JP2003001185A - 着色建築板の製造方法 - Google Patents

着色建築板の製造方法

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JP2003001185A JP2001191098A JP2001191098A JP2003001185A JP 2003001185 A JP2003001185 A JP 2003001185A JP 2001191098 A JP2001191098 A JP 2001191098A JP 2001191098 A JP2001191098 A JP 2001191098A JP 2003001185 A JP2003001185 A JP 2003001185A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 複雑な柄模様を表出する意匠面を有する着色
建築板を,容易かつ生産効率よく製造することができる
着色建築板の製造方法を提供すること。 【解決手段】 型板4にインクを塗布し,基材原料を堆
積させてプレスし硬化させることにより,基材を成形す
ると同時にインクを基材に転写し,意匠面が着色された
着色建築板を製造する。型板4へのインクの塗布は,複
数のノズルユニット62を配設したインクジェットヘッ
ド61を有するインクジェット印刷機6を用いて行う。
各ノズルユニット62は,異なる色彩のインクを略同一
点に向かって噴射する複数のノズル63を有する。型板
4をインクジェットヘッド61の下方において走行さ
せ,所定のタイミングで所定のノズル63から,インク
を型板4に向かって噴射して,型板4の所定の位置に所
定の色彩のインクを塗布する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は,型板にインクを塗布した後,基
材原料を堆積させてプレスし,硬化させることにより,
意匠面が着色された着色建築板を製造する方法に関す
る。
【0002】
【従来技術】建築物の外装面には,近年,種々に着色さ
れた意匠面を有する着色建築板が用いられている。かか
る着色建築板として,例えば,図23に示すごとく,谷
部95と該谷部95の間に形成された山部94とからな
る意匠面を有すると共に,該意匠面が着色されたものが
ある。
【0003】上記着色建築板を製造する方法として,例
えば特願2000−261458に開示した方法があ
る。即ち,まず,上記谷部95と山部94とを有する意
匠面を備えた基材90を成形する。成形に当っては,図
24,図25(A)に示すごとく,上記意匠面の上記谷
部95を成形するための凸部81と,該凸部81の間に
形成され上記意匠面の山部94を成形するための凹部8
2とを有する型板8を用いる。
【0004】そして,図25に示すごとく,上記凸部8
1に,ロールコータにより谷部色インク3を塗布した
後,着色材を含んだ基材原料91を型板8に散布し堆積
させる。次いで,上記基材原料91をプレスし,硬化さ
せて基材90を成形する。このとき,上記型板8の凸部
81に塗布した上記谷部色インク3が上記基材90に転
写される。これにより,谷部95と山部94とが異なる
色彩を有する着色建築板9を得る(図23)。
【0005】
【解決しようとする課題】しかしながら,上記着色建築
板9の製造方法においては,斜面部を有する上記山部9
4に対する模様の着色が困難である。即ち,上記型板8
の凹部82に対しては,通常のロールコータではインク
を塗布することが困難であり,また従来のインクジェッ
ト塗装機では多色印刷を高速で実行することが困難であ
る。そのため,上記山部94については,基材色をその
まま発現させるか,或いは,基材90の成形後に山部色
インクをグラビアオフセット印刷等により,基材90の
山部94に塗布している。それ故,前者の場合は,複雑
な柄模様を上記意匠面の山部94に表出することが困難
であり,また,後者の場合は,塗布工程が別途必要とな
り,生産効率の大幅な向上は望めない。
【0006】なお,上記のインクジェット印刷法は,単
色のインクを噴射するノズルを複数並列させて使用する
ものであり,着色建築板9の意匠面に発現させる色数に
は限界があった。
【0007】本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてな
されたもので,複雑な柄模様を表出する意匠面を有する
着色建築板を,容易かつ生産効率よく製造することがで
きる着色建築板の製造方法を提供しようとするものであ
る。
【0008】
【課題の解決手段】本発明は,型板にインクを塗布した
後,基材原料を堆積させてプレスし,硬化させることに
より,基材を成形すると同時に上記型板に塗布されたイ
ンクを上記基材に転写して,意匠面が着色された着色建
築板を製造するにあたり,上記型板へのインクの塗布
は,複数のノズルユニットを並列して配設したインクジ
ェットヘッドを有するインクジェット印刷機を用いて行
い,上記各ノズルユニットは,それぞれ異なる色彩のイ
ンクを略同一点に向かって噴射する複数のノズルを有し
ており,上記型板を,インクジェット印刷機のインクジ
ェットヘッドの下方において,上記複数のノズルユニッ
トの並列方向に直交する方向に走行させ,所定のタイミ
ングで,上記各ノズルユニットにおける所望のノズルか
ら,インクを上記型板に向かって噴射することにより,
該型板における所望の位置に所望の色彩のインクを塗布
することを特徴とする着色建築板の製造方法にある(請
求項1)。
【0009】次に,本発明の作用効果につき説明する。
上記着色建築板の製造方法においては,上記のごとく,
インクジェット印刷機により上記型板へインクを塗布す
るため,これを上記基材に転写することにより,容易に
複雑な柄模様を上記意匠面に表出することができる。ま
た,基材を成形すると同時にインクを上記基材に転写す
るため,従来必要とされていた塗装工程を特に必要とせ
ず,生産効率を向上させることができる。
【0010】また,上記インクジェット印刷機における
上記各ノズルユニットは,それぞれ異なる色彩のインク
を略同一点に向かって噴射する複数のノズルを有してい
る。これにより,上記ノズルユニットのいずれのノズル
から噴射したインクをも,上記型板における略同一点に
着弾させることができる。そのため,上記型板における
所望の位置に,所望の色彩のインクを正確に塗布するこ
とができる。それ故,上記意匠面に複雑な柄模様を表出
することができる。
【0011】また,上記インクジェット印刷機を用いる
ことにより,複数の型板を搬送して,各型板に対して異
なる柄模様を塗布することも可能である。即ち,各型板
に対し,上記インクジェット印刷機が異なるパターンデ
ータに基いてインクを噴射することができる。そのた
め,異なる柄模様の意匠面を有する着色建築板の,小ロ
ット多品種生産に容易に対応することができる。
【0012】以上のごとく,本発明によれば,複雑な柄
模様を表出する意匠面を有する着色建築板を,容易かつ
生産効率よく製造することができる着色建築板の製造方
法を提供することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明(請求項1)において,上
記着色建築板としては,例えば窯業系建築板がある。ま
た,上記意匠面の表層には,透明なクリヤー層を形成す
ることが好ましい。これにより,上記インクを基材に確
実に定着させると共に,着色建築板の耐候性を向上させ
ることができる。
【0014】また,上記ノズルユニットにおける上記複
数のノズルは,それぞれ,シアン(藍色),マゼンタ
(紅色),イエロー(黄色),ブラック(墨色)の色彩
のインクを噴射することが好ましい(請求項2)。この
場合には,フルカラーの柄模様を意匠面に発現させるこ
とができる。
【0015】また,上記ノズルユニットにおける上記複
数のノズルは,先端を円弧状に配置してあることが好ま
しい(請求項3)。この場合には,上記各ノズルから型
板における同一点までの距離を,略同等とすることがで
きる。そのため,一層正確に上記型板に所望の柄模様を
塗布し,着色建築板に所望の柄模様を表出することがで
きる。
【0016】また,上記型板は,上記着色建築板の意匠
面に谷部を成形するための凸部と,該凸部の間に形成さ
れ上記意匠面に山部を成形するための凹部とを有し,上
記インクジェット印刷機によるインクの塗布は,上記凹
部の底面と,該底面から連続する上記凸部の側面の下部
領域とに行なうことが好ましい(請求項4)。これによ
り,立体感を有する外観意匠性に優れた着色建築板を容
易に製造することができる。
【0017】また,上記製造方法によれば,上記型板の
凹部の底面と,該底面から連続する上記凸部の側面の下
部領域とに,容易にインクを塗布することができる。即
ち,上記凸部には,ロールコータ等によりインクを塗布
することができるが,上記凹部の底面及び上記凸部の下
部領域には,ロールコータ等,接触式の塗布手段によっ
ては,インクの塗布が困難である。そこで,上記のごと
く,凹部の底面等に対しては,非接触式の塗布手段であ
るインクジェット印刷機を用いて塗布することにより,
容易かつ確実にインクを塗布することができる。
【0018】また,上記原料散布工程において散布する
基材原料は,上記型板の上に最初に散布する着色フェイ
ス層用原料と,次いでその上に散布するコア層用原料
と,最後に散布するバックフェイス層用原料とからな
り,上記着色フェイス層用原料は,着色料を混入してい
ることが好ましい(請求項5)。
【0019】この場合には,上記インクの下地となる着
色フェイス層が基材色を発現するため,上記意匠面に表
出する柄模様の下地色として基材色が配される。それ
故,上記意匠面を,深みのある意匠性に優れた外観とす
ることができる。また,着色建築板を,上記の着色フェ
イス層,コア層,バックフェイス層の3層によって形成
することにより,例えば着色フェイス層とバックフェイ
ス層とは密度を大きく,コア層は密度を小さくして,表
裏両面が緻密で,全体として十分な強度を持ち,しかも
軽量の窯業系着色建築板を得ることができる。また,着
色フェイス層用原料には着色料を混入させているため,
意匠面に配される着色フェイス層を任意の色に着色する
ことができる。
【0020】また,上記着色フェイス層用原料に混入し
た着色料は,無機顔料であることが好ましい。この場合
には,上記着色建築板の意匠面の色を変色させることな
く,長期間に渡り維持することができる。
【0021】
【実施例】本発明の実施例にかかる着色建築板の製造方
法につき,図1〜図22を用いて説明する。本例の着色
建築板の製造方法は,図10,図11に示すごとく,型
板4にインク(谷部色インク3及び山部色インク2)を
塗布した後,基材原料(着色フェイス層用原料13,コ
ア層用原料12,バックフェイス層用原料11)を堆積
させてプレスし,硬化させる。これにより,基材10を
成形すると同時に上記型板4に塗布された谷部色インク
3及び山部色インク2を上記基材10の意匠面に転写し
て,図12〜図14に示すごとく,意匠面が着色された
着色建築板1を製造する。
【0022】上記型板4への山部色インク2の塗布は,
図1,図2に示すごとく,複数のノズルユニット62を
並列して配設したインクジェットヘッド61を有するイ
ンクジェット印刷機6を用いて行う。上記各ノズルユニ
ット62は,図4〜図6に示すごとく,それぞれ異なる
色彩のインク(シアン,マゼンタ,イエロー,ブラック
の4色)を略同一点に向かって噴射する4種類のノズル
63c,63m,63y,63kを有している。
【0023】図1〜図3に示すごとく,上記型板4を,
インクジェット印刷機6のインクジェットヘッド61の
下方において,上記複数のノズルユニット62の並列方
向に直交する方向に走行させる。そして,図2,図3に
示すごとく,所定のタイミングで,上記各ノズルユニッ
ト62における所定のノズル63から,山部色インクを
上記型板4に向かって噴射する。これにより,該型板4
における所定の位置に所定の色彩の山部色インク2を塗
布する。
【0024】また,図15に示すごとく,上記型板4
は,上記着色建築板1の意匠面に谷部15を成形するた
めの凸部41と,該凸部41の間に形成され上記意匠面
に山部14を成形するための凹部42とを有する。上記
インクジェット印刷機6による山部色インク2の塗布
は,図20に示すごとく,上記凹部42の底面421
と,該底面421から連続する上記凸部41の側面41
5の下部領域417とに行なう。
【0025】次に,本例の着色建築板の製造方法とし
て,木質セメント板のような窯業系建築板の乾式製造方
法を基本製法とする製造方法を例にとって説明する。図
10,図11に示すごとく,上記着色建築板1を製造す
るに当っては,以下の準備工程,型板凸部着色工程,型
板凹部着色工程,原料散布工程,成形転写工程,及び養
生工程を行なう。
【0026】即ち,準備工程においては,図10(A)
に示すごとく,上記意匠面の上記谷部15を成形するた
めの凸部41と,該凸部41の間に形成され上記意匠面
の山部14を成形するための凹部42とを有する型板4
(図15)を準備する。なお,型材質としては,例えば
FRPを使用する。また,型板4には,離型剤がスプレ
ー塗布される。
【0027】次に,型板凸部着色工程においては,図1
0(B),図19に示すごとく,該型板4の上記凸部4
1の上面411と,該上面411から連続する上記凸部
41の側面415の上部領域416とに,谷部色を発現
する谷部色インク3を塗布する。
【0028】次に,型板凹部着色工程においては,図1
0(C),図20に示すごとく,型板4の上記凹部42
の底面421と,該底面421から連続する上記凸部4
1の側面415の下部領域417とに,上記谷部色とは
異なる山部色を発現する山部色インク2を塗布する。
【0029】次に,原料散布工程においては,図10
(D)〜(F)に示すごとく,上記谷部色インク3及び
山部色インク2が塗布された上記型板4の上から,基材
原料を散布して堆積させる。
【0030】次に,成形転写工程においては,図11
(G)に示すごとく,上記型板4上に基材原料を堆積し
たものを多段に積み重ねてプレスし,熱硬化させて成形
品中間体18を成形すると同時に上記型板4に塗布した
上記谷部色インク3及び山部色インク2を上記成形品中
間体18の表面に転写する。その後,図11(H)に示
すごとく脱型した上記成形品中間体18を,次順のオー
トクレーブ養生工程において養生する。なお,上記成形
品中間体18の表面に,インラインシーラを塗布し,乾
燥してから養生工程へ移行させることにより,エフロレ
ッセンスの発生を効果的に抑制することができる。
【0031】以下において,上記の製造方法につき詳し
く説明する。まず,上記型板4は,図15に示すごと
く,少なくとも1枚の着色建築板1を製造できる長さ,
幅を有し,上記凸部41によって格子状に区切られてお
り,その間に上記凹部42が形成されている。そして,
上記凸部41の上面411が着色建築板1の谷底面15
1に,上記凸部41の側面415が着色建築板1の谷側
面152に,上記凹部42の底面421が着色建築板1
の山頂面141に,それぞれ対応する。
【0032】上記凹部42の底面421は,例えば岩肌
状の凹凸模様が形成されている。また,図16(A),
(B)に示すごとく,上記型板4の凸部41は,その上
面411に,上記谷部色インク3を保持するための複数
の溝部412を形成している。溝部412は,ここでは
斜格子状に形成してある。
【0033】また,図16(B),図17に示すごと
く,上記凸部41の側面415は,上記上部領域416
に,多数の突起部43を有している。該突起部43は,
半径約0.5mmの半球形状を有する。また,図17に
示すごとく,該突起部43は,上記凸部41の上面41
1から上記凹部42の底面421へ向かって徐々に配設
密度が高くなっている。例えば,上記上部領域416の
最上部分における上記突起部43の配設密度を,面積比
にして約20%とし,上記上部領域416の最下部分に
おける上記突起部43の配設密度を,面積比にして約9
0%とすることができる。
【0034】次に,上記型板凸部着色工程(図10
(B))における谷部色インク3の型板4への塗布は,
図18に示すごとく,ロールコータ5を用いて行う。該
ロールコータ5は,ゴム製のロール表面を有する塗布ロ
ール53を有し,該塗布ロール53のゴム硬度は15〜
30度である。
【0035】即ち,上記塗布ロール53は,芯ロール5
1の表面に,上記ゴム硬度のゴム52を巻製してなる。
上記谷部色インク3は,上記塗布ロール53とこれに転
接されるドクターロール55との間に供給される。そし
て,図19に示すごとく,塗布ロール53により,型板
4の凸部41の上面411及び側面415の上部領域4
16に,谷部色インク3が塗布される。
【0036】即ち,谷部色インク3が表面に供給された
上記塗布ロール53が,図18(B)に示すごとく,上
記型板4の凸部41に押圧されたとき,該凸部41が上
記塗布ロール53に食い込む。これにより,谷部色イン
ク3は,凸部41の上面411,及び上記上部領域41
6に,付着,保持される。上記型板4は,図18(A)
に示すごとく,コンベア7によって移動され,その間に
上記谷部色インク3の塗布が行なわれる。
【0037】次に,上記型板凹部着色工程(図10
(C))における山部色インク2の型板4への塗布は,
図1〜図3に示すごとく,インクジェット印刷機6を用
いて行う。該インクジェット印刷機6は,コンベア7に
よって搬送される型板4の上方に配置する。上記インク
ジェット印刷機6は,図4,図6に示すごとく,インク
ジェットヘッド61に複数のノズルユニット62を有す
る。そして,該ノズルユニット62は,型板4の進行方
向(図1の矢印V,以下「主走査方向」という。)に直
行する方向(以下「副走査方向」という。)に,所定の
ピッチで並列して配設されている。
【0038】また,図4〜図6に示すごとく,各ノズル
ユニット62は,シアン(藍色),マゼンタ(紅色),
イエロー(黄色),ブラック(墨色)の4色の山部色イ
ンク2c,2m,2y,2kを,それぞれ噴射するノズ
ル63c,63m,63y,63kを複数有する。そし
て,同一色のインクを噴射するノズル63は,副走査方
向に,例えば0.04〜0.1mmの一定のピッチで隣
接配置されている。また,図5,図6に示すごとく,上
記ノズルユニット62において主走査方向に並んだ4個
のノズル63c,63m,63y,63kは,先端を円
弧状に配置してある。
【0039】そして,上記型板41の走行に合せて,所
定のタイミングで,所定の上記ノズルユニット62のノ
ズル63c,63m,63y,63kから,所定の色の
インクを噴射することにより,上記型板4における所定
の位置に山部色インク2を塗布する。
【0040】即ち,図1〜図3に示すごとく,上記型板
4を上記コンベア7によって一定速度で上記インクジェ
ット印刷機6のインクジェットヘッド61の下方へ供給
する。上記インクジェットヘッドの手前に上記型板4の
前端が到達したことを,センサによって検知して,検知
信号をコンピュータに送信する。該コンピュータには,
予め上記型板4に塗布すべき柄模様のパターンデータが
記憶されている。そして,上記検出信号を受信したコン
ピュータは,上記パターンデータに従って,上記インク
ジェット印刷機6のノズル63の開閉を制御する。
【0041】上記各ノズル63は,図5に示すごとく,
圧電ひずみ素子67によってインク供給路671を開通
・閉塞することにより,開閉される。そして,該圧電ひ
ずみ素子67を上記コンピュータが制御することによ
り,上記ノズル63の開閉が制御される。また,ノズル
63の開閉制御は,上記各ノズルユニット62の各ノズ
ル63ごとに行なわれる。
【0042】例えば,コンピュータは,上記パターンデ
ータに従って,上記型板4の走行に合せ,上記検知信号
を受けてからt秒後に,第n番目のノズルユニット62
における第m番目のノズルについてはノズル63cを開
放し,第n番目のノズルユニット62における第m+1
番目のノズルについてはノズル63mを開放する。
【0043】このようにして,図9(A)に示すごと
く,型板4における所望の位置に,所望の色彩の山部色
インク2によるドット21を形成する。そして,インク
2c,2m,2y,2kのいずれかからなるドット21
が多数集まって,所望の色彩の画素22を構成する。即
ち,上記画素22においてインク2c,2m,2y,2
kによるドット21の数の比率により当該画素22の色
彩が決まる。この比率を適宜設定することにより,フル
カラーの柄模様を印刷することが可能となる。また,上
記のごとく所望の色彩に構成した画素22を,図9
(B)に示すごとく,上記型板4における所望の位置に
配置することにより,所望の柄模様が形成される。
【0044】また,上記各ノズルユニット62には,同
一色の山部色インク2を噴出するノズル63が上記副走
査方向に並列し,そのピッチが0.04〜0.1mmと
なるように隣接配置している。そして,上記ノズルユニ
ット62は,上記隣接するノズル63を薄板隔壁621
により仕切っている(図4)。即ち,主走査方向に一定
間隔で並ぶ4つのノズル63c,63m,63y,63
kのノズル列を一単位として,更にそれが副走査方向に
複数列並んだブロック体として,上記ノズルユニット6
2が構成されている。
【0045】また,複数のノズルユニット62間にわた
って,ノズル63が一定のピッチで連続配置するよう,
複数のノズルユニット62が配置してある。これによ
り,上記型板4へ印刷されるドット21の短手方向(副
走査方向)のピッチ,即ち着色建築板1の意匠面に転写
される短手方向のドット21のピッチを,0.04〜
0.1mmとすることができる。
【0046】また,例えば,上記ノズル63の開閉周波
数を10000Hzとし,上記型板4の走行速度を24
m/分とした場合,型板4に印刷されるドット21の長
手方向(主走査方向)のピッチ,即ち着色建築板1の意
匠面に転写される長手方向のドット21のピッチを,
0.04mmとすることができる。
【0047】また,図1,図2に示すごとく,上記コン
ベア7の進行方向(矢印V)に対して左右の両脇には,
上記型板4をガイドするガイド板71が配設してあり,
上記山部色インク2が,型板4における正確な位置に塗
布されるように構成してある。
【0048】また,図7,図8に示すごとく,上記イン
クジェットヘッド61の上方には,上記山部色インク2
を貯留すると共に該山部色インク2を各ノズル63に供
給するインクタンク66が配設されている。該インクタ
ンク66は,4色の上記山部色インク2c,2m,2
y,2kをそれぞれ貯留する4個の貯留室65c,65
m,65y,65kを有する。各貯留室65は,複数の
ノズルユニット62をまたぐように配置できるよう形成
されている。
【0049】そして,各貯留室65は,それぞれノズル
63の上部に形成された供給口631に接続され,上記
山部色インク2をノズル63に供給する。また,上記イ
ンクタンク66は,上記インクジェットヘッド61に対
して着脱可能となっている。
【0050】次に,谷部色インク3及び山部色インク2
を塗布した型板4には,図10(D)〜(F),図21
に示すごとく,基材原料を散布,堆積させる原料散布工
程を行なう。即ち,図21に示すごとく,コンベア7に
より,搬送板73に載置した(或いは接着された)上記
型板4を移送させながら,該型板4上に順次,基材原料
を供給する。原料散布工程において散布する基材原料
は,上記型板4の上に最初に散布する着色フェイス層用
原料13と,次いでその上に散布するコア層用原料12
と,最後に散布するバックフェイス層用原料11とから
なる。上記着色フェイス層用原料13は,上記基材色を
発現する着色料を混入している。
【0051】上記型板4への基材原料の供給に当って
は,まず最初に型板4上に原料供給コンベア761を介
して着色フェイス層用原料13を供給する。次いで,上
記着色フェイス層用原料13の上に原料供給コンベア7
62を介してコア層用原料12を供給し,更にその上に
原料供給コンベア763を介してバックフェイス層用原
料11を供給する。各原料は,ホッパー751,75
2,753より供給される。また,型板4上に供給され
た各原料は,ならしロール771,772,773によ
って所定厚みに調整される。
【0052】これにより,上記図10(F)に示すごと
く,型板4上に着色フェイス層用原料13,コア層用原
料12,バックフェイス層用原料11を順次堆積させた
堆積物19を得る。なお,着色フェイス層用原料13及
びバックフェイス層用原料11は,基材10の表裏面層
を緻密に形成するための配合組成が採用されている(後
述参照)。
【0053】次に,上記堆積物19は,成形転写工程に
移される。この工程においては,図11(G)に示すご
とく,型板4上に上記堆積物19を載せたもの190
を,例えば10段積み上げ,これらに上下方向の圧力
(例えば30〜40kg/cm2)をかけてプレスす
る。更に,この状態で50〜80℃の雰囲気温度下で,
6〜15時間放置して硬化させる。このとき,上記型板
凸部着色工程及び型板凹部着色工程において上記型板4
に塗布しておいた谷部色インク3及び山部色インク2
が,着色フェイス層用原料13の当接面に転写される。
【0054】次に,上記硬化処理後は,図11(H)に
示すごとく,型板4から成形品中間体18を脱型する。
次に,上記成形品中間体18はオートクレーブ内に入れ
られ,養生させる。養生工程においては,通常,圧力6
〜11kg/cm2,飽和蒸気温度160〜180℃,
5〜10時間処理する。これにより,セメントとケイ酸
含有物質とのケイ酸カルシウム反応が完全に行なわれる
と共に全体が完全に硬化する。これにより,図12,図
13に示した上記の着色建築板1が得られる。
【0055】次に,図22は,上記工程の主要部と型板
4の流れ,着色建築板1の製品化までの流れを例示して
いる。即ち,上記各層用の3種類の基材原料は,それぞ
れ調合された後,コンベア上を移動する型板4の上に順
次供給散布され,堆積物19とされる。次いで,60〜
80℃,6〜15時間の成形転写工程の後,脱型が行な
われ,成形品中間体18と型板4とに分離される(図1
1(H))。
【0056】そして,上記型板4は,ブラッシング,バ
キューム等により表面の清掃処理が行われ,更に型面に
離型剤が塗布され,更に谷部色インク3が塗布される型
板凸部着色工程(図18),山部色インク2が塗布され
る型板凹部着色工程(図1〜図3)に送られる。そし
て,再び原料散布工程(図21)に移送される。
【0057】一方,脱型された成形品中間体18は,次
順のオートクレーブによる養生工程に送られ165℃,
7時間養生されて,木質系セメント原板となる。次い
で,該木質系セメント原板の乾燥を行ない,更に所望の
大きさに切断を行ない,切削加工により実部を形成した
後,原板表面のブラッシングを行なう。次いで,ロール
コータにて原板裏面へのバックシーラ塗布を行なう。更
に,実部へのシーラ塗布を行ない乾燥した後,意匠面の
クリヤー塗装(図13に示すクリヤー層17の形成)を
行ない,乾燥を行なう。ひき続いて,実部へのコーキン
グ材の打設を行ない,最終製品としての着色建築板とす
る。このことから分かるように,本例の工程は,従来の
塗装工程が大幅に簡略化されている。
【0058】次に,本例における,主な材料等につき説
明する。まず,上記型板4の凸部41の上面411等に
塗布し,最終的には谷部色層30となる谷部色インク3
としては,例えばレッド系が1.3%,イエロー系が
0.9%,ホワイトが0.5%からなる水溶性無機顔料
を用いる。このものは,得られた着色建築板1における
谷部色として,ベージュ色を呈する。
【0059】一方,上記型板4の凹部42の底面421
等に塗布し,最終的には山部色層20となる山谷部色イ
ンク2としては,上述のごとく,シアン,マゼンタ,イ
エロー,ブラックの4色のインクを用い,これらによっ
て,フルカラーの所望の柄模様を構成することができ
る。そして,上記山部色層20は,下記の基材10の基
材色に重なり合って,深みのある外観を有する意匠面を
構成する。
【0060】また,上記着色フェイス層用原料13とし
ては,ポルトランドセメント47%(重量比,以下同
じ),珪砂30%,パーライト10%,木材フレーク5
%,木粉5%,硫酸アルミニウム3%とよりなる。上記
木材フレークとしては,平均網目4.5mm,平均厚み
0.6mmのものを用いた。木粉としては,平均粒径2
0メッシュのものを用いた。
【0061】また,上記着色フェイス層用原料13に
は,着色料として無機顔料のレッド系とイエロー系のも
のを,外添加量としてそれぞれ1.4%,0.8%添加
した。一方,コア層用原料12としては,ポルトランド
セメント46%,珪砂28%,パーライト10%,木質
繊維束10%,発泡性ポリスチレンビーズ(予備発泡
品)3%,硫酸アルミニウム3%を用いた。上記木質繊
維束としては,平均径1.0mm,長さ20mmの分枝
及びわん曲,折曲したものを用いた。
【0062】また,バックフェイス層用原料11は,上
記着色フェイス層用原料13と同じで,上記着色料は添
加されていない。なお,上記の3種類の原料には,硬化
反応のために,外添加量として30〜45%の水を加え
て,上記のごとく,型板上に供給する。また,上記着色
フェイス層130とバックフェイス層110とは,その
密度が約1.05であり,一方コア層120は密度が約
0.8である。
【0063】上述した本例の製造方法により製造した着
色建築板1につき,図12〜図14を用いて説明する。
上記着色建築板1は,図12に示すごとく,谷部15と
該谷部15の間に形成された山部14とからなる意匠面
を有すると共に,該意匠面が着色されている。
【0064】図13に示すごとく,上記意匠面は,上記
谷部15における谷底面151と,上記谷部15におけ
る谷側面152のうち上記谷底面151と連続する部分
とに,谷部色を発現する谷部色層30を設けている。ま
た,上記山部14における山頂面141と,上記谷側面
152のうち上記山頂面141と連続する部分とに,上
記谷部色と異なる山部色を発現する山部色層20を設け
ている。そして,該山部色層20はフルカラーの柄模様
を発現する。また,上記谷部色層30と上記山部色層2
0とは,連続して形成してある。
【0065】また,図14に示すごとく,上記谷側面1
52に設けられた谷部色層30は,上記谷底面151か
ら上記山頂面141へ向かって,上記谷部色が薄くなる
ように色彩が階調変化している。また,図14に示すご
とく,上記谷側面152における上記山頂面141に近
い領域には,後述する型板4の凸部41に形成した突起
部43(図16(B),図17)によって形成される微
小な窪み部153が多数形成されている。
【0066】本例における着色建築板1は,セメント,
珪砂,木材フレーク,木材粉などを主材とする窯業系着
色建築板である。また,上記意匠面における最表層に
は,透明なクリヤー層17が形成されている。
【0067】また,図13に示すごとく,上記着色建築
板1の基材10は,上記意匠面を構成する着色フェイス
層130と,上記基材10の裏側面を構成するバックフ
ェイス層110と,上記着色フェイス層130とバック
フェイス層110との間に配設されたコア層120とか
らなる。そして,上記着色フェイス層130は基材色を
発現する。
【0068】次に,本例の作用効果につき説明する。上
記着色建築板の製造方法においては,上記のごとく,イ
ンクジェット印刷機6により上記型板4へインク2を塗
布するため,これを上記基材10に転写することによ
り,容易に複雑な柄模様を上記意匠面に表出することが
できる。また,基材10を成形すると共にインク2を上
記基材10に転写するため,従来必要であった塗装工程
を特に必要とせず,生産効率を大幅に向上させることが
できる。その結果,生産コストの大幅な削減をもたら
す。
【0069】また,図4〜図6に示すごとく,上記イン
クジェット印刷機6における上記各ノズルユニット62
は,それぞれ異なる色彩のインク2c,2m,2y,2
kを略同一点に向かって噴射する複数のノズル63c,
63m,63y,63kを有している。これにより,上
記ノズルユニット62のいずれのノズル63から噴射し
たインク2をも,同一の時点で噴射すれば,上記型板4
における略同一点に着弾させることができる。即ち,あ
る一定の時点でインク2を噴射すれば,ノズル63c,
63m,63y,63kのいずれから噴射させるかにか
かわらず,型板4における一定の位置にインク2を着弾
させることができる。
【0070】そのため,上記型板4における所望の位置
に,所望の色彩のインク2を正確に塗布することができ
る(図9)。また,上記型板4には,異なる色彩のイン
ク2を自由な組合せで集合させて着弾させることができ
る。これにより,これらの色彩が混ざり合い,所望の色
彩を自在に発現することができる。そのため,上記意匠
面に複雑な柄模様を表出することができる。
【0071】特に,上記ノズルユニット62における上
記複数のノズル63c,63m,63y,63kから噴
射するインク2c,2m,2y,2kは,それぞれ,シ
アン(藍色),マゼンタ(紅色),イエロー(黄色),
ブラック(墨色)の色彩を有するため,フルカラーの柄
模様を意匠面に発現させることができる。
【0072】また,上記インクジェット印刷機6を用い
ることにより,複数の型板4を搬送して,各型板4に対
して個々に異なる柄模様を塗布することも可能である。
即ち,各型板4に対し,上記インクジェット印刷機6が
異なるパターンデータに基いてインク2を噴射すること
ができる。そのため,異なる柄模様の意匠面を有する着
色建築板1の,小ロット多品種生産に容易に対応するこ
とができる。
【0073】また,上記ノズルユニット62における上
記複数のノズル63c,63m,63y,63kは先端
を円弧状に配置してあるため,上記各ノズル63から型
板4における同一点までの距離を,略同等とすることが
できる(図5)。そのため,一層正確に上記型板4に所
望の柄模様を塗布し,着色建築板1に所望の柄模様を表
出することができる。
【0074】また,上記型板4は,上記着色建築板1の
意匠面に谷部15を成形するための凸部41と,山部1
4を成形するための凹部42とを有する。そして,上記
インクジェット印刷機6による山部色インク2の塗布
は,上記凹部42の底面421と,上記凸部41の側面
415の下部領域417とに行なう。これにより,立体
感を有する外観意匠性に優れた着色建築板1を容易に製
造することができる。
【0075】また,上記製造方法によれば,上記型板4
の凹部42の底面421と,上記凸部41の側面415
の下部領域417とに,容易に山部色インク2を塗布す
ることができる。即ち,上記凸部41には,図18に示
すごとく,ロールコータ5により谷部色インク3を塗布
することができるが,上記凹部42の底面421及び上
記凸部41の下部領域417には,ロールコータ5のよ
うな接触式の塗布手段によっては,山部色インク2の塗
布が困難である。そこで,上記のごとく,凹部42の底
面421等に対しては,非接触式の塗布手段であるイン
クジェット印刷機6を用いて塗布することにより,容易
かつ確実に山部色インク2を塗布することができる。
【0076】また,本例の着色建築板の製造方法におい
ては,上記のごとく,型板4の上に堆積させた基材原料
をプレス,硬化させて基材10を成形する際に,予め型
板4の所定位置に塗布しておいた谷部色インク3及び山
部色インク2を上記基材10に転写する(図10,図1
1)。即ち,型板凸部着色工程(図10(B))におい
て上記凸部41の上面411と側面415の上部領域4
16とに塗布した谷部色インク3を,成形転写工程(図
11(G))において基材10の谷底面151とこれに
連続する谷側面152の一部に転写する。これと共に,
型板凹部着色工程(図10(C))において上記凹部4
2の底面421と上記凸部41の側面415の下部領域
417とに塗布した山部色インク2を,成形転写工程
(図11(G))において基材10の山頂面141とこ
れに連続する谷側面152の一部に転写する。
【0077】これにより,図13,図14に示すごと
く,上記谷側面152のうち,上記谷底面151に近い
部分と上記山頂面141に近い部分とで,色彩が異なる
着色建築板1が得られる。それ故,谷部15の奥行きが
強調され,立体感を表出する,着色建築板1を得ること
ができる。
【0078】また,上述のごとく,上記成形転写工程に
おいて,上記基材10の成形と上記意匠面の着色を共に
行なうことができる。そのため,従来の塗装工程を大き
く簡略化することができ,生産効率を向上させることが
できるとともに,谷部色と山部色の着色を正確に行なう
ことができる。また,上記型板4としては,従来の着色
建築板の製造に用いたものを利用できるため,作業が容
易であるとともに,製造コストも大幅に低減することが
できる。
【0079】また,図18に示すごとく,上記型板凸部
着色工程における谷部色インク3の型板4への塗布は,
ロールコータ5を用いて行う。これにより,型板4の凸
部41の上面411,及び側面415の上部領域416
とに対して,均一かつ容易に,谷部色インク3を塗布す
ることができる。
【0080】また,上記ロールコータ5は,ゴム製のロ
ール表面を有する塗布ロール53を有し,該塗布ロール
のゴム硬度は,15〜30度である。そのため,上記谷
部色インク3を,上記型板4の凸部41の上面411及
び側面415の上部領域416に,正確に塗布すること
ができる。即ち,図18(B)に示すごとく,上記塗布
ロール53の表面が,その柔軟性により,上記型板4の
凸部41の上面411のみならず側面415にも密着し
て,該側面415の上部領域416に,正確に谷部色イ
ンク3を塗布することができる。その結果,所望の意匠
面を有する着色建築板1を確実に得ることができる。
【0081】また,上記塗布ロール53による上記凸部
41の上部領域416への押圧力は,上面411側から
下部領域417側へ向かって徐々に小さくなる。そのた
め,上部領域416においては,上面411側から下部
領域417側へ向かって徐々に谷部色インク3の付着量
が減少する。その結果,得られる着色建築板1の谷側面
152には,谷底面151から山頂面141へ向かって
徐々に谷部色が薄くなるよう,谷部色インク層30を形
成することができる。
【0082】また,図16に示すごとく,上記型板4の
凸部41は,その上面411に,上記複数の溝部412
を形成してなる。これにより,図19に示すごとく,凸
部41の上面411に塗布された谷部色インク3を,上
記複数の溝部412によって,より確実に,多く保持す
ることができる。そのため,着色建築板1の谷底面15
1に対して,確実に,多くの谷部色インク3を転写する
ことができ,鮮明な谷部色を発現させることができる。
【0083】また,図16(B),図17に示すごと
く,上記凸部41の側面415は,上記上部領域416
に,多数の突起部43を有している。これにより,図1
9に示すごとく,上記谷部色インク3を,主として上記
多数の突起部43の間に,確実かつ充分に保持すること
ができる。そのため,着色建築板1の谷側面152のう
ち上記山頂面141と連続する部分に対して,確実に,
多くの谷部色インク3を転写することができ,鮮明な谷
部色を発現させることができる。また,上記突起部43
は,上部領域416に塗布した谷部色インク3を保持
し,型板4の凹部42に谷部色インク3が垂れることを
防ぐことができる。それ故,正確に谷部色インク3を基
材10に転写することができる。
【0084】また,図17に示すごとく,上記突起部4
3は,上記凸部41の上面411から上記凹部42の底
面421へ向かって徐々に配設密度が高くなっている。
上記突起部43の間隔が広くなることにより,上面41
1側から下部領域417側へ向かって徐々に谷部色イン
ク3の付着量が減少しやすくなる。その結果,得られる
着色建築板1の谷側面152には,谷底面151から山
頂面141へ向かって徐々に谷部色が薄くなるよう,谷
部色インク層3を形成することが容易となる。
【0085】また,上記谷部色インク3は,水溶性無機
顔料であるため,谷部色インク3を容易に型板4の凸部
41の上面411及び側面415の上部領域416に塗
布することができると共に,耐久性のある谷部色層30
を形成することができる。
【0086】また,上記原料散布工程において散布する
基材原料は,着色フェイス層用原料13と,コア層用原
料12と,バックフェイス層用原料11とからなり,上
記着色フェイス層用原料13は,着色料を混入してい
る。即ち,着色フェイス層用原料13が着色料を混入し
ているので,意匠面に配される着色フェイス層130を
任意の色に着色することができる。また,上記着色フェ
イス層用原料130に混入した着色料は,無機顔料であ
るため,意匠面の色を変色させることなく,長期間に渡
り維持することができる。
【0087】本例の製造方法により得られる着色建築板
1は,意匠面における山部14に形成した山部色層20
を,上述のごとくフルカラーの複雑な柄模様とすること
ができる。そのため,所望の意匠性の高い意匠面を表出
することができる。
【0088】また,上記意匠面における谷部15には,
上記谷部色層30が,上記谷底面151のみならず,谷
側面152のうち上記谷底面151と連続する部分に
も,設けられている(図13,図14)。そして,上記
山部色層20が,上記山頂面141のみならず,谷側面
152のうち上記山頂面141と連続する部分にも,設
けられている(図13,図14)。そのため,上記谷側
面152のうち,上記谷底面151に近い部分と上記山
頂面141に近い部分とで,色彩が異なり,谷部15の
奥行きが強調され,立体感を表出することができる。
【0089】また,上記谷側面152において,谷部色
から山部色へと色彩が変化するため,違和感のない自然
な外観を得ることができる。また,上記谷部色層30と
上記山部色層20とは,連続して形成してあるため,上
記着色建築板1の基材10が部分的に露出することを防
ぎ,外観の低下を防ぐことができる。
【0090】また,図14に示すごとく,上記谷側面1
52に設けられた谷部色層30は,上記谷底面151か
ら上記山頂面141へ向かって,上記谷部色が薄くなる
ように色彩が階調変化している。そのため,上記谷部1
5の奥行きが一層強調され,より立体感を表出する着色
建築板1を得ることができる。
【0091】また,図13に示すごとく,上記着色建築
板1の基材10は,上記着色フェイス層130と,上記
バックフェイス層110と,上記コア層120とからな
り,上記着色フェイス層130は基材色を発現する。こ
れにより,上記山部色層20の下地となる着色フェイス
層130が基材色を発現するため,上記山部色層20に
おいては,山部色の下地色として基材色が配される。そ
れ故,上記山部色層20を配した意匠面を,深みのある
意匠性に優れた外観とすることができる。
【0092】また,谷部色を上記基材色とは異なる色と
なすことによって,基材色の色を生かした特有な意匠面
を有する着色建築板1を得ることができる。また,着色
フェイス層130とバックフェイス層110とは密度を
大きく,コア層120は密度を小さくしてあるため,表
裏両面が緻密で,全体として十分な強度を持ち,しかも
軽量の窯業系着色建築板を得ることができる。
【0093】また,図13に示すごとく,上記谷部色層
30及び山部色層20の表層には,透明なクリヤー層1
7が形成されているため,上記谷部色層30及び山部色
層20を基材10に確実に固定すると共に,着色建築板
1の耐候性を向上させることができる。
【0094】以上のごとく,本例によれば,複雑な柄模
様を表出する意匠面を有する着色建築板を,容易かつ生
産効率よく製造することができる着色建築板の製造方法
を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例における,型板に山部色インクを塗布す
る説明図。
【図2】図1のA−A線矢視断面相当の説明図。
【図3】図1のB−B線矢視断面相当の説明図。
【図4】実施例における,インクジェット印刷機のイン
クジェットヘッドの下面図。
【図5】実施例における,ノズルユニットの断面説明
図。
【図6】実施例における,(A)インクジェットヘッド
の上面斜視図,(B)下面斜視図。
【図7】実施例における,インクジェットヘッド及びイ
ンクタンクの斜視図。
【図8】実施例における,インクジェットヘッドのノズ
ルとインクタンクとの接続部の断面説明図。
【図9】実施例における,(A)多数のドットが集合し
て画素を形成している様子を示す説明図,(B)多数の
画素の配置により柄模様が形成される様子を示す説明
図。
【図10】実施例における,着色建築板の製造順序を示
す図で,(A)型板の断面図,(B)型板に谷部色イン
クを塗布した状態の説明図,(C)型板に山部色インク
を塗布した状態の説明図,(D)型板上に着色フェイス
層用原料を散布した状態の説明図,(E)更にその上に
コア層用原料を散布した状態の説明図,(F)更にその
上にバックフェイス層用原料を散布した状態の説明図。
【図11】図10に続く図で,(G)成形,転写工程の
説明図,(H)脱型時の説明図。
【図12】実施例における,着色建築板の斜視図。
【図13】実施例における,着色建築板の断面斜視図。
【図14】実施例における,着色建築板の谷部の斜視
図。
【図15】実施例における,(A)型板の平面図,
(B)(A)のC−C線矢視断面図。
【図16】実施例における,型板の凸部の(A)平面
図,(B)断面図。
【図17】実施例における,型板の凸部の斜視図。
【図18】実施例における,(A)型板の凸部へ谷部色
インクを塗布する説明図,(B)(A)の拡大図。
【図19】実施例における,型板の凸部に谷部色インク
を塗布した状態の,(A)断面図,(B)斜視図。
【図20】実施例における,型板の凸部に谷部色インク
及び山部色インクを塗布した状態の斜視図。
【図21】実施例における,型板上へ順次,着色フェイ
ス層用原料,コア層用原料,バックフェイス層用原料を
散布する工程の説明図。
【図22】実施例における,着色建築板の製造工程の説
明図。
【図23】従来例における,着色建築板の断面斜視図。
【図24】従来例における,(A)型板の平面図,
(B)(A)のD−D線矢視断面図。
【図25】従来例における,着色建築板の製造方法の説
明図。
【符号の説明】
1...着色建築板, 10...基材, 14...山部, 15...谷部, 2...山部色インク, 3...谷部色インク, 4...型板, 41...凸部, 42...凹部, 5...ロールコーター, 6...インクジェット印刷機, 61...インクジェットヘッド, 62...ノズルユニット, 63...ノズル,
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B41J 2/01 E04F 13/08 E 2/21 B41J 3/04 101Z E04F 13/08 101A Fターム(参考) 2C056 EA11 EA24 EE09 FA04 FA13 FB01 FB10 FD13 HA07 2E110 AA57 AB04 BB03 BB22 GA33W 4D075 AA01 AA21 CB26 DA06 DB11 DC01 EA33 EC11

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 型板にインクを塗布した後,基材原料を
    堆積させてプレスし,硬化させることにより,基材を成
    形すると同時に上記型板に塗布されたインクを上記基材
    に転写して,意匠面が着色された着色建築板を製造する
    にあたり,上記型板へのインクの塗布は,複数のノズル
    ユニットを並列して配設したインクジェットヘッドを有
    するインクジェット印刷機を用いて行い,上記各ノズル
    ユニットは,それぞれ異なる色彩のインクを略同一点に
    向かって噴射する複数のノズルを有しており,上記型板
    を,インクジェット印刷機のインクジェットヘッドの下
    方において,上記複数のノズルユニットの並列方向に直
    交する方向に走行させ,所定のタイミングで,上記各ノ
    ズルユニットにおける所望のノズルから,インクを上記
    型板に向かって噴射することにより,該型板における所
    望の位置に所望の色彩のインクを塗布することを特徴と
    する着色建築板の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において,上記ノズルユニット
    における上記複数のノズルは,それぞれ,シアン,マゼ
    ンタ,イエロー,ブラックの色彩のインクを噴射するこ
    とを特徴とする着色建築板の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2において,上記ノズルユ
    ニットにおける上記複数のノズルは,先端を円弧状に配
    置してあることを特徴とする着色建築板の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか一項において,
    上記型板は,上記着色建築板の意匠面に谷部を成形する
    ための凸部と,該凸部の間に形成され上記意匠面に山部
    を成形するための凹部とを有し,上記インクジェット印
    刷機によるインクの塗布は,上記凹部の底面と,該底面
    から連続する上記凸部の側面の下部領域とに行なうこと
    を特徴とする着色建築板の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項5〜11のいずれか一項におい
    て,上記原料散布工程において散布する基材原料は,上
    記型板の上に最初に散布する着色フェイス層用原料と,
    次いでその上に散布するコア層用原料と,最後に散布す
    るバックフェイス層用原料とからなり,上記着色フェイ
    ス層用原料は,着色料を混入していることを特徴とする
    着色建築板の製造方法。
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