JP2002541066A5 - - Google Patents

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【書類名】 明細書
【発明の名称】 抗微生物薬/エンドトキシン中ポリペプチド
【特許請求の範囲】
【請求項1】 アミノ末端からカルボキシル末端の方向で
(a)2−7残基の2個が強い塩基性であり、そして配列GRRRRS(配列番号4)に含まれる直鎖状配列またはその置換体と一致する、2−7個のアミノ酸の第1のクラスター;
(b)少なくとも-0.609の総平均親水性値および少なくとも35.45の脂肪族係数を有する17から21個のアミノ酸の第2のクラスター;
(c)2−7残基の2個が強い塩基性であり、そして配列MRKVRG(配列番号5)に含まれる直鎖状配列またはその置換体と一致する、2−7個のアミノ酸の第3のクラスター;そして、所望により
(d)エンドサイトーシス・クリアランスフラグメント、または、PVSCIKRDSPIQCIQAIA(配列番号3)に含まれる直鎖状配列の置換体を含む1−17アミノ酸クラスターである、アミノ酸の第4のクラスター;
(ここで、該アミノ酸クラスターは結合し、1つの連続的アミド連鎖骨格を形成し、そして該置換体は単離ポリペプチドの抗微生物性および/またはエンドトキシン中和化活性を保存している。)
から成る、配列番号1のポリペプチドを除く、単離された抗微生物性および/またはエンドトキシン中和化ポリペプチド。
【請求項2】 アミノ末端からカルボキシル末端の方向で
(a)2−7残基の2個が強い塩基性であり、そして配列GRRRRS(配列番号4)に含まれる直鎖状配列またはその置換体と一致する、2−7個のアミノ酸の第1のクラスター;
(b)配列VQWCAVSQPEATKCFQWQRNに含まれる直鎖状配列またはその置換体と一致する、17−21個のアミノ酸の第2のクラスター;
(c)2−7残基の2個が強い塩基性であり、そして配列MRKVRG(配列番号5)に含まれる直鎖状配列またはその置換体と一致する、2−7個のアミノ酸の第3のクラスター;そして、所望により
(d)エンドサイトーシス・クリアランスフラグメント、または、PVSCIKRDSPIQCIQAIA(配列番号3)に含まれる直鎖状配列の置換体を含む1−17アミノ酸クラスターである、アミノ酸の第4のクラスター;
(ここで、該アミノ酸クラスターは結合し、1つの連続的アミド連鎖骨格を形成し、そして該置換体は単離ポリペプチドの抗微生物性および/またはエンドトキシン中和化活性を保存している。)
から成る、配列番号1のポリペプチドを除く、単離された抗微生物性および/またはエンドトキシン中和化ポリペプチド。
【請求項3】 さらに、生理学的イオン強度で約1−5μMの最小阻害濃度で微生物増殖を阻害する能力を特徴とする、請求項2記載の単離ポリペプチド。
【請求項4】 該置換体が同類置換体である、請求項2記載の単離ポリペプチド。
【請求項5】 配列番号2におけるグルタメート16の代わりに中性電荷アミノ酸を有する、請求項2記載の単離ポリペプチド。
【請求項6】 該中性電荷アミノ酸がアラニンである、請求項5記載の単離ポリペプチド。
【請求項7】 該中性電荷アミノ酸がグリシンである、請求項5記載の単離ポリペプチド。
【請求項8】 該中性電荷アミノ酸がバリンである、請求項5記載の単離ポリペプチド。
【請求項9】 所望の1−17アミノ酸の第4のクラスターが、少なくとも0.174の総平均親水性値および少なくとも97.14の平均脂肪族係数を有する、請求項1記載の単離ポリペプチド。
【請求項10】 第1のクラスターが配列番号4で示される配列または少なくとも2個のアルギニン残基を保持するその切除体である、請求項2記載の単離ポリペプチド。
【請求項11】 第3のクラスターがMRKVRG(配列番号5)である、請求項2記載の単離ポリペプチド。
【請求項12】 第4のクラスターがPVSCIKRDSPIQCIQAIAである、請求項2記載の単離ポリペプチド。
【請求項13】 配列GRRRRS(配列番号4)の置換体がアルギニンに代わりリジン残基を有する、請求項2記載の単離ポリペプチド。
【請求項14】 配列MRKVRG(配列番号5)の置換体がアルギニンに代わりリジン残基を有する、請求項2記載の単離ポリペプチド。
【請求項15】 配列MRKVRG(配列番号5)の置換体がリジンに代わりアルギニン残基を有する、請求項2記載の単離ポリペプチド。
【請求項16】 2、3、4、5、28、29、31、39および40位に塩基性残基置換;7、9、10、11、12、17、18、20、21、23、32、35、37、38、44、46、47、49および50位に疎水性残基置換;16、41位に酸性残基置換を有する配列番号2で示される配列の機能性変異体である、請求項2記載の単離ポリペプチド。
【請求項17】 クラスター1から3から成る、請求項2記載の単離ポリペプチド。
【請求項18】 クラスター1から4から成る、請求項2記載の単離ポリペプチド。
【請求項19】 融合タンパク質である、請求項18記載の単離ポリペプチド。
【請求項20】 アミノ末端からカルボキシル末端の方向で
(a)2−7残基の2個が強い塩基性であり、そして配列GRRRRS(配列番号4)に含まれる直鎖状配列と一致する、2−7個のアミノ酸の第1のクラスター;
(b)少なくとも-0.609の総平均親水性値および少なくとも35.45の脂肪族係数を有する17から21個のアミノ酸の第2のクラスター;
(c)2−7残基の2個が強い塩基性であり、そして配列MRKVRG(配列番号5)に含まれる直鎖状配列と一致する、2−7個のアミノ酸の第3のクラスター;そして、所望により
(d)エンドサイトーシス・クリアランスフラグメント、または、PVSCIKRDSPIQCIQAIA(配列番号3)に含まれる直鎖状配列の置換体を含む1−17アミノ酸クラスターである、アミノ酸の第4のクラスター;
(ここで、該アミノ酸クラスターは結合し、1つの連続的アミド連鎖骨格を形成し、そして該置換体は単離ポリペプチドの抗微生物性および/またはエンドトキシン中和化活性を保存している。)
から成る、請求項2記載の単離ポリペプチド。
【請求項21】 薬学的に許容される担体と、アミノ末端からカルボキシル末端の方向で
(a)2−7残基の2個が強い塩基性である、2−7個のアミノ酸の第1のクラスター;
(b)少なくとも-0.609の総平均親水性値および少なくとも35.45の脂肪族係数を有する17から21個のアミノ酸の第2のクラスター;
(c)2−7残基の2個が強い塩基性である、2−7個のアミノ酸の第3のクラスター;そして、所望により
(d)エンドサイトーシス・クリアランスフラグメント、または、少なくとも-0.174の総平均親水性値および少なくとも97.14の脂肪族係数を有する1−17アミノ酸クラスターである、アミノ酸の第4のクラスター;
から成る、単離された抗微生物性および/またはエンドトキシン中和化ポリペプチドを含む医薬組成物。
【請求項22】 薬学的に許容される担体と、アミノ末端からカルボキシル末端の方向で
(a)2−7残基の2個が強い塩基性であり、そして配列GRRRRS(配列番号4)に含まれる直鎖状配列またはその置換体と一致する、2−7個のアミノ酸の第1のクラスター;
(b)少なくとも-0.609の総平均親水性値および少なくとも35.45の脂肪族係数を有する17から21個のアミノ酸の第2のクラスター;
(c)2−7残基の2個が強い塩基性であり、そして配列MRKVRG(配列番号5)に含まれる直鎖状配列またはその置換体と一致する、2−7個のアミノ酸の第3のクラスター;そして、所望により
(d)エンドサイトーシス・クリアランスフラグメント、または、PVSCIKRDSPIQCIQAIA(配列番号3)に含まれる直鎖状配列の置換体を含む1−17アミノ酸クラスターである、アミノ酸の第4のクラスター;
(ここで、該置換体は単離ポリペプチドの抗微生物性および/またはエンドトキシン中和化活性を保存している。)
から成る、単離された抗微生物性および/またはエンドトキシン中和化ポリペプチドを含む医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の背景
人類は微生物病原体による感染の絶え間ない危機に曝されているが、大多数は、種々の抗微生物性タンパク質および小ポリペプチドを利用する迅速な応答装備することによってこれらの繰返す猛襲に耐えている。抗微生物性ポリペプチドは原始的な動物、昆虫および植物でさえも使用しているので、ヒトの先天性免疫系のこの部門は、より遅く作用するクローン系よりも、より基本的な宿主防御機構である(H. G. Boman, J. MarshおよびJ. A. Goode, Eds., Antimicrobial Peptides, (John Wiley & Sons Ltd., New York, NY, 1994); Hoffmann et al., Curr. Opin. Immunol. 8: 8-13 (1996))。
【0002】
微生物病原体の増殖阻害に加えて、この免疫系は、侵入する微生物により産生される種々のトキシンも中和する。グラム陰性細菌によって産生される1つの特有な毒性産物はエンドトキシンである。エンドトキシン(リポ多糖類;LPS)はグラム陰性細菌の外膜の構成成分であり、該細菌が死滅または増殖する場合に放出される(Rietschel et al., Immunobiology. 187: 169-190 (1993))。米国においては、年間、細菌性敗血症の患者が約400,000と見積もられ、最終的に、そのうちの100,000が敗血症性ショックで死亡し、これらの症例の約半分がグラム陰性細菌によって起こされる(Parrillo, J. E., Shock syndromes related to sepsis. In Cecil Textbook of Medicine (20th edition), J. C. BennettおよびF. Plum編 W.B. Sanders Company, Philadelphia. 496-501 (1996))。グラム陰性敗血症および敗血症性ショックは、主に、免疫系の細胞、特にマクロファージによる炎症性サイトカイン類のエンドトキシン誘発過剰産生および放出からもたらされる(Beutler, B.,およびA. Cerami, Annu. Rev. Biochem. 57: 505-518 (1988)); Rosenstreich, D. L.およびS. Vogel, Central role of macrophages in the host response to endotoxin. p. 11-15, D. Schlessinger (ed.), Microbiology. American Society for Microbiology. Washington, D. C. (1980))。TNF−αがエンドトキシンの全身性毒性の主な介在物質である(Beutler, B.およびA. Cerami, Annu. Rev. Biochem. 57: 505-518 (1988); Heumann et al., J. Endotoxin Res. 3: 87-92 (1996))。
【0003】
リピドAはエンドトキシンの毒性部分である(Rietshcel et al., Immunobiology. 187: 169-190 (1993))。モノクローナル抗リピドA抗体がグラム陰性敗血症および敗血症性ショックの治療用に試験されたが、多分、それらのエンドトキシンに結合し、中和する乏しい能力(Warren et al., J. Exp. Med. 177: 89-97 (1993))によるものであるが、それらの臨床的効能は一貫して証明されていない(Verhoef et al., J. Antimicrob. Chemother. 38: 167-182 '1996))。最近の展開には、ポリミキシンBを模倣している合成抗エンドトキシンポリペプチド(Rustici et al., Science 259: 361-365 (1993))および宿主防御タンパク質から由来する多くのカチオン性抗エンドトキシンポリペプチドの同定が包含される。これらには、殺微生物性/浸透性増加タンパク質から由来する組換え23kDaフラグメント(Fisher et al., Crit. Care Med. 22: 553-558 (1994)); Marra et al., Crit. Care Med. 22: 559-565 (1994))、ミツバチ・メリチンから由来する28量体ペプチド(Gough et al., Infect. Immun. 64: 4922-4927 (1996))、18kDaカチオン性抗菌タンパク質から由来する33量体ペプチド(Larrick et al., Infect. Immun. 63: 1291-1297 (1995))およびリムルス(Limulus)抗LPS因子の結晶構造に基づく合成ポリペプチド(Reid et al., J. Biol. Chem. 271: 28120-28127 (1996))が含まれる。
【0004】
ラクトフェリン(LF)は、もっぱら好中球および筋肉上皮によって合成され、炎症性刺激によりそれらが活性化されると細胞外に放出される80kDaの鉄結合糖タンパク質である(Sanchez et al., Arch. Dis. Child. 67: 657-61 (1992); P. F. LevayおよびM. Viljoen, Haematologica 80: 252-67 (1995); B. LonnerdalおよびS. Iyer, Annu. Rev. Nutr. 15: 93-110 (1995); R. T. Ellison, Adv. Exp. Med. Biol. 357: 71-90 (1994))。その防御の機構はほとんど理解されていないが、これは哺乳動物宿主防御タンパク質であると考えられている。インビボにおいて、LFは抗微生物性予防効果を提供する(Trumpler et al., Eur. J. Clin. Microbiol. Infect. Dis. 8: 310-3 (1989))。インビボにおけるLF処置によりグラム陰性細菌の発生が低下することが報告されている(Trumpler et al., Eur. J. Clin. Microbiol. Infect. Dis. 8: 310-313 (1989))。インビトロにおいて、鉄をキレートすることにより種々の微生物の増殖が阻害されることが示されている(J. D. OramおよびB. Reither, Biochim. Biophys. Acta 170: 351-65 (1968); A. Bezkorovainy, Adv. Exp. Med. Biol. 135: 139-54 (1981))。
【0005】
LFは、そのN末端に接近した強塩基性領域を含み、リピドA(Appelmelk et al., Infect. Immun. 62: 2628-2632 (1994))や、大部分の細胞表面および細胞外マトリックスにおいて生じるグリコサミノグリカン(Mann et al., J. Biol. Chem. 269: 23661-7 (1994))を含む種々のアニオン性生物分子と結合する。ラクトフェリシンH(残基1−47)およびラクトフェリシンB(残基17−41)は、各々、ヒトまたはウシLFのペプシン分解(pepsinolysis)によって放出され、天然のタンパク質よりも強力な抗微生物性活性を有しる(Bellamy et al., Biochim. Biophys. Acta. 1121: 130-136 (1992))。残基28−34からなる領域はヒトLFおよびラクトフェリシンHのエンドトキシンとの高親和性結合に関与していることが報告されている(Elass-Rochard et al., Biochem. J. 312: 839-845 (1995))。LFおよびラクトフェリシンBは、ヒトの単球細胞におけるエンドトキシン誘発インターロイキン−6応答を阻害することが報告されている(Mattsby-Baltzer et al., Pediatr. Res. 40: 257-262 (1996))。抗菌活性を示す従前に同定されたLFのフラグメントは、LFのペプシン加水分解によって単離されたものであった(Tomita et al., (1993) 米国特許5,214,028号、Tomita et al., (1994) 米国特許5,304,633号、Tomita et al., (1994) 米国特許5,317,084号、Tomita et al., (1997) 米国特許5,656,591号)。
従前の研究は、ヒトLFの末端33残基が、該タンパク質をグリコサミノグリカンのようなアニオン性多糖類との結合を介在する最小の配列であることを確立した(Mann et al., J. Biol. Chem. 269: 23661-7 (1994))。この配列はカチオン性頭部(残基1−6)と尾部(残基28−33)を含み、これらが結合してグリコサミノグリカン結合部位を形成している。しかし、これらの研究は、このポリペプチドが抗微生物性またはエンドトキシン中和化活性を有することを示す何の証拠も提供しなかった。
【0006】
発明の概要
の態様において、本発明は、ラクトフェリン分子の蛋白分解的消化により得られる6kDaの宿主防御ポリペプチドに関する。6kDaの宿主防御ポリペプチドは抗微生物活性ならびにエンドトキシン中和化活性を有する。また本発明は、6kDaの宿主防御ポリペプチドの機能性変異体にも関し、該変異体は6kDaポリペプチドのN末端およびC末端切除体、ならびにポリペプチドの活性を保存または増大させるアミノ酸置換体のごとき当該ポリペプチドの他の修飾体を包含する。
【0007】
別の態様において、本発明は、治療上有効量の抗微生物ポリペプチドまたはその機能性変異体を個体に投与することを含む、個体の微生物感染から生じる疾病の処置または予防のための治療方法に関する。この方法は細菌感染の処置において有用である。またこの方法を用いて、結核またはらい病のごときミコバクテリウムにより引き起こされる感染から生じる疾病を処置することもできる。さらにこの方法は、感染個体において細菌性敗血症を引き起こす細菌感染の処置においても有用である。また、この方法を用いて、真菌感染のごとき他の微生物により引き起こされる感染を処置することもできる。さらに本発明を用いて、本発明のポリペプチドを抗微生物薬とともに投与することにより、患者における抗微生物薬の治療作用を増強することもできる。
【0008】
別の態様において、本発明は、本発明のエンドトキシン中和化ポリペプチドまたはその機能性変異体を患者に投与することによる、患者における循環エンドトキシンの中和方法に関する。本発明に関する類似の使用方法は、エンドトキシンを本発明のエンドトキシン中和化ポリペプチドまたはその機能性変異体と接触させることによる、産物中のエンドトキシンを中和することを包含する。
【0009】
また、本発明のポリペプチドのエンドトキシン中和化活性および抗微生物活性を増強するための方法も本発明の範囲内に含まれる。これを、例えば、隣接環境のイオン強度を調節することによって行うことができる。さらに、インビボ(in vivo)プロテアーゼにより患者において6kDaのLFフラグメントのインビボ産生を増加させる方法も開示される。かかる方法は、LFを蛋白分解に対して感受性とし、さらにLFから6kDaフラグメントを生じさせるプロテアーゼの活性を増大させることを包含する。
【0010】
図面の簡単な説明
図1は、カテプシンD(四角)またはペプシン(丸)によりヒトLFのN末端から得られ、ヘパリン−精製された6kDaポリペプチドの用量を変化させることによるE.coli増殖の阻害を図式的に示す。すべてのポイントは三系の平均値を示し、標準偏差のバーはシンボルよりも小さい。
図2は、50μMのLFまたはN末端27量体、26量体、33量体LFポリペプチドフラグメントの存在下における7時間にわたるE.coli 0111の増殖曲線である。
図3は、LFの末端のアミノ酸配列に対応する、異なる濃度の33量体または27量体ポリペプチドの存在下における5時間目のE.coli 0111の増殖を図式的に示す。
図4は、カテプシンにより得られる6kDaのLFポリペプチドフラグメントの抗微生物活性に対するイオン強度の影響を図式的に示す。
図5は、ポリペプチド、6kDaLFフラグメント、33量体、および27量体の、リファンピシリンの抗微生物活性を増強する能力を図式的に示す。
図6は、示された濃度の6kDa宿主防御ポリペプチド、33量体、27量体、LFおよびポリミキシンBの、単離リピドAのエンドトキシン活性を中和する能力を図式的に示す。
図7は、単核白血球細胞系RAW 264.7によるエンドトキシン誘発THF−α分泌のLF−33(33量体)による用量―依存的抑制を図式的に示す。10ng/mlのエンドトキシンを示された濃度のLF−33とともに37℃で1時間インキュベーションし、ついで、RAW 264.7細胞に曝露した。データは、典型的な実験における三系の平均値である。
図8は、ヒト血清存在下における、RAW 264.7細胞によるエンドトキシン誘発TNF−α分泌のLF−33による用量−依存的抑制を図式的に示す。10ng/mlのE.coli LPSを示された濃度のヒト血清およびLF−33とともにインキュベーションし、ついで、RAW 264.7細胞に曝露した。データは、典型的な実験における三系の平均値である。
図9は、細菌感染に対する宿主防御における6kDaLFフラグメントのインビボ防御能を図式的に示す
図10は、ミコバクテリウム(Mycobacteria)であるM.smegmatis BH1の増殖に対する種々の濃度のLF−33(33量体)の抗微生物効果を図式的に示す
【0011】
発明の詳細な解説
本発明は、ラクトフェリン(LF)から得られた宿主防御ポリペプチドが、すでに特徴づけられているLFのフラグメントよりも有意に強い抗微生物およびエンドトキシン中和化活性を示すという知見に基づく。また、LFか得られた宿主防御ポリペプチドは、微生物増殖を阻害する機構において元のLFとは異なる。LFは、鉄イオンに結合して、この必須イオンを微生物で一時的に枯渇させることにより作用すると考えられるが、LFから得られた6kDaポリペプチドは、微生物の外表面に結合し、細胞膜に損傷を与えて細胞漏出を引き起こすことによって、鉄非依存的な機構により作用する。6kDaポリペプチドにより示される抗微生物活性は、完全長のLFにより示される抗微生物活性よりも安定である(一時的なものではない)。宿主防御ポリペプチドは、カテプシンDによるLFの消化によってインビトロ(in vitro)において得られ、さらにおそらくインビボにおいても得られる。生成物である約6kDaポリペプチドフラグメントはLFの末端の49個のアミノ酸からなり、単一の連続的アミド連鎖骨格を形成するようにアミノ酸が連結されているものである。生理学的条件のpHおよびイオン強度において、本発明のポリペプチドが、すでに同定されているペプシン消化により得られるLFフラグメント(Bellamy et al., Biochimica et Biophysica Acta 1121: 130-136 (1992); Tomita et al., (1993) U.S. Patent No. 5,214,028; Tomita et al., (1994) U.S. Patent No. 5,304,633; Tomita et al., (1994) U.S. Patent No. 5,317,084; Tomita et al., (1997) U.S. Patent No. 5,656,591)よりも有意に高い活性を示すことは、特に興味深いことである。ペプシンにより得られる1のかかるフラグメント(Ballamy et al., Biochimica et Biophysica Acta 1121: 130-136 (1992))は、それがLFのアミノ酸1−47を含むという点で、本発明の6kDaポリペプチドフラグメントと類似している。しかしながら、先行技術のポリペプチドはアミノ酸11と12との間にアミド結合を有していない。むしろ、それらのポリペプチドフラグメントは切断点のいずれの側においてもジスルフィド結合によって互いに結合されている。以下の実施例セクション中にて詳述される実験は、本発明のポリペプチドのアミノ酸の単一の連続的アミド連鎖骨格がポリペプチドおよびその機能性変異体に高い活性を付与することを示すものである。
【0012】
LFのカテプシンD消化により得られる6kDaポリペプチドフラグメントのアミノ酸配列は配列番号:2(表1)のアミノ酸1−49に対応する。化学合成により得られるこの配列(または後で詳述する機能性に類似の配列)を含むポリペプチドも同等の活性を示すので、本発明のポリペプチド、およびその機能的変異体を当該分野においていずれかの既知の手段により得てもよく、そして/あるいは単離してもよい。ポリペプチドのアミノ酸が単一の連続アミド連鎖骨格により結合されているかぎり、本発明のポリペプチドの抗微生物およびエンドトキシン中和化活性に関して、内部ジスルフィド結合の存在は不必要である。他の動物種から単離される宿主防御ポリペプチドのホモログ、およびその機能性変異体は、ヒトの6kDaLFフラグメントと類似の活性を有すると予想され、また本発明に包含される。
【0013】
【表1】
Figure 2002541066
【0014】
配列および機能性分析は、LFタンパク質の最初の51残基を包含するポリペプチド(C末端にてLF配列の2個の付加アミノ酸を有する6kDaポリペプチド)が実質的に、6kDaポリペプチドと同一の活性を示すことを示す。このわずかに長いポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号2においてアミノ酸1−51として記載される。以下の実施例セクションにおいて詳しく記載する実験は、51アミノ酸ポリペプチドのC末端のアミノ酸17個までおよびN末端のアミノ酸3個までは、抗微生物活性およびエンドトキシン中和化活性の両方の活性の完全な消失を伴わずに排除できることを示す。これに関して、本発明は、C末端のアミノ酸を17個までおよびN末端のアミノ酸を3個まで欠いている配列番号2のアミノ酸1−51に対応する配列を有する単離ポリペプチドに関する。好ましい態様において、5個以下の残基をC末端から取り除く。
【0015】
理論により縛られることなく、ポリペプチドの2倍活性であるa)抗微生物活性およびb)エンドトキシン中和化活性は、ポリペプチドの特異的領域と種々の標的分子との相互作用により引き起こされる。微生物増殖は、微生物膜の種々の成分と相互作用することにより微生物の細胞エンベロープの膜組織を破壊するという他のデフェンシンと類似のメカニズムにより阻害されると考えられる。微生物膜は、主として、二重層の外側(例えば、細胞表面)に親水性リン酸頭部が存在しており、二重層の内部に疎水性脂質尾部が埋められているリン脂質の二重層からつくられている。ポリペプチドは、高含有量の疎水性残基を有するアミノ酸鎖により分離された塩基性残基の2つのクラスターを含有する。より疎水性の鎖により分離された塩基性クラスターの組合せは、本発明のポリペプチドと、親水性膜表面およびまた二重層内の疎水性脂質尾部との相互作用を可能にする。この相互作用の組合せは、ポリペプチドを膜中に挿入させ、膜を破壊する。脂質二重層成分と相互作用するポリペプチドの生化学的成分は、エンドトキシン活性を有し、親水性部分および疎水性部分を含む細菌表面上に位置するリポ多糖類と非常に類似して相互作用する。エンドトキシンは、細菌表面上に存在する場合、より大きリポ多糖(LPS)分子の成分である。LPSは、全てのグラム陰性微生物の外膜の成分である。LPSの親水性成分(多糖)は、該膜の外表面にあり、疎水性成分(リピドA)は、二重層の内部にある。LPS分子のリピドA部分は、LPS分子の炎症性またはエンドトキシン部分である。塩基性残基のクラスターは、LPSの多糖部分におけるそのリピドA尾部の最も曝露された頭部基上の陰荷電部位に結合し、疎水性介在領域をリピドAに結合させ、リピドAを中和すると考えられる。
【0016】
微生物表面の条件とは異なる条件下では、他のタイプの結合が生じる。以下の実施例に示される結果は、上記機能性成分を有するが機能性塩基性クラスターを1個だけ、例えば配列番号6(図1)に記載されるアミノ酸配列を有するLF−27を含有する、ポリペプチドが、微生物の表面に関しては存在しない(例えば、食物または医薬品におけるような調製手段により細菌から流出するかまたは抽出される場合の)エンドトキシンに対する有意な中和活性を有することを示す。かかる環境下では、分子のリピドA部分は、さらに曝露され、したがって、エンドトキシンは、ポリペプチドにさらに接近可能である。高濃度のポリペプチドで、または、異常な塩条件下で、または、LPSが抽出されたかまたは流出した場合、または、まだ外膜中にある間に分解された場合、ポリペプチドの疎水性介在領域は、なおも、リピドAを介してLPSへの結合を媒介し、LPSのリピドA部分のエンドトキシン作用を不活性化することができる。
【0017】
当業者は、これらの相互作用に関与する分子の生化学的特性を保存する6kDaLFポリペプチドフラグメント配列のアミノ酸置換、挿入または欠失が得られたポリペプチドにおける抗微生物活性およびエンドトキシン中和化活性を保存することを認識するであろう。かかるアミノ酸置換、挿入または欠失により得られたポリペプチドは、6kDaLFフラグメントの機能性変異体であると考えられ、したがって、本発明の範囲内にまた包含される。上記したとおり、LFフラグメントの特異的領域は、抗微生物活性およびエンドトキシン中和化活性に関与している。さらに詳細には、これらの領域は、2つの塩基性クラスターを包含しており、1つは末端に位置しており、他方は、残基28から31まで(28と31を含めて)である。さらに、これらの塩基性クラスターと隣接するアミノ酸配列の相対的な疎水性は、また、ポリペプチドの活性に関与する。下記式は、本発明の6kDaポリペプチドの重要な成分およびその機能性変異体を定義する:
−R1−B−R2
式中、BおよびBは、2−7個のアミノ酸を含有するアミノ酸のクラスターを表し、該2−7個のアミノ酸のうち少なくとも2個は強塩基であり、R1は、総平均親水性値(GRAVY)が少なくとも−0.609であり、脂肪族指数が少なくとも35.45である17ないし21アミノ酸であり、R2は、GRAVY値が少なくとも0.174であり、脂肪族指数が少なくとも97.14である1ないし17アミノ酸であり、該ポリペプチドの該アミノ酸は結合して1つの連続アミド連鎖骨格を形成する。
【0018】
アミノ酸リシン、アルギニン、ヒスチジン、および側鎖上に正電荷基を有するように合成されたかまたは化学修飾されたいずれかのアミノ酸変異体は、この記載および以下に記載する本発明の他の定義に関して強塩基性アミノ酸と称される。
【0019】
脂肪族指数は、下記式に従って算出される:脂肪族指数=X(Ala)+a・X(Val)+b・(X(Ile)+X(Leu))[ここで、X(Ala)、X(Val)、X(Ile)およびX(Leu)は、アラニン、バリン、イソロイシン、およびロイシンのモルパーセント(100×モル分率)であり、aおよびbは、アラニンの側鎖に対するバリン側鎖の相対容量(a=2.9)およびLeu/Ile側鎖の相対容量(b=3.9)である]。
【0020】
好ましい実施態様において、単離ポリペプチドのR1およびR2は、各々、1以下の酸性アミノ酸を有する。アスパラギン酸、グルタミン酸、および側鎖上に負電荷基を有するように合成されたかまたは化学修飾されたアミノ酸変異体は、この記載および以下に記載する本発明の他の定義に関して酸性アミノ酸と称される。1つの実施態様において、単離ポリペプチドのR2は、PVSCIKRDSPIQCIQAIA(配列番号3)である。別に、R2は、この配列(配列番号3)のC末端切除体であってもよい。別の実施態様において、単離ポリペプチドのBは、GRRRRS(配列番号4)または該配列における少なくとも2つの連続Rを保持するその切除体である。このような切除体により産生されたBのいくつかの例は、GRR、RRS、RRR、およびRRである。別の実施態様において、単離ポリペプチドのBは、MRKVRG(配列番号5)である。
【0021】
好ましい実施態様において、単離ポリペプチドは、配列番号2に記載されるアミノ酸1−51の配列を有する。別の実施態様において、単離ポリペプチドは、16位アミノ酸置換を有するこの配列を含んでおり、該置換は、それがあるポリペプチド領域の相対親水性を減少させ、これにより、この領域の相対疎水性を増加させる。該分子のこの領域の疎水性の増加は、ポリペプチドの抗微生物活性およびエンドトキシン中和化活性を高めると考えられる。かかる置換の1つの例は16位に非電荷アミノ酸、例えば、グリシン置換である。非電荷アミノ酸は、生理学的pHで、ポリペプチドに関して生じる場合、電荷を有さないアミノ酸と定義される。かかる置換のもう1つの例は非電荷疎水性アミノ酸、例えば、バリンまたはアラニン置換である。41位、上記したような同様の置換が、同様の全体な強化作用を有すると考えられることに注意すべきである。該ポリペプチドの機能性変異体にて行なわれたこれらのタイプのアミノ酸置換は、次に、これらの変異体の活性を強化すると考えられる。
【0022】
本発明の別の態様は、6kDa宿主防御ポリペプチドのC末端17個のアミノ酸の排除により得られる33量体の単離ポリペプチドLF−33(ここで、該アミノ酸は結合して1つの連続アミド連鎖骨格を形成する)が、上記6kDaLFフラグメントと同等の抗微生物活性およびエンドトキシン中和化活性を示すという知見に基づいている。LF−33のアミノ酸配列を配列番号1(1)に記載する。
【0023】
LF−33およびLF−27は、それらがグリコサミノグリカンのような陰イオン多糖類を結合するポリペプチドとして以前に開示されていた(Mann et al., J. Biol. Chem. 269: 23661-7 (1994))という事実を考慮して、本発明のポリペプチド・クレームから明確に排除される。しかしながら、LF−33およびLF−27は、本発明のポリペプチドを含む医薬組成物、融合タンパク質クレーム、または本発明の方法クレームからは排除されない。
【0024】
6kDaLFフラグメントに関して、2個の塩基性クラスターおよび介在配列の疎水性を包含する活性に不可欠な分子の生化学的特性を保存するLF−33ポリペプチド配列のアミノ酸置換、挿入または欠失から生じるポリペプチドは、同じメカニズムによって機能し、同様の活性を示すLF−33の機能性変異体である。式:
−R1−B
は、LF−33およびその機能性変異体の不可欠な構成要素を定義する(ここ、BおよびB およびR1は上記される)。
【0025】
好ましい実施態様において、単離ポリペプチドのR1は1個以下の酸性アミノ酸を有する(酸性アミノ酸は上記される)。1の実施態様において、単離ポリペプチドのBは、GRRRRS(配列番号4)またはその切除体であり、それは配列中、少なくとも2つの連続Rを保持する(例は上記される)。別の実施態様において、単離ポリペプチドのBは、MRKVRG(配列番号5)である。
【0026】
別の実施態様において、単離ポリペプチドは、1にアミノ酸置換を有する配列番号1に記載されたアミノ酸配列を含み、該置換はそれが位置するポリペプチド領域の相対的な親水性を減少させ、それにより、該領域の相対的疎水性を増加させる。該置換は、ポリペプチドの活性を強化すると予想される。次いで、ポリペプチドの他の機能性変異体において生じた同様の置換は、その変異体の活性を強化すると予想される。かかる置換の例は上記されている。
【0027】
本発明の抗微生物性およびエンドトキシン中和化ポリペプチドは、また、ポリペプチド内の特異的な位置にある特徴的なアミノ酸の存在によって特徴付けることができる。これらの特異的位置に関して配列番号2のアミノ酸1−51に類似するアミノ酸配列を有するポリペプチドおよびその機能性フラグメント(20個のアミノ酸までがC末端から欠失されている)もまた機能性変異体であり、それ自体、本発明に包含される。より明確には、機能性変異体は、2、3、4、5、28、29、31、39および40に塩基性残基、7、9、10、11、12、17、18、20、21、23、32、35、37、38、44、46、47、49および50に疎水性残基、16および41に酸性残基を有する。上記のように、抗微生物性ポリペプチドまたは機能性変異体のアミノ酸は、単一の連続的アミド結合骨格を形成するように連結される。このような関係において塩基性残基および酸性残基と称されるアミノ酸は上記で論じられている。本明細書中におけるこの定義および他の定義または本発明の記載に関して、疎水性残基は、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、チロシン、トリプトファン、バリン、メチオニンおよびプロリンを包含する。別の方法では、10、20、37および46の残基は、LFの野生型アミノ酸配列におけるように、システインであることができる。好ましい実施態様において、非特異的な位置での機能性変異体の残基は、配列番号2に記載される51個のアミノ酸ポリペプチド対応するアミノ酸によって示されるか、またはこれらの残基の保存的置換である。
【0028】
本発明の別の実施態様、1および/または4非電荷アミノ酸置換を有する上記に記載された抗微生物性ポリペプチドまたはその機能性変異体である。好ましい実施態様において、疎水性側鎖を有する電荷アミノ酸は1および/または4で置換される。上記論じたように、かかる類似した置換もまた、それらが生じたいずれかの機能性変異体の活性を強化する予想される。
【0029】
実験的証拠は、配列番号2のアミノ酸1−51よりなる抗微生物性ポリペプチドがN末端から3個までのアミノ酸を欠失しつつ、有意な活性を維持することを示す。したがって、抗微生物性ポリペプチドの機能性変異体は、付加的な1−3個のアミノ酸をN末端から欠失した上記の機能性変異体も包含する。
【0030】
本発明の別の態様は、エンドサイトーシス・クリアランス経路によってエンドトキシンの動物の体内からの迅速なクリアランスを促進する融合タンパク質に関する。該融合タンパク質は、本発明のエンドトキシン中和化ポリペプチドまたはその機能性変異体である第1のポリペプチドと、エンドサイトーシス・クリアランス経路を介して細胞によって認識およびインターナリゼーションされるポリペプチド配列を含む第2のポリペプチドとの融合から生じる。融合タンパク質の第1の成分に適当なポリペプチドは上記される。好ましい実施態様において、融合タンパク質の第1のポリペプチド成分は、配列番号2のアミノ酸1−51を含む
【0031】
得られる融合タンパク質は、第2のポリペプチド(エンドサイトーシスクリアランスフラグメント)のN末端に第1のポリペプチド(エンドトキシン中和化フラグメント)を有するか、または別の方法では、第1のポリペプチドのN末端に第2のポリペプチドを有する。融合タンパク質は、個々の成分の各活性を保持する。いくつかの少ない修飾(例えば、2つのポリペプチドフラグメント間のリンカー領域)がこれらの機能を保存するために必要とされる。
【0032】
本発明の他の態様は、本発明のポリペプチドおよびその機能性変異体の使用法に関する。簡単に言えば、本発明の「ポリペプチド」なる語は、最初の6kDaLFポリペプチドフラグメントおよび詳細に上記される全機能性変異体の両方を包含するために、本明細書において使用される。上記で論じるように、LF−33およびLF−27は本明細書に記載の方法請求項から除外されない。
【0033】
本発明の別の態様は、微生物の増殖を阻害する方法である。本発明のポリペプチドは、種々の環境下での微生物の増殖を阻害するために使用できる。例えば、微生物感染に起因する個体における疾患を処置または予防するために、本発明のポリペプチドを治療的に投与することができる。
【0034】
種々の微生物感染は、上記のポリペプチドを用いる処置によって阻害することができる。実施例のセクションにおいて与えられる実験は、これらのポリペプチドの治療的投与が細菌感染の進行を阻害し、逆転させることができることを示す。さらなる証拠は、いくつかの真菌感染もまた減少できることを示す。本発明の抗微生物性ポリペプチドは、微生物の細胞膜を崩壊させることによって微生物の増殖を阻害すると考えられるので、かかる細胞膜を有するいずれの微生物も、該抗微生物性ポリペプチドによる増殖阻害を受ける可能性がある。脂質エンベロープを有するウイルスもまた、本発明のポリペプチドの抗微生物作用を受けやすいかもしれない。
【0035】
好ましい実施態様において、微生物感染は細菌感染である。これは、限定するものではないが、ミコバクテリウムによって引き起こされる細菌感染を包含する。ミコバクテリウムは、多くの抗菌剤に対して耐性である。ミコバクテリウムは、過去最も重要な疾患のうちの2つ、結核および癩病の原因となる。ヒト結核症の大部分のケースは、ミコバクテリウム・ツベルクローシス(Mycobacterium tuberculosis)によって引き起こされるが、かなりの数のケースは、ミコバクテリウム・ボビス(Mycobacterium bovis)によって引き起こされる。細菌、特にミコバクテリウムの新規な耐性株の発生および流布は、公衆衛生をますます脅かしている。上記の抗微生物性ポリペプチドは、目下、公衆衛生を脅かしている微生物のこれらの耐性株に罹患している患者の処置に有用である。
【0036】
多くの細菌感染は、感染した個体における細菌性敗血症の原因となる。以下の実施例のセクションに詳述される結果は、上記のポリペプチドがエンドトキシン中和化活性も有することを示す。これらの二重活性ポリペプチドの敗血性細菌感染に罹患している個体への投与は、感染によって引き起こされる敗血症および感染自体の両方を減少させることによって、有意な治療的効果を生じる。
【0037】
処置に適当な個体は、1以上の上記の微生物感染に苦しんでいるか、さもなければ感染しやすいいずれかの動物(哺乳動物またはその他の動物)である。好ましい実施態様において、該個体はヒトである。別の実施態様において、該個体は家畜動物である。別の実施態様において、該動物はショー・アニマルまたは家庭のペットである。
【0038】
ポリペプチドの個体への投与は、全身性または局部性のいずれかであり、主として処置される特定の感染によって決定される。全身性投与は、限定するものではないが、静脈内投与、吸入および摂取を包含するいくつかの経路によって達成されることができる。局部性投与は、局所または内部であることができる。かかる投与は、限定するものではないが、皮下、経皮、皮内および腹膜内投与、吸入および摂取を包含するいくつかの経路によって達成されることができる。
【0039】
医薬上許容される担体を含む本発明のポリペプチドの処方物を投与することがしばしば有用である。治療投与用の可能な処方物は種々の医薬組成物を包含し、その適切な使用は処置に必要であると思われる投与経路に依存する。局所投与に有用ないくつかの処方物は、例えば、点眼剤、点耳剤、または歯肉適用(例えば、ドロップ、うがい薬、クリームまたはペースト)である。患者治療用の投与方式(例えば、経路、用量およびクール)は処置しようとする個体(例えば、健康、体重、代謝)、感染部位、および感染病原体によって変動する。治療方式は、経験的観察と組み合わせて、類似の治療での処置からの外挿によって開発すべきである。個体における微生物感染を予防するための本発明のポリペプチドの投与は、上記の方法に対応する。
【0040】
本発明の別の態様は、本発明のポリペプチドが他の抗微生物性物質または薬物のその治療作用を増強する活性も示すという知見に基いている。実施例のセクションにおいて詳述する実験は、他の微生物物質と本発明の抗微生物性ポリペプチドとの同時投与が相乗的な抗生物質作用を生じることを示す。これらの結果は、本発明のポリペプチドがリファンピシンまたはイソニアジドの抗生物質活性を有意に増加させることを示す。理論によって拘束はされないが、これは、本発明のポリペプチドが細菌膜の完全性を破壊し、この破壊によって個々の細菌内で抗生物質がより高い濃度になるので起こると考えられる。
【0041】
これらの結果は、本発明のポリペプチドを、種々の抗微生物物質または抗微生物薬物の活性を増強させるために治療的に利用できることを示す。本発明のポリペプチドと抗微生物薬物との同時投与によって、より低用量の抗微生物薬物での患者の治療的処置が可能になる。高価な薬物、所望されない副作用を生じる薬物、またはそのインビボにおける短い半減期によって他の方法ではその濃度が有効であるために必要とされるより低い濃度に迅速に低下する薬物で処置する場合などの状況では、より低い用量が好ましい。さらに、抗微生物物質または薬物との同時投与はまた、より短い治療期間および/または耐性表現型の逆転を可能にし得る。限定するものではないが、その内部薬物濃度の低下(例えば、減少した膜透過性または薬物の増加した細胞輸送もしくは代謝での)によって抗微生物薬物に耐性となる微生物は、これらのポリペプチドの増強活性に特に感受性であることが予想される。
【0042】
本発明のポリペプチドを使用して、微生物の最外部表面を超えた侵入がその活性に必要とされるいずれかの抗微生物物質または薬物を増強することができる。好ましい実施態様において、抗微生物性薬物は抗生物質であり、微生物感染は細菌感染である。原因因子は抗生物質に感受性の細菌であるか、あるいは抗生物質増強がない場合に抗生物質に耐性の細菌である。好ましい実施態様において、抗生物質はリファンピシンまたは構造的に関連する分子である。別の実施態様において、抗生物質はイソニアジドまたは構造的に関連する分子である。別の実施態様において、抗微生物性薬物は抗真菌剤であり、感染は真菌感染である。患者は、罹患性微生物による感染に罹患しているか、罹患の危険性のある、いずれかの個体(動物、哺乳動物、ヒトなど)を包含する。
【0043】
抗微生物性薬物および本発明の単離ポリペプチドまたは機能性変異体の投与方式は患者および特定の感染によって変動し、場合に応じて当業者はそれを決定することができる。ポリペプチドの処方物はその例を上記した投与方式に依存する。
【0044】
本発明の別の態様はエンドトキシンを中和するための上記ポリペプチドの使用に関する。本発明のポリペプチドはエンドトキシン中和化活性を有し、個体の身体内の(例えば、血流を循環している)エンドトキシンを中和するために使用することができる。エンドトキシンは、身体に感染した病原体、あるいは身体が曝露された汚染物質(例えば、エンドトキシンに汚染した血液もしくは他の体液、組織、または体表面)から生じ得る。本発明のポリペプチドを、上記の微生物感染患者の処置のための投与と同様に個体に投与する。ポリペプチド投与の治療方式は場合によって変動し、経験的観察と組み合わせて、類似の治療での処置からの外挿によって開発することができる。微生物感染の処置について上記したのと同様の製剤をこの方法においても利用することができる。投与方式および有用な製剤もまたは、本明細書において上記した。
【0045】
あるいは、患者中のエンドトキシンを、エンドサイトーシスクリアランス経路を介して細胞によって認識およびインターナライズされるポリペプチド配列を含むポリペプチドと融合されたエンドトキシン中和化活性を有するポリペプチドを含む融合タンパク質の投与によって中和することができる。投与すべき融合タンパク質は上記で詳細に記載した。
【0046】
本発明のポリペプチドを、医薬および栄養補助(neutraceutical)薬物としてのみならず、体内に摂取されるか、あるいはヒトもしくは他の動物の体表面またはそれに由来する液体、器官および細胞に適用されるかまたは接触される、食品および医薬または非医薬産物のようないずれかの産物用の添加物としても使用することができる。汚染の可能性のある産物からのエンドトキシンの中和および/または除去は、エンドトキシンがその産物と直接または間接に接触する生物を害する可能性がある状況で非常に有益である。
【0047】
産物中でのエンドトキシンの中和および/または微生物増殖の阻害のために、産物をポリペプチドまたは上記で詳細に記載した機能性変異体と接触させる。産物とポリペプチドとは、多くの方法で接触させることができる。その方法は、限定するものではないが、浸漬、噴霧、混合、吸着、蒸気への曝露を包含し、これは特定の産物の特性に依存する。
【0048】
本発明方法は種々の産物の処理に有用である。生物学的産物(本明細書中、生物学的生物またはプロセスに由来する産物と定義する)は特に微生物およびエンドトキシンでの汚染の危険がある。生物学的産物の例としては、限定するものではないが、食品産物、組織、生細胞、なんらかの他の体液、薬物または他の分子調製物としての生細胞、血液もしくはその成分由来の産物が挙げられる。非生物学的産物(本明細書中、生物学的生物またはプロセスに直接は由来しない産物と定義する)、例えば、ガラス産物、手術用品、合成薬または他の分子調製物も処理することができる。本発明の有効利用のために、処理しようとする産物はそのようにして適用されるポリペプチドの全量のエンドトキシン中和化活性を完全に不活化する活性を有するべきではない。エンドトキシン汚染または微生物増殖の予防または阻害が一般に所望されるいずれかの産物に、本発明のポリペプチドを添加、組合せ、噴霧、接着、被覆、吸着、化学的架橋または注入することができる。あるいは、本発明のポリペプチドを産物がその上を通過する表面上に固定化して、産物におけるエンドトキシンの除去または微生物増殖の阻害をすることができる。エンドトキシン中和化ポリペプチドで処理され、それを保有する産物をさらに使用して、それが接触させられる別の産物を処理することができる。
【0049】
本発明の別の態様は、個体におけるLF宿主防御ポリペプチドのインビボ産生の誘導である。下記実施例に示す証拠は、LFの6kDa宿主防御ポリペプチドフラグメントがアスパラギン酸プロテアーゼカテプシンDでの消化によって産生されること、およびこの消化に対するLFの感受性がポリアニオンへの暴露に際して増加されることを示す。これらの知見は、ポリアニオン(例えば、ヘパリン、グリコサミノグリカン、核酸またはデキストラン硫酸)の患者への曝露が、カテプシンDまたは関連する酵素によるLF(内因性LFまたは投与したLFのいずれか)からの6kDaポリペプチドの産生を増加させることを示す。あるいは、カテプシンDまたは6kDaポリペプチドのインビボにおける生成に関与する他のプロテアーゼの全体的な濃度またはタンパク質分解活性の増加も、ポリペプチドのインビボにおける産生を増加させる。
【0050】
これもまたLFから6kDaフラグメントを切断し得る他のアスパラギン酸プロテアーゼは、限定するものではないが、カテプシンE、レニン、およびHIVのアスパラギン酸プロテアーゼを包含する。これらのプロテアーゼはpH3.5〜5で最適に機能する。それゆえ、LFからの6kDaポリペプチドの生成に関与するプロテアーゼの隣接環境のpHをプロテアーゼ活性に至適なレベルに調節すると、LFからのポリペプチドのインビボにおける産生が増加する。
【0051】
本発明の別の態様は、LF宿主防御ポリペプチドおよび機能性変異体の隣接環境のイオン強度の操作による、このポリペプチドの抗微生物活性およびエンドトキシン中和化活性の増強である。本発明のポリペプチドの活性は隣接環境のイオン強度によって影響され、下生理学的(sub-physiologic)イオン強度が最適であるので、ポリペプチドの隣接環境を調節することは活性に効果をもたらす。
【0052】
下記実施例のセクションに示す結果は、本発明のポリペプチドが、200mM NaCl未満(最適活性は試験した最低濃度である50mM NaClで観察された)のイオン強度で微生物の増殖を阻害するように機能することを示す。これらの結果は、本発明のポリペプチドが、感染性微生物またはエンドトキシンに曝露されるいずれかの処置を、低下したイオン強度の条件下(例えば、下生理学的イオン強度溶液中でのまたは感染の近傍の組織液の塩濃度の希釈を引き起こすいずれかの薬物(例えば、局所作用利尿薬)との組合せでのポリペプチドの投与によって達成される)で行うことが、ポリペプチド処方物の効力を有意に増加させることを示す。この線で、ポリペプチドの変異体を、超生理学的(super-physiological)イオン強度において活性なままであるように設計することができる。例えば、塩基性残基の一方または両方のクラスター内の正電荷のアミノ酸の数を増加させることによって、またはポリペプチド内の負電荷の残基の総数を減少させることによって、変異体ポリペプチドの塩阻害を低減させることを予測できる
【0053】
実施例
LFからの宿主防御ポリペプチドのインビボ生成
LFは、非常に、タンパク質分解に抵抗性であり(R. D. Brines and J. H. Brock, Biochim. Biophys. Acta 759: 229-35(1983))、炎症中のインビボのプロセッシングについてほとんど知られていない。そこで、炎症を起こしたヒト組織を、小(例えば、<12kDa)ポリペプチドとしての末端ドメインの存在について試験した。成人LFのN末端17残基に特異的な抗体を使用して、深い気管支咳(deep bronchial cough)を有する個体からの痰および感染したヒト皮から取得した化膿性滲出物(「膿」)のイムノブロットを探索した。これは、LFのN末端ドメインが、試験したすべての滲出物において低分子量ポリペプチド(Mr-6000-8000)として存在するとして同定した。サンプル6kDaポリペプチドの標準のそれとの免疫染色強度の走査濃度測定の比較によれば、このフラグメントは1−10μMで滲出物中に存在したことを示唆している。N末端ポリペプチドは、歯肉のプラークまたはヒト唾液中に検出されなかったが末端ポリペプチドは、ヒト痰中にも検出された。いくつかの組織サンプルにおいて、N末端ドメインを含む中間サイズ(例えば、10−20kDa)のポリペプチドを、少数構成要素として検出することができた。これは、遊離されたドメインの不完全なプロセッシングの結果のようである。これらのデータは、炎症性事象中にインビボでLFの抗微生物性ドメインが遊離し、それが組織中で小ポリペプチドとしてインタクトのままであることの第1の直接的な証拠を提供している。
【0054】
活性化した白血球はLFからN末端6kDaドメインを放出する
ほとんどの微生物感染の証明は、プロフェッショナル(professional)食細胞による浸潤であるから、これらの細胞を、LFから抗微生物性ドメインを遊離する能力について試験した。単球および好中球の最初の共生培養を活性化し、好中球由来LFのプロセッシングについて試験した。ヘパリン結合分子を合わせた細胞抽出物から単離し、培養遊離物(releasate)を、FMLPによって共生培養し活性化した最初のヒト好中球および単球から取得した。抗LFの末端ポリペプチド抗体でのこれらのイムノブロッティングは、タイトな間隔の(tightly spaced)6−8kDaの二重物(doublet)を検出し、活性化した食細胞による好中球由来LFから生成した抗微生物性ドメインに対応していた。活性化の前に、好中球において免疫反応性ポリペプチドは検出できなかった。このことは、タンパク質分解遊離が好中球脱顆粒に続いて起こったことを示している。このことは、活性化した食細胞が、ヘパリン結合機能を保持する小ポリペプチドとしてN末端ドメインを遊離することを確認した。同数の好中球から取得したインタクトなLFの比較により、かなりの割合のタンパク質は、活性化した共生培養によってプロセッシングされたことが明らかとなった。対照は、ペプシノリシス(pepsinolysis)によって精製したLFからの6kDaポリペプチドとして遊離した抗生ドメインおよびヒト初乳からのヘパリン−精製されたポリペプチドを含んだ。たとえこれが非常に高濃度のLF(−5−7mg/ml)を含むとしても末端ポリペプチドは、ヒト初乳に検出されなかった(Sanchez et al., Arch. Dis. Child. 67: 657-61(1992))。このことは、それは自発的に生成されないことを示している。むしろ、このプロセッシングは、炎症性事象に応答して起こるようである。
【0055】
別々に単球および好中球を培養し活性化し、どのタイプの食細胞がN末端LFポリペプチドを遊離することができるか決定した。これらの実験について、単球を外生的に精製したミルクLF(50μg)で補足した。なぜなら、それらは内生LFを有しなかったからである。培養培地を細胞を抽出する前に洗浄剤で除去し、次にヘパリン結合分子を両方のフラクションから別々に分離し、イムノブロッティングした。6kDaの抗微生物性ドメインを、両方の細胞タイプからの培養培地および細胞抽出物において検出した。これらの結果は、両方の細胞タイプがLFから抗微生物性ドメインを遊離することのできることを示す。両方の培養において、抗微生物性ドメインが、細胞抽出物のみならず細胞外に検出された。単球によって生成したほとんどのフラグメントは、可溶性というよりむしろ細胞付随性のままであった。一方、逆のことが好中球に当てはまった。2個の細胞タイプにおける細胞外および細胞区画の間のこの特異な分布の意義は、好中球遊離LFが、炎症性部位に到着したときに、好中球由来プロテアーゼによって細胞外に、単核の食細胞によって細胞内に切断される(後者による内在化に続いて)というモデルと矛盾しない(Britigan et al., J. Immunol. 147: 4271-7(1991); Courtoy et al., Lab. Invest. 50: 329-34(1984))。これらの研究は、プロフェッショナル食細胞が、抗微生物性ドメインをLFから遊離することができ、したがって、感染した組織において検出されるN末端ポリペプチドを生成する原因となり得ることを示している。
【0056】
リソソームプロテアーゼカテプシンDによるLF由来6kDaポリペプチドの放出
プロテアーゼが応答しN末端ドメインを放出し得るように確立するため、幾つかのプロテアーゼによるLFプロセッシングは、炎症または細菌感染に関し、そのプロテアーゼには、エラスターゼ、カテプシンGおよびD、マトリクスメタロプロテイナーゼが含まれ、およびS. aureus由来の“V8”プロテアーゼを試験した。これらの、カテプシンDのみ、食細胞中に豊富なリソソームプロテアーゼ(Bever et al., Inflammation 13: 309-16 (1989); Levy et al., Infect. Immu. 57: 1632-4 (1989))は、小さなヘパリン結合性ポリヌクレオチドとしてインタクトなN末端を遊離し得た。鉄飽和性または鉄不含有LFの何れかを少量のカテプシンD(1/200th、w:w)に5分ぐらいの短い期間暴露することにより末端ペプチド特異的抗体を用いる免疫ブロット分析による検出可能なN末端6kDaポリペプチドを生じた。このポリペプチドの蓄積の増加は、カテプシンDに対しより長期間暴露することになり、ポリペプチドの存在から、安定が維持され、少なくとも3日間の更なる崩壊に耐性となる。精製6kDaポリペプチドのN末端シーケンシングは、成熟LF分子中のGly−1に相当する単一アミノ末端を示した。MALDIマススペクトル分析は、分子質量5741Daを示し、Gly−1から始まりAla−49に終わるLFポリペプチドで予想される5744Daの値に近かった。まとめると、これらの結果から、カテプシンDは、ポリペプチドとしてLFのN末端ドメインを放出し、他の宿主防御ポリペプチドに生化学的および構造的に類似する特徴(H.G. Boman, J. Marsh, and J.A. Goode, Eds., Antimicrobial Peptides, (John Wiley & Sons Ltd., New York, NY 1994); Hoffmann et al., Curr. Opin. Immunol. 8: 8-13(1996); Martin et al., J. Leukoc, Biol. 58: 128-36 (1995); T. Ganz and R.I. Lehrer, Curr. Opin. Hematol. 4; 53-8 (1997))により、微生物増殖が阻害されると予想される。
【0057】
カテプシンDによる6kDaLFフラグメントの遊離におけるpHの効果
カテプシンDは、食細胞および他の細胞型のリソソーム中に見られる主要な崩壊性プロテアーゼである。細胞により飲食されるか、食菌されるタンパク質を切断し、その後、細胞の低pHリソソームコンパートメントへと送達される。多くのリソソームプロテアーゼのように、カテプシンDは、最適化酸性pH(pH3.5)によりタンパク質分解的に作用(Tang, J. and Wong, R.N.S., J. Cell. Biochem. 33: 53-63 (1987))し、典型的なリソソームのそれよりもいくらか低い(pH4.5−5.0)(Shoji Ohkuma and Brian Poole, Proc. Natl. Acad. Sci. 75: 3327-3331 (1978))。実験は、異なるpHでカテプシンによるLF由来6kDaポリペプチドの遊離を比較することにより行った。
【0058】
ヒトミルクから精製したヒトLFを、pH3.5、4.0、4.6、5.0または7.4のいずれかでカテプシンDで消化した。消化後、当該サンプルを、非還元条件下、トリスグリシンSDS−PAGEにより電気泳動した。次いで、分画生成物を、6kDaポリペプチドの最初の17アミノ酸を含むポリペプチドのみを特異的に認識するウサギポリクローナル血清で免疫ブロットした。当該分析では、pH3.5、4.0、4.6または5.0のいずれかでカテプシンDとインキュベーションしたLFサンプル由来の6kDaポリペプチドとほぼ同じ大きさの位置に移動したバンドが同定された。しかし、6kDa生成物は、pH7.4インキュベーションからは検出されなかった。これらの結果から、6kDaポリペプチドの放出は、下生理学的(sub-physiological)pHで有意に増加することが示された。
【0059】
ヘパリンへのLFの結合により、リソソームpHで6kDaフラグメントを遊離するカテプシン能が非常に高まる
ポリサッカライドの1つの機能は、プロテアーゼによる攻撃に対する耐性をタンパク質に供与することであると考えられている。LFが陰イオン性ポリサッカライドに結合し、この結合は、そのアミノ末端の33残基を仲介するため(Mann et al., J. Biol. Chem. 269: 23661-23667 (1994))、実験は、ポリサッカライドヘパリン、カテプシンDによるタンパク質分解から天然にLFを保護し6kDaLFポリペプチド放出を減少するモデルポリアニオンのいずれかの決定を行った。
【0060】
LFを、1時間か24時間のいずれか、10倍モル過剰のヘパリンの存在下または非存在下のいずれかにおいてpH5においてカテプシンDで消化した。消化の生成物を、SDS−PAGEによる非還元条件下で分画し、プローブとしてLFタンパク質の最初の17残基に特異的な抗体を使用し免疫ブロット分析した。有意に、より高い量の6kDaポリペプチドを、ヘパリンの非存在下でインキュベーションしたサンプルに対し、カテプシンDおよびヘパリンを含むサンプルから検出した。LFのインキュベーションの同様の免疫ブロット分析は、カテプシンD非存在下またはペプスタチンA存在下で行い、カテプシンD阻害剤では、6kDaフラグメントを同定し損ねた。これらの対照から、増加した崩壊は、カテプシンDが原因であり、ヘパリン製剤中の汚染プロテアーゼが原因ではないことが示された。これらの結果から、カテプシンDによるLF由来の6kDaポリペプチドの放出は、ヘパリンのようなポリアニオンの存在下劇的に増加することが示された。この驚くべき結果は、予想したものとは逆であった。この結果の説明は、既知でないが、カテプシンDのようなアスパラギン酸プロテアーゼの最適条件を生ずる低pH(多くの酸性官能基が原因となる)の微環境を供するポリアニオンに関し得る。これらの発見から、LF由来の6kDaフラグメントの放出は、グリコサミノグリカンまたは核酸のようなポリアニオンの存在によりインビボで促進されるようであることが示される。
【0061】
カテプシンDによって遊離された6kDaのLFフラグメントは、ペプシンによって遊離された類似フラグメントよりも、より有効な抗微生物性物質である。
カテプシンポリペプチドの抗微生物性活性を、臨床分離株、E. coli 0111について試験した。微生物の増殖を、−1−5μMポリペプチドの最小抑制濃度(MIC)でありそして100μMで細胞増殖中10000倍の減少を超える生理学的イオン強度で抑制し、ここで生CFU類の数はもとの接種材料の半分以下であった(2.14×10から8.8×10 FU/ml)(図1)。そのため、LFの6kaカテプシンフラグメントは、少なくとも12の他の天然抗微生物性ポリペプチド類と同等の効力であり(H. G. Boman, J. Marsh, and J. A. Goode, Eds., antimicrobial Peptides, (John Wiley & Sons Ltd., New York, NY, 1994))、そして殺菌剤として作用可能である。カテプシンDから遊離された抗微生物性フラグメントは、ペプシンから遊離されたものより、細菌に対して10倍を超える効き目があり、ここで後記のMICは11−33μMの間であり、ペプシン性のフラグメントについての既報告の18μMの値とほぼ一致する値である(Bellamy et al., Biochim. Biophys. Acta 1112: 130-6 (1992))。100μMポリペプチドにおいて、ペプシンで処理した地中での生細菌数は、カテプシン性のフラグメントによるものと比べて、1000倍以上多い(図1)。この効能の相違の根拠は、6kDaドメイン中の2つのジスルフィド結合の間で起こる、別の、本質的なペプシンの開裂に関連するであろう(Mann et al., J Biol Chem. 269: 23661-7(1994); Bellamy et al., Biochem Biophys. Acta 1121: 130-6 (1992))。
【0062】
LFから抗微生物性ポリペプチドを作成するカテプシンDの有効性は、幾つかの理由によって有意である。これは、キモシン、レニン、HIV-1 プロテアーゼおよびペプシンを含む、アスパラギンファミリーのプロテアーゼのメンバーであり(K. Takahashi, Ed., Aspartic Proteinases: Structure, Function, Biology, and Biomedical Implications (Plenum Press, New York, 1995))、そしてペプシンと類似する構造的特徴およびpH必要性を有するが、一般に全細胞のリソソーム区画でみられ、そしてプロフェッショナル食細胞に富む点で、カテプシンDはこれらのプロテアーゼと性質が異なる(J. Tang and R. N. S. Wong, J. cell. Biochem. 33: 53-63 (1987))。カテプシンDは、また細胞外分子として分解可能な活性プロテアーゼとして、細胞から分泌され、適切な酸性環境下で存在するものとして提供される(Briozzo et al., Cancer Research 48: 3688-3692 (1988))。さらに、これは炎症性組織中で豊富であり(S. Bazin and A. Delaunay in Inflammation, Biochemistry and Drug Interaction, A. Bertelli and J. C. Houck, Eds., (Excerpta Medica., Amsterdam, 1969), pp 21-28)、そして医薬的に活性な他のポリペプチド類の調製において重要であることが知られている(L. M. Greenbaum in proteases and Biological Control, E. Reich, D. B. Rifkin and E. Shaw, Eds. (Cold Spring Harbor Laboratory, New York, 1975), pp. 223-228)。このインビボ分布および機能、ならびにLFを処理するこの特異的能力の点から、カテプシンDは、この防御ポリペプチドの炎症反応生成における機能に特徴的に適する。
【0063】
唾液中にLFカテプシンポリペプチドが豊富に存在することは、肺の炎症または感染において重要な機能を有し得ることを示す。抗微生物性ポリペプチドは上皮由来LFの細胞処理手続によって調製することができる所見をひとまとめにして考えると、唾液中の存在量は、好中性介在免疫と同様に粘膜免疫において、それに対応するポテンシャルとも一致している。
【0064】
LFの最初の33個のアミノ酸に対応するポリペプチドによる細菌増殖阻害
先の研究により、LFのN末端6kDaポリペプチドフラグメントがグリコサミノグリカン結合部位として機能すること、そしてLFのグリコサミノグリカン(GAG)結合活性はポリペプチドのN末端の33個のアミノ酸の中に含まれることが示された。この33量体は、正電荷の(塩基性の)残基の2つのクラスターを含み、これらはGAG相互作用に必須であると考えられている。ラクトフェリンの7〜33アミノ酸に対応する27量体(これはLF中の塩基性残基の最初のクラスターを欠くが第2のクラスターは含んでいる)は、GAGへの弱い結合のみを示した。LFの1〜27アミノ酸に対応する27量体(これは塩基性残基の第2のクラスターを欠く)もまた、両方の塩基性クラスターを含む33量体よりもGAGへの弱い結合を示した(Mannら、J Biol Chem.269:23661−23667(1994))。
【0065】
(ペプシン消化から作製した)6kDaのLFポリペプチドのGAG結合活性に関連する分子領域が本発明の6kDaポリペプチドの抗微生物活性にも関連しているかどうかを調べるため、LFのN末端アミノ酸に対応する種々の長さのポリペプチドを大腸菌0111の増殖阻害能力について試験した。オーバーナイト培養物を、7時間のタイムコースにわたり、LF、LFの1〜33アミノ酸に対応する33量体、LFの7〜33アミノ酸に対応する26量体、LFの1〜27アミノ酸に対応する27量体のいずれかの存在下(50μM)で増殖させた。33量体は、タイムコース全般にわたり、これらの培養物の増殖を完全に抑制した。対照的に、LFは一過的な増殖抑制効果のみを有していた(図2)。このことは、LFおよび33量体が異なる機構を介して細菌増殖を抑制することと一致する。33量体ではなくインタクトなLFの増殖阻害効果は、タンパク質を鉄で飽和させることにより破壊することができ、このことはLFの主な作用様式が細菌の鉄飢餓を介するものであることを示唆している。33量体対LFについての動力学的データにおける差異は、33量体がインタクトなタンパク質の中に存在しているにもかかわらず33量体の活性が示され得ないことを示唆する。26量体および27量体が培養物の増殖を阻害し得ないことは、N末端LF配列由来のポリペプチドの抗微生物機能性のためには、33量体の末端に塩基性残基の両方のクラスターを保持することの重要性を強調する。また、これらの結果は、先に報告したLF中のGAG結合の原因であるアミノ酸がペプシン由来の6kDaのLFフラグメントについて先に観察された抗微生物活性の原因であり得ることを示す。
【0066】
2つの塩基性クラスターを伴うポリペプチドと伴わないポリペプチドとの抗微生物活性用量応答の比較
両方の塩基性クラスターを含む上記の33量体の活性と、1つの塩基性クラスターのみを含む上記の27量体の活性とを比較するため、これら2種のポリペプチドの種々の用量での存在下で、大腸菌培養物を5時間、増殖させた。図3に示されるように、GAG結合33量体は、2〜5μMの最小阻止濃度(MIC)で細菌の増殖を阻害した。対照的に、27量体は、(200μMもの高い濃度でさえも)増殖を阻害しなかった。このデータは、33量体による細菌増殖の阻害が塩基性残基のインタクトな第1のクラスターを必要とし、そして阻害が用量依存性であることを示す。
【0067】
6kDaのLFポリペプチドの抗微生物活性に対するイオン強度の影響
天然に存在する多数のカチオン性宿主防御ポリペプチドの抗微生物作用における第1の段階は、微生物表面の負電荷部位との弱い静電相互作用を介した、微生物の表面へのポリペプチドの結合に関連していると考えられている。このことは、これらの宿主防御ポリペプチドの多数が、第1段階の結合が阻害されるような上昇したイオン強度条件下では、微生物標的に対して作用し得ないという知見と一致する。このタイプの宿主防御ポリペプチドの防御特性の減弱は、生理学的には、塩蓄積が生じる特定の組織(正常な腎臓または膀胱、あるいは嚢胞性線維症を有する患者の肺)で起こる感染に関連している。抗微生物LPポリペプチドフラグメントの代表物のイオン強度の上昇に対する抗微生物活性の感受性を規定した。
【0068】
図4に示すように、実験の結果は、6kDaポリペプチドの増殖阻害活性はイオン強度が上昇するに従い減少し、NaCl濃度が生理学的な濃度を超える50mMまで上昇した場合(イオン強度は200mM NaCl以上である)に活性が本質的には失われることを示している。逆にいうと、下生理学的度では、ポリペプチドは、生理学的な塩濃度での場合よりも細菌増殖阻害という点では有意により強力である。例えば、イオン強度を150mM NaClから50mM NaClまで減少させることにより、それに暴露した後の生存細菌の数は約10,000分の1に減少する。
【0069】
これらの結果は、いくつかの理由から重要である。第1に、これは代表的な抗微生物ポリペプチドの、イオン強度における微妙な変動に対する繊細な感受性をしめし、ポリペプチドがなんらかの(未知の)微生物標的分子(おそらくLPS)との静電相互作用を必要とする機構を介して微生物増殖を阻害することを示唆する。第2に、これらの結果は、LF由来宿主防御ポリペプチドそして本来の(野生型の)配列のおそらく他の外来性宿主防御ポリペプチドが、嚢胞性線維症を有する患者を肺感染から防御し得ない可能性を強調する。これは、これらの患者における肺表面液は、正常な肺の50〜100mM高い塩化物イオン濃度であると報告されており、これらのポリペプチドはこのイオン強度では抗微生物活性がほとんどないか、抗微生物活性がないことの原因である。
【0070】
6kDaのLFポリペプチドおよび33-量体は細菌膜透過性を上昇させる
本発明のポリペプチドの他の公知の抗微生物性ポリペプチド(ヒト防御HNP−1およびHNP−2、ウシ気管抗微生物性ペプチド(TAP)、ブタプロテグリン(protegrin)および他のもの)に対する生化学的および構造的類似性は、LFのこのドメインが、細菌膜の透過特性に損傷を与えることにより細菌増殖を阻害するように働き得ることを示唆した。この仮説を試験するため、本発明のポリペプチドのリファンピシン効力を上昇させる能力を試験した。リファンピシンは、低い膜透過性を有するが、サイトソル内に侵入した際には有効に細菌細胞を殺傷する低分子量の薬剤(<1kDa)である。
【0071】
大腸菌培養物を、最適用量の上記ポリペプチドの存在下または非存在下で、最適用量のリファンピシンに暴露し、6時間インキュベーションした時点でCFUを測定した(図5)。最適用量のリファンピシンの増殖阻害効果は、低用量の本発明の抗微生物性ポリペプチドと組み合わせて投与した場合に劇的に上昇した。例えば、リファンピシンに暴露した培養物への活性用量の6kDaポリペプチドの添加(5μM)は、6時間の増殖期間の後に得られた生存細菌数を、3桁よりも高い度合いで減少させた。負の対照である27量体ポリペプチドがリファンピシンの抗微生物活性に対して顕著な効果を有さない一方で、33量体は、6kDaポリペプチドと同様に、抗微生物性を強化させた。33量体とリファンピシンとの相乗作用は、リファンピシン処理単独の場合のおよそ1%の生存細菌を生じた。同様の強化効果は、抗生物質であるイソニアジドを用いても観察された。このことは、本発明のポリペプチドが、少なくとも部分的には微生物の外膜を損傷することにより機能することを示す。
【0072】
また、これらの結果はポリペプチドの他の抗微生物薬物(特に従来的な抗生物質)の抗微生物活性を強化する能力を実証する。これは、ポリペプチドが特定の型の抗生物質耐性微生物を抗生物質感受性表現型に変換するために使用することができることを示している。例えば、進化した抵抗性が原因で、実務上の濃度でどちらかといえば有効ではない抗生物質を、本発明のポリペプチドと組み合わせて投与することにより効き目のあるものとする。
【0073】
LF由来ポリペプチドによるインビトロおよびインビボでのエンドトキシンの中和
先の研究により、ヒトLFのN末端33個の残基が、グリコサミノグリカンに対するタンパク質の結合を媒介する最小配列を表すことが実証された(Mannら、J.Biol.Chem.269:23661-7(1994))。この配列は、カチオン性のヘッド部(head)(1〜6残基)およびテイル部(tail)(28〜33残基)を含み、これらは結合してグリコサミノグリカン結合部位を形成する。この研究において、LF−33と命名した合成ポリペプチド(これは分泌型ヒトLFの最初の33個の残基に対応する)のエンドトキシン中和能力を評価した。
【0074】
エンドトキシン誘発性リムルス遊走細胞溶解凝固の阻害
エンドトキシン誘発性リムルス遊走細胞溶解(LAL)凝固のペプチド媒介性阻害を、感受性の高いLALアッセイを用いて測定した(Zhangら,J.Clin.Microbiol.32:416〜422(1994))。リムルスELISAはエンドトキシンによるLAL凝固の活性化、およびポリペプチドに対するモノクローナル抗体を用いて作製したペプチド−C免疫反応性の測定に基づくエンドトキシンアッセイである。エンドトキシンは、LAL酵素を活性化する能力を失った場合に中和化されていると定義した。50%エンドトキシン中和濃度(ENC50)は抗エンドトキシン薬物の有効性を反映する;低いENC50は高い有効性を示す。表2は、リピドAおよび4つの異なるタイプのLPSに対する各エンドトキシン薬物の測定したENC50値を列挙する。各々の抗エンドトキシン薬物の有効性は、エンドトキシンの型に依存して変化した。LF−33は、試験したエンドトキシンの全ての型を中和するモル濃度を基準とすると、ポリミキシンBよりも強力であった。対照的に、LF−27は、リピドAおよび大腸菌LPSを中和する濃度ではLF−33のおよそ10分の1の強度であり、そして他の3つのLPSに対しては検出可能な活性を有さなかった。LF−33の配列とLF−27の配列とのただ1つの差異は、LF−27がLF−33のN末端の最初の6残基(GRRRRS)を欠いているということである。注目すべきことに、この欠損は、このアッセイにおけるポリペプチドのエンドトキシン中和能力の劇的な減少を導いた。血清タンパク質のエンドトキシンに対する結合は、このアッセイにおいて、エンドトキシンを活性化LALから妨げることによりエンドトキシン活性を中和する(Emancipatorら、Infect.Immun.60:596−601(1992))。ヒト血清は、種々の程度のエンドトキシン誘発性LAL凝固の阻害を示したが、リピドAに対しては効果を有さなかった(表2)。
【0075】
【表2】
Figure 2002541066
【0076】
LFポリペプチドによる、LPSのリピドA部由来のエンドトキシン活性の中和
LPS分子のリピドA部領域は、LPSの炎症影響、および毒性影響に対してに応答する。LPSが微生物から放出されると、リピドA部はより利用され得る。多数のアミノ末端のLポリペプチドがLPSのリピドA部のエンドトキシン活性を中和する能力を決定するのに、以下のアッセイを行なった。LF、LFの6kDaフラグメント、LF−33,LF−27およびポリミキシンBを各々、LALアッセイを用いて、E.Coli 0113由来のリピドA(30ng/mL)のエンドトキシン活性を中和する能力について調べた。これらの実験の結果を図6に示す。LFはリピドAを中和する十分な活性を示さないが、6kDaのLFフラグメント、LF−33およびLF−27は、同程度ではあるが全く同一ではない効能でリピドAを中和した。これらの各々をポリミキシンB(これは、該分野の標準である)の効能と比較することができた。このことは、LF−27(これは、1だけの塩基性アミノ酸を有する)が、LPS中の大きく、バルキーなオリゴ糖部が欠損しているエンドトキシンの形態を中和するのに、塩基性アミノ酸の2つのクラスターを含有するポリペプチドと同じくらい強力であることを示す。27量体がより容易に利用され得るリピドA尾部を中和するというこの観察された能力は、33量体の末端にある電荷の残基のクラスターが、LPSのオリゴ糖部の負イオン部位またはリピドAの頭部基と結合するが、2つのクラスターを架橋している疎水的な介在配列が、リピドA領域と結合するためにそして症の活性を中和するのに非常に重要であることを示している。LFのより小さいフラグメントにおけるエンドトキシン活性は、インタクトなLF分子の場合では、これらの小さなポリペチドのエンドトキシン中和活性がマスクされることを示している。
【0077】
LF−33による、エンドトキシン誘発性TNF−α分泌の抑制
マクロファージセルラインRAW264.7によるエンドトキシン誘発性TNF−α分泌の抑制についてもまた測定されている(Kelly et al., Infect.Immun.,59:4491-6(1991))。RAW264.7細胞は、エンドトキシンに暴露させると、TNF−αを分泌する(M.R.Ruff and G.E.Gifford, Lymphokines2:235-272(1981))。TNF−αの分泌とエンドトキシン濃度との比例関係は、本研究で使用するリピドAと多数のLPSに対してエンドトキシンの濃度が20ng/mlより低い場合に観察を行ない、エンドトキシンの濃度が10ng/mLTNF−α誘発実験から選んだ。LF−33の濃度を増加させながら、それをエンドトキシンと混合することにより、エンドトキシン誘発性TNF−α分泌量の用量に依存する抑制が生じた(図7)。LALアッセイの結果と同様に、LF−33の効能はエンドトキシンの種類に応じて変わった。エンドトキシン(10ng/mL)誘発性TF−α分泌の50%を抑制するのに必要なLF−33の濃度は、E.Coli LPSおよびリピドAの場合には約0.01μMであり、P.aeruginosa由来のLPS場合には0.1μMであり、S.abortus equiおよびN.meningitidis由来のLPSの場合には0.5μMである。LF−27、ポリミキシンBおよびヒト血清がエンドトキシン誘発性TNF−α分泌に及ぼす影響について、比較例として表3に示す。異なるタイプのエンドトキシンによって誘発されるTNF−α分泌を抑制する際に、LF−33はポリミシンBよりもわずかに高い効能を示したが、一方で等モル濃度のLF−27または10%ヒト血清は、エンドトキシン誘発性TNF−α分泌に対しては全く効果なかった。
【0078】
表3:RAW264.7細胞+による、エンドトキシン誘発性TNF−α分泌における抗エンドトキシン薬物による抑制
【表3】
Figure 2002541066
不対t−検定においてLPS対照と比較して、片側P値が<0.05である。
+エンドトキシンを、RAW264.7細胞に暴露させる前に、表中に示す濃度の試験薬物と一緒に37℃で1時間インキュベーションした。
【0079】
LF−33によるエンドトキシン誘発性TNF−α分泌の抑制に対してヒト血清が及ぼす影響
より生理学的な条件下で、エンドトキシン誘発性TNF−α分泌の抑制を調べるために、LF−33またはポリミキシンBを、エンドトキシンを加える前に、ヒト血清に加えた(最終濃度は10%)。表4に示す通り、血清の影響はLF−33の濃度を増加することによって克服することができるにも関わらず、ポリペプチドの抑制効果は10%ヒト血清の存在下では実質的に減少した(表4および図8)。しかしながら、血清を加える前に、ポリペプチドをエンドトキシンと5分間、混合するならば、ポリペプチドによるエンドトキシンの中和に対して血清が及ぼす影響は、非常に減少した(表5)。
【0080】
表4:10%ヒト血清を含有する培地中での、RAW264.7細胞による、エンドトキシン誘発性TNF−α分泌における抗エンドトキシンポリペプチドによる抑制
【表4】
Figure 2002541066
不対t−検定においてLPS対照と比較して、片側P値が<0.05である。
+エンドトキシンを、RAW264.7細胞に暴露させる前に、10%ヒト血清を含有する培地中で、表中に示す濃度のポリペプチドと一緒に37℃で1時間インキュベーションした。
【0081】
表5:10%ヒト血清を含有する培地中での、RAW264.7細胞による、エンドトキシン誘発性TNF−α分泌における抗エンドトキシンポリペプチドによる抑制:血清と混合する順序の効果
【表5】
Figure 2002541066
不対t−検定において対照と比較して、片側P値が<0.05である。
**不対t−検定において「1番目が血清」である表示した群と比較して、片側P値が<0.01である。
【0082】
ガラクトサミン感作マウスモデルにおける、エンドトキシン誘発性の死亡率および血清TNF−αレベルに対するLF−33が及ぼす影響
マウスはエンドトキシンに対して典型的に耐性である。しかしながら、エンドトキシンに対するマウスの感受性は、肝臓に特異的なインヒビターであるガラクトサミンと一緒に注入することによって、1000倍よりも大きく増大することができる(Freudenberg M.A., and C.Galanos, Infect.Immun.59:2110-2115(1991);Galanos et al., Proc.Natl.Acad.Sci.USA 76:5939-5943(1979))。インビボモデルにおけるこの本質的な特徴は、全身放出性のTNF−αが、TNF−α媒介肝細胞の死による肝臓の損傷(これは、死亡率を測定することによってスコアすることができる)を引き起こすことである。動物当り、E.Coli LPSの125ngを腹膜内注入することにより、ガラクトサミン感作マウスにおいてはほとんど100%の死亡率が誘発された。表6に示す通り、エンドトキシン誘発性の亡率は、LF−33を注入することによって著しく低下した。少量のLF−33(動物当り、2.5μg)をエンドトキシンと同時に注入した場合には、死亡率は93%(15中、14が死亡)から6%(15中、1が死亡)まで低下した。加えて、エンドトキシンの腹膜内注入(i.p.)の10分後に、LF−33を筋肉内注入(i.v.)することによっても、死亡率は有意に減少した(表6)。但し、40倍より多い量のLF−33を必要とした。該保護する作用は、マウスの血清TNF−αレベルの低下と関連した(表6)。
【0083】
表6:ガラクトサミン感作マウスモデルにおける、LPSによる死亡率から、LF−33によって動物を保護する作用
【表6】
Figure 2002541066
群(1)〜(4)の場合には、全物質をi.p.注入した。一方、群(5)および(6)の場合には、LPSおよびガラクトサミン(マウス当り、15mg)をi.p.注入するが、LF−33をLPS注入の10分後にi.v.注入した。マウスの系統はNIH/Swiss(マウス当りの重量は20〜22gである)。マウス当りのi.p.およびi.v.の全量はそれぞれ、0.5mLおよび0.2mlであった。
**フィッシャー直接確率検定において群(3)と比較して、片側P値が<0.01である。
***不対t−検定において群(3)と比較して、片側P値が<0.01である。
【0084】
ガラクトサミン感作白血球減少症マウスモデルにおける菌血症致死に対するLF6kDaカテプシンフラグメントの影響
細菌感染に対する宿主防御におけるLF6kDaポリペプチドの最大保護ポテンシャルを、急性ガラクトサミン感作白血球減少症マウスモデル系において試験することによって測定した(Bucklin et al.,J.Infect.Dis.174:1249−1254(1996))。このモデルでは、マウスを白血球減少症にし、内因性宿主防御系を抑制し、次いでガラクトサミン処理によってグラム陰性エンドトキシンの影響に対して感受性にし、致死腹腔内用量の大腸菌を注入した。データ(図9に示す)はヒトLFの6kDaカテプシンフラグメントを同時に注入(100μM i.p.)すると、感染動物の生存率が、非処理動物における10%からポリペプチド処理された動物における70%に劇的に増加することを示している(フィッシャー直接確率検定を用いて片側P値<0.01)。致死からのこの劇的な救済はインビボにおけるポリペプチドの保護ポテンシャルを説明するものであり、これはその組み合わされた抗微生物性および抗エンドトキシン性によるものである可能性がある。この結果はこのポリペプチドが治療薬物としての有意な有用性を有することを示す。
【0085】
抗微生物ポリペプチドの抗放線菌活性
放線菌(ミコバクテリウム)属の細菌には、M.tuberculosis,M.smegmatis,M.leprae,M.bovisおよび他のものが含まれる。これらの微生物は人類史上最も恐れられている疾患のうち2つ;結核およびハンセン病の原因である。放線菌は、脂質含量に富む複雑な化学組成を有する非常に厚い細胞壁を有し、これがこれらの微生物に独特な性質、特に多くのタイプの抗生物質に対する有意な耐性を付与している。LF由来ポリペプチドが放線菌の増殖を阻害するかどうかを測定する実験をおこなった。M.smegmatisの等密度の培養を、LF−33(50μM最終濃度)の存在または不存在下で16時間増殖させ、得られた生存細胞を測定した。結果(表7に示す)はLF−33の存在により平均94%の殺生を示した。補足的実験では、M.smegmatisの培養を、10、20、30、40、50または100μMのいずれかのLF−33の存在下で増殖させた後、得られた生存細胞を測定した。結果(図10に示す)はLF−33ポリペプチドによる用量依存の放線菌増殖阻害を示。この33量体は10μMまでの抗放線菌MIC値を示し、50μMの濃度で約94%の殺生を示
【0086】
これらの実験は、抗微生物LFポリペプチドの代表的メンバーである、この33量体が放線菌の増殖を阻害することを示す。これらの実験は増殖の速いM.smegmatis BH1種を用いて行ったが、M.tuberculosisのH37Ra株を用いても同様の結果が得られた。LF−33による放線菌の予測不能な阻害は、これらの微生物の細胞膜の普通でない蝋質性、低浸透性特性を考慮すると驚くべきことである。
表7:LF−33の抗放線菌活性
【表7】
Figure 2002541066
【0087】
本発明の方法
免疫試薬
ヒトLFのN末端に対する抗体は、成熟型ヒトLFの最初の17個の残基の多重抗原性ポリペプチド型(a multiple antigenic polypeptide form) (J.Tam,Proc.Natl.Acad.Sci.USA85:5409-5413(1988))で免疫化したウサギから作成した。この配列は、塩基性アミノ酸の2個のクラスターのうちの一番目を含み、これは同時にLFが、ヘパリンのようなアニオン性多糖類と結合するのに必要とされる(Mann et al., J. Biol. Chem. 269: 23661-7 (1994))。これらの抗体は、そのN末端を含むが、ヒトトランスフェリンまたはそれに由来するタンパク質分解フラグメントを含むいずれの他の試験ポリペプチドとも交差反応していないインタクトなLFおよびフラグメントを免疫ブロットする。この抗体を、担体としての1%アルブミンおよび膜ブロッキング薬物を含む緩衝化塩水中で1:3,000希釈された抗血清として免疫ブロッティング用に用いた。二次抗体は、Kirkegaard & Perry Laboratoriesのアルカリホスファターゼコンジュゲートヤギ抗ウサギIgGであり、BCIP/NBT検出系を用いた(E. Harlow and D. Lane, Eds. Antibodies:A Laboratory Manual (Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY(1988)),chap. 12)。
【0088】
免疫ブロッティング
ゲル電気泳動および免疫ブロッティングに関しては標準的手法にしたがった(E. Harlow and D. Lane, Eds. Antibodies:A Laboratory Manual (Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY(1988)))
【0089】
サンプル調製
古い(Outdated)凍結ヒト初乳(colostrum)をlocal mother's milk bankから得た。すべての他の体液サンプルは、the University of Virginia Health Sciences CenterのTissue Procurement Centerまたは研究室のボランティアドナーから得た。フルンケル由来の皮膚の滲出物(“pus”)、歯肉プラークをかき取ったもの、唾液および喀痰サンプルは滅菌ミクロチューブに集め、プロテアーゼを阻害するための1μg/mロイペプチン、アプロチニンおよびペプスタチンAを含むSDS−PAGEサンプルバッファーで1×にした。サンプルバッファーは0.1%SDSおよび+/−5%β−メルカプトエタノール(還元剤として)を含むものであった。これらを直ちにボイルし、5〜20%直線状濃度勾配ポリアクリルアミドゲルで分離するまで−80℃で保存した。ゲルのレーンごとにロードされた元の組織液の量はサンプルに応じて5〜20mLであった。分離されたポリペプチドを、小さいカチオン性ポリペプチドを最適に移動させるように経験的に決定されたトランスファーバッファー中、電気泳動によってニトロセルロース膜(Millipore Corp.)に移した。Hoeffer TE−22 ミニトランスファー装置において、0.01%SDS、25mMトリス塩基および192mMグリシンを含む30%メタノール中、一定電圧150ボルトで2時間、電気泳動によるトランスファーを行った。膜にトランスファーされたタンパク質を、Ponceau S を用いて可逆的に染色した後、写真撮影および免疫染色を行った。Hewlet Packard ScanJet IIcx/T レーザースキャナーおよびイメージデンシトメトリー分析プログラム(The N.I.H.)を用いて、免疫染色されたバンドの走査型デンシトメトリーを行った。
【0090】
細胞の単離
まずFicoll(Organon Teknika Corp.)密度勾配法(J. E.Coligan, A. M.Kruisbeek,D.H.Margulies,E.M.Shevach and W.Strober,Eds. Current Protocols in Immunology (John Wiley & Sons,New York,NY 1991),chap.7)によって食細胞の初期カルチャーを末梢ヒト血液から単離した。混入赤血球をデキストランT−500、0.9%食塩水中でディファレンシャル沈降した後、低張溶解させ、好中球フラクションから除去した。Beckman J2−21M 遠心エルトリエーター(centrifugal elutriator, Beckman Instruments)において記載のように対向流遠心エルトリエーション(countercurrent centrifugal elutriation)を行い、リンパ球から単球をさらに単離した。すべての細胞実験は新たな食細胞の単離から30分以内に開始した。食細胞の同時培養実験では、同一ユニットの血液から単離された単球および好中球を再び組み合わせ、プール化混合物を半分ずつ2つに分け、その一方を、溶解バッファー(1% Triton X−100およびプロテアーゼ阻害剤の反応混液を含むトリス緩衝化塩水)中のプレ活性化対照として直ちに溶解した。残りの細胞を、血清不含有RPMI培地(Life Sciences,Gaithersburg,MD)中、37℃で5時間同時培養し、次いで2mM fMet−Leu−Phe(Sigma Chemicals)で活性化した。次いで活性化された同時培養を溶解バッファー中で溶解し、界面活性ライセートを、LFフラグメントのヘパリン精製用調製物中で重層培養培地と組み合わせた。活性化およびプレ活性化同時培養ライセート中のヘパリン結合ポリペプチドを、ヘパリンクロマトグラフィー、その後の遠心によるライセートの清澄によってバッチモードで単離した。次いで750mM NaClによってヘパリン−セファロースから溶出したポリペプチドを還元条件下で電気泳動し、上記のように免疫ブロットした。好中球および単球を別々に試験した実験では、各培養を3時間インキュベーションした後、活性化し、単球培養は内因性LFを有さないので、これに精製ヒトミルクLF50mgを補った。次いでこの培養培地を取り出した後、細胞を、上記バッファーを含む1% Triton X−100で溶解し、培養培地および細胞抽出物から別々にヘパリン結合分子を単離した。
【0091】
ヒト初乳由来LFの精製およびその抗微生物ドメインのタンパク質分解による遊離(インビトロ)
凍結した初乳を37℃で解凍し、4℃で10,000×g、40分間、遠心分離することで脱脂した。内在するスキムミルクを二度脱脂した後、40℃で40分間インキュベーションし、続いてHC1でpH4.7に酸性化することで乳清に変換した。そのクロットを4℃、10,000×g、40分間、遠心分離することで除去し、その上清乳清をトリス緩衝塩水pH7.4、4容量で希釈し、LFを単離するためにイオン交換クロマトグラフィーによって分画した。希釈した乳清中のLFをCM−Sepharose Fast Flow(Pharmacia)に固定した後、そのカラムをリン酸緩衝塩水で徹底的に洗浄し、固定タンパク質を同じ洗浄バッファー中の0.15−1.0M NaClのイオン強度勾配で溶出した。典型的にLFは、およそ550mM NaClで単一ピークとして溶出し、SDS−PAGE分析およびN末端アミノ酸配列決定によって均一であった。そのLFピークをSpeed Vac遠心分離で4倍に濃縮した後、30,000 MWCOチュービング(Spectrum)を使用し、4℃で50mM NaClに対して徹底的に透析した。ウシ脾臓カテプシンD(Sigma)で消化する前に、その透析したLFを150mM NaClおよび50mM 酢酸ナトリウム、pH3.5に移した後、カテプシンD対LFの割合1:200(w:w)で、36時間、37℃で、消化を完了させた。LF濃度を分光学的に280nm(E280nmlcm 0.1%=1.0402を使用)で決定した。経時的消化実験に関しては、元のLF20mg相当量のサンプルを、様々な指定の時間に取り出し、ペプサチン(pepsatin)A 1mg/mLで処理し、SDS−PAGEサンプルバッファー中ボイルし、タンパク質分解を終了させ、経時実験が終了し、電気泳動するまで凍結させて保存した。大量に抗微生物フラグメントを調製するために、36時間のLF消化物を、ペプスタチンA−アガロースカラム(Sigma)に通し、全ての活性カテプシンDを除去し(L.B.Larsen and T.E.Petersen in Aspartic Proteinases: Structure, Function, Biology, and Biomedical Implications,K. Takaahashi, Ed., (Plenum Press, New York, 1995) pp. 279−283)、貫流分画をペプスタチンA 1mg/mLで処理し、残留する全てのカテプシンD活性を阻害した。その後、その貫流物をパリン精製用の調製物中の酸ナトリウム、NaOHおよびNaClで生理的pHおよびイオン強度に希釈し、1mM 塩化第鉄にし、存在するかもしれない(しかし、SDS−PAGEまたは免疫ブロット法では検知されない)微小レベルの未消化LFを鉄で飽和させた。その後、抗微生物性ポリペプチドをパリンセファロース(heparin Sepharose)(Pharmacia)に固定し、150mMから1M濃度勾配NaClで溶出し、続いてリン酸緩衝塩水で過度にカラム洗浄した。その精製したポリペプチドを蒸留水に対して透析した後、完全に脱水し、−80℃で保存した。ペプシン分解による対応フラグメントの生成は、この消化は50mM グリシン、pH3.0中、37℃で4時間行い、ペプシン:LFの割合(w:w)が3:100であることを除いて、本質的にカテプシン消化に従って行なった。
【0092】
カテプシンDおよびへパリンを用いたLF消化
LF(10μg)を、10倍モル過剰のへパリン(ブタ粘膜へパリン、MW 〜7−15kDa Sigma Fine Chemicals)の不存在または存在下で、指定時間の間、上記のように、pH5においてカテプシンDで消化した。
【0093】
質量分析法
MALDI質量分析(W. T. Moore, Methods Enzymol 289: 520−42(1997))は、the University of Michigan Medical Schoolのthe Protein and Carbohydrate Structure Facility,Ann Arbor,MI,またはthe American Red Crossによって、へパリン精製した6kDaカテプシンフラグメントに対して行なわれた。
【0094】
LFポリペプチドに対する抗微生物アッセイ
E.coli 0111(American Type Culture Collection #43887)の培養は、通気および攪拌(225rpm)しながらダルベッコの(Dulbecco's) リン酸緩衝塩水(dPBS)(Mediatech)中の1%バクトペプトン(BP)(Difco)中37℃で行なった。オーバーナイト培養液を2倍濃縮BP/dPBSで8000倍に希釈し、試験するためのポリペプチドの連続的な希釈液を含む等容量の滅菌エンドドキシン不含蒸留水と混合した。最終的なアッセイ容量は、オーバーナイト培養液の最終希釈液1:16,000を含む12mm×75mmポリプロピレンチューブ (Falcon)中の300mLであり、原物の種菌〜1−2×10CFU/mlを産出した。その最終アッセイ培地は生理イオン強度、1×ダルベッコの(Dulbecco's) リン酸緩衝塩水中の1%バクトペプトンであった。培養を上記のように通気しながら37℃で6時間増殖させた後、セル濃度をそれぞれのアッセイ培養チューブに関してCFU/mlを測定することで決定した。それぞれのアッセイチューブの連続希釈液をLuria Broth バクトアガーにまき、37℃で24時間インキュベーションし、コロニーを計数した。全てのアッセイを3回行ない、それぞれの阻害剤の濃度に関して標準偏差を計算した。初期培養濃度および6時間培養期間終わりの培養濃度も全てのポリペプチド阻害剤を含まない3回培養から決定した。非処理の培養は典型的には、これらのアッセイ条件下、6時間で1−2×10CFU/mlに増殖した。
【0095】
LFポリペプチド存在下でのE.coli増殖の時間的経過
E.coliセル、臨床分離株0111をATCCから得た。慣例どおり、1%BP/PBS(リン酸緩衝塩水“PBS”(Mediatech Inc.,Herndon, VA)中で生理イオン強度に調製した1% バクトペプトン(Difco Laboratories,Detroit,MI))、pH7.4中、攪拌(シェイク)(220rpm)することで通気しながら培養を37℃、オーバーナイトで増殖させた。オーバーナイト培養液を50μMの指定のポリペプチドを含む1%BP/PBS中、1:20希釈し、指定の時間、インキュベーションした。培養の増殖を分光測定により、それぞれの指定時点で600nmでの光学密度を測定することによってモニタリングした。
【0096】
LFポリペプチド存在下でのE.coli 0111セルの用量応答
E.coliを、様々な濃度のポリペプチド33量体または関連した27量体の存在下で5時間、上記のように培養した。培養の増殖の阻害を前に記載のように分光測定で決定した。
【0097】
LFポリペプチドによるリファンピシンの増強
E.coli 0111を上記のようにオーバーナイトで増殖させた。その後、オーバーナイト培養液を指定通りに、0.9μg/ml リファンピシン(Sigma−Aldrich Fine chemicals)および5μM LFポリペプチドを含む1% BP/PBS中で1:16,000希釈した。対照培養はいずれのポリペプチドにも暴露されていないものであった。その後、その希釈した培養液を攪拌することで通気しながら、37℃で6時間インキュベーションした。その後、生存するバクテリアの数を、各群由来のサンプルを希釈してプレートにまき、その後コロニー形成単位(CFU)を計数することで決定した。すべての値は、独立した2回の実験の平均で表す。
【0098】
LF−33の抗ミコバクテリウム分析
ミコバクテリム培養液、M. smegmatis BH1を7H9ブロス(American Type Culture Collection Culture Medium 1507, Supplemented Middlebrook 7H9 Broth)中、対数増殖期まで初期培養し、培養液濃度を分光測定法(600nmでの光学密度,O.D.0.23=10セル)で決定した。その後、培養液を7H9ブロスで2×10CFU/mlに希釈した後、希釈した細胞群(〜10CFU)570μlをLF−33ポリペプチドの濃縮した保存溶液30μlと混合し、培養培地中のポリペプチドの最終濃度を指定の通りにした(表7に関しては50μM、図10に関しては可変)。その後、培養液を37℃で16時間インキュベーションした後、50μlを取り出し、連続希釈して7H9アガロースプレート上にまき、従来のコロニー平板分離法(colony plating method)によって生存細胞数を決定した。
【0099】
抗微生物活性におけるイオン強度効果の決定
前記と同様にしてE.coliオーバーナイトで培養した。次いで、4mMの重炭酸ナトリウムで緩衝し、50μM〜1Mの種々の濃度の塩化ナトリウムを補足した1%BPにて、オーバーナイト培養物を1:16000に希釈した。またポリペプチド処理した培養物には25μMの6kDaのLFポリペプチドを加えたが、同じ塩濃度の対照培養物には、ポリペプチドを加えなかった。通気しながら37℃で6時間増殖した後、各グループからのサンプルを希釈平板培養し、続いてCFUを計数することによって、生存能力のある細菌の数を決定した。培養物の増殖における塩単独の効果を対照するために、同じ塩濃度で増殖させるが、どのようなポリペプチド処理もしていない非処理培養物に対するポリペプチド処理した培養物のCFUの比率を、試験した各塩濃度について計算した。次いで、試験したなかで最も低い塩濃度である50μMで測定したCFUについて計算した比率に対し、これらの値を標準化し、Y軸にプロットし、塩濃度の増加をX軸にプロットした。したがって、Y軸は、50μMのNaClにおける抗微生物活性に相対する、試験したNaClの各濃度における6kDaポリペプチドの成長阻害効果を示す。図は、生理学的イオン強度条件(<150mMのNaClなど)についての結果の半対数プロットを示す。
【0100】
ポリペプチド
他文献[Mann et al.、J.Biol.Chem.、269:23661-7(1994)]に記載された慣例のFmoc(N−(9−フルオレニル)メトキシカルボニル)化学によって33量体および22量体のポリペプチドを合成した。ヒトラクトフェリンのN末端の最初の33残基に対応する33量体のポリペプチド(GRRRRSVQWCAVSQPEATKCFQWQRNMRKVRGP)をLF−33(分子量4004)として設計する。27量体ポリペプチド、LF−27(分子量3276)は、対応するLF−33のN末端から6残基を欠いたものである。ポリペプチドのC末端をメチオニン残基まで切断する標準的臭化シアノゲン切断によって、33量体の最後の6残基を切断することにより、Gly−1からMet−27残基を表すPhe26量体を作成した。本実験と比較する対象としてポリミキシンB(分子量1066、シグマ、セントルイス、MO)、抗エンドトキシンポリペプチド(Cooperstock,M.S.、Antimicrob.Agents Chemother.、6:422-425(1974))を用いた。
【0101】
LPS
Escherichia coli O113 : H10およびSalmonella abortus equi由来の対照標準エンドトキシン(アソシエイツ・オブ・ケープ・コッド・インコーポレイテッド、ウッズ・ホール、MA)は、ng当たり10エンドトキシンユニット(EU)の能力を持っていた。Neisseria meningitidis由来のLPS(>99%純度)をBグループの菌株#6275から調製したが、その能力は25EU/ngであった。E.coliK12由来のリピドA(リスト・バイオロジカル・ラボラトリーズ・インコーポレイテッド、キャンベル、CA)の能力は、8.6EU/ngであった。Pseudomonas aeruginosa由来のLPS(シグマ)の能力は、0.12EU/ngであった。上記エンドトキシンの能力は、リムルス(limulus)酵素結合免疫吸着剤アッセイ(ELISA、43)により、米国薬局方参照標準エンドトキシンEC−5と比較して決定した。
【0102】
抗エンドトキシン薬物の50%エンドトキシン中和濃度(ENC 50 )の決定のためのリムルスELISA
簡単にまとめると、25μlのエンドトキシン溶液(200EU/ml)を、0.15MのNaClにて一連の2倍希釈を行った等体積の試験材料と、96ウェルの滅菌組織培養プレート(ヌンク・アクチセル・スカベット、ロスキルデ、デンマーク)にて混合し、乾燥気流インキュベーターにて37℃で1時間インキュベーションした。エンドトキシン不含有水で反応混合物を1000倍に希釈した。次いで、エンドトキシン活性をリムルスELISAによって定量した[Zhang et al.、J.Clin.Microbiol.、32:416−422(1994)]。リムルスELISAにおいて、エンドトキシンは、1pgまたは0.01エンドトキシンユニット(EU)/ml以下の濃度でLAL凝固を活性化した[Zhangら、J.Clin.Microbiol.、32:416−422(1994)]。アッセイの感受性が高いことにより、非常に低濃度のエンドトキシン活性を検出することができた。試験材料とエンドトキシンをインキュベーションした後、1000倍希釈を行って、LAL酵素系における試験材料の能力を終結させた。実験に用いたそれらの最高濃度から1000倍希釈した後、血清もこれらの材料のいずれも、LALアッセイ自体の酵素カスケードを妨害しなかった。各アッセイについて、エンドトキシン濃度と490nmにおける光学密度(OD490)が直線関係にある最適条件下でLAL−エンドトキシン反応を行った。OD490と抗エンドトキシン薬剤の対数濃度の間には、通例、S字曲線が得られた。該曲線の中点に対応する濃度をENC50と名づけた。
【0103】
RAW264.7細胞によるエンドトキシン誘発性TNF−α分泌
マウスマクロファージ細胞系RAW264.7をアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC、ロックビル、MD)から入手し、先行文献の記載にしたがって維持した[Jeremy,B.、Immunol.Today、16:417−419(1995)]。すべての緩衝液および培地中のエンドトキシンの濃度は、0.1EU/ml以下に対照した。以下のプロトコルは本質的に先行文献に記載されたものであり、わずかな変更を加えてここに使用した[Kellyら、Infect.Immun.、59:4491−6(1991)]。96ウェル組織培養プレートの各ウェルに、10%加熱処理ウシ胎児血清(ライフ・テクノロジーズ)、25mMのHEPES(N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N'−2−エタンスルホン酸;pH7.3)、ペニシリン(60U/ml)およびストレプトマイシン(60μg/ml)を補足したDMEM1ml当たり細胞10個という濃度のRAW264.7細胞を150μlずつ播種した。6%COのインキュベーターで37℃にてオーバーナイトでインキュベーションした後、培地を吸引し、25mMのHEPESを補足したエンドトキシンフリーのハンクスの平衡塩類溶液(pH7.3)(HBSS、ライフ・テクノロジーズ)で3回細胞を洗浄した。対照エンドトキシン(10ng/ml)および試験材料をHBSS−HEPES中で調製した。37℃の水浴にて1時間インキュベーションした後、各ウェルにこれらの溶液0.2mlを3回加え、37℃にて6時間インキュベーションした。次いで、上清を集め、TNF−αの活性を測定するまで−70℃にて保存する。対照はHBSS−HEPESおよび試験材料のみを含み、エンドトキシンを含まなかった。培地および試験材料のTNF−α活性は160pg/ml以下であった。幾つかの実験に用いたヒト血清は、正常なドナーからのプールであった。
【0104】
TNF活性の測定
培養上清中のTNF−α活性をマウス線維肉腫細胞WEHI 164細胞(ATCC)の細胞毒性に基づいて測定した。この細胞は、通常用いられるL929線維芽細胞よりTNF−αに対して4倍感受性が高く、培地中へのアクチノマイシンD(Life Technologies)含有によりさらに5倍に増大することが観察されている(M.R. RuffおよびG.E. Gifford, Lymphokines 2: 235-272(1981))。この試験において、活性TNF−αの濃度は、TNF−αに対する暴露によって起る細胞死と相関関係にあった。細胞死は生菌染色MTT法(3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド)法(Mosmann, T., J. Immunol. Methods 65: 55-63(1983))により、比色定量により測定した。このアッセイの特異性はウサギ抗マウスTNF−α抗体(Genzyme, Inc., MA)を用いることによって立証された。1:100の希釈のこの抗体は、エンドトキシンによって刺激されたRAW264.7細胞の培養上清中およびエンドトキシンの腹腔内注1時間後に採取されたマウス血清内の細胞毒性を完全に除去した。
【0105】
要約すれば、96−ウル組織培養プレートに、10%加熱処理牛胎児血清、25mM HEPES(H7.3)、ペニシリン(60U/ml)、ストレプトマイシン(60μg/ml)およびアクチノマイシンD(4μg/ml)を含有するRPMI−1640培地(Life Technologies)中WEHI 164細胞100μl (5×104細胞)を播種した。37℃にて6%CO2インキュベーター中で2時間インキュベーションした後、10μlの2倍連続希釈サンプル(培養上清)または標準品(ネズミ組換えTNF−α、Genzyme)を各ウルに添加し、20時間インキュベーションした。ついで、細胞の生存をMTT(Thiazolyl blue, Sigma)貯蔵液(生理食塩水中5mg/ml)10μlを各ウルに添加して確認し、インキュベーションを6時間継続させた。酸性−イソプロパノール(40mM HCl含有)180μlを添加して生成した暗青色の結晶を溶解させた。マイクロプレートリーダーで基準の630nmとともに570nmにてプレートを読み取った。播種細胞の50%死滅に至るTNF−αの量を1ユニットと定義し、この条件下では組換えTNF−α約15pgに等しい。標準曲線をWEHI細胞とともに組換えTNF−αの既知量をインキュベーションすることによって得た。
【0106】
LF−33の潜在的な細胞毒性を除くため、上記の方法は、WEHI 164細胞をRAW264.7細胞に置換え、各ウルに播種された細胞の濃度を培地150μl当たり1.5×105細胞にした以外は刺激実験の条件を模倣して行なった。この研究に用いられたLF−33(10μM)の最も高い濃度で、RAW264.7細胞に対する細胞毒性は検出されなかった。
【0107】
ガラクトサミン−感作マウスモデル
0.15M NaCl 0.5ml中E.coli LPS 125ngおよびガラクトサミン塩酸塩(Sigma)15mgの腹腔内注により8〜10週令雌マウスNIH/スイス(体重20−25g/匹)にほぼ100%の死亡率をもたらした。LF−33はいずれも尾静脈から、LPS−ガラクトサミン混合物の腹腔内注10分後に注射するか、またはLPSおよびガラクトサミンとともに腹腔内に同時注した。死亡率を注72時間後観察した。TNF−α血清濃度の測定に関する実験では、血液サンプルを血清分離管(Becton Dickinson, Rutherford, NJ)内に注60−90分後採取し、遠心分離後血清を得た。TNF−α血清濃度は上記の細胞毒性試験によって測定した。TNF−αの最高血清濃度は、LPSの腹腔内注後60−90分後に観察した。
【0108】
統計 すべてのエンドトキシンおよびTNF−α測定は各実験においてトリプリケートで行なった。各データにつき少なくとも2つの独立した実験を行なった。測定値は平均値+/−SDとして示し、独立スチューデントt検定を用いて比較した。死亡率はフィッシャーの直接確率検定を用いて比較した。
【0109】
ガラクトサミン−感作白血球減少症マウスモデル系の産生 CF−1マウスを、E.coli 0111のLD90投与量による注の致死効果に対するガラクトサミン−感作の3日前にシクロホスファミド処置によって免疫無防備状態にした(Bucklinら、J. Infect. Dis. 174: 1249-1254(1996))。これらの条件下、循環白血球は85%減少し、LD90は5×103CFU E.coliであると確認された。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、カテプシンD(四角)またはペプシン(丸)によりヒトLFの末端から得られ、ヘパリン−精製された6kDaポリペプチドの用量を変化させることによるE.coli増殖の阻害を図式的に示す。すべてのポイントは三系の平均値を示し、標準偏差のバーはシンボルよりも小さい。
【図2】 図2は、50μMのLFまたは末端27量体、26量体、33量体LFポリペプチドフラグメントの存在下における7時間にわたるE.coli 0111の増殖曲線である。
【図3】 図3は、LFの末端のアミノ酸配列に対応する、異なる濃度の33量体または27量体ポリペプチドの存在下における5時間目のE.coli 0111の増殖を図式的に示す。
【図4】 図4は、カテプシンにより得られる6kDaのLFポリペプチドフラグメントの抗微生物活性に対するイオン強度の影響を図式的に示す。
【図5】 図5は、ポリペプチド、6kDaLFフラグメント、33量体、および27量体の、リファンピシリンの抗微生物活性を増強する能力を図式的に示す。
【図6】 図6は、示された濃度の6kDa宿主防御ポリペプチド、33量体、27量体、LFおよびポリミキシンBの、単離リピドAのエンドトキシン活性を中和する能力を図式的に示す。
【図7】 図7は、エンドトキシン誘発単核白血球細胞系RAW 264.7によるTHF−α分泌のLF−33(33量体)による用量―依存的抑制を図式的に示す。10ng/mlのエンドトキシンを示された濃度のLF−33とともに37℃で1時間インキュベーションし、ついで、RAW 264.7細胞に曝露した。データは、典型的な実験における三系の平均値である。
【図8】 図8は、ヒト血清存在下における、エンドトキシン誘発RAW 264.7細胞によるTNF−α分泌のLF−33による用量−依存的抑制を図式的に示す。10ng/mlのE.coli LPSを示された濃度のヒト血清およびLF−33とともにインキュベーションし、ついで、RAW 264.7細胞に曝露した。データは、典型的な実験における三系の平均値である。
【図9】 図9は、細菌感染に対する宿主防御における6kDaLFフラグメントのインビボ防御能を図式的に示す。
【図10】 図10は、MycobacteriaであるM.smegmatis BH1の増殖に対する種々の濃度のLF−33(33量体)の抗微生物効果を図式的に示す。
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