JP2010235368A - ジルコニア粒子及びその製造方法、並びにジルコニア粒子を含有する分散液 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、ナノ粒子でありながら凝集することなく単分散であり且つ分散安定性に優れたジルコニア粒子およびジルコニア粒子分散溶液を製造する方法を提供する。
【解決手段】 亜臨界水を反応場として、ジルコニウム化合物とカルボン酸又はカルボン酸のアミン塩を水熱反応に付して、平均粒子径1〜30nmであり、カルボン酸又はカルボン酸のアミン塩等の有機物により表面改質されたジルコニア粒子を合成することを特徴とするジルコニア粒子の製造方法である。
【選択図】 なし
【解決手段】 亜臨界水を反応場として、ジルコニウム化合物とカルボン酸又はカルボン酸のアミン塩を水熱反応に付して、平均粒子径1〜30nmであり、カルボン酸又はカルボン酸のアミン塩等の有機物により表面改質されたジルコニア粒子を合成することを特徴とするジルコニア粒子の製造方法である。
【選択図】 なし
Description
本発明は、ナノ粒子でありながら凝集することなく単分散であり、且つ、分散安定性に優れたジルコニア粒子及びジルコニア粒子分散溶液、並びにその製造方法に関する。
透明高分子の高屈折率化は従来、硫黄やハロゲンなどを高分子中に導入することにより行われてきた。しかし、屈折率の向上には限界があり、また、吸湿性、屈折率温度依存性、複屈折率などの光学特性が低下する場合があった。そこで種々の光学特性を付与しながら、より高屈折率化が可能な手法として、微粒子を透明高分子に分散させる試みが近年盛んに行われている。
現在、特性改善のために期待されている材料のひとつとして、ジルコニア粒子が挙げられる。ジルコニア粒子はバルクの屈折率が約2.17であり、かつチタニアと比較して光活性を示さないため高分子の劣化を招く可能性が低く、高屈折率透明高分子材料としての応用が期待されている。
また、光の波長より十分に小さい粒子が高分子中で単分散している場合のみ、高透明性が実現するといわれており、ナノ粒子でありながら凝集することなく単分散であり且つ分散安定性に優れたジルコニア粒子が要求されている。
従来、ジルコニア粒子の製造方法としてはジルコニウム塩を含有する水溶液をアンモニアなどのアルカリで中和して、水和ジルコニウムを得た後、乾燥および焼成することによってジルコニア粒子を調製する方法が知られている。(特許文献1参照)
また、ジルコニウムアルコキシドまたはそれを含有する溶液に酸などを添加し、ジルコニウムアルコキシドを加水分解してジルコニア粒子を調製し、ジルコニウム懸濁液を得る方法が知られている。(特許文献2参照)
また、ジルコニア粒子の凝集を防ぎ、分散安定性を向上させる手法が開示されている。
特許文献3には、コロイド状ジルコニアを焼成して、ジルコニア粒子を生成させ、該ジルコニア粉末を水溶性の有機酸または有機アルカリが存在する水中で粉砕することによって安定なジルコニア水性ゾルを調製する方法が開示されている。
特許文献4には、ジルコニウム塩水溶液をアルカリで中和し、得られた沈殿物をろ過および水洗し、溶媒に分散させた後、1気圧以下の圧力下において80℃以上の温度で水熱処理した後、高圧ホモジナイザーにより分散させることにより、溶媒中に分散したジルコニア粒子を調製する方法が開示されている。
また、非特許文献1には、トリオクチルホスフィンオキシド中に塩化ジルコニウムとジルコニウムアルコキシドを添加した後、その溶液をゆっくりと加熱することによって、平均粒子径4nmの正方晶ジルコニア粒子を調製する方法が報告されている。
特許文献1および特許文献2に開示されている調製方法で得られたジルコニア粒子は、ジルコニア粒子同士が強く凝集しており、分散溶液中のジルコニア粒子の粒子径を数十nm以下まで分散させることは困難であり、ジルコニア粒子が容易に沈降してしまうと考えられる。
特許文献3および特許文献4で開示されている手法を用いたジルコニア分散液の調製方法では、焼成および水熱合成によって強固に凝集したジルコニア粒子を一次粒子径まで分散させることは困難であり、二次粒子径がおよそ100nmのジルコニア分散液しか得られない。
また、非特許文献1で報告されている手法では分散粒子径が4nmのジルコニア分散液が得られるが、該手法でトリオクチルホスフィンオキシドを反応溶媒として大量に使用するのでリンを含有する排液が大量に発生するため生産性、エコロジーに問題があるものと考えられる。
そこで本発明は、上記のような現状を鑑み、ナノ粒子でありながら凝集することなく単分散であり、且つ、分散安定性に優れたジルコニア粒子を調製することを目的とする。
前記技術的課題は、次の通りの本発明によって達成できる。
即ち、本発明は、平均粒子径1〜30nmのジルコニア粒子表面が有機物により改質されたことを特徴とするジルコニア粒子である(本発明1)。
また、本発明は、有機物がカルボン酸又はカルボン酸のアミン塩である本発明1記載のジルコニア粒子である(本発明2)。
また、本発明は、前記有機物の含有量がジルコニア粒子の10〜90重量%である本発明1又は2記載のジルコニア粒子である(本発明3)。
また、本発明は、本発明1乃至3のいずれかに記載のジルコニア粒子を含有するジルコニア粒子の分散液であって、ジルコニア粒子の分散粒子径が1〜50nmであるジルコニア粒子の分散溶液である(本発明4)。
また、本発明は、前記ジルコニア粒子の分散溶液のジルコニア粒子含有量は0.5〜80重量%である本発明4記載のジルコニア分散溶液である(本発明5)。
また、本発明は、ジルコニウム化合物とカルボン酸又はカルボン酸のアミン塩とを、亜臨界状態の水を媒体として、水熱反応させることを特徴とする本発明1〜3のいずれかに記載のジルコニア粒子の製造方法である(本発明6)。
また、本発明は、水熱反応を温度250℃〜350℃、圧力10MPa〜40MPaで行うことを特徴とする本発明6記載のジルコニア粒子の製造方法である(本発明7)。
本発明に係るジルコニア粒子及び該ジルコニア粒子を含有する分散溶液は、ナノ粒子でありながら凝集することなく単分散であり、且つ、分散安定性に優れている。
本発明に係るジルコニア粒子は、ジルコニア粒子の粒子表面が有機物により改質された平均粒子径1〜30nmのジルコニアナノ粒子である。
本発明において、ジルコニア粒子の粒子表面を改質する有機物は、カルボキシル基を含有する有機物、又はカルボキシル基を含有する有機物とアミノ基を含有する有機物の反応物・混合物であるカルボン酸のアミン塩が好ましい。
上記のようなカルボキシル基を含有する有機物としては、ジルコニア分散液の分散安定性を維持できるものであれば特に限定されない。例えば、飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸、環状カルボン酸などであるが、有機物の中にこれらが一種以上含まれていれば良く、またこれらの組み合わせによるジカルボン酸やトリカルボン酸であっても良い。更に、アミノ酸などの他官能基を含有するカルボン酸も好適に使用できる。好ましくは炭素数が4以上の直鎖カルボン酸であり、より好ましくは炭素数が6以上の直鎖カルボン酸を使用できる。
また、アミノ基を含有する有機物としては、上記カルボキシル基を含有する有機物と塩を形成してカルボン酸のアミン塩を形成するものであれば特に限定されない。例えば、脂肪族アミン、芳香族アミン、環状アミンなどである。アミンとしては置換基が1級、2級、3級など限定されず使用することができる。また、ジアミンやトリアミンであってもよい。更に、アルコール基などの他官能基を含有するアミンも好適に使用できる。好ましくはアルコール基を有するアミンを使用し、且つ炭素数が2以上のアミンを使用できる。
本発明のジルコニア粒子が含有する表面修飾有機物の含有量は10重量%〜90重量%が好ましい。10重量%未満の場合には分散安定性が悪くなり、ジルコニア粒子が凝集および沈降してしまう。また、90重量%を超える場合にはジルコニア粒子の含有量が低くなり、高屈折率材料用途としては不向きとなってしまう。より好ましい表面修飾有機物の含有量は15〜50重量%である。
本発明のジルコニア粒子の平均粒子径は1〜30nmである。高屈折率材料用途では、30nmを超える場合には透明性に問題があり実用的ではない。好ましい平均粒子径は1〜20nmである。
本発明に係るジルコニア粒子分散体におけるジルコニア粒子の濃度は用途に応じて変化させればよいが、溶媒中にジルコニア粒子を0.5〜80重量%含有することが好ましく、より好ましくは1.0〜60重量%である。また、溶媒としては、ジルコニア粒子が安定して分散するものであれば特に限定されるものではない。例えば、炭化水素、アルコール、エステル、ケトン等の有機溶媒であり、水溶性表面改質有機物を使用した際には水を使用することができる。
本発明に係るジルコニア粒子分散体において、ジルコニア粒子の分散粒子径は1〜50nmが好ましい。より好ましい分散粒子径は1〜20nmである。分散粒子径が50nmを超える場合、ジルコニア分散液の透明性が低下し、またジルコニア分散液の分散安定性が悪くなり、保存安定性が低下してしまう。
本発明に係るジルコニア粒子は、ジルコニア粒子を含有する分散体としたときの分散粒子径と平均粒子径との比が1.0〜3.0であることが好ましい。分散粒子径と一次粒子の平均粒子径との比が1.0未満の場合は理論上、製造できない。粒子径の比が3.0を越える場合には、凝集粒子が大きくなり、単分散とは言い難い。より好ましくは1.1〜2.0である。
次に、本発明に係るジルコニア粒子およびジルコニア粒子分散溶液の製造方法について述べる。
本発明に係るジルコニア粒子は、亜臨界水を反応場として、ジルコニウム化合物とカルボン酸又はカルボン酸のアミン塩とに水熱反応を行うことにより製造することができる。
本発明に用いるジルコニウム化合物は特に限定されず、塩化ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、水酸化ジルコニウム等の無機ジルコニウム化合物、または酢酸ジルコニウム、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムプロポキシド等の有機ジルコニウム化合物などが使用できる。
本発明に用いるカルボン酸の添加量は、ジルコニウム化合物に対して1モル倍量〜20モル倍量が好ましい。カルボン酸の添加量が前記範囲より多量の場合には、調製後の溶液からジルコニア粒子表面に吸着しなかったカルボン酸を取り除くための大量の溶剤が必要となってしまう。
アミンの添加量は、カルボン酸とアミン塩を形成するのに必要な量を添加すれば良く、有機物に含有されるカルボキシル基1個に対して0.5モル倍量〜10モル倍量が好ましく、より好ましくは1.0モル倍量〜5.0モル倍量である。アミンを添加することによって、反応時間を短くすることができ、ジルコニア粒子の粒度分布を狭くすることが可能となる。
本発明に係る反応場は亜臨界状態にある溶媒(水、或いは水と有機溶媒との混合溶媒)が好適に採用され、そのような反応場の温度として250℃〜350℃程度が好ましく、圧力は10MPa〜40MPa程度が好ましい。さらに反応時間も特に限定されないが、一般的には0.01〜20分程度の反応時間が好ましい。
前述の反応場を形成する反応装置としては、特に限定されず高温高圧の条件に耐える装置であれば良い。例えば、従来のバッチ式オートクレーブ様の反応装置、流通式の反応装置のいずれも使用することができる。
反応が終了した後の反応溶液は必要に応じて精製を行い、余剰の有機物および無機物を取り除く。精製方法は公知の方法が適用することができ、デカンテーション、遠心分離、限外ろ過、溶媒抽出などにより行えばよい。
本発明の代表的な実施例は次の通りである。
なお、本発明における各物性の測定は、次のように実施した。
(1)定性分析
ジルコニア粒子の結晶状態の同定にはXRD(リガク社製 Mini FlexII)を使用して行った。
ジルコニア粒子の結晶状態の同定にはXRD(リガク社製 Mini FlexII)を使用して行った。
(2)平均粒子径
ジルコニア粒子の平均粒子径の測定にはTEM(日立製 H−7650)を使用して行った。
ジルコニア粒子の平均粒子径の測定にはTEM(日立製 H−7650)を使用して行った。
(3)分散粒子径
ジルコニア粒子の分散粒子径の測定には動的光散乱法(シスメックス社製 ゼータサイザーナノZS)を使用して行った。
ジルコニア粒子の分散粒子径の測定には動的光散乱法(シスメックス社製 ゼータサイザーナノZS)を使用して行った。
(4)有機物含有量
ジルコニア粒子に含有される有機物量の測定および表面改質有機物の推察にはTG/DTA(リガク社製 Thermo Plus EVO)を使用して行った。
ジルコニア粒子に含有される有機物量の測定および表面改質有機物の推察にはTG/DTA(リガク社製 Thermo Plus EVO)を使用して行った。
(5)表面改質有機物
ジルコニア粒子の表面状態の解析にはFT−IR(島津社製 IR Prestage−21)を使用して行った。
ジルコニア粒子の表面状態の解析にはFT−IR(島津社製 IR Prestage−21)を使用して行った。
実施例1
ジルコニウムプロポキシドを純水に添加し、Zr濃度0.1mol/lの水酸化ジルコニウムゾルを調製した。該ジルコニウムゾル3.0gとヘキサン酸0.8gを5ccの管型オートクレーブに仕込んだ。あらかじめ、300℃に設定した加熱炉に反応管を入れて加熱させた。純水と仮定した時の圧力は35MPaである。昇温には1.5minを要した。5min反応させた。反応管を冷水に投入することで反応を停止した。反応後の溶液をメタノールで取り出し、デカンテーションによって洗浄した。その後、乾燥することによって白色の粉末を得た。
得られた粒子粉末をXRD測定した結果、単斜晶と正方晶であることが確認された。TG/DTA測定により有機物がジルコニア粒子に対し20wt%含まれていることが確認された。
また、得られた粒子粉末をクロロホルムに分散させたところ透明な溶液となった(濃度5wt%)。この溶液をTEM観察した結果、平均粒子径(一次粒子径)が8nmであることが確認された。また、動的光散乱法によって、分散粒子径(二次粒子径)は10nmであることが確認された。分散粒子径(二次粒子径)と平均粒子径(一次粒子径)との比(分散粒子径/平均粒子径)は1.25であり、一次粒子がほぼ単独で存在できる単分散状態であることが確認された。
ジルコニウムプロポキシドを純水に添加し、Zr濃度0.1mol/lの水酸化ジルコニウムゾルを調製した。該ジルコニウムゾル3.0gとヘキサン酸0.8gを5ccの管型オートクレーブに仕込んだ。あらかじめ、300℃に設定した加熱炉に反応管を入れて加熱させた。純水と仮定した時の圧力は35MPaである。昇温には1.5minを要した。5min反応させた。反応管を冷水に投入することで反応を停止した。反応後の溶液をメタノールで取り出し、デカンテーションによって洗浄した。その後、乾燥することによって白色の粉末を得た。
得られた粒子粉末をXRD測定した結果、単斜晶と正方晶であることが確認された。TG/DTA測定により有機物がジルコニア粒子に対し20wt%含まれていることが確認された。
また、得られた粒子粉末をクロロホルムに分散させたところ透明な溶液となった(濃度5wt%)。この溶液をTEM観察した結果、平均粒子径(一次粒子径)が8nmであることが確認された。また、動的光散乱法によって、分散粒子径(二次粒子径)は10nmであることが確認された。分散粒子径(二次粒子径)と平均粒子径(一次粒子径)との比(分散粒子径/平均粒子径)は1.25であり、一次粒子がほぼ単独で存在できる単分散状態であることが確認された。
実施例2
酢酸ジルコニウムを純水に添加し、Zr濃度0.1mol/lの水溶液を調製した。該水溶液2.0gとオレイン酸0.4g、2−ジメチルアミノエタノール0.13gを5ccの管型オートクレーブに仕込んだ。このときのカルボキシル基1個に対するアミンの添加量は1.0モルであった。予め300℃に設定した加熱炉に反応管を入れて加熱させた。純水と仮定した時の圧力は35MPaである。昇温には1.5minを要した。5min反応させた。反応管を冷水に投入することで反応を停止した。反応後の溶液をメタノールで取り出し、デカンテーションによって洗浄した。その後、乾燥することによって白色の粉末を得た。
得られた粒子粉末をXRD測定した結果、単斜晶と正方晶であることが確認された。TG/DTA測定により有機物がジルコニア粒子に対し30wt%含まれていることが確認された。
また、得られた粒子粉末をトルエンに分散させたところ透明な溶液となった(濃度5wt%)。この溶液をTEM観察した結果、平均粒子径(一次粒子径)が5nmであることが確認された。また、動的光散乱法によって、分散粒子径(二次粒子径)は7nmであることが確認された。分散粒子径(二次粒子径)と平均粒子径(一次粒子径)との比(分散粒子径/平均粒子径)は1.4であり、一次粒子がほぼ単独で存在できる単分散状態であることが確認された。
酢酸ジルコニウムを純水に添加し、Zr濃度0.1mol/lの水溶液を調製した。該水溶液2.0gとオレイン酸0.4g、2−ジメチルアミノエタノール0.13gを5ccの管型オートクレーブに仕込んだ。このときのカルボキシル基1個に対するアミンの添加量は1.0モルであった。予め300℃に設定した加熱炉に反応管を入れて加熱させた。純水と仮定した時の圧力は35MPaである。昇温には1.5minを要した。5min反応させた。反応管を冷水に投入することで反応を停止した。反応後の溶液をメタノールで取り出し、デカンテーションによって洗浄した。その後、乾燥することによって白色の粉末を得た。
得られた粒子粉末をXRD測定した結果、単斜晶と正方晶であることが確認された。TG/DTA測定により有機物がジルコニア粒子に対し30wt%含まれていることが確認された。
また、得られた粒子粉末をトルエンに分散させたところ透明な溶液となった(濃度5wt%)。この溶液をTEM観察した結果、平均粒子径(一次粒子径)が5nmであることが確認された。また、動的光散乱法によって、分散粒子径(二次粒子径)は7nmであることが確認された。分散粒子径(二次粒子径)と平均粒子径(一次粒子径)との比(分散粒子径/平均粒子径)は1.4であり、一次粒子がほぼ単独で存在できる単分散状態であることが確認された。
比較例1
ジルコニウムプロポキシドを純水に添加し、Zr濃度0.1mol/lの水酸化ジルコニウムゾルを調製した。該ジルコニウムゾル3.8gとヘキサン酸0.6gを5cc管型オートクレーブに仕込んだ。あらかじめ、200℃に設定した加熱炉に反応管を入れて加熱させた。純水と仮定したときの圧力は35MPaである。昇温には1.5minを要した。5min反応させた。反応管を冷水に投入することで反応を停止した。反応後の溶液をメタノールで取り出し、デカンテーションによって洗浄した。その後、乾燥することで白色の粉末を得た。
得られた粒子粉末をXRD測定した結果、結晶化度の低い水酸化ジルコニウムであることが確認された。また、得られた粒子粉末50mgをクロロホルム1.0gに添加したが、粉末は沈降し分散溶液は得られなかった。
ジルコニウムプロポキシドを純水に添加し、Zr濃度0.1mol/lの水酸化ジルコニウムゾルを調製した。該ジルコニウムゾル3.8gとヘキサン酸0.6gを5cc管型オートクレーブに仕込んだ。あらかじめ、200℃に設定した加熱炉に反応管を入れて加熱させた。純水と仮定したときの圧力は35MPaである。昇温には1.5minを要した。5min反応させた。反応管を冷水に投入することで反応を停止した。反応後の溶液をメタノールで取り出し、デカンテーションによって洗浄した。その後、乾燥することで白色の粉末を得た。
得られた粒子粉末をXRD測定した結果、結晶化度の低い水酸化ジルコニウムであることが確認された。また、得られた粒子粉末50mgをクロロホルム1.0gに添加したが、粉末は沈降し分散溶液は得られなかった。
比較例2
酢酸ジルコニウムを純水に添加し、Zr濃度0.1mol/lの水溶液を調製した。該水溶液2.2gと2−ジメチルアミノエタノール0.3gを5ccの管型オートクレーブに仕込んだ。予め400℃に設定した加熱炉に反応管を入れて加熱させた。純水と仮定した時の圧力は35MPaである。昇温には1.5minを要した。5min反応させた。反応管を冷水に投入することで反応を停止した。反応後の溶液をメタノールで取り出し、デカンテーションによって洗浄した。その後乾燥することによって白色の粉末を得た。
得られた粒子粉末をXRD測定した結果、単斜晶と正方晶であることが確認された。TEM観察の結果、平均粒子径(一次粒子径)は8nmであることが確認された。TG/DTA測定により有機物がジルコニア粒子に対し8wt%含まれていることが確認された。また、得られた粒子粉末32mgをTHF1.0gに添加したが、粉末は沈降し、分散溶液は得られなかった。
酢酸ジルコニウムを純水に添加し、Zr濃度0.1mol/lの水溶液を調製した。該水溶液2.2gと2−ジメチルアミノエタノール0.3gを5ccの管型オートクレーブに仕込んだ。予め400℃に設定した加熱炉に反応管を入れて加熱させた。純水と仮定した時の圧力は35MPaである。昇温には1.5minを要した。5min反応させた。反応管を冷水に投入することで反応を停止した。反応後の溶液をメタノールで取り出し、デカンテーションによって洗浄した。その後乾燥することによって白色の粉末を得た。
得られた粒子粉末をXRD測定した結果、単斜晶と正方晶であることが確認された。TEM観察の結果、平均粒子径(一次粒子径)は8nmであることが確認された。TG/DTA測定により有機物がジルコニア粒子に対し8wt%含まれていることが確認された。また、得られた粒子粉末32mgをTHF1.0gに添加したが、粉末は沈降し、分散溶液は得られなかった。
比較例3
ジルコニウムプロポキシドを純水に添加し、Zr濃度0.1mol/lの水酸化ジルコニウムゾルを調製した。該ジルコニウムゾル3.8gを5ccの管型オートクレーブに仕込んだ。あらかじめ、300℃に設定した加熱炉に反応管を入れて加熱させた。純水と仮定した時の圧力は35MPaである。昇温には1.5minを要した。5min反応させた。反応管を冷水に投入することで反応を停止した。反応後の溶液をメタノールで取り出し、デカンテーションによって洗浄した。その後、乾燥することによって白色の粉末を得た。
得られた粒子粉末をXRD測定した結果、単斜晶と正方晶であることが確認された。TG/DTA測定により有機物がジルコニア粒子に対し2wt%含まれていることが確認された。また、得られた粒子粉末48mgをTHF1.0gに添加したが、粉末は沈降し、分散溶液は得られなかった。
ジルコニウムプロポキシドを純水に添加し、Zr濃度0.1mol/lの水酸化ジルコニウムゾルを調製した。該ジルコニウムゾル3.8gを5ccの管型オートクレーブに仕込んだ。あらかじめ、300℃に設定した加熱炉に反応管を入れて加熱させた。純水と仮定した時の圧力は35MPaである。昇温には1.5minを要した。5min反応させた。反応管を冷水に投入することで反応を停止した。反応後の溶液をメタノールで取り出し、デカンテーションによって洗浄した。その後、乾燥することによって白色の粉末を得た。
得られた粒子粉末をXRD測定した結果、単斜晶と正方晶であることが確認された。TG/DTA測定により有機物がジルコニア粒子に対し2wt%含まれていることが確認された。また、得られた粒子粉末48mgをTHF1.0gに添加したが、粉末は沈降し、分散溶液は得られなかった。
本発明では、亜臨界水を反応場として、ジルコニウム化合物とカルボン酸又はカルボン酸のアミン塩を水熱反応によって製造することにより、単分散であり且つ分散安定性に優れたジルコニア粒子およびジルコニア粒子分散液を得ることができる。
Claims (7)
- 平均粒子径1〜30nmのジルコニア粒子表面が有機物により改質されたことを特徴とするジルコニア粒子。
- 有機物がカルボン酸又はカルボン酸のアミン塩である請求項1記載のジルコニア粒子。
- 前記有機物の含有量がジルコニア粒子の10〜90重量%である請求項1又は2記載のジルコニア粒子。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載のジルコニア粒子を含有するジルコニア粒子の分散液であって、ジルコニア粒子の分散粒子径が1〜50nmであるジルコニア粒子の分散溶液。
- 前記ジルコニア粒子の分散溶液のジルコニア粒子含有量は0.5〜80重量%である請求項4記載のジルコニア分散溶液。
- ジルコニウム化合物とカルボン酸又はカルボン酸のアミン塩とを、亜臨界状態の水を媒体として、水熱反応させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のジルコニア粒子の製造方法。
- 水熱反応を温度250℃〜350℃、圧力10MPa〜40MPaで行うことを特徴とする請求項6記載のジルコニア粒子の製造方法。
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