JP2002510852A - バッテリ供給実行時間を延ばすための内蔵コントローラを有するバッテリ - Google Patents

バッテリ供給実行時間を延ばすための内蔵コントローラを有するバッテリ

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JP2002510852A JP2000542817A JP2000542817A JP2002510852A JP 2002510852 A JP2002510852 A JP 2002510852A JP 2000542817 A JP2000542817 A JP 2000542817A JP 2000542817 A JP2000542817 A JP 2000542817A JP 2002510852 A JP2002510852 A JP 2002510852A
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Abstract

(57)【要約】 バッテリの実行時間を延ばす内蔵コントローラを有する再充電可能バッテリを開示する。このコントローラは例えば、充電サイクルの回数および効率を最大にするために最適放電深度で放電サイクルを終了させることによって再充電可能バッテリの実行時間を延ばすことができる。このコントローラはさらに、再充電可能バッテリのそれぞれの電気化学セルの充電サイクルを制御することができる。この再充電可能バッテリを、単一セル・バッテリ、ユニバーサル単一セル・バッテリ、多セル・バッテリまたは多セル・ハイブリッド・バッテリとすることができる。個々のそれぞれのセルが、そのセルの放電および充電サイクルを制御する内蔵コントローラを有することが好ましい。さらに、この再充電可能バッテリは遠隔充電システムを含むことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の分野) 本発明はバッテリに関し、詳細にはバッテリの供給実行時間(service
run time)を延長するための内蔵コントローラを有するバッテリに関
する。
【0002】 (発明の背景) 消費者は、ラジオ、コンパクト・ディスク・プレーヤ、カメラ、携帯電話、電
子ゲーム、玩具、ポケット・ベル、コンピュータ装置などの携帯用電子装置中で
一次バッテリおよび再充電可能(二次)バッテリを使用している。一次バッテリ
は通常、供給実行時間が終わると廃棄される。一般的な一次バッテリではその供
給実行時間内に、バッテリの合計蓄電容量の約40〜70%しか使用することが
できない。初期蓄積エネルギーのうちこの部分を使用してしまうと、バッテリは
一般に、一般的な電子回路を駆動するのに十分な電圧を供給することができない
。バッテリの有効寿命が尽きると、これらのバッテリがなおその蓄電容量の約3
0〜60%を含んでいようと、消費者は普通これらのバッテリを廃棄してしまう
。したがって、より深い放電を安全に実施できるようにすることによって一次バ
ッテリの供給実行時間を延ばすことができれば、廃棄前に電子装置がバッテリの
蓄電容量をより多く使用できるようになり、廃棄物は減る。
【0003】 再充電可能バッテリの全寿命は主に、充電サイクルの回数および効率によって
決まる。再充電可能バッテリは各放電サイクル後に充電し再使用することができ
る。一次バッテリの場合と同様に蓄電容量のうち一定の割合が使用されると、バ
ッテリは一般に電子回路を駆動するのに十分な電圧を供給することができない。
したがって、バッテリをより深く放電することができれば再充電可能バッテリの
各放電サイクルを延ばすことができる。しかし再充電可能バッテリの放電レベル
は、バッテリの将来の充電回数および効率に影響を与える。一般に、再充電可能
電気化学セルの放電深度が増大するにつれ、再充電可能電気化学セルに実施する
ことができる充電サイクルの回数は減少する。しかし、特定の種類の再充電可能
電気化学セル間で最適放電特性は幅広く変化する。例えばニッケル・カドミウム
(「NiCd」)バッテリでは深い放電が好ましい。これは、適切に使い切る前
に充電した場合にバッテリが「メモリ」効果を発現し、その結果、将来の充電に
使用可能な容量が低減する可能性があるためである。しかしリチウム・バッテリ
の深い放電は電気化学セルにダメージを与える可能性がある。再充電可能電気化
学セルの供給実行時間の延長は一般に、その特定のセルの充放電サイクルを効率
的に制御し、充電サイクルの合計回数が最大になり、さらに電気化学セルのそれ
ぞれの放電サイクルから回収されるエネルギー量が最適化されるようにすること
によって達成することができる。
【0004】 加えて消費者はより小型、より軽量の携帯用電子装置を絶えず求めている。こ
れらの装置を小型化、軽量化する際の主要な障害の1つは、装置への給電に必要
なバッテリのサイズおよび重量である。実際、電子回路が高速化、複雑化するに
つれ、電子回路は以前よりもいっそう多くの電流を必要とするようになり、した
がってバッテリに対する要求はいっそう大きくなる。しかし、機能および速度が
向上してもバッテリを頻繁に交換または再充電する必要がある場合には、消費者
は、より強力で小型化された装置を受け入れないだろう。したがって有効寿命を
短縮することなくより高速かつより複雑な電子装置を構築するためには、電子装
置がバッテリをより効率的に使用し、かつ/またはバッテリ自体がより高い蓄積
エネルギー利用率を提供することが必要である。
【0005】 より高価な電子装置の中には、バッテリの出力電圧を変換し、かつ/または安
定化するスイッチング変換器(例えばDC/DC変換器)などの電圧調整回路を
装置内に含むものがある。これらの装置では、複数の単一セル・バッテリが一般
に直列に接続され、変換器によってこれらのバッテリの合計電圧が負荷回路が必
要とする電圧へと変換される。変換器は、負荷回路が必要とするよりも高い電圧
、したがって負荷回路が必要とするよりも多くの電力をバッテリが供給するバッ
テリ放電の初期においてバッテリの出力電圧を下げ、かつ/または負荷回路が必
要とするよりも出力電圧が小さいためバッテリが消耗しているバッテリ放電のそ
の後の部分においてバッテリの出力電圧を上げることよって、バッテリの実行時
間を延ばすことができる。
【0006】 しかし、電子装置内に変換器を配置する方法にはいくつかの欠点がある。第1
に、装置メーカはメーカごとに、比較的に限られた量で製作され、したがって個
々のコストが高くなる特定の回路設計を有するため、変換器を電子装置の中に配
置すると比較的に費用がかさむ。第2に、バッテリの供給業者は、特定のバッテ
リとともに使用される変換器の種類をコントロールすることができない。したが
って変換器は、それぞれの種類の電気化学セルの特定の電気化学特性に対して最
適化されたものとならない。第3に、アルカリ・セル、リチウム・セルなどの異
なる種類の電気化学セルは異なる電気化学特性および公称電圧を有し、したがっ
て容易に相互交換できるというものではない。その上、変換器は電子装置内の貴
重なスペースを占有する。さらに、電子装置によっては、より効率的なDC/D
C変換器などのスイッチング変換器ではなく線形調整器を使用している場合があ
り、その上、スイッチング変換器を含む電子装置は、無線周波(RF)送信機な
どの電子装置内の隣接する回路に不利な影響を及ぼす可能性がある電磁干渉(E
MI)を引き起こす可能性がある。しかし、変換器をバッテリ内に配置すること
によって、EMI源を、EMIに敏感な他の電子回路からより遠くに配置し、か
つ/またはEMI源をバッテリの導電性容器で遮へいすることができる。
【0007】 現在の電圧変換器の他の問題点は、変換器を駆動するのに十分な電圧を供給す
るために変換器が一般に複数の電気化学セルを必要とすることであり、特にアル
カリ、亜鉛−炭素、ニッケル・カドミウム(NiCd)、酸化銀バッテリに関し
てそうである。この問題を回避するため、現在の変換器は普通、変換器を駆動す
るのに十分な電圧を供給するため直列に接続された複数の電気化学セルを必要と
する。変換器は次いでこの電圧を、電子装置が必要とするレベルにまで下げるこ
とができる。したがって変換器のこの入力電圧要求のため電子装置は、たとえ電
子装置自体がその動作に1つのセルしか必要ないとしても複数の電気化学セルを
含まなければならない。その結果、無駄なスペースおよび重量が生じ、電子装置
のさらなる小型化が妨げられる。
【0008】 したがって、供給実行時間を最大にするため、再充電可能バッテリを充電する
前にバッテリの蓄積電荷を最適に使用し、放電深度を最適化する必要がある。蓄
積エネルギーの利用率が高まるようにバッテリを設計することによって、電子装
置はより小型のバッテリを使用すること、またはより少ない数のバッテリを使用
することができ、携帯用電子装置をさらに小型化することが可能となる。
【0009】 (発明の概要) 本発明は、再充電可能バッテリの蓄積電荷を充電前に最適に使用することによ
って供給実行時間がより長いバッテリを提供する。このバッテリは、一般的な電
子装置の電圧しきい値よりも低い電圧で動作することができる変換器を含む内蔵
コントローラを有する。このコントローラは、バッテリの供給実行時間を延ばす
ため電気化学セルの電圧をより効率的に調整し、制御された放電または最適放電
深度を可能にする。コントローラは、アルカリ、ニッケル・カドミウム(「Ni
Cd」)、リチウム、リチウム・イオン、密封鉛−酸(「SLA」)、酸化銀、
ハイブリッド・セルなどの特定の種類の電気化学セルまたは特定の電子装置とと
もに動作するようにカスタム設計された混合モード・シリコン・チップ上に配置
されることが好ましい。
【0010】 コントローラは、負荷への電力送達をモニタおよび制御し、(1)DC/DC
変換器をオン/オフし、(2)一般的な電子装置が動作することができる電圧よ
りも入力電圧が低いときに最小必要出力電圧を維持し、(3)バッテリの出力イ
ンピーダンスを下げ、(4)最適放電深度を決定し、(5)最適充電シーケンス
を提供し、(6)所与の電気化学セルがコントローラなしで供給することができ
る放電電流を増大させ、(7)セルの安全限界の内側の高い放電電流を、たとえ
この電流が変換器の最大出力電流を上回る場合であっても迂回モードを使用して
提供する。
【0011】 好ましい一実施形態では、一次または再充電可能多セル・バッテリ(例えば標
準9ボルト・バッテリ)のハウジング内に単一のコントローラが装着される。本
発明のこの態様は、電子装置内にコントローラを配置することに優るいくつかの
明白な利点を提供する。第1に、バッテリ設計者が、特定の種類の電気化学セル
の特定の電気化学特性を利用することが可能になる。第2に、装置が、バッテリ
の出力電圧を変更し、かつ/または安定化する特定の種類の電気化学セル(例え
ばリチウム・セル)を含むバッテリ用の変換器だけを必要とし、他の種類の電気
化学セル(例えばNiCd、SLAセル)を含むバッテリ用の変換器を必要とせ
ず、その変換器が、その変換器を必要とするバッテリ(すなわちリチウム・バッ
テリ)と統合される場合に、電子装置をDC/DC変換器なしで設計することが
できる。これによってより小さな回路設計が可能となり、変換器に関連した損失
が変換器を必要としないバッテリに影響を及ぼすことがなくなる。
【0012】 特に好ましい一実施形態では、コントローラが、AAA、AA、C、D型、角
柱形バッテリなどの単一セル・バッテリの容器内、または角柱形または標準9ボ
ルト・バッテリなどの多セル・バッテリのそれぞれのセルの容器内に装着される
。本発明のこの態様は、多セル・バッテリの中に単一のコントローラを配置する
先に挙げた態様の利点を提供し、さらに多くの利点を提供する。第1に、特定の
種類の電気化学セルの電気化学反応を利用するため、コントローラを、その電気
化学セルに対してカスタム・マッチングさせることができる。第2に、標準バッ
テリで動作するように設計された電子装置の要求を満たすよう出力電圧または内
部インピーダンスを変更または安定化することによって、異なる種類の電気化学
セルを有するバッテリを互換可能に使用することができるようになる。これらの
両利点は、例えば、内蔵コントローラを使用して約2.8〜約4.0ボルトの範
囲の公称セル電圧を約1.5ボルトの出力電圧に下げることによって、標準1.
5ボルトAAバッテリのパッケージング要件および電気的な要件を満足する超効
率的リチウム・セルで達成される。リチウム・セルのより高いセル電圧を利用す
ることによって、設計者は、バッテリ実行時間を実質的に延長することができる
。さらに、それぞれのバッテリ・セルの中にコントローラを配置することによっ
て、現在可能なものよりもはるかに有効な制御があらゆるセルに関して可能とな
る。このコントローラは、それぞれの一次電気化学セルの放電状態をモニタおよ
び制御することができ、電子装置が動作を停止する前にそれぞれのセルが完全に
使い尽くされることが保証される。コントローラはさらに、それぞれの再充電可
能電気化学セルの放電サイクルをモニタおよび制御して、バッテリの供給実行時
間が可能な最長のものとなり、セルの安全性が向上してメモリ効果、短絡または
有害な深い放電などの状態が起こらないレベルまでセルが放電されることを保証
する。コントローラはさらに、バッテリ内のそれぞれの再充電可能電気化学セル
の充電サイクルを直接にモニタおよび制御して過充電、短絡などの状態を防ぎ、
これによってサイクル寿命を延ばし、バッテリの安全性を向上させる。
【0013】 コントローラはさらに、本発明のバッテリの汎用的な使用を可能にする。本発
明のバッテリは、先に挙げたようなカットオフ電圧を有する電気、電気機械また
は電子装置とともに使用するか、または電気装置とともに使用するかに関わらず
、周知のバッテリに優る利点を提供する。
【0014】 バッテリの販売が拡大することによって、チップの生産のほうが、個々の調整
器または変換器設計をそれぞれの種類の電子装置に対して実施するよりもはるか
に安くなるため、コントローラ・チップをより経済的に製作することができる。
【0015】 DC/DC変換器の好ましい一実施形態は、パルス幅またはパルス位相変調お
よびパルス・スキップ低デューティ制御方式をスタート・ストップ発振制御方式
とともに利用する高効率、超低入力電圧かつ中電力の変換器である。
【0016】 本発明のその他の特徴および利点は、本発明の好ましい実施形態の説明に関し
て説明する。
【0017】 本明細書は、本発明とみなされる内容を具体的に指摘し、明確に請求する請求
項をもって結論とするが、本発明の理解は、以下の説明を添付図面と関連させて
理解することによって深まるであろう。
【0018】 (発明の詳細な説明) 本発明は、単一セルおよび多セル・バッテリに関する。本出願では「一次」と
いう用語が使用され、この用語は、その使用可能な蓄電容量を使い尽くした後は
廃棄される予定の(すなわち再充電または再使用される予定のない)バッテリま
たは電気化学セルを指す。本出願では「再充電可能」という用語と「二次」とい
う用語が相互交換可能に使用され、その使用可能な蓄電容量を使い尽くした後に
少なくとも1度は再充電される予定の(すなわち少なくとも1度は再使用される
予定の)バッテリまたは電気化学セルを指す。本出願の「消費者」という用語は
、消費者によって購入または使用された電子または電気装置中で使用される予定
のバッテリを指す。「単一セル」という用語は、標準AA、AAA、C、D型バ
ッテリなどの個別にパッケージングされた単一の電気化学セルを有するバッテリ
、または多セル・バッテリ(例えば標準9ボルト・バッテリ、携帯電話またはラ
ップトップ・コンピュータ用のバッテリなど)中の単一セルを指す。本出願で使
用される「バッテリ」という用語は、端子および単一の電気化学セルを有する容
器、または端子を有し、2つ以上の電気化学セルを少なくとも実質的に含むハウ
ジング(例えば標準9ボルト・バッテリ、携帯電話またはラップトップ・コンピ
ュータ用のバッテリなど)を指す。セル自体がそれぞれに個々の容器を有してい
る場合、複数の電気化学セルがハウジングによって完全に包囲されている必要は
ない。例えば携帯電話のバッテリは、それぞれが個別に容器を有し、これらの個
別容器を一体に保持する収縮包装用プラスティック材料の中に一緒にパッケージ
ングされた2つ以上の電気化学セルを含むが、これらのセルの個別容器を完全に
包囲しているわけではない。本出願で使用される用語「ハイブリッド・バッテリ
」には、2つ以上の電気化学セルを含み、そのうちの少なくとも2つが、異なる
電極、異なる電極対、異なる電解質などの異なる電気化学部品を有する多セル・
バッテリが含まれる。
【0019】 本出願で使用する用語「コントローラ」は、少なくとも1つの入力信号を受け
入れ、入力信号の関数である少なくとも1つの出力信号を供給する回路を指す。
用語「DC/DC変換器」と用語「変換器」は本出願では相互交換可能に使用さ
れ、入力DC電圧を必要な出力DC電圧に変換するスイッチング型の変換器、す
なわちチョッパ制御DC/DC変換器を指す。DC/DC変換器は、調整された
出力を頻繁に供給するパワー・エレクトロニック回路である。この変換器は、昇
圧電圧レベル、降圧電圧レベル、またはほぼ同じレベルの調整電圧を供給するこ
とができる。当技術分野では多くの異なる種類のDC/DC変換器が知られてい
る。本発明は、一般的な電子装置が動作することができる電圧よりも低い低電圧
レベルで動作することができる本出願に記載の好ましい変換器に代えてより不利
な周知の変換器または線形調整器を可能な限り使用することを企図する。
【0020】 電子装置の「カットオフ電圧」とは、これよりも低いとバッテリに接続された
電気または電子装置が動作することができない電圧である。したがって「カット
オフ電圧」は装置依存である。すなわちこの電圧レベルは、装置の最小動作電圧
(機能上のエンドポイント)または動作周波数(例えば、所与の時間内にコンデ
ンサを充電できなければならない)に依存する。ほとんどの電子装置のカットオ
フ電圧は約1ボルト〜約1.2ボルトの範囲にあり、なかには約0.9ボルトと
カットオフ電圧が低いものもある。電気時計、電動機、電気機械式継電器など、
機械運動をする部品を有する電気装置はさらに、これらの機械部品を動かすのに
必要なだけの強さの電磁場を生み出すのに十分な電流を供給するのに必要なカッ
トオフ電圧を有する。フラッシュライトなどのその他の電気装置は装置カットオ
フ電圧を持たないが、装置に給電するバッテリの電圧が下がると出力パワー(例
えば電球の輝度)も低下する。
【0021】 単一の電気化学セルがカットオフ電圧を有する装置に給電している場合、この
電気化学セルは装置のカットオフ電圧に「支配(subject to)」され
、装置のカットオフ電圧以上の出力電圧を供給しなければならず、そうしないと
装置は動作を停止してしまう。しかし、直列に配置された2つの以上の電気化学
セルが装置に給電している場合、すなわちこれらが正入力端子と負入力端子の間
に電気的に接続されている場合には、それぞれの電気化学セルが装置のカットオ
フ電圧の一部分に「支配」される。例えば2つの電気化学セルが直列に接続され
、装置に給電している場合、それぞれのセルは装置のカットオフ電圧の1/2に
「支配」される。しかし3つの電気化学セルが直列に接続され、装置への給電に
使用される場合、それぞれの電気化学セルは装置のカットオフ電圧の1/3に「
支配」されるだけである。したがって「n」個のセルが直列に接続され、装置に
給電している場合には、それぞれのセルが、カットオフ電圧を整数nで割った値
として定義される装置のカットオフ電圧の一部に「支配」される。しかし2つの
以上の電気化学セルが並列に接続され、電子装置に給電する場合、それぞれのセ
ルは依然として装置のカットオフ電圧全体に「支配」される。さらにこの応用で
は、2つの以上の電気化学セルが直列に接続され、この直列接続が他の1つまた
は複数の電気化学セルと並列に接続されている場合、直列接続されたそれぞれの
セルが、直列に接続されたセルだけが装置に給電している場合と同じカットオフ
電圧の部分に「支配」される。
【0022】 本発明の一態様は、バッテリの「供給実行時間」を延長することにある。一次
バッテリについては「バッテリ供給実行時間」と「バッテリ実行時間」は相互に
交換可能であり、バッテリが給電している装置の最小動作電圧、すなわちその装
置のカットオフ電圧よりもバッテリの出力電圧が低下するまでの放電サイクルの
時間と定義される。「セル実行時間」は、電気化学セル自体、すなわちセルの電
気化学エネルギーの枯渇に依存するが、「バッテリ実行時間」はバッテリが使用
される装置に依存する。例えばカットオフ電圧が約1ボルトの電子装置は、たと
え電気化学セルにそのエネルギー蓄積容量の少なくとも50%が残っているとし
ても、バッテリの出力電圧が1ボルトよりも下がったときに動作を停止する。こ
の例では、その電子装置を駆動するのに十分な電圧をバッテリがもはや供給する
ことができないため「バッテリ実行時間」は過ぎており、このバッテリは一般に
廃棄される。しかしセルに電気化学エネルギーは残っているので「セル実行時間
」はまだ過ぎていない。
【0023】 しかし再充電可能バッテリは複数回の充電/放電サイクルを有する。再充電可
能バッテリでは、達成することができる充電/放電サイクル数として「サイクル
寿命」が定義される。再充電可能バッテリの「バッテリ実行時間」は、1回の放
電サイクルで、バッテリが給電している装置のカットオフ電圧よりも再充電可能
バッテリの出力電圧が低下するか、またはバッテリのサイクル寿命を延ばすため
に放電が停止されるまでの時間を指す。しかし再充電可能バッテリの「バッテリ
供給実行時間」は、それぞれの放電サイクルが最適な実行時間を有する充電/放
電サイクルの合計数を指す。再充電可能電気化学セルの「セル実行時間」は、負
荷条件下でセルが1回の放電サイクル中に最適放電深度を達成するまでに要する
時間である。先に論じたように、再充電可能バッテリの「サイクル寿命」は再充
電可能セルが経験する放電の深度の関数である。放電深度が増大するとバッテリ
実行時間も延びるが、サイクル寿命およびバッテリ供給実行時間は低下する。逆
に放電深度が低下するとバッテリ実行時間は短縮されるが、サイクル寿命および
バッテリ供給実行時間は増大する。しかし装置使用の観点からするとバッテリ実
行時間が短いのは不便である。したがって再充電可能バッテリの特定のそれぞれ
の電気化学性および設計に対して、バッテリ供給実行時間が大きくなるように放
電深度とサイクル寿命の比を最適化することができる。再充電可能バッテリのバ
ッテリ供給実行時間を最適化する1つの可能な方法は、特定の放電深度で得られ
たサイクル寿命(すなわちサイクル数)とそれらのそれぞれのサイクルで回収さ
れたエネルギー量との積として定義される送出累積エネルギーを比較することで
ある。
【0024】 本出願ではさらに、電気化学セルが一次セルであるか再充電可能セルであるか
にかかわらず用語「電気化学セルの有効寿命」または「セル有効寿命」が使用さ
れ、バッテリ実行時間に対応する。「セル有効寿命」は、特定の放電サイクルで
、電気化学セルが、セルが給電している装置を駆動するのに十分な電圧をもはや
供給することができなくなり、セルが有効でなくなるまでの時間である。単一セ
ル・バッテリでは「セル実行時間」が延びるか、または短縮すれば、「セル有効
寿命」および「バッテリ実行時間」も必然的に延び、または短縮される。さらに
、単一セル・バッテリの用語「バッテリ実行時間」と「セル有効寿命」は相互に
交換可能であり、単一のセル・バッテリの「バッテリ実行時間」または「セル有
効寿命」が延びるか、または短縮されば、もう一方も延び、または短縮される。
しかし対照的に、多セル・バッテリ中の特定の電気化学セルの用語「セル有効寿
命」は、その多セル・バッテリの用語「バッテリ実行時間」とは必ずしも交換可
能ではない。これは、多セル・バッテリのバッテリ実行時間が経過した後でも、
その特定の電気化学セルの有効寿命がまだ残っている可能性があるためである。
同様に、多セル・バッテリ中の特定の電気化学セルの「セル実行時間」が延びる
か、または短縮された場合でも、「バッテリ実行時間」がそのバッテリ内の他の
1つまたは複数のセルのセル電圧によって決まる可能性があるため、「バッテリ
実行時間」が延びたり、または短縮されるとは限らない。
【0025】 本出願で使用する再充電可能電気化学セルの「放電の最適深度」または「最適
放電深度」は、充電/放電サイクル数を最大にし、そのセルのそれぞれの放電サ
イクルでの実行時間を最適化するセル電圧のことを指す。再充電可能電気化学セ
ルを、そのセルの「最適放電深度」(例えばSLAセルで約1.6ボルト)より
も深くまで放電させた場合には、そのセルの供給実行時間が大幅に短縮される可
能性がある。例えばリチウム・イオン・セルを深く放電させると、セルがダメー
ジを受け、セルの将来の充電サイクル数および効率が低下する可能性がある。し
かし、ニッケル・カドミウム(NiCd)電気化学セルでは、「メモリ」効果に
よって将来の放電サイクルでのセルの実行時間が短縮し、これによってセルの寿
命が短くなることを防ぐために、より深くまで放電させるほうが好ましい。
【0026】 用語「電気的に接続される」、「電気接続」は、連続して電流を流すことがで
きる接続または結合を指す。用語「電子的に接続される」および「電子接続」は
、トランジスタ、ダイオードなどの電子装置が電流経路上に含まれる接続を指す
。本出願では「電子接続」を「電気接続」のサブセットと考える。すなわち「電
子接続」は全て「電気接続」であるが、全ての「電気接続」が「電子接続」であ
るわけではない。
【0027】 本発明のバッテリは、一次または再充電可能バッテリの放電サイクルでエネル
ギー回収を最適化し、かつ再充電可能バッテリの場合に放電サイクル数を最大に
することによってバッテリの供給実行時間を延ばす1つまたは複数のコントロー
ラを含む。例えば本発明の一実施形態では、コントローラが、(1)放電制御機
能、(2)充電制御機能、(3)非常時切断制御機能を実行する。1つまたは複
数の電気化学セルをパッケージングして、単一セル・バッテリまたは多セル・バ
ッテリとすることができる。多セル・バッテリは、2つ以上の同じ種類の電気化
学セルを含むこと、またはハイブリッド・バッテリにおいて2つ以上の異なる種
類の電気化学セルを含むことができる。本発明の多セル・バッテリは、直列およ
び/または並列に電気的に配置された電気化学セルを含むことができる。単一セ
ル・バッテリのコントローラは、セルの容器の内部の電気化学セルと直列および
/または並列に電気的に接続することができ、セルの容器を少なくとも部分的に
含むハウジングの内部にパッケージングするか、あるいは容器、ハウジング、ラ
ベル、または容器もしくはハウジングに貼付されたその他の構造に取り付けるこ
とができる。多セル・バッテリではコントローラを、単一セル・バッテリに関し
て説明したのと同様に1つまたは複数の個別セルとともにパッケージングするこ
と、および/または複数の電気化学セルの組合せとともにパッケージングし、コ
ントローラがこの電気化学セルの組合せと直列または並列に接続されるようにす
ることができる。
【0028】 本発明のバッテリのコントローラは先に挙げた1つまたは複数の機能を実行す
ることができ、先に挙げた機能に加えてその他の機能も実行することができる。
本発明のバッテリのコントローラは、所望の機能のうちの1つをそれぞれ実行す
る1つの回路を含むこと、または所望の機能のうちの1つまたは複数をそれぞれ
実行する個別のサブコントローラを含むことができる。さらに、サブコントロー
ラは、個々のサブコントローラに制御信号を供給することができる検知回路など
の回路を共用することができる。
【0029】 図1〜3に一般的な円筒形バッテリ10の構造を、議論の目的上簡略化して示
す。それぞれの円筒形バッテリ10の構造は、異なる構成で配置された同じ基本
構造部品を有する。それぞれのケースで構造は、ジャケットまたは側壁14を有
する容器12、正端子20を含む頂部キャップ16、および負端子22を含む底
部キャップ18を含む。容器12は、単一の電気化学セル30を包囲する。図1
に、亜鉛−炭素電気化学セル30から成る円筒形単一セル・バッテリ10に対し
て使用することができる構成を示す。この構成では頂部キャップ16全体が導電
性であり、バッテリ10の正端子20を形成する。絶縁座金またはシール24が
導電性頂部キャップ16を電気化学セル30から絶縁する。電極または集電器2
6は、バッテリ10の外部正端子20と電気化学セル30のカソード(正極)3
2とを電気的に接続する。底部キャップ18も全体が導電性であり、バッテリ1
0の外部負端子22を形成する。底部キャップは、電気化学セル30のアノード
(負極)34に電気的に接続される。アノード34とカソード32の間には隔離
板28が配置され、電解質を介したイオン伝導手段を提供する。例えば亜鉛−炭
素バッテリは一般に、このタイプの配置でパッケージングされる。
【0030】 図2に、底部キャップ18を電気化学セル30から絶縁する絶縁座金またはシ
ール25が示された代替バッテリ設計を示す。このケースでは、頂部キャップ1
6全体が導電性であり、バッテリの正端子20を形成する。頂部キャップ16は
、電気化学セル30のカソード32に電気的に接続される。やはり導電性の底部
キャップ18がバッテリの負端子22を形成する。底部キャップ18は、集電器
26を介してバッテリ・セル30のアノード34に電気的に接続される。アノー
ドとカソードの間には隔離板28が配置され、電解質を介したイオン伝導手段を
提供する。例えば、一次および再充電可能アルカリ(亜鉛/二酸化マンガン)バ
ッテリは一般に、このタイプの配置でパッケージングされる。
【0031】 図3に、電気化学セル30が「らせん巻きゼリー・ロール(spirally
wound jelly roll)」構造として形成された他の代替バッテ
リ設計を示す。この設計では4つの層が、互いに隣接して「積層型」構造に配置
される。この「積層型」構造は例えば、カソード層32、第1の隔離板層28、
アノード層34、第2の隔離板層28をこの順番に含む。代替として、カソード
層32とアノード層34の間に配置されていない第2の隔離板層28の代わりに
絶縁層を用いることができる。次いでこの「積層型」構造を巻いて、円筒形らせ
ん巻きゼリー・ロール構成とし、バッテリ10の容器12の中に配置する。頂部
キャップ16を電気化学セル30から絶縁する絶縁座金またはシール24が示さ
れている。このケースでは頂部キャップ16全体が導電性であり、バッテリ10
の正端子20を形成する。頂部キャップ16は、集電器26を介して電気化学セ
ル30のカソード層32に電気的に接続される。やはり導電性の底部キャップ1
8がバッテリの負端子22を形成する。底部キャップ18は、導電性底部プレー
ト19を介してバッテリ・セル30のアノード34に電気的に接続される。カソ
ード層32とアノード層34の間には隔離板28が配置され、電解液を介したイ
オン伝導手段を提供する。頂部キャップ16と底部キャップ18の両方に接続さ
れた側壁14が示されている。このケースでは側壁14が、ポリマーなどの非導
電性材料から形成されることが好ましい。しかし、側壁14が少なくとも正端子
20および/または負端子22から絶縁され、これによって2つの端子間に短絡
が生じない場合には、側壁を、金属などの導電材料から製作することもできる。
例えば、一次リチウム二酸化マンガン(MnO2)バッテリなどの一次および再
充電可能リチウム・バッテリ、ならびに再充電可能リチウム・イオンおよびニッ
ケル・カドミウム(NiCd)バッテリはしばしばこのタイプの配置でパッケー
ジングされる。
【0032】 これらのそれぞれのセルはさらに、当技術分野で周知のさまざまな形態の安全
ベント、動作に空気交換が必要な電気化学セル用の動作ベント、容量指示器、ラ
ベルなどを含むことができる。さらにこれらのセルを、ボタン形、コイン形、ま
たは角柱形のセル、フラット・プレート、バイポーラ・プレートセルなど、当技
術分野で周知のその他の構造に構築することができる。
【0033】 本発明の目的上、バッテリ「容器」12は単一の電気化学セル30を収容する
。容器12は、電気化学セル30の2つの電極32、34、隔離板および電解質
を、環境および多セル・バッテリ中のその他の電気化学セルから絶縁および保護
し、電気化学セル30から容器の外部に電気エネルギーを供給するのに必要な全
ての部品を含む。したがって図1および2の容器12は側壁14、頂部キャップ
16、底部キャップ18、ならびにセル30の電気接続を提供する正端子20お
よび負端子22を含む。多セル・バッテリでは容器を、単一の電気化学セル30
を含む個別構造とすることができ、この容器12を、多セル・バッテリ内の複数
の個別容器の1つとすることができる。多セル・バッテリのハウジングが、1つ
の電気化学セル30の電極および電解質を環境およびそのバッテリ中のその他の
それぞれのセルから完全に分離する場合には、代替として、容器12をハウジン
グの一部によって形成することもできる。容器12は、金属などの導電材料とプ
ラスチック、ポリマーなどの絶縁材料とを組み合せて製作することができる。
【0034】 しかしこの容器12は、電極および電解質をそれぞれ含む個々に分離された別
個のセル630を含む多セル・バッテリのハウジングと区別しなければならない
。例えば標準9ボルト・アルカリ・バッテリのハウジングは図6に示すように、
容器612をそれぞれ含む6つの個別のアルカリ・セル630を包囲する。しか
しいくつかの9ボルト・リチウム・バッテリでは、バッテリのハウジング611
が、電気化学セル30間で電極および電解質を分離する複数の個別チャンバを有
するように形成され、したがってハウジングが、それぞれのセルに対する個々の
容器12と多セル・バッテリ610全体に対するハウジング611の両方を兼ね
る。
【0035】 図5A、5Bおよび5Cに、円筒形単一セル一次バッテリ210、310およ
び410の本発明の3つの実施形態の部分分解図を示す。図5Aでは、バッテリ
210の頂部キャップ216と絶縁座金224の間にコントローラ240が配置
されている。コントローラ240の正出力242は、コントローラ240に直接
に隣接したバッテリ210の正端子220に電気的に接続され、コントローラ2
40の負出力244はバッテリ210の負端子222に電気的に接続される。こ
の例では、コントローラ240の負出力244が、導電性ストリップ245およ
びバッテリ210の導電性底部キャップ218の負端子222と電気的に接触し
た導電性側壁214を介してバッテリ210の負端子222に接続される。この
ケースでは導電性側壁が、頂部キャップ216から電気的に絶縁されていなけれ
ばならない。コントローラ240の正入力246は、集電器226を介して電気
化学セル230のカソード232に電気的に接続される。コントローラ240の
負入力248は、導電性ストリップ237を介して電気化学セル230のアノー
ド234に電気的に接続される。代替としてコントローラ240を、底部キャッ
プ218と絶縁体225の間に配置するか、あるいはバッテリの容器またはラベ
ルの外側に取り付けるか、貼り付けるか、または接合してもよい。
【0036】 図5Bではコントローラ340が、バッテリ310の底部キャップ318と絶
縁体325の間に配置されている。コントローラ340の負出力344は、コン
トローラ340と直に隣接したバッテリ310の負端子322に電気的に接続さ
れ、コントローラ340の正出力342はバッテリ310の正端子320に電気
的に接続される。この例では、コントローラ340の正出力342が、バッテリ
310の導電性頂部キャップ316の正端子320と電気的に接触した導電性側
壁314を介してバッテリ310の正端子320に接続される。コントローラ3
40の正入力346は、導電性ストリップ336を介して電気化学セル330の
カソード332に電気的に接続される。コントローラ340の負入力348は、
電気化学セル330の底部プレート319からアノード334の中に延びる集電
器326を介して電気化学セル330のアノード334に電気的に接続される。
このようなケースでは、コントローラ340が仮想接地を使用する場合に、集電
器326およびコントローラ340の負入力348が、容器312の負端子32
2およびコントローラ340の負出力344から絶縁されていなければならない
。代替としてコントローラ340を、頂部キャップ316と絶縁体324の間に
配置するか、あるいは容器312の外側またはバッテリのラベルに取り付けるか
、貼り付けるか、または接合してもよい。
【0037】 図5Cではコントローラ440が、厚膜印刷技術を使用したラッパ(wrap
per)または可撓性プリント回路板(「PCB」)441上に形成され、容器
の内側の側壁414とバッテリ410のカソード432の間に配置されている。
コントローラ440の正出力442は、バッテリ410の頂部キャップ416を
介してバッテリ410の正端子420に電気的に接続され、コントローラ440
の負出力444は、底部プレート419および底部キャップ418を介してバッ
テリ410の負端子422に電気的に接続される。コントローラ440の正入力
446は、この例ではコントローラ440を含むラッパ441に直に隣接した電
気化学セル430のカソード432に電気的に接続される。コントローラ440
の負入力448は、接点プレート431および接点プレート431から電気化学
セル430のアノード434の中に延びる集電器426を介して電気化学セル4
30のアノード434に電気的に接続される。絶縁座金427が、接点プレート
431をカソード432から分離する。集電器426がアノード434から接点
プレート431への接続を提供するため、図5Cに示すように絶縁座金がアノー
ド434と接点プレート431の間に延びていてもよい。コントローラ440が
仮想接地を使用する場合には、接点プレート431も、底部プレート419およ
び負端子422から絶縁座金425などによって絶縁されていなければならない
。代替としてラッパ441を、側壁414の外周に巻きつけて容器412の外側
に配置してもよい。このような実施形態ではラッパを覆ってラベルを付けるか、
またはコントローラ自体と同じラッパ上にラベルを印刷する。
【0038】 図6に、それぞれの電気化学セル630がセルの個別容器612の内部にコン
トローラ640を有する本発明の9ボルト多セル・バッテリ610の部分断面透
視図を示す。この実施形態ではバッテリ610が、公称電圧がそれぞれ約1.5
ボルトの6つの個別電気化学セル630を含む。バッテリ610が例えば、公称
電圧がそれぞれ約3ボルトの3つのリチウム・セルを含むこともある。当技術分
野ではその他の多セル・バッテリ構造も知られており、それらを使用して本発明
のコントローラ640を収容してもよい。多セル・バッテリには例えば、少なく
とも実質的に一体に収縮包装された個別容器および複数の単一セル容器を含むプ
ラスチック・ハウジングを有する、ビデオカメラや携帯電話のバッテリなどの角
柱形バッテリが含まれる。
【0039】 図4、4Aおよび4Bに、本発明のバッテリ110のさまざまな実施形態のブ
ロック図を示す。図4に、埋込み型内蔵コントローラ回路140を利用する本発
明のバッテリ110の一実施形態のブロック図を示す。この実施形態では、ディ
ジタルとアナログの両方の構成部品を有する混合モード集積回路を利用すること
が好ましい。代替としてこのコントローラ回路を、特定用途向け集積回路(「A
SIC」)、ハイブリッド・チップ設計、PCボードまたは当技術分野で周知の
その他の形態の回路製作技術を使用して製作することができる。コントローラ回
路140は、バッテリ容器112の内部の電気化学セル130の正極132、負
極134とバッテリの正端子120、負端子122との間に配置することができ
る。したがってコントローラ140は、電気化学セル130を容器112の端子
120、122に接続すること、または電気化学セル130を容器112の端子
120、122から切断すること、あるいはバッテリ端子120、122に適用
されるセル130の出力電圧または出力インピーダンスを変更すること、または
安定させることができる。図4Aに、図4に示した本発明のバッテリ110の好
ましい一実施形態を示す。図4Aではコントローラ140が、電気化学セル13
0の正極(カソード)132とバッテリ容器112の正端子120の間に接続さ
れている。電気化学セル130の負極(アノード)134およびバッテリ容器1
12の負端子122は、コントローラ140と接地を共用する。図4Bに、コン
トローラ140が仮想接地上で動作し、電気化学セル130の負極134を容器
112の負端子122から分離し、さらに電気化学セル130の正極132を容
器112の正の端子120から分離する本発明のバッテリ110の好ましい代替
実施形態を示す。
【0040】 図4Aおよび4Bに示した実施形態はそれぞれ利点および欠点を有する。例え
ば図4Aの構成では、ボルタ・セル130、コントローラ140およびバッテリ
容器112の負端子122用の共通接地を有するより単純な回路設計が可能であ
る。しかし図4Aの構成には、真の電気化学セル電圧レベル下で機能する変換器
が必要であるという欠点があり、別個の誘導部品の使用が必要となる可能性があ
る。図4Bの構成ではバッテリ容器112の負端子122に適用された仮想接地
が、電気化学セル130の負極134を負荷から分離し、ほとんど誘導部品のな
いDC/DC変換器またはチャージ・ポンプの使用を可能にする。しかしこの構
成には、セル電圧が電気化学セルの規定電圧レベルより低いときにコントローラ
140の電圧変換器がより効率的に動作するようにするため、仮想接地の回路を
より複雑にする必要があるという欠点がある。
【0041】 図4Cに、内蔵コントローラ回路140を有する本発明のバッテリ110の他
の実施形態を示す。コントローラ回路140は4つの主要構成部品、すなわち放
電サブコントローラ回路102、充電サブコントローラ回路104、非常時サブ
コントローラ回路106、および連続的または断続的に検知した動作パラメータ
および/または物理状態に基づいて放電サブコントローラ回路102および/ま
たは充電サブコントローラ回路104に電圧制御信号を供給する検知回路105
を含む。検知回路105は、セル電圧、セルから引き出された電流、セルの電圧
と電流の間の位相シフトなどの電気化学セル130の動作パラメータを測定する
ことができる。さらに検知回路105は、出力電圧レベル、出力電流レベル、充
電電圧レベル、充電電流レベルなどの内蔵コントローラ回路140の動作パラメ
ータを測定することもできる。さらに検知回路は、温度、圧力、水素および/ま
たは酸素濃度などの電気化学セルの物理的な状態も測定することができる。当技
術分野で周知のように、または後に説明するように、検知回路105はこれらの
パラメータまたは状態を、充電または放電サイクル中に電気化学セルを効果的に
モニタするのに足る任意の組合せで測定することができる。
【0042】 しかし本発明のバッテリ110の内蔵コントローラ回路140が先に挙げたそ
れぞれの機能を実行する必要はない。コントローラ回路140は例えば、先に挙
げた構成部品のうち、放電サブコントローラ回路102と検知回路105、充電
サブコントローラ回路104と検知回路105、非常時サブコントローラ回路1
06と検知回路105、またはこれらの任意の組合せなど、2つまたは3つの部
品だけを有するのでもよい。あるいは、コントローラ回路140の特定の実施形
態に含まれる放電サブコントローラ回路102、充電サブコントローラ回路10
4および/または非常時サブコントローラ回路106自体が、これらのそれぞれ
の機能を実行するの必要な内部検知回路を含む場合には、コントローラ回路14
0が検知回路105を持たなくてもよい。さらに、放電サブコントローラ回路1
02または充電サブコントローラ回路104、あるいはその両方が非常時サブコ
ントローラ106の機能をも実行してもよい。コントローラ回路140は、先に
挙げた1つまたは複数のサブコントローラまたは検知回路、ならびに先に挙げた
機能の他の機能を実行するその他のサブコントローラを有することができる。
【0043】 放電サブコントローラ回路102は、安全な深い放電を実施して一次バッテリ
の蓄積エネルギーをより多く使用することによって、または再充電可能バッテリ
の蓄積エネルギーを再充電前に最適に使用することによってバッテリの供給実行
時間を延ばすため、バッテリ110の電気化学セル130の放電を制御する。充
電サブコントローラ回路104は、コントローラ回路140が内蔵されたバッテ
リ110の電気化学セル130の充電を安全かつ効率的に制御する。非常時サブ
コントローラ106は、検知回路105が短絡、逆極性、過充電状態、過放電状
態などの危険な状態を検出したときに電気化学セルをバッテリ端子から切断する
【0044】 しかし本発明の一次バッテリの好ましい実施形態では、コントローラ140が
放電サブコントローラ回路102、非常時サブコントローラ106および検知回
路105を含むことが好ましい。検知回路105は、電気化学セル130の動作
パラメータおよび物理状態を連続的にモニタすることが好ましい。放電サブコン
トローラ回路102は、バッテリを廃棄する前の供給実行時間を延ばすためにバ
ッテリ110の一次電気化学セル130をより安全かつより深く放電させること
が好ましい。非常時サブコントローラ回路106は、検知回路が危険な状態を検
出したときに、電気化学セルをバッテリ端子120、122から切断することが
好ましい。
【0045】 本発明の再充電可能バッテリ110の好ましい一実施形態ではコントローラ回
路140がさらに、充電サブコントローラ回路104を含む。充電サブコントロ
ーラ回路104は、コントローラ回路140が内蔵されたバッテリ110の電気
化学セル130の充電を安全かつ効率的に制御する。検知回路105は、コント
ローラ回路140の動作パラメータおよび電気化学セル130の物理状態を連続
的かつ直接にモニタすることが好ましい。検知回路105は例えば、セル電圧、
充電電流、電気化学セルの内部インピーダンス、水素または酸素濃度、pH、温
度、圧力、あるいは当技術分野で周知のその他の動作パラメータまたは物理状態
をモニタすることができる。
【0046】 特に好ましい一実施形態では、それぞれの電気化学セルがその特定のセルの状
態をモニタする内蔵コントローラ回路140を有する。それぞれの特定のセルの
状態を直接にモニタすることによって充電サブコントローラ105は、複数の電
気化学セルを有するバッテリをモニタする周知の充電コントローラよりも大きな
安全および効率を提供することができる。充電サブコントローラ105は、セル
の瞬時充電値およびセルの最大容量を利用して充電状態を連続的に最適化するこ
とにより、損失を最小限に抑える。
【0047】 それぞれのコントローラは、(1)放電サブコントローラ102、(2)充電
サブコントローラ104および/または(3)非常時サブコントローラ106の
うち、1つまたは複数のサブコントローラを含むことができる。議論を分かりや
すくするためコントローラの諸機能を、サブコントローラに関して説明する。し
かし本発明のコントローラ140を実際に実現する際には、それぞれの機能に対
して独立した回路を実装する必要はない。コントローラが実行する複数の機能を
結合して単一の回路とすることができ、またそのほうが好ましいからである。例
えばそれぞれのサブコントローラが、コントローラの1つまたは複数の動作パラ
メータおよび/または電気化学セルの1つまたは複数の物理状態を測定する独自
の内部検知回路を備えてもよいし、あるいは独立した検知回路が、これらのパラ
メータおよび/または状態を測定し、これらのパラメータおよび/または状態な
らびに/あるいはこれらに関係した制御信号を1つまたは複数のサブコントロー
ラに供給してもよい。さらにコントローラは、本明細書で挙げた1つまたは複数
の機能に加えてその他の機能を実行する追加または代替のサブコントローラを備
えてもよい。
【0048】 放電サブコントローラ 放電サブコントローラ102は、本発明の一次または再充電可能バッテリの供
給実行時間を複数の方法の1つで延ばすことができる。第1に、少なくとも1つ
の一次電気化学セル、または充電する前に完全に放電させておくことが好ましい
(例えばNiCdセルは約100%まで放電させることが好ましい。ただしそれ
を超える放電は好ましくない)少なくとも1つの再充電可能セルを含む多セル・
バッテリの場合、放電サブコントローラは、バッテリの1つまたは複数の電気化
学セルを普通ならば可能な深度よりも深く電子装置が放電させることができるよ
うにする。例えば放電サブコントローラは、単一セル・バッテリが、装置のカッ
トオフ電圧よりもセル電圧が下がった点を越えて放電することができるようにす
る。一次バッテリの場合、バッテリを廃棄する前に電気化学セルを可能な限り深
く放電させることによって、バッテリの供給実行時間を延ばすことができる。し
かし再充電可能バッテリでは、電気化学セルを最適放電深度まで放電させること
によってバッテリ供給実行時間を延ばす。したがって、再充電可能電気化学セル
の最適放電深度が、この再充電可能バッテリが給電している装置のカットオフ電
圧よりも低い場合、再充電可能セルをその装置のカットオフ電圧を越えて放電さ
せることができれば、再充電可能バッテリの供給実行時間を延ばすことができる
【0049】 本出願において用語「深い放電」とは、電気化学セルを、その電気化学セルの
定格容量の少なくとも80%まで放電させることを指す。さらに、本出願で用語
「かなりの放電」は、電気化学セルをその電気化学セルの定格容量の少なくとも
70%まで放電させることを指す。「過放電」は本出願では、電圧反転につなが
る可能性がある100%を超える電気化学セルの放電を指す。例えば現在市販さ
れている一般的なアルカリ・バッテリは一般に、電気化学セルの電圧レベルが所
与の電子装置を駆動するには不十分な電圧レベルに落ちる前までにその蓄積エネ
ルギー容量の約40〜70%を送出することができる。したがって本発明のサブ
コントローラが、バッテリが給電を停止する前に約70%超の放電が可能なアル
カリ・セルを提供することが好ましい。放電サブコントローラが約80%を超え
る放電レベルを提供することがより好ましい。放電サブコントローラが約90%
を超える放電レベルを提供することがより好ましく、約95%を超える放電レベ
ルを提供することが最も好ましい。
【0050】 放電サブコントローラ102は、一次または再充電可能バッテリのセル電圧を
所望の出力電圧に変換する変換器を含むことができる。一次バッテリではこの変
換器によって、電気化学セルをより深く放電させることができるようになり、こ
れによってバッテリの供給実行時間が延びる。しかし再充電可能バッテリではこ
の変換器によって、コントローラが、所与の装置のカットオフ電圧から独立した
最適放電深度まで再充電可能バッテリを放電させることができるようになる。本
発明の一実施形態では放電サブコントローラが、バッテリの実行時間にわたって
セル電圧を所望の出力電圧に連続的に変換する。セル電圧が、バッテリ放電が普
通なら停止される装置のカットオフ電圧レベルまで低下すると、変換器は、バッ
テリの出力のところでこのセル電圧を装置を駆動し続けるのに十分なレベルまで
上昇させ、この操作を、セル電圧レベルが、放電サブコントローラを駆動するの
に最低限必要な電圧、または再充電可能電気化学セルでは最適放電深度を下回る
まで続ける。したがって、他のバッテリのサブコントローラよりも低い電圧レベ
ルで動作することができるサブコントローラ設計を有するバッテリは、セル電圧
レベルとは独立により深く放電することができるバッテリとなる。
【0051】 本発明の好ましい実施形態ではこの変換器が、セル電圧が所定の電圧レベル以
下に落ちたときにだけ動作する。このような実施形態では、変換器が必要なとき
にだけ動作するので変換器の内部損失が最小限に抑えられる。この所定の電圧レ
ベルが、電気化学セルの公称電圧から、そのバッテリが動作する対象である装置
クラスの最も高いカットオフ電圧までの範囲に含まれることが好ましい。この所
定の電圧レベルが、そのバッテリが動作する対象である装置クラスの最も高いカ
ットオフ電圧よりもわずかに大きいことがより好ましい。例えばこの所定の電圧
レベルを、そのバッテリが動作する対象である装置クラスの最も高いカットオフ
電圧付近からそのカットオフ電圧に約0.2ボルトを加えた電圧までの範囲に含
まれるものとすることができ、この所定の電圧レベルが、そのバッテリが動作す
る対象である装置クラスの最も高いカットオフ電圧付近からそのカットオフ電圧
に約0.15ボルトを加えた電圧までの範囲に含まれることが好ましく、そのバ
ッテリが動作する対象である装置クラスの最も高いカットオフ電圧付近からその
カットオフ電圧に約0.1ボルトを加えた電圧までの範囲に含まれることがより
好ましく、そのバッテリが動作する対象である装置クラスの最も高いカットオフ
電圧付近からそのカットオフ電圧に約0.05ボルトを加えた電圧までの範囲に
含まれることがより好ましい。例えば公称電圧が約1.5ボルトの電気化学セル
ではこの所定の電圧が一般に、約0.8ボルト〜約1.8ボルトの範囲に含まれ
る。この所定の電圧が約0.9ボルト〜約1.6ボルトの範囲に含まれることが
好ましい。この所定の電圧が約0.9ボルト〜約1.5ボルトの範囲に含まれる
ことがより好ましい。この所定の電圧が約0.9ボルト〜約1.2ボルトの範囲
に含まれることがより好ましく、約1.0ボルト〜約1.2ボルトの範囲に含ま
れることがより好ましい。そのバッテリが動作する対象である装置クラスの最も
高いカットオフ電圧に等しいか、またはこれよりもわずかに高い電圧レベルが最
も好ましい。しかし、公称電圧が約3.0ボルトの電気化学セルに対して動作す
るように設計されたサブコントローラではこの所定の電圧が一般に、約2.0ボ
ルト〜約3.4ボルトの範囲に含まれる。この所定の電圧が約2.2ボルト〜約
3.2ボルトの範囲に含まれることが好ましい。この所定の電圧が約2.4ボル
ト〜約3.2ボルトの範囲に含まれることがより好ましい。この所定の電圧が約
2.6ボルト〜約3.2ボルトの範囲に含まれることがより好ましく、約2.8
ボルト〜約3.0ボルトの範囲に含まれることがより好ましい。そのバッテリが
動作する対象である装置クラスの最も高いカットオフ電圧に等しいか、またはこ
れよりもわずかに高い電圧レベルが最も好ましい。
【0052】 セル電圧がこの所定の電圧レベル以下に落ちると、放電サブコントローラはこ
の変換器をオンにし、セル電圧を、負荷を駆動するのに十分な所望の出力電圧ま
で上昇させる。これによって、セル電圧が負荷を駆動するのに十分に高いもので
あるときには必要のない変換器の損失が排除され、セル電圧が負荷を駆動するの
に必要なレベルよりも低下した後も、一次セルの場合にはセル電圧が変換器の最
小動作電圧に達するまで、再充電可能セルの場合にはセルのセル電圧が最適放電
深度に達するまで電気化学セルが放電し続けることができるようになる。放電サ
ブコントローラは、セル電圧が所定の電圧レベルよりも下がったときに変換器を
オンにする単純な電圧比較器と電子スイッチの組合せから、後に説明するような
より複雑な制御方式に至るまでのいくつかの制御機構のうち、1つまたは複数の
機構を使用することができる。
【0053】 所与の出力電圧に対して設計された本発明のユニバーサル・バッテリは、装置
への給電に使用されたときに自体の供給実行時間を延ばすことができることが好
ましい。本出願で使用する「ユニバーサル」バッテリとは、セルの電気化学性と
は独立に均一な出力電圧を供給することができるバッテリである。したがって本
発明のユニバーサル・バッテリは、一次電気化学セルの電圧が、それよりも低い
とサブコントローラがもはや動作することができなくなるレベルにまで下がった
とき、または再充電可能電気化学セルの電圧がその最適放電深度まで下がったと
きに内蔵サブコントローラが動作を停止するまで、バッテリの出力電圧を所与の
装置のカットオフ電圧に等しいか、またはそれよりも高いレベルに維持すること
によってその供給実行時間を延ばすように設計されることが好ましい。特定の電
子装置または同程度のカットオフ電圧を有する狭いクラスの電子装置群に給電す
るように設計された本発明のバッテリは、所定の電圧レベルをこれらの装置のカ
ットオフ電圧により密接に整合させることによって、より効率的に動作するよう
に特に設計することができる。
【0054】 第2に、放電サブコントローラ102を使用し、セルの放電を最適化して充電
サイクルの回数または効率を増大させることによって、再充電可能電気化学セル
の供給実行時間を延ばすことができる。例えば密封鉛−酸セルでは、深い放電に
よってこのセルがダメージを受け、かつ/または将来の再充電サイクルの回数ま
たは効率が低減する可能性がある。例えば放電サブコントローラは、特定の種類
の再充電可能電気化学セルの放電を、セル電圧が、その特定の電気化学セルの最
適放電深度またはそのタイプの電気化学セルの最適放電深度である所定の電圧レ
ベルに達したときに放電サイクルが終わるように制御することができる。例えば
鉛−酸再充電可能電気化学セルではこの所定の電圧レベルが約0.7ボルト〜約
1.6ボルトの範囲に含まれることが好ましく、約0.7ボルトであることがよ
り好ましい。例えばリチウムMnO2再充電可能電気化学セルでは、この所定の
電圧レベルが約2.0ボルト〜約3.0ボルトの範囲に含まれることが好ましく
、約2.4ボルトであることが最も好ましい。あるいは放電サブコントローラが
、再充電可能電気化学セルの内部インピーダンスが、その特定の電気化学セルま
たはそのタイプの電気化学セルの最も高い最適放電深度に対応した所定のインピ
ーダンス・レベルに達したときに放電サイクルを終了させるものであってもよい
。したがって、最適放電深度よりも深く放電されないことが好ましい少なくとも
1つの再充電可能電気化学セルを含む本発明のバッテリでは、放電サブコントロ
ーラを使用し、セル電圧が所定の電圧レベルに達したとき、またはセルの内部イ
ンピーダンスが、所定の内部インピーダンス・レベルに達したとき、放電サイク
ルを終了させることによって、バッテリの供給実行時間を延ばすことができる。
【0055】 第3に放電サブコントローラは、所望の出力電圧よりも高い公称電圧を有する
電気化学セルのセル電圧を下げ、かつ/またはバッテリの電気化学セルの出力イ
ンピーダンスを変更することができる。これによって、バッテリの実行時間が延
びるだけでなく、異なる公称電圧を有する電気化学セル間の互換性を通常可能で
あるよりも高めること、より高い公称電圧を有する電気化学セルのより高い蓄電
電位を設計者が利用できるようにすること、および設計者が、ある種の電気化学
セルの出力インピーダンスを変更して、このインピーダンスを所望のレベルに一
致させ、これによってその電気化学セルと他の種類の電気化学セルとの間の互換
性を増大させ、かつ/または特定の種類の負荷を用いたときのその電気化学セル
の効率を増大させること、ができるようになる。さらに、水銀カドミウム・セル
などのように、一般に特定の公称電圧が必要だという理由だけで使用されている
、効率の悪い、または環境に有害な、または高価であるなどの電気化学セルを、
その応用に必要な公称電圧または出力インピーダンスを満足するために公称電圧
を上昇または降下させた、あるいは出力インピーダンスを変更したより安全な、
またはより効率的な、またはより安価な電気化学セルで置き換えることができる
【0056】 例えば、公称電流が約1.8ボルト以上の電気化学セルを、この高い公称電圧
を標準的な公称電圧レベルである約1.5ボルトまで下げるサブコントローラと
一緒にパッケージングし、これによってこのバッテリを、公称電圧が約1.5ボ
ルトのバッテリと互換可能に使用することができるようにすることが可能である
。具体的な1つの例として、一次リチウムMnO2セルなどの公称電圧が約3.
0ボルトの標準リチウム・セルを降圧サブコントローラとともにパッケージング
してバッテリとし、これによってこのバッテリの出力電圧を約1.5ボルトとす
ることができる。これによって、公称電圧が約1.5ボルトの電気化学セルを有
するバッテリの少なくとも2倍の容量を有し、ボリュームが同じバッテリが得ら
れる。さらに、セルの化学エネルギー蓄積を減少するリチウム・セルの化学現象
を化学的に引き下げる必要なしに標準アルカリまたは亜鉛−炭素単一セル・バッ
テリと真に互換可能なリチウム・セルが得られる。また、再充電可能リチウム・
イオン・セルの公称電圧は約4.0ボルトである。このセルを降圧コントローラ
と一緒にパッケージングしてバッテリとし、この単一セル・バッテリの出力電圧
を約1.4ボルトにすることができる。この本発明のリチウム・イオン・バッテ
リは、標準NiCd再充電可能単一セル・バッテリと互換可能であり、同じボリ
ュームを有するNiCd単一セル・バッテリの約2倍〜3倍の容量を提供するこ
とができる。
【0057】 さらに、リチウム・イオン、マグネシウム、マグネシウム空気、アルミニウム
空気などの電気化学セルを有するバッテリの公称電圧は約1.8ボルト超であり
、これらのバッテリを、公称電圧が約1.5ボルトの標準バッテリと互換可能に
使用することができる。異なる種類の電気化学セルを互換可能に使用することが
できるだけでなく、異なる種類の電気化学セルを一緒にパッケージングしてハイ
ブリッド・バッテリとすることもできる。したがって、さまざまな公称電圧また
は内部インピーダンスを有する異なる電気化学セルを含む異なる種類のバッテリ
を互換可能に使用すること、あるいは異なる種類の電気化学セルを有するハイブ
リッド・バッテリを製造することができる。
【0058】 あるいは、一般的な電子装置が動作する電圧よりも低い公称電圧を有する電気
化学セルを内蔵昇圧変換器を有する放電サブコントローラ102とともに使用し
て公称電圧を押し上げることができる。これによって、この種の電気化学セルを
有するバッテリを、このサブコントローラを使用しない場合にこのセルが供給す
る電圧よりも高い電圧レベルを必要とする装置とともに使用することができるよ
うになる。さらにこの種のセルを有するバッテリを、標準アルカリまたは亜鉛−
炭素電気化学セルと互換可能に使用することもできる。これによって、公称電圧
が低すぎて実用的でなかったために普通なら消費者の使用に向けるとは考えられ
なかった電気化学セルを有するバッテリを、商業的に実現可能で使用に耐えるバ
ッテリとすることができる。
【0059】 表1に、本発明のバッテリ中で使用することができる例示的な一次、二次およ
び保存型電気化学セルを挙げる。ただしこれらに限定されるわけではない。例え
ば、異なる公称電圧または内部インピーダンスを有する異なる種類の一次および
/または再充電可能電気化学セルを変換器とともに使用して、標準1.5ボルト
・アルカリ一次または再充電可能バッテリあるいは標準1.4ボルトNiCd再
充電可能バッテリと同じ出力電圧を有するユニバーサル単一セル・バッテリを作
り出すことができる。さらに、一次、二次および/または保存型セルを、本発明
のハイブリッド多セル・バッテリ中で一緒に使用することができる。事実、本発
明は、さまざまな種類の電気化学セル間の互換性、および電気化学セルと燃料セ
ル、コンデンサなどの代替電源装置との間の互換性をこれまでになく高める。互
換可能バッテリを製作する際により多様なセルを使用できるようにするため、そ
れぞれの電気化学セルの中にコントローラを配置することによって、異なる種類
の電気化学セルの公称電圧、出力インピーダンスなどの電気特性を調整すること
ができる。その他の種類のセルを含むバッテリとの互換性を維持しつつ電気化学
セルの特定の利点を利用できるよう、バッテリを特別に設計することができる。
さらに本発明を使用し、電気化学セルの公称電圧を標準電圧レベルに変換するこ
とによって新たな標準電圧レベルを生み出すことができる。
【0060】
【表1】
【0061】 さらに、普通なら互換性のない電気化学セルを、特定の種類の応用のために特
別に設計されたハイブリッド・バッテリ中で一緒に使用することができる。例え
ば亜鉛−空気電気化学セルを、ハイブリッド・バッテリ中でリチウム・セルと並
列または直列に接続して一緒に使用することができる。亜鉛−空気セルは公称電
圧が約1.5ボルトであり、非常に高いエネルギー密度を持つが、低く安定した
電流レベルしか供給することができない。しかしリチウム・セルは、公称電圧が
約3.0ボルトであり、高い電流レベルの短バーストを供給することができる。
それぞれの電気化学セルの放電サブコントローラは同じ公称出力電圧を提供し、
並列または直列電気構成に配置することを可能にする。セルが並列構成であると
き、この放電サブコントローラはさらに、セルが相互に充電し合うことを防ぐ。
それぞれのセルの放電サブコントローラを使用して、負荷の必要に応じてどちら
か一方のセルまたは両方のセルを接続または切断することができる。したがって
負荷が低電力モードにあるときには、安定した小電流を供給するため亜鉛‐空気
セルを接続することができ、負荷が高電力モードにあるときにはリチウム・セル
単独で、またはリチウム・セルと亜鉛‐空気セルを組み合わせて、負荷に給電す
るのに必要な電流を供給することができる。
【0062】 ハイブリッド・バッテリはさらに、一次セルと二次セル、一次セルと保存型セ
ル、二次セルと保存型セル、一次セルと二次セルと保存型セルなどの多くの異な
る組合せの電気化学セルを含むことができる。さらにハイブリッド・バッテリは
、1つまたは複数の電気化学セルと、燃料、従来のコンデンサ、さらにはスーパ
ー/ウルトラ・コンデンサなどの1つまたは複数の追加電源装置との組合せを含
むことができる。例えばハイブリッド・バッテリは、アルカリ・セルと金属−空
気セル、金属−空気セルと二次セル、金属−空気セルとスーパー・コンデンサの
組合せなどを含むことができる。ハイブリッド・バッテリはさらに、前述のセル
また電源装置のうちの2つ以上のセルまた電源装置の任意の組合せを含むことが
できる。
【0063】 さらに、放電サブコントローラは、電気化学セル構成部品の動作を阻害しセル
電圧を低下させる電流ピークから電気化学セルを保護することによってもバッテ
リの供給実行時間を延ばすことができる。例えば放電サブコントローラは、高い
電流需要によってセルにメモリ効果が発現し、電気化学セルの実行時間が短縮す
ることを防ぐことができる。電流ピークは、アルカリ、リチウム、NiCd、S
LA、金属水素化物、亜鉛−空気セルなどの電気化学セルにとっても有害である
【0064】 放電サブコントローラは、急な需要があったときに利用できるように自体の出
力のところに電荷を一時的に蓄えることによって電気化学セルを電流ピークから
保護することができる。したがって電流ピーク需要は、電気化学セルに達する前
に完全に排除されるか、またはかなり低減される。これによって、電気化学セル
が直接に供給できるよりも高い電流ピークをバッテリが供給できるようになり、
セル構成部品に害を与える可能性がある電流ピークから電気化学セルが保護され
る。この一時蓄電部品がコンデンサであることが好ましい。このコンデンサは、
従来のコンデンサ、厚膜プリント・コンデンサ、「スーパー/ウルトラ・コンデ
ンサ」などの当技術分野で周知の任意の種類のコンデンサでよい。例として図1
3に、容器1312の出力端子1320と1322をまたいで接続されたコンデ
ンサCfを示す。
【0065】 単一の放電サブコントローラは、セルを電流ピークから保護しセル電圧を所望
の出力電圧に変換することによって、バッテリの供給実行時間を延ばすことが好
ましい。例えば放電サブコントローラの好ましい一実施形態は、変換器に関連し
た損失を最小限に抑えるためセル電圧が所定の電圧まで下がったときに変換器を
オンにする。この同じサブコントローラは、セル電圧および出力負荷電流をモニ
タし、セル電圧が所定の電圧レベルに達するか、または負荷電流が所定の電流レ
ベルに達した場合に変換器をオンにすることができる。あるいは放電サブコント
ローラが、セル電圧および出力負荷電流をモニタし、必要な負荷電流の供給によ
ってセル電圧がカットオフ電圧レベルよりも下がるかどうかを判定してもよい。
後の例ではサブコントローラが、変換器をオンにすべきかどうかを判定するアル
ゴリズム中で結合された2つの入力信号を受けて動作している。しかし前の例で
は、セル電圧が所定の電圧レベルまで低下するか、または出力負荷電流が所定の
電流レベルまで上昇した場合にサブコントローラが変換器をオンにする。これら
については、その他の可能な制御方式とともに後にさらに詳細に論じる。
【0066】 本発明は、特殊バッテリならびにAAAA、AAA、AA、CおよびD型セル
、9ボルト・バッテリなどの消費者向け標準バッテリに関する。本発明は、さま
ざまな応用で使用することができる特殊一次バッテリおよびハイブリッド・バッ
テリの使用を企図する。十分な期間にわたって必要な電流速度を提供する一次バ
ッテリの能力によって現在のところ限られているこれらの特殊バッテリおよびハ
イブリッド・バッテリを、携帯電話、ラップトップ・コンピュータなどで使用さ
れる再充電可能バッテリの代わりに使用することができることが予想される。さ
らに、セルの出力電圧と出力インピーダンスを個別に制御することができること
によって、バッテリ設計者が、異なる種類のセルを組み合わせて、または燃料、
従来のコンデンサ、さらには「スーパー/コンデンサ」などの代替電源装置を同
じハイブリッド・バッテリ中で使用する全く新しい種類のハイブリッド・バッテ
リを設計することができるようになる。
【0067】 さらに、互換可能な電気化学セルの種類が増えることによって、バッテリ設計
者が携帯電話、ラップトップ・コンピュータ、ビデオカメラ、カメラなどの特定
の装置用にカスタム設計されたバッテリへの依存を減らす標準一次または再充電
可能バッテリを提供することができるようになる。消費者は、特定の種類、ブラ
ンドおよび/またはモデルの電子装置用に特に製造されたバッテリを購入する代
わりに、標準バッテリを、現在、フラッシュライトやテープ・レコーダ用に購入
しているのと同じように購入するだけで移動電話に給電することができる。さら
に、製造される標準バッテリの数が増加するにつれてバッテリ1つあたりのコス
トは急速に下がり、その結果バッテリの価格ははるかに手頃なものとなって、最
終的には特別に設計された再充電可能バッテリにとって代わることとなろう。さ
らに、一次バッテリと再充電可能バッテリを互換可能に使用することができる。
例えば、ラップトップ・コンピュータの再充電可能バッテリが切れた場合、ユー
ザは、再充電可能バッテリが充電されるまでの数時間はもつ一次バッテリを購入
すればよい。高価なバッテリを備えた装置を用いることにより提供されるある種
の高性能レベルを必要としない場合、ユーザは、それよりも安価なバッテリを購
入することができる。
【0068】 写真フィルムなどで使用されている電子ラベリング技術を使用して、バッテリ
中のセルの正確な種類、セルの定格および/または残存容量、ピークおよび最適
電流送出能力、現在の充電レベル、内部インピーダンスなどを明示することがで
き、これによって「スマート」装置がこの電子ラベリングを読み、その消費を最
適化して、装置の性能を強化したり、バッテリの供給実行時間を延ばしたりする
ことが可能になる。例えば、既に電子ラベリングを利用してフィルム速度を決定
しているカメラでも、特定のバッテリの供給実行時間を最適化するため、電子ラ
ベリング技術をバッテリに利用してフラッシュの充電時間を遅くしたり、フラッ
シュの使用を止めたりすることができる。ラップトップ・コンピュータでも電子
ラベリング技術を利用し、例えば、ユーザが望む期間、バッテリの残りの電荷を
最もよく使用するためにその動作速度を変更することによって、またはバッテリ
のエネルギーを節約するために電源オン/電源オフ技術を利用することによって
、特定のバッテリの最も効率的な動作パラメータを決定することができる。さら
にビデオ・カメラ、携帯電話などでも電子ラベリングを利用して、バッテリの使
用を最適化することができる。
【0069】 本発明はさらに、AAA、AA、CおよびD型セル、9ボルト・バッテリなど
の消費者向け標準バッテリに関する。一次バッテリを、異なる種類の一次または
再充電可能バッテリと互換可能に使用できるのに加え、標準一次または再充電可
能バッテリを、現在のところカスタム設計されたバッテリだけしか使用できない
応用に対して使用可能にすることができる。例えば消費者は自分の必要に応じて
、1つまたは複数の一次または再充電可能標準バッテリを購入し、それを、ラッ
プトップ・コンピュータ、ビデオ・カメラ、携帯電話およびその他の携帯電子機
器に直接に装填することができる。先に述べたとおり、製造される標準バッテリ
の数が増加するにつれてバッテリ1つあたりのコストは急速に下がり、その結果
バッテリの価格ははるかに手頃なものとなって、最終的には特別に設計された再
充電可能バッテリにとって代わることとなろう。
【0070】 最適放電深度が比較的に低い一次バッテリまたは再充電可能バッテリの供給実
行時間を延ばすため、回路製造技術が進歩するにつれいっそう低い電圧で動作す
る放電サブコントローラを設計することができる。放電サブコントローラを例え
ば、シリコンカーバイド(「SiC」)実施形態では約0.1ボルト、ガリウム
・ヒ素(「GaAs」)実施形態では約0.34ボルト、従来のシリコン・ベー
スの実施形態では約0.54ボルトという低い電圧レベルで動作するように設計
することができる。さらに、印刷サイズが縮小するにつれてこれらの最小動作電
圧も低下する。例えばシリコンでは、回路印刷が0.18ミクロン技術にまで縮
小すると、最小動作電圧は約0.54ボルトから約0.4ボルトに下がると考え
られる。先に説明したとおり、放電サブコントローラの最小必要動作電圧が低い
ほど、放電サブコントローラはセル電圧を低く調整することができ、これによっ
て一次電気化学セルでは最も深い放電を得ること、または再充電可能電気化学セ
ルではセルを低い最適放電深度まで最適に放電させることができる。したがって
、回路製作におけるさまざまな進歩を利用してバッテリの利用率を電気化学セル
の蓄積電荷のほぼ100%にまで高めることも本発明は包含する。しかし本発明
のシリコン・ベースの実施形態では、バッテリの蓄電電位の最大95%を使用す
ることができ、これは、コントローラのない一次電気化学セルの平均40%〜7
0%の利用率と比べると非常に高い。
【0071】 例えばシリコン・ベースの好ましい一実施形態では、放電サブコントローラ1
02が約1ボルト、より好ましくは約0.85ボルト、より好ましくは約0.8
ボルト、より好ましくは約0.75ボルト、より好ましくは約0.7ボルト、よ
り好ましくは約0.65ボルト、より好ましくは約0.6ボルト、最も好ましく
は約0.54ボルトと低い電圧で動作するように設計される。公称電圧が約1.
5ボルトの電気化学セル用のサブコントローラの設計では、サブコントローラが
、少なくとも約1.6ボルトの入力電圧で動作することができることが好ましい
。この放電サブコントローラが、少なくとも約1.8ボルトの入力電圧で動作す
ることができることがより好ましい。したがって好ましいサブコントローラは、
最低約0.8ボルトから少なくとも1.6ボルトの電圧範囲で動作することがで
きなければならない。ただしこのサブコントローラがこの範囲の外側で動作して
もよく、またそのほうが好ましい。
【0072】 しかし、公称電圧が約3.0ボルトの一次リチウムMnO2セルなどの電気化
学セル30とともに使用するように設計された本発明の放電サブコントローラ1
02の好ましい実施形態では、このサブコントローラが、公称電圧が約1.5ボ
ルトの電気化学セルとともに使用される放電サブコントローラに対して必要な電
圧レベルよりも高い電圧レベルで動作することができなければならない。公称電
圧が約3.0ボルトの電気化学セルの場合、放電サブコントローラは約2.4ボ
ルト〜約3.2ボルトの範囲で動作可能であることが好ましい。このサブコント
ローラが、約0.8ボルトから少なくとも約3.2ボルトの電圧範囲で動作可能
であることがより好ましい。このサブコントローラが、約0.6ボルトから少な
くとも約3.4ボルトの入力電圧範囲で動作可能であることがより好ましい。こ
のサブコントローラが、約0.54ボルトから少なくとも約3.6ボルトの入力
電圧範囲で動作可能であることがより好ましく、約0.45ボルトから少なくと
も約3.8ボルトの電圧範囲で動作することが最も好ましい。ただしこのサブコ
ントローラがこの範囲の外側で動作してもよく、またそのほうが好ましい。
【0073】 しかし、公称電圧が約4.0ボルトの再充電可能リチウム・イオン・セルなど
の電気化学セル30とともに使用するように設計された本発明の放電サブコント
ローラ102の好ましい実施形態では、このサブコントローラが、公称電圧が約
3.0または約1.5ボルトの電気化学セルとともに使用される放電サブコント
ローラに対して必要な電圧レベルよりもいっそう高い電圧レベルで動作すること
ができなければならない。公称電圧が約4.0ボルトの電気化学セルの場合、放
電サブコントローラは約2.0ボルト〜約4.0ボルトの範囲で動作することが
できることが好ましい。このサブコントローラが、約0.8ボルトから少なくと
も約4.0ボルトの電圧範囲で動作可能であることがより好ましい。このサブコ
ントローラが、約0.6ボルトから少なくとも約4.0ボルトの電圧範囲で動作
可能であることがより好ましい。このサブコントローラが、約0.54ボルトか
ら少なくとも約4.0ボルトの入力電圧範囲で動作可能であることがより好まし
く、約0.45ボルトから少なくとも約4.0ボルトの電圧範囲で動作可能であ
ることが最も好ましい。ただしこのサブコントローラがこの範囲の外側で動作し
てもよく、またそのほうが好ましい。
【0074】 好ましい代替実施形態は、公称電圧が約1.5ボルトの電気化学セルとでも、
または公称電圧が約3.0ボルトの電気化学セルとでも動作することができる。
この実施形態では放電サブコントローラが約0.8ボルト、好ましくは約0.7
ボルト、より好ましくは0.6ボルト、最も好ましくは0.54ボルトの最小入
力電圧、および少なくとも約3.2ボルト、好ましくは約3.4ボルト、より好
ましくは3.6ボルト、最も好ましくは3.8ボルトの最大入力電圧で動作する
ことができる。例えばこの放電サブコントローラは、約0.54ボルト〜約3.
4ボルト、約0.54ボルト〜約3.8ボルト、約0.7ボルト〜約3.8ボル
トなどの入力電圧範囲で動作することができる。
【0075】 本発明のバッテリはさらに、カットオフ電圧を持たないフラッシュライトなど
の電気装置とともに使用したときに一般的なバッテリに優る明白な利点を有する
。一般的なバッテリではバッテリを放電させるとバッテリの出力電圧は低下する
。電気装置の出力パワーはバッテリが供給する電圧に正比例するため、電気装置
の出力はバッテリの出力電圧の低下に比例して低下する。例えば、バッテリの出
力電圧が低下するにつれてフラッシュライトの電球の輝度はバッテリが完全に放
電されるまで暗くなり続ける。しかし本発明のバッテリは、電気化学セル30の
電圧がそれよりも低ければサブコントローラが動作することができるレベルに下
がるまでバッテリの放電サイクル全体を通してセル電圧を比較的に一定な制御さ
れた電圧レベルに調整する放電サブコントローラを有する。その時点でバッテリ
は給電を停止し、電気装置は動作を停止する。しかし放電サイクル中、電気装置
は、バッテリが給電を停止するまで、比較的に安定した出力(例えば電球の輝度
)を提供し続ける。
【0076】 本発明のバッテリの好ましい一実施形態はさらに、ユーザへの低残存電荷警告
を含む。例えば放電サブコントローラは、電気化学セルの電圧が所定の値に達し
たときに電気化学セルをバッテリの出力端子から短時間、断続的に切断し再接続
することができる。これによって、バッテリが供給を停止しようとしていること
を示す可視、可聴、または装置可読指示を提供することができる。さらにこのサ
ブコントローラは、バッテリ寿命の終わりにバッテリの出力電圧を低下させるこ
とによって、加速されたバッテリ放電状態を故意に再現することもできる。例え
ばこのサブコントローラは、バッテリの蓄電容量がその定格容量の約5%となっ
たときに出力電圧を徐々に低下させることができる。これによって、テープまた
はコンパクト・ディスク・プレーヤのボリュームが低下するなどの指示をユーザ
に与えること、または指示を装置に与え、これに応じて装置がユーザに警告する
ことができるようにすることができる。
【0077】 図7に、放電サブコントローラ702のDC/DC変換器750が、電気化学
セル730の正極732、負極734と容器712の正端子720、負端子72
2との間に電気的に、好ましくは電子的に接続された本発明の一実施形態のブロ
ック図を示す。DC/DC変換器750は、電気化学セル730の正極732と
負極734の間の電圧を容器712の正端子720と負端子722の出力電圧に
変換する。DC/DC変換器750は、昇圧変換、降圧変換、または昇圧変換と
降圧変換の両方、または出力端子720、722での電圧安定化を提供すること
ができる。この実施形態では、バッテリの実行時間を通して電気化学セル730
の出力電圧を、容器の端子720、722での安定な出力電圧に変換するDC/
DC変換器750が連続モードで動作する。この実施形態は、容器712の出力
端子720、722での出力電圧を安定化する。安定な出力電圧が提供されるこ
とによって、電子装置の設計者は、電子装置の電力管理回路の複雑さを低下させ
ること、およびこれに対応して装置のサイズ、重量および費用を低下させること
ができる。
【0078】 DC/DC変換器750は、再充電可能電気化学セルの場合には電気化学セル
730のセル電圧が電気化学セルの最適放電深度よりも下がるまで、一次電気化
学セルの場合には電気化学セル730のセル電圧が変換器750の電子構成部品
の最小順バイアス電圧Vfbよりも下がるまで動作し続ける。電気化学セルの最
適放電深度またはDC/DC変換器750の最小スイッチング電圧Vfbが、バ
ッテリ710が給電中の電子装置のカットオフ電圧よりも低い範囲で、コントロ
ーラ740は、容器712の端子720、722での出力電圧を電子装置のカッ
トオフ電圧よりも高く維持することによって電子装置のカットオフ電圧を越えて
バッテリ710を放電させることで、バッテリ710の供給実行時間を延ばす。
【0079】 図7に示す本発明の好ましい一実施形態では連続モードで動作するDC/DC
変換器750が、電気化学セル730のセル電圧を容器712の出力電圧に下げ
る降圧変換器である。降圧変換器を含む放電サブコントローラ702の一実施形
態では、この変換器が、第1の種類の電気化学セル730の電圧を、ほぼ第2の
種類の電気化学セルの公称電圧レベルである容器712の出力電圧に下げ、その
ため第1の種類の電気化学セル730を含むバッテリが、第2の種類の電気化学
セルを含むバッテリと互換可能となる。例えば、標準1.5ボルト・セルよりも
高い公称電圧を有する電気化学セルを連続動作する降圧変換器と組み合わて使用
して、化学的に変更することなしに標準セルと互換可能のセルを提供することが
できる。この実施形態は、電気化学セル自体の構造を化学的に変更することなく
、かつセルの化学的エネルギー貯蔵を減らすことなく、異なる種類の電気化学セ
ル間の互換性を普通なら可能である程度よりも高めることを可能にする。
【0080】 例えば一次または再充電可能リチウム・セルを標準AAバッテリ・パッケージ
で使用して、同じボリュームのアルカリ・バッテリの少なくとも2倍の容量を提
供することができる。一次または再充電可能リチウムMnO2などのリチウム・
セルは公称電圧が約3.0ボルトであり、公称電圧が約1.5ボルトの標準AA
アルカリ・バッテリと互換可能に使用することは普通ならできない。公称電圧が
約4.0ボルトのリチウム・イオン・セルも通常、公称電圧が約1.4ボルトの
標準NiCdバッテリと互換可能に使用することはできない。しかし、例えば標
準AAアルカリ・バッテリと互換可能に使用することができるリチウム・バッテ
リを得る目的で、リチウム電気化学セルの化学的性質を変更して公称電圧が約1
.5ボルトのリチウム・バッテリが作られた。この1.5ボルト・リチウム・バ
ッテリは、写真機のフラッシュ負荷回路に高い電流レベルを送達する能力を依然
として有するものの、総化学エネルギー蓄積量は、同じボリュームのアルカリ・
セルに比べそれほど増大しない。しかし本発明は、公称電圧が約3.0または約
4.0ボルトの一次または再充電可能標準リチウム電気化学セル、およびこの公
称電圧を約1.5ボルトまたは約1.4ボルトに下げるコントローラの使用を可
能にする。したがってこのバッテリは、化学的に変更された1.5ボルト・リチ
ウム・セル、1.5ボルト・アルカリ・セルまたは1.4ボルトNiCdバッテ
リを含むバッテリの概ね2倍の化学エネルギー蓄積量を有し、1.5ボルトまた
は1.4ボルト・バッテリと完全に互換可能なバッテリとなる。さらに本発明の
リチウム・バッテリは、化学的に変更された1.5ボルト・リチウム・セルを含
むバッテリと同じ高電流レベルを提供する。
【0081】 さらに、放電サブコントローラ702は、バッテリ710を使用するフラッシ
ュライトなどの電気装置の性能を最適化する。電気装置は、最小動作電圧での電
子装置のようには動作停止しないが、フラッシュライト電球の輝度などの電気装
置の性能は入力電圧が下がるにつれて低下する。したがってバッテリ710の出
力電圧を安定に保つことによってバッテリの実行時間を通して装置の性能を一定
に保つことができ、電気化学セル730の電圧が下がっても電気装置の性能は低
下しない。
【0082】 DC/DC変換器750は、パルス変調(パルス幅変調(「PWM」)、パル
ス振幅変調(「PAM」)、パルス周波数変調(「PFM」)、パルス位相変調
(「PψM」)など)、共振変換器などの多数の周知の制御方式のうちの1つの
または複数の方式を利用して、変換器750の動作パラメータを制御することが
できる。本発明の変換器750の好ましい一実施形態はパルス幅変調を利用する
。いっそう好ましい実施形態は、後に詳細に説明するパルス幅変調とパルス位相
変調の組合せを利用する。
【0083】 本発明のバッテリ内で使用するDC/DC変換器750の好ましい一実施形態
では、変換器が、DC/DC変換器750を駆動するパルス幅変調器によって制
御される。パルス幅変調器は、デューティ・サイクルが変動する固定周波数制御
信号を生成する。デューティ・サイクルは例えば、DC/DC変換器がオフのと
きにゼロ、変換器が全能力で動作しているときに100%であり、負荷の要求お
よび/または電気化学セル730の残存容量に応じてゼロと100%の間を変化
する。パルス幅変調方式は、デューティ・サイクルを生成する目的に使用される
少なくとも1つの入力信号を有する。一実施形態では、容器712の端子720
、722のところでの出力電圧が連続的にサンプリングされ、基準電圧と比較さ
れる。DC/DC変換器のデューティ・サイクルを変更する目的に誤り訂正信号
が使用される。この例では、容器712の端子720、722の出力電圧からの
負帰還ループが、DC/DC変換器750が安定した出力電圧を供給することを
可能にする。代替としてDC/DC変換器750は、セル電圧、すなわち電気化
学セル730の正極732と負極734の間の電圧、デューティ・サイクルを生
成する出力電流など、複数の入力信号を利用することができる。この実施形態で
はセル電圧および出力電流がモニタされ、DC/DC変換器750がこれらの2
つのパラメータに応じたデューティ・サイクルを生成する。
【0084】 図8〜11に、本発明の放電サブコントローラ回路の追加の実施形態のブロッ
ク図を示す。これらの実施形態では、放電サブコントローラ回路が少なくとも2
つの主要構成部品、すなわち(1)DC/DC変換器および(2)変換器コント
ローラを含む。変換器コントローラは、セル電圧を負荷を駆動するのに必要な電
圧に変換するためにDC/DC変換器が必要であるときにだけDC/DC変換器
の内部損失が生じるように、電気化学セルの電極と容器の出力端子の間でDC/
DC変換器を電気的に、好ましくは電子的に接続/切断する。例えば、これより
低いと負荷が動作することができなくなる所定のレベルにまでセル電圧が下がっ
たときにのみDC/DC変換器はオンになる。あるいは、電子装置が、例えばバ
ッテリの公称電圧の10%など、特定の範囲の入力電圧を必要とする場合に、変
換器コントローラは、セル電圧がこの所望の範囲外にあるときにDC/DC変換
器をオンにし、セル電圧がこの所望の範囲にあるときに変換器をオフにする。
【0085】 例えば図8では、DC/DC変換器850が、電気化学セル830の正極83
2、負極834と容器812の正端子820、負端子822の間に電気的に接続
されている。変換器コントローラ852も、電気化学セル830の正極832、
負極834と容器812の正端子820、負端子822の間に電気的に接続され
ている。この例では変換器コントローラ852が、電気化学セル830を容器8
12の出力端子820、822に直接に接続したり、または電気化学セル830
と容器812の出力端子820、822の間にDC/DC変換器850を接続し
たりするスイッチの役割を果たす。変換器コントローラ852は出力電圧を連続
的にサンプリングし、これを、内部的に生成した1つまたは複数のしきい電圧と
比較する。例えば容器812の出力電圧がこのしきい電圧レベルよりも下がった
場合、または所望のしきい電圧範囲の外側にある場合に、変換器コントローラ8
52は、電気化学セル830と容器812の出力端子820、822の間にDC
/DC変換器850を電気的に、好ましくは電子的に接続することによってDC
/DC変換器850を「オン」にする。このしきい電圧が、電気化学セル830
の公称電圧付近からこのバッテリが動作するように設計された対象である電子装
置クラスの最も高いカットオフ電圧の付近までの範囲にあることが好ましい。代
替として変換器コントローラ852が、電気化学セル830のセル電圧を連続的
にサンプリングし、このセル電圧をしきい電圧と比較して、DC/DC変換器8
50の動作を制御するのでもよい。
【0086】 再充電可能バッテリの場合には、セル電圧が電気化学セル830の最適放電深
度にほぼ達したときに、変換器コントローラ852が電気化学セル830を容器
812の出力端子820、822から切断することが好ましい。これによって、
それぞれの放電サイクルのバッテリ実行時間が最適化され、バッテリのサイクル
寿命が最大となる。したがってバッテリの供給実行時間を延ばすことができる。
【0087】 図9の放電サブコントローラ902は、図8に示した放電サブコントローラ8
02の部品群を含むことができ、さらに、電気化学セル930の電極932、9
34とDC/DC変換器950、変換器コントローラ952、容器912の出力
端子920、922との間に電気的に接続された接地バイアス回路980を含む
。接地バイアス回路980は、負にバイアスされた電圧レベルVnbをDC/D
C変換器950および容器912の負出力端子922に印加する。これによって
、DC/DC変換器950に印加される電圧は、セル電圧から、セル電圧に負バ
イアス電圧レベルVnbの絶対値を加えた電圧レベルに増大する。これによって
変換器950は、接地バイアス回路980を駆動するのに必要な最小順バイアス
電圧よりも実際のセル電圧が下がるまで、効率的な電圧レベルで動作することが
できるようになる。したがって変換器950は、電気化学セル930のセル電圧
だけで変換器950を駆動する場合に可能であるよりも高い電流レベルをより効
率的に電気化学セル930から引き出すことができる。公称電圧が約1.5ボル
トの電気化学セルを有する本発明のバッテリ910用の放電サブコントローラ9
02の好ましい一実施形態では、負バイアス電圧Vnbが約0ボルト〜約1ボル
トの範囲にあることが好ましい。負バイアス電圧Vnbが約0.5ボルトである
ことがより好ましく、約0.4ボルトであることが最も好ましい。したがって接
地バイアス回路980は、変換器が、電気化学セル930をより深く放電させ、
公称電圧が約1.5ボルトの電気化学セルに対してセル電圧が約1ボルトよりも
下がったときに電気化学セル930から電流を引き出す際の変換器950の効率
を高めることを可能にする。
【0088】 本発明のバッテリ910内で接地バイアス回路980として使用することがで
きるチャージ・ポンプ988の例示的な一実施形態を図9Aに示す。この実施形
態では、スイッチS1およびS3が閉じ、S2およびS4が開いているときに電
気化学セル930のセル電圧がコンデンサCaを充電する。次いでスイッチS1
およびS3を開き、S2およびS4を閉じると、コンデンサCa上の電荷は逆転
し、コンデンサCbに移動し、コンデンサCbは、電気化学セル930のセル電
圧とは逆の出力電圧を供給する。代替として、図9Aに示したチャージ・ポンプ
988の代わりに当技術分野で周知の適当なチャージ・ポンプ回路を用いること
もできる。
【0089】 本発明の好ましい一実施形態では、接地バイアス回路980がチャージ・ポン
プ回路986を含む。チャージ・ポンプ回路986は図9Bに示されており、ク
ロック発生器987および1つまたは複数のポンプ988を含む。例えば図9B
に示すチャージ・ポンプ回路986の好ましい一実施形態では、チャージ・ポン
プが、4つのミニ・ポンプ989および1つの主ポンプ990を含む2段構成を
含む。ただし任意の数のミニ・ポンプ989を使用することができる。例えばチ
ャージ・ポンプ回路986の好ましい一実施形態は、12のミニ・ポンプ989
および1つの主ポンプを含む。この実施形態のミニ・ポンプ989および主ポン
プ990は、クロック発生器987によって生成される周波数は同じだが位相が
互いにずれた4つの異なる位相ずれ制御信号991a、991b、991c、9
91dによって駆動される。制御信号991a〜911dの位相を例えば、互い
に90度ずつずらすことができる。この実施形態ではそれぞれのミニ・ポンプ9
89が、クロック発生器によって生成された制御信号991a〜911dを逆に
した出力電圧を供給する。主ポンプ990は、複数のミニ・ポンプ989の出力
を合計し、ミニ・ポンプ989の個々の出力電圧と同じ電圧レベルで、12の全
てのミニ・ポンプ989が供給した電流の合計であるより高い電流レベルのチャ
ージ・ポンプ回路986出力信号を供給する。この出力信号は、DC/DC変換
器950および容器912の出力負端子922に対する仮想接地となる。
【0090】 本発明の他の一態様ではチャージ・ポンプ回路がさらに、チャージ・ポンプ回
路986に関連した損失を最小限に抑えるためにセル電圧が所定の電圧レベルま
で下がったときにのみチャージ・ポンプ回路986をオンにするチャージ・ポン
プ・コントローラ992を含む。チャージ・ポンプ・コントローラ992のこの
所定の電圧を例えば、電気化学セル930の公称電圧付近からバッテリ910が
給電するように設計された対象である電子装置群の最も高いカットオフ電圧付近
までの範囲に含まれるものとすることができる。この所定の電圧が、電子装置の
カットオフ電圧よりも約0.1ボルト高いことが好ましく、カットオフ電圧より
も約0.05ボルト高いことが最も好ましい。代替として、DC/DC変換器9
50をオンにするのと同じ制御信号でチャージ・ポンプ回路986を制御して、
変換器950が動作中のときにだけチャージ・ポンプ回路986が動作するよう
にしてもよい。
【0091】 さらに再充電可能電気化学セルを有するバッテリでは、DC/DC変換器95
0とチャージ・ポンプ回路986がともに、セル電圧がほぼ最適放電深度に下が
ったときにオフになることが好ましい。これによって、この再充電可能電気化学
セルを最適に放電させることができ、これによってこのセルの充電サイクルの回
数および効率を最大にすることができる。
【0092】 さらに、接地バイアス回路980がオフになったときに、容器912の出力負
端子922に印加された仮想接地が、電気化学セル930の負極934の電圧レ
ベルまで落ちることが好ましい。したがって接地バイアス回路980が動作して
いないとき、バッテリは、電気化学セル930の負極934によって提供される
標準接地構成で動作する。
【0093】 代替として接地バイアス回路980は、バック−ブースト(Buck−Boo
st)変換器、Cuk変換器、線形調整器などの第2のDC/DC変換器を備え
ることができる。さらに、DC/DC変換器950と接地バイアス回路980を
結合すること、およびこれらの代わりに、正の出力電圧をシフトアップし、負バ
イアスをシフトダウンさせる、バック−ブースト変換器、プッシュ−プル変換器
、フライバック変換器などの単一の変換器を用いることができる。
【0094】 図10に、本発明の放電サブコントローラ回路の他の実施形態1002を示す
。この実施形態ではDC/DC変換器1050が、位相シフト検知回路1062
などの外部源からの訂正制御信号を受け取る能力を有する。図7を参照して先に
説明したのと同様に、DC/DC変換器1050はパルス幅変調器などの制御方
式を利用して、変換器1050の動作パラメータを制御する。この実施形態では
、放電サブコントローラ回路1002が図9に示した放電サブコントローラ回路
902と同じ部品を含み、さらに、電極1032でのセル電圧のAC成分と電流
検知抵抗器Rcの両端で測定した電気化学セル1030から引き出された電流の
AC成分との間の瞬時位相シフトψを測定する位相シフト検知回路1062を含
む。DC/DC変換器1050はこの信号を、内部的にまたは外部的に生成され
た他の制御信号と組み合わせて使用し、デューティ・サイクルを生成する。
【0095】 図11に示す実施形態の放電サブコントローラ1102は、図10に示した放
電サブコントローラ1002と同じ部品を含むことができ、さらに、電流検知抵
抗器Rcおよび電気化学セル1130の正端子1132および負端子1122に
電気的に接続され、さらに変換器コントローラ1152に接続された非常時切断
回路1182を含む。非常時切断回路1182は、消費者、電気または電子装置
、あるいは電気化学セル1130自体を保護するために容器1112の出力端子
1120、1122から電気化学セル1130を切断する必要がある安全に関係
した1つまたは複数の状態に応答して、変換器コントローラ1152に信号を送
ることができる。例えば短絡または逆極性の場合に非常時切断回路1182は、
電気化学セル1030の電極1132、1134を容器1112の端子1120
、1122から切断するよう求める信号を変換器コントローラ1152に送る。
さらに非常時切断回路1182は、電気化学セル1130の電圧および/または
内部インピーダンスを検知することによって電気化学セル1130の放電サイク
ルの終了の指示を変換器コントローラ1152に送ることもできる。放電サブコ
ントローラ1102は例えば、電気化学セル1130の残存容量が所定のレベル
へまで落ちたときに電流を徐々に低減させること、電気化学セル1130の残存
容量が所定の値に達したときに電気化学セルの電極1132、1134を出力端
子1120、1122から短時間の間断続的に切断/再接続すること、またはバ
ッテリが給電を停止しようとしていることを示すその他のなんらかの可視、可聴
、または装置可読指示を提供することができる。放電サイクルの終わりに非常時
回路は、放電させた電気化学セル1130が電気化学セル1130に直列に接続
されたその他のセルの電流を消費しないように、電気化学セル1130を容器1
112の端子1120、1122から切断し、かつ/または出力端子1120と
1122を短絡することを求める信号を変換器コントローラ1152に送ること
ができる。
【0096】 図12に示す好ましい放電サブコントローラ1202は、容器1212の正端
子1220から正極1232を電子的に接続/切断することができる同期整流器
1274を有するDC/DC変換器1250を含む。同期整流器1274のスイ
ッチは、電気化学セル1230の正極1232または負極1234と容器の出力
端子1220および1222との間の直通電気経路上に変換器コントローラ85
2などの追加のスイッチを配置する必要性を排除する。さらに同期整流器127
4は、内部損失を減らすことによってDC/DC変換器1250の効率を向上さ
せる。この実施形態の変換器コントローラ1252ではさらに、DC/DC変換
器1250を制御するための追加の入力信号を使用できる。例えば、図12に示
した実施形態では変換器コントローラ1252が、図10を参照して先に説明し
た位相シフト測定に加えて、温度、圧力、水素濃度、酸素濃度センサなどのセン
サ(図示せず)を介して電気化学セルの内部環境をモニタする。
【0097】 図7〜12は、本発明の回路設計をより複雑なものへと順に示したものである
。これらの図をこの順番に示したのは、本発明のコントローラの中心部品である
DC/DC変換器以外に放電サブコントローラ回路に含めることができる種々の
部品を順序立てて説明するためである。提示順は、複数の異なる部品を結合した
回路に後になって導入された部品がそれよりも前の図を参照して説明した全ての
特徴を有していなければ本発明の範囲には入らないということを暗示しようとし
たものではない。例えば、非常時切断回路、電荷指示回路、位相検知回路および
/または接地バイアス回路を、これらの部品を示す図に示した変換器コントロー
ラまたはその他の部品なしでも図6〜11の回路と組み合わせて使用することが
できる。
【0098】 本発明のバッテリ1310中で使用する内蔵コントローラ回路の好ましい一実
施形態1340は、DC/DC変換器1350および変換器コントローラ135
2を含み、図13に示されている。変換器1350は、ほとんどの電子装置のし
きい電圧よりも低い電圧で動作することができるほとんど誘導部品のない高効率
かつ中電力の変換器であることが好ましい。放電サブコントローラ1302は、
電気化学セル1330の負極1334の電位よりも低い電位を有する仮想接地を
DC/DC変換器1350および容器1312の出力端子1322に供給する、
図9Bに示したものなどのチャージ・ポンプを含むことが好ましい。仮想接地は
、DC/DC変換器1350を駆動する目的に使用可能な電圧差を増大させ、変
換器1350が、セル電圧だけで変換器を駆動する場合に可能であるよりも高い
電流レベルをより効率的に電気化学セル1330から引き出すことを可能にする
【0099】 この実施形態では変換器コントローラ1352が、パルス幅変調/パルス位相
変調制御方式を利用することが好ましい。位相シフト検知回路1362は、電気
化学セル1330の正極1332、負極1334のところでのセル電圧および電
気化学セル1330から引き出された電流、ならびにこの電圧と電流の間の瞬時
および/または連続位相シフトを測定する。この位相シフトは、電気化学セル1
330の電荷容量の関数である電気化学セル1330の内部インピーダンスを規
定する。例えばアルカリ・バッテリでは、セルの閉路電圧降下によって決定され
る電気化学セル1330の約50%放電後の内部インピーダンスの増大は、電気
化学セル1330の残存容量を指示する。位相シフト検知回路1362はこれら
の信号を位相線形コントローラ1371に送る。位相線形コントローラ1371
は次いで、位相シフト検知回路1362によって検知された電圧Vsおよび位相
シフトに正比例した出力電圧制御信号V(psi)を、パルス幅変調およびパル
ス位相変調制御方式を組み合わせて利用するパルス変調器1376に送る。パル
ス変調器1376は、抵抗器Rsの両端間の電圧降下を電圧制御信号として受け
取る。
【0100】 パルス変調器1376はこれらの電圧制御信号を組み合わせて使用して、DC
/DC変換器1350を駆動する。電圧Vsが所定のしきい電圧レベルよりも高
いとき、パルス変調器1376は、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(「
MOSFET」)M3を閉状態に、MOSFET M4を開状態に維持する。し
たがって、電気化学セル1330から負荷までの電流経路はMOSFET M3
を介して維持される。さらに、デューティ・サイクルが0パーセントに効果的に
維持されるため、DC/DC変換器1350および変換器コントローラ1352
に関連した損失は最小限に抑えられる。この場合、閉じたMOSFET M3お
よび抵抗器RsのDC損失は極めて低い。例えば抵抗Rsは、約0.01〜約0
.1オームの範囲に含まれることが好ましい。
【0101】 電圧Vsが所定のしきい電圧レベルよりも低いとき、パルス変調器1376は
オンになり、前述の電圧制御信号の組合せに基づいてDC/DC変換器1350
のデューティ・サイクルを変調する。Vsの振幅は、デューティ・サイクルを制
御する第1の制御信号として機能する。出力電流の関数である電流検知抵抗器R
sの両端間の電圧降下は、第2の制御信号として機能する。最後に、位相線形コ
ントローラ1371によって生成され、セル電圧と電気化学セル1330から引
き出された電流のAC成分間の位相シフトに正比例する信号V(psi)は第3
の制御信号である。具体的にはV(psi)信号は、変換器の効率およびバッテ
リ実行時間に影響するデューティ・サイクルを、バッテリ実行時間を通した内部
インピーダンスの変化に応答して変更する目的に使用される。パルス変調器は、
Vsの瞬時および/または連続振幅が低下した場合、あるいは抵抗器Rsの両端
間の電圧降下が増大し、かつ/または制御信号V(psi)の瞬時および/また
は連続振幅が増大した場合に、デューティ・サイクルを増大させる。それぞれの
変数の寄与は、適当な制御アルゴリズムに基づいて重み付けされる。
【0102】 パルス変調器1376がオンになるとその発振器が、デューティ・サイクルが
50%、周波数が約40kHz〜約1MHzの範囲にあることが好ましい台形ま
たは方形波の制御パルスを生成する。周波数は、約40kHz〜約600kHz
の範囲にあることがより好ましく、一般に約600kHzであることが最も好ま
しい。パルス変調器1376は、MOSFET M3およびM4に対する出力制
御信号のデューティ・サイクルを適当な制御アルゴリズムを利用して変更する。
最も一般的にはこの制御アルゴリズムがM3およびM4を、同じデューティ・サ
イクル、逆位相で動作させる。MOSFET M3およびM4は、相補型高電力
トランジスタであることが好ましく、M3がNチャネルMOSFET、M4がP
チャネルMOSFETであることが好ましい。完全なDC/DC変換器1350
の構成は本質的に、出力に同期整流器を備えたブーストDC/DC変換器である
。さらに変換器1350は、非同期ショットキー・ダイオードの代わりにMOS
FET M3を使用することによってACおよびDC損失を最小限に抑える。別
個の制御信号がM3およびパワーMOSFET M4を駆動する。M3の制御信
号とM4の制御信号の間の位相および/またはデューティ・サイクルが変更され
ると、容器1312の端子1320と1322の間の出力電圧が変更される。
【0103】 パルス変調器1376は、電圧Vs、抵抗器Rsの両端間の電圧降下、電気化
学セル1330の内部インピーダンスなどの1つまたは複数の電圧制御信号に基
づいてMOSFET M3およびM4を制御することができる。例えば負荷の電
力消費量が低い場合、パルス変調器1376は、DC/DC変換器1350のデ
ューティ・サイクルを0パーセントに近くする。負荷の電力消費量が高い場合に
は、パルス変調器1376は、DC/DC変換器1350のデューティ・サイク
ルを100%に近くする。負荷の電力消費量がこれらの2つのエンドポイント間
を変動すると、パルス変調器1376はDC/DC変換器のデューティ・サイク
ルを変化させて負荷が要求する電流を供給する。
【0104】 図14に、本発明のコントローラを持たないバッテリB1、変換器が連続モー
ドで動作する放電サブコントローラを有する本発明のバッテリB2、およびバッ
テリの設計対象である一般的な電子装置に対するバッテリのカットオフ電圧より
も高い電圧で変換器がオンになる放電サブコントローラを有する本発明のバッテ
リB3の例示的な放電曲線の比較を示す。図14に示すように、本発明のコント
ローラを持たないバッテリB1は、カットオフ電圧Vcを有する電子装置内で時
刻t1に機能しなくなる。しかしバッテリB2の放電サブコントローラは、バッ
テリの実行時間の間ずっとバッテリの出力電圧を電圧レベルV2まで連続的に押
し上げる。バッテリB2の電気化学セルのセル電圧が放電サブコントローラの最
小動作電圧レベルVdまで落ちると、バッテリB2の放電サブコントローラは動
作を停止し、バッテリの出力電圧が時刻t2にゼロまで下がり、バッテリB2の
有効実行時間は終了となる。図14のグラフに示すように、変換器が連続モード
で動作するサブコントローラを有するバッテリB2の有効実行時間の延長分はt
2−t1である。
【0105】 しかし、バッテリB3のコントローラは、電気化学セルのセル電圧が所定の電
圧レベルVp3に達するまでバッテリの出力電圧の押上げを開始しない。所定の
電圧レベルVp3は、電気化学セルの公称電圧レベルとバッテリが給電する予定
の電子装置クラスの最も高いカットオフ電圧との間にあることが好ましい。所定
の電圧レベルVp3が、バッテリが給電する予定の電子装置クラスの最も高いカ
ットオフ電圧Vcよりも約0.2ボルト高いことがより好ましい。所定の電圧レ
ベルVp3が、バッテリが給電する予定の電子装置クラスの最も高いカットオフ
電圧Vcよりも約0.15ボルト高いことがより好ましい。所定の電圧レベルV
p3が、バッテリが給電する予定の電子装置クラスの最も高いカットオフ電圧V
cよりも約0.1ボルト高いことがより好ましく、Vcよりも約0.05ボルト
高いことが最も好ましい。セル電圧が所定の電圧レベルVp3に達すると、バッ
テリB3の変換器は、出力電圧を電圧レベルVc+ΔVに押し上げるか、または
このレベルに安定化することを開始する。電圧レベルΔVは図14に示されてお
り、押し上げられたバッテリB3の出力電圧とカットオフ電圧Vcの間の電圧差
を表す。この電圧レベルΔVが約0ボルト〜約0.4ボルトまでの範囲に含まれ
ることが好ましく、約0.2ボルトであることがより好ましい。その後、バッテ
リB3は、電気化学セルのセル電圧が変換器の最小動作電圧Vdまで下がり、バ
ッテリB3のコントローラが動作を停止するまで出力を供給し続ける。コントロ
ーラが動作を停止した時刻t3に、バッテリ出力電圧は0まで落ち、バッテリB
3の有効実行時間は終わる。図14のグラフに示すように、本発明の変換器を持
たないバッテリB1に対するバッテリB3の有効実行時間の延長分はt3−t1
である。
【0106】 図14はさらに、同じ電子装置に接続したときにバッテリB3がバッテリB2
よりも長持ちすることを示している。バッテリB2の変換器は連続して動作する
ため、変換器の内部損失がバッテリB2の電気化学セルのエネルギー容量の一部
を消費し、したがって、放電サイクルの一時期にしかコントローラが動作しない
バッテリB3に比べバッテリB2のセル電圧は、より短い時間で変換器の最小動
作電圧Vdに達する。このように、バッテリB3の所定の電圧Vp3の選択を最
適化する、すなわちこのバッテリが給電している電子装置のカットオフ電圧に近
い値を選択することによって、電気化学セルが最も効率的に使用され、バッテリ
実行時間の延長分がより大きくなる。したがって、バッテリB3の所定の電圧V
p3が、このバッテリが給電する予定の電子または電気装置のカットオフ電圧に
等しいか、またはそれよりもわずかに高いことが好ましい。例えば、所定の電圧
Vp3がカットオフ電圧よりも約0.2ボルト高いことが好ましい。所定の電圧
Vp3がカットオフ電圧よりも約0.15ボルト高いことがより好ましい。所定
の電圧Vp3がカットオフ電圧よりも約0.1ボルト高いことがより好ましく、
カットオフ電圧よりも約0.05ボルト高いことが最も好ましい。
【0107】 しかし、バッテリが、さまざまな電子装置に対応するユニバーサル・バッテリ
として設計されている場合には、所定の電圧Vp3が、この電子装置群の最も高
いカットオフ電圧に等しいか、またはそれよりもわずかに高くなるように選択さ
れることが好ましい。例えば、所定の電圧Vp3が、その電子装置群の最も高い
カットオフ電圧よりも約0.2ボルト高いことが好ましい。所定の電圧Vp3が
、その電子装置群の最も高いカットオフ電圧よりも約0.15ボルト高いことが
より好ましい。所定の電圧Vp3が、その電子装置群の最も高いカットオフ電圧
よりも約0.1ボルト高いことがより好ましく、その電子装置群の最も高いカッ
トオフ電圧よりも約0.05ボルト高いことが最も好ましい。
【0108】 図14のグラフはさらに、変換器の最小動作電圧Vdが低いほど、本発明のコ
ントローラを持たないバッテリB1と比較した場合の実行時間の延長分が長いこ
とを示している。さらに、電子装置のカットオフ電圧Vcと変換器の最小動作電
圧Vdの差が大きいほど、電気化学セルのセル電圧の押上げのため、本発明のコ
ントローラによって達成されるバッテリの実行時間の延長分は長くなる。
【0109】 さらに図14は、装置のカットオフ電圧がもはや一次または再充電可能電気化
学セルの放電の制限因子ではないことも示している。コントローラがバッテリの
出力電圧を装置のカットオフ電圧よりも高く維持することができる限り、バッテ
リの電気化学セルは放電を続けることができる。一次バッテリではこれによって
、変換器の最小動作電圧に応じセルをできる限り完全に放電させることができる
ようになる。再充電可能バッテリでは本発明によって、再充電可能電気化学セル
の最適放電深度に等しいか、またはこれよりも低いセル電圧で変換器が動作する
ことができる限り、装置のカットオフ電圧から独立した再充電可能バッテリの供
給実行時間を延長する最適放電が可能になる。
【0110】
【表2】
【0111】 表2に、変換器が連続モードで動作し、セル電圧を約1.6ボルトの出力電圧
に押し上げる内蔵放電サブコントローラを有する本発明のAA型アルカリ・バッ
テリの放電データを、本発明のコントローラを持たない一般的なAA型アルカリ
・バッテリと比較したものを示す。この表のデータは、バッテリの実行時間を通
して平均して約125mAの電流を引き込む約12オームの中程度の抵抗負荷に
バッテリを接続したときの時間ごとの出力電圧、消費電力および残存容量の割合
(総容量=2400mAh)を示す。この表が示すとおり、変換器を有するバッ
テリの出力電圧はバッテリの実行時間の間、1.6ボルトのまま一定だが、コン
トローラを持たないバッテリの出力電圧は、実行時間を通してバッテリの公称電
圧から低下していっている。
【0112】 表2はさらに、内蔵コントローラを有する本発明のバッテリが、コントローラ
を持たないAA型バッテリに優る明白な2つの利点を有することを示している。
第1に、カットオフ電圧が約1ボルトの装置に対して、内蔵放電サブコントロー
ラを有するバッテリは約10時間の実行時間を有するが、コントローラを持たな
いバッテリはこの装置内で、出力電圧が1ボルトよりも下がった最長約8時間後
に動作を停止する。したがってこの例では、サブコントローラによって、コント
ローラを持たないバッテリよりも実行時間が約25%延びたことになる。第2に
、負荷に送達される電力および装置が動作を停止する前に利用されるバッテリの
定格容量の割合は、内蔵放電サブコントローラを有する本発明のバッテリのほう
がはるかに大きい。バッテリの出力電圧が低下するのに比例して、セルの電流送
出能力は低下するため、定電流ドレイン条件下では、本発明のコントローラを持
たないバッテリの持続時間はいっそう短くなる。その結果、内蔵放電サブコント
ローラを有するバッテリの優位性はさらに高まる。
【0113】 装置のカットオフ電圧が約1.1ボルトである場合には、内蔵放電サブコント
ローラを有する本発明のAA型バッテリが、コントローラを持たないAA型バッ
テリよりもいっそう有利に動作することを表2は示している。内蔵放電サブコン
トローラを有するバッテリの実行時間は約10時間のままだが、コントローラを
持たないバッテリはこの装置内で、出力電圧が1.1ボルトよりも下がった最長
約6時間後に動作を停止する。したがってこの例では、放電サブコントローラに
よって、コントローラを持たないバッテリよりも実行時間が約67%延びたこと
になる。その上、負荷に送達される電力の差および装置が動作を停止する前に利
用されるバッテリの定格容量の割合の差は、先の例よりもいっそう大きくなる。
この場合も、バッテリの出力電圧が低下するのに比例してセルの電流送出能力は
低下するため、定電流ドレイン条件下では、電子装置が動作を停止するまでの本
発明のコントローラを持たないバッテリの持続時間はいっそう短くなる。その結
果、内蔵放電サブコントローラを有するバッテリの優位性はよりいっそう高まる
【0114】 充電サブコントローラ 充電サブコントローラ104も、本発明の再充電可能バッテリのサイクル寿命
を延ばすことができる。充電サブコントローラは、個々のそれぞれの電気化学セ
ルの充電シーケンスを個別に制御することによってバッテリのサイクル寿命を延
ばすことができる。したがって充電サブコントローラは、その特定のセルからの
実際のフィードバックに基づいてそれぞれのセルの充電を最適化し、それぞれの
充電および放電サイクルの回数および効率を最大にすることができる。充電サブ
コントローラは例えば、それぞれのセルのセル電圧および/または内部インピー
ダンスを直接にモニタすることによってそれぞれのセルの充電を制御する。これ
によって充電サブコントローラは、複数の単一セル・バッテリあるいは1つまた
は複数の多セル・バッテリの個々のそれぞれの電気化学セルの充電サイクルを制
御することができる。
【0115】 充電サブコントローラ104はさらに、放電サイクルの「オフタイム」中に、
すなわち電気化学セルが放電モードではないときに電気化学セルを充電すること
によって、鉛−酸バッテリなどの深く放電させないほうが好ましい再充電可能バ
ッテリの実行時間を延ばすことができる。例えば、コントローラは、それらのセ
ルの放電の「オフタイム」中に充電サブコントローラが1つまたは複数の個別セ
ルを充電することを可能にする。放電の「オフタイム」が、放電の「オンタイム
」、すなわち特定の電気化学セルがアクティブに放電している時間に比べ十分に
長い場合、充電サブコントローラは、セルを少なくともフル充電に近い状態に維
持することができる。デューティ・サイクルが十分に大きく、充電サブコントロ
ーラが、電気化学セルの充電を所定の電圧レベルよりも高く、またはその特定の
電気化学セルまたはその種類の電気化学セルの所望の最大放電深度に対応する特
定のインピーダンス・レベルよりも低く維持することができないような十分な期
間にわたって装置が動作する場合、放電サブコントローラは、再充電可能電気化
学セルが所望の最大放電深度に達したときにバッテリの放電サイクルを終了させ
ることができる。充電サブコントローラはさらに、充電サイクルの終了を決定す
る本出願に記載のその他の方法、または当技術分野で周知のその他の手段によっ
てセルの公称電圧などのある所定の電圧レベルよりもセル電圧が下がったときに
だけセルを充電することによって過充電を防ぐことができる。したがってコント
ローラは、放電サイクル中にセルが最適放電深度を越えて放電しないようにし、
充電サイクル中の充電シーケンスを最適化することによって、再充電可能電気化
学セルの供給実行時間を最適化することができる。
【0116】 充電サイクル用の代替電源装置には、装置の電源コードなどの外部電源、また
は装置内の他の電気化学セル、その再充電可能電気化学セルとともにハイブリッ
ド・バッテリ中にパッケージングされた他の電気化学セルなどの内部電源が含ま
れる。例えば一次セルを、装置内にパッケージングしたり、または再充電可能電
気化学セルとともにハイブリッド・バッテリ中にパッケージングすることができ
る。エネルギー密度は高いが比較的に低い電流レベルしか提供することができな
い亜鉛−空気セルなどの金属−空気セルは、再充電可能電気化学セルの充電に使
用することができる特に有利な代替電源装置となる。代替として、再充電可能電
気化学セルに充電源を提供するため、燃料セルなどの代替電源装置をハイブリッ
ド・バッテリ中に含めることができる。
【0117】 さらに、充電サブコントローラは、本発明のバッテリを充電するのに接触型充
電システムと非接触分離型充電システムのどちらでも使用することができる。
【0118】 本発明のバッテリの好ましい一実施形態は、ユーザへのフル充電の指示を含む
。この充電サブコントローラは例えば、バッテリが完全に充電されたことをユー
ザに指示する可視または可聴指示を提供する。代替として充電サブコントローラ
が充電システム可読または装置可読の指示を提供し、それに応じて充電システム
または装置がユーザに警告するようにしてもよい。
【0119】 図15に、充電サブコントローラ回路1504を含む本発明のバッテリのブロ
ック図を示す。充電サブコントローラ回路1504は、バッテリ1510に内蔵
されることが好ましく、再充電可能電気化学セル1530の充電サイクルを最適
化するために外部充電源または回路からの着信電力信号を安全かつ効率的に制御
する責任を負う。充電サブコントローラ回路1504は、検知回路105から受
け取った入力電圧制御信号および/または自体の内部検知回路からのフィードバ
ックに基づいて、外部充電源からの着信電力信号を制御する。例えば充電サブコ
ントローラ1504は、電気化学セル1530の内部インピーダンスを規定する
電圧制御信号V(psi)を制御する。この制御信号は、位相線形コントローラ
1571によって生成される信号であり、図13に関して説明されている。代替
として充電サブコントローラが、セル電圧または充電電流によって、あるいは内
部インピーダンス、セル電圧および充電電流のうちの2つ以上の組合せによって
電気化学セル1530の充電を制御してもよい。さらに、バッテリ1510の容
器1512内で測定された水素濃度、酸素濃度、温度および/または圧力などの
物理状態を充電サブコントローラが使用して、電気化学セル1530を最適に充
電することができる。
【0120】 端子1520、1522の電圧が電気化学セル1530のセル電圧よりも高い
とき、放電サブコントローラ1502のパルス変調器1576はNチャネルMO
SFET M3を閉じ、PチャネルMOSFET M4を開く。MOSFET
M3は、端子1520、1522からの電流経路を生成して電気化学セル153
0を充電し、MOSFET M4は端子1520と1522の間の短絡を防ぐ。
パルス変調器1576はさらに、接地バイアス回路1580のクロック発生器1
587に電圧制御信号を送ることによって、接地バイアス回路1580をオフに
することができる。例えば図9Aのチャージ・ポンプの例では、クロック発生器
987がスイッチS1、S2を開き、スイッチS3、S4を閉じて、仮想接地出
力を電気化学セル930の負極934の電位まで落とす。代替として接地バイア
ス回路1580が、図9Bのチャージ・ポンプ・コントローラ992に関して説
明したように動作するチャージ・ポンプ・コントローラ1592など内部コント
ローラを含む場合には、この内部コントローラが、端子1520、1522の電
圧を電気化学セル1530のセル電圧と直接に比較し、端子1520と1522
の間の電圧が電気化学セル1530のセル電圧よりも高い場合にクロック発生器
1587を直接に制御することによって接地バイアス回路1580の動作を停止
させてもよい。これによって仮想接地出力は、電気化学セル1530の負極15
34の電位に落ちる。
【0121】 本発明の好ましい一実施形態では、充電サブコントローラ回路1504が内部
インピーダンス情報を使用して、振幅、周波数、立下がりエッジおよび立上がり
エッジを含む最も効率的なAC信号プロファイルを決定する。したがってこの充
電サブコントローラは、電気化学セルの動的および静的な内部充電損失を最小限
に抑え、特定の電気化学セルに対する可能な最も速い充電速度の制御を提供する
。さらに、水素濃度、酸素濃度、温度、圧力などの物理状態センサによって、充
電状態をさらに最適化する能力を得ることができる。
【0122】 電気化学セルが完全に充電されたと判定すると、充電サブコントローラ回路1
504はNチャネルMOSFET M3を開く。これによって電気化学セル15
30が容器1512の端子1520、1522から切断され、したがって外部充
電源または回路から切断される。
【0123】 電気化学セル1530の充電の制御に内部インピーダンスを利用することによ
って、電気化学セル1530の真のイオンおよび電気インピーダンス状態に基づ
く充電の最適化が可能になる。充電サブコントローラ1504をそれぞれの容器
1512内に配置すると、充電サブコントローラがそれぞれのセルの充電を個々
に制御することになるので、複数の単一セル・バッテリまたは多セル・バッテリ
の個々の電気化学セル1530の制御が向上する。セル1530を、その他の電
気化学セル1530と直列および/または並列構成に配置して充電することがで
きる。直列構成でセルを充電する場合、充電サブコントローラ1504は端子間
に高インピーダンス経路を含み、そのため電気化学セル1530が完全に充電さ
れたときに充電サブコントローラ1504は、セル1530と直列に接続された
その他のセルに充電電流を分流することができる。セルが並列に接続されている
場合、充電サブコントローラ1504は電気化学セル1504を充電電流から切
断することができる。多セル・バッテリのそれぞれの電気化学セルの中にコント
ローラを配置すると、同じ充電電流を、それぞれのセルの中の個々のコントロー
ラでそのセルが最適に充電されるように制御することによって、そのセルの電気
化学性に関係なくそれぞれのセルを充電することができる。さらにこの充電サブ
コントローラは、セルの公称電圧が異なっているときでもハイブリッド・バッテ
リの複数のセルを充電することができる。
【0124】 図16に、図15に示した本発明のバッテリ中で使用することができる充電サ
ブコントローラ回路1504の構成の一実施形態を示す。この実施形態では充電
サブコントローラ回路1604が、ユニバーサル充電回路1677、バースト回
路1678および充電制御状態機械1679を含む。充電制御状態機械1679
はバースト回路1678を使用して、電気化学セル1530の電極1532およ
び1534のところに試験電流Isおよび試験電圧Vsを生成させる。図13を
参照して説明したように位相線形コントローラ1571は、試験電流Isと試験
電圧Vsの間の位相シフトを検出する。バースト回路1678は、バースト・ド
ライバ1668およびnチャネルMOSFET M1を含むことが好ましい。バ
ースト・ドライバ1668は、MOSFET M1のゲートを駆動する高周波制
御パルス信号を生成する。試験電流IsがMOSFET M1を流れ、位相線形
コントローラ1571が試験電流Isと試験電圧Vsの間の位相シフト角()を
検出する。位相線形コントローラ1571は、セル電圧と電気化学セル1530
から引き出された電流のAC成分間の位相シフトに正比例した電圧制御信号V(
psi)を充電制御状態機械1679に出力する。充電制御状態機械1694は
、位相線形コントローラ1571からのこの制御信号を使用してAC充電信号プ
ロファイルを制御する。電気化学セル1530が完全に充電されると、パルス変
調器1576はMOSFET M3を切断し、MOSFET M3は、容器15
12の端子1520、1522から電気化学セル1530を切断する。
【0125】 図17に、外部充電回路と本発明のバッテリ1510の間に機械的な接触が一
切ない電気化学セル1530の分離充電を可能にする、図15に示した充電サブ
コントローラ回路の代替実施形態を示す。この実施形態では充電サブコントロー
ラ回路1704が、電気化学セル1530を充電するための変圧器の二次コイル
の働きをするコイルを含む。外部充電源は、空気を介した無線接続で充電サブコ
ントローラ回路1704の二次コイルに結合することができる変圧器の一次コイ
ルを含む。本発明のバッテリは例えば、充電変圧器の二次コイルを形成するプリ
ント配線コイルをバッテリ1510のラベル上に含むこと、または容器またはバ
ッテリの中に含むことができる。この実施形態の充電回路は、約20kHz〜約
100kHzの範囲の一周波数で動作することが好ましく、約40kHz〜60
kHzの範囲の一周波数で動作することがより好ましく、周波数約50kHzで
動作することが最も好ましい。外部充電源からの信号が、外部充電源の一次コイ
ルを介して充電サブコントローラ回路1704の二次コイル1798に給電する
。充電制御状態機械1794は、ユニバーサル充電回路1777を制御して再充
電可能電気化学セル1530の充電サイクルを最適化する。外部充電回路が周波
数約50kHzで動作する場合、この変圧器は、本発明のバッテリから約1〜約
3インチ(約2.5〜約7.6センチ)離れたところから電気化学セルを充電す
るのに十分な作用範囲を有し、そのため電気または電子装置からバッテリを取り
外さずにそのままの位置で電気化学セルを充電することができる。このことは、
装置から取り外さなければならないバッテリに優る明白な利点である。例えば、
手術によって埋め込まれたペースメーカなどの装置のバッテリを、手術によって
患者から外科的に取り出さなくとも充電することができる。
【0126】 非常時サブコントローラ コントローラはさらに、安全に関係した1つまたは複数の状態を検出した場合
に電気化学セルをバッテリの容器の端子から切断する非常時切断機能を実行する
ことができる。コントローラは、短絡、逆極性、過充電、過放電、高温、高圧力
、高水素濃度などの危険な状態を検出し、電気化学セルをバッテリの端子から電
子的に切断する独立した非常時切断サブコントローラを含むことができる。代替
として、放電サブコントローラおよび/または充電サブコントローラの回路によ
って非常時機能を実行してもよく、あるいは電気化学セルをバッテリの端子から
切断するよう求める信号を放電サブコントローラおよび/または充電サブコント
ローラに送る別個の検知回路をコントローラが含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 一般的な円筒形バッテリ構造の透視図である。
【図2】 一般的な他の円筒形バッテリ構造の透視図である。
【図3】 一般的な他の円筒形バッテリ構造の断面図である。
【図4】 本発明のバッテリのブロック図である。
【図4A】 図4に示したバッテリの好ましい一実施形態のブロック図である。
【図4B】 図4に示したバッテリの他の好ましい実施形態のブロック図である。
【図4C】 図4に示したバッテリの他の好ましい実施形態のブロック図である。
【図5A】 本発明のバッテリの好ましい実施形態の部分分解断面図である。
【図5B】 本発明のバッテリの好ましい他の実施形態の部分分解断面図である。
【図5C】 本発明のバッテリの好ましい他の実施形態の部分分解透視図である。
【図6】 本発明の多セル・バッテリの好ましい実施形態の部分断面透視図である。
【図7】 本発明のバッテリの好ましい他の実施形態のブロック図である。
【図8】 本発明のバッテリの好ましい他の実施形態のブロック図である。
【図9】 本発明のバッテリの好ましい他の実施形態のブロック図である。
【図9A】 図9のバッテリの好ましい実施形態の一態様の一実施形態の概略図である。
【図9B】 図9のバッテリの好ましい実施形態の一態様の好ましい他の実施形態のブロッ
ク図である。
【図10】 本発明のバッテリの好ましい他の実施形態のブロック図である。
【図11】 本発明のバッテリの好ましい他の実施形態のブロック図である。
【図12】 本発明のバッテリの好ましい他の実施形態のブロック図である。
【図13】 本発明のバッテリの好ましい他の実施形態のブロック図/概略図である。
【図14】 一般的なバッテリおよび本発明のバッテリの異なる2つの好ましい実施形態の
放電特性曲線のグラフである。
【図15】 本発明のバッテリの好ましい他の実施形態のブロック図/概略図である。
【図16】 図15に示した充電サブコントローラの一実施形態のブロック図である。
【図17】 図15に示した充電サブコントローラの他の実施形態のブロック図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB ,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ, DE,DK,EE,ES,FI,GB,GD,GE,G H,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP ,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR, LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN,M W,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD ,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR, TT,UA,UG,UZ,VN,YU,ZA,ZW (71)出願人 ONE PROCTER & GANBL E PLAZA,CINCINNATI, OHIO,UNITED STATES OF AMERICA (72)発明者 ネブリジック,ドラゴン ダニロ アメリカ合衆国オハイオ州、インディア ン、スプリングス、ミル、クレスト、ドラ イブ 4115 Fターム(参考) 5H030 AA04 AA06 AS05 BB21 FF42 FF44

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カットオフ電圧を有する装置および充電電流を供給する外部
    充電器とともに使用すると有用な再充電可能バッテリであって、 (a)正端子および負端子を有する容器と、 (b)前記容器内に配置され、正極、負極、前記正極と前記負極の間で測定さ
    れるセル電圧、および公称電圧を有する再充電可能電気化学セル を備えることを特徴とし、 (c)前記セルの前記電極と前記容器の前記端子の間に電気的に結合され、前
    記容器の前記正端子と前記負端子の間で測定される出力電圧を生成するコントロ
    ーラ を特徴とし、 前記コントローラが、前記セルの前記電極を前記容器の前記端子から電子的に
    切断することによって、好ましくは前記放電サイクル中に前記セル電圧が所定の
    電圧レベルまで落ちたときに前記電極を前記端子から切断することによって、前
    記セルの放電サイクルを終了させるように適合され、かつ充電サイクル中に前記
    セルを充電するよう外部充電回路の充電電流を制御するように適合され、前記セ
    ルが前記セルの容量の100%まで充電されたと前記コントローラが判定したと
    きに前記セルの前記電極を外部充電回路の充電電流から電子的に切断することが
    好ましく、前記コントローラが、バッテリの放電サイクル中に前記セル電圧を前
    記出力電圧に変換し、充電サイクル中に外部充電器の充電電流をセル充電電流に
    変換するように適合された変換器を含むことが好ましく、前記コントローラが、
    前記コントローラによって制御されて、前記放電サイクル中に前記セル電圧を前
    記出力電圧に変換し、前記充電サイクル中に外部充電器の充電電流を前記セル充
    電電流に変換するように適合された双方向変換器を含むことがより好ましく、 単一セル・バッテリ、ユニバーサル単一セル・バッテリ、多セル・バッテリお
    よび多セル・ハイブリッド・バッテリから選択される 再充電可能バッテリ。
  2. 【請求項2】 前記再充電可能バッテリが、整数個のバッテリの1つとして
    装置と直列に電気的に接続されるように適合され、前記出力電圧が、バッテリの
    個数である前記整数で装置のカットオフ電圧を除した値よりも大きいかまたはこ
    れに等しく、かつ/あるいは、前記再充電可能バッテリが多セル・バッテリであ
    り、前記バッテリがさらに正出力端子および負出力端子を備え、前記容器、前記
    セルおよび前記コントローラが第1のセル・ユニットを形成し、前記第1のセル
    ・ユニットが、前記正出力端子と前記負出力端子の間に直列に電気的に接続され
    た整数個のセル・ユニットの1つであり、前記出力電圧が、セル・ユニットの個
    数である前記整数で装置のカットオフ電圧を除した値よりも大きいかまたはこれ
    に等しい、請求項1に記載の再充電可能バッテリ。
  3. 【請求項3】 前記セルがさらに内部インピーダンスを含み、前記放電サイ
    クル中に前記セルが所定の放電深度まで放電したことが前記内部インピーダンス
    によって指示されたときに、前記セルの前記電極を前記容器の前記端子から電子
    的に切断するよう前記コントローラが適合される、請求項1または2に記載の再
    充電可能バッテリ。
  4. 【請求項4】 前記コントローラが、外部充電器の充電電流を前記容器の前
    記端子から受け取るように適合されるか、または前記コントローラが、前記充電
    サイクルの間、外部充電器に電磁的に結合されるように適合されたコイル部品を
    含み、前記コントローラが、外部充電器の充電電流を前記コイル部品から受け取
    るように適合される、請求項1から3のいずれか一項に記載の再充電可能バッテ
    リ。
  5. 【請求項5】 前記コントローラが、前記セル電圧、前記セルの内部インピ
    ーダンス、前記セル内の水素ガス濃度、前記セルの温度および前記セル内のガス
    圧から選択されたグループのうちの1つまたは複数の状態を使用してセル充電レ
    ベルを決定する、請求項1から4のいずれか一項に記載の再充電可能バッテリ。
  6. 【請求項6】 (a)一次コイルを備え、充電電流を供給する外部充電器と
    、 (b)再充電可能バッテリと を備え、前記再充電可能バッテリが、 (i)正端子および負端子を有する容器と、 (ii)前記容器内に配置された再充電可能電気化学セルであって、前記容
    器の前記正端子に電気的に接続された正極を有する前記セル、前記容器の前記負
    端子に電気的に接続された負極、前記セルの前記正極と前記負極の間で測定され
    るセル電圧、および公称電圧を有する再充電可能電気化学セルと、 (iii)前記セルの前記正極および前記負極に電気的に接続されたコント
    ローラであって、充電サイクル中、前記外部充電器の前記一次コイルに電磁的に
    結合されるように適合され、前記外部充電器の前記充電電流を受け取る二次コイ
    ルを含み、前記充電サイクル中、前記外部充電器の前記充電電流をセル充電電流
    に制御するコントローラと を備えることを特徴とする遠隔バッテリ充電システム。
  7. 【請求項7】 前記コントローラが、前記セルの前記電極と前記容器の前記
    端子の間に電気的に接続され、前記容器の前記正端子と前記負端子の間で測定さ
    れる出力電圧を生成するように適合される、請求項6に記載の遠隔バッテリ充電
    システム。
  8. 【請求項8】 前記コントローラが、放電サイクル中に前記セルの前記電極
    を前記容器の前記端子から電子的に切断することによって前記バッテリの供給実
    行時間を延ばすように適合される、請求項6または7に記載の遠隔バッテリ充電
    システム。
  9. 【請求項9】 前記コントローラがさらに、前記充電サイクル中に前記外部
    充電器の前記充電電流をセル充電電流に変換し、前記放電サイクル中に前記セル
    電圧を前記出力電圧に変換する双方向変換器を備える、請求項6から8のいずれ
    か一項に記載の遠隔バッテリ充電システム。
  10. 【請求項10】 再充電可能バッテリの供給実行時間を延ばす方法であって
    、 (a)(i)正端子および負端子を有する容器と、 (ii)前記容器内に配置され、正極、負極、前記正極と前記負極の間で測
    定されるセル電圧、および公称電圧を有する再充電可能電気化学セルと、 (iii)前記セルの前記電極と前記容器の前記端子の間に電気的に結合さ
    れ、前記容器の前記正端子と前記負端子の間で測定される出力電圧を生成するコ
    ントローラと を含む再充電可能バッテリを提供する段階と、 (b)前記バッテリをカットオフ電圧を有する装置に電気的に接続する段階と
    、 (c)前記バッテリの放電深度が所定の放電レベルに達したときに前記セルの
    前記電極を前記容器の前記端子から電子的に切断することによって、放電前記セ
    ルの放電サイクルを終了させる段階であって、前記所定の放電レベルが最適放電
    深度であることが好ましく、前記最適放電レベルが前記装置の前記カットオフ電
    圧よりも低いことがより好ましい段階と、 を特徴とし、好ましくは、 (d)充電電流を受け取る段階と (e)前記充電電流を制御して前記セルを充電する段階 をさらに含む方法。
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