JP2004050674A - インクジェットプリンタ - Google Patents
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Abstract
【課題】インクのノズル内への吸い込みを防止して、ノズルの吐出不良を防止する。
【解決手段】インク吸引作業時にインクを吐出するノズルの吐出口を覆うように記録ヘッドに装着されるキャップ部材と、インク吸引作業後にキャップ部材内に大気を連通させる大気連通手段と、記録ヘッドの吐出口が設けられた一面をワイプするブレードとを備えるインクジェットプリンタである。インク背圧を制御する背圧制御手段を備える。背圧制御手段は、キャップ部材内への大気の連通が開始される前から記録ヘッドの一面のワイプが完了するまでの間、吐出口内へのインクの逆流を阻止するようにインク背圧を制御する。
【選択図】 図3
【解決手段】インク吸引作業時にインクを吐出するノズルの吐出口を覆うように記録ヘッドに装着されるキャップ部材と、インク吸引作業後にキャップ部材内に大気を連通させる大気連通手段と、記録ヘッドの吐出口が設けられた一面をワイプするブレードとを備えるインクジェットプリンタである。インク背圧を制御する背圧制御手段を備える。背圧制御手段は、キャップ部材内への大気の連通が開始される前から記録ヘッドの一面のワイプが完了するまでの間、吐出口内へのインクの逆流を阻止するようにインク背圧を制御する。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットプリンタに関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェットプリンタにおいては、記録ヘッドの一面(ノズル面)にインクを記録媒体に吐出する吐出口が備えられている。
この吐出口には、インクの粘度の増大や、吐出口内におけるインクの固化や、吐出口に連通するインクの流路内に発生した気泡又はごみ等に起因して、目詰まりが発生する。
【0003】
そこで、吐出口の目詰まりを回復させるために、所定のタイミングで記録ヘッドのクリーニング作業を行っている。
以下、記録ヘッドのクリーニング作業について図5を参照して説明する。ここで、図5は、従来のインクジェットプリンタにおいて行われる記録ヘッドのクリーニング作業の状態を説明するための模式図である。
【0004】
図5(a)に示すように、吸引キャップ531は、上端開口の容器状に形成されており、その底面中央にインク孔532が設けられている。また、吸引キャップ531の底面及び周壁によって形成された内部空間が、吸引されたインクが回収されるインク回収部533となっている。なお、インク孔532は、インク流路534によって吸引ポンプ535と連通されている。
そして、吸引キャップ531を記録ヘッド511の吐出口(図5(d)参照)512を覆うようにノズル面511aに装着した後、吸引ポンプ535を作動させて吸引キャップ531とノズル面511aとによって形成される空間内部を減圧させることにより、吸引キャップ531を介してノズル(図5(d)参照)513内に残留している気泡やノズル面511aに付着したごみ等をインクとともに吸引する。このとき、吸引されたインク(以下、「廃インク」という。)はインク回収部533内に一旦回収される(図5(b)参照)。
インクの吸引が完了すると、図5(c)に示すように、前記空間内部の圧力が負圧の状態となっているため、大気連通手段(図示略)を作動させて大気を連通させることで空間内部の圧力を大気圧に近づけた後、吸引キャップ531をノズル面511aから離間させるとともにインク回収部533内に回収された廃インクを吸引する。
その後、図5(d)に示すように、ブレード536によりノズル面511aをワイプしてこのノズル面511aに残留したインク滴を拭き取る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、吸引キャップを介してノズル内のインクを吸引することにより、吐出口から吸引された廃インクが泡立ってこの廃インクに気泡が生じる場合がある。そして、気泡を含んだ廃インクが吸引キャップ内に回収された際に、ノズル面には気泡を含んだ廃インクが付着することになる。
その後、大気連通手段を作動させて大気を連通させると、大気圧に近づこうとする前記空間内部と負圧の状態となっているノズル内との圧力差によって、ノズル面に付着している気泡を含んだ廃インクは吐出口を介してノズル内に吸い込まれてしまう。また、大気の連通後、吸引キャップをノズル面から離間させた場合にも、前記空間内部の圧力は大気圧に急激に近づいてしまうため、気泡を含んだ廃インクがノズル内に吸い込まれることになる。
この結果、ブレードによりノズル面をワイプすることで記録ヘッドのクリーニングが完了しても、ノズル内に吸い込まれた気泡を含んだ廃インクのために、その後のインク吐出動作におけるノズル欠や射出曲がり等のノズルの吐出不良を引き起こしてしまっていた。
【0006】
また、大気連通後におけるノズル内へのインクの吸い込み分を予め考慮して、インクの吸引時にインクを所定量よりも多めに吸引するようになっているが、この場合には、廃インク量が増大するためにインク回収部の容積を大きくする必要があり、結果として吸引キャップの小型化が困難となっていた。
【0007】
なお、特開昭57−95471号公報に開示の技術によれば、クリーニング動作時にノズル内のインクを加圧してノズルからインクを噴出させることで、ノズル内へのインクの吸い込みを防止するようになっている。しかしながら、この公報に開示された技術においては、インクタンク内のインクを記録ヘッドまで供給するポンプを駆動させることでノズル内のインクを加圧するため、構造が複雑になってコスト高を招いてしまうといった問題があった。
また、特公昭59−45161号公報に開示の技術によれば、ノズル面のワイピング時にノズル内のインクを加圧してインクをノズルから噴出させることで、ノズル内へのインクの吸い込みを防止するようになっている。ここで、インクを確実に噴出させるためには、通常時においてノズル内のインク液面が適切なメニスカスを形成した状態となっている必要がある。しかしながら、インクがノズル面に付着してノズル吐出口近傍にてインクが拡散した状態となると、ノズル内のインク液面が適切なメニスカスを形成できなくなってしまう。この場合には、インクを確実に噴出できずにインクがノズル内に逆流してしまう可能性があるため、インクのノズル内への吸い込みの防止を確実に行うことができなかった。
【0008】
本発明の課題は、インクのノズル内への吸い込みを防止でき、結果としてノズルの吐出不良を防止できるインクジェットプリンタを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、記録媒体に向けてインクを吐出するノズルの吐出口が設けられた記録ヘッドと、インク吸引作業時に前記吐出口を覆うように前記記録ヘッドに装着されるキャップ部材と、前記キャップ部材を介して前記吐出口からインクを吸引する吸引ポンプと、インク吸引作業後に前記記録ヘッドに前記キャップ部材が装着された状態で、前記キャップ部材内に大気を連通させる大気連通手段と、前記大気連通手段により前記キャップ部材内に大気を連通させた後に前記吐出口が設けられた一面をワイプするブレードとを備えるインクジェットプリンタにおいて、
インク背圧を制御する背圧制御手段を備え、
前記背圧制御手段は、前記キャップ部材内への大気の連通が開始される前から前記一面のワイプが完了するまでの間、前記吐出口内へのインクの逆流を阻止するようにインク背圧を制御することを特徴としている。
【0010】
ここで、インク背圧とは、吐出口内のインクに作用する圧力のことである。
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、インク吸引作業時にインクを吐出するノズルの吐出口を覆うように記録ヘッドに装着されるキャップ部材が備えられる。また、吸引ポンプによるインク吸引作業後に記録ヘッドにキャップ部材が装着された状態で、キャップ部材内に大気を連通させる大気連通手段が備えられる。そして、大気連通手段によりキャップ部材内に大気を連通させた後に吐出口が設けられた一面をワイプするブレードが備えられる。さらに、インク背圧を制御する背圧制御手段が備えられ、この背圧制御手段によって、キャップ部材内への大気の連通が開始される前から前記一面のワイプが完了するまでの間、吐出口内へのインクの逆流を阻止するようにインク背圧が制御される。すなわち、インク吸引作業後に大気連通手段によりキャップ部材内に大気が連通されることで、キャップ部材と記録ヘッドの一面とにより形成された空間内部の圧力が大気圧に近づくように加圧されることになるが、キャップ部材内への大気の連通が開始される前からブレードによる記録ヘッドの一面のワイプが完了するまでの間、背圧制御手段によって、吐出口内へのインクの逆流が阻止されるようにインク背圧が制御されるので、吐出口内の圧力が前記空間内部の圧力と略等しいか、この圧力よりも大きくされることになる。これにより、インク吸引作業において吸引されたインク(以下、「廃インク」という。)の滴が記録ヘッドの一面に付着しても、この一面に付着した廃インクが吐出口を介してノズル内に吸い込まれることが防止される。特に、吐出口からインクが吸引されることで廃インクが泡立った状態となって廃インクに気泡が含まれることになるが、この気泡を含んだ廃インクが記録ヘッドの一面に付着した場合であっても、前記一面に付着した気泡を含んだ廃インクが吐出口を介してノズル内に吸い込まれることはなくなる。
従って、気泡を含んだ廃インクのノズル内における固化等に起因して、その後のインク吐出動作において発生するノズル欠や射出曲がり等のノズルの吐出不良が防止されることになる。
また、キャップ部材内に大気が連通されても、廃インクがノズル内に吸い込まれないため、ノズル内への廃インクの吸い込み分を予め考慮してインクを所定量よりも多めに吸引する必要がなくなり、吸引される廃インク量が減少させられる。これにより、キャップ部材内の吸引されたインクが回収される部分の容積が小さくされて、キャップ部材の小型化が図られる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記記録ヘッドに供給されるインクを貯留するインク貯留部を備え、
前記背圧制御手段は、前記記録ヘッドに対する前記インク貯留部の相対的な高さを変更することでインク背圧を制御することを特徴としている。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、記録ヘッドに供給されるインクを貯留するインク貯留部が備えられる。そして、背圧制御手段によって、記録ヘッドに対するインク貯留部の相対的な高さが変更されることでインク背圧が制御される。すなわち、背圧制御手段によって、記録ヘッドに対するインク貯留部の高さが変更されるだけで、インク貯留部内のインクと記録ヘッドの一面との水頭差が利用されてインク背圧が制御される。具体的には、インク貯留部内のインク液面の高さが記録ヘッドの一面と同じ高さとされることでインク背圧はゼロとなり、前記インク液面の高さが前記一面より高くされることでインク背圧は正圧となり、前記インク液面の高さが前記一面より低くされることでインク背圧は負圧となる。従って、背圧制御手段の構造が簡略化されることとなりコストが低減される。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記背圧制御手段は、前記ブレードによる前記一面のワイプの完了後、インク背圧が所望の負圧となるようにインク背圧を制御することを特徴としている。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、背圧制御手段によって、ブレードによる一面のワイプの完了後、インク背圧が所望の負圧となるようにインク背圧が制御される。ここで、画像形成時において、確実且つ正確なインク吐出を行うためには、インク背圧が適度な負圧に保たれることが重要となっている。しかしながら、記録ヘッドのクリーニング時においては、キャップ部材内への大気の連通が開始される前から記録ヘッドの一面のワイプが完了するまでの間に、インク背圧が負圧となると、記録ヘッドの一面に付着した廃インクがノズル内へ吸い込まれてしまう。そこで、キャップ部材内への大気の連通が開始される前から記録ヘッドの一面のワイプが完了するまでの間は、吐出口内へのインクの逆流を阻止するようにインク背圧が制御されることで、例えばインク背圧が正圧となって前記一面に付着した廃インクのノズル内への吸い込みが防止されるようになっているが、インク背圧が正圧となることで吐出口からインクが滲み出てしまい前記一面にてインクが拡散してしまう虞がある。そのため、ブレードによる前記一面のワイプの完了後には、インク背圧が制御されることでインク背圧が所望の負圧となって吐出口からのインクの滲みが防止される。従って、記録ヘッドのクリーニングが確実に行われ、その後の画像形成において、確実且つ正確なインク吐出が行われることになる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明について、図面を用いて具体的な態様を説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
図1は、本発明が適用された一実施の形態のインクジェットプリンタの主要な構成を示す概略図であり、図2は、図1のインクジェットプリンタに備わる制御部の主要制御ブロック図である。
【0017】
図1に示すように、インクジェットプリンタ100は、記録ヘッド11を有するヘッド部1、中間タンク(インク貯留部)21を有するインク供給部2、吸引キャップ(キャップ部材)31と吸引ポンプ32と大気連通弁(大気連通手段)33とブレード34とを有するメンテナンスユニット3、制御部(図2参照)4を備えて構成される。また、図2に示すように、インク供給部2に設けられた中間タンクup/downモータ(以下、「中間タンクモータ」と略する。)22は制御部4と電気的に接続されており、この中間タンクモータ22及び制御部4によって、背圧制御手段が構成されている。
【0018】
インク供給部2は、中間タンク21及び中間タンクモータ22の他に、インクタンク23と、インク補給弁24と、中間タンクセンサ25と、遮光板26とを備えている。
【0019】
インクタンク23は、インクを貯蔵しており、インク流路27によって中間タンク21及びインク補給弁24に連通されている。
インク補給弁24は、中間タンク21とインクタンク23との間にてインクタンク23よりの位置に配設されている。そして、インク補給弁24は、制御部4の制御下で開閉されることでインクタンク23から中間タンク21に供給(補給)されるインク量を調節する。
【0020】
中間タンク21は、記録ヘッド11に供給されるインクを貯留する。また、中間タンク21の右側には、遮光板26が固定されている。
遮光板26は、中間タンク21が上下方向Aに移動する際に、中間タンクセンサ25のセンサ領域を遮光することで中間タンクセンサ25の受光量を変化させる。
【0021】
中間タンクモータ22は、制御部4の制御下で駆動することにより、図示しない駆動力伝動機構を介して中間タンク21を略垂直に上下方向Aに移動させる。例えば、中間タンクモータ22は、その駆動により所定方向に回転することで中間タンク21を上方向に移動させ、所定方向と逆に回転することで中間タンク21を下方向に移動させる。
【0022】
中間タンクセンサ25は、上下方向Aに移動する中間タンク21を検知するための光学式のセンサであり、遮光板26によって中間タンクセンサ25のセンサ領域の遮光又は非遮光が切り換えられることで、中間タンクセンサ25の受光量が変化して、これによりセンサ信号の出力状態を切り換える。すなわち、中間タンクセンサ25は、そのセンサ領域に遮光板26が存在する場合に中間タンク21を検知して制御部4に対してセンサ信号を出力し、センサ領域に遮光板26が存在しない場合に中間タンク21を検知せずに制御部4に対してセンサ信号を出力しない。
【0023】
この中間タンクセンサ25は、中間タンクup検知センサ251と、中間タンクdown検知センサ252とから構成されている。
これら中間タンクup検知センサ251及び中間タンクdown検知センサ252は、上から中間タンクup検知センサ251、中間タンクdown検知センサ252の順に互いに略上下に重なるように配設されている。
【0024】
中間タンクup検知センサ251は、中間タンク21の移動範囲の上端を検知する位置に配設されている。そして、中間タンクup検知センサ251は、中間タンクモータ22の駆動により上方向に移動する中間タンク21を検知してセンサ信号を制御部4に出力する。このとき、制御部4は中間タンクモータ22を制御してその駆動を停止させることにより、中間タンク21の上方向への移動を停止させる。つまり、中間タンクup検知センサ251のセンサ信号の出力状態が未出力から出力に変化した際の中間タンク21の位置が、中間タンク21の移動範囲の上端となる。
【0025】
中間タンクdown検知センサ252は、中間タンク21の移動範囲の下端を検知する位置に配設されている。そして、中間タンクdown検知センサ252は、中間タンクモータ22の駆動により下方向に移動する中間タンク21を検知してセンサ信号を制御部4に出力する。このとき、制御部4は中間タンクモータ22を制御してその駆動を停止させることにより、中間タンク21の下方向への移動を停止させる。つまり、中間タンクdown検知センサ252のセンサ信号の出力状態が未出力から出力に変化した際の中間タンク21の位置が、中間タンク21の移動範囲の下端となる。
【0026】
上記構成のインク供給部2は、インク供給路5によってヘッド部1に連通されている。
ヘッド部1は、記録ヘッド11の他に、キャリッジup/downモータ(以下、「キャリッジモータ」と略する。;図2参照)12と、キャリッジセンサ13と、遮光板14と、ダンパー15と、上流弁16とを備えている。
なお、ヘッド部1の構成要素のうち、記録ヘッド11、キャリッジモータ12、遮光板14、ダンパー15、上流弁16は、図示しないキャリッジに搭載されている。
【0027】
上流弁16は、中間タンク21と記録ヘッド11との間に設けられている。そして、上流弁16は、制御部4の制御下で開閉されることで中間タンク21から記録ヘッド11にインク供給路5を介して供給(補給)されるインク量を調節する。
ダンパー15は、上流弁16と記録ヘッド11との間に設けられており、後述する記録ヘッド11の上下方向Bへの移動や主走査方向への移動に伴って発生する振動や衝撃を減衰させたり緩衝させたりする。
【0028】
記録ヘッド11は、ノズル111と、吐出口112を備えている。
ノズル111は、記録ヘッド11の下端に主走査方向に直交する方向(以下、「副走査方向」という。)に所定数だけ並んで設けられている。
吐出口112は、ノズル111を通過したインクをインク滴として吐出する。また、吐出口112は、一のノズル111に対して一つずつ設けられており、従い、ノズル111の数と同じ数だけ設けられている。さらに、これら吐出口112は、記録ヘッド11の下端の一平面(図示しない記録媒体に対向する面;以下「ノズル面11a」という。)に副走査方向に沿って並んでいる。なお、ノズル面11aは、水平にされ吐出口112が下方に向くように配置されている。
【0029】
上記構成の記録ヘッド11による画像形成は、キャリッジの移動に追従して主走査方向に移動する際に、搬送機構(図示略)により副走査方向に搬送され且つノズル面11aの下方においてノズル面11aに対向配置されている記録媒体に対して、制御部4より出力された駆動信号に基づいてインクを吐出していくことにより行われる。
【0030】
また、記録ヘッド11の左側には、遮光板14が固定されている。
遮光板14は、上述した中間タンク21に固定された遮光板26と略同等の機能を具備している。すなわち、遮光板14は、キャリッジが上下方向Bに移動する際に、キャリッジセンサ13のセンサ領域を遮光することでキャリッジセンサ13の受光量を変化させる。
【0031】
キャリッジモータ12は、制御部4の制御下で駆動することにより、図示しない駆動力伝動機構を介してキャリッジを略垂直に上下方向Bに移動させる。例えば、キャリッジモータ12は、その駆動により所定方向に回転することでキャリッジを上方向に移動させ、所定方向と逆に回転することでキャリッジを下方向に移動させる。
【0032】
キャリッジセンサ13は、上述した中間タンクセンサ25と略同等の機能を具備している。すなわち、キャリッジセンサ13は、上下方向Bに移動するキャリッジを検知するための光学式のセンサであり、遮光板14によってキャリッジセンサ13のセンサ領域の遮光又は非遮光が切り換えられることで、キャリッジセンサ13の受光量が変化して、これによりセンサ信号の出力状態を切り換える。具体的には、キャリッジセンサ13は、そのセンサ領域に遮光板14が存在する場合にキャリッジを検知して制御部4に対してセンサ信号を出力し、センサ領域に遮光板14が存在しない場合にキャリッジを検知せずに制御部4に対してセンサ信号を出力しない。
【0033】
このキャリッジセンサ13は、キャリッジ待避検知センサ131と、キャリッジホーム検知センサ132と、キャリッジdown検知センサ133とから構成されている。
これらキャリッジ待避検知センサ131、キャリッジホーム検知センサ132及びキャリッジdown検知センサ133は、上からキャリッジ待避検知センサ131、キャリッジホーム検知センサ132、キャリッジdown検知センサ133の順に互いに略上下に重なるように配設されている。
【0034】
キャリッジ待避検知センサ131は、キャリッジの待避位置を検知する位置に配設されている。そして、キャリッジ待避検知センサ131は、キャリッジモータ12の駆動により上方向に移動するキャリッジを検知してセンサ信号を制御部4に出力する。このとき、制御部4はキャリッジモータ12を制御してその駆動を停止させることにより、キャリッジの上方向への移動を停止させる。つまり、キャリッジ待避検知センサ131のセンサ信号の出力状態が未出力から出力に変化した際のキャリッジの位置、すなわちキャリッジの移動範囲の上端が、キャリッジの待避位置となる。
【0035】
キャリッジホーム検知センサ132は、キャリッジのホームポジションを検知する位置に配設されている。すなわち、キャリッジホーム検知センサ132は、キャリッジを検知して制御部4に対してセンサ信号を出力するようになっているが、例えば、ブレード34によるノズル面11aのワイプが行われる前にキャリッジが下方向に移動する場合に、キャリッジホーム検知センサ132からのセンサ信号の出力状態が出力から未出力に変化すると、制御部4の制御下でキャリッジモータ12の駆動が停止されてキャリッジの下方向への移動が停止される。このときのキャリッジの位置がキャリッジのホームポジションとなる。
【0036】
キャリッジdown検知センサ133は、キャリッジの移動範囲の下端を検知する位置に配設されている。また、キャリッジdown検知センサ133は、キャリッジモータ12の駆動により下方向に移動するキャリッジを検知してセンサ信号を制御部4に出力する。そして、例えばセンサ信号の出力状態が出力から未出力に変化すると、制御部4はキャリッジモータ12を制御してその駆動を停止させることにより、キャリッジの下方向への移動を停止させる。つまり、キャリッジdown検知センサ133のセンサ信号の出力状態が出力から未出力に変化した際のキャリッジの位置が、キャリッジの移動範囲の下端となる。
なお、記録ヘッド11のクリーニング作業時において、キャリッジが移動範囲の下端に位置することにより記録ヘッド11のノズル面11aが吸引キャップ31に装着された状態となる。
【0037】
なお、記録ヘッド11、ダンパー15、上流弁16、インク供給路5、中間タンク21、インク補給弁24、インクタンク23は、インクジェットプリンタ100において使用されるインクの色毎に設けられている。
【0038】
メンテナンスユニット3は、吸引キャップ31、吸引ポンプ32、大気連通弁33及びブレード34の他に、ブレードクリーナ35と、ワイプ移動モータ36と、ワイプセンサ37と、遮光板38とを備えている。
このうち、吸引キャップ31及びブレード34は、記録ヘッド11のクリーニング作業時にメンテナンスユニット3上方に移動してくる記録ヘッド11のノズル面11aに対向するように配設されている。
【0039】
吸引キャップ31は、略水平方向に長尺な支持板の上面に吸引キャップ31の下面全体を当接した状態で固定されている。また、吸引キャップ31は、上端開口の容器状に形成されており、その底面中央にインク孔311(図4参照)が設けられている。さらに、吸引キャップ31の底面及び周壁によって形成された内部空間が、インク吸引時に吸引ポンプ32によって吸引されたインクが回収されるインク回収部(図4参照)312となっている。なお、このインク回収部312の容積は、吸引されるインクの量に応じて所定の大きさに設定されている。
そして、吸引キャップ31は、インク吸引時にノズル面11aの全ての吐出口112を覆うようにノズル面11aに装着される。
【0040】
吸引ポンプ32は、吸引キャップ31よりも下側に設けられている。そして、吸引ポンプ32は、吸引キャップ31がノズル面11aに装着されてノズル面11aと吸引キャップ31とにより形成された空間内部を減圧させることにより、吸引キャップ31を介してインクを吸引する。
【0041】
大気連通弁33は、吸引キャップ31と吸引ポンプ32との間に設けられている。そして、大気連通弁33は、インク吸引作業後に記録ヘッド11に吸引キャップ31が装着された状態で、制御部4の制御下で開状態とされることで吸引キャップ31内に大気を連通させる。
【0042】
なお、上記吸引キャップ31のインク孔311、大気連通弁33及び吸引ポンプ32は、吸引キャップ31から廃インクタンク(図示略)まで吸引されたインクが流れるように配管されたインク管39によって連通されている。
【0043】
ブレード34は、略垂直に配設された板状の部材であり、支持板上の吸引キャップ31の右側(記録媒体の搬送方向の上流側)に固定された固定台上にブレード34の下端部を当接した状態で固定されている。そして、ブレード34は、インクの吸引作業後にワイプ移動モータ36の駆動に基づいて、記録ヘッド11のノズル面11aをワイプすることでノズル面11aに付着するインクを拭き取ってこのノズル面11aを清掃する。
なお、ブレード34は、例えば、所定の硬度を有するゴム又はゴム状部材により形成された弾性を有する部材である。
【0044】
遮光板38は、左右方向(副走査方向)Cに略沿って設けられた長尺な部材であり、遮光板38の左側部上面を支持板の右側部下面に当接した状態で支持板に固定されている。
また、遮光板38は、上述した中間タンク21に固定された遮光板26及び記録ヘッド11に固定された遮光板14と略同等の機能を具備している。すなわち、遮光板38は、メンテナンスユニット3が左右方向Cに移動する際に、ワイプセンサ37のセンサ領域を遮光することでワイプセンサ37の受光量を変化させる(詳細後述)。
【0045】
ワイプ移動モータ36は、制御部4の制御下で駆動することにより、図示しない駆動力伝動機構を介してメンテナンスユニット3を左右方向Cに移動させる。例えば、ワイプ移動モータ36は、その駆動により所定方向に回転することでメンテナンスユニット3を左方向に移動させ、所定方向と逆に回転することでメンテナンスユニット3を右方向に移動させる。
【0046】
ワイプセンサ37は、上述した中間タンクセンサ25及びキャリッジセンサ13と略同等の機能を具備している。すなわち、ワイプセンサ37は、左右方向Cに移動するメンテナンスユニット3を検知するための光学式のセンサであり、遮光板38によってワイプセンサ37のセンサ領域の遮光又は非遮光が切り換えられることで、ワイプセンサ37の受光量が変化して、これによりセンサ信号の出力状態を切り換える。具体的には、ワイプセンサ37は、そのセンサ領域に遮光板38が存在する場合にメンテナンスユニット3を検知して制御部4に対してセンサ信号を出力し、センサ領域に遮光板38が存在しない場合にメンテナンスユニット3を検知せずに制御部4に対してセンサ信号を出力しない。
【0047】
このワイプセンサ37は、ワイプ待避検知センサ371と、ワイプホーム検知センサ372と、ワイプ完了検知センサ373とから構成されている。
これらワイプ待避検知センサ371、ワイプホーム検知センサ372及びワイプ完了検知センサ373は、左からワイプ待避検知センサ371、ワイプホーム検知センサ372、ワイプ完了検知センサ373の順に互いに略水平方向に重なるように配設されている。
【0048】
ワイプ待避検知センサ371は、メンテナンスユニット3の待避位置を検知する位置に配設されている。そして、ワイプ待避検知センサ371は、ワイプ移動モータ36の駆動により左方向に移動するメンテナンスユニット3を検知してセンサ信号を制御部4に出力する。このとき、制御部4はワイプ移動モータ36を制御してその駆動を停止させることにより、メンテナンスユニット3の左方向への移動を停止させる。つまり、ワイプ待避検知センサ371のセンサ信号の出力状態が未出力から出力に変化した際のメンテナンスユニット3の位置、すなわちメンテナンスユニット3の移動範囲の左端が、メンテナンスユニット3の待避位置となる。
【0049】
ワイプホーム検知センサ372は、メンテナンスユニット3のホームポジションを検知する位置に配設されている。すなわち、ワイプホーム検知センサ372は、メンテナンスユニット3を検知して制御部4に対してセンサ信号を出力するようになっているが、例えば、ブレード34によるノズル面11aのワイプが行われた後でメンテナンスユニット3が左方向に移動する場合に、ワイプホーム検知センサ372からのセンサ信号の出力状態が未出力から出力に変化すると、制御部4の制御下でワイプ移動モータ36の駆動が停止されてメンテナンスユニット3の左方向への移動が停止される。このときのメンテナンスユニット3の位置がメンテナンスユニット3のホームポジションとなる。
なお、ホームポジションにメンテナンスユニット3が位置した状態では、その吸引キャップ31が、クリーニング作業時においてメンテナンスユニット3上方に移動してくる記録ヘッド11のノズル面11aの略真下に位置するようになっている。つまり、クリーニング作業時に記録ヘッド11が主走査方向に移動するだけで、記録ヘッド11のノズル面11aの略真下に吸引キャップ31が位置されることとなる。
【0050】
ワイプ完了検知センサ373は、ブレード34によるワイプの完了位置を検知する位置に配設されている。また、ワイプ完了検知センサ373は、ワイプ移動モータ36の駆動により右方向に移動するメンテナンスユニット3を検知してセンサ信号を制御部4に出力する。そして、例えばセンサ信号の出力状態が出力から未出力に変化すると、制御部4はワイプ移動モータ36を制御してその駆動を停止させることにより、メンテナンスユニット3の右方向への移動を停止させる。つまり、ワイプ完了検知センサ373のセンサ信号の出力状態が出力から未出力に変化した際のメンテナンスユニット3の位置、すなわちメンテナンスユニット3の移動範囲の右端が、ブレード34によるワイプ完了位置となる。
【0051】
ブレードクリーナ35は、ノズル面11aをワイプすることでインクの滴が付着したブレード34をワイプすることによりブレード34に付着したインクの滴をふき取るためのものである。
【0052】
図2に示すように、制御部4は、CPU(Central Processing Unit)41と、RAM(Random Access Memory)42と、ROM(Read Only Memory)43と、インターフェイス(I/F)44等から構成されており、インターフェイス44を介して中間タンクモータ22、中間タンクup検知センサ251、中間タンクdown検知センサ252、キャリッジモータ12、キャリッジ待避検知センサ131、キャリッジホーム検知センサ132、キャリッジdown検知センサ133、吸引ポンプ32、大気連通弁33、ワイプ移動モータ36、ワイプ待避検知センサ371、ワイプホーム検知センサ372、ワイプ完了検知センサ373が電気的に接続されている。
【0053】
また、制御部4は、インクジェットプリンタ100の動作全体を制御するものであるが、中間タンクモータ22を制御することにより、吐出口112内のインクの圧力であるインク背圧を制御する。すなわち、制御部4の制御下で中間タンクモータ22が駆動して、中間タンク21を上下方向Aに移動させることで、中間タンク21内に貯留されているインクの液面の高さを上下動させる。このとき、中間タンク21内のインク液面の高さをノズル面11aと同じ高さとすることによりインク背圧をゼロとし、前記インク液面の高さをノズル面11aより高くすることでインク背圧を正圧として、前記インク液面の高さをノズル面11aより低くすることでインク背圧を負圧とする。
このように、制御部4と中間タンクモータ22とによって、インク背圧を制御する背圧制御手段が構成されている。
【0054】
CPU41は、ROM43に格納されている各種プログラムの中から指定されたプログラムをRAM42内の作業領域に展開し、このプログラムに従った各種処理を実行する。
RAM42は、電力が供給されている間だけ入力された各種データ等を複数記憶可能な記憶領域やCPU41による作業領域等が備えられている。
ROM43には、インク背圧の制御にかかる各種データや、インクジェットプリンタ100の各部の動作に関する各種制御プログラムや制御データなどが書き込まれている。
【0055】
次に、上記記録ヘッド11のクリーニング作業時におけるインク背圧の制御について、図3及び図4を参照して詳細に説明する。
ここで、図3は、記録ヘッド11のクリーニング作業においてインクジェットプリンタ100に備わる各構成要素の動作タイミングを示すタイムチャートであり、図4は、記録ヘッド11のクリーニング作業時の状態を説明するための模式図である。
【0056】
この記録ヘッド11のクリーニング作業は、例えば、記録ヘッド11が記録媒体に所定量画像形成を行った後や、図示しない吐出口センサが吐出口112の目詰まりを検知した際、或いはインクジェットプリンタ100の電源投入時等をクリーニング作業の開始タイミングとして、制御部4の制御下で行われる。
【0057】
制御部4は、クリーニング作業の開始タイミングとなると、キャリッジを制御して、クリーニングされる記録ヘッド11をメンテナンスユニット3上方まで移動させて、記録ヘッド11のノズル面11aとメンテナンスユニット3の吸引キャップ31とを対向させる。
そして、図3に示すように、タイミングT0において、制御部4は、大気連通弁33を制御して大気連通弁33を開状態(open)とするのに同期して、キャリッジモータ12を制御してキャリッジを下方向への移動を開始させるとともに、中間タンクモータ22を制御して中間タンク21を上方向への移動を開始させる。このとき、キャリッジdown検知センサ133はキャリッジを検知して、センサ信号を制御部4に対して出力した状態となっている。
【0058】
次に、タイミングT1において、キャリッジdown検知センサ133のセンサ信号の出力状態が出力から未出力に変化すると、このセンサ信号の出力状態の変化を契機として、制御部4は、キャリッジモータ12を制御することでキャリッジの下方向への移動を停止させる。このとき、記録ヘッド11のノズル面11aに吸引キャップ31が装着された状態となる(図4(a)参照)。
また、タイミングT1において、制御部4は、大気連通弁33を制御して大気連通弁33を閉状態(close)とする。
【0059】
タイミングT1から所定期間(例えば、200mS)P1経過したタイミングT2において、制御部4は、吸引ポンプ32を制御して記録ヘッド11内部のインクの吸引を開始させる。具体的には、吸引ポンプ32が作動することにより、吸引キャップ31とノズル面11aとにより形成された空間内部を減圧して、吐出口112を介してノズル111内に残留している気泡やノズル面11aに付着したごみ等をインクとともに吸引する。このとき、吸引されたインク(以下、「廃インク」という。)は、インク吸引により泡立って気泡が生じた状態でインク回収部312内に回収される(図4(a)及び図4(b)参照)。
【0060】
インク吸引が開始された後タイミングT3において、中間タンクup検知センサ251のセンサ信号の出力状態が未出力から出力に変化すると、このセンサ信号の出力状態の変化を契機として、制御部4は、中間タンクモータ22を制御して中間タンク21の上方向への移動を停止させる。このとき、中間タンク21内のインク液面がノズル面11aよりも所定の高さ高くなった状態となり、インク背圧が正圧となっている。
ここで、中間タンク21の上方向への移動は、インク吸引が完了するまでに完了するようになっている。すなわち、中間タンク21が上方向へ移動することでインク背圧が負圧から正圧へと変化するようになっている。しかしながら、インク吸引の完了後に、中間タンク21の上方向への移動が完了していないで、中間タンク21内のインク液面がノズル面11aよりも低くなった状態では、インク背圧が負圧となっており、吐出口112内の圧力が前記空間内部の圧力よりも小さくなる虞があるため、これにより生じることになる吐出口112内へのインクの逆流を防止するためである。
【0061】
そして、タイミングT2から所定期間(例えば、3秒間)P2経過したタイミングT4において、制御部4は、吸引ポンプ32を制御してインクの吸引を停止させる。これによりインクの吸引が完了する。このとき、インク回収部312内は、気泡を含んだ廃インクで満たされた状態となっており、ノズル面11aに気泡を含んだ廃インクが付着した状態となっている(図4(b)参照)。
【0062】
次に、タイミングT4から所定期間(例えば、5秒間)P3経過したタイミングT5において、制御部4は、大気連通弁33を制御して、大気連通弁33を開状態とすることで吸引キャップ31内に大気を連通させる。ここで、吸引キャップ31とノズル面11aとにより形成された空間内部が大気圧に近づくように加圧されることになるため、ノズル面11aに付着した廃インクがノズル111内に吸い込まれる向き(上向き)に圧力が加わることになる。しかしながら、インク背圧が正圧となっているために、吐出口112内の圧力が前記空間内部の圧力よりも大きくなっており、吐出口112を介するノズル111内への廃インクの吸い込みは生じない。
【0063】
その後、タイミングT5から所定期間(例えば、500mS)P4経過したタイミングT6において、制御部4は、キャリッジモータ12を制御して、キャリッジの上方向への移動を開始させることでノズル面11aを吸引キャップ31から乖離させる(図4(c)参照)。ここで、キャリッジが上方向に移動することでノズル面11aと中間タンク21内部のインク液面との高さが変化することになるが、キャリッジが移動範囲の上端となる位置まで移動しても中間タンク21のインク液面の方がノズル面11aよりも高くなるようになっている。これにより、キャリッジが移動範囲の上端に位置してもインク背圧は正圧に保持されることとなる。
【0064】
また、キャリッジが上方向に移動するのに伴って、キャリッジdown検知センサ133、キャリッジホーム検知センサ132、キャリッジ待避検知センサ131の順に、各センサから出力されるセンサ信号の出力状態が未出力から出力へと変化していく。
そして、タイミングT7において、キャリッジ待避検知センサ131のセンサ信号の出力状態が未出力から出力に変化すると、このセンサ信号の出力状態の変化を契機として、制御部4は、キャリッジモータ12を制御してキャリッジの上方向への移動を停止させるとともに、大気連通弁33を制御して大気連通弁33を閉状態とする。
また、タイミングT7において、制御部4は、吸引ポンプ32を制御してインク回収部312内に回収されているインクの吸引(空吸引)を開始させるとともに、ワイプ移動モータ36を制御してメンテナンスユニット3を左方向への移動を開始させる。
【0065】
そして、タイミングT8において、ワイプ待避検知センサ371のセンサ信号の出力状態が未出力から出力に変化すると、このセンサ信号の出力状態の変化を契機として、制御部4は、ワイプ移動モータ36を制御してメンテナンスユニット3の左方向への移動を停止させる。これにより、ブレード34が記録ヘッド11のノズル面11aよりも左側に待避した(ワイプ待避)状態となる。
また、タイミングT8において、制御部4は、キャリッジモータ12を制御して、キャリッジの下方向への移動を開始させる。このとき、キャリッジが下方向に移動するのに伴って、キャリッジ待避検知センサ131、キャリッジホーム検知センサ132の順に、各センサから出力されるセンサ信号の出力状態が出力から未出力へと変化していく。
そして、タイミングT9において、キャリッジホーム検知センサ132のセンサ信号の出力状態が出力から未出力に変化すると、このセンサ信号の出力状態の変化を契機として、制御部4は、キャリッジモータ12を制御してキャリッジの下方向への移動を停止させる。
また、タイミングT9において、制御部4は、ワイプ移動モータ36を制御して、メンテナンスユニット3の右方向への移動(ワイプ行き)を開始することでブレード34によるノズル面11aのワイプを開始させる(図4(d)参照)。なお、ブレード34によるノズル面11aのワイプが開始されることによって、ワイプ待避検知センサ371からのセンサ信号の出力状態が出力から未出力へと変化する。
【0066】
また、ブレード34によるノズル面11aのワイプに伴って、ワイプホーム検知センサ372、ワイプ完了検知センサ373の順に、各センサから出力されるセンサ信号の出力状態が出力から未出力へと変化していく。
そして、タイミングT10において、ワイプ完了検知センサ373のセンサ信号の出力状態が出力から未出力に変化すると、このセンサ信号の出力状態の変化を契機として、制御部4は、ワイプ移動モータ36を制御して、メンテナンスユニット3の右方向への移動を停止させる。これによってブレード34によるノズル面11aのワイプを完了する。
また、タイミングT10において、制御部4は、中間タンクモータ22を制御して、中間タンク21の下方向への移動を開始させることで、正圧となっているインク背圧を負圧に近づけるようにする。そして、タイミングT10からしばらく経過すると、中間タンクモータ22の下方向への移動に伴って、中間タンクup検知センサ251のセンサ信号の出力状態が出力から未出力に変化する。
【0067】
また、タイミングT10から所定期間(例えば、500mS)P5経過したタイミングT11において、制御部4は、ワイプ移動モータ36を制御してメンテナンスユニット3の左方向への移動を開始させる。このとき、メンテナンスユニット3が左方向に移動するのに伴って、ワイプ完了検知センサ373、ワイプホーム検知センサ372の順に、各センサから出力されるセンサ信号の出力状態が未出力から出力へと変化していく。
そして、タイミングT12において、ワイプホーム検知センサ372からのセンサ信号の出力状態が未出力から出力に変化すると、このセンサ信号の出力状態の変化を契機として、制御部4は、ワイプ移動モータ36を制御してメンテナンスユニット3の左方向への移動を停止させることでメンテナンスユニット3をホームポジションに復帰させる。また、タイミングT12において、制御部4は、吸引ポンプ32を制御して空吸引を停止させる。
【0068】
そして、タイミングT12からしばらく経過したタイミングT13において、中間タンクdown検知センサ252からのセンサ信号の出力状態が未出力から出力に変化すると、このセンサ信号の出力状態の変化を契機として、制御部4は、中間タンクモータ22を制御して中間タンク21の下方向への移動を停止させる。このとき、中間タンク21内のインク液面がノズル面11aよりも所定の高さ低くなっているため、インク背圧が適度な負圧となっている。これにより、吐出口112からインクが滲み出ることを防止できる。
このようにして、記録ヘッド11が確実にクリーニングされることになる。
【0069】
以上のように、本実施の形態のインクジェットプリンタ100によれば、吸引キャップ31内への大気の連通が開始される前、すなわち吸引ポンプ32によるインク吸引が開始されてからブレード34によるノズル面11aのワイプが完了するまでの間、記録ヘッド11のノズル面11aに対する中間タンク21の高さを高くすることによってインク背圧を正圧とするので、インク吸引作業において、気泡を含んだ廃インクの滴がノズル面11aに付着しても、このノズル面11aに付着した気泡を含んだ廃インクが吐出口112を介してノズル111内に吸い込まれることを防止できる。これにより、気泡を含んだ廃インクのノズル111内における固化等に起因して、その後のインク吐出動作において発生するノズル欠や射出曲がり等のノズル111の吐出不良を防止することができる。
また、インク背圧の制御を、記録ヘッド11のノズル面11aに対する中間タンク21の高さを変更するだけで、中間タンク21内のインクと記録ヘッド11のノズル面11aとの水頭差を利用して行うことができ、背圧制御手段の構造を簡略化できコストを低減できる。
【0070】
さらに、記録ヘッド11のクリーニング時において、吸引キャップ31内への大気の連通が開始される前からノズル面11aのワイプが完了するまでの間は、中間タンク21のインク液面がノズル面11aよりも所定の高さ高くなるように中間タンク21を移動させることで、インク背圧が正圧となってノズル面11aに付着した廃インクのノズル111内への吸い込みを防止する。そして、ブレード34によるノズル面11aのワイプの完了後には、中間タンク21のインク液面がノズル面11aよりも所定の高さ低くなるように中間タンク21を移動させることで、インク背圧が適度な負圧となって吐出口112からのインクの滲みを防止する。このように、記録ヘッド11のクリーニングを確実に行うことができ、その後の画像形成において、確実且つ正確なインク吐出を行える。
また、吸引キャップ31内に大気が連通されても、廃インクがノズル111内に吸い込まれないため、ノズル111内への廃インクの吸い込み分を予め考慮してインクを所定量よりも多めに吸引する必要がなく、吸引される廃インク量を減少することができる。すなわち、吸引されるインクの量に応じて設定されるインク回収部312の容積を小さくでき、これにより吸引キャップ31の小型化を図ることができる。
【0071】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行っても良い。
例えば、上記実施の形態では、各種センサを用いて中間タンク21及び記録ヘッド11の上下方向に沿った位置やメンテナンスユニット3の左右方向に沿った位置を制御するようにしたが、これに限られるものではなく、例えばステッピングモータのパルス数を用いて中間タンク21、記録ヘッド11及びメンテナンスユニット3の位置を制御するようにしても良い。
【0072】
また、上記実施の形態では、吸引キャップ31内への大気の連通が開始される前からノズル面11aのワイプが完了するまでの間、吐出口112内へのインクの逆流を阻止するため、インク背圧が正圧となるようにインク背圧を制御するようにしたが、これに限られるものではない。例えば、吸引キャップ31とノズル面11aとにより形成された空間内部の圧力と吐出口112内の圧力とが等しくなるようにインク背圧を制御することで、吐出口112内へのインクの逆流を阻止しても良く、このようにしても、ノズル面11aに付着した廃インクのノズル111内への吸い込みを防止することが可能となる。
【0073】
さらに、上記実施の形態では、インク吸引が開始された後タイミングT3において、中間タンクモータ22を停止するようにしたが、これに限られるものではなく、インクの吸引が完了するまでに中間タンク21の上方向への移動が完了しさえすれば良い。そのため、中間タンク21の上方向への移動にかかる時間がインク吸引が完了するまでにかかる時間よりも長くなる場合には、中間タンク21の上方向への移動が完了してからインクの吸引を開始するようにしても良い。
【0074】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、キャップ部材内への大気の連通が開始される前からブレードによる記録ヘッドの一面のワイプが完了するまでの間、背圧制御手段が吐出口内へのインクの逆流が阻止されるようにインク背圧を制御することにより、吐出口内の圧力が前記空間内部の圧力と略等しいか、この圧力よりも大きくなる。これにより、インク吸引作業において吸引されたインク(以下、「廃インク」という。)の滴が記録ヘッドの一面に付着しても、この一面に付着した廃インクが吐出口を介してノズル内に吸い込まれることを防止できる。特に、吐出口からインクが吸引されることで廃インクが泡立ってこの廃インクに気泡が含まれることになるが、この気泡を含んだ廃インクが記録ヘッドの一面に付着した場合であっても、前記一面に付着した気泡を含んだ廃インクが吐出口を介してノズル内に吸い込まれることはなくなる。従って、気泡を含んだ廃インクのノズル内における固化等に起因して、その後のインク吐出動作において発生するノズル欠や射出曲がり等のノズルの吐出不良を防止することができる。
また、キャップ部材内に大気が連通されても、廃インクがノズル内に吸い込まれないため、ノズル内への廃インクの吸い込み分を予め考慮してインクを所定量よりも多めに吸引する必要がなく、吸引される廃インク量を減少することができる。これにより、キャップ部材内の吸引されたインクが回収される部分の容積を小さくして、キャップ部材の小型化を図ることができる。
【0075】
請求項2に記載の発明によれば、背圧制御手段が記録ヘッドに対するインク貯留部の高さを変更するだけで、インク貯留部内のインクと記録ヘッドの一面との水頭差を利用して記録ヘッド内部のインク背圧を制御できる。従って、背圧制御手段の構造を簡略化できコストを低減できる。
【0076】
請求項3に記載の発明によれば、ブレードによる記録ヘッドの一面のワイプの完了後に、背圧制御手段がインク背圧を制御することでインク背圧が所望の負圧となって吐出口からのインクの滲みを防止することができる。従って、記録ヘッドのクリーニングを確実に行うことができ、その後の画像形成において、確実且つ正確なインク吐出を行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用された一実施の形態として例示されるインクジェットプリンタの主要部を示す模式図である。
【図2】図1のインクジェットプリンタに備わる制御部の主要制御ブロック図である。
【図3】図1のインクジェットプリンタに備わる記録ヘッドのクリーニング作業においてインクジェットプリンタの各構成要素の動作タイミングの一例を示すタイムチャートである。
【図4】図1のインクジェットプリンタにおける記録ヘッドのクリーニング作業の状態を説明するための模式図である。
【図5】従来のインクジェットプリンタにおける記録ヘッドのクリーニング作業の状態を説明するための模式図である。
【符号の説明】
100 インクジェットプリンタ
1 ヘッド部
11 記録ヘッド
11a ノズル面(一面)
111 ノズル
112 吐出口
2 インク供給部
21 中間タンク(インク貯留部)
22 中間タンクup/downモータ(背圧制御手段)
3 メンテナンスユニット
31 吸引キャップ(キャップ部材)
32 吸引ポンプ
33 大気連通弁(大気連通手段)
34 ブレード
4 制御部(背圧制御手段)
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットプリンタに関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェットプリンタにおいては、記録ヘッドの一面(ノズル面)にインクを記録媒体に吐出する吐出口が備えられている。
この吐出口には、インクの粘度の増大や、吐出口内におけるインクの固化や、吐出口に連通するインクの流路内に発生した気泡又はごみ等に起因して、目詰まりが発生する。
【0003】
そこで、吐出口の目詰まりを回復させるために、所定のタイミングで記録ヘッドのクリーニング作業を行っている。
以下、記録ヘッドのクリーニング作業について図5を参照して説明する。ここで、図5は、従来のインクジェットプリンタにおいて行われる記録ヘッドのクリーニング作業の状態を説明するための模式図である。
【0004】
図5(a)に示すように、吸引キャップ531は、上端開口の容器状に形成されており、その底面中央にインク孔532が設けられている。また、吸引キャップ531の底面及び周壁によって形成された内部空間が、吸引されたインクが回収されるインク回収部533となっている。なお、インク孔532は、インク流路534によって吸引ポンプ535と連通されている。
そして、吸引キャップ531を記録ヘッド511の吐出口(図5(d)参照)512を覆うようにノズル面511aに装着した後、吸引ポンプ535を作動させて吸引キャップ531とノズル面511aとによって形成される空間内部を減圧させることにより、吸引キャップ531を介してノズル(図5(d)参照)513内に残留している気泡やノズル面511aに付着したごみ等をインクとともに吸引する。このとき、吸引されたインク(以下、「廃インク」という。)はインク回収部533内に一旦回収される(図5(b)参照)。
インクの吸引が完了すると、図5(c)に示すように、前記空間内部の圧力が負圧の状態となっているため、大気連通手段(図示略)を作動させて大気を連通させることで空間内部の圧力を大気圧に近づけた後、吸引キャップ531をノズル面511aから離間させるとともにインク回収部533内に回収された廃インクを吸引する。
その後、図5(d)に示すように、ブレード536によりノズル面511aをワイプしてこのノズル面511aに残留したインク滴を拭き取る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、吸引キャップを介してノズル内のインクを吸引することにより、吐出口から吸引された廃インクが泡立ってこの廃インクに気泡が生じる場合がある。そして、気泡を含んだ廃インクが吸引キャップ内に回収された際に、ノズル面には気泡を含んだ廃インクが付着することになる。
その後、大気連通手段を作動させて大気を連通させると、大気圧に近づこうとする前記空間内部と負圧の状態となっているノズル内との圧力差によって、ノズル面に付着している気泡を含んだ廃インクは吐出口を介してノズル内に吸い込まれてしまう。また、大気の連通後、吸引キャップをノズル面から離間させた場合にも、前記空間内部の圧力は大気圧に急激に近づいてしまうため、気泡を含んだ廃インクがノズル内に吸い込まれることになる。
この結果、ブレードによりノズル面をワイプすることで記録ヘッドのクリーニングが完了しても、ノズル内に吸い込まれた気泡を含んだ廃インクのために、その後のインク吐出動作におけるノズル欠や射出曲がり等のノズルの吐出不良を引き起こしてしまっていた。
【0006】
また、大気連通後におけるノズル内へのインクの吸い込み分を予め考慮して、インクの吸引時にインクを所定量よりも多めに吸引するようになっているが、この場合には、廃インク量が増大するためにインク回収部の容積を大きくする必要があり、結果として吸引キャップの小型化が困難となっていた。
【0007】
なお、特開昭57−95471号公報に開示の技術によれば、クリーニング動作時にノズル内のインクを加圧してノズルからインクを噴出させることで、ノズル内へのインクの吸い込みを防止するようになっている。しかしながら、この公報に開示された技術においては、インクタンク内のインクを記録ヘッドまで供給するポンプを駆動させることでノズル内のインクを加圧するため、構造が複雑になってコスト高を招いてしまうといった問題があった。
また、特公昭59−45161号公報に開示の技術によれば、ノズル面のワイピング時にノズル内のインクを加圧してインクをノズルから噴出させることで、ノズル内へのインクの吸い込みを防止するようになっている。ここで、インクを確実に噴出させるためには、通常時においてノズル内のインク液面が適切なメニスカスを形成した状態となっている必要がある。しかしながら、インクがノズル面に付着してノズル吐出口近傍にてインクが拡散した状態となると、ノズル内のインク液面が適切なメニスカスを形成できなくなってしまう。この場合には、インクを確実に噴出できずにインクがノズル内に逆流してしまう可能性があるため、インクのノズル内への吸い込みの防止を確実に行うことができなかった。
【0008】
本発明の課題は、インクのノズル内への吸い込みを防止でき、結果としてノズルの吐出不良を防止できるインクジェットプリンタを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、記録媒体に向けてインクを吐出するノズルの吐出口が設けられた記録ヘッドと、インク吸引作業時に前記吐出口を覆うように前記記録ヘッドに装着されるキャップ部材と、前記キャップ部材を介して前記吐出口からインクを吸引する吸引ポンプと、インク吸引作業後に前記記録ヘッドに前記キャップ部材が装着された状態で、前記キャップ部材内に大気を連通させる大気連通手段と、前記大気連通手段により前記キャップ部材内に大気を連通させた後に前記吐出口が設けられた一面をワイプするブレードとを備えるインクジェットプリンタにおいて、
インク背圧を制御する背圧制御手段を備え、
前記背圧制御手段は、前記キャップ部材内への大気の連通が開始される前から前記一面のワイプが完了するまでの間、前記吐出口内へのインクの逆流を阻止するようにインク背圧を制御することを特徴としている。
【0010】
ここで、インク背圧とは、吐出口内のインクに作用する圧力のことである。
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、インク吸引作業時にインクを吐出するノズルの吐出口を覆うように記録ヘッドに装着されるキャップ部材が備えられる。また、吸引ポンプによるインク吸引作業後に記録ヘッドにキャップ部材が装着された状態で、キャップ部材内に大気を連通させる大気連通手段が備えられる。そして、大気連通手段によりキャップ部材内に大気を連通させた後に吐出口が設けられた一面をワイプするブレードが備えられる。さらに、インク背圧を制御する背圧制御手段が備えられ、この背圧制御手段によって、キャップ部材内への大気の連通が開始される前から前記一面のワイプが完了するまでの間、吐出口内へのインクの逆流を阻止するようにインク背圧が制御される。すなわち、インク吸引作業後に大気連通手段によりキャップ部材内に大気が連通されることで、キャップ部材と記録ヘッドの一面とにより形成された空間内部の圧力が大気圧に近づくように加圧されることになるが、キャップ部材内への大気の連通が開始される前からブレードによる記録ヘッドの一面のワイプが完了するまでの間、背圧制御手段によって、吐出口内へのインクの逆流が阻止されるようにインク背圧が制御されるので、吐出口内の圧力が前記空間内部の圧力と略等しいか、この圧力よりも大きくされることになる。これにより、インク吸引作業において吸引されたインク(以下、「廃インク」という。)の滴が記録ヘッドの一面に付着しても、この一面に付着した廃インクが吐出口を介してノズル内に吸い込まれることが防止される。特に、吐出口からインクが吸引されることで廃インクが泡立った状態となって廃インクに気泡が含まれることになるが、この気泡を含んだ廃インクが記録ヘッドの一面に付着した場合であっても、前記一面に付着した気泡を含んだ廃インクが吐出口を介してノズル内に吸い込まれることはなくなる。
従って、気泡を含んだ廃インクのノズル内における固化等に起因して、その後のインク吐出動作において発生するノズル欠や射出曲がり等のノズルの吐出不良が防止されることになる。
また、キャップ部材内に大気が連通されても、廃インクがノズル内に吸い込まれないため、ノズル内への廃インクの吸い込み分を予め考慮してインクを所定量よりも多めに吸引する必要がなくなり、吸引される廃インク量が減少させられる。これにより、キャップ部材内の吸引されたインクが回収される部分の容積が小さくされて、キャップ部材の小型化が図られる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記記録ヘッドに供給されるインクを貯留するインク貯留部を備え、
前記背圧制御手段は、前記記録ヘッドに対する前記インク貯留部の相対的な高さを変更することでインク背圧を制御することを特徴としている。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、記録ヘッドに供給されるインクを貯留するインク貯留部が備えられる。そして、背圧制御手段によって、記録ヘッドに対するインク貯留部の相対的な高さが変更されることでインク背圧が制御される。すなわち、背圧制御手段によって、記録ヘッドに対するインク貯留部の高さが変更されるだけで、インク貯留部内のインクと記録ヘッドの一面との水頭差が利用されてインク背圧が制御される。具体的には、インク貯留部内のインク液面の高さが記録ヘッドの一面と同じ高さとされることでインク背圧はゼロとなり、前記インク液面の高さが前記一面より高くされることでインク背圧は正圧となり、前記インク液面の高さが前記一面より低くされることでインク背圧は負圧となる。従って、背圧制御手段の構造が簡略化されることとなりコストが低減される。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記背圧制御手段は、前記ブレードによる前記一面のワイプの完了後、インク背圧が所望の負圧となるようにインク背圧を制御することを特徴としている。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、背圧制御手段によって、ブレードによる一面のワイプの完了後、インク背圧が所望の負圧となるようにインク背圧が制御される。ここで、画像形成時において、確実且つ正確なインク吐出を行うためには、インク背圧が適度な負圧に保たれることが重要となっている。しかしながら、記録ヘッドのクリーニング時においては、キャップ部材内への大気の連通が開始される前から記録ヘッドの一面のワイプが完了するまでの間に、インク背圧が負圧となると、記録ヘッドの一面に付着した廃インクがノズル内へ吸い込まれてしまう。そこで、キャップ部材内への大気の連通が開始される前から記録ヘッドの一面のワイプが完了するまでの間は、吐出口内へのインクの逆流を阻止するようにインク背圧が制御されることで、例えばインク背圧が正圧となって前記一面に付着した廃インクのノズル内への吸い込みが防止されるようになっているが、インク背圧が正圧となることで吐出口からインクが滲み出てしまい前記一面にてインクが拡散してしまう虞がある。そのため、ブレードによる前記一面のワイプの完了後には、インク背圧が制御されることでインク背圧が所望の負圧となって吐出口からのインクの滲みが防止される。従って、記録ヘッドのクリーニングが確実に行われ、その後の画像形成において、確実且つ正確なインク吐出が行われることになる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明について、図面を用いて具体的な態様を説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
図1は、本発明が適用された一実施の形態のインクジェットプリンタの主要な構成を示す概略図であり、図2は、図1のインクジェットプリンタに備わる制御部の主要制御ブロック図である。
【0017】
図1に示すように、インクジェットプリンタ100は、記録ヘッド11を有するヘッド部1、中間タンク(インク貯留部)21を有するインク供給部2、吸引キャップ(キャップ部材)31と吸引ポンプ32と大気連通弁(大気連通手段)33とブレード34とを有するメンテナンスユニット3、制御部(図2参照)4を備えて構成される。また、図2に示すように、インク供給部2に設けられた中間タンクup/downモータ(以下、「中間タンクモータ」と略する。)22は制御部4と電気的に接続されており、この中間タンクモータ22及び制御部4によって、背圧制御手段が構成されている。
【0018】
インク供給部2は、中間タンク21及び中間タンクモータ22の他に、インクタンク23と、インク補給弁24と、中間タンクセンサ25と、遮光板26とを備えている。
【0019】
インクタンク23は、インクを貯蔵しており、インク流路27によって中間タンク21及びインク補給弁24に連通されている。
インク補給弁24は、中間タンク21とインクタンク23との間にてインクタンク23よりの位置に配設されている。そして、インク補給弁24は、制御部4の制御下で開閉されることでインクタンク23から中間タンク21に供給(補給)されるインク量を調節する。
【0020】
中間タンク21は、記録ヘッド11に供給されるインクを貯留する。また、中間タンク21の右側には、遮光板26が固定されている。
遮光板26は、中間タンク21が上下方向Aに移動する際に、中間タンクセンサ25のセンサ領域を遮光することで中間タンクセンサ25の受光量を変化させる。
【0021】
中間タンクモータ22は、制御部4の制御下で駆動することにより、図示しない駆動力伝動機構を介して中間タンク21を略垂直に上下方向Aに移動させる。例えば、中間タンクモータ22は、その駆動により所定方向に回転することで中間タンク21を上方向に移動させ、所定方向と逆に回転することで中間タンク21を下方向に移動させる。
【0022】
中間タンクセンサ25は、上下方向Aに移動する中間タンク21を検知するための光学式のセンサであり、遮光板26によって中間タンクセンサ25のセンサ領域の遮光又は非遮光が切り換えられることで、中間タンクセンサ25の受光量が変化して、これによりセンサ信号の出力状態を切り換える。すなわち、中間タンクセンサ25は、そのセンサ領域に遮光板26が存在する場合に中間タンク21を検知して制御部4に対してセンサ信号を出力し、センサ領域に遮光板26が存在しない場合に中間タンク21を検知せずに制御部4に対してセンサ信号を出力しない。
【0023】
この中間タンクセンサ25は、中間タンクup検知センサ251と、中間タンクdown検知センサ252とから構成されている。
これら中間タンクup検知センサ251及び中間タンクdown検知センサ252は、上から中間タンクup検知センサ251、中間タンクdown検知センサ252の順に互いに略上下に重なるように配設されている。
【0024】
中間タンクup検知センサ251は、中間タンク21の移動範囲の上端を検知する位置に配設されている。そして、中間タンクup検知センサ251は、中間タンクモータ22の駆動により上方向に移動する中間タンク21を検知してセンサ信号を制御部4に出力する。このとき、制御部4は中間タンクモータ22を制御してその駆動を停止させることにより、中間タンク21の上方向への移動を停止させる。つまり、中間タンクup検知センサ251のセンサ信号の出力状態が未出力から出力に変化した際の中間タンク21の位置が、中間タンク21の移動範囲の上端となる。
【0025】
中間タンクdown検知センサ252は、中間タンク21の移動範囲の下端を検知する位置に配設されている。そして、中間タンクdown検知センサ252は、中間タンクモータ22の駆動により下方向に移動する中間タンク21を検知してセンサ信号を制御部4に出力する。このとき、制御部4は中間タンクモータ22を制御してその駆動を停止させることにより、中間タンク21の下方向への移動を停止させる。つまり、中間タンクdown検知センサ252のセンサ信号の出力状態が未出力から出力に変化した際の中間タンク21の位置が、中間タンク21の移動範囲の下端となる。
【0026】
上記構成のインク供給部2は、インク供給路5によってヘッド部1に連通されている。
ヘッド部1は、記録ヘッド11の他に、キャリッジup/downモータ(以下、「キャリッジモータ」と略する。;図2参照)12と、キャリッジセンサ13と、遮光板14と、ダンパー15と、上流弁16とを備えている。
なお、ヘッド部1の構成要素のうち、記録ヘッド11、キャリッジモータ12、遮光板14、ダンパー15、上流弁16は、図示しないキャリッジに搭載されている。
【0027】
上流弁16は、中間タンク21と記録ヘッド11との間に設けられている。そして、上流弁16は、制御部4の制御下で開閉されることで中間タンク21から記録ヘッド11にインク供給路5を介して供給(補給)されるインク量を調節する。
ダンパー15は、上流弁16と記録ヘッド11との間に設けられており、後述する記録ヘッド11の上下方向Bへの移動や主走査方向への移動に伴って発生する振動や衝撃を減衰させたり緩衝させたりする。
【0028】
記録ヘッド11は、ノズル111と、吐出口112を備えている。
ノズル111は、記録ヘッド11の下端に主走査方向に直交する方向(以下、「副走査方向」という。)に所定数だけ並んで設けられている。
吐出口112は、ノズル111を通過したインクをインク滴として吐出する。また、吐出口112は、一のノズル111に対して一つずつ設けられており、従い、ノズル111の数と同じ数だけ設けられている。さらに、これら吐出口112は、記録ヘッド11の下端の一平面(図示しない記録媒体に対向する面;以下「ノズル面11a」という。)に副走査方向に沿って並んでいる。なお、ノズル面11aは、水平にされ吐出口112が下方に向くように配置されている。
【0029】
上記構成の記録ヘッド11による画像形成は、キャリッジの移動に追従して主走査方向に移動する際に、搬送機構(図示略)により副走査方向に搬送され且つノズル面11aの下方においてノズル面11aに対向配置されている記録媒体に対して、制御部4より出力された駆動信号に基づいてインクを吐出していくことにより行われる。
【0030】
また、記録ヘッド11の左側には、遮光板14が固定されている。
遮光板14は、上述した中間タンク21に固定された遮光板26と略同等の機能を具備している。すなわち、遮光板14は、キャリッジが上下方向Bに移動する際に、キャリッジセンサ13のセンサ領域を遮光することでキャリッジセンサ13の受光量を変化させる。
【0031】
キャリッジモータ12は、制御部4の制御下で駆動することにより、図示しない駆動力伝動機構を介してキャリッジを略垂直に上下方向Bに移動させる。例えば、キャリッジモータ12は、その駆動により所定方向に回転することでキャリッジを上方向に移動させ、所定方向と逆に回転することでキャリッジを下方向に移動させる。
【0032】
キャリッジセンサ13は、上述した中間タンクセンサ25と略同等の機能を具備している。すなわち、キャリッジセンサ13は、上下方向Bに移動するキャリッジを検知するための光学式のセンサであり、遮光板14によってキャリッジセンサ13のセンサ領域の遮光又は非遮光が切り換えられることで、キャリッジセンサ13の受光量が変化して、これによりセンサ信号の出力状態を切り換える。具体的には、キャリッジセンサ13は、そのセンサ領域に遮光板14が存在する場合にキャリッジを検知して制御部4に対してセンサ信号を出力し、センサ領域に遮光板14が存在しない場合にキャリッジを検知せずに制御部4に対してセンサ信号を出力しない。
【0033】
このキャリッジセンサ13は、キャリッジ待避検知センサ131と、キャリッジホーム検知センサ132と、キャリッジdown検知センサ133とから構成されている。
これらキャリッジ待避検知センサ131、キャリッジホーム検知センサ132及びキャリッジdown検知センサ133は、上からキャリッジ待避検知センサ131、キャリッジホーム検知センサ132、キャリッジdown検知センサ133の順に互いに略上下に重なるように配設されている。
【0034】
キャリッジ待避検知センサ131は、キャリッジの待避位置を検知する位置に配設されている。そして、キャリッジ待避検知センサ131は、キャリッジモータ12の駆動により上方向に移動するキャリッジを検知してセンサ信号を制御部4に出力する。このとき、制御部4はキャリッジモータ12を制御してその駆動を停止させることにより、キャリッジの上方向への移動を停止させる。つまり、キャリッジ待避検知センサ131のセンサ信号の出力状態が未出力から出力に変化した際のキャリッジの位置、すなわちキャリッジの移動範囲の上端が、キャリッジの待避位置となる。
【0035】
キャリッジホーム検知センサ132は、キャリッジのホームポジションを検知する位置に配設されている。すなわち、キャリッジホーム検知センサ132は、キャリッジを検知して制御部4に対してセンサ信号を出力するようになっているが、例えば、ブレード34によるノズル面11aのワイプが行われる前にキャリッジが下方向に移動する場合に、キャリッジホーム検知センサ132からのセンサ信号の出力状態が出力から未出力に変化すると、制御部4の制御下でキャリッジモータ12の駆動が停止されてキャリッジの下方向への移動が停止される。このときのキャリッジの位置がキャリッジのホームポジションとなる。
【0036】
キャリッジdown検知センサ133は、キャリッジの移動範囲の下端を検知する位置に配設されている。また、キャリッジdown検知センサ133は、キャリッジモータ12の駆動により下方向に移動するキャリッジを検知してセンサ信号を制御部4に出力する。そして、例えばセンサ信号の出力状態が出力から未出力に変化すると、制御部4はキャリッジモータ12を制御してその駆動を停止させることにより、キャリッジの下方向への移動を停止させる。つまり、キャリッジdown検知センサ133のセンサ信号の出力状態が出力から未出力に変化した際のキャリッジの位置が、キャリッジの移動範囲の下端となる。
なお、記録ヘッド11のクリーニング作業時において、キャリッジが移動範囲の下端に位置することにより記録ヘッド11のノズル面11aが吸引キャップ31に装着された状態となる。
【0037】
なお、記録ヘッド11、ダンパー15、上流弁16、インク供給路5、中間タンク21、インク補給弁24、インクタンク23は、インクジェットプリンタ100において使用されるインクの色毎に設けられている。
【0038】
メンテナンスユニット3は、吸引キャップ31、吸引ポンプ32、大気連通弁33及びブレード34の他に、ブレードクリーナ35と、ワイプ移動モータ36と、ワイプセンサ37と、遮光板38とを備えている。
このうち、吸引キャップ31及びブレード34は、記録ヘッド11のクリーニング作業時にメンテナンスユニット3上方に移動してくる記録ヘッド11のノズル面11aに対向するように配設されている。
【0039】
吸引キャップ31は、略水平方向に長尺な支持板の上面に吸引キャップ31の下面全体を当接した状態で固定されている。また、吸引キャップ31は、上端開口の容器状に形成されており、その底面中央にインク孔311(図4参照)が設けられている。さらに、吸引キャップ31の底面及び周壁によって形成された内部空間が、インク吸引時に吸引ポンプ32によって吸引されたインクが回収されるインク回収部(図4参照)312となっている。なお、このインク回収部312の容積は、吸引されるインクの量に応じて所定の大きさに設定されている。
そして、吸引キャップ31は、インク吸引時にノズル面11aの全ての吐出口112を覆うようにノズル面11aに装着される。
【0040】
吸引ポンプ32は、吸引キャップ31よりも下側に設けられている。そして、吸引ポンプ32は、吸引キャップ31がノズル面11aに装着されてノズル面11aと吸引キャップ31とにより形成された空間内部を減圧させることにより、吸引キャップ31を介してインクを吸引する。
【0041】
大気連通弁33は、吸引キャップ31と吸引ポンプ32との間に設けられている。そして、大気連通弁33は、インク吸引作業後に記録ヘッド11に吸引キャップ31が装着された状態で、制御部4の制御下で開状態とされることで吸引キャップ31内に大気を連通させる。
【0042】
なお、上記吸引キャップ31のインク孔311、大気連通弁33及び吸引ポンプ32は、吸引キャップ31から廃インクタンク(図示略)まで吸引されたインクが流れるように配管されたインク管39によって連通されている。
【0043】
ブレード34は、略垂直に配設された板状の部材であり、支持板上の吸引キャップ31の右側(記録媒体の搬送方向の上流側)に固定された固定台上にブレード34の下端部を当接した状態で固定されている。そして、ブレード34は、インクの吸引作業後にワイプ移動モータ36の駆動に基づいて、記録ヘッド11のノズル面11aをワイプすることでノズル面11aに付着するインクを拭き取ってこのノズル面11aを清掃する。
なお、ブレード34は、例えば、所定の硬度を有するゴム又はゴム状部材により形成された弾性を有する部材である。
【0044】
遮光板38は、左右方向(副走査方向)Cに略沿って設けられた長尺な部材であり、遮光板38の左側部上面を支持板の右側部下面に当接した状態で支持板に固定されている。
また、遮光板38は、上述した中間タンク21に固定された遮光板26及び記録ヘッド11に固定された遮光板14と略同等の機能を具備している。すなわち、遮光板38は、メンテナンスユニット3が左右方向Cに移動する際に、ワイプセンサ37のセンサ領域を遮光することでワイプセンサ37の受光量を変化させる(詳細後述)。
【0045】
ワイプ移動モータ36は、制御部4の制御下で駆動することにより、図示しない駆動力伝動機構を介してメンテナンスユニット3を左右方向Cに移動させる。例えば、ワイプ移動モータ36は、その駆動により所定方向に回転することでメンテナンスユニット3を左方向に移動させ、所定方向と逆に回転することでメンテナンスユニット3を右方向に移動させる。
【0046】
ワイプセンサ37は、上述した中間タンクセンサ25及びキャリッジセンサ13と略同等の機能を具備している。すなわち、ワイプセンサ37は、左右方向Cに移動するメンテナンスユニット3を検知するための光学式のセンサであり、遮光板38によってワイプセンサ37のセンサ領域の遮光又は非遮光が切り換えられることで、ワイプセンサ37の受光量が変化して、これによりセンサ信号の出力状態を切り換える。具体的には、ワイプセンサ37は、そのセンサ領域に遮光板38が存在する場合にメンテナンスユニット3を検知して制御部4に対してセンサ信号を出力し、センサ領域に遮光板38が存在しない場合にメンテナンスユニット3を検知せずに制御部4に対してセンサ信号を出力しない。
【0047】
このワイプセンサ37は、ワイプ待避検知センサ371と、ワイプホーム検知センサ372と、ワイプ完了検知センサ373とから構成されている。
これらワイプ待避検知センサ371、ワイプホーム検知センサ372及びワイプ完了検知センサ373は、左からワイプ待避検知センサ371、ワイプホーム検知センサ372、ワイプ完了検知センサ373の順に互いに略水平方向に重なるように配設されている。
【0048】
ワイプ待避検知センサ371は、メンテナンスユニット3の待避位置を検知する位置に配設されている。そして、ワイプ待避検知センサ371は、ワイプ移動モータ36の駆動により左方向に移動するメンテナンスユニット3を検知してセンサ信号を制御部4に出力する。このとき、制御部4はワイプ移動モータ36を制御してその駆動を停止させることにより、メンテナンスユニット3の左方向への移動を停止させる。つまり、ワイプ待避検知センサ371のセンサ信号の出力状態が未出力から出力に変化した際のメンテナンスユニット3の位置、すなわちメンテナンスユニット3の移動範囲の左端が、メンテナンスユニット3の待避位置となる。
【0049】
ワイプホーム検知センサ372は、メンテナンスユニット3のホームポジションを検知する位置に配設されている。すなわち、ワイプホーム検知センサ372は、メンテナンスユニット3を検知して制御部4に対してセンサ信号を出力するようになっているが、例えば、ブレード34によるノズル面11aのワイプが行われた後でメンテナンスユニット3が左方向に移動する場合に、ワイプホーム検知センサ372からのセンサ信号の出力状態が未出力から出力に変化すると、制御部4の制御下でワイプ移動モータ36の駆動が停止されてメンテナンスユニット3の左方向への移動が停止される。このときのメンテナンスユニット3の位置がメンテナンスユニット3のホームポジションとなる。
なお、ホームポジションにメンテナンスユニット3が位置した状態では、その吸引キャップ31が、クリーニング作業時においてメンテナンスユニット3上方に移動してくる記録ヘッド11のノズル面11aの略真下に位置するようになっている。つまり、クリーニング作業時に記録ヘッド11が主走査方向に移動するだけで、記録ヘッド11のノズル面11aの略真下に吸引キャップ31が位置されることとなる。
【0050】
ワイプ完了検知センサ373は、ブレード34によるワイプの完了位置を検知する位置に配設されている。また、ワイプ完了検知センサ373は、ワイプ移動モータ36の駆動により右方向に移動するメンテナンスユニット3を検知してセンサ信号を制御部4に出力する。そして、例えばセンサ信号の出力状態が出力から未出力に変化すると、制御部4はワイプ移動モータ36を制御してその駆動を停止させることにより、メンテナンスユニット3の右方向への移動を停止させる。つまり、ワイプ完了検知センサ373のセンサ信号の出力状態が出力から未出力に変化した際のメンテナンスユニット3の位置、すなわちメンテナンスユニット3の移動範囲の右端が、ブレード34によるワイプ完了位置となる。
【0051】
ブレードクリーナ35は、ノズル面11aをワイプすることでインクの滴が付着したブレード34をワイプすることによりブレード34に付着したインクの滴をふき取るためのものである。
【0052】
図2に示すように、制御部4は、CPU(Central Processing Unit)41と、RAM(Random Access Memory)42と、ROM(Read Only Memory)43と、インターフェイス(I/F)44等から構成されており、インターフェイス44を介して中間タンクモータ22、中間タンクup検知センサ251、中間タンクdown検知センサ252、キャリッジモータ12、キャリッジ待避検知センサ131、キャリッジホーム検知センサ132、キャリッジdown検知センサ133、吸引ポンプ32、大気連通弁33、ワイプ移動モータ36、ワイプ待避検知センサ371、ワイプホーム検知センサ372、ワイプ完了検知センサ373が電気的に接続されている。
【0053】
また、制御部4は、インクジェットプリンタ100の動作全体を制御するものであるが、中間タンクモータ22を制御することにより、吐出口112内のインクの圧力であるインク背圧を制御する。すなわち、制御部4の制御下で中間タンクモータ22が駆動して、中間タンク21を上下方向Aに移動させることで、中間タンク21内に貯留されているインクの液面の高さを上下動させる。このとき、中間タンク21内のインク液面の高さをノズル面11aと同じ高さとすることによりインク背圧をゼロとし、前記インク液面の高さをノズル面11aより高くすることでインク背圧を正圧として、前記インク液面の高さをノズル面11aより低くすることでインク背圧を負圧とする。
このように、制御部4と中間タンクモータ22とによって、インク背圧を制御する背圧制御手段が構成されている。
【0054】
CPU41は、ROM43に格納されている各種プログラムの中から指定されたプログラムをRAM42内の作業領域に展開し、このプログラムに従った各種処理を実行する。
RAM42は、電力が供給されている間だけ入力された各種データ等を複数記憶可能な記憶領域やCPU41による作業領域等が備えられている。
ROM43には、インク背圧の制御にかかる各種データや、インクジェットプリンタ100の各部の動作に関する各種制御プログラムや制御データなどが書き込まれている。
【0055】
次に、上記記録ヘッド11のクリーニング作業時におけるインク背圧の制御について、図3及び図4を参照して詳細に説明する。
ここで、図3は、記録ヘッド11のクリーニング作業においてインクジェットプリンタ100に備わる各構成要素の動作タイミングを示すタイムチャートであり、図4は、記録ヘッド11のクリーニング作業時の状態を説明するための模式図である。
【0056】
この記録ヘッド11のクリーニング作業は、例えば、記録ヘッド11が記録媒体に所定量画像形成を行った後や、図示しない吐出口センサが吐出口112の目詰まりを検知した際、或いはインクジェットプリンタ100の電源投入時等をクリーニング作業の開始タイミングとして、制御部4の制御下で行われる。
【0057】
制御部4は、クリーニング作業の開始タイミングとなると、キャリッジを制御して、クリーニングされる記録ヘッド11をメンテナンスユニット3上方まで移動させて、記録ヘッド11のノズル面11aとメンテナンスユニット3の吸引キャップ31とを対向させる。
そして、図3に示すように、タイミングT0において、制御部4は、大気連通弁33を制御して大気連通弁33を開状態(open)とするのに同期して、キャリッジモータ12を制御してキャリッジを下方向への移動を開始させるとともに、中間タンクモータ22を制御して中間タンク21を上方向への移動を開始させる。このとき、キャリッジdown検知センサ133はキャリッジを検知して、センサ信号を制御部4に対して出力した状態となっている。
【0058】
次に、タイミングT1において、キャリッジdown検知センサ133のセンサ信号の出力状態が出力から未出力に変化すると、このセンサ信号の出力状態の変化を契機として、制御部4は、キャリッジモータ12を制御することでキャリッジの下方向への移動を停止させる。このとき、記録ヘッド11のノズル面11aに吸引キャップ31が装着された状態となる(図4(a)参照)。
また、タイミングT1において、制御部4は、大気連通弁33を制御して大気連通弁33を閉状態(close)とする。
【0059】
タイミングT1から所定期間(例えば、200mS)P1経過したタイミングT2において、制御部4は、吸引ポンプ32を制御して記録ヘッド11内部のインクの吸引を開始させる。具体的には、吸引ポンプ32が作動することにより、吸引キャップ31とノズル面11aとにより形成された空間内部を減圧して、吐出口112を介してノズル111内に残留している気泡やノズル面11aに付着したごみ等をインクとともに吸引する。このとき、吸引されたインク(以下、「廃インク」という。)は、インク吸引により泡立って気泡が生じた状態でインク回収部312内に回収される(図4(a)及び図4(b)参照)。
【0060】
インク吸引が開始された後タイミングT3において、中間タンクup検知センサ251のセンサ信号の出力状態が未出力から出力に変化すると、このセンサ信号の出力状態の変化を契機として、制御部4は、中間タンクモータ22を制御して中間タンク21の上方向への移動を停止させる。このとき、中間タンク21内のインク液面がノズル面11aよりも所定の高さ高くなった状態となり、インク背圧が正圧となっている。
ここで、中間タンク21の上方向への移動は、インク吸引が完了するまでに完了するようになっている。すなわち、中間タンク21が上方向へ移動することでインク背圧が負圧から正圧へと変化するようになっている。しかしながら、インク吸引の完了後に、中間タンク21の上方向への移動が完了していないで、中間タンク21内のインク液面がノズル面11aよりも低くなった状態では、インク背圧が負圧となっており、吐出口112内の圧力が前記空間内部の圧力よりも小さくなる虞があるため、これにより生じることになる吐出口112内へのインクの逆流を防止するためである。
【0061】
そして、タイミングT2から所定期間(例えば、3秒間)P2経過したタイミングT4において、制御部4は、吸引ポンプ32を制御してインクの吸引を停止させる。これによりインクの吸引が完了する。このとき、インク回収部312内は、気泡を含んだ廃インクで満たされた状態となっており、ノズル面11aに気泡を含んだ廃インクが付着した状態となっている(図4(b)参照)。
【0062】
次に、タイミングT4から所定期間(例えば、5秒間)P3経過したタイミングT5において、制御部4は、大気連通弁33を制御して、大気連通弁33を開状態とすることで吸引キャップ31内に大気を連通させる。ここで、吸引キャップ31とノズル面11aとにより形成された空間内部が大気圧に近づくように加圧されることになるため、ノズル面11aに付着した廃インクがノズル111内に吸い込まれる向き(上向き)に圧力が加わることになる。しかしながら、インク背圧が正圧となっているために、吐出口112内の圧力が前記空間内部の圧力よりも大きくなっており、吐出口112を介するノズル111内への廃インクの吸い込みは生じない。
【0063】
その後、タイミングT5から所定期間(例えば、500mS)P4経過したタイミングT6において、制御部4は、キャリッジモータ12を制御して、キャリッジの上方向への移動を開始させることでノズル面11aを吸引キャップ31から乖離させる(図4(c)参照)。ここで、キャリッジが上方向に移動することでノズル面11aと中間タンク21内部のインク液面との高さが変化することになるが、キャリッジが移動範囲の上端となる位置まで移動しても中間タンク21のインク液面の方がノズル面11aよりも高くなるようになっている。これにより、キャリッジが移動範囲の上端に位置してもインク背圧は正圧に保持されることとなる。
【0064】
また、キャリッジが上方向に移動するのに伴って、キャリッジdown検知センサ133、キャリッジホーム検知センサ132、キャリッジ待避検知センサ131の順に、各センサから出力されるセンサ信号の出力状態が未出力から出力へと変化していく。
そして、タイミングT7において、キャリッジ待避検知センサ131のセンサ信号の出力状態が未出力から出力に変化すると、このセンサ信号の出力状態の変化を契機として、制御部4は、キャリッジモータ12を制御してキャリッジの上方向への移動を停止させるとともに、大気連通弁33を制御して大気連通弁33を閉状態とする。
また、タイミングT7において、制御部4は、吸引ポンプ32を制御してインク回収部312内に回収されているインクの吸引(空吸引)を開始させるとともに、ワイプ移動モータ36を制御してメンテナンスユニット3を左方向への移動を開始させる。
【0065】
そして、タイミングT8において、ワイプ待避検知センサ371のセンサ信号の出力状態が未出力から出力に変化すると、このセンサ信号の出力状態の変化を契機として、制御部4は、ワイプ移動モータ36を制御してメンテナンスユニット3の左方向への移動を停止させる。これにより、ブレード34が記録ヘッド11のノズル面11aよりも左側に待避した(ワイプ待避)状態となる。
また、タイミングT8において、制御部4は、キャリッジモータ12を制御して、キャリッジの下方向への移動を開始させる。このとき、キャリッジが下方向に移動するのに伴って、キャリッジ待避検知センサ131、キャリッジホーム検知センサ132の順に、各センサから出力されるセンサ信号の出力状態が出力から未出力へと変化していく。
そして、タイミングT9において、キャリッジホーム検知センサ132のセンサ信号の出力状態が出力から未出力に変化すると、このセンサ信号の出力状態の変化を契機として、制御部4は、キャリッジモータ12を制御してキャリッジの下方向への移動を停止させる。
また、タイミングT9において、制御部4は、ワイプ移動モータ36を制御して、メンテナンスユニット3の右方向への移動(ワイプ行き)を開始することでブレード34によるノズル面11aのワイプを開始させる(図4(d)参照)。なお、ブレード34によるノズル面11aのワイプが開始されることによって、ワイプ待避検知センサ371からのセンサ信号の出力状態が出力から未出力へと変化する。
【0066】
また、ブレード34によるノズル面11aのワイプに伴って、ワイプホーム検知センサ372、ワイプ完了検知センサ373の順に、各センサから出力されるセンサ信号の出力状態が出力から未出力へと変化していく。
そして、タイミングT10において、ワイプ完了検知センサ373のセンサ信号の出力状態が出力から未出力に変化すると、このセンサ信号の出力状態の変化を契機として、制御部4は、ワイプ移動モータ36を制御して、メンテナンスユニット3の右方向への移動を停止させる。これによってブレード34によるノズル面11aのワイプを完了する。
また、タイミングT10において、制御部4は、中間タンクモータ22を制御して、中間タンク21の下方向への移動を開始させることで、正圧となっているインク背圧を負圧に近づけるようにする。そして、タイミングT10からしばらく経過すると、中間タンクモータ22の下方向への移動に伴って、中間タンクup検知センサ251のセンサ信号の出力状態が出力から未出力に変化する。
【0067】
また、タイミングT10から所定期間(例えば、500mS)P5経過したタイミングT11において、制御部4は、ワイプ移動モータ36を制御してメンテナンスユニット3の左方向への移動を開始させる。このとき、メンテナンスユニット3が左方向に移動するのに伴って、ワイプ完了検知センサ373、ワイプホーム検知センサ372の順に、各センサから出力されるセンサ信号の出力状態が未出力から出力へと変化していく。
そして、タイミングT12において、ワイプホーム検知センサ372からのセンサ信号の出力状態が未出力から出力に変化すると、このセンサ信号の出力状態の変化を契機として、制御部4は、ワイプ移動モータ36を制御してメンテナンスユニット3の左方向への移動を停止させることでメンテナンスユニット3をホームポジションに復帰させる。また、タイミングT12において、制御部4は、吸引ポンプ32を制御して空吸引を停止させる。
【0068】
そして、タイミングT12からしばらく経過したタイミングT13において、中間タンクdown検知センサ252からのセンサ信号の出力状態が未出力から出力に変化すると、このセンサ信号の出力状態の変化を契機として、制御部4は、中間タンクモータ22を制御して中間タンク21の下方向への移動を停止させる。このとき、中間タンク21内のインク液面がノズル面11aよりも所定の高さ低くなっているため、インク背圧が適度な負圧となっている。これにより、吐出口112からインクが滲み出ることを防止できる。
このようにして、記録ヘッド11が確実にクリーニングされることになる。
【0069】
以上のように、本実施の形態のインクジェットプリンタ100によれば、吸引キャップ31内への大気の連通が開始される前、すなわち吸引ポンプ32によるインク吸引が開始されてからブレード34によるノズル面11aのワイプが完了するまでの間、記録ヘッド11のノズル面11aに対する中間タンク21の高さを高くすることによってインク背圧を正圧とするので、インク吸引作業において、気泡を含んだ廃インクの滴がノズル面11aに付着しても、このノズル面11aに付着した気泡を含んだ廃インクが吐出口112を介してノズル111内に吸い込まれることを防止できる。これにより、気泡を含んだ廃インクのノズル111内における固化等に起因して、その後のインク吐出動作において発生するノズル欠や射出曲がり等のノズル111の吐出不良を防止することができる。
また、インク背圧の制御を、記録ヘッド11のノズル面11aに対する中間タンク21の高さを変更するだけで、中間タンク21内のインクと記録ヘッド11のノズル面11aとの水頭差を利用して行うことができ、背圧制御手段の構造を簡略化できコストを低減できる。
【0070】
さらに、記録ヘッド11のクリーニング時において、吸引キャップ31内への大気の連通が開始される前からノズル面11aのワイプが完了するまでの間は、中間タンク21のインク液面がノズル面11aよりも所定の高さ高くなるように中間タンク21を移動させることで、インク背圧が正圧となってノズル面11aに付着した廃インクのノズル111内への吸い込みを防止する。そして、ブレード34によるノズル面11aのワイプの完了後には、中間タンク21のインク液面がノズル面11aよりも所定の高さ低くなるように中間タンク21を移動させることで、インク背圧が適度な負圧となって吐出口112からのインクの滲みを防止する。このように、記録ヘッド11のクリーニングを確実に行うことができ、その後の画像形成において、確実且つ正確なインク吐出を行える。
また、吸引キャップ31内に大気が連通されても、廃インクがノズル111内に吸い込まれないため、ノズル111内への廃インクの吸い込み分を予め考慮してインクを所定量よりも多めに吸引する必要がなく、吸引される廃インク量を減少することができる。すなわち、吸引されるインクの量に応じて設定されるインク回収部312の容積を小さくでき、これにより吸引キャップ31の小型化を図ることができる。
【0071】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行っても良い。
例えば、上記実施の形態では、各種センサを用いて中間タンク21及び記録ヘッド11の上下方向に沿った位置やメンテナンスユニット3の左右方向に沿った位置を制御するようにしたが、これに限られるものではなく、例えばステッピングモータのパルス数を用いて中間タンク21、記録ヘッド11及びメンテナンスユニット3の位置を制御するようにしても良い。
【0072】
また、上記実施の形態では、吸引キャップ31内への大気の連通が開始される前からノズル面11aのワイプが完了するまでの間、吐出口112内へのインクの逆流を阻止するため、インク背圧が正圧となるようにインク背圧を制御するようにしたが、これに限られるものではない。例えば、吸引キャップ31とノズル面11aとにより形成された空間内部の圧力と吐出口112内の圧力とが等しくなるようにインク背圧を制御することで、吐出口112内へのインクの逆流を阻止しても良く、このようにしても、ノズル面11aに付着した廃インクのノズル111内への吸い込みを防止することが可能となる。
【0073】
さらに、上記実施の形態では、インク吸引が開始された後タイミングT3において、中間タンクモータ22を停止するようにしたが、これに限られるものではなく、インクの吸引が完了するまでに中間タンク21の上方向への移動が完了しさえすれば良い。そのため、中間タンク21の上方向への移動にかかる時間がインク吸引が完了するまでにかかる時間よりも長くなる場合には、中間タンク21の上方向への移動が完了してからインクの吸引を開始するようにしても良い。
【0074】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、キャップ部材内への大気の連通が開始される前からブレードによる記録ヘッドの一面のワイプが完了するまでの間、背圧制御手段が吐出口内へのインクの逆流が阻止されるようにインク背圧を制御することにより、吐出口内の圧力が前記空間内部の圧力と略等しいか、この圧力よりも大きくなる。これにより、インク吸引作業において吸引されたインク(以下、「廃インク」という。)の滴が記録ヘッドの一面に付着しても、この一面に付着した廃インクが吐出口を介してノズル内に吸い込まれることを防止できる。特に、吐出口からインクが吸引されることで廃インクが泡立ってこの廃インクに気泡が含まれることになるが、この気泡を含んだ廃インクが記録ヘッドの一面に付着した場合であっても、前記一面に付着した気泡を含んだ廃インクが吐出口を介してノズル内に吸い込まれることはなくなる。従って、気泡を含んだ廃インクのノズル内における固化等に起因して、その後のインク吐出動作において発生するノズル欠や射出曲がり等のノズルの吐出不良を防止することができる。
また、キャップ部材内に大気が連通されても、廃インクがノズル内に吸い込まれないため、ノズル内への廃インクの吸い込み分を予め考慮してインクを所定量よりも多めに吸引する必要がなく、吸引される廃インク量を減少することができる。これにより、キャップ部材内の吸引されたインクが回収される部分の容積を小さくして、キャップ部材の小型化を図ることができる。
【0075】
請求項2に記載の発明によれば、背圧制御手段が記録ヘッドに対するインク貯留部の高さを変更するだけで、インク貯留部内のインクと記録ヘッドの一面との水頭差を利用して記録ヘッド内部のインク背圧を制御できる。従って、背圧制御手段の構造を簡略化できコストを低減できる。
【0076】
請求項3に記載の発明によれば、ブレードによる記録ヘッドの一面のワイプの完了後に、背圧制御手段がインク背圧を制御することでインク背圧が所望の負圧となって吐出口からのインクの滲みを防止することができる。従って、記録ヘッドのクリーニングを確実に行うことができ、その後の画像形成において、確実且つ正確なインク吐出を行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用された一実施の形態として例示されるインクジェットプリンタの主要部を示す模式図である。
【図2】図1のインクジェットプリンタに備わる制御部の主要制御ブロック図である。
【図3】図1のインクジェットプリンタに備わる記録ヘッドのクリーニング作業においてインクジェットプリンタの各構成要素の動作タイミングの一例を示すタイムチャートである。
【図4】図1のインクジェットプリンタにおける記録ヘッドのクリーニング作業の状態を説明するための模式図である。
【図5】従来のインクジェットプリンタにおける記録ヘッドのクリーニング作業の状態を説明するための模式図である。
【符号の説明】
100 インクジェットプリンタ
1 ヘッド部
11 記録ヘッド
11a ノズル面(一面)
111 ノズル
112 吐出口
2 インク供給部
21 中間タンク(インク貯留部)
22 中間タンクup/downモータ(背圧制御手段)
3 メンテナンスユニット
31 吸引キャップ(キャップ部材)
32 吸引ポンプ
33 大気連通弁(大気連通手段)
34 ブレード
4 制御部(背圧制御手段)
Claims (3)
- 記録媒体に向けてインクを吐出するノズルの吐出口が設けられた記録ヘッドと、インク吸引作業時に前記吐出口を覆うように前記記録ヘッドに装着されるキャップ部材と、前記キャップ部材を介して前記吐出口からインクを吸引する吸引ポンプと、インク吸引作業後に前記記録ヘッドに前記キャップ部材が装着された状態で、前記キャップ部材内に大気を連通させる大気連通手段と、前記大気連通手段により前記キャップ部材内に大気を連通させた後に前記吐出口が設けられた一面をワイプするブレードとを備えるインクジェットプリンタにおいて、
インク背圧を制御する背圧制御手段を備え、
前記背圧制御手段は、前記キャップ部材内への大気の連通が開始される前から前記一面のワイプが完了するまでの間、前記吐出口内へのインクの逆流を阻止するようにインク背圧を制御することを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 請求項1に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記記録ヘッドに供給されるインクを貯留するインク貯留部を備え、
前記背圧制御手段は、前記記録ヘッドに対する前記インク貯留部の相対的な高さを変更することでインク背圧を制御することを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 請求項1又は2に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記背圧制御手段は、前記ブレードによる前記一面のワイプの完了後、インク背圧が所望の負圧となるようにインク背圧を制御することを特徴とするインクジェットプリンタ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002212331A JP2004050674A (ja) | 2002-07-22 | 2002-07-22 | インクジェットプリンタ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002212331A JP2004050674A (ja) | 2002-07-22 | 2002-07-22 | インクジェットプリンタ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004050674A true JP2004050674A (ja) | 2004-02-19 |
Family
ID=31935293
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002212331A Pending JP2004050674A (ja) | 2002-07-22 | 2002-07-22 | インクジェットプリンタ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004050674A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008221467A (ja) * | 2007-03-08 | 2008-09-25 | Konica Minolta Holdings Inc | インクジェット記録装置 |
JP2018094786A (ja) * | 2016-12-13 | 2018-06-21 | 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 | 記録ヘッドの回復システム及びそれを備えたインクジェット記録装置、並びに記録ヘッドの回復方法 |
-
2002
- 2002-07-22 JP JP2002212331A patent/JP2004050674A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2008221467A (ja) * | 2007-03-08 | 2008-09-25 | Konica Minolta Holdings Inc | インクジェット記録装置 |
JP2018094786A (ja) * | 2016-12-13 | 2018-06-21 | 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 | 記録ヘッドの回復システム及びそれを備えたインクジェット記録装置、並びに記録ヘッドの回復方法 |
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