JP2003002962A - 光学部品および含硫ポリ(チオ)エステル(共)重合体 - Google Patents

光学部品および含硫ポリ(チオ)エステル(共)重合体

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JP2003002962A JP2002065363A JP2002065363A JP2003002962A JP 2003002962 A JP2003002962 A JP 2003002962A JP 2002065363 A JP2002065363 A JP 2002065363A JP 2002065363 A JP2002065363 A JP 2002065363A JP 2003002962 A JP2003002962 A JP 2003002962A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 透明性、光学特性に優れ(高屈折率、高アッ
ベ数、低複屈折率など)、機械的特性、熱的特性が良好
であり、かつ、溶融流動性に優れ、射出成形加工性に優
れた新規な熱可塑性光学用樹脂の提供。 【解決手段】 式(1−A)で表される繰り返し構造単
位を必須構造単位として含有してなるポリ(チオ)エス
テル(共)重合体並びに該重合体を成形して得られる光
学部品。 【化1】 [式中、R11は少なくとも1個以上のスルフィド基の硫
黄原子を含んでいても良い二価の脂肪族炭化水素基を表
し、R12は単環状または多環状脂肪族ジカルボン酸残
基、あるいは、芳香族ジカルボン酸残基を表し、X11
よびX12はそれぞれ独立に酸素原子または硫黄原子を表
し、但し、X11およびX12が酸素原子の場合、R11は少
なくとも1個以上のスルフィド基の硫黄原子を含む二価
の脂肪族炭化水素基を表す。]

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特定の繰り返し構
造単位を必須構造単位として含有してなるポリ(チオ)
エステル(共)重合体を成形して得られる光学部品に関
する。
【0002】さらに本発明は、特定の繰り返し単位を含
有してなるポリ(チオ)エステル(共)重合体、該
(共)重合体からなる樹脂組成物に関する。
【0003】本発明のポリ(チオ)エステル(共)重合
体を成形して得られる光学部品は、透明性、機械的特性
(例えば、耐衝撃性など)、熱的特性が良好であり、且
つ、比較的高屈折率であって、低色収差(高アッベ
数)、低複屈折率であり、さらには溶融流動性に富み、
成形加工性が良好である特徴を有しており、視力矯正用
眼鏡レンズ(眼鏡レンズ)、ピックアップレンズなどを
代表とするプラスチック光学用レンズ、情報記録用光デ
ィスク基板、液晶セル用プラスチック基板、光ファイバ
ー、光導波路などの各種光学部品用の成形材料として有
用である。
【0004】
【従来の技術】無機ガラスは、透明性に優れ、光学異方
性が小さいなどの諸物性に優れていることから、透明性
光学材料として広い分野で使用されている。しかしなが
ら、重くて破損しやすいこと、生産性が悪い等の問題が
あり、近年、無機ガラスに代わる光学用樹脂の開発が盛
んに行われている。
【0005】光学用樹脂として基本的に最も重要な特性
の一つは透明性である。現在までに透明性の良好な光学
用樹脂として、ポリメチルメタクリレート(PMM
A)、ビスフェノールAポリカーボネート(BPA−P
C)、ポリスチレン(PS)、メチルメタクリレート-
スチレン共重合ポリマー(MS)、スチレン-アクリロ
ニトリル共重合ポリマー(SAN)、ポリ(4−メチル
−1−ペンテン)(TPX)、ポリシクロオレフィン
(COP)、ポリジエチレングリコールビスアリルカー
ボネート(EGAC)、ポリチオウレタン(PTU)な
どが知られている。
【0006】PMMAは透明性、耐候性に優れ、かつ成
形性も良好であり、代表的な光学用樹脂の一つとして広
く用いられている。しかしながら、屈折率(nd)が
1.49と比較的低く、吸水性が大きいという欠点を有
している。
【0007】BPA−PCは、透明性、耐熱性、耐衝撃
性に優れ、比較的高屈折率(nd=1.59)であり、
情報記録用光ディスク基板を代表とする光学用途におい
て用いられているが、色収差(屈折率分散)、複屈折が
比較的大きく、また溶融粘度が高く成形性がやや困難で
ある等の欠点を有していることから、光学用樹脂として
の利用分野が限定されている。
【0008】PSおよびMSは成形性、透明性、低吸水
性および高屈折性に優れるものの、耐衝撃性、耐候性お
よび耐熱性に劣る欠点を有しているため、光学用樹脂と
してほとんど実用化されていない。また、SANは比較
的、屈折率が高く、機械的物性もバランスがよいとされ
ているが、耐熱性にやや難があり(熱変形温度:80〜
90℃)、同様に光学樹脂としてほとんど使用されてい
ない。
【0009】TPXおよびCOPは透明性、低吸水性、
耐熱性に優れるものの、低屈折率(nd=1.47〜
1.53)であり、また耐衝撃性、ガスバリヤー性、染
色性が悪いという問題点を有している。
【0010】EGACはモノマーであるジエチレングリ
コールビスアリルカーボネートを重合して得られる熱硬
化性樹脂であり、一般汎用の眼鏡レンズ用途には最も多
く使用されている。透明性、耐熱性が良好であり、色収
差が極めて小さいといった特徴を有しているものの、屈
折率が低く(nd=1.50)、耐衝撃性にやや劣ると
いう欠点がある。
【0011】PTUはジイソシアネート化合物とポリチ
オール化合物との反応で得られる熱硬化性樹脂であり、
高屈折率の眼鏡レンズ用途において、現在、最も多く使
用されている。透明性、耐衝撃性に特に優れ、かつ、高
屈折率であって、色収差も比較的小さく、極めて優れた
光学用樹脂である。しかしながら、唯一、眼鏡レンズを
製造する工程において熱重合成形時間に長時間(1〜3
日)を要するといった欠点があり、生産性の点で課題を
残している。
【0012】代表的な光学用樹脂の一つである上記ビス
フェノールAポリカーボネート(BPA−PC、以下、
汎用ポリカーボネートと称する)に見られた前記欠点を
改良し、かつ、射出成形加工により短時間で高品質な光
学部品を得る目的で、新規なポリカーボネート系の熱可
塑性光学用樹脂が提案されている。例えば、脂環系ジヒ
ドロキシ化合物から誘導される繰り返し構造単位を有す
る脂環系ポリカーボネート共重合体などのポリマーが比
較的低色収差(高アッベ数)、低複屈折性であることが
開示されており、光学用途での利用が提案されている
(例えば、特開昭64−66234号公報、特開平1−
223119号公報など)。これらの方法によれば、射
出成形法を用いた短時間での光学部品の成形加工、製造
が可能となり、かつ、得られた光学部品は高アッベ数で
あるか、あるいは、複屈折率が比較的低いなどの特徴を
有しているものの、光学部品として実用上、十分満足さ
れるものとは言い難かった。すなわち、例えば、眼鏡レ
ンズとして用いた場合、屈折率がやや低く、耐熱性も十
分であるとは言い難い等、いくつかの実用上の問題点を
残していた。
【0013】以上のように、従来の光学用樹脂は用途に
応じてその特徴を考慮して使用されているものの、それ
ぞれに克服すべき欠点、問題点を有しているのが現状で
ある。このような状況下にあって、透明性、光学特性に
優れ(高屈折率、高アッベ数、低複屈折率など)、機械
的特性(例えば、耐衝撃性など)、熱的特性(例えば、
熱変形温度など)が良好であり、かつ、溶融流動性に優
れた新規な熱可塑性光学用樹脂の開発が切望されている
のが現状である。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上述
したような従来の光学用樹脂の欠点を解決し、透明性、
光学特性に優れ(高屈折率、高アッベ数、低複屈折率な
ど)、機械的特性、熱的特性が良好であり、かつ、溶融
流動性に優れ、射出成形加工性に優れた新規な熱可塑性
光学用樹脂を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するため、鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、(1) 式(1−A)で表される
繰り返し構造単位を必須構造単位として含有してなるポ
リ(チオ)エステル(共)重合体を成形して得られる光
学部品、
【0016】
【化24】
【0017】[式中、R11は環状アルキレン基、もしく
は、スルフィド基の硫黄原子を少なくとも1個以上含む
鎖状、環状またはこれらを組み合てなるアルキレン基を
表し、R12は単環状または多環状脂肪族ジカルボン酸残
基、あるいは、芳香族ジカルボン酸残基を表し、X11
よびX12はそれぞれ独立に酸素原子または硫黄原子を表
し、但し、X11およびX12が酸素原子の場合、R11はス
ルフィド基の硫黄原子を少なくとも1個以上含む鎖状、
環状またはこれらを組み合てなるアルキレン基を表
す。]
【0018】(2) 式(1−A)におけるR12が、単
環状または多環状脂肪族ジカルボン酸残基である前記光
学部品、
【0019】(3)式(1−A)におけるR12
【0020】
【化25】 で表される基のいずれかである前記光学部品、
【0021】(4) 式(1−A)におけるR11が、ス
ルフィド基の硫黄原子を少なくとも1個以上含む鎖状、
環状またはこれらを組み合てなるアルキレン基である、
前記(1)〜(3)の光学部品、(5) 式(1−A)
におけるR11
【0022】
【化26】
【0023】(式中、kは1〜4の整数を表し、lは0
〜3の整数を表し、R13およびR14は水素原子またはア
ルキル基を表す)で表される基のいずれかである前記
(4)の光学部品、(6) 式(1−A)において、R
12
【0024】
【化27】 で表される基のいずれかであり、R11
【0025】
【化28】
【0026】(式中、kは1〜4の整数を表し、lは0
〜3の整数を表し、R13およびR14は水素原子またはア
ルキル基を表す)で表される基のいずれかであり、X11
およびX12が硫黄原子である前記(5)の光学部品、
(7) 式(1−A)において、R12
【0027】
【化29】 で表される基であり、R11
【0028】
【化30】
【0029】(式中、kは1〜4の整数を表し、lは0
〜3の整数を表し、R13およびR14は水素原子またはア
ルキル基を表す)で表される基のいずれかであり、X11
およびX12が硫黄原子である前記(1)の光学部品、な
らびに、(8) ポリ(チオ)エステル(共)重合体
が、式(1−B)
【0030】
【化31】
【0031】(式中、R15は二価の環状脂肪族炭化水素
基を表し、R16は環状脂肪族ジカルボン酸残基または芳
香族ジカルボン酸残基を表す)で表される繰り返し構造
単位をさらに含有してなる共重合体である前記(1)〜
(7)の光学部品に関する。
【0032】また、本発明は、(9) 式(1−A)で
表される繰り返し構造単位を必須構造単位として含有し
てなるポリ(チオ)エステル(共)重合体。
【0033】
【化32】
【0034】[式中、R11は環状アルキレン基、もしく
は、スルフィド基の硫黄原子を少なくとも1個以上含む
鎖状、環状またはこれらを組み合てなるアルキレン基を
表し、R12は単環状または多環状脂肪族ジカルボン酸残
基、あるいは、芳香族ジカルボン酸残基を表し、X11
よびX12はそれぞれ独立に酸素原子または硫黄原子を表
し、但し、X11およびX12が酸素原子の場合、R11はス
ルフィド基の硫黄原子を少なくとも1個以上含む鎖状、
環状またはこれらを組み合てなるアルキレン基を表
す。]
【0035】(10) 式(1−A)におけるR12が単
環状または多環状脂肪族ジカルボン酸残基である前記
(9)のポリ(チオ)エステル(共)重合体、(11)
式(1−A)におけるR12
【0036】
【化33】 で表される基のいずれかである請求項(10)のポリ
(チオ)エステル(共)重合体、
【0037】(12) 式(1−A)におけるR11が、
スルフィド基の硫黄原子を少なくとも1個以上含む鎖
状、環状またはこれらを組み合てなるアルキレン基であ
る、前記(9)〜(11)のポリ(チオ)エステル
(共)重合体、(13) 式(1−A)におけるR11
【0038】
【化34】
【0039】(式中、kは1〜4の整数を表し、lは0
〜3の整数を表し、R13およびR14は水素原子またはア
ルキル基を表す)で表される基のいずれかである前記
(12)のポリ(チオ)エステル(共)重合体、(1
4) 式(1−A)において、R12
【0040】
【化35】 で表される基のいずれかであり、R11
【0041】
【化36】
【0042】(式中、kは1〜4の整数を表し、lは0
〜3の整数を表し、R13およびR14は水素原子またはア
ルキル基を表す)で表される基のいずれかであり、X11
およびX12が硫黄原子である前記(13)のポリ(チ
オ)エステル(共)重合体、(15) 式(1−A)に
おいて、R12
【0043】
【化37】 で表される基であり、R11
【0044】
【化38】
【0045】(式中、kは1〜4の整数を表し、lは0
〜3の整数を表し、R13およびR14は水素原子またはア
ルキル基を表す)で表される基のいずれかであり、X11
およびX12が硫黄原子である前記(9)のポリ(チオ)
エステル(共)重合体、ならびに、(16) ポリ(チ
オ)エステル(共)重合体が、式(1−B)で表される
繰り返し構造単位をさらに含有してなる共重合体である
前記(9)〜(15)記載のポリ(チオ)エステル共重
合体に関する。
【0046】
【化39】 (式中、R15は二価の環状脂肪族炭化水素基を表し、R
16は環状脂肪族ジカルボン酸残基または芳香族ジカルボ
ン酸残基を表す)
【0047】さらに、本発明のポリ(チオ)エステル共
重合体の好ましい態様として、(17) 式(2−A)
および式(2−B)で表される繰り返し構造単位を含有
してなる(16)のポリ(チオ)エステル共重合体。
【0048】
【化40】 (式中、R21はそれぞれ水素原子またはアルキル基を表
し、R22はそれぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基
またはハロゲン原子を表し、mはそれぞれ0〜3の整数
を表し、nはそれぞれ0〜4の整数を表す)
【0049】(18) 式(2−A)および式(3−
B)で表される繰り返し構造単位を含有してなる(1
6)のポリ(チオ)エステル共重合体。
【0050】
【化41】 (式中、R21はそれぞれ水素原子またはアルキル基を表
し、R23はそれぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基
またはハロゲン原子を表し、mはそれぞれ0〜3の整数
を表し、pはそれぞれ0〜4の整数を表す)
【0051】(19) 式(3−A)および式(4−
B)で表される繰り返し構造単位を含有してなる(1
6)のポリ(チオ)エステル共重合体。
【0052】
【化42】 (式中、R21はそれぞれ水素原子またはアルキル基を表
し、R22はそれぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基
またはハロゲン原子を表し、mはそれぞれ0〜3の整数
を表し、nはそれぞれ0〜4の整数を表す)
【0053】(20) 式(3−A)および式(5−
B)で表される繰り返し構造単位を含有してなる(1
6)のポリ(チオ)エステル共重合体。
【0054】
【化43】 (式中、R21はそれぞれ水素原子またはアルキル基を表
し、R23はそれぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基
またはハロゲン原子を表し、mはそれぞれ0〜3の整数
を表し、pはそれぞれ0〜4の整数を表す)
【0055】(21) 式(4−A)および式(6−
B)で表される繰り返し構造単位を含有してなる(1
6)のポリ(チオ)エステル共重合体。
【0056】
【化44】 (式中、R21はそれぞれ水素原子またはアルキル基を表
し、R22はそれぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基
またはハロゲン原子を表し、mはそれぞれ0〜3の整数
を表し、nはそれぞれ0〜4の整数を表す)
【0057】(22) 式(4−A)および式(7−
B)で表される繰り返し構造単位を含有してなる(1
6)のポリ(チオ)エステル共重合体。
【0058】
【化45】 (式中、R21はそれぞれ水素原子またはアルキル基を表
し、R23はそれぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基
またはハロゲン原子を表し、mはそれぞれ0〜3の整数
を表し、pはそれぞれ0〜4の整数を表す)
【0059】(23) ポリ(チオ)エステル共重合体
が、さらに式(1−C)で表される繰り返し構造単位を
含有してなる共重合体である前記(17)〜(22)の
ポリ(チオ)エステル共重合体に関する。
【0060】
【化46】 (式中、R17は二価の芳香族炭化水素基を表し、R18
環状脂肪族ジカルボン酸残基または芳香族ジカルボン酸
残基を表す)
【0061】さらに本発明は、前記(17)〜(23)
のポリ(チオ)エステル共重合体を含有してなる樹脂組
成物、前記(17)〜(23)のポリ(チオ)エステル
共重合体からなる光学部品、ならびに、該樹脂組成物を
成形して得られる光学部品に関する。
【0062】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
まず、式(1−A)で表される繰り返し構造単位を必須
構造単位として含有してなるポリ(チオ)エステル
(共)重合体を成形して得られる光学部品について説明
する。
【0063】本発明におけるポリ(チオ)エステル
(共)重合体は、ジカルボン酸化合物とジヒドロキシ化
合物および/またはジチオール化合物との反応により得
られる重合体であって、線状の高分子構造を有してい
る。加熱に伴って架橋反応が進行してネットワーク状の
高分子となる、いわゆる、熱硬化性樹脂とは異なる。
【0064】該ポリ(チオ)エステル(共)重合体は、
ある一定温度以上に加熱すると溶融、流動化して腑形、
成形加工が可能となる、いわゆる、熱可塑性樹脂であ
る。ただし、熱によって、腑形、成形加工が損なわれな
い程度において、高分子同士が、非常に部分的に架橋し
ていることは差し支えなく、この場合、実質的に線状と
する。
【0065】式(1−A)において、R11は環状アルキ
レン基、もしくは、スルフィド基の硫黄原子を少なくと
も1個以上含む鎖状、環状またはこれらを組み合てなる
アルキレン基を表す。但し、X11およびX12が酸素原子
である場合、R11はスルフィド基の硫黄原子を少なくと
も1個以上含む鎖状、環状またはこれらを組み合てなる
アルキレン基を表す。
【0066】R11として、好ましくは、総炭素数6〜1
2の環状アルキレン基、もしくは、スルフィド基の硫黄
原子を含む総炭素数1〜20の鎖状、環状またはこれら
の組み合わせからなるアルキレン基であり、より好まし
くは、シクロヘキシレン基、スルフィド基の硫黄原子を
少なくとも1個以上含む、総炭素数1〜12の鎖状アル
キレン基、総炭素数5〜12の環状アルキレン基、また
は、これらを組み合てなる総炭素数6〜15のアルキレ
ン基であり、さらに好ましくは、スルフィド基の硫黄原
子を少なくとも1個以上含む、総炭素数1〜8の鎖状ア
ルキレン基、総炭素数5〜10の環状アルキレン基、ま
たは、これらを組み合てなる総炭素数6〜12のアルキ
レン基である。
【0067】R11中は、硫黄原子の他に、酸素原子など
のヘテロ原子を含有していてもよい。本発明の所望の効
果である、高屈折率、高アッベ数を得るために、スルフ
ィド基の硫黄原子が少なくとも1個以上含まれているこ
とは好ましく、スルフィド基の硫黄原子が少なくとも2
個以上含まれていることは、より好ましい。
【0068】R11基として、さらに好ましくは、
【0069】
【化47】 で表される基のいずれかであり、これらの中でも
【0070】
【化48】 で表される基は、特に好ましい。
【0071】上記式中、kは1〜4の整数を表し、好ま
しくは、1〜3の整数であり、より好ましくは、1また
は2である。かかるkとして、1は特に好ましい。
【0072】lは0〜3の整数を表し、好ましくは、0
〜2の整数であり、より好ましくは、0または1であ
る。かかるlとして、1は特に好ましい。
【0073】R13およびR14は水素原子またはアルキル
基を表し、好ましくは、水素原子または炭素数1〜4の
アルキル基であり、より好ましくは、水素原子またはメ
チル基である。該R13またはR14として、水素原子は、
特に好ましい。
【0074】式(1−A)において、R12は単環状また
は多環状脂肪族ジカルボン酸残基、あるいは、芳香族ジ
カルボン酸残基を表す。
【0075】該R12として、好ましくは、総炭素数5〜
20の単環状または多環状脂肪族ジカルボン酸残基、あ
るいは、芳香族ジカルボン酸残基であり、より好ましく
は、総炭素数6〜12の単環状または多環状脂肪族ジカ
ルボン酸残基、あるいは、芳香族ジカルボン酸残基であ
る。
【0076】かかる単環状または多環状脂肪族ジカルボ
ン酸残基の具体例としては、例えば、
【0077】
【化49】 が挙げられる。
【0078】芳香族ジカルボン酸残基としては、例え
ば、
【0079】
【化50】 が挙げられる。
【0080】本発明の所望の効果(高アッベ数)を明確
に得るためには、かかるR12として、好ましくは、総炭
素数6〜12の単環または多環状脂肪族ジカルボン酸残
基であり、より好ましくは、
【0081】
【化51】 で表される単環状または多環状脂肪族ジカルボン酸残基
のいずれかである。これらの中でも、R12として、
【0082】
【化52】 で表される二価の単環状または多環状脂肪族ジカルボン
酸残基は、特に好ましい。
【0083】本発明の式(1−A)で表される繰り返し
構造単位を含有してなるポリ(チオ)エステル(共)重
合体は、反応それ自体は公知の各種ポリ(チオ)エステ
ル重合方法[例えば、実験化学講座第4版(28巻)高
分子合成、217〜231頁、丸善出版(1988年)
に記載の方法など]に従って、好適に製造される。
【0084】すなわち、代表的には、例えば、ジカルボ
ン酸クロリド等を用いる溶融重合法、溶液重合法または
界面重合法、エステル交換法、直接重合法などの方法で
あり、より具体的には、
【0085】(I) 式(1)で表されるジチオール化
合物または/およびジヒドロキシ化合物に、式(2)で
表されるジカルボン酸の酸ハロゲン化物(例えば、酸ク
ロリド、酸ブロミドなど)を、無溶媒または溶媒中で作
用させて脱ハロゲン化水素して(チオ)エステル化反応
を行い重合する方法;
【0086】(II) 式(1)で表されるジチオール化
合物または/およびジヒドロキシ化合物に、式(2)で
表されるジカルボン酸のエステル化合物(例えば、メチ
ルエステル、エチルエステル、n−プロピルエステル、
n−ブチルエステル、イソブチルエステル、tert−
ブチルエステルなどのアルキルエステル、フェニルエス
テルなどのアリールエステルなど)を、無溶媒または溶
媒中で作用させてエステル交換反応により(チオ)エス
テル化反応を行い重合する方法;
【0087】(III) 式(1)で表されるジチオール
化合物または/およびジヒドロキシ化合物に、式(2)
で表されるジカルボン酸を無溶媒または溶媒中で作用さ
せて、脱水縮合して(チオ)エステル化反応を行い重合
する方法;などが挙げられる。
【0088】これらの方法においては、反応を効率的に
行うために、必要に応じて、酸または塩基(無機の酸ま
たは塩基、有機の酸または塩基など)を使用して、その
存在下に行うことが可能である。
【0089】
【化53】 (式中、R11、R12、X11およびX12は前記に同じ)
【0090】一般式(1)で表されるジチオール化合物
またはジヒドロキシ化合物としては、工業的に入手可能
な化合物、あるいは、公知の方法に従って合成可能な各
種化合物などが好適に使用される。該化合物として例え
ば、1,4−シクロヘキサンジチオール、1,3−シク
ロヘキサンジチオール、1,2−シクロヘキサンジチオ
ール、1,4−ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサ
ン、1,3−ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサ
ン、1,2−ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサ
ン、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド、ビス
(2−メルカプトエチルチオ)エタン、2,5−ビス
(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビ
ス(メルカプトメチル)−2,5−ジメチル−1,4−
ジチアン、2−メルカプトメチル−6−メルカプト−
1,4−ジチアシクロヘプタン、3,7−ジメルカプト
−1,5−ジチアシクロオクタン2,5−ビス(ヒドロ
キシメチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(ヒド
ロキシメチル)−2,5−ジメチル−1,4−ジチア
ン、2−ヒドロキシメチル−6−ヒドロキシ−1,4−
ジチアシクロヘプタン、3,7−ジヒドロキシ−1,5
−ジチアシクロオクタン2,4−ビス(メルカプトメチ
ル)−1,3−ジチオラン、4,5−ビス(メルカプト
メチル)−1,3−ジチアン2,4−ビス(ヒドロキシ
メチル)−1,3−ジチオラン、4,5−ビス(ヒドロ
キシメチル)−1,3−ジチアン2−メルカプトメチル
−4−ヒドロキシメチル−1,3−ジチオラン、2,6
−ジメルカプト−8−チアトリシクロ[2.2.1.1
3,5]オクタン、2,5−ジメルカプト−8−チアトリ
シクロ[2.2.1.12,3]オクタン、2,6−ジヒ
ドロキシ−8−チアトリシクロ[2.2.1.13,5
オクタン、2,5−ジヒドロキシ−8−チアトリシクロ
[2.2.1.12,3]オクタンなどが例示されるが、
本発明はこれらの例示に限定されるものではない。
【0091】一般式(1)で表されるジチオール化合物
またはジヒドロキシ化合物の製造法について、代表的な
方法をいくつか説明する。例えば、2,5−ビス(メル
カプトメチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(メ
ルカプトメチル)−2,5−ジメチル−1,4−ジチア
ンなどのジチオール化合物は、例えば、特開平3−23
6836号公報、Journal of Organic Chemistry.,34
巻、3389〜3391頁(1969年)などに記載の
方法により好適に製造される。
【0092】2,5−ビス(ヒドロキシメチル)−1,
4−ジチアン、3−ヒドロキシ−6−ヒドロキシメチル
−1,5−ジチアシクロヘプタン、3,7−ジヒドロキ
シ−1,5−ジチアシクロオクタン、2,5−ビス(ヒ
ドロキシメチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス
(ヒドロキシメチル)−2,5−ジメチル−1,4−ジ
チアンなどのジヒドロキシ化合物は、2,5−ビス(メ
ルカプトメチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス
(メルカプトメチル)−2,5−ジメチル−1,4−ジ
チアンなどの前記ジチオール化合物を製造する際の中間
体である下記式(3)のジハロゲン化合物をプロトン性
極性溶媒中、アルカリ金属またはアルカリ金属塩を使用
して加水分解する方法などにより製造される。
【0093】
【化54】 (式中、R31、R32、R33、R34はそれぞれ独立に水素
またはアルキル基を示し、X31はフルオロ基、クロル
基、ブロム基またはヨード基を示す)
【0094】かかる加水分解において使用するプロトン
性極性溶媒としては、具体的には、水、メタノール、エ
タノール、イソプロパノール、n-ブタノールなどが挙げ
られるが、これらに限定されるものではない。また、ア
ルカリ金属、アルカリ金属塩としては、重炭酸ナトリウ
ム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム等が使用できるが、通常のアルカリ
加水分解で使用される条件であれば、差し支えない。
【0095】但し、上記式(3)で表されるジハロゲン
化合物を加水分解して得られる生成物は、条件によっ
て、2,5−ビス(ヒドロキシメチル)−1,4−ジチ
アンの他に、3−ヒドロキシ−6−ヒドロキシメチル−
1,5−ジチアシクロヘプタン、3,7−ジヒドロキシ
−1,5−ジチアシクロオクタンなどのジヒドロキシ化
合物が副生して混合物となるので、各々の化合物はカラ
ムクロマトグラフィー、精密蒸留等の方法で分離、精製
され製造される。
【0096】また、例えば、2,6−ジヒドロキシ−8
−チアトリシクロ[2.2.1.1 3,5]オクタン、
2,5−ジヒドロキシ−8−チアトリシクロ[2.2.
1.12 ,3]オクタンなどのジヒドロキシ化合物は、公
知の方法[例えば、Journal of Organic Chemistry、vo
l.34 p3998〜 p4002 (1968)などに記載
の方法]に従い、例えば、2,6−ジクロロ−8−チア
トリシクロ[2.2.1.13,5]オクタン、2,5−
ジクロロ−8−チアトリシクロ[2.2.1.12,3
オクタンなどのジハロゲン化合物を加水分解することに
よって製造される。
【0097】これまでに述べた環状脂肪族ジチオール化
合物またはジヒドロキシ化合物の中には、シス(ci
s)体、トランス(trans)体、あるいは、エキソ
(exo)体、エンド(endo)体などの立体異性体
が存在するものがあるが、本発明にかかる環状脂肪族ジ
チオール化合物またはジヒドロキシ化合物としては、こ
れら立体異性体のいずれのものであってもよい。また、
これらの立体異性体をそれぞれ単離して単独で使用して
もよく、あるいは、これら立体異性体の混合物として使
用してもよい。
【0098】一般式(2)で表されるジカルボン酸とし
ては、工業的に入手可能あるいは公知の方法に従って合
成することが可能な各種化合物が好適に使用される。
【0099】かかる化合物としては、例えば、1,4−
シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサン
ジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸な
どの単環状脂肪族ジカルボン酸類;ノルボルナン−2,
5−ジカルボン酸、ノルボルナン−2,6−ジカルボン
酸、ノルボルナン−2,3−ジカルボン酸などの多環状
脂肪族ジカルボン酸類;テレフタル酸、イソフタル酸、
フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−
ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボ
ン酸などの芳香族ジカルボン酸;などが例示されるが、
本発明はこれらの例示に限定されるものではない。
【0100】上記環状脂肪族ジカルボン酸またはその誘
導体(その酸ハロゲン化物またはそのエステル化合物)
の中には、位置異性体の他に、シス(cis)体、トラ
ンス(trans)体、あるいは、エキソ(exo)
体、エンド(endo)体、などの立体異性体が存在す
るものがあるが、本発明にかかる環状脂肪族ジカルボン
酸またはその誘導体(その酸ハロゲン化物またはそのエ
ステル化合物)としては、これら立体異性体のいずれの
ものであってもよい。また、これらの立体異性体をそれ
ぞれ単離して単独で使用してもよく、あるいは、これら
立体異性体の混合物として使用してもよい。
【0101】本発明に係る一般式(1−A)で表される
繰り返し構造単位として、以下に示される繰り返し構造
単位が、より好ましい。
【0102】
【化55】
【0103】
【化56】
【0104】
【化57】
【0105】
【化58】
【0106】
【化59】
【0107】
【化60】
【0108】本発明のポリ(チオ)エステル(共)重合
体は、式(1−A)で表される繰り返し構造単位であっ
て、互いに異なる複数の繰り返し構造単位を含有してな
る二元共重合体または三元共重合体以上の多元共重合体
であってもよい。
【0109】また、本発明のポリ(チオ)エステル
(共)重合体においては、原料モノマーとなる式(1)
で表されるジチオール/ジヒドロキシ化合物が立体異性
体を有している場合があり、また、式(2)で表される
単環状又は多環状脂肪族ジカルボン酸またはその誘導体
が位置異性体、立体異性体を有していることから、一般
式(1−A)で表される繰り返し構造単位において、通
常、それらに起因する位置および立体構造の異なる複数
の繰り返し構造単位が存在する。本発明のポリ(チオ)
エステル(共)重合体は、これらの混合物であってもよ
く、あるいは、特定の一種類の異性体構造を有する繰り
返し構造単位のみからなる重合体であってもよい。
【0110】本発明のポリ(チオ)エステル(共)重合体
は、式(1−A)で表される繰り返し構造単位を必須構
造単位として含有することが特徴であるが、光学部品と
して要望されている諸物性を満たすために、式(1−
A)以外の繰り返し構造単位を同時に含有することは、
好ましいことである。
【0111】すなわち、本発明の所望の効果を得るため
に、本発明のポリ(チオ)エステル(共)重合体の中で
も、式(1−A)で表される繰り返し構造単位、ならび
に、式(1−A)以外の繰り返し構造単位を含有してな
る二元共重合体は、好ましい。
【0112】該ポリ(チオ)エステル共重合体は、ラン
ダム共重合体、交互共重合体あるいはブロック共重合体
のいずれであってもよい。
【0113】かかる式(1−A)以外の繰り返し構造単
位としては、好ましくは、下記式(1−B)で表される
繰り返し構造単位である。
【0114】
【化61】 (式中、R15は二価の環状脂肪族炭化水素基を表し、R
16は環状脂肪族ジカルボン酸残基または芳香族ジカルボ
ン酸残基を表す)
【0115】上記式(1−B)における、R15は二価の
環状脂肪族炭化水素基を表し、好ましくは、総炭素数6
〜20の二価の環状脂肪族炭化水素基であり、より好ま
しくは、総炭素数6〜12の環状脂肪族炭化水素基であ
る。
【0116】上記式(1−B)において、R16は環状脂
肪族ジカルボン酸残基または芳香族ジカルボン酸残基を
表し、具体的には、前記R12と同じ意味を表す。該R16
基として、好ましくは、環状脂肪族ジカルボン酸残基で
あり、より好ましくは、
【0117】
【化62】 で表される基のいずれかである。又、ベンゼンジカルボ
ン酸(イソフタル酸、テレフタル酸等)の残基であるフ
ェニレン基も好ましいものとして例示できる。
【0118】かかる式(1−B)で表される繰り返し構
造単位は、前述した一般式(2)で表される環状脂肪族
ジカルボン酸または芳香族ジカルボン酸と、一般式
(4)で表される公知の環状脂肪族ジヒドロキシ化合物
から得られる繰り返し構造単位である。
【0119】
【化63】 (式中、R15は前記と同じ意味を表す)
【0120】かかる環状脂肪族ジヒドロキシ化合物の具
体例としては、1,4−シクロヘキサンジオール、1,
3−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサン
ジオール、2,5−ジメチル−1,4−シクロヘキサン
ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,
3−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキ
サンジメタノール、2,2−ビス(4’−ヒドロキシシ
クロヘキシル)メタン(通称、水素化ビスフェノール
F)、2,2−ビス(4’−ヒドロキシシクロヘキシ
ル)プロパン(通称、水素化ビスフェノールA)、2,
2−ビス(4−ヒドロキシ−2−メチルシクロヘキシ
ル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メ
チルシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒ
ドロキシ−3−エチルシクロヘキシル)プロパン、2,
2−ビス(4−ヒドロキシ−3−tert−ブチルシクロヘ
キシル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−
2,5−ジメチルシクロヘキシル)プロパン、2,2−
ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルシクロヘキシ
ル)プロパン、2,5−ジヒドロキシノルボルナン、
2,6−ジヒドロキシノルボルナン、2,3−ジヒドロ
キシノルボルナン、2,5−ビス(ヒドロキシメチル)
ノルボルナン、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)ノル
ボルナン、2,3−ビス(ヒドロキシメチル)ノルボル
ナン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタ
ノールなどが例示されるが、これらに限定されるもので
はない。
【0121】かかるポリ(チオ)エステル共重合体にお
いて、光学特性(屈折率、アッベ数)耐熱性、成形加工
性、機械物性等の諸物性のバランスを考慮すると、式
(1−A)および式(1−B)で表される全繰り返し構
造単位中に含まれる式(1−A)で表される繰り返し構
造単位の割合は、1〜99%であり、好ましくは、5〜
95モル%であり、より好ましくは、10〜90モル%
であり、さらに好ましくは、20〜80モル%である。
【0122】式(1−A)で表される繰り返し構造単位
が5%以上の場合、屈折率、アッベ数共に、光学用樹脂
として使用するのに十分な性能を有したものとなる。
【0123】一方、これらのポリ(チオ)エステル共重
合体において、光学特性(屈折率、アッベ数)、耐熱
性、成形加工性、機械物性等の諸物性のバランスを考慮
すると、式(1−A)および式(1−B)で表される全
繰り返し構造単位中に含まれる式(1−B)で表される
繰り返し構造単位の割合は、1〜99%であり、好まし
くは、5〜95モル%であり、より好ましくは、10〜
90モル%であり、さらに好ましくは、20〜80モル
%である。式(1−B)で表される繰り返し構造単位が
5%以上の場合、耐熱性、成形加工性の面で、光学用樹
脂として使用するのに、十分な性能を有している。
【0124】本発明のポリ(チオ)エステル共重合体と
しては、以下のポリ(チオ)エステル共重合体<1>〜
<6>が、具体的な好ましい例として挙げられる。以
下、該ポリ(チオ)エステル共重合体について各々説明
する。
【0125】<1> 式(2−A)および式(2−B)
で表される繰り返し構造単位を含有してなるポリ(チ
オ)エステル共重合体について説明する。
【0126】
【化64】 (式中、R21はそれぞれ水素原子またはアルキル基を表
し、R22はそれぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基
またはハロゲン原子を表し、mはそれぞれ0〜3の整数
を表し、nはそれぞれ0〜4の整数を表す)
【0127】かかるポリ(チオ)エステル共重合体は、
代表的な方法としては、下記式(5)で表されるジチオ
ール化合物と下記式(6)で表されるジヒドロキシ化合
物との混合物を、下記式(7)で表される環状脂肪族ジ
カルボン酸またはその誘導体(その酸ハロゲン化物また
はそのエステル化合物)と作用させ、(チオ)エステル
化反応により共重合させることにより得られるものであ
る。
【0128】該ポリ(チオ)エステル共重合体は、式
(5)で表されるジチオール化合物と式(7)で表され
る環状脂肪族ジカルボン酸またはその誘導体とから得ら
れる一般式(2−A)で表される繰り返し構造単位と、
式(6)で表されるジヒドロキシ化合物と式(7)で表
される環状脂肪族ジカルボン酸またはその誘導体とから
得られる一般式(2−B)で表される繰り返し構造単位
の2つの繰り返し構造単位を、必須の繰り返し構造単位
として有する共重合体であって、ランダム共重合体、交
互共重合体あるいはブロック共重合体のいずれであって
もよい。
【0129】
【化65】 (式中、R21、R22、mおよびnは前記に同じ)
【0130】これらのポリ(チオ)エステル共重合体に
おいて、光学特性(屈折率、アッベ数)耐熱性、成形加
工性、機械物性等の諸物性のバランスを考慮すると、一
般式(2−A)および一般式(2−B)で表される全繰
り返し構造単位中に含まれる一般式(2−A)で表され
る繰り返し構造単位の割合は、1〜99%であり、好ま
しくは、5〜95モル%であり、より好ましくは、10
〜90モル%であり、さらに好ましくは、20〜80モ
ル%である。
【0131】特に一般式(2−A)で表される繰り返し
構造単位が5%以上の場合、屈折率、アッベ数ともに、
光学用樹脂として使用するのに十分な性能を有したもの
となり好ましい。
【0132】一方、これらのポリ(チオ)エステル共重
合体において、光学特性(屈折率、アッベ数)、耐熱
性、成形加工性、機械物性等の諸物性のバランスを考慮
すると、一般式(2−A)および一般式(2−B)で表
される全繰り返し構造単位中に含まれる一般式(2−
B)で表される繰り返し構造単位の割合は、1〜99%
であり、好ましくは、5〜95モル%であり、より好ま
しくは、10〜90モル%であり、さらに好ましくは、
20〜80モル%である。一般式(2−B)で表される
繰り返し構造単位が5%以上の場合、耐熱性、成形加工
性等の面で、光学用樹脂として使用するのに十分な性能
を有しているため好ましい。
【0133】一般式(2−A)において、R21はそれぞ
れ水素原子またはアルキル基を表し、好ましくは、水素
原子または炭素数1〜8のアルキル基を表し、より好ま
しくは、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表
す。
【0134】該置換基R21として、例えば、水素原子、
メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル
基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル
基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル
基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基などが例示
される。
【0135】かかる置換基R21として、さらに好ましく
は、水素原子またはメチル基であり、該置換基R21とし
て、水素原子は特に好ましい。
【0136】一般式(2−A)において、mは整数0〜
4を表し、好ましくは、整数0〜3を表し、より好まし
くは、0又は1を表す。一般式(2−A)におけるmと
して、1は特に好ましい。
【0137】一般式(2−B)において、R22はそれぞ
れ独立に、アルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原
子を表す。
【0138】該置換基R22として、好ましくは、炭素数
1〜4のアルキル基(メチル基、エチル基、n−プロピ
ル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、
tert−ブチル基)、炭素数1〜4のアルコキシ基
(メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプ
ロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−
ブトキシ基)またはフッ素原子、塩素原子または臭素原
子である。かかる置換基R22として、より好ましくは、
メチル基である。
【0139】一般式(2−B)において、nは0〜4の
整数を表し、好ましくは、0〜3の整数であり、より好
ましくは、0〜2の整数であり、さらに好ましくは、0
または1である。一般式(2−B)におけるnとして、
0は特に好ましい。
【0140】一般式(2−A)で表される繰り返し構造
単位の中でも、下記式(2−A−i)または式(2−A
−ii)で表される繰り返し構造単位は、より好ましい。
【0141】
【化66】
【0142】一般式(2−B)で表される繰り返し構造
単位の中でも、下記式(2−B−i)または式(2−B
−ii)で表される繰り返し構造単位はより好ましい。
【0143】
【化67】
【0144】本発明のポリ(チオ)エステル共重合体<
1>においては、原料モノマーとなる式(6)で表され
るジオール化合物が立体異性体を有しており、また、式
(7)で表される脂肪族ジカルボン酸またはその誘導体
が位置異性体、立体異性体を有していることから、式
(2−A)および式(2−B)で表される繰り返し構造
単位において、通常、それらに起因する位置および立体
構造の異なる複数の繰り返し構造単位が存在する。本発
明のポリ(チオ)エステル共重合体<1>は、これらの
混合物であってもよく、あるいは、特定の一種類の異性
体構造を有する繰り返し構造単位のみからなる重合体で
あってもよい。
【0145】本発明のポリ(チオ)エステル共重合体<
1>を製造するに際して、用いられる原料モノマーであ
る、式(5)で表されるジチオール化合物ならびに式
(6)で表されるジヒドロキシ化合物はそれぞれ公知化
合物であり、公知の方法により好適に製造され、工業的
に入手可能である。
【0146】すなわち、式(5)で表されるジチオール
化合物は、例えば、特開平3−236836号公報、Jo
urnal of Organic Chemistry.,34巻、3389〜33
91頁(1969年)などに記載の方法により好適に製
造される。
【0147】かかる式(5)で表されるジチオール化合
物としては、例えば、2,5−ビス(メルカプトメチ
ル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(メルカプトメ
チル)−2,5−ジメチル−1,4−ジチアンなどが例
示されるが、これらに限定されるものではない。
【0148】式(6)で表されるジヒドロキシ化合物
は、例えば、Beilstein 6巻、741頁に記載の方法に
より製造され、工業原料として入手可能である。これら
の化合物は、シクロヘキサン環に結合した二つのヒドロ
キシ基について、シス体またはトランス体の立体異性体
が存在するが、本発明においては、これらいずれ立体異
性体であってもよく、あるいは、これら立体異性体の混
合物であってもよい。
【0149】かかる式(6)で表されるジヒドロキシ化
合物としては、例えば、1,4−シクロヘキサンジオー
ル、1,3−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロ
ヘキサンジオール、2,5−ジメチル−1,4−シクロ
ヘキサンジオールなどが例示されるが、これらに限定さ
れるものではない。
【0150】式(7)で表される環状脂肪族ジカルボン
酸、その酸ハロゲン化物(例えば、酸クロリド、酸ブロ
ミドなど)またはそのエステル化合物(例えば、メチル
エステル、エチルエステル、n−プロピルエステル、n
−ブチルエステル、イソブチルエステル、tert−ブ
チルエステルなどのアルキルエステル、フェニルエステ
ルなどのアリールエステルなど)は公知化合物であり、
公知の方法、例えば、下記式(A)に示される合成経路
等に従って、好適に製造される。
【0151】
【化68】 (式中、X71は塩素原子または臭素原子を表し、R71
アルキル基またはアリール基を表す)
【0152】かかる式(7)で表される環状脂肪族ジカ
ルボン酸として、例えば、ノルボルナン−2,5−ジカ
ルボン酸、ノルボルナン−2,6−ジカルボン酸、ノル
ボルナン−2,3−ジカルボン酸などのジカルボン酸化
合物が例示されるが、これらに限定されるものではな
い。
【0153】本発明に係る式(7)で表される環状脂肪
族カルボン酸として、好ましくは、式(7−i)または
式(7−ii)で表される環状脂肪族ジカルボン酸であ
る。
【0154】
【化69】
【0155】これら環状脂肪族ジカルボン酸またはその
誘導体(その酸ハロゲン化物またはそのエステル化合
物)には、上記位置異性体の他に、exo体、endo
体などの立体異性体が存在するが、本発明にかかる環状
脂肪族ジカルボン酸またはその誘導体(その酸ハロゲン
化物またはそのエステル化合物)としては、これらの位
置異性体または立体異性体をそれぞれ単離して単独で使
用してもよく、あるいは、これら位置異性体または立体
異性体の混合物であってもよい。
【0156】<2> 次に、式(2−A)および式(3
−B)で表される繰り返し構造単位を含有してなるポリ
(チオ)エステル共重合体について、説明する。
【0157】
【化70】 (式中、R21はそれぞれ水素原子またはアルキル基を表
し、R23はそれぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基
またはハロゲン原子を表し、mはそれぞれ0〜3の整数
を表し、pはそれぞれ0〜4の整数を表す)
【0158】本発明のポリ(チオ)エステル共重合体<
2>は、後で詳細に説明するが、代表的には、前記式
(5)で表されるジチオール化合物と下記式(8)で表
されるジヒドロキシ化合物との混合物を、前記式(7)
で表される環状脂肪族ジカルボン酸またはその誘導体
(その酸ハロゲン化物またはそのエステル化合物)と作
用させ、(チオ)エステル化反応により共重合させるこ
とにより得られるものである。
【0159】本発明のポリ(チオ)エステル共重合体<
2>は、式(5)で表されるジチオール化合物と式
(7)で表される環状脂肪族ジカルボン酸またはその誘
導体とから得られる一般式(2−A)で表される繰り返
し構造単位と、式(8)で表されるジヒドロキシ化合物
と式(7)で表される環状脂肪族ジカルボン酸またはそ
の誘導体とから得られる一般式(3−B)で表される繰
り返し構造単位の2つの繰り返し構造単位を、必須の繰
り返し構造単位として有する共重合体であって、ランダ
ム共重合体、交互共重合体あるいはブロック共重合体の
いずれであってもよい。
【0160】
【化71】 (式中、R23およびpは前記に同じ)
【0161】これらのポリ(チオ)エステル共重合体に
おいて、光学特性(屈折率、アッベ数)耐熱性、成形加
工性、機械物性等の諸物性のバランスを考慮すると、一
般式(2−A)および一般式(3−B)で表される全繰
り返し構造単位中に含まれる一般式(2−A)で表され
る繰り返し構造単位の割合は、1〜99%であり、好ま
しくは、5〜95モル%であり、より好ましくは、10
〜90モル%であり、さらに好ましくは、20〜80モ
ル%である。一般式(2−A)で表される繰り返し構造
単位が5%以上の場合、屈折率、アッベ数ともに、光学
用樹脂として使用するのに十分な性能を有したものとな
り好ましい。
【0162】一方、これらのポリ(チオ)エステル共重
合体において、光学特性(屈折率、アッベ数)耐熱性、
成形加工性、機械物性等の諸物性のバランスを考慮する
と、一般式(2−A)および一般式(3−B)で表され
る全繰り返し構造単位中に含まれる一般式(3−B)で
表される繰り返し構造単位の割合は、1〜99%であ
り、好ましくは、5〜95モル%であり、より好ましく
は、10〜90モル%であり、さらに好ましくは、20
〜80モル%である。一般式(3−B)で表される繰り
返し構造単位が5%以上の場合、耐熱性、成形加工性等
の面で、光学用樹脂として使用するのに十分な性能を有
しているため好ましい。
【0163】一般式(3−B)において、R23はそれぞ
れ独立に、アルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原
子を表す。該置換基R23として、好ましくは、炭素数1
〜4のアルキル基(メチル基、エチル基、n−プロピル
基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t
ert−ブチル基)、炭素数1〜4のアルコキシ基(メ
トキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポ
キシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブト
キシ基)またはフッ素原子、塩素原子または臭素原子で
ある。かかる置換基R23として、より好ましくは、メチ
ル基である。
【0164】一般式(3−B)において、pは0〜4の
整数を表し、好ましくは、0から3の整数であり、より
好ましくは、0〜2の整数であり、さらに好ましくは、
0又は1であり、特に0が好ましい。
【0165】一般式(3−B)で表される繰り返し構造
単位の中でも、下記式(3−B−i)または式(3−B
−ii)で表される繰り返し構造単位はより好ましい。
【0166】
【化72】
【0167】本発明のポリ(チオ)エステル共重合体<
2>においては、原料モノマーとなる式(8)で表され
るジヒドロキシ化合物が立体異性体を有しており、ま
た、式(7)で表される脂肪族ジカルボン酸またはその
誘導体が位置異性体、立体異性体を有していることか
ら、式(2−A)および式(3−B)で表される繰り返
し構造単位において、通常、それらに起因する位置およ
び立体構造の異なる複数の繰り返し構造単位が存在す
る。本発明のポリ(チオ)エステル共重合体<2>は、
これらの混合物であってもよく、あるいは、特定の一種
類の異性体構造を有する繰り返し構造単位のみからなる
重合体であってもよい。
【0168】該ポリ(チオ)エステル共重合体<2>を
製造するに際して、用いられる原料モノマーである式
(8)で表されるジヒドロキシ化合物はそれぞれ公知化
合物であり、公知の方法により好適に製造され、工業的
に入手可能である。
【0169】すなわち、式(8)で表されるジヒドロキ
シ化合物は、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)プロパンを水素化することにより製造され、工
業原料として入手可能である。これらの化合物は、各々
のシクロヘキサン環に結合したヒドロキシ基とイソプロ
ピリデン基について、各々、シス体またはトランス体の
立体異性体が存在するが、本発明において用いる式
(8)で表されるジヒドロキシ化合物は、いずれの立体
異性体であってもよく、あるいは、これら立体異性体の
混合物であってもよい。
【0170】かかる式(8)で表されるジヒドロキシ化
合物としては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシ
シクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロ
キシ−2−メチルシクロヘキシル)プロパン、2,2−
ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルシクロヘキシル)プ
ロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルシ
クロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキ
シ−3−tert−ブチルシクロヘキシル)プロパン、2,
2−ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルシクロヘ
キシル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−
3,5−ジメチルシクロヘキシル)プロパンなどが例示
されるが、これらに限定されるものではない。
【0171】<3> 次に、式(3−A)および式(4
−B)で表される繰り返し構造単位を含有してなるポリ
(チオ)エステル共重合体について説明する。
【0172】
【化73】 (式中、R21はそれぞれ水素原子またはアルキル基を表
し、R22はそれぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基
またはハロゲン原子を表し、mはそれぞれ0〜3の整数
を表し、nはそれぞれ0〜4の整数を表す)
【0173】かかる本発明のポリ(チオ)エステル共重
合体<3>は、代表的には、前記式(5)で表されるジ
チオール化合物と前記式(6)で表されるジヒドロキシ
化合物との混合物を、下記式(9)で表される環状脂肪
族ジカルボン酸またはその誘導体(その酸ハロゲン化物
またはそのエステル化合物)と作用させ、(チオ)エス
テル化反応により共重合させることにより得られるもの
である。
【0174】本発明のポリ(チオ)エステル共重合体<
3>は、式(5)で表されるジチオール化合物と式
(9)で表される環状脂肪族ジカルボン酸またはその誘
導体とから得られる一般式(3−A)で表される繰り返
し構造単位と、式(6)で表されるジヒドロキシ化合物
と式(9)で表される環状脂肪族ジカルボン酸またはそ
の誘導体とから得られる一般式(4−B)で表される繰
り返し構造単位の2つの繰り返し構造単位を、必須の繰
り返し構造単位として有する共重合体であって、ランダ
ム共重合体、交互共重合体あるいはブロック共重合体の
いずれであってもよい。
【0175】
【化74】
【0176】かかるポリ(チオ)エステル共重合体にお
いて、光学特性(屈折率、アッベ数)耐熱性、成形加工
性、機械物性等の諸物性のバランスを考慮すると、一般
式(3−A)および一般式(4−B)で表される全繰り
返し構造単位中に含まれる一般式(3−A)で表される
繰り返し構造単位の割合は、1〜99%であり、好まし
くは、5〜95モル%であり、より好ましくは、10〜
90モル%であり、さらに好ましくは、20〜80モル
%である。一般式(3−A)で表される繰り返し構造単
位が5%以上の場合、屈折率の点において光学用樹脂と
して使用するのに十分な性能を有したものとなり好まし
い。
【0177】一方、該ポリ(チオ)エステル共重合体に
おいて、光学特性(屈折率、アッベ数)耐熱性、成形加
工性、機械物性等の諸物性のバランスを考慮すると、一
般式(3−A)および一般式(4−B)で表される全繰
り返し構造単位中に含まれる一般式(4−B)で表され
る繰り返し構造単位の割合は、1〜99%であり、好ま
しくは、5〜95モル%であり、より好ましくは、10
〜90モル%であり、さらに好ましくは、20〜80モ
ル%である。一般式(4−B)で表される繰り返し構造
単位が5%以上の場合、耐熱性、成形加工性等の面で、
光学用樹脂として使用するのに十分な性能を有している
ため好ましい。
【0178】一般式(3−A)において、R21およびm
は、前記一般式(2−A)におけるR21およびmと同じ
意味を表す。
【0179】一般式(4−B)において、R22およびn
は、前記一般式(2−B)におけるR22およびnと同じ
意味を表す。
【0180】一般式(3−A)で表される繰り返し構造
単位の中でも、下記式(3−A−i)、(3−A−ii)
または式(3−A−iii)で表される繰り返し構造単位
は、より好ましい。
【0181】
【化75】
【0182】一般式(4−B)で表される繰り返し構造
単位の中でも、下記式(4−B−i)、(4−B−ii)
または式(4−B−iii)で表される繰り返し構造単位
はより好ましい。
【0183】
【化76】
【0184】本発明のポリ(チオ)エステル共重合体<
3>においては、原料モノマーとなる式(6)で表され
るジヒドロキシ化合物が立体異性体を有しており、ま
た、式(9)で表される環状脂肪族ジカルボン酸または
その誘導体が位置異性体、立体異性体を有していること
から、式(3−A)および式(4−B)で表される繰り
返し構造単位において、通常、それらに起因する位置お
よび立体構造の異なる複数の繰り返し構造単位が存在す
る。本発明のポリ(チオ)エステル共重合体<3>は、
これらの混合物であってもよく、あるいは、特定の一種
類の異性体構造を有する繰り返し構造単位のみからなる
重合体であってもよい。
【0185】本発明のポリ(チオ)エステル共重合体<
3>は、前述したように、上記一般式(5)で表される
ジチオール化合物と上記一般式(6)で表されるジヒド
ロキシ化合物を、式(9)で表される環状脂肪族ジカル
ボン酸またはその誘導体(その酸ハロゲン化物またはそ
のエステル化合物)に作用させ(チオ)エステル化反応
によって(共)重合することにより製造される。重合反
応それ自体は、従来、公知のポリ(チオ)エステル重合
の方法と同様にして好適に実施される。
【0186】式(9)で表される環状脂肪族ジカルボン
酸、その酸ハロゲン化物(例えば、酸クロリド、酸ブロ
ミドなど)またはそのエステル化合物(例えば、メチル
エステル、エチルエステル、n−プロピルエステル、n
−ブチルエステル、イソブチルエステル、tert−ブ
チルエステルなどのアルキルエステル、フェニルエステ
ルなどのアリールエステルなど)は公知化合物であり、
公知の方法、例えば、下記式(B)に示される合成経路
により、好適に製造される。すなわち、フタル酸エステ
ル類を、ラネーニッケル等の触媒存在下に接触還元して
シクロヘキサンジカルボン酸エステル化合物が得られ、
さらに該エステル化合物を加水分解してシクロヘキサン
ジカルボン酸が得られる。さらにハロゲン化チオニル等
を用いた公知の酸ハロゲン化法により、シクロヘキサン
ジカルボン酸ハロゲン化物が、好適に製造される。
【0187】
【化77】 (式中、X91は塩素原子または臭素原子を表し、R91
アルキル基またはアリール基を表す)
【0188】本発明に係る式(9)で表される環状脂肪
族ジカルボン酸としては、1,4−シクロヘキサンジカ
ルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,
2−シクロヘキサンジカルボン酸等である。
【0189】これら環状脂肪族ジカルボン酸またはその
誘導体(その酸ハロゲン化物またはそのエステル化合
物)には、上記位置異性体の他に、シス体、トランス体
などの立体異性体が存在するが、本発明にかかる環状脂
肪族ジカルボン酸またはその誘導体(その酸ハロゲン化
物またはそのエステル化合物)としては、これらの位置
異性体または立体異性体をそれぞれ単離して単独で使用
してもよく、あるいは、これら位置異性体または立体異
性体の混合物であってもよい。
【0190】<4> 次に、式(3−A)および式(5
−B)で表される繰り返し構造単位を含有してなるポリ
(チオ)エステル共重合体について、説明する。
【0191】
【化78】 (式中、R21はそれぞれ水素原子またはアルキル基を表
し、R23はそれぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基
またはハロゲン原子を表し、mはそれぞれ0〜3の整数
を表し、pはそれぞれ0〜4の整数を表す)
【0192】かかるポリ(チオ)エステル共重合体は、
代表的には、前記式(5)で表されるジチオール化合物
と上記式(8)で表されるジヒドロキシ化合物との混合
物を、前記式(9)で表される環状脂肪族ジカルボン酸
またはその誘導体(その酸ハロゲン化物またはそのエス
テル化合物)と作用させ、(チオ)エステル化反応によ
り共重合させることにより得られるものである。
【0193】本発明のポリ(チオ)エステル共重合体<
4>は、式(5)で表されるジチオール化合物と式
(9)で表される環状脂肪族ジカルボン酸またはその誘
導体とから得られる一般式(3−A)で表される繰り返
し構造単位と、式(8)で表されるジヒドロキシ化合物
と式(9)で表される環状脂肪族カルボン酸またはその
誘導体とから得られる一般式(5−B)で表される繰り
返し構造単位の2つの繰り返し構造単位を、必須の繰り
返し構造単位として有する共重合体であって、ランダム
共重合体、交互共重合体あるいはブロック共重合体のい
ずれであってもよい。
【0194】これらのポリ(チオ)エステル共重合体に
おいて、光学特性(屈折率、アッベ数)、熱的特性、機
械的特性、成形加工性等の諸物性のバランスを考慮する
と、一般式(3−A)および一般式(5−B)で表され
る全繰り返し構造単位中に含まれる一般式(3−A)で
表される繰り返し構造単位の割合は、1〜99%であ
り、好ましくは、5〜95モル%であり、より好ましく
は、10〜90モル%であり、さらに好ましくは、20
〜80モル%である。一般式(3−A)で表される繰り
返し構造単位が5%以上の場合、屈折率、アッベ数とも
に、光学用樹脂として使用するのに十分な性能を有した
ものとなり好ましい。
【0195】一方、これらのポリ(チオ)エステル共重
合体<4>において、光学特性(屈折率、アッベ数)、
耐熱性、成形加工性、機械物性等の諸物性のバランスを
考慮すると、一般式(3−A)および一般式(5−B)
で表される全繰り返し構造単位中に含まれる一般式(5
−B)で表される繰り返し構造単位の割合は、1〜99
%であり、好ましくは、5〜95モル%であり、より好
ましくは、10〜90モル%であり、さらに好ましく
は、20〜80モル%である。一般式(5−B)で表さ
れる繰り返し構造単位が5%以上の場合、熱的特性、成
形加工性等の面で、光学用樹脂として使用するのに十分
な性能を有しているため好ましい。
【0196】一般式(3−A)において、R21およびm
は、前記一般式(2−A)におけるR21およびmと同じ
意味を表す。一般式(5−B)において、R23およびp
は、前記一般式(3−B)におけるR23およびpと同じ
意味を表す。
【0197】式(5−B)で表される繰り返し構造単位
の中でも、下記式(5−B−i)または式(5−B−i
i)および式(5−B−iii)で表される繰り返し構造単
位はより好ましい。
【0198】
【化79】
【0199】本発明のポリ(チオ)エステル共重合体<
4>においては、原料モノマーとなる式(8)で表され
るジヒドロキシ化合物が立体異性体を有しており、ま
た、式(9)で表される環状脂肪族ジカルボン酸または
その誘導体が位置異性体、立体異性体を有していること
から、式(3−A)および式(5−B)で表される繰り
返し構造単位において、通常、それらに起因する位置お
よび立体構造の異なる複数の繰り返し構造単位が存在す
る。本発明のポリ(チオ)エステル共重合体は、これら
の混合物であってもよく、あるいは、特定の一種類の異
性体構造を有する繰り返し構造単位のみからなる重合体
であってもよい。
【0200】<5> 次に、式(4−A)および式(6
−B)で表される繰り返し構造単位を含有してなるポリ
(チオ)エステル共重合体について説明する。
【0201】
【化80】 (式中、R21はそれぞれ水素原子またはアルキル基を表
し、R22はそれぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基
またはハロゲン原子を表し、mはそれぞれ0〜3の整数
を表し、nはそれぞれ0〜4の整数を表す)
【0202】かかるポリ(チオ)エステル共重合体は、
代表的には、前記式(5)で表されるジチオール化合物
と前記式(6)で表されるジヒドロキシ化合物との混合
物を、下記式(10)で表されるフタル酸またはその誘
導体(その酸ハロゲン化物またはそのエステル化合物)
と作用させ、(チオ)エステル化反応により共重合させ
ることにより得られるものである。
【0203】該ポリ(チオ)エステル共重合体は、式
(5)で表されるジチオール化合物と式(10)で表さ
れるフタル酸またはその誘導体とから得られる一般式
(4−A)で表される繰り返し構造単位と、式(6)で
表されるジヒドロキシ化合物と式(10)で表されるフ
タル酸またはその誘導体とから得られる一般式(6−
B)で表される繰り返し構造単位の2つの繰り返し構造
単位を、必須の繰り返し構造単位として有する共重合体
であって、ランダム共重合体、交互共重合体あるいはブ
ロック共重合体のいずれであってもよい。
【0204】
【化81】
【0205】これらのポリ(チオ)エステル共重合体に
おいて、光学特性(屈折率、アッベ数)耐熱性、成形加
工性、機械物性等の諸物性のバランスを考慮すると、一
般式(4−A)および一般式(6−B)で表される全繰
り返し構造単位中に含まれる一般式(4−A)で表され
る繰り返し構造単位の割合は、1〜99%であり、好ま
しくは、5〜95モル%であり、より好ましくは、10
〜90モル%であり、さらに好ましくは、20〜80モ
ル%である。一般式(4−A)で表される繰り返し構造
単位が5%以上の場合、屈折率の点で、光学用樹脂とし
て使用するのに十分な性能を有したものとなり好まし
い。
【0206】一方、これらのポリ(チオ)エステル共重
合体において、光学特性(屈折率、アッベ数)耐熱性、
成形加工性、機械物性等の諸物性のバランスを考慮する
と、一般式(4−A)および一般式(6−B)で表され
る全繰り返し構造単位中に含まれる一般式(6−B)で
表される繰り返し構造単位の割合は、1〜99%であ
り、好ましくは、5〜95モル%であり、より好ましく
は、10〜90モル%であり、さらに好ましくは、20
〜80モル%である。一般式(6−B)で表される繰り
返し構造単位が5%以上の場合、耐熱性、成形加工性等
の面で、光学用樹脂として使用するのに十分な性能を有
しているため好ましい。
【0207】一般式(4−A)において、R21およびm
は、前記一般式(2−A)におけるR21およびmと同じ
意味を表す。一般式(6−B)において、R22およびn
は、前記一般式(2−B)におけるR22およびnと同じ
意味を表す。
【0208】一般式(4−A)で表される繰り返し構造
単位の中でも、下記式(4−A−i)、(4−A−ii)
または式(4−A−iii)で表される繰り返し構造単位
は、より好ましい。
【0209】
【化82】
【0210】一般式(6−B)で表される繰り返し構造
単位の中でも、下記式(6−B−i)、(6−B−ii)
または式(6−B−iii)で表される繰り返し構造単位
はより好ましい。
【0211】
【化83】
【0212】本発明のポリ(チオ)エステル共重合体<
5>においては、原料モノマーとなる式(6)で表され
るジヒドロキシ化合物が立体異性体を有しており、ま
た、式(10)で表されるフタル酸またはその誘導体が
位置異性体を有していることから、式(4−A)および
式(6−B)で表される繰り返し構造単位において、通
常、それらに起因する位置および立体構造の異なる複数
の繰り返し構造単位が存在する。本発明のポリ(チオ)
エステル共重合体<5>は、これらの混合物であっても
よく、あるいは、特定の一種類の異性体構造を有する繰
り返し構造単位のみからなる重合体であってもよい。
【0213】式(10)で表されるフタル酸、その酸ハ
ロゲン化物(例えば、酸クロリド、酸ブロミドなど)ま
たはそのエステル化合物(例えば、メチルエステル、エ
チルエステル、n−プロピルエステル、n−ブチルエス
テル、イソブチルエステル、tert−ブチルエステル
などのアルキルエステル、フェニルエステルなどのアリ
ールエステルなど)は公知化合物であり、公知の方法、
例えば、下記式(C)に示される合成経路により、好適
に製造され、工業的に入手可能である。すなわち、o,
p,m体の各種キシレンを重金属触媒下に酸化すること
により、各種フタル酸が好適に製造される。さらにハロ
ゲン化チオニル等を用いた公知の酸ハロゲン化法によ
り、各種フタル酸ハロゲン化物が、好適に製造される。
そして、さらに、アルコール類を使用した、公知のエス
テル化法により、フタル酸エステル化物が、好適に製造
される。
【0214】
【化84】 (式中、X101は塩素原子または臭素原子を表し、R101
はアルキル基またはアリール基を表す)
【0215】本発明に係る式(10)で表されるフタル
酸とは、テレフタル酸、イソフタル酸、またはフタル酸
である。
【0216】本発明に係るフタル酸またはその誘導体
(その酸ハロゲン化物またはそのエステル化合物)とし
ては、これらの位置異性体を単独で使用してもよく、あ
るいは、これら位置異性体の混合物であってもよい。
【0217】<6> 次に、式(4−A)および式(7
−B)で表される繰り返し構造単位を含有してなるポリ
(チオ)エステル共重合体について説明する。
【0218】
【化85】 (式中、R21はそれぞれ水素原子またはアルキル基を表
し、R23はそれぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基
またはハロゲン原子を表し、mはそれぞれ0〜3の整数
を表し、pはそれぞれ0〜4の整数を表す)
【0219】かかるポリ(チオ)エステル共重合体は、
代表的には、前記式(5)で表されるジチオール化合物
と前記式(8)で表されるジヒドロキシ化合物との混合
物を、前記式(10)で表されるフタル酸またはその誘
導体(その酸ハロゲン化物またはそのエステル化合物)
と作用させ、(チオ)エステル化反応により共重合させ
ることにより得られるものである。
【0220】該ポリ(チオ)エステル共重合体は、式
(5)で表されるジチオール化合物と式(10)で表さ
れるフタル酸またはその誘導体とから得られる一般式
(4−A)で表される繰り返し構造単位と、式(8)で
表されるジヒドロキシ化合物と式(10)で表されるフ
タル酸またはその誘導体とから得られる一般式(7−
B)で表される繰り返し構造単位の2つの繰り返し構造
単位を、必須の繰り返し構造単位として有する共重合体
であって、ランダム共重合体、交互共重合体あるいはブ
ロック共重合体のいずれであってもよい。
【0221】これらのポリ(チオ)エステル共重合体に
おいて、光学特性(屈折率、アッベ数)耐熱性、成形加
工性、機械物性等の諸物性のバランスを考慮すると、一
般式(4−A)および一般式(7−B)で表される全繰
り返し構造単位中に含まれる一般式(4−A)で表され
る繰り返し構造単位の割合は、1〜99%であり、好ま
しくは、5〜95モル%であり、より好ましくは、10
〜90モル%であり、さらに好ましくは、20〜80モ
ル%である。一般式(4−A)で表される繰り返し構造
単位が5%以上の場合、屈折率の点で、光学用樹脂とし
て使用するのに十分な性能を有したものとなり好まし
い。
【0222】一方、これらのポリ(チオ)エステル共重
合体において、光学特性(屈折率、アッベ数)耐熱性、
成形加工性、機械物性等の諸物性のバランスを考慮する
と、一般式(4−A)および一般式(7−B)で表され
る全繰り返し構造単位中に含まれる一般式(7−B)で
表される繰り返し構造単位の割合は、1〜99%であ
り、好ましくは、5〜95モル%であり、より好ましく
は、10〜90モル%であり、さらに好ましくは、20
〜80モル%である。一般式(7−B)で表される繰り
返し構造単位が5%以上の場合、耐熱性、成形加工性等
の面で、光学用樹脂として使用するのに十分な性能を有
しているため好ましい。
【0223】一般式(4−A)において、R21およびm
は、前記一般式(2−A)におけるR21およびmと同じ
意味を表す。一般式(7−B)において、R23およびp
は、前記一般式(3−B)におけるR23およびpと同じ
意味を表す。
【0224】一般式(7−B)で表される繰り返し構造
単位の中でも、下記式(7−B−i)、(7−B−ii)
または式(7−B−iii)で表される繰り返し構造単位
はより好ましい。
【0225】
【化86】
【0226】本発明のポリ(チオ)エステル共重合体<
6>においては、原料モノマーとなる式(8)で表され
るジヒドロキシ化合物が立体異性体を有しており、ま
た、式(10)で表されるフタル酸またはその誘導体が
位置異性体を有していることから、式(4−A)および
式(7−B)で表される繰り返し構造単位において、通
常、それらに起因する位置および立体構造の異なる複数
の繰り返し構造単位が存在する。本発明のポリ(チオ)
エステル共重合体<6>は、これらの混合物であっても
よく、あるいは、特定の一種類の異性体構造を有する繰
り返し構造単位のみからなる重合体であってもよい。
【0227】本発明のポリ(チオ)エステル共重合体<
1>〜<6>は、各々、上述したような式(2−A)〜
式(7−B)で表される繰り返し構造単位を各々必須繰
り返し構造単位として含有する際に、その必須繰り返し
構造単位とは異なる式(2−A)〜式(7−B)で表さ
れる複数の繰り返し構造単位を含有してなる三元共重合
体、あるいは、三元以上の多元共重合体であってもよ
い。さらに、式(2−A)〜式(7−B)で表される繰
り返し構造単位以外の式(1−A)および式(1−B)
で表される繰り返し構造単位を含有してなる三元共重合
体、あるいは、三元以上の多元共重合体であってもよ
い。
【0228】また本発明のポリ(チオ)エステル共重合
体は、本発明の所望の効果を損なわない範囲において、
各々、上述したような式(1−A)および式(1−B)
で表される繰り返し構造単位を必須繰り返し構造単位と
して含有する以外に、さらに、他の繰り返し構造単位を
含有してなるポリ(チオ)エステル共重合体であっても
よい。
【0229】すなわち、式(1−A)、式(1−B)で
表される繰り返し構造単位以外の他の繰り返し構造単位
を含有していてもよく、例えば、式(1)で表されるジ
チオール化合物/ジヒドロキシ化合物以外のジチオール
化合物またはジヒドロキシ化合物と式(2)で表される
ジカルボン酸誘導体以外の他のジカルボン酸誘導体から
誘導される繰り返し構造単位、式(1)及び式(1−
B)の原料モノマーとなる公知の環状脂肪族ジヒドロキ
シ化合物以外のジヒドロキシ化合物と式(2)で表され
るジカルボン酸誘導体から誘導される繰り返し構造単
位、あるいは、これらのジチオール化合物又はジヒドロ
キシ化合物と式(2)で表されるジカルボン酸誘導体以
外の他のジカルボン酸誘導体から誘導される繰り返し構
造単位である。
【0230】ポリ(チオ)エステル共重合体の中でも、
かかる三元共重合体ないし多元共重合体は、前述したポ
リ(チオ)エステル共重合体の方法と同様にして好適に
実施される。すなわち、例えば、相当するモノマーを作
用させ(チオ)エステル化反応によって共重合すること
により製造される。
【0231】式(1)で表されるジチオール化合物以外
のジチオール化合物としては、各種公知の芳香族ジチオ
ール化合物または鎖状脂肪族ジチオール化合物を例示す
ることができる。具体的には、1,4−ベンゼンジチオ
ール、1、3−ベンゼンジチオール、1,2−ベンゼン
ジチオール、4,4’−チオジベンゼンジチオール、p
−キシリレンジチオール、m−キシリレンジチオール、
o−キシリレンジチオール、1,2−エタンジチオー
ル、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパンジ
チオール、1,6−ヘキサンジチオールなどのジチオー
ル化合物が例示されるが、本発明はこれらに限定される
ものではない。
【0232】該ジヒドロキシ化合物としては、各種公知
の芳香族ジヒドロキシ化合物、あるいは、鎖状または環
状脂肪族ジヒドロキシ化合物を例示することができる。
【0233】該芳香族ジヒドロキシ化合物の具体例とし
ては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタ
ン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)エタ
ン、1,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)エタ
ン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)−1−ナフチルメタン、
1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−1−フェ
ニルエタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン〔”ビスフェノールA”〕、2−(4’−
ヒドロキシフェニル)−2−(3’−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニ
ル)ブタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニ
ル)ブタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニ
ル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4’−ヒドロ
キシフェニル)ペンタン、3,3−ビス(4’−ヒドロ
キシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4’−ヒドロ
キシフェニル)ヘキサン、2,2−ビス(4’−ヒドロ
キシフェニル)オクタン、2,2−ビス(4’−ヒドロ
キシフェニル)−4−メチルペンタン、2,2−ビス
(4’−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、4,4−ビス
(4’−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,2−ビス
(4’−ヒドロキシフェニル)トリデカン、2,2−ビ
ス(4’−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2−ビ
ス(3’−メチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(3’−エチル−4’−ヒドロキシフ
ェニル)プロパン、2,2−ビス(3’−n−プロピル
−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス
(3’−イソプロピル−4’−ヒドロキシフェニル)プ
ロパン、2,2−ビス(3’−sec−ブチル−4’−
ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3’−
tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(3’−シクロヘキシル−4’−ヒド
ロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3’−アリ
ル−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビ
ス(3’−メトキシ−4’−ヒドロキシフェニル)プロ
パン、2,2−ビス(3’,5’−ジメチル−4’−ヒ
ドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(2’,
3’,5’,6’−テトラメチル−4’−ヒドロキシフ
ェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シ
アノメタン、1−シアノ−3,3−ビス(4’−ヒドロ
キシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキ
シフェニル)ヘキサフルオロプロパン等のビス(ヒドロ
キシアリール)アルカン類;
【0234】1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニ
ル)シクロペンタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシ
フェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4’−ヒド
ロキシフェニル)シクロヘプタン、1,1−ビス(3’
−メチル−4’−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサ
ン、1,1−ビス(3’,5’−ジメチル−4’−ヒド
ロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス
(3’,5’−ジクロロ−4’−ヒドロキシフェニル)
シクロヘキサン、1,1−ビス(3’−メチル−4’−
ヒドロキシフェニル)−4−メチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−3,3,
5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4’−
ヒドロキシフェニル)ノルボルナン、2,2−ビス
(4’−ヒドロキシフェニル)アダマンタン等のビス
(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類、
【0235】4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテ
ル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフ
ェニルエーテル、エチレングリコールビス(4−ヒドロ
キシフェニル)エーテル等のビス(ヒドロキシアリー
ル)エーテル類;
【0236】4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフ
ィド、3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシジ
フェニルスルフィド、3,3’−ジシクロヘキシル−
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,
3’−ジフェニル−4,4’−ジヒドロキシジフェニル
スルフィド等のビス(ヒドロキシアリール)スルフィド
類;
【0237】4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホ
キシド、3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシ
ジフェニルスルホキシド等のビス(ヒドロキシアリー
ル)スルホキシド類、4,4’−ジヒドロキシジフェニ
ルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメ
チルジフェニルスルホン等のビス(ヒドロキシアリー
ル)スルホン類、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケト
ン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)ケト
ン等のビス(ヒドロキシアリール)ケトン類;
【0238】さらには、7,7’−ジヒドロキシ−3,
3’,4,4’−テトラヒドロ−4,4,4’,4’−
テトラメチル−2,2’−スピロビ(2H−1−ベンゾ
ピラン)、トランス−2,3−ビス(4’−ヒドロキシ
フェニル)−2−ブテン、9,9−ビス(4’−ヒドロ
キシフェニル)フルオレン、3,3−ビス(4’−ヒド
ロキシフェニル)−2−ブタノン、1,6−ビス(4’
−ヒドロキシフェニル)−1,6−ヘキサンジオン、
α,α,α’,α’−テトラメチル−α,α’−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,
α’,α’−テトラメチル−α,α’−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)−m−キシレン、4,4’−ジヒドロ
キシビフェニル、ハイドロキノン、レゾルシン等が挙げ
られる。
【0239】該脂肪族ジヒドロキシ化合物の具体例とし
ては、1,2−ジヒドロキシエタン、1,3−ジヒドロ
キシプロパン、1,4−ジヒドロキシブタン、1,5−
ジヒドロキシペンタン、3−メチル−1,5−ジヒドロ
キシペンタン、1,6−ジヒドロキシヘキサン、1,7
−ジヒドロキシヘプタン、1,8−ジヒドロキシオクタ
ン、1,9−ジヒドロキシノナン、1,10−ジヒドロ
キシデカン、1,11−ジヒドロキシウンデカン、1,
12−ジヒドロキシドデカン、ジヒドロキシネオペンチ
ル、2−エチル−1,2−ジヒドロキシヘキサン、2−
メチル−1,3−ジヒドロキシプロパン等の鎖状脂肪族
ジヒドロキシ化合物;
【0240】1,4−シクロヘキサンジメタノール、
1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロ
ヘキサンジメタノール、トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカンジメタノール、等の環状脂肪族ジヒドロキ
シ化合物;
【0241】o−ジヒドロキシキシリレン、m−ジヒド
ロキシキシリレン、p−ジヒドロキシキシリレン、1,
4−ビス(2’−ヒドロキシエチル)ベンゼン、1,4
−ビス(3’−ヒドロキシプロピル)ベンゼン、1,4
−ビス(4’−ヒドロキシブチル)ベンゼン、1,4−
ビス(5’−ヒドロキシペンチル)ベンゼン、1,4−
ビス(6’−ヒドロキシヘキシル)ベンゼン、2,2−
ビス〔4’−(2”−ヒドロキシエチルオキシ)フェニ
ル〕プロパン等の芳香族基を含む脂肪族ジヒドロキシ化
合物を例示することができるが、本発明はこれらに限定
されるものではない。
【0242】これら公知のジヒドロキシ化合物の中で
も、光学特性(屈折率、アッベ数など)、熱的特性など
を考慮すると、好ましくは、芳香族ジヒドロキシ化合物
または脂肪族環状ジヒドロキシ化合物であり、より好ま
しくは、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プ
ロパン〔通称、”ビスフェノールA”〕、1,1−ビス
(4’−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン〔通
称、”ビスフェノールZ”〕、α,α,α’,α’−テ
トラメチル−α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)−p−キシレン[通称、ビスフェノールP]、α,
α,α’,α’−テトラメチル−α,α’−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)−m−キシレン[通称、“ビスフ
ェノールM”]、4,4’−ジヒドロキシジフェニルス
ルフィド、3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキ
シジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフ
ェニルスルホン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェ
ニル)−1−フェニルエタンなどの芳香族ジヒドロキシ
化合物である。
【0243】前記ジカルボン酸誘導体としては、各種公
知の芳香族ジカルボン酸誘導体、あるいは、鎖状または
環状脂肪族ジカルボン酸誘導体を例示することができ
る。
【0244】かかるジカルボン酸誘導体としては、例え
ば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,5−
チオフェンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカル
ボン酸などの芳香族ジカルボン酸;1,4−シクロヘキ
サンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン
酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シ
クロヘキサンジ酢酸などの環状脂肪族ジカルボン酸化合
物;
【0245】コハク酸、マレイン酸、フマル酸、1,3
−プロパンジカルボン酸、1,4−ブタンジカルボン
酸、1,6−ヘキサンジカルボン酸などの鎖状脂肪族ジ
カルボン酸化合物等が例示されるが、本発明はこれらに
限定されるものではない。
【0246】中でも、かかる繰り返し構造単位として
は、下記式(1−C)で表される繰り返し構造単位であ
ることが好ましい。
【0247】
【化87】 (式中、R17は二価の芳香族炭化水素基を表し、R18
環状脂肪族ジカルボン酸残基または芳香族ジカルボン酸
残基を表す)
【0248】すなわち、本発明の所望の効果を得るため
に、本発明のポリ(チオ)エステル共重合体の中でも、
式(1−A)、式(1−B)ならびに式(1−C)で表
される繰り返し構造単位を含有してなる共重合体は、よ
り好ましい。
【0249】該ポリ(チオ)エステル共重合体は、ラン
ダム共重合体、交互共重合体あるいはブロック共重合体
のいずれであってもよい。
【0250】上記式(1−C)における、R17は二価の
芳香族炭化水素基を表し、好ましくは、総炭素数6〜2
5の二価の芳香族炭化水素基であり、より好ましくは、
総炭素数6〜20の芳香族炭化水素基である。上記式
(1−C)において、R18は環状脂肪族ジカルボン酸残
基または芳香族ジカルボン酸残基を表し、具体的には、
前記R12と同じ意味を表す。該R18として、好ましく
は、環状脂肪族ジカルボン酸残基であり、より好ましく
は、
【0251】
【化88】 で表される基のいずれかである。又、ベンゼンジカルボ
ン酸の残基であるフェニレン基も好ましいものとして例
示できる。
【0252】かかる式(1−C)で表される繰り返し構
造単位は、前記一般式(2)で表される環状脂肪族また
は芳香族ジカルボン酸と、一般式(11)で表される公
知の芳香族ジヒドロキシ化合物から得られる繰り返し構
造単位である。
【0253】
【化89】 (式中、R17は前記と同じ意味を表す)
【0254】かかる芳香族ジヒドロキシ化合物の具体例
としては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メ
タン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)エタ
ン、1,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)エタ
ン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)−1−ナフチルメタン、
1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−1−フェ
ニルエタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン〔”ビスフェノールA”〕、2−(4’−
ヒドロキシフェニル)−2−(3’−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニ
ル)ブタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニ
ル)ブタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニ
ル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4’−ヒドロ
キシフェニル)ペンタン、3,3−ビス(4’−ヒドロ
キシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4’−ヒドロ
キシフェニル)ヘキサン、2,2−ビス(4’−ヒドロ
キシフェニル)オクタン、2,2−ビス(4’−ヒドロ
キシフェニル)−4−メチルペンタン、2,2−ビス
(4’−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、4,4−ビス
(4’−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,2−ビス
(4’−ヒドロキシフェニル)トリデカン、2,2−ビ
ス(4’−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2−ビ
ス(3’−メチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(3’−エチル−4’−ヒドロキシフ
ェニル)プロパン、2,2−ビス(3’−n−プロピル
−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス
(3’−イソプロピル−4’−ヒドロキシフェニル)プ
ロパン、2,2−ビス(3’−sec−ブチル−4’−
ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3’−
tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(3’−シクロヘキシル−4’−ヒド
ロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3’−アリ
ル−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビ
ス(3’−メトキシ−4’−ヒドロキシフェニル)プロ
パン、2,2−ビス(3’,5’−ジメチル−4’−ヒ
ドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(2’,
3’,5’,6’−テトラメチル−4’−ヒドロキシフ
ェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シ
アノメタン、1−シアノ−3,3−ビス(4’−ヒドロ
キシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキ
シフェニル)ヘキサフルオロプロパン等のビス(ヒドロ
キシアリール)アルカン類;
【0255】1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニ
ル)シクロペンタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシ
フェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4’−ヒド
ロキシフェニル)シクロヘプタン、1,1−ビス(3’
−メチル−4’−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサ
ン、1,1−ビス(3’,5’−ジメチル−4’−ヒド
ロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス
(3’,5’−ジクロロ−4’−ヒドロキシフェニル)
シクロヘキサン、1,1−ビス(3’−メチル−4’−
ヒドロキシフェニル)−4−メチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−3,3,
5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4’−
ヒドロキシフェニル)ノルボルナン、2,2−ビス
(4’−ヒドロキシフェニル)アダマンタン等のビス
(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類、4,4’−
ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロ
キシ−3,3’−ジメチルジフェニルエーテル、エチレ
ングリコールビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル
等のビス(ヒドロキシアリール)エーテル類;
【0256】4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフ
ィド、3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシジ
フェニルスルフィド、3,3’−ジシクロヘキシル−
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,
3’−ジフェニル−4,4’−ジヒドロキシジフェニル
スルフィド等のビス(ヒドロキシアリール)スルフィド
類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、
3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニ
ルスルホキシド等のビス(ヒドロキシアリール)スルホ
キシド類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホ
ン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフ
ェニルスルホン等のビス(ヒドロキシアリール)スルホ
ン類、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス
(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)ケトン等のビ
ス(ヒドロキシアリール)ケトン類;さらには、7,
7’−ジヒドロキシ−3,3’,4,4’−テトラヒド
ロ−4,4,4’,4’−テトラメチル−2,2’−ス
ピロビ(2H−1−ベンゾピラン)、トランス−2,3
−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−2−ブテン、
9,9−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)フルオレ
ン、3,3−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−2−
ブタノン、1,6−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)
−1,6−ヘキサンジオン、α,α,α’,α’−テト
ラメチル−α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラメチル−
α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−キシ
レン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキ
ノン、レゾルシン等が挙げられる。
【0257】これら芳香族ジヒドロキシ化合物の中で
も、光学特性(屈折率、アッベ数など)、熱的特性など
を考慮すると、より好ましくは、2,2−ビス(4’−
ヒドロキシフェニル)プロパン〔通称、”ビスフェノー
ルA”〕、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)
シクロヘキサン〔通称、”ビスフェノールZ”〕、α,
α,α’,α’−テトラメチル−α,α’−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)−p−キシレン[通称、ビスフェ
ノールP]、α,α,α’,α’−テトラメチル−α,
α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−キシレン
[通称、“ビスフェノールM”]、4,4’−ジヒドロ
キシジフェニルスルフィド、3,3’−ジメチル−4,
4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−
ジヒドロキシジフェニルスルホン、1,1−ビス(4’
−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンなどの芳
香族ジヒドロキシ化合物である。
【0258】ポリ(チオ)エステル共重合体の中でも、
かかる三元共重合体ないし多元共重合体は、前述したポ
リ(チオ)エステル共重合体の方法と同様にして好適に
実施される。すなわち、例えば、上述したようなモノマ
ーを作用させ(チオ)エステル化反応によって共重合す
ることにより製造される。
【0259】該ポリ(チオ)エステル共重合体におい
て、光学特性(屈折率、アッベ数)耐熱性、成形加工
性、機械物性等の諸物性のバランスを考慮すると、全繰
り返し構造単位中に含まれる一般式(1−C)で表され
る繰り返し構造単位の割合は、1〜80%であり、好ま
しくは、5〜70モル%であり、より好ましくは、5〜
60モル%であり、さらに好ましくは、5〜50モル%
である。
【0260】さらに、本発明のポリ(チオ)エステル
(共)重合体は、所望の効果を損なわない範囲におい
て、チオエステル基またはエステル基以外に、カーボネ
ート基、イミノ基、エーテル基、イミド基、アミド基、
ウレタン基、ウレア基等の結合基を含有していてもよ
い。
【0261】かかる共重合体は、上記ジカルボン酸化合
物、ジチオール化合物またはジヒドロキシ化合物以外の
2官能性化合物(例えば、ジアミン化合物、ジイソシア
ナート化合物など)を、重合反応の際に共存させること
により製造される。
【0262】しかしながら、本発明の効果を最大限に得
るためには、式(1−A)、(1−B)または式(1−
C)で表される繰り返し構造単位のみからなる重合体ま
たは共重合体は特に好ましい。
【0263】〔ポリマー末端基について〕本発明のポリ
(チオ)エステル(共)重合体において、末端基は、前
述したような原料モノマーに由来するチオール基、ヒド
ロキシ基、カルボキシ基等の末端基であってもよく、ま
た、以下に説明するような分子量調節剤(例えば、1価
のヒドロキシ化合物、1価のチオール化合物または1価
のカルボン酸誘導体など)でポリマー主鎖の末端基が封
止された不活性な末端基であってもよい。
【0264】本発明のポリ(チオ)エステル(共)重合
体中での末端基の量は、特に制限はないが、通常、構造
単位の総モル数に対して、0.001〜5モル%であ
り、好ましくは、0.01〜4モル%であり、より好ま
しくは、0.05〜3モル%である。
【0265】本発明のポリ(チオ)エステル(共)重合
体を、前記の方法に従い重合して製造する際に、分子量
を調節する目的で分子量調節剤の存在下に重合を行うこ
とは好ましいことである。
【0266】かかる分子量調節剤としては特に限定され
るものではなく、公知のポリ(チオ)エステル重合の際
に使用される各種既知の分子量調節剤であればよく、例
えば、1価の脂肪族ヒドロキシ化合物または芳香族ヒド
ロキシ化合物、1価の脂肪族チオール化合物または芳香
族チオール化合物、もしくは、1価の脂肪族または芳香
族カルボン酸誘導体(例えば、1価の脂肪族または芳香
族カルボン酸ハロゲン化物、1価の脂肪族または芳香族
カルボン酸エステル化物など)等が挙げられる。
【0267】かかる化合物として、具体的には、メタノ
ール、エタノール、ブタノール、オクタノール、ラウリ
ルアルコール、メトキシエタノール、プロピレングリコ
ールモノメチルエーテル、シクロヘキシルアルコール、
アリルアルコール、ベンジルアルコール、フェニルエタ
ノール、フェノキシエタノール、フェノール、4−te
rt−ブチルフェノール、2−クレゾール、3−クレゾ
ール、4−クレゾール、4−エチルフェノール、4−シ
クロヘキシルフェノール、4−メトキシフェノール、4
−イソプロペニルフェノール、4−クロロフェノール、
4−ブロモフェノール、4−クミルフェノール、4−フ
ェニルフェノール、α−ナフトール、β−ナフトールな
ど1価の脂肪族ヒドロキシ化合物または芳香族ヒドロキ
シ化合物;メタンチオール、エタンチオール、ブタンチ
オール、オクタンチオール、シクロヘキサンチオール、
フェニルメタンチオール、ベンゼンチオールなどの1価
の脂肪族または芳香族チオール化合物;酢酸、プロピオ
ン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、ヘプタン酸、カプリ
ル酸、シクロヘキサンカルボン酸、フェニル酢酸、フェ
ノキシ酢酸、安息香酸、4−メチル安息香酸、3−メチ
ル安息香酸、2−メチル安息香酸、4−クロロ安息香
酸、3−クロロ安息香酸、2−クロロ安息香酸、1−ナ
フトエ酸、2−ナフトエ酸などの1価の脂肪族カルボン
酸または芳香族カルボン酸などが挙げられるが、これら
に限定されるものではない。
【0268】分子量調節剤の使用量は特に制限するもの
でなく、目的の分子量に調節するために所望に応じて用
いればよいが、通常、重合するジヒドロキシ化合物の総
モル数に対して、0.001〜5モル%であり、好まし
くは0.01〜4モル%であり、より好ましくは、0.
05〜3モル%であり、さらに好ましくは、0.05〜
2モル%である。
【0269】〔ポリマーの物性値の規定〕本発明のポリ
(チオ)エステル(共)重合体または該(共)重合体を
成形して得られる光学部品(例えば、プラスチックレン
ズなど)の分子量としては、特に限定されるものではな
いが、通常、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマ
トグラフィー)で測定する標準ポリスチレン換算の分子
量として、質量平均分子量が5000〜200000で
あり、好ましくは、10000〜180000であり、
より好ましくは、20000〜150000である。
【0270】また、質量平均分子量と数平均分子量の比
として表される多分散性インデックスとしては、特に限
定されるものではないが、好ましくは、1.5〜20.
0であり、より好ましくは、2.0〜15.0であり、
さらに好ましくは、2.0〜10.0である。
【0271】本発明のポリ(チオ)エステル(共)重合
体または該(共)重合体を成形して得られる光学部品
(例えば、プラスチックレンズなど)のガラス転移温度
は、特に限定するものではないが、通常、70℃以上で
あり、各種光学部品用として使用されるために、好まし
くは、80℃以上であり、より好ましくは、90℃以上
であり、さらに好ましくは、100℃以上である。
【0272】一方、ガラス転移温度が高すぎると、成形
加工性の点から好ましくない。すなわち、溶融流動開始
温度、溶融粘度が相対的に高くなり、成形加工し難くな
ったり、視力矯正用レンズとして染色加工して用いる際
に染色性が悪くなる等の問題が生じる。
【0273】本発明のポリ(チオ)エステル(共)重合
体のガラス転移温度としては、好ましくは、70℃〜2
00℃であり、より好ましくは、80℃〜180℃であ
り、さらに好ましくは、90〜170℃である。
【0274】本発明のポリ(チオ)エステル(共)重合
体を成形して得られる光学部品は、透明性、機械的特性
(例えば、耐衝撃性など)、熱的特性が良好であり、且
つ、従来公知の熱可塑性光学用樹脂、例えば、ポリカー
ボネート樹脂、メチルメタクリレート樹脂などと比較し
て、屈折率、アッベ数の両方がバランスよく高いことが
特徴である。
【0275】本発明のポリ(チオ)エステル(共)重合
体または該(共)重合体を成形して得られる光学部品
(例えば、プラスチックレンズなど)の屈折率(nd)
は、1.55以上であって、好ましくは、1.56以上
であり、より好ましくは、1.57以上であり、さらに
好ましくは、1.58以上である。該(共)重合体また
は該光学部品の屈折率(nd)が1.59以上であるこ
とは、特に好ましい。
【0276】また、ポリ(チオ)エステル(共)重合体
または該(共)重合体を成形して得られる光学部品(例
えば、プラスチックレンズなど)のアッベ数(νd)
は、35以上であって、好ましくは、36以上であり、
より好ましくは、37以上であり、さらに好ましくは、
38以上である。該(共)重合体または該光学部品のア
ッベ数(νd)が40以上であることは、特に好まし
い。
【0277】本発明のポリ(チオ)エステル(共)重合
体は、本発明の所望の効果を損なわない範囲で、製造時
あるいは成形時に、さらに公知の各種添加剤、例えば、
酸化防止剤(例えば、リン原子含有化合物、フェノール
系化合物、ヒンダードフェノール系化合物、硫黄原子含
有化合物など)、紫外線吸収剤、離型剤(例えば、一価
または多価アルコールの高級脂肪酸エステル類など)、
滑剤、難燃剤(例えば、有機ハロゲン系化合物など)、
染料、流動性改良剤、熱安定剤(例えば、硫黄原子含有
化合物など)等を併せて添加して使用してもよい。
【0278】また本発明のポリ(チオ)エステル(共)
重合体に、例えば、帯電防止剤、充填剤(例えば、炭酸
カルシウム、クレー、シリカ、ガラス繊維、ガラスビー
ズ、炭素繊維など)等を添加して、光学部品以外の各種
成形用材料としても使用してもよい。
【0279】本発明のポリ(チオ)エステル(共)重合
体は、本発明の所望の効果を損なわない範囲で、製造時
あるいは成形時に他のポリマーと混合して、成形材料と
して使用することが可能である。他のポリマーとして
は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、A
BS樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリトリフルオロ
エチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアセター
ル、ポリフェニレンオキシド、ポリブチレンテレフタレ
ート、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネー
ト、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリ
エーテルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホ
ン、パラオキシベンゾイル系ポリ(チオ)エステル、ポ
リアリーレート、ポリスルフィド等が挙げられる。
【0280】〔樹脂組成物および成形方法、光学部品に
ついて〕本発明のポリ(チオ)エステル(共)重合体を
含有してなる樹脂組成物は、必須構成成分として、
(1)本発明のポリ(チオ)エステル(共)重合体、を
含有してなる組成物であり、好ましくはさらに、(2)
酸化防止剤(例えば、リン原子含有化合物、フェノール
系化合物、ヒンダードフェノール系化合物、硫黄原子含
有化合物など)を含有してなる組成物である。
【0281】本発明の樹脂組成物に添加する酸化防止剤
の量は、本発明のポリ(チオ)エステル(共)重合体1
00質量部に対して、通常、0.0001〜10質量部
であり、より好ましくは、0.01〜5質量部であり、
さらに好ましくは、0.05〜3質量部である。
【0282】かかる酸化防止剤としては、例えば、トリ
メチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリブ
チルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリス
(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリノニルホス
ファイト、トリデシルホスファイト、トリス(トリデシ
ル)ホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ト
リステアリルホスファイト、トリス(2−クロロエチ
ル)ホスファイト、トリス(2,3−ジクロロプロピ
ル)ホスファイト、トリシクロヘキシルホスファイト、
トリフェニルホスファイト、トリクレジルホスファイ
ト、トリス(エチルフェニル)ホスファイト、トリス
(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ト
リス(ノニルフェニル)ホスファイト、フェニル−ジデ
シルホスファイト、ジフェニル−イソオクチルホスファ
イト、ジフェニル−2−エチルヘキシルホスファイト、
ジフェニル−デシルホスファイト、ジフェニル−トリデ
シルホスファイト、ビス(トリデシル)−ペンタエリス
チリル−ジホスファイト、ジステアリル−ペンタエリス
チリル−ジホスファイト、ジフェニル−ペンタエリスチ
リル−ジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)−ペン
タエリスチリル−ジホスファイト、ビス(2,4−ジ−
tert−ブチルフェニル)−ペンタエリスチリル−ジ
ホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−
4−メチルフェニル)−ペンタエリスチリル−ジホスフ
ァイト、テトラフェニル−ジプロピレングリコール−ジ
ホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4’−イソ
プロピリデンジフェニル−ジホスファイト、テトラ
(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’
−ジフェニルホスファイト、テトラフェニルテトラ(ト
リデシル)ペンタエリスチリルテトラホスファイト、ト
リラウリルトリチオホスファイトなどの亜リン酸類;
【0283】トリメチルホスフェート、トリエチルホス
フェート、トリブチルホスフェート、トリフェニルホス
フェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェー
ト、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、
ジイソプロピルホスフェートなどのリン酸類;テトラキ
ス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4
−ジフェニレンホスホナイトなどの亜ホスホン酸類;ベ
ンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチ
ル、ベンゼンホスホン酸ジイソプロピルなどのホスホン
酸類などのリン原子含有化合物、
【0284】オクタデシル−3−(3,5−ジ−ter
t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プ
ロピオネート、トリエチレングリコール−ビス[3−
(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシ
フェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオー
ル−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−5−
メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、
ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ
−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネート]、1,3,5−トリメチル−
2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−
4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、N,N−ヘキサメ
チレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒド
ロキシ−ヒドロシンナムアミド)、3,5−ジ−ter
t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネートジエ
チルエステル、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル
−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレートなどの公
知のフェノール系化合物が例示されるが、これらに限定
されるものではない。これらの酸化防止剤は、単独で用
いてもよく、あるいは、2種類以上併用しても差し支え
ない。
【0285】また酸化防止剤以外にも、本発明の所望の
効果を損なわない程度で、前述したような、紫外線吸収
剤、離型剤(例えば、一価または多価アルコールの高級
脂肪酸エステル類など)、滑剤、難燃剤(例えば、有機
ハロゲン系化合物など)、染料、流動性改良剤、熱安定
剤(例えば、硫黄原子含有化合物など)を含有していて
も差し支えない。
【0286】本発明の樹脂組成物を製造する方法として
は、特に限定はなく、通常、樹脂組成物を製造する各種
公知の方法により行うことができる。すなわち、ポリ
(チオ)エステル(共)重合体の溶液からポリ(チオ)
エステル(共)重合体を固体として単離した後、該固体
に対して上記酸化防止剤を添加して、さらに公知の各種
混合装置(例えば、タンブラーミキサー、V型ブレンダ
ー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサー、リボンブ
レンダー、スーパーミキサーなど)により分散混合する
方法、
【0287】あるいは、前述の通り、各種混合機によ
り分散混合した後、押出機、バンバリーミキサー、ロー
ル等で溶融混練する方法などが挙げられる。また、これ
らの方法を併用しても差し支えない。
【0288】本発明のポリ(チオ)エステル(共)重合
体または該(共)重合体を含有してなる樹脂組成物は、
熱可塑性であり、溶融状態で射出成形、押出成形、ブロ
ー成形、射出圧縮成形、さらには、溶液キャスティング
などの各種公知の成形方法により好適に成形加工され
る。
【0289】本発明のポリ(チオ)エステル(共)重合
体または該(共)重合体を含有してなる樹脂組成物を成
形して光学部品を得るための成形方法として、好ましく
は、射出成形、押出成形または射出圧縮成形であり、よ
り好ましくは、射出成形または射出圧縮成形である。
【0290】本発明のポリ(チオ)エステル(共)重合
体を成形して光学部品を製造する際の成形条件として
は、樹脂または樹脂組成物の熱的特性に応じて任意の条
件で行えるが、通常、樹脂温度180〜350℃、金型
温度25(室温)〜160℃の範囲であり、好ましく
は、樹脂温度180〜300℃、金型温度50〜150
℃の範囲であり、さらに好ましくは、樹脂温度180〜
300℃、金型温度50〜150℃の範囲である。
【0291】本発明のポリ(チオ)エステル(共)重合
体は、透明性、光学特性に優れ(高屈折率、高アッベ
数、低複屈折率など)、熱的特性、機械的特性などが良
好であり、かつ、成形加工性、生産性が良好であること
から、各種光学部品用材料として有用である。
【0292】本発明の光学部品としては、視力矯正用眼
鏡レンズ、撮像機器(例えば、カメラ、VTRなど)用
レンズ、ピックアップ用レンズ、コリメトリーレンズ、
fθレンズ、フレネルレンズなどの各種プラスチック光
学レンズ、光ディスク基板、光磁気ディスク基板などの
光記録媒体基板、液晶セル用プラスチック基板、光ファ
イバー、光導波路等の各種光学部品を挙げることができ
る。
【0293】上記方法で得られる本発明の光学部品は、
透明性、光学特性に優れ(高屈折率、高アッベ数、低複
屈折率など)、熱的特性、機械的特性などが良好であ
り、上記に例示したような用途で好適に使用される。
【0294】また本発明のポリ(チオ)エステル(共)
重合体または該(共)重合体を含有してなる樹脂組成物
は、成形用材料として上記光学部品以外の用途、例え
ば、電気機器、電子部品、車両用部品、建材等に成形し
て用いることも可能である。
【0295】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもの
ではない。
【0296】以下の実施例で製造したポリ(チオ)エス
テル(共)重合体、ならびに、該ポリ(チオ)エステル
(共)重合体を含有してなる樹脂組成物の物性測定は、
以下の方法により行った。
【0297】〔質量平均分子量の測定〕以下、実施例で
製造して得られたポリ(チオ)エステル(共)重合体の
0.2質量%クロロホルム溶液を、GPC(ゲル・パー
ミエーション・クロマトグラフィー)〔昭和電工(株)
製、「System−11」〕により測定し、質量平均
分子量(Mw)を求めた。なお、測定値は標準ポリスチ
レンに換算した値である。
【0298】〔溶融流動開始温度および溶融粘度〕島津
高化式フローテスター(CFT500A)を使用し、荷
重100kgで直径0.1cm、長さ1cmのオリフィ
スを用いて測定した。
【0299】〔屈折率、アッベ数〕得られたポリ(チ
オ)エステル共重合体を220℃でプレス機によりプレ
ス成形してシート状試験片を作成し、プルフリッヒ屈折
計を用いて20℃で屈折率(nd)およびアッベ数(ν
d)を求めた。
【0300】〔複屈折率〕実施例で製造したポリ(チ
オ)エステル(共)重合体の厚さ5μmの薄膜をシリコ
ンウエハー上に作成した。すなわち、該ポリ(チオ)エ
ステル(共)重合体の1,1,1−トリクロロエタン溶
液(20%濃度)をフッ素樹脂(「テフロン(登録商
標)」)製フィルター(ポア径0.45μm)で濾過し
た後、シリコンウエハー(直径5インチ)上に回転数2
000rpm、5秒間の条件下でスピンコートした。そ
の後、70℃で15分間乾燥して溶媒を留去させて、厚
さ5μmの該成形材料の薄膜を作成した。プリズムカプ
ラ(メトリコン社製モデル2020)を使用して632
nmレーザー光源で、該薄膜のTEモード光およびTM
モード光での屈折率を測定し、それらの差として複屈折
率を求めた。
【0301】〔ポリ(チオ)エステル重合体(ホモポリ
マー)の合成〕 参考製造例1 {2,6−ビス(アセトキシ)−8−チ
アトリシクロ[2.2.1.13,5]オクタンの合成} 攪拌装置を備えた1Lのフラスコに、2,6−ジクロル
−8−チアトリシクロ[2.2.1.13,5]オクタン
114g(0.60モル)と酢酸360gを装入し、攪
拌しながら、酢酸ナトリウム144g(1.7モル)を
加え、60℃に昇温し11時間保温した。室温まで冷却
後、残渣をろ過して濾液を捕集した。
【0302】次に、1500mLの水を攪拌している中
に、上記濾液を排出し、ジクロルメタン900mLで抽
出し、有機層を水酸化ナトリウム水溶液にて中和後、水
洗し、エバポレーターにて濃縮して白色結晶を得た。
【0303】続いて、得られた白色結晶を少量の酢酸エ
チルに溶解させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィー
(酢酸エチル/n-ヘキサン)のショートカラムを通し、
抽出液を濃縮、乾燥し、下記式(a)で表される2,6
−ビス(アセトキシ)−8−チアトリシクロ[2.2.
1.13,5]オクタンを得た。収量は119.4g(収
率84.3%)であった。
【0304】MS:242(M+)1 H−NMR δ(ppm、DMSO):1.63
(s,2H)、1.99(s,6H)、2.92(b
s,1H)、3.04−3.05(bd,2H)、3.
83−3.87(bt,1H)、5.15(s,2H)
【0305】
【化90】
【0306】参考製造例2{2,6−ジヒドロキシ−8
−チアトリシクロ[2.2.1.13, 5]オクタンの合
成} 攪拌装置を備えた1Lのフラスコに、上記参考製造例1
で得られた2,6−ビス(アセトキシ)−8−チアトリ
シクロ[2.2.1.13,5]オクタン110g(0.
56モル)とメタノール600mLを装入し、攪拌しな
がら、炭酸水素ナトリウム84g(1.0モル)を加
え、メタノール還流状態まで加熱し4時間保温した。室
温まで冷却後、残渣を濾過した。
【0307】次に、エバポレーターを用いて濾液を濃縮
後、濃縮溶液にアセトニトリル1200g、活性炭4g
を加えて、80℃まで加熱後、冷却、濾過し、濾液をエ
バポレーターにて濃縮させ、淡黄色結晶を得た。続い
て、アセトニトリル160gを用いて、再び加熱溶解さ
せ、冷却して再結晶させ、濾過、乾燥後、白色結晶の下
記式(1−1)の2,6−ジヒドロキシ−8−チアトリ
シクロ[2.2.1.1 3,5]オクタンを得た。収量は
61.6g(収率85%)であった。得られた2,6−
ジヒドロキシ−8−チアトリシクロ[2.2.1.1
3,5]オクタンをガスクロマトグラフィーにて純度を測
定したところ、99.8%であった。
【0308】
【化91】
【0309】実施例1 {2,6−ジヒドロキシ−8−
チアトリシクロ[2.2.1.13,5]オクタンと1,
4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリドとの縮合に
よるポリエステル重合体の製造} 攪拌装置を備えた500mLのフラスコに、上記参考製
造例2で得られた2,6−ジヒドロキシ−8−チアトリ
シクロ[2.2.1.13,5]オクタン 22.2g
(0.14モル)、ピリジン66.4g(0.84モ
ル)、o−ジクロルベンゼン(ODCB)80gを装入
し、窒素通気下60℃まで昇温した。70℃に保温した
滴下漏斗にて、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジ
クロリド29.3g(0.14モル)を2時間かけて前
記のフラスコに滴下した。滴下後、80℃で12時間保
温した時点で反応溶液の増粘が観測された為、ODCB
20gを追加した後、保温を3時間継続した。その後、
ベンゾイルクロリド0.20g(0.0014モル)を
装入し、1時間保温後、ベンジルアルコール0.76g
(0.007モル)を装入し、1時間保温した後、10
℃まで冷却した。
【0310】次に、氷冷下、反応溶液に水150g、ジ
クロルメタン150gを加え、36%塩酸水溶液で反応
溶液のpHを1にした。静置後、下層の有機層を抜き出
し、水洗を3回繰り返した。
【0311】n−ヘキサン1500mLをホモジナイザ
ーで激しく攪拌している中に、上記有機層を2時間かけ
て滴下して沈殿させた。得られた固形分を濾過後、ジク
ロルメタン150gを加えて溶解させ、メタノール15
00mLをホモジナイザーで激しく攪拌している中に、
上記ジクロルメタン溶液を2時間かけて滴下し、再沈殿
させた。
【0312】得られた沈殿物を濾過して、メタノールで
洗浄後、乾燥させ、粉末状白色固体として式(1−A−
1)で表される繰り返し構造単位のポリエステル重合体
39.5gを得た。GPC分析を行ったところ、質量平
均分子量6.7万であった。ポリマー試料0.5gを秤
量し、「UPILEX」(宇部興産製ポリイミド樹脂の
商品名)のフィルムを内側に入れて金属製スペーサーで
挟み込み、熱プレス装置で8分間加熱溶融させた。溶融
後、プレス機を用いて4.9MPa(50kg/cm2
で加圧冷却し、フィルム状試験片を作製した。得られた
試験片は無色透明であり、屈折率(nd)1.574、
アッベ数(νd)50.8であった。溶融流動性および
溶融粘度は問題無く、成形加工性は良好であった。
【0313】
【化92】
【0314】参考製造例3 {2,5−ビス(ヒドロキ
シメチル)−1,4−ジチアンの合成} 攪拌装置を備えた3Lのフラスコに、2,5-ビス(ア
セトキシメチル)−1,4−ジチアン450g(1.7
モル)とメタノール1500mLを装入し、攪拌しなが
ら、重炭酸ナトリウム314.6g(3.7モル)を加
え、メタノール還流条件下に加熱し5時間攪拌した。そ
の後、室温まで冷却後、残渣を濾過した。次に、攪拌装
置を備えた3Lのフラスコに濾液を移液し、活性炭20
gを加えて、再びメタノール還流条件下で30分加熱し
た後、室温まで冷却して濾過した。濾液をエバポレータ
ーにて濃縮させ、無色オイル状物を得た。続いて、シリ
カゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチ
ル/n-ヘキサン)により精製して、下記式(1−2)で
表される2,5−ビス(ヒドロキシメチル)−1,4−
ジチアンを得た。収量は298g(収率97%)であっ
た。得られた2,5−ビス(ヒドロキシメチル)−1,
4−ジチアンをガスクロマトグラフィーにて純度を測定
したところ、99.9%であった。
【0315】
【化93】
【0316】MS:180(M+) IR(KBr、cm-1):1201.3(C−O伸
縮)、1411.9(C−S変角)1 H−NMR: δ(ppm、D2O):2.85−2.
90(d,4H)、2.88−2.96(m,2H)、
3.62−3.67(dd,2H)、3.72−3.7
7(dd,2H)
【0317】参考製造例4 {2,5−ビス(クロルメ
チル)−1,4−ジチアンの加水分解によるジヒドロキ
シ体混合物[2,5−ビス(ヒドロキシメチル)−1,
4−ジチアン、3−ヒドロキシ−6−ヒドロキシメチル
−1,5−ジチアシクロヘプタン、3,7−ジヒドロキ
シ−1,5−ジチアシクロオクタン混合物]の合成} 攪拌装置、窒素バブリング管を備えたフラスコに純水6
8.6gを装入し、2,5−ビス(クロルメチル)−
1,4−ジチアン 34.3g(0.16モル)にアセ
トニトリル102gを加えた溶液を、室温で1時間を要
して滴下した。77℃まで昇温後、同温度で10時間反
応させた。反応溶液を室温まで冷却後、酸化マグネシウ
ム 4gを装入して中和した。中和溶液を濾別後、濾液
をエバポレーターにて濃縮させ、無色オイル状物を得
た。続いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢
酸エチル/n−ヘキサン)のショートカラムを通し、抽
出液を濃縮、乾燥し、ジヒドロキシ化合物の混合物[下
記式(1−3)で表される2,5−ビス(ヒドロキシメ
チル)−1,4−ジチアン、式(1−4)で表される3
−ヒドロキシ−6−ヒドロキシメチル−1,5−ジチア
シクロヘプタン、ならびに、式(1−5)で表される
3,7−ジヒドロキシ−1,5−ジチアシクロオクタ
ン]を得た。収量は18.2g(収率64%)であっ
た。
【0318】
【化94】
【0319】MS:180(M+) IR(KBr、cm-1):1201.3(C−O伸
縮)、1411.9(C−S変角)13 C−NMR δ(ppm、D2O):29.2、3
6.1、39.4、39.5、41.7、52.0、6
3.9、64.7、62.8
【0320】実施例2 [2,5−ビス(ヒドロキシ
メチル)−1,4−ジチアンと1,4−シクロヘキサン
ジカルボン酸ジクロリドとの縮合によるポリエステル重
合体の製造] 攪拌装置を備えた500mLのフラスコに、2,5−ビ
ス(ヒドロキシメチル)−1,4−ジチアン27.1g
(0.15モル)、ピリジン71.3g(0.90モ
ル)、o−ジクロルベンゼン(ODCB)100gを装
入し、窒素通気下60℃まで昇温した。70℃に保温し
た滴下ロートにて、1,4−シクロヘキサンジカルボン
酸ジクロリド31.4g(0.15モル)を2時間かけ
て前記のフラスコに滴下した。滴下後、60℃で8時間
保温した時点で反応溶液の増粘が観測された為、ODC
B40gを追加した後、保温を3時間継続した。その
後、ベンゾイルクロリド0.21g(0.0015モ
ル)を装入し、1時間保温後、ベンジルアルコール0.
81g(0.0075モル)を装入し、1時間保温した
後、10℃まで冷却した。
【0321】次に、氷冷下、反応溶液に水160g、ジ
クロルメタン160gを加え、36%塩酸水溶液で反応
溶液のpHを1にした。静置後、下層の有機層を抜き出
し、水洗を3回繰り返した。n−ヘキサン1500mL
をホモジナイザーで激しく攪拌している中に、上記有機
層を2時間かけて滴下して沈殿させた。得られた固形分
を濾過後、ジクロルメタン150gを加えて溶解させ、
メタノール1500mLをホモジナイザーで激しく攪拌
している中に、上記ジクロルメタン溶液を2時間かけて
滴下し、再沈殿させた。
【0322】得られた沈殿物を濾過して、メタノールで
洗浄後、乾燥させ、白色粉末状固体の式(1−A−2)
で表されるポリチオエステル重合体 41.9gを得
た。GPC分析を行ったところ、質量平均分子量7.5
万であった。
【0323】実施例1と同様にしてフィルムを作製し
た。得られたフィルムは無色透明であり、光学物性は屈
折率(nd) 1.566、アッベ数(νd) 48.
0であった。溶融流動性および溶融粘度は問題無く、成
形加工性は良好であった。
【0324】
【化95】
【0325】実施例3[本発明のポリチオエステル重合
体の製造および物性測定] 撹拌装置、還流冷却管、温度計を設けた内容量3リット
ルのフラスコに、2,5−ビス(メルカプトメチル)−
1,4−ジチアン 358.99g(1.69モル)お
よびクロルベンゼン 500gを秤取し、窒素雰囲気下
で攪拌して溶解させた。一方、下記式(3−1)で表さ
れるノルボルナンジカルボン酸クロリド(異性体混合
物)375.84g(1.70モル)を100℃で1時
間を要して滴下した後、窒素気流下で副生する塩化水素
を反応系外へ除去しながら、130℃で8時間反応させ
た。GPC分析で質量平均分子量9.0万であることを
確認した後、100℃で、分子量調節剤(末端停止剤)
としてp−tert−ブチルフェノール 8.43g
(0.0248モル:3.5モル%)を添加し、同温度
で1時間反応させた。反応溶液を室温まで放冷した後、
クロロホルム3900gを加えて溶解させた。得られた
ポリチオエステル重合体のクロロホルム溶液を3回に分
けて、それぞれ10リットル容量のホモジナイザーを用
いてメタノール4500g対して滴下して、ポリマーを
微粒状固体として析出させた。このポリマーを濾過して
集め、80℃で20時間減圧乾燥して、白色粉末状固体
として目的とする下記式(1−A−3)で表される繰り
返し構造単位を有するポリ(チオ)エステル共重合体
670g(収率99%)を得た。
【0326】
【化96】
【0327】前記方法により、得られたポリ(チオ)エ
ステル共重合体の物性測定を行ったところ、ガラス転移
温度(Tg)は104℃であり良好であった。屈折率
(nd)1.631、アッベ数(νd)37.7であ
り、汎用ポリカーボネートと比較して高屈折率、高アッ
ベ数であった。また複屈折率は汎用ポリカーボネートと
比較して低い値を示した。
【0328】実施例4 実施例3において、2,5−ビス(メルカプトメチル)
−1,4−ジチアンを使用する代わりに、ビス(2−メ
ルカプトエチル)スルフィドを使用する以外は、実施例
3と同様にして行い、式(1−A−4)で表される繰り
返し構造単位を有するポリチオエステル重合体を得た。
【0329】前記方法により、得られたポリ(チオ)エ
ステル共重合体の物性測定を行ったところ、ガラス転移
温度(Tg)は80℃以上を示し問題なかった。屈折率
(nd)1.613、アッベ数(νd)39.0であ
り、汎用ポリカーボネートと比較して高屈折率、高アッ
ベ数であった。また複屈折率は汎用ポリカーボネートと
比較して低い値を示した。
【0330】
【化97】
【0331】実施例5 実施例3において、ノルボルナンジカルボン酸クロリド
を使用する代わりに、1,4−シクロヘキサンジカルボ
ン酸クロリドを使用する以外は、実施例3と同様にして
行い、式(1−A−5)で表される繰り返し構造単位を
有するポリチオエステル重合体を得た。
【0332】前記方法により、得られたポリ(チオ)エ
ステル共重合体の物性測定を行ったところ、ガラス転移
温度(Tg)は95℃であった。屈折率(nd)1.6
31、アッベ数(νd)38.0であり、汎用ポリカー
ボネートと比較して高アッベ数であった。また複屈折率
は汎用ポリカーボネートと比較して低い値を示した。
【0333】
【化98】
【0334】実施例6 実施例3において、2,5−ビス(メルカプトメチル)
−1,4−ジチアンを使用する代わりに、ビス(2−メ
ルカプトエチル)スルフィドを使用し、かつ、ノルボル
ナンジカルボン酸クロリドを使用する代わりに、1,4
−シクロヘキサンジカルボン酸クロリドを使用する以外
は、実施例3と同様にして行い、式(1−A−6)で表
される繰り返し構造単位を有するポリチオエステル重合
体を得た。
【0335】前記方法により、得られたポリ(チオ)エ
ステル共重合体の物性測定を行ったところ、ガラス転移
温度(Tg)は80℃以上を示し問題なかった。屈折率
(nd)1.635、アッベ数(νd)39.0であ
り、汎用ポリカーボネートと比較して高屈折率、高アッ
ベ数であった。また複屈折率は汎用ポリカーボネートと
比較して低い値を示した。
【0336】
【化99】
【0337】実施例7 実施例3において、ノルボルナンジカルボン酸クロリド
を使用する代わりに、テレフタル酸クロリドを使用する
以外は、実施例3と同様にして行い、式(1−A−7)
で表される繰り返し構造単位を有するポリチオエステル
重合体を得た。
【0338】前記方法により、得られたポリ(チオ)エ
ステル共重合体の物性測定を行ったところ、ガラス転移
温度(Tg)は200℃以上を示し、非常に耐熱性が優
れていた。屈折率(nd)1.685、アッベ数(ν
d)30.2であり、汎用ポリカーボネートと比較して
高屈折率であった。また複屈折率は汎用ポリカーボネー
トと比較して低い値を示した。
【0339】
【化100】
【0340】実施例8 実施例3において、ノルボルナンジカルボン酸クロリド
を使用する代わりに、イソフタル酸クロリドを使用する
以外は、実施例3と同様にして行い、式(1−A−8)
で表される繰り返し構造単位を有するポリチオエステル
重合体を得た。
【0341】前記方法により、得られたポリ(チオ)エ
ステル共重合体の物性測定を行ったところ、ガラス転移
温度(Tg)は105℃であり良好であった。屈折率
(nd)1.685、アッベ数(νd)30.2であ
り、汎用ポリカーボネートと比較して高屈折率であっ
た。また複屈折率は汎用ポリカーボネートと比較して低
い値を示した。
【0342】
【化101】
【0343】実施例9 実施例3において、2,5−ビス(メルカプトメチル)
−1,4−ジチアンを使用する代わりに、ビス(2−メ
ルカプトエチル)スルフィドを使用し、かつ、ノルボル
ナンジカルボン酸クロリドを使用する代わりに、テレフ
タル酸クロリドを使用する以外は、実施例3と同様にし
て行い、式(1−A−9)で表される繰り返し構造単位
を有するポリチオエステル重合体を得た。
【0344】前記方法により、得られたポリ(チオ)エ
ステル共重合体の物性測定を行ったところ、ガラス転移
温度(Tg)は100℃以上を示し、良好であった。屈
折率(nd)1.680、アッベ数(νd)30.5で
あり、汎用ポリカーボネートと比較して高屈折率であっ
た。また複屈折率は汎用ポリカーボネートと比較して低
い値を示した。
【0345】
【化102】
【0346】実施例10 実施例3において、2,5−ビス(メルカプトメチル)
−1,4−ジチアンを使用する代わりに、ビス(2−メ
ルカプトエチル)スルフィドを使用し、かつ、ノルボル
ナンジカルボン酸クロリドを使用する代わりに、イソフ
タル酸クロリドを使用する以外は、実施例3と同様にし
て行い、式(1−A−10)で表される繰り返し構造単
位を有するポリチオエステル重合体を得た。
【0347】前記方法により、得られたポリ(チオ)エ
ステル共重合体の物性測定を行ったところ、ガラス転移
温度(Tg)は80℃以上を示し問題なかった。屈折率
(nd)1.680、アッベ数(νd)30.5であ
り、汎用ポリカーボネートと比較して高屈折率であっ
た。また複屈折率は汎用ポリカーボネートと比較して低
い値を示した。
【0348】
【化103】
【0349】実施例11 実施例3において、2,5−ビス(メルカプトメチル)
−1,4−ジチアンを使用する代わりに、ビス(2−メ
ルカプトエチル)スルフィドを使用し、かつ、ノルボル
ナンジカルボン酸クロリドを使用する代わりに、下記式
(2−2)で表されるテトラシクロドデセンジカルボン
酸クロリドを使用する以外は、実施例3と同様にして行
い、式(1−A−11)で表される繰り返し構造単位を
有するポリチオエステル重合体を得た。
【0350】前記方法により、得られたポリ(チオ)エ
ステル共重合体の物性測定を行ったところ、ガラス転移
温度(Tg)は80℃以上を示し問題なかった。屈折率
(nd)1.601、アッベ数(νd)41.9であ
り、汎用ポリカーボネートと比較して高屈折率、高アッ
ベ数であった。また複屈折率は汎用ポリカーボネートと
比較して低い値を示した。
【0351】
【化104】
【0352】実施例12[実施例3で得られたポリチオ
エステル共重合体からなる光学部品用成形材料の製造] 実施例3で製造したポリチオエステル共重合体100質
量部、トリス(2,4−ジ−tert―ブチルフェニ
ル)ホスファイト(商品名:「イルガフォス618」、
チバスペシャルティケミカルズ製)0.2質量部および
オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−
4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(商品名:
「イルガノックス1076」、チバスペシャルティケミ
カルズ製)0.2質量部を、ヘンシェルミキサーにて混
合した後、単軸押出機(65mm)にてシリンダー温度
210℃で脱気しながら溶融混練および押出しペレット
化を行い、無色透明ペレットの光学部品用成形材料(樹
脂組成物)を得た。
【0353】実施例13[光学部品(プラスチックレン
ズ)の製造] 上記実施例12で得られた成形材料(樹脂組成物)を用
いて射出成形によりレンズ形状の成形品を製造した。す
なわち、該成形材料のペレットを80℃で24時間減圧
乾燥した後、射出成形機にて、成形温度230℃、金型
温度60℃で射出成形して、無色透明、プラスレンズ
(凸レンズ;直径75mm、中心厚4.2mm、コバ厚
1.0mm、+2.00D)形状の成形体を得た。この
成形体を偏光板の間において観察したところ、脈理、歪
みなどは観察されず、複屈折が低く光学的に均質なもの
であった。このように本発明の成形材料を使用すること
により、比較的低温(230℃)で成形が可能で、か
つ、光学的に均質な成形品を好適に製造することができ
た。また、こうして得られた本発明のプラスチックレン
ズは、透明性、機械的特性(耐衝撃性、引っ張り強度、
曲げ強度など)、熱的特性(熱変形温度など)、耐光性
等の諸物性面で良好な特性を示した。
【0354】〔ポリ(チオ)エステル共重合体(二元)
の製造〕 実施例14[本発明のポリ(チオ)エステル共重合体の
製造および物性測定] 撹拌装置、還流冷却管、温度計を設けた内容量2リット
ルのフラスコに、2,5−ビス(メルカプトメチル)−
1,4−ジチアン 155.1g(0.73モル)、
1,4−シクロヘキサンジオール 84.8g(0.7
3モル)およびo−ジクロルベンゼン 440gを秤取
し、窒素雰囲気下、80℃で攪拌して溶解させた。一
方、前記式(3−1)で表されるノルボルナンジカルボ
ン酸クロリド(異性体混合物)320.6g(1.44
6モル)を80〜105℃で1時間15分を要して滴下
した後、窒素気流下で副生する塩化水素を反応系外へ除
去しながら、105℃で4時間反応させ、質量平均分子
量4.7万となったところで、o−ジクロルベンゼン3
50gを追加した。引き続き140℃で5時間反応させ
た後、o−ジクロルベンゼン 370gを追加し、さら
に160℃で2時間反応させてGPC分析したところ、
質量平均分子量は8.2万であった。この後、分子量調
節剤(末端停止剤)として安息香酸クロリド 3.5g
(0.0248モル)を添加し、同温度で1時間反応さ
せた。反応溶液を室温まで放冷した後、クロロホルム3
000gを加えて溶解させて得られた溶液を2回に分け
て、それぞれ10リットル容量のホモジナイザー中の貧
溶媒(メタノール)に対して滴下して、析出したポリマ
ーを濾過して集め、80℃で20時間減圧乾燥した。白
色粉末状固体として生成物のポリ(チオ)エステル共重
合体 540g(収率99%)を得た。
【0355】
【化105】
【0356】得られたポリ(チオ)エステル共重合体の
1質量%重水素化クロロホルム溶液の1H−NMR(4
00MHz)を測定した結果を下記に示した。1 H−NMR δ(CDCl3):1.20〜2.05
(m,20H)、2.25〜3.10(m,14H)、
3.15〜3.30(m,4H)、4.70〜4.90
(br,2H)
【0357】上記1H−NMR測定の結果から、式(1
−A−3)で表される繰り返し構造単位中の1,4−ジ
チアン環における2位および5位に結合したチオメチレ
ン基の水素(3.15〜3.30ppm)と、式(1−
B−1)で表される繰り返し構造単位中のシクロヘキサ
ン環における1位および4位のメチン水素(4.70〜
4.90ppm)との積分比を求めることにより、得ら
れたポリ(チオ)エステル共重合体中の下記式(1−A
−3)で表される繰り返し構造単位と、下記式(1−B
−1)で表される繰り返し構造単位とのモル比は50:
50であることが確認された。
【0358】前記方法に従い、得られた本発明のポリ
(チオ)エステル共重合体の物性測定を行ったところ、
ガラス転移温度(Tg)は117℃を示した。溶融流動
開始温度は210℃であり、溶融粘度は、240℃で1
200Pa・s(12000ポイズ)であった。屈折率
(nd)1.581、アッベ数(νd)44であり、汎
用ポリカーボネートと比較して高アッベ数であった。ま
た複屈折率は汎用ポリカーボネートと比較して低い値を
示した。
【0359】実施例15 実施例14において、2,5−ビス(メルカプトメチ
ル)−1,4−ジチアン155.1g(0.73モ
ル)、1,4−シクロヘキサンジオール 84.8g
(0.73モル)を使用する代わりに、2,5−ビス
(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン 123.2
g(0.58モル)、1,4−シクロヘキサンジオール
102.2g(0.88モル)を使用する以外は、実施
例14と同様にして行った。
【0360】得られたポリ(チオ)エステル共重合体
は、GPC分析の標準ポリスチレン換算で質量平均分子
量6.6万であり、1H−NMR測定の結果から得られ
たポリ(チオ)エステル共重合体中の上記式(1−A−
3)で表される繰り返し構造単位と、上記式(1−B−
1)で表される繰り返し構造単位とのモル比は40:6
0であった。
【0361】前記方法に従い、得られた本発明のポリ
(チオ)エステル共重合体の物性測定を行ったところ、
ガラス転移温度(Tg)は124℃であった。溶融流動
開始温度は195℃であり、溶融粘度は250℃で98
0Pa・s(9800ポイズ)を示した。屈折率(n
d)1.565、アッベ数(νd)45であり、複屈折
率は非常に低かった。
【0362】実施例16[実施例14で得られたポリ
(チオ)エステル共重合体からなる本発明の光学部品用
成形材料の製造] 実施例14で製造したポリ(チオ)エステル共重合体1
00質量部、トリス(2,4−ジ−tert―ブチルフ
ェニル)ホスファイト0.1質量部およびペンタエリス
チリル[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)プロピオネート]0.1質量部を、
ヘンシェルミキサーにて混合した後、単軸押出機(65
mm)にてシリンダー温度215℃で脱気しながら溶融
混練して、押し出しペレット化して、無色透明ペレット
の光学部品用成形材料(樹脂組成物)を得た。
【0363】実施例17[本発明の光学部品の製造] 上記実施例16で得られた成形材料を用いて射出成形に
よりレンズ形状の成形品を製造した。すなわち、該成形
材料のペレットを100℃で24時間減圧乾燥した後、
射出成形機にて、成形温度250℃、金型温度80℃で
射出成形して、無色透明、プラスレンズ(凸レンズ;直
径75mm、中心厚4.2mm、コバ厚1.0mm、+
2.00D)形状の成形体を得た。この成形体を偏光板
の間において観察したところ、脈理、歪みなどは観察さ
れず、複屈折が低く光学的に均質なものであった。この
ように本発明の成形材料を使用することにより、汎用ポ
リカーボネートと比較して低い温度(250℃)で成形
が可能で、かつ、光学的に均質な成形品を好適に製造す
ることができた。また、こうして得られた本発明のプラ
スチックレンズは、透明性、機械的特性(耐衝撃性、引
っ張り強度、曲げ強度など)、熱的特性(熱変形温度な
ど)、耐光性等の諸物性面で、実用上、良好な特性を示
した。
【0364】実施例18[本発明のポリ(チオ)エステ
ル共重合体の製造および物性測定] 撹拌装置、還流冷却管、温度計を設けた内容量2リット
ルのフラスコに、2,5−メルカプトメチル−1,4−
ジチアン 155.1g(0.73モル)、2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン 17
5.5(0.73モル)およびo−ジクロルベンゼン
440gを秤取し、窒素雰囲気下、80℃で攪拌して溶
解させた。一方、前記式(3−1)で表されるノルボル
ナンジカルボン酸クロリド(異性体混合物)320.6
g(1.446モル)を80〜105℃で1時間15分
を要して滴下した後、窒素気流下で副生する塩化水素を
反応系外へ除去しながら、105℃で4時間反応させ、
質量平均分子量4.5×10 4となったところで、o−
ジクロルベンゼン350gを追加した。引き続き140
℃で5時間反応させた後、o−ジクロルベンゼン 37
0gを追加し、さらに160℃で2時間反応させてGP
C分析したところ、質量平均分子量は7.4×104
あった。この後、分子量調節剤(末端停止剤)として安
息香酸クロリド3.5g(0.0248モル)を添加
し、同温度で1時間反応させた。反応溶液を室温まで放
冷した後、クロロホルム3000gを加えて溶解させて
得られた溶液を2回に分けて、それぞれ10リットル容
量のホモジナイザー中の貧溶媒(メタノール)に対して
滴下して、析出したポリマーを濾過して集め、80℃で
20時間減圧乾燥した。白色粉末状固体として目的とす
る本発明のポリ(チオ)エステル共重合体 536.5
g(収率99%)を得た。GPC分析法による質量平均
分子量は7.4×104であった。
【0365】得られたポリ(チオ)エステル共重合体の
1質量%重水素化クロロホルム溶液の1H−NMR(4
00MHz)を測定した結果を下記に示した。1 H−NMR δ(CDCl3):0.65(m,6
H)、〜3.10(m,43H)、3.20〜3.35
(m、4H)、4.50〜5.05(2H)
【0366】上記1H−NMR測定の結果から、式(1
−A−3)で表される繰り返し構造単位中の1,4−ジ
チアン環の2位および5位に結合しているチオメチル基
の水素と、式(1−B−2)で表される繰り返し構造単
位中のシクロヘキサン環上で酸素原子で置換されている
4位のメチン水素とのプロトン積分比を求めることによ
り、得られたポリ(チオ)エステル共重合体中の下記式
(1−A−3)で表される繰り返し構造単位と、下記式
(1−B−2)で表される繰り返し構造単位とのモル比
は50:50であることが確認された。
【0367】
【化106】
【0368】前記方法に従い、得られた本発明のポリ
(チオ)エステル共重合体の物性測定を行ったところ、
ガラス転移温度(Tg)は130℃を示した。溶融流動
開始温度は210℃であり、溶融粘度は、260℃で3
60Pa・s(3600ポイズ)であった。屈折率(n
d)1.578、アッベ数(νd)46であり、比較的
高屈折率であって、かつ、高アッベ数であった。また、
複屈折率は汎用ポリカーボネートと比較して低い値を示
した。
【0369】実施例19 実施例18において、2,5−メルカプトメチル−1,
4−ジチアン 155.1g(0.73モル)、2,2
−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン 1
75.5(0.73モル)を使用する代わりに、2,5
−メルカプトメチル−1,4−ジチアン 187.0g
(0.88モル)、2,2−ビス(4−ヒドロキシシク
ロヘキシル)プロパン 139.4g(0.58モル)
を使用する以外は、実施例18と同様にして行った。
【0370】得られたポリ(チオ)エステル共重合体
は、GPC分析の標準ポリスチレン換算で質量平均分子
量6.6万であり、1H−NMR測定の結果から得られ
たポリ(チオ)エステル共重合体中の上記式(1−A−
3)で表される繰り返し構造単位と、上記式(1−B−
2)で表される繰り返し構造単位とのモル比は60:4
0であった。
【0371】前記方法に従い、得られた本発明のポリ
(チオ)エステル共重合体の物性測定を行ったところ、
ガラス転移温度(Tg)は130℃であった。溶融流動
開始温度は190℃であり、溶融粘度は250℃で12
00Pa・s(12000ポイズ)を示した。屈折率
(nd)1.587、アッベ数(νd)45であり、複
屈折率は非常に低かった。
【0372】実施例20[実施例18で得られたポリ
(チオ)エステル共重合体を含有してなる樹脂組成物の
製造] 実施例18で製造したポリ(チオ)エステル共重合体1
00質量部、トリス(2,4−ジ−tert―ブチルフ
ェニル)ホスファイト0.1質量部およびペンタエリス
チリル[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)プロピオネート]0.1質量部を、
ヘンシェルミキサーにて混合した後、単軸押出機(65
mm)にてシリンダー温度220℃で脱気しながら溶融
混練して、押し出しペレット化して、無色透明ペレット
の光学部品用成形材料(樹脂組成物)を得た。
【0373】実施例21[本発明の光学部品の製造] 上記実施例20で得られた成形材料(樹脂組成物)を用
いて射出成形によりレンズ形状の成形品を製造した。す
なわち、該成形材料のペレットを100℃で24時間減
圧乾燥した後、射出成形機にて、成形温度250℃、金
型温度80℃で射出成形して、無色透明、プラスレンズ
(凸レンズ;直径75mm、中心厚4.2mm、コバ厚
1.0mm、+2.00D)形状の成形体を得た。この
成形体を偏光板の間において観察したところ、脈理、歪
みなどは観察されず、複屈折の低い光学的に均質なもの
であった。このように本発明の成形材料を使用すること
により、汎用ポリカーボネートと比較して低い温度(2
50℃)で成形が可能で、かつ、光学的に均質な成形品
を好適に製造することができた。また、こうして得られ
た本発明のプラスチックレンズは、透明性、機械物性、
耐候性(耐熱性、耐湿性、耐光性など)等の諸物性面
で、実用上、良好な特性を示した。
【0374】実施例22[本発明のポリ(チオ)エステ
ル共重合体の製造および物性測定] 撹拌装置、還流冷却管、温度計を設けた内容量300ミ
リリットルのフラスコに、2,5−ビス(メルカプトメ
チル)−1,4−ジチアン 15.93g(0.075
モル)、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシ
ル)プロパン 18.03(0.075モル)およびo
−ジクロルベンゼン 44gを秤取し、窒素雰囲気下、
80℃で攪拌して溶解させた。一方、1,4−シクロヘ
キサンジカルボン酸クロリド 31.21g(0.14
93モル)を95〜100℃で1時間30分を要して滴
下した後、窒素気流下で副生する塩化水素を反応系外へ
除去しながら、105℃で3時間反応させ、質量平均分
子量4.1×104となったところで、o−ジクロルベ
ンゼン30gを追加した。引き続き140℃で5時間反
応させた後、o−ジクロルベンゼン 40gを追加し、
さらに160℃で2時間反応させてGPC分析したとこ
ろ、質量平均分子量は8.8×104であった。この
後、分子量調節剤(末端停止剤)として安息香酸クロリ
ド0.42g(0.008モル)を添加し、同温度で1
時間反応させた。反応溶液を室温まで放冷した後、クロ
ロホルム300gを加えて溶解させて得られた溶液を、
1.5リットル容量のホモジナイザー中の貧溶媒(メタ
ノール)に対して滴下して、析出したポリマーを濾過し
て集め、80℃で20時間減圧乾燥した。白色粉末状固
体として目的とする本発明のポリ(チオ)エステル共重
合体 53.3g(収率98%)を得た。GPC分析法
による質量平均分子量は8.6×104であった。
【0375】得られたポリ(チオ)エステル共重合体の
1質量%重水素化クロロホルム溶液の1H−NMR(4
00MHz)を測定した結果を下記に示した。1 H−NMR δ(CDCl3):0.74(m,6
H)、〜3.15(m,43H)、3.20〜3.35
(m、4H)、4.55〜5.05(2H)
【0376】上記1H−NMR測定の結果から、式(1
−A−5)で表される繰り返し構造単位中の1,4−ジ
チアン環の2位および5位に結合しているチオメチル基
の水素と、式(1−B−3)で表される繰り返し構造単
位中のシクロヘキサン環上で酸素原子で置換されている
4位のメチン水素とのプロトン積分比を求めることによ
り、得られたポリ(チオ)エステル共重合体中の下記式
(1−A−5)で表される繰り返し構造単位と、下記式
(1−B−3)で表される繰り返し構造単位とのモル比
は50:50であることが確認された。
【0377】
【化107】
【0378】前記方法に従い、得られた本発明のポリ
(チオ)エステル共重合体の物性測定を行ったところ、
ガラス転移温度(Tg)は132℃を示した。溶融流動
開始温度は240℃であり、溶融粘度は、260℃で1
200Pa・s(12000ポイズ)であった。屈折率
(nd)1.577、アッベ数(νd)46であり、比
較的高屈折率であって、かつ、高アッベ数であった。ま
た、複屈折率は汎用ポリカーボネートと比較して低い値
を示した。
【0379】実施例23 実施例22において、2,5−ビス(メルカプトメチ
ル)−1,4−ジチアン15.93g(0.075モ
ル)、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)
プロパン 18.03(0.075モル)を使用する代
わりに、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−
ジチアン 19.12g(0.09モル)、2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン 14.
42g(0.06モル)を使用する以外は、実施例22
と同様にして行った。
【0380】得られたポリ(チオ)エステル共重合体
は、GPC分析の標準ポリスチレン換算で質量平均分子
量6.0万であり、1H−NMR測定の結果から得られ
たポリ(チオ)エステル共重合体中の前記式(1−A−
5)で表される繰り返し構造単位と、前記式(1−B−
3)で表される繰り返し構造単位とのモル比は60:4
0であった。
【0381】前記方法に従い、得られた本発明のポリ
(チオ)エステル共重合体の物性測定を行ったところ、
ガラス転移温度(Tg)は125℃であった。溶融流動
開始温度は210℃であり、溶融粘度は250℃で10
50Pa・s(10500ポイズ)を示した。屈折率
(nd)1.586、アッベ数(νd)41であり、高
屈折率であって、かつ、高アッベ数であった。また、複
屈折率は汎用ポリカーボネートと比較して低い値を示し
た。
【0382】実施例24[実施例22で得られたポリ
(チオ)エステル共重合体を含有してなる樹脂組成物の
製造] 実施例22で製造したポリ(チオ)エステル共重合体1
00質量部、トリス(2,4−ジ−tert―ブチルフ
ェニル)ホスファイト0.1質量部およびペンタエリス
チリル[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)プロピオネート]0.1質量部を、
ヘンシェルミキサーにて混合した後、単軸押出機(65
mm)にてシリンダー温度220℃で脱気しながら溶融
混練して、押し出しペレット化して、無色透明ペレット
の光学部品用成形材料(樹脂組成物)を得た。
【0383】実施例25[本発明の光学部品の製造] 上記実施例24で得られた成形材料(樹脂組成物)を用
いて射出成形によりレンズ形状の成形品を製造した。す
なわち、該成形材料のペレットを100℃で24時間減
圧乾燥した後、射出成形機にて、成形温度250℃、金
型温度80℃で射出成形して、無色透明、プラスレンズ
(凸レンズ;直径75mm、中心厚4.2mm、コバ厚
1.0mm、+2.00D)形状の成形体を得た。この
成形体を偏光板の間において観察したところ、脈理、歪
みなどは観察されず、複屈折の低い光学的に均質なもの
であった。このように本発明の成形材料を使用すること
により、汎用ポリカーボネートと比較して低い温度(2
50℃)で成形が可能で、かつ、光学的に均質な成形品
を好適に製造することができた。また、こうして得られ
た本発明のプラスチックレンズは、透明性、機械物性、
耐候性(耐熱性、耐湿性、耐光性など)等の諸物性面
で、実用上、良好な特性を示した。
【0384】実施例26[本発明のポリ(チオ)エステ
ル共重合体の製造および物性測定] 撹拌装置、還流冷却管、温度計を設けた内容量2リット
ルのフラスコに、2,5−ビス(メルカプトメチル)−
1,4−ジチアン 155.1g(0.73モル)、
1,4−シクロヘキサンジオール 84.8g(0.7
3モル)およびo−ジクロルベンゼン 440gを秤取
し、窒素雰囲気下、80℃で攪拌して溶解させた。一
方、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸クロリド30
2.3g(1.446モル)を80〜105℃で1時間
15分を要して滴下した後、窒素気流下で副生する塩化
水素を反応系外へ除去しながら、105℃で4時間反応
させ、質量平均分子量4.7万となったところで、o−
ジクロルベンゼン350gを追加した。引き続き140
℃で5時間反応させた後、o−ジクロルベンゼン 37
0gを追加し、さらに160℃で2時間反応させてGP
C分析したところ、質量平均分子量は7.5万であっ
た。この後、分子量調節剤(末端停止剤)として安息香
酸クロリド 3.5g(0.0248モル)を添加し、
同温度で1時間反応させた。反応溶液を室温まで放冷し
た後、クロロホルム3000gを加えて溶解させて得ら
れた溶液を2回に分けて、それぞれ10リットル容量の
ホモジナイザー中の貧溶媒(メタノール)に対して滴下
して、析出したポリマーを濾過して集め、80℃で20
時間減圧乾燥した。白色粉末状固体として目的とする本
発明のポリ(チオ)エステル共重合体 434.2g
(収率99%)を得た。
【0385】得られたポリ(チオ)エステル共重合体の
1質量%重水素化クロロホルム溶液の1H−NMR(4
00MHz)を測定した結果を下記に示した。1 H−NMR δ(CDCl3):1.20〜2.05
(m,20H)、2.25〜3.10(m,14H)、
3.15〜3.30(m,4H)、4.70〜4.90
(br,2H)
【0386】上記1H−NMR測定の結果から、式(1
−A−5)で表される繰り返し構造単位中の1,4−ジ
チアン環における2位および5位に結合したチオメチレ
ン基の水素(3.15〜3.30ppm)と、式(1−
B−4)で表される繰り返し構造単位中のシクロヘキサ
ン環における1位および4位のメチン水素(4.70〜
4.90ppm)との積分比を求めることにより、得ら
れたポリ(チオ)エステル共重合体中の下記式(1−A
−5)で表される繰り返し構造単位と、下記式(1−B
−4)で表される繰り返し構造単位とのモル比は50:
50であることが確認された。
【0387】
【化108】
【0388】前記方法に従い、得られた本発明のポリ
(チオ)エステル共重合体の物性測定を行ったところ、
ガラス転移温度(Tg)は106℃を示した。溶融流動
開始温度は215℃であり、溶融粘度は、260℃で9
00Pa・s(9000ポイズ)であった。屈折率(n
d)1.591、アッベ数(νd)44であり、汎用ポ
リカーボネートと比較して高アッベ数であった。また複
屈折率は汎用ポリカーボネートと比較して低い値を示し
た。
【0389】実施例27 実施例26において、2,5−ビス(メルカプトメチ
ル)−1,4−ジチアン155.1g(0.73モ
ル)、1,4−シクロヘキサンジオール 84.8g
(0.73モル)を使用する代わりに、2,5−ビス
(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン 123.2
g(0.58モル)、1,4−シクロヘキサンジオール
102.2g(0.88モル)を使用する以外は、実施
例26と同様にして行った。
【0390】得られたポリ(チオ)エステル共重合体
は、GPC分析の標準ポリスチレン換算で質量平均分子
量6.6万であり、1H−NMR測定の結果から得られ
たポリ(チオ)エステル共重合体中の前記式(1−A−
5)で表される繰り返し構造単位と、前記式(1−B−
4)で表される繰り返し構造単位とのモル比は40:6
0であった。
【0391】前記方法に従い、得られた本発明のポリ
(チオ)エステル共重合体の物性測定を行ったところ、
ガラス転移温度(Tg)は116℃であった。溶融流動
開始温度は190℃であり、溶融粘度は250℃で69
0Pa・s(6900ポイズ)を示した。屈折率(n
d)1.580、アッベ数(νd)47であり、高屈折
率であって、かつ、高アッベ数であった。また、複屈折
率は汎用ポリカーボネートと比較して低い値を示した。
【0392】実施例28[実施例1で得られたポリ(チ
オ)エステル共重合体からなる本発明の光学部品用成形
材料の製造] 実施例26で製造したポリ(チオ)エステル共重合体1
00質量部、トリス(2,4−ジ−tert―ブチルフ
ェニル)ホスファイト0.1質量部およびペンタエリス
チリル[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)プロピオネート]0.1質量部を、
ヘンシェルミキサーにて混合した後、単軸押出機(65
mm)にてシリンダー温度215℃で脱気しながら溶融
混練して、押し出しペレット化して、無色透明ペレット
の光学部品用成形材料(樹脂組成物)を得た。
【0393】実施例29[本発明の光学部品の製造] 上記実施例28で得られた成形材料を用いて射出成形に
よりレンズ形状の成形品を製造した。すなわち、該成形
材料のペレットを100℃で24時間減圧乾燥した後、
射出成形機にて、成形温度250℃、金型温度80℃で
射出成形して、無色透明、プラスレンズ(凸レンズ;直
径75mm、中心厚4.2mm、コバ厚1.0mm、+
2.00D)形状の成形体を得た。この成形体を偏光板
の間において観察したところ、脈理、歪みなどは観察さ
れず、複屈折が低く光学的に均質なものであった。この
ように本発明の成形材料を使用することにより、汎用ポ
リカーボネートと比較して低い温度(250℃)で成形
が可能で、かつ、光学的に均質な成形品を好適に製造す
ることができた。また、こうして得られた本発明のプラ
スチックレンズは、透明性、機械的特性(耐衝撃性、引
っ張り強度、曲げ強度など)、熱的特性(熱変形温度な
ど)、耐光性等の諸物性面で、実用上、良好な特性を示
した。
【0394】実施例30[本発明のポリ(チオ)エステ
ル共重合体の製造および物性測定] 撹拌装置、還流冷却管、温度計を設けた内容量2リット
ルのフラスコに、2,5−ビス(メルカプトメチル)−
1,4−ジチアン 107.3g(0.505モル)、
2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパ
ン 121.4(0.505モル)およびo−ジクロル
ベンゼン 200gを秤取し、窒素雰囲気下、80℃で
攪拌して溶解させた。一方、テレフタル酸クロリド20
9.0g(1モル)をo−ジクロルベンゼン 100g
に溶解させ、この溶液を95〜100℃で1時間を要し
て滴下した後、窒素気流下で副生する塩化水素を反応系
外へ除去しながら、150℃で3時間反応させ、質量平
均分子量2.6×104となったところで、o−ジクロ
ルベンゼン200gを追加した。引き続き160℃で5
時間反応させた後、o−ジクロルベンゼン 200gを
追加し、さらに160℃で2時間反応させてGPC分析
したところ、質量平均分子量は8.0×10 4であっ
た。この後、分子量調節剤(末端停止剤)として安息香
酸クロリド3.5g(5モル%)を添加し、同温度で1
時間反応させた。反応溶液を室温まで放冷した後、クロ
ロホルム1500gを加えて溶解させて得られた溶液
を、8リットル容量のホモジナイザー中の貧溶媒(メタ
ノール)に対して滴下して、析出したポリマーを濾過し
て集め、80℃で20時間減圧乾燥した。白色粉末状固
体として目的とする本発明のポリ(チオ)エステル共重
合体373g(収率97%)を得た。GPC分析法によ
る質量平均分子量は7.6×104 であった。
【0395】得られたポリ(チオ)エステル共重合体の
1質量%重水素化クロロホルム溶液の1H−NMR(4
00MHz)を測定した結果を下記に示した。1 H−NMR δ(CDCl3 ):0.74〜0.88
(m,6H)、〜3.22(m,24H)、3.41〜
3.54(m、4H)、4.92〜5.32(m,2
H)、7.15〜8.72(m,8H)
【0396】上記1H−NMR測定の結果から、式(1
−A−7)で表される繰り返し構造単位中の1,4−ジ
チアン環の2位および5位に結合しているチオメチル基
の水素と、式(1−B−5)で表される繰り返し構造単
位中のシクロヘキサン環上で酸素原子で置換されている
4位のメチン水素とのプロトン積分比を求めることによ
り、得られたポリ(チオ)エステル共重合体中の下記式
(1−A−7)で表される繰り返し構造単位と、下記式
(1−B−5)で表される繰り返し構造単位とのモル比
は50:50であることが確認された。
【0397】
【化109】
【0398】前記方法に従い、得られた本発明のポリ
(チオ)エステル共重合体の物性測定を行ったところ、
ガラス転移温度(Tg)は170℃を示した。溶融流動
開始温度は230℃であり、溶融粘度は、270℃で1
250Pa・s(12500ポイズ)であった。屈折率
(nd)1.613、アッベ数(νd)36であり、比
較的高屈折率であって、かつ、高アッベ数であった。ま
た、複屈折率は汎用ポリカーボネートと比較して低い値
を示した。
【0399】実施例31 実施例30において、テレフタル酸クロリド209.0
g(1モル)を使用する代わりに、イソフタル酸クロリ
ド209.0g(1モル)を使用する以外は、実施例1
と同様にして行い、白色粉末状固体として目的とする本
発明のポリ(チオ)エステル共重合体377g(収率9
8%)を得た。は、GPC分析の標準ポリスチレン換算
で質量平均分子量7.0万であり、1H−NMR測定の
結果から得られたポリ(チオ)エステル共重合体中の前
記式(1−A−8)で表される繰り返し構造単位と、前
記式(1−B−6)で表される繰り返し構造単位とのモ
ル比は50:50であった。
【0400】
【化110】
【0401】前記方法に従い、得られた本発明のポリ
(チオ)エステル共重合体の物性測定を行ったところ、
ガラス転移温度(Tg)は124℃であった。溶融流動
開始温度は170℃であり、溶融粘度は260℃で11
50Pa・s(11500ポイズ)を示した。屈折率
(nd)1.609、アッベ数(νd)36であり、高
屈折率であって、かつ、高アッベ数であった。また、複
屈折率は汎用ポリカーボネートと比較して低い値を示し
た。
【0402】実施例32[実施例30で得られたポリ
(チオ)エステル共重合体を含有してなる樹脂組成物の
製造] 実施例30で製造したポリ(チオ)エステル共重合体1
00質量部、トリス(2,4−ジ−tert―ブチルフ
ェニル)ホスファイト0.1質量部およびペンタエリス
チリル[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)プロピオネート]0.1質量部を、
ヘンシェルミキサーにて混合した後、単軸押出機(65
mm)にてシリンダー温度220℃で脱気しながら溶融
混練して、押し出しペレット化して、無色透明ペレット
の光学部品用成形材料(樹脂組成物)を得た。
【0403】実施例33[本発明の光学部品の製造] 上記実施例32で得られた成形材料を用いて射出成形に
よりレンズ形状の成形品を製造した。すなわち、該成形
材料のペレットを100℃で24時間減圧乾燥した後、
射出成形機にて、成形温度250℃、金型温度80℃で
射出成形して、無色透明、プラスレンズ(凸レンズ;直
径75mm、中心厚4.2mm、コバ厚1.0mm、+
2.00D)形状の成形体を得た。この成形体を偏光板
の間において観察したところ、脈理、歪みなどは観察さ
れず、複屈折の低い光学的に均質なものであった。この
ように本発明の成形材料を使用することにより、汎用ポ
リカーボネートと比較して低い温度(250℃)で成形
が可能で、かつ、光学的に均質な成形品を好適に製造す
ることができた。また、こうして得られた本発明のプラ
スチックレンズは、透明性、機械物性、耐候性(耐熱
性、耐湿性、耐光性など)等の諸物性面で、実用上、良
好な特性を示した。
【0404】実施例34[本発明のポリ(チオ)エステ
ル共重合体の製造および物性測定] 撹拌装置、還流冷却管、温度計を設けた内容量2リット
ルのフラスコに、2,5−ビス(メルカプトメチル)−
1,4−ジチアン 155.1g(0.73モル)、
1,4−シクロヘキサンジオール 84.8(0.73
モル)およびo−ジクロルベンゼン 440gを秤取
し、窒素雰囲気下、80℃で攪拌して溶解させた。一
方、前記式(3−1)で表されるテレフタル酸クロリド
293.57g(1.446モル)を95〜100℃で
1時間30分を要して滴下した後、窒素気流下で副生す
る塩化水素を反応系外へ除去しながら、105℃で3時
間反応させ、質量平均分子量4.1×104となったと
ころで、o−ジクロルベンゼン30gを追加した。引き
続き140℃で5時間反応させた後、o−ジクロルベン
ゼン 40gを追加し、さらに160℃で2時間反応さ
せてGPC分析したところ、質量平均分子量は7.8×
104であった。この後、分子量調節剤(末端停止剤)
として安息香酸クロリド3.5g(0.0248モル)
を添加し、同温度で1時間反応させた。反応溶液を室温
まで放冷した後、クロロホルム3000gを加えて溶解
させて得られた溶液を2回に分けて、それぞれ10リッ
トル容量のホモジナイザー中の貧溶媒(メタノール)に
対して滴下して、析出したポリマーを濾過して集め、8
0℃で20時間減圧乾燥した。白色粉末状固体として目
的とする本発明のポリ(チオ)エステル共重合体 41
7.2g(収率98%)を得た。GPC分析法による質
量平均分子量は7.9×104であった。
【0405】得られたポリ(チオ)エステル共重合体の
1質量%重水素化クロロホルム溶液の1H−NMR(4
00MHz)を測定した結果を下記に示した。1 H−NMR δ(CDCl3 ):1.62〜2.22
(m,8H)、2.86〜3.38(m、6H)、3.
41〜3.54(m,4H),5.20(s,2H),
7.18〜8.76(m,8H)
【0406】上記1H−NMR測定の結果から、式(1
−A−7)で表される繰り返し構造単位中の1,4−ジ
チアン環の2位および5位に結合しているチオメチル基
の水素と、式(1−B−7)で表される繰り返し構造単
位中のシクロヘキサン環上で酸素原子で置換されている
4位のメチン水素とのプロトン積分比を求めることによ
り、得られたポリ(チオ)エステル共重合体中の下記式
(1−A−7)で表される繰り返し構造単位と、下記式
(1−B−7)で表される繰り返し構造単位とのモル比
は50:50であることが確認された。
【0407】
【化111】
【0408】前記方法に従い、得られた本発明のポリ
(チオ)エステル共重合体の物性測定を行い、ガラス転
移温度(Tg)は150℃を示した。溶融流動開始温度
は240℃であり、溶融粘度は、260℃で1200P
a・s(12000ポイズ)であった。屈折率(nd)
1.640、アッベ数(νd)33であり、比較的高屈
折率であって、かつ、高アッベ数であった。また、複屈
折率は汎用ポリカーボネートと比較して低い値を示し
た。
【0409】実施例35 実施例34において、テレフタル酸クロリド 293.
57g(1.446モル)を使用する代わりに、イソフ
タル酸クロリド 293.57g(1.446モル)を
使用する以外は、実施例34と同様にして行った。
【0410】得られたポリ(チオ)エステル共重合体
は、GPC分析の標準ポリスチレン換算で質量平均分子
量6.0万であり、1H−NMR測定の結果から得られ
たポリ(チオ)エステル共重合体中の下記式(1−A−
8)で表される繰り返し構造単位と、下記式(1−B−
8)で表される繰り返し構造単位とのモル比は50:5
0であった。
【0411】
【化112】
【0412】前記方法に従い、得られた本発明のポリ
(チオ)エステル共重合体の物性測定を行ったところ、
ガラス転移温度(Tg)は117℃であった。溶融流動
開始温度は215℃であり、溶融粘度は250℃で10
50Pa・s(10500ポイズ)を示した。屈折率
(nd)1.639、アッベ数(νd)33であり、高
屈折率であって、かつ、高アッベ数であった。また、複
屈折率は汎用ポリカーボネートと比較して低い値を示し
た。
【0413】実施例36[実施例34で得られたポリ
(チオ)エステル共重合体を含有してなる樹脂組成物の
製造] 実施例34で製造したポリ(チオ)エステル共重合体1
00質量部、トリス(2,4−ジ−tert―ブチルフ
ェニル)ホスファイト0.1質量部およびペンタエリス
チリル[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)プロピオネート]0.1質量部を、
ヘンシェルミキサーにて混合した後、単軸押出機(65
mm)にてシリンダー温度220℃で脱気しながら溶融
混練して、押し出しペレット化して、無色透明ペレット
の光学部品用成形材料(樹脂組成物)を得た。
【0414】実施例37[本発明の光学部品の製造] 上記実施例36で得られた成形材料を用いて射出成形に
よりレンズ形状の成形品を製造した。すなわち、該成形
材料のペレットを100℃で24時間減圧乾燥した後、
射出成形機にて、成形温度250℃、金型温度80℃で
射出成形して、無色透明、プラスレンズ(凸レンズ;直
径75mm、中心厚4.2mm、コバ厚1.0mm、+
2.00D)形状の成形体を得た。この成形体を偏光板
の間において観察したところ、脈理、歪みなどは観察さ
れず、複屈折の低い光学的に均質なものであった。この
ように本発明の成形材料を使用することにより、汎用ポ
リカーボネートと比較して低い温度(250℃)で成形
が可能で、かつ、光学的に均質な成形品を好適に製造す
ることができた。また、こうして得られた本発明のプラ
スチックレンズは、透明性、機械物性、耐候性(耐熱
性、耐湿性、耐光性など)等の諸物性面で、実用上、良
好な特性を示した。
【0415】〔ポリ(チオ)エステル共重合体(三元)
の製造〕 実施例38[本発明のポリ(チオ)エステル共重合体の
製造および物性測定] 撹拌装置、還流冷却管、温度計を設けた内容量2リット
ルのフラスコに、2,5−ビス(メルカプトメチル)−
1,4−ジチアン 84.9g(0.40モル)、1,
4−シクロヘキサンジオール 58.1g(0.50モ
ル)、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−1
−フェニルエタン 29.0g(0.10モル)および
混合キシレン 280gを秤取し、窒素雰囲気下90℃
で攪拌して溶解させた。一方、前記式(3−1)で表さ
れるノルボルナンジカルボン酸クロリド(異性体混合
物)223.3g(1.01モル)を90〜95℃で1
時間15分を要して滴下した後、窒素気流下で副生する
塩化水素を反応系外へ除去しながら、130℃で6時間
反応させた後、GPC分析を行ったところ、質量平均分
子量は8.8×104であった。この後、分子量調節剤
(末端停止剤)としてp−tert−ブチルフェノール
4.5g(0.03モル;全てのジヒドロキシ化合物
の総モル数に対して3モル%)を添加し100℃で1時
間反応させた。反応溶液を室温まで冷却した後、混合キ
シレン2000gを加えて溶解させて得られたポリチオ
エステル重合体のキシレン溶液を2回に分けて、それぞ
れ10リットル容量のホモジナイザーを用いてメタノー
ル3500g対して滴下して、ポリマーを微粒状固体と
して析出させた。白色粉末状固体として生成物のポリ
(チオ)エステル共重合体 315.0g(収率98
%)を得た。GPC分析の結果、得られたポリ(チオ)
エステル共重合体の質量平均分子量は8.7×104
あった。
【0416】得られたポリ(チオ)エステル共重合体の
1質量%重水素化クロロホルム溶液の1H−NMR(4
00MHz)を測定した結果により、得られたポリ(チ
オ)エステル共重合体中の下記式(1−A−3)で表さ
れる繰り返し構造単位、下記式(1−B−1)で表され
る繰り返し構造単位、ならびに、下記式(1−C−1)
とのモル比は40:50:10であることが確認され
た。
【0417】
【化113】
【0418】前記方法に従い、得られた本発明のポリ
(チオ)エステル共重合体の物性測定を行い、ガラス転
移温度(Tg)は136℃を示した。溶融流動開始温度
は205℃であり、溶融粘度は、240℃で6.3×1
3 Pa・s(6.3×104ポイズ)であった。屈折
率(nd)1.578、アッベ数(νd)41.6であ
り、汎用ポリカーボネートと比較して高アッベ数であっ
た。また複屈折率は汎用ポリカーボネートと比較して低
い値を示した。
【0419】実施例39 実施例38において、1,1−ビス(4’−ヒドロキシ
フェニル)−1−フェニルエタン 29.0g(0.1
0モル)を使用する代わりに、2,2−ビス(4’−ヒ
ドロキシフェニル)プロパン 22.8g(0.10モ
ル)を使用する以外は、実施例38と同様にして行っ
た。得られたポリ(チオ)エステル共重合体は、GPC
分析の標準ポリスチレン換算で質量平均分子量8.0×
104であり、1H−NMR測定の結果、得られたポリ
(チオ)エステル共重合体中の上記式(1−A−3)で
表される繰り返し構造単位、上記式(1−B−1)で表
される繰り返し構造単位、ならびに、下記式(1−C−
2)で表される繰り返し構造単位のモル比は40:5
0:10であった。
【0420】
【化114】
【0421】前記方法に従い、得られた本発明のポリ
(チオ)エステル共重合体の物性測定を行ったところ、
ガラス転移温度(Tg)は126℃であった。溶融流動
開始温度は200℃であり、溶融粘度は230℃で1.
8×104Pa・s(1.8×105ポイズ)を示した。
屈折率(nd)1.570、アッベ数(νd)45.3
であり、複屈折率は非常に低かった。
【0422】実施例40 実施例38において、1,1−ビス(4’−ヒドロキシ
フェニル)−1−フェニルエタン 29.0g(0.1
0モル)を使用する代わりに、α,α,α’,α’−テ
トラメチル−α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)−p−キシレン 34.6g(0.10モル)を使
用する以外は、実施例38と同様にして行った。得られ
たポリ(チオ)エステル共重合体は、GPC分析の標準
ポリスチレン換算で質量平均分子量7.8×104であ
り、1H−NMR測定の結果、得られたポリ(チオ)エ
ステル共重合体中の上記式(1−A−3)で表される繰
り返し構造単位、上記式(1−B−1)で表される繰り
返し構造単位、ならびに、下記式(1−C−3)で表さ
れる繰り返し構造単位のモル比は40:50:10であ
った。
【0423】
【化115】
【0424】前記方法に従い、得られた本発明のポリ
(チオ)エステル共重合体の物性測定を行ったところ、
ガラス転移温度(Tg)は138℃であった。屈折率
(nd)1.572、アッベ数(νd)45.3であ
り、複屈折率は非常に低かった。
【0425】実施例41[実施例38で得られたポリ
(チオ)エステル共重合体からなる本発明の光学部品用
成形材料の製造] 実施例38で製造したポリチオエステル共重合体100
質量部、トリス(2,4−ジ−tert―ブチルフェニ
ル)ホスファイト(商品名:「イルガフォス618」、
チバスペシャルティケミカルズ製)0.2質量部および
オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−
4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(商品名:
「イルガノックス1076」、チバスペシャルティケミ
カルズ製)0.2質量部を、ヘンシェルミキサーにて混
合した後、単軸押出機(65mm)にてシリンダー温度
220℃で脱気しながら溶融混練および押出しペレット
化を行い、無色透明ペレットの光学部品用成形材料(樹
脂組成物)を得た。
【0426】実施例42[光学部品(プラスチックレン
ズ)の製造] 上記実施例41で得られた成形材料(樹脂組成物)を用
いて射出成形によりレンズ形状の成形品を製造した。す
なわち、該成形材料のペレットを80℃で24時間減圧
乾燥した後、射出成形機にて、成形温度230℃、金型
温度110℃で射出成形して、無色透明、プラスレンズ
(凸レンズ;直径75mm、中心厚4.2mm、コバ厚
1.0mm、+2.00D)形状の成形体を得た。この
成形体を偏光板の間において観察したところ、脈理、歪
みなどは観察されず、複屈折が低く光学的に均質なもの
であった。このように本発明の成形材料を使用すること
により、比較的低温(230℃)で成形が可能で、か
つ、光学的に均質な成形品を好適に製造することができ
た。また、こうして得られた本発明のプラスチックレン
ズは、透明性、機械的特性(耐衝撃性、引っ張り強度、
曲げ強度など)、熱的特性(熱変形温度など)、耐光性
等の諸物性面で良好な特性を示した。
【0427】比較例1(公知のポリメチルメタクリレー
トを用いた物性測定および光学部品の製造) 公知のポリメチルメタクリレート樹脂(一般光学用グレ
ード)を用いて上記方法に従って、物性測定を行った。
ガラス転移温度(Tg)は111℃であり、屈折率(n
d)1.487、アッベ数(νd)54であり、複屈折
率は1×10-4以下であった。
【0428】比較例2(公知のポリカーボネートを用い
た物性測定) 公知のポリカーボネート樹脂(光学ディスク用グレー
ド;質量平均分子量3万)を用いて上記方法に従って、
物性測定を行った。ガラス転移温度(Tg)は130℃
であり、屈折率(nd)1.580、アッベ数(νd)
30であった。複屈折率は70×10-4であり、高い値
であった。
【0429】
【発明の効果】本発明のポリ(チオ)エステル(共)重
合体を成形して得られる光学部品は、従来公知の各種光
学用樹脂のそれと比較して、透明性、機械的特性(例え
ば、耐衝撃性など)、熱的特性が良好であり、且つ、高
屈折率、低色収差(高アッベ数)、低複屈折率である。
また、溶融流動性、成形加工性が良好であり、視力矯正
用眼鏡レンズ(眼鏡レンズ)、ピックアップレンズ、撮
影機器、複写機器用光学レンズなどを代表例とするプラ
スチック光学用レンズ等の各種光学部品用成形材料とし
て有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C08L 67:00 C08L 67:00 (31)優先権主張番号 特願2001−79666(P2001−79666) (32)優先日 平成13年3月21日(2001.3.21) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願2001−92395(P2001−92395) (32)優先日 平成13年3月28日(2001.3.28) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願2001−92398(P2001−92398) (32)優先日 平成13年3月28日(2001.3.28) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願2001−113378(P2001−113378) (32)優先日 平成13年4月12日(2001.4.12) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願2001−120563(P2001−120563) (32)優先日 平成13年4月19日(2001.4.19) (33)優先権主張国 日本(JP) (72)発明者 杉本 賢一 千葉県袖ヶ浦市長浦580−32 三井化学株 式会社内 (72)発明者 中村 光雄 千葉県袖ヶ浦市長浦580−32 三井化学株 式会社内 (72)発明者 高木 正利 千葉県袖ヶ浦市長浦580−32 三井化学株 式会社内 (72)発明者 抜井 康浩 福岡県大牟田市浅牟田町30 三井化学株式 会社内 (72)発明者 岡崎 光樹 千葉県袖ヶ浦市長浦580−32 三井化学株 式会社内 Fターム(参考) 4F071 AA44 AH19 BB05 BC07 4J029 AA03 AB01 AC01 AC02 AC03 AD01 AD07 AE04 BB04A BB05A BB12A BB13A BB13B BB16A BB18 BD04A BD09A BD10 BE05A BF14A BF14B BF30 BH01 BH02 CB04A CB05A CB06A CC06A CD03 DA04 DB06 DB07 DB11 DB13 HA01 HB01 HB05 4J030 BA03 BA04 BA31 BA44 BA47 BA48 BB65 BG25

Claims (26)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(1−A)で表される繰り返し構造単
    位を必須構造単位として含有してなるポリ(チオ)エス
    テル(共)重合体を成形して得られる光学部品。 【化1】 [式中、R11は環状アルキレン基、もしくは、スルフィ
    ド基の硫黄原子を少なくとも1個以上含む鎖状、環状ま
    たはこれらを組み合てなるアルキレン基を表し、R12
    単環状または多環状脂肪族ジカルボン酸残基、あるい
    は、芳香族ジカルボン酸残基を表し、X11およびX12
    それぞれ独立に酸素原子または硫黄原子を表し、但し、
    11およびX12が酸素原子の場合、R11はスルフィド基
    の硫黄原子を少なくとも1個以上含む鎖状、環状または
    これらを組み合てなるアルキレン基を表す。]
  2. 【請求項2】 式(1−A)におけるR12が、単環状ま
    たは多環状脂肪族ジカルボン酸残基である、請求項1記
    載の光学部品。
  3. 【請求項3】 式(1−A)におけるR12が 【化2】 で表される基のいずれかである請求項2記載の光学部
    品。
  4. 【請求項4】 式(1−A)におけるR11が、スルフィ
    ド基の硫黄原子を少なくとも1個以上含む鎖状、環状ま
    たはこれらを組み合てなるアルキレン基である請求項1
    乃至3の何れか1項に記載の光学部品。
  5. 【請求項5】 式(1−A)におけるR11が 【化3】 (式中、kは1〜4の整数を表し、lは0〜3の整数を
    表し、R13およびR14は水素原子またはアルキル基を表
    す)で表される基のいずれかである請求項4に記載の光
    学部品。
  6. 【請求項6】 式(1−A)において、R12が 【化4】 で表される基のいずれかであり、R11が 【化5】 (式中、kは1〜4の整数を表し、lは0〜3の整数を
    表し、R13およびR14は水素原子またはアルキル基を表
    す)で表される基のいずれかであり、X11およびX12
    硫黄原子である請求項5記載の光学部品。
  7. 【請求項7】 式(1−A)において、R12が 【化6】 で表される基であり、R11が 【化7】 (式中、kは1〜4の整数を表し、lは0〜3の整数を
    表し、R13およびR14は水素原子またはアルキル基を表
    す)で表される基のいずれかであり、X11およびX12
    硫黄原子である請求項1記載の光学部品。
  8. 【請求項8】 ポリ(チオ)エステル(共)重合体が、
    式(1−B)で表される繰り返し構造単位をさらに含有
    してなる共重合体である請求項1乃至7の何れか1項に
    記載の光学部品。 【化8】 (式中、R15は二価の環状脂肪族炭化水素基を表し、R
    16は環状脂肪族ジカルボン酸残基または芳香族ジカルボ
    ン酸残基を表す)
  9. 【請求項9】 式(1−A)で表される繰り返し構造単
    位を必須構造単位として含有してなるポリ(チオ)エス
    テル(共)重合体。 【化9】 [式中、R11は環状アルキレン基、もしくは、スルフィ
    ド基の硫黄原子を少なくとも1個以上含む鎖状、環状ま
    たはこれらを組み合てなるアルキレン基を表し、R12
    単環状または多環状脂肪族ジカルボン酸残基、あるい
    は、芳香族ジカルボン酸残基を表し、X11およびX12
    それぞれ独立に酸素原子または硫黄原子を表し、但し、
    11およびX12が酸素原子の場合、R11はスルフィド基
    の硫黄原子を少なくとも1個以上含む鎖状、環状または
    これらを組み合てなるアルキレン基を表す。]
  10. 【請求項10】 式(1−A)におけるR12が単環状ま
    たは多環状脂肪族ジカルボン酸残基である請求項9記載
    のポリ(チオ)エステル(共)重合体。
  11. 【請求項11】 式(1−A)におけるR12が 【化10】 で表される基のいずれかである請求項10記載のポリ
    (チオ)エステル(共)重合体。
  12. 【請求項12】 式(1−A)におけるR11が、スルフ
    ィド基の硫黄原子を少なくとも1個以上含む鎖状、環状
    またはこれらを組み合てなるアルキレン基である、請求
    項9乃至11の何れか1項に記載のポリ(チオ)エステ
    ル(共)重合体。
  13. 【請求項13】 式(1−A)におけるR11が 【化11】 (式中、kは1〜4の整数を表し、lは0〜3の整数を
    表し、R13およびR14は水素原子またはアルキル基を表
    す)で表される基のいずれかである請求項12に記載の
    ポリ(チオ)エステル(共)重合体。
  14. 【請求項14】 式(1−A)において、R12が 【化12】 で表される基のいずれかであり、R11が 【化13】 (式中、kは1〜4の整数を表し、lは0〜3の整数を
    表し、R13およびR14は水素原子またはアルキル基を表
    す)で表される基のいずれかであり、X11およびX12
    硫黄原子である請求項13に記載のポリ(チオ)エステ
    ル(共)重合体。
  15. 【請求項15】 式(1−A)において、R12が 【化14】 で表される基であり、R11が 【化15】 (式中、kは1〜4の整数を表し、lは0〜3の整数を
    表し、R13およびR14は水素原子またはアルキル基を表
    す)で表される基のいずれかであり、X11およびX12
    硫黄原子である請求項9記載のポリ(チオ)エステル
    (共)重合体。
  16. 【請求項16】 ポリ(チオ)エステル(共)重合体
    が、式(1−B)で表される繰り返し構造単位をさらに
    含有してなる共重合体である請求項9乃至15の何れか
    1項に記載のポリ(チオ)エステル共重合体。 【化16】 (式中、R15は二価の環状脂肪族炭化水素基を表し、R
    16は環状脂肪族ジカルボン酸残基または芳香族ジカルボ
    ン酸残基を表す)
  17. 【請求項17】 式(2−A)および式(2−B)で表
    される繰り返し構造単位を含有してなる請求項16のポ
    リ(チオ)エステル共重合体。 【化17】 (式中、R21はそれぞれ水素原子またはアルキル基を表
    し、R22はそれぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基
    またはハロゲン原子を表し、mはそれぞれ0〜3の整数
    を表し、nはそれぞれ0〜4の整数を表す)
  18. 【請求項18】 式(2−A)および式(3−B)で表
    される繰り返し構造単位を含有してなる請求項16のポ
    リ(チオ)エステル共重合体。 【化18】 (式中、R21はそれぞれ水素原子またはアルキル基を表
    し、R23はそれぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基
    またはハロゲン原子を表し、mはそれぞれ0〜3の整数
    を表し、pはそれぞれ0〜4の整数を表す)
  19. 【請求項19】 式(3−A)および式(4−B)で表
    される繰り返し構造単位を含有してなる請求項16のポ
    リ(チオ)エステル共重合体。 【化19】 (式中、R21はそれぞれ水素原子またはアルキル基を表
    し、R22はそれぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基
    またはハロゲン原子を表し、mはそれぞれ0〜3の整数
    を表し、nはそれぞれ0〜4の整数を表す)
  20. 【請求項20】 式(3−A)および式(5−B)で表
    される繰り返し構造単位を含有してなる請求項16のポ
    リ(チオ)エステル共重合体。 【化20】 (式中、R21はそれぞれ水素原子またはアルキル基を表
    し、R23はそれぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基
    またはハロゲン原子を表し、mはそれぞれ0〜3の整数
    を表し、pはそれぞれ0〜4の整数を表す)
  21. 【請求項21】 式(4−A)および式(6−B)で表
    される繰り返し構造単位を含有してなる請求項16のポ
    リ(チオ)エステル共重合体。 【化21】 (式中、R21はそれぞれ水素原子またはアルキル基を表
    し、R22はそれぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基
    またはハロゲン原子を表し、mはそれぞれ0〜3の整数
    を表し、nはそれぞれ0〜4の整数を表す)
  22. 【請求項22】 式(4−A)および式(7−B)で表
    される繰り返し構造単位を含有してなる請求項16のポ
    リ(チオ)エステル共重合体。 【化22】 (式中、R21はそれぞれ水素原子またはアルキル基を表
    し、R23はそれぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基
    またはハロゲン原子を表し、mはそれぞれ0〜3の整数
    を表し、pはそれぞれ0〜4の整数を表す)
  23. 【請求項23】 ポリ(チオ)エステル共重合体が、さ
    らに式(1−C)で表される繰り返し構造単位を含有し
    てなる共重合体である請求項17乃至22の何れか1項
    に記載のポリ(チオ)エステル共重合体。 【化23】 (式中、R17は二価の芳香族炭化水素基を表し、R18
    環状脂肪族ジカルボン酸残基または芳香族ジカルボン酸
    残基を表す)
  24. 【請求項24】 請求項17乃至23の何れか1項に記
    載のポリ(チオ)エステル共重合体を含有してなる樹脂
    組成物。
  25. 【請求項25】 請求項17乃至23の何れか1項に記
    載のポリ(チオ)エステル共重合体からなる光学部品。
  26. 【請求項26】 請求項24記載の樹脂組成物を成形し
    て得られる光学部品。
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