JP4246950B2 - 窯業系建築板の塗装方法 - Google Patents

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【0001】
【技術分野】
本発明は,板表面又は意匠用凸面が複雑な意匠模様を有する窯業系建築板を製造することができる窯業系建築板の塗装方法に関する。
【0002】
【従来技術】
建築物の外壁等に施工される窯業系建築板には,その表面に多数の意匠用凸面を有するものがある。そして,この意匠用凸面の意匠模様は,その塗装方法を工夫して種々の外観意匠性を呈するようにしている。
例えば,特許第2784529号公報においては,上記建築板にインクジェット塗装によりスポット的に塗装を行い,ランダムにぼかし色柄模様を得ることが開示されている。また,例えば,特許第3214565号公報においては,グラビアオフセット印刷によって,豊富なバリエーションの柄模様のパターンを上記建築板に形成することが開示されている。
【0003】
【解決しようとする課題】
しかしながら,上記従来の建築板の塗装方法によっては,上記塗装を行う工程が簡単であるものの,上記建築板における各意匠用凸面が焼成レンガや,天然石等の外観意匠性に代表されるような微妙な濃淡又は明暗を有する自然な深みのある外観を呈するには不十分である。すなわち,上記自然な深みのある外観を呈するには,上記個々の塗装方法を行うのみでは不十分であり,上記建築板の塗装方法には一層の工夫が必要である。
【0004】
本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので,複雑かつ自然な深みのある外観を呈することができると共に各窯業系建築板の板表面や意匠用凸面が微妙に異なった外観を呈することができる窯業系建築板の塗装方法を提供しようとするものである。
【0005】
【課題の解決手段】
第1の発明は、セメント系処理板の板表面の少なくとも一部に対して、インクジェット塗装により意匠模様形成用のインクを噴霧塗装してインク模様層を形成すると共に、該インク模様層において、インクの色が濃い部分と薄い部分とが混在し、かつこれらの間の境界が明確に現れるように部分的に凝集させてマダラ模様を発生させるインクジェット塗装工程と、上記マダラ模様を発生させたインク模様層を有する板表面の全体に対して、柄模様形成用のインク塗料をグラビアオフセット印刷により印刷して、上記板表面の全体にインク塗料の厚みが変化したグラビアオフセット印刷層を形成するグラビアオフセット印刷工程とを行うことを特徴とする窯業系建築板の塗装方法。
(請求項1)。
【0006】
本発明においては,自然な深みのある外観を呈する窯業系建築板を形成するために,上記インクジェット塗装の工夫及びグラビアオフセット印刷の工夫等を行っている。
そして,本発明において重要なことは,上記インクジェット塗装工程において,上記セメント系処理板の板表面の少なくとも一部に対して,上記インク模様層を形成すると共に,このインク模様層におけるインクを部分的に凝集させてマダラ模様を発生させることである。このマダラ模様とは,インク模様層において,色が濃い部分と薄い部分とが混在し,かつこれらの間の境界が明確に現れる現象をいう。そして,上記色が濃い部分は,多くが上記インク模様層が拡がった周縁部分に形成される。
【0007】
かかるマダラ模様の発生は,従来のインクジェット塗装では,不具合とされており,上記色が濃い部分と薄い部分との間の境界部分をぼかしたりわかりづらくしたりして,いかにインクを均一に板表面上に塗布するかが検討されていた。それは,窯業系建築板の板表面の意匠模様を均一化し,全体として整然とした意匠外観性を発揮させるためであった。
【0008】
これに対し,本発明では,狙った位置にインクの噴霧塗装を行い,積極的にほぼ上記狙った位置に上記マダラ模様を発生させて自然な模様に近い意匠模様を形成させるのである。そして,上記セメント系処理板の板表面にインクを噴霧塗装して上記インク模様層(図7参照)を形成したときには,このインク模様層におけるインク中の顔料は,多くがこのインク中の溶媒の中を上記インク模様層の周縁の方向へと流れ,この周縁部分に凝集する。こうして,上記インク模様層においては,インク中の顔料の多くが上記周縁部分に部分的に凝集してマダラ模様が形成される(図8参照)。
【0009】
そして,上記マダラ模様の形成により,上記インク中の顔料の凝集による色の濃い部分と,上記凝集がほとんど発生していない色の薄い部分との色の濃淡(又は明暗)を形成することができる。
【0010】
また,上記のようにインクを部分的に凝集させてマダラ模様を発生させるには,上記セメント系処理板の板表面が,多数の微小な凹凸を形成していることが好ましい。かかる微小な凹凸としては,例えば,直径又は幅が0.1〜3mm,深さ及び長さが1〜15mmの点状又は線状の凹みを形成していることが好ましい。これにより,上記セメント系処理板の板表面にインクを噴霧塗装して上記インク模様層を形成したときには,このインク模様層におけるインク中の顔料は,このインク中の溶媒の中を流れ,上記微小な凹凸中の凹状部分に入ったり,凸状部分付近に凝集したりして,一層複雑なマダラ模様を形成することができる。
【0011】
そして,上記グラビアオフセット印刷工程においては,上記マダラ模様を発生させたインク模様層を有する板表面の全体に対して,柄模様形成用のインク塗料をグラビアオフセット印刷により印刷する。このとき,上記板表面の全体に,上記インク塗料による厚みが部分的に厚かったり薄かったりして変化したグラビアオフセット印刷層を形成する。そして,上記インク塗料の厚みの変化によって色の濃淡(又は明暗)が形成されたグラビアオフセット印刷層を形成する。
【0012】
また,上記グラビアオフセット印刷層は,例えば,グラビアオフセット印刷に用いる印刷ロールの表面に形成した柄模様に保持させた上記インク塗料を上記板表面に転写することにより形成することができる。そして,上記グラビアオフセット印刷層の厚みの変化は,上記柄模様を形成する複数のセルの深さを変化させることにより形成することができる。この場合,具体的には,上記複数のセルの深さは1〜80μmとすることができる。
【0013】
このように,上記インクジェット塗装と上記グラビアオフセット印刷とを組み合わせて行うことにより,上記マダラ模様を発生させたインク模様層と上記グラビアオフセット印刷層とが重なった複雑な意匠模様が,上記板表面に形成される。そして,これにより,上記セメント系処理板は,複雑であると共に,焼成レンガや天然石等に代表される自然な深みのある外観を呈することができる。
なお,上記各工程の後には,上記インクジェット塗装及び上記グラビアオフセット印刷を行ったセメント系処理板の表面状態を長期間保護するために,上記セメント系処理板の表面にクリアー塗装を行うことが好ましい。
【0014】
以上のようにして,上記セメント系処理板より形成した窯業系建築板は,複雑かつ自然な深みのある外観を呈しており,しかも上記マダラ模様による効果も考慮すると,各窯業系建築板は,全体的に調和しながらも微妙に異なった外観を呈し,同じ外観を呈する窯業系建築板がほとんどないような状態に製造することができる。
【0015】
第2の発明は、微少な凹凸を形成した意匠用凸面を板表面に有するセメント系処理板を準備する準備工程と、上記セメント系処理板の意匠用凸面に対して、インクジェット塗装により意匠模様形成用のインクを噴霧塗装してインク模様層を形成すると共に、該インク模様層において、インクの色が濃い部分と薄い部分とが混在し、かつこれらの間の境界が明確に現れるように部分的に凝集させてマダラ模様を発生させるインクジェット塗装工程と、上記マダラ模様を発生させたインク模様層を有する意匠用凸面に対して、柄模様形成用のインク塗料をグラビアオフセット印刷により印刷し、上記グラビアオフセット印刷に際しては、上記意匠用凸面に対して複数の印刷ロールを接触させて各印刷ロールの各柄模様を印刷し、かつ該各柄模様の印刷は、1枚のセメント系処理板の意匠用凸面に対する上記各柄模様の印刷位置を互いに関連させて行い、上記意匠用凸面に上記インク塗料の厚みが変化した重ねグラビアオフセット印刷層を形成するグラビアオフセット印刷工程とを行うことを特徴とする窯業系建築板の塗装方法。(請求項2)。
【0016】
本発明においては,意匠用凸面を有するセメント系処理板に対して,上記インクジェット塗装及び上記グラビアオフセット印刷を行って,自然な深みのある外観を呈する窯業系建築板を形成する。
すなわち,上記準備工程においては,微小な凹凸を形成した意匠用凸面を板表面に有するセメント系原板を成形し,これに下地処理,下塗り等の各種の処理を行ってセメント系処理板とする。
【0017】
また,上記セメント系処理板としては,多数の微小な凹凸が形成された多数の意匠用凸面を有していることが好ましい。また,多数の意匠用凸面は,複数種類の柄形状からなることが好ましい。
そして,上記セメント系処理板は,乾式もしくは半乾式抄造方式により上記セメント系原板を成形する場合は,上記意匠用凸面の違い等により複数種類に形成してあることが好ましい(例えば,図2,図11参照)。
なお,上記セメント系原板は,湿式抄造方式により成形することもでき,この場合は,同一種類のものを複数成形することになる(例えば,図2か図11のどちらか一種類で成形される。)。
【0018】
また,上記複数種類のセメント系処理板とは,例えば,意匠用凸面の数,柄形状及び配置状態,並びに上記微小な凹凸の数,大小,配置状態及び上記多数の微小な凹凸による正面の柄模様等の違いによって形成するもので,これらの組合せによって異なる多種類の外観を呈するものである。
【0019】
また,上記インクジェット塗装工程においては,上記セメント系処理板に対して,上記マダラ模様を発生させたインク模様層の違いによる複数種類の意匠パターンを施すことが好ましい。
ここで,この意匠パターンとは,各意匠用凸面に対してインクジェット塗装を行う位置及び量等を変化させて設定した塗装のパターンで,上記セメント系処理板の全体として呈する外観を異ならせるものである。そのため,例えば,4種類のセメント系処理板に対して,互いに異なる4種類の意匠パターンを準備しておくことができる(図2と図11に2種類のセメント系処理板を示す。)。
【0020】
したがって,上記複数の意匠パターンを施した場合には,上記準備工程及びインクジェット塗装工程を行った時点で,上記セメント系処理板の種類と上記意匠パターンの種類とを乗算しただけの種類のセメント系処理板が形成されることになる。例えば,この場合は,4種類のセメント系処理板に対して,それぞれ4種類の意匠パターンを施すことにより16種類の窯業系建築板が得られる。
【0021】
そして,本発明においても重要なことは,上述した発明と同様に,上記インクジェット塗装工程において,上記セメント系処理板の意匠用凸面に対して,上記インク模様層を形成すると共に,このインク模様層におけるインクを部分的に凝集させてマダラ模様を発生させることである。
そして,上述した発明と同様にして,上記マダラ模様の形成により,上記インク中の顔料の凝集による色の濃い部分と,上記凝集がほとんど発生していない色の薄い部分との色の濃淡(又は明暗)を形成することができる。
【0022】
そして,本発明のグラビアオフセット印刷工程においても,上述した発明と同様にして,上記マダラ模様を発生させたインク模様層を有する意匠用凸面の全体に対して,柄模様形成用のインク塗料をグラビアオフセット印刷により印刷する。
さらに,本発明では,上記各印刷ロールにおける柄模様を形成する複数のセルの深さを変化させておき(例えば,1〜80μmに変化させておくことができる。),上記インク塗料による厚みが変化したグラビアオフセット印刷層を形成できるようにしておく。そして,複数の印刷ロールを用いて,1枚のセメント系処理板における意匠用凸面の全体に対する各印刷ロールの柄模様の印刷位置を互いに関連させて印刷を行う。
【0023】
このとき,どのセメント系処理板に対しても,1段目の印刷ロールの柄模様によるグラビアオフセット印刷層と,2段目以降の印刷ロールの柄模様によるグラビアオフセット印刷層とが,ほぼ同様にして重ねて印刷される。そのため,上記インク塗料による厚みが変化した各グラビアオフセット印刷層の組合せにより,一層複雑な色の濃淡(又は明暗)が形成された重ねグラビアオフセット印刷層が形成される。
【0024】
上記各印刷ロールにおける柄模様は同じであっても異なっていてもよいが,各印刷ロールにおいて使用する各インク塗料は,それぞれ色や成分等が違う異なる種類のインク塗料であることが好ましい。上記各インク塗料としては,例えば,1段目の印刷ロールには黄色系などの明るい色を,一方2段目の印刷ロールには茶色系などの暗い色を用いることができる。
このように,上記各意匠用凸面に対して上記重ね印刷模様を印刷することにより,上記セメント系処理板は,深みのある色合いを呈することができる。
【0025】
また,各意匠用凸面に対して,上記1段目の柄模様の印刷位置と2段目以降の柄模様の印刷位置とは,柄模様の印刷の開始位置をほぼ同じにしてほとんどずれが生じないようにすることができる(例えば,±1mm以内の誤差を許容して印刷することができる。)。一方で,上記1段目の柄模様の印刷位置と2段目以降の柄模様の印刷位置とは,柄模様の印刷の開始位置を意図的にずらすこともできる(例えば,20〜30cmずらして印刷することができる)。
【0026】
このように,上記インクジェット塗装と上記グラビアオフセット印刷とを組み合わせて行うことにより,上記マダラ模様を発生させたインク模様層と上記重ねグラビアオフセット印刷層とが重なった複雑な意匠模様が,上記意匠用凸面に形成される。そして,これにより,上記セメント系処理板は,複雑であると共に,焼成レンガや天然石等に代表される自然な深みのある外観を呈することができる。
なお,本発明においても,上記各工程の後には,上記インクジェット塗装及び上記グラビアオフセット印刷を行ったセメント系処理板の表面状態を長期間保護するために,上記セメント系処理板の表面にクリアー塗装を行うことが好ましい。
【0027】
以上のようにして,上記セメント系処理板より形成した窯業系建築板は,一層複雑で自然な深みのある外観を呈しており,しかも上記マダラ模様による効果も考慮すると,複数の窯業系建築板は,全体的に調和しながらも微妙に異なった外観を呈し,同じ外観を呈する窯業系建築板がほとんどない状態に製造することができる。
そのため,例えば,上記複数の窯業系建築板を建築物の外壁に施工した際には,一つ一つの窯業系建築板の外観意匠性が微妙に異なり,建築物の外壁面は,複雑で自然な深みのある外観意匠性を呈することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
上述した本発明における好ましい実施の形態につき説明する。
上記第2の発明においては,上記インクジェット塗装工程においては,上記セメント系処理板に対し,上記インク模様層の違いにより10〜30種類の意匠パターンを施すことが好ましい(請求項3)。
【0029】
この場合には,上記意匠パターンが少なくてランダムな外観意匠性を呈しなかったり,あるいは上記意匠パターンが多くて上記インクジェット塗装の装置を複雑にしてしまったりすることを防止することができる。そのため,上記インクジェット塗装の装置を複雑にすることなく,ランダムな外観意匠性を呈する複数の窯業用建築板を製造することができる。
【0030】
また,上記意匠パターンが10種類未満では,上記ランダムな外観意匠性を呈する効果を減少させてしまうおそれがある。一方,上記意匠パターンが30種類を超えると,上記インクジェット塗装の装置を複雑にし,意匠パターンを設定したプログラムを複雑にするおそれがある。
【0031】
また,上記グラビアオフセット印刷工程は,2〜4台の印刷ロールを用いて行うことが好ましい(請求項4)。
この場合には,上記グラビアオフセット印刷を行う印刷機を複雑にすることなく,深みのある印刷を行うことができる。なお,上記印刷ロールを5台以上にすると,上記グラビアオフセット印刷の印刷機を複雑にするおそれがある。
【0032】
また,上記グラビアオフセット印刷工程において,1枚のセメント系処理板の意匠用凸面に対する印刷位置を互いに関連させて行う印刷は,上記各印刷ロールを互いに同期回転させることによって行うことが好ましい(請求項5)。
この場合には,上記各印刷ロールの同期回転により,上記印刷位置を互いに関連させた印刷を容易に行うことができる。そのため,上記各印刷ロールの各柄模様をほとんどずれが生じないように印刷することが容易になる。また,上記各印刷ロールの各柄模様を意図的にずらして印刷をすることも容易になる。
【0033】
また,上記同期回転により,例えば,前段の印刷ロールによる印刷が完了する前であっても当段の印刷ロールによる印刷を行うことができ,上記グラビアオフセット印刷工程を短縮化することができる。
【0034】
【実施例】
以下に,図面を用いて本発明の実施例につき説明する。
(実施例1)
本例の窯業系建築板の塗装方法においては,自然な深みのある外観を呈する窯業系建築板1(図10参照)を形成するために,セメント系処理板2の工夫,インクジェット塗装の工夫及びグラビアオフセット印刷の工夫等を行っている。
【0035】
すなわち,本例では,図1に示すごとく,複数種類のセメント系原板20に,下地処理としてシーラー液を塗布し,下塗りとして,下塗り色の塗装及び窯業系建築板1の目地色の塗装を行って複数種類のセメント系処理板2を形成する。さらに,本例では,中塗りとして各セメント系処理板2の各意匠用凸面21に,この意匠用凸面21の下地色の塗装を行う。
次いで,上記複数種類のセメント系処理板2に対して,複数種類の意匠パターンを施すインクジェット塗装を行い乾燥させ,2台の印刷ロール40を用いてグラビアオフセット印刷を行い乾燥させる。そして,その後,クリアー塗装を行って,複数種類の窯業系建築板1を製造する。
【0036】
具体的には,準備工程においては,図2,図3に示すごとく,複数種類の柄形状211からなる多数の意匠用凸面21を有すると共に各意匠用凸面21には多数の微小な凹凸212が形成されたセメント系処理板2を準備する。また,このセメント系処理板2は,互いに上記多数の意匠用凸面21の柄形状211が微妙に異なる状態に形成して複数種類形成しておく。
【0037】
次いで,インクジェット塗装工程においては,図4,図6に示すごとく,上記セメント系処理板2の少なくとも一部の意匠用凸面21に対して,2列のインクジェット塗装により2色の意匠模様形成用のインク300,301を狙った位置へ噴霧塗装してインク模様層201を形成する。そして,このインク模様層201におけるインク300,301を部分的に凝集させて,上記少なくとも一部の意匠用凸面21にマダラ模様213を発生させる。また,上記複数種類のセメント系処理板2に対しては,上記マダラ模様213を発生させたインク模様層201の違いによる複数種類の意匠パターンを施す。
次いで,乾燥工程においては,上記少なくとも一部の意匠用凸面21に噴霧塗装したインク300,301を乾燥させる。
【0038】
次いで,グラビアオフセット印刷工程においては,図5,図9,図10に示すごとく,上記マダラ模様213を発生させたインク模様層201を有する意匠用凸面21を含めた意匠用凸面21の全体に対して,柄模様形成用のインク塗料400をグラビアオフセット印刷により印刷する。
【0039】
また,このグラビアオフセット印刷に際しては,上記意匠用凸面21の全体に対して複数の印刷ロール40を接触させて各印刷ロール40の各柄模様411,412を印刷する。この際,各柄模様411,412の印刷は,1枚のセメント系処理板2における意匠用凸面21の全体に対する上記各柄模様411,412の印刷位置を互いに関連させて行う。そして,上記意匠用凸面21の全体に厚みが変化した重ねグラビアオフセット印刷層216を形成する。
【0040】
また,上記各工程の後には,クリアー塗装工程において,上記インクジェット塗装及びグラビアオフセット印刷を行ったセメント系処理板2の表面にクリアー塗装を行い,上記セメント系処理板2より窯業系建築板1を製造する。
【0041】
以下に,これを詳説する。
まず,上記準備工程としてセメント系処理板2を製造する方法につき説明する。
すなわち,セメント質原料(セメント,ケイ酸原料等)に,木質原料(木繊維,木チップ等),薬品及び水等を混合して混合原料とし,これを成形型の成形板上に散布し成形(フォーミング)を行う。また,上記成形型は,多数の意匠用凸面21の柄形状が微妙に異なるセメント系原板20を成形することができる型模様を有する。
【0042】
そして,上記成形型でフォーミングし,養生硬化させた4種類のセメント系原板20は,意匠用凸面21の数,柄形状211及び配置状態,並びに上記微小な凹凸212の数,大小,配置状態及び上記多数の微小な凹凸212による正面の柄模様等がそれぞれ異なっており,それぞれ微妙に異なる外観を呈している。
【0043】
また,上記フォーミング及び養生硬化を行った4種類のセメント系原板20は量産しており,上記成形を行った以降の工程において4種類を区別して取り扱う必要はない。すなわち,これら4種類のセメント系原板20は,すべて同じ商品に使用するものであり,以降の工程は意図的に4種類を混合して行う。
【0044】
図2,図3に示すごとく,上記準備工程において成形したセメント系原板20は,その表面より突出した上記複数種類の柄形状211からなる多数の意匠用凸面21を有している。また,この意匠用凸面21の表面には複雑かつ多数の微小な凹凸212が形成されており,各意匠用凸面21は上記微小な凹凸212の凹部が部分的に深く凹んだりして,高さが一定していない。
本例では,上記微小な凹凸212は,直径又は幅が0.1〜3mm,深さ及び長さが1〜15mmの点状又は線状の凹みを形成している。
【0045】
また,上記柄形状211は上記意匠用凸面21の外形形状を形成しており,この外形形状は不規則に変化している。また,上記セメント系原板20の表面において,上記意匠用凸面21が形成されていない部分は溝状に凹んで目地部22を形成している。
上記のように,多数の意匠用凸面21は,それぞれの柄形状が不規則に崩れているものの,全体としては複数に区画したタイル調,レンガ調又は石積調の外観を呈している。
【0046】
次に,前塗装工程として,上記4種類のセメント系原板20に,下地処理としてシーラー液を塗布し,下塗りとして下塗り色の塗装及び窯業系建築板1の目地色の塗装を行って4種類のセメント系処理板2を形成する。さらに,本例では,中塗りとして各セメント系処理板2の各意匠用凸面21に,この意匠用凸面21の下地色の塗装を行う。
【0047】
なお,本例においては,上記4種類のセメント系処理板2のうちの1種類である第1のセメント系処理板2について,インクジェット塗装工程,グラビアオフセット印刷工程等を行った状態を図示して説明し(図2,図3,図6〜図10),後述する実施例2においては,他の1種類である第2のセメント系処理板2について図示して説明する(図11〜図14)。
【0048】
次に,図4に示すごとく,インクジェット塗装工程においては,2色のマダラ模様形成用のインク300,301を保持したインクタンク33,34と,このインクタンク33,34から送られるインク300,301を上記セメント系処理板2の各意匠用凸面21に塗装するための塗装ヘッド31,32と,上記セメント系処理板2を上記塗装ヘッド31,32まで搬送するコンベヤ35と,上記塗装ヘッド31,32による塗装を制御する制御装置36とを有するインクジェット塗装装置3を用いる。
本例では,インクタンク33においては,白色系のインク300を,インクタンク34においては,茶色系のインク301を用いた。
【0049】
また,上記塗装ヘッド31,32には多数の噴射ノズル311,321が設けてあり,上記制御装置36は上記多数の噴射ノズル311,321の開閉制御を行う。本例では,上記セメント系処理板2に噴霧塗装する意匠パターンは,この意匠パターンに応じて上記多数の噴射ノズル311,321の中から選ばれた複数の噴射ノズル311,321の噴射及び噴射時間等の設定によって決定される。そして,これにより,上記セメント系処理板2の意匠用凸面21における狙った位置に上記噴霧塗装を行って,ほぼ狙った位置に上記インク模様層201を形成することができる。
そして,本例では,上記インクジェット塗装装置3を複雑にすることなく,複数種類のパターンの噴霧塗装を行うように,20種類の意匠パターンを上記制御装置36に記憶させている。
【0050】
上記インクジェット塗装工程においては,上記4種類のセメント系処理板2が不規則に上記インクジェット塗装装置3に運搬される。そして,このインクジェット塗装装置3において,上記制御装置36が上記20種類の意匠パターンのうちのいずれかのパターンを選択して,上記塗装ヘッド31,32における複数の噴射ノズル311,321により各セメント系処理板2の多数の意匠用凸面21にインクジェット塗装を行う。したがって,ここまでの工程を行う時点で,すでに上記セメント系処理板2の4種類と上記意匠パターンの20種類とを乗算しただけの種類,すなわち80種類のセメント系処理板2に形成される。
【0051】
そして,図7に示すごとく,上記インクジェット塗装工程においては,上記セメント系処理板2の少なくとも一部の意匠用凸面21にインク300,301を噴霧塗装しインク模様層201を形成する。
そして,図6,図8に示すごとく,上記インク模様層201におけるインク300,301中の顔料はこのインク300,301中の溶媒の中を流れ,上記微小な凹凸212における凹状部分に入ったり,凸状部分付近に凝集したりする。また,上記インク300,301中の顔料は,上記インク模様層201の周縁の方向へと流れ,この周縁部分に凝集したりする。また,これらの凝集が発生すると共に,インク300,301中の溶媒は蒸発する。
【0052】
こうして,上記インク模様層201においては,インク300,301中の顔料が部分的に凝集したり周縁部分に凝集したりして,これらの凝集が発生した色の濃い部分203と凝集が発生していない色の薄い部分204による色の濃淡(又は明暗)が形成されることで,マダラ模様213が形成される(図8参照)。
【0053】
次に,上記インクジェット塗装を行った後には,乾燥工程として,上記多数の意匠用凸面21に噴霧塗装を行ったインク300,301を乾燥させる。
また,上記マダラ模様213は,意匠用凸面21の表面状態によって,その発生状況が異なるので,各意匠用凸面21毎にマダラ模様213が異なる意匠模様を形成することになる。
【0054】
次に,図5に示すごとく,グラビアオフセット印刷工程において,本例では,上記グラビアオフセット印刷工程を複雑にすることなく深みのある印刷を行うために,2台の印刷ロール40を有するグラビアオフセット印刷機4を用いる。そして,各印刷ロール40は,それぞれグラビアロール41とオフセットロール42とを有して構成されており,上記各柄模様411,412はそれぞれ1段目の印刷ロール401(40)におけるグラビアロール41,及び2段目の印刷ロール402(40)におけるグラビアロール41に形成してある。
【0055】
そして,各印刷ロール40においては,それぞれ柄模様411又は柄模様412を有する各グラビアロール41の外周表面410に付着させたインク塗料440,441のうち,不要なインク塗料440,441を後述するドクターブレード45で掻き取る。そして,各印刷ロール40においては,上記各柄模様411,412を形成するセルに溜まったインク塗料440,441を各オフセットロール42の外周表面420に転写し,この転写を行ったインク塗料440,441を上記セメント系処理板2の各意匠用凸面21に印刷する。
【0056】
また,上記各印刷ロール40は,それぞれ柄模様411又は柄模様412を有するグラビアロール41と,このグラビアロール41に接触配置したオフセットロール42とを有している。また,1段目のオフセットロール42と2段目のオフセットロール42とに対向してコンベアー43が配設されており,上記セメント系処理板2は,各オフセットロール42と上記コンベアー43との間に挟まれて,各オフセットロール42に圧接されるようになっている。そして,上記セメント系処理板2は,上記コンベアー43により,上記1段目の印刷ロール401と上記2段目の印刷ロール402とに搬送されるようになっている。
【0057】
また,上記各印刷ロール40は,上記インク塗料440,441を貯留して上記グラビアロール41の外周表面410に付着させるためのインク塗料供給部44と,上記外周表面410に付着した不要なインク塗料440,441を掻き落とすためのドクターブレード45とを有している。また,各印刷ロール40は,上記オフセットロール42の外周表面420をクリーニングするためのクリーニングロール46とこのクリーニングロール46に移ったインク塗料440,441を掻き落とすためのドクターブレード47とを有している。
【0058】
また,本例では,1段目のグラビアロール41における柄模様411と,2段目のグラビアロール41における柄模様412とが互いに異なっており,1段目のグラビアロール41に使用するインク塗料440と2段目のグラビアロール41に使用するインク塗料441とは,それぞれ色及び成分が異なっている。本例では,1段目のグラビアロール41に使用するインク塗料440には黄色系の明るい色を,2段目のグラビアロール41に使用するインク塗料441には茶色系の暗い色を用いた。
【0059】
また,上記グラビアオフセット印刷機4における各印刷ロール40は,互いに同期運転するよう構成してあり,各グラビアロール41,各オフセットロール42及びコンベアー43は互いに同期回転するようになっている。そして,これにより,1段目の印刷ロール401による印刷が完了する前であっても,2段目の印刷ロール402による印刷を行うことができ,上記グラビアオフセット印刷工程を短縮化することが可能である。
【0060】
また,上記各グラビアロール41における柄模様411,412は,各グラビアロール41の外周表面410に形成した複数のセルにより形成されている。そして,複数のセルは,2.54cm当たり100〜200線となっており,深さが1〜80μmの範囲で変化している。また,1段目のグラビアロール41の柄模様411と,2段目のグラビアロール41の柄模様412とは,上記複数のセルの配置,数等の変化により,互いに異なっている。
【0061】
また,本例では,上記各印刷ロール40における各グラビアロール41同士及び各オフセットロール42同士は,それぞれ同じ外径のものを使用している。そのため,各グラビアロール41同士及び各オフセットロール42同士は,外周長が同じであり,どのセメント系処理板2に対しても,常に1段目の柄模様411と2段目の柄模様412との印刷の開始位置を合わせることが可能である。
【0062】
すなわち,本例では,1段目のグラビアロール41の外周表面410における柄模様411の形成開始位置である原点位置と,2段目のグラビアロール41の外周表面410における柄模様412の形成開始位置である原点位置とが,常に1枚のセメント系処理板2に対してほぼ同じ位置に転写されて,印刷が行われる。また,本例では,セメント系処理板2の印刷方向長さが,各オフセットロール42の外周長よりも長いので,上記各原点位置が1枚のセメント系処理板2に対する各位置に繰り返して転写されて,1枚のセメント系処理板2に対して繰り返し上記重ねグラビアオフセット印刷層216を形成する。
【0063】
このようにして,本例では,各意匠用凸面21に対して,上記1段目の柄模様411の印刷位置と2段目の柄模様412の印刷位置とは,柄模様の印刷の開始位置をほぼ同じにしてほとんどずれが生じないように印刷する。具体的には,±1mm以内の誤差を許容して印刷した。
【0064】
なお,上記1段目の柄模様411と2段目の柄模様412との印刷の開始位置は,所定の長さ(例えば,20〜30cm)を意図的にずらすことも可能である。すなわち,この場合,上記1段目のグラビアロール41の外周表面410における柄模様411の原点位置と,上記2段目のグラビアロール41の外周表面410における柄模様412の原点位置とが,常に所定の長さずれて1枚のセメント系処理板2に転写されて,印刷が行われる。
【0065】
上記グラビアオフセット印刷工程においては,上記マダラ模様213を発生させたインク模様層201を有する意匠用凸面21を含めた意匠用凸面21の全体に対して,柄模様形成用のインク塗料440,441を上記2台の印刷ロール40を用いたグラビアオフセット印刷機4により印刷する。
そして,1段目の印刷ロール401の柄模様411により,上記インク塗料440の厚みが変化した1段目のグラビアオフセット印刷層214を形成し,2段目の印刷ロール402の柄模様412により,上記インク塗料441の厚みが変化した2段目のグラビアオフセット印刷層215を形成する。
【0066】
図9は,上記セメント系処理板2に,上記1段目の印刷ロール401により1段目のグラビアオフセット印刷層214を印刷した状態を示す。このグラビアオフセット印刷層214は,上記グラビアロール41の柄模様411を形成する複数のセルに保持したインク塗料440が転写された複数のドットにより形成されている。そして,上記ドットの厚みが大きいところは色の濃い部分205を形成し,上記ドットの厚みが小さいところは色の薄い部分206を形成して,色の濃淡(又は明暗)があるグラビアオフセット印刷層214を形成している。
【0067】
また,図10は,上記2段目の印刷ロール402により2段目のグラビアオフセット印刷層215を印刷した状態を示す。このグラビアオフセット印刷層215も,上記グラビアオフセット印刷層214と同様に,複数のドットにより形成されている。そして,上記ドットの厚みが大きいところは色の濃い部分207を形成し,上記ドットの厚みが小さいところは色の薄い部分208を形成して,色の濃淡(又は明暗)があるグラビアオフセット印刷層215を形成している。
そして,上記1段目のグラビアオフセット印刷層214と上記2段目のグラビアオフセット印刷層215との組合せにより,一層複雑な色の濃淡(又は明暗)が形成された重ねグラビアオフセット印刷層216が形成されている。
【0068】
上記インクジェット塗装とグラビアオフセット印刷とを組み合わせて行ったセメント系処理板2の各意匠用凸面21は,上記インク模様層201の厚み及び形成位置,上記各グラビアオフセット印刷層214,215の厚み及び形成位置等の違いにより多様な意匠模様を形成している。例えば,各意匠用凸面21は,上記インク模様層201と上記各グラビアオフセット印刷層214,215とが重なって形成された部分,上記インク模様層201のみが形成された部分,上記各グラビアオフセット印刷層214,215のみが形成された部分,上記インク模様層201及び上記各グラビアオフセット印刷層214,215が形成されずに下地色が見える部分等,多様な外観を呈している。
【0069】
また,上記インク模様層201の厚みは,1〜20μmの範囲で変化している。そして,色の濃い部分203は,10〜20μmの厚みを,色の薄い部分204は1〜10μmの厚みを有している。
また,上記各グラビアオフセット印刷層214,215は,これを構成する複数のドットの厚みが1〜80μmの範囲で変化して形成されている。そして,色の濃い部分205,207は,40〜80μmの厚みを,色の薄い部分206,208は1〜20μmの厚みを有している。
【0070】
また,上記インク模様層201に上記各グラビアオフセット印刷層214,215が重なって形成された部分においては,上記インク模様層201の厚みと上記各グラビアオフセット印刷層214,215の厚みとの関係によって,上記インク模様層201が全く見えなかったり,薄く透けて見えたりする。
上記のごとく,多様な意匠模様によって,上記セメント系処理板2は,1つ1つの意匠用凸面21が,微妙な濃淡及び明暗の違いがある焼成レンガや天然石等に代表される自然な深みのある外観を呈することができる(図10参照)。
【0071】
なお,上記1段目のグラビアオフセット印刷層214と上記2段目のグラビアオフセット印刷層215とは,どのセメント系処理板2に対しても,ほぼ同様にして形成される。
また,上記グラビアオフセット印刷を行った後には,上記印刷を行ったインク塗料440,441を乾燥させる。
【0072】
そして,上記各工程の後には,上記クリアー塗装工程において上記セメント系処理板2の表面にクリアー塗装を行う。これにより,上記塗装及び印刷を行ったセメント系処理板2の表面状態を長期間保護する。
このようにして,上記セメント系処理板2より窯業系建築板1を製造する。
【0073】
また,上記各工程を行った後の窯業系建築板1における意匠用凸面21は,上記中塗りによる下地色,上記インクジェット塗装によるインク色及び上記グラビアオフセット印刷によるインク塗料色が重なって,上記自然な深みのある外観を呈することができる。本例では,上記意匠用凸面21は,黄色又は茶色系統の下地色,インク色及びインク塗料色により,天然石のような外観を呈している。また,上記窯業系建築板1における目地部22は,灰色系統の上記目地色により上記意匠用凸面21による擬似的な天然石を繋ぐモルタルのような外観を呈している。
【0074】
以上のようにして形成した窯業系建築板1は,複雑かつ自然な深みのある外観を有して80種類に形成され,しかも上記マダラ模様213による効果も考慮すると,複数の窯業系建築板1は,重ねグラビアオフセット印刷層216が一定のピッチで繰り返し形成されているにも拘わらず,全体的に調和しながらも微妙に異なった外観を呈し,同じ外観を呈する窯業系建築板1がほとんどない状態に製造することができる。
そのため,例えば,上記複数の窯業系建築板1を建築物の外壁に施工した際には,一つ一つの窯業系建築板1の外観意匠性が微妙に異なり,建築物の外壁面は,自然な深みのある外観意匠性を呈することができる。
【0075】
(実施例2)
本例においては,上記実施例1において説明した4種類のセメント系処理板2の内の他の1種類である第2のセメント系処理板2(図11参照)について,上記インクジェット塗装工程及び上記グラビアオフセット印刷工程等を行った例である。また,本例の第2のセメント系処理板2に対しては,上記実施例1に示した第1のセメント系処理板2とは異なる意匠パターンによりインクジェット塗装を行ってインク模様層201を形成し,マダラ模様213を発生させた(図12参照)。
【0076】
そして,その後,上記実施例1と同様に,グラビアオフセット印刷を行い,上記1段目の印刷ロール401により1段目のグラビアオフセット印刷層214を印刷し(図13参照),上記2段目の印刷ロール402により2段目のグラビアオフセット印刷層215を印刷して,重ねグラビアオフセット印刷層216を印刷した(図14参照)。その他は,上記実施例1と同様である。
【0077】
このように,上記実施例1に図示した窯業系建築板1(図10)と本例に図示した窯業系建築板1(図14)とからもわかるように,2種類のセメント系処理板2に2種類のインクジェット塗装を行うと,合計4種類の窯業系建築板1を製造することができる。また,同様にして,4種類のセメント系処理板2に20種類のインクジェット塗装を行うと,合計80種類の窯業系建築板1を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における,窯業系建築板の製造方法を示すフローチャート。
【図2】実施例1における,第1のセメント系原板を示す平面図。
【図3】実施例1における,第1のセメント系原板を示す斜視図。
【図4】実施例1における,インクジェット塗装装置を示す説明図。
【図5】実施例1における,2台の印刷ロールを有するグラビアオフセット印刷機を示す説明図。
【図6】実施例1における,第1のセメント系原板にインクジェット塗装を行った状態を示す平面図。
【図7】実施例1における,意匠用凸面にインクジェット塗装によりインクを噴霧塗装してインク模様層を形成した状態を示す平面図。
【図8】実施例1における,意匠用凸面におけるインク模様層にマダラ模様を発生させた状態を示す平面図。
【図9】実施例1における,第1のセメント系原板に1段目のグラビアオフセット印刷を行った状態を示す平面図。
【図10】実施例1における,第1のセメント系原板に2段目のグラビアオフセット印刷を行った状態を示す平面図。
【図11】実施例2における,第2のセメント系原板を示す平面図。
【図12】実施例2における,第2のセメント系原板にインクジェット塗装を行った状態を示す平面図。
【図13】実施例2における,第2のセメント系原板に1段目のグラビアオフセット印刷を行った状態を示す平面図。
【図14】実施例2における,第2のセメント系原板に2段目のグラビアオフセット印刷を行った状態を示す平面図。
【符号の説明】
1...窯業系建築板,
2...セメント系処理板,
20...セメント系原板,
21...意匠用凸面,
211...柄形状,
212...微小な凹凸,
201...インク模様層,
213...マダラ模様,
216...重ねグラビアオフセット印刷層,
3...インクジェット塗装装置,
300,301...インク,
4...グラビアオフセット印刷機,
40...印刷ロール,
440,441...インク塗料,
41...グラビアロール,
411,412...柄模様,
42...オフセットロール,

Claims (5)

  1. セメント系処理板の板表面の少なくとも一部に対して、インクジェット塗装により意匠模様形成用のインクを噴霧塗装してインク模様層を形成すると共に、該インク模様層において、インクの色が濃い部分と薄い部分とが混在し、かつこれらの間の境界が明確に現れるように部分的に凝集させてマダラ模様を発生させるインクジェット塗装工程と、上記マダラ模様を発生させたインク模様層を有する板表面の全体に対して、柄模様形成用のインク塗料をグラビアオフセット印刷により印刷して、上記板表面の全体にインク塗料の厚みが変化したグラビアオフセット印刷層を形成するグラビアオフセット印刷工程とを行うことを特徴とする窯業系建築板の塗装方法。
  2. 微少な凹凸を形成した意匠用凸面を板表面に有するセメント系処理板を準備する準備工程と、上記セメント系処理板の意匠用凸面に対して、インクジェット塗装により意匠模様形成用のインクを噴霧塗装してインク模様層を形成すると共に、該インク模様層において、インクの色が濃い部分と薄い部分とが混在し、かつこれらの間の境界が明確に現れるように部分的に凝集させてマダラ模様を発生させるインクジェット塗装工程と、上記マダラ模様を発生させたインク模様層を有する意匠用凸面に対して、柄模様形成用のインク塗料をグラビアオフセット印刷により印刷し、上記グラビアオフセット印刷に際しては、上記意匠用凸面に対して複数の印刷ロールを接触させて各印刷ロールの各柄模様を印刷し、かつ該各柄模様の印刷は、1枚のセメント系処理板の意匠用凸面に対する上記各柄模様の印刷位置を互いに関連させて行い、上記意匠用凸面に上記インク塗料の厚みが変化した重ねグラビアオフセット印刷層を形成するグラビアオフセット印刷工程とを行うことを特徴とする窯業系建築板の塗装方法。
  3. 請求項2において,上記インクジェット塗装工程においては,上記セメント系処理板に対し,上記インク模様層の違いにより10〜30種類の意匠パターンを施すことを特徴とする窯業系建築板の塗装方法。
  4. 請求項2又は3において,上記グラビアオフセット印刷工程は,2〜4台の印刷ロールを用いて行うことを特徴とする窯業系建築板の塗装方法。
  5. 請求項2〜4のいずれか一項において,上記グラビアオフセット印刷工程において,1枚のセメント系処理板の意匠用凸面に対する印刷位置を互いに関連させて行う印刷は,上記各印刷ロールを互いに同期回転させることによって行うことを特徴とする窯業系建築板の塗装方法。
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