JP2010046630A - ナノ粒子分散体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ナノ粒子の凝集粉体を、平均粒子径が100nm以下の、特に平均粒子径が50nm以下のナノ粒子に短時間で湿式粉砕するナノ粒子分散体の製造方法の提供。
【解決手段】本願発明に係るナノ粒子分散体の製造方法は、ビーズを利用する湿式粉砕機を用いてナノ粒子の凝集粉体からナノ粒子分散体を製造する方法において、ビーズの平均粒子径が異なるn個{ここで、nは2以上の整数である。}の湿式粉砕工程を含み、[k−1]番目{ここで、2≦k≦nである。}の工程で用いるビーズの平均粒子径が[k]番目の工程で用いるビーズの平均粒子径よりも大きいことを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明はナノ粒子の凝集粉体を、平均粒子径が100nm以下の、特に平均粒子径が50nm以下のナノ粒子に短時間で湿式粉砕するナノ粒子分散体の製造方法に関する。
近年、ナノ粒子を電子材料、光学材料などの先端材料で利用する技術が脚光を浴びている。さらに、ナノ粒子の大きさ(平均粒子径)が小さくなると透明性が発現することから、数十nm以下のナノ粒子は特に注目されている。
一般に、ナノ粒子を得る手法は、気相法や液相法で合成された凝集粉体を機械的なエネルギーで粉砕するブレークダウン手法と原料からナノ粒子を化学的に合成するビルドアップ手法に大別される。ビルドアップ手法は均一なナノ粒子を得る手法として適しているが、大量生産やナノ粒子の凝集制御の点で問題がある。
一方、ブレークダウン手法は安価な手法であり、大量生産に適している。ブレークダウン手法には湿式と乾式があり、コストや生産性、ナノサイズの粒子製造の点から湿式が適している。これまでに、ボールミルや振動ミル、アトライター、超音波ホモジナイザー、高圧分散機、ビーズミルなどの湿式粉砕機が利用されてきたが、近年、小さなビーズを利用したビーズミルが注目されている。小さなビーズを用いると、凝集粉体に過度な粉砕エネルギーを与えることがなく粉砕することができ、結晶性に代表されるナノ粒子の性状変化やナノ粒子特有の大きな表面エネルギーに由来する再度の凝集を抑えることができる(以下、非特許文献1、非特許文献2を参照のこと)。また、ビーズ自身の摩耗も抑制することができ、分散製品の純度や品質低下を招かない(以下、非特許文献3を参照のこと)。これまで湿式粉砕は数百nmまでの粉砕が限界と言われていたが、小さなビーズを用いることで100nm以下のナノ粒子製造が可能となってきた(以下、特許文献1を参照のこと)。さらに、分散剤を利用して、様々な媒体でのナノ粒子製造が可能となってきている。
粉砕により製造されたナノ粒子分散体は、動的光散乱法を始めとした粒度分布測定で評価される。粒子径の大きな粒子は光の散乱因子となり、ナノ粒子分散体の光透過性を大きく失わせる。光の波長に比べて微粒子のサイズが小さい場合に起こるレイリー散乱では、散乱強度は粒子径の6乗に比例するため、特にナノ粒子の平均粒子径が50nmを超える場合はナノ粒子分散体の白濁度は顕著になり、光透過性が十分であるものを得ることができない。
「粉体工学会誌」 第41巻 第8号 2004年 p.578 「粉体と工業」 第37巻 第8号 2005年 p.51 「粉体工学会誌」 第41巻 第6号 2004年 p.457 特開2005−87972号公報
本発明の課題は、ナノ粒子の凝集粉体を、平均粒子径が100nm以下の、特に平均粒子径が50nm以下のナノ粒子に短時間で湿式粉砕するナノ粒子分散体の製造方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ビーズを利用する湿式粉砕機を用いてナノ粒子の凝集粉体からナノ粒子分散体を製造する方法において、ビーズの平均粒子径が異なるn個{ここで、nは2以上の整数である。}の湿式粉砕工程を含み、[k−1]番目{ここで、kは2≦k≦nを満たす整数である。}の工程で用いるビーズの平均粒子径が[k]番目の工程で用いるビーズの平均粒子径よりも大きくすることで、上記課題を解決しうることを発見し、かかる発見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、具体的には以下の[1]〜[7]である:
[1]ビーズを利用する湿式粉砕機を用いてナノ粒子の凝集粉体からナノ粒子分散体を製造する方法において、ビーズの平均粒子径が異なるn個{ここで、nは2以上の整数である。}の湿式粉砕工程を含み、[k−1]番目{ここで、kは2≦k≦nを満たす整数である。}の工程で用いるビーズの平均粒子径が[k]番目の工程で用いるビーズの平均粒子径よりも大きいことを特徴とするナノ粒子分散体の製造方法。
[2]最初[1番目]の工程で用いるビーズの平均粒子径が300μm以下である、前記[1]に記載の方法。
[3][k−1]番目の工程で用いるビーズの平均粒子径が[k]番目の工程で用いるビーズの平均粒子径の3〜50倍である、前記[1]又は[2]に記載の方法。
[4]最後[n番目]の工程で用いるビーズの平均粒子径が50μm以下である、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の方法。
[5]前記湿式粉砕工程で用いる粉砕機が、ビーズミルを含む媒体撹拌型粉砕機である、前記[1]〜[4]のいずれかに記載の方法。
[6]前記凝集粉体が、液相法で合成された無機酸化物である、前記[1]〜[5]のいずれかに記載の方法。
[7]最後[n番目]の工程で得られたナノ粒子分散体中のナノ粒子の平均粒子径が50nm以下である、前記[1]〜[6]のいずれかに記載の方法。
本発明のナノ粒子分散体の製造方法によると、ナノ粒子の凝集粉体を、平均粒子径が100nm以下のナノ粒子に、特に平均粒子径が50nm以下のナノ粒子に短時間で湿式粉砕してナノ粒子分散体を製造することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、湿式粉砕される凝集粉体は沈降法やゾル−ゲル法などの液相法や、気相法などで作製される。得られる粉体としては、無機化合物粉体、有機化合物粉体等がある。無機化合物粉体としては、ケイ素、2族のマグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属、亜鉛、3族のアルミニウム、ガリウム、希土類等、4族のチタン、ジルコニウム等、5族のリン、バナジウム等、6族のクロム、モリブデン等、7族のマンガン等、8族の鉄、コバルト等の無機酸化物や窒化珪素、窒化アルミニウムなどの窒化物、硫化亜鉛や硫化鉛などの硫化物が挙げられる。また、有機化合物粉体としては、有機顔料や有機ポリマーなどが挙げられる。これらは単独で使用しても、2種類以上を混合して使用してもよい。
凝集粉体が液相法で合成された無機酸化物である場合、本発明の効果は著しいものとなる。一般に、無機酸化物の表面は水酸基が存在している。気相法で合成された無機酸化物に比べ、液相法で合成された無機酸化物の表面には多数の水酸基が存在しているため、加熱乾燥などを用いて粉体にする際には、表面の水酸基同士が脱水縮合反応し、ナノ粒子同士が強固に結合した凝集粉体となる。ナノ粒子分散体を得るためには小さなビーズを用いることが好ましいが、あまりにもナノ粒子同士が強固に結合していると、ビーズの粉砕エネルギーが小さすぎ、十分に粉砕が進まない。また、乾燥方法などによっては、ナノ粒子の凝集体の一つひとつが数百μm以上となる凝集粉体もある。凝集粉体の大きさがビーズの平均粒子径に対して大きい場合も、粉砕が進みにくい。
本発明では複数の、すなわち、n個{ここで、nは2以上の整数である。}の湿式粉砕工程を行い、[k−1]番目{ここで、kは2≦k≦nを満たす整数である。}の粉砕工程で用いるビーズの平均粒子径が[k]番目の粉砕工程で用いるビーズの平均粒子径よりも大きいことを特徴としている。すなわち、凝集粉体の凝集力や大きさに見合った粉砕エネルギーを与えられるビーズを各粉砕工程で選択することにより、短時間で、効果的にナノ粒子まで粉砕することができる。
ここで、ナノ粒子同士が強固に結合した凝集粉体を、n個の湿式粉砕工程における[k−1]番目の粉砕工程としてビーズを用いて粗粉砕する利点を述べる。これまで凝集粉体を粗粉砕する方法として、ボールミルや超音波ホモジナイザーなどが利用されてきた。例えば、ボールミルは通常、数mm以上のボールを利用するが、ビーズに比べてサイズが大きいため、凝集粉体との接触頻度は小さくなり、粉砕時間は長くなる。加えて、サイズの大きなボールを利用すると、凝集粉体に過度な粉砕エネルギーを与えてしまい、ナノ粒子自体の結晶性が低下する場合もある。超音波ホモジナイザーは、チップの超音波振動から発生するキャビテーションを利用しており、分散媒体中でチップ先端部のみの局所的な粉砕を行う。その結果、粉砕された粒子の粒度分布は広くなり、粒度の均一性に欠けるため、粗大な粒子が残りやすい。次の粉砕工程で、ビーズなどを利用したナノ粒子までの粉砕を行うと、粗大な粒子はナノ粒子まで粉砕されずに残ってしまう。
一方、本発明におけるようにビーズを利用した粗粉砕では上記欠点が改善される。つまり、ボールに比べてサイズの小さいビーズでは、凝集粉体との接触頻度は大きくなり、粉砕時間は短くなる。加えて、凝集粉体に過度な粉砕エネルギーを与えることがなく粉砕することもできる。また、分散媒体中でビーズと凝集粉体は均一に混合されており、分散媒体全体で均一な粉砕を行うことができる。粒度分布は狭くなり、粗大な粒子が残りにくい。
本発明において、使用するビーズの材質は凝集粉体を粉砕できれば何でもよいが、硬質であるものが好ましい。ジルコニア、シリカ、アルミナ、窒化珪素などが利用できるが、ビーズの摩耗が少なく、ビーズ由来の不純物を抑制できる点でジルコニアが好ましい。
また、湿式粉砕の各工程で使用するビーズの大きさは、大きなビーズでは衝突エネルギーが大きく、粉砕されたナノ粒子表面は非常に表面エネルギーが高くなり、ナノ粒子同士が再度凝集する場合がある。さらに、ビーズの摩耗が激しくなる恐れもある。一方で、ビーズが小さすぎると粉砕することが困難になる場合がある。したがって、ビーズの大きさ(平均粒子径)は0.01μm〜300μm以下が好ましく、0.01μm〜100μmがより好ましく、1μm〜100μmがさらに好ましい。
最後の粉砕工程で用いるビーズの平均粒子径は、ナノ粒子まで粉砕する上で、極めて重要である。粉砕されたナノ粒子は、そのナノ粒子のサイズが小さくなるほど、再度の凝集は起きやすい。より小さなビーズで粉砕することで、粉砕されたナノ粒子の表面エネルギーを抑えることができ、再度の凝集を抑制することができる。したがって、最後の粉砕工程で用いるビーズの平均粒子径は0.01μm〜100μmが好ましく、0.01μm〜50μmがより好ましい。
ビーズの材質は1種類のものを単独で使用しても、2種類以上を混合して使用してもよい。尚、ビーズの平均粒子径は、1000個のビーズの顕微鏡写真を画像解析し、Heywood径に対する球相当体積基準の50%粒径を算出することによって求めることができる。
最少の粉砕工程数で本発明の効果を達成するために、[k−1]番目の粉砕工程で用いるビーズの平均粒子径は、[k]番目の粉砕工程で用いるビーズの平均粒子径の3〜50倍が好ましく、5〜30倍がさらに好ましい。
本発明において、湿式粉砕は凝集粉体を分散媒体に分散させて行う。分散媒体としては、水およびアルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類などの有機溶媒が挙げられ、より具体的には、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピレングリコールモノプロピルエーテルなどのグリコールエーテル類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコールなどのグリコール類、酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチルなどのエステル類が用いられる。また、アクリル酸やメタクリル酸メチルなどの重合性モノマー、炭化水素ポリマーやシリコーンなどの重合体を利用することもできる。これらは単独で使用しても、2種類以上を混合して使用してもよい。
分散媒体中での凝集粉体及び粉砕されたナノ粒子の濃度は、分散媒体に対して0.1〜80重量%が好ましく、粉砕されたナノ粒子同士の再凝集を抑制する観点から、0.1〜30重量%がさらに好ましい。
本発明において、湿式粉砕に用いる粉砕機としてはビーズを利用できる湿式粉砕機であれば何でもよいが、凝集粉体に与える粉砕エネルギーを制御しやすいビーズミル等の媒体撹拌型(式)粉砕機が好ましい。
本発明においては、分散剤を使用することができる。分散剤は粉砕されたナノ粒子の分散媒体への分散性を促進し、また表面エネルギーが高く凝集しやすいナノ粒子同士の再凝集を防ぐことができる。分散剤は凝集粉体や分散媒体に応じて、従来から用いられているものを選択して使用することができるが、ナノ粒子表面と反応しやすく様々な分散媒体と相溶しやすいシランカップリング剤やその部分加水分解物を使用するのが好ましい。特に、凝集粉体が無機酸化物の場合、シランカップリング剤やその部分加水分解物は粉体表面の水酸基と反応するため、好ましい分散剤となる。
用いるシランカップリング剤としては、下記一般式[1]:
nSi(OR)4-n [1]
で表されるものが好ましい。
上記一般式[1]中、Xはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、ブチル基(n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、sec−ブチル)、ペンチル基(n−ペンチル、i−ペンチル、ネオペンチル等)、ヘキシル基(n−ヘキシル、i−ヘキシル等)、ヘプチル基(n−ヘプチル、i−ヘプチル等)、オクチル基(n−オクチル、i−オクチル、t−オクチル等)、ノニル基(n−ノニル、i−ノニル等)、デシル基(n−デシル、i−デシル等)、ドデシル基(n−ドデシル、i−ドデシル等)等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基やシクロヘキシル基、ベンジル基等の環状炭化水素基が挙げられ、また、これらの水素原子又は主鎖骨格の一部又は全部がエーテル基、エステル基、カルボニル基、シロキサン基、フッ素等のハロゲン原子、アクリル基、メタクリル基、ビニル基、アリル基、メルカプト基、アミノ基、ヒドロキシル基等で置換されていてもよい。
上記一般式[1]中、nは0〜3の整数である。
上記一般式[1]中、Rの具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、ブチル基(n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、sec−ブチル)、ペンチル基(n−ペンチル、i−ペンチル、ネオペンチル等)、ヘキシル基(n−ヘキシル、i−ヘキシル等)、ヘプチル基(n−ヘプチル、i−ヘプチル等)、オクチル基(n−オクチル、i−オクチル、t−オクチル等)、ノニル基(n−ノニル、i−ノニル等)、デシル基(n−デシル、i−デシル等)、ドデシル基(n−ドデシル、i−ドデシル等)等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基やシクロヘキシル基、ベンジル基等の環状炭化水素基が挙げられ、複数のRは互いに同一でも異なっていてもよい。好ましくは炭素原子数1〜3のアルキル基であり、メチル基、エチル基が最も好ましい。
上記一般式[1]で表される化合物の具体例としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、ジメトキシジメチルシラン、メトキシトリメチルシラン、メチルトリエトキシシラン、トリメトキシビニルシラン、アリルトリエトシキシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、テトラエトキシシラン等を例示することができる。このようなシランカップリング剤の加水分解は、水、有機溶媒の存在下で行われ、必要に応じて酸やアルカリ等の触媒が利用できる。
分散剤の添加量としては、凝集粉体に対する重量割合として、再凝集を抑制する観点から0.0001〜20倍が好ましく、より好ましくは0.1〜10倍が好ましく、さらに好ましくは0.2〜5倍である。また、工業的に実施する観点からも添加量は20倍以下が好ましい。また、粉砕の最中に分散剤を添加してもよい。添加する方法としては、分割して間欠的に添加しても連続して添加してもよい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
凝集粉体の粉砕は、ビーズミル装置(寿工業製ウルトラアペックスミルUAM−015型)を用いた。
粉砕後の微粒子の粒子径の測定は、マルバーン社製ゼータサイザーナノ−ZSを用いて動的光散乱法により実施した。
実施例1
液相法による酸化チタン粉体の合成
相対湿度5%以下、窒素雰囲気下のグローブボックス中で、10gのチタニウムテトライソプロポキシドを30.155gのイソプロパノール(IPA)に溶解した(I液)。一方、大気下で2.536gの精製水を27.575gのIPAに溶解した(II液)。II液を滴下漏斗に入れ、I液を攪拌しながら25℃にて5分間でII液を滴下した。滴下中に、白色沈殿物が生じた。滴下終了後、90℃で1時間攪拌した後、減圧濾過により白色沈殿物を回収した。次に、30gの精製水を加えて25℃で10分間攪拌した後、減圧濾過により白色沈殿物を回収した(水洗浄工程)。この水洗浄工程を、3回繰り返した。その後、白色沈殿物を105℃で2時間、減圧乾燥し、白色の酸化チタン粉体(α)を得た。電子顕微鏡で観察したところ、1次粒子径は5nmであった。
粉砕工程(1)
分散媒体としてメチルイソブチルケトンを用い、分散剤としてトリメトキシビニルシランを用いた。まず、0.926gのトリメトキシビニルシランを485gのメチルイソブチルケトンに分散し、次いで5gの酸化チタン粉体(α)を加え、撹拌して、凝集粉体の分散液(A)を得た。次に、ビーズ径が100μmのジルコニア製ビーズを撹拌容器の70体積%になるように入れたビーズミル装置で分散液(A)を45分間、粉砕した。その際、撹拌ブレード先端の周速(以下、周速)が10m/秒となるように撹拌翼の回転数を調整して粉砕し、粗粉砕された微粒子の分散液(B)を得た。
粉砕工程(2)
粉砕工程(1)で得られた分散液(B)に9.26gのトリメトキシビニルシランを加え、ビーズ径が15μmのジルコニア製ビーズを撹拌容器の70体積%になるように入れたビーズミル装置で60分間、粉砕した。その際、周速が15m/秒となるように撹拌翼の回転数を調整して粉砕し、ナノ粒子の分散液(C)を得た。分散液(C)の体積基準の平均粒子径は17nmであり、その外観は透明であった。
比較例1
実施例1において、粉砕工程(2)でビーズ径が100μmのジルコニア製ビーズを利用し、周速が10m/秒となるように撹拌翼の回転数を調整した以外は実施例1と同様に行い、分散液(D)を得た。分散液(D)の体積基準の平均粒子径は1600nmであり、粉砕されたナノ粒子同士の再度の凝集が発生し、その外観は白濁していた。
比較例2
実施例1において、粉砕工程(1)でビーズ径が15μmのジルコニア製ビーズを利用し、周速が15m/秒となるように撹拌翼の回転数を調整した以外は実施例1と同様に行い、分散液(E)を得た。分散液(E)の体積基準の平均粒子径は135nmであり、ナノ粒子までの粉砕が十分行われず、その外観は白濁していた。
本発明は、電子材料用途や光学材料用途に用いられるナノ粒子分散体の製造方法として有用である。

Claims (7)

  1. ビーズを利用する湿式粉砕機を用いてナノ粒子の凝集粉体からナノ粒子分散体を製造する方法において、ビーズの平均粒子径が異なるn個{ここで、nは2以上の整数である。}の湿式粉砕工程を含み、[k−1]番目{ここで、kは2≦k≦nを満たす整数である。}の工程で用いるビーズの平均粒子径が[k]番目の工程で用いるビーズの平均粒子径よりも大きいことを特徴とするナノ粒子分散体の製造方法。
  2. 最初[1番目]の工程で用いるビーズの平均粒子径が300μm以下である、請求項1に記載の方法。
  3. [k−1]番目の工程で用いるビーズの平均粒子径が[k]番目の工程で用いるビーズの平均粒子径の3〜50倍である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 最後[n番目]の工程で用いるビーズの平均粒子径が50μm以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記湿式粉砕工程で用いる粉砕機が、ビーズミルを含む媒体撹拌型粉砕機である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記凝集粉体が、液相法で合成された無機酸化物である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 最後[n番目]の工程で得られたナノ粒子分散体中のナノ粒子の平均粒子径が50nm以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
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