JP2003009854A - エンブリオイドボディ形成方法及びその用途 - Google Patents

エンブリオイドボディ形成方法及びその用途

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JP2003009854A
JP2003009854A JP2002106737A JP2002106737A JP2003009854A JP 2003009854 A JP2003009854 A JP 2003009854A JP 2002106737 A JP2002106737 A JP 2002106737A JP 2002106737 A JP2002106737 A JP 2002106737A JP 2003009854 A JP2003009854 A JP 2003009854A
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Atsunobu Hiraoka
篤信 平岡
Mitsuo Sato
光男 佐藤
Seiji Sugimoto
整治 杉本
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KH Neochem Co Ltd
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Kyowa Hakko Kogyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 血清培地、無血清培地のいずれを用いても、
また胚性幹細胞の密度が比較的低くとも、高効率で安定
的にエンブリオイドボディを形成できる、胚性幹細胞か
らエンブリオイドボディを形成する方法を提供するこ
と、さらに細胞及び臓器移植医療に利用可能である機能
性細胞を胚性幹細胞から分化誘導する方法、該方法のた
めに用いる培地及び分化誘導剤、該分化誘導した細胞、
並びにこれらの利用方法を提供すること。 【解決手段】 胚性幹細胞を、特定の因子を含む培地を
用いて培養する工程を含むことを特徴とする、胚性幹細
胞からエンブリオイドボディを形成する方法、該方法の
ために用いるための培地及び分化誘導剤、該方法を用い
た分化細胞の誘導方法、該分化誘導した細胞、並びにそ
れらの利用。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、胚性幹細胞からエ
ンブリオイドボディを形成する方法、及び/又は胚性幹
細胞から機能性細胞を分化誘導する方法に関する。さら
に詳細には、本発明は、血清培地、無血清培地のいずれ
を用いても、また胚性幹細胞の密度が比較的低くとも、
高効率で安定的にエンブリオイドボディを形成する方
法、さらには分化細胞を誘導可能な胚性幹細胞の培養方
法、該方法のために用いる培地及び分化誘導剤、該分化
誘導した細胞、並びにそれらの利用法に関する。
【0002】
【従来の技術】胚性幹細胞(embryonic stem cell)と
は、インビトロ(in vitro)において培養することが可
能で、かつ、他の個体の着床以前の胚、例えば、胚盤胞
腔中に注入すると生殖細胞をも含むすべての細胞に分化
できる細胞である。
【0003】胚性幹細胞は胚幹細胞あるいはES細胞と
も呼ばれ、胚盤胞の内部に存在する未分化幹細胞である
内部細胞塊を構成している細胞を培養に移し、頻繁に細
胞塊の解離と継代を繰り返すことで樹立できる。この細
胞は正常核型を維持しながらほぼ無限に増殖と継代を繰
り返すことが可能であり、内部細胞塊と同じようにあら
ゆる種類の細胞に分化することができる多分化能を保つ
ことが知られている。以下、本明細書においてES細胞
と記載した場合は、胚性幹細胞のうち、胚盤胞の内部細
胞塊より樹立された狭義の胚性幹細胞をさすものとす
る。
【0004】胚盤胞の内部細胞塊を通常の初代培養のよ
うに培養すると、ほとんどの場合、直に上皮様細胞に分
化してしまう。しかし、胎児から調整した初代繊維芽細
胞やSIHMマウス由来のSTO細胞などをフィーダー
細胞として用い(Gene Targeting, A Practical Approa
ch, IRL Press at Oxford University Press (1993);バ
イオマニュアルシリーズ8 ジーンターゲッティング,
ES細胞を用いた変異マウスの作製,羊土社 (1995))、
フィーダー細胞の上で適切な細胞密度を保ち、頻繁に培
養液を交換しながら細胞の解離と継代を繰り返すことで
未分化幹細胞の性質を保持したまま未分化状態を維持す
ることが可能となる(Manipulating theMouse Embryo A
Laboratory Manual, Second Edition, Cold Spring Ha
rbor Laboratory Press (1994))。ES細胞の未分化状
態を維持する因子として白血病阻害因子(leukaemia in
hibitory factor; 以下LIFとも略す)が同定されて
おり(A. G. Smith and M. L. Hooper; Dev. Biol., 12
1, 1, 1987; A. G. Smithら; Nature, 336, 688, 1988;
P. D. Rathjenら; Genes Dev., 4, 2308, 1990)、培
養液中にLIFを添加することによって、フィーダー細
胞を用いなくても全能性をもつES細胞を単離し培養す
ることが可能なことが報告されている(J.Nicholsら; D
evelopment, 110, 1341, 1990; S. Peaseら; Dev. Bio
l., 141, 344, 1990)。
【0005】ES細胞を、ES細胞と同系統の動物の皮
下などに移植すると、様々な組織が混ざり合った奇形腫
が形成されることが知られている(Manipulating the M
ouseEmbryo A Laboratory Manual, Second Edition, Co
ld Spring Harbor Laboratory Press (1994))。しかし
ながら、インビトロの培養において、ES細胞を凝集さ
せ、いったん擬似胚状態にしたエンブリオイドボディと
呼ばれる細胞塊(embryoid body; 以下、EBとも略
す)を形成させることによって分化を誘導し、内胚葉細
胞、外胚葉細胞、中胚葉細胞、血液細胞、内皮細胞、軟
骨細胞、骨格筋細胞、平滑筋細胞、心筋細胞、グリア細
胞、神経細胞、上皮細胞、メラノサイト、ケラチノサイ
ト、脂肪細胞など様々な各種分化細胞を出現させること
が可能であることが報告されている(G. M. Keller; Cu
rr. Opin. Cell Biol., 7, 862,1995; P. D. Rathjen
ら; Reprod. Fertil. Dev., 10, 31, 1998; C. Daniら;
J.Cell Sci., 110, 1279, 1997; S.-H. Leeら; Nat. B
iotechnol., 18, 675, 2000)。
【0006】通常、ES細胞からのEBの形成は、LI
Fおよび10〜20%のウシ胎児血清を含む培地中で未
分化状態で維持増殖させたES細胞を、トリプシン−E
DTA処理等でばらばらにした後、培養ディッシュに付
着しないように、何もコートしていないプラスチックデ
ィッシュ上で、LIFを除いた10〜20%のウシ胎児
血清を含む培地を用いて培養することにより行われてい
る。EBの形成は培地中に含まれる血清のロットによっ
て左右されることが経験的に知られており、血清中の何
らかの因子がES細胞からのEBの形成に影響を与えて
いることが示唆されている。このような因子の同定は未
だなされておらず、無血清培養状態でES細胞の分化増
殖を維持し、効率的にEBを形成させることは難しい。
ジョハンソン(Johansson)らは蛋白成分としてインス
リン、トランスフェリン、アルブミンを含有する無血清
培地を用いてEBの形成を試み、5,000個/mLの
細胞濃度で細菌培養用の培養器にES細胞を播種した結
果、約10〜20個のEBの形成が観察されるが72時
間以内に死滅してしまうことを報告している(B. M. Jo
hansson & M. V. Wiles; Mol. Cell. Biol., 15, 141,
1995)。この際、極微量のLIFの添加は生存率の延長
に有効だが長期の維持は難しい。また、彼らは、無血清
培地を用いてEBを形成させ分化を誘導する場合には播
種細胞密度が重要であり、10,000個/ml以上の細胞密
度ではES細胞の分化が阻害されることを明らかにして
いる。
【0007】最近、血清代替物として20%ノックアウ
トSR(ライフ・テクノロジーズ(Life Technologie
s)社製)を含有する培地中で、ES細胞からEBを形
成させたとする報告(M. Schuldinerら;Proc. Natl. A
cad. Sci. USA, 97, 11307, 2000)がなされたが、10
0mm径のプレートあたり107個、すなわち約1,0
00,000個/mLという高密度でES細胞を使用し
ており、効率的な分化誘導には成功していない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】以上のような背景か
ら、多分化能を保持したまま培養可能な未分化幹細胞か
ら目的とする機能性細胞を選択的に、かつ効率的に分化
誘導するための方法の開発が注目され様々な試みがなさ
れている。またその際、細胞医療の観点から、目的とす
る機能細胞を人為的にコントロールされた環境下、例え
ば、血清を用いない培養条件で誘導する方法の開発が望
まれている。しかしながら、胚性幹細胞を様々な機能性
細胞に分化させる為に重要なステップであるEBの形成
のメカニズムには不明な点が多く残されており、血清を
用いない培養状態で効率的にEBを誘導する方法は開発
されていない。無血清条件下で効率的に、かつ長期間培
養できるEBの形成が可能になれば、あるいは、血清を
用いる場合でも血清のロットに左右されず効率的に、か
つ長期間培養できるEBの形成が可能になれば、様々な
機能細胞の分化機構のより詳細な解析及び機能細胞自身
の供給が可能になり、細胞医療や再生医療に有用であ
る。
【0009】そこで本発明では、上述の観点を踏まえ、
血清培地、無血清培地のいずれを用いても、また胚性幹
細胞の密度が比較的低くとも、高効率で安定的にEBを
形成できる、胚性幹細胞からEBを形成する方法を提供
すること、さらに、細胞及び臓器移植医療に利用可能で
ある機能性細胞を胚性幹細胞から分化誘導する方法、該
方法のために用いる培地及び分化誘導剤、該分化誘導し
た細胞、並びにこれらの利用方法を提供することを解決
すべき課題とした。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、胚性幹細
胞の分化を引き起こす様々な培養条件を鋭意検討した結
果、無血清培養条件及び/又は血清培養条件で胚性幹細
胞からEBを効率的に形成する方法、それを用いた、外
胚葉、中胚葉、内胚葉由来の細胞を分化誘導する効率的
な方法を見出すことに成功し、本発明を完成するに至っ
た。
【0011】即ち、本発明は、以下の(1)〜(62)
に関する。 (1) 胚性幹細胞を造血幹細胞増殖因子(stem cell
growth factor)を含む培地を用いて培養する工程を含
むことを特徴とする、胚性幹細胞からエンブリオイドボ
ディを形成する方法。 (2) 該培地が血清を含む培地である(1)に記載の
方法。 (3) 該培地がさらに細胞外マトリックス蛋白質を含
む無血清培地である(1)に記載の方法。 (4) 該培地がさらに骨形成因子4(bone morphogen
etic protein 4)を含む培地である(3)に記載の方
法。
【0012】(5) 胚性幹細胞を骨形成因子4(bone
morphogenetic protein 4)および細胞外マトリックス
蛋白質を含む無血清培地で培養する工程を含むことを特
徴とする、胚性幹細胞からエンブリオイドボディを形成
する方法。 (6) 該培地が白血病阻害因子(leukaemia inhibito
ry factor)を含まない培地である(1)〜(5)のい
ずれか1項に記載の方法。 (7) 細胞外マトリックス蛋白質が以下の(a)、
(b)、(c)、(d)および(e)からなる群から選
ばれる少なくとも一つの蛋白質である(3)〜(6)の
いずれか1項に記載の方法。 (a)ゼラチン(gelatin); (b)ラミニン(laminin); (c)コラーゲンタイプI(collagen type I); (d)コラーゲンタイプIV(collagen type IV); (e)フィブロネクチン(fibronectin)。
【0013】(8) 細胞外マトリックス蛋白質がフィ
ブロネクチン(fibronectin)である(7)に記載の方
法。 (9) 該培地がさらに以下の(a)、(b)、
(c)、(d)からなる群から選ばれる少なくとも一つ
の蛋白質を含む培地である(1)、(2)および(6)
のいずれか1項に記載の方法。 (a)造血幹細胞因子(stem cell factor); (b)flk−2/flt3リガンド(flk-2/flt3 lig
and); (c)インターロイキン3(interleukin 3); (d)トロンボポイエチン(thrombopoietin)。
【0014】(10) 該培地がさらに以下の(a)、
(b)、(c)、(d)からなる群から選ばれる少なく
とも一つの蛋白質を含む培地である(3)、(4)、
(6)〜(8)のいずれか1項に記載の方法。 (a)造血幹細胞因子(stem cell factor); (b)flk−2/flt3リガンド(flk-2/flt3 lig
and); (c)インターロイキン3(interleukin 3); (d)トロンボポイエチン(thrombopoietin)。 (11) 該培地が、細胞外マトリックス蛋白質、造血
幹細胞増殖因子(stemcell growth factor)および造血
幹細胞因子(stem cell factor)を含む培地である(1
0)に記載の方法。 (12) 該培地が、細胞外マトリックス蛋白質、造血
幹細胞増殖因子(stemcell growth factor)、flk−
2/flt3リガンド(flk-2/flt3 ligand)、インタ
ーロイキン3(interleukin 3)およびトロンボポイエ
チン(thrombopoietin)を含む培地である(10)に記
載の方法。
【0015】(13) 細胞外マトリックス蛋白質が以
下の(a)、(b)、(c)、(d)および(e)から
なる群から選ばれる少なくとも一つの蛋白質である(1
0)〜(12)のいずれか1項に記載の方法。 (a)ゼラチン(gelatin); (b)ラミニン(laminin); (c)コラーゲンタイプI(collagen type I); (d)コラーゲンタイプIV(collagen type IV); (e)フィブロネクチン(fibronectin)。 (14) 細胞外マトリックス蛋白質がフィブロネクチ
ンである(13)に記載の方法。
【0016】(15) 該培地が無血清培地であり、胚
性幹細胞を播種する工程で、播種する細胞の濃度が25
00細胞/mL以上の細胞濃度であることを特徴とする
(7)または(8)に記載の方法。 (16) 該培地が無血清培地であり、胚性幹細胞を播
種する工程で、播種する細胞の濃度が2000細胞/m
L以上の細胞濃度であることを特徴とする(10)〜
(14)のいずれか1項に記載の方法。 (17) 該培地が無血清培地であり、胚性幹細胞を播
種する工程で、播種する細胞の濃度が1500細胞/m
L以上の細胞濃度であることを特徴とする(10)〜
(14)のいずれか1項に記載の方法。 (18) 該培地が無血清培地であり、胚性幹細胞を4
日間以上培養する工程を含むことを特徴とする、(3)
〜(8)、(10)〜(17)のいずれか1項に記載の
方法。
【0017】(19) (1)〜(18)のいずれか1
項に記載の方法を工程として含む胚性幹細胞より分化細
胞を誘導する方法。 (20) 分化細胞が、以下の(a)、(b)及び
(c)からなる群から選ばれる細胞である、(19)に
記載の方法。 (a)外胚葉細胞または外胚葉由来の細胞; (b)中胚葉細胞または中胚葉由来の細胞; (c)内胚葉細胞または内胚葉由来の細胞。 (21) 外胚葉由来の細胞が神経組織、松果体、副腎
髄質、色素体および表皮組織からなる群から選ばれる部
位を構成する細胞である、(20)に記載の方法。 (22) 中胚葉由来の細胞が筋組織、結合組織、骨組
織、軟骨組織、循環器、血液組織、真皮、泌尿器および
生殖器からなる群から選ばれる部位を構成する細胞であ
る、(20)に記載の方法。 (23) 内胚葉由来の細胞が、消化管、呼吸器、胸
腺、甲状腺、副甲状腺、膀胱、中耳、肝臓および膵臓か
らなる群から選ばれる部位を構成する細胞である、(2
0)に記載の方法。
【0018】(24) さらに以下の(a)、(b)、
(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)、
(i)、(j)、(k)、(l)、(m)、(n)、
(o)、(p)、(q)及び(r)からなる群から選ば
れる因子を単独あるいは複数含む培地を用いて培養する
ことを特徴とする、(19)〜(23)のいずれか1項
に記載の方法。 (a)インターロイキン3(interleukin 3); (b)トロンボポイエチン(thrombopoietin)。 (c)血管内皮増殖因子(vascular endothelial growt
h factor); (d)エリスロポイエチン(erythropoietin); (e)インターロイキン6(interleukin 6); (f)インターロイキン11(interleukin 11); (g)アクチビンA(activin A); (h)骨形成因子4(bone morphogenetic protein
4); (i)塩基性繊維芽細胞増殖因子(basic fibroblast g
rowth factor); (j)インターロイキン1(interleukin 1); (k)マクロファージコロニー刺激因子(macrophage c
olony-stimulating factor); (l)顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(granul
ocyte-macrophage colony- stimulating factor); (m)インターロイキン7(interleukin 7); (n)インターロイキン2(interleukin 2); (o)トランスフォーミング増殖因子β(transforming
growth factor-β); (p)神経成長因子(nerve growth factor); (q)レチノイン酸(retinoic acid); (r)ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide)。
【0019】(25) (1)〜(18)に記載の方法
で形成したエンブリオイドボディに由来する細胞を、血
清、インターロイキン3(interleukin 3)、エリスロ
ポイエチン(erythropoietin)、顆粒球マクロファージ
コロニー刺激因子(granulocyte-macrophage colony- s
timulating factor)およびトロンボポイエチン(throm
bopoietin)を含む培地を用いて培養することを特徴と
する、(22)に記載の方法。 (26) (1)〜(18)に記載の方法で形成したエ
ンブリオイドボディに由来する細胞を、血清およびイン
ターロイキン7(interleukin 7)を含む培地を用いて
培養することを特徴とする、(22)に記載の方法。 (27) (1)〜(18)に記載の方法で形成したエ
ンブリオイドボディに由来する細胞を、血清および血管
内皮増殖因子(vascular endothelial growthfactor)
を含む培地を用いて培養することを特徴とする、(2
2)に記載の方法。
【0020】(28) (1)〜(18)に記載の方法
で形成したエンブリオイドボディに由来する細胞を、血
清、インターロイキン3(interleukin 3)、エリスロ
ポイエチン(erythropoietin)、顆粒球マクロファージ
コロニー刺激因子(granulocyte-macrophage colony- s
timulating factor)およびトロンボポイエチン(throm
bopoietin)を含む培地を用いて培養することを特徴と
する、胚性幹細胞より造血幹細胞を誘導する方法。 (29) (1)〜(18)に記載の方法で形成したエ
ンブリオイドボディに由来する細胞を、血清およびイン
ターロイキン7(interleukin 7)を含む培地を用いて
培養することを特徴とする、胚性幹細胞よりB細胞を誘
導する方法。 (30) (1)〜(18)に記載の方法で形成したエ
ンブリオイドボディに由来する細胞を、血清および血管
内皮増殖因子(vascular endothelial growthfactor)
を含む培地を用いて培養することを特徴とする、胚性幹
細胞より血管内皮細胞を誘導する方法。 (31) 胚性幹細胞が、以下の(a)、(b)及び
(c)からなる群から選ばれる細胞である、(1)〜
(30)のいずれか1項に記載の方法。 (a)初期胚を培養することによって樹立した胚性幹細
胞; (b)体細胞の核を移植することによって作製された初
期胚を培養することによって樹立した胚性幹細胞; (c)(a)又は(b)の胚性幹細胞の染色体上の遺伝
子を遺伝子工学の手法を用いて改変した胚性幹細胞。
【0021】(32) (1)〜(4)、(6)〜(1
8)のいずれか1項に記載の方法で用いる、造血幹細胞
増殖因子(stem cell growth factor)を含む胚性幹細
胞を培養するための培地。 (33) 該培地がさらに血清を含む(32)に記載の
培地。 (34) 該培地がさらに細胞外マトリックス蛋白質を
含む無血清培地である(32)に記載の培地。 (35) 該培地がさらに骨形成因子4(bone morphog
enetic protein 4)を含む(34)に記載の培地。 (36) (5)記載の方法で用いる、骨形成因子4
(bone morphogenetic protein 4)および細胞外マトリ
ックス蛋白質を含む無血清培地である胚性幹細胞を培養
するための培地。 (37) 該培地が白血病阻害因子(leukaemia inhibi
tory factor)を含まない培地である(32)〜(3
6)のいずれか1項に記載の培地。
【0022】(38) 細胞外マトリックス蛋白質が以
下の(a)、(b)、(c)、(d)、(e)からなる
群から選ばれる少なくとも一つの蛋白質である(34)
〜(37)のいずれか1項に記載の培地。 (a)ゼラチン(gelatin); (b)ラミニン(laminin); (c)コラーゲンタイプI(collagen type I); (d)コラーゲンタイプIV(collagen type IV); (e)フィブロネクチン(fibronectin)。 (39) 細胞外マトリックス蛋白質がフィブロネクチ
ン(fibronectin)である(38)に記載の培地。 (40) 該培地がさらに以下の(a)、(b)、
(c)、(d)からなる群から選ばれる少なくとも一つ
の蛋白質を含む培地である(32)、(33)または
(37)に記載の培地。 (a)造血幹細胞因子(stem cell factor); (b)flk−2/flt3リガンド(flk-2/flt3 lig
and); (c)インターロイキン3(interleukin 3); (d)トロンボポイエチン(thrombopoietin)。
【0023】(41) 該培地が、細胞外マトリックス
蛋白質、造血幹細胞増殖因子(stemcell growth facto
r)および以下の(a)、(b)、(c)、(d)から
なる群から選ばれる少なくとも一つの蛋白質を含む培地
である(34)、(35)および(37)〜(39)の
いずれか1項に記載の培地。 (a)造血幹細胞因子(stem cell factor); (b)flk−2/flt3リガンド(flk-2/flt3 lig
and); (c)インターロイキン3(interleukin 3); (d)トロンボポイエチン(thrombopoietin)。 (42) 該培地が、細胞外マトリックス蛋白質、造血
幹細胞増殖因子(stemcell growth factor)および造血
幹細胞因子(stem cell factor)を含む培地である(4
1)に記載の培地。 (43) 該培地が、細胞外マトリックス蛋白質、造血
幹細胞増殖因子(stemcell growth factor)、flk−
2/flt3リガンド(flk-2/flt3 ligand)、インタ
ーロイキン3(interleukin 3)およびトロンボポイエ
チン(thrombopoietin)を含む培地である(41)に記
載の培地。 (44) 細胞外マトリックス蛋白質が以下の(a)、
(b)、(c)、(d)、(e)からなる群から選ばれ
る少なくとも一つの蛋白質である(41)〜(43)に
記載の培地。 (a)ゼラチン(gelatin); (b)ラミニン(laminin); (c)コラーゲンタイプI(collagen type I); (d)コラーゲンタイプIV(collagen type IV); (e)フィブロネクチン(fibronectin)。 (45) 細胞外マトリックス蛋白質がフィブロネクチ
ンである(44)に記載の培地。
【0024】(46) 造血幹細胞増殖因子(stem cel
l growth factor)を有効成分として含む胚性幹細胞か
ら分化細胞を誘導するための分化誘導剤。 (47) さらに以下の(a)〜(y)からなる群から
選ばれる少なくとも一つの因子を有効成分として含む
(46)に記載の分化誘導剤。 (a)造血幹細胞因子(stem cell factor); (b)flk−2/flt3リガンド(flk-2/flt3 lig
and); (c)インターロイキン3(interleukin 3); (d)トロンボポイエチン(thrombopoietin); (e)血管内皮増殖因子(vascular endothelial growt
h factor); (f)エリスロポイエチン(erythropoietin); (g)インターロイキン6(interleukin 6); (h)インターロイキン11(interleukin 11); (i)アクチビンA(activin A); (j)骨形成因子4(bone morphogenetic protein
4); (k)塩基性繊維芽細胞増殖因子(basic fibroblast g
rowth factor); (l)インターロイキン1(interleukin 1); (m)マクロファージコロニー刺激因子(macrophage c
olony-stimulating factor); (n)顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(granul
ocyte-macrophage colony- stimulating factor); (o)インターロイキン7(interleukin 7); (p)インターロイキン2(interleukin 2); (q)トランスフォーミング増殖因子β(transforming
growth factor-β); (r)神経成長因子(nerve growth factor); (s)レチノイン酸(retinoic acid); (t)ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide); (u)ゼラチン(gelatin); (v)ラミニン(laminin); (w)コラーゲンタイプI(collagen type I); (x)コラーゲンタイプIV(collagen type IV); (y)フィブロネクチン(fibronectin)。
【0025】(48) (1)〜(18)のいずれか1
項に記載の方法により得られるエンブリオイドボディ。 (49) (19)〜(31)のいずれか1項に記載の
方法を用いることにより誘導される分化細胞。
【0026】(50) 被験物質存在下および該被験物
質非存在下で、(1)〜(31)のいずれか1項に記載
の方法を用い、該被験物質存在下と該被験物質非存在下
での胚性幹細胞から分化細胞までの分化過程を比較する
ことを特徴とする、胚性幹細胞から分化細胞までの分化
過程における調節に関する物質の評価方法。 (51) 被験物質存在下および該被験物質非存在下
で、(1)〜(31)のいずれか1項に記載の方法を用
い、該被験物質存在下と該被験物質非存在下での胚性幹
細胞から分化細胞までの分化過程を比較することを特徴
とする、胚性幹細胞から分化細胞までの分化過程におけ
る調節に関する物質のスクリーニング方法。 (52) 被験物質存在下および該被験物質非存在下
で、(49)に記載の細胞を培養し、該被験物質存在下
と該被験物質非存在下での胚性幹細胞から分化した細胞
の機能を比較することを特徴とする、該分化細胞の機能
の調節に関連する物質の評価方法。 (53) 被験物質存在下および該被験物質非存在下
で、(49)に記載の細胞を培養し、該被験物質存在下
と該被験物質非存在下での胚性幹細胞から分化した細胞
の機能を比較することを特徴とする、該分化細胞の機能
の調節に関連する物質のスクリーニング方法。
【0027】(54) (46)または(47)に記載
の分化誘導剤を含む医薬。 (55) (49)に記載の分化細胞を含む医薬。 (56) 以下の(a)、(b)及び(c)からなる群
から選ばれる細胞の障害に基づく疾患の診断、予防およ
び/または治療のための医薬である、(54)または
(55)に記載の医薬。 (a)外胚葉由来の細胞; (b)中胚葉由来の細胞; (c)内胚葉由来の細胞 。 (57) 外胚葉由来の細胞の障害に基づく疾患が、神
経組織、松果体、副腎髄質、色素細胞および表皮組織か
らなる群から選ばれる部位を構成する細胞の障害に基づ
く疾患である、(56)に記載の医薬。 (58) 中胚葉由来の細胞の障害に基づく疾患が、筋
組織、結合組織、骨組織、軟骨組織、循環器、血液組
織、真皮、泌尿器および生殖器からなる群から選ばれる
部位を構成する細胞の障害に基づく疾患である、(5
6)に記載の医薬。 (59) 内胚葉由来の細胞の障害に基づく疾患が、消
化管、呼吸器、胸腺、甲状腺、副甲状腺、膀胱、中耳、
肝臓および膵臓からなる群から選ばれる部位を構成する
細胞の障害に基づく疾患である、(56)に記載の医
薬。
【0028】(60) 神経組織を構成する細胞の障害
に基づく疾患がアルツハイマー病、ハンチントン舞踏
病、パーキンソン病、虚血性脳疾患、てんかん、ダウン
症候群、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、神経外傷
または神経毒物の障害に起因する疾患であり、松果体を
構成する細胞の障害に基づく疾患が松果体症または松果
体機能不全であり、副腎髄質を構成する細胞の障害に基
づく疾患が副腎機能欠如症または副腎炎であり、色素細
胞の障害に基づく疾患が色素異常症または色素過剰症で
あり、表皮組織を構成する細胞の障害に基づく疾患が火
傷、外傷、創傷治癒、床擦れ、皮膚炎、表皮症または乾
せんである、(57)に記載の医薬。
【0029】(61) 筋組織を構成する細胞の障害に
基づく疾患が筋肉不全症、筋無緊張症または重症筋無力
症であり、結合組織を構成する細胞の障害に基づく疾患
が結合組織病、結合組織炎または糖尿病であり、骨組織
を構成する細胞の障害に基づく疾患が骨粗鬆症、骨関節
炎、骨形成異常症、骨硬化症、骨髄炎または骨形成不全
症であり、軟骨組織を構成する細胞の障害に基づく疾患
が変形関節炎、慢性関節リウマチ、軟骨形成不全症、軟
骨発育不全症または軟骨形成異常症であり、循環器を構
成する細胞の障害に基づく疾患が心筋梗塞、脳梗塞、末
梢血管閉鎖症、SLE、狭心症、高血圧症、高脂血症、
糖尿病、糖尿病性網膜症、糸球体腎炎、動脈硬化、再狭
窄、血栓、虚血性心疾患、虚血性脳疾患、心不全、うっ
血または脈絡膜循環障害であり、血液組織を構成する細
胞の障害に基づく疾患がHIV感染、敗血症、移植片―
対―宿主疾患、アレルギー、アトピー、喘息、花粉症、
気道過敏または自己免疫疾患であり、真皮を構成する細
胞の障害に基づく疾患が火傷、外傷、皮膚炎または乾せ
んであり、泌尿器を構成する細胞の障害に基づく疾患が
溶血性尿毒症症候群または腎炎であり、生殖器を構成す
る細胞の障害に基づく疾患が性器発育不全症または性器
発育異常である、(58)に記載の医薬。
【0030】(62) 消化管を構成する細胞の障害に
基づく疾患が胃潰瘍、胃炎または十二指腸潰瘍であり、
呼吸器を構成する細胞の障害に基づく疾患が肺気腫、肺
水腫、肺炎、気管支炎または気管支喘息であり、胸腺を
構成する細胞の障害に基づく疾患が胸腺炎、胸腺リンパ
形成不全症または胸腺機能減退症であり、甲状腺を構成
する細胞の障害に基づく疾患が甲状腺無形成症または甲
状腺機能不全症であり、副甲状腺を構成する細胞の障害
に基づく疾患が副甲状腺機能低下症であり、膀胱を構成
する細胞の障害に基づく疾患が膀胱炎または膀胱破裂で
あり、中耳を構成する細胞の障害に基づく疾患が中耳炎
であり、肝臓を構成する細胞の障害に基づく疾患が肝臓
紫斑病、慢性B型肝炎またはC型肝炎であり、膵臓を構
成する細胞の障害に基づく疾患が糖尿病である、(5
9)に記載の医薬。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施態様および実
施方法について詳細に説明する。
【0032】本発明において、胚性幹細胞とは、インビ
トロにおいて培養することが可能で、かつ、生体を構成
するすべての細胞に分化しうる多分化能を有する細胞を
包含する。その例としては、(a):初期胚を培養する
ことによって樹立した哺乳動物等の胚性幹細胞が挙げら
れ、具体的には、初期胚を構成する内部細胞塊より樹立
された細胞であるES細胞、始原生殖細胞から樹立され
た細胞であるEG細胞(embryonic germ cell)、着床
以前の初期胚の多分化能を有する細胞集団(例えば、原
始外胚葉)を培養することによって得られる細胞、悪性
奇形腫より樹立された細胞である胚性癌腫細胞(embryo
nal carcinoma cell; 以下EC細胞とも略す)等が挙げ
られる。本発明における胚性幹細胞としては、上記
(a)の胚性幹細胞、(b)体細胞の核を核移植するこ
とによって作製された初期胚を培養することによって樹
立した胚性幹細胞、または(c)(a)あるいは(b)
の胚性幹細胞の染色体上の遺伝子を遺伝子工学の手法を
用いて改変した胚性幹細胞を包含する。
【0033】ES細胞と同様の機能を有するEG細胞お
よびEC細胞について、ES細胞との関係を以下に説明
する。
【0034】EG細胞は、始原生殖細胞を培養する際に
塩基性繊維芽細胞増殖因子(basicfibroblast growth f
actor)を加えることにより出現したES細胞に類似し
た細胞から樹立された細胞株である(Y. Matsuiら; Cel
l, 70, 841, 1992; J. L. Resnicら; Nature, 359, 55
0, 1992)。このEG細胞は、生殖系列キメラの形成に
寄与できる能力を有しており(C. L. Stewartら; Dev.
Biol., 161, 626, 1994;P. A. Laboskyら; Developmen
t, 120, 3197, 1994)、ES細胞が有する未分化幹細胞
としての性質を有していることが明らかにされている。
未分化幹細胞と生殖細胞にはかなり共通した性質があ
り、増殖や分化の制御状態変化によって比較的容易に相
互変換できると考えられている。
【0035】EC細胞は、悪性奇形腫(teratocarcinom
a)よりES細胞と同様の多分化能を有する細胞株とし
て樹立された細胞である(M. J. Evans; J. Embryol. E
xp.Morph., 28, 163, 1972)。EC細胞は、ES細胞の
マーカーとなる遺伝子を発現していること(E. G. Bern
stineら; Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 70, 3899,197
3; S. B. Diwan and L. C. Steven; J. Natl. Cancer I
nst., 57, 937, 1976; D. Solter and B. B. Knowles;
Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 75, 5565, 1978; B. A.
Hoslerら; Mol. Cell. Biol., 9, 5623, 1989; S. C. P
ruitt; Development, 120, 37, 1994)、インビトロに
おいて様々な細胞に分化する能力を有していること(G.
R. Martin and M. J. Evans; Cell, 6, 467, 1975; G.
R. Martin and M. J. Evans; Proc. Natl. Acad. Sci.
USA, 72, 1441, 1975; M. W.McBurney; J. Cell. Phys
iol., 89, 441, 1976)、同系個体への移植において様
々な組織からなる奇形種が形成されること(L. J. Klei
nsmith and G. B. Pierce; Cancer Res., 24, 797, 196
4)、胚盤胞の中に注入すると胎児形成に寄与しキメラ
個体を形成すること(B. Mintz and K. Illmensee; Pro
c. Natl. Acad. Sci. USA, 72, 3538, 1975; V. E. Pap
aioannouら; Nature, 258, 70, 1975; M.J. Deweyら; P
roc. Natl. Acad. Sci. USA, 74, 5564, 1977)、極め
て稀ではあるがEC細胞株の中には生殖系列キメラを作
製する能力を持つものがあること(T. A. Stewart and
B. Mintz; Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 78, 7634, 19
81)から、ES細胞が有する未分化幹細胞としての性質
を基本的には有した細胞と考えられている。
【0036】本発明において、EBとは、胚性幹細胞を
インビトロで培養した場合に観察される、胚性幹細胞が
集合して凝集した細胞塊を意味する。この細胞塊は、通
常、略球形の形態で浮遊状態で出現し、細胞塊を構成す
る個々の胚性幹細胞同士が相互に影響しあうことで、細
胞塊内部で外胚葉、中胚葉、内胚葉系細胞への分化誘導
が引き起こされている。本発明におけるEBとしては、
このような胚性幹細胞の分化誘導が引き起こされている
凝集状態の胚性幹細胞の細胞塊を包含する。
【0037】本発明は、血清培地、無血清培地のいずれ
を用いても、また、胚性幹細胞の密度が比較的低くと
も、高効率で安定的に胚性幹細胞からEBを形成する方
法を提供し、さらにはそれを用いた分化細胞を誘導する
方法を提供する。
【0038】胚性幹細胞については、下記の様々な方法
で得ることができ、例えばフィーダー細胞上で培養する
ことで未分化状態で維持/増殖させることができる。そ
の後、維持/増殖されている胚性幹細胞を本発明のEB
形成方法に付すが、トリプシン等の酵素処理などにより
胚性幹細胞をフィーダー細胞から分離して細胞が凝集し
ていない状態で本発明のEB形成方法に付すことが好ま
しい。
【0039】本発明のEB形成方法において、造血幹細
胞増殖因子(stem cell growth factor;以下SCGF
とも略す。)を含む培地を用いて培養することにより、
胚性幹細胞の密度が比較的低くとも高効率で安定的に胚
性幹細胞からEBを形成することができる。本発明に用
いる培地は、血清培地でも無血清培地でもよい。本発明
のEB形成方法において、特に血清培地を使用する場合
には、SCGFを含む培地を使用することにより、血清
のロットに左右されず高効率で安定的にEBを形成する
ことが可能となる。さらに、SCGFに造血幹細胞因子
(stem cell factor; 以下SCFとも略す)、flk―
2/flt3リガンド(flk-2/flt3 ligand; 以下FL
とも略す)、インターロイキン3(interleukin 3; 以
下IL−3とも略す)、トロンボポイエチン(thrombop
oietin; 以下TPOとも略す)から選ばれる単独あるい
は複数の蛋白質を適宜組み合わせて用いることができ
る。さらに下記の細胞外マトリックス蛋白質を適宜組み
合わせて用いてもよい。
【0040】本発明のEB形成方法において無血清培地
を使用する場合、基礎培地にSCGFの他に細胞外マト
リックス蛋白質を加えて培養することが好ましい。細胞
外マトリックス蛋白質を含む培地を使用することによ
り、無血清培養でありながら比較的低い胚性幹細胞密度
の培養でも安定的にEBを形成することができる。さら
に骨形成因子4(bone morphogenetic protein 4; 以下
BMP−4とも略す)を加えてもよい。細胞外マトリッ
クス蛋白質とは、生体内で細胞と細胞の間を埋める高分
子構造の構成成分となっている蛋白質であるが、本発明
においては、該蛋白質および該蛋白質が変性した蛋白質
も包含する。細胞外マトリックス蛋白質の例としては、
ゼラチン(gelatin)、ラミニン(laminin)、コラーゲ
ンタイプI(collagen type I)、コラーゲンタイプI
V(collagen type IV)あるいはフィブロネクチン(fi
bronectin)があげられるが、特にフィブロネクチンが
好ましい。
【0041】無血清培地を使用する場合、さらにSC
F、FL、IL−3、TPOから選ばれる少なくとも1
つの蛋白質を添加して用いるのが好ましい。特に(i)
SCF、(ii)FLとIL−3とTPOを添加するのが
好ましい。また、SCGFを含まない細胞外マトリック
ス蛋白質およびBMP−4を含む無血清培地でも安定的
にEBを形成することができる。なお、細胞外マトリッ
クス蛋白質のみを添加した基礎培地による無血清培養で
もEBは形成されるが、このEBからは、後述する分化
細胞の誘導を効率的に行うことができない。
【0042】本発明において、SCGFとは、国際公開
WO98/08869に造血幹細胞増殖因子として記載
されている因子を意味する。SCGFの遺伝子の染色体
上の位置は決定されており1遺伝子であることが明らか
にされているが、2種類のスプライシング形態αとβが
存在することが知られている(H. Mioら; Biochem. Bio
phys. Res. Commun., 249, 124, 1998)。本発明におい
てSCGFとは、全長型であるスプライシング形態αが
有する活性を有するすべてのスプライシング形態を包含
する。また、この蛋白質において1以上のアミノ酸が欠
失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
を有し、かつ増殖因子としての活性を有する蛋白質、並
びにこの蛋白質とアミノ酸配列の相同性が、BLAST
(S.F. Altzshulら;J. Mol. Biol., 215, 403, 1990)
やFASTA(W.R. Pearsonら;Methods Enzymol., 18
3, 63, 1990)等の解析プログラムを用いて計算したと
きに、60%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有
し、かつ増殖因子としての活性を有する蛋白質も本発明
においてSCGFとして用いることができる。
【0043】本発明において、SCFとしては、NCB
Iの公的な蛋白質データーベースにP21583(ヒトSC
F)、CAA67698(マウスSCF)、AAD02827(ラットS
CF)、BAA09445(ネコSCF)、Q06220(イヌSC
F)、AAB49491(ヒツジSCF)、Q29030(ブタSC
F)、S47571(ウシSCF)、JN0637(ニワトリSC
F)としてアミノ酸配列が登録されている蛋白性因子等
が挙げられる。FLとしては、NCBIの公的な蛋白質
データーベースにP49771(ヒトFL)、A49265(マウス
FL)、AAF87089(ネコFL)、AAF87088(イヌF
L)、AAF99322(ウシFL)としてアミノ酸配列が登録
されている蛋白性因子等が挙げられる。IL−3として
は、NCBIの公的な蛋白質データーベースにP08700
(ヒトIL−3)、P01586(マウスIL−3)、P04823
(ラットIL−3)、JC4266(ウシIL−3)、I46407
(ヒツジIL−3)A60159(サルIL−3)としてアミ
ノ酸配列が登録されている蛋白性因子等が挙げられる。
TPOとしては、公的データーベースNCBIにAAA740
83(ヒトTPO)、P40226(マウスTPO)、P49745
(ラットTPO)、P42706(ブタTPO)、P42705(イ
ヌTPO)としてアミノ酸配列が登録されている蛋白性
因子等が挙げられる。これらの因子は増殖因子としての
活性を有するが、これら蛋白質において1以上のアミノ
酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ
酸配列を有し、かつ増殖因子としての活性を有する蛋白
質、並びにこれらの蛋白質と、BLASTやFASTA
等の解析プログラムを用いて計算したときに、60%以
上の相同性を有するアミノ酸配列を有し、かつ増殖因子
としての活性を有する蛋白質も本発明においてSCF、
FL、IL−3あるいはTPOとして用いることができ
る。
【0044】1以上のアミノ酸が欠失、置換、挿入およ
び/または付加されたアミノ酸配列を有する蛋白質は、
これらの蛋白質をコードするDNAを以下に示す方法で
取得し、J. Sambrookら;Molecular Cloning:A Laborat
ory Manual, Second Edition, Cold Spring Harbor Lab
oratory, 1989等に記載された遺伝子組換え法、即ち該
DNAを含む発現ベクターを宿主細胞に導入して得られ
た形質転換体を培養し、該培養物より取得することがで
きる。該DNAは、cDNAクローニング(J.Sambrook
ら;Molecular Cloning:A Laboratory Manual, Second
Edition, ColdSpring Harbor Laboratory, 1989)やR
T−PCR法(M. Innisら;PCR Protocols, Academic
Press, 1990)等の方法により得られた上記のアミノ酸配
列をコードするDNAに対し、T.A. Kunkel;Proc. Nat
l. Acad. Sci. USA 82, 488, 1985、W. Itoら;Gene, 1
02, 67, 1991、M. J. Zoller and M. Smith; Nucleic A
cids Res., 10, 6487, 1982, T. Hashimoto-Gotohら;G
ene, 152, 271, 1995等に記載の方法を用いて、部位特
異的変異を導入することにより、取得することができ
る。また、目的の変異(欠失、置換、付加または挿入)
を導入した配列をそれぞれの5’端に持つ1組のプライ
マーを用いたPCR[Ho. SN et al., Gene 77, 51(198
9)]によっても、取得することができる。
【0045】本発明において、ゼラチンとは、水溶性の
変性したコラーゲンを意味し、例えば、シグマ社の製品
番号G9391、G1393、G1890、G9136などのゼラチンが挙げ
られるが、これに限定されず様々なゼラチンが使用でき
る。
【0046】本発明において、ラミニンは、α、β、γ
鎖の3量体からなる蛋白性因子であり、α鎖としては、
NCBIの公的な蛋白質データーベースにアクセス番号
P25391(ヒトラミニンα1)、P19137(マウスラミニン
α1)、P24043(ヒトラミニンα2)、Q60675(マウス
ラミニンα2)、Q16787(ヒトラミニンα3)、Q61789
(マウスラミニンα3)、AAB17053(ラットラミニンα
3)、Q16363(ヒトラミニンα4)、CAA70970(マウス
ラミニンα4)、CAC22310(ヒトラミニンα5)、Q610
01(マウスラミニンα5)としてアミノ酸配列が登録さ
れている蛋白質等、β鎖としては、NCBIの公的な蛋
白質データーベースにアクセス番号P07942(ヒトラミニ
ンβ1)、AAA39407(マウスラミニンβ1)、P55268
(ヒトラミニンβ2)、Q61292(マウスラミニンβ
2)、P15800(ラットラミニンβ2)、BAA22263(ヒト
ラミニンβ3)、Q61087(マウスラミニンβ3)、とし
てアミノ酸配列が登録されている蛋白質等、γ鎖として
は、NCBIの公的な蛋白質データーベースにアクセス
番号AAA59488(ヒトラミニンγ1)、P02468(マウスラ
ミニンγ1)、Q13753(ヒトラミニンγ2)、Q61092
(マウスラミニンγ2)、AAD36991(ヒトラミニンγ
3)、AAF08983(マウスラミニンγ3)としてアミノ酸
配列が登録されている蛋白質等をそれぞれ挙げることが
できる。組織から精製したもの(例えば、シグマ・アル
ドリッチ社のカタログ番号L6274、L2020のラミニン)も
用いることができる。
【0047】コラーゲンタイプIは、α鎖の3量体から
なる蛋白性因子であり、α鎖としては、NCBIの公的
な蛋白質データーベースにCAA98968(ヒトコラーゲンタ
イプIα1)、P11087(マウスコラーゲンタイプIα
1)、P08123(ヒトコラーゲンタイプIα2)、Q01149
(マウスコラーゲンタイプIα2)、AAD41775(ラット
コラーゲンタイプIα2)、P02465(ウシコラーゲンタ
イプIα2)としてアミノ酸配列が登録されている蛋白
質等が挙げられる。組織から精製したもの(例えば、シ
グマ・アルドリッチ社のカタログ番号C9791、C8919、C7
661、C1809のコラーゲンタイプI)も用いることができ
る。
【0048】コラーゲンタイプIVは、α鎖の3量体か
らなる蛋白性因子であり、α鎖としては、NCBIの公
的な蛋白質データーベースにP02462(ヒトコラーゲンタ
イプIVα1)、P02463(マウスコラーゲンタイプIV
α1)、P08572(ヒトコラーゲンタイプIVα2)、P0
8122(マウスコラーゲンタイプIVα2)、CAA56335
(ヒトコラーゲンタイプIVα3)、AAD50449(マウス
コラーゲンタイプIVα3)、P53420(ヒトコラーゲン
タイプIVα4)、AAD50450(マウスコラーゲンタイプ
IVα4)、S22917(ヒトコラーゲンタイプIVα
5)、I48304(マウスコラーゲンタイプIVα5)、CG
HU6B(ヒトコラーゲンタイプIVα6)、BAB13674(マ
ウスコラーゲンタイプIVα6)としてアミノ酸配列が
登録されている蛋白質等が挙げられる。組織から精製し
たもの(例えば、シグマ・アルドリッチ社のカタログ番
号C5533、C0543のコラーゲンタイプIV)も用いること
ができる。
【0049】フィブロネクチンとしては、NCBIの公
的な蛋白質データーベースにP02751(ヒトフィブロネク
チン)、P11276(マウスフィブロネクチン)、P04937
(ラットフィブロネクチン)、P07589(ウシフィブロネ
クチン)としてアミノ酸配列が登録されている蛋白質等
が挙げられる。組織から精製したもの(例えば、シグマ
・アルドリッチ社のカタログ番号F4759、F2006、F114
1、F0895、F0635のフィブロネクチン)も用いることが
できる。
【0050】これらの因子は細胞外マトリックス蛋白質
としての機能を有するが、上記アミノ酸配列において1
以上のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加
されたアミノ酸配列を有し、かつ細胞外マトリックス蛋
白質としての機能を有する蛋白質、並びにこれらの蛋白
質と、BLASTやFASTA等の解析プログラムを用
いて計算したときに、60%以上の相同性を有するアミ
ノ酸配列を有し、かつ細胞外マトリックス蛋白質として
の機能を有する蛋白質も本発明においてラミニン、コラ
ーゲンタイプI、コラーゲンタイプIVあるいはフィブ
ロネクチンとして用いることができる。1以上のアミノ
酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ
酸配列を有する蛋白質は、上記SCF、FL、IL−3
あるいはTPOについて記載した方法と同様の方法によ
り取得することができる。
【0051】本発明のEB形成方法においては、LIF
を含まない培地を用いることが好ましい。培地にLIF
を含まないとは、成分としてLIFを培地に人為的に添
加しないことを意味する。LIFとしては、A. G. Smit
h and M. L. Hooper; Dev. Biol., 121, 1, 1987、A.
G. Smithら; Nature, 336, 688, 1988、P. D. Rathjen
ら; Genes Dev., 4,2308, 1990、NCBI(National C
enter for Biotechnology Information)の公的な蛋白
質データーベースにアクセス番号P15018(ヒトLI
F)、P09056(マウスLIF)、P17777(ラットLI
F)等で公知化されている蛋白性因子等が挙げられる。
【0052】本発明のEB形成方法により得られたEB
は、分化誘導される分化細胞の分離源として用いること
ができる。また、EBあるいはその一部分も医薬や、細
胞分化などの胚性幹細胞の動態に影響を及ぼす物質のス
クリーニング方法や評価方法に用いることができる。本
発明のEB形成方法によりEBを形成した後、さらに培
養を続けることで分化誘導された細胞を形成することが
できる。分化誘導に際しては、後述の分化因子を加える
ことや、また接着培養を行うことが好ましいが、これら
が必須ではない。分化因子の添加や接着培養を行う場合
は、EB形成前、EB形成後のどちらでも行うことがで
きるが、EB形成後に行うことが好ましい。
【0053】本発明において、外胚葉とは、発生の過程
で神経管、神経冠、表皮をつくる能力を有した細胞から
構成される胚葉を包含する。その例としては、原始外胚
葉から分化した胎児の外胚葉が挙げられる。
【0054】本発明において、外胚葉由来の細胞とは、
外胚葉から分化した細胞で、かつ生体を構成する機能細
胞を包含する。その例としては、神経組織、松果体、副
腎髄質、色素体あるいは表皮組織を構成する細胞が挙げ
られる。神経組織としては、神経管あるいは神経冠より
分化誘導される脳、眼杯、脳下垂体後葉、運動性脳神
経、脊髄、運動性脊髄神経、感覚性脳神経、感覚性脊髄
神経、交感神経などが挙げられる。松果体を構成する細
胞としては、神経管より分化誘導される松果腺を構成す
る細胞などが挙げられる。色素体を構成する細胞として
は、神経冠より分化誘導される色素細胞などが挙げられ
る。表皮組織としては、発生の過程の表皮より分化誘導
される毛、爪、歯、腺、水晶体などが挙げられる。副腎
髄質は神経冠より分化誘導される。
【0055】本発明において、中胚葉とは、発生の過程
で側板、腎節、体節、頭部中胚葉をつくる能力を有した
細胞から構成される胚葉を包含する。その例としては、
原始外胚葉から分化した胎児の中胚葉が挙げられる。
【0056】本発明において、中胚葉由来の細胞とは、
中胚葉から分化した細胞で、かつ生体を構成する機能細
胞を包含する。その例としては、筋組織、結合組織、骨
組織、軟骨組織、循環器、血液組織、真皮、泌尿器ある
いは生殖器を構成する細胞が挙げられる。筋組織として
は、側板より分化誘導される平滑筋、体節より分化誘導
される胴部の筋肉、横紋筋、頭部中胚葉より分化誘導さ
れる頭部の筋肉などが挙げられる。結合組織としては、
側板より分化誘導される結合織や腹膜などが挙げられ
る。骨組織および軟骨組織としては、体節より分化誘導
される脊椎、四肢の骨格、頭部中胚葉より分化誘導され
る頭骨、歯の骨質などが挙げられる。循環器としては、
側板より分化誘導される心臓、血管内膜、腎節より分化
誘導される前腎、中腎、後腎などが挙げられる。血液組
織としては、側板より分化誘導される血球などが挙げら
れる。泌尿器としては、腎節より分化誘導される前腎、
中腎、後腎などが挙げられる。生殖器としては、腎節よ
り分化誘導される輸精管、輸卵管などが挙げられる。真
皮は体節より分化誘導される。
【0057】本発明において、内胚葉とは、発生の過程
で前腸、中腸、後腸、尿膜をつくる能力を有した細胞か
ら構成される胚葉を包含する。その例としては、原始外
胚葉から分化した胎児の内胚葉が挙げられる。
【0058】本発明において、内胚葉由来の細胞とは、
内胚葉から分化した細胞で、かつ生体を構成する機能細
胞を包含する。その例としては、消化管、呼吸器、胸
腺、甲状腺、副甲状腺、膀胱、中耳、肝臓あるいは膵臓
を構成する細胞が挙げられる。消化管としては、前腸よ
り分化誘導される食道、胃、膵臓、十二指腸、中腸より
分化誘導される小腸、後腸より分化誘導される大腸、肛
門などが挙げられる。呼吸器としては、前腸より分化誘
導される肺、気管などが挙げられる。胸腺、甲状腺、副
甲状腺、中耳、肝臓、膵臓は前腸より、膀胱は尿嚢より
分化誘導される。
【0059】本発明の具体的な培養方法、培養条件につ
いて以下に詳述するが、本発明はこれらに限定されるも
のではない。
【0060】1.胚性幹細胞の調製 (1)胚性幹細胞の調製 本発明のEB形成方法に付す胚性幹細胞は、Manipulati
ng the Mouse EmbryoA Laboratory Manual, Second Edi
tion, Cold Spring Harbor Laboratory Press(1994)、
J. A. Thomsonら; Science, 282, 1145, (1998)、M. J.
Shamblottら;Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 95, 1372
6, (1998)、J. A. Thomsonら; Proc. Natl. Acad. Sci.
USA, 92, 7844, (1996)、米国特許 5,453,357号、米国
特許 5,670,372号等に記載された方法に従って調製する
ことができる。例えば、マウス(M.J. Evansら;Natur
e, 292, 154, 1981; G. R. Martin; Proc. Natl. Acad.
Sci. USA, 78, 7634, 1981)、ラット(P.M. Iannaccon
eら;Dev. Biol., 163, 288, 1994) 、ニワトリ(B. P
ainら;Development, 122, 2339, 1996; 米国特許第5,3
40,740号;米国特許第5,656,479号)、ブタ(M.B. Whee
ler; Peprod. Fertil. Dev., 6, 563, 1994; H. Shim
ら;Biol. Reprod., 57, 1089, 1997)、サル(J.A. Tho
msonら;Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 92, 7844, 199
6)、ヒト(J.A. Thomsonら;Science, 282, 1145, 199
8; M.J. Shamblottら;Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 9
5, 13726, 1998)についての胚性幹細胞の樹立方法が知
られており、各々に記載の方法に従って、本発明に用い
られる胚性幹細胞を調製することができる。
【0061】得られた胚性幹細胞の培養方法としては、
Manipulating the Mouse Embryo ALaboratory Manual,
Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Pres
s (1994)、Methods in Enzymology volume 225, Guide
to Techniques in Mouse Development, Academic Press
(1993)、バイオマニュアルシリーズ8 ジーンターゲッ
ティング, ES細胞を用いた変異マウスの作製,羊土社
(1995))等に記載の胚性幹細胞を培養するための方法が
挙げられる。無血清培養することも可能で、例えば、Du
lbecco MEM培地に15〜20%のKNOCKOUTTM SR( Life
Technologies社製)、2mMグルタミン、100μM
MEM Non-Essential Amino Acids溶液、50U/mLペニ
シリン、50U/mLストレプトマイシン、100μM
2−メルカプトエタノール、および1、000U/mL
LIFを加えた培地を用い、未分化な胚性幹細胞とし
ての形質を保ったまま継代培養することができる(M.
D. Goldsboroughら; Focus, 20, 8, 1998)。
【0062】本発明においては、単一細胞状態とした胚
性幹細胞を用いて本発明のEB形成方法を行いEB形成
を行うことが好ましいが、単一細胞状態とした胚性幹細
胞を得る方法としては、組織細胞培養で用いられる既に
公知の酵素消化の方法が挙げられる。その具体的例とし
ては、ほぼコンフルエント状態にまで増殖した胚性幹細
胞を培養している培養皿から培地を除き、PBSを用い
て数回、好ましくは2〜3回洗浄し、適当な酵素消化液
(例えば、1mM EDTAおよび0.25%トリプシ
ンを含むPBS)を加え、37℃で数十分間、好ましく
は5〜20分間培養し、下記2の培地にけん濁し、遠心
操作(例えば、4℃、200xgで5分間)を行ない、
再び下記2の培地にけん濁することで単一細胞状態とし
た胚性幹細胞を回収することができる。
【0063】単一細胞状態とした胚性幹細胞の培養に使
用できる培養器としては、 胚性幹細胞を培養できるもの
であればいかなる培養器でも用いることができるが、好
ましくは細胞培養用に用いられる培養器が望ましい。細
胞培養用の培養器としては、例えば、フラスコ、細菌培
養用フラスコ、細胞培養用フラスコ、デッシュ、ペトリ
デッシュ、組織培養用デッシュ、コンツアーデッシュ、
パーマノックスデッシュ、マルチデッシュ、マイクロプ
レート、マイクロウエルプレート、マルチプレート、マ
ルチウエルプレート、セパレートストリップウエル、テ
ラサキプレート、組織培養用チャンバースライド、シャ
ーレ、細胞培養用シャーレ、組織培養用チューブ、トレ
イ、細胞培養用トレイ、セルファクトリー、培養バッ
グ、テクノポット、ローラーボトル、スピンナー、フォ
ロファイバー等が挙げられる。培養器と細胞との接着性
を制御するために、培養器の細胞と接触する側の表面を
人工的に処理を施すこともできる。培養器の表面を人工
的に処理する例としては、コラーゲンコート、ゼラチン
コート、ポリーL−リジンコート、フィブロネクチンコ
ート、ラミニンコート、プロテオグリカンコート、グリ
コプロテインコート、マトリゲルコート、シリコンコー
ト等が挙げられる。また、プライマリア(Primaria; B
ecton Dickinson社製)などのように負の電荷を持つよ
うに処理することもできる。これらの処理を施した培養
器の中で特に、コラーゲンタイプIコート、コラーゲン
タイプIVコート、ゼラチンコート、フィブロネクチン
コート、ラミニンコートした培養器が好ましく用いられ
る。
【0064】(2)体細胞の核を核移植した胚性幹細胞
の作製 本発明においては、体細胞の核を核移植した胚性幹細胞
を用いることができる。
【0065】哺乳類動物細胞の体細胞の核を移植し正常
な発生を開始した卵は、Wilmutら(Nature, 385, 810,
1997)、Cibelliら(Science, 280, 1256, 1998)、入
谷明ら(蛋白核酸酵素, 44, 892, 1999)、Baguisiら
(Nature Biotechnology, 17,456, 1999)、Wakayamaら
(Nature, 394, 369, 1998; Nature Genetics, 22, 12
7, 1999; Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 96, 14984, 19
99)、; Rideout IIIら(Nature Genetics, 24, 109, 2
000)等によって報告された方法を用い、例えば以下の
ように作製することができる。
【0066】哺乳類動物細胞の核を摘出後初期化(核を
再び発生を繰り返すことができるような状態に戻す操
作)し、除核した哺乳動物の未受精卵に注入する方法を
用いて発生を開始させ、発生を開始した卵を培養するこ
とによって、他の体細胞の核を有し、かつ正常な発生を
開始した卵が得られる。
【0067】体細胞の核を初期化する方法としては、複
数の方法が知られているが、例えば以下のようにして行
うことができる。核を提供する側の細胞を培養している
培地を、5〜30%、好ましくは10%の仔ウシ胎児血
清を含む培地(例えば、M2培地)から0〜1%、好ま
しくは0.5%の仔ウシ胎児血清を含む貧栄養培地に変
えて3〜10日間、好ましくは5日間、培養することで
細胞周期を休止期状態(G0期もしくはG1期)に誘導する
ことで初期化することができる。この方法は、哺乳動物
が、例えばヒツジ、ヤギ、ウシなどの場合に好適であ
る。また、同種の哺乳動物の除核した未受精卵に、核を
提供する側の細胞の核を注入し数時間、好ましくは約1
〜6時間培養することで初期化することができる。この
方法は、哺乳動物が、例えばマウスなどの場合に好適で
ある。
【0068】初期化された核は除核された未受精卵中で
発生を開始することが可能となる。初期化された核を除
核された未受精卵中で発生を開始させる方法としては複
数の方法が知られている。例えば、細胞周期を休止期状
態(G0期もしくはG1期)に誘導し初期化した核を、電気
融合法などによって同種の哺乳動物の除核した未受精卵
に移植することで卵子を活性化し発生を開始させること
ができる。この方法は、哺乳動物が、例えばヒツジ、ヤ
ギ、ウシなどの場合に好適である。また、同種の哺乳動
物の除核した未受精卵に核を注入することで初期化した
核を、再度マイクロマニピュレーターを用いた方法など
によって同種の哺乳動物の除核した未受精卵に移植し、
卵子活性化物質(例えば、ストロンチウムなど)で刺激
後、細胞分裂の阻害物質(例えば、サイトカラシンBな
ど)で処理し第二極体の放出を抑制することで発生を開
始させることができる。この方法は、哺乳動物が、例え
ばマウスなどの場合に好適である。
【0069】いったん発生を開始した卵が得られれば、
Manipulating the Mouse Embryo ALaboratory Manual,
Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Pres
s (1994)、Gene Targeting, A Practical Approach, IR
L Press at Oxford University Press (1993)、バイオ
マニュアルシリーズ8 ジーンターゲッティング, ES
細胞を用いた変異マウスの作製,羊土社 (1995)等に記載
の公知の方法を用い、胚性幹細胞を取得することができ
る。
【0070】(3)染色体上の遺伝子を改変した胚性幹
細胞の作製 染色体上の遺伝子を改変した胚性幹細胞(例えば、組織
適合性抗原を改変した胚性幹細胞)は、相同組換え技術
を用いることによって作製することができる。
【0071】染色体上の標的遺伝子の改変(例えば、組
織適合性抗原の改変)は、 Manipulating the Mouse Em
bryo A Laboratory Manual, Second Edition, Cold Spr
ingHarbor Laboratory Press (1994)、Gene Targeting,
A Practical Approach, IRL Press at Oxford Univers
ity Press (1993)、バイオマニュアルシリーズ8 ジー
ンターゲッティング, ES細胞を用いた変異マウスの作
製,羊土社 (1995)等に記載の方法を用い、例えば以下の
ように行なうことができる。
【0072】改変する標的遺伝子(例えば、組織適合性
抗原の遺伝子)のゲノム遺伝子を単離する。
【0073】単離したゲノム遺伝子を用いて標的遺伝子
(例えば、組織適合性抗原の遺伝子)を相同組換えする
ためのターゲットベクターを作製する。作製したターゲ
ットベクターを胚性幹細胞に導入し、標的遺伝子(例え
ば、組織適合性抗原の遺伝子)とターゲットベクターの
間で相同組換えを起こした細胞を選択することにより、
染色体上の遺伝子を改変した胚性幹細胞を作製すること
ができる。
【0074】標的遺伝子のゲノム遺伝子を単離する方法
としては、Molecular Cloning: A Laboratory Manual,
Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory (198
9)(以下、モレキュラー・クローニング第2版と略す)
や カレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・
バイオロジー(Current Protocols in Molecular Biolo
gy, John Wiley & Sons)等に記載された公知の方法が
あげられる。また、ゲノムDNAライブラリースクリー
ニングシステム(Genome Systems社製)やUniversal Ge
nomeWalkerTM Kits(CLONTECH社製)などを用いること
により、標的遺伝子のゲノム遺伝子を単離することがで
きる。
【0075】標的遺伝子を相同組換えするためのターゲ
ットベクターは、 Gene Targeting,A Practical Approa
ch, IRL Press at Oxford University Press (1993)、
バイオマニュアルシリーズ8 ジーンターゲッティング,
ES細胞を用いた変異マウスの作製,羊土社 (1995))
等に記載の方法にしたがって作製することができる。タ
ーゲットベクターは、リプレースメント型、インサーシ
ョン型いずれでも用いることができる。
【0076】相同組換え体を効率的に選別する方法とし
て、例えば、Gene Targeting, A Practical Approach,
IRL Press at Oxford University Press (1993)、バイ
オマニュアルシリーズ8 ジーンターゲッティング, E
S細胞を用いた変異マウスの作製,羊土社 (1995)等に記
載のポジティブ選択、プロモーター選択、ネガティブ選
択、ポリA選択などの方法を用いることができる。選別
した細胞株の中から目的とする相同組換え体を選択する
方法としては、ゲノムDNAに対するサザンハイブリダ
イゼーション法(モレキュラー・クローニング第2版)
やPCR法[PCR Protocols、Academic Press (1990)]
等が挙げられる。
【0077】2.本発明の培地 上記のようにして得られて維持/増殖されている胚性幹
細胞を、本発明のEB形成方法に付してEBを形成させ
るが、その際に用いる培地とは、動物細胞の培養に用い
られる培地を基礎培地として調製することができる。
【0078】基礎培地としては、BME培地(Proc. Soc.
Exp. Biol. Med., 89, 362, 1965)、BGJb培地(Exp. C
ell Res., 25, 41, 1961)、CMRL 1066培地(N. Y. Aca
demyof Sciences, 5, 303, 1957)、Glasgow MEM培地
(Virology, 16, 147, 1962)、Improved MEM Zinc Opt
ion培地(J. National Cancer Inst., 49, 1705, 197
2)、IMDM培地(In Vitro, 9, 6, 1970)、Medium 199
培地(Proc. Soc. Exp. Biol. Med., 73, 1, 1950)、E
agle MEM培地(Science, 130, 432, 1959)、AlphaMEM
培地(Nature New Biology, 230, 310, 1971)、Dulbec
co MEM培地(Virology, 8, 396, 1959)、ハム培地(Ex
p. Cell Res., 29, 515, 1963; Proc. Natl.Acad. Sci.
USA, 53, 288, 1965)、RPMI 1640培地(J. A. M. A.,
199, 519,1967)、Fischer's培地(Methods in Med. R
es., 10, 1964)、McCoy's培地(Proc. Soc. Exp. Bio
l. Med., 100, 115, 1959)、ウイリアムスE培地(Ex
p. Cell Res., 69, 106, 1971; Exp. Cell Res., 89, 1
39, 1974)およびこれらの混合培地など、動物細胞の培
養に用いることのできる培地であればいずれも用いるこ
とができる。
【0079】また、Manipulating the Mouse Embryo A
Laboratory Manual, Second Edition, Cold Spring Har
bor Laboratory Press (1994)、Methods in Enzymology
volume 225, Guide to Techniques in Mouse Developm
ent, Academic Press (1993)、バイオマニュアルシリー
ズ8 ジーンターゲッティング, ES細胞を用いた変異
マウスの作製,羊土社 (1995)等に記載の胚培養のための
培地、例えば、M2培地、M16培地、Whitten培地、
体外受精用培地など、胚の培養に用いることのできる培
地であればいずれも基礎培地として用いることができ
る。
【0080】さらに、これら培地に、血清を添加した培
地、血清代替物としての各種増殖因子を添加した培地、
ストローマ細胞などが産生する因子を添加した培地、あ
るいは無蛋白培地であっても動物細胞や胚の培養が可能
であるものであればいずれも用いることができる。その
具体的例として、市販のKNOCKOUTTM SRを添加した無血
清培地(M. D. Goldsboroughら; Focus, 20, 8, 199
8)、インスリンおよびトランスフェリンを添加した無
血清培地[例えば、CHO-S-SFM II( Life Technologies
社製)、Hybridoma-SFM( Life Technologies社製)、e
RDF Dry Powdered Media( Life Technologies社製)、
UltraCULTURETM(BioWhittaker社製)、UltraDOMATM(B
ioWhittaker社製)、UltraCHOTM(BioWhittaker社
製)、UltraMDCKTM(BioWhittaker社製)、ITPSG培地
(S. Hosoiら; Cytotechnology, 5, S17, 1991)、IT
SFn培地(A. Rizzino and C. Growley; Proc. Natl.
Acad. Sci. USA, 77, 457, 1980)、mN3培地(S. O
kabeら; Mech. Dev., 59, 89, 1996)など]、細胞由来
の因子を添加した培地[例えば、多能性奇形癌腫細胞PS
A1の培養上清を添加した培地(G. R. Martin; Proc. Na
tl. Acad. Sci. USA, 78, 7634, 1981)]、または無蛋
白培地[例えば、CD-CHO( Life Technologies社製)、
PFHM-II( Life Technologies社製)、UltraDOMA-PFTM
(BioWhittaker社製)など]が挙げられる。
【0081】これら基礎培地の好適な例として、実施例
1に記載した無血清基本培地(50μM2−メルカプト
エタノール、2mMグルタミン、1%牛血清アルブミ
ン、10μg/mL牛膵インスリン、200μg/mL
ヒトトランスフェリンおよび40μg/mL低比重リポ
プロテイン(low density lipoprotein; LDL)を含
むIMDM培地)が挙げられる。この無血清基本培地に
おいて、IMDM培地に加えられる各添加物の濃度は上
述の濃度の100倍〜100分の1、好ましくは10倍
〜10分の1に変更しても構わない。
【0082】本発明において、血清培地とは、上記の基
礎培地にさらに哺乳動物あるいはニワトリ等の血清を含
む培地を意味する。哺乳動物としては、例えば、ヒト、
マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ウサギ、イ
ヌ、ネコ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウシ、サル等が挙げら
れる。
【0083】これら基礎培地あるいは血清培地に、SC
GFを培地中の濃度が1pg/mL〜10μg/mL、
好ましくは1ng/mL〜1μg/mL、より好ましく
は10ng/mL〜100ng/mLになるように添加
することで、本発明の、胚性幹細胞を培養するための培
地を調製することができる。無血清培地の場合はさらに
100ng/mL〜1mg/mLの細胞外マトリックス
蛋白質を添加するのが好ましい。細胞外マトリックス蛋
白質としては、ゼラチン、ラミニン、コラーゲンタイプ
I、コラーゲンタイプIVまたはフィブロネクチンが挙
げられる。また、細胞外マトリックス蛋白質は基礎培地
に直接添加せず、培養器の細胞が接触する表面にコート
することで、培養する胚性幹細胞に作用させても構わな
い。このような細胞外マトリックス蛋白質の用い方も、
広義に、基礎培地にSCGFおよび細胞外マトリックス
蛋白質を添加した培地に含まれる。この培地にさらに1
pg/mL〜10μg/mL、好ましくは1ng/mL
〜1μg/mL、より好ましくは10ng/mL〜10
0ng/mLのBMP−4を添加してもよい。
【0084】更に好ましくは、上記の培地にSCGFと
ともに、以下の(vii)〜(x)に示した蛋白質を培地中の濃
度が1pg/mL〜10μg/mL、好ましくは1ng
/mL〜1μg/mL、より好ましくは10ng/mL
〜100ng/mLになるように単独あるいは複数添加
することで、本発明の、胚性幹細胞を培養するための培
地を調製することができる。 (vii)SCF; (viii)FL; (ix)IL−3; (x)TPO。
【0085】本発明のEB形成方法において、特に血清
培地を使用する場合には、培地にSCGFを加えて培養
することにより、血清のロットに左右されず高効率で安
定的にEBを形成することができる。さらに、細胞外マ
トリックス蛋白質を適宜組み合わせてもよい。
【0086】本発明のEB形成方法において無血清培地
を使用する場合、基礎培地にSCGFとともに上記細胞
外マトリックス蛋白質を加えて培養することにより、無
血清培養でありながら比較的低密度の培養でも安定的に
EBを形成することができる。細胞外マトリックス蛋白
質としては、特にフィブロネクチンが好ましい。無血清
培養の場合、特に(i)SCF、(ii)FLとIL−3
とTPOの添加が好ましい。
【0087】また、基礎培地に1pg/mL〜10μg
/mL、好ましくは1ng/mL〜1μg/mL、より
好ましくは10ng/mL〜100ng/mLのBMP
−4および100ng/mL〜1mg/mLの細胞外マ
トリックス蛋白質を添加することによっても本発明の、
胚性幹細胞を培養するための培地を調製することができ
る。細胞外マトリックス蛋白質としては、ゼラチン、ラ
ミニン、コラーゲンタイプI、コラーゲンタイプIVま
たはフィブロネクチンが挙げられるが、特にフィブロネ
クチンが好ましい。細胞外マトリックス蛋白質は基礎培
地に直接添加せず、培養器の細胞が接触する表面にコー
トすることで、培養する胚性幹細胞に作用させても構わ
ない。このような細胞外マトリックス蛋白質の用い方
も、広義に、基礎培地にBMP−4および細胞外マトリ
ックス蛋白質を添加した培地に含まれる。
【0088】また、胚性幹細胞より目的とする分化細胞
をより効率的に誘導するために、上述の培地に、さら
に、以下の(xi)〜(xxviii)に示した因子を培地中の
濃度が1pg/mL〜10μg/mL、好ましくは1n
g/mL〜1μg/mL、より好ましくは10ng/m
L〜100ng/mLになるように単独あるいは複数添
加することができる。以下の因子を含んだ培地も、本発
明の、胚性幹細胞を培養するための培地として用いるこ
とができる。
【0089】(xi)インターロイキン3(interleukin
3); (xii)トロンボポイエチン(thrombopoietin); (xiii)血管内皮増殖因子(vascular endothelial gro
wth factor); (xiv)エリスロポイエチン(erythropoietin); (xv)インターロイキン6(interleukin 6); (xvi)インターロイキン11(interleukin 11); (xvii)アクチビンA(activin A); (xviii)BMP−4; (xix)塩基性繊維芽細胞増殖因子(basic fibroblast
growth factor); (xx)インターロイキン1(interleukin1); (xxi)マクロファージコロニー刺激因子(macrophage
colony-stimulating factor); (xxii)顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(gran
ulocyte-macrophage colony- stimulating factor); (xxiii)インターロイキン7(interleukin7); (xxiv)インターロイキン2(interleukin2); (xxv)トランスフォーミング増殖因子β(transformin
g growth factor-β); (xxvi)神経成長因子(nerve growth factor); (xxvii)レチノイン酸(retinoic acid); (xxviii)ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxid
e)。
【0090】本発明において、血管内皮増殖因子(vasc
ular endothelial growth factor;以下VEGFとも略
す)としては、NCBIの公的な蛋白質データーベース
にAAC63102(ヒトVEGF)、Q00731(マウスVEG
F)、AAF19211(ラットVEGF)、P26617(モルモッ
トVEGF)、AAG16241(ハムスターVEGF)、CAB8
2426(イヌVEGF)、S57956(ヒツジVEGF)、S5
2130(ブタVEGF)、B40080(ウシVEGF)として
アミノ酸配列が登録されている蛋白性因子等が挙げられ
る。エリスロポイエチン(erythropoietin; 以下EPO
とも略す)としては、NCBIの公的な蛋白質データー
ベースにCAA26094(ヒトEPO)、P07321(マウスEP
O)、P29676(ラットEPO)、P33708(ネコEP
O)、P33707(イヌEPO)、I46401(ヒツジEP
O)、P49157(ブタEPO)、P48617(ウシEPO)、
AAG36962(ウサギEPO)、Q28513(サルEPO)とし
てアミノ酸配列が登録されている蛋白性因子等が挙げら
れる。
【0091】インターロイキン6(interleukin 6; 以
下IL−6とも略す)としては、NCBIの公的な蛋白
質データーベースにP05231(ヒトIL−6)、P08505
(マウスIL−6)、P20607(ラットIL−6)、AAF8
6660(ウサギIL−6)、I46084(ネコIL−6)、AA
F86275(イヌIL−6)、S29549(ヒツジIL−6)I4
6590(ブタIL−6)、A56610(ウシIL−6)、Q283
19(ヤギIL−6)、P51494(サルIL−6)、T09216
(ウマIL−6)としてアミノ酸配列が登録されている
蛋白性因子等が挙げられる。インターロイキン11(in
terleukin 11; 以下IL−11とも略す)としては、N
CBIの公的な蛋白質データーベースにP20809(ヒトI
L−11)、P47873(マウスIL−11)、A38285(サ
ルIL−11)としてアミノ酸配列が登録されている蛋
白性因子等が挙げられる。アクチビンA(activin A)
としては、NCBIの公的な蛋白質データーベースにP0
8476(ヒトインヒビンβA)、Q04998(マウスインヒビ
ンβA)、P18331(ラットインヒビンβA)、P43032
(ヒツジインヒビンβA)、P03970(ブタインヒビンβ
A)、P07995(ウシインヒビンβA)、P55102(ウマイ
ンヒビンβA)、P27092(ニワトリインヒビンβA)と
してアミノ酸配列が登録されているインヒビンβA鎖前
駆体のC末より生ずるインヒビンβA鎖ポリペプチドの
ホモダイマーである蛋白性因子等が挙げられる。
【0092】BMP−4としては、NCBIの公的な蛋
白質データーベースにP12644(ヒトBMP−4)、P212
75(マウスBMP−4)、Q06826(ラットBMP−
4)、O46576(ウサギBMP−4)、Q90752(ニワトリ
BMP−4)としてアミノ酸配列が登録されている前駆
体のC末から生ずる成熟体ポリペプチドの二量体である
蛋白性因子等が挙げられる。塩基性繊維芽細胞増殖因子
(basic fibroblast growth factor; 以下bFGFとも
略す)としては、NCBIの公的な蛋白質データーベー
スにP09038(ヒトbFGF)、P15655(マウスbFG
F)、AAA41210(ラットbFGF)、P48799(ウサギb
FGF)、P20003(ヒツジbFGF)、P03969(ウシb
FGF)、A48834(ニワトリbFGF)としてアミノ酸
配列が登録されている蛋白性因子等が挙げられる。イン
ターロイキン1(interleukin1; 以下IL−1とも略
す)としては、NCBIの公的な蛋白質データーベース
にP01583(ヒトIL−1α)、CAA26372(ヒトIL−1
β)、P01582(マウスIL−1α)、P10749(マウスI
L−1β)、P16598(ラットIL−1α)、Q63264(ラ
ットIL−1β)、P04822(ウサギIL−1α)、P146
28(ウサギIL−1β)、O46613(ネコIL−1α)、
P41687(ネコIL−1β)、O46612(イヌIL−1
α)、Q28579(ヒツジIL−1α)、P21621(ヒツジI
L−1β)、P18430(ブタIL−1α)、P26889(ブタ
IL−1β)、P08831(ウシIL−1α)、P09428(ウ
シIL−1β)、P79161(ヤギIL−1α)、P79162
(ヤギIL−1β)、P48089(サルIL−1α)、P480
90(サルIL−1β)、BAA07717(ウマIL−1α)、
Q28386(ウマIL−1β)、CAA75239(ニワトリIL−
1β)としてアミノ酸配列が登録されている前駆体のC
末から生ずる蛋白性因子等が挙げられる。
【0093】マクロファージコロニー刺激因子(macrop
hage colony-stimulating factor;以下M−CSFとも
略す)としては、NCBIの公的な蛋白質データーベー
スにP09603(ヒトM−CSF)、P07141(マウスM−C
SF)、BAA31556(ウシM−CSF)としてアミノ酸配
列が登録されている蛋白性因子等が挙げられる。顆粒球
マクロファージコロニー刺激因子(granulocyte-macrop
hage colony- stimulating factor; 以下GM−CSF
とも略す)としては、NCBIの公的な蛋白質データー
ベースにP04141(ヒトGM−CSF)、P01587(マウス
GM−CSF)、Q60481(モルモットGM−CSF)、
O62757(ネコGM−CSF)、P48749(イヌGM−CS
F)、P28773(ヒツジGM−CSF)、Q29118(ブタG
M−CSF)、P11052(ウシGM−CSF)、AAG16626
(サルGM−CSF)としてアミノ酸配列が登録されて
いる蛋白性因子等が挙げられる。インターロイキン7
(interleukin7; 以下IL−7とも略す)としては、
NCBIの公的な蛋白質データーベースにP13232(ヒト
IL−7)、P10168(マウスIL−7)、P56478(ラッ
トIL−7)、Q28540(ヒツジIL−7)、BAA96385
(ブタIL−7)、P26895(ウシIL−7)としてアミ
ノ酸配列が登録されている蛋白性因子等が挙げられる。
インターロイキン2(interleukin2; 以下IL−2と
も略す)としては、NCBIの公的な蛋白質データーベ
ースにP01585(ヒトIL−2)、S37289(マウスIL−
2)、P17108(ラットIL−2)、O77620(ウサギIL
−2)、Q07885(ネコIL−2)、BAA06378(イヌIL
−2)、P19114(ヒツジIL−2)、P26891(ブタIL
−2)、P05016(ウシIL−2)、 P36835(ヤギIL
−2)、Q29615(サルIL−2)、P37997(ウマIL−
2)、CAA12025(ニワトリIL−2)としてアミノ酸配
列が登録されている蛋白性因子等が挙げられる。
【0094】トランスフォーミング増殖因子β(transf
orming growth factor-β; 以下TGF−βとも略す)
としては、NCBIの公的な蛋白質データーベースにP0
1137(ヒトTGF−β1)、P08112(ヒトTGF−β
2)、P10600(ヒトTGF−β3)、P04202(マウスT
GF−β1)、P27090(マウスTGF−β2)、P17125
(マウスTGF−β3)、P17246(ラットTGF−β
1)、Q07258(ラットTGF−β3)、P54831(イヌT
GF−β1)、P50414(ヒツジTGF−β1)、1P0720
0(ブタTGF−β1)、P09858(ブタTGF−β
2)、P15203(ブタTGF−β3)、P18341(ウシTG
F−β1)、WFMKB2(サルTGF−β2)、O19011(ウ
マTGF−β1)、P09531(ニワトリTGF−β1)、
P30371(ニワトリTGF−β2)、P16047(ニワトリT
GF−β3)としてアミノ酸配列が登録されている前駆
体のC末から生ずる成熟体ポリペプチドの二量体である
蛋白性因子等が挙げられる。神経成長因子(nerve grow
th factor; 以下NGFとも略す)としては、NCBI
の公的な蛋白質データーベースにP01138(ヒトNG
F)、P01139(マウスNGF)、P25427(ラットNG
F)、P19093(モルモットNGF)、Q29074(ブタNG
F)、P13600(ウシNGF)、P05200(ニワトリNG
F)としてアミノ酸配列が登録されている前駆体より生
ずる成熟体ポリペプチドの二量体である蛋白性因子等が
挙げられる。これらの因子はサイトカインとしての活性
を有するが、これら蛋白質において1以上のアミノ酸が
欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配
列を有し、かつサイトカインとしての活性を有する蛋白
質、並びにこれらの蛋白質とBLASTやFASTA等
の解析プログラムを用いて計算したときに、60%以上
の相同性を有するアミノ酸配列を有し、かつサイトカイ
ンとしての活性を有する蛋白質も本発明においてVEG
F、EPO、IL−6、IL−11、アクチビンA、B
MP−4、bFGF、IL−1、M−CSF、GM−C
SF、IL−7、IL−2、TGF−βあるいはNGF
として用いることができる。1以上のアミノ酸が欠失、
置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列を有
する蛋白質は、上記SCF、FL、IL−3あるいはT
POについて記載した方法と同様の方法により取得する
ことができる。
【0095】3.本発明のEB形成方法による、胚性幹
細胞の培養 本発明の、胚性幹細胞からEBを形成するための具体的
培養方法としては、用いる胚性幹細胞の培養に適した培
養法であればいずれも用いることができ、単層培養法、
支持細胞との共培養法、高密度維持培養法、マイクロキ
ャリア培養法、還流培養法、軟寒天培養法等を挙げるこ
とができる。具体的な方法の例としては、例えば、単一
細胞状態(酵素消化等を施すことで細胞同士の接着がな
い個々の細胞がバラバラになった状態)とした胚性幹細
胞を上記2の培地に5細胞/ml〜500,000細胞
/mL、好ましくは10細胞/mL〜100,000細胞
/mL、より好ましくは100細胞/mL〜10,00
0細胞/mL、さらに好ましくは500細胞/mL〜5
000細胞/mLの細胞密度になるように懸濁し、培養
器に播種後、3〜30日間、好ましくは4〜20日間、
37℃で数%、好ましくは5%の二酸化炭素を通気した
CO2インキュベーターにて培養する方法を挙げること
ができる。
【0096】無血清培地に、SCGFまたはBMP−4
および細胞外マトリックス蛋白質(好ましくは上記(i
i)〜(vi)の細胞外マトリックス蛋白質、特にフィブ
ロネクチン)を加えた培地を用いる場合は、播種する胚
性幹細胞の細胞密度が2500細胞/mL以上で培養す
ることが好ましい。
【0097】無血清培地にSCGF及び細胞外マトリッ
クス蛋白質とさらにSCF、FL、IL−3及びTPO
から選ばれる少なくとも1つの蛋白質とを組み合わせて
用いる場合、特に、SCGF及び細胞外マトリックス蛋
白質と(i)SCF、(ii)FLとIL−3とTPOと
を組み合わせて用いる場合は、播種する胚性幹細胞の細
胞密度が1500細胞/mL以上で培養することが好ま
しく、2000細胞/mL以上で培養することがさらに
好ましい。
【0098】血清培地にSCGFを加えた培地を用いる
場合は、播種する胚性幹細胞の細胞密度が500細胞/
mL以上で培養することが好ましく、1000細胞/m
L以上で培養することがさらに好ましい。 胚性幹細胞
よりEBを形成させることで、EBから目的とする分化
細胞へ誘導することができる。
【0099】EBから目的の分化細胞への誘導は、公知
の以下の報告に従って行うことができる。
【0100】T. C. Doetschmanら( J. Embryol. Exp.
Morphol., 87, 27, 1985)、M. M.Shen & P. Leder( P
roc. Natl. Acad. Sci., USA, 89, 8240, 1992)、 G.
Kellerら(Mol. Cell. Biol., 13, 473, 1993)の報告
の方法によりEBから原始内胚葉(primitive endoder
m)細胞へ分化誘導することができる。D. G. Wilkinson
ら(EMBO J., 7, 691, 1988)、 F. Poirierら(Develo
pment, 113, 1105, 1991)、G. Kellerら(Mol. Cell.
Biol., 13, 473, 1993)の報告の方法により、EBから
遠位内胚葉(parietal endoderm)細胞へ分化誘導する
ことができる。この分化誘導はレチノイン酸やLIFの
添加により促進することができる(J. P. Fisherら; Ex
p. Cell Res., 182, 403, 1989)。T. C. Doetschmanら
(J. Embryol. Exp. Morphol., 87, 27, 1985)、M. M.
Shen & P. Leder(Proc. Natl.Acad. Sci., USA, 89,
8240, 1992)、J. P. Fisherら(Exp. Cell Res., 182,
403, 1989)の報告の方法により、EBから近位内胚葉
(visceral endoderm)細胞へ分化誘導することができ
る。ただし、この分化誘導は、レチノイン酸やLIFの
添加により抑制される。T. C. Doetschmanら(J. Embry
ol. Exp. Morphol., 87, 27, 1985)、M. M. Shen & P.
Leder(Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 89, 8240, 199
2)の報告の方法により、EBから原始外胚葉(primiti
ve ectoderm)細胞へ分化誘導することができる。ただ
し、この分化誘導は、LIFの添加により抑制される。
【0101】M. M. Shen & P. Leder(Proc. Natl. Aca
d. Sci., USA, 89, 8240, 1992)、G. Kellerら(Mol.
Cell. Biol., 13, 473, 1993)の報告の方法により、胚
性幹細胞から形成されたEBより中胚葉前駆細胞(meso
derm precursor)へ分化誘導することができる。この分
化誘導は、アクチビンA、BMP−4、bFGFの添加
により促進することができる(G. Yamadaら; Biochem.
Biophys. Res. Commun., 199, 552, 1994; B. M. Johan
sson & M. V. Wiles; Mol. Cell. Biol., 15,141, 199
5)。R. Wang(Development, 114, 303, 1992)、Y. Sh
irayoshiら(Genes Cells 2, 213, 1997)の報告の方法
により、EBから内皮細胞(endothelial cell)へ分化
誘導することができる。W. Risauら(Development, 10
2, 471, 1988)、R.Wang(Development, 114, 303, 199
2)、D. Vittetら(Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 94,
6273, 1997)の報告の方法によりEBから血管へ分化
誘導することができる。また、T. C. Doetschmanら(J.
Embryol. Exp. Morphol., 87, 27, 1985)、R. Wang
(Development, 114, 303, 1992)、M. V. Wiles & G.
Keller(Development, 111, 259, 1991)、H. R. Snodg
rassら(J. Cell Biochem., 49,225, 1992)、M. H. Li
ndenbaum & F. Grosveld(Genes Dev., 4, 2075, 199
0)の報告の方法によりEBから血島(blood island)
等の造血が行われている組織や造血細胞へ分化誘導する
ことができる。
【0102】この際、IL−11、IL−1、SCF、
IL−6、VEGFの添加により造血前駆細胞への分化
誘導を促進することができ(G. Kellerら; Mol. Cell.
Biol., 13, 473, 1993; L. G. Biesecker & S. G. Emer
son; Exp. Hematol., 21, 774, 1993; M. Kennedyら; N
ature, 386, 488, 1997)、EPOの添加により赤血球
系造血細胞への分化誘導を促進することができ(U. Bur
ketら; New Biol., 3,698, 1991; M. V. Wiles & G. Ke
ller; Development, 111, 259, 1991)、IL−3、M
−CSF、GM−CSFの添加により骨髄系造血細胞へ
の分化誘導を促進することができ(M. V. Wiles & G. K
eller; Development, 111, 259, 1991;M. H. Lindenbau
m & F. Grosveld; Genes Dev., 4, 2075, 1990)、IL
−7やIL−2の添加、あるいは低酸素状態での培養に
よりリンパ球系造血細胞への分化誘導を促進することが
できる(U. Chenら; Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 8
9, 2541, 1992; A. J. Potocnikら; EMBO J., 13, 527
4, 1994; N. Nakayamaら;Blood, 91, 2283, 1998)。ま
た、VEGFの添加により、CD34陽性細胞への分化
誘導を促進することができ、出現したCD34陽性細胞
をM−CSF欠損マウス頭蓋冠由来のストローマ細胞O
P9と共培養することによりBリンパ球やNK細胞に分
化することができる(N. Nakayamaら; Blood, 91, 228
3, 1998)。さらに、VEGF、SCFおよび内皮細胞
株であるD4T細胞の培養上清の添加により、血液細胞
と内皮細胞の共通の前駆体細胞である血管芽細胞(hema
ngioblast)への分化誘導を促進することができる(A.
C. Schuhら; Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 96, 2159,
1999; K. Choiら; Development, 125, 725, 1998; M.K
ennedyら; Nature, 386, 488, 1997)。
【0103】T. C. Doetschmanら(J. Embryol. Exp. M
orphol., 87, 27, 1985)、S. L. Leeら(J. Biol. Che
m., 270, 9971, 1995)の報告の方法により、EBから
軟骨細胞(chondrocyte)へ分化誘導することができ
る。T. C. Doetschmanら(J. Embryol. Exp. Morphol.,
87, 27, 1985)、W. C. Miller-Hanceら(J. Biol. Ch
em., 268, 25244, 1993)の報告の方法によりEBから
骨格筋(skeletal muscle)へ分化誘導することができ
る。T. C. Doetschmanら(J. Embryol. Exp. Morphol.,
87, 27, 1985)、W. A. Ngら(Pediatr. Res., 41, 28
5, 1997)の報告の方法により、EBから平滑筋(smoot
h muscle)へ分化誘導することができる。T. C. Doetsc
hmanら(J. Embryol. Exp. Morphol., 87, 27, 1985)
の報告の方法により、EBから心筋(cardiac muscle)
へ分化誘導することができる。骨格筋、平滑筋、心筋へ
の分化誘導は、ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfo
xide;DMSO)やTGF−βの添加により促進するこ
とができる(H. G. Slagerら;J. Cell. Physiol., 156,
247, 1993; J. Dinsmoreら; Cell Transplant., 5, 13
1, 1996)。
【0104】S. Okabeら(Mech. Dev., 59, 89, 199
6)、G. Yamadaら(Biochem. Biophys.Res. Commun., 1
99, 552, 1994)の報告の方法により、EBから神経性
外胚葉(neural ectoderm)へ分化誘導することができ
る。T. C. Doetschmanら(J. Embryol. Exp. Morphol.,
87, 27, 1985)、G. Bainら(Dev. Biol., 168, 342,
1995)の報告の方法により、EBから神経(neuron)へ
分化誘導することができる。S. Okabeら(Mech. Dev.,
59, 89, 1996)、G. Yamadaら(Biochem. Biophys. Re
s. Commun., 199, 552, 1994)、G. Bainら(Dev. Bio
l., 168, 342, 1995)の報告の方法により、EBからグ
リア細胞(Glial cell)へ分化誘導することができる。
神経性外胚葉、神経、グリア細胞への分化誘導は、レチ
ノイン酸(retinoic acid)、bFGF、NGFの添加
により促進することができる。C. Baguttiら(Dev. Bio
l., 179, 184, 1996)の報告の方法により、EBから上
皮細胞(epithelial cell)へ分化誘導することができ
る。C. Baguttiら(Dev. Biol., 179, 184, 1996)の報
告の方法により、EBからケラチノサイト(keratinocy
te)へ分化誘導することができる。T. C. Doetschmanら
(J. Embryol. Exp. Morphol., 87, 27, 1985)の報告
の方法により、EBからメラノサイト(melanocyte)へ
分化誘導することができる。C. Daniら(J. Cell Sci.,
110, 1279, 1997)の報告の方法により、EBから脂肪
細胞(adipocyte)へ分化誘導することができる。脂肪
細胞への分化誘導は、レチノイン酸(retinoic acid)
の添加により促進することができる。
【0105】以上の報告に記載された方法を本発明のE
B形成方法の後に行う、あるいは、本発明のEB形成方
法と組み合わせて同時に行うことで、目的とする分化細
胞を効率よく誘導することができる。本発明の方法で形
成したEBをトリプシン−EDTA処理等でばらばらに
した後、回収した細胞を血清、IL−3、EPO、GM
−CSFおよびTPOを含む培地で培養することによ
り、造血幹細胞を効率よく誘導することができる。同様
にして該EBから回収した細胞を血清およびIL−7を
含む培地で培養することにより、B細胞を誘導すること
ができる。また、同様にして該EBから回収した細胞を
血清およびVEGFを含む培地で培養することにより血
管内皮細胞を効率よく誘導することができる。血管内皮
細胞を誘導する場合は、フィブロネクチンでコートした
培養器上で培養することが好ましい。また、以上の分化
細胞の誘導方法において、該EBから回収した細胞の培
養により得られた細胞のコロニーを、トリプシン−ED
TA処理等でばらばらにした後、再度同じ組成の培地
(造血幹細胞の場合は血清、IL−3、EPO、GM−
CSFおよびTPOを含む培地、B細胞の場合は血清お
よびIL−7を含む培地、血管内皮細胞の場合は血清お
よびVEGFを含む培地)で培養することにより、さら
に多数の造血幹細胞、B細胞および血管内皮細胞を誘導
することができる。以上の分化細胞の誘導方法において
は、胚性幹細胞をSCGFまたはBMP−4のいずれか
と細胞外マトリックス蛋白質を含む無血清培地で培養す
ることにより形成されたEBよりも、胚性幹細胞をSC
GF、BMP−4および細胞外マトリックス蛋白質を含
む無血清培地で培養することにより形成されたEBを用
いる方が、さらに効率的に造血幹細胞、B細胞および血
管内皮細胞を誘導することができる。
【0106】胚性幹細胞は初期胚より樹立され、全能性
を持つ未分化な幹細胞として一時的に発生を止めた状態
で維持されている。胚性幹細胞が凝集しEBを形成する
と、あたかも初期胚の状態に戻ったかのように分化が誘
導され外胚葉細胞、内胚葉細胞、中胚葉細胞などが出現
する。上述の報告の様に、EB形成後、あるいはその過
程において、特定の機能性細胞の分化や増殖を促進ある
いは抑制する因子が作用すると分化細胞出現数やその効
率に大きな影響を与えることが知られている。本発明の
EB形成方法により無血清培養条件及び/又は血清培養
条件において効率的なEB形成が可能となり、上述の公
知の方法と組み合わせることにより所望の分化した機能
性細胞を効率的にかつ多量に得ることができる。以下、
本発明のEB形成方法と、該方法を工程として含む胚性
幹細胞の分化誘導法をまとめて、本発明の培養方法とい
う。
【0107】分化した細胞の精製方法は、公知となって
いる細胞分離精製の方法であればいずれも用いることが
できるが、その具体的例として、フローサイトメーター
を用いた方法(Antibodies, A Laboratory manual, Col
d Spring Harbor Laboratory, Chapter 14 (1988);Mon
oclonal Antibodies: principles and practice, Third
Edition, Acad. Press (1993);Antibody Engineerin
g, A Practical Approach, IRL Press at Oxford Unive
rsity Press (1996);Int. Immunol., 10, 275,(199
8)、Exp. Hematol., 25, 972, (1997))、パニング法
(Monoclonal Antibodies: principles and practice,
Third Edition, Acad. Press (1993);Antibody Engine
ering, A Practical Approach, IRL Press at Oxford U
niversity Press (1996);J. Immunol., 141, 2797, (1
988))、ショ糖濃度の密度差を利用した細胞分画法(組
織培養の技術(第三版),朝倉書店(1996))を挙げる
ことができる。
【0108】4.本発明の培養方法、細胞、分化誘導剤
の利用 (1)本発明の培養方法の利用 本発明の培養方法では、外胚葉細胞、中胚葉細胞、内胚
葉細胞、外胚葉由来の細胞、中胚葉由来の細胞または内
胚葉由来の細胞を胚性幹細胞から分化誘導することがで
き、これら細胞の分化過程における生理活性物質(例え
ば、薬物)や機能未知の新規遺伝子産物などの薬理評価
および活性評価に有用である。また、特定の遺伝子を改
変した胚性幹細胞を用いることにより、幹細胞が外胚葉
および外胚葉由来の細胞へ分化していく過程における、
該遺伝子の機能評価にも有用である。
【0109】本発明の培養方法の利用方法としては、例
えば、以下のものが挙げられる。 (a)本発明の培養方法を用いた、胚性幹細胞から機能
性細胞への分化調節に関連する物質の評価方法および薬
剤のスクリーニング方法
【0110】本発明の培養方法を用いることにより、培
地中に添加した被験物質の胚性幹細胞から機能性細胞へ
の分化の過程に及ぼす影響を評価することができる。被
験物質としては、培養系に加えることができるものであ
ればどのようなものでもよく、例えば、低分子化合物、
高分子化合物、有機化合物、無機化合物、蛋白質、遺伝
子、ウイルス、細胞などが挙げられる。遺伝子を効率的
に培養系に導入する方法としては、レトロウイルス、ア
デノウイルス、アデノ随伴ウイルス、単純ヘルペスウイ
ルス、レンチウイルス等のウイルスベクターに乗せて培
養系に添加する方法、またはリポソームなどの人工的な
べジクル構造に封入して培養系に添加する方法などが挙
げられる。その具体的例としては、組換えウイルスベク
ターを用いた遺伝子解析に関する報告(Proc. Natl. Ac
ad. Sci. USA, 92, 6733, 1995;Nucleic Acids Res., 1
8, 3587, 1990; Nucleic Acids Res., 23, 3816, 199
5)を挙げることができる。被験物質の評価は、例え
ば、胚性幹細胞から機能性細胞への分化効率の質的また
は量的な変化を測定することで行なうことができる。
【0111】(b)本発明の培養方法を用いた、胚性幹
細胞から分化誘導した機能性細胞の機能の調節に関連す
る物質の評価方法および薬剤のスクリーニング方法。本
発明の培養方法を用いることにより、培地中に添加した
被験物質の胚性幹細胞から分化誘導した機能性細胞の機
能の調節に及ぼす影響を評価することができる。被験物
質としては、培養系に加えることができるものであれば
どのようなものでもよく、例えば、低分子化合物、高分
子化合物、有機化合物、無機化合物、蛋白質、遺伝子、
ウイルス、細胞などが挙げられる。遺伝子を効率的に培
養系に導入する方法としては、レトロウイルス、アデノ
ウイルス、アデノ随伴ウイルス、単純ヘルペスウイル
ス、レンチウイルス等のウイルスベクターに乗せて培養
系に添加する方法、またはリポソームなどの人工的なべ
ジクル構造に封入して培養系に添加する方法などが挙げ
られる。その具体的例としては、組換えウイルスベクタ
ーを用いた遺伝子解析に関する報告(Proc. Natl. Aca
d. Sci. USA, 92, 6733, 1995; Nucleic Acids Res., 1
8, 3587, 1990; Nucleic Acids Res., 23, 3816, 199
5)を挙げることができる。被験物質の評価は、胚性幹
細胞から分化誘導した機能性細胞の機能の質的または量
的な変化を測定することで行なうことができる。具体的
な例としては、例えば、胚性幹細胞から分化誘導した神
経細胞を用いて活動電位を測定するvan Inzenらの方法
(Biochim. Biophys. Acta., 1312,21, 1996)が挙げら
れる。
【0112】(2)本発明の細胞を含有する医薬 発生工学技術により、個々人の胚性幹細胞を作成するこ
とも可能である。1997年、Wilmutらによって哺乳動物で
はじめて、体細胞の核由来のクローン個体である羊ドリ
ーが作出されて以来(I. Wilmutら; Nature, 385, 810,
1997)、胎児細胞の核を用いたクローンウシ(J. B. C
ibelliら; Science, 280, 1256, 1998)、皮膚、筋肉、
耳殻、卵管、卵丘細胞の核を用いたクローンウシ(入谷
明; 蛋白核酸酵素, 44, 892, 1999)、クローンヤギ
(A. Baguisiら; Nature Biotechnology, 17, 456, 199
9)、卵丘細胞の核を用いたクローンマウス(T. Wakaya
maら; Nature, 394, 369, 1998)、雄の尾の細胞を用い
たクローンマウス(T. Wakayamaら; Nature Genetics,
22, 127, 1999)、胚性幹細胞の核を用いたクローンマ
ウス(T. Wakayamaら; Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 9
6, 14984, 1999; W.M. Rideout IIIら; Nature Genetic
s, 24, 109, 2000)の作出が報告されており、体細胞の
核を脱核した受精卵に導入することで哺乳動物のクロー
ン個体を作成することが可能であることが示されてい
る。この核移植の技術と胚性幹細胞を樹立する技術を組
み合わせることで個々人の胚性幹細胞の作成が可能であ
り、個々人の胚性幹細胞から分化させた細胞は臓器移植
へ応用することができる(R. P. Lanzaら; Nature Medi
cine, 5, 975, 1999)。また、胚性幹細胞に遺伝子操作
を加えることで、より効果的な遺伝子治療を行うこと
や、組織適合性抗原の改変が可能となる(P. D. Rathje
nら; Reprod. Fertil. Dev., 10, 31, 1998)。
【0113】本発明の、胚性幹細胞から分化誘導した外
胚葉および外胚葉由来の細胞は、外胚葉由来の細胞の障
害に基づく疾患の治療薬として用いることができる。ま
た、本発明の、胚性幹細胞から分化誘導した中胚葉およ
び中胚葉由来の細胞は、中胚葉由来の細胞の障害に基づ
く疾患の治療薬として用いることができる。さらに、本
発明の、胚性幹細胞から分化誘導した内胚葉および内胚
葉由来の細胞は、内胚葉由来の細胞の障害に基づく疾患
の治療薬として用いることができる。
【0114】外胚葉由来の細胞の障害に基づく疾患とし
ては、神経組織、松果体、副腎髄質、色素細胞あるいは
表皮組織を構成する細胞の障害に基づく疾患が挙げられ
る。
【0115】神経組織を構成する細胞の障害に基づく疾
患としては、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、
パーキンソン病、虚血性脳疾患、てんかん、ダウン症候
群、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、神経外傷、神
経毒物の障害に起因する疾患などが、松果体を構成する
細胞の障害に基づく疾患としては、松果体症、松果体機
能不全などが、副腎髄質を構成する細胞の障害に基づく
疾患としては、副腎機能欠如症、副腎炎などが、色素細
胞の障害に基づく疾患としては、色素異常症、色素過剰
症などが、表皮組織を構成する細胞の障害に基づく疾患
としては火傷、外傷、創傷治癒、床擦れ、皮膚炎、表皮
症、乾せんなどが挙げられる。
【0116】中胚葉由来の細胞の障害に基づく疾患とし
ては、筋組織、結合組織、骨組織、軟骨組織、循環器、
血液組織、真皮、泌尿器あるいは生殖器を構成する細胞
の障害に基づく疾患が挙げられる。
【0117】筋組織を構成する細胞の障害に基づく疾患
としては、筋肉不全症、筋無緊張症、重症筋無力症など
が、結合組織を構成する細胞の障害に基づく疾患として
は、結合組織病、結合組織炎、糖尿病などが、骨組織を
構成する細胞の障害に基づく疾患としては、骨粗鬆症、
骨関節炎、骨形成異常症、骨硬化症、骨髄炎、骨形成不
全症などが、軟骨組織を構成する細胞の障害に基づく疾
患としては、変形関節炎、慢性関節リウマチ、軟骨形成
不全症、軟骨発育不全症、軟骨形成異常症などが、循環
器を構成する細胞の障害に基づく疾患としては、心筋梗
塞、脳梗塞、末梢血管閉鎖症、SLE、狭心症、高血圧
症、高脂血症、糖尿病、糖尿病性網膜症、糸球体腎炎、
動脈硬化、再狭窄、血栓、虚血性心疾患、虚血性脳疾
患、心不全、うっ血、脈絡膜循環障害などが、血液組織
を構成する細胞の障害に基づく疾患としては、HIV感
染、敗血症、移植片―対―宿主疾患、アレルギー、アト
ピー、喘息、花粉症、気道過敏、自己免疫疾患などが、
真皮を構成する細胞の障害に基づく疾患としては、火
傷、外傷、皮膚炎、乾せんなどが、泌尿器を構成する細
胞の障害に基づく疾患としては、溶血性尿毒症症候群、
腎炎などが、生殖器を構成する細胞の障害に基づく疾患
としては、性器発育不全症、性器発育異常などが挙げら
れる。
【0118】内胚葉由来の細胞の障害に基づく疾患とし
ては、消化管、呼吸器、胸腺、甲状腺、副甲状腺、膀
胱、中耳、肝臓あるいは膵臓を構成する細胞の障害に基
づく疾患が挙げられる。
【0119】消化管を構成する細胞の障害に基づく疾患
としては、胃潰瘍、胃炎、十二指腸潰瘍などが、呼吸器
を構成する細胞の障害に基づく疾患としては、肺気腫、
肺水腫、肺炎、気管支炎、気管支喘息などが、胸腺を構
成する細胞の障害に基づく疾患としては、胸腺炎、胸腺
リンパ形成不全症、胸腺機能減退症などが、甲状腺を構
成する細胞の障害に基づく疾患としては、甲状腺無形成
症、甲状腺機能不全症などが、副甲状腺を構成する細胞
の障害に基づく疾患としては、副甲状腺機能低下症など
が、膀胱を構成する細胞の障害に基づく疾患としては、
膀胱炎、膀胱破裂などが、中耳を構成する細胞の障害に
基づく疾患としては、中耳炎などが、肝臓を構成する細
胞の障害に基づく疾患としては、肝臓紫斑病、慢性B型
肝炎、C型肝炎などが、膵臓を構成する細胞の障害に基
づく疾患としては、糖尿病などが挙げられる。
【0120】外胚葉由来の細胞の障害に基づく疾患の治
療薬、中胚葉由来の細胞の障害に基づく疾患の治療薬、
又は内胚葉由来の細胞の障害に基づく疾患の治療薬とし
ては、移植医療に利用可能な、障害を受けた細胞の機能
と同じ機能を有する細胞、障害を受けた細胞の前駆細
胞、障害を受けた細胞の機能を代償する細胞、障害を受
けた細胞の再生を促進する機能を有する細胞が用いられ
る。該治療薬は、本発明の方法を用いることにより、E
S細胞より分化誘導し精製することにより製造できる。
【0121】該治療薬は、移植医療の目的に用いられる
場合、血清やウイルス等の不純物の混入が無いことが求
められる。本発明の方法によれば、無血清培養条件下
で、外胚葉細胞、中胚葉細胞、内胚葉細胞、外胚葉由来
の細胞、中胚葉由来の細胞または内胚葉由来の細胞を分
化誘導することができるため、移植医療の目的に適して
いる。
【0122】細胞の精製方法は、公知となっている細胞
分離精製の方法であればいずれも用いることができる
が、その具体的例として、フローサイトメーターを用い
た方法(Antibodies, A Laboratory manual, Cold Spri
ng Harbor Laboratory, Chapter 14 (1988);Monoclona
l Antibodies: principles and practice, Third Editi
on, Acad. Press (1993);Antibody Engineering, A Pr
actical Approach, IRLPress at Oxford University Pr
ess (1996);Int. Immunol., 10, 275, (1998)、Exp. H
ematol., 25, 972, (1997))、パニング法(Monoclonal
Antibodies: principles and practice, Third Editio
n, Acad. Press (1993);Antibody Engineering, A Pra
ctical Approach, IRL Press at Oxford University Pr
ess (1996);J. Immunol., 141, 2797, (1988))、ショ
糖濃度の密度差を利用した細胞分画法(組織培養の技術
(第三版),朝倉書店(1996))を挙げることができ
る。
【0123】移植の方法としては、対象となる疾患に適
した方法であればいずれの方法も用いることができ、疾
患ごとにそれぞれの疾患に適した公知の方法が知られて
いる。例えば、パーキンソン病患者に対する中絶胎児の
脳細胞を移植する方法として知られている、Nature Neu
roscience 2, 1137, 1999等に記載の方法が挙げられ
る。
【0124】(3)本発明の分化誘導剤を含有する医薬 本発明の分化誘導剤は、外胚葉由来の細胞の障害に基づ
く疾患の治療薬、中胚葉由来の細胞の障害に基づく疾患
の治療薬、あるいは内胚葉由来の細胞の障害に基づく疾
患の治療薬として用いることができる。
【0125】外胚葉由来の細胞の障害に基づく疾患、中
胚葉由来の細胞の障害に基づく疾患、内胚葉由来の細胞
の障害に基づく疾患としては、4.(2)に記載した疾
患が挙げられる。
【0126】本発明の分化誘導剤を有効成分として含有
する医薬は、該有効成分を単独で投与することも可能で
はあるが、通常は該有効成分を薬理学的に許容される一
つあるいはそれ以上の担体と一緒に混合し、製剤学の技
術分野においてよく知られている任意の方法により製造
した医薬製剤として提供するのが望ましい。好ましくは
水、あるいは食塩、グリシン、グルコース、ヒトアルブ
ミン等の水溶液等の水性担体に溶解した無菌的な溶液が
用いられる。また、製剤溶液を生理的条件に近づけるた
めの緩衝化剤や等張化剤のような、薬理学的に許容され
る添加剤、例えば、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、
乳酸ナトリウム、塩化カリウム、クエン酸ナトリウム等
を添加することもできる。また、凍結乾燥して貯蔵し、
使用時に適当な溶媒に溶解させて用いることもできる。
【0127】投与経路は、治療に際し最も効果的なもの
を使用するのが望ましく、経口投与、あるいは口腔内、
気道内、直腸内、皮下、筋肉内および静脈内等の非経口
投与をあげることができる。投与形態としては、噴霧
剤、カプセル剤、錠剤、顆粒剤、シロップ剤、乳剤、座
剤、注射剤、軟膏、テープ剤等があげられる。
【0128】経口投与に適当な製剤としては、乳剤、シ
ロップ剤、カプセル剤、錠剤、散剤、顆粒剤等があげら
れる。例えば乳剤およびシロップ剤のような液体調製物
は、水、ショ糖、ソルビトール、果糖等の糖類、ポリエ
チレングリコール、プロピレングリコール等のグリコー
ル類、ごま油、オリーブ油、大豆油などの油類、p−ヒ
ドロキシ安息香酸エステル類等の防腐剤、ストロベリー
フレーバー、ペパーミント等のフレーバー類等を添加剤
として用いて製造できる。カプセル剤、錠剤、散剤、顆
粒剤等は、乳糖、ブドウ糖、ショ糖、マンニトール等の
賦形剤、デンプン、アルギン酸ナトリウム等の崩壊剤、
ステアリン酸マグネシウム、タルク等の滑沢剤、ポリビ
ニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラ
チン等の結合剤、脂肪酸エステル等の界面活性剤、グリ
セリン等の可塑剤等を添加剤として用いて製造できる。
【0129】非経口投与に適当な製剤としては、注射
剤、座剤、噴霧剤等があげられる。例えば、注射剤は、
塩溶液、ブドウ糖溶液、あるいは両者の混合物からなる
担体等を用いて調製する。座剤はカカオ脂、水素化脂肪
またはカルボン酸等の担体を用いて調製される。また、
噴霧剤は該有効成分そのもの、ないしは受容者の口腔お
よび気道粘膜を刺激せず、かつ該有効成分を微細な粒子
として分散させ吸収を容易にさせる担体等を用いて調製
する。担体として具体的には乳糖、グリセリン等が例示
される。該有効成分および用いる担体の性質により、エ
アロゾル、ドライパウダー等の製剤が可能である。ま
た、これらの非経口剤においても経口剤で添加剤として
例示した成分を添加することもできる。
【0130】投与量または投与回数は、目的とする治療
効果、投与方法、治療期間、年齢、体重等により異なる
が、通常成人1日当たり10μg/kg〜8mg/kgである。
【0131】本発明に係わる適用動物としては、脊椎動
物、中でも温血動物、さらにはマウス、ラット、モルモ
ット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ヒツジ、ブ
タ、ウシ、ヤギ、サル、ヒト等の哺乳動物あるいはニワ
トリが挙げられる。
【0132】以下の実施例により本発明をより具体的に
説明するが、実施例は本発明の単なる例示を示すものに
すぎず、本発明の範囲を限定するものではない。
【0133】
【実施例】実施例1 EBの無血清培養 胚性幹細胞として、129/SvJマウスの胎生3.5日胚の内部
細胞塊より樹立されたES細胞GSI-1(Genome Systems
Inc.社製)(以下、単に「ES細胞」ともいう)を用
い、各種無血清培養条件下でEBを形成させその培養の
持続性を試験した。
【0134】ES細胞GSI-1は、Dulbecco MEM培地( Li
fe Technologies社製)に16%の牛胎児血清(fetal c
alf serum; Hyclone社製)、2mMグルタミン、100
μM MEM Non-Essential Amino Acids溶液、10mM
N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−エタ
ンスルホン酸(HEPES)、100μM 2―メルカ
プトエタノールおよび1,000U/mL LIF(ESG
RO Murine LIF;ライフテックオリエンタル株式会社製)
を加えた培地(以下、「ES培地」と呼ぶ)を用い、Mani
pulating the Mouse Embryo A Laboratory Manual, Sec
ond Edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press (1
994)に記載の方法に従い、フィーダー細胞上で未分化な
形質を保ちながら培養したものを実験に供した。
【0135】フィーダー細胞は、Manipulating the Mou
se Embryo A Laboratory Manual, Second Edition, Col
d Spring Harbor Laboratory Press (1994)に記載の方
法に準じ、Dulbecco MEM培地( Life Technologies社
製)に10%の牛胎児血清(fetal calf serum; Hyclon
e社製)、2mMグルタミン、100μM MEM Non-Esse
ntial Amino Acids溶液および100μM 2−メルカ
プトエタノールを加えた培地(以下、「MEF培地」と呼
ぶ)を用いてほぼコンフルエント状態にまで培養したマ
ウス胎児初代培養繊維芽細胞MEF(mouse embryonic
fibroblast;ライフテックオリエンタル株式会社製 商品
番号YE9284600)を、Dulbecco MEM培地(GIBCO/BRL社
製)に5%の牛胎児血清(fetal calf serum; Hyclone
社製)、2mMグルタミン、100μM MEM Non-Essen
tial Amino Acids溶液、100μM2−メルカプトエタ
ノールおよび10μg/mLマイトマイシンCを加えた
培地で2.5時間培養し、Ca2+、Mg2+不含リン酸バ
ッファー(GIBCO/BRL社製、以下「PBS
(−)」と呼ぶ)溶液で3回洗浄後、1mMEDTAお
よび0.25%トリプシンを含むPBS(−)溶液を加
え単一細胞状態にし、MEF培地に懸濁後、約100,
000細胞/cm2の細胞密度でゼラチンコートした培
養器に播種し、37℃で5%の二酸化炭素を通気したC
2インキュベーターにて1日間培養したものを実験に
用いた。
【0136】ES細胞の無血清培養は以下のように行っ
た。IMDM培地(GIBCO/BRL社製)に50μM 2−
メルカプトエタノール、2mMグルタミン、1%牛血清
アルブミン(Stem Cell Technologies社製)、10μg
/ml牛膵インスリン(Stem Cell Technologies社
製)、200μg/mlヒトトランスフェリン(Stem C
ell Technologies社製)および40μg/ml低比重リ
ポプロテイン(low density lipoprotein; LDL、Sigma
社製)を加えた培地(以下、「無血清基本培地」と呼ぶ)
を基本培地として用い、この無血清基本培地に各種蛋白
性因子を添加した培地を調製し、2,000細胞/mL
の細胞濃度でES細胞を懸濁し、6穴プレートに1ml
づつ播種後、37℃で5%の二酸化炭素を通気したCO
2インキュベーターで20日間培養を行い、EBの形成
の有無、数、形態の変化等を倒立顕微鏡下で観察した。
EBを染色する場合には、メイギムザ染色法を用いて行
った。
【0137】ES細胞は、無血清培養開始の2日前に、
コンフルエント濃度の10分の1になるように継代した
細胞を、PBS(−)で2回洗浄後、1mMEDTAお
よび0.25%トリプシンを含むPBS(−)溶液を加
え37℃で5分間インキュベーションを行うことで単一
細胞状態にし、各種蛋白性因子を添加した無血清基本培
地に2,000細胞/mLの細胞濃度に懸濁したものを
調製して実験に用いた。
【0138】6穴プレートは、市販の細胞培養用プレー
ト(岩城硝子株式会社製)、コラーゲンTypeIコー
トプレート(岩城硝子株式会社製)、コラーゲンTyp
eIVコートプレート(岩城硝子株式会社製)、ゼラチン
コートプレート(岩城硝子株式会社製)、フィブロネク
チンコートプレート(BECTON DICKINSON社製BIOCOAT Ce
llware)、ラミニンコートプレート(BECTON DICKINSON
社製BIOCOAT Cellware)、または、ポリーD−リジンコ
ートプレート(BECTON DICKINSON社製BIOCOAT Cellwar
e)を実験に用いた。
【0139】蛋白性因子は、マウス造血幹細胞増殖因子
(mouse stem cell growth factor;以下SCGFとも略
す)、マウス造血幹細胞因子(mouse stem cell facto
r;以下SCFとも略す、R&D Systems社製)、マウスf
lk―2/flt3リガンド(mouse flk-2/flt3 ligan
d; 以下FLとも略す、R&D Systems社製)、マウスイン
ターロイキン3(mouse interleukin 3; 以下IL−3
とも略す、R&D Systems社製)、マウストロンボポイエ
チン(mouse thrombopoietin; 以下TPOとも略す、R&
D Systems社製)、マウス血管内皮増殖因子(mouse vas
cular endothelial growth factor; 以下VEGFとも
略す、Pepro Tech社製)、ヒトエリスロポイエチン(hu
man erythropoietin; 以下EPOとも略す、キリンビー
ル株式会社製)、マウスインターロイキン6(mouse in
terleukin 6; 以下IL−6とも略す、Pepro Tech社
製)、または、マウスインターロイキン11(mouse in
terleukin 11; 以下IL−11とも略す、R&D Systems
社製)を単独あるいは複数を無血清基本培地に添加し実
験に用いた。各種蛋白性因子SCGF、SCF、FL、
IL−3、TPO、VEGF、EPO、IL−6、およ
びIL−11の無血清基本培地への添加濃度はそれぞ
れ、50ng/mL、50ng/mL、50ng/m
L、50ng/mL、50ng/mL、10ng/m
L、1unit/mL、10ng/mL、50ng/m
Lとした。なお、SCGFは参考例1で調製したものを
用いた。
【0140】20日間培養を行った結果を図1に示し
た。細胞培養用プレートあるいはポリ−D−リジンコー
トプレートを用いて培養を行った場合には、上述の各種
蛋白性因子を添加してもEBの形成は全く観察されなか
った。また、細胞外マトリックス蛋白質をコートしたプ
レートでも、無血清基本培地に上述の蛋白性因子を添加
しない場合には、EBの形成は全く観察されなかった。
一方、上述の蛋白性因子を添加した無血清基本培地を用
いた場合には、フィブロネクチンを筆頭に、以下ゼラチ
ン、コラーゲンタイプIV、コラーゲンタイプI、ラミ
ニンでコートしたプレートの順に良好なEBの形成が観
察され、SCGF、SCF、FL、IL−3およびTP
Oらの蛋白性因子が良好なEBの出現に効果的である可
能性が示唆された。図2にフィブロネクチンコートプレ
ートでのEBの出現の様子を示した。
【0141】実施例2 EB形成の経時変化 無血清培養下でのEBの形成の様子を観察するために、
フィブロネクチンコートしたプレートと、SCGF、S
CF、FL、IL−3、TPO、IL−6およびIL−
11を添加した無血清基本培地を用い、実施例1に記載
の方法に従ってES細胞GSI-1の無血清培養を行った。
【0142】ES細胞は、播種後4日目頃からプレート
の底部で小さなコロニーを形成し始め、12日目には大
きなEBへと成長していった。成長したEBはその後2
0日を越えて維持された。図3に12日目のEBの写真
を示した。
【0143】実施例3 EBの形成に影響を与える蛋白
性因子の解析―その1;無血清培地に添加する蛋白性因
子について― EBの形成に影響を与える蛋白性因子について解析する
ために、フィブロネクチンコートしたプレートと、SC
GF、SCF、FL、IL−3あるいはTPOの各因子
を単独または複数添加した無血清基本培地を用い、実施
例1に記載の方法に従ってES細胞GSI-1の無血清培養
を行った。
【0144】結果を図4に示した。上記蛋白性因子を単
独で加えた場合にはEBの形成は観察されなかった。2
因子を組み合わせた場合には、SCGFとSCFを組み
合わせた場合のみでEBの形成が観察された。3因子を
添加した培地を用いた場合には、SCGF、SCF及び
FLの組み合わせ、SCGF、SCF及びIL−3の組
み合わせ、 SCGF、SCF及びTPOの組み合わせ
の場合にEBの形成が観察された。4因子を添加した培
地を用いた場合には、 SCGF、SCF、FL及びI
L−3の組み合わせ、SCGF、SCF、FL及びTP
Oの組み合わせ、SCGF、SCF、IL−3及びTP
Oの組み合わせ、SCGF、FL、IL−3及びTPO
の組み合わせの場合にEBの形成が観察された。以上の
結果から、無血清培養条件下でEBを形成させるには、
SCGF、SCF、FLの蛋白性因子が特に重要であ
ることが明らかになった。
【0145】実施例4 EBの形成に影響を与える蛋白
性因子の解析―その2;プレートをコートする細胞外マ
トリックス蛋白質について― EBの形成に影響を与える蛋白性因子について解析する
ために、SCGFとSCFを添加した無血清基本培地
と、フィブロネクチンコートプレートあるいは通常の細
胞培養用プレートを用い、実施例1に記載の方法に従っ
てES細胞GSI-1の無血清培養を行った。この際、ES
細胞の播種細胞濃度を変化させることで細胞密度の影響
も合わせて検討した。
【0146】まず、フィブロネクチンコートプレートを
用いてEBを出現させた場合に、播種細胞濃度がどのよ
うな影響を示すか検討した(図5)。無血清基本培地に
SCGFとSCFを添加した培地を用いた場合には、播
種細胞濃度1,500細胞/mLの培養からEBの形成
が観察され、播種細胞濃度4,000細胞/mLで培養
した場合に35個のEBの形成が観察された。播種細胞
濃度を5,000細胞/mL以上にすると、生じてきた
EBがお互いに融合し計測が不可能となった。また、無
血清基本培地のみを用いた場合でも、播種細胞濃度2,
500細胞/mL以上からEBの形成が観察されたが、
このEBの形成効率はSCGFとSCFを添加した無血
清基本培地を用いた場合に比べて明らかに低かった。
【0147】次に、通常の細胞培養用プレートと無血清
基本培地を用い、ES細胞の播種細胞濃度を変えてEB
が出現するか否か検討した。フィブロネクチンコートプ
レートを用いた場合とは異なり、播種細胞濃度1,50
0細胞/mL、2,000細胞/mL、2,500細胞/
mL、3,500細胞/mL、4,000細胞/mLのい
ずれの場合にもEBの形成は観察されなかった。
【0148】以上の結果から、無血清培養条件下でEB
を形成させるには、SCGF、SCF、フィブロネクチ
ンの蛋白性因子が重要であることが明らかになった。
【0149】実施例5 血清培地中でのEBの形成 上述した無血清培地でのEBの形成効率を、血清培地を
用いた場合と比較するために、Dulbecco MEM培地(GIBC
O/BRL社製)に20%の牛胎児血清(fetal calf serum;
Hyclone社製)、2mMグルタミン、100μM MEM N
on-Essential Amino Acids溶液、10mMHEPES、10
0μM 2―メルカプトエタノールを加えた血清培地を
用い、ES細胞GSI-1の培養を以下のように行った。
【0150】ES細胞は、試験開始の2日前に、コンフ
ルエント濃度の10分の1になるように継代した細胞
を、PBS(−)で2回洗浄後、1mM EDTAおよ
び0.25%トリプシンを含むPBS(−)溶液を加え
37℃で5分間インキュベーションを行うことで単一細
胞状態にし、上述の血清培地に2,000細胞/mLの
細胞濃度に懸濁したものを調製して実験に用いた。2,
000細胞/mLの細胞濃度に調製したES細胞を、市
販の細胞培養用6穴プレート(岩城硝子株式会社製)に
1mLづつ播種後、37℃で5%の二酸化炭素を通気し
たCO2インキュベーターで20日間培養を行い、形成
されたEBの数を倒立顕微鏡下で観察した。
【0151】形成されたエンブリオイドボディの数は、
血清のロットによって変動する傾向が観察されたが、低
い場合で4個、平均で12個程度であった。
【0152】実施例6 血清培地中でのEBの形成に及
ぼす蛋白性因子の効果 無血清培養でのEBの形成に効果のあった蛋白性因子
が、血清培養でも効果を有するか検討するために、蛋白
性因子を添加した血清培地を用いてES細胞の培養を行
った。
【0153】蛋白性因子としては、SCGF、SCF、
FL、IL−3、TPOを用いた。実施例5に記載の方
法に従い、上記蛋白性因子を単独あるいは複数添加した
血清培地を用い、ES細胞GSI-1の培養を行った。各蛋
白性因子の添加濃度は実施例1に記載した濃度とした。
【0154】図6に出現したEBの数を経時的に観察し
た結果を示した。SCGFを添加した培地を用いたとこ
ろ、顕著なエンブリオイドボディの形成促進の効果が観
察された。一方、SCF、FL、IL−3およびTPO
を添加した培地を用いた場合には若干のEBの形成促進
の効果が観察されたが、SCGF単独の効果には及ばな
かった。さらに、SCGFを添加した培地にSCF、F
L、IL−3およびTPOを加えても、SCGF単独の
場合と比べて有為な効果は観察されなかった。以上の結
果から、SCGFは強いエンブリオイドボディの形成促
進効果を有しているものと示唆された。
【0155】実施例7 SCGF添加無血清培養により
形成されたEBからの分化細胞の増殖 実施例1に記載の方法に従い、フィブロネクチンコート
した6穴プレートを用いて、ヒトSCGF(参考例2に
従って調製したものを用いた)、マウスSCGF、マウ
スSCFの各因子を単独または複数添加した無血清基本
培地(因子無添加、マウスSCGF、ヒトSCGF、マ
ウスSCF、マウスSCGFおよびSCF、ヒトSCG
FおよびマウスSCF)を用いて、マウスES細胞GSI-
1の無血清培養を行った。各因子の添加濃度は全て50
ng/mLずつで行った。ただし、播種するES細胞の
濃度は3500細胞/mLで行い、37℃で5%の二酸
化炭素を通気したCO2インキュベーターで12日間培
養を行った。形成されたEBの数は、マウスSCGFお
よびマウスSCFを添加した培養あるいはヒトSCGF
およびマウスSCFを添加した培養で他の培養よりもや
や数が多かったが、どの培養においても10個前後であ
った。
【0156】各培養ごとに、形成された全てのEBをP
BS(−)で2回洗浄後、0.05%トリプシンを含む
0.53mmol/L EDTA(GIBCO/BRL 社製)で
37℃、8〜10分消化した。剥離した単一細胞全量を
10%牛胎児血清(fetal calf serum;以下FCSと略
す、Stem Cell Technologies 社製)添加IMDM培地
(GIBCO/BRL 社製)に容量1.5mLになるように浮遊
させた。この回収細胞浮遊液の0.4mLに、50ng
/mLマウスIL−3、1unit/mLヒトEPO、
20ng/mLマウスGM−CSF(Pepro Tech社
製)、20ng/mLマウスTPO(各因子の濃度は回
収細胞浮遊液に加えて2mLになったときの濃度を示し
た)をそれぞれ含む20%FCS添加IMDM培地(以
下、この培地を造血因子添加培地と称する)1.6mL
を加えて細胞培養用6穴プレート(Costar 社製)にそ
れぞれ播種し、37℃で5%の二酸化炭素を通気したC
2インキュベーターで7〜10日間培養を行い、生じ
たコロニー(以下、EBに由来する細胞の培養から生じ
たコロニーを2次分化コロニーとよぶこともある。)の
細胞をメイ−グリュンワルト−ギムザ(May-Grunwald-G
iemsa)染色し、コロニー数を数えた。その結果を図9
および図10に示したが、マウスSCGFまたはヒトS
CGFをES細胞に添加した培養により形成されたEB
からは、細胞が増殖し100〜160個程度の多数のコ
ロニーが生じたのに対し、マウスSCFのみを添加した
培養により形成されたEBからは、20個以下の少数の
コロニーしか生じず、無血清基本培地のみ(因子無添
加)の培養により形成されたEBからはコロニーが生じ
なかった。また、ヒトまたはマウスSCGFとマウスS
CFを共に添加した培養とヒトまたはマウスSCGFを
単独で添加した培養からそれぞれ形成されたEBから生
じたコロニー数に大きな差は見られなかった。このこと
から、ES細胞の無血清培養により形成されたEBに分
化因子を加えて培養し、細胞の分化を誘導し増殖させる
ためには、ES細胞の培養時にSCGFを存在させるこ
とが重要であり、SCFは必ずしも必要でないこと、E
Bの形成時に、SCGFは単独でES細胞から分化した
細胞への方向づけ(プライミング)をできることがわか
った。また、マウスES細胞に対してはSCGFであれ
ば種差はなく、マウスSCGFであってもヒトSCGF
であっても同様の効果を示すことが見出された。
【0157】なお、EBから回収した細胞の培養をFC
S非添加(造血因子は添加)の条件あるいは、造血因子
非添加(FCSは添加)の条件で行った場合は、どちら
の条件でも、ヒトまたはマウスSCGFを添加した無血
清培養により形成されたEBからの2次分化コロニーの
形成は殆ど見られなかった。造血因子非添加の条件で培
養を行った結果を図11に示す。ヒトまたはマウスSC
GFを添加した無血清培養により形成されたEBから生
じたコロニーは1個あたり1.5〜3.0×104個の
細胞からなっており、そのメイ−グリュンワルト−ギム
ザ染色したサイトスピン標本の顕微鏡観察から、核/細
胞質比の大きな好塩基性細胞質の小円型未熟細胞や核/
細胞質比の小さな顆粒や空胞を有する細胞質の大型細胞
など多彩な細胞から構成されていることがわかった。図
12にヒトSCGF単独添加培養により形成されたEB
から生じたコロニーにおいて観察された種々の細胞を示
す。
【0158】実施例8 SCGFまたはBMP−4添加
無血清培養により形成されたEBからの造血幹細胞の取
得 (1)SCGFまたはBMP−4添加無血清培養により
形成されたEBからの造血幹細胞への分化 個体発生の過程で胎生期の造血分化誘導に影響すること
が知られているBMP−4をES細胞の培養時に添加し
た場合の、EBからの造血分化へのプライミングの効果
を以下のようにして検証した。実施例7と同様にしてE
S細胞GSI-1の無血清培養を行い、EBを形成させた。
ただし、培地は、ヒトSCGF、ヒトBMP−4(R&D
Systems社製)の各因子をそれぞれ単独または両者とも
添加した無血清基本培地を用い、各因子の添加濃度は全
て50ng/mLずつで行った。形成したEBの数は、
どの培養でも10個前後で差はなかった。実施例7と同
様にして、それぞれのEBから細胞浮遊液1.5mLを
回収し、その0.4mLに、(a)造血因子添加培地ま
たは(b)50ng/mLヒトSCGFを含む造血因子
添加培地1.6mLを加えて、実施例7と同様に培養
し、生じた2次分化コロニーの細胞の染色を行い、コロ
ニー数を数えた。その結果、図13に示すように、いず
れのEBからも造血因子の添加培養により、多数のコロ
ニーが生じ、SCGFだけでなくBMP−4によっても
分化へのプライミングができることがわかった。なお、
各EBとも(a)と(b)の培地でコロニー数に差はな
く、2次分化コロニーの形成時におけるSCGFの添加
によるコロニー数の増加はみられなかった。
【0159】それぞれのEBの細胞を、上記の(a)造
血因子添加培地または(b)造血因子+ヒトSCGFの
添加培地で培養した場合に生じた、2次分化コロニーの
細胞の細胞膜表面形質を、EPICS XL フローサイトメー
ター(Coulter 社製)を用いたシングルカラーフローサ
イトメトリーにより解析した。解析は、2次分化コロニ
ーの細胞について、まず前方および側方散乱蛍光を測定
し、それぞれ規定の数値内の細胞群を回収し行った。標
識抗体は、FITC標識抗B220抗体(Caltag社
製)、FITC標識抗Sca−1抗体(Caltag社製)、
R−PE標識抗CD117(c−kit)抗体(Caltag
社製)、R−PE標識抗CD34抗体(Caltag社製)の
各ラットモノクローナル抗体を用いた。同時に各抗体の
FITCあるいはR−PE標識ラットアイソタイプIg
G2aあるいはIgG2b(いずれもCaltag社製)を陰
性対照として解析し、陰性対照で得られる最大蛍光強度
以上に染色される細胞を陽性とし、解析全細胞に占める
陽性細胞率を測定した。各抗体との反応は各メーカー指
定の方法に従った。
【0160】その結果、造血幹細胞に特異的な細胞膜表
面形質であるSca−1は8〜14%の細胞に、CD3
4は2〜6%の細胞に、CD117は10〜14%の細
胞に陽性で、少数のB細胞系B220陽性細胞も認めら
れた。図14にヒトSCGFおよびヒトBMP−4添加
無血清培養により形成されたEBに由来する細胞を造血
因子添加培地で培養した場合の、2次分化コロニーの細
胞膜表面形質の解析を示した。これら陽性細胞の実数を
計算すると、図15に示すように、ES細胞3500個
から、SCGF単独、BMP−4単独または両者の併用
により、それぞれ4〜8×105個のSca−1陽性細
胞、1〜4×105個のCD34陽性細胞、4〜7×1
5個のCD117陽性細胞が得られたことになる。以
上のように、SCGFまたはBMP−4を添加した培養
によりES細胞から形成したEBを適当な造血因子(I
L−3、EPO、GM−CSFおよびTPO)と血清を
添加した培地で培養することにより、ES細胞は造血幹
細胞に分化し、大量の造血幹細胞を取得できることが見
出された。
【0161】(2)2次分化コロニーの細胞の培養 さらに、上記の各培養条件で得られた2次分化コロニー
から、実施例7のEBと同様にして細胞浮遊液を回収
し、2次分化コロニーの形成時と同様の条件で培養を行
ったところ、生じるコロニー(以下、このような2次分
化コロニーの細胞の培養により生じたコロニーを3次分
化コロニーとも称する。)の数はさらに増加した(図1
6)。3次分化コロニーの数は、ES細胞の無血清培養
時に添加する因子が、SCGF<BMP−4<SCGF
+BMP−4の順に増加した。この傾向は、図17に示
したコロニーを構成する細胞のメイ−グリュンワルト−
ギムザ染色したサイトスピン標本の顕微鏡観察でも明瞭
であった。3次分化コロニーを構成する細胞は2次分化
コロニーの構成細胞と同様、各種細胞からなる不均一な
細胞集団であった。
【0162】以上のようにして得られた3次分化コロニ
ーの構成細胞の細胞膜表面形質を、(1)と同様にし
て、シングルカラーフローサイトメトリーにより解析し
た。その結果、Sca−1は9〜19%の細胞に、CD
34は10〜26%の細胞に、CD117は14〜18
%の細胞に陽性で、少数のB220陽性細胞も認められ
た。図18にヒトSCGF添加無血清培養から形成され
たEBに由来する細胞の造血因子添加培地による培養で
得られた2次分化コロニーの細胞を、さらに造血因子添
加培地で培養した場合の3次分化コロニーの構成細胞の
細胞膜表面形質の解析を示した。全体に造血幹細胞特異
的な細胞膜表面形質の陽性率は2次分化コロニーの構成
細胞を上回っていたが、特にCD34陽性細胞の増加が
顕著であった。これら陽性細胞を実数を計算すると、図
19に示すように、ES細胞3500個から、SCGF
単独、BMP−4単独または両者の併用により、それぞ
れ5〜20×105個のSca−1陽性細胞、5〜25
×105個のCD34陽性細胞、5〜15×105個のC
D117陽性細胞が得られたことになる。特に、BMP
−4とSCGFの両者を添加したES細胞の培養から得
られた陽性細胞数は、それぞれの因子単独の添加の場合
の3〜5倍に上昇した。
【0163】実施例9 SCGFまたはBMP−4添加
無血清培養により形成されたEBからのB細胞の分化 実施例8(1)と同様にして、ヒトSCGF、ヒトBM
P−4の各因子をそれぞれ単独または両者とも添加した
無血清基本培地を用いてES細胞GSI-1からEBを形成
させた。実施例7と同様にして、それぞれのEBから細
胞浮遊液1.5mLを回収し、その0.4mLに、50
ng/mL(回収細胞浮遊液に加えて2mLになったと
きの濃度)マウスIL−7を含む20%FCS添加IM
DM培地1.6mLを加えて、実施例7と同様に培養し
た。その結果、いずれのEBからも多数の2次分化コロ
ニーが生じることがわかった。さらに、上記の各培養条
件で得られた2次分化コロニーから、実施例8(2)と
同様にして3次分化コロニーを形成させたところ、図2
0に示すように、コロニーの数はさらに増加した。この
3次分化コロニーの構成細胞の細胞膜表面形質を、実施
例8(1)と同様にして、FITC標識抗B220ラッ
トモノクローナル抗体(Caltag社製)抗体を用いたシン
グルカラーフローサイトメトリーにより解析した。その
結果、図21に示すように、B細胞系の細胞に特異的な
細胞表面形質B220の陽性細胞が認められ、B細胞系
の細胞を得ることができることがわかった。
【0164】実施例10 SCGFまたはBMP−4添
加無血清培養により形成されたEBからの血管内皮細胞
の分化 実施例8(1)と同様にして、ヒトSCGF、ヒトBM
P−4の各因子をそれぞれ単独または両者とも添加した
無血清基本培地を用いてES細胞GSI-1からEBを形成
させた。実施例7と同様にして、それぞれのEBから細
胞浮遊液1.5mLを回収し、その0.4mLに、
(c)50ng/mLマウスVEGFまたは(d)50
ng/mLマウスVEGFと50ng/mLヒトSCG
F(示した各因子の濃度は回収細胞浮遊液に加えて2m
Lになったときの濃度)を含む20%FCS添加IMD
M培地1.6mLを加えて、実施例7と同様に培養し
た。ただし、培養には細胞培養用6穴プレートの代わり
に、フィブロネクチンでコートした6穴プレート(Bect
on Dickinson社製、BIOCOAT Cellware)を用いた。生じ
たコロニーの細胞の染色を行い、コロニー数を数えた。
その結果、図13に示すように、いずれのEBからも多
数の2次分化コロニーが生じることがわかった。なお、
各EBとも造血因子添加培地の場合と同様に、(c)と
(d)の培地でコロニー数に差はなく、2次分化コロニ
ーの形成時におけるSCGFの添加によるコロニー数の
増加はみられなかった。さらに、上記の各培養条件で得
られた2次分化コロニーから、実施例8(2)と同様に
して3次分化コロニーを形成させたところ、図22に示
すように、コロニーの数はさらに増加した。
【0165】得られた3次分化コロニーを構成する細胞
の細胞膜表面形質を、LSABユニバーサルキット(Da
ko社製)を用いた免疫組織化学により同定した。細胞を
4%パラホルムアルデヒド固定し、1次モノクローナル
抗体としてラット抗CD31(PECAM−1)抗体
(Caltag社製)あるいはマウス抗CD144(VE−カ
ドヘリン)抗体(Santa Cruz社製)と反応させ、ビオチ
ン標識2次抗体、アルカリホスファターゼ標識ストレプ
トアビジンと順次反応後、ニューフクシンで発色しマイ
ヤーヘマトキシリンでカウンター染色した。陰性対照1
次抗体としてそれぞれラットIgG2a(Zymed社製)
およびマウスIgG1(Dako社製)を使用した。アルカ
リホスファターゼ発色基質にレバミゾールを加えること
により内因性アルカリホスファターゼをブロックした。
なお詳細な反応条件はメーカー指定の方法に従った。そ
の結果、血管内皮細胞に特異的な膜表面形質であるCD
144(VE−カドヘリン)陽性細胞およびCD31
(PECAM−1)陽性細胞を認めた。図23に、ヒト
SCGFとヒトBMP−4添加無血清培養により形成さ
れたEBから、マウスVEGFおよびヒトSCGFを添
加した培養により得られた3次分化コロニーの構成細胞
の免疫組織化学の結果を示す。
【0166】また、ヒトSCGF、ヒトBMP−4の各
因子をそれぞれ単独または両者とも添加した無血清培養
により形成させたEBから、マウスVEGFおよびヒト
SCGFを添加した培養により得られた3次分化コロニ
ーの構成細胞について、以下のようにして発現遺伝子の
解析を行った。3次分化コロニーの構成細胞から、RNea
sy(Qiagen社製)を使用して全RNAを調製した。続い
てSUPERSCRIPT II(Invitrogen社製)によりcDNAを逆転
写し、ポリメラーゼチェーン反応(polymerasechain re
action; PCR)により、血管内皮細胞に特異的な遺伝子
の発現を検出した。PCRに用いたプライマーおよびそ
のPCR産物のサイズを表1に示す。
【0167】
【表1】
【0168】PCRはTaKaRa Taq(宝酒造社製)、GeneAm
p PCR System 9600(Perkin-Elmer社製)を用いて行っ
た。まず94℃で5分加熱後、各遺伝子について表2に
示す条件を繰り返し、最後に72℃5分加熱し4℃で冷
却した。PCR産物を4.5%ポリアクリルアミドゲル
で電気泳動の後、SYBR Green I(宝酒造社製)で染色
し、Molecular Imager FX(Bio-Rad社製)で検出した。
【0169】
【表2】
【0170】その結果、図24に示すように、どの3次
分化コロニーの構成細胞についても、血管内皮細胞に特
異的な遺伝子であるc−flk−1、c−flt−1、
c−tie−1、c−tie−2、CD31(PECA
M−1)、CD34、フォンウイルブランド因子および
CD144(VE−カドヘリン)の発現を認めた。
【0171】比較例1 従来法における無血清培養での
EBの形成 ジョハンソン(Johansson)らの報告(B. M. Johansson
& M. V. Wiles; Mol.Cell. Biol., 15, 141, 1995)に
従って、インスリン、トランスフェリン、アルブミンを
含有する無血清培地を用いてES細胞GSI-1の培養を行
った。
【0172】無血清培地は、IMDM培地(GIBCO/BRL
社製)とF12培地(GIBCO/BRL社製)を等量混合した
培地を基礎培地として用い、2mMグルタミン、5mg
/mL牛血清アルブミン(Boehringer Mannheim社
製)、15μg/mLトランスフェリン(Boehringer M
annheim社製)、450μMモノチオグリセロール、7
μg/mLインスリン(GIBCO/BRL社製)および1倍濃
度の脂質(100x mixture chemically defined lipid co
ncentration; Life Technologies社製 カタログ番号066
-01905H)を添加した培地と、さらに1U/mL LI
F(ESGRO Murine LIF;ライフテックオリエンタル株式
会社製)を添加した培地を調製し実験に用いた。
【0173】ES細胞は、無血清培養開始の2日前に、
コンフルエント濃度の10分の1になるように継代した
細胞を、PBS(−)で2回洗浄後、1mM EDTA
および0.25%トリプシンを含むPBS(−)溶液を
加え37℃で5分間インキュベーションを行うことで単
一細胞状態にし、上述のいずれかの無血清培地に5,0
00細胞/mlの細胞濃度に懸濁したものを調製して実
験に用いた。
【0174】ES細胞の無血清培養は以下のように行っ
た。5,000細胞/mlの細胞濃度に調製したES細
胞を、市販の細菌培養用35mmデッシュ(岩城硝子株
式会社製)に1mLづつ播種後、37℃5%の二酸化炭
素を通気したCO2インキュベーターで培養を行い、形
成されたEBの形態を倒立顕微鏡下で観察した。
【0175】LIFを添加していない培地を用いて培養
した場合には、3日後には細胞が死滅し、ジョハンソン
(Johansson)らの報告の結果を再現した。また、LI
Fを添加した場合でも細胞の長期間に渡る維持は難し
く、1週間以上の培養ではEBの形成がほとんど観察さ
れなかった。
【0176】参考例1 SCGFの調製 1)発現ベクターの作製 動物細胞用発現ベクターpAGE210(WO96/34016)のHindI
II/KpnI処理断片をマウスSCGFポリペプチドをコードす
るDNA(WO98/08869)と連結したマウスSCGF発現ベ
クターpAGE-mSCGFの構築を以下のように行った(図7参
照)。
【0177】3μgのpBluescript II SK+(STRATAGENE
社製)を制限酵素HindIIIとKpnIで消化し、BAP(宝酒
造株式会社製)処理した後、フェノールクロロホルム処
理、クロロホルム処理、エタノール沈殿し、最終的に水
に溶解した。配列番号1記載のマウスSCGF cDN
Aのうち、配列番号2で表されるアミノ酸配列をコード
する部分をPCR法を利用して調製した。正方向プライ
マーとしては配列番号3に記載のオリゴヌクレオチド
を、逆方向プライマーとして配列番号4に記載のオリゴ
ヌクレオチドを使用した。合成オリゴヌクレオチドは固
相法を原理とする全自動DNA合成機を使用して作製し
た。各オリゴヌクレオチドの精製は、OPCカートリッ
ジを使用して行った。クローン21-1C4-5H6(PCT国際公
開WO98/08869)約100ngを鋳型として、50μL反
応液中でNative Pfu Polymerase(1.25単位;STRATAGENE
社製)によるPCRを実施した。PCRは、10% D
MSO存在下、それぞれ正方向プライマー、逆方向プラ
イマー50μMを使用し、PCR工程(1サイクルは変
性94℃;1分間、アニーリング50℃;1分間、ポリ
メラーゼ反応72℃;4分間からなる)を20サイクル
行い、最後に72℃で7分間反応させた。得られたPC
R産物をフェノールクロロホルム抽出、エタノール沈殿
を行い制限酵素HindIIIとKpnIで消化した。該反応液を
アガロースゲル電気泳動により分画し、ゲルから1,0
00bp付近のDNA断片を切り出し、精製し、TE緩
衝液に溶出した。該PCR増幅物のHindIII/KpnI処理断
片とpBluescript II SK+のHindIII/KpnI処理断片とを連
結し、大腸菌DH5α株(CLONTECH社製)を形質転換し、図
7に示すpB-mSCGFを得た。得られたクローンが正確なマ
ウスSCGF cDNAの配列を有することは自動DN
Aシークエンサー(ABI社製373)によって確認した。
【0178】3μgのpAGE210を制限酵素HindIIIとKpnI
で消化し、BAP(宝酒造株式会社製)処理した後、フ
ェノールクロロホルム処理、クロロホルム処理、エタノ
ール沈殿し、最終的に水に溶解した。pB-mSCGFを制限酵
HindIIIとKpnIで消化し、アガロースゲル電気泳動に
より分画し、ゲルから1,000bp付近のDNA断片
を切り出し、精製し、TE緩衝液に溶出した。該断片と
pAGE210のHindIII/KpnI処理断片とを連結し、大腸菌DH5
α株(CLONTECH社製)を形質転換し、図7に示すpAGE-mSC
GFを得た。
【0179】なお、図7中のpSEはシミアン・ウィルス
(simian virus) 40 (SV40)初期遺伝子プロモータを示し
Hygはハイグロマイシン耐性遺伝子を示し、dhfrはジヒ
ドロ葉酸還元酵素遺伝子を示し、P1はpBR322由来P1プロ
モータを示し、Ptkはヘルペス・シンプレクス・ウィル
ス(Herpes simplex virus; HSV)チミジンキナーゼ(tk)
遺伝子のプロモータを示し、ABGはラビットβグロブリ
ン遺伝子ポリA付加シグナルを示し、ASEはシミアン・ウ
ィルス(simian virus) 40 (SV40)初期遺伝子ポリA付加
シグナルを示す。
【0180】2)動物細胞におけるマウスSCGFポリ
ペプチドの発現 動物細胞へのプラスミドの導入は、宮地らの方法に従
い、エレクトロポレーション法(Miyaji et.al., Cytot
echnology, 3, 133-140, 1990)を用いて行った。上記
で得られたpAGE-mSCGFを、dhfr遺伝子を欠損したCHO
細胞(Urlaub andChasin, Proc. Natl. Acad. Sci. US
A., 77, 4216-4220, 1980)4×106個あたり4μg導
入後、10mLのMEMα(核酸含有: Life Technologies
社製)−5%血清(Life Technologies社製)培地に懸
濁し、96-well plate (岩城硝子社製)にまいた。37
℃の5% CO2インキュベータ中で24時間培養した
後、ハイグロマイシン(Life Technologies社製)を
0.3mg/mLとなるように添加し、1−2週間培養
し耐性株を得た。これら耐性株を24-well plateに継
代培養し、メトトレキセート(MTX)を50nM含む
MEMα(核酸非含有: Life Technologies社製)−5%透
析血清(Life Technologies社製)培地で培養した。M
TX耐性を獲得した細胞株のうち、抗SCGF抗体を用
いたウェスタンブロッティング(PCT国際公開WO98/0886
9)によりマウスSCGFを多く生産していることが確
認された細胞を拡大培養し、EXCELL301 (JRH社製)に培
地を交換して4日から10日間培養した。細胞を遠心操
作によって除去し、マウスSCGFポリペプチドを含む
培養上清サンプルを得た。
【0181】3)CHO細胞培養上清からのマウスSC
GFの精製 得られたCHO細胞培養上清400mLは、セルロース
アセテートろ過膜(ミニザルトプラス、ザルトリウス社
製)でろ過した後、亜鉛イオン固定化キレーティングセ
ファロースFastFlow担体(ファルマシア社製)
を充填したカラム(15mm x 100mm)に負荷
した。0.5M塩化ナトリウム含有20mMリン酸ナト
リウム緩衝液(pH7.2)でカラムを十分洗浄後、0
〜100mMヒスチジン直線濃度勾配で溶出した。各溶
出分画についてSDS−ポリアクリルアミド電気泳動
(SDS−PAGE)を行い、銀染色(2D-銀染色試
薬-II「第一」、第一化学薬品社製)で検出される約47
kDaのバンドを多く含む約45mM〜70mMヒスチ
ジン溶出分画を回収した。
【0182】このヒスチジン溶出分画30mLに終濃度
が65%となるように12.9gの硫酸アンモニウムを
添加し、攪拌溶解した。4℃下で2時間放置した後、1
8800Gで30分間遠心して得た沈殿物に9mLの1
0mMトリス塩酸緩衝液(pH7.0)を添加し、攪拌
溶解した。
【0183】溶解液は10mMトリス塩酸緩衝液(pH
7.0)で平衡化したMonoQ陰イオン交換クロマト
グラフィーカラム(5mm×50mm、ファルマシア社
製)に負荷した。平衡化液で十分洗浄後、0〜1.0M
塩化ナトリウム直線濃度勾配で溶出した。各溶出分画に
ついてSDS−PAGEを行い、銀染色で検出される約
47kDaのバンドを多く含む約350mM〜500m
M塩化ナトリウム溶出分画を回収した。
【0184】ここで得た溶出分画3mLは限外ろ過膜
(マイクロコン10、ミリポア社製)で濃縮した後、P
BS(pH7.4)で平衡化したSuperose6ゲ
ルろ過クロマトグラフィーカラム(10mm×300m
m、ファルマシア社製)に負荷した。各溶出分画につい
てSDS−PAGEを行い、銀染色で検出される約47
kDaのバンドを多く含む溶出体積Veが11.5mL
〜13.5mLの分画を回収した。この最終分画は2−
メルカプトエタノール存在下でSDS-PAGEを行っ
たところ、クマジーブルー染色で約47kDaの単一バ
ンドを示した(図8)。
【0185】精製マウスSCGFのN末端アミノ酸配列
はタンパク質化学の常法に従って決定した。精製分画を
2-メルカプトエタノール還元下でSDS-PAGEを行
った後、P.Matsudairaの方法(J.B.
C.262、10035―10038、1987)に従
いPVDF膜(ProBlott、アプライドバイオシ
ステムズ社)へ電気的に転写した。転写した膜をクマジ
ーブルー染色して得られた約47kDa付近のバンドを
切り出し、気相プロテインシーケンサー(PPSQ−1
0、島津製作所社製)を用いてメーカー推奨の方法によ
りN末端アミノ酸配列を解析した。得られたアミノ酸配
列を配列番号5に記載したが、マウスSCGF遺伝子配
列から推定される開始メチオニン残基から22残基目の
アラニン残基からの配列に一致した。
【0186】参考例2 ヒトSCGFの調製 (1)ヒトSCGF発現用プラスミドpAGE-SCGFαの構
築および動物細胞での発現 動物細胞用発現ベクターpAGE210(WO96/34016)のHindI
II/KpnI処理断片とヒトSCGFをコードするDNA
(Mioら; Biochem. Biophys. Res. Commun. 249, 124,
1998)とを連結することにより、ヒトSCGF発現ベク
ターpAGE-SCGFαを構築した。
【0187】動物細胞へのプラスミドの導入は宮地等の
方法(Cytotechnology, 3, 133, 1990)に従いエレクト
ロポレーション法により行った。4μgのpAGE-SCGFα
を4×106個のdhfr遺伝子欠損CHO細胞株(Url
aub and Chasin, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77, 42
16-4220, 1980)へ導入した。この細胞を10mLのMEM
α2000-dFCS(5)培地〔透析FCSを5%、7.5% Na
HCO3を1/40量、200mLグルタミン溶液(GIBCO/
BRL社製)を3%、ペニシリン・ストレプトマイシン溶
液(GIBCO/BRL社製、5000単位/mLペニシリンお
よび5000 mg/mLストレプトマイシン含有)を
0.5%含むMEMα2000培地(GIBCO/BRL社製)〕に懸濁
し、10cmプレート(IWAKI社製)に入れ、37℃の
CO2インキュベーター中で24時間培養した。ハイグ
ロマイシン(GIBCO/BRL社製)を終濃度0.3mg/m
Lになるよう添加し、さらに1〜2週間培養した。形質
転換細胞がコンフルエントになった時点で回収し、ハイ
グロマイシンを0.3mg/mL、メトトレキセート
(methotrexate;MTX)を50nmol/L含むMEM
α2000-dFCS(5)培地に1〜2×106細胞/mLになる
ように懸濁し、F75フラスコ(Greiner社製)に2m
L分注した。1〜2週間の培養後、50nmol/LM
TX耐性の細胞を0.3mg/mLハイグロマイシン、
200nmol/LMTX含有MEMα2000-dFCS(5)培地
に1〜2×105細胞/mLになるように懸濁し、F7
5フラスコ(Greiner社製)に2mL分注した。1〜2
週間の培養後、200nmol/L MTX耐性の細胞
を得た。この200nmol/L MTX耐性細胞を1
0mg/Lのアプロチニン(aprotinin;Sigma社製)を
含む無血清EX-CELL 301培地(JRH Biosciences社製)を
用い、2Lのローラーボトル(Greiner社製)で37
℃、80回転/分で培養を行った。約5日間の培養後、
細胞を遠心操作により分離し、培養上清サンプルを得
た。
【0188】(2)KM2142を用いたウェスタンブ
ロッティングによるヒトSCGFの存在確認 抗ヒトSCGFモノクローナル抗体KM2142(WO98
/08869に記載の方法により作製した)を用いたウェスタ
ンブロッティングにより、ヒトSCGFの存在の有無に
ついて、以下の方法により実施した。以下の(3)で記
述するヒトSCGFのクロマトグラフィー精製における
各精製画分をSDS−PAGEで分離後、P. Matsudair
aの方法(J. Biol. Chem., 262, 10035, 1987)に従っ
てPVDF膜(Immobilon Transfer Membrane、ミリポ
ア社製)へ電気的に転写した。転写膜はブロッキング溶
液〔1%ウシ血清アルブミンを含むPBS(137mm
ol/L NaCl、2.7mmol/L KCl、9.6m
mol/l Na2HPO4/KH2PO4 pH7.2)〕中で30
分間振盪した後、ブロッキング溶液で1mg/mLに希
釈したKM2142を含む溶液中で室温60分間振盪し
た。該転写膜はさらに0.05% Tween 20を含むPB
Sで5分間洗浄を2回、PBSでの5分間洗浄を1回実
施した後、パーオキシダーゼで標識された抗ラットIg
G抗体(DAKO社製)をPBSで1/1000に希釈した
溶液中で室温60分間振盪した。0.05% Tween 20
を含むPBSで5分間洗浄を2回、PBSでの5分間洗
浄を1回実施した後、発光法(ECL Western blottingde
tection reagents、アマシャム ファルマシア バイオテ
ク社製)により検出した。
【0189】(3)CHO細胞培養上清からのヒトSC
GFの精製 (1)で得られたCHO細胞培養上清から、ヒトSCG
Fを以下の3段階のクロマトグラフィーにより精製取得
した。 第1段階:亜鉛キレートクロマトグラフィー Zn2+イオンで飽和させたChelating Sepharose Fast Flo
w担体(アマシャム・ファルマシア・バイオテク社製)
を径5.0cm×20cmのカラム(BioRad社)に1
4.5cmの高さまで充填し、0.5mol/L塩化ナ
トリウムを含む20mmol/lリン酸ナトリウム緩衝
液(pH7.1)で平衡化した。これに上記(1)で得
たCHO細胞培養上清12Lを添加し、同平衡化液で十
分に洗浄後、0〜100mmol/Lヒスチジン直線濃
度勾配で溶出した。溶出画分の一部を用いてSDS−P
AGEを行い、上記(2)で示したKM2142による
ウェスタンブロッティングで交差する約45kDaのバ
ンドを含む画分を回収した。
【0190】第2段階:MonoQ陰イオン交換クロマトグ
ラフィー 上記亜鉛キレートクロマトグラフィー粗精製画分に終濃
度50%となるように硫酸アンモニウムを添加して撹拌
後、4℃で2時間放置した。18800×gで30分間
遠心して得られた沈澱を10mmol/Lトリス−塩酸
緩衝液(pH7.0)に溶解し、同トリス−塩酸緩衝液
で平衡化したMonoQ HR 10/10 カラム(アマシャム ファ
ルマシア バイオテク社)に添加した。平衡化液で十分
洗浄後、0〜1mol/L塩化ナトリウム直線濃度勾配
で溶出した。溶出画分の一部を用いてSDS−PAGE
を行い、上記(2)で示したKM2142によるウェス
タンブロッティングで交差する約45kDaのバンドを
含む画分を回収した。
【0191】第3段階:S-400ゲルろ過クロマトグラフィ
ー Sephacryl S-400 HR担体(アマシャム ファルマシア バ
イオテク社)をXK50/60カラム(アマシャム ファルマシ
ア バイオテク社)に51.5cmの高さまで充填した
カラムとXK50/100カラム(アマシャム ファルマシア バ
イオテク社)に93cmの高さまで充填したカラムを直
列に連結し、PBSで十分平衡化した。これに上記Mono
Q陰イオン交換クロマトグラフィー精製画分28mLを
添加し、6mL/分の流速でPBSにより溶出した。溶
出画分の一部を用いてSDS−PAGEを行い、上記
(2)で示したKM2142によるウェスタンブロッテ
ィングで交差する約45kDaのバンドを含む画分を回
収した。この最終精製品のSDS-PAGEにおけるパターン
(クマジーブルー染色)を図25に示す。
【0192】
【発明の効果】本発明により、血清培養、無血清培養い
ずれの培養条件においても、胚性幹細胞からEBを効率
的に形成させることができる。
【0193】
【配列表のフリーテキスト】配列番号3−人工配列の説
明:マウスSCGF cDNAコード領域の増幅とその
5’末端へのHindIII認識部位作成のための正方向プラ
イマー配列番号4−人工配列の説明:マウスSCGF
cDNAコード領域の増幅とその3’末端へのKpnI認識
部位作成のための逆方向プライマー
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> KYOWA HAKKO KOGYO CO., LTD. <120> PROCESS OF FORMING AN EMBRYOID BODY AND USE THEREOF <130> P-36214-1 <150> JP 2001-110100 <151> 2001-04-09 <160> 19 <170> PatentIn Ver. 2.1 <210> 1 <211> 1399 <212> DNA <213> Mus musculus <220> <221> CDS <222> (132)..(1118) <400> 1 gaagctggca gaagaaggtc aaggggcttg tgagctgccc accagactgg gacacttgct 60 aggtctatac agcagtccta cccctggcat tctgacctct ctactatttg ggtgctggga 120 agcccagctg g atg cag gca gcc tgg ctc ttg ggg gcc cta gtg gtc cct 170 Met Gln Ala Ala Trp Leu Leu Gly Ala Leu Val Val Pro 1 5 10 cag ctt ttg agt ttt ggt cat gga gcc cga ggt cct ggg agg gag tgg 218 Gln Leu Leu Ser Phe Gly His Gly Ala Arg Gly Pro Gly Arg Glu Trp 15 20 25 gag gga ggc tgg gga ggt gcc ctg gag gag gag aga gag cgg gag tca 266 Glu Gly Gly Trp Gly Gly Ala Leu Glu Glu Glu Arg Glu Arg Glu Ser 30 35 40 45 cag atg ttg aag aat ctc cag gag gcc cta ggg ctg ccc act ggg gtg 314 Gln Met Leu Lys Asn Leu Gln Glu Ala Leu Gly Leu Pro Thr Gly Val 50 55 60 gga aat gag gat aat ctt gct gaa aac cct gaa gac aaa gag gtc tgg 362 Gly Asn Glu Asp Asn Leu Ala Glu Asn Pro Glu Asp Lys Glu Val Trp 65 70 75 gag acc aca gag act caa ggg gaa gaa gag gaa gag gaa atc acc aca 410 Glu Thr Thr Glu Thr Gln Gly Glu Glu Glu Glu Glu Glu Ile Thr Thr 80 85 90 gca cct tct tct agt ccc aac cct ttc ccc agc cct tct ccc aca cca 458 Ala Pro Ser Ser Ser Pro Asn Pro Phe Pro Ser Pro Ser Pro Thr Pro 95 100 105 gag gac act gtc act tac atc ttg ggc cgc ttg gcc agc ctc gat gca 506 Glu Asp Thr Val Thr Tyr Ile Leu Gly Arg Leu Ala Ser Leu Asp Ala 110 115 120 125 ggc cta cac caa ttg cac gtc cgt ctg cac gtt ttg gac acc cgt gtg 554 Gly Leu His Gln Leu His Val Arg Leu His Val Leu Asp Thr Arg Val 130 135 140 gtt gag ctg acc cag ggg ctg cgg cag ctg cgg gat gct gcg agt gac 602 Val Glu Leu Thr Gln Gly Leu Arg Gln Leu Arg Asp Ala Ala Ser Asp 145 150 155 acc cgc gac tca gtg caa gcc ctg aag gag gtc cag gac cgt gct gag 650 Thr Arg Asp Ser Val Gln Ala Leu Lys Glu Val Gln Asp Arg Ala Glu 160 165 170 cag gag cac ggc cgc ttg gag ggc tgc ctg aag ggc ctg cgc ctt ggc 698 Gln Glu His Gly Arg Leu Glu Gly Cys Leu Lys Gly Leu Arg Leu Gly 175 180 185 cac aag tgc ttc ctg ctc tcg cga gac ttc gag acc cag gcg gcg gcg 746 His Lys Cys Phe Leu Leu Ser Arg Asp Phe Glu Thr Gln Ala Ala Ala 190 195 200 205 cag gcg cgg tgc aag gcg cga ggt ggg agc tta gca cag cct gcg gac 794 Gln Ala Arg Cys Lys Ala Arg Gly Gly Ser Leu Ala Gln Pro Ala Asp 210 215 220 cgc cag caa atg gat gcg cta agc cgg tac tta cgc gcc gct ctc gcc 842 Arg Gln Gln Met Asp Ala Leu Ser Arg Tyr Leu Arg Ala Ala Leu Ala 225 230 235 ccc tac aac tgg ccg gtg tgg ctg gga gtg cac gat cgg cgc tcc gag 890 Pro Tyr Asn Trp Pro Val Trp Leu Gly Val His Asp Arg Arg Ser Glu 240 245 250 ggg ctc tac ctt ttc gag aac ggc cag cgc gtg tct ttc ttc gcc tgg 938 Gly Leu Tyr Leu Phe Glu Asn Gly Gln Arg Val Ser Phe Phe Ala Trp 255 260 265 cac cgc gca ttc agc ctg gag tcc ggc gcc cag cct agt gcg gca aca 986 His Arg Ala Phe Ser Leu Glu Ser Gly Ala Gln Pro Ser Ala Ala Thr 270 275 280 285 cat cca ctc agc ccg gat cag ccc aat ggc ggc gtc ctg gag aac tgc 1034 His Pro Leu Ser Pro Asp Gln Pro Asn Gly Gly Val Leu Glu Asn Cys 290 295 300 gtg gcc cag gcc tca gac gac ggt tct tgg tgg gac cat gac tgt gag 1082 Val Ala Gln Ala Ser Asp Asp Gly Ser Trp Trp Asp His Asp Cys Glu 305 310 315 cgg cgc ctc tac ttc gtc tgc gag ttc ccc ttc tag agaaccggtc 1128 Arg Arg Leu Tyr Phe Val Cys Glu Phe Pro Phe 320 325 tctgcccagg agctctagtg cacattttgc accgtacacc gcgcacccta ttgttagggg 1188 cctgggagtc gctcagagat taagcgtgac catgaataca ttttaatcag aagaggtttt 1248 ttattttaga tactggcacc cagactgatt ggggccaggt gtgctcctga gattgcttcc 1308 aagatgcatt atcagcccag ggattttaaa ggcaaacccc acaagattgc atgtagcctg 1368 cttacatgta ggccggagca taaaaattta a 1399 <210> 2 <211> 328 <212> PRT <213> Mus musculus <400> 2 Met Gln Ala Ala Trp Leu Leu Gly Ala Leu Val Val Pro Gln Leu Leu 1 5 10 15 Ser Phe Gly His Gly Ala Arg Gly Pro Gly Arg Glu Trp Glu Gly Gly 20 25 30 Trp Gly Gly Ala Leu Glu Glu Glu Arg Glu Arg Glu Ser Gln Met Leu 35 40 45 Lys Asn Leu Gln Glu Ala Leu Gly Leu Pro Thr Gly Val Gly Asn Glu 50 55 60 Asp Asn Leu Ala Glu Asn Pro Glu Asp Lys Glu Val Trp Glu Thr Thr 65 70 75 80 Glu Thr Gln Gly Glu Glu Glu Glu Glu Glu Ile Thr Thr Ala Pro Ser 85 90 95 Ser Ser Pro Asn Pro Phe Pro Ser Pro Ser Pro Thr Pro Glu Asp Thr 100 105 110 Val Thr Tyr Ile Leu Gly Arg Leu Ala Ser Leu Asp Ala Gly Leu His 115 120 125 Gln Leu His Val Arg Leu His Val Leu Asp Thr Arg Val Val Glu Leu 130 135 140 Thr Gln Gly Leu Arg Gln Leu Arg Asp Ala Ala Ser Asp Thr Arg Asp 145 150 155 160 Ser Val Gln Ala Leu Lys Glu Val Gln Asp Arg Ala Glu Gln Glu His 165 170 175 Gly Arg Leu Glu Gly Cys Leu Lys Gly Leu Arg Leu Gly His Lys Cys 180 185 190 Phe Leu Leu Ser Arg Asp Phe Glu Thr Gln Ala Ala Ala Gln Ala Arg 195 200 205 Cys Lys Ala Arg Gly Gly Ser Leu Ala Gln Pro Ala Asp Arg Gln Gln 210 215 220 Met Asp Ala Leu Ser Arg Tyr Leu Arg Ala Ala Leu Ala Pro Tyr Asn 225 230 235 240 Trp Pro Val Trp Leu Gly Val His Asp Arg Arg Ser Glu Gly Leu Tyr 245 250 255 Leu Phe Glu Asn Gly Gln Arg Val Ser Phe Phe Ala Trp His Arg Ala 260 265 270 Phe Ser Leu Glu Ser Gly Ala Gln Pro Ser Ala Ala Thr His Pro Leu 275 280 285 Ser Pro Asp Gln Pro Asn Gly Gly Val Leu Glu Asn Cys Val Ala Gln 290 295 300 Ala Ser Asp Asp Gly Ser Trp Trp Asp His Asp Cys Glu Arg Arg Leu 305 310 315 320 Tyr Phe Val Cys Glu Phe Pro Phe 325 <210> 3 <211> 37 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> forward primer for amplification of a coding region of mouse SCGF cDNA and creation of a HindIII site at its 5' end <400> 3 cgccaagctt ccaccatgca ggcagcctgg cttttgg 37 <210> 4 <211> 33 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> reverse primer for amplification of a coding region of mouse SCGF cDNA and creation of a KpnI site at its 3' end <400> 4 ggggtacctt actagaaggg gaactcgcag acg 33 <210> 5 <211> 11 <212> PRT <213> Mus musculus <220> <221> UNSURE <222> (8) <400> 5 Ala Arg Gly Pro Gly Arg Glu Xaa Glu Gly Gly 1 5 10 <210> 6 <211> 20 <212> DNA <213> Mus musculus <400> 6 tctgtggttc tgcgtggaga 20 <210> 7 <211> 20 <212> DNA <213> Mus musculus <400> 7 gtatcatttc caaccaccct 20 <210> 8 <211> 18 <212> DNA <213> Mus musculus <400> 8 ctctgatggt gatcgtgg 18 <210> 9 <211> 18 <212> DNA <213> Mus musculus <400> 9 catgcgtctg gccacttg 18 <210> 10 <211> 20 <212> DNA <213> Mus musculus <400> 10 ctcactgccc tcctgactgg 20 <210> 11 <211> 20 <212> DNA <213> Mus musculus <400> 11 cgatgtactt ggatataggc 20 <210> 12 <211> 20 <212> DNA <213> Mus musculus <400> 12 gtcatggcca tggtcgagta 20 <210> 13 <211> 20 <212> DNA <213> Mus musculus <400> 13 ctcctcggca tcttgctgaa 20 <210> 14 <211> 20 <212> DNA <213> Mus musculus <400> 14 ttacctctgg gatcccttca 20 <210> 15 <211> 20 <212> DNA <213> Mus musculus <400> 15 ccagaggtga ccaatgcaat 20 <210> 16 <211> 20 <212> DNA <213> Mus musculus <400> 16 ggatgcagag gctcacagag 20 <210> 17 <211> 20 <212> DNA <213> Mus musculus <400> 17 ctggcggttc acgttggact 20 <210> 18 <211> 27 <212> DNA <213> Mus musculus <400> 18 atgatggaga ggttacacat ctctcag 27 <210> 19 <211> 25 <212> DNA <213> Mus musculus <400> 19 ccagctcatc caccccactg agcag 25
【図面の簡単な説明】
【図1】は、細胞外マトリックス蛋白質をコートしたプ
レート上で胚性幹細胞を無血清培養した場合に形成され
るEBのコロニー数を示したグラフである。各カラム番
号は、図下部に示した各種蛋白性因子を含む無血清基本
培地を用いたことを示している。尚、CM*はSCF、
FL、IL−3、TPOの4因子が含まれることを意味
している。
【図2】は、フィブロネクチンをコートしたプレート上
でES細胞を無血清培養した場合に形成されるEBの出
現の様子を示した写真である。各ウエルの左肩の番号
は、図下部に示した各種蛋白性因子を含む無血清基本培
地を用いたことを示している。尚、CM*はSCF、F
L、IL−3、TPOの4因子が含まれることを意味し
ている。
【図3】は、フィブロネクチンをコートしたプレート上
でES細胞を無血清培養した場合に形成されるEBの顕
微鏡像の写真である。写真の左側に記した蛋白性因子を
含む無血清基本培地を用いた。尚、CM*はSCF、F
L、IL−3、TPOの4因子を意味している。
【図4】は、フィブロネクチンをコートしたプレート上
でES細胞を無血清培養した場合に形成されるEBの出
現の様子を示した写真である。各ウエルの左肩の番号
は、図下部に示した各種蛋白性因子を含む無血清基本培
地を用いたことを示している。7番、17番、18番、
27番のプレートで1個、19番、28番、30番のプ
レートで2個、29番のプレートで3個のEBの出現が
観察された。その他のプレートではEBの形成は観察さ
れなかった。
【図5】は、フィブロネクチンをコートしたプレート上
でES細胞を無血清培養した場合に形成されるEBのコ
ロニーの数が、播種するES細胞の細胞密度を変えた場
合にどのように変化したか示したグラフである。●はS
CGFとSCFを含む無血清基本培地を用いた場合の結
果を、○は無血清基本培地のみを用いた場合の結果を示
している。
【図6】は、ES細胞を血清培養した場合に形成される
EBのコロニーの数の変化を経時的に示したグラフであ
る。○は血清培地を用いた場合、●はSCGFを含む血
清培地を用いた場合、▲はSCF、FL、IL−3およ
びTPOを含む血清培地を用いた場合、■はSCGF、
SCF、FL、IL−3およびTPOを含む血清培地を
用いた場合に形成されたEBの数を示している。
【図7】は、動物細胞でのマウスSCGF発現用ベクタ
ーの構築過程を示した図である。
【図8】は、CHO細胞で発現したマウスSCGFを精
製しSDS−ポリアクリルアミド電気泳動を行った図で
ある(レーン1:分子量マーカー、レーン2:精製マウ
スSCGF)。
【図9】は、EBから回収した細胞を造血因子添加培地
で培養し、生じた2次分化コロニーをメイ−グリュンバ
ルト−ギムザ染色した写真である。各ウェルの培養に用
いたEBは、ES細胞を、各ウェルの外に記載した因子
をそれぞれ添加した無血清培地で培養することにより形
成されたものである。
【図10】は、横軸に示す因子をそれぞれ添加した無血
清培地で、3.5×103個のES細胞を培養すること
により形成されたEB、およびそのEBから回収した細
胞を造血因子添加培地で培養することにより生じた2次
分化コロニーの数を示すグラフである。白い棒グラフは
EBの数、黒い棒グラフは2次分化コロニーの数を示
す。
【図11】は、EBから回収した細胞を造血因子非添加
のFCS添加IMDM培地で培養し、生じた2次分化コ
ロニーをメイ−グリュンバルト−ギムザ染色した写真で
ある。各ウェルの培養に用いたEBは、ES細胞を、各
ウェルの下に記載した因子をそれぞれ添加した無血清培
地で培養することにより形成されたものである。
【図12】の1〜6は全て、ES細胞のヒトSCGF添
加無血清培養により形成されたEBから回収した細胞
を、造血因子添加培地で培養し、生じた2次分化コロニ
ーを構成する細胞について、メイ−グリュンバルト−ギ
ムザ染色したサイトスピン標本の顕微鏡写真の例であ
る。
【図13】は、ES細胞の無血清培養で形成されたE
B、およびそのEBから回収した細胞の培養により生じ
た2次分化コロニーの数を示すグラフである。横軸にE
S細胞の無血清培養(1次培養)、EBの細胞の培養
(2次培養)において、それぞれ添加した因子の組み合
わせ(+は添加、−は非添加)を示す。白いバーはEB
の数、黒いバーは2次分化コロニーの数を示す。
【図14】は、ヒトSCGFおよびヒトBMP−4添加
無血清培養により形成されたEBから回収した細胞を造
血因子添加培地で培養することにより得られた2次分化
コロニーの構成細胞について、シングルカラーフローサ
イトメトリーによる膜表面形質の解析結果を示す図であ
る。左の図は、2次分化コロニーの各構成細胞の前方お
よび側方散乱蛍光の分布を示し、楕円で囲まれた細胞群
について、シングルカラーフローサイトメトリーによる
解析を行った。右の図は、上からFITC標識抗Sca
−1抗体、R−PE標識抗CD34抗体、R−PE標識
抗CD117抗体をそれぞれ用いたシングルカラーフロ
ーサイトメトリーの解析結果であり、それぞれの図の右
側のグラフが、各抗体を用いた解析、左側のグラフが陰
性対照を示す。横軸は蛍光強度、縦軸は細胞数を示す。
M2は陰性対照の蛍光強度の範囲を示し、M1は陽性細
胞とした蛍光強度の範囲を示す。
【図15】は、3.5×103個のES細胞の無血清培
養により形成されたEBから回収した細胞の培養により
得られた2次分化コロニーにおける、横軸に示した各細
胞膜表面形質の陽性細胞実数を示すグラフである。グラ
フの下に、各バーにおける、ES細胞の無血清培養(1
次培養)、EBの細胞の培養(2次培養)において、そ
れぞれ添加した因子の組み合わせを示す。
【図16】は、横軸に示す因子をそれぞれ添加した無血
清培地で、3.5×103個のES細胞を培養すること
により形成されたEB、そのEBから回収した細胞を造
血因子添加培地で培養することにより生じた2次分化コ
ロニー、および2次分化コロニーから回収した細胞を造
血因子添加培地で培養することにより生じた3次分化コ
ロニーの数を示すグラフである。白いバーはEBの数、
灰色のバーは2次分化コロニーの数、黒いバーは3次分
化コロニーの数を示す。
【図17】は、各パネルの左上に示した因子を添加した
無血清培地でES細胞を培養することにより形成された
EBから、造血因子添加培地を用いた培養により得られ
た3次分化コロニーについて、構成細胞のメイ−グリュ
ンバルト−ギムザ染色したサイトスピン標本の顕微鏡写
真である。
【図18】は、ヒトSCGF添加無血清培養から形成さ
れたEBから回収した細胞の造血因子添加培地による培
養で得られた3次分化コロニー構成細胞についてのシン
グルカラーフローサイトメトリーである。左上がFIT
C標識抗Sca−1抗体、右上がR−PE標識抗CD3
4抗体、左下がR−PE標識抗CD117抗体をそれぞ
れ用いたシングルカラーフローサイトメトリーであり、
それぞれの図の薄い灰色のグラフが、各抗体を用いた解
析、濃い灰色のグラフが陰性対照の抗体を用いた解析を
示す。横軸は蛍光強度、縦軸は細胞数を示す。M2は陰
性対照の蛍光強度の範囲を示し、M1は陽性細胞とした
蛍光強度の範囲を示す。
【図19】は3.5×103個のES細胞の無血清培養
により形成されたEBから回収した細胞の培養により得
られた3次分化コロニーにおける、横軸に示した各細胞
膜表面形質の陽性細胞実数を示すグラフである。グラフ
の下に、各バーにおける、ES細胞の無血清培養(1次
培養)、EBの細胞の培養(2次培養)において、それ
ぞれ添加した因子の組み合わせを示す。
【図20】は、横軸に示す因子をそれぞれ添加した無血
清培地で、3.5×103個のES細胞を培養すること
により形成されたEB、そのEBから回収した細胞をI
L−7培地で培養することにより生じた2次分化コロニ
ー、および2次分化コロニーから回収した細胞をIL−
7添加培地で培養することにより生じた3次分化コロニ
ーの数を示すグラフである。白いバーはEBの数、灰色
のバーは2次分化コロニーの数、黒いバーは3次分化コ
ロニーの数を示す。
【図21】は、ヒトSCGF添加無血清培養により形成
されたEBから回収した細胞のIL−7添加培地による
培養で得られた3次分化コロニー構成細胞について、F
ITC標識抗B220抗体を用いたシングルカラーフロ
ーサイトメトリーである。図の薄い灰色のグラフが抗B
220抗体を用いた解析、濃い灰色のグラフが陰性対照
の抗体を用いた解析を示す。横軸は蛍光強度、縦軸は細
胞数を示す。M2は陰性対照の蛍光強度の範囲を示し、
M1は陽性細胞とした蛍光強度の範囲を示す。
【図22】は、横軸に示す因子をそれぞれ添加した無血
清培地で、3.5×103個のES細胞を培養すること
により形成されたEB、そのEBから回収した細胞をV
EGF添加培地で培養することにより生じた2次分化コ
ロニー、および2次分化コロニーから回収した細胞をV
EGF添加培地で培養することにより生じた3次分化コ
ロニーの数を示すグラフである。白いバーはEBの数、
灰色のバーは2次分化コロニーの数、黒いバーは3次分
化コロニーの数を示す。
【図23】は、ヒトSCGFおよびBM−4添加無血清
培養により形成されたEBから回収した細胞を、VEG
FおよびSCGF添加培地で培養することにより得られ
た3次分化コロニーの構成細胞についての、血管内皮細
胞特異的な膜表面形質の免疫組織化学解析を示す図であ
る。1次抗体として上から、陰性ラット対照IgGアイ
ソタイプ(上パネル)、抗CD144(VE−カドヘリ
ン)抗体(中パネル)および抗CD31(PECAM−
1)抗体(下パネル)と反応させた結果を示す。
【図24】は、ES細胞の無血清培養により形成された
EBから回収した細胞を、VEGFおよびSCGF添加
培地で培養することにより得られた3次分化コロニーの
構成細胞についての、PCRによる血管内皮細胞特異的
遺伝子の発現解析を示す図である。上にそれぞれ解析し
た血管内皮細胞特異的遺伝子を、かっこ内にPCR産物
のヌクレオチドサイズを示す。各レーンはES細胞の無
血清培養を因子無添加(レーン1)、SCGF添加(レ
ーン2)、BMP−4添加(レーン3)、SCGFおよ
びBMP−4添加(レーン4)で行った場合を示す。
【図25】は、CHO細胞の培養上清から精製したヒト
SCGFのSDS−PAGEを示す図である。レーン1
は分子量マーカー、レーン2はヒトSCGFの最終精製
品のSDS−PAGEを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 35/32 A61K 35/34 35/34 35/36 35/36 35/37 35/37 35/39 35/39 35/407 35/407 35/42 35/42 35/48 35/48 35/55 35/55 45/00 45/00 A61P 1/00 A61P 1/00 1/04 1/04 1/16 1/16 1/18 1/18 3/10 3/10 5/14 5/14 5/18 5/18 7/00 7/00 7/02 7/02 9/00 9/00 9/04 9/04 9/10 9/10 101 101 9/12 9/12 11/00 11/00 11/06 11/06 13/00 13/00 13/12 13/12 15/00 15/00 15/08 15/08 17/00 17/00 17/02 17/02 17/06 17/06 19/00 19/00 19/02 19/02 19/08 19/08 19/10 19/10 21/00 21/00 21/04 21/04 25/08 25/08 25/14 25/14 25/16 25/16 25/28 25/28 27/02 27/02 27/16 27/16 29/00 101 29/00 101 31/04 31/04 31/18 31/18 31/20 31/20 37/02 37/02 37/08 37/08 C12N 5/02 C12N 5/02 G01N 33/15 Z G01N 33/15 33/50 Z 33/50 C12N 5/00 ZNAE (72)発明者 佐藤 光男 東京都町田市旭町3丁目6番6号 協和醗 酵工業株式会社東京研究所内 (72)発明者 杉本 整治 東京都町田市旭町3丁目6番6号 協和醗 酵工業株式会社東京研究所内 Fターム(参考) 2G045 AA40 BA11 BB50 DA13 DA36 FB02 4B065 AA90X AC20 BA23 BB22 BB23 BB32 BB34 BB40 CA44 CA60 4C084 AA17 NA14 ZA022 ZA062 ZA152 ZA162 ZA332 ZA342 ZA362 ZA402 ZA422 ZA512 ZA592 ZA662 ZA682 ZA752 ZA812 ZA892 ZA942 ZA962 ZA972 ZB072 ZB132 ZB152 ZB332 ZB352 ZC062 ZC332 ZC352 ZC552 4C087 AA01 AA02 AA03 BB40 BB42 BB46 BB49 BB51 BB52 BB55 BB62 BB63 BB64 CA04 NA14 ZA02 ZA06 ZA15 ZA16 ZA33 ZA34 ZA36 ZA40 ZA42 ZA51 ZA59 ZA66 ZA68 ZA75 ZA81 ZA89 ZA94 ZA96 ZA97 ZB07 ZB13 ZB15 ZB33 ZB35 ZC06 ZC33 ZC35 ZC55

Claims (62)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 胚性幹細胞を造血幹細胞増殖因子(stem
    cell growth factor)を含む培地を用いて培養する工
    程を含むことを特徴とする、胚性幹細胞からエンブリオ
    イドボディを形成する方法。
  2. 【請求項2】 該培地が血清を含む培地である請求項1
    に記載の方法。
  3. 【請求項3】 該培地がさらに細胞外マトリックス蛋白
    質を含む無血清培地である請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 該培地がさらに骨形成因子4(bone mor
    phogenetic protein4)を含む培地である請求項3に記
    載の方法。
  5. 【請求項5】 胚性幹細胞を骨形成因子4(bone morph
    ogenetic protein 4)および細胞外マトリックス蛋白質
    を含む無血清培地で培養する工程を含むことを特徴とす
    る、胚性幹細胞からエンブリオイドボディを形成する方
    法。
  6. 【請求項6】 該培地が白血病阻害因子(leukaemia in
    hibitory factor)を含まない培地である請求項1〜5
    のいずれか1項に記載の方法。
  7. 【請求項7】 細胞外マトリックス蛋白質が以下の
    (a)、(b)、(c)、(d)および(e)からなる
    群から選ばれる少なくとも一つの蛋白質である請求項3
    〜6のいずれか1項に記載の方法。 (a)ゼラチン(gelatin); (b)ラミニン(laminin); (c)コラーゲンタイプI(collagen type I); (d)コラーゲンタイプIV(collagen type IV); (e)フィブロネクチン(fibronectin)。
  8. 【請求項8】 細胞外マトリックス蛋白質がフィブロネ
    クチン(fibronectin)である請求項7に記載の方法。
  9. 【請求項9】 該培地がさらに以下の(a)、(b)、
    (c)、(d)からなる群から選ばれる少なくとも一つ
    の蛋白質を含む培地である請求項1、2および6のいず
    れか1項に記載の方法。 (a)造血幹細胞因子(stem cell factor); (b)flk−2/flt3リガンド(flk-2/flt3 lig
    and); (c)インターロイキン3(interleukin 3); (d)トロンボポイエチン(thrombopoietin)。
  10. 【請求項10】 該培地がさらに以下の(a)、
    (b)、(c)、(d)からなる群から選ばれる少なく
    とも一つの蛋白質を含む培地である請求項3、4、6〜
    8のいずれか1項に記載の方法。 (a)造血幹細胞因子(stem cell factor); (b)flk−2/flt3リガンド(flk-2/flt3 lig
    and); (c)インターロイキン3(interleukin 3); (d)トロンボポイエチン(thrombopoietin)。
  11. 【請求項11】 該培地が、細胞外マトリックス蛋白
    質、造血幹細胞増殖因子(stem cell growth factor)
    および造血幹細胞因子(stem cell factor)を含む培地
    である請求項10に記載の方法。
  12. 【請求項12】 該培地が、細胞外マトリックス蛋白
    質、造血幹細胞増殖因子(stem cell growth facto
    r)、flk−2/flt3リガンド(flk-2/flt3ligan
    d)、インターロイキン3(interleukin 3)およびトロ
    ンボポイエチン(thrombopoietin)を含む培地である請
    求項10に記載の方法。
  13. 【請求項13】 細胞外マトリックス蛋白質が以下の
    (a)、(b)、(c)、(d)および(e)からなる
    群から選ばれる少なくとも一つの蛋白質である請求項1
    0〜12のいずれか1項に記載の方法。 (a)ゼラチン(gelatin); (b)ラミニン(laminin); (c)コラーゲンタイプI(collagen type I); (d)コラーゲンタイプIV(collagen type IV); (e)フィブロネクチン(fibronectin)。
  14. 【請求項14】 細胞外マトリックス蛋白質がフィブロ
    ネクチンである請求項13に記載の方法。
  15. 【請求項15】 該培地が無血清培地であり、胚性幹細
    胞を播種する工程で、播種する細胞の濃度が2500細
    胞/mL以上の細胞濃度であることを特徴とする請求項
    7または8に記載の方法。
  16. 【請求項16】 該培地が無血清培地であり、胚性幹細
    胞を播種する工程で、播種する細胞の濃度が2000細
    胞/mL以上の細胞濃度であることを特徴とする請求項
    10〜14のいずれか1項に記載の方法。
  17. 【請求項17】 該培地が無血清培地であり、胚性幹細
    胞を播種する工程で、播種する細胞の濃度が1500細
    胞/mL以上の細胞濃度であることを特徴とする請求項
    10〜14のいずれか1項に記載の方法。
  18. 【請求項18】 該培地が無血清培地であり、胚性幹細
    胞を4日間以上培養する工程を含むことを特徴とする、
    請求項3〜8、10〜17のいずれか1項に記載の方
    法。
  19. 【請求項19】 請求項1〜18のいずれか1項に記載
    の方法を工程として含む胚性幹細胞より分化細胞を誘導
    する方法。
  20. 【請求項20】 分化細胞が、以下の(a)、(b)及
    び(c)からなる群から選ばれる細胞である、請求項1
    9に記載の方法。 (a)外胚葉細胞または外胚葉由来の細胞; (b)中胚葉細胞または中胚葉由来の細胞; (c)内胚葉細胞または内胚葉由来の細胞。
  21. 【請求項21】 外胚葉由来の細胞が神経組織、松果
    体、副腎髄質、色素体および表皮組織からなる群から選
    ばれる部位を構成する細胞である、請求項20に記載の
    方法。
  22. 【請求項22】 中胚葉由来の細胞が筋組織、結合組
    織、骨組織、軟骨組織、循環器、血液組織、真皮、泌尿
    器および生殖器からなる群から選ばれる部位を構成する
    細胞である、請求項20に記載の方法。
  23. 【請求項23】 内胚葉由来の細胞が、消化管、呼吸
    器、胸腺、甲状腺、副甲状腺、膀胱、中耳、肝臓および
    膵臓からなる群から選ばれる部位を構成する細胞であ
    る、請求項20に記載の方法。
  24. 【請求項24】 さらに以下の(a)、(b)、
    (c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)、
    (i)、(j)、(k)、(l)、(m)、(n)、
    (o)、(p)、(q)及び(r)からなる群から選ば
    れる因子を単独あるいは複数含む培地を用いて培養する
    ことを特徴とする、請求項19〜23のいずれか1項に
    記載の方法。 (a)インターロイキン3(interleukin 3); (b)トロンボポイエチン(thrombopoietin)。 (c)血管内皮増殖因子(vascular endothelial growt
    h factor); (d)エリスロポイエチン(erythropoietin); (e)インターロイキン6(interleukin 6); (f)インターロイキン11(interleukin 11); (g)アクチビンA(activin A); (h)骨形成因子4(bone morphogenetic protein
    4); (i)塩基性繊維芽細胞増殖因子(basic fibroblast g
    rowth factor); (j)インターロイキン1(interleukin 1); (k)マクロファージコロニー刺激因子(macrophage c
    olony-stimulating factor); (l)顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(granul
    ocyte-macrophage colony- stimulating factor); (m)インターロイキン7(interleukin 7); (n)インターロイキン2(interleukin 2); (o)トランスフォーミング増殖因子β(transforming
    growth factor-β); (p)神経成長因子(nerve growth factor); (q)レチノイン酸(retinoic acid); (r)ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide)。
  25. 【請求項25】 請求項1〜18に記載の方法で形成し
    たエンブリオイドボディに由来する細胞を、血清、イン
    ターロイキン3(interleukin 3)、エリスロポイエチ
    ン(erythropoietin)、顆粒球マクロファージコロニー
    刺激因子(granulocyte-macrophage colony- stimulati
    ng factor)およびトロンボポイエチン(thrombopoieti
    n)を含む培地を用いて培養することを特徴とする、請
    求項22に記載の方法。
  26. 【請求項26】 請求項1〜18に記載の方法で形成し
    たエンブリオイドボディに由来する細胞を、血清および
    インターロイキン7(interleukin 7)を含む培地を用
    いて培養することを特徴とする、請求項22に記載の方
    法。
  27. 【請求項27】 請求項1〜18に記載の方法で形成し
    たエンブリオイドボディに由来する細胞を、血清および
    血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth fact
    or)を含む培地を用いて培養することを特徴とする、請
    求項22に記載の方法。
  28. 【請求項28】 請求項1〜18に記載の方法で形成し
    たエンブリオイドボディに由来する細胞を、血清、イン
    ターロイキン3(interleukin 3)、エリスロポイエチ
    ン(erythropoietin)、顆粒球マクロファージコロニー
    刺激因子(granulocyte-macrophage colony- stimulati
    ng factor)およびトロンボポイエチン(thrombopoieti
    n)を含む培地を用いて培養することを特徴とする、胚
    性幹細胞より造血幹細胞を誘導する方法。
  29. 【請求項29】 請求項1〜18に記載の方法で形成し
    たエンブリオイドボディに由来する細胞を、血清および
    インターロイキン7(interleukin 7)を含む培地を用
    いて培養することを特徴とする、胚性幹細胞よりB細胞
    を誘導する方法。
  30. 【請求項30】 請求項1〜18に記載の方法で形成し
    たエンブリオイドボディに由来する細胞を、血清および
    血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth fact
    or)を含む培地を用いて培養することを特徴とする、胚
    性幹細胞より血管内皮細胞を誘導する方法。
  31. 【請求項31】 胚性幹細胞が、以下の(a)、(b)
    及び(c)からなる群から選ばれる細胞である、請求項
    1〜30のいずれか1項に記載の方法。 (a)初期胚を培養することによって樹立した胚性幹細
    胞; (b)体細胞の核を移植することによって作製された初
    期胚を培養することによって樹立した胚性幹細胞; (c)(a)又は(b)の胚性幹細胞の染色体上の遺伝
    子を遺伝子工学の手法を用いて改変した胚性幹細胞。
  32. 【請求項32】 請求項1〜4、6〜18のいずれか1
    項に記載の方法で用いる、造血幹細胞増殖因子(stem c
    ell growth factor)を含む胚性幹細胞を培養するため
    の培地。
  33. 【請求項33】 該培地がさらに血清を含む請求項32
    に記載の培地。
  34. 【請求項34】 該培地がさらに細胞外マトリックス蛋
    白質を含む無血清培地である請求項32に記載の培地。
  35. 【請求項35】 該培地がさらに骨形成因子4(bone m
    orphogenetic protein 4)を含む請求項34に記載の培
    地。
  36. 【請求項36】 請求項5記載の方法で用いる、骨形成
    因子4(bone morphogenetic protein 4)および細胞外
    マトリックス蛋白質を含む無血清培地である胚性幹細胞
    を培養するための培地。
  37. 【請求項37】 該培地が白血病阻害因子(leukaemia
    inhibitory factor)を含まない培地である請求項32
    〜36のいずれか1項に記載の培地。
  38. 【請求項38】 細胞外マトリックス蛋白質が以下の
    (a)、(b)、(c)、(d)、(e)からなる群か
    ら選ばれる少なくとも一つの蛋白質である請求項34〜
    37のいずれか1項に記載の培地。 (a)ゼラチン(gelatin); (b)ラミニン(laminin); (c)コラーゲンタイプI(collagen type I); (d)コラーゲンタイプIV(collagen type IV); (e)フィブロネクチン(fibronectin)。
  39. 【請求項39】 細胞外マトリックス蛋白質がフィブロ
    ネクチン(fibronectin)である請求項38に記載の培
    地。
  40. 【請求項40】 該培地がさらに以下の(a)、
    (b)、(c)、(d)からなる群から選ばれる少なく
    とも一つの蛋白質を含む培地である請求項32、33ま
    たは37に記載の培地。 (a)造血幹細胞因子(stem cell factor); (b)flk−2/flt3リガンド(flk-2/flt3 lig
    and); (c)インターロイキン3(interleukin 3); (d)トロンボポイエチン(thrombopoietin)。
  41. 【請求項41】 該培地が、細胞外マトリックス蛋白
    質、造血幹細胞増殖因子(stem cell growth factor)
    および以下の(a)、(b)、(c)、(d)からなる
    群から選ばれる少なくとも一つの蛋白質を含む培地であ
    る請求項34、35および37〜39のいずれか1項に
    記載の培地。 (a)造血幹細胞因子(stem cell factor); (b)flk−2/flt3リガンド(flk-2/flt3 lig
    and); (c)インターロイキン3(interleukin 3); (d)トロンボポイエチン(thrombopoietin)。
  42. 【請求項42】 該培地が、細胞外マトリックス蛋白
    質、造血幹細胞増殖因子(stem cell growth factor)
    および造血幹細胞因子(stem cell factor)を含む培地
    である請求項41に記載の培地。
  43. 【請求項43】 該培地が、細胞外マトリックス蛋白
    質、造血幹細胞増殖因子(stem cell growth facto
    r)、flk−2/flt3リガンド(flk-2/flt3ligan
    d)、インターロイキン3(interleukin 3)およびトロ
    ンボポイエチン(thrombopoietin)を含む培地である請
    求項41に記載の培地。
  44. 【請求項44】 細胞外マトリックス蛋白質が以下の
    (a)、(b)、(c)、(d)、(e)からなる群か
    ら選ばれる少なくとも一つの蛋白質である請求項41〜
    43に記載の培地。 (a)ゼラチン(gelatin); (b)ラミニン(laminin); (c)コラーゲンタイプI(collagen type I); (d)コラーゲンタイプIV(collagen type IV); (e)フィブロネクチン(fibronectin)。
  45. 【請求項45】 細胞外マトリックス蛋白質がフィブロ
    ネクチンである請求項44に記載の培地。
  46. 【請求項46】 造血幹細胞増殖因子(stem cell grow
    th factor)を有効成分として含む胚性幹細胞から分化
    細胞を誘導するための分化誘導剤。
  47. 【請求項47】 さらに以下の(a)〜(y)からなる
    群から選ばれる少なくとも一つの因子を有効成分として
    含む請求項46に記載の分化誘導剤。 (a)造血幹細胞因子(stem cell factor); (b)flk−2/flt3リガンド(flk-2/flt3 lig
    and); (c)インターロイキン3(interleukin 3); (d)トロンボポイエチン(thrombopoietin); (e)血管内皮増殖因子(vascular endothelial growt
    h factor); (f)エリスロポイエチン(erythropoietin); (g)インターロイキン6(interleukin 6); (h)インターロイキン11(interleukin 11); (i)アクチビンA(activin A); (j)骨形成因子4(bone morphogenetic protein
    4); (k)塩基性繊維芽細胞増殖因子(basic fibroblast g
    rowth factor); (l)インターロイキン1(interleukin 1); (m)マクロファージコロニー刺激因子(macrophage c
    olony-stimulating factor); (n)顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(granul
    ocyte-macrophage colony- stimulating factor); (o)インターロイキン7(interleukin 7); (p)インターロイキン2(interleukin 2); (q)トランスフォーミング増殖因子β(transforming
    growth factor-β); (r)神経成長因子(nerve growth factor); (s)レチノイン酸(retinoic acid); (t)ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide); (u)ゼラチン(gelatin); (v)ラミニン(laminin); (w)コラーゲンタイプI(collagen type I); (x)コラーゲンタイプIV(collagen type IV); (y)フィブロネクチン(fibronectin)。
  48. 【請求項48】 請求項1〜18のいずれか1項に記載
    の方法により得られるエンブリオイドボディ。
  49. 【請求項49】 請求項19〜31のいずれか1項に記
    載の方法を用いることにより誘導される分化細胞。
  50. 【請求項50】 被験物質存在下および該被験物質非存
    在下で、請求項1〜31のいずれか1項に記載の方法を
    用い、該被験物質存在下と該被験物質非存在下での胚性
    幹細胞から分化細胞までの分化過程を比較することを特
    徴とする、胚性幹細胞から分化細胞までの分化過程にお
    ける調節に関する物質の評価方法。
  51. 【請求項51】 被験物質存在下および該被験物質非存
    在下で、請求項1〜31のいずれか1項に記載の方法を
    用い、該被験物質存在下と該被験物質非存在下での胚性
    幹細胞から分化細胞までの分化過程を比較することを特
    徴とする、胚性幹細胞から分化細胞までの分化過程にお
    ける調節に関する物質のスクリーニング方法。
  52. 【請求項52】 被験物質存在下および該被験物質非存
    在下で、請求項49に記載の細胞を培養し、該被験物質
    存在下と該被験物質非存在下での胚性幹細胞から分化し
    た細胞の機能を比較することを特徴とする、該分化細胞
    の機能の調節に関連する物質の評価方法。
  53. 【請求項53】 被験物質存在下および該被験物質非存
    在下で、請求項49に記載の細胞を培養し、該被験物質
    存在下と該被験物質非存在下での胚性幹細胞から分化し
    た細胞の機能を比較することを特徴とする、該分化細胞
    の機能の調節に関連する物質のスクリーニング方法。
  54. 【請求項54】 請求項46または47に記載の分化誘
    導剤を含む医薬。
  55. 【請求項55】 請求項49に記載の分化細胞を含む医
    薬。
  56. 【請求項56】 以下の(a)、(b)及び(c)から
    なる群から選ばれる細胞の障害に基づく疾患の診断、予
    防および/または治療のための医薬である、請求項54
    または55に記載の医薬。 (a)外胚葉由来の細胞; (b)中胚葉由来の細胞; (c)内胚葉由来の細胞 。
  57. 【請求項57】 外胚葉由来の細胞の障害に基づく疾患
    が、神経組織、松果体、副腎髄質、色素細胞および表皮
    組織からなる群から選ばれる部位を構成する細胞の障害
    に基づく疾患である、請求項56に記載の医薬。
  58. 【請求項58】 中胚葉由来の細胞の障害に基づく疾患
    が、筋組織、結合組織、骨組織、軟骨組織、循環器、血
    液組織、真皮、泌尿器および生殖器からなる群から選ば
    れる部位を構成する細胞の障害に基づく疾患である、請
    求項56に記載の医薬。
  59. 【請求項59】 内胚葉由来の細胞の障害に基づく疾患
    が、消化管、呼吸器、胸腺、甲状腺、副甲状腺、膀胱、
    中耳、肝臓および膵臓からなる群から選ばれる部位を構
    成する細胞の障害に基づく疾患である、請求項56に記
    載の医薬。
  60. 【請求項60】 神経組織を構成する細胞の障害に基づ
    く疾患がアルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、パー
    キンソン病、虚血性脳疾患、てんかん、ダウン症候群、
    多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、神経外傷または神
    経毒物の障害に起因する疾患であり、松果体を構成する
    細胞の障害に基づく疾患が松果体症または松果体機能不
    全であり、副腎髄質を構成する細胞の障害に基づく疾患
    が副腎機能欠如症または副腎炎であり、色素細胞の障害
    に基づく疾患が色素異常症または色素過剰症であり、表
    皮組織を構成する細胞の障害に基づく疾患が火傷、外
    傷、創傷治癒、床擦れ、皮膚炎、表皮症または乾せんで
    ある、請求項57に記載の医薬。
  61. 【請求項61】 筋組織を構成する細胞の障害に基づく
    疾患が筋肉不全症、筋無緊張症または重症筋無力症であ
    り、結合組織を構成する細胞の障害に基づく疾患が結合
    組織病、結合組織炎または糖尿病であり、骨組織を構成
    する細胞の障害に基づく疾患が骨粗鬆症、骨関節炎、骨
    形成異常症、骨硬化症、骨髄炎または骨形成不全症であ
    り、軟骨組織を構成する細胞の障害に基づく疾患が変形
    関節炎、慢性関節リウマチ、軟骨形成不全症、軟骨発育
    不全症または軟骨形成異常症であり、循環器を構成する
    細胞の障害に基づく疾患が心筋梗塞、脳梗塞、末梢血管
    閉鎖症、SLE、狭心症、高血圧症、高脂血症、糖尿
    病、糖尿病性網膜症、糸球体腎炎、動脈硬化、再狭窄、
    血栓、虚血性心疾患、虚血性脳疾患、心不全、うっ血ま
    たは脈絡膜循環障害であり、血液組織を構成する細胞の
    障害に基づく疾患がHIV感染、敗血症、移植片―対―
    宿主疾患、アレルギー、アトピー、喘息、花粉症、気道
    過敏または自己免疫疾患であり、真皮を構成する細胞の
    障害に基づく疾患が火傷、外傷、皮膚炎または乾せんで
    あり、泌尿器を構成する細胞の障害に基づく疾患が溶血
    性尿毒症症候群または腎炎であり、生殖器を構成する細
    胞の障害に基づく疾患が性器発育不全症または性器発育
    異常である、請求項58に記載の医薬。
  62. 【請求項62】 消化管を構成する細胞の障害に基づく
    疾患が胃潰瘍、胃炎または十二指腸潰瘍であり、呼吸器
    を構成する細胞の障害に基づく疾患が肺気腫、肺水腫、
    肺炎、気管支炎または気管支喘息であり、胸腺を構成す
    る細胞の障害に基づく疾患が胸腺炎、胸腺リンパ形成不
    全症または胸腺機能減退症であり、甲状腺を構成する細
    胞の障害に基づく疾患が甲状腺無形成症または甲状腺機
    能不全症であり、副甲状腺を構成する細胞の障害に基づ
    く疾患が副甲状腺機能低下症であり、膀胱を構成する細
    胞の障害に基づく疾患が膀胱炎または膀胱破裂であり、
    中耳を構成する細胞の障害に基づく疾患が中耳炎であ
    り、肝臓を構成する細胞の障害に基づく疾患が肝臓紫斑
    病、慢性B型肝炎またはC型肝炎であり、膵臓を構成す
    る細胞の障害に基づく疾患が糖尿病である、請求項59
    に記載の医薬。
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