JP4923342B2 - 印字装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットヘッドを用いた印字装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、複数のインク室及び各インク室に対応した複数のノズルを備えたインクジェットヘッドを用いたインクジェット記録装置において、ノズルやインク室におけるインクの状態が、時間の経過により、埃の混入や溶媒の揮発などにより劣化し、一部のノズルで不吐出がおこることがあった。そこで、このようなノズル近傍におけるインク状態を劣化状態から良好な状態に回復するための回復機構が従来よりこの種のインクジェット記録装置に設置されている。そして、この回復機構として、インクジェットヘッドのノズル形成面を払拭するワイパ装置が設けられている。このワイパ装置は、ゴム製のワイパブレードを合成樹脂製のホルダに保持し、ワイパ装置とインクジェットヘッドとを相対移動させる途中でワイパブレード先端部とノズル形成面とを摺動させることによって作動する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のワイパ装置において、インクジェットヘッドのノズル形成面を払拭することにより、ワイパブレードの先端部にインクが付着するが、このインクを放置したのでは、様々な問題が生じる。例えば、付着インクが多量の場合、ワイパブレードを印字装置内で往復移動させる機構であれば、インクが飛び散ってしまう。また、付着インクが少量であっても、付着インクがワイパブレード先端付近において埃や溶媒揮発等で劣化したり乾燥固化し、これが再びインクジェットヘッドのノズル形成面に接触すれば、かえってノズル形成面が汚染されてしまう。
【0004】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、ワイパ先端部の状態をを良好に維持することができ、確実に印字不具合を防止できる印字装置及びインクジェットヘッド回復方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の印字装置は、複数のインク室及び各インク室に対応した複数のノズルを有するインクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドの前記複数のノズルが形成された表面を清浄化する回復機構と、前記回復機構と前記インクジェットヘッドとを相対移動させる駆動機構とを備え、前記駆動機構は、前記ワイパを往復移動可能であるとともに、前記往復運動における復路終端より往路方向に変位した待機位置から、前記往復運動における往路終端へ移動する第1の動作と、前記ワイパを前記往路終端から前記復路終端まで移動する第2の動作と、前記ワイパを前記復路終端から前記待機位置に復帰する第3の動作を行い、前記回復機構は、可撓性を有し、その先端部において前記表面と接触しつつ前記相対移動することにより前記表面を拭うワイパと、前記駆動機構による前記インクジェットヘッドとの相対移動方向について前記ワイパを支持するワイパ支持部材と、前記ワイパによって前記表面から除去されたインクを、前記ワイパと前記ワイパ支持部材との隙間に貯留する貯留機構とを備えたことを特徴とする印字装置。
【0006】
上記構成を有する請求項1に記載の印字装置において、駆動機構は、ワイパを往復移動させるものである。そして、駆動機構は、ワイパの往復運動における復路終端より往路方向に変位した待機位置から、ワイパの往復運動における往路終端へ移動する第1の動作と、ワイパをその往復運動における往路終端から復路終端まで移動する第2の動作と、ワイパをその往復運動における復路終端から待機位置に復帰する第3の動作を行う。また、回復機構は、インクジェットヘッドのノズル形成面を清浄化するためのものである。駆動機構は、回復機構とインクジェットヘッドとを相対移動させる。そして、ワイパは、可撓性を有し、その先端部においてノズル形成面と接触しつつ相対移動することによりノズル形成面を拭う。ワイパ支持部材は、駆動機構によるインクジェットヘッドとの相対移動方向についてワイパを支持する。貯留機構は、ワイパによってノズル形成面から除去されたインクを、ワイパとワイパ支持部材との隙間に貯留する。
【0007】
請求項2に記載の印字装置は、請求項1に記載の印字装置において、前記貯留機構は、前記ワイパの先端部に付着したインクを前記隙間側に移行させるために、前記ワイパに設けられた溝を備えている。
【0008】
上記構成を有する請求項2に記載の印字装置は、請求項1に記載の印字装置と同様に作用する上、ワイパに設けられた溝は、ワイパの先端部に付着したインクを、ワイパとワイパ支持部材との隙間側に移行させる。
【0009】
請求項3に記載の印字装置は、請求項1または2に記載の印字装置において、前記貯留機構は、前記ワイパと前記ワイパ支持部材との間に介在させたインク貯留部材を備えている。
【0010】
上記構成を有する請求項3に記載の印字装置は、請求項1または2に記載の印字装置と同様に作用する上、ワイパとワイパ支持部材との隙間に介在されたインク貯留部材は、インクジェットヘッドのノズル面払拭時にワイパの先端部に付着したインクを、当該先端部より移行させて保持する。
【0011】
請求項4に記載の印字装置は、請求項1ないし3のいずれかに記載の印字装置において、前記ワイパの先端部が前記表面を拭っている際の当該ワイパの撓み変形により、前記隙間の一部が開放されるように構成されている。
【0012】
上記構成を有する請求項4に記載の印字装置は、請求項1ないし3のいずれかに記載の印字装置と同様に作用する上、ワイパの先端部がノズル形成面を拭っている際のワイパの撓み変形により、ワイパとワイパ支持部材との隙間の一部が開放される。
【0013】
請求項5に記載の印字装置は、請求項1ないし4のいずれかに記載の印字装置において、前記ワイパ支持部材は、前記ワイパの前記相対移動方向について離間し、前記ワイパを挟み込むように保持するように対向した一対の平面を有し、前記一対の平面のうち前記隙間を構成する一方は、他方の平面よりも前記ワイパの先端方向に突出して構成されている。
【0014】
上記構成を有する請求項5に記載の印字装置は、請求項1ないし4のいずれかに記載の印字装置と同様に作用する上、ワイパ支持部材は、ワイパの前記相対移動方向について離間して対向した一対の平面により、ワイパを挟み込むように保持する。そして、前記一対の平面のうち前記隙間を構成する一方は、他方の平面よりもワイパの先端方向に突出している。
【0015】
【0016】
【0017】
請求項6に記載の印字装置は、請求項1ないし5のいずれかに記載の印字装置において、前記ワイパの往復運動における往路において、前記インクジェットヘッドの前記表面を前記ワイパの先端と当接可能な位置と、復路において、前記ワイパが前記インクジェットヘッドに当接しないように前記インクジェットヘッドを退避させる位置とに前記インクジェットヘッドの位置を調整するヘッド位置調整機構を備えている。
【0018】
上記構成を有する請求項6に記載の印字装置は、請求項1乃至5に記載の印字装置と同様に作用する上、ヘッド位置調整機構は、ワイパの往復運動における往路においてインクジェットヘッドのノズル形成面をワイパ先端と当接可能なワイピング位置と、ワイパの往復運動における復路においてワイパがインクジェットヘッドに当接しないようにインクジェットヘッドを退避させる退避位置とに、インクジェットヘッドの位置を調整する。
【0019】
請求項7に記載の印字装置は、請求項6に記載の印字装置において、前記往復運動の往路において前記インクジェットヘッドの前記表面を拭った前記ワイパを、前記往復運動における復路終端側においてクリーニングするクリーニング機構を備えている。
【0020】
上記構成を有する請求項7に記載の印字装置は、請求項6に記載の印字装置と同様に作用する上、クリーニング機構は、ワイパの往復運動の往路においてインクジェットヘッドのノズル形成面を拭ったワイパを、その往復運動における復路終端側においてクリーニングする。
【0021】
請求項8に記載の印字装置は、請求項7に記載の印字装置において、前記待機位置は、前記復路側の端と前記復路終端との間に位置し、前記クリーニング機構は、前記第3の動作中に前記ワイパの前記先端と当接することにより、前記先端をクリーニングする。
【0022】
請求項9に記載の印字装置は、請求項に記載の印字装置において、前記クリーニング機構は、前記第3の動作中に前記ワイパの前記先端と当接するクリーニング部と、前記クリーニング部に付着されたインクを除去するインク除去部とを備えている。
【0023】
上記構成を有する請求項9に記載の印字装置は、請求項8に記載の印字装置と同様に作用する上、クリーニング部は、上述の第3の動作中にワイパ先端と当接して、このワイパ先端に付着したインクを除去する。インク除去部は、クリーニング部に付着されたインクを、当該クリーニング部から除去する。
【0024】
【0025】
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面にしたがって説明する。
【0027】
図1は、本実施の形態の印字装置の内部構造の一部を取り出して示す説明図である。
【0028】
本実施形態の印字装置1は、図1に示すように、被記録媒体たる記録用紙Pにおける略水平に配置された部分に、インクジェットヘッド40によりインクを下方に向けて吐出することにより印字を行うように構成されている。
【0029】
印字装置1には、給紙された記録用紙Pを矢印F2で示す方向へ紙送りするプラテンローラ2が備えられている。このプラテンローラ2の近傍には、記録用紙Pを挟むように、プラテンローラ2の軸線と平行にキャリッジ軸3が設けられている。このキャリッジ軸3には、インクジェットヘッド40が搭載されたキャリッジ4が支持されている。キャリッジ軸3の一端部の近傍にはキャリッジモータ5が設けられており、その回転軸には、プーリ6が取付けられている。キャリッジ軸3の他端部の近傍にもプーリ6が設けられており、このプーリ6間には、無端状のベルト7が掛け渡されている。
【0030】
このベルト7には、キャリッジ4が取付けられている。キャリッジ4は、キャリッジモータ5の駆動により、キャリッジ軸3上を矢印F7およびF8方向に往復走査する。インクジェットヘッド40には、ブラックインクを吐出するブラック用ヘッド41と、イエローインクを吐出するイエロー用ヘッド42と、シアンインクを吐出するシアン用ヘッド43と、マゼンタインクを吐出するマゼンタ用ヘッド44とが備えられている。
【0031】
記録用紙Pに対して常に記録範囲外となる、プラテンローラ2の、キャリッジ走査方向における外側の所定箇所には、フラッシングを実行する際に各ヘッド41ないし44から吐出されるインクを吸収する廃インク収容部たる多孔質材製のインク吸収パッド8が設けられている。そのフラッシングには、吸引パージ時の吸引キャップ61が外される際にノズルから侵入した気泡を含む不良インクや気泡を排出する目的で行うフラッシングと、ノズルの乾きによるインクの吐出不良を防止する目的で所定の時間おきに行われる通常フラッシングとがある。
【0032】
記録範囲外となる、プラテンローラ2の、キャリッジ走査方向における外側であって、インク吸収パッド8と反対の側には、各ヘッド41ないし44の不吐出、または、吐出不良を回復するためのパージ装置60が配置されている。このパージ装置60は、吸引キャップ61を備えており、その吸引キャップ61をパージングポジションに到達したインクジェットヘッド40に向けて、カム62の回転により図中矢印F3で示す方向に進出させ、各ヘッド41ないし44のノズル形成面を択一的に覆う。そして、吸引ポンプ63が駆動し、この吸引ポンプ63により発生した負圧により、各ヘッド41ないし44のインク室内の気泡を含んだ不良インクをノズルから吸引して各ヘッドの吐出機能を回復させる。
【0033】
吸引キャップ61の、キャリッジ走査方向における内側には、吸引パージを行った各ヘッド41ないし44のノズル形成面に付着したインクや異物を払拭するワイパ部材65が設けられている。このワイパ部材65は、各ヘッドについて吸引パージが完了してインクジェットヘッド40がワイプ位置に移動された後、図中矢印F4で示す方向に進出し、記録領域へ移動する各ヘッド41ないし44のノズル形成面を払拭する。これにより、ノズル形成面のインクなどが払拭され、記録用紙Pの記録面が、余分なインクで汚れるのが防止される。
【0034】
吸引キャップ61の、キャリッジ走査方向における外側には、ホームポジションに復帰したインクジェットヘッド40の各ヘッド41ないし44のノズル形成面に蓋をするキャップ69が設けられている。キャップ69は、インクジェットヘッド40がホームポジションに復帰した際に、図中矢印F5で示す方向に進出し、各ヘッド41ないし44のノズル形成面を覆う。これにより、印字装置1を使用していない間の各ヘッド41ないし44のインクの乾きが防止される。
【0035】
次に、印字装置1の主な制御系の構成について、それをブロックで示す図2を参照して説明する。
【0036】
図2に示すように、印字装置1は、インクジェットヘッド40への記録動作指令およびフラッシング指令の出力、または、パージ装置60への吸引パージ指令の出力を行い、ならびにその他の上記各装置を制御するCPU70と、ホストコンピュータ71から送信された記録データをインターフェース72を介して受信し、記録データの展開の制御を行うゲートアレイ73とを備えている。また、CPU70には、インクジェットヘッド40がメンテナンスを実行するタイミングを計測するタイマTが内蔵されている。CPU70とゲートアレイ73との間には、作業プログラムやフラッシング時の吐出回数などが記憶されているROM74、およびゲートアレイ73がホストコンピュータ71から受信した上記記録データを一時的に記憶するためのRAM75とを備え、これらとの間で必要なデータの入出力を行う。
【0037】
また、CPU70には、記録用紙Pの有無を検出するペーパセンサ76、インクジェットヘッド40がホームポジションにあることを検出する原点センサ77、キャリッジモータ5を駆動するための第1のモータドライバ78、プラテンローラ2の回転駆動用のラインフィードモータ79を駆動するための第2のモータドライバ80、各種の信号をCPU70に与える操作パネル81、後述するインク供給・循環系の駆動モータであるインク供給モータ88を駆動するための第3のモータドライバ89などが接続されている。このインク供給モータ88及び第3のモータドライバ89は、後述するインク供給系の駆動モータの数に応じて、図2に示すような、インク供給モータ88a、88b・・、第3のモータドライバ89a、89b・・のように複数組備えられていてもよい。また、ゲートアレイ73には、ホストコンピュータ71から受信した記録データをイメージデータとして一時的に記憶するイメージメモリ82が接続されている。ヘッドドライバIC210は、ゲートアレイ73から出力された記録データ84、転送クロック85、および記録クロック86に基づいて動作し、インクジェットヘッド40を駆動する。
【0038】
図3は、印字装置1におけるインク流路の概略構成を示す。
【0039】
インク供給源としての大容量のインクカートリッジ10は、可撓性の補充チューブ11、インク供給ポンプ13、後述する第3ジョイント部18、及び供給チューブ19を介してサブタンク12に接続されている。
【0040】
インク供給ポンプ13は、公知のチューブポンプからなり、可撓性で弾力性のあるチューブ部材13aと、このチューブ部材13aを局所的に押しつぶす圧子13bと、この圧子13bを円周方向に複数支持したロータ13cと、このロータ13cを回転させるモータなどの駆動機構13dとから構成される。そして、駆動機構13dによるロータ13cの回転によって、チューブ部材13aが圧子13bに押しつぶされる箇所が、図中矢印r1方向に移動することにより、インクカートリッジ10からサブタンク12に向けたインク流を発生させる。ここで、圧子13bは、ロータ13cの円周方向につき複数設けられているので、インク供給ポンプ13の停止時には、そのうちの少なくとも1つの圧子13bがチューブ部材13aを局所的に押しつぶして、当該チューブ部材13aにおけるインク流路を遮断、すなわちインク流を停止する。
【0041】
サブタンク12の内部は、当該サブタンク12の上部に設けられたエア抜きチューブ15を介して、大気に連通している。
【0042】
サブタンク12内のインクは、可撓性の連絡チューブ14、後述する第1ジョイント部16及び第2ジョイント部17を介してバッファタンク20に供給され、バッファタンク20内のインクはマニホールド30に供給され、ここからインクジェットヘッド40の複数のインク室に分配される。そして、これらのインク室のうちの、ドット形成すべき位置のものに対して、当該インク室内のインクに圧力を加えることにより、インクをノズルから噴射することにより、所望のドットパターンを形成して印字を行うことができる。
【0043】
バッファタンク20の天井壁から導出されたエアまたは泡入りインクは、第2ジョイント部17、第1ジョイント部16、バッファパージチューブ50、バッファパージポンプ51、第3ジョイント部18、及び供給チューブ19を介して、エアまたは泡を含んだインクがサブタンク12に還付される。
【0044】
このバッファタンク20からのエアまたは泡入りインクの流れは、バッファパージチューブ50の一部に設けられた公知のチューブポンプからなるバッファパージポンプ51によって作られる。
【0045】
バッファパージポンプ51は、公知のチューブポンプからなり、可撓性で弾力性のあるチューブ部材51aと、このチューブ部材51aを局所的に押しつぶす圧子51bと、この圧子51bを円周方向に複数支持したロータ51cと、このロータ51cを回転させるモータ等の駆動機構51dとから構成される。そして、駆動機構51dによるロータ51cの回転によって、チューブ部材51aが圧子51bに押しつぶされる箇所が、図中矢印r2方向に移動することにより、バッファタンク20からサブタンク12に向けたインク流を発生させる。ここで、圧子51bは、ロータ51cの円周方向につき複数設けられているので、バッファパージポンプ51の停止時には、そのうちの少なくとも1つの圧子51bがチューブ部材51aを局所的に押しつぶして、当該チューブ部材51aにおけるインク流路を遮断、すなわちインク流を停止する。
【0046】
第3ジョイント部18は、インク供給ポンプ13からのインクが流入する第1流入口18aと、バッファパージポンプ51からのインクまたはエアが流入する第2流入口18bと、第1流入口18a及び第2流入口18bからのインクやエアの流れを合流してサブタンク12に送る排出口18cとを備えている。そして、排出口18cは、供給チューブ19を介してサブタンク12に接続されている。
【0047】
サブタンク12の、供給チューブ19からのインク等の流入口、及び連絡チューブ14への流出口は、いずれも、サブタンク12の底側に形成されている。したがって、供給チューブ19を介してインクカートリッジ10からサブタンク12に流入した清浄なインクについては、高所からの落下による泡立ちや空気の巻き込み等の不具合が生じない。また、供給チューブ19を介してバッファパージポンプ51からサブタンクに流入したエアまたは泡入りインクについては、エアや泡が流入口から上方に移動して、サブタンク12の底部には泡のない良好な状態のインクが滞留することとなる。そして、この良好な状態のインクが、流出口から連絡チューブ14を介してバッファタンク20に向けて供給される。
【0048】
インクジェットヘッド40のインク噴射動作中(印字時、フラッシング時)を含む通常時、吸引ポンプ63による吸引パージ時、およびワイパ部材65によるワイピング時には、バッファパージポンプ51は停止してバッファパージチューブ50内の通路を閉塞し、バッファタンク20内を密閉した状態にし、インクジェットヘッド40とサブタンク12との高さの差により、インクジェットヘッド40に作用するインク圧力を負圧に維持している。
【0049】
インク供給ポンプ13の駆動機構13d、バッファパージポンプ51の駆動機構51dおよび吸引ポンプ63の動作は、公知のCPUなどからなる制御手段70により制御される。
【0050】
吸引ポンプ63は、図3のように、インク供給ポンプ13等と同様のチューブポンプで構成してもよいし、公知のシリンダ方式のポンプで構成してもよい。
【0051】
吸引ポンプ63は、独自にモータを備えていてもよいし、公知の遊星ギヤ機構によって、上述のインク供給ポンプ13の駆動機構13dまたはバッファパージポンプ51の駆動機構51dの回転方向の切換により、インク供給ポンプ13またはバッファパージポンプ51と択一的に駆動可能に構成してもよい。また、ラインフィードモータ79により、図示しない遊星ギヤ機構を用いて、モータ正転時にプラテンローラ2を回転駆動し、モータ逆転時には吸引ポンプ63を駆動するようにしてもよい。
【0052】
図4及び図5は、印字装置1に対して着脱可能に構成されたヘッドユニット9の概略構成を示す断面図である。
【0053】
図4において、(a)はヘッドユニット9の概観を示す断面図、(b)はヘッドユニット9が装着される印字装置1側の構成を示す断面図、(c)はヘッドユニット9を印字装置1側に装着した状態の断面図である。図5は、ヘッドユニット9をさらに拡大した断面図である。
【0054】
ヘッドユニット9は、上部筐体9a及び下部筐体9b内に、第2ジョイント部17と、バッファタンク20と、マニホールド30と、インクジェットヘッド40とを備えている。カバー9eは、上部筐体9aの上側に配置される化粧カバー部材である。
【0055】
バッファタンク20は、天井壁と側壁からなる第1のケース21と、第1のケースの開放下面を密閉状態に覆って接着固定されバッファタンク20の底壁をなす第2のケース22とからなる。両ケースとも合成樹脂材料の射出成形によって製作される。第1のケース21の天井壁には、内部にインク導入路23aを形成する中空筒状壁23が内部に垂下しかつ外部にも突出して形成されており、その先端であるインク導入口23bは、第2のケース22の壁面に近接配置されている。この中空筒状壁23には、連絡チューブ14を介してサブタンク12から供給されてきたインクをバッファタンク20に導入するための導入チューブ54が接続されている。
【0056】
このような構成により、印字装置1のサブタンク12から供給されて来たインクは、バッファタンク20の底面付近でバッファタンク20内に供給されるので、インクの落下による泡立ちを防ぐことができる。特に、インク導入口23bがインク中に没している場合、インク導入による泡立ちなどの乱れがほとんど起こらない。
【0057】
バッファタンク20の下側には、インクジェットヘッド40の各インク室にインクを供給するためのマニホールド30が配置されている。バッファタンク20の底壁をなす第2のケース22には、貫通孔としてのインク供給口24が形成され、マニホールド30の上部に突き出して形成された導入管33に対応して、供給管25が下側に突き出して形成されている。また、第2のケース22には、インク供給口24を覆うようにフィルタ26が配置されている。すなわち、フィルタ26、インク供給口24、供給管25、導入管33が、バッファタンク20からマニホールド30へのインク供給チャンネルを構成している。
【0058】
バッファタンク20の第1のケース21における天井壁21aは、水平面と交差する斜面状または曲面状に形成されており、その最上部には導出口52が形成され、その導出口52には、エア及び泡が混入したインクを抜いてバッファパージチューブ50に向けて送るための導出チューブ53が接続されている。
【0059】
すなわち、インクに発生した泡は、バッファタンク20の天井壁21aにおける最上部に集まり、導出口52からバッファタンク20の外に導出される。これに対して、泡立ちのない良好な状態のインクがバッファタンク20の底面付近に貯留されており、これがフィルタ26を通って下方のマニホールド30に供給される。したがって、インクジェットヘッド40には、泡立ちや介在物などがない良好な状態のインクが供給される。
【0060】
第2ジョイント部17は、導入チューブ54に接続される導入ジョイント17aと、導出チューブ53に接続される導出ジョイント17bと、導入ジョイント17a及び導出ジョイント17bを保持する第2ジョイントカバー17cとから構成される。導入ジョイント17aと導出ジョイント17bとは、図中、紙面と垂直方向に並んで配置されている。導入ジョイント17a及び導出ジョイント17bは、それぞれ略円筒形状で構成されており、鉛直線に対しておおむね35ないし55度の角度をもって傾けられた状態で配置されている。したがって、導入ジョイント17a及び導出ジョイント17bは、その開口部が、水平面と交差する平面を構成するように配置される。また、導入ジョイント17a及び導出ジョイント17bは、その内部にフィルタ17fを備えている。
【0061】
下部筐体9bの第2ジョイント部17が設けられる部分には、傾斜面9cが設けられ、この傾斜面9cには、鉛直方向に貫通孔9dが形成されている。そして、第2ジョイント部17は、第2ジョイントカバー17cが傾斜面9cに対向することにより、貫通孔9dに対応する位置に、導入ジョイント17a及び導出ジョイント17bの開口部が配置される。さらに、貫通孔9dの下端部と、導入ジョイント17a及び導出ジョイント17bの開口部における下端部とは、水平位置において略一致するように配置されている。
【0062】
したがって、ヘッドユニット9を印字装置1のキャリッジ4に対して着脱する際に、導入ジョイント17a及び導出ジョイント17bの開口部の下端部からインクが滴下しても、この滴下インクは、貫通孔9dの下端側の傾斜面9cで受けられ、下部筐体9b内に留まる。また、導入ジョイント17a及び導出ジョイント17bに設けられたフィルタ17fは、インクで濡れているので、ヘッドユニット9を印字装置1のキャリッジ4に対して着脱する際に、空気が導入チューブ54や導出チューブ53に入ることがなく、導入チューブ54や導出チューブ53からインクが導入ジョイント17a及び導出ジョイント17bの開口部に向けて漏出しようとしても、フィルタ17fによって大部分が阻止される。
【0063】
印字装置1側のキャリッジ4には、第1ジョイント部16が配置されている。この第1ジョイント部16は、導入ジョイント17aに接続される供給ジョイント16aと、導出ジョイント17bに接続される還付ジョイント16bと、供給ジョイント16a及び還付ジョイント16bとを支持するとともに、ヘッドユニット9の支持部ともなる装着部16cとから構成されている。そして、供給ジョイント16aは、連絡チューブ14に接続され、還付ジョイント16bは、バッファパージチューブ50に接続されている。
【0064】
よって、装着部16cにヘッドユニット9を装着することにより、導入ジョイント17aと供給ジョイント16aとが接続されるとともに、導出ジョイント17bと還付ジョイント16bとが接続される。
【0065】
以下、上述の構成を有するインク循環経路の動作を説明する。
【0066】
サブタンク12内のインク量が一定量以下になったことが図示しないセンサにより検知されると、インク供給ポンプ13が駆動され、インクが所定量になるまでサブタンク12内にインクカートリッジ10からインクが供給される。この動作は、バッファパージポンプ51、吸引ポンプ63、インクジェットヘッド40の動作とは独立に行われる。インク供給ポンプ13は、上述の通り、公知のチューブポンプから構成されており、ロータ13cの回転方向も矢印r1方向のみ(逆転不能)となるように、機械的若しくは制御的に構成されている。よって、インク供給ポンプ13の動作時及び停止時に拘わらず、インクカートリッジ10に向かった逆流方向のインク流が生じることはない。
【0067】
バッファタンク20およびインクジェットヘッド40にインクを充填するには、まず制御手段70の制御の下に、吸引キャップ61でインクジェットヘッド40の全噴射口を密閉し、バッファパージポンプ51を駆動する。これによって、バッファタンク20内が減圧され、サブタンク12からのインクがバッファタンク20全体にインクが効率よく導入される。インク供給口24の上方に十分インクが溜められた後、制御手段70の制御の下に吸引ポンプ63を駆動すると、バッファタンク20内のインクがインク供給口24からインクジェットヘッド40の全噴射チャンネルに充填される。この結果、バッファタンク20内で気泡が除去されたインクがインクジェットヘッド40に供給され、インクジェットヘッド40の噴射チャンネルに気泡が進入することがなくなる。
【0068】
インクジェットヘッド40のインク噴射動作中(印字時、フラッシング時)を含む通常時、吸引ポンプ63による吸引パージ時、およびワイパ部材65によるワイピング時には、バッファパージポンプ51は停止してバッファパージチューブ50内の通路を閉塞し、バッファタンク20内を密閉した状態にしている。それによって、インクジェットヘッド40とサブタンク12との高さの差により、インクジェットヘッド40に作用するインク圧力を負圧に維持している。インクジェットヘッド40でインクが噴射されると、その消費された量を補給するべくサブタンク12からバッファタンク20内へインクが供給される。
【0069】
この際、インク導入口23bが、バッファタンク20の底面を構成する第2のケース22の壁面に近接しており、特にインク中に開口していることで、供給されたインクがインク液面に上方から衝突する場合のように、泡だったり空気を巻き込むことがない。
【0070】
周期的あるいは任意の時期に、インクジェットヘッドの噴射口を吸引キャップ61で密閉した状態にして、バッファパージポンプ51を所定時間駆動することにより、バッファタンク20の上部に滞留したエアや気泡を導出口52から排除することができる。これにより、バッファタンク20内の最上部に溜まった気泡を効果的に排除することができる。さらに、この際、連絡チューブ14内に発生した気泡もインクとともにバッファタンク20内に導入されるから、上記のようにインクから気泡を分離して排除することができる。
【0071】
バッファパージポンプ51もインク供給ポンプ13と同様に、ロータ51cが矢印r2方向にのみ回転駆動可能に構成されている。これにより、駆動時と停止時とに拘わらず、インクやエアの逆流(バッファタンク20に向けた流れ)が生じない。
【0072】
このように、バッファパージポンプ51の動作により、サブタンク12とバッファタンク20との間におけるインク循環が行われ、これにより、バルブ機構など複雑な機構を用いることなく、インクジェットヘッド40に気泡のない清浄なインクを常に供給することができる。ここで、バッファパージポンプ51は、バッファタンク20に対して負圧を発生させる方向で作用するので、単位時間当たりのインク循環量を多くして素早くインク循環を行っても、インクジェットヘッド40のノズルから誤ってインクが漏出してしまうことがない。
【0073】
また、インク循環経路におけるインク循環の有無は、バルブ操作ではなく、逆流不能に構成されたチューブポンプからなるバッファパージポンプ51の作動の有無によって切り換えられるので、この切換時に、意図しないインク逆流が起こることがなく、インク圧力の変動を引き起こしてノズルのメニスカスを乱すこともない。
【0074】
なお、バッファパージポンプ51の上述のような駆動は、例えば、後述する吸引パージの実行直前に行ったり、長期(1週間に1回など)または短期(所定枚数印字毎とか所定時間毎)の間隔で定期的になされればよい。また、装置周辺の環境温度により間隔を変動させてもよい。特に、長期間装置が停止していた場合には、チューブ部材のガス透過性により、インク循環経路内の至る所に気泡が生じるので、多量のインクを循環して、連絡チューブ14及びヘッドユニット9内の気泡をサブタンク12の上部に集め、連絡チューブ14及びヘッドユニット9内から気泡を除去することができる。
【0075】
次に、吸引パージおよびフラッシングを行うためにCPU70により実行される制御について、図6のフローチャートを参照して説明する。
【0076】
吸引パージは、(1)記録動作を開始する前に、その直前の不使用期間の長さ(CPU70の一部において構成されるタイマTで計測される時間の長さ)に応じて適宜変更されたり、(2)インクカートリッジを交換した後、記録ヘッドに新しいインクカートリッジのインクを吸引ポンプ63により吸引して導入するために実行されたり、(3)吐出不良を発見したときに、使用者によるキー操作などに基づいて実行される。
【0077】
上記のように自動または任意に吸引パージ指令の信号が出されると(ステップ100)、インクジェットヘッド40を、吸引キャップ61と対向するパージングポジションへ移動させる(ステップ110)。そして、インクジェットヘッド40のノズル形成面に吸引キャップ61を被せ、バッファパージポンプ51を停止させ、吸引ポンプ63を駆動してインクジェットヘッド40のノズルからインクを吸引する(ステップ120)。この吸引パージにより、インクジェットヘッド40のインク室内の気泡を含んだ不良インクが吸引される。
【0078】
そして、吸引パージが完了すると、バッファパージポンプ51を停止させたまま、インクジェットヘッド40をワイプ位置に移動させ、ワイパ部材65でノズル形成面を払拭する。その後、インクジェットヘッド40をフラッシングポジションへ移動させ(ステップ130)、バッファパージポンプ51を停止させたまま、インク室内のインクをインク吸収パッド8に向けて吐出するフラッシングを行う(ステップ140)。このフラッシングにより、上記吸引パージを行った際に気泡が誤ってインク室内に侵入していても、インクと共に確実にノズルから吐出することができる。
【0079】
【実施例】
次に、バッファパージポンプ51及びワイパ部材65の動作についての実施例を、図面を参照しつつ説明する。
【0080】
図7は、インクジェット記録装置におけるインク流路をユニット化した実施例の概略構成図である。
【0081】
ポンプユニットフレーム55には、図3にて説明したような、インク供給ポンプ13と、第3ジョイント部18と、供給チューブ19と、サブタンク12と、連絡チューブ14と、バッファパージチューブ50と、バッファパージポンプ51と、モータ軸ギヤ56と、遊星ギヤ機構57と、吸引ポンプ63と、ワイパ部材65とが組み付けられている。
【0082】
この実施例においては、バッファパージポンプ51と吸引ポンプ63とは、1つのインク供給モータ88a(図2参照)の回転方向の切換で択一的に駆動されるように構成されている。すなわち、ポンプユニットフレーム55には、インク供給モータ88aの駆動軸に設置されたモータ軸ギヤ56と、このモータ軸ギヤ56の駆動力を、その回転方向に応じて、バッファパージポンプ51又は吸引ポンプ63に伝達する遊星ギヤ機構57とが設けられている。また、インク供給ポンプ13は、インク供給モータ88b(図2参照)によって駆動される。
【0083】
図8ないし図11は、バッファパージポンプ51及びワイパ部材65を駆動させるための駆動機構の概略構成を示す図である。
【0084】
合成樹脂により一体に形成されたロータ51cは、外周に歯車が形成されたポンプギヤ90と、板状のフランジ部92と、ポンプギヤ90及びフランジ部92を同一中心で接続する円筒部96とからなる。そのポンプギヤ90には、全周のうちの一部に歯車欠損部91が設けられている。
【0085】
ポンプギヤ90にはまた、その中心軸がポンプギヤ90の回転中心軸を中心とした同一半径の円弧状をなす第1円環溝93及び第2円環溝95が、円筒部96の外側に位置するように形成されている。この第1円環溝93と第2円環溝95とは、ポンプギヤ90の回転中心軸を中心として対向するように設けられており、第1円環溝93の一端部93cと、第2円環溝95の一端部95bとは、ポンプギヤ90の回転中心軸を中心として対称である。
【0086】
フランジ部92は、その回転中心軸(ポンプギヤ90の回転中心軸と同軸)を中心とした略円盤状の部材である。フランジ部92には、当該回転中心軸を中心に対称の位置にある2つの第5突起99が、前記第1円環溝93の一端部93c及び第2円環溝95の一端部95bに対応する位置に設けられている。フランジ部92にはまた、第1円環溝93の他端部93aと、第2円環溝95の他端部95aに対応する位置に、圧子51bの半径より若干大きい半径を有する略円弧状の欠損部92aが設けられている。
【0087】
ポンプギヤ90とフランジ部92との間には、円筒形状のローラ状部材からなる圧子51bが2個配置される。そして、第1円環溝93及び第2円環溝95には、圧子51bの両端に形成された中心軸の一方が挿通される。圧子51bの中心軸の他方は、フランジ部92の外周と当接しており、また、フランジ部92の外周には一対の第5突起99が設けられている。そして、ロータ51cの矢印r2方向の回転により、第5突起99が圧子51bの中心軸を矢印r2方向に付勢することによって、圧子51bが矢印F1方向に回転する。
【0088】
また、第1円環溝93には、当該第1円環溝93に張り出すように弾性保持部94が設けられ、第2円環溝95にも当該第2円環溝95に張り出すように弾性保持部94が設けられている。
【0089】
上述のような弾性保持部94、第1円環溝93、及び第2円環溝95とは、バッファパージポンプ51の組み付けや出荷時において良好に用いられる。すなわち、圧子51bの組み付け時は、圧子51bはフランジ部92の欠損部92aの位置に配置され、第1円環溝93の他端部93a及び第2円環溝95の他端部95aに圧子51bの中心軸が位置する。次に、組み付け者は、圧子51bの中心軸を、第1円環溝93の一端部93c及び第2円環溝95の一端部95b方向に移動させ、弾性保持部94を乗り越えさせる。そして、圧子51bの中心軸を、第1円環溝93における弾性保持部94を乗り越えた直後の位置93bと、第2円環溝95の一端部95bに位置させる。この状態が図11に示されており、印字装置1の工場出荷時において、圧子51bによりチューブ部材51aが圧縮されていない状態とするものである。すなわち、印字装置1が工場出荷後、販売されて実際に使用されるまでにどれくらいの時間が経過するか不明であるが、可撓性のチューブ部材51aが、圧子51bによって長い間圧搾状態にあると、チューブ部材51aが永久変形してしまい不都合である。そこで、工場出荷時においては、圧子51bがチューブ部材51aを圧搾していない状態とする。そして、印字装置1の実際の使用時においては、ロータ51cが矢印r2の方向に回転した場合に圧子51bに作用する、チューブ部材51aとの当接による抵抗力により、圧子51bの中心軸が、第5突起99に当接して矢印r2方向に回転するようになるのである。
【0090】
ポンプギヤ90にはまた、フランジ部92と反対側に突出した第1突起97及び第2突起98を備えている。
【0091】
合成樹脂により一体に形成されたカムギヤ58は、外周に歯車58aが形成されており、全周のうちの一部に欠損部58bが設けられている。歯車58aは、ロータ51cのポンプギヤ90と歯車のピッチ円半径が同じに構成されている。また、カムギヤ58には、前記第1突起97と当接可能な第3突起58dと、前記第2突起98と当接可能な第4突起58eとが設けられ、その裏側には、ワイパ部材65を駆動するためのカム溝58cが設けられている。カム溝58cには、ノッチ58kが設けられている。
【0092】
カムギヤ58にはまた、その回転方向についての原点を検知するための凹部58fが形成されており、その凹部58fの両端には、比較的緩やかなスロープ状に形成された第1エッジ58gと、比較的急峻に形成された第2エッジ58hとを有している。
【0093】
ロータ51cとカムギヤ58とは、それぞれ、第1突起97及び第2突起98が設けられた面と、第3突起58d及び第4突起58eが設けられた面とが向き合うように重ね合わせられる。そして、歯車58aとポンプギヤ90とは、遊星ギヤ59と当接された場合に、当該遊星ギヤ59と同時または交互に噛み合うことができるように、同軸に軸支される。
【0094】
図12ないし図14は、ワイパ部材65の概略構成を示す図である。ワイパ部材65は、ゴムブレード65aと、ブレードホルダー65fとから構成される。
【0095】
ゴムブレード65aは、比較的厚肉の本体部65dの一端に、比較的薄肉の薄肉部65bを接続した、一体の板状合成ゴム部材からなる。薄肉部65bの先端は、尖鋭に形成された先端部65cを有している。
【0096】
薄肉部65bの一側面は、本体部65dの一側面と面一に構成され、その面には、溝65eが形成されている。この溝65eは、先端部65cから数ミリほど本体部65d側に下がった地点から、本体部65d側に、鉛直線と平行に多数形成されている。また、本体部65dには、ブレードホルダー65fに取り付けて保持するための取付孔65sが形成されている。
【0097】
ブレードホルダー65fは、互いに平行に対峙した後面壁65g及び前面壁65hと、その下方に形成された回転軸65kと、その回転軸65kの下方に設けられたアクチュエータ65mとからなる。
【0098】
ゴムブレード65aは、前記一側面が前面壁65hと対向するような方向で後面壁65gと前面壁65hとの間に挿入される。そして、前面壁65hから後面壁65gに突出した係止部65tが取付孔65sに挿入されることにより、ゴムブレード65aがブレードホルダー65fに保持される。
【0099】
前面壁65hの高さは、後面壁65gよりも若干高く、かつゴムブレード65aを挟持した場合に、少なくとも先端部65cから1ミリ以上薄肉部65bが突出するように構成されている。前面壁65hとゴムブレード65aとが接する部分には、インクが毛管現象にて保持され、かつ下に漏れ出ない程度に形成されてたインク保持部65vが構成されている。このインク保持部65vは、インクが毛管現象にて保持され、かつ下に漏れ出ない程度の、前面壁65hとゴムブレード65aとの隙間から構成され、より好ましくは、インクを吸収可能な多孔質体(例えば、活性炭やスポンジなど)や、1枚以上のフィルム部材が間に挟まれていてもよい。
【0100】
前面壁65hにおける前記後面壁65gの反対側には、フック65pが形成されており、このフック65pには、ばね66の一端が取り付けられ、ばね66の他端はポンプユニットフレーム55に取り付けられている。よって、フック65pがばね66によって引っ張られることにより、ワイパ部材65の回転軸65kより上(先端部65c側)はばね66による引っ張り方向に付勢される。アクチュエータ65mは、ポンプユニットフレーム55に回動可能に軸支される回転軸65kを挟んでフック65pの反対側に設けられており、ばね66によるフック65pの引っ張り方向と反対方向に付勢されることになる。
【0101】
ワイパ部材65は、カム溝58cと、リンク64の一端部のピン64aとの作用により、図20に示す往復運動の往路始端・復路終端位置と、図19に示す往復運動の往路終端・復路始端位置との間で往復揺動される。
【0102】
ワイパ部材65の動作は、詳細は後述するが、カムギヤ58に設けられたカム溝58cにより駆動される。そして、カムギヤ58の回転によりカム溝58cが回転し、このカム溝58cによってリンク64が揺動され、このリンク64の揺動がアクチュエータ65mに伝達されることにより、ワイパ部材65が回転軸65kを中心に往復揺動する。図15において、リンク64の一端部に設けられたピン64aが、カム溝58cにおけるカムギヤ58の回転中心軸と同軸の円弧状の部分と係合している場合、及びカムギヤ58の歯車欠損部91が遊星ギヤ59と対面した場合には、ワイパ部材65は停止する。また、リンク64の一端部に設けられたピン64aが、カム溝58cにおける前記中心軸方向に近づいた場合には、ワイパ部材65は、その先端部65cが図中右方向に移動するように駆動される。
【0103】
すなわち、図10に示すように、カム溝58cは、(ア)ないし(キ)の7つの部分に分けられる。カム溝58cは、カムギヤ58の回転中心軸から遠ざかる程、図18(a)のような左側(往路始端・復路終端側)にワイパ部材65を動かし、カムギヤ58の回転中心軸に近づく程、図18(b)のような右側(往路終端・復路始端側)にワイパ部材65を動かす。
【0104】
(ア)は、カムギヤ58の回転中心軸と同軸状に設けられた比較的長い円弧状の部分であって、カムギヤ58の外周寄りに設けられた部分である。この部分にピン64aが係合した場合、カムギヤ58が矢印r2方向に回転しても、ピン64aとカムギヤ58aの回転中心軸との位置関係は変化しないので、ワイパ部材65aは待機位置で停止している。
【0105】
(イ)は、(ア)の端部から回転中心軸方向に入っていく部分である。この部分にピン64aが係合した場合、カムギヤ58が矢印r2方向に回転すると、ピン64aがカムギヤ58aの回転中心軸に近づき、図18(b)のような右側(往路終端・復路始端側)にワイパ部材65を動かす。
【0106】
(ウ)は、回転中心軸に最も近づいた比較的短い部分であって、回転中心軸と同軸状部分である。この部分にピン64aが係合した場合、カムギヤ58が矢印r2方向に回転しても、ピン64aとカムギヤ58aの回転中心軸との位置関係は変化しないので、ワイパ部材65aは停止している。
【0107】
(エ)は、回転中心軸に最も近づいた(ウ)から、回転中心軸から最も離れた(オ)までを結ぶ部分であり、最もワイパ部材65の動きが大きい。この部分にピン64aが係合した場合、カムギヤ58が矢印r2方向に回転すると、ピン64aがカムギヤ58aの回転中心軸から離れるので、図18(a)のような左側(往路始端・復路終端側)にワイパ部材65を動かす。
【0108】
(オ)は、回転中心軸から最も離れた部分であって、回転中心軸と同軸状の比較的短い部分である。この部分にピン64aが係合した場合、カムギヤ58が矢印r2方向に回転しても、ピン64aとカムギヤ58aの回転中心軸との位置関係は変化しないので、ワイパ部材65aは停止している。
【0109】
(カ)は、(オ)の端部から回転中心軸に近づくように設けられた部分である。この部分にピン64aが係合した場合、カムギヤ58が矢印r2方向に回転すると、ピン64aがカムギヤ58aの回転中心軸に近づき、図18(b)のような右側(往路終端・復路始端側)にワイパ部材65を動かす。
【0110】
(キ)は、(カ)の端部から外周方向に移動して(ア)の端部に接続する部分である。この部分にピン64aが係合した場合、カムギヤ58が矢印r2方向に回転すると、ピン64aがカムギヤ58aの回転中心軸から離れるので、図18(a)のような左側(往路始端・復路終端側)にワイパ部材65を動かす。
【0111】
また、図15に示すように、カム溝58cには、リンク64の一端部に設けられたピン64aが係合しており、リンク64の他端部64bには、アクチュエータ65mが係合している。
【0112】
また、ワイパ部材65の往復運動の往路始端・復路終端位置に対応して、ゴムブレード65aの先端部65cに付着したインクをクリーニングするためのブレードクリーナー67が配置されている。なお、図15に示したように、ワイパ部材65の往復運動における往路途中で、ゴムブレード65aの先端部65cがブレードクリーナー67を超えた直後の位置を、「待機位置」と称する。
【0113】
そして、図18に示すように、ワイパ部材65の状態が待機位置(a)から往路終端(b)に至るまでに、ワイパ部材65における先端部65cによって、インクジェットヘッド40のノズル面が払拭される。これにより、インクジェットヘッド40のノズル面に付着していたインクは、ゴムブレード65aの先端部65c付近で前面壁65h側の面に、図18(b)に示すように付着する。この付着したインクは、溝65eにより、ゴムブレード65aと前面壁65hとの隙間部分に移動してインク保持部65vにより毛管現象により当該部分に保持される。これにより、先端部65cにおける付着インク量は、払拭直後と比して少なくなる。
【0114】
また、ワイパ部材65における後面壁65gの高さや、薄肉部65bの厚さ及び長さは、インクジェットヘッド40のノズル面を払拭する際のノズル面に対する当接力を適切に調整すべく、適宜の寸法に設定される。さらに、前面壁65hの高さは、ノズル面に干渉せず、且つ先端部65cに付着したインクが迅速にインク保持部65vに移動することができるような適宜寸法に設定される。
【0115】
さらに、図18(b)に示すように、ワイパ部材65が2点鎖線の待機位置から実線の往路終端まで動く際に、ゴムブレード65aの薄肉部65bは、インクジェットヘッド40のノズル面との接触中に撓む。これにより、前面壁65hと薄肉部65bとの間が開口し、前面壁65hの先端付近において保持されていたインクが下方に移行可能となる。
【0116】
そして、ブレード部材65は、図21に示すように、その先端部65cがブレードクリーナー67によりクリーニングされる。
【0117】
ブレードクリーナー67は、その内側(図中下側)面が水平面に対して斜面を構成する天板67aと、その天板67aと接続する鉛直面である背面板67cと、背面板67cの下部に設けられた箱状の支持部67dとから構成されている。そして、天板67aの先端部、すなわち図中右端には、図中下側に突起した突起部67bが設けられている。突起部67bは、その先端が尖鋭に形成されている。このブレードクリーナー67は、合成樹脂により一体に形成されている。
【0118】
インクジェットヘッド40のノズル面払拭直後において図18(b)のように付着していたインク(誇張して表現している)が、溝65eにより、前面壁65hとゴムブレード65aの間のインク保持部65vに毛管現象により吸収されたとしても、図21(a)の状態において、ゴムブレード65aの先端部65c付近のインクが付着していた面は、インクによって濡れている。そこで、このインクが濡れている面を、図21(b)に示すように、ブレードクリーナー67の内側先端の突起部67bと当接して摺動することにより、ゴムブレード65aの先端部65cにわずかに付着していたインクをクリーニングする。このクリーニングされたインクは、ゴムブレード65aの先端部65cの移動方向と反対方向に下がった斜面を構成する天板部67aの内側面を伝って下方に移動し、背面板67cを介して支持部67dに至る。
【0119】
なお、支持部67dには、図21に示すとおり、開口部67fが設けられており、流入してきたインクを当該開口部67fから下方の図示しないインク吸収体に向けて流出させるように構成されているが、当該支持部67dの内側にウレタンフォームなどのインク吸収体を備えてもよい。
【0120】
以下、ワイパ部材65とバッファパージポンプ51の動作について、詳細に説明する。
【0121】
図15ないし図28は、バッファパージポンプ51、カムギヤ58、及びワイパ部材の1サイクルの動作を説明するための図である。
【0122】
図15における位置をポジション(0)とする。ポジション(0)においては、遊星ギヤ59にはカムギヤ58の歯車58aが噛み合っており、ポンプギヤ90については、その歯車欠損部91が遊星ギヤ59と対面しているためポンプギヤ90は遊星ギヤ59とは噛み合っていない。また、リンク64の一端部に設けられたピン64aは、カムギヤ58のカム溝58cにおける、ギヤ中心と同心の円弧状部分の途中に係合している。したがって、このポジション(0)において、遊星ギヤ59が図中矢印方向に回転しても、カムギヤ58が図中時計回りに回転するのみであって、ポンプギヤ90は回転しないからロータ51c及び圧子51bが回転せず、よってバッファパージポンプ51は停止状態(チューブ部材51aを閉塞してバッファパージチューブ50にインク流が発生していない状態)となる。また、ピン64aはカム溝58cにおける(ア)の部分に係合しているので、ワイパ部材65も待機位置で停止している。
【0123】
ポジション(0)においては、インクジェットヘッド40がワイパ部材65上を移動してもワイパ部材65とインクジェットヘッド40とは接触しない。そして、ワイプするときには、インクジェットヘッド40をワイプ位置に移動して、インクジェットヘッド40がワイパ部材65によりワイピング可能に設定される。
【0124】
ポジション(0)から、遊星ギヤ59を介してカムギヤ58が19.06度回転した状態が、図16及び図17に示すポジション(1)であり、この際、原点センサ47のアクチュエータは第2エッジ58hと当接し、カムギヤ58の原点を検出する。この状態でも、ポンプギヤ90には遊星ギヤ59の駆動力は伝達されず、ポンプギヤ90は停止しており、したがってバッファパージポンプ51は停止状態である。また、図17を図15と比較しても明らかなように、リンク64の一端部に設けられたピン64aは、カムギヤ58のカム溝58cにおける、ギヤ中心と同心の円弧状部分の途中に係合した状態が継続している。したがって、ワイパ部材65は待機位置のままである。
【0125】
ポジション(1)からカムギヤ58が62.73度回転した状態が、図19に示すポジション(2)である。ポジション(1)からポジション(2)にわたって、遊星ギヤ59の回転駆動によりカムギヤ58のみが回転し、ポンプギヤ90は停止した状態を継続している。この際、図17に示すポジション(1)の状態から図19に示すポジション(2)の状態にわたって、ピン64aは、カムギヤ58の中心軸方向に近づいているカム溝58cの部分(イ)に係合する。したがって、カム溝58cと係合しているリンク64の一端部に設けられたピン64aが前記中心軸に近づき、リンク64の他端部64bが図中左側に揺動される。これにより、ワイパ部材65は、その先端部65cが、待機位置からワイパ往復運動における往路終端まで揺動する。
【0126】
ここで、図18に示すように、ワイパ部材65の状態が待機位置(a)から往路終端(b)に至るまでに、ワイパ部材65における先端部65cによって、インクジェットヘッド40のノズル面が払拭される。これにより、インクジェットヘッド40のノズル面に付着していたインクは、ゴムブレード65aの先端部65c付近で前面壁65h側の面に、図18(b)に示すように付着する。この付着したインクは、溝65eにより、ゴムブレード65aと前面壁65hとの間のインク保持部65vに移動して毛管現象により当該部分に保持される。
【0127】
そして、ポジション(2)においては、ピン64aは、カム溝58cの(ウ)の部分に係合している。このカム溝58cの(ウ)の部分は、カムギヤ58の回転中心軸に最も近づいた位置にあり、且つこの回転中心軸と同軸状の円弧部分であるので、ワイパ部材65を往路終端・復路始端位置で安定的に保持できる。ここでは、後述するように、インク供給モータ88aを一度停止させ、インクジェットヘッド40を、ワイパ部材65が往復運動しても先端部65cに触れないように退避させる制御を行うことができる。
【0128】
ポジション(2)からカムギヤ58が71.59度(原点であるポジション(1)より134.32度)回転した状態が、図20に示すポジション(3)である。ポジション(2)からポジション(3)にわたって、遊星ギヤ59の回転駆動によりカムギヤ58のみが回転し、ポンプギヤ90は停止した状態を継続している。この際、図19に示すポジション(2)の状態から図20に示すポジション(3)の状態にわたって、ピン64aは、カムギヤ58の中心軸から遠ざかるカム溝58cの部分(エ)に係合する。したがって、カム溝58cと係合しているリンク64の一端部に設けられたピン64aが前記中心軸から遠ざかり、リンク64の他端部64bが図中右側に揺動される。これにより、ワイパ部材65は、その先端部65cが、往路終端・復路始端位置から復路終端まで揺動する。
【0129】
このとき、ゴムブレード65aのノズル面と接触していない面が、ブレードクリーナー67の天板部67aにおける突起部67bと接触しつつ、これを乗り越えて、図20に示すポジション(3)の状態に至る。
【0130】
そして、ポジション(3)においては、ピン64aは、カム溝58cの(オ)の部分に係合している。このカム溝58cの(オ)の部分は、カムギヤ58の回転中心軸から最も遠ざかった位置にあり、且つこの回転中心軸と同軸状の円弧部分であるので、ワイパ部材65を復路終端位置で安定的に保持できる。また、この状態は、ワイパ部材65がブレードクリーナー67に当接している。ここで、ゴムブレード65aのノズル面と接触していない面が、ブレードクリーナー67に接触した状態を保持している。
【0131】
ポジション(3)からカムギヤ58が54.55度(原点から188.87度)回転した状態が、図22に示す状態である。この状態においては、ブレード部材65は、ピン64aがカム溝58cの(カ)の部分に係合することにより、往復運動における往路側に若干移動している。この間に、ブレード部材65は、図21に示すように、ノズル面と接触した先端部65cの面がブレードクリーナー67によりクリーニングされる。
【0132】
ここで、図21(b)における実線で示した状態から、インクジェットヘッド40のノズル面の払拭を終えた2点鎖線の状態に至る際に、ゴムブレード65aの薄肉部65bが、実線のような撓んだ状態から弾性的に復元するが、この際、ゴムブレード65aと前面壁65hとの間のインク保持部65vにインク保持可能な多孔質体やフィルムなど挿入物を有すれば、当該隙間に保持されたインクが上記弾性復元の際に飛び散ることがない。
【0133】
また、図22に示す状態においては、遊星ギヤ59の回転駆動によって時計回りに回転するカムギヤ58の第3突起58dが、これまで停止していたポンプギヤ90(ロータ51c)の第1突起97と当接し、これ以降、遊星ギヤ59の駆動力は、カムギヤ58のみならず、カムギヤ58の第3突起58dが第1突起97を当接してこれを付勢することにより、ポンプギヤ90(ロータ51c)にも回転駆動力が伝達される。すなわち、カムギヤ58とポンプギヤ90(ロータ51c)とが連れ回りする。これにより、圧子51bが図中時計回りに回転し始めるので、バッファパージポンプ51は、バッファタンク20からサブタンク12に向けたインク流を、バッファパージチューブ50に発生させ始める。
【0134】
図22における状態から、カムギヤ58とポンプギヤ90(ロータ51c)とが遊星ギヤ59の駆動力により8.87度(原点から延べ197.74度)回転した状態が、図23に示すポジション(4)である。図22に示す状態から図23に示すポジション(4)の状態に至るまでに、カムギヤ58とポンプギヤ90(ロータ51c)とが連れ回りする。すなわち、バッファパージポンプ51が作動するとともに、カム溝58cの回転により、リンク64の一端部に設けられたピン64aが、カムギヤ58の回転中心軸方向に若干移動する。これにより、ワイパ部材65は、その先端部65cの図中右方向の移動(往路)が完了し、ワイパクリーニングが完了する。
【0135】
ポジション(4)からカムギヤ58とポンプギヤ90(ロータ51c)とが遊星ギヤ59の駆動力により81.58度(原点より延べ279.32度)回転した状態が、図24に示す状態である。ポジション(4)から図24に示す状態に至る間に、カムギヤ58とポンプギヤ90(ロータ51c)の双方が遊星ギヤと噛み合って連れ回りするとともに、ワイパ部材65が待機位置に復帰する。
【0136】
また、この図24に示す状態において、カムギヤ58の欠損部58bが遊星ギヤ59に対面する。これに対し、ポンプギヤ90は遊星ギヤ59と噛み合っている。よって、ポンプギヤ90(ロータ51c)は遊星ギヤ59の駆動力によって図中時計回りに回転を続け、ロータ51cの第1突起97もまた時計回りに回転する。これに対し、カムギヤ58に対する遊星ギヤ59の駆動力伝達がなくなり、カムギヤ58は図中時計回りに回転しなくなるので、カムギヤ58の第3突起58dは図中時計回りに回転しない。よって、これ以降、バッファパージポンプ51のみが作動し続ける。
【0137】
図24に示す、カムギヤ58が遊星ギヤ59との噛み合いから外れた状態からカムギヤ58が2.5度程回転した状態が、図25に示す状態である。図25に示すように、ワイパ部材65は、ばね66(図7参照)により、矢印g1方向に付勢されている。そして、この付勢力は、回転軸65kにより、アクチュエータ65mの矢印g2方向の付勢力に変換される。これにより、リンク64の一端部に設けられたピン64aには、矢印g3方向の付勢力が働き、ピン64aはカム溝58cの内側に沿って動く。
【0138】
ここで、ワイパ部材65を待機位置に位置させるために、カム溝58cの円弧状部分(ア)の一部には、V字形切り欠き部であるノッチ58kが設けられている。そして、図25に示す状態において、カム溝58cのノッチ58kにピン64aが係合することにより、カムギヤ58の回転が確実に停止されるとともに、カムギヤ58の振動が抑えられる。
【0139】
そして、図24の状態から図25の状態への変化は、図24に示す状態(図37(b)参照)において、ノッチ58kのV字形切り欠き部の斜面に対してピン64aが付勢力により当接することによって、ピン64aに対してノッチ58kのV字形切り欠き部の中心が係合しようとする作用によるものである。
【0140】
図24に示す状態から遊星ギヤ59の駆動力によりポンプギヤ90が245.45度(原点より延べ524.77度)回転した状態が、図26に示す状態である。図25に示す状態から図26に示す状態に至るまでは、ポンプギヤ90のみに遊星ギヤ59の回転駆動力が与えられ、バッファパージポンプ51のみが動作する。
【0141】
そして、図24に示す状態以降、カムギヤ58は停止し、したがって第3突起58d、第4突起58eもまた停止している。一方、ポンプギヤ90(ロータ51c)は回転し、したがって第1突起97、第2突起98もまた回転している。よって、図24に示した状態以降、第3突起58dと第1突起97との当接が解除され、両者は離れる。そして、ポンプギヤ90(ロータ51c)の回転とともに回転している第2突起98は、図26に示す状態において、カムギヤ58の第4突起58eと当接する。この図26に示す状態以降は、第2突起98が第4突起58eを付勢することにより、カムギヤ58には、ポンプギヤ90(ロータ51c)に対して与えられる遊星ギヤ59の回転駆動力が与えられ、ポンプギヤ90(ロータ51c)とカムギヤ58とは連れ回りする。
【0142】
図26に示す状態から遊星ギヤ59の駆動力によりカムギヤ58とポンプギヤ90(ロータ51c)とが24.1度(原点より延べ548.87度)回転した状態が、図27に示す状態である。図26に示す状態から図27に示す状態に至るまでは、カムギヤ58は、その第4突起58eがポンプギヤ90(ロータ51c)の第2突起98に付勢されることにより、ポンプギヤ90とともに回転し、その間に、歯車58aが遊星ギヤ59に噛み合うに至る。ワイパ部材65は、カム溝58cの形状により、待機位置から移動しない。
【0143】
そして、図27に示す状態においては、ポンプギヤ90の歯車欠損部91が遊星ギヤ59と対面し、ポンプギヤ90と遊星ギヤ59との噛み合いが解除される。これ以降、ポンプギヤ90は回転せず、遊星ギヤ59と噛み合ったカムギヤ58のみが回転する。
【0144】
そして、図27に示す状態から遊星ギヤ59の駆動力によりカムギヤ58のみが56.58度(原点より605.45度)回転すると、原点であるポジション(1)に復帰する。
【0145】
このように、遊星ギヤ59の駆動力によるカムギヤ58とポンプギヤ90との延べ605.45度の間欠的な回転駆動により、ワイパ部材56とバッファパージポンプ51とが間欠的に駆動される。この様子を示したのが図28である。この図28の線図(a)から明らかなように、ポジション(1)からポジション(2)に至るワイピング動作の際には、バッファパージポンプ51が作動しない。これにより、適切なヘッド回復動作が可能となる。すなわち、ワイピング前及びワイピング中など、インクジェットヘッド40のノズル部分におけるインクの状態(メニスカス状態)が乱れている場合には、バッファパージポンプ51を停止させることにより、埃等で汚れたインクや気泡の混じったインクをインクジェットヘッド40のインク室内に吸い込むことがない。そして、ワイピングによりメニスカス状態が正常となってからバッファパージポンプ51を作動させる。
【0146】
図28における線図(b)は、ワイピング動作を行う場合の、モータ軸ギヤ56を備えたモータの駆動制御線図である。図示の如く、ポジション(1)からポジション(2)に至るまでにワイピングがなされる。そして、ポジション(2)でモータを一度停止させ、インクジェットヘッド40を退避させた後、モータを低速で駆動して、ワイパ部材65を、その先端部65cに付着したインクが飛散しないようにゆっくりと、ポジション(3)の位置へ移動させる。そして、ポジション(3)で一度停止させた後、低速でモータを駆動してワイパクリーニングを行う。ワイパクリーニングを終了したら、ポジション(4)以降、バッファパージポンプ51を作動させるためにモータ速度を若干上げる。そして、バッファパージポンプ51の作動が終了したら、モータ速度を低速にする。
【0147】
図28における線図(c)及び(d)は、ワイピング動作を行わない場合の、モータ軸ギヤ56を備えたモータの駆動制御線図である。
【0148】
線図(c)の場合は、吸引ポンプ63による吸引パージを行う場合であり、この後に線図(b)のワイピング動作が行われる。よって、線図(c)の場合は、ある程度バッファパージポンプ51を速く駆動してインク循環を速やかに行い、バッファパージポンプ51が速く駆動されることによりメニスカスが乱れても、続く吸引パージとワイピングにより改めて正常なメニスカスを形成することができる。よって、線図(c)の場合は、線図(b)や(d)の場合よりも、ポンプギヤ90の駆動時におけるモータ駆動速度が高めに設定されている。
【0149】
ワイパ部材65及びバッファパージポンプ51の詳細な動作は以上の通りであるが、以下、(1)ワイパ部材65とバッファパージポンプ51との間欠動作、及び(2)ワイパの往復動作について、個別にまとめて説明する。
【0150】
図29ないし図33は、ワイパ部材65とバッファパージポンプ51とを間欠動作させた状態を説明するための図である。
【0151】
図29(a)に示すように、ポジション(0)においては、カムギヤ58のみが駆動され得、ポンプギヤ90は駆動されない。この状態で、遊星ギヤ59の駆動力によりカムギヤ58のみが19.06度駆動され、図29(b)に示すポジション(1)に至り、原点検出される。ただし、ワイパ部材65は、カム溝58cの(ア)の部分がピン64aと係合しているので、待機位置に停止している。
【0152】
続いて、図30(a)に示すポジション(1)の状態から、さらに、遊星ギヤ59の駆動力により、カムギヤ58のみが188.87度駆動されると、図30(b)に示すように、カムギヤ58の第3突起58dがポンプギヤ90の第1突起87に当接する。
【0153】
図30(b)及び図31(a)に示すように、カムギヤ58の第3突起58dがポンプギヤ90の第1突起87に当接すると、カムギヤ58とポンプギヤ90とが連れ回りを開始する。そして、図31(a)に示す状態から、さらに遊星ギヤ59の駆動により、カムギヤ58とポンプギヤ90とが90.45度駆動されると、図31(b)に示すように、カムギヤ58と遊星ギヤ59との噛み合いが外れる。なお、この場合、ポンプギヤ90は遊星ギヤ59と噛み合わされている。
【0154】
図31(b)及び図32(a)に示すように、カムギヤ58と遊星ギヤ59との噛み合いが外れると、遊星ギヤ59と噛み合っているポンプギヤ90のみが回転可能となる。そして、図32(a)に示す状態から、さらに遊星ギヤ59の駆動力により、ポンプギヤ90のみが245.45度駆動されると、図32(b)に示すように、ポンプギヤ90の第2突起97が、カムギヤ58の第4突起58eと当接する。
【0155】
図32(b)及び図33(a)に示すように、ポンプギヤ90の第2突起97が、カムギヤ58の第4突起58eと当接すると、カムギヤ58とポンプギヤ90とが連れ回り、その間に再びカムギヤ58と遊星ギヤ59との噛み合いが復活する。そして、図33(a)に示す状態から、さらに遊星ギヤ59の駆動力によりカムギヤ58とポンプギヤ90とが24.1度駆動されると、図33(b)に示すように、ポンプギヤ90と遊星ギヤ59との噛み合いが外れ、カムギヤ58のみが回転可能となる。
【0156】
図34ないし図38は、ワイパ部材65の往復動作状態を説明するための図である。
【0157】
図34に示すように、ポジション(1)において、ワイパ部材65は、ピン64aがカム溝58cにおける(ア)の部分と係合することによって待機位置にあり、ここで原点が検出される。そして、カムギヤ58が原点から62.73度の回転角まで回転する間に、ピン64aがカム溝58cにおける(イ)の部分を通ることにより、ワイパ部材65が待機位置から図中右方向に移動し、ワイパ往復運動における往路終端であるポジション(2)に至る。この間に、ワイパ部材65によるインクジェットヘッド40のノズル面の払拭動作が行われる。ここで、図28の線図(b)に示すように、遊星ギヤ59の回転駆動が一旦停止し、インクジェットヘッド40が退避する。
【0158】
図35に示すように、インクジェットヘッド40が退避した後、カムギヤ58が再度駆動開始される。そして、カムギヤ58が原点から134.32度回転した状態に至るまで回転駆動される間に、ピン64aが、カム溝58cにおける(エ)の部分を通ることにより、ワイパ部材65が待機位置から図中左方向に移動する。そして、ピン64aが、カム溝58cにおける(オ)の部分に至ると、ワイパ部材65が、往復運動における復路終端、すなわち、ワイパ部材65の先端部65cがブレードクリーナー67の天板部67aまたは背面板67cの内側表面に接触する位置となる。これをワイパクリーニング待機位置という。
【0159】
図36に示すように、ワイパクリーニング待機状態から、遊星ギヤ59の回転駆動によりカムギヤ58が回転駆動され、カムギヤ58が原点から197.74度回転した状態に至るまでに、ピン64aがカム溝58cにおける(カ)の部分を通ることにより、ワイパ部材65がワイパクリーニング待機位置から図中右方向に移動し、ブレードクリーナー67によるワイパクリーニングが行われ、ワイパ部材65は、ポジション(4)のようにワイパクリーニング終了位置となる。
【0160】
図37に示すように、ポジション(4)からさらに遊星ギヤ59の回転駆動によりカムギヤ58が回転駆動されると、ピン64aが、カム溝58cにおける(キ)の部分を通ることにより、ワイパ部材65が図中左方向に移動する。そして、ピン64aが、カム溝58cにおける(ア)の部分に至ると、ワイパ部材65は待機位置に復帰する。そして、カムギヤ58が原点から279.32度回転した状態に至ると、カムギヤ58が遊星ギヤ59との噛み合いから外れ、駆動力のかからないフリーな状態となるとともに、ノッチ58kのV字型の斜面とピン64aとが付勢力をもって当接し、図38(b)に示すように、この付勢力をもってカムギヤ58が若干回転し、ノッチ58kとピン64aとが係合した状態となる。これにより、ポンプギヤ90の回転駆動に伴って、カムギヤ58が潤滑油の粘性抵抗等の要因による予期しない連れ回りが発生せず、かつフリーな状態のカムギヤ58がモータ駆動に伴う振動によって振動しないようにすることができる。
【0161】
なお、本発明は、上述した実施の形態や実施例に何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変形が可能である。また、各構成要素については、実施の形態や実施例に記述したものに限らず、その均等物に適宜置き換えることも可能である。
【0162】
例えば、図1においては、被記録媒体たる記録用紙Pを略水平に搬送しつつ、インクジェットヘッド40によりインクを下方に向けて吐出するように構成したが、これに限らず、バッファタンク20やマニホールド30、インクジェットヘッド40の上下の位置関係が保たれていれば、インク吐出方向は限定されない。
【0163】
また、図1においては、インクジェットヘッド40は、ブラックインクを吐出するブラック用ヘッド41と、イエローインクを吐出するイエロー用ヘッド42と、シアンインクを吐出するシアン用ヘッド43と、マゼンタインクを吐出するマゼンタ用ヘッド44とが備えられた4色構成となっていたが、図1におけるインクジェットヘッド40の概略形状をそのままに、3色、2色、または1色構成としてもよい。
【0164】
また、印字装置1の印字方法としては、様々な方法が採られうる。例えば、記録用紙Pに対してキャリッジ4の矢印F7、F8方向の走査によりインクジェットヘッド40を矢印F7、F8方向に走査して行単位で印字した後、矢印F2方向に所定量送り、再びインクジェットヘッド40を矢印F7、F8方向に走査して行単位で印字する方法を採ってもよい。また、キャリッジ4を所望の位置に移動させた後、キャリッジ4を走査させずに記録用紙Pのみを矢印F2方向に移動させながら印字する方法を採ってもよい。
【0165】
また、図1においては、ワイパ部材65の設置方向は、キャリッジ4の移動方向と垂直な方向となっているが、キャリッジ4の移動方向と平行であってもよい。
【0166】
また、ワイパ部材65の設置方向は、インクジェットヘッド40におけるノズルの配列方向と平行でもよいし、所定角度で交差する方向であってもよいし、垂直であってもよい。
【0167】
また、インクジェットヘッド40とワイパ部材65との間の相対移動は、図1に示したような、プラテンローラ2の逆転によるカム62の回転によりワイパ部材65が矢印F4方向に移動するように行われてもよい。また、インクジェットヘッド40を搭載するキャリッジ4に、インクジェットヘッド40を前後に揺動する機構を設け、ポンプユニットフレーム55に対してインクジェットヘッド40が近づいたり遠ざかったりするように構成してもよい。
【0168】
【発明の効果】
上記説明から明らかなように、請求項1に記載の印字装置によれば、ワイピングによりワイパ先端部に付着したインクが、ワイパとワイパ支持部材との隙間に保持されるので、ワイパ先端部の状態を良好に維持することができ、確実に印字不具合を防止できる印字装置及びインクジェットヘッド回復方法を提供することができるという効果を奏する。さらに、ワイパの動作を確実に行うことができるという効果がある。
【0169】
請求項2に記載の印字装置によれば、請求項1に記載の印字装置の奏する効果に加え、さらに、ワイピングによりワイパ先端部に付着したインクが、ワイパとワイパ支持部材との隙間にすみやかに保持されるという効果がある。
【0170】
請求項3に記載の印字装置によれば、請求項1または2に記載の印字装置の奏する効果に加え、さらに、ワイパとワイパ支持部材との隙間に貯留されたインクが、ワイパの動作により飛び散ったり下方に漏れだしたりすることがないという効果がある。
【0171】
請求項4に記載の印字装置によれば、請求項1ないし3のいずれかに記載の印字装置の奏する効果に加え、さらに、ワイパ先端のノズル面に対する当接開始時において当接を穏やかに行うことができるので、インクの飛び散りや先端摩耗が少なくなるという効果がある。
【0172】
請求項5に記載の印字装置によれば、請求項1ないし4のいずれかに記載の印字装置の奏する効果に加え、さらに、ワイピングによりワイパ先端部に付着したインクが、ワイパとワイパ支持部材との隙間に、よりすみやかに保持されるという効果がある。
【0173】
【0174】
請求項6に記載の印字装置によれば、請求項1ないし5のいずれかに記載の印字装置の奏する効果に加え、さらに、インクジェットヘッドのノズル面に誤ってワイパ先端の付着インクを塗りつけてしまうことがなく、ノズル面を常に清浄に保つことができるという効果がある。
【0175】
請求項7に記載の印字装置によれば、請求項6に記載の印字装置の奏する効果に加え、さらに、クリーニング機構は、ワイパの往復運動の往路においてインクジェットヘッドのノズル形成面を拭ったワイパを、その往復運動における復路終端側においてクリーニングするので、ワイパとワイパ支持部材との隙間に保持されるインク量を抑えることができるという効果がある。
【0176】
請求項8に記載の印字装置によれば、請求項7に記載の印字装置の奏する効果に加え、さらに、前記クリーニング機構は、前記第3の動作中に前記ワイパの前記先端と当接することにより、前記先端をクリーニングするので、ワイパとワイパ支持部材との隙間に保持されるインク量を簡易な構成で確実に抑えることができるという効果がある。
【0177】
請求項9に記載の印字装置によれば、請求項8に記載の印字装置の奏する効果に加え、さらに、クリーニング部は、上述の第3の動作中にワイパ先端と当接して、このワイパ先端に付着したインクを除去し、インク除去部は、クリーニング部に付着されたインクを、当該クリーニング部から除去するので、ワイパとワイパ支持部材との隙間に保持されるインク量を有効に抑えることができるという効果がある。
【0178】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の記録装置の内部構造の一部を取り出して示す説明図である。
【図2】図1に示す記録装置の制御系を示すブロック図である。
【図3】インクジェット記録装置のインク流路の概略構成図である。
【図4】インクジェットヘッド、マニホールド、バッファタンク部分の縦断面図である。
【図5】図5の要部拡大図である。
【図6】パージングおよびパージング後フラッシングの制御内容を示すフローチャートである。
【図7】インクジェット記録装置におけるインク流路をユニット化した実施例の概略構成図である。
【図8】バッファパージポンプの概略構成を示す図である。
【図9】バッファパージポンプの概略構成を示す図である。
【図10】バッファパージポンプの概略構成を示す図である。
【図11】バッファパージポンプの概略構成を示す図である。
【図12】ブレード部材の概略構成を示す図である。
【図13】ブレード部材の概略構成を示す図である。
【図14】ブレード部材の概略構成を示す図である。
【図15】実施例においてバッファパージポンプとワイパの動作を示す図である。
【図16】実施例においてバッファパージポンプとワイパの動作を示す図である。
【図17】実施例においてバッファパージポンプとワイパの動作を示す図である。
【図18】実施例においてバッファパージポンプとワイパの動作を示す図である。
【図19】実施例においてバッファパージポンプとワイパの動作を示す図である。
【図20】実施例においてバッファパージポンプとワイパの動作を示す図である。
【図21】実施例においてバッファパージポンプとワイパの動作を示す図である。
【図22】実施例においてバッファパージポンプとワイパの動作を示す図である。
【図23】実施例においてバッファパージポンプとワイパの動作を示す図である。
【図24】実施例においてバッファパージポンプとワイパの動作を示す図である。
【図25】実施例においてバッファパージポンプとワイパの動作を示す図である。
【図26】実施例においてバッファパージポンプとワイパの動作を示す図である。
【図27】実施例においてバッファパージポンプとワイパの動作を示す図である。
【図28】実施例においてバッファパージポンプとワイパの動作を示す図である。
【図29】実施例においてバッファパージポンプとワイパの動作を示す図である。
【図30】実施例においてバッファパージポンプとワイパの動作を示す図である。
【図31】実施例においてバッファパージポンプとワイパの動作を示す図である。
【図32】実施例においてバッファパージポンプとワイパの動作を示す図である。
【図33】実施例においてバッファパージポンプとワイパの動作を示す図である。
【図34】実施例においてバッファパージポンプとワイパの動作を示す図である。
【図35】実施例においてバッファパージポンプとワイパの動作を示す図である。
【図36】実施例においてバッファパージポンプとワイパの動作を示す図である。
【図37】実施例においてバッファパージポンプとワイパの動作を示す図である。
【図38】実施例においてバッファパージポンプとワイパの動作を示す図である。
【符号の説明】
1 印字装置
9 ヘッドユニット
40 インクジェットヘッド
58 カムギヤ
58c カム溝
59 遊星ギヤ
64 リンク
65 ワイパ部材
65a ゴムブレード
65c 先端部
65e 溝
65f ブレードホルダー
65g 後面壁
65h 前面壁
65v インク保持部
67 ブレードクリーナー

Claims (9)

  1. 複数のインク室及び各インク室に対応した複数のノズルを有するインクジェットヘッドと、
    前記インクジェットヘッドの前記複数のノズルが形成された表面を清浄化する回復機構と、
    前記回復機構と前記インクジェットヘッドとを相対移動させる駆動機構とを備え、
    前記駆動機構は、前記ワイパを往復移動可能であるとともに、前記往復運動における復路終端より往路方向に変位した待機位置から、前記往復運動における往路終端へ移動する第1の動作と、前記ワイパを前記往路終端から前記復路終端まで移動する第2の動作と、前記ワイパを前記復路終端から前記待機位置に復帰する第3の動作を行い、
    前記回復機構は、
    可撓性を有し、その先端部において前記表面と接触しつつ前記相対移動することにより前記表面を拭うワイパと、
    前記駆動機構による前記インクジェットヘッドとの相対移動方向について前記ワイパを支持するワイパ支持部材と、
    前記ワイパによって前記表面から除去されたインクを、前記ワイパと前記ワイパ支持部材との隙間に貯留する貯留機構と、
    を備えたことを特徴とする印字装置。
  2. 前記貯留機構は、前記ワイパの先端部に付着したインクを前記隙間側に移行させるために、前記ワイパに設けられた溝を備えた請求項1に記載の印字装置。
  3. 前記貯留機構は、前記ワイパと前記ワイパ支持部材との間に介在させたインク貯留部材を備えた請求項1または2に記載の印字装置。
  4. 前記ワイパの先端部が前記表面を拭っている際の当該ワイパの撓み変形により、前記隙間の一部が開放されるように構成された請求項1ないし3のいずれかに記載の印字装置。
  5. 前記ワイパ支持部材は、前記ワイパの前記相対移動方向について離間し、前記ワイパを挟み込むように保持するように対向した一対の平面を有し、
    前記一対の平面のうち前記隙間を構成する一方は、他方の平面よりも前記ワイパの先端方向に突出して構成された請求項1ないし4のいずれかに記載の印字装置。
  6. 前記ワイパの往復運動における往路において、前記インクジェットヘッドの前記表面を前記ワイパの先端と当接可能な位置と、復路において、前記ワイパが前記インクジェットヘッドに当接しないように前記インクジェットヘッドを退避させる位置とに前記インクジェットヘッドの位置を調整するヘッド位置調整機構を備えた請求項1ないし5のいずれかに記載の印字装置。
  7. 前記往復運動の往路において前記インクジェットヘッドの前記表面を拭った前記ワイパを、当該ワイパによって拭われる際の前記表面の前記往復運動における復路側の端と、前記往復運動における前記復路終端と、の間においてクリーニングするクリーニング機構を備えた請求項6に記載の印字装置。
  8. 前記待機位置は、前記復路側の端と前記復路終端との間の位置し、
    前記クリーニング機構は、前記第3の動作中に前記ワイパの前記先端と当接することにより、前記先端をクリーニングする請求項7に記載の印字装置。
  9. 前記クリーニング機構は、前記第3の動作中に前記ワイパの前記先端と当接するクリーニング部と、前記クリーニング部に付着されたインクを除去するインク除去部とを備えた請求項8に記載の印字装置。
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