バッファパージポンプ51を速く駆動して
インク循環を速やかに行い、バッファパージポンプ51
が速く駆動されることによりメニスカスが乱れても、続
く吸引パージとワイピングにより改めて正常なメニスカ
スを形成することができる。よって、線図(c)の場合
は、線図(b)や(d)の場合よりも、ポンプギヤ90
の駆動時におけるモータ駆動速度が高めに設定されてい
る。
【0143】ワイパ部材65及びバッファパージポンプ
51の詳細な動作は以上の通りであるが、以下、(1)
ワイパ部材65とバッファパージポンプ51との間欠動
作、及び(2)ワイパの往復動作について、個別にまと
めて説明する。
【0144】図29ないし図33は、ワイパ部材65と
バッファパージポンプ51とを間欠動作させた状態を説
明するための図である。
【0145】図29(a)に示すように、ポジション
(0)においては、カムギヤ58のみが駆動され得、ポ
ンプギヤ90は駆動されない。この状態で、遊星ギヤ5
9の駆動力によりカムギヤ58のみが19.06度駆動
され、図29(b)に示すポジション(1)に至り、原
点検出される。ただし、ワイパ部材65は、カム溝58
cの(ア)の部分がピン64aと係合しているので、待
機位置に停止している。
【0146】続いて、図30(a)に示すポジション
(1)の状態から、さらに、遊星ギヤ59の駆動力によ
り、カムギヤ58のみが188.87度駆動されると、
図30(b)に示すように、カムギヤ58の第3突起5
8dがポンプギヤ90の第1突起87に当接する。
【0147】図30(b)及び図31(a)に示すよう
に、カムギヤ58の第3突起58dがポンプギヤ90の
第1突起87に当接すると、カムギヤ58とポンプギヤ
90とが連れ回りを開始する。そして、図31(a)に
示す状態から、さらに遊星ギヤ59の駆動により、カム
ギヤ58とポンプギヤ90とが90.45度駆動される
と、図31(b)に示すように、カムギヤ58と遊星ギ
ヤ59との噛み合いが外れる。なお、この場合、ポンプ
ギヤ90は遊星ギヤ59と噛み合わされている。
【0148】図31(b)及び図32(a)に示すよう
に、カムギヤ58と遊星ギヤ59との噛み合いが外れる
と、遊星ギヤ59と噛み合っているポンプギヤ90のみ
が回転可能となる。そして、図32(a)に示す状態か
ら、さらに遊星ギヤ59の駆動力により、ポンプギヤ9
0のみが245.45度駆動されると、図32(b)に
示すように、ポンプギヤ90の第2突起97が、カムギ
ヤ58の第4突起58eと当接する。
【0149】図32(b)及び図33(a)に示すよう
に、ポンプギヤ90の第2突起97が、カムギヤ58の
第4突起58eと当接すると、カムギヤ58とポンプギ
ヤ90とが連れ回り、その間に再びカムギヤ58と遊星
ギヤ59との噛み合いが復活する。そして、図33
(a)に示す状態から、さらに遊星ギヤ59の駆動力に
よりカムギヤ58とポンプギヤ90とが24.1度駆動
されると、図33(b)に示すように、ポンプギヤ90
と遊星ギヤ59との噛み合いが外れ、カムギヤ58のみ
が回転可能となる。
【0150】図34ないし図38は、ワイパ部材65の
往復動作状態を説明するための図である。
【0151】図34に示すように、ポジション(1)に
おいて、ワイパ部材65は、ピン64aがカム溝58c
における(ア)の部分と係合することによって待機位置
にあり、ここで原点が検出される。そして、カムギヤ5
8が原点から62.73度の回転角まで回転する間に、
ピン64aがカム溝58cにおける(イ)の部分を通る
ことにより、ワイパ部材65が待機位置から図中右方向
に移動し、ワイパ往復運動における往路終端であるポジ
ション(2)に至る。この間に、ワイパ部材65による
インクジェットヘッド40のノズル面の払拭動作が行わ
れる。ここで、図28の線図(b)に示すように、遊星
ギヤ59の回転駆動が一旦停止し、インクジェットヘッ
ド40が退避する。
【0152】図35に示すように、インクジェットヘッ
ド40が退避した後、カムギヤ58が再度駆動開始され
る。そして、カムギヤ58が原点から134.32度回
転した状態に至るまで回転駆動される間に、ピン64a
が、カム溝58cにおける(エ)の部分を通ることによ
り、ワイパ部材65が待機位置から図中左方向に移動す
る。そして、ピン64aが、カム溝58cにおける
(オ)の部分に至ると、ワイパ部材65が、往復運動に
おける復路終端、すなわち、ワイパ部材65の先端部6
5cがブレードクリーナー67の天板部67aまたは背
面板67cの内側表面に接触する位置となる。これをワ
イパクリーニング待機位置という。
【0153】図36に示すように、ワイパクリーニング
待機状態から、遊星ギヤ59の回転駆動によりカムギヤ
58が回転駆動され、カムギヤ58が原点から197.
74度回転した状態に至るまでに、ピン64aがカム溝
58cにおける(カ)の部分を通ることにより、ワイパ
部材65がワイパクリーニング待機位置から図中右方向
に移動し、ブレードクリーナー67によるワイパクリー
ニングが行われ、ワイパ部材65は、ポジション(4)
のようにワイパクリーニング終了位置となる。
【0154】図37に示すように、ポジション(4)か
らさらに遊星ギヤ59の回転駆動によりカムギヤ58が
回転駆動されると、ピン64aが、カム溝58cにおけ
る(キ)の部分を通ることにより、ワイパ部材65が図
中左方向に移動する。そして、ピン64aが、カム溝5
8cにおける(ア)の部分に至ると、ワイパ部材65は
待機位置に復帰する。そして、カムギヤ58が原点から
279.32度回転した状態に至ると、カムギヤ58が
遊星ギヤ59との噛み合いから外れ、駆動力のかからな
いフリーな状態となるとともに、ノッチ58kのV字型
の斜面とピン64aとが付勢力をもって当接し、図38
(b)に示すように、この付勢力をもってカムギヤ58
が若干回転し、ノッチ58kとピン64aとが係合した
状態となる。これにより、ポンプギヤ90の回転駆動に
伴って、カムギヤ58が潤滑油の粘性抵抗等の要因によ
る予期しない連れ回りが発生せず、かつフリーな状態の
カムギヤ58がモータ駆動に伴う振動によって振動しな
いようにすることができる。
【0155】なお、本発明は、上述した実施の形態や実
施例に何ら限定されるものではなく、その要旨を変更し
ない範囲において適宜変形が可能である。また、各構成
要素については、実施の形態や実施例に記述したものに
限らず、その均等物に適宜置き換えることも可能であ
る。
【0156】例えば、図1においては、被記録媒体たる
記録用紙Pを略水平に搬送しつつ、インクジェットヘッ
ド40によりインクを下方に向けて吐出するように構成
したが、これに限らず、バッファタンク20やマニホー
ルド30、インクジェットヘッド40の上下の位置関係
が保たれていれば、インク吐出方向は限定されない。
【0157】また、図1においては、インクジェットヘ
ッド40は、ブラックインクを吐出するブラック用ヘッ
ド41と、イエローインクを吐出するイエロー用ヘッド
42と、シアンインクを吐出するシアン用ヘッド43
と、マゼンタインクを吐出するマゼンタ用ヘッド44と
が備えられた4色構成となっていたが、図1におけるイ
ンクジェットヘッド40の概略形状をそのままに、3
色、2色、または1色構成としてもよい。
【0158】また、印字装置1の印字方法としては、様
々な方法が採られうる。例えば、記録用紙Pに対してキ
ャリッジ4の矢印F7、F8方向の走査によりインクジ
ェットヘッド40を矢印F7、F8方向に走査して行単
位で印字した後、矢印F2方向に所定量送り、再びイン
クジェットヘッド40を矢印F7、F8方向に走査して
行単位で印字する方法を採ってもよい。また、キャリッ
ジ4を所望の位置に移動させた後、キャリッジ4を走査
させずに記録用紙Pのみを矢印F2方向に移動させなが
ら印字する方法を採ってもよい。
【0159】また、図1においては、ワイパ部材65の
設置方向は、キャリッジ4の移動方向と垂直な方向とな
っているが、キャリッジ4の移動方向と平行であっても
よい。
【0160】また、ワイパ部材65の設置方向は、イン
クジェットヘッド40におけるノズルの配列方向と平行
でもよいし、所定角度で交差する方向であってもよい
し、垂直であってもよい。
【0161】また、インクジェットヘッド40とワイパ
部材65との間の相対移動は、図1に示したような、プ
ラテンローラ2の逆転によるカム62の回転によりワイ
パ部材65が矢印F4方向に移動するように行われても
よい。また、インクジェットヘッド40を搭載するキャ
リッジ4に、インクジェットヘッド40を前後に揺動す
る機構を設け、ポンプユニットフレーム55に対してイ
ンクジェットヘッド40が近づいたり遠ざかったりする
ように構成してもよい。
【0162】
【発明の効果】上記説明から明らかなように、本発明の
請求項1に記載の印字装置によれば、まずワイパの往復
運動の往路にてインクジェットヘッドのノズル面を払拭
し、インクジェットヘッドを退避位置とした後に、ワイ
パを復路移動させ、その後、復路終端付近においてワイ
パをクリーニングするので、ワイパ移動時におけるイン
ク飛び散りがなく、かつワイパを良好にクリーニングす
ることができ、以て、確実に印字不具合を防止できる印
字装置を提供することができるという効果を奏する。
【0163】請求項2に記載の印字装置によれば、請求
項1に記載の印字装置の奏する効果に加え、さらに、ワ
イパ駆動機構は、ワイパを、その往復運動における復路
終端より往路方向に若干変位した待機位置から、往復運
動における往路終端へ移動しつつノズル形成面を払拭す
る第1の動作と、ワイパをその往復運動における往路終
端から復路終端まで移動する第2の動作と、ワイパをそ
の往復運動における復路終端から待機位置に復帰する第
3の動作を行うので、ワイパ移動時におけるインクの飛
び散りやインクジェットヘッドとの干渉を防止できると
いう効果を奏する。
【0164】請求項3に記載の印字装置によれば、請求
項2に記載の印字装置の奏する効果に加え、さらに、ワ
イパ先端をワイピング前に清浄にすることができるの
で、常に清浄な状態のワイパ先端部をノズル形成面に当
接することにより、ノズル形成面を常に良好な状態とす
ることができるという効果を奏する。
【0165】請求項4に記載の印字装置によれば、請求
項3に記載の印字装置の奏する効果に加え、さらに、ワ
イパ先端のインクを効果的にクリーニングできるととも
に、このクリーニング後に再度インクをワイパ先端に戻
してしまうことがないので、常にワイパ先端をワイピン
グに良好な状態に保持することができるという効果を奏
する。
【0166】請求項5に記載の印字装置によれば、請求
項4に記載の印字装置の奏する効果に加え、さらに、簡
易な装置構成でワイパ先端のクリーニングを行うことが
できるという効果を奏する。
【0167】また、本発明の請求項6に記載のインクジ
ェットヘッド回復方法によれば、ワイパを良好にクリー
ニングすることができ、確実に印字不具合を防止できる
インクジェットヘッド回復方法を提供することができる
という効果を奏する。
【0168】請求項7に記載のインクジェットヘッド回
復方法によれば、請求項6に記載のインクジェットヘッ
ド回復方法の奏する効果に加え、さらに、ワイパは、そ
の往復運動における復路終端より往路方向に変位した待
機位置から、往復運動における往路終端へ移動する第1
の動作と、往路終端から復路終端まで移動する第2の動
作と、復路終端から待機位置に復帰する第3の動作を行
うので、ワイパ移動時におけるインクの飛び散りやイン
クジェットヘッドとの干渉を防止できるという効果を奏
する。という効果を奏する。
【0169】請求項8に記載のインクジェットヘッド回
復方法によれば、請求項7に記載のインクジェットヘッ
ド回復方法の奏する効果に加え、さらに、第3の動作中
に、ワイパの先端を、クリーニング部材に当接すること
によりクリーニングするので、常に清浄な状態のワイパ
先端部をノズル形成面に当接することにより、ノズル形
成面を常に良好な状態とすることができるという効果を
奏する。
【0170】請求項9に記載のインクジェットヘッド回
復方法によれば、請求項8に記載のインクジェットヘッ
ド回復方法の奏する効果に加え、さらに、ワイパ先端の
インクを効果的にクリーニングできるとともに、このク
リーニング後に再度インクをワイパ先端に戻してしまう
ことがないので、常にワイパ先端をワイピングに良好な
状態に保持することができるという効果を奏する。
【0171】請求項10に記載のインクジェットヘッド
回復方法によれば、請求項9に記載のインクジェットヘ
ッド回復方法の奏する効果に加え、さらに、簡易にワイ
パ先端のクリーニングを行うことができという効果を奏
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の記録装置の内部構造の一
部を取り出して示す説明図である。
【図2】図1に示す記録装置の制御系を示すブロック図
である。
【図3】インクジェット記録装置のインク流路の概略構
成図である。
【図4】インクジェットヘッド、マニホールド、バッフ
ァタンク部分の縦断面図である。
【図5】図5の要部拡大図である。
【図6】パージングおよびパージング後フラッシングの
制御内容を示すフローチャートである。
【図7】インクジェット記録装置におけるインク流路を
ユニット化した実施例の概略構成図である。
【図8】バッファパージポンプの概略構成を示す図であ
る。
【図9】バッファパージポンプの概略構成を示す図であ
る。
【図10】バッファパージポンプの概略構成を示す図で
ある。
【図11】バッファパージポンプの概略構成を示す図で
ある。
【図12】ブレード部材の概略構成を示す図である。
【図13】ブレード部材の概略構成を示す図である。
【図14】ブレード部材の概略構成を示す図である。
【図15】実施例においてバッファパージポンプとワイ
パの動作を示す図である。
【図16】実施例においてバッファパージポンプとワイ
パの動作を示す図である。
【図17】実施例においてバッファパージポンプとワイ
パの動作を示す図である。
【図18】実施例においてバッファパージポンプとワイ
パの動作を示す図である。
【図19】実施例においてバッファパージポンプとワイ
パの動作を示す図である。
【図20】実施例においてバッファパージポンプとワイ
パの動作を示す図である。
【図21】実施例においてバッファパージポンプとワイ
パの動作を示す図である。
【図22】実施例においてバッファパージポンプとワイ
パの動作を示す図である。
【図23】実施例においてバッファパージポンプとワイ
パの動作を示す図である。
【図24】実施例においてバッファパージポンプとワイ
パの動作を示す図である。
【図25】実施例においてバッファパージポンプとワイ
パの動作を示す図である。
【図26】実施例においてバッファパージポンプとワイ
パの動作を示す図である。
【図27】実施例においてバッファパージポンプとワイ
パの動作を示す図である。
【図28】実施例においてバッファパージポンプとワイ
パの動作を示す図である。
【図29】実施例においてバッファパージポンプとワイ
パの動作を示す図である。
【図30】実施例においてバッファパージポンプとワイ
パの動作を示す図である。
【図31】実施例においてバッファパージポンプとワイ
パの動作を示す図である。
【図32】実施例においてバッファパージポンプとワイ
パの動作を示す図である。
【図33】実施例においてバッファパージポンプとワイ
パの動作を示す図である。
【図34】実施例においてバッファパージポンプとワイ
パの動作を示す図である。
【図35】実施例においてバッファパージポンプとワイ
パの動作を示す図である。
【図36】実施例においてバッファパージポンプとワイ
パの動作を示す図である。
【図37】実施例においてバッファパージポンプとワイ
パの動作を示す図である。
【図38】実施例においてバッファパージポンプとワイ
パの動作を示す図である。
【符号の説明】
1 印字装置 9 ヘッドユニット 40 インクジェットヘッド 58 カムギヤ 58c カム溝 59 遊星ギヤ 64 リンク 65 ワイパ部材 65a ゴムブレード 65b 薄肉部 65c 先端部 67 ブレードクリーナー

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数のインク室及び各インク室に対応し
    た複数のノズルを有するインクジェットヘッドと、 前記インクジェットヘッドの前記複数のノズルが形成さ
    れた表面を拭うワイパと、 前記ワイパを往復運動させるワイパ駆動機構と、 前記ワイパの往復運動における往路において、前記イン
    クジェットヘッドの前記表面を前記ワイパの先端と当接
    可能な位置と、復路において、前記ワイパが前記インク
    ジェットヘッドに当接しないように前記インクジェット
    ヘッドを退避させる位置とに前記インクジェットヘッド
    の位置を調整するヘッド位置調整機構と、 前記往復運動の往路において前記インクジェットヘッド
    の前記表面を拭った前記ワイパを、前記往復運動におけ
    る復路終端側においてクリーニングするクリーニング機
    構と、 を備えたことを特徴とする印字装置。
  2. 【請求項2】 前記ワイパ駆動機構は、前記ワイパを前
    記往復運動における復路終端より往路方向に変位した待
    機位置から、前記往復運動における往路終端へ移動する
    第1の動作と、前記ワイパを前記往路終端から前記復路
    終端まで移動する第2の動作と、前記ワイパを前記復路
    終端から前記待機位置に復帰する第3の動作を行う請求
    項1に記載の印字装置。
  3. 【請求項3】 前記クリーニング機構は、前記第3の動
    作中に前記ワイパの前記先端と当接することにより、前
    記先端をクリーニングする請求項2に記載の印字装置。
  4. 【請求項4】 前記クリーニング機構は、前記第3の動
    作中に前記ワイパの前記先端と当接するクリーニング部
    と、前記クリーニング部に付着されたインクを除去する
    インク除去部とを備えた請求項3に記載の印字装置。
  5. 【請求項5】 前記クリーニング部は、前記第3の動作
    中における前記ワイパの前記先端と対向する小突起部か
    らなり、 前記インク除去部は、前記小突起部から前記復路終端方
    向に向けて斜め下方に形成された斜面を備えた請求項4
    に記載の印字装置。
  6. 【請求項6】 複数のインク室及び各インク室に対応し
    た複数のノズルを有するインクジェットヘッドにおけ
    る、前記複数のノズルが形成された表面を、往復運動可
    能なワイパで拭うことによって、インクジェットヘッド
    の回復を行うインクジェットヘッド回復方法であって、 前記ワイパの往復運動における往路において、前記イン
    クジェットヘッドの前記表面を前記ワイパの先端と当接
    させ、 前記ワイパの往復運動における復路において、前記イン
    クジェットヘッドを退避させ、 前記往復運動の往路において前記インクジェットヘッド
    の前記表面を拭った前記ワイパを、前記往復運動におけ
    る復路終端側においてクリーニングする、 インクジェットヘッド回復方法。
  7. 【請求項7】 前記ワイパは、前記往復運動における復
    路終端より往路方向に変位した待機位置から、前記往復
    運動における往路終端へ移動する第1の動作と、前記往
    路終端から前記復路終端まで移動する第2の動作と、前
    記復路終端から前記待機位置に復帰する第3の動作を行
    う請求項6に記載のインクジェットヘッド回復方法。
  8. 【請求項8】 前記第3の動作中に、前記ワイパの前記
    先端を、前記先端をクリーニングするクリーニング部材
    に当接することにより、前記先端をクリーニングする請
    求項7に記載のインクジェットヘッド回復方法。
  9. 【請求項9】 前記クリーニング部材は、前記第3の動
    作中に前記ワイパの前記先端と当接するクリーニング部
    と、前記クリーニング部に付着されたインクを除去する
    インク除去部とを備えたものであり、 前記第3の動作中に、前記ワイパの前記先端を、前記ク
    リーニング部に当接させ、 前記クリーニング部に付着したインクを、前記インク除
    去部により除去する請求項8に記載のインクジェットヘ
    ッド回復方法。
  10. 【請求項10】 前記クリーニング部材は、前記第3の
    動作中における前記ワイパの前記先端と対向する小突起
    部と、前記小突起部から前記復路終端方向に向けて斜め
    下方に形成された斜面を備え、 前記ワイパの前記先端と当接することにより前記小突起
    に付着したインクを、前記斜面に沿って下方に排出する
    請求項9に記載のインクジェットヘッド回復方法。
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