JP2003002861A - エノン化合物 - Google Patents

エノン化合物

Info

Publication number
JP2003002861A
JP2003002861A JP2001186685A JP2001186685A JP2003002861A JP 2003002861 A JP2003002861 A JP 2003002861A JP 2001186685 A JP2001186685 A JP 2001186685A JP 2001186685 A JP2001186685 A JP 2001186685A JP 2003002861 A JP2003002861 A JP 2003002861A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
general formula
compound
embedded image
enone
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2001186685A
Other languages
English (en)
Inventor
Akira Jinpo
昭 神宝
Yasuyo Oga
保代 大賀
Yoshie Hata
善恵 畑
Sadaji Suga
貞治 菅
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hayashibara Seibutsu Kagaku Kenkyujo KK
Original Assignee
Hayashibara Biochemical Laboratories Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hayashibara Biochemical Laboratories Co Ltd filed Critical Hayashibara Biochemical Laboratories Co Ltd
Priority to JP2001186685A priority Critical patent/JP2003002861A/ja
Publication of JP2003002861A publication Critical patent/JP2003002861A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 可視領域に吸収極大を有する新規な有機化
合物,およびこれを用いて光重合性組成物の調製に当っ
て選択し得る光増感剤の幅を広げる方法を提供する。 【解決手段】下記一般式のエノン化合物、さらには活性
メチレン基を有する化合物と、カルボニル基を有する化
合物とを反応させる本エノン化合物の製造方法。 (Z及びZは同じか異なる芳香環又は複素環を表
し、それらの芳香環及び複素環は置換基を有してもよ
い。R〜Rは独立に水素又は適宜の置換基を表し、
又はRはそれぞれR又はRが結合する炭素と
結合して環を形成してもよい。m及びnは自然数を表
す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は新規な有機化合物
に関するものであり、とりわけ、光吸収剤、発光剤とし
て有用なエノン化合物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】情報化時代の到来に伴い、光化学的重合
が多種多様の分野で頻用されるようになり、今では、そ
の用途は、合成樹脂の分野を越えて、塗料、印刷用刷
版、印刷回路、集積回路などの情報記録や電子機器の分
野にまでおよぶようになった。光化学的重合は、重合性
化合物を光照射によって重合させる技術であって、大別
すると、重合性化合物を直接光照射し、活性化させるこ
とによって重合を開始させる光重合と、光増感剤を共存
させた状態で光照射し、光増感剤の活性種を生成させる
ことによって重合性化合物を重合させる光増感重合とが
ある。いずれの光化学的重合も、重合の開始及び停止が
露出光源の点滅によって制御可能であり、また、露出光
源の強度や波長を選択することによって重合度や重合速
度を容易に制御できる特徴がある。しかも、光化学的重
合は、一般に、重合開始のエネルギーが低いために、低
温でも重合が可能である。印刷用刷版やホログラフィー
などの情報記録の分野においては、光化学的重合のこの
ような利点が買われて、アルゴンイオンレーザー、ヘリ
ウムネオンレーザー、Nd−YAGレーザーの第二高調
波などの可視光を照射することによって重合させること
のできる光重合性組成物の需要が急速に高まっている。
【0003】光重合性組成物に配合される重合性化合物
や重合開始剤は、その多くが紫外線だけを吸収すること
から、光重合性組成物を可視光により重合させようとす
ると、光増感剤が不可欠の技術要素となる。光増感剤が
備えるべき特性としては、可視領域における分子吸光係
数(以下、分子吸光係数を「ε」と略記することがあ
る。)が大きいことと、諸種の重合性化合物や重合開始
剤を増感し得ること、増感効率が高いこと、溶剤に対す
る溶解性と他の配合成分との相溶性に優れていること、
そして、安定であることが挙げられる。代表的な光増感
剤としては、例えば、特開昭54−151024号公報
に記載されたメロシアニン色素、特開昭58−2980
3号公報に開示されたシアニン色素、特開昭59−56
403号公報に開示されたスチルベン色素、特開昭63
−23901号公報に開示されたクマリン誘導体、特開
昭64−33104号公報に開示されたメチレンブルー
誘導体、特開平6−329654号公報に開示されたピ
ラン誘導体などが挙げられるが、これらはいずれも一長
一短があり、重合性化合物、バインダー樹脂などの複数
の材料からなる光重合性組成物にあって、前述したごと
き諸特性を常に発揮し得るようなものは未だ見出されて
いない。そこで、光化学的重合の新しい適用分野であ
る、例えば、情報記録や電子機器の分野においては、重
合性化合物、バインダー樹脂などの、用途に応じた光増
感剤以外の材料を先ず選択し、次いで、多種多様の有機
化合物のなかから、それらの重合性化合物や重合開始剤
に適合するものを試行錯誤的に検索しているというのが
現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】斯かる状況に鑑み、こ
の発明の課題は、可視領域に吸収極大を有する新規な有
機化合物を提供することによって、光重合性組成物を調
製するに当って、選択し得る光増感剤の幅を広げること
を課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】この課題を解決すべく、
本発明者がジエノン、トリエノン、テトラエノンなどの
エノン骨格を有する共役オレフィン化合物に着目して鋭
意研究し、検索したところ、特定のエノン化合物は、可
視領域における分子吸光係数が大きく、可視光を効率良
く吸収することから、光化学的重合において重合性化合
物や重合開始剤を増感させるための材料として極めて有
用であることを見出した。
【0006】すなわち、この発明は、一般式1で表され
るエノン化合物を提供することによって前記課題を解決
するものである。
【0007】
【化6】一般式1:
【0008】(一般式1において、Z及びZは互い
に同じか異なる芳香環又は複素環を表し、それらの芳香
環及び複素環は置換基を有していてもよい。R乃至R
は、それぞれ独立に、水素原子又は適宜の置換基を表
し、R又はRは、それぞれ、R又はRが結合す
る炭素原子と結合し合って環状構造を形成していてもよ
い。m及びnは自然数を表す。)
【0009】さらに、この発明は、一般式1に対応する
及びRを有する一般式2で表される化合物と、一
般式1に対応するZ及びR乃至Rを有する一般式
3で表される化合物とを反応させる工程か、あるいは、
一般式1に対応するZ及びR乃至Rを有する一般
式4で表される化合物と、一般式1に対応するZ及び
を有する一般式5で表される化合物とを反応させる
工程を経由する工程を経由するエノン化合物の製造方法
を提供することによって解決するものである。
【0010】
【化7】一般式2:
【0011】
【化8】一般式3:
【0012】
【化9】一般式4:
【0013】
【化10】一般式5:
【0014】(一般式3及び一般式4におけるm及びn
は、それぞれ、一般式1に対応する自然数を表す。)
【0015】一般式1で表されるエノン化合物は、文献
未記載の新規な有機化合物である。この発明は、新規な
有機化合物の創製と、その産業上有用な性質の発見に基
づくものである。
【0016】
【発明の実施の形態】この発明の実施の形態について説
明すると、この発明は一般式1で表されるエノン化合物
とその製造方法に関するものである。
【0017】
【化11】一般式1:
【0018】一般式1において、R乃至Rは、それ
ぞれ独立に、水素原子又は適宜の置換基を表す。R
至Rにおける個々の置換基としては、例えば、メチル
基、エチル基、ビニル基、プロピル基、イソプロピル
基、イソプロペニル基、1−プロペニル基、2−プロペ
ニル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、
tert−ブチル基、2−ブテニル基、1,3−ブタジ
エニル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル
基、tert−ペンチル基、1−メチルペンチル基、2
−メチルペンチル基、2−ペンテニル基、ヘキシル基、
イソヘキシル基、5−メチルヘキシル基、ヘプチル基、
オクチル基などの脂肪族炭化水素基、シクロプロピル
基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシ
ル基、シクロヘキシルメチル基、1−シクロヘキセニル
基などの脂環式炭化水素基、フェニル基、ビフェニリル
基などの芳香族炭化水素基、フリル基、チエニル基、ピ
ロリル基、ピロリジニル基、ピリジル基、ピペリジニル
基、ピペリジル基、ピペラジニル基、モルホリル基、キ
ノリル基、イソキノリル基などの複素環基、メトキシ
基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブ
トキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、te
rt−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、フェノキシ基、
ベンジルオキシ基などのエーテル基、メトキシカルボニ
ル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル
基、アセチル基、ベンゾイルオキシ基などのエステル
基、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基などの
ハロゲン基、一級アミノ基、メチルアミノ基、ジメチル
アミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロピ
ルアミノ基、ジプロピルアミノ基、イソプロピルアミノ
基、ジイソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、ジブチ
ルアミノ基、イソブチルアミノ基、ジイソブチルアミノ
基、sec−ブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ
基、ペンチルアミノ基、ジペンチルアミノ基、ピペリジ
ニル基などのアミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、
アシル基、スルホ基、スルフィノ基、シアノ基、ニトロ
基、さらには、上記したいずれかの置換基において、そ
の水素原子の1又は複数が上記した別の置換基によって
置換されてなる置換基が挙げられる。R又はRが水
素以外の置換基である場合、その置換基はR又はR
が結合する炭素原子と結合し合って、例えば、シクロヘ
キセン環、ピラン環、クマリン環などの環状構造を形成
していてもよい。その場合、R又はRは見掛け上存
在しないこととなる。なお、m及びnは自然数を表し、
用途にもよるけれども、通常、1乃至3の範囲で加減す
る。
【0019】一般式1におけるZ及びZは互いに同
じか異なる芳香環又は複素環を表す。Z及びZにお
ける芳香環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン
環、アントラセン環、フェナントレン環、フルオレン環
などが、また、複素環としては、例えば、ピリジン環、
キノリン環、キノキサリン環、シンノリン環、インドー
ル環、フラン環、ベンゾフラン環、クマリン環などが挙
げられる。このうち、可視領域における吸収極大波長及
び発光極大波長の点で、Z及びZの両方がクマリン
環か、いずれか一方がクマリン環で、他方がベンゼン環
である、例えば、一般式6乃至一般式8で表されるもの
が好ましい。
【0020】
【化12】一般式6:
【0021】
【化13】一般式7:
【0022】
【化14】一般式8:
【0023】一般式6乃至一般式8において、R乃至
24は、それぞれ独立に、水素原子か、あるいは、一
般式1におけるR乃至Rにおけると同様の置換基を
表す。一般式6乃至一般式8で表されるエノン化合物の
うちで特に好ましいのは、R 及び/又はR13として
アルキルアミノ基を有するものであって、より好ましい
のは、そのアルキルアミノ基におけるアルキル基が、R
又はR、あるいは、R12又はR14が結合する炭
素と結合し合って、例えば、ピペリジン環、ユロリジン
環などの環状構造を形成するものである。なお、この場
合、R、R、R12及び/又はR14は見掛け上存
在しないこととなる。
【0024】この発明によるエノン化合物の具体例とし
ては、例えば、化学式1乃至化学式26で表されるもの
が挙げられる。これらは、いずれも、可視領域、詳細に
は、波長500nm付近、通常、450乃至550nm
に吸収極大を有し、分子吸光係数も1×10以上、好
ましくは、5×10以上と大きいことから、斯かる波
長域の可視光を効率良く吸収する。また、その多くは、
可視領域、詳細には、波長600nmより長波長、好ま
しくは、620乃至750nmに螢光極大などの発光極
大を有し、励起すると、橙色乃至赤色の可視光を発光す
る。
【0025】
【化15】化学式1:
【0026】
【化16】化学式2:
【0027】
【化17】化学式3:
【0028】
【化18】化学式4:
【0029】
【化19】化学式5:
【0030】
【化20】化学式6:
【0031】
【化21】化学式7:
【0032】
【化22】化学式8:
【0033】
【化23】化学式9:
【0034】
【化24】化学式10:
【0035】
【化25】化学式11:
【0036】
【化26】化学式12:
【0037】
【化27】化学式13:
【0038】
【化28】化学式14:
【0039】
【化29】化学式15:
【0040】
【化30】化学式16:
【0041】
【化31】化学式17:
【0042】
【化32】化学式18:
【0043】
【化33】化学式19:
【0044】
【化34】化学式20:
【0045】
【化35】化学式21:
【0046】
【化36】化学式22:
【0047】
【化37】化学式23:
【0048】
【化38】化学式24:
【0049】
【化39】化学式25:
【0050】
【化40】化学式26:
【0051】この発明のエノン化合物は諸種の方法によ
り調製できるけれども、経済性を重視するのであれば、
活性メチレン基を有する化合物とカルボニル基を有する
化合物との脱水縮合反応を利用する方法が好適である。
この方法によるときには、例えば、一般式1に対応する
及びRを有する一般式2で表される化合物と、一
般式1に対応するZ及びR乃至Rを有する一般式
3で表される化合物とを反応させるか、あるいは、一般
式1に対応するZ及びR乃至Rを有する一般式4
で表される化合物と、一般式1に対応するZ及びR
を有する一般式5で表される化合物とを反応させること
によって、この発明のエノン化合物が好収量で生成す
る。
【0052】
【化41】一般式2:
【0053】
【化42】一般式3:
【0054】
【化43】一般式4:
【0055】
【化44】一般式5:
【0056】すなわち、反応容器に一般式2及び一般式
3で表される化合物か、あるいは、一般式4及び一般式
5で表される化合物をそれぞれ適量とり(通常等モル前
後)、必要に応じて、適宜溶剤に溶解し、例えば、水酸
化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸
カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、アン
モニア、トリエチルアミン、ピペリジン、ピリジン、ピ
ロリジン、アニリン、N,N−ジメチルアニリン、N,
N−ジエチルアニリンなどの塩基性化合物、塩酸、硫
酸、硝酸、酢酸、無水酢酸、トリフルオロ酢酸、p−ト
ルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメ
タンスルホン酸などの酸性化合物、塩化アルミニウム、
塩化亜鉛、四塩化錫、四塩化チタンなどのルイス酸性化
合物を加えた後、加熱還流などにより加熱・攪拌しなが
ら周囲温度か周囲温度を上回る温度で反応させる。
【0057】溶剤としては、例えば、ペンタン、ヘキサ
ン、シクロヘキサン、オクタン、ベンゼン、トルエン、
キシレンなどの炭化水素類、四塩化炭素、クロロホル
ム、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジブロモエタ
ン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロ
ロベンゼン、ブロモベンゼン、α−ジクロロベンゼンな
どのハロゲン化物、メタノール、エタノール、1−プロ
パノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブ
タノール、イソブチルアルコール、イソペンチルアルコ
ール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロ
ピレングリコール、2−メトキシエタノール、2−エト
キシエタノール、フェノール、ベンジルアルコール、ク
レゾール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコ
ール、グリセリンなどのアルコール類及びフェノール
類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テト
ラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキ
サン、アニソール、1,2−ジメトキシエタン、ジエチ
レングリコールジメチルエーテル、ジシクロヘキシル−
18−クラウン−6、メチルカルビトール、エチルカル
ビトールなどのエーテル類、酢酸、無水酢酸、トリクロ
ロ酢酸、トリフルオロ酢酸、無水プロピオン酸、酢酸エ
チル、炭酸ブチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、ホ
ルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチ
ルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジ
メチルアセトアミド、ヘキサメチル燐酸トリアミド、燐
酸トリメチルなどの酸及び酸誘導体、アセトニトリル、
プロピオニトリル、スクシノニトリル、ベンゾニトリル
などのニトリル類、ニトロメタン、ニトロベンゼンなど
のニトロ化合物、ジメチルスルホキシド、スルホランな
どの含硫化合物、水などが挙げられ、必要に応じて、こ
れらは適宜組合せて用いられる。
【0058】溶剤を用いる場合、一般に、溶剤の量が多
くなると反応の効率が低下し、反対に、少なくなると、
均一に加熱・攪拌するのが困難になったり、副反応が起
り易くなる。したがって、溶剤の量を重量比で原料化合
物全体の100倍まで、通常、5乃至50倍にするのが
望ましい。原料化合物の種類や反応条件にもよるけれど
も、反応は10時間以内、通常、0.5乃至5時間で完
結する。反応の進行は、例えば、薄層クロマトグラフィ
ー、ガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフ
ィーなどの汎用の方法によってモニターすることができ
る。この発明によるエノン化合物は、この方法による
か、この方法に準じて所望量を製造することができる。
なお、一般式2乃至一般式5で表される化合物は、いず
れも、類縁化合物を調製するための汎用の方法によって
得ることができる。
【0059】例えば、この発明における重要な中間体の
一つである一般式9で表される化合物は、例えば、小竹
無二雄監修『大有機化学』、第14巻、第1号、195
9年、株式会社朝倉書店発行、241乃至269頁に記
載された方法に準じて、一般式9に対応するR乃至R
を有する一般式10で表されるサリチルアルデヒド誘
導体と、一般式9に対応するR及びRを有する3−
オキソブタン酸エチルエステルとを反応させることによ
って得ることができる。一般式11で表される別の中間
体の場合、Rが水素原子であるものは、例えば、前掲
書に記載された方法か、あるいは、特公昭60−233
6号公報に記載された方法に準じて得られる一般式12
で表されるクマリン誘導体の3位の炭素を、例えば、社
団法人日本化学会編集『新実験化学講座』、第14巻
(II)、1977年、丸善株式会社発行、688乃至
699頁に記載されたヴィルスマイヤー反応によりホル
ミル化することによって得ることができる。Rが置換
基であるものは、例えば、前掲の小竹無二雄監修『大有
機化学』、第14巻、第1号、1959年、株式会社朝
倉書店発行、241乃至269頁に記載された方法に準
じて得ることができる。斯くして得られる一般式11で
表される化合物は、必要に応じて、3位のアルデヒド基
又はカルボキシ基をウィッティヒ反応により、適宜鎖長
のオレフィン鎖に延長した後、そのオレフィン鎖の末端
をホルミル化することによって、一般式13で表される
化合物とする。一般式14で表される別の中間体も、一
般式13で表される化合物に準じて得ることができる。
一般式15乃至一般式18で表されるさらに別の中間体
は、化学式27乃至化学式30で表されるα,β−不飽
和ケトン若しくはα,β−不飽和チオケトンと一般式9
又は一般式19で表される化合物とを脱水縮合反応させ
ることによって得ることができる。なお、一般式9乃至
一般式19におけるR乃至R24は、一般式6乃至一
般式8に対応する水素原子又は置換基を表す。
【0060】
【化45】一般式9:
【0061】
【化46】一般式10:
【0062】
【化47】一般式11:
【0063】
【化48】一般式12:
【0064】
【化49】一般式13:
【0065】
【化50】一般式14:
【0066】
【化51】一般式15:
【0067】
【化52】一般式16:
【0068】
【化53】一般式17:
【0069】
【化54】一般式18:
【0070】
【化55】一般式19:
【0071】
【化56】化学式27:
【0072】
【化57】化学式28:
【0073】
【化58】化学式29:
【0074】
【化59】化学式30:
【0075】斯くして得られるエノン化合物は、用途に
よっては反応混合物のまま用いられることもあるけれど
も、通常、使用に先立って、例えば、溶解、分液、傾
斜、濾過、抽出、濃縮、薄層クロマトグラフィー、ガス
クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、蒸
留、昇華、結晶化などの類縁化合物を精製するための汎
用の方法により精製され、必要に応じて、これらの方法
は組合せて適用される。なお、この発明のエノン化合物
を高純度の発光性有機化合物を必要とする、例えば、色
素レーザーにおけるレーザー作用物質として用いる場合
には、使用に先立って、例えば、蒸留、結晶化及び/又
は昇華などの方法により高度に精製しておくのが望まし
い。
【0076】このうち、昇華は、1回の操作で高純度の
結晶が容易に得られるうえに、操作に伴うエノン化合物
の損失が少なく、しかも、溶剤が結晶中に取り込まれる
ことがないので、特に優れている。適用する昇華方法
は、常圧昇華法であっても減圧昇華法であってもよい
が、通常、後者の減圧昇華法が適用される。この発明の
エノン化合物を減圧昇華するには、例えば、適量のエノ
ン化合物を昇華精製装置内へ仕込み、装置内を10-2
Torrを下回る減圧、好ましくは、10-3Torr
以下に保ちながら、エノン化合物が分解しないように、
融点を下回るできるだけ低い温度で加熱する。昇華精製
へ供するエノン化合物の純度が比較的低い場合には、不
純物が混入しないように、減圧度や加熱温度を加減する
ことによって昇華速度を抑え、また、エノン化合物が昇
華し難い場合には、昇華精製装置内へ希ガスなどの不活
性ガスを通気することによって昇華を促進する。昇華に
よって得られる結晶の大きさは、昇華精製装置内におけ
る凝縮面の温度を加減することによって調節することが
でき、凝縮面を加熱温度よりも僅かに低い温度に保ち、
徐々に結晶化させると比較的大きな結晶が得られる。
【0077】この発明によるエノン化合物の用途につい
て説明すると、この発明のエノン化合物は、既述のとお
り、可視領域に吸収極大を有し、分子吸光係数も大きい
ことから、重合性化合物を可視光へ露光させることによ
って重合させるための材料、太陽電池を増感させるため
の材料、光学フィルターの色度を調節するための材料、
さらには、諸種の衣料を染色するための材料として多種
多様の用途を有する。とりわけ、この発明のエノン化合
物の多くは、その吸収極大が波長が、例えば、アルゴン
イオンレーザー、クリプトンイオンレーザーなどの気体
レーザー、CdS系レーザーなどの半導体レーザー、分
布帰還型若しくはブラッグ反射型Nd−YAGレーザー
などの固体レーザーをはじめとする、波長500nm付
近、詳細には、450乃至550nmに発振線を有する
汎用可視レーザーの発振波長に近接していることから、
斯かる可視レーザーを露出光源とする光重合性組成物へ
光増感剤として配合することによって、ファクシミリ、
複写機、プリンターなどの情報記録の分野や、フレキソ
製版、グラビア製版などの印刷の分野、さらには、フォ
トレジストなどの印刷回路の分野や、光記録材料、光学
材料などのホログラムの分野において極めて有利に用い
ることができる。
【0078】また、この発明のエノン化合物を、必要に
応じて、紫外領域、可視領域及び/又は赤外領域の光を
吸収する他の材料の1又は複数とともに、衣料一般や、
衣料以外の、例えば、ドレープ、レース、ケースメン
ト、プリント、ベネシャンブラインド、ロールスクリー
ン、シャッター、のれん、毛布、布団、布団地、布団カ
バー、シーツ、座布団、枕、枕カバー、クッション、マ
ット、カーペット、寝袋、自動車の内装材、ウインドガ
ラス、窓ガラスなどの建寝装用品、紙おむつ、おむつカ
バー、眼鏡、モノクル、ローネットなどの保健用品、靴
の中敷、靴の内張地、鞄地、風呂敷、傘地、パラソル、
ぬいぐるみ、照明装置やブラウン管ディスプレー、液晶
ディスプレー、電界発光ディスプレー、プラズマディス
プレーなどを用いる情報表示装置用のフィルター類、パ
ネル類及びスクリーン類、サングラス、サンルーフ、電
子レンジ、オーブンなどの覗き窓、さらには、これらの
物品を包装、充填又は収容するための包装用材、充填用
材、容器などに用いるときには、生物や物品における自
然光や人工光などの環境光による障害や不都合を防止し
たり低減することができるだけではなく、物品の色度、
色調、色彩、風合などを整えたり、物品から反射したり
透過する光を所望の色バランスに整えることができる実
益がある。
【0079】さらに、この発明のエノン化合物は、可視
領域に螢光極大などの発光極大を有し、励起すると可視
光を発光することから、斯かる性質を具備する有機化合
物を必要とする、例えば、色素レーザーにおけるレーザ
ー作用物質としても有用である。この発明のエノン化合
物を色素レーザーに用いるには、公知の色素系レーザー
発振装置を構築する場合と同様に精製し、適宜溶剤に溶
解し、必要に応じて、溶液のpHを適宜レベルに調整し
た後、レーザー発振装置における色素セル内へ封入す
る。この発明のエノン化合物は、公知の類縁化合物と比
較して、可視領域において極めて広い波長域で増幅利得
が得られるばかりか、耐熱性、耐光性が大きく、長時間
用いても劣化し難い特徴がある。この発明の発光能を適
用し得る他の用途としては、例えば、酵素反応、抗原抗
体反応、細胞内外における信号伝達、蛋白質同士の複合
体形成、蛋白質と核酸間又は核酸同士のハイブリダイゼ
ーションなどの、生体起源の物質間にみられる特異的な
反応を利用する定性分析、定量分析において、酵素、基
質、抗原、抗体、可溶性受容体、蛋白質、糖脂質、核酸
一般などを標識するための発光剤としての用途が挙げら
れる。この発明による標識された生体物質は、例えば、
研究や診断の分野において極めて有用である。
【0080】以下、この発明の実施の形態につき、実施
例に基づいて説明する。
【0081】
【実施例1】〈エノン化合物〉反応容器にエタノール9
0mlをとり、化学式31で表される化合物6g、4−
ジメチルアミノシンナムアルデヒド3.3g及びピペリ
ジン3.5mlを加え、溶解させた後、4時間加熱還流
した。反応混合物を冷却し、析出した結晶を濾取し、ク
ロロホルムに加熱溶解させ、再度濾過した後、濾液にア
セトニトリルを加え、析出した結晶を採取したところ、
化学式17で表されるこの発明のエノン化合物の赤色結
晶が5g得られた。
【0082】
【化60】化学式31:
【0083】結晶の一部をとり、常法にしたがって融点
を測定したところ、本例のエノン化合物の融点は233
乃至239℃であった。また、常法にしたがって塩化メ
チレン溶液における可視吸収スペクトル及び螢光スペク
トルを測定したところ、本例のエノン化合物は、それぞ
れ、波長497nm及び637nmに吸収極大(ε=
8.6×10)及び螢光極大を示した。さらに、常法
にしたがってクロロホルム−d溶液におけるH−核磁
気共鳴スペクトル(以下、「H−NMRスペクトル」
と略記する。)を測定したところ、化学シフトδ(pp
m、TMS)が1.29(6H、s)、1.57(6
H、s)、1.75(2H、t)、1.81(2H、
t)、3.01(6H、s)、3.29(2H、t)、
3.38(2H、t)、6.67(2H、d)、6.9
0(2H、m)、7.21(1H、s)、7.39(2
H、d)、7.65(2H、d)及び8.45(1H、
s)の位置にピークが観察された。
【0084】可視領域に吸収極大及び螢光極大を有する
本例のエノン化合物は、光吸収剤、発光剤として、光化
学的重合、太陽電池、光学フィルター、染色、色素レー
ザー、分析をはじめとする諸分野において有用である。
【0085】
【実施例2】〈エノン化合物〉反応容器にエタノール9
0mlをとり、化学式32で表される化合物2.7g、
化学式33で表される化合物2g及びピペリジン0.8
mlを加え、溶解させた後、2時間加熱還流した。反応
混合物を冷却し、析出した結晶を濾取し、クロロホルム
に加熱溶解させ、再度濾過した後、濾液にアセトニトリ
ルを加え、析出した結晶を採取したところ、化学式2で
表されるこの発明のエノン化合物の赤色結晶が2.2g
得られた。
【0086】
【化61】化学式32:
【0087】
【化62】化学式33:
【0088】結晶の一部をとり、常法にしたがって融点
を測定したところ、本例のエノン化合物の融点は248
乃至254℃であった。また、常法にしたがって塩化メ
チレン溶液における可視吸収スペクトル及び螢光スペク
トルを測定したところ、本例のエノン化合物は、それぞ
れ、波長509nm及び662nmに吸収極大(ε=
7.7×10)及び螢光極大を示した。さらに、常法
にしたがってクロロホルム−d溶液におけるH−NM
Rスペクトルを測定したところ、化学シフトδ(pp
m、TMS)が1.25(6H、t)、1.30(6
H、s)、1.58(6H、s)、1.78(4H、
m)、3.25(2H、t)、3.32(2H、t)、
3.46(4H、q)、6.48(1H、d)、6.6
2(1H、dd)、6.97(1H、d)、7.11
(1H、s)、7.39(2H、m)、7.62(3
H、m)及び8.50(1H、s)の位置にピークが観
察された。
【0089】可視領域に吸収極大と螢光極大を有する本
例のエノン化合物は、光吸収剤、発光剤として、光化学
的重合、太陽電池、光学フィルター、染色、色素レーザ
ー、分析をはじめとする諸分野において有用である。
【0090】
【実施例3】〈エノン化合物〉反応容器にエタノール4
0mlをとり、化学式31で表される化合物2g、化学
式32で表される化合物1.9g及びピペリジン0.6
mlを加え、溶解させた後、5時間加熱還流した。反応
混合物を冷却し、析出した結晶を濾取し、クロロホルム
に加熱溶解させ、再度濾過した後、濾液にアセトニトリ
ルを加え、析出した結晶を採取したところ、化学式7で
表されるこの発明のエノン化合物の赤色結晶が2g得ら
れた。
【0091】結晶の一部をとり、常法にしたがって融点
を測定したところ、本例のエノン化合物の融点は279
乃至282℃であった。また、常法にしたがって塩化メ
チレン溶液における可視吸収スペクトル及び螢光スペク
トルを測定したところ、本例のエノン化合物は、それぞ
れ、波長518nm及び651nmに吸収極大(ε=
9.3×10)及び螢光極大を示した。さらに、常法
にしたがってクロロホルム−d溶液におけるH−NM
Rスペクトルを測定したところ、化学シフトδ(pp
m、TMS)が1.30(12H、d)、1.56(1
2H、d)、1.77(8H、m)、3.31(8H、
m)、6.95(1H、d)、7.11(1H、s)、
7.21(1H、s)、7.37(1H、dd)、7.
64(3H、m)及び8.44(1H、s)の位置にピ
ークが観察された。
【0092】可視領域に吸収極大と螢光極大を有する本
例のエノン化合物は、光吸収剤、発光剤として、光化学
的重合、太陽電池、光学フィルター、染色、色素レーザ
ー、分析をはじめとする諸分野において有用である。
【0093】
【実施例4】〈エノン化合物〉実施例1乃至実施例3の
方法により得た3種類のエノン化合物のいずれかを水冷
式昇華精製装置内へ仕込み、常法にしたがって、装置内
を減圧に保ちながら加熱することによってそれぞれ昇華
精製した。
【0094】本例のエノン化合物は、いずれも、光吸収
剤、発光能を有する高純度の有機化合物を必要とする諸
分野において有利に用いることができる。
【0095】なお、この発明のエノン化合物は、構造に
よって仕込み条件や収率に若干の違いはあるものの、例
えば、上記以外の化学式1乃至化学式26で表されるも
のを含めて、いずれも、実施例1乃至実施例4の方法に
よるか、あるいは、それらの方法に準じて所望量を製造
することができる。
【0096】次に、この発明によるエノン化合物の光増
感能について、実験に基づいて説明する。
【0097】
【実験例】〈エノン化合物の光増感能〉常法にしたがっ
て、エチルセロソルブ900重量部に光重合性モノマー
としてペンタエリスリトールアクリレート100重量
部、バインダー樹脂としてアクリル酸−メタアクリル酸
共重合体100重量部、重合開始剤として3,3´,
4,4´−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボ
ニル)ベンゾフェノン8重量部をそれぞれ配合し、さら
に、光増感剤として、実施例1乃至実施例3の方法によ
り得た化学式2、化学式7又は化学式17で表されるこ
の発明のエノン化合物のいずれかを6重量部配合するこ
とによって3種類の光重合性組成物を調製した。
【0098】常法にしたがって、この組成物を表面処理
した砂目立アミル板上に均一に塗布して感光層を形成し
た後、酸素による重合阻害を防止すべく、感光層の表面
にポリビニルアルコール層を形成した。この感光層にグ
レースケールを密着させて3kw超高圧水銀灯を設置
し、シャープカットオフフィルター(商品名『Y47』
及び『Y52』、東芝硝子株式会社製造)、干渉フィル
ター(商品名『KL49』及び『KL54』、東芝硝子
株式会社製造)及び熱線カットフィルター(商品名『H
A30』、ホーヤ株式会社製造)を組合せて得た波長5
32nm(Nd−YAGレーザーの第二高調波に相当)
の可視光を照射した。その後、常法にしたがって、アル
カリ系現像液により現像した後、数1に示す数式にステ
ップタブレットn段目における透過率Tn、露出時間t
及び露出強度Iをそれぞれ代入し、光硬化したステッ
プの段数から感度を計算した。併行して、この発明によ
るエノン化合物に代えて化学式34で表される類縁化合
物を用いる光重合性組成物を調製し、これを上記と同様
に処置して対照とした。結果を表1に示す。
【0099】
【化63】化学式34:
【0100】
【数1】
【0101】
【表1】
【0102】表1の結果に見られるとおり、実験に供し
たこの発明によるエノン化合物は、いずれも、光重合性
化合物において類縁化合物の略2倍以上の高感度を発揮
した。この事実は、一般式1におけるエノン骨格が可視
光に対する感度向上に有効であることを物語っている。
【0103】
【発明の効果】以上説明したとおり、この発明は、新規
な有機化合物の創製と、その産業上有用な性質の発見に
基づくものである。この発明のエノン化合物は、可視領
域に吸収極大を有し、分子吸光係数も大きいことから、
光吸収剤として光化学的重合、太陽電池、光学フィルタ
ー、染色などの分野において有利に用いることができ
る。さらに、この発明のエノン化合物は、可視領域に発
光極大を有し、励起すると可視光を発光することから、
発光剤として色素レーザー、分析などの分野において有
利に用いることができる。
【0104】斯くも有用なエノン化合物は、活性エチレ
ン基を有する特定の化合物と、カルボニル基を有する特
定の化合物とを反応させる工程を経由するこの発明の製
造方法により所望量を得ることができる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成13年11月28日(2001.11.
28)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正内容】
【0018】一般式1において、R乃至Rは、それ
ぞれ独立に、水素原子又は適宜の置換基を表す。R
至Rにおける個々の置換基としては、例えば、メチル
基、エチル基、ビニル基、プロピル基、イソプロピル
基、イソプロペニル基、1−プロペニル基、2−プロペ
ニル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、
tert−ブチル基、2−ブテニル基、1,3−ブタジ
エニル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル
基、tert−ペンチル基、1−メチルペンチル基、2
−メチルペンチル基、2−ペンテニル基、ヘキシル基、
イソヘキシル基、5−メチルヘキシル基、ヘプチル基、
オクチル基などの脂肪族炭化水素基、シクロプロピル
基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシ
ル基、−シクロヘキセニル基などの脂環式炭化水素
基、フェニル基、ビフェニリル基などの芳香族炭化水素
基、フリル基、チエニル基、ピロリル基、ピロリジニル
基、ピリジル基、ピペリジニル基、ピペリジル基、ピペ
ラジニル基、モルホリル基、キノリル基、イソキノリル
基などの複素環基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキ
シ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ
基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペン
チルオキシ基、フェノキシ基、ベンジルオキシ基などの
エーテル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニ
ル基、プロポキシカルボニル基、アセチル基、ベンゾイ
ルオキシ基などのエステル基、フルオロ基、クロロ基、
ブロモ基、ヨード基などのハロゲン基、一級アミノ
基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ
基、ジエチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジプロピル
アミノ基、イソプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミ
ノ基、ブチルアミノ基、ジブチルアミノ基、イソブチル
アミノ基、ジイソブチルアミノ基、sec−ブチルアミ
ノ基、tert−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、
ジペンチルアミノ基どのアミノ基、ヒドロキシ基、カ
ルボキシ基、アシル基、スルホ基、スルフィノ基、シア
ノ基、ニトロ基、さらには、上記したいずれかの置換基
において、その水素原子の1又は複数が上記した別の置
換基によって置換されてなる置換基が挙げられる。R
又はRが水素原子以外の置換基である場合、その置換
基はR又はRが結合する炭素原子と結合し合って、
例えば、シクロヘキセン環、ピラン環、クマリン環など
の環状構造を形成していてもよい。その場合、R又は
は見掛け上存在しないこととなる。なお、m及びn
は自然数を表し、用途にもよるけれども、通常、1乃至
3の範囲で加減する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0077
【補正方法】変更
【補正内容】
【0077】この発明によるエノン化合物の用途につい
て説明すると、この発明のエノン化合物は、既述のとお
り、可視領域に吸収極大を有し、分子吸光係数も大きい
ことから、重合性化合物を可視光へ露光させることによ
って重合させるための材料、太陽電池を増感させるため
の材料、光学フィルターの色度を調節するための材料、
さらには、諸種の衣料を染色するための材料として多種
多様の用途を有する。とりわけ、この発明のエノン化合
物の多くは、その吸収極大波長が、例えば、アルゴン
イオンレーザー、クリプトンイオンレーザーなどの気体
レーザー、CdS系レーザーなどの半導体レーザー、分
布帰還型若しくはブラッグ反射型Nd−YAGレーザー
などの固体レーザーをはじめとする、波長500nm付
近、詳細には、450乃至550nmに発振線を有する
汎用可視レーザーの発振波長に近接していることから、
斯かる可視レーザーを露出光源とする光重合性組成物へ
光増感剤として配合することによって、ファクシミリ、
複写機、プリンターなどの情報記録の分野や、フレキソ
製版、グラビア製版などの印刷の分野、さらには、フォ
トレジストなどの印刷回路の分野や、光記録材料、光学
材料、ホログラムなどの分野において極めて有利に用い
ることができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0079
【補正方法】変更
【補正内容】
【0079】さらに、この発明のエノン化合物は、可視
領域に蛍光極大などの発光極大を有し、励起すると可視
光を発光することから、斯かる性質を具備する有機化合
物を必要とする、例えば、色素レーザーにおけるレーザ
ー作用物質としても有用である。この発明のエノン化合
物を色素レーザーに用いるには、公知の色素系レーザー
発振装置を構築する場合と同様に精製し、適宜溶剤に溶
解し、必要に応じて、溶液のpHを適宜レベルに調整し
た後、レーザー発振装置における色素セル内へ封入す
る。この発明のエノン化合物は、公知の類縁化合物と比
較して、可視領域において極めて広い波長域で増幅利得
が得られるばかりか、耐熱性、耐光性が大きく、長時間
用いても劣化し難い特徴がある。この発明によるエノン
化合物の発光能を適用し得る他の用途としては、例え
ば、酵素反応、抗原抗体反応、細胞内外における信号伝
達、蛋白質同士の複合体形成、蛋白質と核酸間又は核酸
同士のハイブリダイゼーションなどの、生体起源の物質
間にみられる特異的な反応を利用する定性分析、定量分
析において、酵素、基質、抗原、抗体、可溶性受容体、
蛋白質、糖脂質、核酸一般などを標識するための発光剤
としての用途が挙げられる。この発明のエノン化合物に
より標識された生体物質は、例えば、研究や診断の分野
において極めて有用である。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0102
【補正方法】変更
【補正内容】
【0102】表1の結果に見られるとおり、実験に供し
たこの発明によるエノン化合物は、いずれも、光重合性
組成物において類縁化合物の略2倍以上の高感度を発揮
した。この事実は、一般式1におけるエノン骨格が可視
光に対する感度向上に有効であることを物語っている。 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成14年6月5日(2002.6.5)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正内容】
【0009】さらに、この発明は、一般式1に対応する
及びRを有する一般式2で表される化合物と、一
般式1に対応するZ及びR乃至Rを有する一般式
3で表される化合物とを反応させる工程か、あるいは、
一般式1に対応するZ及びR乃至Rを有する一般
式4で表される化合物と、一般式1に対応するZ及び
を有する一般式5で表される化合物とを反応させる
程を経由するエノン化合物の製造方法を提供すること
によって前記課題を解決するものである。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0094
【補正方法】変更
【補正内容】
【0094】本例のエノン化合物は、いずれも、光吸
発光能を有する高純度の有機化合物を必要とする諸
分野において有利に用いることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 菅 貞治 岡山県岡山市下石井1丁目2番3号 株式 会社林原生物化学研究所内 Fターム(参考) 2H025 AB02 AB05 AB15 AB20 AC01 CA00 CA41 4C050 AA02 AA08 BB07 CC07 DD08 EE01 FF02 GG03 HH01 4H006 AA01 AA02 AB92

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式1で表されるエノン化合物。 【化1】一般式1: (一般式1において、Z及びZは互いに同じか異な
    る芳香環又は複素環を表し、それらの芳香環及び複素環
    は置換基を有していてもよい。R乃至Rは、それぞ
    れ独立に、水素原子又は適宜の置換基を表し、R又は
    は、それぞれ、R又はRが結合する炭素原子と
    結合し合って環状構造を形成していてもよい。m及びn
    は自然数を表す。)
  2. 【請求項2】 一般式1に対応するZ及びRを有す
    る一般式2で表される化合物と、一般式1に対応するZ
    及びR乃至Rを有する一般式3で表される化合物
    とを反応させる工程か、あるいは、一般式1に対応する
    及びR乃至Rを有する一般式4で表される化合
    物と、一般式1に対応するZ及びR を有する一般式
    5で表される化合物とを反応させる工程を経由する請求
    項1に記載のエノン化合物の製造方法。 【化2】一般式2: 【化3】一般式3: 【化4】一般式4: 【化5】一般式5: (一般式3及び一般式4におけるm及びnは、それぞ
    れ、一般式1に対応する自然数を表す。)
JP2001186685A 2001-06-20 2001-06-20 エノン化合物 Withdrawn JP2003002861A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001186685A JP2003002861A (ja) 2001-06-20 2001-06-20 エノン化合物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001186685A JP2003002861A (ja) 2001-06-20 2001-06-20 エノン化合物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003002861A true JP2003002861A (ja) 2003-01-08

Family

ID=19026098

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001186685A Withdrawn JP2003002861A (ja) 2001-06-20 2001-06-20 エノン化合物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003002861A (ja)

Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5046666A (ja) * 1973-08-20 1975-04-25
JPS564604A (en) * 1979-06-18 1981-01-19 Eastman Kodak Co Coinitiating agent composition
JPS6323901A (ja) * 1986-07-17 1988-02-01 Nippon Kayaku Co Ltd 感光性樹脂組成物
JPH02279702A (ja) * 1989-04-20 1990-11-15 Nippon Oil & Fats Co Ltd 光重合開始剤組成物
JPH06324615A (ja) * 1993-05-11 1994-11-25 Canon Inc スチリルクマリン化合物、光増感剤、感光性樹脂組成物、ホログラム記録媒体
JPH06329654A (ja) * 1993-05-25 1994-11-29 Canon Inc ピラン誘導体、光増感剤、感光性樹脂組成物及びこの組成物を用いたホログラム記録媒体
JPH0717892A (ja) * 1993-06-30 1995-01-20 Shiseido Co Ltd 1,3−ブタジエニルケトン誘導体、紫外線吸収剤及びそれを配合した皮膚外用剤
JPH07258566A (ja) * 1994-03-25 1995-10-09 Nippon Kanko Shikiso Kenkyusho:Kk クマリン誘導体及びホトポリマー用増感色素
JPH09227547A (ja) * 1996-02-20 1997-09-02 Mitsui Toatsu Chem Inc 可視光感光性樹脂組成物およびその用途

Patent Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5046666A (ja) * 1973-08-20 1975-04-25
JPS564604A (en) * 1979-06-18 1981-01-19 Eastman Kodak Co Coinitiating agent composition
JPS6323901A (ja) * 1986-07-17 1988-02-01 Nippon Kayaku Co Ltd 感光性樹脂組成物
JPH02279702A (ja) * 1989-04-20 1990-11-15 Nippon Oil & Fats Co Ltd 光重合開始剤組成物
JPH06324615A (ja) * 1993-05-11 1994-11-25 Canon Inc スチリルクマリン化合物、光増感剤、感光性樹脂組成物、ホログラム記録媒体
JPH06329654A (ja) * 1993-05-25 1994-11-29 Canon Inc ピラン誘導体、光増感剤、感光性樹脂組成物及びこの組成物を用いたホログラム記録媒体
JPH0717892A (ja) * 1993-06-30 1995-01-20 Shiseido Co Ltd 1,3−ブタジエニルケトン誘導体、紫外線吸収剤及びそれを配合した皮膚外用剤
JPH07258566A (ja) * 1994-03-25 1995-10-09 Nippon Kanko Shikiso Kenkyusho:Kk クマリン誘導体及びホトポリマー用増感色素
JPH09227547A (ja) * 1996-02-20 1997-09-02 Mitsui Toatsu Chem Inc 可視光感光性樹脂組成物およびその用途

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4157239B2 (ja) クロメン化合物
US6300502B1 (en) Multi-armed chromophores with very large two-photon absorption cross-sections
JP4256985B2 (ja) クロメン化合物
JPH11279171A (ja) クロメン化合物
JP2000327676A (ja) クロメン化合物
US6573380B2 (en) 4-cyanocoumarin derivatives and uses thereof
IE57368B1 (en) Improvements in or relating to perester compounds
JP2001072683A (ja) 4−シアノクマリン誘導体
JP2759307B2 (ja) クマリン誘導体
JP4413193B2 (ja) 電子ディスプレイ装置用フィルター
WO2005083011A1 (ja) シアニン色素
JP4473572B2 (ja) クマリン化合物
JP2003002861A (ja) エノン化合物
JP7415016B2 (ja) 含ホウ素環式放出性化合物、及び該化合物を含む色変換フィルム
JP4897145B2 (ja) 光機能性材料
JP4202025B2 (ja) クマリン誘導体
JP4746284B2 (ja) メロシアニン色素共重合体及びその用途
JP4982642B2 (ja) クマリン誘導体
WO2006046416A1 (ja) アリールシラン化合物とその用途
JP4500018B2 (ja) アミン化合物
JP5299717B2 (ja) 光機能性材料
JP2004002285A (ja) クマリン化合物
JP4817197B2 (ja) シクロペンタノン化合物の製造方法
JP2001294585A (ja) ベンゾピラン誘導体
JP2002294094A (ja) シアニン色素

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080610

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110629

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110705

A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20110830