JP4500018B2 - アミン化合物 - Google Patents

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この発明は新規なアミン化合物に関するものである。
情報化時代の到来に伴い、光化学的重合が多種多様の分野で頻用されるようになり、今では、その用途は、合成樹脂の分野を越えて、ホログラフィー、印刷用刷版、印刷回路、集積回路などの情報記録や電子回路の分野にまでおよぶようになった。光化学的重合は、重合性化合物を光照射によって重合させる技術であって、大別すると、重合性化合物を直接光照射し、活性化させることによって重合を開始させる光重合と、光増感剤を共存させた状態で光照射し、光増感剤の活性種を生成させることによって重合性化合物を重合させる光増感重合とがある。いずれの光化学的重合も、重合の開始及び停止が露出光源の点滅によって制御可能であり、また、露出光源の強度や波長を選択することによって重合度や重合速度を容易に制御できる特徴がある。しかも、光化学的重合は、一般に、重合開始のエネルギーが低いために、低温でも重合が可能である。印刷用刷版やホログラフィーなどの情報記録の分野においては、光化学的重合のこのような利点が買われて、アルゴンイオンレーザー、ヘリウムイオンレーザー、Nd−YAGレーザーの第二高調波などの可視光を照射することによって重合させることのできる光重合性組成物の需要が急速に高まっている。
光重合性組成物に配合される重合性化合物や重合開始剤は、その多くが紫外線だけを吸収することから、重合性組成物を可視光により重合させようとすると、光増感剤が不可欠の技術要素となる。光増感剤が備えるべき特性としては、可視領域における分子吸光係数が大きいことと、諸種の重合性化合物や重合開始剤を増感し得ること、増感効率が高いこと、溶剤に対する溶解性と他の配合成分との相溶性に優れていること、そして、安定であることが挙げられる。光増感能を有する代表的な有機化合物としては、例えば、特許文献1に開示されたメロシアニン色素、特許文献2に開示されたシアニン色素、特許文献3に開示されたスチルベン色素、特許文献4に開示されたクマリン誘導体、特許文献5に開示されたメチレンブルー誘導体、特許文献6に開示されたピラン誘導体などが挙げられるけれども、これらはいずれも一長一短があり、重合性化合物、重合開始剤、バインダー樹脂などの複数の材料からなる光重合性組成物にあって、前述したごとき諸特性を常に発揮し得るようなものは未だ見出されていない。そこで、光化学的重合の新しい適用分野である、例えば、情報記録や電子機器の分野においては、重合性化合物、バインダー樹脂などの、用途に応じた光増感剤以外の材料を先ず選択し、次いで、多種多様の有機化合物のなかから、それらの重合性化合物や重合開始剤に適合するものを試行錯誤的に検索しているというのが現状である。
特開昭54−151024号公報 特開昭58−29803号公報 特開昭59−56403号公報 特開昭63−23901号公報 特開昭64−33103号公報 特開平6−329654号公報
斯かる状況に鑑み、この発明の課題は、可視光を吸収する新規な有機化合物を提供することによって、光重合性組成物などを調製するに当たって、選択し得る材料の幅を広げることを課題とする。
本発明者が芳香族第三級アミンに着目し、鋭意研究し、検索したところ、一般式1で表される原子団を分子内に1又は複数有するアミン化合物は可視領域に吸収極大を有し、可視光を効率良く吸収することに加えて、その多くが可視領域に発光極大を有し、励起すると可視光を発光し、安定でもあることから、吸光剤、発光剤として、斯かる性質を具備する有機化合物を必要とする諸分野において極めて有用であることを見出した。
一般式1:
Figure 0004500018
(一般式1において、R乃至Rは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。)
すなわち、この発明は、一般式1で表される原子団を分子内に1又は複数有するアミン化合物を提供することによって前記課題を解決するものである。
一般式1:
Figure 0004500018
(一般式1において、R乃至Rは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。)
この発明は新規な芳香族第三級アミンの創製に基づくものである。この発明によるアミン化合物は可視領域に吸光極大を有し、可視光を効率良く吸収することに加えて、その多くが可視領域に発光極大を有し、励起すると可視光を発光し、安定でもあることから、吸光剤、発光剤などとして、斯かる性質を具備する有機化合物を必要とする、例えば、光化学的重合、太陽電池、光学フィルター、染色、色素レーザー、分析をはじめとする諸分野において多種多様の用途を有することとなる。
既述したとおり、この発明は、一般式1で表される原子団を分子内に1又は複数有するアミン化合物に関するものである。
一般式1:
Figure 0004500018
一般式1において、R乃至Rは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。R乃至Rにおける置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、イソプロペニル基、1−プロペニル基、1−プロピニル基、2−プロペニル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、2−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、2−ペンテニル基、2−ペンテン−4−イニル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、5−メチルヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基などの脂肪族炭化水素基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、シクロヘキサジエニル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロオクタジエニル基などの脂環式炭化水素基、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、キシリル基、メシチル基、o−クメニル基、m−クメニル基、p−クメニル基、ビフェニリル基、ナフチル基、アントリル基、フェナレニル基、フェナントリル基、ピレニル基などの芳香族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、アリルオキシ基、フェノキシ基、ナフチルオキシ基などのエーテル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などのエステル基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジプロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、ジブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、ジイソブチルアミノ基、sec−ブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ジペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ピペリジノ基、フェニルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、N,N−ナフチルフェニルアミノ基、N,N−ジナフチルアミノ基、N−カルバゾリル基などのアミノ基、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基などのハロゲン基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基、さらには、それらの組合わせによる置換基が挙げられる。
なお、R乃至Rが置換基である場合、隣接するもの同士が互いに結合し合い、それらが結合する炭素原子を含んで、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピペリジン環、ピロリジン環、モルホリン環、ユロリジン環などの環状構造を形成することがある。この場合、R乃至Rは、見掛け上、独立した置換基として存在しないこととなる。
この発明によるアミン化合物の具体例としては、例えば、化学式1乃至50で表されるものが挙げられる。これらは、いずれも、波長300乃至500nm付近、通常、400乃至470nm付近に吸収極大を有し、吸収極大波長における分子吸光係数(以下、吸収極大波長における分子吸光係数を「ε」と略記する。)も1×10以上、詳細には、3×10以上と大きく、その結果として、同波長域の光を効率良く吸収することとなる。さらに、化学式1乃至50で表されるアミン化合物の多くは、波長500乃至650nm付近に蛍光極大などの発光極大を有し、励起すると、緑乃至赤色光を発光する。しかも、この発明のアミン化合物は、その多くが400℃を越える分解点を有し、ガラス転移点も110℃以上に達する。周知のとおり、有機化合物における分解点やガラス転移点は熱安定性の指標とされており、分解点やガラス転移点が高いものほど熱安定性も大きいとされている。然して、この発明のアミン化合物は、吸光能や発光能を有する、熱安定性に優れた有機化合物を必要とする諸分野において多種多様の用途を有することとなる。ちなみに、この発明によるアミン化合物の分解点及びガラス転移点は、例えば、汎用の示差走査熱量分析(以下、「DSC分析」と略記する。)により決定することができる。
この発明のアミン化合物は、一般式1で表される原子団を分子内にただ一つ持つものだけに決して限定されてはならず、例えば、化学式23乃至31、化学式33、化学式34、化学式37、化学式38、化学式44で表されるもののように、一般式1で表される原子団を分子内に二つ以上持つものであっても、その一般式1で表される原子団が、第三級アミノ基を構成する窒素原子へ結合したベンゼン環の一部又は全部に対して、R乃至Rにおけると同様の置換基が1又は複数結合してなるものであったり、ベンゼン環そのものが縮合多環式の芳香族炭化水素基や複素環基の一部を構成するものであってもよい。とりわけ、分子内にクマリン残基を複数有するこの発明のアミン化合物は、クマリン残基をただ一つ有するものと比較して、吸光能、発光能が有意に大きい特徴がある。なお、一般式1で表される原子団において、クマリン残基がトリフェニルアミノ基のベンゼン環へ結合する位置は、第三級アミノ基を構成する窒素原子に対して、オルト位、メタ位、パラ位のいずれであってもよいけれども、始発原料の入手し易さや、目的とするアミン化合物の収率をはじめとする合成上の見地からみると、通常、パラ位が望ましい。
化学式1:
Figure 0004500018
化学式2:
Figure 0004500018
化学式3:
Figure 0004500018
化学式4:
Figure 0004500018
化学式5:
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化学式6:
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化学式7:
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化学式8:
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化学式9:
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化学式10:
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化学式11:
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化学式12:
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化学式13:
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化学式14:
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化学式15:
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化学式16:
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化学式17:
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化学式18:
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化学式19:
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化学式20:
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化学式21:
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化学式22:
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化学式23:
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化学式24:
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化学式25:
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化学式26:
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化学式27:
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化学式28:
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化学式29:
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化学式30:
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化学式31:
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化学式32:
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化学式33:
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化学式34:
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化学式35:
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化学式36:
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化学式37:
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化学式38:
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化学式39:
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化学式40:
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化学式41:
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化学式42:
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化学式43:
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化学式44:
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化学式45:
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化学式46:
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化学式47:
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化学式48:
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化学式49:
Figure 0004500018
化学式50:
Figure 0004500018
この発明のアミン化合物は諸種の方法により調製できるけれども、経済性を重視するのであれば、芳香族ハロゲン化物と、芳香族第一級若しくは第二級アミンとの求核置換反応を利用する方法が好適である。この方法によるときには、例えば、一般式1に対応するR乃至Rを有する一般式2で表される化合物と、分子内に一般式3で表される原子団を有する化合物とを反応させることによって、この発明のアミン化合物が好収量で生成する。なお、一般式2におけるXはクロロ基、ブロモ基、ヨード基などのハロゲン基を、また、一般式3におけるYは、水素原子か、あるいは、独立したフェニル基又は縮合多環式の芳香族炭化水素基若しくは複素環基の一部を構成するベンゼン環を表す。
一般式2:
Figure 0004500018
一般式3:
Figure 0004500018
より具体的には、反応容器に一般式2及び3で表される化合物をそれぞれ適量とり、必要に応じて、適宜溶剤に溶解し、例えば、白金などの金属触媒か、あるいは、酢酸パラジウム、カリウムtert−ブトキシド、トリ−tert−ブチルホスファンなどの有機金属触媒を加えた後、加熱環流などにより加熱・撹拌しながら周囲温度か周囲温度を上回る温度で反応させる。
溶剤としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素類、四塩化炭素、クロロホルム、1,2−ジクロロベンゼン、1,2−ジブロモベンゼン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、α−ジクロロベンゼンなどのハロゲン化物、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、イソペンチルアルコール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、フェノール、ベンジルアルコール、クレゾール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリンなどのアルコール類及びフェノール類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、アニソール、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジシクロヘキシル−18−クラウン−6、メチルカルビトール、エチルカルビトールなどのエーテル類、酢酸、無水酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、無水プロピオン酸、酢酸エチル、炭酸ブチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ヘキサメチル燐酸トリアミド、燐酸トリメチルなどの酸及び酸誘導体、アセトニトリル、プロピオニトリル、スクシノニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル類、ニトロメタン、ニトロベンゼンなどのニトロ化合物、ジメチルスルホキシド、スルホランなどの含硫化合物、水などが挙げられ、必要に応じて、これらは組み合わせて用いられる。
溶剤を用いる場合、一般に、溶剤の量が多くなると反応の効率が低下し、反対に、少なくなると、均一に加熱・撹拌するのが困難になったり、副反応が起こり易くなる。したがって、溶剤の量を重量比で原料化合物全体の100倍まで、通常、5乃至50倍にするのが望ましい。原料化合物の種類や反応条件にもよるけれども、反応は10時間以内、通常、0.5乃至5時間で完結する。反応の進行は、例えば、薄層クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィーなどの汎用の方法によってモニターすることができる。この発明によるアミン化合物は、この方法によるか、この方法に準じて所望量を製造することができる。なお、一般式2及び3で表される化合物は、いずれも、類縁化合物を調製するための汎用の方法によって得ることができ、市販品がある場合には、必要に応じて、それを精製して用いればよい。
斯くして得られるアミン化合物は、用途によっては反応混合物のまま用いられることもあるけれども、通常、使用に先立って、例えば、溶解、分液、傾斜、濾過、抽出、濃縮、薄層クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、蒸留、昇華、結晶化などの類縁化合物を精製するための汎用の方法によって精製され、必要に応じて、これらの方法は組み合わせて適用される。なお、この発明のアミン化合物を高純度の発光性有機化合物を必要とする、例えば、色素レーザーにおけるレーザー作用物質として用いる場合には、使用に先立って、例えば、蒸留、結晶化及び/又は昇華などの方法により高度に精製しておくのが望ましい。
このうち、昇華は、1回の操作で高純度の結晶が容易に得られるうえに、操作に伴うアミン化合物の損失が少なく、しかも、溶剤が結晶中に取り込まれることがないので、特に優れている。適用する昇華方法は、常圧昇華方法であっても減圧昇華方法であってもよいが、通常、後者の減圧昇華方法が適用される。この発明のアミン化合物を減圧昇華するには、例えば、適量のアミン化合物を昇華精製装置内へ仕込み、装置内を10−2Torrを下回る減圧、好ましくは、10−3Torr以下に保ちながら、アミン化合物が分解しないように、融点を下回るできるだけ低い温度で加熱する。昇華精製へ供するアミン化合物の純度が比較的低い場合には、不純物が混入しないように、減圧度や加熱温度を加減することによって昇華速度を抑え、また、アミン化合物が昇華し難い場合には、昇華精製装置内へ希ガスを通気することによって昇華を促進する。昇華によって得られる結晶の大きさは、昇華精製装置内における凝縮面の温度を加減することによって調節することができ、凝縮面を加熱温度よりも僅かに低い温度に保ち、徐々に結晶化させると比較的大きな結晶が得られる。
この発明によるアミン化合物の用途について説明すると、この発明のアミン化合物は、既述のとおり、可視領域に吸収極大を有し、吸収極大波長における分子吸光係数も大きいことから、重合性化合物を可視光へ露光させることによって重合させるための材料、太陽電池を増感するための材料、光記録媒体の記録層を構成する材料、光学フィルターの色度を調節するための材料、さらには、諸種の衣料を染色するための材料として多種多様の用途を有する。とりわけ、この発明のアミン化合物の多くは、その吸収極大波長が、例えば、アルゴンイオンレーザー、クリプトンイオンレーザーなどの気体レーザー、CdS系レーザーなどの半導体レーザー、分布帰還型若しくはブラッグ反射型Nd−YAGレーザーなどの固体レーザーをはじめとする、波長500nm付近、詳細には、450乃至550nmに発振線を有する汎用可視レーザーの発振波長に近接していることから、斯かる可視レーザーを露出光源とする光重合性組成物の光増感剤として、例えば、ファクシミリ、複写機、プリンター、ホログラフィーなどの情報記録の分野や、フレキソ製版、グラビア製版などの印刷の分野、さらには、フォトレジストなどの印刷回路の分野において極めて有利に用いることができる。
また、この発明のアミン化合物を、必要に応じて、紫外領域、可視領域及び/又は赤外領域の光を吸収する材料の1又は複数とともに、衣料一般や、衣料以外の、例えば、ドレープ、レース、ケースメント、プリント、ベネシャンブラインド、ロールスクリーン、シャッター、のれん、毛布、布団、布団地、布団カバー、シーツ、座布団、枕、枕カバー、クッション、マット、カーペット、寝袋、自動車の内装材、ウインドガラス、窓ガラスなどの建寝装用品、紙おむつ、おむつカバー、眼鏡、モノクル、ローネットなどの保健用品、靴の中敷き、靴の内張り地、鞄地、風呂敷、傘地、パラソル、ぬいぐるみ、照明装置やブラウン管ディスプレー、液晶ディスプレー、プラズマディスプレーなどを用いる情報表示装置用のフィルター類、パネル類及びスクリーン類、サングラス、サンバイザー、サンルーフ、電子レンジ、オーブンなどの覗き窓、さらには、これらの物品を包装、充填又は収容するための包装用材、充填用材、容器などに用いるときには、生物や物品における自然光や人工光などの環境光による障害や不都合を防止したり低減することができるだけではなく、物品の色度、色調、色彩、風合などを整えたり、物品から反射したり透過する光を所望の色バランスに整えることができる実益がある。
さらに、この発明のアミン化合物は、可視領域に蛍光極大などの発光極大を有し、励起すると緑乃至赤色光を発光することから、斯かる性質を具備する有機化合物を必要とする、例えば、色素レーザーにおけるレーザー作用物質としても有用である。この発明のアミン化合物を色素レーザーに用いる場合には、公知の色素系レーザー発振装置を構築する場合と同様に精製し、適宜溶剤に溶解し、必要に応じて、溶液のpHを適宜レベルに調整した後、レーザー発振装置における色素セル内へ封入する。この発明のアミン化合物は、公知の類縁化合物と比較して、可視領域において極めて広い波長域で増幅利得が得られるばかりか、耐熱性、耐光性が大きく、長時間用いても劣化し難い特徴がある。
この発明によるアミン化合物の発光能を適用し得る他の用途としては、例えば、酵素反応、抗原抗体反応、細胞内外における信号伝達、蛋白質同士の複合体形成、蛋白質と核酸又は核酸同士のハイブリダイゼーションなどの、生体起源の物質間にみられる特異的な反応を利用する定性分析、定量分析において、酵素、基質、抗原、抗体、可溶性受容体、蛋白質、糖脂質、核酸一般などを標識するための発光剤としての用途が挙げられる。この発明のアミン化合物により標識された生体物質は、例えば、研究や診断の分野において極めて有用である。
以下、この発明の実施の形態につき、実施例を挙げて説明する。
〈アミン化合物〉
反応容器にトルエンを50mlとり、N,N´−ジフェニルベンジジン2.50g、化学式51で表されるクマリン化合物6.86g、酢酸パラジウム0.17g、カリウムtert−ブトキシド2.0g及びトリ−tert−ブチルホスファン0.36mlを加えた後、4時間加熱環流して反応させた。反応混合物を冷却した後、クロロホルム/酢酸エチル混液を展開溶剤とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製したところ、化学式29で表されるこの発明によるアミン化合物の黄色紛状結晶が3.20g得られた。
化学式51:
Figure 0004500018
結晶の一部をとり、常法により塩化メチレン溶液における可視吸収スペクトル及び蛍光スペクトルを測定したところ、それぞれ、波長427及び512nm付近に吸収極大(ε=9.18×10)及び蛍光極大が観察された。また、通常のDSC分析により融点、分解点及びガラス転移点を測定したところ、本例のアミン化合物は386℃付近に融点を、204℃付近にガラス転移点を、また、458℃付近に分解点を示した。さらに、常法によりクロロホルム−d溶液におけるH−核磁気共鳴スペクトル(以下、「H−NMRスペクトル」と略記する。)を測定したところ、化学シフトδ(ppm、TMS)が1.31(12H、s)、1.59(12H、s)、1.75乃至1.84(8H、m)、3.20乃至3.23(4H、m)、3.27乃至3.31(4H、m)、7.02乃至7.07(2H、m)、7.12乃至7.19(12H、m)、7.25乃至7.31(6H、m)、7.47乃至7.49(4H、m)及び7.63乃至7.65(4H、m)の位置にピークが観察された。
熱安定性に優れ、可視領域に吸収極大及び蛍光極大を有する本例のアミン化合物は、吸光剤、発光剤として、例えば、光化学的重合、太陽電池、光学フィルター、染色、色素レーザー、分析などの諸分野において有用である。
〈アミン化合物〉
N,N´−ジフェニルベンジジン及び化学式51で表される化合物に代えて、それぞれ、4−メトキシアニリン及び化学式52で表される化合物を用いた以外は実施例1におけると同様に反応させたところ、化学式2で表されるこの発明によるアミン化合物の黄色紛状結晶が得られた。
化学式52:
Figure 0004500018
結晶の一部をとり、常法により塩化メチレン溶液における可視吸収スペクトル及び蛍光スペクトルを測定したところ、それぞれ、波長415及び562nm付近に吸収極大(ε=4.06×10)及び蛍光極大が観察された。また、通常のDSC分析により融点、ガラス転移点及び分解点を測定したところ、本例のアミン化合物は305℃に融点を、141℃付近にガラス転移点を、また、487℃付近に分解点を示した。さらに、常法によりクロロホルム−d溶液におけるH−NMRスペクトルを測定したところ、化学シフトδ(ppm、TMS)が3.78(3H、s)、6.78乃至6.83(4H、m)、7.22乃至7.27(4H、m)、7.50乃至7.61(4H、m)、7.68乃至7.77(6H、m)、7.94(2H、d)、7.98(2H、d)、8.34(2H、d)及び8.60(2H、s)の位置にピークが観察された。
熱安定性に優れ、可視領域に吸収極大及び蛍光極大を有する本例のアミン化合物は、吸光剤、発光剤として、例えば、光化学的重合、太陽電池、光学フィルター、染色、色素レーザー、分析などの諸分野において有用である。
〈アミン化合物〉
N,N´−ジフェニルベンジジン及び化学式51で表される化合物に代えて、それぞれ、アニリン及び化学式52で表される化合物を用いた以外は実施例1におけると同様に反応させたところ、化学式3で表されるこの発明によるアミン化合物の黄色紛状結晶が得られた。
結晶の一部をとり、常法により塩化メチレン溶液における可視吸収スペクトル及び蛍光スペクトルを測定したところ、それぞれ、波長417及び563nm付近に吸収極大(ε=4.10×10)及び蛍光極大が観察された。また、通常のDSC分析により融点、ガラス転移点及び分解点を測定したところ、本例のアミン化合物は358℃に融点を、153℃付近にガラス転移点を、また、495℃付近に分解点を示した。さらに、常法によりクロロホルム−d溶液におけるH−NMRスペクトルを測定したところ、化学シフトδ(ppm、TMS)が7.14(2H、t)、7.24乃至7.37(6H、m)、7.50乃至7.61(4H、m)、7.68乃至7.77(7H、m)、7.94(2H、d)、7.99(2H、d)、8.34(2H、d)及び8.60(2H、s)の位置にピークが観察された。
熱安定性に優れ、可視領域に吸収極大及び蛍光極大を有する本例のアミン化合物は、吸光剤、発光剤として、例えば、光化学的重合、太陽電池、光学フィルター、染色、色素レーザー、分析などの諸分野において有用である。
〈アミン化合物〉
実施例1乃至3の方法により得た、この発明による3種類のアミン化合物のいずれかを水冷式昇華精製装置内へ仕込み、常法により、装置内を減圧に保ちながら加熱することによってそれぞれ昇華精製した。
本例のアミン化合物は、いずれも、吸光能、発光能を有する高純度の有機化合物を必要とする諸分野において有利に用いることができる。
この発明のアミン化合物は、構造によって仕込条件や収率に若干の違いはあるものの、例えば、上記以外の化学式1乃至50で表されるものを含めて、いずれも、実施例1乃至3の方法によるか、あるいは、それらの方法に準じて所望量を得ることができる。

Claims (1)

  1. 一般式1で表される原子団を分子内に1又は2個有する、下記化学式2、3、24、26、29又は49で表されるアミン化合物。
    一般式1:
    Figure 0004500018
    (一般式1において、R乃至Rは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R 乃至R が置換基である場合、隣接するもの同士が互いに結合し合い、それらが結合する炭素原子を含んで環状構造を形成することがある。この場合、R 乃至R は、見掛け上、独立した置換基として存在しない。
    化学式2:
    Figure 0004500018
    化学式3:
    Figure 0004500018
    化学式24:
    Figure 0004500018
    化学式26:
    Figure 0004500018
    化学式29:
    Figure 0004500018
    化学式49:
    Figure 0004500018
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