JPH0930963A - 医療用油脂含有組成物 - Google Patents

医療用油脂含有組成物

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JPH0930963A
JPH0930963A JP7207576A JP20757695A JPH0930963A JP H0930963 A JPH0930963 A JP H0930963A JP 7207576 A JP7207576 A JP 7207576A JP 20757695 A JP20757695 A JP 20757695A JP H0930963 A JPH0930963 A JP H0930963A
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oil
fat
triglyceride
docosahexaenoic acid
acid
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JP7207576A
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Hiroaki Tsuji
宏明 辻
Chie Takahashi
千枝 高橋
Akira Seto
明 瀬戸
Muneo Sakai
宗雄 堺
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Nisshin Oil Mills Ltd
Original Assignee
Nisshin Oil Mills Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 トリグリセリドの2位に結合するドコサヘキ
サエン酸残基がトリグリセリド中に存在するドコサヘキ
サエン酸残基の総量の40モル%未満で、1位および3
位の脂肪酸残基がそれらの位置間で規則的またはランダ
ムに分布する構造をもつ混合トリグリセリドを有効成分
とする、ドコサヘキサエン酸の臓器蓄積性の高い流動
食、輸液、脂肪乳剤等の医療用油脂含有組成物。 【効果】 本発明の医療用油脂含有組成物は、従来のド
コサヘキサエン酸供給源を同量配合したものよりも少量
の摂取で、ドコサヘキサエン酸を血中および脳中に蓄積
せしめる効果が大きい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はドコサヘキサエン酸の臓
器蓄積性の高い医療用油脂含有組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】n−3系長鎖多価不飽和脂肪酸は、動物
の脳の大脳皮質シナプス膜や網膜の光受容膜などの神経
関連組織に、リン脂質の形態で多く分布している。これ
らn−3系長鎖多価不飽和脂肪酸は、そのほとんどがド
コサヘキサエン酸(all cis −4,7,10,13,16,19 −doco
sahexaenoic acid,C22:6、ただしCの後の数字は総炭
素数:二重結合数を示し以下同様とする。)であり、種
々の哺乳類大脳、網膜におけるドコサヘキサエン酸の含
量が、食餌にかかわらずほぼ一定であることから、脳や
神経系との係わりが存在すると推測されている。
【0003】ヒト大脳中のドコサヘキサエン酸含量は、
妊娠期間の最後の3ヵ月で3〜5倍に増加し、生後12
週間にさらに3〜5倍に上昇する。一方、ドコサヘキサ
エン酸は網膜の桿体外節を構成するリン脂質中の脂肪酸
の約35〜60%を占めている。ドコサヘキサエン酸と
網膜機能の関係についてはラットやリーサス猿を用いた
実験がなされており、ドコサヘキサエン酸をはじめとす
るn−3系脂肪酸の欠乏により、視力閾値の低下や網膜
電位の低下が認められることが報告され(Bourreら、J.
Nutr. 、第119巻、第1880頁、1989年)、ド
コサヘキサエン酸が網膜機能と深くかかわっていること
が示唆されている。
【0004】ラットを用いた実験では、ドコサヘキサエ
ン酸は、生体内合成能力が低い胎児期では母ラットから
胎盤経由で、また出生後は乳汁から供給され、生体内で
のドコサヘキサエン酸生成能力が十分になる約7週齢で
肝臓から供給されるようになることが示唆されている。
その中で、胎児期には胎盤を経由し、出生後は乳汁か
ら、さらに離乳後は食餌から絶えずドコサヘキサエン酸
を摂取した群が有意に優れた学習能力を有することが認
められている(「水産脂質−その特性と生理活性」恒星
社厚生閣(1993))。また、Lucas らは、300名
の未熟児の7〜8歳時の知能指数を調べた結果、母乳
(ドコサヘキサエン酸を含む)を与えられた群は、ドコ
サヘキサエン酸を含まない人工乳を与えられた群より知
能指数がおよそ10高いことを報告している(Proc Nat
l Acad Sci USA 第89巻、第7840頁、1992
年)。これらの研究から、ドコサヘキサエン酸が学習能
力や記憶保持に有効であるとみられている。特に、ヒト
の発育、成長時に必須な成分と考えられ、最近、ドコサ
ヘキサエン酸を強化した育児用調製粉乳等の製品が開発
されている。
【0005】Soderberg らは、脳の中でも記憶に関与す
る海馬部位のリン脂質中ドコサヘキサエン酸含量を調べ
たところ、アルツハイマー病で死亡した人(平均80
歳)のドコサヘキサエン酸は、他の疾患で死亡した人
(平均79歳)の1/2量に減少していることを報告し
ている(Proc Natl Acad Sci USA 第89巻、第783
6頁、1992年)。一方、老齢ラットにドコサヘキサ
エン酸を投与した結果、脳内ドコサヘキサエン酸含有量
が高められた実験が報告されている(Int News Fats Oi
ls Relat Mater 第1巻、第520頁、1990年)。
これらの報告から、ドコサヘキサエン酸が老化や痴呆症
と係わっており、高年齢層の脳機能向上に役立つと考え
られている。さらにまたドコサヘキサエン酸には、脳神
経系機能の維持や向上の他、抗アレルギー作用、制癌作
用、抗炎症作用や抗糖尿病作用(血糖値低下作用)等が
あることが知られている(丸山 一輝ら、New Food Ind
ustry 、第34巻、第49頁、1992年)。
【0006】そこで、ドコサヘキサエン酸を体外から補
給するために、ドコサヘキサエン酸を含む魚を多く含む
食品を意図的に摂取したり、ドコサヘキサエン酸を含む
魚油や魚油濃縮物などを素材とする育児用調製粉乳、健
康食品等が市販されている。しかし前記の所望の効果を
得るためには、これらを多量かつ長期間にわたり摂取あ
るいは投与することが必要であった。
【0007】ドコサヘキサエン酸を含む素材としては、
魚油が多く利用されている。魚油は主にイワシ油、タラ
肝油、ニシン油、イカ油、そしてマグロ眼窩油が用いら
れるが、これらの油脂の化学的構造を調べると、いずれ
もトリグリセリドの2位にエステル結合するドコサヘキ
サエン酸残基が、トリグリセリド中に存在するドコサヘ
キサエン酸残基の総量の50モル%以上で、1位および
3位よりも2位に結合するドコサヘキサエン酸残基が多
いトリグリセリド構造をとっている。
【0008】一方、ドコサヘキサエン酸のような多価不
飽和脂肪酸は反面、通常の例えば食用植物油脂の構成脂
肪酸に比べて二重結合を分子内に数多く持つため酸化さ
れ易く、過剰に摂取すると体内に有害な作用をもたらす
ことも知られている。生体内で脂質の過酸化反応が進行
すると、生体膜に障害を生じ、虚血性疾患、動脈硬化、
白内障、癌、アルツハイマー病、膠原病、アミロイドー
シス等の病変の原因となることが推測されている。
【0009】ところで前出の脳神経系の疾患、糖尿病、
炎症性疾患等が重度になると、その他の疾病の場合と同
様に患者の食欲減退、消化吸収機能の低下が起こる。こ
のような症状に対処して医療的に栄養あるいはカロリー
補給を行うために流動食、輸液、脂肪乳剤等の手段が採
用されている。
【0010】流動食は低栄養状態あるいは消化吸収機能
低下状態にある患者に対応した、消化性や吸収性が良
く、消化残渣による消化管への機能的刺激が少ない、各
々の病態に適用できる治療食である。経口的に摂取する
ことが多いが、患者の状態によっては、流動食を経管で
経腸的に投与することもある。流動食には天然濃厚流動
食、半消化・成分栄養剤等があり、その素材は穀類、い
も類、豆類、卵、牛乳・乳製品、野菜類、果実類、魚介
・肉類、バターや植物油脂、砂糖等である。
【0011】輸液は、経口摂取できない場合または、経
口摂取や投与のみでは不十分な場合の栄養保持、水分・
電解質等の平衡の是正と維持、循環血液量の維持の目的
で使用される。栄養液剤には糖質輸液剤、アミノ酸輸液
剤および脂肪乳剤がある。
【0012】脂肪乳剤はトリグリセリド、リン脂質およ
びグリセリン等を含み構成されている。エネルギー量が
高く、また糖質輸液剤と異なり浸透圧利尿を起こさない
などの特徴を持っている。栄養保持に用いる脂肪乳剤
は、高カロリー輸液療法の際に、主にエネルギー源およ
び必須脂肪酸(リノール酸等)の供給を目的として、全
投与カロリー量の約10%になるように高カロリー輸液
用基本液と混合して抹消静脈から投与される。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
現状に鑑みてなされたもので、ヒトをはじめ動物に対し
て、副作用がなく、従来のドコサヘキサエン酸供給源よ
りも少量の使用で、ドコサヘキサエン酸を臓器に蓄積せ
しめやすい医療用油脂含有組成物を提供することを目的
としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく鋭意研究を行ったところ、トリグリセリド
構造の1,3位にドコサヘキサエン酸を多く持つ油脂
は、ドコサヘキサエン酸の供給源として一般に用いられ
ている、2位にドコサヘキサエン酸を多く持つ魚油より
もドコサヘキサエン酸の臓器蓄積効果が高く、上記の目
的が達成されることを見出した。本発明はかかる知見に
基づいて完成されたものである。
【0015】本発明において、トリグリセリド構造の2
位に結合するドコサヘキサエン酸残基がトリグリセリド
中に存在するドコサヘキサエン酸残基の総量の40モル
%未満で、1位および3位の脂肪酸残基がそれらの位置
間で規則的又はランダムに分布する構造を持つ混合トリ
グリセリドを有効成分とする油脂は、海産哺乳類油脂、
その乳脂、微生物油脂、微細藻類油脂のような天然由来
油脂の他、1,3位特異性リパーゼを用い、エステル交
換反応によって製造される油脂を包含する。
【0016】本発明で特徴的な混合トリグリセリドはド
コサヘキサエン酸を含む脂肪酸とグリセリンとからなる
トリグリセリドにおいて、ドコサヘキサエン酸の総量を
100モル%とするとき、その40モル%未満とドコサ
ヘキサエン酸以外の任意の脂肪酸とがトリグリセリドの
2位に位置し、かつドコサヘキサエン酸の60モル%以
上とドコサヘキサエン酸以外の任意の脂肪酸とがトリグ
リセリドの1位および3位においてランダムにまたは非
ランダムに分布しているものである。
【0017】本発明に係る混合トリグリセリドを構成す
る脂肪酸は、ドコサヘキサエン酸およびこれ以外の脂肪
酸である。後者の脂肪酸としては、短鎖、中鎖および長
鎖各脂肪酸、また飽和および不飽和各脂肪酸のいずれを
問わず使用できるが、このうち直鎖状であって、炭素数
が6以上の中鎖ないし長鎖の、飽和または不飽和脂肪酸
に属するものが望ましい。かかる脂肪酸としては、カプ
ロン酸(C6:0 )、カプリル酸(C8:0 )、カプリン酸
(C10:0)、ラウリン酸(C12:0)、ミリスチン酸(C
14:0)、パルミチン酸(C16:0)、パルミトオレイン酸
(C16:1)、ステアリン酸(C18:0)、オレイン酸(C
18:1)、エライジン酸(C18:1)、リノール酸
(C18:2)、α−リノレン酸(C18:3、9,12,15 −オク
タデカトリエン酸)、α’−リノレン酸(C18:3、5,8,
11−オクタデカトリエン酸)、γ−リノレン酸
(C18:3、6,9,12−オクタデカトリエン酸)、エレオス
テアリン酸(C18:3、9,11,13 −オクタデカトリエン
酸)、オクタデカテトラエン酸(C18:4,6,9,12,15 −
オクタデカテトラエン酸)、アラキジン酸(C20:0)、
アラキドン酸(C20:4)、ガドレイン酸(C20:1)、エ
イコサペンタエン酸(C20:5、5,8,11,14,17−エイコサ
ペンタエン酸)、ベヘン酸(C22:0)、エルカ酸(C
22:1)、ブラシジン酸(C22:1)、ドコサペンタエン酸
(C22:5,7,10,13,16,19 −ドコサペンタエン酸)等を
あげることができる。これらの脂肪酸は単独で用いてよ
く、または任意の割合の混合脂肪酸として使用してもさ
しつかえない。なお、これらのうち、ミリスチン酸、パ
ルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、
α−リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン
酸、ドコサペンタエン酸が好ましい。
【0018】ドコサヘキサエン酸およびこれ以外の脂肪
酸で構成される本発明に係る混合トリグリセリドを製造
するには、化学合成法、エステル交換法、あるいは前記
天然物からの抽出法等の技術を利用すればよい。化学合
成法としては、例えば所望の量および組成の脂肪酸、脂
肪酸無水物あるいは脂肪酸ハロゲン化物(脂肪酸クロラ
イド)とグリセリンとを、酸性物質(塩酸、硫酸、パラ
トルエンスルホン酸等)、アルカリ性物質(水酸化ナト
リウム、水酸化カリウム等)、金属(亜鉛、スズ、チタ
ン、ニッケル等)、金属酸化物(酸化亜鉛、アルミナ、
酸化第一鉄等)、金属ハロゲン化物(塩化アルミニウ
ム、塩化スズ等)等のエステル化触媒の存在下または非
存在下で、窒素ガス気流中にて100〜250℃に加熱
し、生成水を除去しながら1〜25時間エステル化反応
させるとよい。
【0019】エステル化生成物は、必要に応じてアルカ
リ脱酸処理、活性炭、活性白土、アルミナ、シリカゲ
ル、イオン交換樹脂等を用いる吸着・分画処理、メタノ
ールやエタノール等の親水性有機溶剤および/またはn
−ヘキサンやキシレン等の親油性有機溶剤を用いる溶剤
分別処理を施して遊離脂肪酸、モノグリセリド、ジグリ
セリド、着色物質、有臭成分等の不純物を除き、さらに
はこれらの処理を適宜に組み合わせてトリグリセリドの
2位に結合するドコサヘキサエン酸残基の含有量が、ト
リグリセリドの1位、2位および3位に結合するドコサ
ヘキサエン酸残基の総含有量の40モル%未満となるよ
うにトリグリセリド成分を分画ないしは濃縮してもよ
い。なお本発明に係る混合トリグリセリドは、例えば加
熱かつ減圧下に水蒸気を吹き込み脱臭処理しておくこと
が望ましい。
【0020】エステル交換法を利用して本発明に係る混
合トリグリセリドを得るには、例えば原料としてドコサ
ヘキサエン酸を多量に含有する脂肪酸のトリグリセリド
(成分a−1)とドコサヘキサエン酸を実質的に含まな
いか少量含有の脂肪酸(成分a−2)、成分a−2の低
級アルコールエステル(メチルエステル、エチルエステ
ル等。以下同様)。または成分a−2のトリグリセリド
とを所望割合で混合し、あるいはドコサヘキサエン酸を
実質的に含まないが少量含有の脂肪酸のトリグリセリド
(成分b−1)とドコサヘキサエン酸を多量に含有する
脂肪酸(成分b−2)または成分b−2の低級アルコー
ルエステルとを所要量混合し、触媒として水酸化ナトリ
ウム、水酸化カリウム等のアルカリ性物質、ナトリウム
メチラート、ナトリウムエチラート、リチウムブチラー
ト等の金属アルコラート(金属アルコキシド)、塩基性
アニオン交換樹脂、酸性カチオン交換樹脂等のイオン交
換樹脂、あるいはリパーゼを用いてエステル交換反応を
行わせるのが簡便である。なお触媒として特定のリパー
ゼを用いてエステル交換すると、後述するように、トリ
グリセリドの1位および3位に選択的に新たな脂肪酸を
導入することができ、本発明に係る混合トリグリセリド
を製造する方法として望ましい。
【0021】前記エステル交換の原料は、成分a−1と
してイワシ油、タラ肝油、ニシン油イカ油、マグロ眼窩
油等の魚油、クジラ、アザラシ、オットセイ等の海産哺
乳動物を起源として得られる圧搾もしくは抽出油、該動
物の乳脂、クロレラ、スピルリナ、ドナリエラ等または
ナンノクロロプシス属(例えばNannochloropsis oculat
a )、トラストキトリウム属(例えばThraustochytrium
aureum )、クリプテコディニウム属(例えばCrypthec
odinium cohnii)、イソクリシス属(例えばIsochrysis
galbana)等に属する微細藻類から抽出された油脂、モ
ルティエレラ(Mortierella)属等の微生物に由来する油
脂、またドコサヘキサエン酸またはこれを任意の割合で
含む前記各種脂肪酸(段落番号0017の項参照)との
混合脂肪酸のトリグリセリドを使用できる。成分a−2
としては前記各種脂肪酸(段落番号0017の項参照)
またはその誘導体を用いることができる。
【0022】また成分b−1として動植物、微生物、微
細藻類等から得られるトリグリセリドがあり、大豆油、
菜種油、綿実油、コーン油、パーム油、ヤシ油、サフラ
ワー油、ハイオレイックサフラワー油、ヒマワリ油、ハ
イオレイックヒマワリ油、オリーブ油、落花生油、カカ
オ脂、チャイニーズタロウ、サル脂、シア脂、牛脂、ラ
ード、これらの水素添加油脂、分別油脂、前記成分a−
2のトリグリセリド、中鎖脂肪酸トリグリセリド等を例
示でき、成分b−2としては前記成分a−1の加水分解
処理によって得られる脂肪酸がある。
【0023】エステル交換反応は、一例として前記原料
をモル比率で成分a−1:成分a−2=1:0.1〜
5、成分b−1:成分b−2=1:2〜10となるよう
に混合し、アルカリまたは金属アルコラートを触媒とす
る場合には実質的に無水状態として80〜120℃で
0.5〜3時間エステル交換反応せしめる。またイオン
交換樹脂を用いる場合も同様に原料を無水状態とする
が、室温〜40℃程度にてカラム方式で原料を循環接触
させるのがよい。リパーゼを触媒として用いる場合に
は、原料中の水分量を1重量%以下にし、市販のリパー
ゼ粉末あるいはこれを公知の担体例えばセライト、ケイ
ソウ土、活性炭、多孔質ガラス、イオン交換樹脂、キト
サン、高分子ゲル、セルロース粉末等に固定化した固定
化リパーゼを加え、20〜80℃で0.5〜20時間エ
ステル交換反応せしめる。
【0024】リパーゼは次に述べる微生物を起源とする
ものあるいは動物臓器由来のものを使用できる。すなわ
ちアスペルギルス属(例えばAspergillus niger )、ム
コール属(例えばMucor miehei)、キャンディダ属(例
えばCandida cyrindracea )、シュードモナス属(例え
ばPseudomonas fragi )、アルカリゲネス属(例えば、
特公昭58−36953号公報に記載のAlcaligenes s
p. )、リゾプス属(例えばRhizopus delemar)、ジオ
トリクム属(例えばGeotrichum candidum )等に属する
微生物起源のリパーゼおよびブタ膵臓リパーゼである。
このうちアスペルギルス属、ムコール属、アルカリゲネ
ス属およびリゾプス属の微生物を起源とするリパーゼ、
ブタ膵臓リパーゼはグリセリドの1位および3位に特異
的に作用するため、本発明に係るトリグリセリドを製造
するに際しては好適である。
【0025】前述した各種エステル交換方法によって得
られるエステル交換反応物は、選択する原料の種類によ
ってはエステル交換反応物そのものを本発明に係る混合
トリグリセリドとすることができるが、前記化学合成法
によって得られるエステル化生成物の場合と同様に、必
要に応じてアルカリ脱酸処理、吸着・分画処理、溶剤分
別処理あるいは無溶剤分別(ウインタリング)処理等を
適宜に組み合わせて施し、不純物を除去したりグリセリ
ド成分を分画あるいは濃縮して本発明に係る混合トリグ
リセリドとすることもできる。なお該トリグリセリドは
脱臭処理しておくことが望ましい。
【0026】本発明に係る混合トリグリセリドは天然物
から油脂分を抽出する方法によっても得ることができ
る。すなわち前記エステル交換の原料(成分a−1)と
して記載したもののうち、クジラ、アザラシ(harbour
seal、harp seal 等)、オットセイ等の海産哺乳動物の
体組織、該動物から分泌される乳汁、クロレラ、スピル
リナ、ドナリエラ等の微細藻類の細胞またはこれらの培
養細胞、ナンノクロロプシス(Nannochloropsis )属、
トラストキトリウム(Thraustochytrium)属、クリプテ
コディニウム(Crypthecodinium )属およびイソクリシ
ス(Isochrysis)属等に属する微細藻類例えばナンノク
ロロプシス オキュラータ(Nannochloropsis oculata
)、トラストキトリウム アウレウム(Thraustochytr
ium aureum)、クリプテコディニウム コーニー(Cry
pthecodinium cohnii)、イソクリシス ガルバナ(Iso
chrysis galbana)等の細胞またはこれらの培養細胞を
原料とする。なお微生物を起源とする場合には、これか
ら得られるトリグリセリドが本発明に係る混合トリグリ
セリド構造を満足するものであればさしつかえない。
【0027】これらを圧搾処理もしくはn−ヘキサン、
クロロホルム、ベンゼン、メタノール、ジエチルエーテ
ル等の有機溶剤を用いて抽出処理または分別処理して油
分を得、これに脱ガム、アルカリ脱酸、脱色、脱臭等の
処理を施して遊離脂肪酸、リン脂質、糖脂質、不ケン化
物、着色物質、有臭成分等の不純物を除き、グリセリド
画分を得ることができる。このグリセリド画分は本発明
に係る混合トリグリセリドとして利用できるが、該グリ
セリド画分をさらに無溶剤低温分別、溶剤分別あるいは
シリカゲル・カラム等により分画して、トリグリセリド
の2位に結合するドコサヘキサエン酸残基がより一層少
ないトリグリセリドを製造することも可能である。
【0028】以上に述べたような化学合成法、エステル
交換法、あるいは天然物からの抽出法等によって製造さ
れる本発明に係る混合トリグリセリドは、その構成脂肪
酸としてドコサヘキサエン酸の総量の40モル%未満が
トリグリセリドの2位にエステル結合するものである
が、より好ましくは20モル%未満である。40モル%
以上になると本発明の所望の効果は小さくなる。そして
ドコサヘキサエン酸の総量の60モル%以上およびドコ
サヘキサエン酸以外の脂肪酸がトリグリセリドの1位お
よび3位にランダムまたは非ランダムに分布してエステ
ル結合した構造のものである。本発明に係る混合トリグ
リセリドはそのままで油脂として利用でき、またこれを
有効成分として通常の食用油脂例えば成分b−1として
記載したような動植物系油脂と混合して油脂としても用
いることができる。このとき本発明に係る混合トリグリ
セリドの含有量は油脂全体の5〜100重量%が望まし
く、さらには10〜100重量%がより一層好ましい。
最も好ましくは20〜100重量%である。5重量%未
満では本発明の所望の効果が小さい。
【0029】本発明においては、前述の方法によって調
製される油脂すなわちドコサヘキサエン酸を含有する脂
肪酸とグリセリンとからなるトリグリセリドにおいて、
ドコサヘキサエン酸の総量の40モル%未満とドコサヘ
キサエン酸以外の脂肪酸とがトリグリセリドの2位に分
布しており、かつドコサヘキサエン酸の総量の60モル
%以上とドコサヘキサエン酸以外の任意の脂肪酸とがト
リグリセリドの1位および3位においてランダムにまた
は非ランダムに分布してそれぞれエステル結合した混合
トリグリセリドからなる油脂、または該混合トリグリセ
リドと任意の前記食用動植物油脂類とを該混合トリグリ
セリドの含有量が5重量%以上となるようにブレンドし
てなる油脂、を必須成分として配合した医療用油脂含有
組成物が提供される。
【0030】本発明に係る油脂は、多価不飽和脂肪酸を
含有するため長時間加熱処理を施すフライ油のような用
途を除き、通常の食用油脂とほぼ同様に取り扱うことが
でき、他の食品原材料とともに加工できる。また品質劣
化を避けるためトコフェロール、アスコルビン酸エステ
ル(パルミテート、ステアレート等)、β−カロチン、
その他の抗酸化剤を適量配合てもさしつかえない。
【0031】本発明でいう医療用油脂含有組成物として
は、ソフトカプセルやマイクロカプセル等のカプセル
剤、疾患患者用に粘度等を調整した飲料、ゼリー、プリ
ン、クッキー、アイスクリームなどの経口食、単純流動
食、蛋白質添加食、維持流動食等の経口で用いる普通流
動食、三分粥、五分粥、七分粥、全粥等のブレンダー食
やミキサー食、天然濃厚流動食、人工濃厚流動食、混合
濃厚流動食等の経管濃厚流動食、低蛋白質流動食、低コ
レステロール流動食、低ナトリウム流動食等の経口ない
し経管特殊流動食、成分栄養剤ならびに静脈より投与す
る栄養輸液剤や脂肪乳剤をはじめとする各種医療用食品
および製剤を対象とし、これらを摂取または投与するこ
とができる。なお本発明に係る油脂含有組成物として
は、前記のもののほか、本発明の趣旨を免脱しないかぎ
り、いかなる形態で使用してもよい。
【0032】これらの医療用油脂含有組成物中における
本発明に係る油脂の含有量については、該組成物の種類
や形態のちがい、それを摂取もしくは投与する条件等に
より一律に規定しがたいが、該組成物中に含有されまた
は添加する油脂全体に対して前記混合トリグリセリドと
して概ね5重量%以上、好ましくは10〜100重量
%、さらに好ましくは20〜100重量%である。この
ような配合割合になるように本発明に係る油脂(すなわ
ち前記混合トリグリセリドのみからなる油脂および前記
混合トリグリセリドを5重量%以上含有してなる油脂)
を適宜に使用すればよい。前記下限値未満ではドコサヘ
キサエン酸の臓器蓄積性が小さくなる。本発明に係る油
脂を本発明の医療用油脂含有組成物に配合する方法は特
に限定されず、一般の食用油脂のときと同様の操作、手
順および条件下で混合、分散、水中油型乳化、油中水型
乳化、溶解または可溶化して医療用油脂含有物に配合せ
しめればよい。
【0033】本発明の医療用油脂含有組成物のうち、例
えば経口食や流動食の場合、前記のような公知の食品用
原材料および本発明に係る油脂を用いて各種タイプのも
のを調製することができる。このとき該食品用原材料に
本発明に係る油脂を添加し、あるいは該食品用原材料の
油脂分の全部または一部を本発明に係る油脂に置き換
え、経口食や流動食全体に対して本発明に係る混合トリ
グリセリドの含有量が0.5重量%以上、好ましくは1
〜80重量%となるようにすればよい。0.1重量%未
満では所望の効果を期待できない。なお前記上限値は経
口食や流動食の個々の種類にあわせ、周知の範囲内で適
宜に設定できる。また静脈より投与する栄養輸液剤や脂
肪乳剤の場合には、精製水および本発明に係る油脂を、
乳化剤として大豆、卵黄等起源のレシチン、リゾレシチ
ン、これらの分画物(ホスファチジルコリン、ホスファ
チジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール
およびこれらのリゾ体)、レシチンの塩基部分をアルコ
ール基で交換した誘導体(ホスファチジルエタノール、
ホスファチジルグリセロール等)、ツイーン80等を用
いて分散、乳化あるいは可溶化させて調製でき、このと
き前記製剤全体に対する本発明に係る混合トリグリセリ
ドの含有量は0.05重量%以上、好ましくは1〜30
重量%となるようにする。
【0034】本発明の医療用油脂含有組成物を摂取また
は投与することにより、ドコサヘキサエン酸が血中およ
び臓器に多く蓄積されることとなる。しかもこれらの効
果は従来のドコサヘキサエン酸供給源である魚油等を配
合した場合に比べて顕著に大きいため、少量の使用でも
認められる。さらに本発明の医療用油脂含有組成物は、
前記効果に基づいて脳や神経機能の維持や向上またドコ
サヘキサエン酸の薬理作用を十分に発揮させ得る用途へ
の利用が期待される。
【0035】
【実施例】
参考例1 トリオレイン1kgと、魚油(タマ生化学(株)製、商品
名:EPA−18)加水分解混合脂肪酸を低温分別した
魚油加水分解脂肪酸の濃縮物(総脂肪酸中のC20:5:3
7.4モル%、C22:5:5.4モル%、C22:6:25.
2モル%。BHTを0.01重量%添加)とを1:5
(モル比)に混合し、水分含量を0.2重量%に調節し
た後、リポザイムIM20(商品名。ノボ ノルディス
ク社製、ムコール ミーハイ(Mucor miehei) 由来のリ
パーゼ)を充填したガラス製カラム(10cmφ×60c
m) に40℃にて通し選択的エステル交換反応を行わせ
た。
【0036】水蒸気蒸留および水洗処理にてエステル交
換反応物から遊離脂肪酸を除去した後、n−ヘキサンで
浸潤させたシリカゲル(和光純薬(株)製、商品名:ワ
コーゲルC100)を充填したステンレス製カラムに供
し、n−ヘキサンで溶出させジグリセリドを除き、本発
明に係る混合トリグリセリド720gを得た。本トリグ
リセリドを構成する全脂肪酸組成、グリセリドの1位お
よび3位、2位の各脂肪酸組成をGLC分析によって求
めた。この結果を表1に示す。本トリグリセリドを構成
する脂肪酸のうちC22:6(ドコサヘキサエン酸)の総量
の4モル%がトリグリセリドの2位に分布していた。本
トリグリセリドを以下の動物実験の試験油とした。
【0037】本トリグリセリドの一部にナトリウムメト
キシド0.1重量%を加え、減圧下100℃にてランダ
ムエステル交換反応を行わせた後、セライトを用いて濾
過し、本トリグリセリドのランダムエステル交換反応物
を得た。この全脂肪酸組成、1位および3位、2位の各
脂肪酸組成を前記同様に求めた(表1参照)。このトリ
グリセリドの2位にはドコサヘキサエン酸の総量の45
モル%が分布していた。このランダムエステル交換物を
動物実験の対照油とした。
【0038】
【表1】 ※総炭素数:二重結合数で表示。
【0039】4週齢のSD系雄性ラット7匹を1試験区
とし、試験油および対照油を各5重量%配合した飼料
(表2参照)を用いて飼育実験を行った。この間、調製
飼料の酸化劣化を防ぐために、飼料は毎日調製し給餌し
た。水と前記各飼料とを自由摂取させて3週間飼育した
のち、各試験区ラットの臓器および血中におけるリン脂
質中ドコサヘキサエン酸含量(ホスファチジルコリン、
ホスファチジルエタノールアミン等の各リン脂質分子種
を構成する全脂肪酸中のドコサヘキサエン酸含量。以下
同様。)を測定した。この結果を表3に示す。また各試
験区とも飼料摂取量、体重増加量および肝臓重量に有意
差は認められなかった。なお、有意差の検定はT検定法
に拠った(以下同様)。
【0040】この実験結果から、本発明に係るトリグリ
セリド(試験油)はラットに対して副作用を及ぼさず、
試験油を添加した区では、脳中のホスファチジルエタノ
ールアミンおよび血中のホスファチジルコリンにドコサ
ヘキサエン酸が多量に存在することが明らかになり、ド
コサヘキサエン酸の臓器蓄積性が高いことが認められ
た。
【0041】
【表2】 ※1 日本クレア(株)製、AIN−93G−MX ※2 日本クレア(株)製、AIN−93−VX ※3 t−ブチルヒドロキノン
【0042】
【表3】 1):ホスファチジルコリン、2):ホスファチジルエタノールアミン 注)※は対照油添加区に対して統計的に危険率5%以下で有意差があることを 示す(以下同様)。
【0043】参考例2 試験油脂(本発明の混合トリグリセリドを含む油脂)お
よび対照油脂を以下のように調製した。試験油脂は、ha
rp seal 油脂をドライアイス/アセトン冷媒で−80℃
にて1時間冷却し、析出した結晶部を濾紙で濾別して調
製した。対照油脂は脂肪酸組成の異なる2種類の魚油
(タラ肝油と雑魚油との混合油、マグロ眼窩油)をドラ
イアイス/アセトン冷媒で同様に冷却、分別した濃縮物
をブレンドし、試験油脂と総脂肪酸組成を合わせた。表
4にこれらの脂肪酸組成を示す。
【0044】
【表4】 ※:表1の注釈と同じ。
【0045】4週齢のSD系雄性ラット7匹を1試験区
とし、前記の試験油脂および対照油脂をそれぞれ20重
量%含む油脂(試験油脂または対照油脂20重量部、パ
ーム油50重量部、ハイオレイックサフラワー油5重量
部およびハイリノールサフラワー油25重量部の混合油
脂。脂肪酸組成は表5参照。)を各10重量%配合した
飼料(飼料組成は、脂肪5重量%を10重量%とし、コ
ーンスターチ41.7重量%を36.7重量%とする以
外は参考例1と同じ。)で、飼育実験を行った。この
間、調製飼料の酸化劣化を防ぐために、飼料は毎日調製
し給餌した。水と前記各飼料とを自由摂取させて3週間
飼育したのち、各試験区ラットの臓器および血中におけ
るリン脂質中ドコサヘキサエン酸含量を測定した。この
結果を表6に示す。なお各試験区とも飼料摂取量、体重
増加量および肝臓重量に有意差は認められなかった。
【0046】この実験結果から、本発明に係る油脂はラ
ットに対して副作用を及ぼさず、脳中のホスファチジル
エタノールアミンおよび血中のホスファチジルコリンに
ドコサヘキサエン酸が多く存在することから明らかなよ
うに、ドコサヘキサエン酸の臓器蓄積性が高いことが認
められた。
【0047】
【表5】 ※:表1の注釈と同じ。 ※※:飽和脂肪酸、モノ不飽和脂肪酸、n−6系脂肪酸(表中、n−6と 表示)およびn−3系脂肪酸(表中、n−3と表示)のうちの各脂肪酸の 割合。
【0048】
【表6】 1),2)および※:表3の注釈と同じ。
【0049】参考例3 9週齢のSD系雌ラット8匹を1試験区とし、参考例2
で使用した各飼料を3週間与えた後、雄ラットと交配さ
せ、妊娠させた、妊娠中および出産後も同じ食餌を与え
た。母親ラットの乳汁における乳脂中のドコサヘキサエ
ン酸含量、生後2週間目の子ラットの脳中リン脂質(ホ
スファチジルエタノールアミン)のドコサヘキサエン酸
含量を測定した。この結果を表7および表8に示す。本
発明に係る油脂を配合した飼料で飼育すると、母親ラッ
トの乳汁中のドコサヘキサエン酸含量が増加し、また子
ラットの脳中のホスファチジルエタノールアミン中のド
コサヘキサエン酸含量も増加した。この結果からも本発
明に係る油脂ではドコサヘキサエン酸の臓器蓄積性が高
いことが認められた。
【0050】
【表7】 ※:表3の注釈と同じ。
【0051】
【表8】 ※:表3の注釈と同じ。
【0052】参考例4 参考例2で使用した試験油脂および対照油脂の配合割合
を変えた油脂を飼料に添加して参考例2と同様にラット
飼育実験を行った。すなわち4週齢のSD系雄性ラット
7匹を1試験区とし、参考例2に記載の試験油脂または
対照油脂をそれぞれ10重量%含む油脂(試験油脂また
は対照油脂10重量部、パーム油50重量部、ハイオレ
イックサフラワー油10重量部およびハイリノールサフ
ラワー油30重量部の混合油脂。脂肪酸組成は表9参
照。)を各10重量%配合した飼料(飼料組成は脂肪分
を除き参考例2と同じ。)で、飼育実験を行った。この
間、調製飼料の酸化劣化を防ぐために、飼料は毎日調製
した。水と前記各飼料とを自由摂取させて3週間飼育し
たのち、各試験区ラットの臓器および血中におけるリン
脂質中ドコサヘキサエン酸含量を測定した。この結果を
表10に示す。なお各試験区とも飼料摂取量、体重増加
量および肝臓重量に有意差は認められなかった。
【0053】この実験結果および参考例2の結果から、
本発明に係る油脂はラットに対して副作用を及ぼさず、
対照油脂に比べて少量の試験油脂を混合した油脂の場合
をも含めて、脳中のホスファチジルエタノールアミンお
よび血中のホスファチジルコリンにドコサヘキサエン酸
が多く存在し、ドコサヘキサエン酸の臓器蓄積性が高い
ことが認められた。
【0054】
【表9】 ※および※※:表5の注釈と同じ。
【0055】
【表10】 1),2)および※:表3の注釈と同じ。
【0056】参考例5 微細藻類クリプテコディニウム コーニー(Crypthecod
inium cohnii、ATCC 30336)を表11に示す
培地30リットルに植えつけ、30℃にて、ジャーファ
ーメンターで100時間通気培養し、培養液から培養藻
体を遠心分離して集め、さらにこれを凍結乾燥した(収
量625g)。この乾燥藻体をクロロホルム:メタノー
ル=1:1(重量比)混合溶媒中でヒスコトロン(商品
名。日音医理科器械製作所製)により細胞破砕して抽出
し、油分520gを得た。n−ヘキサン中に分散させた
シリカゲル(和光純薬(株)製、商品名:ワコーゲルC
100)を充填したステンレス製カラムに前記油分を供
し、ジエチルエーテル:n−ヘキサン=10:90(容
量比)にて溶出させ、本発明に係るトリグリセリド25
0gを得た。本トリグリセリド(これを試験油脂とし
た)の脂肪酸組成を参考例1と同様にして求めた(表1
2参照)。
【0057】
【表11】
【0058】※1:ビタミンミックス水溶液(単位:該
水溶液1リットル中の重量) ビオチン: 0.003 g チアミン: 1.000 g ※2:メタルミックス水溶液(単位:該水溶液1リット
ル中の重量) Na2 EDTA: 1.00 g FeCl3 ・6H2 O: 0.05 g H3 BO3 : 1.00 g MnCl2 ・4H2 O: 0.15 g ZnCl2 : 0.01 g CoCl2 ・6H2 O: 0.005g
【0059】
【表12】 ※:表1の注釈と同じ。
【0060】かくして得られた微細藻類由来のトリグリ
セリド(試験油脂)および参考例2に記載の対照油脂を
それぞれ10重量%含む油脂(試験油脂または対照油脂
10重量部、パーム油50重量部、ハイオレイックサフ
ラワー油10重量部およびハイリノールサフラワー油3
0重量部の混合油脂:脂肪酸組成は表13参照)を各1
0重量%配合した飼料(飼料組成は脂肪分を除き参考例
2と同じ。)を調製し、参考例4と同様の飼育試験を行
った。各試験区ラットの臓器および血中におけるリン脂
質中ドコサヘキサエン酸含量を測定した。この結果を表
14に示す。なお各試験区とも飼料摂取量、体重増加量
および肝臓重量に有意差は認められなかった。
【0061】この実験結果および参考例2の結果から、
本発明に係る油脂はラットに対して副作用を及ぼさず、
対照油脂に比べて少量の試験油脂を混合した油脂の場合
をも含めて、脳中のホスファチジルエタノールアミンお
よび血中のホスファチジルコリンにドコサヘキサエン酸
が多く存在し、ドコサヘキサエン酸の臓器蓄積性が高い
ことが認められた。
【0062】
【表13】 ※および※※:表5の注釈と同じ。
【0063】
【表14】 1),2)および※:表3の注釈と同じ。
【0064】実施例1 参考例1、2、4および5で調製した本発明に係る油脂
(参考例1:試験油、参考例2:試験油脂を20重量%
含む油脂、参考例4および5:試験油脂を10重量%含
む油脂)のいずれか1.5重量部、大豆レシチン(日清
製油(株)製、商品名:ベイシスLP−20。以下同
じ。)0.2重量部および卵白10重量部を混合し、十
分に攪拌した後、温めた牛乳180重量部を加え、約2
分間かきまぜ、油脂含有牛乳を得た。これらのものはエ
ネルギー133Kcal、蛋白質6.6g、脂質7.7g、
糖質8.7gであり、専門パネル10名による評価の結
果、風味および外観ともに何ら問題のない流動食であっ
た。
【0065】実施例2 参考例1、2、4および5で調製した本発明に係る油脂
(実施例1参照)のいずれか3.0重量部、大豆レシチ
ン0.1重量部および全卵20重量部をよく混合した
後、牛乳60重量部を加えさらに十分攪拌した。これを
小型カップに流し込み、弱火で約20分間蒸し、油脂含
有プリンを得た。これらのものはエネルギー119Kca
l、蛋白質4.4g、脂質7.4g、糖質8.1gであ
り、実施例1と同様に評価した結果、風味および外観と
もに何ら問題のない流動食であった。
【0066】実施例3 参考例1〜4で調製した本発明に係る油脂(実施例1参
照)のいずれか15重量部、中鎖脂肪酸トリグリセリド
(日清製油(株)製、商品名:ODO)15重量部、卵
白10重量部、カゼイン(ニュージーランド デイリー
ボード社製、商品名:Alacid)10重量部、デキスト
リン(松谷化学工業(株)製、商品名:グリスターP)
50重量部および水100重量部を十分に攪拌し、濃厚
流動食を得た。これらのものはエネルギー519Kcal、
蛋白質9.6g、脂質30.2g、糖質50.1gであ
り、実施例1と同様に評価した結果、風味および外観と
もに何ら問題のない流動食であった。
【0067】実施例4 参考例5で調製した本発明に係る油脂(実施例1参照)
8重量部、コーンスターチ83重量部および食塩3重量
部をぬるま湯で溶きまぜながら火にかけ、沈澱物がなく
なり、白く糊化されたところで火を止めた。50℃程度
になった後にジアスターゼ6重量部を加え、しばらく放
置した。さらにこれに白玉粉44重量部を水で膨張させ
たもの、スキムミルク44重量部、砂糖35重量部、お
よび粉野菜10重量部を混ぜ溶かしもの、および、牛レ
バー22重量部とアジ(3枚におろしたもの)44重量
部とを各々醤油で煮てよくすりつぶしたものをそれぞれ
加え、よくかき混ぜて煮上げた。これを人肌程度まで冷
却し、ヨーグルト90重量部、鶏卵100重量部を加え
裏ごしをして、天然濃厚流動食1リットルを得た。この
ものは、エネルギー1228Kcal、蛋白質58.1g、
脂質25.1g、糖質187.4gであり、風味および
外観ともに何ら問題のない流動食であった。
【0068】実施例5 参考例1で調製した本発明に係る油脂(実施例1参照)
13重量部、大豆レシチン0.8重量部、スキムミルク
/砂糖=2/1(重量比)混合物96重量部および濃厚
果汁45重量部をよくかき混ぜて、煮たてた。これを人
肌の温度程度まで冷却し、鶏卵100重量部を加え裏ご
しをして、混合濃厚流動食1リットルを得た。このもの
は、エネルギー993Kcal、蛋白質44.5g、脂質2
8.3g、糖質140.9gであり、風味および外観と
もに何ら問題のないものであった。また上記と同様の方
法および条件で、油脂として、参考例5で調製した本発
明に係る油脂(実施例1参照)を配合したもの、参考例
1記載の対照油脂を配合したもの、参考例5記載の対照
油脂を10重量%含む油脂を配合したものをそれぞれ調
製した。
【0069】これら4種類の流動食を試験飼料として用
い、4週齢のSD系雄性ラット7匹を1試験区とし、3
週間自由摂取させた。各試験区とも飼料摂取量、体重増
加量および肝臓重量に有無な差異は認められなかった。
参考例1と同様に血漿および脳中におけるリン脂質を構
成する脂肪酸中のドコサヘキサエン酸含量を測定した結
果、本発明に係る油脂を配合した場合はいずれも、対照
油脂を配合した場合に比べて血漿中ホスファチジルコリ
ンおよび脳中ホスファチジルエタノールアミン区分にド
コサヘキサエン酸含量が多かった。
【0070】実施例6 参考例2で調製した本発明に係る油脂(実施例1参照)
10重量部と大豆レシチン1.2重量部とをホモジナイ
ザーで12000rpm にて15分間攪拌したのち、グリ
セリン2.5重量部と蒸留水90重量部を加え、さらに
ホモジナイザーで20000rpm にて20分間攪拌し予
備乳化させた。予備乳化液をフレンチプレス(商品名。
アミンコ社製)を用い、圧力638psiで5回処理し
て脂肪乳剤を得た。この脂肪乳剤の粒径をコールターN
4カウンター(商品名。日科機社製)で測定したところ
215±25nmであった。この脂肪乳剤を4℃で6ヵ
月、室温で6ヵ月および40℃で1ヵ月以上保存後、粒
径測定と乳化状態を肉視ならびに偏光顕微鏡下で観察し
たが変化は認められず、良好な乳化状態を保っていた。
また前記油脂に代えて参考例2記載の対照油脂を20重
量%含む油脂を用いて同様に脂肪乳剤を調製した。
【0071】前記対照油脂を配合した脂肪乳剤をコント
ロールとして、4週齢のSD系雄性ラット5匹を1試験
区とし、各脂肪乳剤を500μリットルずつ尾静脈より
投与したのち、24時間後の血漿中および脳中における
リン脂質を構成する脂肪酸中のドコサヘキサエン酸含量
を測定した結果、本発明に係る油脂を配合した脂肪乳剤
を投与した場合は、コントロールに比べてドコサヘキサ
エン酸の含量が多かった。
【0072】実施例7 参考例4で調製した本発明に係る油脂(実施例1参照)
10重量部と大豆レシチン1.2重量部、グリセリン
2.5重量部および蒸留水90重量部を用い、実施例6
に記載した方法で脂肪乳剤を調製した。同例と同様の方
法で測定した粒径は207±21nmであった。この脂肪
乳剤を実施例6と同条件で保存後、粒径測定と乳化状態
を肉視ならびに偏光顕微鏡下で観察したが変化は認めら
れず、良好な乳化状態を保っていた。また前記油脂に代
えて参考例4記載の対照油脂を10重量%含む油脂を用
いて同様に脂肪乳剤を調製した。
【0073】前記対照油脂を配合した脂肪乳剤をコント
ロールとして、4週齢のSD系雄性ラット5匹を1試験
区とし、脂肪乳剤と生理食塩水とを重量比1:10に混
合したものを1.0mlずつ尾静脈より投与したのち、2
4時間後の血漿中および脳中におけるリン脂質を構成す
る脂肪酸中のドコサヘキサエン酸含量を測定した結果、
本発明に係る油脂を配合した脂肪乳剤を投与した場合
は、コントロールに比べてドコサヘキサエン酸が多かっ
た。
【0074】実施例8 参考例5で調製した本発明に係る油脂(実施例1参照)
10重量部、卵黄レシチン(フナコシ社製、試薬グレー
ド)3.6重量部、グリセリン30重量部および蒸留水
70重量部を用い、実施例6に記載した方法で脂肪乳剤
を調製した。同例と同様の方法で測定した粒径は57±
16nmであった。この脂肪乳剤を実施例6と同条件で保
存後、粒径測定と乳化状態を肉視ならびに偏光顕微鏡下
で観察したが変化は認められず、良好な乳化状態を保っ
ていた。
【0075】大豆油のみを用いて同様に調製した脂肪乳
剤をコントロールとして、4週齢のSD系雄性ラット5
匹を1試験区とし、脂肪乳剤と生理食塩水とを重量比
1:5に混合したものを700μリットルずつ尾静脈よ
り投与したのち、24時間後の血漿中および脳中におけ
るリン脂質を構成する脂肪酸中のドコサヘキサエン酸含
量を測定した結果、本発明に係る油脂を配合した脂肪乳
剤を投与した場合は、コントロールに比べてドコサヘキ
サエン酸含量が多かった。
【0076】
【発明の効果】本発明の医療用油脂含有組成物は、ヒト
をはじめ動物に対して、副作用がなく、従来のドコサヘ
キサエン酸供給源を配合した医療用油脂含有組成物に比
べて、生体中においてドコサヘキサエン酸を血漿中のホ
スファチジルコリン、脳中のホスファチジルコリンおよ
びホスファチジルエタノールアミンの各構成脂肪酸とし
て多量に蓄積せしめる。このため本発明の医療用油脂含
有組成物は、魚油等の従来のドコサヘキサエン酸供給源
を配合した医療用油脂含有組成物よりも少量の摂取で、
ドコサヘキサエン酸の臓器への高蓄積性効果を奏する。
また本発明の医療用油脂含有組成物は、脳や神経機能の
維持、向上、またドコサヘキサエン酸の薬理作用を十分
に発揮させ得る用途に利用することも可能である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成8年8月12日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正内容】
【0004】ラットを用いた実験では、ドコサヘキサエ
ン酸は、生体内合成能力が低い胎児期では母ラットから
胎盤経由で、また出生後は乳汁から供給され、生体内で
のドコサヘキサエン酸生成能力が十分になる約7週齢で
肝臓から供給されるようになることが示唆されている。
その中で、胎児期には胎盤を経由し、出生後は乳汁か
ら、さらに離乳後は食餌から絶えずドコサヘキサエン酸
を摂取した群が有意に優れた学習能力を有することが認
められている(藤本 健四郎 編「水産脂質−その特性
と生理活性」恒星社厚生閣(1993))。また、Luca
s らは、300名の未熟児の7〜8歳時の知能指数を調
べた結果、母乳(ドコサヘキサエン酸を含む)を与えら
れた群は、ドコサヘキサエン酸を含まない人工乳を与え
られた群より知能指数がおよそ10高いことを報告して
いる(鈴木 平光、「食品と開発」、第27巻、No.
8、第6〜9頁、1992年、(株)健康産業新聞
)。これらの研究から、ドコサヘキサエン酸が学習能
力や記憶保持に有効であるとみられている。特に、ヒト
の発育、成長時に必須な成分と考えられ、最近、ドコサ
ヘキサエン酸を強化した育児用調製粉乳等の製品が開発
されている。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正内容】
【0005】Soderberg らは、脳の中でも記憶に関与す
る海馬部位のリン脂質中ドコサヘキサエン酸含量を調べ
たところ、アルツハイマー病で死亡した人(平均80
歳)のドコサヘキサエン酸は、他の疾患で死亡した人
(平均79歳)の1/2量に減少していることを報告し
ている(「食品と開発」、前記)。一方、老齢ラットに
ドコサヘキサエン酸を投与した結果、脳内ドコサヘキサ
エン酸含有量が高められた実験が報告されている(「食
品と開発」、前記)。これらの報告から、ドコサヘキサ
エン酸が老化や痴呆症と係わっており、高年齢層の脳機
能向上に役立つと考えられている。さらにまたドコサヘ
キサエン酸には、脳神経系機能の維持や向上の他、抗ア
レルギー作用、制癌作用、抗炎症作用や抗糖尿病作用
(血糖値低下作用)等があることが知られている(丸山
一輝ら、New Food Industry 、第34巻、第49頁、
1992年)。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正内容】
【0021】前記エステル交換の原料は、成分a−1と
してイワシ油、タラ肝油、ニシン油イカ油、マグロ眼窩
油等の魚油、クジラ、アザラシ、オットセイ等の海産哺
乳動物を起源として得られる圧搾もしくは抽出油、該動
物の乳脂、クロレラ、スピルリナ、ドナリエラ等または
ナンノクロロプシス属(例えばNannochloropsis oculat
a 、UTEX LB 2164等)、トラストキトリウム属(例えば
Thraustochytrium aureum 、ATCC 28211、同34304
)、クリプテコディニウム属(例えばCrypthecodiniu
m cohnii、ATCC 30021、同30334 、同30336 、同50052
)、イソクリシス属(例えばIsochrysis galbana、CC
AP 927/1、UTEX LB 987 等)等に属する微細藻類から抽
出された油脂、モルティエレラ(Mortierella)属等の微
生物(M.isabellina、IFO 6336、同6739、同7873、同78
84、ATCC 44853等)に由来する油脂、またドコサヘキサ
エン酸またはこれを任意の割合で含む前記各種脂肪酸
(段落番号0017の項参照)との混合脂肪酸のトリグ
リセリドを使用できる。ここでATCC:American Type Cul
ture Collection (米国)、CCAP:Culture Collection
ofAlgae and Protozoa (英国)、UTEX:Culture Collec
tion of Algae at the University of Texas (米
国)、IFO:大阪発酵研究所の各略称である。成分a−2
としては前記各種脂肪酸(段落番号0017の項参照)
またはその誘導体を用いることができる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正内容】
【0039】4週齢のSD系雄性ラット7匹を1試験区
とし、試験油および対照油のいずれかを各5重量%配合
した飼料(表2参照)を用いて飼育実験を行った。この
間、調製飼料の酸化劣化を防ぐために、飼料は毎日調製
し給餌した。水と前記各飼料とを自由摂取させて3週間
飼育したのち、各試験区ラットの臓器および血中におけ
るリン脂質中ドコサヘキサエン酸含量(ホスファチジル
コリン、ホスファチジルエタノールアミン等の各リン脂
質分子種を構成する全脂肪酸中のドコサヘキサエン酸含
量。以下同様。)を測定した。この結果を表3に示す。
また各試験区とも飼料摂取量、体重増加量および肝臓重
量に有意差は認められなかった。なお、有意差の検定は
T検定法に拠った(以下同様)。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0045
【補正方法】変更
【補正内容】
【0045】4週齢のSD系雄性ラット7匹を1試験区
とし、前記の試験油脂および対照油脂を用い、それぞれ
20重量%含む油脂(試験油脂または対照油脂20重量
部、パーム油50重量部、ハイオレイックサフラワー油
5重量部およびハイリノールサフラワー油25重量部の
混合油脂。脂肪酸組成は表5参照。)を各10重量%配
合した飼料(飼料組成は、脂肪5重量%を10重量%と
し、コーンスターチ41.7重量%を36.7重量%と
する以外は参考例1と同じ。)で、飼育実験を行った。
この間、調製飼料の酸化劣化を防ぐために、飼料は毎日
調製し給餌した。水と前記各飼料とを自由摂取させて3
週間飼育したのち、各試験区ラットの臓器および血中に
おけるリン脂質中ドコサヘキサエン酸含量を測定した。
この結果を表6に示す。なお各試験区とも飼料摂取量、
体重増加量および肝臓重量に有意差は認められなかっ
た。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0060
【補正方法】変更
【補正内容】
【0060】かくして得られた微細藻類由来のトリグリ
セリド(試験油脂)および参考例2に記載の対照油脂を
用い、それぞれ10重量%含む油脂(試験油脂または対
照油脂10重量部、パーム油50重量部、ハイオレイッ
クサフラワー油10重量部およびハイリノールサフラワ
ー油30重量部の混合油脂:脂肪酸組成は表13参照)
を各10重量%配合した飼料(飼料組成は脂肪分を除き
参考例2と同じ。)を調製し、参考例4と同様の飼育試
験を行った。各試験区ラットの臓器および血中における
リン脂質中ドコサヘキサエン酸含量を測定した。この結
果を表14に示す。なお各試験区とも飼料摂取量、体重
増加量および肝臓重量に有意差は認められなかった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 //(C12P 7/64 C12R 1:89)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トリグリセリドの2位に結合するドコサ
    ヘキサエン酸残基がトリグリセリド中に存在するドコサ
    ヘキサエン酸残基の総量の40モル%未満で、1位およ
    び3位の脂肪酸残基がそれらの位置間で規則的またはラ
    ンダムに分布する構造を持つ混合トリグリセリドを有効
    成分とするドコサヘキサエン酸の臓器蓄積性の高い医療
    用油脂含有組成物。
  2. 【請求項2】 前記混合トリグリセリドが、海産哺乳類
    油脂、乳脂または微細藻類油脂を含む天然由来油脂また
    はこれらを濃縮処理したものまたはこれらをエステル交
    換処理したもので構成された有効成分からなる請求項1
    に記載の医療用油脂含有組成物。
  3. 【請求項3】 海産哺乳類がクジラまたはアザラシであ
    る請求項2に記載の医療用油脂含有組成物。
  4. 【請求項4】 微細藻類がナンノクロロプシス属、トラ
    ストキトリウム属、イソクリシス属またはクリプテコデ
    ィニウム属のいずれかに属するものである請求項2に記
    載の医療用油脂含有組成物。
  5. 【請求項5】 前記混合トリグリセリドが1,3位特異
    性リパーゼを用い、エステル交換反応によって製造され
    たトリグリセリドで構成された有効成分からなる請求項
    1または2に記載の医療用油脂含有組成物。
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