JP6005666B2 - プログラミングによる造血前駆細胞の生産 - Google Patents

プログラミングによる造血前駆細胞の生産 Download PDF

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Description

優先権の主張
本出願は、2011年2月8日に出願された米国出願番号第61/440,619号への優先権を主張し、上記米国出願番号第61/440,619号の全容は、参考として本明細書に援用される。
発明の背景
発明の分野
本発明は、一般に、分子生物学、幹細胞および分化細胞の分野に関する。より詳細には、本発明は、体細胞および未分化細胞の特異的細胞系列、特に、造血細胞および造血細胞前駆体へのプログラミングに関する。
関連技術の説明
造血細胞または血液細胞は、臨床適用および研究室用途に大きな需要がある。診療所では、抗がん療法などの造血を抑制する療法を受けた患者または遺伝性血液疾患を有する患者における造血を再構成するために造血幹細胞(HSC)が使用され得る。加えて、輸血の際に、および一定の血液障害の処置の際に、赤血球、血小板および好中性顆粒球が使用され得る。研究室では、薬物スクリーニングをはじめとする多くの適用に血液細胞が使用され得る。
現在、かかる臨床および研究室適用のための血液細胞を生存ドナーから得ている。しかし、ドナー血液の限られた供給量は、特に遺伝子適合性ドナーが必要とされるとき、治療適用および薬物スクリーニングを制限する。それ故、ドナー血液以外の血液細胞供給源の開発が依然として必要とされている。例えば、治療適用のための患者特異的HSCをはじめとする十分に特性づけされた機能性血液細胞タイプの無限の供給が必要とされている。
本発明は、フォワードプログラミングまたは分化転換などのプログラミングによって造血細胞および造血細胞前駆体を提供することにより、当該技術分野における重要な不備を克服する。例えば、本明細書に開示する方法は、造血細胞または造血細胞前駆体の無限供給量を提供することができる。かかる方法は、患者特異的造血前駆体および造血細胞の無限供給量の提供に特に有用であり得る。
本明細書に開示する方法は、様々な細胞タイプをプログラミングすることにより造血細胞または造血前駆細胞を提供する。一定の態様において、プログラミング法は、単独でまたは他のプログラミング因子遺伝子との組み合わせで発現されたとき、造血系列へのプログラミングを促進する能力がある1つ以上の遺伝子の発現レベルを増加させる条件下での多能性幹細胞または体細胞の培養を包含する。かかる遺伝子を「プログラミング因子遺伝子(programming factor gene)」と名付ける。造血前駆細胞へのプログラミングを促進するプログラミング因子遺伝子を造血前駆体プログラミング因子遺伝子(hematopoietic precursor programming factor gene)と呼ぶ。分化造血細胞へのプログラミングを促進するプログラミング因子遺伝子を造血細胞プログラミング因子遺伝子(hematopoietic cell programming factor gene)と呼ぶ。本発明において有用な造血細胞または造血前駆体プログラミング因子遺伝子としては、単独でまたは組み合わせで、非造血細胞に造血細胞への運命(hematopoietic fate)を直接課す任意の遺伝子を挙げることができ、および造血または内皮細胞分化または機能に重要である転写因子遺伝子または他の遺伝子を挙げることができる。
前記プログラミングプロセスは、細胞が生産し得る子孫のタイプを変更するものであり、フォワードプログラミングおよび分化転換という別個のプロセスを包含する。一部の実施形態では、多分化能性細胞または多能性細胞のフォワードプログラミングにより造血細胞または造血前駆細胞が提供される。他の実施形態では、非造血体細胞の分化転換により造血細胞または造血前駆細胞が提供される。一定の態様において、プログラミングは、非造血細胞の造血前駆細胞または造血細胞へのフォワードプログラミングまたは分化転換を引き起こすのに十分な数の造血前駆体プログラミング因子遺伝子または造血細胞プログラミング因子遺伝子の発現レベルを増加させることを含み得る。
造血前駆体または造血細胞プログラミングに適する細胞供給源としては、任意の幹細胞または非造血体細胞を挙げることができる。例えば、前記幹細胞は、多能性幹細胞であってよく、またはいずれの非多能性幹細胞であってもよい。本明細書において用いる場合、「多能性細胞」または「多能性幹細胞」は、本質的にいずれの胎児細胞または成体細胞タイプにも分化する能力を有する細胞である。多能性幹細胞の例示的タイプとしては、胚性幹細胞および誘導多能性幹細胞(すなわちiPS細胞)を挙げることができるが、これらに限定されない。かかる多能性幹細胞は、哺乳動物多能性幹細胞であり得る。一定の実施形態において、前記多能性幹細胞は、ヒト多能性幹細胞である。分化転換による造血前駆体または造血細胞のプログラミングに適する細胞供給源としては、任意の非造血体細胞を挙げることができる。かかる体細胞は、生物の身体を形成する任意の細胞であり得る。特定の態様では、例えばテロメラーゼ逆転写酵素(TERT)レベルを増加させることにより、体細胞を不死化して細胞の無限供給量を提供することができる。例えば、内因性遺伝子からのTERT転写を増加させることにより、または任意の遺伝子送達方法もしくは系により導入遺伝子を導入することにより、TERTレベルを増加させることができる。
本発明において有用な多能性幹細胞は、誘導多能性幹細胞、胚性幹細胞、または核移植もしくは細胞融合によって誘導された多能性幹細胞であり得る。前記幹細胞は、多分化能性幹細胞、少能性幹細胞または単能性幹細胞も包含し得る。前記幹細胞は、胎児幹細胞または成体幹細胞、例えば造血幹細胞、間葉幹細胞、神経幹細胞、上皮幹細胞または皮膚幹細胞も包含し得る。一定の態様では、前記幹細胞を臍帯組織、胎盤、羊水、絨毛膜絨毛、胚盤胞、骨髄、脂肪組織、脳、末梢血、臍帯血、月経血、血管、骨格筋、皮膚または肝臓から単離することができる。
「始原細胞」または「前駆細胞」は、多能性幹細胞に由来する系列コミット細胞を指す。したがって、始原細胞または前駆細胞は、多能性幹細胞より分化しているが、1より多くの細胞タイプに分化する能力を依然として有する。例えば、本明細書に開示する方法によって提供される造血前駆細胞は、3つの造血系列(リンパ球系列、骨髄系列、または赤血球−巨核球系列)の1つ以上に分化し得る可能性がある。本明細書に開示する方法によって提供される造血細胞は、成熟造血細胞であることもある。
一定の実施形態では、多能性幹細胞のフォワードプログラミングまたは体細胞の分化転換によって造血前駆細胞を提供する。かかる方法は、造血前駆細胞への多能性幹細胞のフォワードプログラミングまたは体細胞の分化転換を引き起こす能力がある1つ以上の造血前駆体プログラミング因子遺伝子の発現レベルを増加させる条件下で該多能性幹細胞または体細胞を培養し、その結果、造血前駆細胞に該多能性幹細胞をフォワードプログラミングするかまたは該体細胞を分化転換させることによって造血前駆細胞を提供することを含み得る。
当業者には理解されるように、プログラミングすべき細胞における造血前駆体および造血細胞プログラミング因子遺伝子の発現を増加させる方法は、当該技術分野において公知の任意の方法、例えば、細胞に事前に導入された1つ以上の発現カセットの発現の誘導による方法、または細胞への核酸、例えばDNAもしくはRNA、ポリペプチドまたは小分子の導入による方法を包含し得る。内因性だが転写抑制された一定のプログラミング因子遺伝子の発現を増加させることは、上流転写因子発現またはエピジェネティックな調整を調節することによりこれらのプログラミング因子遺伝子の発現に対するサイレンシングまたは阻害効果を反転させることも含む。
一定の態様では、多能性幹細胞のフォワードプログラミングによって造血前駆細胞を提供する。かかる多能性幹細胞は、誘導多能性幹細胞であり得る。他の態様では、体細胞の分化転換によって造血前駆細胞を提供する。一部の実施形態において、前記体細胞は、ヒト体細胞、例えば、皮膚線維芽細胞、脂肪組織由来細胞およびヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)である。分化転換に有用な体細胞は、不死化体細胞であり得る。
少なくとも1つの外因性発現カセットを含む多能性幹細胞のフォワードプログラミングまたは体細胞の分化転換によって、造血前駆細胞を提供することができる。前記発現カセットは、1つ以上の造血前駆体プログラミング因子遺伝子を含むことがある。一部の態様では、多能性幹細胞または体細胞と、造血前駆細胞への該多能性細胞のフォワードプログラミングまたは該体細胞の分化転換を引き起こすために十分な量の1つ以上の造血前駆体プログラミング因子遺伝子の遺伝子産物を含む1つ以上のかかる造血前駆体プログラミング因子とを接触させる。一部の実施形態において、前記1つ以上の遺伝子産物は、1つ以上の造血前駆体プログラミング因子遺伝子のポリペプチド産物である。一定の態様において、前記1つ以上の造血前駆体プログラミング因子は、造血前駆体プログラミング因子遺伝子のポリペプチドの細胞内進入を助長するタンパク質形質導入ドメインを備えている。かかるタンパク質形質導入ドメインは、当該技術分野において周知であり、例えば、HIV TATタンパク質形質導入ドメイン、HSV VP22タンパク質形質導入ドメイン、ショウジョウバエ・アンテナペディア・ホメオドメイン、またはこれらの改変体である。他の実施形態において、前記1つ以上の遺伝子産物は、1つ以上の造血前駆体プログラミング因子遺伝子のRNA転写産物である。
本発明において有用な造血前駆体または造血細胞プログラミング因子遺伝子としては、表Iに列挙する任意の遺伝子を挙げることができる。提供する造血前駆体または造血細胞プログラミング因子遺伝子の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上をフォワードプログラミングまたは分化転換に使用することができる。
一部の実施形態において、少なくとも1つの造血前駆体プログラミング因子遺伝子は、内皮分化因子である。有用な内皮分化因子の例としては、ERG(v−ets赤芽球症ウイルスE26がん遺伝子ホモログ(鳥類))、FLI−1(フレンド白血病ウイルス組込み1)(Friend leukemia virus integration 1)もしくはETV2(ets改変体2)、またはこれらの任意のアイソフォームもしくは改変体が挙げられるが、それらに限定されない。特定の態様において、少なくとも1つの内皮分化因子遺伝子はERGであり、これは、該内皮分化因子遺伝子がERGの任意のアイソフォームまたは改変体であり得ることを意味する。さらにいっそう特定の態様において使用するERGは、ERG−3(ERGアイソフォーム3)またはERG−2(ERGアイソフォーム2)である。
他の態様において、少なくとも1つの造血前駆体プログラミング因子遺伝子は、GFI1(成長因子非依存性1転写リプレッサ)、GFI1B(成長因子非依存性1B転写リプレッサ)、TAL1(T細胞急性リンパ球性白血病)、LYL1(リンパ芽球性白血病由来配列1)、LMO2(LIMドメインオンリー2(LIM domain only2)(ロンボチン様1(rhombotin−like 1)))、GATA2(GATA結合タンパク質2)、GATA3(GATA結合タンパク質3)もしくはSPI1(脾フォーカス形成ウイルス(SFFP)プロウイルス組込みがん遺伝子spi1)、またはこれらの任意のアイソフォームもしくは改変体である。
一定の態様では、前記多能性幹細胞または体細胞を、造血前駆細胞への該多能性幹細胞のフォワードプログラミングまたは該体細胞の分化転換を引き起こす能力がある2つ以上の造血前駆体プログラミング因子遺伝子の発現レベルを増加させる条件下で培養し、その結果、該多能性幹細胞を造血前駆細胞にフォワードプログラミングするか、または該体細胞を造血前駆細胞に分化転換させる。一定の態様において、前記少なくとも2つ以上の造血前駆体プログラミング因子遺伝子としては、ERG、GFI1、GATA2、SPI1、TAL1またはLMO2が挙げられる。他の態様において、前記造血前駆体プログラミング因子遺伝子の1つは内皮分化因子であり得、該内皮分化因子は、例えばERG、FLI−1またはETV2であり得る。第二のかかる造血前駆体プログラミング因子遺伝子は、GFI1、GFI1B、TAL1、LYL1、LMO2、GATA2、GATA3またはSPI1であり得る。一部の実施形態において、前記少なくとも2つ以上の造血前駆体プログラミング因子遺伝子としてはERGおよびGFI1が挙げられる。例えば、前記少なくとも2つ以上の造血前駆体プログラミング因子遺伝子としては、ERG(例えば、ERG−3)およびGFI1を挙げることができる。他の実施形態において、前記少なくとも2つ以上の造血前駆体プログラミング因子遺伝子としては、ERGおよびGATA2が挙げられる。例えば、前記少なくとも2つ以上の造血前駆体プログラミング因子遺伝子としては、ERG(例えば、ERG−3)およびGATA−2を挙げることができる。さらに他の実施形態において、前記少なくとも2つ以上の造血前駆体プログラミング因子遺伝子としては、ERG、GATA2およびSPI1が挙げられる。例えば、前記少なくとも2つ以上の造血前駆体プログラミング因子遺伝子としては、ERG(例えば、ERG−3)および、GATA2およびSPI1を挙げることができる。
フォワードプログラミングまたは分化転換において使用するための外因性発現カセットは、1つ以上の造血前駆体プログラミング因子遺伝子の誘導性発現のために1つ以上の外部誘導性転写調節要素を備えることができる。例えば、本発明において有用な外因性発現カセットは、誘導性プロモーター、例えば、テトラサイクリン応答要素を備えるプロモーターを含有し得る。一部の態様において、前記外因性発現カセットは、遺伝子送達系に含まれる。多くの遺伝子送達系が当業者に公知であり、有用な遺伝子送達系の非限定的な例としては、トランスポゾン系、ウイルス遺伝子送達系、エピソーム遺伝子送達系、mRNA送達系、またはタンパク質送達系が挙げられる。本発明において有用なウイルス遺伝子送達系は、RNAベースのまたはDNAベースのウイルスベクターであり得る。本発明において有用なエピソーム遺伝子送達系は、プラスミド、エプスタイン・バーウイルス(EBV)ベースのエピソームベクター、酵母ベースのベクター、アデノウイルスベースのベクター、シミアンウイルス40(SV40)ベースのエピソームベクター、ウシ乳頭腫ウイルス(BPV)ベースのベクターまたはこれらに類するものであり得る。一定の態様において、フォワードプログラミングまたは分化転換において使用するための発現カセットは、レポーター遺伝子に作動可能に連結された造血前駆体特異的転写調節要素を備えることができる。
一部の実施形態において、本明細書に開示する方法によって誘導される造血前駆細胞は、造血前駆細胞の1つ以上の特性を有する。造血前駆細胞のかかる特性としては、次のうちの1つ以上を挙げることができる:(i)1つ以上の造血前駆体マーカーの発現;(ii)1つ以上の多能性幹細胞マーカーまたは体細胞マーカーの発現の欠如;(iii)1つ以上の造血前駆体機能的特徴;(iv)および1つ以上の造血前駆体形態学的特徴。(i)の1つ以上の造血前駆体マーカーは、当該技術分野において公知の造血前駆細胞のあらゆるマーカーを包含し得る。造血前駆体マーカーの非限定的な例としては、CD43、CD33、CD34、CD45、CD235a、CD41a、CD38およびCD74が挙げられる。特定の態様において、前記1つ以上の造血前駆体マーカーとしては、CD43、CD45および/またはCD34が挙げられる。(ii)の1つ以上の多能性幹細胞マーカーまたは体細胞マーカーは、当該技術分野において公知の多能性幹細胞または体細胞のあらゆるマーカーを包含し得る。多能性幹細胞マーカーまたは体細胞マーカーの非限定的な例としては、TRA−1−60、TRA−1−81、CD166およびCD140bが挙げられる。(iii)の1つ以上の造血前駆体機能的特徴としては、形質細胞、ナチュラルキラー細胞、マクロファージ、肥満細胞、巨核球、赤血球、顆粒球、リンパ球、単球、白血球および血小板からなる群より選択される2つ以上の細胞タイプに分化する能力を包含し得る。一定の態様において、前記1つ以上の造血前駆体機能的特徴は、骨髄系列、リンパ球系列、または赤血球−巨核球系列の細胞に分化する能力が挙げられる。さらに他の一定の態様において、前記1つ以上の造血前駆体機能的特徴としては、リンパ球、骨髄および赤血球−巨核球系列の細胞に分化する能力が挙げられる。(iv)の1つ以上の造血前駆体形態学的特徴は、天然での造血前駆細胞に特有のあらゆる公知形態学的特徴を包含し得る。例えば、造血前駆細胞は、典型的に、円形の非付着性細胞を生産する細胞クラスタのように見える。
造血前駆細胞を提供する方法は、さらに、造血前駆細胞についての選択または富化を包含することがあり、選択または富化された造血前駆細胞は、本明細書に記載する造血前駆細胞の特性の1つ以上を含む。他の実施形態において、選択または富化された造血前駆細胞は、造血前駆細胞特異的転写調節要素に作動可能に連結さているレポーター遺伝子を発現することができる。
フォワードプログラミングまたは分化転換に使用する多能性幹細胞または体細胞を、1つ以上の成長因子を含む培地で培養することができる。かかる成長因子としては、線維芽細胞成長因子(FGF)、血管内皮成長因子(VEGF)、幹細胞因子(SCF)、トロンボポエチン(TPO)、FLT−3−リガンド(FLT3L)、インターロイキン−3(IL−3)、インターロイキン−6(IL−6)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)およびインターロイキン−9(IL−9)を挙げることができるが、これらに限定されない。一定の態様において、前記多能性幹細胞、体細胞、または前記多能性幹細胞もしくは体細胞の子孫を、SCF、TPO、FLT3L、IL−3およびIL−6を含む培地で培養する。
本明細書に開示する方法によって提供される造血前駆細胞は、成長因子の存在または不在下でのプログラミング因子遺伝子の発現増加または培養後、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20日(またはそこから導出可能な任意の範囲)で提供されることがあり、約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20日(またはそこから導出可能な任意の範囲)で提供されることがあり、または3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20日(またはそこから導出可能な任意の範囲)までに提供されることがある。一部の実施形態において、提供される造血前駆細胞は、1つ以上の造血前駆体プログラミング因子遺伝子の発現増加の後10日以内に得られる。他の実施形態において、提供される造血前駆細胞は、発現増加の後6日以内に得られる。さらに他の実施形態において、提供される造血前駆細胞は、発現増加の後4日以内に得られる。
一定の態様において、造血前駆細胞または造血細胞を提供する方法は、細胞群を本質的に個別的な細胞に分散させる1つ以上の追加の工程を包含する。この分散を、例えば、プログラミング因子遺伝子の発現増加の少なくとも約24時間後に行うことができる。一部の実施形態では、前記分散を前記発現増加の少なくとも1、2、3、4日以上後に行う。機械的または酵素的手段によって細胞群の分散を行うことができる。例えば、有効量の1つ以上の酵素、例えばトリプシンもしくはtrypLE、または酵素の混合物、例えばAccutase(登録商標)、での処理によって細胞を分散させることができる。前記方法は、マトリックス成分でコートした表面に前記本質的に個別的な細胞を分散させる1つ以上の工程も包含することがある。例えば、前記表面をフィブロネクチン、コラーゲン、ポリ−d−リシン、マトリゲルまたはRGDペプチドでコートすることができる。
多能性幹細胞のフォワードプログラミングまたは体細胞の分化転換によって赤血球−巨核球(EMk)前駆細胞を提供する方法も開示し、該方法は、EMk前駆細胞への該多能性幹細胞のフォワードプログラミングまたは該体細胞の分化転換を引き起こす能力がある1つ以上のEMk前駆体プログラミング因子遺伝子の発現レベルを増加させる条件下で該多能性幹細胞または体細胞を培養し、その結果、EMk前駆細胞に該多能性幹細胞をフォワードプログラミングするかまたは該体細胞を分化転換させることによってEMk前駆細胞を提供することを含む。一部の態様において、前記多能性幹細胞または体細胞は、少なくとも1つの外因性発現カセットを備えており、該発現カセットは、1つ以上のEMk前駆体プログラミング因子遺伝子を含む。
一部の実施形態において、前記少なくとも1つのEMk前駆体プログラミング因子遺伝子としては、例えば、GATA2、TAL1、LMO2またはERGを挙げることができる。一定の態様では、前記多能性幹細胞または体細胞を、EMk前駆細胞への該多能性幹細胞のフォワードプログラミングまたは該体細胞の分化転換を引き起こす能力がある2つ以上のEMk前駆体プログラミング因子遺伝子の発現レベルを増加させる条件下で培養し、その結果、該多能性幹細胞をEMk前駆細胞にフォワードプログラミングするか、または該体細胞をEMk前駆細胞に分化転換させる。前記2つ以上のEMk前駆体プログラミング因子遺伝子としては、例えば、ERG、GATA2、TAL1またはLMO2を挙げることができる。一定の実施形態において、前記2つ以上のEMk前駆体プログラミング因子遺伝子は、ERG、GATA2およびTAL1である。他の一定の実施形態において、前記2つ以上のEMk前駆体プログラミング因子遺伝子は、ERG、GATA2およびLMO2である。さらに他の態様において、前記2つ以上のEMk前駆体プログラミング因子遺伝子は、ERG、GATA2、TAL1およびLMO2である。本明細書に開示する方法によって提供されるEMk前駆細胞は、赤血球系または巨核球系細胞に分化する能力を有し得る。
本明細書に開示または記載する核酸またはポリペプチド配列の1つ以上を使用することにより、造血前駆細胞、造血細胞またはEMk前駆細胞を提供することができる。一定の態様において、前記核酸またはポリペプチドは、本明細書に開示または記載する任意の配列(それらのデータベースアクセッション番号を特定することにより説明される配列を包含する)と、50、55、60、65、70、75、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはそこから導出可能な任意の範囲)同一または相同である。
本明細書に提供する造血前駆細胞、造血細胞またはEMk前駆細胞を、臨床またはスクリーニング適用をはじめとする、かかる細胞について当該技術分野において現在公知の任意の方法および適用に用いることができる。例えば、造血前駆細胞またはEMk前駆細胞に対する効果について化合物を評価する方法を本明細書に開示する。一定の実施形態において、前記方法は、(a)本明細書に開示する方法によって提供される造血前駆体と前記化合物とを接触させること;および(b)造血前駆体に対する前記化合物の効果をアッセイすることを包含する。前記造血前駆体に対する前記化合物の効果は、例えば、薬理学的または毒物学的効果であり得る。
被験体を処置する方法も提供する。例えば、前記被験体は、血液障害を有することがあり、または発症するリスクがあることがある。前記血液障害は、例えば異常ヘモグロビン症または貧血をはじめとする当該技術分野において公知の任意のかかる障害であり得る。一部の実施形態において、前記被験体は、造血細胞数減少を特徴とする疾患(例えば、骨髄異形成症候群、骨髄線維症、好中球減少症、顆粒球減少症、グランツマン血小板無力症、血小板減少症および後天的免疫不全症候群など)を有するか、または発症するリスクがある。特定の態様において、前記方法は、治療有効量の本明細書に開示する方法によって得られる造血前駆細胞を、前記被験体に投与することを含む。
一部の態様では、新生物疾患を有する被験体を処置するための方法を提供する。新生物疾患は、正常組織のものを上回り、かつ正常組織のものと非協調性である成長を概して有する、異常な組織量によって特徴づけられる任意の疾患を包含する。新生物成長は、例えば、肺、皮膚、筋肉、肝臓、腎臓、結腸、前立腺、乳房、脳、膀胱、小腸、大腸、子宮頚、胃、膵臓、精巣、卵巣、骨、骨髄または脊椎で発生し得る。一定の実施形態において、前記新生物疾患はがんである。新生物疾患を有する被験体を処置するための前記方法は、治療有効量の本明細書に記載の方法によって得られる造血前駆細胞を、前記被験体に投与することを包含し得る。一定の態様において、新生物疾患を有する前記被験体は、造血を抑制する療法を受けた。例えば、前記被験体は、化学療法、放射線療法、または免疫抑制薬の投与を受けたことがある場合があるか、または受ける可能性が高い。
造血細胞または血液細胞を必要とする被験体を処置するための方法も提供する。かかる方法は、治療有効量の本明細書に記載の方法によって得られる造血前駆細胞を前記被験体に投与することを包含し得る。一定の態様において、前記被験体は、輸血を必要とする被験体である。例えば、前記被験体は、造血細胞もしくは血液細胞の欠乏によって特徴づけられる傷害を負ったことがある場合があるか、または造血細胞もしくは血液細胞の欠乏によって特徴づけられる障害を有する。一定の態様において、前記被験体は、貧血、溶血性貧血もしくは任意の他の血液障害を有するか、または発症するリスクがある。
赤血球系および/または巨核球系細胞を必要とする被験体を処置するための方法も提供する。かかる方法は、治療有効量の本明細書に記載の方法によって得られるEMk前駆細胞を、前記被験体に投与することを含み得る。赤血球を必要とする被験体、輸血を必要とする被験体、貧血もしくは溶血性貧血を有する被験体または発症するリスクがある被験体、巨核球系細胞または巨核球を必要とする被験体(例えば、巨核球減少症を有する被験体または発症するリスクのある被験体)、血小板を必要とする被験体、または組織損傷を負った被験体もしくは組織損傷を負う可能性が高い被験体をはじめとする(しかしこれらに限定されない)EMk前駆細胞を必要とする任意の被験体にこれらの方法を用いることができる。
一定の態様では、造血前駆細胞であって、かかる細胞を生産するための本明細書に開示する方法のいずれかによるプロセスによって生産された、造血前駆細胞を提供する。他の態様では、EMk前駆細胞であって、かかる細胞を生産するための本明細書に開示する方法のいずれかによるプロセスによって生産された、EMk前駆細胞を提供する。
一定の実施形態では、細胞集団を提供する。かかる細胞集団は、造血前駆細胞、造血細胞、またはEMk前駆細胞を含み得る。前記集団は、幹細胞もしくは幹細胞の子孫、造血前駆細胞、造血細胞、またはEMk前駆細胞も包含し得る。例えば、前記細胞集団は、造血前駆細胞であって、該造血前駆細胞の少なくとも1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、99%(またはそこから導出可能な任意の範囲)が、1つ以上の造血前駆体プログラミング因子遺伝子を備えている外因性発現カセットを保有するものである、造血前駆細胞からなり得る。一部の態様において、提供する細胞集団は、造血前駆細胞を包含し、該造血前駆細胞の少なくとも80%は、1つ以上の造血前駆体プログラミング因子遺伝子を含む外因性発現カセットを備えている。他の態様において、前記細胞集団は、EMk前駆細胞であって、該EMk前駆細胞の少なくとも1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、99%(またはそこから導出可能な任意の範囲)が、1つ以上のEMk前駆体プログラミング因子遺伝子を備えている外因性発現カセットを保有するものである、EMk前駆細胞からなり得る。例えば、提供する細胞集団は、EMk前駆細胞を包含し得、該EMk前駆細胞の少なくとも80%は、1つ以上のEMk前駆体プログラミング因子遺伝子を含む外因性発現カセットを備えている。
本発明の好ましい実施形態において、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
多能性幹細胞のフォワードプログラミングまたは体細胞の分化転換により造血前駆細胞を提供するインビトロの方法であって、
造血前駆細胞への該多能性幹細胞のフォワードプログラミングまたは該体細胞の分化転換を引き起こす能力がある1つ以上の造血前駆体プログラミング因子遺伝子の発現レベルを増加させる条件下で、該多能性幹細胞または該体細胞を培養して、造血前駆細胞に該多能性幹細胞をフォワードプログラミングするかまたは該体細胞を分化転換させることによって、造血前駆細胞を提供する工程
を含む、方法。
(項目2)
前記造血前駆細胞が、多能性幹細胞のフォワードプログラミングによって提供される、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記多能性幹細胞が、誘導多能性幹細胞である、項目2に記載の方法。
(項目4)
前記造血前駆細胞が、体細胞の分化転換によって提供される、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記体細胞が、不死化体細胞である、項目4に記載の方法。
(項目6)
前記多能性幹細胞または前記体細胞が、少なくとも1つの外因性発現カセットを含み、該発現カセットが、1つ以上の造血前駆体プログラミング因子遺伝子を含む、項目1に記載の方法。
(項目7)
前記多能性幹細胞または前記体細胞と、造血前駆細胞への該多能性細胞のフォワードプログラミングまたは該体細胞の分化転換を引き起こすのに十分な量の前記1つ以上の造血前駆体プログラミング因子遺伝子の遺伝子産物を含む1つ以上の造血前駆体プログラミング因子とを接触させる工程をさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目8)
1つ以上の前記遺伝子産物が、1つ以上の造血前駆体プログラミング因子遺伝子のポリペプチド産物、または1つ以上の造血前駆体プログラミング因子遺伝子のRNA転写産物である、項目7に記載の方法。
(項目9)
少なくとも1つの造血前駆体プログラミング因子遺伝子が、内皮分化因子遺伝子を含む、項目1に記載の方法。
(項目10)
少なくとも1つの前記内皮分化因子が、ERG(v−ets赤芽球症ウイルスE26がん遺伝子ホモログ(鳥類))、FLI−1(フレンド白血病ウイルス組込み1)またはETV2(ets改変体2)を含む、項目9に記載の方法。
(項目11)
少なくとも1つの内皮分化因子がERGである、項目10に記載の方法。
(項目12)
前記ERGが、ERG−2またはERG−3である、項目11に記載の方法。
(項目13)
少なくとも1つの造血前駆体プログラミング因子遺伝子が、GFI1(成長因子非依存性1転写リプレッサ)、GFI1B(成長因子非依存性1B転写リプレッサ)、TAL1(T細胞急性リンパ球性白血病)、LYL1(リンパ芽球性白血病由来配列1)、LMO2(LIMドメインオンリー2(ロンボチン様1))、GATA2(GATA結合タンパク質2)、GATA3(GATA結合タンパク質3)、またはSPI1(脾フォーカス形成ウイルス(SFFP)プロウイルス組込みがん遺伝子spi1)を含む、項目1に記載の方法。
(項目14)
前記多能性幹細胞または前記体細胞が、造血前駆細胞への該多能性幹細胞のフォワードプログラミングまたは該体細胞の分化転換を引き起こす能力がある2つ以上の造血前駆体プログラミング因子遺伝子の発現レベルを増加させる条件下で培養されて、該多能性幹細胞が造血前駆細胞にフォワードプログラミングされるか、または該体細胞が造血前駆細胞に分化転換される、項目1に記載の方法。
(項目15)
少なくとも2つ以上の造血前駆体プログラミング因子遺伝子が、ERG、GFI1、GATA2、SPI1、TAL1またはLMO2を含む、項目14に記載の方法。
(項目16)
少なくとも1つの造血前駆体プログラミング因子遺伝子が、内皮分化因子遺伝子を含む、項目14に記載の方法。
(項目17)
前記少なくとも2つ以上の造血前駆体プログラミング因子遺伝子が、ERGおよびGFI1を含む、項目16に記載の方法。
(項目18)
前記少なくとも2つ以上の造血前駆体プログラミング因子遺伝子が、ERGおよびGATA2を含む、項目16に記載の方法。
(項目19)
前記少なくとも2つ以上の造血前駆体プログラミング因子遺伝子が、ERG、GATA2およびSPI1を含む、項目16に記載の方法。
(項目20)
前記造血前駆細胞が、
(i)1つ以上の造血前駆体マーカーの発現;
(ii)1つ以上の多能性幹細胞マーカーまたは体細胞マーカーの発現の欠如;
(iii)1つ以上の造血前駆体機能的特徴;
(iv)1つ以上の造血前駆体形態学的特徴
からなる群より選択される造血前駆細胞の1つ以上の特性を含む、項目1に記載の方法。
(項目21)
前記1つ以上の造血前駆体マーカーが、CD43、CD33、CD34、CD45、CD235aおよびCD41aからなる群より選択される、項目20に記載の方法。
(項目22)
前記1つ以上の造血前駆体マーカーが、CD43、CD45およびCD34からなる群より選択される、項目21に記載の方法。
(項目23)
前記1つ以上の多能性幹細胞マーカーまたは体細胞マーカーが、TRA−1−60、TRA−1−81、CD166およびCD140bからなる群より選択される、項目20に記載の方法。
(項目24)
前記1つ以上の造血前駆体機能的特徴が、形質細胞、ナチュラルキラー細胞、マクロファージ、肥満細胞、巨核球、赤血球、顆粒球、リンパ球、単球、白血球および血小板からなる群より選択される2つ以上の細胞タイプに分化する能力を包含する、項目20に記載の方法。
(項目25)
前記1つ以上の造血前駆体機能的特徴が、骨髄系列、リンパ球系列、または赤血球−巨核球系列の細胞に分化する能力を包含する、項目24に記載の方法。
(項目26)
前記1つ以上の造血前駆体機能的特徴が、リンパ球系列、骨髄系列および赤血球−巨核球系列の細胞に分化する能力を包含する、項目25に記載の方法。
(項目27)
造血前駆細胞について選択または富化する工程をさらに含み、選択または富化された造血前駆細胞が、造血前駆細胞の前記特性の1つ以上を含む、項目20に記載の方法。
(項目28)
前記多能性幹細胞または前記体細胞が、1つ以上の成長因子を含む培地で培養される、項目1に記載の方法。
(項目29)
前記1つ以上の成長因子が、線維芽細胞成長因子(FGF)、血管内皮成長因子(VEGF)、幹細胞因子(SCF)、トロンボポエチン(TPO)、FLT−3−リガンド(FLT3L)、インターロイキン−3(IL−3)、インターロイキン−6(IL−6)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)およびインターロイキン−9(IL−9)からなる群より選択される、項目28に記載の方法。
(項目30)
前記多能性幹細胞、前記体細胞、または該多能性幹細胞もしくは該体細胞の子孫が、SCF、TPO、FLT3L、IL−3およびIL−6を含む培地で培養される、項目29に記載の方法。
(項目31)
前記提供される造血前駆細胞が、10日以下の発現増加後に得られる、項目1に記載の方法。
(項目32)
前記提供される造血前駆細胞が、4日以下または6日以下の発現増加後に得られる、項目1に記載の方法。
(項目33)
項目1〜32のいずれかに記載のプロセスによって提供される造血前駆細胞。
(項目34)
疾患、障害もしくは傷害を有する被験体または疾患、障害もしくは傷害を発症するリスクがある被験体の処置に使用するための、項目1〜32のいずれかに記載のプロセスによって提供される造血前駆細胞。
(項目35)
前記被験体が、血液障害を有するかまたは血液障害を発症するリスクがあるとさらに定義されている、項目34に記載の造血前駆細胞。
(項目36)
前記被験体が、新生物疾患を有するとさらに定義されている、項目34に記載の造血前駆細胞。
(項目37)
前記被験体が、造血を抑制する療法を受けたかまたは造血を抑制する療法を受ける可能性が高いとさらに定義されている、項目36に記載の造血前駆細胞。
(項目38)
前記被験体が、化学療法を受けたかまたは化学療法を受ける可能性が高いとさらに定義されている、項目36に記載の造血前駆細胞。
(項目39)
前記被験体が、造血細胞または血液細胞を必要とする被験体であるとさらに定義されている、項目34に記載の造血前駆細胞。
(項目40)
前記被験体が、輸血を必要とする被験体であるとさらに定義されている、項目39に記載の造血前駆細胞。
(項目41)
前記被験体が、貧血もしくは溶血性貧血を有するかまたは貧血もしくは溶血性貧血を発症するリスクがあるとさらに定義されている、項目39に記載の造血前駆細胞。
(項目42)
疾患、障害もしくは傷害を有する被験体または疾患、障害もしくは傷害を発症するリスクがある被験体を処置するための医薬品の調製における、項目1〜32のいずれかに記載のプロセスによって提供される造血前駆細胞の使用。
(項目43)
前記障害が血液障害である、項目42に記載の使用。
(項目44)
前記疾患が、新生物疾患である、項目42に記載の使用。
(項目45)
造血前駆細胞を含む細胞集団であって、該造血前駆細胞の少なくとも80%が、1つ以上の造血前駆体プログラミング因子遺伝子を含む外因性発現カセットを含む、細胞集団。
(項目46)
血液障害を有する被験体または血液障害を発症するリスクがある被験体を処置するための方法であって、治療有効量の項目1〜32のいずれかに記載の方法によって得られる造血前駆細胞を該被験体に投与する工程を含む、方法。
(項目47)
新生物疾患を有する被験体を処置するための方法であって、治療有効量の項目1〜32のいずれかに記載の方法によって得られる造血前駆細胞を該被験体に投与する工程を含む、方法。
(項目48)
前記被験体が、造血を抑制する療法を受けたかまたは造血を抑制する療法を受ける可能性が高いとさらに定義されている、項目47に記載の方法。
(項目49)
前記被験体が、化学療法を受けたかまたは化学療法を受ける可能性が高いとさらに定義されている、項目47に記載の方法。
(項目50)
造血細胞または血液細胞を必要とする被験体を処置するための方法であって、治療有効量の項目1〜32のいずれかに記載の方法によって得られる造血前駆細胞を該被験体に投与する工程を含む、方法。
(項目51)
前記被験体が、輸血を必要とする被験体であるとさらに定義されている、項目50に記載の方法。
(項目52)
前記被験体が、貧血もしくは溶血性貧血を有するかまたは貧血もしくは溶血性貧血を発症するリスクがあるとさらに定義されている、項目50に記載の方法。
本発明の方法および/または組成物に関連して論ずる実施形態を、本明細書に記載する任意の他の方法または組成物に関して用いることができる。したがって、ある方法または組成物に関する実施形態を、本発明の他の方法および組成物にも適用することができる。
ここで用いる場合、当業者が本発明をより容易に理解できるようにするために、核酸に関して用語「コードする(encode)」または「コードする(encoding)」を用いる;しかし、これらの用語をそれぞれ「含む(comprise)」または「含む(comprising)」と同義で用いることがある。
ここで本明細書において用いる場合、「a」または「an」は、1以上を意味することがある。ここで本請求項(単数または複数)において用いる場合、語「含む(comprising)」と組み合わせて使用するとき、語「a」または「an」は、1を意味することがあり、または1より多くを意味することもある。
本請求項における用語「または」の使用は、選択肢のみを指すことの明確な指示がない限り、または選択肢が相互に排他的でない限り、「および/または」を意味するために用いられるが、本開示は選択肢のみ、ならびに「および/または」を指す定義を支持する。ここで用いる場合、「別の」は、少なくとも第二以上を意味し得る。
本願を通して、用語「約」は、値が、その値を決定するために用いるデバイス、方法に固有の誤差変動、または研究対象間に存在する変動を包含することを示すために用いている。
本明細書および請求項(単数または複数)において用いる場合、語「含む(comprising)」(ならびに含む(comprising)の任意の形態、例えば「含む(compriseおよびcomprises)」)、「有する(having)」(ならびに有する(having)の任意の形態、例えば「有する(haveおよびhas)」)、「包含する(including)」(ならびに包含する(including)の任意の形態、例えば「包含する(includesおよびinclude)」)または「含有する(containing)」(ならびに含有する(containing)の任意の形態、例えば「含有する(containsおよびcontain)」)は、包括的または非限定的であり、追加の、列挙されていない要素または方法工程を除外しない。
本方法および組成物のいずれについてのいずれの実施形態も、記載の特徴および/または工程を、含む/包含する/含有する/有するのではなく、それらからなり得、または本質的になり得る。したがって、本請求項のいずれにおいても、上に挙げた非限定的連結動詞のいずれかの代わりに用語「からなる」または「から本質的になる」を用いて、前記非限定的連結動詞を別様に使用しているものから所与の請求項の範囲を変更することができる。
本発明の他の目的、特徴および利点は、後続の詳細な説明から明らかになる。しかし、この詳細な説明および具体的な実施例は、本発明の好ましい実施形態を示すが、本発明の精神および範囲内の様々な変更および変形がこの詳細な説明から当業者には明らかになるので、単に実例として与えるものに過ぎないことは理解されるはずである。
以下の図面は、本明細書の一部を構成するものであり、本発明の一定の態様をさらに実証するために含めるものである。本明細書に提供する具体的な実施形態の詳細な説明と組み合わせてこれらの図面の1つ以上を参照することにより、本発明をよりよく理解できる。
図1は、ヒトESC/iPSCからの造血前駆細胞(多分化能造血幹細胞とも呼ばれる)の分化についての代替アプローチを示す図である。 図2は、フォワードプログラミングによってヒトESC/iPSCを直接造血細胞に変換することができる導入遺伝子(単数または複数)の同定に用いた戦略を示す図である。 図3は、造血分化のためのヒトESC/iPSC誘導性(R/I)系統の樹立を示す図である。 図4A、4B、4Cは、ヒトH1 HSC誘導性系統におけるTet−On誘導性遺伝子発現の確認を示す図である。図4A:2ベクターPiggyBacトランスポゾン遺伝子発現系。Ptightは、rtTET応答性誘導性プロモーターであり;pEFは、真核性伸長因子1αプロモーターであり;hPBaseは、ヒト細胞での発現のために最適化されたコドンを有するPiggyBacトランスポザーゼについてのコード領域である。図4B:ヒトESC誘導性系統におけるEGFP誘導。ドキシサイクリン(1μg/mL)での2日の誘導後のまたはドキシサイクリンなしでのヒトESC誘導性系統の画像を示す。図4C:ドキシサイクリン(1μg/mL)での4日の誘導後のまたはドキシサイクリンなしでのヒトESC誘導性系統におけるEGFP発現のフローサイトメトリー分析。灰色線は、EGFPベクターのトランスフェクションを伴わないヒトESC誘導性系統であり;黒色線は、ドキシサイクリンでの4日の誘導後のPiggyBacトランスポゾンが安定的に組み込まれているヒトESC R/I系統またはドキシサイクリンなしでの該ヒトESC R/I系統である。 図4A、4B、4Cは、ヒトH1 HSC誘導性系統におけるTet−On誘導性遺伝子発現の確認を示す図である。図4A:2ベクターPiggyBacトランスポゾン遺伝子発現系。Ptightは、rtTET応答性誘導性プロモーターであり;pEFは、真核性伸長因子1αプロモーターであり;hPBaseは、ヒト細胞での発現のために最適化されたコドンを有するPiggyBacトランスポザーゼについてのコード領域である。図4B:ヒトESC誘導性系統におけるEGFP誘導。ドキシサイクリン(1μg/mL)での2日の誘導後のまたはドキシサイクリンなしでのヒトESC誘導性系統の画像を示す。図4C:ドキシサイクリン(1μg/mL)での4日の誘導後のまたはドキシサイクリンなしでのヒトESC誘導性系統におけるEGFP発現のフローサイトメトリー分析。灰色線は、EGFPベクターのトランスフェクションを伴わないヒトESC誘導性系統であり;黒色線は、ドキシサイクリンでの4日の誘導後のPiggyBacトランスポゾンが安定的に組み込まれているヒトESC R/I系統またはドキシサイクリンなしでの該ヒトESC R/I系統である。 図4A、4B、4Cは、ヒトH1 HSC誘導性系統におけるTet−On誘導性遺伝子発現の確認を示す図である。図4A:2ベクターPiggyBacトランスポゾン遺伝子発現系。Ptightは、rtTET応答性誘導性プロモーターであり;pEFは、真核性伸長因子1αプロモーターであり;hPBaseは、ヒト細胞での発現のために最適化されたコドンを有するPiggyBacトランスポザーゼについてのコード領域である。図4B:ヒトESC誘導性系統におけるEGFP誘導。ドキシサイクリン(1μg/mL)での2日の誘導後のまたはドキシサイクリンなしでのヒトESC誘導性系統の画像を示す。図4C:ドキシサイクリン(1μg/mL)での4日の誘導後のまたはドキシサイクリンなしでのヒトESC誘導性系統におけるEGFP発現のフローサイトメトリー分析。灰色線は、EGFPベクターのトランスフェクションを伴わないヒトESC誘導性系統であり;黒色線は、ドキシサイクリンでの4日の誘導後のPiggyBacトランスポゾンが安定的に組み込まれているヒトESC R/I系統またはドキシサイクリンなしでの該ヒトESC R/I系統である。 図5A、5B、5Cは、ERGおよびGATA2発現によるヒトESC/iPSCからの多分化能性造血前駆体のフォワードプログラミングを示す図である。図5A:示されている遺伝子の組み合わせでトランスフェクトした培養物中の赤血球−巨核球(EMk;D43+CD235a+CD41a+)および多分化能性系列陰性(Lin−)CD43+CD45−/+前駆体の百分率ならびにコロニー形成細胞(CFC)の絶対数。図5B:示されている遺伝子の組み合わせでトランスフェクトしたヒトESCの明視野像。図5C:6日のドキシサイクリン誘導後の示されている遺伝子の組み合わせでトランスフェクトしたヒトESC培養物のフローサイトメトリー分析。 図5A、5B、5Cは、ERGおよびGATA2発現によるヒトESC/iPSCからの多分化能性造血前駆体のフォワードプログラミングを示す図である。図5A:示されている遺伝子の組み合わせでトランスフェクトした培養物中の赤血球−巨核球(EMk;D43+CD235a+CD41a+)および多分化能性系列陰性(Lin−)CD43+CD45−/+前駆体の百分率ならびにコロニー形成細胞(CFC)の絶対数。図5B:示されている遺伝子の組み合わせでトランスフェクトしたヒトESCの明視野像。図5C:6日のドキシサイクリン誘導後の示されている遺伝子の組み合わせでトランスフェクトしたヒトESC培養物のフローサイトメトリー分析。 図5A、5B、5Cは、ERGおよびGATA2発現によるヒトESC/iPSCからの多分化能性造血前駆体のフォワードプログラミングを示す図である。図5A:示されている遺伝子の組み合わせでトランスフェクトした培養物中の赤血球−巨核球(EMk;D43+CD235a+CD41a+)および多分化能性系列陰性(Lin−)CD43+CD45−/+前駆体の百分率ならびにコロニー形成細胞(CFC)の絶対数。図5B:示されている遺伝子の組み合わせでトランスフェクトしたヒトESCの明視野像。図5C:6日のドキシサイクリン誘導後の示されている遺伝子の組み合わせでトランスフェクトしたヒトESC培養物のフローサイトメトリー分析。 図6A、6B、6Cは、ERGおよびGFI1発現による多分化能性造血前駆体へのヒトESCの効率的プログラミングを示す図である。ERG、GATA2、SPI1およびGFI1因子を造血誘導について試験した。図6A:示されている遺伝子の組み合わせでトランスフェクトした培養物中のEMk(CD43+CD235a+CD41a+)および多分化能性系列陰性(Lin−)CD43+CD45−/+前駆体の百分率ならびにコロニー形成細胞(CFC)の絶対数。図6B:ERGおよびGFI1でトランスフェクトしたヒトESCの明視野像。図6C:6日のドキシサイクリン誘導後のERG/GFI1トランスフェクトヒトESC培養物のフローサイトメトリー分析。 図7は、ヒトESCのフォワードプログラミングによって産生された前駆体によって形成された造血コロニーを示す図である。明視野像は、典型的なコロニーを示す。倍率を括弧内に示す。 図8は、ヒト体細胞を造血細胞に直接変換するための導入遺伝子(単数または複数)の同定に用いた戦略を示す図である。ヒト体細胞をrtTETタンパク質(CMVプロモーターの制御下)および導入遺伝子(Ptight誘導性プロモーターの制御下)発現レンチウイルスで共形質導入することとなる。ドキシサイクリン(Dox)を添加すると導入遺伝子発現が誘導されることとなり、特徴的な造血細胞形態(例えば、円形非付着性細胞を生産する細胞クラスタ)によって、ならびにコミットEMk(CD43+CD235a+CD41a+)および系列陰性(Lin−)CD43+CD45−/+多分化能性造血始原体の亜集団と共に、初期汎造血マーカーCD43の発現による全造血細胞集団のフローサイトメトリー検出によって、造血分化をモニターすることとなる(Vodyanikら、2006)。様々なタイプの造血始原体をまた、コロニー形成アッセイによって判定することとなる。
ヒト胚性幹細胞(ESC)および誘導多能性幹細胞(iPSC)は、インビトロで無限増殖が可能であり、その上、すべての体細胞タイプに分化する潜在能力を保持する。したがって、ヒトESCおよびiPSCは、研究室用途(例えば、創薬)または臨床用途(例えば、治療用途)のための患者特異的機能性血液細胞の無限供給量を提供できる可能性を秘めている。不死化体細胞系統などの体細胞もまた、血液細胞および造血前駆細胞のかかる無限供給量を提供できる可能性を秘めている。本発明者らは、インビトロで造血系列の細胞へのヒトESC/iPSCまたは体細胞のフォワードプログラミングを促進するための戦略を同定した。この戦略は、中胚葉誘導段階および多分化能性造血前駆体の特異化段階を包含する通常のインビボ発達(図1参照)をバイパスする。
I.定義
「プログラミング」は、細胞が生産することのできる子孫のタイプを変更するプロセスである。例えば、細胞が、プログラミングなしで同じ条件下で形成することができるものと比較して、培養またはインビボいずれかで少なくとも1つの新たな細胞タイプの子孫を形成することができるように変更されているとき、その細胞はプログラミングされている。これは、十分な増殖後、その新たな細胞タイプの表現型の特性を有する子孫の測定可能な割合が、観察されること(かかる子孫がプログラミング前には本質的に形成できなかったとしても)、あるいはその新たな細胞タイプの特性を有する割合が、プログラミング前より測定可能に多いことを意味する。このプロセスは、分化、脱分化および分化転換を包含する。「分化」は、あまり特異化されていない細胞が、より特異化された細胞タイプになるプロセスである。「脱分化」は、部分または最終分化細胞が、より初期の発達段階、例えば多能性または多分化能性、に逆転する細胞プロセスである。「分化転換」は、ある分化細胞タイプを別の分化細胞タイプに転換させるプロセスである。典型的に、プログラミングによる分化転換は、細胞が中間の多能性段階を経ることなく発生する(すなわち、細胞がある分化細胞タイプから別の分化細胞タイプに直接プログラミングされる)。一定の条件下では、新たな細胞タイプの特性を有する子孫の割合は、好ましい順に、少なくとも約1%、5%、25%以上であり得る。
用語「造血前駆体プログラミング因子遺伝子」は、単独で発現されたとき、または別のプログラミング因子遺伝子との組み合わせで発現されたとき、造血前駆細胞への多能性細胞または非造血体細胞の直接分化を引き起こす能力がある遺伝子である。用語「造血細胞プログラミング因子遺伝子」は、単独で発現されたとき、または別のプログラミング因子遺伝子との組み合わせで発現されたとき、分化造血細胞への多能性細胞または非造血体細胞の直接分化を引き起こす能力がある遺伝子である。
用語「フォワードプログラミング」は、多能性を有さない分化体細胞とは対照的に、多分化能性または多能性細胞のプログラミングであって、該多分化能性または多能性細胞への1つ以上の特異的系列決定遺伝子または遺伝子産物の供給による、プログラミングを指す。例えば、フォワードプログラミングは、ESCもしくはiPSCを造血前駆細胞もしくは他の前駆細胞にプログラミングするプロセスを表すこともあり、またはESCもしくはiPSCを造血細胞もしくは他の分化体細胞にプログラミングするプロセスを表すこともある。
用語「外因性」は、細胞もしくは生物におけるタンパク質、遺伝子、核酸もしくはポリヌクレオチドに関して用いるとき、人工もしくは天然手段によって細胞もしくは生物に導入されたタンパク質、遺伝子、核酸もしくはポリヌクレオチドを指し;または細胞に関しては、この用語は、単離され、その後、人工もしくは天然手段によって他の細胞もしくは生物に導入された細胞を指す。外因性核酸は、異なる生物もしくは細胞からのものであることもあり、または生物もしくは細胞の中に天然に存在する核酸の1つ以上の追加のコピーであることもある。外因性細胞は、異なる生物からのものであることもあり、または同じ生物からのものであることもある。非限定的な例として、外因性核酸は、天然細胞内にある場合とは異なる染色体位置にあるもの、または天然に見出される核酸配列とは異なる核酸配列が別様に隣接しているものである。
「発現構築物」または「発現カセット」とは、転写を命令する能力がある核酸分子を意味する。発現構築物は、1つ以上の望ましい細胞タイプ、組織または器官において遺伝子発現を命令する1つ以上の転写制御要素(例えば、プロモーター、エンハンサーまたはそれらの機能的に等価の構造)を最低でも備えている。転写終結シグナルなどの追加の要素も備えることができる。
「ベクター」または「構築物」(ときとして、遺伝子送達系または遺伝子移入「ビヒクル」と呼ばれる)は、インビトロまたはインビボいずれかで宿主細胞に送達されるポリヌクレオチドを含む高分子または分子複合体を指す。
「プラスミド」(ベクターの一般的なタイプ)は、染色体DNAとは独立に複製する能力がある、染色体DNAは別個の染色体外DNA分子である。一定のケースでは、プラスミドは、環状かつ二本鎖である。
「複製の起点」(「ori」)または「複製起点」は、細胞内のプラスミド中に存在するとき、連結されている配列を、該プラスミド内に、および/またはDNA合成が開始する部位もしくはその付近の部位に、維持する能力があるDNA配列、例えば、リンパ球向性ヘルペスウイルスにおけるDNA配列である。一例として、EBVのoriは、FR配列(30bpリピートの20の不完全コピー)および好ましくはDS配列を備えているが、EBV内の他の部位はEBNA−1を結合する。例えば、Rep配列は、複製の起点としてDSの代わりになり得る(KirshmaierおよびSugden、1998)。したがって、EBVの複製起点は、FR、DSもしくはRep配列、またはそれらに由来する核酸の修飾もしくは合成の組み合わせによる任意の機能的等価配列を含む。例えば、本発明は、Lindnerら、2008に具体的に記載されているような、個々の要素の挿入または変異によるものなどの、EBVの遺伝子操作複製起点も使用することができる。
用語「に対応する」は、ポリヌクレオチド配列が、基準ポリヌクレオチド配列のすべてもしくは一部分に相同である(すなわち、同一であり、厳密に進化的に関連しているわけではない)こと、またはポリペプチド配列が、基準ポリペプチド配列と同一であることを意味するために本明細書では用いている。対照区別して、用語「に相補的」は、相補的配列が、基準ポリヌクレオチド配列のすべてまたは一部分と相同であることを意味するために本明細書では用いている。説明のために、ヌクレオチド配列「TATAC」は、基準配列「TATAC」に対応し、基準配列「GTATA」に相補的である。
特定のタンパク質を「コードする」「遺伝子」、「ポリヌクレオチド」、「コード領域」、「配列」、「セグメント」、「断片」または「導入遺伝子」は、適切な調節配列の制御下に置かれたとき、インビトロまたはインビボで転写され、場合によっては遺伝子産物、例えばポリペプチド、に翻訳もされる核酸分子である。コード領域は、cDNA形、ゲノムDNA形またはRNA形のいずれかで存在し得る。DNA形で存在するとき、その核酸分子は、一本鎖(すなわち、センス鎖)であることもあり、または二本鎖であることもある。コード領域の境界は、5’(アミノ)末端の開始コドンと3’(カルボキシ)末端の翻訳停止コドンによって決定される。遺伝子には、原核または真核mRNAからのcDNA、原核または真核DNAからのゲノムDNA配列および合成DNA配列が含まれる場合があるが、これらに限定されない。転写終結配列は、通常、遺伝子配列の3’に位置することとなる。
用語「制御要素」は、集合的にレシピエント細胞内のコード配列の複製、転写、転写後プロセッシング、および翻訳を提供する、プロモーター領域、ポリアデニル化シグナル、転写終結配列、上流調節ドメイン、複製の起点、内部リボソーム進入部位(IRES)、エンハンサー、スプライスジャンクションおよびこれらに類するものを集合的に指す。選択されたコード配列が適切な宿主細胞において複製、転写および翻訳され得るのなら、必ずしもこれらの制御要素のすべてが存在する必要はない。
用語「プロモーター」は、RNAポリメラーゼを結合して下流(3’方向)コード配列の転写を開始させる能力がある遺伝子に由来するDNA調節配列を含む、ヌクレオチド領域を指すその通常の意味で、本明細書では用いている。
「エンハンサー」とは、プロモーターに近接した位置にあるとき、エンハンサードメインの不在下で該プロモーターから得られる転写活性に比べて、増加された転写活性を付与する核酸配列を意味する。
核酸分子に関して「作動可能に連結された」とは、2つ以上の核酸分子(例えば、転写される核酸分子、プロモーター、およびエンハンサー要素)が、該核酸分子の転写を可能にするように接続されていることを意味する。ペプチドおよび/またはポリペプチド分子に関して「作動可能に連結された」とは、単一ポリペプチド鎖(すなわち融合ポリペプチド)であって、該融合体の各ペプチドおよび/またはポリペプチド成分の少なくとも1つの性質を有するものである、単一のポリペプチド鎖を生じさせるように2つ以上のペプチドおよび/またはポリペプチド分子が接続されていることを意味する。前記融合ポリペプチドは、好ましくはキメラである、すなわち、異種分子で構成されている。
「相同性」は、2つのポリヌクレオチドまたは2つのポリペプチド間の同一率を指す。ある配列と別の配列との対応は、当該技術分野において公知の技術によって判定することができる。例えば、配列情報のアラインメントおよび容易に利用できるコンピュータプログラムの使用による2つのポリペプチド分子間の配列情報の直接比較によって相同性を判定することができる。あるいは、相同領域間での安定したデュプレックスの形成を促進する条件下でのポリヌクレオチドのハイブリダイゼーション、続いて、一本鎖特異的ヌクレアーゼ(単数または複数)での消化、そして消化された断片のサイズ決定により、相同性を判定することができる。2つのDNA配列または2つのポリペプチド配列は、上記方法を用いて判定したとき、該ヌクレオチドまたはアミノ酸の少なくとも約80%、好ましくは少なくとも約90%、および最も好ましくは少なくとも約95%が、それらの分子の定義された長さにわたってそれぞれマッチするとき、互いに「実質的に相同」である。
用語「細胞」は、当該技術分野におけるその最も広い意味で本明細書では用いており、多細胞生物の組織の構造単位であり、外部から隔離する膜構造によって包囲されており、自己複製能力を有し、ならびに遺伝情報およびそれを発現するためのメカニズムを有する、生物体(living body)を指す。本明細書において用いる細胞は、天然に存在する細胞であることもあり、または人工的に修飾された細胞(例えば、融合細胞、遺伝子修飾細胞など)である場合もある。
本明細書において用いる場合、用語「幹細胞」または「多分化能性細胞」は、少なくとも1タイプのより特異化された細胞を生じさせる能力がある細胞を指す。幹細胞は、自己再生能力、すなわち未分化状態を維持しながら非常に多数の細胞分裂サイクルを経る能力を有し、かつ潜在能力、すなわち特異化された細胞タイプに分化する能力を有する。典型的に、幹細胞は、損傷組織を再生することができる。本明細書における幹細胞は、胚性幹(ES)細胞、誘導多能性幹細胞、または組織幹細胞(組織特異的幹細胞、または体性幹細胞とも呼ばれる)であり得るが、これらに限定されない。上記能力を有するいずれの人工生産細胞(例えば、本明細書において用いる融合細胞、再プログラム細胞またはこれらに類するもの)も幹細胞であり得る。
「胚性幹(ES)細胞」は、初期胚に由来する多能性幹細胞である。ES細胞は、1981年に最初に樹立され、1989年以降はノックアウトマウスの生産にも適用されている。1998年にヒトES細胞が樹立され、現在、再生医療に利用できるようになりつつある。
ES細胞とは異なり、組織幹細胞は、限られた分化能を有する。組織幹細胞は、組織内の特定の位置に存在し、未分化細胞内構造を有する。したがって、組織幹細胞の多能性は一般に低い。組織幹細胞は、より高い核/細胞質比を有し、細胞内小器官を殆ど有さない。大部分の組織幹細胞は、低い多能性、長い細胞周期、およびその個体の寿命を超える増殖能力を有する。組織幹細胞は、細胞が得られる部位に基づいて、皮膚系、消化器系、骨髄系、神経系およびこれらに類するものなどのカテゴリーに分けられる。皮膚系の組織幹細胞としては、表皮幹細胞、毛包幹細胞およびこれらに類するものが挙げられる。消化器系の組織幹細胞としては、膵(共通)幹細胞、肝幹細胞およびこれらに類するものが挙げられる。骨髄系の組織幹細胞としては、造血幹細胞、間葉幹細胞およびこれらに類するものが挙げられる。神経系の組織幹細胞としては、神経幹細胞、網膜幹細胞およびこれらに類するものが挙げられる。
「誘導多能性幹細胞」は、一般にiPS細胞またはiPSCと略され、非多能性細胞、典型的には、成体体細胞、または最終分化細胞、例えば線維芽細胞、造血細胞、筋細胞、ニューロン、表皮細胞またはこれらに類するものから、再プログラミング因子と呼ばれる一定の遺伝子を挿入することにより人工的に調製された多能性幹細胞の1タイプを指す。
「多能性」は、1つ以上の組織もしくは器官を構成するすべての細胞、または好ましくは3つの胚葉:内胚葉(胃内層、胃腸管、肺)、中胚葉(筋肉、骨、血液、尿生殖器)または外肺葉(表皮組織および神経系)のいずれかに分化する潜在能力を有する幹細胞を指す。本明細書において用いる用語「多能性幹細胞」は、前記3つの胚葉のいずれかに由来する細胞、例えば、全能性細胞または誘導多能性細胞の直接の子孫などの、本質的にいずれの胎児または成体細胞タイプにも分化することができる細胞を指す。
本明細書において用いる場合、「全能性幹細胞」は、卵細胞と精子細胞の融合から生産される細胞などの、生物を構成するすべての細胞に分化する能力を有する細胞を指す。受精卵の最初の数分割によって生産される細胞も全能性である。これらの細胞は、胚細胞タイプおよび胚外細胞タイプに分化することができる。多能性幹細胞は、いずれの胎児および成体細胞タイプも生じさせることができる。しかし、それらは、胎盤などの胚外組織に寄与する潜在能力を欠くので、単独では胎児または成体動物に発達することができない。
対照的に、始原細胞(本明細書では前駆細胞とも呼ぶ)は、多分化能性幹細胞である。すなわち、限定数の細胞運命に分化する能力がある。「始原細胞」または「前駆細胞」は、多能性幹細胞に由来する系列コミット細胞を指す。したがって、始原細胞は、多能性幹細胞より分化しているが、1タイプより多くの細胞タイプに分化する能力を依然として有する。多分化能性始原細胞は、1タイプより多くの他の細胞タイプを生じさせることができるが、それらのタイプは数が限定される。多分化能性幹細胞の一例は、造血幹細胞(幾つかの血液細胞タイプに発達することができるが、脳細胞または一定の他の細胞タイプには発達することができない血液幹細胞)である。胚を形成する長い一連の細胞分裂の終了時には、最終分化している細胞、または特定の機能に永久コミットメントしていると考えられる細胞が存在する。前駆細胞のタイプの一例は、本明細書に開示する方法によって提供することができる造血前駆細胞であって、3つの造血系列(リンパ球系列、骨髄系列または赤血球−巨核球系列)の1つ以上に分化し得る可能性がある、造血前駆細胞である。
本明細書において用いる場合、用語「体細胞」は、卵子、精子またはこれらに類するものなどの生殖細胞以外の任意の細胞であって、そのDNAを次世代に直接移入しない細胞を指す。典型的に、体細胞は、限定された多能性を有するか、多能性を有さない。本明細書において用いる体細胞は、自然に存在することもあり、または遺伝子修飾されていることもある。
本明細書において用いる場合、細胞は一定の望ましくない細胞タイプを、細胞が10%未満の該望ましくない細胞タイプを有するときには、「実質的に含まない」、および細胞が1%未満の該望ましくない細胞タイプを有するときには、「本質的に含まない」。しかし、全細胞集団の0.5%未満または0.1%未満が前記望ましくない細胞タイプを含む細胞集団は、よりいっそう望ましい。したがって、集団の細胞の0.1%から1%未満(すべての中間百分率を包含する)が望ましくない細胞タイプを含む細胞集団には、これらの細胞タイプが本質的にない。本明細書において用いる場合、培地は一定の試薬を、かかる薬剤の外的追加がない場合、「本質的に含まない」。さらに好ましくは、これらの薬剤が不在であるか、検出不能量で存在する。
II.造血細胞プログラミングに関係する細胞
本発明の一定の実施形態では、造血細胞でない多能性細胞のフォワードプログラミングにより、または造血細胞でない体細胞の分化転換により、造血細胞または造血細胞前駆体を提供するための方法および組成物を開示する。1つ以上の造血前駆体プログラミング因子遺伝子を備えている外因性発現カセットおよび/または造血細胞もしくは造血前駆細胞同定に特異的なレポーター発現カセットを含む細胞も提供する。一部の実施形態において、前記細胞は、胚性幹細胞、胎児幹細胞または成体幹細胞をはじめとする(しかしこれらに限定されない)幹細胞であり得る。さらなる実施形態において、前記細胞は、いずれの体細胞であってもよい。
A.幹細胞
幹細胞は、すべてではないにせよ殆どの多細胞生物において見つけられる細胞である。それらは、有糸細胞分裂によりそれら自体を再生する能力、および多種多様な特異化された細胞タイプに分化する能力を特徴とする。哺乳動物幹細胞の2つの大まかなタイプは、胚盤胞において見つけられる胚性幹細胞、および成体組織において見つけられる成体幹細胞である。発達中の胚において、幹細胞は、特異化された胚組織のすべてに分化することができる。成体生物において、幹細胞および始原細胞は、特異化された細胞を補充する身体の修復系として作用し、また、再生器官、例えば血液、皮膚または腸組織、の正常なターンオーバーを維持する。
ヒト胚性幹細胞(ESC)および誘導多能性幹細胞(iPSC)は、インビトロで長期増殖が可能であり、その上、造血細胞および造血前駆細胞を含めて身体のすべての細胞タイプに分化する潜在能力を保持する。したがって、これらの細胞は、創薬および治療用途両方に患者特異的機能性造血細胞および造血前駆細胞の無限供給量を提供できる可能性を秘めている。インビトロでの造血細胞および造血前駆細胞へのヒトESC/iPSCの分化は、通常のインビボ発達を再現する;すなわち、それらは、中胚葉分化および造血系特異化をはじめとする通常の逐次発達段階を経る(図1)。その逐次発達プロセスは、異なる分化段階で異なる成長因子の追加を必要とする。本発明の一定の態様は、すべてではないにせよ殆どの通常の発達段階(図1)をバイパスして、iPSCの産生に類似した、造血細胞分化/機能にとって重要な転写因子の組み合わせの発現により、ヒトESC/iPSCからのフォワードプログラミングまたは体細胞からの分化転換によって完全機能性造血前駆細胞を提供する。このアプローチは、時間および費用の点でより効率であり得、ならびにヒト成体造血細胞および造血細胞前駆体に、同一でないにせよ高度に類似した機能を有する造血前駆細胞および造血細胞を産生することができる。加えて、無限増殖能力を有するヒトESC/iPSCは、造血前駆細胞分化の出発細胞集団として体細胞より有利であり得る。
1.胚性幹細胞
胚性幹細胞系統(ES細胞系統)は、胚盤胞または初期桑実期胚の内部細胞塊(ICM)の胚盤葉上層組織に由来する細胞の培養物である。胚盤胞は、ヒトではおおよそ4から5日齢の胚であって、50〜150細胞からなる早期胚である。ES細胞は多能性であり、発達中に3つの主要胚葉(外肺葉、内胚葉および中胚葉)のすべての誘導体を生じさせる。言い換えると、ES細胞は、特異的細胞タイプに十分かつ必要な刺激を与えると、成体の200タイプより多い細胞タイプの各々に発達することができる。ES細胞は、胚体外膜または胎盤に寄与しない。
今日までの大部分の研究には、マウス胚性幹細胞(mES)またはヒト胚性幹細胞(hES)が使用された。両方とも本質的な幹細胞の特性を有するが、それらは未分化状態を維持するために非常に異なる環境を必要とする。マウスES細胞は、ゼラチン層の上で成長させることができるが、白血病阻害因子(LIF)の存在を必要とする。ヒトES細胞は、マウス胚性線維芽細胞(MEF)のフィーダー層上で成長させることができたが、多くの場合、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGFまたはFGF−2)の存在を必要とする。最適な培養条件または遺伝子操作(Chamberら、2003)がなければ、胚性幹細胞は急速に分化することとなる。
ヒト胚性幹細胞を幾つかの転写因子および細胞表面タンパク質の存在によって定義することもできる。転写因子Oct−4、NanogおよびSox−2は、分化および多能性維持につながる遺伝子の抑制を確実にするコア調節ネットワークを形成する(Boyerら、2005)。hES細胞を同定するために最も一般的に使用される細胞表面抗原としては、糖脂質SSEA3およびSSEA4ならびにケラタン硫酸抗原Tra−1−60およびTra−1−81が挙げられる。
マウスES細胞を得るための方法は周知である。1つの方法では、129のマウス株からの着床前胚盤胞をマウス抗血清で処理して栄養外胚葉を除去し、ウシ胎仔血清を含有する培地中の化学的不活化マウス胚性線維芽細胞のフィーダー細胞層上でその内部細胞塊を培養する。発達する未分化ES細胞のコロニーを、ウシ胎仔血清の存在下、マウス胚性線維芽細胞フィーダー層上で継代培養して、ES細胞集団を生産する。一部の方法では、血清含有培養培地にサイトカイン白血病阻害因子(LIF)を添加することによりフィーダー層不在下でマウスES細胞を成長させることができる(Smith、2000)。他の方法では、骨形成タンパク質およびLIFの存在下、無血清培地でマウスES細胞を成長させることができる(Yingら、2003)。
以前に記載された方法(Thomsonら、1995;Thomsonら、1998;ThomsonおよびMarshall、1998;Reubinoffら、2000)を用いて胚盤胞からヒトES細胞を得ることができる。1つの方法では、第5日ヒト胚盤胞をウサギ抗ヒト脾細胞抗血清に曝露し、その後、モルモット補体の1:5希釈物に曝露して、栄養外胚葉細胞を溶解する。溶解した栄養外胚葉細胞をインタクト内部細胞塊から除去した後、その内部細胞塊をガンマ線不活化マウス胚性線維芽細胞のフィーダー層上で、ウシ胎仔血清の存在下で培養する。9から15日後、その内部細胞塊に由来する細胞集塊を化学的に(すなわち、トリプシンに曝露して)または機械的に解離させ、ウシ胎仔血清を含有する新たな培地およびマウス胚性線維芽細胞のフィーダー層に再びプレーティングすることができる。さらに増殖させて、未分化形態を有するコロニーをマイクロピペットによって選択し、機械的に集塊に解離させ、再びプレーティングする(例えば、米国特許第6,833,269号参照)。ES様形態は、明らかに高い核対細胞質比および顕著な核小体を有する密集したコロニーとして特性づけされる。結果として生じたES細胞を、短時間のトリプシン処理により、またはマイクロピペットによる個々のコロニーの選択により常例的に継代させることができる。一部の方法では、ヒトES細胞を、塩基性線維芽細胞成長因子の存在下、線維芽細胞のフィーダー層上で該ES細胞を培養することにより、血清なしで成長させることができる(Amitら、2000)。他の方法では、ヒトES細胞を、塩基性線維芽細胞成長因子を含有する「馴化」培地の存在下、マトリゲルまたはラミニンなどのタンパク質マトリックス上で該細胞を培養することににより、フィーダー細胞層なしで成長させることができる(Xuら、2001)。前記培地を線維芽細胞との共培養により事前に馴化させる。
アカゲザル(rhesus monkey)およびコモンマーモセットES細胞の単離のための方法も公知である(ThomsonおよびMarshall、1998;Thomsonら、1995;ThomsonおよびOdorico、2000)。
別のES細胞供給源は、樹立ES細胞系統である。様々なマウス細胞系統およびヒトES細胞系統が公知であり、それらの成長および増殖のための条件は定義されている。例えば、マウスCGR8細胞系統がマウス株129胚の内部細胞塊から樹立されており、CGR8細胞の培養物をLIFの存在下、フィーダー層なしで成長させることができる。さらなる例として、ヒトES細胞系統H1、H7、H9、H13およびH14がThompsonらによって樹立された。加えて、H9系統のサブクローンH9.1およびH9.2が開発された。例えば、参照により本明細書に援用されているYuおよびThompson、2008に記載されているものなど、当該技術分野において公知の事実上いずれのESまたは幹細胞系統も、本発明と共に使用することができると予想される。
本発明に関連して使用するためのES細胞供給源は、胚盤胞、胚盤胞の内部細胞塊の培養物に由来する細胞、または樹立細胞系統の培養物から得られる細胞であり得る。したがって、本明細書において用いる場合、用語「ES細胞」は、胚盤胞の内部細胞塊細胞を指す場合もあり、内部細胞塊の培養物から得られるES細胞を指す場合もあり、およびES細胞系統の培養物から得られるES細胞を指す場合もある。
2.誘導多能性幹細胞
誘導多能性幹(iPS)細胞は、ES細胞の特性を有する細胞であるが、分化体細胞の再プログラミングによって得られる細胞である。誘導多能性幹細胞は、様々な方法によって得られている。1つの方法では、レトロウイルス形質導入を用いて、成体ヒト皮膚線維芽細胞を転写因子Oct4、Sox2、c−MycおよびKlf4でトランスフェクトする(Takahashiら、2007)。トランスフェクトされた細胞を、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)を補充した培地中のSNLフィーダー細胞(LIFを生産するマウス細胞線維芽細胞細胞系統)上にプレーティングする。おおよそ25日後、ヒトES細胞コロニーに類似しているコロニーが培養中に出現する。それらのES細胞様コロニーを、bFGFの存在下、フィーダー細胞上で選び、広げる。
細胞の特性に基づき、前記ES細胞様コロニーの細胞は、誘導多能性幹細胞である。前記誘導多能性幹細胞は、ヒトES細胞に形態的に類似しており、様々なヒトES細胞マーカーを発現する。また、ヒトES細胞の分化を生じさせる結果となることが公知である条件下で成長させると、前記誘導多能性幹細胞は相応じて分化する。例えば、前記誘導多能性幹細胞は、造血細胞構造および造血細胞マーカーを有する細胞に分化することができる。例えば、YuおよびThompson、2008に記載されているものを含めて、事実上いずれのiPS細胞または細胞系統も本発明と共に使用することができると予想される。
別の方法では、レンチウイルス形質導入(Yuら、2007)を用いて4遺伝子、Oct4、Sox2、NanogおよびLin28、でヒト胎児または新生児線維芽細胞をトランスフェクトする。感染後12〜20日の時点で、ヒトES細胞形態を有するコロニーが見えるようになる。コロニーを選び、広げる。それらのコロニーを構成する誘導多能性幹細胞は、ヒトES細胞に形態的に類似しており、様々なヒトES細胞マーカーを発現し、ならびにマウスへの注射後、神経組織、軟骨および腸上皮を有する奇形腫を形成する。
マウスから誘導多能性幹細胞を調製する方法も公知である(TakahashiおよびYamanaka、2006)。iPS細胞の誘導は、Soxファミリーからの少なくとも1つのメンバーおよびOctファミリーからの少なくとも1つのメンバーの発現、またはそれらのメンバーへの曝露を概して必要とする。SoxおよびOctは、ES細胞の独自性を規定する転写調節階層の中心であると考えられる。例えば、Soxは、Sox−1、Sox−2、Sox−3、Sox−15またはSox−18であり得;Octは、Oct−4であり得る。Nanog、Lin28、Klf4またはc−Mycのようなさらなる因子は、再プログラミング効率を増加させることができ;再プログラミング因子の具体的なセットは、Sox−2とOct−4とNanogと場合によりLin−28とを含むセット、またはSox−2とOct4とKlfと場合によりc−Mycとを含むセットであり得る。
iPS細胞は、ES細胞のように、SSEA−1、SSEA−3およびSSEA−4(米国国立小児保健発達研究所、発達研究ハイブリドーマバンク、メリーランド州ベセズダ)ならびにTRA−1−60およびTRA−1−81(Andrewsら、1987)に対する抗体を使用して、免疫組織化学またはフローサイトメトリーにより同定または確認することができる特徴的抗原を有する。胚性幹細胞の多能性は、8〜12週齢雄性SCIDマウスの後脚筋肉におおよそ0.5〜10×10細胞を注射することにより確認することができる。3つ胚葉各々の少なくとも1つの細胞タイプを示す奇形腫が発生する。
本発明の一定の態様では、OctファミリーメンバーおよびSoxファミリーメンバー、例えばOct4およびSox2、を含む再プログラミング因子を、上記のKlfまたはNanogと組み合わせて用いる体細胞の再プログラミングからiPS細胞を作製する。再プログラミングのための体細胞は、線維芽細胞、ケラチン生成細胞、造血細胞、間葉細胞、肝細胞、胃細胞またはβ細胞などの、多能性に誘導することができるいずれの体細胞であってもよい。一定の態様では、T細胞を再プログラミングのための体細胞供給源として使用することができる(参照により本明細書に援用されている米国特許出願第61/184,546号明細書参照)。
1つ以上のベクター、例えば、組込みベクターまたはエピソームベクター、例えばEBV要素ベースの系(参照により本明細書に援用されている米国特許出願第61/058,858号明細書;Yuら、2009参照)に含まれている発現カセットから再プログラミング因子を発現させることができる。さらなる態様では、タンパク質形質導入によって再プログラミングタンパク質を体細胞に直接導入することができた(参照により本明細書に援用されている米国特許出願第61/172,079号明細書参照)。
3.体細胞核移植によって誘導される胚性幹細胞
紡錘体のない卵母細胞にドナー核を移植する体細胞核移植によって多能性幹細胞を調製することができる。核移植によって生産される幹細胞は、ドナー核と遺伝子的に同一である。1つの方法では、アカゲザル(rhesus macaque)の皮膚線維芽細胞からのドナー線維芽細胞核を、紡錘体のない成熟第二分裂中期アカゲザル(rhesus macaque)卵母細胞の細胞質に、電気融合によって導入する(Byrneら、2007)。融合した卵母細胞をイオノマイシンへの曝露によって活性化し、その後、胚盤胞期までインキュベートする。その後、選択された胚盤胞の内部細胞塊を培養して胚性幹細胞系統を生産する。それらの胚性幹細胞系統は、インビトロでも、インビボでも、正常なES細胞形態を示し、様々なES細胞マーカーを発現し、および多数の細胞タイプに分化する。本明細書において用いる場合、用語「ES細胞」は、受精核を含有する胚に由来する胚性幹細胞を指す。ES細胞は、「体細胞核移植によって誘導された胚性幹細胞」と言われる、核移植によって生産される胚性幹細胞とは区別される。
4.他の幹細胞
胎児幹細胞は、自己再生能力および多能性分化能を有する細胞である。胎児細胞栄養芽層細胞(欧州特許第0412700号明細書)ならびに絨毛膜絨毛、羊水および胎盤(国際公開第2003/042405号)からそれらを単離および増殖させることができる。これらの参考文献は、全文そのまま参照により本明細書に援用されている。胎児幹細胞の細胞表面マーカーとしては、CD117/c−kit、SSEA3、SSEA4およびSSEA1が挙げられる。
体性幹細胞は、殆どの器官組織において同定されている。最もよく特性づけされているのは、造血前駆細胞の1タイプである造血幹細胞である。造血幹細胞は、細胞表面マーカーおよび機能特性に基づいて精製された中胚葉由来の細胞である。骨髄、血液、臍帯血、胎児肝臓および卵黄嚢から単離された造血幹細胞は、レシピエントの寿命にわたって造血を再開始させ、多数の造血系列を産生する始原細胞である(米国特許第5,635,387号、同第5,460,964号、同第5,677,136号、同第5,750,397号、同第5,759,793号、同第5,681,599号および同第5,716,827号明細書;Hillら、1996参照;これらのすべてが全文そのまま参照により本明細書に援用されている)。致命的に被爆した動物またはヒトに移植したとき、造血幹細胞は、赤血球系、好中球−マクロファージ、巨核球およびリンパ球系造血細胞プールを再増殖させることができる。インビトロで、造血幹細胞を、自己再生細胞分裂を少なくともある程度経験するように誘導することができ、インビボで見られるのと同じ系列に分化するように誘導することができる。したがって、この細胞は、幹細胞の基準を満たす。
次によく特性づけされているのは、胚性中胚葉に元々由来し、成体骨髄から単離された間葉幹細胞(MSC)であり、これらは分化して、筋肉、骨、軟骨、脂肪、骨髄基質および腱を形成することができる。胚形成中、中胚葉は、肢芽中胚葉(骨、軟骨、脂肪、骨格筋、および、場合により内皮を生じさせる組織)に発達する。中胚葉は、心筋、平滑筋、または内皮および造血始原細胞からなる血島を生じさせることができる内臓中胚葉にも分化する。したがって、原始中胚葉または間葉幹細胞は、多数の細胞および組織タイプの供給源を提供することができよう。多数の間葉幹細胞が単離されている(例えば、米国特許第5,486,359号、同第5,827,735号、同第5,811,094号、同第5,736,396号、同第5,837,539号、同第5,837,670号および同第5,827,740号明細書;Jaiswalら、1997;Cassiedeら、1996;Johnstoneら、1998;Yooら、1998;Gronthos、1994;Makinoら、1999参照;これらのすべてが全文そのまま参照により本明細書に援用されている)。記載されている多くの間葉幹細胞のすべてが、間葉起源のものであると一般に考えられている分化細胞しか形成しない限られた分化を示した。今日までの大部分の多分化能性間葉幹細胞は、SH2 SH4 CD29 CD44 CD71 CD90 CD106 CD120a CD124 CD14 CD34 CD45表現型を発現する。
卵円形細胞とも呼ばれる、胃腸幹細胞、表皮幹細胞、神経および肝幹細胞をはじめとする、他の幹細胞が同定されている(Potten、1998;Watt、1997;Alisonら、1998)。
一部の実施形態において、本明細書に記載する方法に有用な幹細胞としては、胚性幹細胞、誘導多能性幹細胞、間葉幹細胞、骨髄由来幹細胞、造血幹細胞、軟骨細胞(chrondrocyte)始原細胞、表皮幹細胞、胃腸幹細胞、神経幹細胞、肝幹細胞、脂肪由来間葉幹細胞、膵始原細胞、毛包幹細胞、内皮始原細胞、および平滑筋始原細胞が挙げられるが、これらに限定されない。
一部の実施形態では、本明細書に記載する方法に使用する幹細胞を、臍帯、胎盤、羊水、絨毛膜絨毛、胚盤胞、骨髄、脂肪組織、脳、末梢血、胃腸管、臍帯血、血管、骨格筋、皮膚、肝臓および月経血から単離する。月経血で調製された幹細胞は、子宮内膜再生細胞(Medistem,Inc.から入手可能)と呼ばれる。
当業者は、かかる幹細胞の位置を示し、単離し、増殖させることができる。様々な供給源からのヒト幹細胞の単離のための詳細な手順は、Current Protocols in Stem Cell Biology(2007)に記載されており、この参考文献は全文そのまま参照により本明細書に援用されている。あるいは、商用キットおよび単離システム(例えば、BD BiosciencesからのBD FACSAria細胞選別システム、BD IMag磁気細胞分離システムおよびBD IMagマウス造血始原細胞富化セット)を使用することができる。様々な供給源から幹細胞を単離および培養する方法は、5,486,359、6,991,897、7,015,037、7,422,736、7,410,798、7,410,773、7,399,632にも記載されており、これらは全文そのまま参照により本明細書に援用されている。
B.体細胞
本発明の一定の態様では、分化転換、すなわち、ある体細胞タイプから別の体細胞タイプへの直接変換、例えば、非造血体細胞からの造血前駆細胞または造血細胞の誘導、の方法も提供することができる。しかし、ヒト体細胞、特に生存ドナーからのものは、供給量が制限され得る。一定の態様では、プログラミングのための出発細胞の無限供給量を提供するために、不死化遺伝子またはタンパク質、例えばhTERTまたはがん遺伝子、の導入により体細胞を不死化することができる。細胞の不死化は、可逆的であることがあり(例えば、除去可能な発現カセットを使用)、または誘導性であることがある(例えば、誘導性プロモーターを使用)。
本発明の一定の態様における体細胞は、初代細胞(非不死化細胞)、例えば動物から新たに単離されたもの、であることがあり、または細胞系統から誘導されることがある(不死化細胞)。前記細胞を被験体からの単離後に細胞培養で維持することができる。一定の実施形態では、前記細胞は、本発明の方法での使用前に、1回または1回より多く(例えば、2〜5、5〜10、10〜20、20〜50、50〜100回の間、もしくはそれ以上)継代される。一部の実施形態において、前記細胞は、本発明の方法での使用前に、1、2、5、10、20または50回以下継代されている。それらを凍結、解凍などすることができる。
本明細書において使用または記載する体細胞は、天然体細胞であることもあり、または操作細胞、すなわち遺伝子改変された体細胞、であることもある。本発明の体細胞は、典型的には哺乳動物細胞、例えば、ヒト細胞、霊長類細胞またはマウス細胞などである。それらを周知の方法によって得ることができ、生存体細胞を含有する任意の器官または組織、例えば血液、骨髄、皮膚、肺、膵臓、肝臓、胃、腸、心臓、生殖器官、膀胱、腎臓、尿道および他の泌尿器官などから得ることができる。
本発明において有用な哺乳動物体細胞としては、セルトリ細胞、内皮細胞、顆粒膜細胞、ニューロン、膵島細胞、表皮細胞、上皮細胞、肝細胞、毛包細胞、ケラチン生成細胞、造血細胞、メラニン形成細胞、軟骨細胞、リンパ球(BおよびTリンパ球)、赤血球、マクロファージ、単球、単核細胞、心筋細胞および他の筋肉細胞などが挙げられるが、これらに限定されない。
一部の実施形態では、細胞を、所望の細胞タイプにおいてのみまたは主として発現されることが公知の内因性マーカーのそれらの発現に基づいて選択する。例えば、ビメンチンは、線維芽細胞マーカーである。他の有用なマーカーとしては、様々なケラチン、細胞付着分子、例えばカドヘリン、フィブロネクチン、CD分子などが挙げられる。体細胞の集団は、18時間〜96時間の間、例えば24〜48時間の間、48〜72時間の間などの平均細胞周期時間を有し得る。一部の実施形態において、前記細胞の少なくとも90%、95%、98%、99%以上が、所定の時間、例えば24、48、72または96時間、以内に分裂すると予想される。
本明細書に記載する方法を用いて、1つ以上の体細胞、例えば体細胞のコロニーまたは集団、を造血前駆細胞にプログラミングすることができる。一部の実施形態において、本発明の細胞の集団は、該細胞の少なくとも90%が関心対象の表現型または特性を提示する点で実質的に均一である。一部の実施形態において、前記細胞の少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.8%、99.9、99.95%以上が、関心対象の表現型または特性を提示する。本発明の一定の実施形態において、前記体細胞は分裂能力を有する。すなわち、前記体細胞は有糸分裂後ではない。
体細胞は、部分的に分化していることもあり、または完全に分化していることもある。分化は、あまり特異化されていない細胞がより特異化された細胞タイプになるプロセスである。細胞分化は、サイズ、形状、極性、代謝活性、遺伝子発現、および/または細胞のシグナルに対する応答性の変化を伴う場合がある。例えば、造血幹細胞は分化して、骨髄系列(単球およびマクロファージ、好中球、好塩基球、好酸球、赤血球、巨核球/血小板、樹状細胞)、赤血球−巨核球系列(赤血球、巨核球、血小板)およびリンパ球系列(T細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞)を包含するすべての血液細胞タイプを生じさせる。分化経路に沿って進行する間に、細胞の最終運命がより固定されるようになる。本明細書に記載するように、部分分化体細胞と完全分化体細胞の両方を本明細書に記載するようにプログラミングして、造血細胞および造血前駆細胞などの所望の細胞タイプを生産することができる。
III.造血前駆細胞プログラミング因子
本発明の一定の態様は、造血プログラミング(hematopoietic programming)のための造血前駆細胞プログラミング因子を提供する。細胞中の造血前駆体プログラミング因子のレベルを増加させることにより、他の細胞供給源から造血細胞または造血前駆細胞を直接生産することができる。限られた数の造血細胞富化転写因子の協奏作用によって造血前駆細胞の非常に多数の機能を転写レベルで制御することができる。造血細胞富化転写因子または造血前駆細胞富化転写因子、特に、本セクションに列挙するそれらの遺伝子のような、造血細胞または造血前駆体分化または機能に重要な任意の転写因子をここで使用することができる。本発明者らはまた、本セクションに列挙する遺伝子のすべてのアイソフォームおよび改変体が本発明に含まれると考えており、一定のアイソフォームまたは改変体のアクセッション番号の非限定的な例を提供する。
表1は、造血細胞または造血前駆細胞へのヒトESCもしくはiPSCのフォワードプログラミングのための(または体細胞の分化転換のための)遺伝子のリストを提供するものである。列挙する遺伝子IDおよびアクセッション番号によって得られる遺伝子配列および関連情報のすべてが、本願の出願日現在での参照により本明細書に援用されている。
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例えば、本明細書に開示する転写因子の発現を果たすことにより、多能性幹細胞または体細胞から造血前駆細胞への分化は、すべてではないにせよ殆どの通常の発達段階をバイパスすることができる。
一定の実施形態において、造血前駆体プログラミング因子は、内皮分化因子である因子であり、これは、それが内皮細胞への多能性細胞の最初の分化にとって重要であることを意味する。例えば、造血前駆体因子は、ERGと呼ばれる内皮分化因子(表I中の遺伝子ID2078)であり得、これは、転写調節因子ERG、ets関連トランスフォーミングタンパク質ERG、TMPRSS2−ERG前立腺がん特異的、v−ets赤芽球症ウイルスE26がん遺伝子様、v−ets鳥類赤芽球症ウイルスE26がん遺伝子関連、またはトランスフォーミングタンパク質ERGとしても公知である。使用するERGは、例えば表1に提供したものをはじめとするERGの任意のアイソフォームまたは改変体であり得る。一部の実施形態において、造血前駆体プログラミング因子は、ERGの特定のアイソフォーム、例えば、ERGアイソフォーム2(ERG−2)(配列番号1および2、アクセッション番号NM_004449)またはERGアイソフォーム3(ERG−3)(配列番号3および4、アクセッション番号NM_001136154)である。特定の実施形態において、造血前駆体プログラミング因子は、ERGアイソフォーム3である。他の態様において、造血前駆体プログラミング因子は、表1に提供した任意の他の因子、またはそれらの任意のアイソフォームもしくは改変体であり得る。例えば、造血前駆体プログラミング因子は、FLI−1(フレンド白血病ウイルス組込み1)(例えば、配列番号5および6、遺伝子ID2313;アクセッション番号NM_002017)、またはETV2(ER71、Etsrp71とも呼ばれる、ets改変体2)(配列番号27および28、遺伝子ID2116;アクセッション番号NM_014209)であり得る。さらに他の態様では、造血前駆体プログラミング因子は、v−ets赤芽球症ウイルスE26がん遺伝子ホモログ1(鳥類)(ETS1)、V−ets赤芽球症ウイルスE26がん遺伝子ホモログ2(鳥類)(ETS2)、ELF−1、TEL、TAL1(SCL)、GATA2、FOXC2、FOXO1、FOXO3、FOXF1、SOX7またはSOX18である。
一部の実施形態において、造血前駆体プログラミング因子は、造血細胞の特異化に関係する遺伝子、造血細胞の維持および/または増殖に関係する遺伝子、ならびに造血細胞において発現される遺伝子を包含する、表1に含めた遺伝子のいずれか1つである。
一定の実施形態では、2つ以上の造血前駆体プログラミング因子をフォワードプログラミングまたは分化転換のために組み合わせて使用して、造血細胞または造血前駆細胞を提供する。例えば、少なくとも1つの造血前駆体プログラミング因子、例えば内皮分化因子(例えばERG、FLI−1、ETV2、またはこのセクションに列挙する他のかかる因子のいずれか)を1つ以上のさらなる造血前駆体因子と組み合わせることができる。特定の実施形態において、造血前駆細胞を提供するためのフォワードプログラミングまたは分化転換には、GFI1(例えば、配列番号7および8、遺伝子ID2672、アクセッション番号NM_005263)、GFI1B(例えば、配列番号29および30、遺伝子ID8328、アクセッション番号NM_004188)、LMO2(例えば、配列番号31および32、遺伝子ID4005、アクセッション番号NM_005574);TAL1(配列番号9および10、遺伝子ID6886、アクセッション番号NM_003189)、LYL1(配列番号11および12、遺伝子ID4066、アクセッション番号NM_005583)、GATA2(例えば、配列番号13および14、遺伝子ID2624、アクセッション番号NM_032638)、GATA3(例えば、配列番号15および16、遺伝子ID2625、アクセッション番号NM_001002295)、またはSPI1(配列番号17および18、遺伝子ID6688、アクセッション番号NM_003120)から選択される1つ以上の造血前駆体プログラミング因子遺伝子との組み合わせで、ERG、FLI−1またはETV2から選択される1つ以上の造血前駆体プログラミング因子が含まれる。
例えば、一定の態様では、ERGと表1に列挙した1つ以上の他の造血前駆体プログラミング因子とを組み合わせて使用することにより、フォワードプログラミングまたは分化転換を遂行することができる。一部の実施形態では、ERG(例えばERG−3)をGFI1と組み合わせて使用することにより、ERG(例えばERG−3)をGATA2と組み合わせて使用することにより、またはGATA2をTAL1およびLMO2と組み合わせて使用することにより、フォワードプログラミングまたは分化転換を遂行することができる。
一部の実施形態では、造血細胞または造血前駆細胞を提供するためのフォワードプログラミングまたは分化転換を、このセクションに記載する任意の1つ以上の造血前駆体プログラミング因子の発現を増加させることにより遂行することができる。
IV.遺伝子または遺伝子産物の送達
一定の実施形態では、造血前駆体または造血細胞プログラミングまたは分化因子をコードする核酸の送達のためのベクターを構築して、細胞においてこれらの因子を発現させることができる。かかるベクターの成分および送達方法の詳細を下に開示する。加えて、タンパク質形質導入組成物または方法を用いて、プログラミング因子の発現を果たすことができる。
さらなる態様では、以下の系および方法もまた造血前駆細胞などの所望の細胞タイプの同定のためのレポーター発現カセットの送達に使用することができる。詳細には、造血細胞または造血前駆体に特異的な調節要素を使用して、レポーター遺伝子の発現を駆動することができる。したがって、プログラミングに由来する造血細胞または前駆体を、レポーターの使用により、特性づけ、選択または富化することができる。
A.核酸送達系
当業者には標準的な組換え技術(例えば、Sambrookら、2001およびAusubelら、1996参照;両方が参照により本明細書に援用されている)によりベクターを構築する能力が十分あるだろう。ベクターとしては、プラスミド、コスミド、ウイルス(バクテリオファージ、動物ウイルスおよび植物ウイルス)、および人工染色体(例えば、YAC)、例えばレトロウイルスベクター(例えば、モロニーマウス白血病ウイルスベクター(MoMLV)、MSCV、SFFV、MPSV、SNVなどに由来するもの)、レンチウイルスベクター(例えば、 HIV−1、HIV−2、SIV、BIV、FIVなどに由来するもの)、アデノウイルス(Ad)ベクター(それらの複製能を持つ形、複製欠陥形およびガットレス(gutless)形を包含する)、アデノ関連ウイルス(AAV)ベクター、シミアンウイルス40(SV−40)ベクター、ウシ乳頭腫ウイルスベクター、エプスタイン・バーウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター、ハーベーマウス肉腫ウイルスベクター、 マウス乳がんウイルスベクター、ラウス肉腫ウイルスベクターが挙げられるが、これらに限定されない。
1.ウイルスベクター
組換えウイルスベクターを産生する場合、概して非必須遺伝子を異種(または非天然)タンパク質についての遺伝子またはコード配列で置換する。ウイルスベクターは、核酸および場合によりタンパク質を細胞に導入するためにウイルス配列を利用する一種の発現構築物である。一定のウイルスは、受容体媒介エンドサイトーシスにより細胞に感染するかまたは細胞に進入することができるため、ならびに宿主細胞ゲノムに組み込まれてウイルス遺伝子を安定的かつ効率的に発現することができるため、異種核酸の細胞(例えば、哺乳動物細胞)への移入のための魅力的な候補とされてきた。本発明の一定の態様の核酸を送達するために使用することができるウイルスベクターの非限定的な例を下に記載する。
レトロウイルスは、宿主ゲノムにそれらの遺伝子を組み込む、大量の異種遺伝物質を移入する、広域スペクトルの種および細胞タイプに感染する、ならびに特別な細胞系統においてパッケージされるそれらの能力のため、遺伝子送達ベクターとして有望である(Miller、1992)。
レトロウイルスベクターを構築するために、核酸を、ウイルスゲノムに一定のウイルス配列の代わりに挿入して、複製欠陥性であるウイルスを生産する。ビリオンを生産するために、gag、polおよびenv遺伝子を含有する(しかしLTRおよびパッケージング成分を伴わない)パッケージング細胞系統を構築する(Mannら、1983)。レトロウイルスLTRおよびパッケージング配列と共にcDNAを含有する組換えプラスミドを特別な細胞系統に(例えば、リン酸カルシウム沈殿によって)導入すると、そのパッケージング配列が、その組換えプラスミドのRNA転写産物をウイルス粒子にパッケージングし、するとそれらの粒子が培養培地に分泌される(NicolasおよびRubenstein、1988;Temin、1986;Mannら、1983)。その後、それらの組換えレトロウイルスを含有する培地を収集し、場合により濃縮し、そして遺伝子移入に使用する。レトロウイルスベクターは、多種多様な細胞タイプを感染させることができる。しかし、組込みおよび安定的発現には宿主細胞の分裂が必要である(Paskindら、1975)。
レンチウイルスは、共通レトロウイルス遺伝子gag、polおよびenvに加えて、調節または構造機能を有する他の遺伝子を含有する、複合レトロウイルスである。レンチウイルスベクターは当該技術分野において周知である(例えば、Naldiniら、1996;Zuffereyら、1997;Blomerら、1997;米国特許第6,013,516号および同第5,994,136号明細書参照)。
組換えレンチウイルスベクターには非分裂細胞を感染させる能力があり、インビボおよびエクスビボ両方の遺伝子移入および核酸配列発現にそれらを使用することができる。例えば、非分裂細胞を感染させる能力がある組換えレンチウイルス(この場合、適する宿主細胞が、パッケージング機能を保有する2つ以上のベクター、すなわちgag、polおよびenv、ならびにrevおよびtat、でトランスフェクトされる)は、参照により本明細書に援用されている米国特許第5,994,136号明細書に記載されている。
2.エピソームベクター
プラスミドベースのまたはリポソームベースの染色体外(すなわちエピソーム)ベクターの使用も本発明の一定の態様において提供することができる。かかるエピソームベクターとしては、例えば、oriPベースのベクター、および/またはEBNA−1の誘導体をコードするベクターを挙げることができる。これらのベクターは、DNAの大きな断片を細胞に導入し、染色体外に維持すること、細胞周期毎に1回複製すること、娘細胞に効率的に分配されること、および実質的に免疫応答を惹起しないことを可能にすることができる。
詳細には、EBNA−1(oriPベースの発現ベクターの複製に必要な唯一のウイルスタンパク質)は、MHCクラスI分子上でのその抗原の提示に必要なプロセスをバイパスする効率的なメカニズムを発達させたので、細胞の免疫応答を惹起しない(Levitskayaら、1997)。さらに、EBNA−1は、トランスで作用してクローン化遺伝子の発現を増進し、一部の細胞系統においてクローン化遺伝子の100倍までの発現を誘導することができる(Langle−Rouaultら、1998;Evansら、1997)。最後に、かかるoriPベースの発現ベクターの製造は安価である。
他の染色体外ベクターとしては、他のリンパ球向性ヘルペスウイルスベースのベクターが挙げられる。リンパ球向性ヘルペスウイルスは、リンパ芽球(例えば、ヒトBリンパ芽球)において複製するヘルペスウイルスであり、その天然の生活環の一部はプラスミドになる。単純ヘルペスウイルス(HSV)は、「リンパ球向性」ヘルペスウイルスではない。例示的リンパ球向性ヘルペスウイルスとしては、EBV、カポジ肉腫ヘルペスウイルス(KSHV);ヘルペスウイルスサイミリ(HS)およびマレック病ウイルス(MDV)が挙げられるが、これらに限定されない。エピソームベースベクターの他の供給源、例えば、酵母ARS、アデノウイルス、SV40またはBPVも考えられる。
当業者には標準的な組換え技術(例えば、Maniatisら、1988およびAusubelら、1994参照;両方が参照により本明細書に援用されている)によりベクターを構築する能力が十分あるだろう。
ベクターは、遺伝子送達および/もしくは遺伝子発現をさらに調整するかまたはターゲットとなる細胞に有益な性質を別様に提供する他の成分または機能性をも含むことができる。かかる他の成分としては、例えば、細胞への結合またはターゲティングに影響を及ぼす成分(細胞タイプまたは組織特異的結合を媒介する成分を包含する);細胞によるベクター核酸の取込みに影響を及ぼす成分;取込み後、細胞内でのそのポリヌクレオチドの局在に影響を及ぼす成分(例えば、核局在を媒介する作用因子);およびそのポリヌクレオチドの発現に影響を及ぼす成分が挙げられる。
かかる成分としては、ベクターによって送達された核酸を取り込み、発現する細胞を検出または選択するために使用することができる検出可能マーカーおよび/または選択マーカーなどのマーカーも挙げることができる。かかる成分をベクターの天然の特徴として提供することができ(例えば、結合および取込みを媒介する成分もしくは機能性を有する一定のウイルスベクターの使用)、またはかかる機能性を備えさせるようにベクターを修飾することができる。多種多様なかかるベクターが当該技術分野において公知であり、一般に利用できる。ベクターが宿主細胞で維持されるとき、該ベクターは、自律的構造として有糸分裂中に細胞によって安定的に複製されることもあり、宿主細胞のゲノムに組み込まれることもあり、または宿主細胞の核もしくは細胞質内に維持されることもある。
3.トランスポゾンベースの系
特定の実施形態によると、核酸の導入には、トランスポゾン−トランスポザーゼ系を使用することができる。使用するトランスポゾン−トランスポザーゼ系は、周知のSleeping Beauty、Frog Princeトランスポゾン−トランスポザーゼ系(後者の説明については、例えば欧州特許第1507865号明細書を参照)、またはTTAA特異的トランスポゾンpiggyBac系であり得た。
トランスポゾンは、単一細胞のゲノム内の異なる位置に動き回ること(転位と呼ばれるプロセス)ができるDNAの配列である。前記プロセスにおいて、トランスポゾンは、変異を引き起こし、ゲノム内のDNAの量を変えることができる。トランスポゾンは、かつてジャンピング遺伝子とも呼ばれたものであり、移動性遺伝要素の例である。
様々な移動性遺伝要素があり、それらをそれらの転位メカニズムに基づいて分類することができる。クラスI移動性遺伝要素、またはレトロトランスポゾンは、それら自体を、先ずRNAに転写し、次に逆転写酵素により逆転写してDNAに戻し、その後そのゲノム内の別の位置に挿入することによって、コピーする。クラスII移動性遺伝要素は、トランスポザーゼを使用してそれらをそのゲノム内で「切り貼り(cut and paste)」することによって、ある位置から別の位置に直接移動する。
4.mRNA送達
当業者には本発明において有用な任意のmRNAを細胞に送達する能力が十分あるだろう。例えば、かかる技術は、Yamamotoら、2009に提供されている。
5.相同組換え
本発明の一定の態様では、ゲノム操作ための特異的手法で、例えば相同組換えにより、核酸分子を細胞に導入することができる。上で論じたように、細胞において遺伝子を発現させる一部のアプローチは、ゲノムにランダムに組み込まれるウイルスベクターまたは導入遺伝子の使用を伴う。しかし、これらのアプローチは、組み込まれた核酸からの発現を有効に媒介できない部位または本来の遺伝子の破壊を生じさせる結果となる部位のいずれかで発生する組込みの欠点を有する。ターゲットゲノム内の特異的遺伝子座、例えばRosa26遺伝子座、への相同組換えによって、ランダム組込みに関連した問題をある程度克服することができた。
普遍的組換えとしても公知の相同組換え(HR)は、ヌクレオチド配列を2本の類似または同一のDNA鎖間で交換する、すべての形の生命で用いられる遺伝子組換えの1タイプである。1980年代半ば以降、この技術が哺乳動物細胞における標準的なゲノム操作方法となっている。このプロセスは、数工程のDNAの物理的切断および最終的な再結合を伴う。このプロセスは、DNAにおける潜在的致死的二本鎖切断を修復するために最も広く用いられている。加えて、相同組換えは、減数分裂中にDNA配列の新たな組み合わせ生じさせ、このプロセスによって真核生物は、精子および卵子のような生殖細胞を作る。DNAのこれらの新たな組み合わせは、経時的に変化する環境条件に集団を進化的に適応させる、子孫における遺伝改変を意味する。相同組換えは、細菌およびウイルスの異なる株および種間で遺伝物質を交換する水平遺伝子移入にも用いられる。相同組換えは、分子生物学において遺伝的変化をターゲット生物に導入するための技術としても用いられる。
ターゲットゲノム修飾として相同組換えを用いることができる。哺乳動物細胞における標準HRの効率は、処理した細胞の10−6から10−9に過ぎない(Capecchi、1990)。メガヌクレアーゼ、またはホーミングエンドヌクレアーゼ、例えばI−SceI、の使用がHRの効率を増加させるために用いられている。天然メガヌクレアーゼも、ターゲティング特異性が修飾された操作メガヌクレアーゼも、HR効率を増加させるために利用されている(PingoudおよびSilva、2007;Chevalierら、2002)。
HRの効率を増加させる過程で、プログラム可能DNA特異性ドメインを用いてキメラエンドヌクレアーゼが操作された(Silvaら、2011)。ジンクフィンガーDNA結合ドメインがFokIなどのIIS型制限エンドヌクレアーゼの触媒ドメインと融合しているジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)が、かかるキメラ分子の一例である(例えば、Duraiら、2005;PCT/US2004/030606に総説されている)。
かかる特異性分子の別のクラスとしては、FokIなどのIIS型制限エンドヌクレアーゼの触媒ドメインに融合された転写活性化物質様作動因子(TALE)DNA結合ドメインが挙げられる(Millerら、2011;PCT/IB2010/000154)。TALENを、事実上任意の所与の関心対象部位での部位特異的ゲノム修飾用に設計することができる(Cermakら、2011;Christianら、2010;Liら、2011;Millerら、2011;Weberら、2011;Zhangら、2011)。前記部位特異的DNA結合ドメインは、Fok IなどのDNA切断酵素との融合タンパク質として発現される。前記DNA結合ドメインは、リピートアミノ酸の足場であり、DNAの単一のヌクレオチドに結合する2つの可変アミノ酸が、それらのリピートの各々を連結している。例えば、Asn−Asnはグアノシンを結合し、Asn−Ileはアデノシンを結合し、Asn−Glyはチミジンを結合し、およびHis−Apsはシトシンを結合する。これら2つのアミノ酸は、リピート可変性二残基(Repeat Variable Diresidue)またはRVDとして公知である。多くの異なるRVDがあり、それらをTAL作動因子/Fok1タンパク質構築物へと操作して特異的TALENを作ることができる。その後、組換えTALENをコードするRNAを精製し、部位特異的ゲノム修飾のために細胞にトランスフェクトすることができる。TALENにより二本鎖DNA切断が導入されたら、そのDNAを非相同末端結合(NHEJ)によりまたは相同組換え修復(HDR)により修飾することができる。これにより、DNA修復中に如何なる追加の配列が存在するかに依存して、DNA変異誘発、欠失または付加が可能になる。
B.調節要素
本発明において有用なベクターに含まれている真核性発現カセットは、好ましくは、(5’から3’方向に)、タンパク質コード配列に作動可能に連結されている真核性転写プロモーター、介在配列を含むスプライスシグナル、そして転写終結/ポリアデニル化配列を含む。
1.プロモーター/エンハンサー
「プロモーター」は、転写の開始および割合を制御する核酸配列の1領域である、制御配列である。これは、調節タンパク質および分子、例えばRNAポリメラーゼおよび他の転写因子、が結合して核酸配列の特異的転写を開始させることができる遺伝要素を含有し得る。句「作動可能に配置された」、「作動可能に連結された」、「制御下」および「転写制御下」は、プロモーターが、その配列の転写開始および/または発現を制御するために核酸配列に関して正しい機能性位置および/または配向にあることを意味する。
プロモーターは、一般に、RNA合成の開始部位を位置決めする機能を果たす配列を含む。これについての最もよく知られている例は、TATAボックスであるが、例えば、哺乳動物末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ遺伝子についてのプロモーターおよびSV40後期遺伝子についてのプロモーターなどの一部のプロモーターにはTATAボックスがなく、開始部位に重なっている別の要素それ自体が開始位置の固定に役立つ。さらなるプロモーター要素は、転写開始の頻度を調節する。典型的に、これらは、開始部位の上流30〜110bp領域に位置するが、さらに、多数のプロモーターが開始部位の下流に機能性要素を含有することが証明されている。コード配列をプロモーター「の制御下」に置くために、転写リーディングフレームの転写開始部位の5’末端を、選ばれたプロモーターの「下流」(すなわち、3’)に置く。その「上流」プロモーターが、DNAの転写を刺激し、コードされたRNAの発現を促進する。
プロモーター要素間の間隔は、多くの場合、柔軟であり、したがって、要素が互いに対して反転または移動されてもプロモーター機能は保存される。tkプロモーターの場合、プロモーター要素間の間隔を50bp隔てるように増加させることができ、その後、活性が低下し始める。プロモーターに依存して、個々の要素は、協調してまたは独立して転写を活性化するように機能することができる。プロモーターを「エンハンサー」と組み合わせて使用してもよく、またはしなくてもよく、該「エンハンサー」は、核酸配列の転写活性化に関係するシス作用性調節配列を指す。
プロモーターは、核酸配列に天然に付随するものであることもあり、コードセグメントおよび/またはエクソンの上流に位置する5’非コード配列を単離することによって得ることができる。かかるプロモーターを「内因性」と呼ぶことができる。同様に、エンハンサーは、その配列の下流または上流いずれかに位置する核酸配列に天然に付随するものであることがある。あるいは、コード核酸セグメントを組換えまたは異種プロモーターの制御下に置くことによって一定の利点が得られることとなり、該組換えまたは異種プロモーターは、その天然の環境で核酸配列に通常付随しないプロモーターを指す。また、組換えまたは異種エンハンサーは、その天然の環境で核酸配列に通常付随しないエンハンサーである。かかるプロモーターまたはエンハンサーとしては、他の遺伝子のプロモーターまたはエンハンサー;ならびに任意の他のウイルスまたは原核もしくは真核細胞から単離されたプロモーターまたはエンハンサー;ならびに「天然に存在」しない、すなわち、様々な転写調節領域の様々な要素を含有するおよび/または発現を変更する変異を含有する、プロモーターまたはエンハンサーを挙げることができる。例えば、組換えDNA構築の際に最も一般的に使用されるプロモーターとしては、β−ラクタマーゼ(ペニシリナーゼ)、ラクトースおよびトリプトファン(trp)プロモーター系が挙げられる。プロモーターおよびエンハンサーの核酸配列の合成生産に加えて、本明細書に開示する組成物と共に、組換えクローニング技術、および/またはPCR(商標)をはじめとする核酸増幅技術を使用して、配列を生産することができる(例えば、米国特許第4,683,202号および同第5,928,906号明細書参照;各々が参照により本明細書に援用されている)。さらに、ミトコンドリア、葉緑体およびこれらに類するものなどの非核小器官内での配列の転写および/または発現を命令する制御配列も利用することができると考えられる。
当然、発現のために選ばれた小器官、細胞タイプ、組織、器官または生物においてDNAセグメントの発現を有効に命令するプロモーターおよび/またはエンハンサーを利用することが重要となる。分子生物学の技術分野の技術者には、タンパク質発現のためのプロモーター、エンハンサー、および細胞タイプの組み合わせの使用は一般に公知である(例えば、参照により本明細書に援用されているSambrookら、1989参照)。利用するプロモーターは、構成的、組織特異的、誘導性、および/または適切な条件下で導入DNAセグメントの高レベル発現を命令するために有用であり得、例えば、組換えタンパク質および/またはペプチドの大規模生産に有利である。前記プロモーターは、異種であることもあり、または内因性であることもある。
加えて、発現を駆動するために(例えば、ワールド・ワイド・ウェブ経由でepd.isb.sib.ch/におけるEukaryotic Promoter Data Base EPDMに従って)任意のプロモーター/エンハンサーの組み合わせも使用することができよう。T3、T7またはSP6細胞質発現系の使用は、別の可能な実施形態である。真核細胞は、送達複合体の一部としてまたは追加の遺伝子発現構築物として適切な細菌ポリメラーゼが与えられれば、一定の細菌プロモーターからの細胞質転写を支援することができる。
プロモーターの非限定的な例としては、初期または後期ウイルスプロモーター、例えば、SV40初期または後期プロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)最初期プロモーター、ラウス肉腫ウイルス(RSV)初期プロモーター;真核細胞プロモーター、例えば、ベータアクチンプロモーター(Ng、1989;Quitscheら、1989)、GADPHプロモーター(Alexanderら、1988、Ercolaniら、1988)、メタロチオネインプロモーター(Karinら、1989;Richardsら、1984)など;ならびに連結応答要素プロモーター、例えば、最小TATAボックス付近のサイクリックAMP応答要素プロモーター(cre)、血清応答要素プロモーター(sre)、ホルボールエステルプロモーター(TPA)および応答要素プロモーター(tre)が挙げられる。ヒト成長ホルモンプロモーター配列(例えば、Genbankアクセッション番号X05244、ヌクレオチド283−341で説明されるヒト成長ホルモン最小プロモーター)またはマウス乳がんプロモーター(ATCCから入手可能、カタログ番号ATCC45007)を使用することも可能である。具体的な例は、ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)プロモーターであり得る。
組織特異的導入遺伝子発現、特に、プログラミングに由来する造血細胞および造血細胞前駆体におけるレポーター遺伝子発現については、誘導された造血細胞および前駆体を同定する方法として望ましいだろう。特異性と活性の両方を増加させるために、シス作用性調節要素の使用が考えられる。例えば、造血細胞特異的プロモーターを使用することができる。表1に提供した造血遺伝子のプロモーターなどの多くのかかる造血細胞特異的プロモーターが、当該技術分野において公知である。
一定の態様において、本発明の方法は、エンハンサー配列、すなわち、プロモーターの活性を増加させ、かつシスで作用する潜在能力を有する(それらの配向にかかわらず、さらに比較的長距離にわたって(ターゲットプロモーターから隔たること数キロ塩基まで))核酸配列にも関する。しかし、エンハンサーは所与のプロモーターに極めて近接していても機能し得るので、エンハンサー機能はかかる長距離に必ずしも拘束されない。
多くの造血細胞プロモーターおよびエンハンサー配列が同定されており、本発明の方法において有用であり得る。例えば、米国特許第5,556,954号明細書;米国特許出願公開第2002/0055144号および同第2009/0148425号明細書参照。
2.開始シグナルおよび内部リボソーム結合部位
特異的開始シグナルをコード配列の効率的翻訳に用いることもできる。これらのシグナルは、ATG開始コドンまたは隣接配列を備えている。ATG開始コドンを備えている外因性翻訳制御シグナルを提供する必要がある場合もある。当業者には容易にこれを決定する能力および必要なシグナルを提供する能力があるだろう。開始コドンは、全挿入物の翻訳を確実にするために所望のコード配列のリーディングフレームと「インフレーム」でなければならないことは周知である。前記外因性翻訳制御シグナルおよび開始コドンは、天然である場合もあり、または合成である場合もある。適切な転写エンハンサー要素を含めることにより、発現効率を向上させることができる。
本発明の一定の実施形態では、内部リボソーム進入部位(IRES)要素の使用を用いて多重遺伝子、または多シストロン性のメッセージを生じさせる。IRES要素は、5’メチル化Cap依存性翻訳のリボソームスキャニングモデルをバイパスして内部部位で翻訳を開始することができる(PelletierおよびSonenberg、1988)。ピコルナウイルスファミリーの2メンバー(ポリオおよび脳心筋炎)からのIRES要素が記載されていおり(PelletierおよびSonenberg、1988)、哺乳動物メッセージからのIRESも記載されている(MacejakおよびSarnow、1991)。IRES要素を異種オープン・リーディング・フレームに連結させることができる。各々がIRESによって隔てられた多数のオープン・リーディング・フレームを一緒に転写して、多シストロン性メッセージを生じさせることができる。IRES要素のおかげで、リボソームは効率的翻訳のために各々のオープン・リーディング・フレームを利用できる。単一のメッセージを転写するための単一のプロモーター/エンハンサーを使用して、多数の遺伝子を効率的に発現させることができる(米国特許第5,925,565号および同第5,935,819号明細書参照;各々が参照により本明細書に援用されている)。
3.複製の起点
宿主細胞においてベクターを増殖させるために、ベクターは、複製を開始させる特異的核酸配列である1つ以上の複製起点部位(多くの場合、「ori」と呼ばれる)、例えば、上記のEBVのoriPに対応する核酸配列、またはプログラミングの際に類似のまたは高い機能を有する遺伝子操作oriPを含有し得る。あるいは、上記の他の染色体外複製ウイルスの複製起点、または自律複製配列(ARS)を利用することができる。
4.選択およびスクリーニング可能マーカー
本発明の一定の実施形態では、発現ベクターにマーカーを含めることにより、本発明の核酸構築物を含有する細胞をインビトロまたはインビボで同定することができる。かかるマーカーは、前記発現ベクターを含有する細胞の容易な同定を可能にする同定可能な変化を細胞に付与するだろう。一般に、選択マーカーは、選択を可能にする特質を付与するものである。陽性選択マーカーは、マーカーの存在がその選択を可能にするものであり、一方、陰性選択マーカーは、その存在がその選択を妨げるものである。陽性選択マーカーの一例は、薬物耐性マーカーである。
通常、薬物選択マーカーを含めることは、形質転換体のクローニングおよび同定の助けとなり、例えば、ネオマイシン、ピューロマイシン、ハイグロマイシン、DHFR、GPT、ゼオシンおよびヒスチジノールに対する耐性を付与する遺伝子は、有用な選択マーカーである。条件の履行に基づき形質転換体の識別を可能する表現型を付与するマーカーに加えて、基準が比色分析であるGFPなどのスクリーニング可能マーカーをはじめとする他のマーカータイプも考えられる。あるいは、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(tk)またはクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)などのスクリーニング可能酵素を陰性選択マーカーとして利用することができる。当業者には、免疫学的マーカーを場合によりFACS分析と共に利用する方法も公知であるだろう。使用するマーカーは、遺伝子産物をコードする核酸と同時に発現されることが可能である限り、重要ではないと考えられる。選択マーカーおよびスクリーニング可能マーカーのさらなる例は、当業者には周知である。本発明の1つの特徴は、造血細胞またはそれらの前駆体においてプログラミング因子が所望のプログラミング変化を果たした後、これらの細胞を選択するための選択およびスクリーニング可能マーカーの使用を包含する。
C.核酸送達
本発明を用いてプログラミングされる細胞への核酸、例えばDNAまたはRNA、の導入には、本明細書に記載するようなまたは当業者に公知であるような細胞の形質転換のための任意の適する核酸送達方法を用いることができる。かかる方法としては、DNAの直接送達、例えば、エクスビボトランスフェクション(Wilsonら、1989、Nabelら、1989)によるもの;マイクロインジェクション(HarlandおよびWeintraub、1985;米国特許第5,789,215号明細書(参照により本明細書に援用されている))をはじめとする注入(米国特許第5,994,624号、同第5,981,274号、同第5,945,100号、同第5,780,448号、同第5,736,524号、同第5,702,932号、同第5,656,610号、同第5,589,466号および同第5,580,859号明細書(各々が参照により本明細書に援用されている))によるもの;エレクトロポレーション(米国特許第5,384,253号明細書(参照により本明細書に援用されている);Tur−Kaspaら、1986;Potterら、1984)によるもの;リン酸カルシウム沈殿(GrahamおよびVan Der Eb、1973;ChenおよびOkayama、1987;Rippeら、1990)によるもの;DEAE−デキストラン、続いてのポリエチレングリコールの使用(Gopal、1985)によるもの;直接音波負荷(Fechheimerら、1987)によるもの;リポソーム媒介トランスフェクション(NicolauおよびSene、1982;Fraleyら、1979;Nicolauら、1987;Wongら、1980;Kanedaら、1989;Katoら、1991)および受容体媒介トランスフェクション(WuおよびWu、1987;WuおよびWu、1988)によるもの;マイクロプロジェクタイルボンバードメント(PCT出願国際公開第94/09699号および同第95/06128号;米国特許第5,610,042号、同第5,322,783号、同第5,563,055号、同第5,550,318号、同第5,538,877号および同第5,538,880号明細書、各々が参照により本明細書に援用されている)によるもの;炭化ケイ素繊維との撹拌(Kaepplerら、1990;米国特許第5,302,523号および同第5,464,765号明細書(各々が参照により本明細書に援用されている))によるもの;Agrobacterium媒介トランスフェクション(米国特許第5,591,616号および同第5,563,055号明細書(各々が参照により本明細書に援用されている))によるもの;乾燥/阻害媒介DNA取り込(Potrykusら、1985)によるもの、ならびにかかる方法の任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。これらのものなどの技術の適用により、小器官(単数もしくは複数)、細胞(単数もしくは複数)、組織(単数もしくは複数)または生物(単数もしくは複数)を安定的にまたは一過的に形質転換させることができる。
1.リポソーム媒介トランスフェクション
本発明の一定の実施形態では、核酸を例えばリポソームなどの脂質複合体に捕捉することができる。リポソームは、リン脂質二重層膜および内部水性媒体を特徴とする小胞構造である。多層リポソームは、水性媒体によって隔てられた多数の脂質層を有する。それらは、リン脂質を過剰の水性溶液に懸濁させると自然に形成する。脂質成分が自己再配置され、その後、閉構造が形成され、水および溶解された溶質が脂質二重層間に捕捉される(GhoshおよびBachhawat、1991)。Lipofectamine(Gibco BRL)またはSuperfect(Qiagen)と複合体化した核酸も考えられる。使用するリポソームの量は、リポソームの性質はもちろん、使用する細胞に基づいて変わることがあり、例えば、100万から1000万個の細胞につき約5から約20μgのベクターDNAを考えることができる。
インビトロでのリポソーム媒介核酸送達および外来DNAの発現は、非常に成功している(NicolauおよびSene、1982;Fraleyら、1979;Nicolauら、1987)。培養ニワトリ胚、HeLaおよび肝がん細胞においてリポソーム媒介送達および外来DNAの発現が実行できることも実証されている(Wongら、1980)。
本発明の一定の実施形態では、リポソームを血球凝集ウイルス(HVJ)と複合体化することができる。これは、細胞膜との融合を助長することおよびリポソーム被包DNAの細胞進入を促進することが証明されている(Kanedaら、1989)。他の実施形態では、リポソームを核非ヒストン染色体タンパク質(HMG−1)と複合体化または組み合わせて使用することができる(Katoら、1991)。なおさらなる実施形態では、リポソームをHVJおよびHMG−1の両方と複合体化または組み合わせて使用することができる。他の実施形態において、送達ビヒクルは、リガンドおよびリポソームを含み得る。
2.エレクトロポレーション
本発明の一定の実施形態では、核酸をエレクトロポレーションにより小器官、細胞、組織または生物に導入する。エレクトロポレーションは、高電圧放電への細胞およびDNAの懸濁物の曝露を伴う。レシピエント細胞を、機械的に損傷させることにより形質転換を受け易くさせることができる。また、使用するベクターの量は、使用する細胞の性質に基づいて変わることがあり、例えば、100万から1000万個の細胞につき約5から約20μgのベクターDNAを考えることができる。
エレクトロポレーションを使用する真核細胞のトランスフェクションは、非常に成功している。この手法で、マウスプレBリンパ球がヒトカッパ−免疫グロブリン遺伝子でトランスフェクトされており(Potterら、1984)、およびラット肝細胞がクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子でトランスフェクトされている(Tur−Kaspaら、1986)。
3.リン酸カルシウム
本発明の他の実施形態では、リン酸カルシウム沈殿を用いて核酸を細胞に導入する。この技術を用いて、ヒトKB細胞がアデノウイルス5DNAでトランスフェクトされている(GrahamおよびVan Der Eb、1973)。また、この手法で、マウスL(A9)、マウスC127、CHO、CV−1、BHK、NIH3T3およびHeLa細胞がネオマイシンマーカー遺伝子でトランスフェクトされ(ChenおよびOkayama、1987)、ラット肝細胞が様々なマーカー遺伝子でトランスフェクトされた(Rippeら、1990)。
4.DEAE−デキストラン
別の実施形態では、DEAE−デキストラン、続いてポリエチレングリコールを使用して、核酸を細胞に送達する。この手法で、レポータープラスミドがマウス骨髄腫および赤白血病細胞に導入された(Gopal、1985)。
5.音波負荷
本発明のさらなる実施形態には、直接音波負荷による核酸の導入が含まれる。LTK−線維芽細胞が音波負荷によりチミジンキナーゼ遺伝子でトランスフェクトされた(Fechheimerら、1987)。
6.マイクロプロジェクタイルボンバードメント
マイクロプロジェクタイルボンバードメント技術を用いて核酸を少なくとも1つの小器官、細胞、組織または生物に導入することができる(米国特許第5,550,318号、同第5,538,880号および同第5,610,042号明細書、ならびにPCT出願国際公開第94/09699号;これらの各々が参照により本明細書に援用されている)。この方法は、DNAコートマイクロプロジェクタイルを高速に加速して、細胞を死滅させずに細胞膜を貫通させ、細胞に進入させることができることに依存する(Kleinら、1987)。当該技術分野において公知の多種多様なマイクロプロジェクタイルボンバードメント技術があり、それらの多くが本発明に適用可能である。
このマイクロプロジェクタイルボンバードメントでは、1つ以上の粒子を少なくとも1つの核酸でコートし、推進力によって細胞に送達することができる。小粒子を加速するための幾つかのデバイスが開発されている。1つのかかるデバイスは、電流を生じさせ、そしてまたそれが原動力をもたらすような高い電圧放電に依存する(Yangら、1990)。使用されたマイクロプロジェクタイルは、生物不活性物質、例えばタングステンまたは金粒子またはビーズ、からなった。例示的粒子としては、タングステン、白金および好ましくは金で構成されたものが挙げられる。場合により、金属粒子上へのDNA沈殿は、マイクロプロジェクタイルボンバードメントを使用するレシピエント細胞へのDNA送達に必ずしも必要ではないと考えられる。しかし、粒子は、DNAでコートされるのではなくDNAを含有し得ると考えられる。DNAコート粒子は、それ自体は必須ではないが、粒子ボンバードメントによるDNA送達のレベルを増加させ得る。
ボンバードメントのために、懸濁状態の細胞をフィルターまたは固体培養培地で濃縮する。あるいは、未成熟胚または他のターゲット細胞を固体培養培地上に配置してもよい。ボンバードメントに付すべき細胞を、マイクロプロジェクタイル停止プレートの下の適切な距離に配置する。
7.mRNAのトランスフェクション
DNAではなくmRNAのトランスフェクションによって遺伝子送達を達成することもできる。原則的に、DNAトランスフェクションとは異なり、mRNAの導入は、少なくとも稀な逆転写事象が存在しなければ、細胞の遺伝子構造に永続効果をもたらすことができない。mRNAのトランスフェクション方法は、当該技術分野において公知である(例えば、Seaboe−Larssenら、2002;Boczkowskiら、2001;Elangoら、2005;米国特許出願公開第2008/0260706号および同第2004/0235175号明細書参照)。
B.タンパク質形質導入
本発明の一定の態様では、造血細胞または造血前駆細胞にプログラミングすべき細胞と、フォワードプログラミングまたは分化転換のために十分な量の造血細胞転写因子遺伝子のポリペプチドを含む造血前駆体プログラミング因子とを接触させることができる。タンパク質形質導入は、細胞への高分子の送達を増進するための方法として用いられている。タンパク質形質導入ドメインを使用して、造血前駆体プログラミングポリペプチドまたはそれらの機能性断片を細胞に直接導入することができる。多くのグループによる研究により、HIV Tatタンパク質に由来するTATタンパク質領域をターゲットタンパク質に融合させて、細胞へのターゲットタンパク質の進入を可能にすることができることが証明されている。このドメインの特定の例示的タンパク質配列は、RKKRRQRRR(配列番号19)であり、この配列中のRはアルギニンをコードし、Kはリシンをコードし、およびQはグルタミンをコードする。この配列は、N末端融合体またはC末端融合体両方としてのタンパク質融合体の進入を可能にすることが証明されている。TAT媒介進入のメカニズムは、マクロピノサイトーシスによるものと考えられる(GumpおよびDowdy)。
「タンパク質形質導入ドメイン」または「PTD」は、生体膜、特に細胞膜、を横断することができるアミノ酸配列である。異種ポリペプチドに付着させると、PTDは、生体膜を横断する異種ポリペプチドの転座を増進することができる。PTDを異種DNA結合ドメインに典型的には共有結合で(例えば、ペプチド結合により)付着させる。例えば、PTDと異種DNA結合ドメインは、単一の核酸により、例えば、共通のオープン・リーディング・フレーム内にまたは共通の遺伝子の1つ以上のエクソン内にコードされることがある。例示的にPTDは、10〜30の間のアミノ酸を備えることができ、両親媒性ヘリックスを形成することができる。多くのPTDに塩基性の特徴がある。例えば、塩基性PTDは、少なくとも4、5、6または8の塩基性残基(例えば、アルギニンまたはリシン)を備えていることがある。PTDは、細胞壁がない細胞への、または特定の種からの細胞、例えば、哺乳動物細胞、例えばヒト、サル、ネズミ、ウシ、ウマ、ネコもしくはヒツジ細胞へのポリペプチドの転座を増進し得る可能性がある。
例えば柔軟なリンカーを使用して、PTDを人工転写因子に連結することができる。柔軟なリンカーは、自由回転を可能にするために1つ以上のグリシン残基を備えている場合がある。例えば、PTDを転写因子のDNA結合ドメインから少なくとも10、20または50アミノ酸、離すことができる。DNA結合ドメインを基準にしてNまたはC末端にPTDを配置することができる。特定のドメインに対してNまたはC末端への配置は、その特定のドメインに隣接する必要はない。例えば、DNA結合ドメインに対してN末端のPTDは、スペーサーおよび/または他のタイプのドメインにより該DNA結合ドメインから離されている場合がある。PTDを化学合成し、その後、別途調製したDNA結合ドメインにリンカーペプチドでまたはリンカーペプチドなしで化学的にコンジュゲートさせることができる。人工転写因子が複数のPTD、例えば、複数の異なるPTD、または1つのPTDの少なくとも2つのコピーを備えている場合もある。
幾つかのタンパク質および小ペプチドは、古典的受容体媒介またはエンドサイトーシス媒介経路に依存せずに生体膜を通って形質導入または移入する能力を有する。これらのタンパク質の例としては、HIV−1 TATタンパク質、単純ヘルペスウイルス1(HSV−1)DNA結合タンパク質VP22、およびショウジョウバエアンテナペディア(Antp)ホメオティック転写因子が挙げられる。これらのタンパク質からの小さなタンパク質形質導入ドメイン(PTD)を他の高分子、ペプチドまたはタンパク質に融合させて、それらを細胞に首尾よく輸送することができる。これらのタンパク質からの形質導入ドメインの配列アラインメントは、高い塩基性アミノ酸含量(LysおよびArg)を示し、これは、これらの領域と前記膜内の負電荷を有する脂質との相互作用を助長し得る。二次構造分析は、3つすべてのドメイン間で一致した構造を示さない。
これらの形質導入ドメインの融合を用いることの利点は、タンパク質進入が迅速であり、濃度依存性であり、および様々な細胞タイプと共に働くように思われる点である。
ヒト免疫不全ウイルスI型(HIV−1)からのTatタンパク質は、外因的に加えられたとき、細胞に進入する顕著な能力を有する(FrankelおよびPabo、1988;MannおよびFrankel、1991;Fawellら、1994)。Tat PTDの特定の例としては、ヒト免疫不全ウイルスTatタンパク質の残基47−57:YGRKKRRQRRR(配列番号20)を挙げることができる。このペプチド配列を本明細書では「TAT」と呼ぶ。このペプチドは、インビトロおよびインビボで哺乳動物細胞への100kDaを超える異種ペプチドおよびタンパク質の導入を首尾よく媒介することが証明されている(Hoら、2001)。Schwarzeらは、TATと融合した120kDa β−ガラクトシダーゼタンパク質をマウスに腹腔内注射したとき、それらの融合タンパク質が、血液脳関門のため困難と考えられている脳さえ含めてすべての細胞および組織タイプで見つけられることを証明した(Schwarzeら、1999)。
アンテナペディアホメオドメインは、PTDであるペプチドも備えている(Derossiら、1994)。このペプチドは、「ペネトラチン」とも呼ばれ、アミノ酸配列:AKIWFQNRRMKWKKENN(配列番号21)を備えている。
HSV VP22タンパク質もPTDを備えている。このPTDは、VP22 C末端34アミノ酸残基:DAATATRGRSAASRPTERPRAPARSASRPRRPVE(配列番号22)に位置する。例えば、ElliottおよびO’Hare(1997)および米国特許第6,184,038号明細書参照。
1つの実施形態では、PTDをヒトまたは他の哺乳動物タンパク質から得る。例示的哺乳動物PTDは、国際公開第03/059940号(ヒトSIM−2)および国際公開第03/059941号(Mph)に記載されている。一定の実施形態において、PTDは、合成PTDであり得る。最小Tat PTD(aa47−57)がタンパク質形質導入能を最適化するように修飾された(Hoら、2001)。一連の合成PTDとカップリングさせたFITCを培養Tリンパ球で試験した。一部の合成PTDは、Tat PTDと比較して増進されたタンパク質形質導入を示した。これらのPTDとしては、YARKARRQARR(配列番号23);YARAARRAARR(配列番号24);YARAARRAARA(配列番号25);YARAAARQARA(配列番号26)が挙げられる。とりわけ、合成PTD YARAAARQARA(配列番号26)とコンジュゲートさせたFITCは、マウスにi.p.注射したとき全血細胞による取込み増進を示した。
約6〜12のアルギニン残基で構成されているポリ−アルギニンペプチドも場合によってはタンパク質形質導入を媒介することができる。ポリ−アルギニンに関するさらなる情報については、例えば、Rothbardら(2000);Wenderら(2000)を参照。
PTDに関するさらなる情報については、米国特許出願公開第2003/0082561号、同第2002/0102265号および同第2003/0040038号明細書;Schwarzeら(1999);Derossiら(1996);Hancockら(1991);Bussら(1988);Derossiら(1998);Lindgrenら(2000);Kilicら(2003);Asohら(2002);ならびにTanakaら(2003)も参照。
PTDに加えて、細胞取込みシグナルを使用することができる。かかるシグナルは、細胞受容体または他の表面タンパク質によって特異的に認識されるアミノ酸配列を備えている。細胞取込みシグナルと細胞との相互作用は、該細胞取込みシグナルを備えている人工転写因子の内在化を引き起こす。一部のPTDもまた細胞受容体または他の表面タンパク質との相互作用によって機能することができる。
アミノ酸配列がPTDとして機能できるか否かを判定するために多数のアッセイを利用することができる。例えば、アミノ酸配列をレポータータンパク質、例えばβ−ガラクトシダーゼ、に融合させて融合タンパク質を形成することができる。この融合タンパク質を培養細胞と接触させる。それらの細胞を洗浄し、その後、レポーター活性についてアッセイする。別のアッセイは、問題となるアミノ酸配列と別の検出可能配列、例えばエピトープタグ、とを備えている融合タンパク質の存在を検出する。この融合タンパク質を培養細胞と接触させる。それらの細胞を洗浄し、その後、ウエスタンまたは免疫蛍光によって分析して細胞内の前記検出可能配列の存在を検出する。さらの他のアッセイを用いて、推定PTDとDNA結合ドメインと場合によりエフェクタードメインとを備えている融合タンパク質の転写調節活性を検出することができる。例えば、かかる融合タンパク質と接触させた細胞を、例えばマイクロアレイ、質量分析法およびハイスループット技術を用いて、mRNAまたはタンパク質の存在または量についてアッセイすることができる。
V.細胞培養
一般に、細胞成長を持続させることができる高栄養緩衝溶液である培養培地で本発明の細胞を培養する。
本明細書に記載する方法による幹細胞の単離、増殖ならびに造血前駆細胞および造血細胞への分化に適する培養培地としては、高グルコースダルベッコ変性イーグル培地(DMEM)、DMEM/F−15、リーボビッツ(Liebovitz)L−15、RPMI 1640、イスコフ(Iscove)変性ダルベッコ培地(IMDM)、およびOpti−MEM SFM(Invitrogen Inc.)が挙げられるが、これらに限定されない。化学的に定義された培地は、ヒト血清アルブミン、ヒトEx Cyteリポタンパク質、トランスフェリン、インスリン、ビタミン、必須および非必須アミノ酸、ピルビン酸ナトリウム、グルタミンおよびマイトジェンを補充した最小必須培地、例えばイスコフ変性ダルベッコ培地(IMDM)(Gibco)を含み、これもまた適している。本明細書において用いる場合、マイトジェンは、細胞の分裂を刺激する薬剤を指す。薬剤は、化学物質であり得、通常は、細胞分裂を開始するように細胞を促して有糸分裂を誘発する何らかの形のタンパク質であり得る。1つの実施形態では、米国特許出願第08/464,599号明細書および国際公開第96/39486号に記載されているものなどの無血清培地、ならびに米国特許第5,486,359号明細書に記載されているような「完全培地」が、本明細書に記載する方法での使用に考えられる。一部の実施形態では、培養培地に10%ウシ胎仔血清(FBS)を補充するか、ヒト自家血清を補充するか、ヒトAB血清を補充するか、ヘパリン(2U/mL)を補充した高血小板血漿を補充する。細胞培養物をCO雰囲気、例えば5%から12%、で維持して培養液のpHを維持し、37℃、湿性雰囲気でインキュベートし、継代させて、85%未満の集密度を維持することができる。
造血細胞およびそれらの前駆体に分化させるべき多能性幹細胞を、多能性を維持するのに十分な培地で培養することができる。本発明の一定の態様において産生された誘導多能性幹(iPS)細胞の培養には、米国特許出願公開第2007/0238170号および同第2003/0211603号明細書に記載されているような、霊長類多能性幹細胞、より具体的には胚性幹細胞を培養するために開発された様々な培地および技術を使用することができる。例えば、ヒト胚性幹(hES)細胞のように、iPS細胞を80%DMEM/F12(Gibco #11330032または#11320082)、20%KnockOut血清代替品、1%非必須アミノ酸、1mM L−グルタミン、0.1mM β−メルカプトエタノールおよびbFGF(4〜100ng/mL)で維持することができる(PCT出願国際公開第WO 99/20741号)。あるいは、ヒトES細胞およびiPS細胞を化学的に定義された無血清培地、例えばmTeSR1、で維持することができる。
多能性幹細胞または他の非造血細胞を、培地中、該細胞の造血細胞またはそれらの前駆体へのプログラミングを促進するのに十分であるように造血細胞および/または造血前駆体プログラミング因子の細胞内レベルを増加させる条件下で培養することによって、造血細胞およびそれらの前駆体を産生することができる。前記培地は、1つ以上の造血細胞分化および成熟剤、例えば様々な種類の成長因子、も含有することがある。しかし、造血細胞および/または造血前駆体プログラミング転写因子の細胞内レベルを増加させることにより、本発明の態様は、段階毎に培地を変える必要なく、造血前駆細胞および造血細胞への大部分の段階をバイパスする。したがって、本発明によって提供される利点にかんがみて、特定の態様において、造血プログラミング下で細胞を培養するための培地は、1つ以上の造血細胞および造血前駆体分化および成熟剤が本質的になくてよく、またはかかる薬剤の異なる組み合わせを含有する培地での逐次的交換を受けなくてよい。
これらの薬剤は、より成熟した表現型にコミットするように(もしくは成熟細胞の生存を優先的に促進するように)、またはこれら両方の効果の組み合わせを有するように、細胞を誘導するのに役立ち得る。本開示において例証する造血前駆細胞および造血細胞分化および成熟剤は、造血細胞系列の細胞の成長を促進する能力がある可溶性成長因子(ペプチドホルモン、サイトカイン、リガンド−受容体複合体、および他の化合物)を包含し得る。かかる薬剤の非限定的な例としては、造血または内皮成長因子、例えば線維芽細胞成長因子(FGF)、血管内皮成長因子(VEGF)、幹細胞因子(SCF)、トロンボポエチン(TPO)、FLT−3リガンド(FLT3L)、インターロイキン−3(IL−3)、インターロイキン−6(IL−6)、インターロイキン−9(IL−9)もしくは顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、またはこれらのアイソフォームもしくは改変体が挙げられるが、それらに限定されない。
VI.造血前駆体および造血細胞特性
多数の表現型基準に従って細胞を特性づけすることができる。前記基準としては、発現される細胞マーカー、機能活性の検出または定量、ならびに形態学的特徴および細胞内シグナリングの特性づけが挙げられるが、これらに限定されない。他の態様において、プログラミングされる細胞は、造血細胞同定のための造血細胞特異的プロモーターのような組織特異的または細胞特異的転写調節要素を含む、レポーター遺伝子発現カセットを含むことがある。
本発明の一定の態様において具現される造血前駆細胞は、天然での造血前駆細胞に特有の形態学的特徴を有する。これらの特徴は、かかることを評価することにより当業者には容易に分かり、丸い非付着性細胞を生産する細胞クラスタの検出を包含する。加えて、造血前駆細胞は、丸形状および低い細胞質対核比を有する。
本発明の細胞を、それらが造血細胞系列の細胞に特有の一定のマーカーを発現するか否かによって特性づけすることもできる。造血細胞および造血細胞前駆体の区別に有用な細胞マーカーの非限定的な例としては、CD43、CD33、CD34、CD45、CD235a、CD38、CD90、CD133、CD105、CD117(c−kit;SCFの受容体)、CD74およびCD41aが挙げられる。多分化能性出発細胞、例えばESCまたはiPSC、から分化した細胞を同定するには、多能性幹細胞または体細胞上に存在する一定のマーカー、例えばTRA−1−60、TRA−1−81、CD166またはCD140bを発現しない細胞を同定することが有用であり得る。体細胞から造血細胞または造血前駆細胞に分化転換した細胞を同定するには、分化転換した細胞が、造血細胞に特有の一定のマーカー、例えば上に列挙したもの、を発現するか否か、およびプログラミングされていない体細胞によって発現される非造血マーカーを発現しないか否かを判定することが有用であり得る。
かかるマーカーの発現レベルの評価を他の細胞との比較で判定することができる。造血前駆細胞または造血細胞のマーカーの陽性対照としては、関心対象の種の成体造血細胞または造血幹細胞、および樹立造血細胞系統が挙げられる。永久細胞系統または長期造血細胞培養物は、代謝性変化を受けることがあり、初代造血細胞および造血前駆細胞の一定の特性を発現できないことがあることを読者に警告する。陰性対照としては、異なる系列、例えば成体線維芽細胞系統、の細胞、成体間葉幹細胞、または網膜色素上皮(RPE)細胞が挙げられる。下の実施例で例証するように、未分化幹細胞は、上に列挙したマーカーの一部については陽性であるが、造血細胞および造血前駆細胞の一定のマーカーについては陰性である。
本開示に列挙する造血特異的タンパク質およびオリゴ糖決定因子は、任意の適する免疫学的技術(例えば、細胞表面マーカーに関する流動免疫細胞化学(flow immunocytochemistry)、細胞内または細胞表面マーカーに関する(例えば、固定細胞または組織切片の)免疫組織化学、細胞抽出物のウエスタンブロット分析、および細胞抽出物または培地に分泌された産物に関する酵素結合イムノアッセイ)を用いて検出することができる。場合によっては細胞の固定後、および場合によっては標識を増幅するために標識二次抗体または他のコンジュゲート(例えば、ビオチン−アビジンコンジュゲート)を使用して、標準的な免疫細胞化学またはフローサイトメトリーアッセイにおいて有意に検出できる量の抗体が抗原に結合する場合、細胞による該抗原の発現を「抗体検出可能」であると言う。
特異的(例えば、造血前駆細胞特異的)マーカーの発現をノーザンブロット分析により、ドットブロットハイブリダイゼーション分析により、または標準的な増幅方法で配列特異的プライマーを使用するリアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)(米国特許第5,843,780号明細書)により、mRNAレベルで検出することもできる。本開示に列挙する特定のマーカーについての配列データは、GenBankなどの公的データベースから得ることができる。典型的な制御実験において標準的な手順に従って細胞試料に関するアッセイを実行することにより、結果として標準時間ウィンドウ内で明確に識別できるハイブリダイゼーションまたは増幅産物が得られるならば、mRNAレベルでの発現を、本開示に記載するアッセイの1つに従って「検出可能」であると言う。別の要件がない限り、対応するmRNAがRT−PCRによって検出可能である場合、特定のマーカーの発現は示されているものとする。タンパク質またはmRNAレベルで検出されるような特異的マーカーの発現を、そのレベルが対照細胞、例えば未分化多能性幹細胞、線維芽細胞または他の非類縁細胞タイプ、のレベルより少なくとも2倍、および好ましくは10倍または50倍超多い場合、陽性とみなす。
造血系列の細胞に特有である機能活性を提示するか否かによって細胞を特性づけすることもできる。例えば、造血前駆細胞は、自己再生する能力を有し、1タイプより多くのタイプの造血細胞を生じさせることができる。特定の実施形態において、得られる造血前駆細胞は、リンパ球系細胞(例えば、T細胞、B細胞およびNK細胞など)、赤血球−巨核球系細胞(例えば、赤血球および血小板など)および骨髄系細胞(例えば、顆粒球および単球など)をインビトロで生じさせることができ、ならびに免疫不全マウスにおいて長期生着能力がある。
プログラミングに由来する造血前駆細胞および造血細胞の利点が、成体または胎児組織から単離された造血細胞および造血前駆細胞の初代培養物を概して汚染し得る他の細胞タイプ(例えば間質細胞および中胚葉起源の非造血細胞)が本質的にないという点であることは、技能のある読者には容易に理解されることだろう。プログラミングに由来する造血細胞およびそれらの前駆体は、免疫染色および蛍光活性化定量または他の適切な技術によって判定して、0.1%未満(好ましくは100または10ppm未満)が望ましくない細胞タイプのマーカーまたは他の特徴を保有する場合、汚染細胞タイプの一部またはすべてが本質的にないと特性づけすることができる。
本発明によるプログラミングによって提供される造血前駆細胞および造血細胞は、それらが表すことが予定されている細胞の段階の多数の特徴を有することができる。特定の細胞に存在するこれらの特徴が多いほど、その細胞をその造血細胞系列の細胞として特性づけすることができる。これらの特徴の少なくとも2、3、5、7または9つの特徴を有する細胞は、益々好ましい。培養容器中に存在することもあり、または投与用の調製物中に存在することもある特定の細胞集団に関して、これらの特徴の発現が細胞間で均一であることは、多くの場合、有利である。この状況で、細胞の少なくとも約40%、60%、80%、90%、95%または98%が所望の特徴を有する集団は、益々好ましい。
VII.造血細胞およびそれらの前駆体の使用
本発明の一定の態様の方法および組成物によって提供される造血細胞および造血前駆細胞を様々な適用に使用することができる。これらとしては、少数を例に挙げると、造血細胞および造血前駆体のインビボでの移植または埋め込み;細胞傷害性化合物、発がん性物質、変異誘導物質、成長/調節因子、医薬化合物などのインビトロでのスクリーニング;血液疾患および傷害のメカニズムの解明;薬物および/または成長因子が作用するメカニズムの研究;患者におけるがんの診断およびモニタリング;遺伝子療法;ならびに生物活性製品の生産が挙げられるが、これらに限定されない。
A.試験化合物スクリーニング
本発明のプログラミングに由来する造血および造血前駆細胞を使用して、本明細書に提供する造血細胞の特性に影響を及ぼす因子(例えば、溶媒、小分子薬、ペプチドおよびポリヌクレオチド)または環境条件(例えば、培養条件もしくは操作)をスクリーニングすることができる。
一部の適用では、(分化または未分化)幹細胞を使用して、造血細胞系列に沿って細胞の成熟を促進する因子または長期培養でかかる細胞の増殖および維持を促進する因子をスクリーニングする。例えば、候補造血細胞成熟因子または成長因子を、異なるウェルの幹細胞に添加し、その後、結果として生ずる任意の表現型変化を該細胞のさらなる培養および使用についての望ましい基準に従って判定することによって試験する。
本発明の特定のスクリーニング適用は、薬物研究の際の医薬化合物の試験に関する。読者には、一般に、標準的な教科書In vitro Methods in Pharmaceutical Research、Academic Press、1997、および米国特許第5,030,015号明細書を参照されたい。本発明の一定の態様において、造血系列にプログラミングされた細胞は、短期培養での造血細胞および前駆体に関して以前に行われたことがあるような標準的な薬物スクリーニングおよび毒性アッセイのための試験細胞の役割を果たす。候補医薬化合物の活性の評価は、一般に、本発明の一定の態様において提供する造血細胞または前駆体と候補化合物とを組み合わせること、その化合物に起因する細胞の形態、マーカー表現型または代謝活性の任意の変化を(無処理細胞または不活性化合物で処理した細胞と比較して)判定すること、およびその後、その化合物の効果と観察された変化とを相関させることを伴う。前記スクリーニングは、前記化合物が造血細胞もしくは前駆体に対して薬理効果をもたらすように設計されるため行われることもあり、またはほかの場合に効果があるように設計された化合物が、造血細胞もしくは前駆体に対して意図されたものでない効果をもたらすことがあるため行われることもある。2つ以上の薬物を(同時にまたは逐次的に細胞と組み合わせることにより)組み合わせて試験して、起こり得る薬物−薬物相互作用効果を検出することができる。
一部の適用では、造血細胞または造血前駆細胞に対する毒性について化合物をスクリーニングすることができる。
B.造血細胞療法
本発明は、本明細書に提供する造血細胞および造血前駆細胞の使用であって、おそらく血液疾患もしくは障害または傷害のため、かかる療法を必要とする被験体にある程度の機能を回復させるための、使用も提供する。例えば、本明細書に開示する方法によって誘導される造血細胞および造血前駆細胞を使用して、血液疾患および障害、例えば、異常ヘモグロビン症、貧血など、を処置することができる。加えて、造血細胞およびそれらの前駆体は、それを必要とする被験体(例えば、輸血を必要とする被験体、または血液障害を有する被験体など)への血液または血液細胞(例えば、赤血球、血小板および好中性顆粒球など)の供給に有用であり得る。かかる細胞は、化学療法などの細胞抑制療法によって引き起こされる造血細胞欠乏の処置に有用であり得る。
治療適用のための本明細書に提供する造血細胞および前駆体の安定性を判定するために、それらの細胞を、先ず、適切な動物モデルで試験することができる。あるレベルで、細胞を、インビボで生存してそれらの表現型を維持するそれらの能力について評価する。本明細書に提供するプログラミングされた細胞を、免疫不全動物(例えば、NOGマウス、または化学的にもしくは照射により免疫不全にされた動物)のさらなる観察に適用できる部位に、例えば、腎被膜下に、脾臓に、肝小葉に、または骨髄に投与する。数日から数週間以上の期間の後、組織を収集し、多能性幹細胞などの出発細胞タイプが依然として存在するか否かについて評価する。これは、投与する細胞に検出可能な標識(例えば、緑色蛍光タンパク質、もしくはβ−ガラクトシダーゼ)を備えさせることにより;または投与したヒト細胞に特異的な構成的マーカーを測定することにより行うことができる。本明細書に提供するプログラミングされた細胞を齧歯動物モデルで試験することとなる場合、投与細胞の存在および表現型を、ヒト特異的抗体を使用する免疫組織化学もしくはELISAによって、または増幅をヒトポリヌクレオチド配列に特異的なものにするプライマーおよびハイブリダイゼーション条件を用いるRT−PCR分析によって評価することができる。mRNAまたはタンパク質レベルでの遺伝子発現の評価に適するマーカーは、本開示の他の箇所で提供する。
本発明の方法によって提供される造血細胞および造血前駆体を、血液障害および傷害を処置するそれらの能力について様々な動物モデルで試験することができる。例えば、鎌状赤血球貧血マウスモデルまたはT/B細胞欠損Rag−2ノックアウトマウスは、本明細書に開示する造血細胞および造血前駆体の試験に特に有用な動物モデルであり得る。
動物モデルにおいて望ましい機能特性または効力を明示する、本発明の一定の態様において提供する造血細胞および造血前駆細胞もまた、それを必要とするヒト被験体への直接投与に適しているだろう。止血のために、循環に十分にアクセスできる任意の部位に前記細胞を投与することができる。造血細胞またはそれらの前駆体を傷害または疾患部位に送達することもできる。
本発明の一定の態様において提供する細胞を、それを必要とする任意の被験体の治療に使用することができる。かかる治療に適切であり得るヒト状態としては、様々な貧血および異常ヘモグロビン症、ならびに造血細胞数減少を特徴とする疾患(例えば、骨髄異形成症候群、骨髄線維症、好中球減少症、顆粒球減少症、グランツマン血小板無力症、血小板減少症および後天的免疫不全症候群など)が挙げられる。ヒト療法のための用量は、一般に、被験体の体重、苦痛の性質および重症度、ならびに投与する細胞の複製能力について調整して、一般に約10細胞〜約1012細胞および典型的には約5×10細胞〜約5×1010細胞である。処置の方式および適切な用量を決定する最終責任は、管理する臨床医にある。
C.商業、治療および研究目的での配布
製造、配布および使用のために、典型的には、本発明の造血系列細胞を等張性賦形剤または培地中の細胞培養物または懸濁物の形で、場合によっては輸送または保管を助長するために凍結させて供給する。
本発明は、製造、配布または使用中の任意の時点に存在する細胞のセットまたは組み合わせを含む種々の試薬系も包含する。前記細胞セットは、未分化幹細胞、体細胞由来造血細胞または他の分化細胞タイプとの組み合わせでのプログラミングに由来する細胞(造血系列細胞、それらの前駆体およびサブタイプ)によって例示される(しかしこれらに限定されない)、本開示に記載する2以上の細胞集団の任意の組み合わせを含む。前記セットでの細胞集団は、ときとして、同じゲノムまたはその遺伝子修飾形を共有する。前記セット内の各細胞タイプを同じ施設内で、または異なる場所で、同じまたは異なるときに、同じ実体または事業上の関係を共有する異なる実体の監督下で、一緒にまたは別個の容器にパッケージングすることができる。
VIII.プログラミングの候補遺伝子を試験するための細胞および方法
造血前駆細胞などの特異的細胞タイプについてのプログラミング因子として作用する特定の候補遺伝子または候補遺伝子の組み合わせの能力を、本開示に提供する方法および細胞を使用して試験することができる。特定の候補遺伝子または候補遺伝子の組み合わせのプログラミングにおける効力を、細胞形態、マーカー発現、酵素的活性、増殖能力、または関心対象の他の能力に対するそれらの効果によって評価することができ、その後、それらの候補遺伝子または組み合わせが含まれていない並行培養物との比較でその効力を決定する。候補遺伝子は、所望の細胞タイプへの分化にとって重要な転写因子であることもあり、または所望の細胞タイプの機能にとって重要な転写因子であることもある。
一定の実施形態では、候補遺伝子または候補遺伝子の組み合わせの発現のための少なくとも1つの発現カセットを含む出発細胞、例えば多能性幹細胞、を提供することができる。前記発現カセットは、誘導性プロモーターなどの外部制御可能転写調節要素を含むことができる。これらのプロモーターの活性を生物因子または非生物因子の存在または不在によって誘導することができる。誘導性プロモーターは、それらに作動可能に連結されている遺伝子の発現を、生物の一定の発達段階でまたは特定の組織においてオンまたはオフにすることができるため、遺伝子工学における非常に強力なツールである。大腸菌(E.coli)テトラサイクリン耐性オペロンの必須調節成分に基づくTet−OnおよびTet−Off誘導性遺伝子発現系を使用してもよい。出発細胞において樹立されると、誘導因子ドキシサイクリン(Dox、テトラサイクリン誘導体)は、用量依存的様式で発現系を制御することができ、それにより候補遺伝子の発現レベルを正確に調整させることが可能になる。
所望の細胞タイプの同定を助けるために、出発細胞は、細胞特異的または組織特異的レポーター発現カセットをさらに含むことができる。前記レポーター発現カセットは、前記所望の細胞タイプに特異的な転写調節要素に作動可能に連結されたレポーター遺伝子を含むことができる。例えば、前記レポーター発現カセットは、造血細胞または造血前駆細胞生産、単離、選択または富化のために造血細胞特異的プロモーターを含むことができる。前記レポーター遺伝子は、当該技術分野において公知であり、上記開示の中で例示した任意の選択可能またはスクリーニング可能マーカー遺伝子であり得る。
VIII.
本発明の好ましい実施形態を実証するために以下の実施例を含める。後続の本実施例に開示する技術は、本発明の実施の際に十分に機能する本発明者らが発見した技術の代表であり、したがって、該技術をその実施についての好ましい方式を構成するものとみなすことができることは、当業者には理解されるはずである。しかし、本開示にかんがみて、開示するそれらの具体的な実施形態に、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、多くの変更を加えることができ、それでもなお同様のまたは類似した結果を得ることができることは、当業者には理解されるはずである。
実施例1
造血前駆細胞へのフォワードプログラミング
ヒトESC/iPSCからの造血前駆細胞分化の代替アプローチを図1に示す。適切な導入遺伝子または導入遺伝子の組み合わせの発現により(上のボックス)、通常の分化の間に必要とされるすべてではないにせよ殆どの発達段階(下のボックス)をバイパスして、ヒトESC/iPSCから造血前駆細胞を効率的に誘導することができる。
ヒトESC/iPSCを造血前駆細胞に直接変換することができる導入遺伝子を同定するために利用した戦略(図2)。誘導性遺伝子発現のためにrtTETタンパク質を構成的に発現するようにヒトESC/iPSCを操作した。誘導性プロモーター(Ptight)の制御下の導入遺伝子をエレクトロポレーションによって操作ヒトESC/iPSCに導入した。ドキシサイクリン(Dox)添加により導入遺伝子発現を誘導し、特徴的造血細胞形態(例えば、丸い非付着性細胞を生産する細胞クラスタ)によって、ならびにコミットEMk(CD43+CD235a+CD41a+)および系列陰性(Lin−)CD43+CD45−/+多分化能性造血前駆体(Vodyanikら、2006)の亜集団と共に、初期汎造血マーカー(pan−hematopoietic marker)CD43の発現による全造血前駆細胞集団のフローサイトメトリー検出によって造血分化をモニターした。Lin−細胞は、1セットの系列特異的マーカー、例えばCD235a(赤血球系)、CD41a(巨核球系)、CD11b、CD33(骨髄系)、CD19、CD3およびCD2(リンパ球系)、に対して陰性であり、多分化能性であり、いずれの系列にもコミットされていない(Vodyanikら、2006;米国特許出願公開第2007/0072295号明細書)。Lin− CD43+CD45−/+細胞は、この多分化能性細胞が初期はCD45−であるが、その後、CD45発現を獲得してCD45+になるので、「CD45−/+」と言われる。したがって、初期導入中、CD43+Lin−多分化能性細胞は、CD45−であることもあり、またはCD45+であることもある。様々な造血前駆体タイプを、コロニー形成アッセイによっても判定した。
造血前駆細胞分化のためのヒトESC/iPSC誘導性(R/I)系統の樹立(図3)。rtTETを発現させるために染色体3上のヒトRosa26遺伝子座を選択した。先ず、LoxP組換え部位(LOX71およびLOX2272)を相同組換えによりヒトROSA26遺伝子の第一イントロンに導入した。ターゲティング構築物(KI構築物)は、陰性選択のためにジフテリア毒素A断片遺伝子(DTA)のホスホグリセリン酸キナーゼプロモーター(PGK)駆動発現を用いたものであり、約2.0kbの5’アームと4.5kbの3’アームを含有する。ヒトBCL2遺伝子からのスプライシング・アクセプター・シグナル(SA)をLOX71部位の前に配置して、内因性ヒトROSA26プロモーターからの選択マーカーの発現を可能にした。ガンシクロビルを使用する工程2での正しくないCre/LoxP組換え事象に対する陰性選択を可能するために、チミジンキナーゼ(TK)についてのコード領域を含めた。ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(Neo)を工程1における相同組換え中の陽性選択に使用した。口蹄疫ウイルスペプチド(2A)を使用して、内因性ヒトROSA26プロモーターからTKおよびNeo遺伝子を共発現させた。BGHpAは、ウシ成長ホルモン遺伝子に由来するポリアデニル化シグナルである。Cre/LoxP組換えによる効率的カセット交換のための親ヒトESC/iPSC系統を相同組換えによって得た。造血分化のための誘導性細胞系統を樹立するために、構成的活性真核性伸長因子1αプロモーター(pEF)によって駆動されるrtTETを、組換え媒介カセット交換(RMCE)ベクターとCre発現性プラスミドとの脂質媒介共トランスフェクションによって、ROSA26遺伝子座に導入した。ピューロマイシンN−アセチル−トランスフェラーゼ(Puro)を使用して、組換え事象について選択した。正しく組換えられた誘導性細胞は、ピューロマイシン(Puro+)およびガンシクロビル(TK−)に対して耐性であり、ゲネチシン選択(Neo−)に対して感受性である。
ヒトH1 ESC誘導性系列におけるTet−On誘導性遺伝子発現の確認(図4)。図4Aは、2ベクターPiggyBacトランスポゾン遺伝子発現系を示す。Ptightは、rtTET応答性誘導性プロモーターであり;pEFは、真核性伸長因子1αプロモーターであり;hPBaseは、ヒト細胞における発現のために最適化されたコドンを有するPiggyBacトランスポザーゼについてのコード領域である。図4Bは、ヒトESC誘導性系統におけるEGFP誘導を示す。Ptightプロモーターによって駆動されるEGFPを、図4Aに示すベクターのFugene HD媒介トランスフェクションを用いて、ヒトESC誘導性系統に導入した。PiggyBacトランスポゾンが安定的に組み込まれているヒトESCをゲネチシン(100μg/mL)で選択した。ドキシサイクリン(1μg/mL)での2日の誘導後のまたはドキシサイクリンなしでのヒトESC誘導性系統の画像を示す。図4Cは、ドキシサイクリン(1μg/mL)での4日の誘導後のまたはドキシサイクリンなしでのヒトESC誘導性系統におけるEGFP発現のフローサイトメトリー分析を示す。灰色線は、EGFPベクターのトランスフェクションを伴わないヒトESC誘導性系統であり;黒色線は、ドキシサイクリンでの4日の誘導後のPiggyBacトランスポゾンが安定的に組み込まれているヒトESC R/I系統またはドキシサイクリンなしでの該ヒトESC R/I系統である。
ERG−3およびGATA2発現によるヒト胚性幹細胞(ESC)誘導性系統からの造血前駆細胞のフォワードプログラミング(図5)。造血系列の細胞および造血幹細胞において選択的に発現または富化される遺伝子(表1参照)のコード領域を、TET誘導性プロモーター(Ptight)の制御下でPiggyBacトランスポゾンベースの発現ベクターにクローニングした(図4A参照)。EF1αプロモーターの制御下でrtTETタンパク質をROSA26遺伝子座において構成的に発現するように操作されたヒトH1 ESC系統(図3参照)を、特異的遺伝子を含有するPiggyBacベクターのトランスフェクションに使用した。組み込まれた遺伝子がサイレントである安定したヒトESCを選択し、ゲネチシンを含有する培地で維持した。導入遺伝子発現を誘導するために、細胞をドキシサイクリン(DOX)で処理した(図2)。
ERG−3、GATA2、TAL1およびLMO2をPtightプロモーターの制御下でPiggyBacベクターにクローニングし(図4A参照)、エレクトロポレーションによってhPBase発現ベクターと共にヒトESC誘導性系統に導入した。安定したゲノム導入遺伝子組込みのための選択のために、それらのトランスフェクトされた細胞をマトリゲル上のmTeSR1培地においてゲネチシン(100μg/mL)の存在下で培養した。ドキシサイクリン(0.2μg/mL)を添加して導入遺伝子発現を誘導し、50ng/mL SCF、50ng/mL TPO、10ng/mL FLT3L、20ng/mL IL−3および20ng/mL IL−6(すべてPeprotechからのもの)を補充したStemLine造血系増殖用無血清培地(hematopoietic serum−free expansion medium)(HSFM、Sigma)でmTeSR1を置換した。典型的な形態を有する造血クラスタの外観、CD43+細胞、および誘導後第4日〜第6日のコロニー形成活性によって証明されるように、造血誘導が観察された。
図5Aは、示されている遺伝子の組み合わせでトランスフェクトした培養物中のEMk(CD43+CD235a+CD41a+)および多分化能性系列陰性(Lin−)CD43+CD45−/+前駆体の百分率ならびにコロニー形成細胞(CFC)の絶対数を示す。多分化能性CD43+Lin−CD45−/+造血前駆体および骨髄系/多系列CFC(G/GM、GEMMk)が、ERG−3およびGATA2を含有する遺伝子の組み合わせで検出された。ERG−3を伴わない組み合わせ(GATA2−TAL1およびGATA2−TAL1−LMO2)は、プレコミット(pre−committed)EMk前駆体を産生した。ERG−GATA2の組み合わせへのTAL1および/またはLMO2の追加は、EMk前駆体への分化を加速する。
図5Bは、示されている遺伝子の組み合わせでトランスフェクトしたヒトESCの明視野像を示す。ドキシサイクリン誘導の不在(DOX−)下では、培養中、第6日まで分化は観察されなかった。ドキシサイクリン誘導の存在(DOX+)下では、造血クラスタおよび浮遊造血細胞が、先ず、誘導第4日に検出でき、誘導第6日には大量になった。図5Cは、6日のドキシサイクリン誘導後の、示されている遺伝子の組み合わせでトランスフェクトしたヒトESC培養物についてフローサイトメトリー分析を示す。GATA2−TAL1−LMO2でトランスフェクトした培養物において産生されたほぼすべて(約95%)のCD43+細胞が、プレコミットEMk前駆体(CD43+CD235a+CD41+)であったのに対して、ERG−GATA2でトランスフェクトした培養物は、10%以下の多分化能性CD43+Lin−CD45−/+前駆体を生産した。
図5に示すように、2つの周知の造血誘導因子(hematopoiesis−inductive factor)TAL1およびLMO2(PimandaおよびGottgens、2010;Wilsonら、2009)との組み合わせでのGATA2は、造血分化を誘導することができた。しかし、これらの細胞は、赤血球−巨核球(EMk)(CD43+CD235a+CD41a+)の可能性に限定され、骨髄系列の細胞を本質的に欠いた。ERG−3の存在下では、GATA2のみで効率的に造血分化を誘導した。より重要なこととして、多分化能性CD43+Lin−CD45−/+前駆体と骨髄系/多系列CFC(G/GMおよびGEMMk)は、この組み合わせを用いると容易に検出できた。ERG/GATA2へのTAL1および/またはLMO2の追加は、EMk分化効率を向上させるように見えた。
ERG−3およびGFI1発現による多分化能性造血前駆体へのヒトESCの効率的プログラミング(図6)。ERG−3、GATA2、SPI1およびGFI1因子を造血誘導について試験した。図6Aは、示されている遺伝子の組み合わせでトランスフェクトした培養物中のEMk(CD43+CD235a+CD41a+)および多分化能性系列陰性(Lin−)CD43+CD45−/+前駆体の百分率ならびにコロニー形成細胞(CFC)の絶対数を示す。多分化能性CD43+Lin−CD45−/+造血前駆体および骨髄系/多系列CFC(G/GM、GEMMk)が、ERG−3およびGFI1遺伝子によって効率的に誘導された。GATA2およびSPI1因子の追加は、プレコミットEMk前駆体を促進した。図6Bは、ERG−3およびGFI1でトランスフェクトしたヒトESCの明視野像を示す。ドキシサイクリン誘導の不在(DOX−)下では、培養中、第6日まで分化は観察されなかった。ドキシサイクリン誘導の存在(DOX+)下では、非常に多数の造血クラスタおよび大量の浮遊細胞が、誘導後第6日に観察された。図6Cは、6日のドキシサイクリン誘導後の、ERG/GFI1でトランスフェクトしたヒトESC培養物についてフローサイトメトリー分析を示す。ERG/GFI1の組み合わせは、すべてのタイプの造血前駆体を生産した。図7は、ヒトESCのフォワードプログラミングによって産生された前駆体によって形成された造血コロニーを示す。
GATA2は、ERG誘導内皮細胞における造血の開始に重要であるように見えるが、その強制的発現は、造血分化をEMk系列に偏らせ得る。図6Aに示すように、公知GATA2アンタゴニストである(Walshら、2002)骨髄系SPI1遺伝子の共トランスフェクションは、多分化能性CD43+Lin−CD45−/+前駆体および骨髄系/多系列CFC(G/GMおよびGEMMk)のより高い収量をもたらした(図7)。これらのデータは、多系列前駆体を発生させるためにGATA2発現レベルを厳密に調節すべきであることを示唆している。
GATA2誘導因子として機能することができ、異なる造血分化プログラムの自発的なバランスの取れた調節を促進することができる代替因子を同定しようとする試みる中で、多分化能性造血前駆体のより効率的な生産のためにGATA2の代わりにGFI1因子をERG−3と組み合わせるできることが判明した(図6)。ERG−3とGFI1の組み合わせは、多分化能性CD43+Lin−CD45−/+前駆体のより高い百分率および骨髄系/多系列CFC(G/GM、GEMMk)のより多い数によって実証されるように、多系列の可能性を有する前駆体へのよりバランスの取れた造血細胞へのコミットメント(hematopoietic commitment)を可能にした(図6)。ERG−3およびGFI1によって誘導される造血細胞は、他の造血前駆体および造血幹細胞を生じさせることができる可能性が高い。
ヒトESC/iPSCからの造血前駆細胞のフォワードプログラミングは、迅速かつ効率的プロセスである。これは、通常のインビトロヒトESC/iPSC分化中に観察されるすべでではないにせよ殆どの中間発達段階をバイパスする。このアプローチは、生着能を有するヒト造血前駆細胞およびヒト造血幹細胞、ならびに他の造血細胞を産生するための、時間および費用の点でより効率的なアプローチである。
実施例2
造血前駆細胞への分化転換
フォワードプログラミングに類似して、造血前駆体をヒト体細胞、例えば皮膚線維芽細胞、脂肪組織由来細胞およびヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)、からの分化転換によって得ることもできる(図8)。線維芽細胞を造血前駆細胞に変換することができる遺伝子を同定するために、(TET−ON系と呼ばれる)レンチウイルス導入遺伝子送達系を候補遺伝子の誘導性発現に使用することとなる。簡単に言うと、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーターを使用してrtTETタンパク質の発現を駆動し、候補遺伝子を(Ptightと呼ばれる)rtTET応答性誘導性プロモーターの制御下に置くこととなる。rtTETおよび導入遺伝子発現性レンチウイルスの両方を使用して線維芽細胞を共形質導入することとなる。共形質導入された線維芽細胞にドキシサイクリン(0.2〜1μg/mL)を添加して導入遺伝子発現を誘導し、その線維芽細胞細胞培養培地を造血細胞培養培地で置換して、プログラミングを支持することとなる。
造血前駆体の確認をhESC/iPSCからのフォワードプログラミングと類似に行うこととなり、この確認には、形態学的特性、細胞表面マーカー発現、ならびに赤血球−巨核球系列、骨髄系列およびリンパ球系列への分化能が含まれるだろう。hESC/iPSCからのフォワードプログラミングから同定される遺伝子、例えば、ERG−2、ERG−3、FLI1、ETV2、GATA2、GATA3、GFI1、GFI1B、TAL1、LYL1、LMO2およびSPI1は、造血前駆体へのヒト体細胞の分化転換に使用するための強力な候補であるが、ヒト体細胞において確立された分化状態を不安定化することにより最適なプログラミング効率を達成するためにさらなるプログラミング遺伝子、例えば、OCT、KLFおよびMYCファミリーのメンバーを必要とすることがある。
ここに開示し特許請求する方法のすべては、本開示にかんがみて過度の実験を伴うことなく行うことができ、遂行することができる。本発明の組成物および方法を好ましい実施形態に関して説明したが、本明細書に開示した方法および組成物に変化を加えることができることは当業者には明らかであろう。例えば、本発明の概念、精神および範囲を逸脱することなく、本明細書に記載する方法の工程または工程の順序に変化を加えることができる。より具体的には、化学的にも生理的にも関連づけられる一定の薬剤を本明細書に記載する薬剤の代わりに使用することができ、そして同じかまたは類似の結果が達成されることとなることは、明らかであろう。当業者には明らかなすべてのかかる類似の代用および修飾は、添付の請求項によって定義する本発明の精神、範囲および概念の範囲内であると考える。
参考文献
以下の参考文献は、本明細書に示すものを補う例示的手順または他の詳細を提供する程度に、参照により本明細書に特に援用されている。
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Claims (10)

  1. 多能性幹細胞のフォワードプログラミングまたは体細胞の分化転換により造血前駆細胞を提供するインビトロの方法であって、
    造血前駆細胞への該多能性幹細胞のフォワードプログラミングまたは該体細胞の分化転換を引き起こす能力があるつ以上の造血前駆体プログラミング因子遺伝子の発現レベルを増加させる条件下で、該多能性幹細胞または該体細胞を培養して、造血前駆細胞に該多能性幹細胞をフォワードプログラミングするかまたは該体細胞を分化転換させることによって、造血前駆細胞を提供する工程
    を含み、ここで、該2つ以上の造血前駆体プログラミング因子遺伝子が、i)ERGおよびGFI1を含むか、または、ii)ERGおよびGATA2を含む、方法。
  2. i)前記造血前駆細胞が、多能性幹細胞のフォワードプログラミングによって提供され、特に、該多能性幹細胞が、誘導多能性幹細胞であるか;または
    ii)前記造血前駆細胞が、体細胞の分化転換によって提供され、特に、該体細胞が、不死化体細胞であるか;または
    iii)前記多能性幹細胞または前記体細胞が、少なくとも1つの外因性発現カセットを含み、該発現カセットが、1つ以上の造血前駆体プログラミング因子遺伝子を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記多能性幹細胞または前記体細胞と、造血前駆細胞への該多能性細胞のフォワードプログラミングまたは該体細胞の分化転換を引き起こすのに十分な量1つ以上の前記造血前駆体プログラミング因子遺伝子の遺伝子産物を含む1つ以上の造血前駆体プログラミング因子とを接触させる工程をさらに含み、特に、
    1つ以上の該遺伝子産物が、1つ以上の造血前駆体プログラミング因子遺伝子のポリペプチド産物、または1つ以上の造血前駆体プログラミング因子遺伝子のRNA転写産物である、請求項1に記載の方法。
  4. 前記造血前駆体プログラミング因子遺伝子が、内皮分化因子遺伝子をさらに含み、特に、少なくとも1つの前記内皮分化因子が、FLI−1(フレンド白血病ウイルス組込み1)またはETV2(ets改変体2)を含、請求項1に記載の方法。
  5. 前記ERGが、ERG−2またはERG−3である、請求項1に記載の方法。
  6. 前記造血前駆体プログラミング因子遺伝子がGFI1B(成長因子非依存性1B転写リプレッサ)、TAL1(T細胞急性リンパ球性白血病)、LYL1(リンパ芽球性白血病由来配列1)、LMO2(LIMドメインオンリー2(ロンボチン様1))GATA3(GATA結合タンパク質3)、またはSPI1(脾フォーカス形成ウイルス(SFFP)プロウイルス組込みがん遺伝子spi1)をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  7. a)前記2つ以上の造血前駆体プログラミング因子遺伝子が、SPI1、TAL1またはLMO2をさらに含むか、または
    )前記2つ以上の造血前駆体プログラミング因子遺伝子が、ERG、GATA2およびSPI1を含む、請求項1に記載の方法。
  8. 前記造血前駆細胞が、
    (i)1つ以上の造血前駆体マーカーの発現;
    (ii)1つ以上の多能性幹細胞マーカーまたは体細胞マーカーの発現の欠如;
    (iii)1つ以上の造血前駆体機能的特徴;
    (iv)1つ以上の造血前駆体形態学的特徴
    からなる群より選択される造血前駆細胞の1つ以上の特性を含み、特に、
    a)該1つ以上の造血前駆体マーカーが、CD43、CD33、CD34、CD45、CD235aおよびCD41aからなる群より選択され、特に該1つ以上の造血前駆体マーカーが、CD43、CD45およびCD34からなる群より選択されるか、または
    b)該1つ以上の多能性幹細胞マーカーまたは体細胞マーカーが、TRA−1−60、TRA−1−81、CD166およびCD140bからなる群より選択されるか、または
    c)該1つ以上の造血前駆体機能的特徴が、形質細胞、ナチュラルキラー細胞、マクロファージ、肥満細胞、巨核球、赤血球、顆粒球、リンパ球、単球、白血球および血小板からなる群より選択される2つ以上の細胞タイプに分化する能力を包含し、特に、該1つ以上の造血前駆体機能的特徴が、骨髄系列、リンパ球系列、または赤血球−巨核球系列の細胞に分化する能力を包含し、特に、該1つ以上の造血前駆体機能的特徴が、リンパ球系列、骨髄系列および赤血球−巨核球系列の細胞に分化する能力を包含するか、または
    d)前記方法が、造血前駆細胞について選択または富化する工程をさらに含み、選択または富化された造血前駆細胞が、造血前駆細胞の前記特性の1つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
  9. 前記多能性幹細胞または前記体細胞が、1つ以上の成長因子を含む培地で培養され、特に、前記1つ以上の成長因子が、線維芽細胞成長因子(FGF)、血管内皮成長因子(VEGF)、幹細胞因子(SCF)、トロンボポエチン(TPO)、FLT−3−リガンド(FLT3L)、インターロイキン−3(IL−3)、インターロイキン−6(IL−6)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)およびインターロイキン−9(IL−9)からなる群より選択され、特に該多能性幹細胞、該体細胞、または該多能性幹細胞もしくは該体細胞の子孫が、SCF、TPO、FLT3L、IL−3およびIL−6を含む培地で培養される、請求項1に記載の方法。
  10. (i)前記提供される造血前駆細胞が、10日以下の発現増加後に得られるか、または
    (ii)前記提供される造血前駆細胞が、4日以下または6日以下の発現増加後に得られる、請求項1に記載の方法。
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