JP2002537219A - ナノ粒子状で再分散可能な酸化亜鉛ゲル - Google Patents

ナノ粒子状で再分散可能な酸化亜鉛ゲル

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、ナノ粒子状で再分散可能な酸化亜鉛ゲルに、それらの製造方法に、及びそれらの使用に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は、ナノ粒子状で再分散可能な酸化亜鉛ゲルに、それらの製造方法に、
及びそれらの使用に関する。
【0002】 酸化亜鉛は、例えば白色顔料として、触媒として、抗菌性皮膚防護軟膏の成分
として、及びゴム加硫用の活性化剤としてなど、種々の目的に用いられている。
日焼け止め及び木材用ワニスはUV吸収顔料として微粉末酸化亜鉛を含有してい
る。
【0003】 「ナノ粒子」という用語は、一般に、約100nm未満の直径を持った粒子を
指すのに用いられている。
【0004】 約30nm未満の粒子サイズを持った酸化亜鉛ナノ粒子は、透明有機−無機複
合材、プラスチックス、塗料及びコーティングにおいてUV吸収剤として用いる
のに本質的に適している。更に、UVに敏感な有機顔料の防護用に使用すること
も可能である。
【0005】 約30nmより大きい酸化亜鉛の粒子、粒子集合体及び粒子凝集物は、可視光
領域において、光散乱効果を有し、従って透過度の望ましくない低下を招く。こ
の理由で、再分散性、即ち、製造した酸化亜鉛ナノ粒子のコロイド分散状態への
転化可能性は、上述の用途のために重要な必要条件である。
【0006】 約5nm未満の粒子サイズを持った酸化亜鉛ナノ粒子は、サイズ量子化効果(s
ize quantization effect)ゆえに、吸収端で青方偏移(L.Brus,J.Ph
ys.Chem.(1986),90,2555−2560)を示すのでUV−
A領域でのUV吸収剤としての使用にあまり適していない。
【0007】 乾式及び湿式法による酸化亜鉛の製造方法は公知である。乾式法である古典的
な亜鉛焼成法(例えばGmelin vol.32,8th edition,
supplementary volume,p.772ff)は、広い粒子サ
イズ分布を持った集合した粒子を生じる。原理的には、界面活性剤の助けをかり
て粉砕操作により安定な分散系を製造することは可能であるが、実際に用いるこ
とができる剪断力が低すぎるために、上記の粉末から約30nm未満の平均粒子
サイズを持った分散系を得ることは不可能である。
【0008】 特に微粉砕した酸化亜鉛は、主として沈殿法による湿式化学的方法により製造
される。通常、水溶液中での沈殿では、水酸化物及び/又は炭酸塩含有物質が生
じ、これを熱的に酸化亜鉛に転化しなければならない。この熱的処理の間に、粒
子が焼結され、そのためミクロンサイズの集合体が生成し、この集合体は粉砕に
よって完全には一次粒子に分割することができないので、この熱的後処理は、微
粒子性に対して望ましくない影響を及ぼす。
【0009】 JP−A−04164814には、熱的後処理を行わなくても、高い温度での
、水性媒体中での沈殿の結果として、微粉砕ZnOを得る方法が記載されている
。凝集の度合いの情報はなく、平均粒子サイズは20−50nmと記載されてい
る。この粒子は比較的大きい。この粒子サイズでは、たとえ凝集が最少であって
も、透明用途では望ましくない散乱効果が生じることとなる。
【0010】 JP−A−07232919には、亜鉛化合物から、有機酸及びアルコールの
ような他の有機化合物との高温での反応で、5−10000nmサイズの酸化亜
鉛粒子を製造することが記載されている。この方法では、加水分解は、生成する
副生物(使用した酸のエステル)を留去できるように行われる。この方法では、
前もって行われた表面改質の結果として、再分散可能なZnO粉末を製造するこ
とができる。しかしながら、この出願の開示に基づくと、15nm未満の平均径
を持つ粒子の製造は不可能である。従って、この出願で示されている実施例では
、最少平均一次粒径は15nmである。
【0011】 EP0893409A1には、JP−A−07232919と同様な酸化亜鉛
ナノ粒子の製造、但し、ZnOの沈殿の際に、他の金属酸化物(この出願中で「
IIIB」及び「IVB」と命名された元素の周期律表の族の金属酸化物で、特に具
体名が挙げられているのはアルミニウム及びインジウムである)を共沈殿させる
方法による製造、が記載されている。
【0012】 更に、アルコール中での亜鉛塩の加水分解により直接ZnOを得ることが試み
られている(Henglein et al.,J.Phys.Chem.19
88,92,482−487)。塩基としてNaOHを用いた場合、安定な濃縮
ゾル(ZnO濃度>>10-3mol/l)を得ることはできなかった。
【0013】 アルコール性溶液中で、酢酸亜鉛を、LiOH又は水酸化テトラメチルアンモ
ニウムを用いて加水分解すると(Spanhel et al.,JACS19
91,113,No.8,2826−2833)、酸化亜鉛ナノ粒子に加えて、
それぞれ化学量論量の酢酸リチウム又は酢酸テロラメチルアンモニウムをも含有
した濃縮ゾルが得られた。このために、第一には、LiOHと水酸化テトラメチ
ルアンモニウムが比較的高価であるため費用効果の高い製造ができなず、第二に
は、沈殿生成の副生物が分離除去されないので、ゾルの用途が厳しく制限される
。これらのゾルを濃縮することにより、化学量論量のZnO製造の副生物を依然
として含有しており、従ってその用途の可能性に関して厳しく制限されているZ
nO含有ゲルを得ることは可能であった。
【0014】 US−A−5391354に記載されているような、亜鉛アルコキシドから出
発するナノサイズ酸化亜鉛の他の製法方法は、高価な出発物質を用いるために経
済的でない。
【0015】 それゆえに、本発明の目的は、UV−A領域においても強いUV吸収を示し、
散乱が最少になる優れた分散特性をも合わせて持つナノサイズ酸化亜鉛を提供す
ることであった。この目的のためには、5と15nmの間の平均一次粒径を持っ
たナノサイズ酸化亜鉛を、市販の費用効果の高い出発物質から、工業規模で、低
コストで、酸化亜鉛が、製造の後で、粒子が不可逆的な凝集を起こさないで副生
物から分離され、そして、再分散の後、負荷の大きな粉砕を行わずに、次の使用
のためにゾル状で製造されることができるようなやり方で、製造するのに適した
簡便な方法を見出すことが必要だった。
【0016】 ここに、Hengleinらにより記載された、アルコール性媒体中での酢酸
亜鉛の加水分解法からスタートし、意外にも、アルコール又はアルコール/水混
合物中で亜鉛化合物を塩基を用いて加水分解し、次いで沈殿生成の副生物を含有
する上澄み溶液を除去することにより、15nm未満の平均初期粒子径を持った
酸化亜鉛ナノ粒子を含んで成る酸化亜鉛ゲルを得るることが可能であることが見
出された。このゲルは、単に適切な溶媒又は溶媒の組み合わせを添加−場合によ
っては適切な表面改質剤を添加することと組み合わせて−し、そして攪拌するこ
とによって、粉砕工程又は他の負荷の大きい機械的粉末化工程にかけないで、再
分散することができ、均一分散性及び粒子のサイズに関しての品質の有意な損失
なく、大部分一次粒子が分散した酸化亜鉛ゾルを得ることができる。
【0017】 従って、本発明は、15nm以下の平均一次粒子径を持ったナノサイズ酸化亜
鉛粒子、水及びアルコールを含んで成る酸化亜鉛ゲルであって、少なくとも1種
の有機溶媒及び/又は水に、場合によっては表面改質化合物を添加して、再分散
可能であり、再分散してゾルを得ることができるゲルに関する。
【0018】 本発明の目的のためには、「平均一次粒子径」とは、透過型電子顕微鏡写真に
より測定できる酸化亜鉛粒子の平均円相当一次粒子径を意味する。
【0019】 また本発明は、少なくとも1種の亜鉛化合物のアルコール又はアルコール/水
混合物中での塩基性加水分解による酸化亜鉛ゲルの製造方法であって、加水分解
中に最初に生成する沈殿を、酸化亜鉛が完全に綿状の固まりになる(flocculate)
まで熟成させ、次いでこの沈殿を濃縮してゲルとし、そして上澄み相から分離す
ることを特徴とする方法に関する。
【0020】 本発明による方法は、少なくとも1種の亜鉛化合物を完全に又は部分的にアル
コール又はアルコール/水混合物に溶解し、溶液の氷点から沸点の間の温度で、
少なくとも1種の塩基を添加することにより加水分解して実施するのが好ましい
。この方法では、温度と濃度に依存して、場合によってはある時間遅れて、白っ
ぽい沈殿が生成する。
【0021】 酸化亜鉛がもはや、又は実質上もはやコロイド分散状でなくなると直ちに、場
合によっては、沈殿が安定した後、上澄みを新しい溶媒と入れ替える、という何
回かの洗浄段階の後に、沈殿物を濃縮してゲルとし、上澄み相から分離すること
が出来る。酸化亜鉛がまだコロイド分散状であるか否かをテストするために、反
応混合物のサンプルを0.2ミクロンの孔径を持ったフィルターを通して濾過し
て、濾液のチンダル効果テストを行うことができる。沈殿物を静置及び放置する
ことにより又は遠心分離により、好ましくは沈殿物を遠心分離して、濃縮してゲ
ルとする。
【0022】 得られた酸化亜鉛ゲルを、有機溶媒及び/又は水を添加することにより、場合
によっては、表面改質化合物をも添加して、再分散して、大部分一次粒子が分散
したゾルを得ることができる。再分散は、対応する溶媒又は溶媒混合物を攪拌し
て混合することにより行うのが好ましい。
【0023】 本発明による方法で用いられる亜鉛化合物は、好ましくは選ばれたアルコール
又は水/アルコール混合物中に完全に又は部分的に溶解する塩類似化合物であり
、特に好ましくは酢酸亜鉛、より特に好ましくはその二水和物である。
【0024】 用いられるアルコールは、好ましくはモノアルコールであり、特に好ましくは
メタノールである。
【0025】 塩基はOH又はNH基含有塩基性化合物で、特に、濃縮した形で得ることがで
きそしてアルコール又はアルコール/水混合物に可溶である化合物である。これ
らの例としては、特に、水酸化ナトリウムとカリウム及びアミン塩基が挙げられ
、前者が好ましい。塩基は、本発明による方法において、固形で、例えばNaO
H又はKOHペレットとしてでも溶解された形ででも用ることができる。本発明
の好ましい実施態様においては、塩基は、亜鉛塩の溶液に溶解した形で添加され
る。ここで、塩基はアルコール、水、又はアルコール/水混合物中に溶解するの
が好ましく、メタノール、水、又はメタノール/水混合物中に溶解するのが特に
好ましい。
【0026】 加水分解は、非化学量論量の塩基を用いて行うのが好ましく、化学量論量以下
の量が特に好ましく、1:1.6〜1:1.95のZn対OH比を用いて行うの
非常に特に好ましい。
【0027】 反応混合物の最少水含量は、用いた出発物質の水含量及び形成する酸化亜鉛の
量により決められる。更に、水は、例えばZnOの生成を促進する又は出発物質
の溶解度を向上させる等の特別の効果を達成する目的で、添加することができる
【0028】 本発明の好ましい実施態様では、使用される溶媒中での溶解度積に対応する以
上の亜鉛塩が用いられる。加水分解用の塩基の量の一部を加えることによって、
亜鉛塩の溶解度は既に形成された酸化亜鉛なしで向上する。
【0029】 本発明の更に好ましい実施態様では、出発物質の溶解及び加水分解を不活性ガ
ス中で行う。
【0030】 更に好ましい実施態様では、用いられる亜鉛化合物は、市販の、粗く粉砕され
た酸化亜鉛であり、これが上流で反応して適切な亜鉛化合物、好ましくは酢酸亜
鉛が得られる。本発明の特に好ましい実施態様においては、この反応は、酸化亜
鉛と氷酢酸とを氷酢酸/無水酢酸混合物中又はアルコール/水混合物中で反応さ
せることにより行われる。
【0031】 本発明の好ましい実施態様では、溶解及び反応中の温度は、0℃と使用する溶
媒の沸点の間である。本発明の特に好ましい実施態様では、温度は、沈殿生成の
前及び/又は生成中及び/又は後で、混合物の沸点又はそれ未満の温度に上昇す
る。
【0032】 酸化亜鉛粒子のモルフォロジー及び/又は結晶性に影響を及ぼすために、沈殿
の前、中、あるいは後に適切な化合物(他のイオン)を加えることが可能である
。第2〜4主族の化合物及び遷移金属化合物が好ましい。マンガン、マグネシウ
ム、シリコン、及びアルミニウム化合物が特に好ましく、アルミニウムとシリコ
ンアルコキシド、アルミン酸塩及びケイ酸塩が非常に特に好ましい。本発明によ
る方法の好ましい実施態様では、これらの化合物を、溶解した形で反応混合物に
加える。ここで、好ましくは、亜鉛基準で0.01〜3mol%が用いられる。
【0033】 沈殿は、上澄み液を、例えばデカンテーション又は吸引を用いて抜き取ること
により分離することができる。これに関連して、沈殿の再分散性様相は塩と溶媒
の含有量に依存するので、例えば長時間の静置の結果のように、沈殿を良く濃縮
することが有利である。静置時間が比較的長い場合には、沈殿は、濃縮して高粘
度ゲルを生じる。沈殿物質の特に良好な濃縮、及び、それに伴う、沈殿生成の副
生成物からの酸化亜鉛の特に完全な除去も、遠心分離により達成される。ここに
、特に容易に再分散可能である、固形分が高い、半透明の固形ゲルが得られる。
【0034】 更に好ましい実施態様では、沈殿物の塩濃度を、沈降後に、上澄みの一部を吸
引を用いて抜き取りそして新しい溶媒を添加することにより低減する。もし生成
する酸化亜鉛ゲルが、水又はアルコール/水混合物、特にジオール及び/又はポ
リオール/水混合物中に、好ましくは表面改質化合物を使用して、再分散してゾ
ルを得るためのゲルである場合には、沈殿物の塩濃度を上澄みの一部を吸引を用
いて抜き取りそして新しい溶媒を添加することにより低減するのが特に好ましい
【0035】 得られた酸化亜鉛ゲルは、適切な手段によりコロイド分散ゾルに転化すること
ができる。本発明のある好ましい実施態様では、この転化は、有機溶媒、好まし
くは極性の非プロトン性溶媒、特に好ましくはジクロロメタン及び/又はクロロ
ホルムの添加により行われる。別の好ましい実施態様では、ゲルは水中に再分散
され、別の好ましい態様では、ゲルはアルコール/水混合物中に、特にジオール
及び/又はポリオール/水混合物中に、好ましくは表面改質剤を用いて、再分散
される。表面改質剤は窒素含有化合物であることが好ましく、トリエタノールア
ミンが特に好ましい。
【0036】 粉砕工程又は他の負荷の大きい機械的粉末化工程は不要である。
【0037】 上記の添加は、溶媒に対する酸化亜鉛ゲルの質量比が、好ましくは1:0.4
〜1:10で、特に好ましくは1:0.4〜1:3で、非常に特に好ましくは1
:0.7〜1:1.5で実施される。安定なゾルを得るために必要な質量比は使
用される溶媒に依存して変動する。
【0038】 別の好ましい実施態様では、ゲルを得るための濃縮の前に、沈殿を、ジクロロ
メタン及び/又はクロロホルムを添加することにより酸化亜鉛粒子がコロイド分
散状態となっている酸化亜鉛ゾルに転化することができる。この転化は、沈殿の
塩含量が、沈降と吸引を用いた上澄みの一部の抜き取り及び新しい溶媒の添加を
繰り返して行うことにより前もって低減しておいた後で行うのが好ましい。
【0039】 本発明は、さらに、本発明による酸化亜鉛ゲル又はこれから製造したゾルの、
有機−無機複合材における使用、特に、特に透明用途のための、高分子物質、塗
料及びコーティングのUV防護のための使用に関する。更に、UVに敏感な有機
顔料及び染料の防護のための使用も可能である。更に、本発明による酸化亜鉛ゲ
ル及び酸化亜鉛ゾルはまた、ポリマー、塗料及びコーティングのマトリックス改
質用にも、そしてゴム及びラテックス用の改良された加硫活性化剤としても好適
である。
【0040】 実施例 本発明を、以下の実施例を用いてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの
実施例に制限を受けるものではない。
【0041】 遠心分離工程は、半径20.4cmのローターを有する、Heraeus(V
ariofuge RF)からの実験室用遠心分離器を使用して行った。
【0042】 実施例 1 酢酸亜鉛水和物590gを、6リットルのフラスコ中で、メタノール2000
gに55℃で溶解し、そして、室温で状態調節した、メタノール1000g中に
水酸化カリウム302gを溶解した溶液(84.7%)を、攪拌しながら添加し
た。白色で嵩張った析出物が直ちに生成し、それを14時間放置して、沈殿させ
た。次いで、上澄み液から3165gを吸引して抜き出し、メタノール1000
gと置換した。次いで、混合物を約20分間攪拌した。次いで75分の沈降時間
の後、さらに806gを吸引して抜き出し、メタノール500gで置換した。混
合物をさらに40分間攪拌し、そして次いで、40分間の沈降操作後さらに上澄
み液786gを、吸引して抜き取り、メタノール500gと置換した。30分間
攪拌の後、混合物を遠心分離した。(5500回転/分、30分)遠心分離後、
得られた酸化亜鉛ゲルの質量は251gであった。
【0043】 ゲルの固形分は75.3%(130℃で1時間乾燥)であった。元素分析によ
り亜鉛含量が75.7%であることが判明したが、これはZnO含量93.9%
に相当する。さらに、約0.63%の酢酸カリウムに相当するカリウム0.25
%が見出された。
【0044】 乾燥した試料のX線回折により酸化亜鉛の結晶形は六方晶系のみであることが
分かった。Scherrer法に従う反射の評価によって、平均結晶子サイズが
6.9nmであることが分かった(反射:100及び002、100は六方晶系
においては010と等価なので二倍に重み付けした)。
【0045】 実施例 2 酸化亜鉛(99.8%)218.5gを6リットルの四つ口フラスコ中に入れ
、そしてメタノール1200g、氷酢酸330g及び脱イオン水46.5gと混
合し、そして、攪拌しながら60℃に加熱した。これと平行して、水酸化カリウ
ムペレット(84.7%)301.68g及びメタノール700gの溶液を冷却
しながら製造した。フラスコの中の混合物が60℃に達した後、製造しておいた
KOH/メタノール溶液約80mlを滴下漏斗から少しづつ計量しながら投入し
た。混合物はゆっくり清澄になっていき、約30分後に透明になった。次いで、
60℃で、KOH/メタノール溶液の残液を滴下漏斗から30秒かけて計量しな
がら投入した。直ちにかなりの白色の混濁物が形成され、そして混合物の温度が
約2℃上昇した。数分後、混合物は幾分清澄となり、次いで再び乳白状になった
。次いで、加熱源を取りはずし混合物を20分間氷浴中で冷却した。攪拌装置を
温度16℃で停止した。約2時間後白色の沈殿物がフラスコ中に生成し、そして
上澄み液は実質的に透明であった。上澄み液から2078gを吸引して抜き出し
メタノール750gで置換した。次いで混合物を約60分間攪拌し、次いで反応
混合物を1:1の比で分割した。その中の一方(A)を以下のように処理した。
14時間沈降操作後、上澄み液をデカンテーションで除去し,メタノール375
gで置換した。次いで混合物を約50分間攪拌し、そして次いで新たな沈降操作
及びデカンテーションの後、メタノール375gを再び添加した。次いで混合物
を約50分間再び攪拌し、次いで遠心分離を5500rpmで30分間行い、そ
して上澄み液をデカンテーションで除去した。ゲルの重量は130.6gであっ
た。
【0046】 ゲルの固形物含量は75.8%(130℃、1時間乾燥)であった。元素分析
により亜鉛含量が76%であることが判明したが、これはZnO含量94.6%
に相当する。さらに、約0.21%の酢酸カリウムに相当するカリウム0.09
%が見出された。
【0047】 乾燥した試料のX線回折により酸化亜鉛の結晶形は六方晶系のみであることが
分かった。Scherrer法に従う反射の評価によって、平均結晶子サイズが
7.9nmであることが分かった(反射:100及び002、100は六方晶系
においては010と等価なので二倍に重み付けした)。
【0048】 図1に、エチレングリコール/水混合物中に希釈したゲル(A)の試料の透過
型電子顕微鏡写真を示す。
【0049】 反応混合物のもう一方の半分を、5500min-1 での、30分間の遠心分
離で濃縮し、ゲルを得た。ゲル(B)のゲル重量は134.1gであった。
【0050】 実施例 3 酸化亜鉛(99.8%)218.5gを6リットルの四つ口フラスコ中に入れ
、メタノール1200g、氷酢酸328.5g及び脱イオン水46.5gと混合
し、攪拌しながら60℃に加熱した。これと平行して、水酸化カリウムペレット
(84.7%)308.1g及びメタノール700gの溶液を冷却しながら製造
した。フラスコの中の混合物が60℃に達した後、製造しておいたKOH/メタ
ノール溶液約90mlを滴下漏斗から少量づつ計量しながら投入した。混合物は
徐々に清澄になり、約15分後に透明になった。次いで2−プロパノール20g
中にアルミニウムトリ−sec−イソブトキシド2.8gを溶解した溶液を添加
した。次いで、KOH/メタノール溶液の残液を滴下漏斗から30秒かけて計量
しながら投入した。かなりの白色の混濁物が直ちに形成された、そして混合物の
温度が約2℃上昇した。数分後、混合物は幾分清澄になり、次いで再び乳白状に
なった。次いで、加熱源を取りはずし混合物を氷浴中で冷却した。攪拌装置を2
3℃で停止した。14時間の沈降操作後、白色の沈殿物がフラスコ中に生成して
いた。上澄み液1920.7gを吸引して抜き出しメタノール700gで置換し
た。次いで混合物を約45分間攪拌し、そして1:1の比で分割した。そしてそ
の半分を以下のように処理した。3時間沈降操作後、上澄み液をデカンテーショ
ンで除去しそしてメタノール300gで置換した。混合物を約45分間攪拌した
。新たな14時間の沈降操作及びデカンテーションタ−操作を行ったのち、メタ
ノール300gを再び添加した。次いで混合物を再び約60分間攪拌した。つい
で混合物を5500rpmで30分間、遠心分離にかけ、そして上澄み液をデカ
ンテーションで除去した。ゲルの重量は133gであった。
【0051】 ゲルの固形分は78.7%(130℃、1時間乾燥)であった。元素分析によ
り亜鉛含量が72%であることが判明したが、これはZnO含量89.6%に相
当する。さらに、約0.43%の酢酸カリウムに相当するカリウム0.17%、
及びAl230.31%に相当するアルミニウム0.15%が見出された。
【0052】 乾燥した試料のX線回折により酸化亜鉛の結晶形は六方晶系のみであることが
分かった。Scherrer法に従う反射の評価によって、平均結晶子サイズが
7.7nmであることが分かった(反射:100及び002、100は六方晶系
においては010と等価なので二倍に重み付けした)。
【0053】 実施例 4 メタノール770mlを、ガラス製の摺り合せジョイントを有し、機械的な攪
拌装置、凝縮器、温度計及びアルゴン雰囲気供給装置(argon blanketing)を装備
した2リットルの容器に入れ、そして40℃に加熱した。ついで、酢酸亜鉛二水
和物284.91gを計量しながら入れ、溶解させ、そして次いでこの溶液を6
0℃に加熱した。溶液は少し曇った状態であった。水酸化ナトリウムペレット(
98.8%純度)4.60gを添加後、透明な溶液を得た。次に、7分間かけて
、水酸化ナトリウム水溶液(49.8%濃度)173.29gを添加したところ
、温度は最高64℃に上昇した。溶液は直ちに曇った状態になり、白色の析出物
が生成し、その混合物を60℃で1時間攪拌した。次いで、混合物を室温に冷却
した。混合物の容量は960mlであった。14時間の沈降操作の後、濁った上
液を吸引して抜き出した。メタノール750mlを沈殿物に添加し、混合物を3
0分間間攪拌した。4時間後、析出物は再び沈降していて、透明な上澄み液を吸
引して抜き出し、メタノール750mlを沈殿物に添加し、そして混合物を30
分間攪拌した。さらに、14時間の沈降操作を行い、透明な浮遊液を吸引して抜
き出した後、メタノール250mlを沈殿物に添加し、そして混合物を5500
rpmで10間、遠心分離にかけた。ゲル129.14gが得られた。
【0054】 ゲルの固形分は79.1%(乾燥残分:130℃、1時間)であった。元素分
析により亜鉛含量が77.0%であることが判明したが、これはZnO含量95
.8%に相当する。ナトリウム含量は、0.22%であったがこれは、酢酸ナト
リウム0.78%に相当する。
【0055】 ゲル乾燥残分のX線図によると、酸化亜鉛の結晶形は六方晶系のみであった。
Scherrer法による反射の評価により、平均結晶子サイズは9.4nmで
あることが分かった。
【0056】 実施例 5 メタノール770mlを、ガラス製の摺り合せジョイントを有し、機械的な攪
拌装置、凝縮器、温度計及びアルゴン雰囲気供給装置を備えた2リットルの容器
に入れ、ついで、酸化亜鉛(99.8%)122.30gを導入し、この溶液を
50℃に加熱した。氷酢酸(100%濃度)183g及び水27gの溶液を計量
しながら10分間かけて投入し、次いで混合物を60℃に加熱した。少し曇った
状態の溶液が生成した。水酸化ナトリウムペレット(98.8%濃度)7.56
gを添加後、溶液は水と同じように透明となった。次いで、混合物を21℃に冷
却し、そしてに渉って、水酸化ナトリウム水溶液(49.5%濃度)200.9
1gを60秒間かけて添加したところ、温度が短時間に51℃に上昇した。溶液
は直ちに濁った状態になり、白色の析出物が生成し、その混合物を60℃で1時
間攪拌した。次いで、混合物を氷水中で室温に冷却した。混合物の容量は110
0mlであった。この混合物を、500m-1で30分間、析出物の濃縮を行わず
に、遠心分離にかけ、ゲルを得た。上澄み液を吸引して抜き出し、沈殿物を、メ
タノール750mlを用い、15分間攪拌することによって、再懸濁した。混合
物を再び500m-1で45分間、遠心分離にかけ、透明な上澄み液を吸引して抜
き出し、そして沈殿物を再びメタノール750mlを用い30分間かけて再懸濁
した。550min-1で、さらに45間遠心分離を行いそして透明な上澄み液を
吸引して除去した後、沈殿物をメタノール250mlで再懸濁し、そして520
0min-1、10分間の遠心分離によって濃縮してゲルを得た。ゲル168.5
gが得られた。
【0057】 ゲルの固形分は79.1%(130℃、1時間)であった。元素分析により亜
鉛含量が78%であることが判明したが、これはZnO含量97.1%に相当す
る。ナトリウム含量は、0.87%であったがこれは、酢酸ナトリウム3.1%
に相当する。
【0058】 ゲル乾燥残分のX線図によると、酸化亜鉛の結晶形は六方晶系のみであった。
Scherrer法による反射の評価により、平均結晶子サイズは10.2nm
であることが分った。
【0059】 実施例 6 酸化亜鉛ゾルの製造 ジクロロメタン134.1gを実施例2で製造した酸化亜鉛ゲル(B)134
.1gに添加し、時々振とうした。透明なゾル(244.4g)が生成した。元
素分析により亜鉛含量が31%であることが判明したが、これはZnO含量38
.6%に相当する。エチレングリコール/水混合物に希釈したゾルの試料の透過
型電子顕微鏡写真(図1、倍率1,000,000:1)を評価することによっ
て求めた、酸化亜鉛の、平均の、円相当一次粒子径は13nmであった(283
個の粒子を測定した数平均)。
【0060】 実施例 7 酸化亜鉛ゾルの製造 実施例1と同様に製造した酸化亜鉛ゲル300gを、エチレングリコール29
1g、水145g及びトリエタノールアミン82gとともに攪拌した。ゲルのメ
タノール分を減圧下、室温で除去した。黄色がかった透明なゾル638gを得た
。エチレングリコール/水混合物に希釈したゾルの試料の透過型電子顕微鏡写真
(図1、倍率1,000,000:1)を評価することによって求めた、酸化亜
鉛の、平均の、円相当一次粒子径は10.2nmであった(584個の粒子を測
定した数平均)。エチレングリコール/水に希釈したゾルの試料の光学的吸収ス
ペクトルを図2に示す。(1:吸光度、2:波長「nm」) 3ヶ月経過後、上記のゾルは、外見上変化していなかった。エチレングリコー
ル/水混合物に希釈したゾルの試料の透過型電子顕微鏡写真を評価することによ
って再測定すると、酸化亜鉛粒子の、平均の、円相当一次粒子径は9.4nmで
あった(803個の粒子を測定した数平均)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI ,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID, IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,K Z,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA ,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ, PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,S K,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG ,US,UZ,VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 パツシング,ゲルト ドイツ・デー−50937ケルン・マンデルシ ヤイダーシユトラーセ2 Fターム(参考) 4G047 AA02 AB02 AB04 AC03 AD04 4J002 AA001 DE106

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 15nm以下の平均一次粒子径を持ったナノサイズ酸化亜鉛
    粒子、水及びアルコールを含んで成る酸化亜鉛ゲルであって、有機溶媒及び/又
    は水に、場合によっては表面改質化合物を添加して、再分散可能であり、再分散
    してゾルを得ることができる酸化亜鉛ゲル。
  2. 【請求項2】 亜鉛との割合を基準として0.01〜3モル%の他のイオン
    を含んで成ることを特徴とする請求項1に記載の酸化亜鉛ゲル。
  3. 【請求項3】 少なくとも1種の亜鉛化合物のアルコール又はアルコール/
    水混合物中での塩基性加水分解による請求項1に記載の酸化亜鉛ゲルの製造方法
    であって、加水分解中に最初に生成する沈殿を、酸化亜鉛が完全に綿状の固まり
    になるまで熟成させ、次いでこの沈殿を濃縮してゲルとし、そして上澄み相から
    分離することを特徴とする方法。
  4. 【請求項4】 少なくとも1種の亜鉛化合物のアルコール又はアルコール/
    水混合物中での塩基性加水分解による請求項2に記載の酸化亜鉛ゲルの製造方法
    であって、加水分解中に最初に生成する沈殿を、酸化亜鉛が完全に綿状の固まり
    になるまで熟成させ、次いでこの沈殿を濃縮してゲルとし、そして上澄み相から
    分離すること、及び、沈殿生成の前、生成中、又は生成後に、亜鉛との割合を基
    準として0.01〜3モル%の他のイオンを添加することを特徴とする方法。
  5. 【請求項5】 亜鉛化合物が酢酸亜鉛及び/又は酢酸亜鉛二水和物であるこ
    とを特徴とする請求項3及び4のいずれかに記載の方法。
  6. 【請求項6】 酢酸亜鉛及び/又は酢酸亜鉛二水和物を、上流工程で酸化亜
    鉛から製造することを特徴とする請求項5に記載の方法。
  7. 【請求項7】 加水分解を、亜鉛化合物を基準として化学量論量未満の量の
    塩基を用いて行うことを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載の方法。
  8. 【請求項8】 請求項1又は2に記載の酸化亜鉛ゲルを、有機溶媒及び/又
    は水に、場合によっては表面改質化合物を添加して、再分散することによって得
    ることができる酸化亜鉛ゾル。
  9. 【請求項9】 溶媒が、ジクロロメタン及び/又はクロロホルムであること
    を特徴とする請求項8に記載の酸化亜鉛ゾル。
  10. 【請求項10】 溶媒が、場合によっては表面改質化合物を含んで成る水又
    は水/エチレングリコール混合物であることを特徴とする請求項8に記載の酸化
    亜鉛ゾル。
  11. 【請求項11】 請求項1又は2に記載の酸化亜鉛ゲルを、有機溶媒及び/
    又は水に、場合によっては表面改質化合物を添加して、再分散することを特徴と
    する請求項8〜10のいずれかに記載の酸化亜鉛ゾルの製造方法。
  12. 【請求項12】 少なくとも1種の亜鉛化合物のアルコール又はアルコール
    /水混合物中での塩基性加水分解による請求項9に記載の酸化亜鉛ゾルの製造方
    法であって、加水分解中に最初に生成する沈殿を、酸化亜鉛が完全に綿状の固ま
    りになるまで熟成させ、この沈殿をジクロロメタン及び/又はクロロホルムを添
    加することによって再分散することを特徴とする請求項9に記載の酸化亜鉛ゾル
    の製造方法。
  13. 【請求項13】 請求項1又は2に記載の酸化亜鉛ゲルの、ポリマー、塗料
    及びコーティングのマトリックス改質のための、ゴム及びラテックス用の改良さ
    れた加硫活性化剤としての、ポリマー、塗料及びコーティングのUV防護のため
    の、そして敏感な有機染料及び顔料のUV防護のための使用。
  14. 【請求項14】 請求項8〜10のいずれかに記載の酸化亜鉛ゾルの、ポリ
    マー、塗料及びコーティングのマトリックス改質のための、ゴム及びラテックス
    用の改良された加硫活性化剤としての、ポリマー、塗料及びコーティングのUV
    防護のための、そして敏感な有機染料及び顔料のUV防護のための使用。
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