【発明の詳細な説明】
不織布及び接着剤用途に使用するポリオレフィンブレンド発明の属する技術分野
本発明は、ポリマーブレンドから製造されるファイバー、スレッド及びヤーン
並びに種々の不織布製品例えばウェブ、フィルム及びフォームにおけるこれらの
使用方法に関するものである。より詳細には、本発明は、新規な軟質ポリオレフ
ィン成分及びアイソタクチックポリプロピレン成分を含むポリアルファオレフィ
ンポリマーブレンドに関するものである。背景技術
種々の用途における、従来の溶媒ベースの接着剤のための、代用品又は置き換
え品としてのホットメルト接着剤の使用は、ますます支持されてきている。これ
は、揮発性有機化合物(VOC)の放出により引き起こされた環境への関心、職場
における労働者の健康及び溶媒ベースの接着剤の速い硬化時間によるものである
。
種々のホットメルト接着剤配合物、高分子改質剤及びその他の用途には、非晶
質ポリアルファオレフィン(APAO)が含まれる。そのような配合物においては、
ポリマーが、厳密に制御されたブルックフィールド(登録商標)溶融粘度(MV)、
針入度(NP)及び環球式軟化点(RBSP又はR&B SP)の範囲、制御可能かつ予測可
能な長期開放時間(OT)、低温柔軟性、種々の基材に対する接着性並びに種々の粘
着付与剤及びワックスとの適合性等の特性を示すことが重要である。再現性のあ
る仕様を有する原材料を使用して、接着剤及びその他の配合物に使用される配合
物において一貫した特性を得ることが望ましい。
通常、結晶性ポリプロピレンは、アイソタクチック又はシンジオタクチック構
造を有すること及び、例えばアタクチックポリプロピレン等の非晶質ポリマーは
、通常低い結晶化度を有する相当のアタクチック構造を有することは周知である
。例えば、米国特許第3,112,300号及び第3,112,301号は、アイソタクチックポリ
プロピレンを記載しており、アイソタクチック及びシンジオタクチックポリプロ
ピレンポリマーについての構造式を提供している。前者では、プロピレン単位の
直
鎖であり、全てのメチル基がポリマー鎖の一面に並んでいる。後者では、メチル
基が鎖の一面から他の面に交互に並んでいる。一方、アタクチックポロプロピレ
ンでは、メチル鎖がポリマー鎖の対面にランダムに配置している。前記特許のア
イソタクチック及びシンジオタクチックポリプロピレンにおいて、構造の規則性
は、より高度な結晶構造を生じる傾向にある。通常、低分子量アタクチックポリ
プロピレンポリマーは、最小の引張り強さを有するゴム性物質を生じる。アイソ
タクチック又はシンジオタクチックポリマーは、種々の不利益を有しており、例
えば伸び性能が低く、また、開放時間がない等である。これは、その結晶化度が
高いためであり、これらのポリマーをホットメルト接着剤配合物において望まし
くないものにしている。
商業的に製造されるポリプロピレンのほとんどは、結晶性アイソタクチックポ
リプロピレンである。通常この種の従来型のポリマーは、結晶化度、又は70J/g
以上、より典型的には90J/g以上の融解熱を有している。これらのポリマーは周
知であり、多数の特許権及び製品が存在する。
非常に強度が低いAPAOポリプロピレンは、例えば、接着剤中において及びアス
ファルト添加剤として商業的に使用されている。20J/g未満の結晶化度を有する
傾向にある、従来型のアタクチックポリプロピレンは、約2000g/10分間(230℃
における)以上の極めて高いメルトフローレートを有する。通常、これらのアタ
クチックポリプロピレンポリオレフィンは粘着性であり、これが商品における潜
在的な有用性を制限している。従来型のLMW APAOでは、高い張力及び伸び値が要
求される特定の適用における使用が見いだされていない。なぜなら、APAOはその
ような性質を欠くからである。
例えば、非晶質プロピレンホモ及びコポリマー等の高分子量(「HMW」)APAO(
本明細書においては、軟質ポリオレフィンポリマー又はFPOポリマーとも称する
)は多様な製品において、その使用が重要である。これらの物質の広い有用性は
、大部分が、例えば化学的不活性、軟度、フレキシビリティー(flexibility)等
、これらの物質によって示される化学的及び物理的特性の独特の組み合わせによ
るものである。従来型の非晶質又はアタクチックポリプロピレンは、立体的微細
構造において結晶性ポリプロピレンとは異なり、通常引張り強度に欠けるもので
あ
る。しかしながら、特定の用途のポリマーブレンドを得るために、異なるポリマ
ーの組み合わせにより従来型のブレンドを製造することは既知である。この従来
型のブレンドは、いくつかの不利益、例えば低い溶融粘度、オプティカル・ヘイ
ズ及び2つの独立した融解点(mp)及び/又はガラス転移温度(Tg)を与える不
混和性並びに僅か又は全く存在しない開放時間を有する傾向がある。
種々の文献には、従来型ポリマーブレンドが開示されており、それらのうちの
いくつかを以下に記載する。本件明細書において使用する用語“ブレンド”には
、メカニカルポリブレンド、メカノケミカルポリブレンド、ケミカルポリブレン
ド、溶液流延ポリブレンド及びラテックスポリブレンド(Chemical Technology
,Volume 24,3rd ed.Pp 920-922のKirk-Othmer Concise Encyclopedia(Wiley
& Sons,NY,ISBN 0-471-86977-5)に記載されている)が含まれ、それらの文献
の記載は、本件明細書に含まれるものとする。用語“ブレンド”には、また、少
なくとも2種のポリマー材料の物理的混合物が含まれる。
米国特許第3,963,659号には、架橋性エチレン−αオレフィンゴムを25重量
部まで含む均質熱可塑性ビチューメン組成物、及びその製造方法が開示されてお
り、アスファルト適用に有用な改良された特性が提供されている。そのビチュー
メン組成物中の架橋性ゴムは、高い引張り強さを有する最終製品を提供する。
米国特許第4,022,728号は、低温で良好な接着特性を提供する、非晶質ポリオ
レフィン、LMWの実質的に非晶質のポリマー、液体粘着性樹脂及び結晶性ポリプ
ロピレンから製造されたホットメルト感圧接着剤を開示している。
米国特許第4,075,290号は、分子量500,000〜1,750,000のアイソタクチックポ
リブテン−1を主要量含み、かつ、低圧エチレン(low pressure ethylene)と分
子量200,000〜350,000のポリプロピレン又はブテン−1とのコポリマーを少量含
むポリマーブレンドを開示しており、それによれば、該ブレンドは、優秀な溶接
性並びに優れた引裂き及び破断抵抗を示す。
米国特許第4,650,830号は、熱可塑性エラストマー組成物を開示しており、該
組成物は、良好な注入融合接着性能及び表面光沢特性を有し、非晶質エチレン/
αオレフィンコポリマーと、(i)プロピレンと炭素原子数が少なくとも4のαオ
レフィンとの低結晶化度コポリマー、(ii)主に1−ブテンから構成されるポリマ
ー、又は(iii)主に1−ブテンポリマーが構成する低結晶化度コポリマーと、大
抵がプロピレンであり、いくらかの成分が架橋されている高結晶化度ポリマーと
の組み合せ、により製造される。
米国特許第4,960,820号は、100より高くから1000のメルトインデックスを有す
る、LMWのアイソタクチックポリ-1-ブテンポリマーを約10重量%未満、及び60未
満のメルトインデックスを有するプロピレンポリマーを少なくとも約90重量%含
むブレンドを開示している。
米国特許第5,468,807号はプロピレン及び/又はブテン-1成分を少なくとも50
重量%有する非晶質ポリオレフィンを20〜80重量%、並びに結晶性ポリプロピレ
ンを20〜80重量%含む樹脂組成物を開示しており、該組成物は、メカニカル強度
及びフレキシビリティーのバランスが良好である。
米国特許第5,478,891号は、ホットメルト接着剤、コーティング、封止剤、ア
スファルト又はビチューメン改質剤及びプラスチック添加剤において使用するた
めの組成物であって、(a)少なくとも4個の炭素原子を有するαオレフィン及び
エチレンのHMWコポリマーと、(b)非晶質ポリプロピレン及び/又は非晶質ポリ
オレフィンとのブレンドポリマー組成物を開示している。成分(a)は、通常、室
温で硬質であり、成分(b)は、約300〜60,000の分子量を有すると記載されてお
り、該ブレンドは、約650〜46,000cPsの粘度を有する。
米国特許第5,512,625号は、改良された衝撃強さ、130〜18,000cPsの粘度及び
低温でのフレキシビリティーを提供するための、(a)モノマー中に少なくとも8
個の炭素原子を有し、かつ5,000未満のオリゴマー分子量を有するαオレフィン
のオリゴマーと、(b)実質的に非晶質のポリαオレフィン及び実質的に結晶性の
ポリαオレフィンの混合物とのポリマーブレンドから製造された熱可塑性ホット
メルト接着剤を開示している。
また、ウエブ、フィルム及びフォーム等の不織布用途において使用するために
、ファイバー中において数種のタイプのポリマー及びポリマーブレンドを使用す
ることが知られている。例えばEP公報第0,586,937 A1号は、複数のポリマースト
ランド成分から製造した不織布を開示しており、該ストランド成分は、該成分の
片側に又はシース(sheath)としてポリオレフィン及びエラストマー熱可塑性材料
の
ブレンドを含む。
米国特許第5,719,219号は、シラン改質エラストマーポリマーから製造した、
溶融押出し可能で、湿分硬化性の、熱可塑性ポリマーを開示している。
米国特許第5,714,256号は、0.5〜25重量%のシンジオタクチックポリプロピレ
ンを有する熱可塑性ポリマーブレンドを形成することによる、広い結合ウインド
ウ(bonding window)を有する不織布を製造する方法を開示している。そのような
ウエブは、熱により不織布に結合し得、また、シンジオタクチックポリプロピレ
ンのない同様のウエブより少なくとも10°F広い結合ウインドウを有する。
しかしながら、不織布製品に使用するための改良された特性、例えば加工特性
及び耐久性を有するポリオレフィンブレンドを製造することが望まれる。また、
不織布製品に使用するためのポリマーブレンドであって、実質的に高い溶融粘度
を有し、引張り強度を提供するが、低い結晶化度及び高い伸び性能を有するブレ
ンドを製造することが望まれる。また、接着性能を付与するのに十分高い“開放
時間”を有するポリマーブレンドを得ることが望まれる。また、得られるポリマ
ーブレンドが実質的に透明であり、かつ、単一のTg及び融解点を有するように、
同様の結晶化度を有する2種の不混和性ポリマーを用いた、接着剤に使用するた
めのポリマーブレンドを製造することが望まれる。ポリマーブレンドにおけるこ
れらの特性により、不織布製品及び接着剤を含む、種々の新たな用途及び改良さ
れた性能を有するポリマーを製造することが望まれている。発明の概要
本発明は、少なくとも約100,000の高い重量平均分子量及び約0.4〜75J/gの融
解熱を有する主要なアタクチック軟質ポリオレフィンポリマー及びアイソタクチ
ックポリプロピレンポリマーのポリマーブレンドを形成し、該ポリマーブレンド
をファイバー、スレッド又はヤーンに形成することにより、ファイバー、スレッ
ド又はヤーンを製造する方法であって、該軟質ポリマーが、ファイバー、スレッ
ド又はヤーンの実質的な破損を抑制するようにそれらの弾力性を高めるのに十分
な量で存在し、上昇した伸び及び低減された引張り係数を有するファイバーが製
造される該方法に関するものである。
ある態様において、軟質ポリオレフィンポリマーは、プロピレンを、C2-20の
ポ
リαオレフィンの少なくとも1種の第2モノマーと重合することにより製造され
る。好ましい態様において、第2モノマーは、エチレンであるように選択される
。他の態様において、第2モノマーは、軟質ポリオレフィンポリマーの重量に対
して約2〜20重量%の量でポリマーブレンドに存在させる。好ましい態様におい
て、第2モノマーは、軟質ポリオレフィンポリマーの重量に対して約6〜14重量
%の量でポリマーブレンドに存在させる。
他の態様において、アイソタクチックポリプロピレンポリマーは、プロピレン
をC2-20のポリαオレフィンの少なくとも1種の第2モノマーと重合することに
より製造される。好ましい態様において、第2モノマーは、エチレンであるよう
に選択される。他の態様において、第2モノマーは、アタクチックポリプロピレ
ンポリマーの重量に対して約1.5〜20重量%の量でポリマーブレンドに存在させ
る。更に他の態様において、少なくとも1種の軟質ポリオレフィンポリマー又は
アイソタクチックポリプロピレンポリマーは、プロピレンホモポリマーである。
更なる態様において、軟質ポリオレフィンポリマーは、ポリマーブレンドの重
量に対して約3〜80重量%の量で存在させる。他の態様において、ポリマーブレ
ンドは、約300〜669%の破断点伸びを有する。他の態様において、ファイバー、
スレッド又はヤーンは、スピンボンディング、メルトブローイング、メルトスプ
レイング又はボンドカーディングにより形成する。
好ましい態様において、ファイバー、スレッド又はヤーンは、不織布製品に形
成する。他の態様において、不織布製品は、ウエブ、フィルム、フォーム又はラ
ミネートの少なくとも1種であるように選択する。他の態様において、ファイバ
ー、スレッド又はヤーンを、繰り返しパターンに製造する。
本発明は、また、少なくとも約100,000の高い重量平均分子量、230℃で約0.3
〜30/10分のメルトインデックス、約10未満の多分散インデックス及び0.4〜75J/
gの融解熱を有する主要なアタクチック軟質ポリオレフィンポリマー及びアイソ
タクチックポリプロピレンポリマーを含むポリマーブレンドのファイバー、スレ
ッド又はヤーンに関するものである。本発明は、更に、ファイバー、スレッド又
はヤーンを含む不織布製品に関するものである。ある態様において、ファイバー
は、繰り返しパターンに配列されている。他の態様において、少なくとも1種の
軟質ポリオレフィンポリマー又はアイソタクチックポリプロピレンポリマーは、
プロピレンホモポリマーである。更に他の態様において、軟質ポリオレフィンポ
リマーには、C2-20のポリαオレフィンの少なくとも1種の第2モノマーと重合
したプロピレンが含まれる。
本発明は更に、少なくとも約100,000の高い重量平均分子量及び約0.4〜75J/g
の融解熱を有する主要アタクチック軟質ポリオレフィンポリマー並びに約25,000
未満の低い数平均分子量及び約0.1〜20J/gの融解熱を有するアタクチックポリオ
レフィンポリマーの接着性ポリマーブレンドを有する接着剤と接触したファイバ
ー、スレッド又はヤーンの複数の複合品であって、該高分子量ポリマー及び該低
分子量ポリマーが、単一のガラス転移温度及び開放時間を該ポリマーブレンドに
付与するのに十分混和性であり、かつ該低分子量ポリマーが室温で約8,000cPsよ
り高い融解粘度及び約28J/g未満の結晶化度を該接着性ポリマーブレンドに付与
するのに十分な量で存在する該複合品に関するものである。
本発明は、更に、不織布パターン中に配列されたファイバー、スレッド又はヤ
ーン、並びに少なくとも約100,000の高い重量平均分子量及び約0.4〜75J/gの融
解熱を有する主要なアタクチック軟質ポリオレフィンポリマー及び約25,000未満
の低い数平均分子量及び約0.1〜20J/gの融解熱を有するアタクチックポリオレフ
ィンポリマーを含む接着成分を含む複合品であって、該高分子量ポリマー及び該
低分子量ポリマーが、単一のガラス転移温度及び開放時間を該ポリマーブレンド
に付与するのに十分混和性であり、かつ、該低分子量ポリマーが室温で約8,000c
Psより高い融解粘度及び約28J/g未満の結晶化度を該ポリマーブレンドに付与す
るのに十分な量で存在する該複合品に関するものである。
本発明は、更に、ポリマーブレンドの約1〜40重量%の量で存在するエチレン
と共重合したプロピレンを含み、少なくとも約100,000の高い重量平均分子量及
び約0.4〜75J/gの融解熱を有する主要なアタクチック軟質ポリオレフィンポリマ
ー、並びに約25,000未満の低い数平均分子量及び0.1〜20J/gの融解熱を有するア
タクチックポリオレフィンポリマーを含むポリマーブレンドであって、該高分子
量ポリマー及び該低分子量ポリマーが、単一のガラス転移温度及び開放時間を該
ポリマーブレンドに付与するのに十分不混和性であり、かつ、該低分子量ポリマ
ーが、室温で約8,000cPsより高い融解粘度及び約28J/g未満の結晶化度を該ポリ
マーブレンドに付与するのに十分な量で存在する該ポリマーブレンドに関するも
のである。本発明は、また、このポリマーブレンドを含む接着剤に関するもので
ある。
他の態様において、エチレンは、軟質ポリマーの約1.5〜20重量%の量で存在
する。好ましい態様において、エチレンは、軟質ポリマーの約2〜12重量%の量
で存在する。他の態様において、アタクチックポリオレフィンポリマーは、C2-2 0
ポリαオレフィンを含む第2モノマーと共重合したプロピレンを含む。好まし
い実施態様において、アタクチックポリオレフィンポリマーの約2〜70重量%の
量で存在する。本発明の詳細な記載
有利なことに、本件出願人により、米国特許出願第08/878,129号に記載され、
かつ、米国特許第5,723,546号のブレンドの一部としての数種の軟質ポリオレフ
ィンポリマー(FPO)を、従来型の材料より改良されたヒステリシス、強度、低
減された応力緩和及び耐クリープ性を有する有益なポリマーブレンドを提供する
アイソタクチックポリプロピレンポリマーとブレンドし、それにより、種々の不
織布製品において有用なファイバー、スレッド又はヤーンを製造するのに特に有
用なブレンドを提供されることが見出された。
また低結晶化度のHMW APAOを低分子量(LMW)APAOとブレンドすることにより
、所望の高い融解粘度、開放時間、引張り強さ、低い結晶化度及び本件明細書に
記載したような他の所望の特性が提供されることを見出した。また、そのポリマ
ーブレンドは、低温でも高い伸び及びフレキシビリティー性能を有するが、優れ
た耐熱性を有する。その新規なポリマーブレンドは、所望の接着特性を付与する
のに十分長い“開放時間”を有し、実質的に透明(即ち優れた透明性)であり、
及び好ましくは、2種のポリマー成分の不混和性による単一のTgを有する。また
、これらの接着性ブレンドを不織布製品ブレンドと組み合せて使用して、複合体
を形成することもできる。軟質ポリオレフィン(FPO)の製造
例えば、数種の異なる一群のプロピレンベースのポリマーを、重合反応器にお
いて製造することができる。これらのポリマー群のいくつかの例としては、アイ
ソタクチックプロピレンホモポリマー、アイソタクチックプロピレン/エチレン
コポリマー、非晶質ポリαオレフィン(APAO)プロピレンホモポリマー、APAOプ
ロピレン/エチレンコポリマー、APAOプロピレン/ブテンコポリマー、FPOプロ
ピレンホモポリマー、FPOプロピレン/エチレンコポリマー及びFPOプロピレン/
ブテンコポリマーが挙げられるが、これらに限定される訳ではない。重合反応の
後、その後の処理のために、従来の処理技術により多量の水を添加して、ポリマ
ーを嵩たかい貯蔵タンクに移送する必要がある。FPOポリマーは、そのような従
来の方法において処理することができ、又は該ポリマーを、重合反応器から、混
練押出し装置を介して最終押出機に直接的に移送して、未反応モノマーの除去を
補助することができる。本明細書に記載したポリマーの、実質的に一定のインベ
ントリ(inventory)を維持する、好ましい装置は、米国特許出願第08/598,820号
及び第08/630,800号に開示されており、それらの開示内容は本件明細書に含まれ
るものとする。そのポリマーを、従来型の貯蔵タンク又は新規な混練押出機のい
ずれかから最終押出機に移送する。その押出機において、典型的には、ポリオレ
フィン材料を少量の水と混合して、酸化防止剤及び材料中の残存触媒を不活性化
する。更に、該材料を加熱することにより、この段階の間に添加された過剰水蒸
気、酸化防止剤溶媒及び未反応モノマーが除去される。典型的には、最終的に、
ポリオレフィン材料をペレタイザーに移送し、そこで、貯蔵又は使用のためにペ
レット化する。
典型的には、FPOポリマーは、プロピレンホモポリマーであるが、それらはC2- 12
アルケン等の少なくとも1種の他のモノマー原料と混合したプロピレンであっ
てもよい。好ましい態様において、他のモノマー原料は、エチレン、1−ブテン
、1−ペンテン及び1−オクテン等のαオレフィンである。プロピレンのFPOポ
リマーにおける使用に特に好ましい成分は、典型的には、ポリマー組成物の約1
〜40重量%、好ましくは約5〜20重量%及びより好ましくは6〜14重量%の慮の
エチレンのコポリマーである。ある実施態様において、モノマー原料中のエチレ
ンを増量して、外部ドナー(external donor)の変動程度(varying degree)に対す
る作用能力を抑制し、又は実質的に除外し、即ち、ポリオレフィンポリマー内の
プ
ロピレンドメインの結晶化度を高めるという外部ドナーの能力を阻害する。
FPOポリマーは、種々の特性により特徴付けられる。これらの特性のうち最も
重要なものは、結晶化度及び重合の程度である。結晶化度、即ち、融解熱(△Hf
)は、典型的に、ASTM法D-3417(DSC)により測定される。本発明のポリマーは
、約0.4〜75J/g、好ましくは約15〜60J/g、及びより好ましくは25〜55J/gの範囲
内であり得る融解熱、並びに約0.3〜15g/10分(23℃)のメルトインデックスを
有する。より好ましいメルトインデックスは本件明細書に記載してある。FPOポ
リマーを用いて製造した製品は、有利には、柔らかく、滑らかで、強固というよ
りはむしろ絹に似た肌触りをしており、より粘着性のものであり、従来の触媒を
用いて製造した製品より僅かに粘着性のものである傾向にある。低減された粘着
性は、平均分子量を高め、かつ、特には低分子量部を低減し、かつ、分子量のバ
ンドを低減することにより達成されると考えられる。これにより、改良された加
工特性が軟質ポリオレフィンポリマーに付与される。これは、本発明のポリオレ
フィンポリマーを重合する際、存在する触媒の前触媒部分(pro-catalyst)中に存
在する内部改質剤(internal modifier)の使用により達成されると考えられる。
内部改質剤の例は、本発明の窒素ベースの電子供与体、好ましくは2,6-ルチジン
及び6-クロロ-2-ピコリンである。ポリオレフィンポリマーの結晶化度を変更し
たい場合、シランの外部改質剤(external modifier)を添加してもよい。
MFRは、Kayness Galaxy I Melt Indexer等で、ASTM-D 1238標準法A/B(2.16kg/
230℃)に従って測定される。メチルエチルケトン(MEK)溶液の割合は、6時間
、沸騰メチルエチルケトン100mgを用いてポリマー約5gを抽出することにより
決定した。引張り試験(ASTM-D 638)を、2"/分の試験速度でタイプIの射出成形
引張り試験片を用いるInstron 1125において行った。ショアD硬度をASTM-D 2240
に従って測定した。引張りセット割合(percent tensile set)は、300%の伸びの
後、次式により計算した:%引張りセット=(Lf-Li)(Ln-Li)×100%。式中、Li
は初期分離で、Lnは伸張で、かつLfは最終分離である。種々の他の特性、例え
ば、約40〜75%及び好ましくは45から70℃のVICAT軟化点;約30〜65及び好まし
くは約40〜55のショアD硬度;引張り係数;引張り応力;及び約1.6又はそれ未満
、好ましくは、約1.5又はそれ未満、及び最も好ましくは、約1.4又はそれ未満の
溶融膨潤
比(melt swell ratio)等を用いて、これらのポリマーを記載してもよい。VICAT
軟化点及びショアD硬度は、ポリマー製品中のメルトインデックス及び融解熱等
により変動するであろう。その特性は、製造される具休的なFPOポリマーにより
変動し、それは、Al:Ti(補助触媒対前触媒)及びSi:Ti(外部改質剤対前触媒)
の精密な比、並びに該前触媒及び外部改質剤に使用した具体的なシラン又は他の
類似化合物に依存する。従って、これらのポリマーは、主に、それらの結晶化度
、即ち融解熱、それらのメルトインデックス、及びそれらの分子量分布、即ち多
分散インデックス(MWD又はPDI)により定義される。
FPOポリマーの分子量分布、即ち多分散インデックスは、約10又はそれ未満、
好ましくは約9又はそれ未満、及びより好ましくは約8.5又はそれ未満である。P
DIは、数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比である。溶融膨潤
比は、押出しされたポリマーのストランドの直径の、ポリマーが押出しされたオ
リフィスの直径に対する比により決定される。低い溶融膨潤比は、低いPDIの指
標であり、それ自身、狭い分子量分布を示し、従って、粘性の低いFPOポリマー
製品を示す。低いメルトインデックスと組み合せられた低いPDIにより、有利に
は、当該技術分野において所望の特性を有する本発明のポリマーが提供される。
例えば、低いMFRは、製造の間及び消費者及び工業的用途のための最終製品とし
ての両方において、ポリマーの処理に関連する低減された粘性特性である。また
、FPOの低いMFRにより、高い溶融強度及び高い粘度が生じる傾向にあり、それに
より、インフレートフィルム等の種々の有用な物品の製造が非常に促進される。
本件明細書において使用する“低減された粘着性”及び“粘着性の低減”は、典
型的に、ポリマーのMEK溶解割合により測定される。ポリマーの約1〜12重量%
、好ましくは、約2〜5重量%がMEKに溶解する、低減された粘着性を有するポ
リマーが一般である。特定の理論に拘束されることを望む訳ではないが、FPOポ
リマーにより、アイソタクチックポリプロピレンポリマーが軟化され、即ち、結
晶化度が低減され、かる、ブレンドの弾性が高められ、伸びが高められる。
種々の添加剤、例えば、酸化防止剤、粘着防止剤、スリップ剤及びスリップ防
止剤、紫外線安定剤及び含量等を、FPOポリマーに含ませてもよい。本件明細書
に記載の重合の間の水素の添加又は除去は、FPOポリマーのMFRに影響するが、結
晶化度の程度に対する影響は最小である。
本件明細書に記載の又は参考文献として本件明細書に含まれる出願又は特許に
記載の全てのポリマー性FPO材料が、本発明のポリマーブレンドの全てにおいて
有用である。これらのFPO材料は、典型的には、米国特許出願第08/878,129号及
び第08/779,762号の材料に含まれる及び本件明細書に記載した新規な触媒材料を
用いて製造され、前記特許出願は本件明細書に含まれるものとする。しかしなが
ら、FPOポリマーの製造のための触媒の1種のタイプの触媒に使用するシラン成
分には、アリール、好ましくはC1-6アリール化合物よりむしろC5-12アリール化
合物が含まれることに注意すべきである。従って、FPO材料は、例えば、接着剤
、不織布製品、ファイバー、ヤーン又はスレッドなどの種々の用途において使用
するのに適する新規な及び有用なブレンド配合物を達成するために、従来の複数
の非晶質ポリオレフィン材料と組み合せ又はブレンドすることができる。
本件明細書に記載の触媒材料の発見により、FPOポリマーを含む、種々の新規
なブレンド配合物が可能となる。好ましい態様においては、ポリマーブレンドを
不織布製品中に使用し、そこでは、該ブレンドが、本件明細書に記載したように
製造したFPOポリマーを約3〜80重量%、好ましくは約20〜50重量%及びより好
ましくは約25〜45重量%含む。
オレフィン重合のために近年幅広く用いられている他のタイプの触媒はメタロ
セン触媒である。一般に、メタロセン触媒には、遷移金属原子、典型的にはジル
コニウム、ハフニウム、バナジウム又はチタニウム(それらにpi結合したシクロ
ペンタジエンリガンドを少なくとも1種有する)が含まれる。遷移金属原子は、
2つのシクロペンタジエンリガンド間に位置することが多く、該金属原子は、2
つのリガンド間に“サンドイッチされた”と表現される。フェロセンとして公知
の有名な化合物は、そのような配列の一例である。
オレフィン重合触媒の分野において、フェロセンの基本構造の修飾に関する多
くのクリエイティブワークが着手されている。前記遷移金属の1つによる鉄原子
の置換により、現在知られていない有益な物理的特性を有するポリマーを製造す
る期待と共に、研究者の基本的骨組みが変更されている。基本的骨組みの水素原
子の位置における種々の有機及び無機成分を置換することにより、オレフィン重
合に有用な化合物の多くが発見されており、類似する各々は、触媒としてそれを
使用して製造してポリマーに対して独自のユニークな作用を有する。これらのタ
イプの基本的骨組みの修飾により生じた米国特許の例は、以下のものである:
第5,594,080号、第4,769,510号、第4,808,561号、第4,871,705号、第4,935,397
号、第5,578,690号、第5,132,262号、第5,208,357号、第5,232,993号、第5,280,
074号、第5,314,973号、第5,322,902号、第5,349,100号、第5,496,781号、第5,5
25,690号、第5,585,108号、第5,631,202号、第5,637,744号、第5,329,033号、第
5,243,011号、第5,241,025号、第5,278,264号、第5,227,440号、第5,214,173号
、第5,162,466号、第5,145,819号、第5,120,867号、第5,103,030号、第5,084,53
4号、第5,064,802号、第5,057,475号、第5,055,438号、第5,017,714号、第5,008
,228号、第4,937,299号、第5,081,322号及び第5,036,034号。本件明細書に記載
の特許及び文献の全ての内容は、メタロセン触媒を用いて種々のポリマー性生成
物をいかに重合させるかを当該技術分野における当業者に教示する目的で本件明
細書に含まれるものとする。即ち、本件明細書に記載のブレンドを製造するため
には、本発明のFPOポリマーと混合される所定のポリプロピレンがチーグラー/
ナッタタイプ又はメタロセンタイプの触媒を用いて製造されるか否かは厳格な要
因ではない。従って、任意のタイプの触媒から製造された、FPOポリマーなどを
含むブレンド又はFPOポリマー性生成物を、本発明に従って、使用して、不織布
製品、複合品、又はファイバー、スレッド又はヤーンを製造することができる。
しかしながら、好ましくは、本件明細書に記載のチーグラー/ナッタ触媒を使用
して、本発明の種々のブレンドのFPO成分を重合する。FPO ポリマー/アイソタクチックポリプロピレンポリマーブレンド
本発明のブレンドを製造するために、FPOポリマー及びアイソタクチックポリ
プロピレンポリマー又は低分子量アタクチックAPAOのいずれかを以下のように組
み合せる。種々のポリマー成分が、好ましくはそれらのペレット化された形態で
、及びその他のものと混合して提供される。これを達成する方法では、まず、タ
ンブリングチャンバーにおいて乾燥状態の異種材料のペレットを混合し、この際
、ペレットは、良好な混合、即ち、当該技術分野における当業者に公知の均一性
が提供されるのに十分な時間、重力に垂直な軸でのチャンバーの回転により繰り
返
し攪拌する。また、混合物は、当該技術分野において公知の及び本件明細書にお
いて記載したような手近かな用途に望ましいと考えられている他の添加剤を含ん
でいてもよい。成分は乾燥状態で良好に混合した後に、それらを、典型的には、
Haake Model TW-100等の押出し機に供給して、そこで、材料を他成分と共融解(c
o-melt)し、単一のスクリュー又は複数のスクリューを介して押出し機を通して
供給し、カッターが備えられたダイに通し、それにより、本発明の均質ポリマー
ブレンド組成物が得られる。例えば、以下に記載の実施例100〜104は、得られた
本発明のブレンドのいくつかを示す。
種々の添加剤は、軟質ポリオレフィンポリマー又はそれと共にブレンドされた
ポリマーのいずれかに、又はFPO及び他のポリマーを混合してポリマーブレンド
を形成する間に含ませることができる。適切な添加剤には、酸化防止剤、紫外線
安定剤、顔料、粘着付与剤、ワックス、可塑剤及びスリップ防止剤等が含まれる
。スリップ防止剤を使用する場合、好ましいものには、チバ-ガイギーから商業
的に入手可能なイルガホス(IRGAFOS)1010、又はドバーケミカルから商業的に入
手可能なドバーフラス(DOVERFLOUS)S9228が含まれる。本件明細書に記載した重
合の間に水素を添加又は除去することは、FPOポリマーのMFRに影響するが、結晶
化度の程度に対する影響は最小である。水素の添加又は除去の影響は、当該技術
分野における当業者には知られており又は理解されている。
好ましくは改良されたヒステリシス、低減された応力緩和及び改良された耐ク
リープ性を有する、本発明のFPOポリマー/アイソタクチックポリプロピレンポ
リマーブレンドは、有益には、処理して不織布製品とする。そのような不織布製
品としては、ウエブ、フィルム、フォーム、ラミネート及び当該技術分野におけ
る当業者に公知の他の有用な形態の種々のものが含まれる。これらの不織布製品
は、食品等の腐敗し易いものの農業的、処理及び貯蔵、医療品、おむつ等の衣料
品並びに看護用品等を含む多大な用途を有する。
本件明細書に記載したブレンドに、スパンボンド、メルトブロー、メルトスプ
レー及びボンドカード等の処理を施して、不織布ウエブ又は本件明細書に記載の
若しくは当該技術分野における当業者に公知の他の製品に製造可能な複合フィラ
メント、ファイバー又はヤーンを製造することができる。典型的には、その中に
含まれる材料による改良された加工特性及び耐久性を有する不織布ウエブは、本
件明細書に記載のポリマーブレンド等の高い弾力性を有する材料を使用すること
により得ることができる。本件明細書に記載の用語“不織布繊維(non-woven fab
ric)”又は“不織布ウエブ(non-woven web)”又は“不織布製品”は、それぞれ
、本件明細書に記載のポリマーブレンドから形成した材料のウエブを意味するた
めに使用する。その材料は、それぞれ、織ることなしに、数種の方法において絡
み合わせられたファイバー、スレッド又はヤーン(まとめて“繊維(fiber)”と
称される)を有する。繊維は、未確認的(non-identifiable)(非繰り返しパター
ン)又は確認的(繰り返しパターン)絡み合わせにより組み合せることができる
。本発明の不織布製品において使用するためのブレンドからファイバー、スレッ
ド及びヤーンを製造する種々の方法は、米国特許第5,719,219号及び第5,714,256
号及び欧州特許出願第9,586,937 A1号公報に開示されており、その内容は、この
目的のためにそれらを言及することにより本件明細書に含まれるものとする。本
発明は、また、当該技術分野における当業者に公知の不織布製品における使用の
ためのブレンドからファイバー、スレッド及びヤーンを製造するための他の手段
を含む。
ブレンド中に使用するアイソタクチックポリプロピレンポリマーは、他の従来
型のポリマーとのブレンドにおいて使用するのに適するアイソタクチックポリプ
ロピレンであってもよい。ポリプロピレンポリマーは、典型的には、本件明細書
に記載したように製造したポリマーブレンドの約20〜97重量%、好ましくは約50
〜80重量%及びより好ましくは約55〜75重量%の量で存在する。ポリプロピレン
ポリマーの結晶化度は、典型的には、約40〜100J/g及び好ましくは約60〜90J/g
であるが、アイソタクチックポリプロピレンポリマーの結晶化度は、当該技術分
野における当業者により容易に測定可能である。
アイソタクチックポリプロピレンポリマーは、また少なくとも1種の他のC2-1 2
アルケンと共重合することができる。アルケンは、好ましくは、エチレン、1-
ブテン、1-ペンテン及び1-オクテン等の他のαオレフィンである。FPOアイソタ
クチックポリプロピレンポリマーブレンドのアイソタクチックポリマー部におい
て使用するのに特に好ましい成分は、エチレン又は1-ブテンのコポリマーであり
、
そのいずれかは、典型的に、ポリマー組成物の約1〜40重量%、好ましくは約1.
5〜20重量%及びより好ましくは約2〜12重量%の量で存在する。本発明におけ
る使用に適するアイソタクチックポリプロピレンの例示的ホモポリマーには、41
E4、31S4及び11S1Aが含まれ、それらの全てがOdessa TXのHuntsman Polymers Co
rporationから商業的に入手可能である。本件明細書における使用に適するエチ
レンコポリマーとアイソタクチックポリプロピレンの例示的コポリマーには、13
R9A及び23N10が含まれ、それらは、Huntsman Polymers Corporationから商業的
に入手可能である。接着剤のためのFPOポリマー/LMW APAO
以下に記載のLMW APAOと低結晶化度HMW APAO(FPO)のブレンドにより、低い
結晶化度で、所望の高い融解粘度、開放時間、引張り強さ及び本件明細書に記載
の所望の他の特性が提供される。ポリマーブレンドは、また、低温でも高い伸び
及びフレキシビリティー性能を有するが、優れた高い耐熱性を有する。その新規
なポリマーブレンドは、また所望の接着特性を付与するのに十分長い“開放時間
”を有し、実質的に透明(即ち、優秀な透明度)であり、及び好ましくは2種の
ポリマー成分の不混和性のために単一のTgを有する。従って、これらのポリマー
ブレンドは、接着性組成物として、又は強化された接着性組成物を提供するため
の従来型の接着性組成物との組み合せにおいて特に有用である。
本件明細書におけるAPAOブレンドは、従来型のポリマーブレンドにおいて利用
可能な融解粘度の範囲を拡張及び上昇させる。APAOブレンドの分子量が増加する
につれ、それらは、改良された引張り特性及び高い伸び(切断点引張歪)を有す
る硬いものとなる。融解粘度及び結晶化度が本発明のブレンドにおいて上昇する
が、該ブレンドは、典型的には、制御されたRBSP、OT及び融解粘度特性を有する
。これらのブレンドされた生成物は、改良されたは駐力及び保持力破損温度値並
びに良好な“なま強度”を有し、それは、有利には、不織布用途、ホットメルト
接着剤用途、ポリマー性改質剤、改質されたビチューメンルーフィング膜又は組
み立てルーフィング配合物などのルーフィング部材及びアスファルト及び他の改
質ビチューメン用途に対するそれらの価値を改善する。
数種の異なる一群のプロピレンベースポリマーは、例えば、本発明のポリマー
ブレンドの製造、方法及び複合体に使用することができる。これらのAPAOポリマ
ー群の数種の例としては、APAOプロピレンホモポリマー、APAOプロピレン/エチ
レンコポリマー、APAOプロピレン/ブテンコポリマー、FPOプロピレンホモポリ
マー、FPOプロピレン/エチレンコポリマー、及びFPOプロピレン/ブテンコポリ
マーが挙げられるが、これらに限定される訳ではない。典型的には、エチレン、
プロピレン及びブテンの任意の組み合せを、ポリマー性ブレンドを形成するため
に組み合せられるLMW又はHMW APAO(FPO)ポリマーに使用することができる。
ブレンド中に使用するLMW APAOポリマーは、上記に記載したポリマー郡のいず
れのものであってもよいが、該ポリマーは、分子量、結晶化度及び融解粘度等の
、上述した適切な特性を有することが必要である。好ましくは、LMW APAOポリマ
ーは、主に、エチレン、プロピレン、ブテン又はそれらの混合物のコポリマーを
含む。最も好ましくは、LMW APAOポリマーは、エチレン/プロピレンコポリマー
又はブテンプロピレンコポリマーであり、及び最も好ましくは、LMW APAOポリマ
ーは、約1〜20重量%のエチレン及び約80〜99重量%のプロピレンコポリマー、
又は約2〜70重量%のブテン、好ましくは30〜65重量%のブテンと約30〜98重量
%のプロピレン、好ましくは約35〜70重量%のプロピレンとのコポリマーである
。LMW APAOポリマーは、好ましくは、約4,000〜16,000g/mol)より好ましくは約
6,000〜12,000g/mol、及び最も好ましくは約8,000〜12,000g/molの数平均分子量
を有する。LMW APAOポリマーは、DSC(ASTM D-3417)による測定で、約0.1〜20J/g
、好ましくは約0.5〜15J/g、より好ましくは約1〜10J/gの結晶化度、即ち融解
熱を有する。更に、LMWAPAOは、典型的には、約400〜20,000cPs(190℃)の幅広い
範囲の融解粘度から選択される。高い融解粘度は、ポリマーブレンド及びそれか
ら製造された製品において望ましい特性であり、LMW APAOにおいて高い融解粘度
を使用するのが好ましい。REXTAC(登録商標)(LMW APAO)シリーズのポリマー及
び本件明細書に記載の種々の他のポリマーは、Odessa,TXのHuntsman Polymers
Corporationから商業的に入手可能である。
上記に挙げたポリマー群のいずれかを、HMW APAO(FPO)ポリマーのために使用
することができるが、該群は、分子量、結晶化度及びメルトインデックス等の、
本件明細書に記載した適切な特性を有する必要がある。主要なエチレン、プロピ
レン、ブテン、又はそれらの混合物のコポリマーを含むFPO型ポリマーは、本件
明細書に記載の所望の種々の特性により特徴付けられるポリマーブレンドにおけ
る使用に好ましいHMW APAO(FPO)ポリマーである。これらの特性のうち最も重要
なものは、融解熱及びメルトインデックスにより測定されるような、結晶化度の
程度及び重合の程度である。融解熱(△Hf)は、典型的には、ASTM標準法を用い
るDSCにより測定される。本発明のFPOポリマー(HMW APAO)は、約15〜60J/gの
範囲内であり得る融解熱及び約0.3〜100g/10分(23℃)のメルトインデックスを
有する。FPOポリマーのみを用いて製造した製品は、有利には、従来型のアイソ
タクチックポリプロピレンを用いて製造した製品と比較して、柔らかく、滑らか
で、強固なものや乾燥物というよりはむしろ絹に似た肌触りをしている。
そのブレンドに用いるFPOポリマーは、典型的には、約15,000〜30,000g/mol、
好ましくは約20,000〜25,000g/mol、及びより好ましくは約21,000〜24,000g/mol
のMnを有する。具体的なMnは、使用する具体的なHMW APAOにより変動するであろ
うし、また、それは、ポリマーブレンドについての所望の最終特性及び用途に依
存する。その重量平均分子量は、使用するHMW APAOにより顕著に変動するであろ
うが、それは、一般に、100,000を超え、好ましくは約130,000〜230,000g/molで
あり、より好ましくは約150,000〜200,000g/molである。
良好な所定の物理的特性を有するポリマーを生成する触媒系を用いることによ
り製造可能な、低結晶化度を有するFPOポリマーの使用により、接着性配合物及
び他の用途に必要とされる再現性のある仕様を有するポリマーブレンドの製造が
促進される。そのような触媒系、及び種々の低結晶化度の、それにより製造され
、本発明における使用に適切なHMW APAOポリマーは、米国特許出願第08/779,762
号に開示されており、その内容は、本件明細書に含まれるものとする。
本件明細書に記載したポリマーは、それらが、有利には、約15〜60J/gの範囲
内の、本発明に必要とされる低結晶化度を有するが、また、約0.3〜100g/10分(
それらの間の全ての整数)のメルトインデックスを有するので、本発明のポリマ
ーブレンドにおける使用に好ましいHMW APAOである。好ましくは本発明のHMW AP
AOのメルトインデックス(23℃)は、約0.4〜50g/10分、より好ましくは約0.5〜
20g/10分(及びそれらの間の全ての整数)である。MFRは、本件明細書に記載し
たように、触媒レシピ(catalyst recipe)が変動するに従って変動する。軟質ポ
リオレフィンとして記載した、これらのHMW APAO(“FPOポリマー”)ポリマーは
、有利にはポリマーに、約15J/g程度の低い結晶化度及び低メルトインデックス
をポリマーに付与することができる前触媒を含む触媒、有機金属化合物、及び、
任意に、触媒に含まれるレジオコントローリング(regiocontrolling)外部改質剤
の量及びタイプに依存して、60J/g程度の高さまで低結晶化度を上昇させること
が可能な外部改質剤の使用により製造することができる。
これらの好ましいHMW APAOポリマーの全てが、Odessa TXのHuntsman Polymers
Corporationから、“FPOポリマー”又は“FPD”、例えばFPD-100、FPD-400、FP
D-2300、FPD-1700、FPD-1710、FPD-1720、FPD-1800、FPD-1810及びFPD-1820の名
称の下に入手可能である。これらのHMW APAOポリマーの全ては、約15〜65J/gの
結晶化度を有し、かつ本件明細書における使用に適するHMW APAOであるが、FPD-
100、FPD-400及びFPD-2300が、より好ましいタイプのHMW APAOポリマーである。
約15〜60J/gの結晶化度、即ち融解熱が本発明のポリマーブレンドにおける使
用に適切なものであるが、低結晶化度を有するHMW APAOを使用して、ポリマーブ
レンドにおける低減された結晶化度を付与することが好ましい。融解熱は、好ま
しくは約18〜50J/gであり、より好ましくは約20〜35J/gであり、及び最も好まし
くは約22〜30J/gである。
高メルトインデックス値及び低結晶化度を有する、好ましくはエラストマーで
ある、HMW APAOを、好ましくは高メルトインデックスを有するLMW APAOとブレン
ドして、本件明細書に記載の所望の特性を得る。
これらの個々のポリマー及びそれらにより製造されたブレンドは、ホットメル
ト接着剤の分野において幅広く使用される米国試験材料学会(ASTM)に規定された
標準試験法により特徴付けられる。これらの試験法は、一般に、以下のようなも
のである。
融解粘度、MV(cPs又はmPa・s)は、典型的には、ASTM D-3236に従って測定さ
れるが、それでは、液体又は溶融ポリマーの内部摩擦、即ちその流れ抵抗が測定
される。この独特な性質により、溶融ポリマーによる流れ性能(flowability)及
び支持体の湿潤又は浸透(penetration)の程度が決定され;それより、その処理
性能(processability)が示される。融解粘度は、一般には直接的に、ポリマーの
分子量に関連しており、また、BROOKFIELD(登録商標)THERMOSEL RVT VISCOMET
ERを用いて、ミリパスカル×秒(mPa*sec.)又はセンチポアズで報告される。
針入法、Np(dmm)は、通常、AST MD-1321に従って測定する。熱可塑性品及び
エラストマーについて、荷重針がポリマー表面に侵入する深さを測定し、かつ、
侵入による変形に対するポリマーの抵抗性を測定する、この試験法を、剛度(即
ち、柔らかさ)の単一の測定として使用する。
環球式軟化点、RBSP(℃/°F)は、典型的に、ASTM E-28により測定する。本
件明細書におけるAPAOポリオレフィンの主な非晶質性のために、溶融は、シャー
プで正確な温度で起こらない。むしろ、温度が上昇するにつれ、これらのAPAOポ
リマーは、次第に、固形分から柔らかいものへと変化し、その後、液体材料へと
変化する。この試験法により、一般的には、グリセリン浴に浸され、5.5℃/分
(10°F/分)の速度で加熱されたポリマーサンプルのディスクが、試験片、鋼
球を該サンプルに通過させることを可能にするのに十分に柔らかいものとなる正
確な温度が測定される。℃(°F)で報告されるポリマーの軟化点が重要であり
、なぜなら、それは、典型的に、ポリマーの耐熱性、適用温度及び凝固温度を示
すからである。
開放時間、OT(秒)は、典型的に、ASTM D-4497により測定され、それにより
、ホットメルト接着剤の薄フィルムの適用から、該ホットメルトフィルムが凝固
によりその湿潤性(接着性)を失う直前の時間の間の秒単位の時間を測定する。
より具体的には、これは、ポリマーの薄フィルムをドローダウンし、かつ、特定
時間のインターバルで2ポンドのローラーを用いて該フィルムに1インチ幅の紙
片(strips of paper)を適用することにより測定することができる。一般に、紙
片はフィルムのドローダウンの10、20、40、60、90、120及び240秒後に適用する
。約5分後、紙片をフィルムから取除く。紙が裂けたときに、開放時間が存在す
る。ASTM法では、少なくとも50%の紙が、開放時間の間残らなくてはならない。
しかしながら、この適用において使用した、より厳密なREXENE(登録商標)では、
少なくとも90%のファイバーがポリマー上に存在しなくてはならない。
他の標準試験法を用いて、ポリマーの融解熱及び融解点(ASTM D-3417)、ガラ
ス転移温度(ASTM D-3418)並びに引張特性(ASTM D-638)を測定した。
本発明のポリマーブレンドは、ポリマーを組み合せる従来型の又は他の適切な
方法により製造することができる。例えば、LMW APAO及びHMW APAOを、バッチミ
キサー中において混合すること又はシグマブレードニーダー(容器の側面を実質
的にこすることによりポリマーのブレンドを促進するシグマ型ブレードにちなん
で命名された)で混練することにより組み合せてもよい。LMW及びHMW APAOポリ
マーの選択は、本発明のポリマーブレンドを得るのに重要であり、当然、適切に
ブレンドされるべきであるが、そのAPAOは、混合又は混練により組み合せる際に
溶融状態になければならない。LMW APAOを組み合せる他の適切な方法は、押出機
におけるものである。押出しを行う際、APAOポリマーは、上記軟化点より高い温
度に加熱すべきである。当然、LMW及びHMW APAOが溶融する又は軟化する温度は
、選択する具体的なAPAOにより変動する。ポリマーが選択されれば、当該技術分
野における当業者は、該ポリマーが、適切な混合に必要とされるような溶融物又
は軟化物となるであろう温度を決定することができると理解される。
接着剤として又は複合体において有用なポリマーブレンドは、典型的には、約
2〜40重量%のHMW APAOポリマー及び約60〜98重量%のLMW APAOを含む。好まし
くは、ポリマーブレンドは、約5〜35重量%、より好ましくは、約10〜30重量%
のHMW APAOを含み、残部はLMW APAOである。LMW及びHMW APAOの双方の量は、添
加剤を典型的には全ポリマーブレンドの約5重量%までの量で含ませる場合には
、それに対応して低減してもよい。
本発明のポリマーブレンドは、以下に記載する種々の特性により記載すること
ができる。例えば、ポリマーブレンドが幅広い分子量分布を有することが望まし
い。破断点での引張り応力が高いことが望ましく、また、この値は、典型的には
、約20〜800psi、好ましくは約50〜700psi、及びより好ましくは約100〜600psi
である。幅広い開放時間が望ましく、典型的には、少なくとも約10秒、好ましく
は少なくとも約30秒、より好ましくは少なくとも約50秒、及び最も好ましくは少
なくとも約100秒である。また、融解粘度が高いことが望ましく、典型的には約8
,000〜340,000cPs、好ましくは約15,000〜320,000cPs、より好ましくは約25,000
〜300,000cPs、及び最も好ましくは約50,000〜250,000cPs、及びそれらの間の各
千
の整数である。
ポリマーブレンドの融点は、典型的には、約95〜155℃、好ましくは約137〜15
3℃、及びより好ましくは約139〜151℃である。好ましいポリマーブレンドは、
単一の融点を有し、LMW及びHMW APAOポリマーが実質的に混和性であるものであ
る。最も好ましいポリマーブレンドは、単一の融点を示し、それは、より好まし
い融点範囲内にあり、該ブレンドは、もし存在するなら最小の架橋を含む。Tgは
、融点より、LMW及びHMW APAOポリマー間の混和性のより良い指標であり、Tgは
、典型的には、約−5〜−35℃、好ましくは約−10〜−30℃、及びより好ましく
は約−15〜−25℃である。また、視覚的外観が重要であり、実質的に透明なブレ
ンドが好ましい。ポリマーブレンドにおける実質的に混和性のLMW及びHMW APAO
の使用により、不適合性ポリマーのブレンドにおいて典型的に見られる曇り(haz
iness)が実質的に低減される。
ポリマーブレンドは比較的柔らかいものであり、従って、ショアAスケールで
約40〜80、好ましくは約50〜70及びより好ましくは約55〜65と測定される。ショ
アDスケールでは、本発明のポリマーブレンドは、典型的には、約6〜14、好ま
しくは約7〜13及びより好ましくは約8〜12である。破断点での引張歪は、典型
的には、“破断なしの”歪みに対して低MWポリマーブレンドについて約30%伸び
で、即ち、約310%伸びでポリマーブレンドにおいて破断がない。ブレンドは、
非常に柔らかいものであるが、23℃での引張り係数は約500〜20,000psi、およそ
100〜1,400kg/cm2である。好ましくは、引張り係数は、約750〜15,000psi、及び
より好ましくは約1,000〜10,000psiである。
ポリマーブレンドは、また、比較的低い結晶化度を有し、典型的には、約28J/
g未満の、好ましくは約20J/g未満の、及びより好ましくは約10J/g未満の融解熱
を有する。そのようなブレンドは、典型的には、低結晶化度を有するHMW APAO成
分を用いることにより得られる。
本発明の複合品は、不織布製品と共に、接着成分としてFPO及びアタクチック
ポリオレフィンポリマーの上記ポリマーブレンドを含む。接着成分を本発明のフ
ァイバー、スレッド又はヤーンと共に使用することができ、また、不織布製品を
本発明の接着性組成物と共に使用して本発明の複合品を得ることができると理解
すべきである。不織布製品は、当該技術分野における当業者に公知の従来の不織
布製品であってもよいが、それらは、好ましくは、FPO及びアイソタクチックポ
ロプロピレンポリマーのポリマーブレンドの不織布製品である。例えば、複合品
には、接着性組成物を含む、衣服の部材等の不織布製品の全てが含まれる。その
ような複合品の例の1つは、層間に接着性を有する層状不織布の使い捨ておむつ
である。
本件明細書に記載した量の範囲、性質及び特性等の全ては、それらの範囲内の
全整数が含まれると理解すべきである。実施例
本発明に使用されるポリマーブレンドは本明細書に開示されたブレンドされた
生成物に有益な化合物及び組成物の調製を詳しく記載する下記の実施例を参考と
して更に特定される。物質及び方法の両方についての多くの改良が本発明の目的
及び関心から逸脱しないで実施し得ることが当業者に明らかであろう。
FPOポリマーの調製用の種々の触媒を調製し、試験した。重合試験を攪拌機を
備えた1.0Lのステンレス鋼オートクレーブ中で液体ポリプロピレン中で行った。
反応器を窒素で十分にパージして触媒毒、例えば、水分及び酸素を除去した後、
固体前触媒成分10mgを乾燥鉱油中の1重量%混合物として反応器に仕込み、続い
て規定量のトリエチルアルミニウム助触媒を添加して約200:1のAl/Tiモル比を得
た。次いで液体プロピレン300gを反応器に仕込み、成分を十分に混合するように
攪拌して重合を60℃で1時間進行させた。その時間の終了時に、未反応のプロピ
レンをガス抜きし、ポリマー生成物を回収した。
“Cドナー”はシクロヘキシルメチルジメトキシシランであり、また“Dドナ
ー”はジシクロペンチルジメトキシシランであった。例1-2:通常の触媒
通常の触媒は米国特許第4,347,158号明細書の開示に従って調製し得る。その
特許第4,347,158号の実施例1は以下の如き触媒調製を記載している。無水MgCl2
をHClシールのもとに350℃で4時間乾燥させることにより調製した。この無水Mg
Cl2 25g、AlCl3 4.34g、及びアニソール7.01gを窒素雰囲気下で夫々が12mm
の直径を有する合計3250gの重量の316ステンレス鋼球を含む0.6Lの容量を有する
振動ボールミルに仕込んだ。この混合物を温度調節しないで24時間にわたって同
時微粉砕した。四塩化チタンをn-ヘプタン中で約50℃で安息香酸エチル(EB)と予
備錯生成した。次いでこのTiCl4EB錯体6.19gをその他の物質の先の24時間の同時
微粉砕後に振動ボールミルに仕込み、得られる混合物を周囲温度で更に24時間に
わたって不活性雰囲気下で同時微粉砕した。これが抽出または触媒洗浄を必要と
しないで使用できる固体触媒成分を生じた。
本発明の触媒との比較目的のために、別の通常の触媒をほぼ以下のようにして
調製した。MgCl2 30g(0.315モル)を24時間にわたってRBM中でN2雰囲気下でAlCl3
5.22g(0.0391モル)とともに同時微粉砕した。次いでTiCl4 4.02g(0.0212モル)
を添加した。ボールミル粉砕を更に24時間続けた。黄色の前触媒粉末30gを回収
した。チタン成分は約2.6重量%であり、アルミニウム成分は約2.7重量%であり
、マグネシウム成分は約19.3重量%であり、またMg:Al:Ti比は約8:1:0.5である
ことが計算された。例3-19:型I内部ドナーの効果
種々の前触媒及び触媒を調製して有効表面積及び触媒活性に関する型I内部ド
ナーの効果を調べた。
例3:EtOBz 1.18gを使用した以外は、下記の例6と同じ。計算値:Ti%=2.5
0;EB/Mg=0.025(モル/モル)。
例4:MgCl2 30g、AlCl3 5.25g及びEtOBz 2.36g(0.0158モル)を16時間にわた
ってボールミル(VBM)粉砕し、次いでTiCl4 4.02gを添加し、その混合物を更に16
時間にわたってボールミル粉砕した。計算値:Ti%=2.43;EB/Mg=0.05(モル/
モル)。
例5:EtOBz 4.72gを使用した以外は、例6と同じ。計算値:Ti%=2.31;EB/M
g=0.10(モル/モル)。
例6:MgCl2 30g及びAlCl3 5.25gを24時間にわたってボールミル(RBM)粉砕し
、次いで(EtO)SiMe3 1.55g(0.0131モル)及びTiCl4 4.02gを添加した。その混合
物を更に24時間にわたってボールミル粉砕して前触媒を得た。
例7:MgCl2 30g及びAlCl3 5.25gを24時間にわたってボールミル(RBM)粉砕し
、次いで(EtO)SiMe3 3.1g(0.0263モル)及びTiCl4 4.02gを添加した。その混合物
を更に24時間にわたってボールミル粉砕して前触媒を得た。
例8:MgCl2 30g及びAlCl3 5.25gを24時間にわたってボールミル(RBM)粉砕し
、次いで(EtO)SiMe3 6.15mL(0.0394モル)及びTiCl4 4.02gを添加した。その混合
物を更に24時間にわたってボールミル粉砕して前触媒を得た。
例9:MgCl2 30g及びAlCl3 5.25gを24時間にわたってボールミル(RBM)粉砕し
、次いでCドナー2.47g(0.0131モル)及びTiCl4 4.02gを添加した。その混合物を
更に24時間にわたってボールミル粉砕して前触媒を得た。
例10:MgCl2 30g及びAlCl3 5.25gを24時間にわたってボールミル(RBM)粉砕し
、次いでCドナー7.42g(0.0394モル)及びTiCl4 4.02gを添加した。その混合物を
更に24時間にわたってボールミル粉砕して前触媒を得た。
例11:MgCl2 30g及びAlCl3 5.25gを24時間にわたってボールミル(RBM)粉砕し
、次いでDドナー3.0g(0.0131モル)及びTiCl4 4.02gを添加した。その混合物を
更に24時間にわたってボールミル粉砕して前触媒を得た。
例12:MgCl2 30g及びAlCl3 5.25gを24時間にわたってボールミル(RBM)粉砕し
、次いでDドナー9.0g(0.0394モル)及びTiCl4 4.02gを添加した。その混合物を
更に24時間にわたってボールミル粉砕して前触媒を得た。
例13:例25gをトルエン100mL中で懸濁させ、60℃で1時間攪拌し、濾過し、
新しいトルエン30mL中で懸濁させた。TiCl4 16.5mL及びDドナー(ジシクロペン
チルジメトキシシラン)0.74mLを添加した。混合物を90℃で1時間攪拌し、濾過
し(暗褐色の固体)、ヘプタンで洗浄し(黄緑色に変化し)、トルエンで洗浄し(暗
褐色にもどり)、再度トルエン30mL中で懸濁させた。TiCl4 17mLを仕込み、混
合物を90℃で更に1時間攪拌した。固体を濾別し、ヘプタンで十分に洗浄した。
例14:1)MgCl2 30g、AlCl3 5.25g及び(EtO)3SiMe 7.02g(0.0394モル)を24時間
ボールミル粉砕した。2)上記前駆体5gをトルエン100mL中で懸濁させ、60℃で1
時間攪拌し、濾過し、固体をヘプタン、トルエンで洗浄し、次いで新しいトルエ
ン30mL中で懸濁させた。TiCl4 16.5mL(150ミリモル)を仕込んだ(スラ
リーが褐色に変化した)。スラリーを90℃で1時間攪拌し、濾過し、固体をヘプ
タン、トルエンで洗浄し、次いで再度トルエン30mL中で懸濁させた。TiCl4 16.5
mLを仕込み、90℃で1時間反応させた。固体をヘプタンで洗浄した。固体はト
ルエン中でオレンジ−赤色であったが、ヘプタンによる洗浄後に黄色に変化した
。
例15:MgCl2 30g及びAlCl3 5.25gを24時間にわたってボールミル(RBM)粉砕し
、次いでSiCl4 6.69g(0.0394モル)及びTiCl4 4.02gを添加した。その混合物を更
に24時間にわたってボールミル粉砕して前触媒を得た。
例16:MgCl2 30g、AlCl3 5.25g及びジブチルフタレート2.76gを24時間にわた
って同時ボールミル粉砕し、次いでTiCl4 4.02gを添加した。その混合物を更に2
4時間にわたってボールミル粉砕して前触媒を得た。
例17:MgCl230g及びジブチルフタレート2.76gを24時間にわたって同時ボール
ミル粉砕し、次いでTiCl4 4.02gを添加した。その混合物を更に24時間にわたっ
てボールミル粉砕して前触媒を得た。
例18:MgCl2 30g及びAlCl3 5.25gを24時間にわたってボールミル(RBM)粉砕し
、次いでジヘプチルフタレート7.68g(0.0212モル)及びTiCl4 4.02g(0.0212モル)
を仕込み、24時間にわたってボールミル粉砕した。
例19:(EtO)3SiMeを使用しないでジヘプチルフタレート1.17mLを滴下して添加
し(暗色に変化した)、その後に90℃で1時間反応させた以外は、例14と同じであ
る。
これらの前触媒をポリプロピレンの重合用の触媒中に使用して下記の表I及び
II中の特性を有する可撓性ポリマー成分用のポリマーを製造した。表I及びII nd=測定されず
重合条件:触媒10mg;プロピレン300g;Al/Ti=200;60℃で1時間
例3-19は種々の型Iドナー及びポリマー特性に関するそれらの効果を示す。溶
液方法によりつくった触媒以外について、それらを典型的にはTiCl4添加の前に
触媒担体(MgCl2/AlCI3)と同時ミル粉砕した。生産性に関するボールミル方法
により生成されたドナーの効果は、シランドナーが低用量で生産性を高めるのに
その他のドナーよりも有効であることを示す。溶液方法により調製されたこれら
のドナーは生産性増進を示し、これはまた、ドナー用量を増加すると、ポリマー
の増大された溶融の熱を示す。所望のドナーは最高の生産性増大を生じるととも
に最小の変化を溶融の熱に生じるドナーである。シランドナーはその基準を最も
有効に有利に満足する。例20-31:型II内部ドナーの効果
典型的な量よりも少量の低分子量FPOポリマーを生成する触媒を配置しようと
試みて、種々のこれらの触媒を型II内部ドナー特性について調べた。
例20:例2を参照のこと。
例21:MgCl2 30g及びAlCl3 5.25gを24時間にわたってボールミル(RBM)粉砕し
、次いでシス2,6-ジメチルピペリジン4.46g(0.0394モル)及びTiCl4 4.02gを添加
した。その混合物を更に24時間にわたってボールミル粉砕して前触媒を得た。
例22:MgCl2 30g及びAlCl3 5.25gを24時間にわたってボールミル(RBM)粉砕し
、次いで2,2,6,6-テトラメチルピペリジン5.56g(0.0393モル)及びTiCl4 4.02gを
添加した。その混合物を更に24時間にわたってボールミル粉砕して前触媒を得た
。
例23:MgCl2 30g及びAlCl3 5.25gを24時間にわたってボールミル(RBM)粉砕
し、次いで2,5-ジメチルフラン4.19mL(0.0394モル)及びTiCl4 4.02gを添加した
。その混合物を更に24時間にわたってボールミル粉砕して前触媒を得た。
例24:MgCl2 30g及びAlCl3 5.25gを24時間にわたってボールミル(RBM)粉砕し
、次いで2,5-ジメチルテトラフラン3.95g(0.0394モル)及びTiCl4 4.02gを添加し
た。その混合物を更に24時間にわたってボールミル粉砕して前触媒を得た。
例25:MgCl2 30g及びAlCl3 5.25gを24時間にわたってボールミル(RBM)粉砕し
、次いで2-ピコリン3.67g(0.0394モル)及びTiCl4 4.02gを添加した。その混合物
を更に24時間にわたってボールミル粉砕して前触媒を得た。
例26:MgCl2 21.4g及びAlCl3 3.75gを24時間にわたってボールミル(RBM)粉砕
し、次いで4-クロロキナルジン5.0g(0.0281モル)及びTiCl4 2.85gを添加した。
その混合物を更に24時間にわたってボールミル粉砕して前触媒を得た。
例27:MgCl2 30g及びAlCl3 5.25gを24時間にわたってボールミル(RBM)粉砕し
、次いで2,6-ルチジン4.59mL(0.0394モル)及びTiCl4 4.02gを添加した。
その混合物を更に24時間にわたってボールミル粉砕して前触媒を得た。
例28:MgCl2 30g及びAlCl3 5.25gを24時間にわたってボールミル(RBM)粉砕し
、次いで2,4,6-コリジン4.77g(0.0393モル)及びTiCl4 4.02gを添加した。
その混合物を更に24時間にわたってボールミル粉砕して前触媒を得た。
例29:MgCl2 30g及びAlCl3 5.25gを24時間にわたってボールミル(RBM)粉砕し
、次いで6-クロロ-2-ピコリン5.0g(0.0394モル)及びTiCl4 4.02gを添加した。そ
の混合物を更に24時間にわたってボールミル粉砕して前触媒を得た。
例30:MgCl2 30g及びAlCl3 5.25gを24時間にわたってボールミル(RBM)粉砕し
、次いで2,6-ジクロロピリジン5.83g(0.0393モル)及びTiCl4 4.02gを添加した。
その混合物を更に24時間にわたってボールミル粉砕して前触媒を得た。
例31:MgCl2 30g及びAlCl3 5.25gを24時間にわたってボールミル(RBM)粉砕し
、次いで2,6-ジブロモピリジン9.33g(0.0394モル)及びTiCl4 4.02gを添加した。
その混合物を更に24時間にわたってボールミル粉砕して前触媒を得た。
これらの触媒をポリプロピレンの重合に使用して下記の表に示される特性を有
するポリマーを製造した。表III及びIV a-触媒の一般組成:TiCl4/MgCl2/AlCl3/ドナー、ボールミルされた、ドナー/Ti=1.86
b-重合条件:触媒10mg;Al/Ti=200;60℃で1時間
例20-31は芳香族の、立体障害窒素をベースとするルイス塩基ドナーを含む種
々の型IIドナーを示す。低MFRにより示される高分子量を得るとともに結晶性に
最小の効果を有することが所望された。上記結果は、(1)窒素をベースとするド
ナーが一般に酸素をベースとするドナーよりも分子量を増大するのに有効であり
(例えば、例23及び24)、(2)非芳香族窒素をベースとするルイス塩基、例えば、
例21及び22が芳香族誘導体よりもポリマーの溶融の熱に関して顕著な効
果を有し、後者は弱いルイス塩基であり、また(3)窒素原子のまわりの立体障害
が重要なことに2-ピコリンから2,6-ルチジン更に2,6-ジブロモピリジンへと立体
障害を増大し、低分子量フラクションが最初に減少し、次いで再度増加すること
が明らかであることを示唆する。2,6-ルチジン及び6-クロロ-2-ピコリンがLMWフ
ラクションを減少するのに更に有効であった。これらのポリマーは本発明の種々
のブレンドの可撓性ポリオレフィン成分としての使用について意図されている。例32-44:型Iドナー及び型IIドナーの組み合わせ
種々の触媒を調製し、良好な生産性を得るとともに高分子量及び低結晶性を生
じることにつき試験した。
例32:MgCl2 30g及びAlCl3 5.25gを5時間にわたってボールミル(RBM)粉砕し
、(EtO)SiMe3 1.55g(0.0131モル)を添加し、19時間ボールミル粉砕し、次いで2,
6-ルチジン4.22g(0.0394モル)及びTiCl4 4.02gを添加した。その混合物を更に24
時間にわたってボールミル粉砕して前触媒を得た。
例33:MgCl2 30g及びAlCl3 5.25gを24時間にわたってボールミル(RBM)粉砕し
、次いで(EtO)SiMe3 3.1g(0.026モル)及びTiCl4 4.02gを添加した。その混合物
を更に24時間にわたってボールミル粉砕した。この混合物10gをトルエン30mL中
で懸濁させ、これにTiCl4 33mL及び2,6-ルチジン0.75mL(0.0064モル)を添加した
。その混合物を90℃で1時間攪拌し、次いで濾過し(濾液オレンジ色)、ヘプタン
で3回洗浄して黄色の前触媒を得た。
例34:MgCl2 30g、AlCl3 5.25g及びジエトキシジメチルシラン0.74gを24時間
にわたって同時ボールミル粉砕し、次いで2,6-ルチジン1.41g及びTiCl4 4.02gを
添加した。その混合物を更に24時間にわたってボールミル粉砕して前触媒を得た
。
例35:MgCl2 30g、AlCl3 5.25g及びCドナー0.95gを24時間にわたってボール
ミル(RBM)粉砕し、次いで2,6-ルチジン1.41g(0.0131モル)及びTiCl4 4.02gを添
加した。その混合物を更に24時間にわたってボールミル粉砕して前触媒を得た。
例36:MgCl2 30g、AlCl3 5.25g及びジシクロペンチルジメトキシシラン1.23g
を24時間にわたってボールミル粉砕し、次いで2,6-ルチジン1.41g及びTiCl4 4.0
2gを添加した。その混合物を更に24時間にわたってボールミル粉砕して前触媒を
得た。
例37:MgCl2 30g、AlCl3 5.25g及びジブチルフタレート1.38を24時間にわたっ
てボールミル粉砕し、次いで2,6-ルチジン1.41g及びTiCl4 4.02gを添加した。そ
の混合物を更に24時間にわたってボールミル粉砕して前触媒を得た。
例38:MgCl2 30g、AlCl3 5.25g及びCドナー0.95gを24時間にわたってボール
ミル(RBM)粉砕し、次いで6-クロロ-2-ピコリン1.66g(0.0131モル)及びTiCl4 4.0
2gを添加した。その混合物を更に24時間にわたってボールミル粉砕して前触媒を
得た。
例39:MgCl2 30g、AlCl3 5.25g及びCドナー0.95gを24時間にわたってボール
ミル(RBM)粉砕し、次いで6-クロロ-2-ピコリン3.32g(0.0262モル)及びTiCl4 4.0
2gを添加した。その混合物を更に24時間にわたってボールミル粉砕して前触媒を
得た。
例40:例2の前触媒5gをトルエン100mL中で懸濁させ、60℃で1時間攪拌した
。固体を濾別し、トルエン30mL中で再度懸濁させた。TiCl4 16.5mL及びCドナー
0.1mL(0.0005モル)を懸濁液に添加した。次いでその混合物を90℃で1時間攪拌
し、濾過し、ヘプタン次いでトルエンで洗浄した。固体をトルエン30mL中で再度
懸濁させ、TiCl4 16.5mL及び6-クロロ-2-ピコリン0.41g(0.0032モル)と混合し
た。その混合物を90℃で更に1時間反応させ、次いで濾過し、ヘプタンで3回洗
浄して前触媒を得た。
例41:例2の前触媒5gをトルエン100mL中で懸濁させ、60℃で1時間攪拌した
。固体を濾別し、トルエン30mL中で再度懸濁させた。TiCl4 16.5mL及びDドナー
0.25mL(0.001モル)を懸濁液に添加した。次いでその混合物を90℃で1時間攪拌
し、濾過し、ヘプタンで2回洗浄した。固体をトルエン30mL中で再度懸濁させ、
TiCl4 16.5mL及び6-クロロ-2-ピコリン0.41g(0.0032モル)と混合した。その混合
物を90℃で更に1時間反応させ、次いで濾過し、ヘプタンで3回洗浄して前触媒
を得た。
例42:例2の前触媒5gをトルエン100mL中で懸濁させ、60℃で1時間攪拌し
た。固体を濾別し、トルエン30mL中で再度懸濁させた。TiCl4 16.5mL及びDドナ
ー0.1mL(0.0004モル)を懸濁液に添加した。次いでその混合物を90℃で1時間攪
拌し、濾過し、ヘプタン次いでトルエンで洗浄した。固体をトルエン30mL中で再
度懸濁させ、TiCl4 16.5mL及び6-クロロ-2-ピコリン0.41g(0.0032モル)と混合
した。その混合物を90℃で更に1時間反応させ、次いで濾過し、ヘプタンで3回
洗浄して前触媒を得た。
例43:MgCl2 30mg及びAlCl3 5.25gを24時間にわたってボールミル(RBM)粉砕し
、次いで(EtO)SiMe3 1.55g(0.013モル)及びTiCl4 4.02gを添加した。その混合物
を更に24時間にわたってボールミル粉砕した。この混合物5gをトルエン100mL中
で懸濁させ、80℃で1時間攪拌した。固体を濾別し、トルエン30mL中で再度懸濁
させた。TiCl4 16.5mL及び6-クロロ-2-ピコリン0.41g(0.0032モル)を懸濁液に添
加した。次いでその混合物を90℃で1時間攪拌し、濾過し、ヘプタンで3回洗浄
して前触媒を得た。
例44:例43の混合物5gをトルエン100mL中で懸濁させ、80℃で1時間攪拌した
。固体を濾別し、トルエン30mL中で再度懸濁させた。TiCl4 16.5mL及び2,6-ジク
ロロピリジン0.0032モル(トルエンに溶解した)を懸濁液に添加した。次いでそ
の混合物を90℃で1時間攪拌し、濾過し、ヘプタンで3回洗浄して前触媒を得た
。
これらの前触媒をポリプロピレンの重合用の触媒中に使用して下記の表に示さ
れる特性を有する可撓性ポリマーを製造した。表V及びVI BM=ボールミル
例32-44の目標は良好な生産性を有するとともに高分子量及び低結晶性を生じ
る触媒を得ることであった。例32-44はボールミル及び溶液方法の両方によるこ
れらのドナーの組み合わせを示す。最も有望な組み合わせはCドナー、Dドナー
と2,6-ルチジン、6-クロロ-2-ピコリンの組み合わせであることが明らかであっ
た。Dドナーと2,6-ルチジンが溶融のわずかに高い熱を生じると考えられた。ま
た、溶液方法はボールミル方法と較べて有利ではないことが明らかであった。
例45-53:Cドナー(型I)及び2,6-ルチジン(型II)による触媒配合の最適化
おそらく全ての所望の性質を有する触媒の候補を選んで触媒及び得られるFPO
ポリマーの全ての特性を最適化した。
例45:MgCl2 30g及びAlCl3 5.25gを24時間にわたってボールミル(RBM)粉砕
し、次いで2,6-ルチジン4.59mL(0.0394モル)及びTiCl4 4.02gを添加した。その
混合物を更に24時間にわたってボールミル粉砕して前触媒を得た。
例46:MgCl2 30g及びAlCl3 5.25gを24時間にわたってボールミル(RBM)粉砕し
、次いで2,6-ルチジン2.81g(0.0262モル)及びTiCl4 4.02gを添加した。その混合
物を更に24時間にわたってボールミル粉砕して前触媒を得た。
例47:MgCl2 30g及びAlCl3 5.25gを24時間にわたってボールミル(RBM)粉砕し
、次いで2,6-ルチジン1.41g(0.0131モル)及びTiCl4 4.02gを添加した。その混合
物を更に24時間にわたってボールミル粉砕して前触媒を得た。
例48:kgCl2 30g及びAlCl3 5.25gを24時間にわたってボールミル(RBM)粉砕し
、次いで2,6-ルチジン0.74g(0.0069モル)及びTiCl4 4.02gを添加した。その混合
物を更に24時間にわたってボールミル粉砕して前触媒を得た。
例49:MgCl2 30g及びAlCl3 5.25gを24時間にわたってボールミル(RBM)粉砕し
、次いで2,6-ルチジン1.41g(0.0131モル)及びTiCl4 8.04gを添加した。その混合
物を更に24時間にわたってボールミル粉砕して前触媒を得た。
例50:MgCl2 30g、AlCl3 5.25g及びCドナー0.95gを24時間にわたってボール
ミル(RBM)粉砕し、次いで2,6-ルチジン1.41g(0.0131モル)及びTiCl4 8.04gを添
加した。その混合物を更に24時間にわたってボールミル粉砕して前触媒を得た。
例51:MgCl2 30g、AlCl3 5.25g及びCドナー0.48gを24時間にわたってボール
ミル(RBM)粉砕し、次いで2,6-ルチジン1.41g(0.0131モル)及びTiCl4 4.02gを添
加した。その混合物を更に24時間にわたってボールミル粉砕して前触媒を得た。
例52:MgCl2 30g、AlCl3 5.25g及びCドナー0.95gを24時間にわたってボール
ミル(RBM)粉砕し、次いで2,6-ルチジン1.41g(0.0131モル)及びTiCl4 4.02gを添
加した。その混合物を更に24時間にわたってボールミル粉砕して前触媒を得た。
例53:MgCl2 30g、AlCl3 5.25g及びCドナー1.43gを24時間にわたってボール
ミル(RBM)粉砕し、次いで2,6-ルチジン1.41g(0.0131モル)及びTiCl4 4.02gを添
加した。その混合物を更に24時間にわたってボールミル粉砕して前触媒を
得た。
これらの前触媒をポリプロピレンの重合用の触媒中に使用して下記の表に示さ
れる特性を有するポリマーを製造した。表VII 例45-53はMFRが十分に低いが、触媒生産性が重合に許容し得る程に高い位置を
配置することによるドナー用量の最適化、並びに改良された生産性を維持すると
ともに溶融の低い熱を得ることの最適化を示す。例52はその他の触媒配合物より
も15,500g/g触媒の比較的高い生産性、約28.3J/gの比較的低いHf及び約1.6g/10
分のかなり低いMFRを有する、最適配合を有利に有する前触媒と思われる。例54:好ましい触媒の調製の方法
固体塩化マグネシウム(“MgCl2”)120ポンド及び固体塩化アルミニウム(“Al
Cl3”)21ポンドを250Lの振動ボールミルに仕込み、約15分間混合した。
次いでシクロヘキシルメチルジメトキシシラン3.8ポンドをステンレス鋼容器に
噴霧した。別途、ボールミル粉砕の前に、シランをその他の2種の成分とともに
添加することができた。次いで混合物を室温で16時間ボールミル粉砕した。
初期のボールミル粉砕に続いて、液体2,6-ルチジン3.7ポンド及び液体四塩化
チタン(TiCl4)16.1ポンドを混合物に添加した。別の複素環芳香族アミン、例
えば、液体6-クロロ-2-ピコリン約4.5ポンドをその代わりに置換することができ
た。ルチジンをこれらの成分に直接添加したが、約2〜3時間にわたる既存の混
合物への2種の液体成分の噴霧添加がまた適当であろう。次いで5種の成分を更
に約16時間にわたってボールミル粉砕した。ボールミル粉砕は鋼球を振動して成
分粒子を粉砕し、熱をボールミル粉砕容器に加えることを伴う。しかしながら、
容器を温度調節してボールミル粉砕中にほぼ室温に保った。
種々のFPOポリマーの調製において、本発明の触媒の生産性は通常の触媒と較
べて約30〜55%増加の範囲であった。例55-62:パイロットプラント連続方法
可撓性ポリオレフィンポリマーを大規模連続パイロットプラント操作で調製し
、モノマー、水素、及び触媒成分を別々かつ連続に攪拌反応器に仕込んだ。合計
モノマー供給速度は反応器中の約1.8時間の滞留時間に相当した。トリエチルア
ルミニウム(“TEA”)及び外部改良剤シクロヘキシルメチルジメトキシシラン
(“CMDS”)を夫々約5重量%及び0.25重量%のヘプタン溶液として反応器にポ
ンプ輸送した。固体触媒成分は約2.2重量%のチタン含量を有し、例54に従って
調製した。固体触媒成分をペトロラタム中の25重量%混合物として反応器にポン
プ輸送した。触媒成分をポリマー生成速度に直接比例する速度で、かつ反応器ス
ラリー中のポリマー固体濃度を典型的には約30〜50重量%の範囲の値として維持
するのに十分な量で添加した。触媒生産性(固体触媒1ポンド当りのポリマーの
ポンド数)をポリマー固体取り出し速度及び固体触媒成分添加速度から計算した
。生成物ポリマーを未反応モノマーから分離し、失活し、安定化し、ペレットに
し、続いて試験してポリマー特性を測定した。下記の表は関連操作条件及びポリ
マー特性の物理試験の結果を要約する。表VIII 例63-71:種々のポリマーの調製
数種のFPOポリマー(これらは本発明が包含することを意図しているポリマー
の広い範囲を決して示すものではない)の重合を、本発明のボールミル粉砕した
触媒を使用して試験した。これらのポリマーの幾つかの特性を以下に示す。表IX 1リットルオートクレーブにおいて60℃で1時間バッチ重合
a)1時間の反応時間中エチレンの連続供給例72-83:種々のコポリマーの調製
下記の表に示される例72〜83のFPOポリマー生成物の夫々を一般に上記の例に
記載された方法により調製した。最初に、攪拌機を備えたきれいな1リットルの
ステンレス鋼オートクレーブ反応器を窒素でパージして不純物を除去した。次ぎ
に、トリエチルアルミニウムを十分な量で反応器に添加して約200:1のAl:Ti原
子比を得、続いて本明細書に記載された固体前触媒約10mgを含む鉱油懸濁液
を添加した。続いて混合モノマー仕込み物(これらは660mLの液体容積を含む)
を有効圧力で60℃の反応温度を1時間維持するための熱調節のもとに反応器に導
入した。“C”ドナー及び“D”ドナーは先に使用したものであった。1時間後
に、未反応のモノマーをガス抜きし、通常の技術を使用してポリマー生成物を回
収した。これらのFPOポリマー生成物の幾つかの特性を以下に示す。表X 1リットルオートクレーブにおいてバッチ重合 触媒10mg;TEA/Ti200;全液体モ
ノマー充填660mL;60℃;1時間。
a)コモノマー導入の重量割合
b)プロピレン単位の数平均配列長さ
c)コモノマー単位の数平均配列長さ例84-99:エチレンコモノマーポリマー
下記の例はモノマー原料として比較的多量のエチレン及び少なくとも一種のコ
モノマーを使用して本発明に従って製造された種々の型のFPOポリマーを示す。
種々のチャート中の“エンタルピー”欄中の値は正及び負のエネルギー値として
示される。何とならば、最も左の値が溶融の熱であり、また最も右の値が結晶化
の熱であるからである。また、本明細書に説明された全てのFPOポリマーは本発
明の種々のブレンド、糸、製品、及び方法のいずれにも使用し得ることが理解さ
れるべきである。表XI
高いエチレンFPO生成物
表XII 例100-104:不織用途のためのブレンド
本発明の不織製品または複合材料に有益である数種のポリマーブレンドを調製
した。以下のこれらの例に説明される商品名のポリマーの全てがハンツマン・ポ
リマーズ・コーポレーション(2502S.Grandview Avenue,Odessa,TX)から市販さ
れている。これらの有益なブレンドの調製を以下に記載する。
10重量%のエチレンを含むコポリマーを用いて例88に従って製造したW209 28
ポンドをRT2780 72ポンドとブレンドすることにより例100を調製した。
W201 15ポンド、2重量%のエチレンを有するランダムポリプロピレンコポリ
マーをE-21 85ポンドとブレンドすることにより例101を調製した。
W110プロピレンホモポリマー10ポンドをRT2780 90ポンドとブレンドすること
により例102を調製した。
W209 10ポンドをE-21 90ポンドとブレンドすることにより例103を調製した。
RT2780 65ポンドをW209 35ポンドとブレンドすることにより例104を調製した
。例105-108:接着剤としての使用に好ましいブレンド
数種のポリマーブレンドを本発明に従って接着剤として、また接着剤を含む複
合不織製品中の使用のために調製した。以下のこれらの例に説明される商品名の
ポリマーの全てがハンツマン・ポリマーズ・コーポレーション(2502S.Grandvie
w Avenue,Odessa,TX)から市販されている。
表XIII:APAO/FPOブレンドの物理的特性
上記の表に示されたポリマーブレンドは開放時間及び環球軟化点により測定し
て適度に高い接着性を有する。
例109-119:HMW プロピレンとブレンドしたLMWエチレン/プロピレンコポリマー
LMW APAOエチレン/プロピレンコポリマーを低結晶性HMW APAOプロピレン(FPD
商品名)とブレンドして本発明の或るポリマーブレンドを生成した。レックスタ
ック(登録商標)2385は約7.5重量%のエチレン及び92.5重量%のプロピレンのL
MW APAOである。FDP-100 HMW APAOは約23-27J/gの溶融の熱を有する。FDP-400 H
MW APAOは約17-20J/gの溶融の熱を有する。FDP-2300 HMW APAOは約33-37J/gの溶
融の熱を有する。溶融の熱は範囲として示される。何とならば、それらは測定方
法に応じてわずかに変化するからである。LMW APAOポリマー(例109)並びに本
発明の種々のLMW APAOとHMW APAOのポリマーブレンド(例110-119)の特性を下
記の表XIVに示す。
これらのブレンドは本発明の複合材料及び接着剤組成物に有益である。表XIV:高融解粘度エチレン/プロピレンAPAOの物理的及び機械的特性 例120-127:HMW プロピレンとブレンドしたLMW1-ブテン/プロピレン
LMW APAO1-ブテン/プロピレンコポリマーを低結晶性HMW APAOプロピレン(FPD
商品名)とブレンドして本発明の或るポリマーブレンドを生成した。レックスタ
ック(登録商標)2780は約35重量%の1-ブテン及び65重量%のプロピレンコポリ
マーのLMW APAOである。FPD-100、FPD-400、及びFPD-2300は先に説明した溶融の
熱を有する。LMW APAO1-ブテン/プロピレンコポリマー(例120)並びに本発明
の種々のLMW APAOとHMW APAOのポリマーブレンド(例121-127)の特性を下記の
表に示す。
これらのブレンドは本発明の複合材料及び接着剤組成物に有益である。表XV:高融解粘度1-ブテン/プロピレンAPAOの物理的及び機械的特性 N.B.=311%伸びで破断なし
例128-34:HMW プロピレンとブレンドしたLMW 1-ブテン/プロピレン
LMW APAO1-ブテン/プロピレンコポリマーを低結晶性HMW PAOプロピレン(FPD
商品名)とブレンドして本発明の或るポリマーブレンドを生成した。E21ポリマー
は約65重量%の1-ブテン及び35重量%のプロピレンコポリマーのLMW APAOである
。FPD-100、FPD-400、及びFPD-2300は先に説明した溶融の熱を有する。LMW APAO
1-ブテン/プロピレンコポリマー(例128)並びに本発明の種々のLMW APAOとHMW
APAOのポリマーブレンド(例129-134)の特性を下記の表XVIに示す。
これらのブレンドは本発明の複合材料及び接着剤組成物に有益である。表XVI:高融解粘度1-ブテン/プロピレンAPAOの物理的及び機械的特性 N.B=311%で破断なし例135:HMWプロピレンとブレンドしたLMWエチレン/プロピレン
LMW APAOエチレン/プロピレンコポリマーを種々の量の低結晶性HMW APAOプ
ロピレン(FPD商品名)とブレンドして本発明の或るポリマーブレンドを生成し
た。レックスタック(登録商標)2585は約15重量%のエチレン及び85重量%のプ
ロピレンコポリマーのLMW APAOである。レックスタック(登録商標)2585 LMW APA
O部分を種々の量のHMW APAOポリマーとブレンドした。FPD-100、FPD-400、及びF
PD-2300は先に説明した溶融の熱を有する。これらのブレンドの特性を調べ、一
般に低い破断点引張歪を有するが、それらは一般に例109-119の相当する量のHMW
PAOよりも軟質であり、高いNPを有し、かつ長い開放時間を有することがわかっ
た。これらのブレンドは本発明の複合材料及び接着剤組成物に有益である。
本発明の好ましい実施態様が以上の説明に記載されたが、本発明は本明細書に
開示された特別な実施態様に限定されないが、当業者により多くの改良が可能で
あることが理解されるであろう。使用される物質及び化学的詳細が本発明により
開示され、教示された方法及び組成物から逸脱しないで本明細書の記載とはわず
かに異なってもよく、また変更されてもよいことが理解されるであろう。
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フロントページの続き
(31)優先権主張番号 09/033,172
(32)優先日 平成10年3月2日(1998.3.2)
(33)優先権主張国 米国(US)
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(GH,GM,KE,LS,M
W,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY
,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM
,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,
CN,CU,CZ,EE,GE,GH,GW,HU,I
D,IL,IS,JP,KG,KP,KR,KZ,LC
,LK,LR,LT,LV,MD,MG,MK,MN,
MX,NO,NZ,PL,RO,RU,SG,SI,S
K,SL,TJ,TM,TR,TT,UA,UZ,VN
,YU
(72)発明者 ジャーニ ダーメンドラ
アメリカ合衆国 テキサス州 79762 オ
デッサ ペンブルック ロード 3843
(72)発明者 サスティク アンドレス
アメリカ合衆国 ミネソタ州 55125 ウ
ッドバリー ナイトン ロード 9433