JP2002502594A - 神経保護ペプチドおよびその使用 - Google Patents

神経保護ペプチドおよびその使用

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JP2002502594A JP2000530540A JP2000530540A JP2002502594A JP 2002502594 A JP2002502594 A JP 2002502594A JP 2000530540 A JP2000530540 A JP 2000530540A JP 2000530540 A JP2000530540 A JP 2000530540A JP 2002502594 A JP2002502594 A JP 2002502594A
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、カルシウムと結合し、卒中およびその他の神経変性疾患を治療するのに有用な神経保護ペプチド、ならびにこのようなペプチドを含有する組成物に関する。ペプチドは、好ましくは、血液脳関門を通過する送達を促進する化合物に共役結合され、あるいはそれとともに投与される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 [技術分野] 本発明は、卒中およびその他の神経変性疾患を治療するのに有用な単離ペプチ
ドに関する。単離ペプチドは、カルシウムを結合するためにも有用である。ペプ
チドは、好ましくは、血液脳関門を通過する送達を促進する化合物に共役結合さ
れる。
【0002】 [発明の背景] 米国では毎年約750,000件の新規の卒中が起きて、約250,000件の死亡が生じて
いる(Kittner et al., J. Am. Med. Assoc. 264:1267-1271, 1990)。卒中によ
り引き起こされるヒトの苦痛は、罹患者とその家族の両方にとって甚大であるが
、経済的経費も同様に甚大である。長期追跡試験は、ほとんどの卒中生存者が職
業的受容能力の損失(71%)から、日常的ケアによる補助の必要性(31%)
、施設収容(16%)までの範囲の永続的障害を経験することを示している(Gr
esham et al., N. Eng. J. Med. 293:954-959, 1975)。これらのデータに基づ いて、およそ300,000名の人々が、卒中のために毎年何らかの機能を永続的に損 失している。
【0003】 卒中調査の基本的前提は、最終的にニューロン死を引き起こす細胞性進行工程
のカスケードを開始することにより、直接的にでなく、むしろ間接的に、虚血が
障害および死を生じるということである(Pulsinelli et al., Annals Neurol.
11:499-509, 1981; Choi, Trends Neurosci. 11:465-469, 1988)。医者が死ん だニューロンに代えて機能性ニューロンを再生し得るまで、卒中罹患者にとって
の最良の望みは、それらが不可逆的になる前に、原発性虚血事象が引き金となっ
た事象のカスケードを中断させ、逆に向ける治療を迅速に介入させることである
【0004】 事象のカスケードは、虚血後約3〜4分で始まる。第一段階は、細胞外興奮性
アミノ酸の濃度が10〜100倍に増大することである(Mayevsky, Brain Res.
524:1-9,1990; Mitani and Katoaka, Neuroscience 42:661-670, 1991)。これ
らの興奮毒性アミノ酸は、細胞内貯蔵所からのカルシウム放出および最終的には
新規の遺伝子の発現を含めたその後の一連の事象の引き金となる。死んだニュー
ロンならびに認識および行動機能の不可逆的損失は、初期虚血後数時間で起こる
このカスケードの結果である。
【0005】 抗卒中治療の目標は、できるだけ多くのニューロンを救うためには、ニューロ
ン死のカスケードにおいてそれが不可逆的になる前に介入することである。研究
実体は、この理論的可能性が実際的目標であることを示す。例えば、いくつかの
天然タンパク質は、in vitroでの興奮毒性損傷後、またはin vivoでの実験的虚 血後のニューロン死を防止し得る(Berlove et al., Soc. Neurosci. 17:1267,
1991; Shigeno et al., J. Neurosci. 11:2914-2919, 1991)。これらのタンパ ク質(神経生長因子、脳由来神経栄養因子、塩基性繊維芽細胞増殖因子、毛様体
神経栄養因子等を含む)は2つの構造的に関連したタンパク質族、即ちニューロ
トロフィンおよびサイトカインに由来し、そして中枢および末梢神経系における
ニューロン分化の制御に関与する。これらのタンパク質が虚血からニューロンを
防護する最も考え得るメカニズムは、種々の遺伝子の発現を包含すると思われる
。おそらく、それらの遺伝子生成物は興奮毒素が引き金となる、そして細胞内貯
蔵所からのカルシウムの放出を伴い得る細胞死プログラムを阻止する。最も興味
深い従来の知見の一つは、これらの神経栄養因子のいくつかが、損傷後10分ま
でに適用されると、ニューロンを死から防御し得ることを示す(Shigeno et al.
, 1991)。
【0006】 大脳虚血の神経変性作用を治療するために用いられる化合物のその他の例とし
ては、電位依存性カルシウムチャンネルと結合してそれを遮断するω−コノトキ
シンペプチドおよび関連ペプチドを用いた虚血関連ニューロン損傷の治療方法を
記載する米国特許第5,559,095号、ならびにある種のオピオイドペプチドを用い た治療を記載する米国特許第4,684,624号が挙げられる。これらのペプチドは、 ニューロトロフィンまたはサイトカインとは無関係である。
【0007】 ニューロトロフィンの神経保護作用が奨励されつつある一方で、血液脳関門(
BBB)を通過する有効な送達を阻止するそれらのサイズの大きさ(10kDま
たはそれ以上)により、それらの考え得る臨床適用が限定される。BBBを通過
して大脳虚血により危険に曝されたニューロンに作用し得る神経保護分子は、卒
中の治療においてより有効である。卒中の虚血作用に対してニューロンを防御す
る分子は、アルツハイマー病、ならびに老化の過程の特徴である記憶欠損を治療
するのにも有用である。
【0008】 [発明の概要] ペプチドはニューロトロフィンから得られ、より大きいタンパク質の神経保護
能力を保持し得る、ということがここに発見された。ペプチドのアミノ酸配列が
部分的に得られるタンパク質であるエペンジミンの神経保護作用を保持するペプ
チドが調製された。カルシウム結合タンパク質のEF−ハンド規則に合致するペ
プチドが神経保護性である、ということも発見された。
【0009】 本発明の一局面によれば、単離ペプチドを包含する組成物が提供される。ペプ
チドは、配列番号1(SEQ ID NO:1)のアミノ酸配列を含む。ある実施態様では、 単離ペプチドは配列番号2のアミノ酸配列を含む。他の実施態様では、単離ペプ
チドはカルシウムを結合する。さらにその他の実施態様では、単離ペプチドは、
配列番号1のアミノ酸配列の1つ又はそれ以上のカルシウム配位残基を欠く。好
ましくは、前記の単離ペプチドは、配列番号3のアミノ酸配列を含み、さらに好
ましくは、本質的には配列番号3のアミノ酸配列から成る。
【0010】 本発明のもう一つの局面によれば、単離ペプチドを包含する組成物が提供され
る。単離ペプチドは、配列番号19のアミノ酸配列を含み、ある実施態様では、
配列番号10のアミノ酸配列を含む。好ましい実施態様では、単離ペプチドは配
列番号11〜18のいずれかのアミノ酸配列を含む。好ましくは前記の単離ペプ
チドは、カルシウムを結合する。
【0011】 前記の組成物中では、単離ペプチドは、単離ペプチドの1つ又はそれ以上のN
末端およびC末端上に1〜6個のアミノ酸も含み、アミノ酸はリシンおよびアル
ギニンから成る群から選択される。これらの組成物のある種の実施態様では、単
離ペプチドは、単離ペプチドのN末端またはC末端上に2〜4個のリシンおよび
/またはアルギニンを包含する。好ましい実施態様では、単離ペプチドは、配列
番号4、配列番号5および配列番号9から成る群から選択され、最も好ましくは
配列番号4である。
【0012】 前記の組成物中では、単離ペプチドは脂肪酸も含有し得る。好ましい脂肪酸と
してはドコサヘキサエン酸が挙げられる。
【0013】 前記の組成物のある実施態様では、単離ペプチドは非加水分解可能性であって
、これは、ペプチド結合がL−アミノ酸間に形成されるペプチド結合より容易に
加水分解されにくいことを意味する。好ましい非加水分解可能性ペプチドとして
は、D−アミノ酸を包含するペプチド、−psi[CHNH]−還元アミドペ
プチド結合を包含するペプチド、−psi[COCH]−ケトメチレンペプチ
ド結合を包含するペプチド、−psi[CH(CN)NH]−(シアノメチレン
)アミノペプチド結合を包含するペプチド、−psi[CHCH(OH)]−
ヒドロキシエチレンペプチド結合を包含するペプチド、−psi[CHO]−
ペプチド結合を包含するペプチドおよび−psi[CHS]−チオメチレンペ
プチド結合を包含するペプチドから成る群から選択されるものが挙げられる。最
も好ましい単離ペプチドは、1〜3個のD−アミノ酸を含むものである。
【0014】 前記の組成物中では、単離ペプチドは4〜25アミノ酸長、好ましくは10〜
20アミノ酸長である。
【0015】 本発明のいくつかの実施態様では、単離ペプチドは血液脳関門を通過して脳中
への輸送を促進する化合物と共役結合される。血液脳関門輸送化合物は、好まし
くは、ドコサヘキサエン酸、トランスフェリン受容体結合抗体、陽イオン化アル
ブミン、Met−エンケファリン、脂質形態のジヒドロピリジンおよび陽イオン
化抗体から成る群から選択される。
【0016】 本発明の別の局面によれば、大脳虚血を特徴とする症状を有する被験者の治療
方法が提供される。その方法は、被験者における大脳虚血の神経毒作用を低減す
るのに有効な量の配列番号1のアミノ酸配列を包含する単離ペプチドを被験者に
投与する工程を含む。ある実施態様では、単離ペプチドは大脳虚血事象後に被験
者に投与される。他の実施態様では、単離ペプチドは配列番号2、配列番号3、
配列番号4および配列番号5から成る群から選択されるアミノ酸配列を包含する
。単離ペプチドはさらに、血液脳関門を通過して大脳中への輸送を促進する化合
物と共役結合され得るし、あるいは本方法は血液脳関門を通過する輸送を増大す
る化合物を投与することを含み得る。
【0017】 本発明の別の局面では、被験者におけるニューロン細胞AP−1またはNF−
IL6転写因子活性を増大するための方法が提供される。本方法は、被験者にお
けるAP−1またはNF−IL6の活性を増大するのに有効な量の配列番号1の
アミノ酸配列を包含する単離ペプチドを被験者に投与することを含む。いくつか
の実施態様では、単離ペプチドは配列番号2、配列番号3、配列番号4および配
列番号5から成る群から選択されるアミノ酸配列を包含する。単離ペプチドはさ
らに、血液脳関門を通過して大脳中への輸送を促進する化合物と共役結合され得
るし、あるいは本方法は、血液脳関門を通過する輸送を増大する化合物を投与す
ることを含み得る。
【0018】 本発明のさらに別の局面によれば、製剤組成物が提供される。製剤組成物は、
配列番号1のアミノ酸配列を包含する単離ペプチド、ならびに製薬上許容可能な
担体を含有する。好ましくは、ペプチドは、大脳虚血の神経毒性作用を低減する
。製剤組成物は、血液脳関門を通過して脳中への輸送を促進する化合物をも含み
、その化合物は単離ペプチドに共役結合され得る。
【0019】 本発明の別の局面によれば、カルシウムを結合するための方法が提供される。
本方法は、カルシウム含有環境を前記の組成物の1つ、好ましくは配列番号10
のアミノ酸配列を包含する単離ペプチドを含む組成物と接触させることを含む。
【0020】 本発明の別の局面は、カルシウム結合ペプチドの同定方法を提供する。本方法
は、推定カルシウム結合ペプチドを提供し、推定カルシウム結合ペプチドをカル
シウムを含有する環境と接触させ、そしてペプチドのカルシウム結合を確定する
工程を含む。ある実施態様では、推定カルシウム結合ペプチドは、配列番号1ま
たは配列番号19のアミノ酸配列の変異体である。他の実施態様では、推定カル
シウム結合ペプチドを提供する工程は、配列番号1および/または配列番号19
のアミノ酸配列を包含するペプチドを有するライブラリーを提供することを含む
【0021】 本発明の別の局面は、AP−1またはNF−IL6転写因子活性を増大するペ
プチドの同定方法を提供する。本方法は、ペプチドを提供し、ペプチドをAP−
1またはNF−IL6転写因子活性を発現し得る細胞と接触させ、そしてAP−
1またはNF−IL6転写因子活性を確定して、 AP−1またはNF−IL6 転写因子活性を増大するペプチドを同定する工程を含む。ある実施態様では、ペ
プチドは配列番号1または配列番号19のアミノ酸配列の変異体である。他の実
施態様では、ペプチドを提供する工程は配列番号1および/または配列番号19
のアミノ酸配列を包含するペプチドを有するライブラリーを提供することを含む
【0022】 本発明の別の局面によれば、単離核酸が提供される。核酸は、前記の単離ペプ
チドの1つをコードする。さらに、ベクター、例えば前記の単離核酸を包含する
発現ベクターも、本発明に含まれる。
【0023】 薬剤の調製における前記の組成物、単離ペプチドおよび単離核酸の使用も提供
される。
【0024】 本発明のこれらのおよびその他の局面を、以下でさらに詳細に説明する。
【0025】 [本発明の詳しい説明] 本発明は、単離ペプチドを包含する組成物に関する。単離ペプチドは、虚血事
象の前または後に投与された場合、それらが脳血管性虚血事象(例えば、卒中)
の神経変性作用を低減し得ることを特徴とする。したがって、本発明の組成物の
投与は、脳血管性虚血事象に追随するニューロンの損失を低減する。特に、以下
で実証されるように、単離ペプチドの投与は海馬のCA1ニューロンの損失を低
減する。単離ペプチドはさらに、カルシウムを有効に結合し得る。
【0026】 本明細書中で用いる場合、「単離された」とは、本明細書中に記載されたペプ
チドが天然状態ではない(例えば、それが天然に生じるより大きいタンパク質分
子から解離される)か、あるいは天然タンパク質の非天然断片(例えば、ペプチ
ドは25%未満、好ましくは10%未満、最も好ましくは5%未満の天然タンパ
ク質を包含する)であることを意味する。また、単離されたとは、例えば、配列
が天然配列から修飾されるため(例えばカルシウム結合アミノ酸の変化により)
、あるいは配列が天然に存在するフランキングアミノ酸を含有しないために、ペ
プチドのアミノ酸配列が天然には生じないことを意味し得る。
【0027】 単離ペプチドは、組換えまたは合成手段によりin vitroで調製された、および
/またはそのネイティブ状態のペプチドの一部分に対応しない部分(例えば、蛍
光、放射性または酵素標識、あるいは融合タンパク質を作製するための無関係な
配列のアミノ酸)の付着により修飾された生物抽出物から精製され得る。単離ペ
プチドは、単離ペプチドと、別のペプチド、例えばある細胞型または組織型に単
離ペプチドをターゲッティングして、検定条件下で単離ペプチドの安定性を増強
し、あるいは検出可能部分、例えばグリーン蛍光タンパク質を提供し得るペプチ
ドとの融合を包含するキメラタンパク質を含む。単離ペプチドに融合される部分
またはその断片は、例えば免疫学的認識により、または蛍光標識化によって、融
合タンパク質を容易に検出する手段を提供し得る。精製単離ペプチドとしては、
免疫クロマトグラフィー、HPLC、サイズ排除クロマトグラフィー、イオン交
換クロマトグラフィーおよび免疫アフィニティークロマトグラフィーを含めた、
しかしこれらに限定されない方法により単離されるペプチドが挙げられる。
【0028】 同様に、「単離された」とは、ペプチドをコードする核酸と関連して用いられ
る場合、前記のすべてを包含し、例えば単離核酸は、それらが天然に関連する隣
接ヌクレオチドから解離され、組換え的に、合成的に生物学的抽出物からの精製
により生成され得る。単離核酸は、前記のペプチドの1つをコードする部分と、
別のペプチドまたはタンパク質をコードする別の部分を含有し得る。単離核酸は
さらに、標識され得る。好ましくは、核酸は、哺乳類での使用が好ましいコドン
を含む。ある実施態様では、単離核酸はベクター、例えば発現ベクターであり、
これは、前記の単離ペプチドの1つをコードする核酸を含む。
【0029】 ある実施態様では、単離ペプチドは、配列番号1を含めたアミノ酸配列を有する
。単一文字アミノ酸略語を用いると、ペプチドは以下のように表される:
【0030】
【外1】
【0031】 各縦欄は、各位置で置換され得るアミノ酸を表す。Xは各々、その位置であらゆ
るアミノ酸が用いられ得ることを示す。神経保護ペプチドの神経保護作用を低減
しないアミノ酸による「X」位置での置換が好ましい。いくつかの例を以下に示
す。
【0032】 ある実施態様では、単離ペプチドはカルシウム結合ペプチドであり、その配列
はEF−ハンド規則に適合する(例えば、Tufty and Kretsinger, Science 187:
167-169, 1975参照)。例えば、配列番号1では、アミノ酸組成物中で制限され る6個のアミノ酸残基(位置1、3、5、7、9および12)は、その三次元配
座において、カルシウムイオンをキレート化する八面体構造(「ケージ」)を形
成する、と考えられる。単離ペプチドのカルシウム結合実施態様では、位置2、
4、6、8、10および11のアミノ酸は、カルシウムイオン結合が有意に低減
または排除される方法でペプチドの二次元または三次元構造を変えないあらゆる
アミノ酸であり得る。
【0033】 例えば、EF−ハンド規則および配列番号1に基づいたカルシウム結合ペプチ
ド配列は、以下の配列を含む:D−X−D−X−D−G−X−I−D−X−X−
E(配列番号2)。このペプチドは、「X」位置にあらゆるアミノ酸を有し得る
が、しかし好ましいアミノ酸は、ペプチドによりカルシウムイオン結合を実質的
に低減しないものである。
【0034】 ある例において、単離ペプチドのカルシウム結合を低減することが有益であり
得る。カルシウムイオンに対する結合親和性の低減を示すペプチドは、EF−ハ
ンド八面体ケージに変化させることにより調製され得る。これは、一般に、八面
体ケージを形成する位置で神経保護ペプチドのアミノ酸配列を変えることにより
成し遂げられ得る。例えば、1つ又はそれ以上の末端カルシウム配位残基の欠失
により配列番号1または配列番号2から変化する単離ペプチドが調製され得る。
EF−ハンドカルシウム配位に関与する1、2、3または4つのN末端またはC
末端残基を欠くペプチドが簡単に調製される。この種の置換は、「親」ペプチド
に比して長さの低減を示す、そして部分的八面体ケージを形成するペプチドを生
じる。好ましくは、2つの以下のカルシウム結合残基が変えられるに過ぎず、さ
らに好ましくは、1つの以下のカルシウム結合残基が変えられるに過ぎず、最も
好ましくはカルシウム結合残基は変えられない。
【0035】 したがって、いくつかの実施態様では、単離ペプチドは配列番号19のアミノ
酸を包含し、ある好ましい実施態様では、配列番号10のアミノ酸を包含する。
例えば、配列番号10で示されるアミノ酸配列を包含するペプチドは、配列番号
3のペプチドと同じくらいしっかりカルシウムをキレート化することが示されて
いる。さらに、このようなペプチドは配列番号10のいずれかの末端に付加され
るアミノ酸を有し得る。好ましくは、アミノ酸は、配列番号1および配列番号3
に従って付加される。例えば、1個のアミノ酸が配列番号10に付加される場合
、それは好ましくはN末端に付加され、そしてあらゆるアミノ酸であり得る(例
えば、配列番号1の位置4の「X」)。さらに好ましくは、配列番号3の位置4
に従って、Xはグリシンである。別のアミノ酸が配列番号10に付加されて10
アミノ酸ペプチドを作る場合、それは、好ましくはN末端に付加され、そして好
ましくは、D、N、TまたはE残基である。さらに好ましくは、アミノ酸は、配
列番号3の位置3に従って、Dである。第三のアミノ酸が配列番号10に付加さ
れて11アミノ酸ペプチドを作る場合、それは好ましくは、N末端に付加され、
そしてあらゆるアミノ酸であり得る(例えば、配列番号1の位置2の「X」)。
さらに好ましくは、Xは、配列番号3の位置2に従って、グリシンである。第四
のアミノ酸が配列番号10に付加されて12アミノ酸ペプチドを作る場合、それ
は好ましくは、N末端に付加され、そして好ましくはD、Q、GまたはY残基で
ある。さらに好ましくは、アミノ酸は、配列番号3の位置1に従って、Dである
【0036】 単離ペプチドにより結合するカルシウムは、EF−ハンド八面体ケージの内部
カルシウム結合アミノ酸(即ち非末端ケージアミノ酸)を非カルシウム結合アミ
ノ酸と置き換えることにより低減され得る。例えば、配列番号1の配列に言及す
ると、第五位置で、D、S、G、NまたはLでないアミノ酸を置換できる。この
種の置換は、「親」ペプチドと同じ長さを有するが、しかし一配位部位を欠いた
八面体ケージを形成するペプチドを生じる。同様の置換を1つより多い配位部位
において行うことができる。
【0037】 特に好ましいペプチドは、D−G−D−G−D−F−A−I−D−A−P−E
(配列番号3)で、これは一般にEF−ハンド規則に適合するが、但し、第七位
置はアスパラギン酸残基ではなく、したがって前記のEF−ハンド八面体ケージ
の「内部」置換の一例である。このペプチドは、下記の実施例で実証されるよう
に、神経保護活性を示す。このペプチドのC末端部分の設計は、ニューロン成長
因子エペンジミンの一部分との厳密でない類似性に基づいた。ペプチドそれ自体
は、成長刺激分子として作用し、ゲノム中の特定のプロモーター配列と結合する
転写因子の発現を誘導する。これらの転写因子AP−1およびNF−IL6は、
細胞増殖およびアポトーシスメカニズムの調節において活性であり、その平衡が
ニューロン細胞の成長を左右し得る、と考えられる。
【0038】 EF−ハンド八面体ケージにおける「末端」および「内部」置換の両方を含む
ペプチドも調製され得る。「末端」および「内部」修飾を併有するペプチドの例
は、ペプチドD−F−A−I−D−A−P−E(配列番号10)である。このペ
プチドは、それが配列番号3のペプチドの2つのN末端配位部位を欠いている場
合でも、カルシウムをキレート化する。
【0039】 前記ペプチドのいずれも、カルシウムキレート化の周知の検定によりカルシウム
結合に関して検査し得る(例えば、Cornell-Bell et al., Science 247:470-473
, 1990; Cornell-Bell et al., Cell Calcium 12:185-204, 1991参照)。例えば
、好ましい一方法は、カルシウム感受性染料フラ2を用いて、単離ペプチドによ
りカルシウムのキレート化を測定する。このような検定では、細胞はフラ2およ
びカルシウムとともに投入される。カルシウムイオンの存在下で、フラ2は、適
切な波長の励起放射線に曝露された場合に、特徴的発光スペクトルを示す。次に
単離ペプチドが細胞に付加され、フラ2蛍光の減少が確定される。用量反応実験
を実施して、単離ペプチドが完全にフラ2蛍光を消失させる濃度を確定すること
ができる。例えば、配列番号4の単離ペプチドは、細胞培地中で1pg/mlの濃度で
フラ2蛍光を完全に消失させる。3つのEF−ハンドカルシウム配位部位を欠く
配列番号10のペプチドは、配列番号4のペプチドの約半分の効力を有する。
【0040】 好ましい一ペプチド(配列番号3)は、最初は神経栄養タンパク質エペンジミ
ンの配列を基礎にして設計された。その他のニューロトロフィンタンパク質も、
神経保護および/またはカルシウム結合ペプチドであり得る単離ペプチドの調製
のための基礎として用いられ得る。ニューロトロフィン由来ペプチドは、特定の
ニューロトロフィンの神経保護活性(例えば、培養中でのニューロンの生存を促
進する等)を特異的に測定する検査において、ニューロトロフィン活性に関して
査定され得る。したがって、前記のように機能し、そして本発明の方法により容
易に単離され得るその他のペプチドが存在する、と当業者には認識される。
【0041】 その他の好ましい単離ペプチドは、ペプチドの一端または両端での塩基性アミ
ノ酸の付加により、前記の配列から変化する。概して、1〜6個のリシンまたは
アルギニン残基あるいはそれらの混合物が、N末端、C末端または両端で、前記
のペプチドのいずれかに付加され得る。好ましくは、2〜4個のリシンおよび/
またはアルギニンが単離ペプチドの一端または両端に組み入れられる。好例のペ
プチドとしては、配列番号4(K-K-D-G-D-G-D-F-A-I-D-A-P-E)、配列番号5(K
-K-K-K-D-G-D-G-D-F-A-I-D-A-P-E)および配列番号9(K-K-K-K-D-G-D-G-D-F-A-
I-D-A-P-E-K-K-K-K)が挙げられる。
【0042】 単離ペプチドのアミノ酸配列は、天然または非天然起源であり、即ちそれらは
天然分子の一片である天然ペプチド分子を包含し、天然分子から修飾された配列
を包含し、あるいは脳血管虚血事象後の分解からニューロンを保護し、AP−1
またはNF−IL6転写因子活性を増大し、および/またはカルシウムイオンを
結合する特性を保持する能力をペプチドが有する限りは、完全に合成され得る。
本発明の単離ペプチドは、また、前記の変化した様式であり得る。例えば、この
意味での単離ペプチドは、神経保護ペプチドおよび無関係なアミノ酸配列、配列
番号1〜5、9、10および19で示されるアミノ酸配列の合成ペプチド、標識
化ペプチド、非ペプチド分子に結合されたペプチド(例えば、ある種の薬剤送達
系における)、ならびに配列番号1〜5、9、10および19のアミノ酸配列を
含むその他の分子の融合タンパク質であり得る。
【0043】 単離ペプチドは、配列番号1または配列番号19の配列を有するライブラリー
として調製され得る。例えば、配列番号19を基礎にした半無作為オクタペプチ
ドのライブラリーは、以下のように調製され得る。好都合に、各ビーズが独自の
配列を含有するよう、リンカー(例えばGly−Gly−Gly)を用いて、あ
るいは用いずに、ペプチドはビーズ(例えばポリスチレン)に共有結合され得る
。ビーズとの結合は、所望の特性を有するペプチドに関するライブラリーのスク
リーニング後に、個々のペプチドの単離を促し得る。
【0044】 工程1。ビーズのプールを5つのアリコートに分ける。第一アリコートをAs
pと反応させ、第二アリコートをSerと、第三アリコートをGlyと、第四ア
リコートをAsnと、そして第五アリコートをLeuと反応させる。 工程2。5つのアリコートを併合し、次に20の均等なアリコートに分ける。
アリコートの各々を20のアミノ酸のうちの1つと反応させる。 工程3。20のアリコートを併合し、次に10のアリコートに分ける。各アリ
コートを、配列番号19の位置3のために示されるアミノ酸の1つと反応させる
【0045】 工程4〜8を、前記の工程と同様に実施して、配列番号19に対応するペプチ
ドのライブラリーを作製する。次に、特定の特性、例えばカルシウム結合または
AP−1活性の誘導を有するペプチドに関して、ライブラリーをスクリーニング
する。当業界での標準手法にしたがって、本明細書中に記載した機能に関する検
定を用いて、ペプチドの特性をスクリーニングする。例えば、ライブラリーを多
数のアリコートに分け、標本あたりのペプチド数を低減するために稀釈し、そし
てカルシウム結合に関して標本を検査する。カルシウムを結合する標本は、標本
あたり1個だけまたは2〜3個のペプチドになるまでさらに分けるかおよび/ま
たは稀釈し、カルシウム結合に関して再検査し得る。これらのペプチドのアミノ
酸配列を確定し、カルシウム結合を個別的に検査するために、ペプチド(単数ま
たは複数)を合成し得る。ファージ表示を含めたペプチドライブラリーを調製し
、スクリーニングするための多数のその他の方法は当業者には既知であり、本明
細書中に記載したペプチドに関してスクリーニングするために用いられ得る。
【0046】 ファージ表示は、本発明に有用な単離ペプチドを同定する場合に特に有効であ
り得る。要するに、従来の手法を用いて4〜約80のアミノ酸残基の挿入物を表
示するファージライブラリー(例えば、m13、fdまたはλファージを用いる
)を調製する。挿入物は、例えば前記のようなバイアス化変性列を示し得るし、
あるいは1つ又はそれ以上の位置でアミノ酸を完全に制限し得る(例えば、配列
番号1を基礎にしたライブラリーに関して)。次に、カルシウムを結合するファ
ージ保有挿入物を選択し得る。この工程は、カルシウムを結合するファージの再
選択の数回のサイクルにより反復され得る。何回も反復することにより、特定の
配列を保有するファージが濃厚化される。発現ポリペプチドの配列を同定するた
めに、DNA配列分析が実行され得る。カルシウムを結合する配列の最小線状部
分が確定され得る。最小線状部分の一部または全部を含有する挿入物+その上流
または下流の1つ又はそれ以上の付加的変性残基を含有するバイアス化ライブラ
リーを用いて、その手順を反復し得る。
【0047】 好ましくは、単離ペプチドは非加水分解可能性である。本明細書中で用いる場
合、非加水分解可能性とは、ペプチドのアミノ酸を連結する結合が、L−アミノ
酸間に形成されるペプチド結合ほど容易には加水分解されないことを意味する。
このようなペプチドを提供するために、非加水分解可能性ペプチド、例えば1つ
又はそれ以上のD−アミノ酸を含有するペプチド、あるいはアミノ酸を連結する
1つ又はそれ以上の非加水分解可能性ペプチド結合を含有するペプチドのライブ
ラリーから、単離ペプチドを選択し得る。あるいは、実施例に記載された検定系
における好ましい機能(例えば、神経保護作用、カルシウム結合)に最適である
ペプチドを選択し、次に、必要な場合にはこのようなペプチドを修飾して、プロ
テアーゼによる加水分解能力を低減し得る。例えば、タンパク質分解的開裂に対
する感受性を確定するために、ペプチドを標識し、細胞抽出物または生成プロテ
アーゼとともにインキュベートした後、単離して、例えばペプチドおよびタンパ
ク質分解断片をシーケンシングすることにより、いずれのペプチド結合がタンパ
ク質分解を蒙りやすいかを確定する。あるいは、単離ペプチドのアミノ酸配列と
プロテアーゼのパネルの既知の開裂部位特異性とを比較することにより、潜在的
感受性ペプチド結合が同定され得る。このような検定結果に基づいて、ペプチド
のin vitro合成により、タンパク質分解を蒙りやすい個々のペプチド結合を非加
水分解可能性ペプチド結合と置換し得る。好ましくは、非加水分解可能性ペプチ
ド結合またはアミノ酸は、ペプチドのカルシウム結合および/または神経保護活
性を変えない。
【0048】 多数の非加水分解可能性ペプチド結合は、このような結合を含有するペプチド
の合成方法とともに、当業界では知られている。非加水分解可能性結合としては
、−psi[CHNH]−還元アミドペプチド結合、−psi[COCH
−ケトメチレンペプチド結合、−psi[CH(CN)NH]−(シアノメチレ
ン)アミノペプチド結合、−psi[CHCH(OH)]−ヒドロキシエチレ
ンペプチド結合、−psi[CHO]−ペプチド結合および−psi[CH S]−チオメチレンペプチド結合が挙げられる。
【0049】 ペプチドの非ペプチド類似体、例えば構造安定化または生分解軽減を提供する
ものも意図される。ペプチド模倣類似体は、非ペプチド部分による1つ又はそれ
以上の残基の置換によって選択されるペプチドを基礎にして調製され得る。好ま
しくは、非ペプチド部分はペプチドにその天然配座を保持させ、あるいは好まし
い配座、例えば生物活性配座を安定化する。ペプチドからの非ペプチド模倣類似
体の調製方法の一例は、Nachman et al., Regul. Pept. 57:359-370(1995)に 記載されている。ペプチドは、本明細書中で用いられる場合、前記のすべてを包
含する。
【0050】 同様に、ペプチドが機能する仕方に影響を及ぼさない、またはペプチドが機能
する仕方に好都合に影響を及ぼす種々の側基の付加を含めた種々の変更が成され
得る。このような変更は、荷電基の付加または除去、結合に作用せず血液脳関門
を通過する送達を促す分子の全体的荷電特徴に影響を及ぼす親油性部分の付加等
を包含し得る。このような変化の各々に関しては、分子が本発明にしたがって機
能するか否かを検査するためにはルーチン実験が必要なだけである。所望の変更
を簡単に成し得るかまたは所望のペプチドを選択し、実施例に詳細に説明するよ
うな方式でそれを適用し得る。例えば、ペプチド(修飾化または非修飾化)がニ
ューロトロフィン機能の検査で活性である場合、またはこのようなペプチドがニ
ューロトロフィン機能の検査で親ニューロトロフィンと競合する場合には、ペプ
チドは機能性ニューロトロフィンペプチドである。ペプチド(修飾化または非修
飾化)がカルシウム結合の検査で活性である場合には、ペプチドは機能性カルシ
ウム結合ペプチドである。
【0051】 本発明は、単離ペプチドの機能性変異体も包含する。本明細書中で用いる場合
、単離ペプチドの「機能性変異体」または「変異体」とは、単離ペプチドの一次
アミノ酸配列に対する1つ又はそれ以上の修飾を含有し、本明細書中に開示した
特性を保持するペプチドである。単離ペプチドの機能性変異体を作製する修飾は
、例えば、1)単離ペプチドの特性、例えば発現系におけるペプチド安定性を増
強し、2)単離ペプチドに新規の活性または特性、例えば抗原エピトープの付加
または検出可能部分の付加を提供し、あるいは3)同一または類似のペプチド特
性を生じる異なるアミノ酸配列を提供するために成され得る。単離ペプチドに対
する修飾は、ペプチドをコードする核酸に対して成され、その例としては、欠失
、点突然変異、トランケーション、アミノ酸置換およびアミノ酸の付加が挙げら
れ得る。あるいは、修飾は、例えば開裂、リンカー分子の付加、検出可能部分、
例えばビオチンの付加、脂肪酸の付加、あるアミノ酸の他のアミノ酸での置換等
により、ペプチドに対して直接成され得る。修飾は、単離ペプチドアミノ酸配列
の全部または一部を含む融合タンパク質も包含し得る。
【0052】 変異体が配列番号1〜5、9、10または19のアミノ酸に対する変化を包含
する場合には、保存性アミノ酸置換、即ち、元のアミノ酸の特性、例えば電荷、
疎水性、配座等を保持する置換を有する単離ペプチドの機能性変異体が典型的に
は好ましい。アミノ酸の保存性置換の例としては、以下の群内のアミノ酸の1つ
を作る置換が挙げられる:(a)M、I、L、V;(b)F、Y、W;(c)K
、R、H;(d)A、G;(e)S、T;(f)Q、N;ならびに(g)E、D
【0053】 当業者はアミノ酸配列の変化のペプチド配座に及ぼす作用を予測する方法をよ
く知っており、したがって、既知の方法により類似の配座を保持する変異体単離
ペプチドを「設計」し得る。このような方法の一例は、Dahiyat and Mayo(Scie
nce 278:82-87, 1997)に記載されており、それによりタンパク質はde novoに設
計され得る。その方法は、本明細書中に記載した単離ペプチドに適用して、アミ
ノ酸配列の一部だけを変え得る。 DahiyatとMayoのコンピューターによる方法を
適用することにより、単離ペプチドの特定の変異体が設計され、合成され、その
後、本明細書中に記載した検定において機能に関して検査されて、変異体ペプチ
ドが所望の機能を保持するか否かが確定され得る。
【0054】 単離ペプチドの機能性変異体を同定するためのその他の方法は、Stromingerと
Wucherpfennig(US/96/03182)の発表済みPCT出願に提示されている。これら
の方法は、考え得るエピトープが比較され得るアミノ酸配列モチーフの開発に期
待を掛けている。各モチーフは、各々の(相対的な)位置の残基が(a)単一残
基に制限され、(b)制限組の残基のうちの1つを変えさせ、あるいは(c)す
べての考え得る残基のうちの1つを変えさせ得る限定組のアミノ酸配列を説明す
る。例えば、モチーフは、第一の位置の残基が残基バリン、ロイシン、イソロイ
シン、メチオニンまたはフェニルアラニンのいずれかであり得るし、第二の位置
の残基がヒスチジンでなければ成らず、第三位置の残基があらゆるアミノ酸残基
であり得るし、第四の位置の残基が残基バリン、ロイシン、イソロイシン、メチ
オニン、フェニルアラニン、チロシンまたはトリプトファンのいずれかであり得
るし、そして第五の位置の残基がリシンでなければならない等ということを特定
し得る。
【0055】 神経保護ペプチド機能性変異体に関する配列モチーフは、本明細書中に開示した
神経保護ペプチドのペプチド構造および配座の分析によりさらに開発され得る。
神経保護ペプチドの接触表面の形成に関与する残基の詳細な構造的分析を提供す
ることにより、同様の結合特性を有する配列モチーフの予測を成し得る。
【0056】 探索、評価または設計判定基準としてこれらの配列モチーフを用いて、開示さ
れた単離ペプチドの標的と結合し、神経保護反応を誘導し、および/またはカル
シウムを結合する合理的可能性を有するペプチド(本明細書中に開示した単離ペ
プチドの機能性変異体)の種類を同定することができる。これらのペプチドは、
合成され、本明細書中に記載したような活性に関して検査され得る。これらのモ
チーフの使用は、純粋配列相同性(機能的に類似するがしかし配列は全く異なる
多数のペプチドを除く)または非限定性「保存的」置換を伴う配列相同性(重大
な高保存部位で異なる多数のペプチドを含む)と対照したものとして、脳血管性
虚血、卒中等の神経変性作用の治療における考え得る適用に関して当業者が評価
し得る方法を示す。
【0057】 したがって、単離ペプチドの機能性変異体の同定方法が提供される。概して、
本方法は、単離ペプチド、例えば配列番号3のアミノ酸配列を包含する単離ペプ
チドを選択する工程を含む。単離ペプチドの一次アミノ酸残基は、変異体ペプチ
ドを調製するために突然変異を起こされる。一実施態様では、アミノ酸残基は、
前記のStromingerとWucherpfennigのPCT出願に記載された原則にしたがって 突然変異化され得る。他の実施態様では、一次アミノ酸残基の突然変異は、ペプ
チド配座のコンピューターモデルを用いて選択され、検査され得る。類似の配座
(例えば二次構造)を保持する突然変異化残基を保有するペプチドは、本明細書
中に記載した検定を用いて機能に関して検査され得る考え得る機能性変異体を考
察し得る。変異体ペプチドを調製するためのあらゆる方法、例えば変異体ペプチ
ドの合成、突然変異化核酸分子を用いた変異体ペプチドの組換え的生成等が用い
られ得る。次に、前記の単離ペプチドに関連した変異体ペプチドの特性は、本明
細書中に記載した標準手法にしたがって確定され得る。
【0058】 前記の方法のいずれかにより調製される単離ペプチドの変異体は、アミノ酸配
列を確定し、したがってこのような変異体をコードするヌクレオチド配列を推論
するために、必要な場合にはシーケンシングされ得る。
【0059】 前記のもののような単離ペプチドは、好ましくは容易に合成され、単離される
ために十分に短く、さらに、大脳虚血の神経変性作用を有効に低減しおよび/ま
たはカルシウムを結合するために十分に長い。したがって、好ましいペプチドは
、5〜25アミノ酸長、例えば5、6、7、8、9、10、11、12、13、
14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24または2
5アミノ酸長である。さらに好ましくは、ペプチドは8〜20アミノ酸長である
。当業者は、このようなペプチドを調製しそして単離するための方法、例えば合
成化学または組換え生物学的方法に精通している。
【0060】 本発明に有用なペプチドは線状であり、あるいは環状であり得るかまたは天然
または合成手段により環化され得る。例えば、システイン残基間のジスルフィド
結合は、ペプチド配列を環化し得る。二価性試薬は、ペプチドの2またはそれ以
上のアミノ酸間の結合を提供するために用いられ得る。ペプチドの環化のための
その他の方法、例えばAnwer等(Int. J. Pep. Protein Res. 36:392-399, 1990 )およびRivera-Baeza等(Neuropeptides 30:327-333, 1996)に記載された方法
も、当業者には既知である。
【0061】 ペプチドの非ペプチド類似体、例えば構造安定化または生分解軽減を提供する
ものも意図される。ペプチド模倣類似体は、非ペプチド部分による1つ又はそれ
以上の残基の置換によって選択されるペプチドを基礎にして調製され得る。好ま
しくは、非ペプチド部分はペプチドにその天然配座を保持させ、あるいは好まし
い配座、例えば生物活性配座を安定化する。ペプチドからの非ペプチド模倣類似
体の調製方法の一例は、Nachman et al., Regul. Pept. 57:359-370(1995)に 記載されている。ペプチドは、本明細書中で用いられる場合、前記のすべてを包
含する。
【0062】 いくつかの環境下では、単離ペプチドを、血液脳関門(BBB)を通過するペ
プチドの輸送を促す化合物と共役結合するのが好ましい。本明細書中で用いる場
合、BBBを通過する輸送を促す化合物は、非共役結合ペプチドと比較して、ペ
プチドと共役結合された場合に、脳に送達されるペプチドの量を助長するもので
ある。化合物は、任意のメカニズムにより、例えば受容体媒介性輸送および拡散
によってBBBを通過する輸送を誘導し得る。
【0063】 BBBを通過する輸送を促す化合物としては、トランスフェリン受容体結合抗
体(米国特許第5,527,527号)、ある種の脂質形態のジヒドロピリジン(例えば 、米国特許第5,525,727号参照)、担体ペプチド、例えば陽イオン化アルブミン またはMet−エンケファリン(ならびに米国特許第5,442,043号、第4,902,505
号および第4,801,575号に開示された他のもの)、陽イオン化抗体(米国特許第5
,004,697号)、脂肪酸、例えばドコサヘキサエン酸(DHA、米国特許第4,933,
324号)、ならびに0〜6個の二重結合を有するC8〜C24の脂肪酸グリセリ ル脂質、コレステロール、ポリアルギニン(例えば、RR、RRR、RRRR)
およびポリリシン(例えば、KK、KKK、KKKK)が挙げられる。本発明に
包含される非分枝天然脂肪酸としては、C8:0(カプリル酸)、C10:0(
カプリン酸)、C12:0(ラウリン酸)、C14:0(ミリスチン酸)、C1
6:0(パルミチン酸)、C16:1(パルミトレイン酸)、C16:2、C1
8:0(ステアリン酸)、C18:1(オレイン酸)、C18:1〜7(バクセ
ン酸)、C18:2〜6(リノール酸)、C18:3−3(α−リノレン酸)、
C18:3−5(エレオステアリン酸)、C18:3−6(β−リノレン酸)、
C18:4−3、C20:1(ゴンドン酸)、C20:2−6、C20:3−6
(ジホモ−y−リノレン酸)、C20:4−3、C20:4−6(アラキドン酸
)、C20:5−3(エイコサペンタエン酸)、C22:1(ドコサン酸)、C
22:4−6(ドコサテトラエン酸)、C22:5−6(ドコサペンタエン酸)
、C22:5−3(ドコサペンタエン酸)、C22:6−3(ドコサヘキサエン
酸)およびC24:1−9(ネルボン酸)が挙げられる。非常に好ましい非分枝
天然脂肪酸は、炭素数14〜22のものである。最も好ましい脂肪酸は、ドコサ
ヘキサエン酸である。その他のBBB担体分子およびこのような担体とペプチド
を共役結合するための方法は、当業者には既知である。このようなBBB輸送分
子は、ペプチドの1つ又はそれ以上の末端と共役結合し得る。
【0064】 単離ペプチドは、周知の方法、例えば二機能リンカー、融合ポリペプチドの生
成、ならびにビオチンまたはストレトアビジン/アビジンをペプチドおよびBB
B輸送促進化合物に対する相補的分子に結合することによるビオチン/ストレプ
トアビジンまたはビオチン/アビジン複合体の生成によりこのような化合物と共
役結合され得る。単離ペプチドおよびターゲッティング剤または血液脳関門輸送
化合物中の反応基の性質によって、前記の構成成分の官能基を同時にまたは連続
的に、互いに反応させることにより共役体が生成され得る。例えば、輸送媒介化
合物は、例えばカルボキシル末端にスルフヒドリル基を用いて調製され、次にこ
れは誘導化剤と結合されて、担体分子を生成し得る。次に、担体分子はそのスル
フヒドリル基を介してペプチドに結合される。多数のその他の可能な結合が当業
者に知られている。
【0065】 ペプチドおよびターゲッティング剤またはBBB輸送促進化合物の共役体は、
当業者に既知の結合化学を用いて、作用物質または化合物およびペプチドの官能
基に結合を、好ましくは共有結合を形成させることにより、生成される。共有結
合を形成するための多数の当業界で既知の方法が用いられ得る(例えば、March,
J., Advanced Organic Chemistry, 4th Ed., New York, NY, Wiley and Sons,
1985, pp.326-1120参照)。
【0066】 共役形態で活性低減を示すペプチドに関しては、ペプチドとBBB輸送媒介化
合物との間の共有結合は、それがBBBを通過するペプチドの輸送後に開裂され
、それにより遊離ペプチドが脳に放出されるように、十分に不安定である(例え
ば、脳中に存在する酵素により酵素的に開裂される)ように選択される。当業者
に既知の生物学的に不安定な共有結合、例えばイミノ結合、および「活性」エス
テルを用いてプロドラッグが生成され得るが、この場合、共有結合したペプチド
は、ペプチド単独の活性と比較して低減した、活性を示すことが判明している。
不安定結合の例は、米国特許第5,108,921号(Low等に刊行された)に記載されて
いる。
【0067】 ペプチドが、結合反応に関与し得るアミノ−またはカルボキシル末端官能基を
有さない場合、このような基は、例えば合成または部位特異的突然変異誘発によ
りシステイン(反応性チオール基を含有)をペプチドに導入することにより導入
され得る。ジスルフィド結合は、例えばペプチド中のチオール基とBBB輸送媒
介化合物との間に形成され得る。あるいは、共有結合は、二機能性架橋剤、例え
ばビスマレイミドヘキサン(チオール−反応性マレイミド基を含有し、遊離チオ
ールと共有結合を形成する)を用いて形成され得る。ホモ−およびヘテロ−二機
能性架橋剤、チオール含有アミンおよび反応基を有するその他の分子の例の一覧
に関しては、Pierce Co., Immunotechnology Catalogue and Handbook Vol. 1を
参照されたい。
【0068】 ペプチドを誘導化剤および/または細胞外作用物質と共有結合させるためのそ
の他の方法としては、例えばグルタルアルデヒド(Riechlin, Meth. Enzymology
70:159-165, 1980)、N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)− カルボジイミド(Goodfriend et al., Science 144:1344-1346, 1964)、ならび
にN−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミドとスク
シニル化担体の混合物(Klapper and Klotz, Meth. Enzymol. 25:531-536, 1972
)を包含する方法が挙げられる。概して、本発明の共役ペプチドは、それぞれの
共役ペプチド構成成分上の酸、アルデヒド、ヒドロキシ、アミノまたはヒドラゾ
基間にアミド、エステルまたはイミノ結合を形成するための周知の方法を用いて
調製され得る。当業者には明らかなように、ペプチドのアミノ酸側鎖中に(そし
ておそらくはBBB輸送媒介化合物中に)存在する反応性官能基は、好ましくは
、ペプチドを誘導化剤および/または細胞外作用物質に結合する前に望ましくな
い副作用を最小限にするために、保護化される。本明細書中で用いる場合、「保
護基」とは、官能基に結合され、それから選択的に除去されて反応性形態で官能
基に曝露され得る分子を指す。好ましくは、保護基は官能基と可逆的に結合され
、例えば、化学的またはその他の開裂方法を用いてそれから除去され得る。した
がって、例えば本発明のペプチドは、市販の側鎖遮断アミノ酸(例えば、Advanc
ed Chemtech Inc., Louisville, KYからのFMOC誘導化アミノ酸)を用いて合
成され得る。あるいは、ペプチド側鎖は、ペプチド合成後であるが共有結合反応
前に保護基と反応させ得る。このようにして、アミノ酸側鎖がBBB輸送媒介化
合物または細胞型特異的ターゲッティング剤とのペプチドの結合反応にいかなる
有意程度にも関与しない本発明の共役ペプチドが調製され得る。
【0069】 あるいは、血液脳関門(BBB)を通過する輸送を増大する化合物と組合せて
、ペプチドを投与するのが望ましい。ペプチドと共役される必要がないこのよう
な化合物は、BBBを通過して脳へのペプチドの輸送を増大する。BBBを通過
する輸送を増大する化合物は、例えば、BBBの透過性を、好ましくは一過性に
増大するものである。このような化合物とペプチドの同時投与は、ペプチドが透
過性化BBBを通過するのを可能にする。このような化合物の例としては、ブラ
ジキニンおよび作動薬誘導体(米国特許第5,112,596号)、ならびに受容体媒介 透過剤、例えばA−7(米国特許第5,268,164号および第5,506,206号)が挙げら
れる。
【0070】 本明細書中に記載した単離神経保護ペプチドは、大脳虚血の神経変性作用を防
止するそれらの能力を特徴とする。いかなる特定のメカニズムとも結びつけたく
はないが、しかし、ペプチドは、以下のメカニズムの一方または両方により神経
保護作用を発揮すると考えられる:ニューロンのアポトーシスを低減するための
転写因子、例えばAP−1およびNF−IL6の発現の調節、そしてカルシウム
イオンの神経毒作用を低減するためのカルシウムイオン結合。これらの特性、な
らびに神経保護の実験的徴候は、変異体神経保護ペプチドを作製し、検査するた
めの基礎を提供する。神経保護の徴候としては、卒中の標準動物モデルにおける
大脳虚血後の(1)AP−1および/またはNF−IL6の上向き調節、(2)
カルシウム結合、(3)培養中のニューロンの生存の促進、および(4)CA1
海馬ニューロンの防御が挙げられる。
【0071】 変異体ペプチドを含めたペプチドは、前記の特性のいずれかに対する保持に関
して検査され得る。例えば、いずれの変異体ペプチドがカルシウムイオンを結合
し、および/または転写因子の発現を刺激する能力を保持するかを確定するため
にin vitro特性に関して最初にペプチドは検査され得る。カルシウム結合のin v
itro検定は、カルシウムおよび蛍光カルシウム感受性染料を予備負荷した細胞の
ような、カルシウムを含有する環境とペプチドを接触させ、そしてペプチドのカ
ルシウム結合を確定する工程を含む。次に、1つ又はそれ以上のこれらの特性を
保持するペプチドは、後述するモンゴルネズミ検定のような神経保護のin vivo 検定に用いられ得る。標的化合物、標識、血液脳関門担体等と共役結合される神
経保護ペプチドまたはそれらの変異体は、神経保護活性の保持に関して、ならび
に共役化合物の活性に関して(例えば、適切なターゲッティング、検出可能標識
化、血液脳関門を通り抜ける能力等)検査され得る。
【0072】 例えば、下記に例示するように、変異体ペプチドは、転写因子AP−1および
NF−IL6の発現を定量する検定に用いられ得る。変異体ペプチドは、ニュー
ロンの成長および出芽を促進するそれらの能力に関しても検査され得る(Shasho
ua et al., J. Neurosci. Res. 32:239-244, 1992に記載)。さらに、変異体ペ プチドは、標準検定、例えばカルシウム感受性染料を用いる検定により、カルシ
ウムイオン結合に関して検査され得る。最後に、in vitro検定における本発明の
神経保護ペプチドと同様の特徴を示す変異体ペプチドに関しては、卒中のモンゴ
ルネズミモデルを用いた神経保護のin vivo検定を実施して、変異体ペプチドの 神経保護特性を評価し得る。
【0073】 機能性変異体ペプチドに関しては、機能性変異体ペプチドによる神経保護の効力
の確定として、方法は、変異体ペプチドの神経保護特性を1つ又はそれ以上の神
経保護ペプチドの神経保護特性と比較する工程を包含し得る。機能性変異体ペプ
チドを1つ又はそれ以上の神経保護ペプチドと比較することにより、神経保護特
性の増強を示す変異体ペプチドが選択され得る。
【0074】 神経保護ペプチドは、大脳虚血、例えば卒中を特徴とする症状の治療に有用で
ある。このようなペプチドは、神経保護ペプチド結合分子と結合する他の化合物
の選択のためにも有用である。例えば、神経保護ペプチドがニューロトロフィン
、例えばエペンジミンのアミノ酸配列に基づいている場合、神経保護ペプチドは
、ペプチドより貪欲にエペンジミン結合分子と結合する化合物を選択するための
競合検定に用いられ得る。ペプチドは大脳虚血の神経変性作用を低減するための
他の化合物、例えば神経保護ペプチドの分子構造または配座を基礎にした小分子
阻害剤の設計にも有用である。したがって、ペプチドは、疾患の治療のためにin
vivoで、ならびに神経変性を低減する化合物およびニューロトロフィン分子を 結合する化合物の設計および検査のためにin vitroで用いられ得る。ペプチドは
、ニューロトロフィン発現の診断検定に有用な抗体を生成するためにも用いられ
得る。最後に、ペプチドは、転写因子を作動させるために、またはカルシウムを
結合するために用いられ得る。
【0075】 単離ペプチドまたはその変異体をコードする核酸配列、ならびに緊縮条件下で
前記のヌクレオチド配列から成る核酸分子とハイブリッド形成するその他の核酸
配列も、本発明の一部である。「緊縮条件」という用語は、本明細書中で用いる
場合、当業界でよく知られたパラメーターを指す。核酸ハイブリッド形成パラメ
ーターは、このような方法を列挙する例えば以下のような参考文献中に見出され
る:Molecular Cloning: A Laboratory Manual, J. Sambrook, et al., eds., S
econd Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor,
New York, 1989またはCurrent Protocols in Molecular Biology, F.M. Ausubel
, et al., eds., John Wiley & Sons, Inc., New York。特に、緊縮条件は、本 明細書中で用いられる場合、ハイブリッド形成緩衝液(3.5xSSC、0.0
2%Ficoll、0.02%ポリビニルピロリドン、0.02%ウシ血清アルブミン
、25mMのNaHPO(pH7)、0.5%SDS、2mMのEDTA)
中での65℃でのハイブリッド形成を指す。SSCは、0.15Mの塩化ナトリ
ウム/0.15Mのクエン酸ナトリウム、pH7であり、SDSはドデシル硫酸
ナトリウムであり、そしてEDTAはエチレンジアミン四酢酸である。ハイブリ
ッド形成後、DNAが移される膜は室温で2xSSCで、次に65℃で0.1x
SSC/0.1xSDSで洗浄される。
【0076】 用いられ得る、そして同程度の緊縮を生じるその他の条件、試薬等が存在する
。当業者はこのような条件を周知であり、したがってそれらをここに示さない。
しかしながら、当業者は、本発明の神経保護ペプチドをコードする核酸の相同体
および対立遺伝子の明確な同定を可能にする方法で条件を操作し得る、と理解さ
れる。当業者は、その後ルーチンに単離されるこのような分子の発現、その後の
関連核酸分子の単離およびスクリーニングのための細胞およびライブラリーをス
クリーニングする方法を周知である。前記の核酸を含有するベクター、例えば発
現ベクターも、本発明に含まれる。当業者は、種々のクローニングおよび発現ベ
クターを、ならびにベクター中に核酸を挿入するための、特に、発現ベクター中
の核酸の有効な発現を提供するために、停止コドン、フレームシフトまたはその
他の突然変異を導入せずに、核酸をプロモーター配列と操作可能的に連結するた
めの方法を周知である。
【0077】 単離ペプチド、例えば配列番号1〜5、9、10および19の配列を有するペ
プチドを含有する組成物が、神経変性を特徴とする症状を治療するために被験者
に投与される。このような症状としては、大脳虚血を特徴とする症状、例えば卒
中、ならびに進行性ニューロン変性を特徴とするその他の症状、例えばアルツハ
イマー病が挙げられる。単離ペプチドは、このような治療を必要とする被験者に
このような症状、例えば卒中に起因するニューロン細胞変性を低減するのに有効
な量で投与される。
【0078】 大脳虚血後にニューロンを防御するペプチドまたはその他の化合物は、製剤組
成物の一部として投与され得る。このような製剤組成物は、当業界で既知のあら
ゆる標準的な製薬上許容可能な担体と組合せて、ペプチドを含有し得る。組成物
は無菌であり、治療的有効量のデコイペプチドまたはその他の治療化合物を患者
に投与するのに適した重量または容量の単位で含有すべきである。「製薬上許容
可能」という用語は、活性成分の生物学的活性の効力を妨げない非毒性物質を意
味する。担体の特徴は、投与経路によっている。製薬上許容可能な担体としては
、希釈剤、充填剤、塩、緩衝剤、安定剤、可溶化剤および当業界で周知のその他
の物質が挙げられる。
【0079】 治療的に用いられる場合、本発明の化合物は治療的有効量で投与される。概し
て、治療的有効量とは、治療される特定の症状の開始を遅延し、進行を阻止し、
あるいは全く停止するのに必要な量を意味する。治療的有効量は特に、卒中また
はその他の大脳虚血性発作後のニューロンの生存に望ましい影響を及ぼすもので
ある。一般に、治療的有効量は、被験者の年齢および症状、ならびに被験者にお
ける疾患の性質および程度に伴って変わり、これらはすべて当業者により確定さ
れ得る。投与量は、特にあらゆる合併症の事象において、個々の医者により調整
され得る。治療的有効量は、典型的には0.01mg/kg〜約1000mg/
kg、好ましくは約0.1mg/kg〜約200mg/kg、最も好ましくは約
0.2mg/kg〜約20mg/kgを1日1又はそれ以上の投与回数で、1〜
それ以上の日数の間である。
【0080】 投与される治療組成物の作用は、標準診断手法によりモニタリングされ得る。
例えば、卒中を派生する神経変性の治療では、神経保護ペプチドを含有する組成
物の投与はCA1海馬ニューロンの変性を低減する。治療後のCA1海馬ニュー
ロンの変性の低減は、MRIおよびCTスキャンを用いて査定され得る。神経変
性の他の徴候が利用可能であり(例えば卒中のモンゴルネズミ動物モデルにより
実証される運動活性の増大)、このような徴候はペプチド組成物を用いた治療後
の神経変性の診断にも用いられ得る。
【0081】 非経口投与用の製剤としては、滅菌水性または非水性溶液、懸濁液および乳濁
液が挙げられる。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリ
コール、植物油、例えばオリーブ油、ならびに注射可能有機エステル、例えばエ
チルオレエートである。水性担体としては、水、アルコール/水性溶液、乳濁液
または懸濁液、例えば生理的食塩水および緩衝化媒質が挙げられる。非経口ビヒ
クルとしては、塩化ナトリウム溶液、リンガーデキストロース、キシリトール、
デキストロースおよび塩化ナトリウム、乳酸化リンガーまたは固定油が挙げられ
る。静脈内ビヒクルとしては、流体および栄養補充物、電解質補充物(例えばリ
ンガーデキストロースまたはキシリトールを基礎にしたもの)等が挙げられる。
保存剤およびその他の添加物、例えば抗菌剤、酸化防止剤、キレート化剤および
不活性ガス等も存在し得る。
【0082】 本発明の治療薬は、あらゆる慣用的経路で、例えば注射により、あるいは経時
的漸進的注入により投与され得る。投与は、例えば経口的、静脈内、頭蓋内、腹
腔内、筋肉内、腔内、呼吸器内、皮下または経皮的であり得る。投与経路は、本
発明の特定の治療製剤の組成によっている。静注による投与は、大脳虚血事象、
例えば卒中の開始後には好ましい。
【0083】 本明細書中に記載した神経保護組成物は部位特異的手段によりニューロン細胞
に送達され得ると意図される。細胞型特異的送達は、ターゲッティング分子、例
えば罹患ニューロン細胞と選択的に結合するものとペプチドを共役結合すること
により提供され得る。ターゲッティングのための方法は、例えば米国特許第5,39
1,723号(Priest)に記載されているような共役体を含む。周知のターゲッティ ングビヒクルの別の例は、リポソームである。リポソームは、Gibco BRL(Gaith
ersburg, MD)から市販されている。標的化リポソームの作成に関して多数の方 法が発表されている。リポソーム送達は、細胞型特異的ターゲッティング分子を
含むリポソーム中にデコイペプチドを封入することにより提供され得る。特定の
種類の細胞への化合物の標的化送達のための方法は、当業者には周知である。
【0084】 その他の送達系としては、経時放出、遅延放出または持続放出性送達系が挙げ
られる。このような系は、本発明の活性化合物の反復投与を回避し、被験者およ
び医者に対する便利性を増大する。多数の種類の放出送達系が利用可能であり、
当業者に知られている。それらの例としては、ポリマーベース系、例えば、ポリ
乳酸およびポリグリコール酸、ポリ無水物およびポリカプロラクトン;脂質、例
えばステロール、例えばコレステロール、コレステロールエステルおよび脂肪酸
または中性脂肪、例えばモノ−、ジ−およびトリグリセリドである非ポリマー系
;ヒドロゲル放出系;シラスティック系;ペプチドベース系;慣用的結合剤およ
び賦形剤を用いた蝋コーティング、圧縮錠剤、部分的融合移植片等が挙げられる
。さらに、ポンプベースのハードウェア送達系が用いられ、それらのいくつかは
移植に適合される。
【0085】 長期持続放出性移植片も用いられ得る。「長期」放出とは、本明細書中で用い
る場合、移植片が治療レベルの活性成分を少なくとも30日間、好ましくは60
日間送達するために構築され、配置されることを意味する。長期持続放出性移植
片は、当業者には周知であり、その例としては、前記の放出系のいくつかが挙げ
られる。このような移植片は、再発性大脳虚血を特徴とする症状を治療するのに
特に有用であり、それにより局在性高用量の本発明の化合物が用いられる。
【0086】 [実施例] 実験方法: (a)in vivo検査方法:アレチネズミ(雄モンゴルネズミ)は、脳血管供給 が2つの総頸動脈のみにより制御されるために、虚血性卒中の研究用の実験モデ
ルとして広範に用いられてきた。この珍しい特徴は、それらが不完全ウィリス環
を有するために、アレチネズミに生じている(Chandler et al., J. Pharmacol.
Methods 14:137-146, 1985; Finkelstein et al., Restor. Neurol. Neurosci.
1:387-394, 1990; Levine and Sohn, Arch. Pathol. 87:315-317, 1969; Kahn,
Neurology 22:510-515, 1972)。5分間両側頸動脈閉塞は、主に海馬のCA1 亜野に局在するニューロン細胞死を引き起こす。CA1ニューロンは変性し、虚
血後7〜8日までには事実上消失する(Akira, Res. In Immunol. 143:734-736,
1992; Crain et al., Neurosci. 27:387-402, 1988)。さらに、アレチネズミ モデルは、虚血後1日以内に、動物がそれらの全身運動活性を100%〜200
%増大するという利点を有する。この容易に測定可能な変化は、ほとんどの実験
動物で少なくとも8日間存続する(Akira, 1992; Kuroiwa et al., Neurosci. L
ett. 122:141-144, 1991; Ohno et al., Eur. J. Pharmacol. 193:357-361, 199
1; Phills, Brain Res. Bull. 23:467-470, 1989)。このような結果は、有意の
組織学的変化が数日後まで脳には出現しない場合でも、罹患ニューロンが虚血後
1日以内に生理学的に非機能性になることを示す。
【0087】 (b)外科的手法:雄モンゴルネズミを、吸入装置(Stoelting Instrument C
o.)を用いてイソフルランと酸素の混合物で麻酔した。腹側頸部を切開し、総頸
動脈を単離して、微細動脈瘤クリップを用いて5分間完全に閉塞させた。次に、
クリップをはずして、切開を縫合した。静注および注入期間の終了まで麻酔を継
続した。手術中に左または右大腿静脈中に移植したポリエチレンカテーテルによ
り、平均動脈血圧をモニタリングした。直腸温度鉗子(Model 73A, Yellow Spri
ngs Instruments)に接続された加熱パッドおよび加熱ランプにより、アレチネ ズミのコア温度を制御した。注入終了時に、麻酔を中止し、加熱パッドを体温に
保持しながら、動物を回復させた。
【0088】 (c)行動査定:従来の研究は、虚血開始後2〜3時間以内に始まり、少なく
とも8日間持続するアレチネズミにおける自発性全身運動活性(GLA)を有意
に増大する(約2倍以上)ということを実証している(Gerhardt et al., Behav
. Neurosci. 102:310-303, 1988; Kuroiwa et al., 1991; Phillis, 1989)。こ
の機能亢進は、海馬に対する虚血性損傷の程度と相関するようであり、薬理学的
処置により低減される(Kuroiwa et al., 1991; Phillis 1989)。したがって、
GLA分析は、虚血性損傷から海馬ニューロンを救い出す場合の薬理学的処置の
力の効能の比較的に迅速な行動指標として用いられ得る。GLA分析を、詳細な
組織学的データとともに、虚血性卒中の治療のためのNMI9236の効能を評
価するために用いた。
【0089】 Stoeltingの電子活性モニターを用いて、30分間、GLA測定を実施した(S
hashoua et al., J. Med. Chem. 27:654-659, 1984; Jacob et al., J.Med. Che
m. 30:1573-1576, 1987)。実験的虚血操作の3日前および1日前に各アレチネ ズミ活性レベルを先ず査定して、ベースラインGLAデータを得て、次に頸動脈
閉塞後1、2、5および7日目に査定して薬剤処置の効能を確定した。検査期間
はすべて、1日のうちの同時間に実行した。8日目に、動物を屠殺し、それらの
脳を組織病理学的分析のために取り出した。
【0090】 (d)組織学的手法:屠殺時点で、各動物を深く麻酔して、ヘパリン化生理食
塩水を、その後、リン酸緩衝化生理食塩水中のパラホルムアルデヒド(4%)を
用いて、経心臓的に還流した。固定後、脳を30%スクロース中に3日間入れて
、グルタルアルデヒド−ゼラチン中に包埋し、形態測定分析のために30μ連続
切片に凍結切断し、クレシルバイオレットで染色した。Axioplan顕微鏡により観
察される300倍の灰色レベル画像のコンピューター補助計数により、1000
μ当たりの細胞密度を確定した。最大62%の海馬錐体細胞がNMI9236
の存在下で虚血から生き残ったが、これに比して対照生理食塩水非薬剤処置動物
に関しては4%であるということが確定された。分析はすべて盲検で実行した。
【0091】 実施例1:ペプチドNMI9236の合成 メリフィールド法(J. Am. Chem. Soc. 86:304, 1963)により、所定の場所で
の側鎖保護を有する14アミノ酸ペプチド(配列番号4;NMI9236)を先
ず合成した。4−ジメチルアミノピリジンの存在下で、DHA無水物をペプチド
のN末端残基と反応させることにより、NMI9236のN−置換ドコサヘキサ
エン酸(DHA)誘導体を合成した。要するに、ペプチドNMI9236(樹脂
に結合)を20mlのDMFで2回洗浄後、20%ピペリジン(Aldrich Chemic
al Co.)を含有するDMF20mlを付加した。混合物をアルゴンガス流により
10分間攪拌した。生成物を濾過し、DMFで3回、塩化メチレンで3回洗浄し
た。処理樹脂結合ペプチドを30mlのCHCl、20mlのベンゼン中の
DHA無水物、および0.15gの4−ジメチルアミノピリジンと併合した。混
合物をアルゴンガスを用いて5時間攪拌した。生成物を濾過し、30mlのCH Clで4回洗浄して、乾燥し、4℃で一夜保存した。修飾化ペプチドを放出
し、脱保護するために、樹脂を20mlの95/5TFA/フェノールおよび2
mlのメルカプトエタノールと混合した。混合物を室温で24時間放置した。放
出されたペプチドをHPLCにより精製した。約10mgのペプチドを合成し、
虚血性卒中に関するアレチネズミモデルの試験に用いた。
【0092】 実施例2:NMI9236の特性の評価 頭蓋内投与による虚血性卒中のin vivo防御 最初の実験では、虚血性卒中に関するアレチネズミモデルを用いて生物活性を
確立するために、頭蓋内カニューレによりペプチドを直接脳に送達した。
【0093】 雄モンゴルネズミを手術の第1期でハロタンと酸素の混合物を用いて麻酔し、
カニューレ(Alzet No. 2002ポンプ)を動物の皮下の肩胛骨中央部領域に皮下移
植した。このようなポンプは、2週間までの期間、カニューレを介して0.5μ
l/時を送達し得る。アクリルセメントを用いて頭蓋に留め付けられたボア孔を
通して、このポンプの出口を左側脳室に挿入した。各動物の温度を厳しく制御し
ながら、全外科手法を実行した。直腸温度をモニタリングし、温度調節加熱パッ
ドにより熱を供給した。4日間の期間中に手術から回復後、動物を再び麻酔して
、腹側頸部を切開し、総頸動脈を単離し、微細動脈瘤クランプを用いて5分間完
全に閉塞させた。次に、これらをはずして、切開を縫合し、手術を完了した。
【0094】 次に、動物を3群で試験した:第1群は、脳室内(icv)送達を介してAlze
tポンプから生理食塩水を摂取した。これらは、虚血からの最大損傷が生じた対 照を代表した。第2群は、標準生理食塩水1m1当たり1mgの溶液としてペプ
チドを摂取した。第3群は、手術は他の2群と同一であるが、しかし頸動脈を閉
塞せず、虚血が起こらなかった偽対照実験群であった。各Alzetポンプは、14 日間、即ち虚血前7日間と虚血後7日間、送達のために0.3mlの容量を含有
した。
【0095】 虚血後1〜8日目に、アレチネズミの自発性全身運動活性(GLA)を、活性
モニター装置で1時間測定した(Stewart et al., 1978)。自発性運動活性は、
虚血損傷の結果として2倍以上増大される、ということがアレチネズミモデルの
従来の研究で確立されている。虚血後8日目にCA1海馬ニューロンは死亡し、
脳から消失した。両側性損傷はこの虚血から起こり、動物は機能亢進になる(図
1参照)。この行動は、左右両側のCA1海馬ニューロン亜野への損傷の結果と
して、術後1日目に検出される。片方の脳が損傷されていない場合には、GLA
の増大は得られない(Kuroiwa et al., 1991; Phillis et al., 1989)。したが
って、自発性GLA測定値は、虚血の発症の迅速な行動指標として、そして神経
毒作用からニューロンを救い出すための薬理学的処置の効能の査定のために用い
られ得る。
【0096】 図1および2は、各試験群(n=4)からの動物に関するデータの要約を示す
。群中の各動物に関するGLAを、手術の1日前(1日目データは標準として用
いた)に測定したそれ自体のGLAと比較する。0日目が手術日であった。術後
1日目の虚血アレチネズミへの生理食塩水の脳室内(icv)送達は、GLAを
倍増して200%の平均値としたということが観察された。NMI9236を摂
取した群に関しては、GLAは80%に低減したが、これはペプチドが神経保護
作用を有したことを示す。このGLA結果は、偽操作対照に関して得られたGL
Aデータと、実験誤差内で、同一であった。
【0097】 これらの結果を、組織学的分析により確証した(図4および5参照)。術後8
日目に、アレチネズミを屠殺し、ホルマリンで還流固定し、各還流脳をグルタル
アルデヒド−ゼラチン中に包埋した。約300枚の連続切片(40μ厚)を各凍
結脳から切り出して、クレシルバイオレットで染色した。 Axioplan顕微鏡によ り観察された300倍の灰色レベル画像のコンピューター補助細胞密度計数によ
り、10切片毎に細胞形態測定分析を実施した。顕微鏡からZeiss IBAS/KONTRON
画像分析系のIBSビデオスクリーンへの焦点カメラ入力(Sony CCD)を標準化
し、細胞数を査定する前にセグメント化した。各々の左および右側に関するCA
1およびCA3錐体細胞層の1000μ領域当たりに存在する平均細胞密度を
確定した。分析は盲検で実行した。
【0098】 図4は、結果の要約を示す。NMI9236処理脳の左CA1および右CA1
側に関するデータは、少々予期せぬ、しかし非常に有用な結果を示した(図4お
よび5参照)。AlzetポンプからのNMI9236ペプチドの直接出力を摂取し た左側に位置するCA1細胞だけが、虚血から救い出された(L−CA1ニュー
ロンの生存率52±12%)。右側のCA1細胞は死亡し、8日間の虚血後期間
中に脳から消失した(R−CA1ニューロンの生存率4±2%)。これらの結果
は、ペプチドが、右CA1領域に達する前にプロテアーゼにより破壊されたこと
を、または神経保護を生じるには不十分な量のペプチドが右側に到達したことを
示唆する。この観察の一つの結論は、各々の脳切片がそれ自体の対照として役立
ち、それにより虚血が所定の脳中で実際に生じたか否かについてのあらゆる疑念
を排除したというものであった。この結果は図4に示してあるが、その場合、虚
血脳に関して見出される細胞密度(生理食塩水対照)は、左(L−CA1)およ
び右(R−CA1)の両方に関して0.6に過ぎず、NMI9236処置脳の右
CA1レベル、即ち非保護側に匹敵した。ペプチド処置脳のL−CA1は、6.
2という高細胞密度計数を示し、即ち偽操作対照脳に関して見出されたレベルの
50%であった。さらに、左および右CA3の細胞密度が各脳切片で同一である
という事実は、組織学的処理のための付加的内部対照を表した。図5は、試験し
た3群の各々からのある脳からの代表的切片の組織学的知見の略図であって、ペ
プチドNMI9236処置脳におけるL−CA1の回復とR−CA1細胞の非回
復(図5C)を、そして非ペプチド(生理食塩水)処理脳におけるCA1ニュー
ロンのほとんど完全な損失(図5B)を示す。
【0099】 NMI9236による処置に関するデータは、脳の片側のみへの適切な薬剤送
達も実証した。この分布は、いくつかの動物の脳への第三の血液供給の存在によ
る時折の擬陽性データに照査する。このような動物は、無傷で残存している左右
両方のCA1野を有する。異常脳血液供給を有するアレチネズミの例は、これら
の実験では見出されなかった。前記の結果は、ペプチドNMI9236が、in v
ivoで投与した場合、神経保護性であったことを示唆する。
【0100】 実施例3:ペプチドNMI9236の静脈内送達 卒中患者に有用である薬剤に関しては、一般にこのような事象が何時起こるか
を知ることはできないため、薬剤は、虚血性卒中後に投与される場合、好ましく
は神経保護を提供する。静脈内(i.v.)注射によるNMI9236の送達の
最初の実験で、ペプチドは、虚血事象後10分で投与された場合には、GLA増
強の発症を遮断する、ということが実証された(n=3,図1参照)。第二シリ
ーズの実験では、前脳脳動脈の閉塞後1時間目の1mg/kgの用量でのペプチ
ドの送達の効果を調べた。図3は、これらの結果を要約する。ペプチド処置、対
照非薬剤生理食塩水処置、および偽手術群のアレチネズミに、適切な溶液の50
μlアリコートを術後1時間目に大腿静脈中に注入した。NMI9236処置群
に関する平均GLA(1日目データの85%)値は、偽手術対照の場合と同一で
あった(図3参照)。生理食塩水処置対照群に関する平均GLA値は225%で
、海馬ニューロンの重度破壊と一致する結果であった。図3は、皮下(s.c.
)注射として手術後1時間目にペプチドを投与した別の対照も示す。この群に関
して得られたGLA値は200%で、これは、皮下経路によりペプチドを送達し
た場合、自発性全身運動活性により検定して、実証可能な神経保護効力が認めら
れなかったことを示す。おそらく、ペプチドは、血流中に入って、脳へのアクセ
スを獲得し始める前に、プロテアーゼにより破壊されたものと思われる。本明細
書中の別の箇所に記載した非加水分解可能性ペプチド類似体はこのような分解を
蒙らず、したがって、皮下注射で、ならびにその他の送達方式により、送達され
得る。
【0101】 これらの結果は、虚血開始後1時間目に送達された場合でも、静脈内経路によ
り脳に送達されると、ペプチドNMI9236は虚血発作からニューロンを防御
した、ということを示唆する。この知見の神経病理学的確証を、表1に要約する
。細胞計数の結果は、i.v.ボーラスとしてのNMI9236の送達が、細胞
死からCA1海馬ニューロンを救い出すのに非常に有効であったことを示す。全
体的虚血を蒙った薬剤処置脳の連続切片の分析は、薬剤が外傷後1時間で送達さ
れた場合には、本質的にすべての細胞が無傷で残存したことを示した。ビヒクル
のボーラスを摂取した対照虚血脳は、海馬のCA1領域で90%を上回る細胞損
失を有した。これらの知見は、薬剤投与の好ましい経路が静脈内注射であること
を示唆したが、しかし本明細書中の別の箇所に記載したその他の経路および送達
方式も許容可能である。
【0102】 表1 全体的虚血を蒙ったアレチネズミ脳の細胞密度の分析−i.v.薬剤送達データ
【表1】 虚血または偽手術後8日目に、全動物を屠殺した。細胞密度データは、20切
片の平均である(海馬脳領域の連続切片10枚毎に1つ)。 アレチネズミに5分間両側頸動脈閉塞を施して、虚血性卒中症状を生じさせた
。 (a)動物は、虚血後1時間目に、ビヒクル(生理食塩水)の50μlのi.
v.ボーラスを摂取した。これは、海馬のCA1領域の90%ニューロン細胞破
壊を引き起こしたが、CA3領域の損失は伴わなかった。 (b)動物は、虚血後1時間目に、生理食塩水中の1mg/kgの用量のNM
I9236の50μlのi.v.ボーラスを摂取した。偽手術対照と比較して、
海馬のCA1またはCA3領域のいずれにも有意のニューロン損失は認められな
かった。
【0103】 実施例4:ペプチドNMI9236の作用の分子メカニズムの研究 従来の研究では、NMI9236が、その68キロダルトン親タンパク質と少
なくとも同程度に、ニューロンの成長および出芽を促進することが実証された(
Shashoua et al., 1992)。本研究では、神経芽細胞腫培養を用いて、ペプチド NMI9236の作用の分子メカニズムを調べた。
【0104】 NMI9236が神経芽細胞腫組織培養実験におけるニューロン成長に関連し
た特定の遺伝子を作動し得る、ということが確定された。5〜50μ/mlのN
MI9236で処置したNB2aマウス神経芽細胞腫培養は、細胞の核中の2つ
の転写因子、即ちAP−1およびNF−IL6のレベルの増大を示したが、NF
−κBは活性化されなかった。
【0105】 ウエスタンブロットを用いて、種々のプロテインキナーゼの活性を検定した。
電気泳動移動度シフト検定(EMSA)を用いて、時間経過および用量反応実験
を実施して、一過性活性事象を同定した。
【0106】 NMI9236により作用されるキナーゼおよび転写因子の種類に基づいて、
薬剤により起動される主信号伝達経路および活性化されると思われる遺伝子精製
物の種類に関して、予測を立てた。次に、特定のmRNAに独特のプローブを用
いたノーザンブロットハイブリッド形成により、このような遺伝子精製物をスク
リーニングして、NMI9236により活性化される特定のmRNAの定常レベ
ルをモニタリングした(Adams et al., J. Mol. Biol. 187:465-478, 1986; Ada
ms et al., Gene 54:93-103, 1987)。いくつかの種類の対照実験を実施して、 NMI9236による刺激がペプチドそれ自体によるものであることを確立した
。脂肪酸担体(DHA)の作用を一対照として調べた。
【0107】 電気泳動移動度シフト検定(EMSA、検討のためには、Kerr. Meth. Enzymo
l, 254:619-632,1995参照)を用いて、特定の転写因子の活性化を検定した。古 典的核抽出プロトコールを用いて、刺激された神経芽細胞腫細胞培養(10
胞/標本)から、核抽出物を調製した(Dignam et al., Nucl. Acids Res. 11:1
475-1489, 1983; Prywes and Roeder, Cell 47:777-784, 1986)。合成32P標
識化オリゴマー二重鎖(特定の転写因子を結合することが既知の配列との、表2
参照)の0.5pmolアリコートを3μgの核抽出タンパク質と混合し、混合
物を室温で20分間インキュベートした。4%ポリアクリルアミドゲルを通す非
変性条件下でのその後の電気泳動を用いて、高分子量タンパク質/DNA複合体
(転写因子/DNAオリゴマー二重鎖)を分離し、分解して、低分子量非複合D
NAオリゴマーを生成した。オートラジオグラフィーを用いて、生成された複合
体を可視化し、定量した(図6参照)。
【0108】 表2
【表2】
【0109】 電気泳動移動度シフト検定(EMSA)を用いて、ペプチドNMI9236に
よる刺激の一関数としての神経芽細胞腫核中の転写因子AP−1およびNF−I
L6の濃度の変化を調べた。これら2つの因子は、細胞増殖および分化において
機能しそしてプロテインキナーゼ−Cにより活性化されることは周知である。図
6は、EMSAデータを示す。ペプチドNMI9236で20時間、外生的に処
置された神経芽細胞腫細胞は、対照と比較してAP−1の強力な活性化を示した
(上左パネルの中央レーン)。活性化は、30分では、あまり顕著でない(左レ
ーン)。血清無含有培地中で20時間ペプチドとともにインキュベートして血清
成長因子を除去した培養は、AP−1の非常に強い活性化を示した(右レーン)
。観察された2つのバンドのJun/FosヘテロダイマーおよびJun/Ju
nホモダイマーとしての同定は、それらの電気泳動移動、ならびに抗体試験(デ
ータは示されていない)に基づいた。EMSAの濃度測定スキャン(下左参照)
は、少なくとも3〜5倍のAP−1活性化を示したが、これはAP−1の1.5
倍活性化が転写を作動することが実証されているため、有意である。NF−κB
は、同様の実験で、刺激されず、これはNMI9236の作用に対する特異性が
認められなかったことを示す。
【0110】 観察されたEMSAバンドがAP−1族成員であるという証明を、冷プローブ
競合実験により確証した(図7)。AP−1信号は、3〜9倍過剰という少ない
冷AP−1プローブと部分的に競合し、18〜37倍過剰に全体的に競合する(
左レーン)が、一方37倍過剰(右レーン)の突然変異体AP−1オリゴは、部
分的にのみ競合した。
【0111】 図6は、NF−IL6に関するEMSAデータも示す(上右パネル)。ペプチ
ドNMI9236で20時間、外生的に処置された神経芽細胞腫細胞は、対照と
比較してNF−IL6の強力な活性化を示した(中央レーン)。活性化は、30
分では、あまり顕著でなかった(左レーン)。血清無含有培地中で20時間ペプ
チドとともにインキュベートして血清成長因子を除去した培養も、NF−IL6
の非常に強い活性化を示した(右レーン)。観察されたバンド(C/EBPa)
のNF−IL6としての同定は、その電気泳動移動、ならびに抗体試験(データ
は示されていない)に基づいた。EMSAの濃度測定スキャン(図6、下右レー
ン参照)は、対照と比較して、1μg/mlのペプチドNMI9236を用いた
インキュベーションによる少なくとも3〜5倍のNF−IL6活性化を示した。
【0112】 実施例5:in vitroのグルタメート誘導神経毒性に及ぼす神経保護ペプチドの
作用 神経保護ペプチドの作用を、ラット脳海馬細胞に関して調べた。18日齢ラッ
ト胎仔の解剖により、ラット脳海馬を単離した。細胞を、記載されたとおりに単
離した(Mattson and Kater, J. Neurosci. 7:4034-4043, 1987; Mattson et al
., J. Neurosci. 8:2087-2100, 1988; Mattson and Kater, Int. J. Dev. Neuro
sci. 6:439-452, 1988)。細胞を平板化する場合(10cm培養皿中)には、指
定濃度で、ペプチドNMI9236を培地中に付加した。次に培養を37℃で3
0分インキュベートし、その後、グルタメートを指定濃度で付加した。培養の3
日後に、細胞を計数した。健常細胞および総細胞を計数した。表3は、実験結果
を報告しているが、この結果は、NMI9236がグルタメートにより誘導され
た神経毒性を低減したことを実証する。
【0113】 表3 海馬ニューロン培養への付加
【表3】
【0114】 等価物 本明細書中に記載した本発明の特定の実施態様との多数の等価物を、当業者は
認識し、またはルーチン実験法のみを用いて確証し得る。このような等価物は、
特許請求の範囲に包含されるよう意図される。
【0115】 本明細書中で引用した参考文献はすべて、その記載内容全体が、参照により本
明細書中に含まれる。
【0116】 配列表を下記に示し、特許請求の範囲がそれに続く。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 前脳虚血後のアレチネズミの全身運動活性(GLA)の8日間記録を示す。
【図2】 前脳虚血後のアレチネズミのGLAに及ぼすNMI9236の作用を示す。
【図3】 アレチネズミのGLAに及ぼす虚血後1時間目のNMI9236の静脈内注射
の作用を示す。
【図4】 前脳虚血後のアレチネズミ脳における海馬ニューロンの異なる集団の生存の比
較を示す。
【図5A】 CAI海馬ニューロン生存に及ぼす虚血の作用を説明するアレチネズミ脳の横
断切片を示す写真である。
【図5B】 CAI海馬ニューロン生存に及ぼす虚血の作用を説明するアレチネズミ脳の横
断切片を示す写真である。
【図5C】 CAI海馬ニューロン生存に及ぼす虚血の作用を説明するアレチネズミ脳の横
断切片を示す写真である。
【図6】 神経芽細胞腫培養中のAP−1およびNF−IL6転写因子の刺激に及ぼすN
MI9236の作用を示す。
【図7】 NMI9236により誘導されたAP−1に関する非標識化AP−1プローブ
との競合を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07K 7/08 C12N 15/00 ZNAA 14/47 A61K 37/02

Claims (53)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号1のアミノ酸配列を含む単離ペプチドを含む組成物
  2. 【請求項2】 単離ペプチドが配列番号2のアミノ酸配列を含む、請求項1
    記載の組成物。
  3. 【請求項3】 単離ペプチドがカルシウムと結合する、請求項1記載の組成
    物。
  4. 【請求項4】 単離ペプチドが配列番号1のアミノ酸配列の1又は2以上の
    カルシウム配位残基を欠く、請求項1記載の組成物。
  5. 【請求項5】 単離ペプチドが配列番号3のアミノ酸配列から本質的になる
    、請求項4記載の組成物。
  6. 【請求項6】 単離ペプチドが配列番号3のアミノ酸配列を含む、請求項2
    記載の組成物。
  7. 【請求項7】 配列番号19のアミノ酸配列を含む、単離ペプチドを含む組
    成物。
  8. 【請求項8】 単離ペプチドが配列番号10のアミノ酸配列を含む、請求項
    7記載の組成物。
  9. 【請求項9】 単離ペプチドが配列番号11のアミノ酸配列を含む、請求項
    8記載の組成物。
  10. 【請求項10】 単離ペプチドが配列番号12のアミノ酸配列を含む、請求
    項8記載の組成物。
  11. 【請求項11】 単離ペプチドが配列番号13のアミノ酸配列を含む、請求
    項10記載の組成物。
  12. 【請求項12】 単離ペプチドが配列番号14のアミノ酸配列を含む、請求
    項10記載の組成物。
  13. 【請求項13】 単離ペプチドが配列番号15のアミノ酸配列を含む、請求
    項12記載の組成物。
  14. 【請求項14】 単離ペプチドが配列番号16のアミノ酸配列を含む、請求
    項12記載の組成物。
  15. 【請求項15】 単離ペプチドが配列番号17のアミノ酸配列を含む、請求
    項14記載の組成物。
  16. 【請求項16】 単離ペプチドが配列番号18のアミノ酸配列を含む、請求
    項14記載の組成物。
  17. 【請求項17】 単離ペプチドがカルシウムと結合する、請求項7記載の組
    成物。
  18. 【請求項18】 単離ペプチドが、単離ペプチドのN末端およびC末端の1
    又は2以上に1〜6個のアミノ酸をさらに含む、請求項1、4または7に記載の
    組成物であって、アミノ酸がリシンおよびアルギニンから成る群から選択される
    、前記組成物。
  19. 【請求項19】 単離ペプチドが、単離ペプチドのN末端またはC末端に2
    〜4個のアミノ酸を含む、請求項18記載の組成物。
  20. 【請求項20】 単離ペプチドが配列番号4、配列番号5および配列番号9
    から成る群から選択される、請求項19記載の組成物。
  21. 【請求項21】 単離ペプチドが配列番号4のアミノ酸配列を含む、請求項
    20記載の組成物。
  22. 【請求項22】 単離ペプチドがドコサヘキサエン酸をさらに含む、請求項
    1または7に記載の組成物。
  23. 【請求項23】 単離ペプチドがドコサヘキサエン酸をさらに含む、請求項
    18記載の組成物。
  24. 【請求項24】 単離ペプチドがドコサヘキサエン酸をさらに含む、請求項
    21記載の組成物。
  25. 【請求項25】 単離ペプチドが非加水分解性である請求項1または7に記
    載の組成物。
  26. 【請求項26】 単離ペプチドが非加水分解性である、請求項18記載の組
    成物。
  27. 【請求項27】 単離ペプチドがD−アミノ酸を含むペプチド、−psi[
    CHNH]還元アミドペプチド結合を含むペプチド、−psi[COCH
    ケトメチレンペプチド結合を含むペプチド、−psi[CH(CN)NH]−(
    シアノメチレン)アミノペプチド結合を含むペプチド、−psi[CHCH(
    OH)]ヒドロキシエチレンペプチド結合を含むペプチド、−psi[CH
    ]ペプチド結合を含むペプチドおよび−psi[CHS]チオメチレンペプチ
    ド結合を含むペプチドから成る群から選択される、請求項25記載の組成物。
  28. 【請求項28】 単離ペプチドが1〜3個のD−アミノ酸を含む、請求項2
    7記載の組成物。
  29. 【請求項29】 単離ペプチドが4と25の間のアミノ酸長である、請求項
    1記載の組成物。
  30. 【請求項30】 単離ペプチドが10と20の間のアミノ酸長である、請求
    項29記載の組成物。
  31. 【請求項31】 単離ペプチドが血液脳関門を通過して脳中への輸送を促進
    する化合物と共役結合される、請求項1記載の組成物。
  32. 【請求項32】 化合物がドコサヘキサエン酸、トランスフェリン受容体結
    合抗体、陽イオン化アルブミン、Met−エンケファリン、脂質形態のジヒドロ
    ピリジンおよび陽イオン化抗体から成る群から選択される、請求項31記載の組
    成物。
  33. 【請求項33】 大脳虚血を特徴とする症状を有する被験者の治療方法であ
    って、被験者における大脳虚血の神経毒作用を低減するのに有効な量の配列番号
    1のアミノ酸配列を包含する単離ペプチドを被験者に投与することを含む方法。
  34. 【請求項34】 単離ペプチドが大脳虚血事象後に被験者に投与される、請
    求項33記載の方法。
  35. 【請求項35】 単離ペプチドが配列番号2、配列番号3、配列番号4およ
    び配列番号5から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項33記載の
    方法。
  36. 【請求項36】 単離ペプチドが血液脳関門を通過して大脳中への輸送を促
    進する化合物と共役結合される、請求項33記載の方法。
  37. 【請求項37】 血液脳関門を通過する輸送を増大する化合物を投与するこ
    とをさらに含む、請求項33記載の方法。
  38. 【請求項38】 被験者におけるニューロン細胞AP−1またはNF−IL
    6転写因子活性を増大するための方法であって、被験者におけるAP−1または
    NF−IL6活性を増大するのに有効な量の配列番号1のアミノ酸配列を包含す
    る単離ペプチドを被験者に投与することを含む方法。
  39. 【請求項39】 単離ペプチドが配列番号2、配列番号3、配列番号4およ
    び配列番号5から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項38記載の
    方法。
  40. 【請求項40】 単離ペプチドが血液脳関門を通過して大脳中への輸送を促
    進する化合物と共役結合される、請求項39記載の方法。
  41. 【請求項41】 ペプチドが大脳虚血の神経毒性作用を低減する量の配列番
    号1のアミノ酸配列を包含する単離ペプチド、ならびに製薬上許容可能な担体を
    含む製剤組成物。
  42. 【請求項42】 単離ペプチドが血液脳関門を通過して脳中への輸送を促進
    する化合物に共役結合される、請求項41記載の製剤組成物。
  43. 【請求項43】 血液脳関門を通過する輸送を増大する化合物をさらに含む
    、請求項41記載の製剤組成物。
  44. 【請求項44】 カルシウム含有環境を請求項3または請求項17の組成物
    と接触させることを含むカルシウムの結合方法。
  45. 【請求項45】 単離ペプチドが配列番号10のアミノ酸配列を含む、請求
    項44記載の方法。
  46. 【請求項46】 カルシウム結合ペプチドの同定方法であって、 推定カルシウム結合ペプチドを提供する工程、 推定カルシウム結合ペプチドをカルシウムを含有する環境と接触させる工
    程、及び ペプチドのカルシウム結合を確認する工程 を含む、前記方法。
  47. 【請求項47】 推定カルシウム結合ペプチドが配列番号1または配列番号
    19のアミノ酸配列の変異体である、請求項46記載の方法。
  48. 【請求項48】 推定カルシウム結合ペプチドを提供する工程が配列番号1
    または配列番号19のアミノ酸配列を有するペプチドを含むライブラリーを提供
    する工程を含む、請求項46記載の方法。
  49. 【請求項49】 AP−1またはNF−IL6転写因子活性を増大するペプ
    チドの同定方法であって、 ペプチドを提供する工程、 ペプチドを、AP−1またはNF−IL6転写因子活性を発現し得る細胞
    と接触させる工程 AP−1またはNF−IL6転写因子活性を増大するペプチドを同定する
    ために、AP−1またはNF−IL6転写因子活性を測定する工程 を含む、前記方法。
  50. 【請求項50】 ペプチドが配列番号1または配列番号19のアミノ酸配列
    の変異体である、請求項49記載の方法。
  51. 【請求項51】 ペプチドを提供する工程が配列番号1または配列番号19
    のアミノ酸配列を有するペプチドを含むライブラリーを提供する工程を含む、請
    求項49記載の方法。
  52. 【請求項52】 配列番号1または配列番号19のアミノ酸配列を含む単離
    ペプチドをコードする単離核酸。
  53. 【請求項53】 請求項52の単離核酸を含むベクター。
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