JPH0923817A - 油脂含有飲食物 - Google Patents

油脂含有飲食物

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JPH0923817A
JPH0923817A JP7195919A JP19591995A JPH0923817A JP H0923817 A JPH0923817 A JP H0923817A JP 7195919 A JP7195919 A JP 7195919A JP 19591995 A JP19591995 A JP 19591995A JP H0923817 A JPH0923817 A JP H0923817A
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oil
fat
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triglyceride
acid
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JP7195919A
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Hiroaki Tsuji
宏明 辻
Chie Takahashi
千枝 高橋
Akira Seto
明 瀬戸
Muneo Sakai
宗雄 堺
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Nisshin Oil Mills Ltd
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Nisshin Oil Mills Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 グリセリドの構成脂肪酸としてn−3系長鎖
多価不飽和脂肪酸を含み、n−3系長鎖多価不飽和脂肪
酸の総量の40モル%未満がグリセリドの2位に結合し
た混合トリグリセリドからなる油脂または該混合トリグ
リセリドを含有してなる油脂を配合したクリーム、マー
ガリン、サラダドレッシング、マヨネーズ等の油脂含有
飲食物。 【効果】 本発明の油脂含有飲食物は、従来のn−3系
長鎖多価不飽和脂肪酸供給源を同量配合した飲食物より
も血中コレステロール値および/または血中トリグリセ
リド値を低減化する作用(血中脂質濃度改善効果)が大
きく、かつエイコサノイドのPGI2 産生量を増加およ
びTXA2 産生量を減少せしめる作用(血小板凝集能抑
制効果)が大きい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、血中の中性脂質やコレ
ステロール含量を低減し、かつ血小板凝集能を抑制する
効果の高い油脂含有飲食物に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、食生活様式の多様化や摂取カロリ
ーの過多、その他の要因を背景として、血中の中性脂質
(トリグリセリド)やコレステロールの値が高い高脂血
症疾患が増えている。高脂血症はやがて虚血性心疾患や
動脈硬化症等の症状をひきおこす危険因子と考えられて
いる。
【0003】血清中コレステロール値と虚血性心疾患の
発症危険率との間には正の相関が認められ、血清中コレ
ステロール値を低下させると虚血性心疾患の発症危険率
も低下することが疫学調査の結果から明らかにされてい
る(例えば水島 裕ら、「今日の治療薬(1993年
版)」、第361頁、南江堂)。また高トリグリセリド
血症は脂肪肝、膵炎等の発症に結びつくほか、虚血性心
疾患の危険因子としての側面も指摘されている。そのた
め臨床的には、高脂血症のなかでも特に高コレステロー
ル血症および高トリグリセリド血症が大きな問題となっ
ており、この対策として一般的には高脂血症患者に対し
て摂取カロリー制限等の食事療法とともにクロフィブラ
ート、ニコチン酸、コレスチラミン、ニコチン酸トコフ
ェロール、ソイステロール、デキストラン硫酸等の抗高
脂血症剤の投与による治療が行われている。
【0004】また動脈硬化症のなかでも粥状動脈硬化症
は、冠状動脈、脳底動脈、腎動脈、胸・腹部大動脈等の
内膜に脂肪沈着やプラーク形成が起こるもので、血管内
壁における脂肪やコレステロール等の脂質の異常蓄積が
大きな成因となっていると考えられている。動脈硬化症
では血管壁の異常や血流の異常と相まって血小板の粘着
・凝集が促進され、やがて動脈血栓へと進行する。薬物
を用いる動脈血栓の治療には血小板凝集抑制剤(例えば
ワーファリン、アスピリン等)を主体とする抗血小板療
法やできあがった血栓、塞栓を溶解するための血栓溶解
剤(例えばウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ等)が広
く用いられている。
【0005】なお生体内で多価不飽和脂肪酸から合成さ
れるプロスタグランジンやトロンボキサン等のエイコサ
ノイドには血小板凝集作用、血管収縮作用をもつもの
と、逆に血小板凝集抑制作用、血管拡張作用を有してい
るものがあり、これらエイコサノイドは動脈硬化症の発
症と密接に係わっていることがわかっている。またエイ
コサノイドのなかでもプロスタグランジンI2 (以下、
PGI2 と略すことがある。)は血小板凝集抑制作用、
血管拡張作用および血圧低下作用を有し、トロンボキサ
ンA2 (以下、TXA2 と略すことがある。)は血小板
凝集誘起作用および血管収縮作用を有することが知られ
ている。
【0006】このように、血中脂質濃度とりわけ血中コ
レステロールおよび血中トリグリセリドの濃度が高くな
ると高脂血症を発症し、これはやがて虚血性心疾患等の
症状をひきおこし、また血中脂質が血管内壁に異常蓄積
すると血小板の粘着や凝集を促進することになり、そし
て動脈血栓の形成につながり、粥状動脈硬化症等の症状
をひきおこすことになるといわれており、血中脂質濃度
は高脂血症や虚血性心疾患、また血小板の凝集性や動脈
硬化症疾患、動脈血栓形成等と密接な関連性があること
が知られている。
【0007】ところで、通常の食事に供される原材料の
中には血中コレステロールや血中トリグリセリドの濃度
を低下させる成分を含むものがある。例えば前記ソイス
テロールは大豆中に含まれる不ケン化物のステロールで
あり、また特開平3−53866号公報にはゴマ油由来
のリグナン類化合物が開示され、これを配合したバター
やマヨネーズ等の飲食物が提案されている。エイコサペ
ンタエン酸(C20:5、但しCの後の数字は総炭素数:二
重結合数を表わす。以下同様。全シス−5,8,11,14,17−
eicosapentaenoic acid 、以下EPAと略す。)やドコ
サヘキサエン酸(C22:6、全シス−4,7,10,13,16,19 −
docosahexaenoic acid、以下DHAと略す。)のような
n−3系長鎖多価不飽和脂肪酸およびこれらを含む食品
素材が血清中のコレステロール値やトリグリセリド値を
低減させる作用があることも動物実験や臨床実験により
明らかになっている(例えばRobinson,D.R.ら、J.Lipi
dRes.、第34巻、第1435頁、1993年)。
【0008】EPAやDHAを摂取または投与すること
によってひきおこされる血清中コレステロール値の低下
の作用機序は、n−3系長鎖多価不飽和脂肪酸またはこ
れを含む油脂等の取り込みにより肝臓内でのコレステロ
ール合成能が抑制され、その結果として血中へのコレス
テロールの放出が抑制されるためと推定されている(Ch
oi,Y.S.ら、Lipids、第24巻、第45頁、1989
年)。また血清中トリグリセリド値の低下はn−3系長
鎖多価不飽和脂肪酸が肝臓におけるトリグリセリド合成
能を抑制することによるものと推測されている(原 健
次、「油脂」、第46巻、No. 4、第90頁、1993
年)。
【0009】またEPAやDHA等のn−3系長鎖多価
不飽和脂肪酸が血小板凝集作用を抑制することも知られ
ている。すなわち疫学調査により、n−3系長鎖多価不
飽和脂肪酸の摂取と血小板凝集能抑制、全血粘度の低下
との間に有意な相関が認められ、また心臓血管系疾患や
脳血管系疾患による死亡率との間に逆相関ないしは該疾
患による死亡率の低下が認められることが報告されてい
る(Hirai,A.ら、Lancet、第2巻、第1132頁、19
80年)。n−3系長鎖多価不飽和脂肪酸の摂取による
虚血性心疾患由来の死亡率低下の機序としては抗血小板
凝集作用、血漿脂質改善作用等が考えられる。
【0010】そこで、血中コレステロール値や血中トリ
グリセリド値を低減させるため、あるいは血小板凝集を
抑制させるため、また高脂血症を予防したり高脂血症患
者の血中脂質濃度を改善することをねらい、さらにまた
動脈硬化症の予防や治療を目的として、EPAやDHA
を含有する魚を多く含む食品を意図的に摂取したり、E
PAやDHAを含む魚油や魚油濃縮物等を素材とする健
康食品等が市販されている。しかしながら、これらは多
量かつ長期間にわたり摂取または投与する必要があると
いわれている。
【0011】EPAやDHA等のn−3系長鎖多価不飽
和脂肪酸を含む魚油としては主にイワシ油、タラ肝油、
ニシン油、イカ油、マグロ眼窩油等が用いられている
が、これらの油脂の化学的構造はいずれもトリグリセリ
ドにエステル結合して存在するn−3系長鎖多価不飽和
脂肪酸の総量の50モル%以上がトリグリセリドの2位
の構成脂肪酸としてあり、換言すればn−3系長鎖多価
不飽和脂肪酸はトリグリセリドの1位および3位よりも
2位により多くエステル結合した構造となっている。
【0012】一方、EPAやDHAのようなn−3系長
鎖多価不飽和脂肪酸は、前述のように血中脂質の低減化
効果および血小板凝集能の抑制効果等を有する反面、通
常の例えば食用植物油脂の構造脂肪酸に比べて二重結合
を分子内に数多くもつため酸化され易く、過剰に摂取す
ると生体に対して有害な作用をもたらすことも知られて
いる。生体内で脂質の過酸化反応が進行すると、生体膜
に障害を生じ、虚血性心疾患、動脈硬化、白内障、癌、
アルツハイマー病、膠原病、アミロイドーシス等の病変
の原因となることが推測されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような現
状に鑑みなされたものであり、その目的とするところ
は、ヒトをはじめ動物に対して、副作用がなく、従来の
n−3系長鎖多価不飽和脂肪酸供給源よりも少量の摂取
で、血中脂質濃度を減少させ、かつ血小板凝集能を抑制
する効果の高い油脂含有飲食物を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するため鋭意研究を行った結果、グリセリド構造
の1位および/または3位にn−3系長鎖多価不飽和脂
肪酸が多く分布する油脂は、グリセリド構造の2位にn
−3系長鎖多価不飽和脂肪酸が多く分布する魚油等の一
般的なn−3系長鎖多価不飽和脂肪酸供給源に比べて、
血中コレステロール値および/または血中トリグリセリ
ド値を低減させる効果が極めて高く、かつまた血小板凝
集能を抑制する効果が顕著に大きく、上記の目的が達成
されることを見出した。本発明はかかる知見に基づいて
完成されたものである。
【0015】すなわち本発明の要旨は、グリセリドの構
成脂肪酸としてn−3系長鎖多価不飽和脂肪酸を含み、
n−3系長鎖多価不飽和脂肪酸の総量の40モル%未満
がグリセリドの2位に結合した混合トリグリセリドから
なる油脂または該混合トリグリセリドを含有してなる油
脂を配合した油脂含有飲食物である。
【0016】本発明で特徴とする混合トリグリセリド
は、n−3系長鎖多価不飽和脂肪酸を含有する脂肪酸と
グリセリンとから構成されるトリグリセリドにおいて、
n−3系長鎖多価不飽和脂肪酸の総量を100モル%と
したとき、その40モル%未満とn−3系長鎖多価不飽
和脂肪酸以外の任意の脂肪酸とがトリグリセリドの2位
にエステル結合しており、かつn−3系長鎖多価不飽和
脂肪酸の60モル%以上とn−3系長鎖多価不飽和脂肪
酸以外の任意の脂肪酸とがトリグリセリドの1位および
3位においてランダムにまたは非ランダムに分布してエ
ステル結合しているものである。
【0017】ここにn−3系長鎖多価不飽和脂肪酸とは
炭素数が18以上で二重結合を3個以上有するn−3系
直鎖状不飽和脂肪酸をいい、具体的にはα−リノレン酸
(C18:3)、オクタデカテトラエン酸(C18:4、6,9,1
2,15 −octadecatetraenoic acid )、アラキドン酸
(C20:4)、EPA(C20:5)、ドコサペンタエン酸
(C22:5、7,10,13,16,19 −docosapentaenoic acid
)、DHA(C22:6)等を例示することができる。本
発明では、これらのうちα−リノレン酸、アラキドン
酸、EPA、ドコサペンタエン酸およびDHAからなる
群から選ばれる1種もしくは2種以上の任意の割合の混
合脂肪酸が好ましく、さらにはEPAおよび/またはD
HAがより好ましい。
【0018】またn−3系長鎖多価不飽和脂肪酸以外の
脂肪酸としては、短鎖、中鎖および長鎖各脂肪酸、また
飽和および不飽和各脂肪酸のいずれを問わず使用できる
が、このうち直鎖状であって、炭素数が6以上の中鎖な
いし長鎖の、飽和または不飽和脂肪酸に属するものが望
ましい。かかる脂肪酸としてカプロン酸(C6:0 )、カ
プリル酸(C8:0 )、カプリン酸(C10:0)、ラウリン
酸(C12:0)、ミリスチン酸(C14:0)、パルミチン酸
(C16:0)、パルミトオレイン酸(C16:1)、ステアリ
ン酸(C18:0)、オレイン酸(C18:1)、エライジン酸
(C18:1)、リノール酸(C18:2)、α’−リノレン酸
(C18:3、5,8,11−オクタデカトリエン酸)、γ−リノ
レン酸(C18:3、6,9,12−オクタデカトリエン酸)、エ
レオステアリン酸(C18:3、9,11,13 −オクタデカトリ
エン酸)、アラキジン酸(C20:0)、ガドレイン酸(C
20:1)、ベヘン酸(C22:0)、エルカ酸(C22:1)、ブ
ラシジン酸(C22:1)等をあげることができる。これら
の脂肪酸は単独で用いてよく、または任意の割合の混合
脂肪酸として使用してもさしつえない。なお、これらの
うち、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オ
レイン酸、リノール酸等が好ましい。
【0019】前記したn−3系長鎖多価不飽和脂肪酸お
よびこれ以外の脂肪酸で構成される本発明に係る混合ト
リグリセリドを製造するには、化学合成法、エステル交
換法、あるいは天然物からの抽出法等の技術を利用すれ
ばよい。化学合成法としては、例えば所望量および組成
の脂肪酸、脂肪酸無水物あるいは脂肪酸ハロゲン化物
(脂肪酸クロライド)とグリセリンとを、酸性物質(塩
酸、硫酸、パラトルエンスルホン酸等)、アルカリ性物
質(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)、金属(亜
鉛、スズ、チタン、ニッケル等)、金属酸化物(酸化亜
鉛、アルミナ、酸化第一鉄等)、金属ハロゲン化物(塩
化アルミニウム、塩化スズ等)等のエステル化触媒の存
在下または非存在下で、窒素ガス気流中にて100〜2
50℃に加熱し、生成する水を除きながら1〜25時間
エステル化反応せしめるのがよい。
【0020】エステル化生成物は必要に応じてアルカリ
脱酸処理、活性炭、活性白土、アルミナ、シリカゲル、
イオン交換樹脂等を用いる吸着・分画処理、メタノール
やエタノール等の親水性有機溶剤および/またはn−ヘ
キサンやキシレン等の親油性有機溶剤を用いる溶剤分別
処理を施して遊離脂肪酸、モノグリセリド、ジグリセリ
ド、着色物質、有臭成分等の不純物を除去し、さらには
これらの処理を適宜に組み合わせ、トリグリセリドの2
位に結合するn−3系長鎖多価不飽和脂肪酸残基の含有
量が、トリグリセリドの1位、2位および3位に結合す
るn−3系長鎖多価不飽和脂肪酸残基の総含有量の40
モル%未満となるようにトリグリセリド成分を分画ない
しは濃縮してもよい。なお本発明に係る混合トリグリセ
リドは、例えば加熱かつ減圧下に水蒸気を吹き込み脱臭
処理しておくことが望ましい。
【0021】エステル交換法を利用して本発明に係る混
合トリグリセリドを得るには、例えば原料としてn−3
系長鎖多価不飽和脂肪酸を多量に含有する脂肪酸のトリ
グリセリド(成分a−1)とn−3系長鎖多価不飽和脂
肪酸を実質的に含まないか少量含有の脂肪酸(成分a−
2)、成分a−2の低級アルコールエステル(メチルエ
ステル、エチルエステル等。以下同様。)または成分a
−2のトリグリセリドとを所望割合で混合し、あるいは
n−3系長鎖多価不飽和脂肪酸を実質的に含まないか少
量含有の脂肪酸のトリグリセリド(成分b−1)とn−
3系長鎖多価不飽和脂肪酸を多量に含有する脂肪酸(成
分b−2)または成分b−2の低級アルコールエステル
とを所要量混合し、触媒として水酸化ナトリウム、水酸
化カリウム等のアルカリ性物質、ナトリウムメチラー
ト、ナトリウムエチラート、リチウムブチラート等の金
属アルコラート(金属アルコキシド)、塩基性アニオン
交換樹脂、酸性カチオン交換樹脂等のイオン交換樹脂、
あるいはリパーゼを用いてエステル交換反応を行わしめ
るのが簡便である。なお触媒として特定のリパーゼを用
いてエステル交換すると、後述するように、トリグリセ
リドの1位および3位に選択的に新たな脂肪酸基を導入
することができ、本発明に係る混合トリグリセリドを製
造する方法として望ましい。
【0022】前記エステル交換の原料は、成分a−1と
してアマニ油、エゴマ油、シソ油等の植物油、イワシ
油、タラ肝油、ニシン油、イカ油、マグロ眼窩油等の魚
油、クジラ、アザラシ、オットセイ等の海産哺乳動物を
起源として得られる圧搾もしくは抽出油、該動物の乳
脂、クロレラ、スピルリナ、ドナリエラ等またナンノク
ロロプシス属(例えばNannochloropsis oculata )、ト
ラストキトリウム属(例えばThraustochytrium aureum
)、クリプテコディニウム属(例えばCrypthecodinium
cohnii)、イソクリシス属(例えばIsochrysis galban
a)等に属する微細藻類から抽出された油脂、モルティ
エレラ(Mortierella)属等の微生物に由来する油脂、ま
たn−3系長鎖多価不飽和脂肪酸またはこれを任意の割
合で含む前記各種脂肪酸(段落番号0018の項参照)
との混合脂肪酸のトリグリセリドを使用できる。成分a
−2としては段落番号0018の項に記載の各種脂肪酸
またはその誘導体を用いることができる。
【0023】また成分b−1として動植物、微生物、微
細藻類等から得られるトリグリセリドがあり、大豆油、
菜種油、綿実油、コーン油、パーム油、ヤシ油、サフラ
ワー油、ハイオレイックサフラワー油、ヒマワリ油、ハ
イオレイックヒマワリ油、オリーブ油、落花生油、カカ
オ脂、チャイニーズ タロウ、サル脂、シア脂、牛脂、
ラード、これらの水素添加油脂、分別油脂、前記成分a
−2のトリグリセリド、中鎖脂肪酸トリグリセリド等を
例示でき、成分b−2としては前記成分a−1の加水分
解処理によって得られる脂肪酸がある。
【0024】エステル交換反応は、一例として前記原料
をモル比率で成分a−1:成分a−2=1:0.1〜
5、成分b−1:成分b−2=1:2〜10となるよう
に混合し、アルカリまたは金属アルコラートを触媒とす
る場合には実質的に無水状態として80〜120℃で
0.5〜3時間エステル交換反応せしめる。またイオン
交換樹脂を用いる場合も同様に無水状態とするが、室温
〜40℃程度にてカラム方式で原料を循環接触させるの
がよい。リパーゼを触媒として用いる場合には、原料中
の水分量を1重量%以下にし、市販のリパーゼ粉末ある
いはこれを公知の担体例えばセライト、ケイソウ土、活
性炭、多孔質ガラス、イオン交換樹脂、キトサン、高分
子ゲル、セルロース粉末等に固定化した固定化リパーゼ
を加え、20〜80℃で0.5〜20時間エステル交換
反応せしめる。
【0025】リパーゼは次に述べる微生物を起源とする
ものあるいは動物臓器由来のものを使用できる。すなわ
ちアスペルギルス属(例えばAspergillus niger )、ム
コール属(例えばMucor miehei)、キャンディダ属(例
えばCandida cyrindracea )、シュードモナス属(例え
ばPseudomonas fragi )、アルカリゲネス属(例えば、
特公昭58−36953号公報に記載のAlcaligenes s
p. )、リゾプス属(例えばRhizopus delemar)、ジオ
トリクム属(例えばGeotrichum candidum )等に属する
微生物起源のリパーゼおよびブタ、ウシ等の膵臓リパー
ゼである。このうちアスペルギルス属、ムコール属、ア
ルカリゲネス属およびリゾプス属の微生物を起源とする
リパーゼ、ブタ膵臓リパーゼはグリセリドの1位および
3位に特異的に作用するため、本発明に係る混合トリグ
リセリドを製造するに際しては好適である。
【0026】前述した各種エステル交換方法によって得
られるエステル交換反応物は、選択する原料の種類によ
ってはエステル交換反応物そのものを本発明で用いる混
合トリグリセリドとすることができるが、前記化学合成
法によって得られるエステル化生成物の場合と同様に、
必要に応じてアルカリ脱酸処理、吸着・分画処理、溶剤
分別処理あるいは無溶剤分別(ウィンタリング)処理等
を適宜に組み合わせて施し、不純物を除去したりグリセ
リド成分を分画あるいは濃縮して本発明で用いる混合ト
リグリセリドとすることもできる。なお該トリグリセリ
ドは脱臭処理しておくことが望ましい。
【0027】本発明に係る混合トリグリセリドは天然物
から油脂分を抽出する方法によっても得ることができ
る。すなわち前記エステル交換の原料(成分a−1)と
して記載したもののうち、クジラ、アザラシ(harbour
seal、harp seal 等)、オットセイ等の海産哺乳動物の
体組織、該動物から分泌される乳汁、クロレラ、スピル
リナ、ドナリエラ等の微細藻類の細胞またはこれらの培
養細胞、ナンノクロロプシス(Nannochloropsis )属、
トラストキトリウム(Thraustochytrium)属、クリプテ
コディニウム(Crypthecodinium )属およびイソクリシ
ス(Isochrysis)属等に属する微細藻類例えばナンノク
ロロプシス オキュラータ(Nannochloropsis oculata
)、トラストキトリウム アウレウム(Thraustochytr
ium aureum)、クリプテコディニウム コーニー(Cry
pthecodinium cohnii)、イソクリシス ガルバナ(Iso
chrysis galbana)等の細胞またはこれらの培養細胞を
原材料とする。なお微生物を起源とする場合にはこれか
ら得られるトリグリセリドが本発明のグリセリド構造を
満足するものであればさしつかえない。
【0028】これらを圧搾処理もしくはn−ヘキサン、
クロロホルム、ベンゼン、ジエチルエーテル、メタノー
ル等の有機溶剤を用いて抽出処理または分別処理して油
分を得、これに脱ガム、アルカリ脱酸、脱色、脱臭等の
処理を施して遊離脂肪酸、リン脂質、糖脂質、不ケン化
物、着色物質、有臭成分等の不純物を除き、グリセリド
画分を得ることができる。このグリセリド画分は本発明
で用いる混合トリグリセリドとして利用できるが、該グ
リセリド画分をさらに無溶剤低温分別、溶剤分別あるい
はシリカゲル・カラム等により分画して、トリグリセリ
ドの2位に結合するn−3系長鎖多価不飽和脂肪酸残基
がより一層少ないトリグリセリドを製造することも可能
である。
【0029】以上に述べたような化学合成法、エステル
交換法、あるいは天然物からの抽出法等によって製造さ
れる本発明に係る混合トリグリセリドは、その構成脂肪
酸としてのn−3系長鎖多価不飽和脂肪酸の総量の40
モル%未満がトリグリセリドの2位にエステル結合する
ものであるが、より好ましくは20モル%未満である。
40モル%以上になると本発明の所望の効果は小さくな
る。本発明に係る混合トリグリセリドはそのままで油脂
として利用でき、また通常の食用油脂例えば成分b−1
として記載したような動植物系油脂と混合して油脂とし
ても用いることができる。このとき本発明に係る混合ト
リグリセリドの含有量は油脂全体の5〜100重量%が
望ましく、さらには10〜100重量%がより一層好ま
しい。最も好ましくは20〜100重量%である。5重
量%未満では本発明の所望の効果が小さい。
【0030】本発明においては、前述の方法によって調
製される油脂すなわちn−3系長鎖多価不飽和脂肪酸を
含有する脂肪酸とグリセリンとから構成されるトリグリ
セリドにおいて、n−3系長鎖多価不飽和脂肪酸の総量
の40モル%未満とn−3系長鎖多価不飽和脂肪酸以外
の任意の脂肪酸とがトリグリセリドの2位に分布してお
り、かつn−3系長鎖多価不飽和脂肪酸の総量の60モ
ル%以上とn−3系長鎖多価不飽和脂肪酸以外の任意の
脂肪酸とがトリグリセリドの1位および3位においてラ
ンダムにまたは非ランダムに分布してそれぞれエステル
結合した混合トリグリセリドからなる油脂、または該混
合トリグリセリドと任意の前記食用動植物油脂類とを該
混合トリグリセリドの含有量が5重量%以上となるよう
にブレンドしてなる油脂、を必須成分として配合した飲
食物が提供される。
【0031】本発明に係る油脂は、多価不飽和脂肪酸を
含有するため長時間加熱処理を施すフライ油のような用
途を除き、通常の食用油脂とほぼ同様に取り扱うことが
でき、他の食品原材料とともに加工できる。また品質劣
化を避けるためトコフェロール、アスコルビン酸エステ
ル(パルミテート、ステアレート等)、β−カロチン、
その他の抗酸化剤を適量配合し、あるいは油溶性色素や
香料等を添加してもさしつかえない。
【0032】本発明でいう飲食物の種類は特に限定され
ないが、油脂そのものを単独で飲食するような場合を対
象とせず、油脂を含む食品類や食品素材が好ましい。具
体的には肉、魚、貝、穀類、種実類、牛乳、鶏卵、魚卵
等の油脂を含有する天然食品素材およびこれらの加工食
品、バター、マーガリン、クリーム、アイスクリーム、
サラダドレッシング、マヨネーズおよびマヨネーズ様乳
化食品、チョコレート、スナック菓子類、ケーキ、ドー
ナツ、クッキー、せんべい、コロッケ等の油脂含有加工
食品、スープ、醤油、ソース、その他の液体調味料等を
例示できる。また果汁や野菜汁のジュース、炭酸飲料、
コーヒー飲料、乳酸菌飲料、清涼飲料、各種ビタミンや
ミネラルを配合したドリンク類、栄養素ないしカロリー
補給用ドリンク類等へ配合することも考えられる。公知
の賦形剤とともにカプセル、錠剤、キャンディー、顆粒
または粉末状態にすることもできる。なおこれらの飲食
物は成人健康者のためだけでなく、乳幼児用離乳食品や
老人用食品としても利用できる。本発明の飲食物は、各
種の疾患に対して医療的に栄養あるいはカロリー補給を
行うための医療用組成物(流動食、輸液、脂肪乳剤、そ
の他)を含まない。
【0033】これら飲食物中における本発明に係る油脂
の含有量については、飲食物の種類や形態のちがいによ
り一律に規定しがたいが、飲食物中に含有されもしくは
添加する油脂全体に対して前記混合トリグリセリドとし
て概ね5重量%以上、好ましくは10〜100重量%、
さらに好ましくは20〜100重量%である。また飲食
物全体に対する前記混合トリグリセリドの含量は、少な
くとも約0.1重量%以上であり、飲食物中の油脂含有
量に相当する量を上限とする。このような配合割合にな
るように本発明に係る油脂(すなわち前記混合トリグリ
セリドのみからなる油脂および前記混合トリグリセリド
を5重量%以上含有してなる油脂)を適宜に使用すれば
よい。前記下限値未満では、血中コレステロール値およ
び/または血中トリグリセリド値の低減効果かつ血小板
凝集能の抑制効果のうち少なくとも1つの効果が小さく
なる。なお前記上限は飲食物の種類にあわせ、周知の範
囲内で適宜に設定できる。本発明に係る油脂を飲食物に
配合する方法は特に限定されず、一般の食用油脂のとき
と同様の操作、手順および条件下で混合、分散、水中油
型乳化、油中水型乳化、溶解または可溶化して飲食物に
配合せしめればよい。
【0034】本発明の飲食物を摂取することにより、血
中コレステロール値および/または血中トリグリセリド
値を低減させ、かつ血小板凝集能を抑制させることがで
きる。しかもこれらの効果は従来のn−3系長鎖多価不
飽和脂肪酸供給源である魚油等を配合した飲食物に比べ
て顕著に大きいため、少量の摂取でも認められる。さら
に本発明の飲食物は、前記両効果に基づいて、高脂血症
の予防や治療、動脈硬化症の予防や治療等の用途への利
用が可能である。
【0035】
【実施例】
参考例1 トリオレイン1kgと、魚油(タマ生化学(株)製、商品
名:EPA−18)加水分解混合脂肪酸を低温分別した
魚油加水分解脂肪酸濃縮物(総脂肪酸中のC20:5:3
7.4モル%、C22:5:5.4モル%、C22:6:25.
2モル%。n−3系長鎖多価不飽和脂肪酸として72.
5モル%。BHTを0.01重量%添加。)とをモル比
で1:5にて混合し、水分含量を0.2重量%に調節し
た後、リポザイムIM20(商品名。ノボ ノルディス
ク社製、ムコール ミーハイ(Mucor miehei) 由来のリ
パーゼ)を充填したガラス製カラム(10cmφ×60c
m) に40℃にて通し選択的エステル交換反応を行わせ
た。
【0036】水蒸気蒸留および水洗処理にてエステル交
換反応物から遊離脂肪酸を除去した後、n−ヘキサンで
浸潤させたシリカゲル(和光純薬(株)製、商品名:ワ
コーゲルC100)を充填したステンレス製カラムに供
し、n−ヘキサンで溶出させジグリセリドを除き、本発
明の混合トリグリセリド720gを得た。本トリグリセ
リドを構成する全脂肪酸組成、グリセリドの1位および
3位、2位の各脂肪酸組成をGLC分析によって求め
た。この結果を表1に示す。本トリグリセリドを構成す
るC20:5の90モル%。C22:6の95モル%以上、n−
3系長鎖多価不飽和脂肪酸の総量の93.5モル%がト
リグリセリドの1位および3位に分布していた。すなわ
ち本トリグリセリドの2位にはn−3系長鎖多価不飽和
脂肪酸の総量の6.5モル%が分布していた。本トリグ
リセリドを以下の動物実験の試験油とした。
【0037】本トリグリセリドの一部にナトリウムメト
キシド0.1重量%を加え、減圧下100℃にてランダ
ムエステル交換反応を行わせた後、セライトを用いて濾
過し、本トリグリセリドのランダムエステル交換物を得
た。この全脂肪酸組成、1位および3位、2位の各脂肪
酸組成を前記同様に求めた(表1参照)。このトリグリ
セリドの2位にはn−3系長鎖多価不飽和脂肪酸の総量
の50.6モル%が分布していた。このランダムエステ
ル交換物を動物実験の対照油とした。
【0038】
【表1】 ※総炭素数:二重結合数で表示。(n−3)はn−3系脂肪酸を示す。
【0039】4週齢のSD系雄性ラット7匹を1試験区
とし、試験油および対照油を各5重量%配合した飼料
(表2参照)を用いて飼育実験を行った。この間、飼料
成分の酸化劣化を防ぐために、飼料は毎日調製し給餌し
た。水と前記各飼料とを自由摂取させて3週間飼育した
のち、各試験区ラットの血中および肝臓中の中性脂質、
総コレステロールおよびリン脂質各含有量を測定した。
この結果を表3に示す。また同時に各試験区ラットの大
動脈のPGI2 および血液中のTXA2 の各量を測定し
た。この結果を表4に示す。なお各試験区とも飼料摂取
量、体重増加量および膵臓重量に有意差は認められなか
った。
【0040】この実験結果から、本発明に係る混合トリ
グリセリドからなる油脂(試験油)はラットに対して副
作用がなく、試験油を添加した区では、血中トリグリセ
リド(中性脂質)および総コレステロールの値、肝臓中
トリグリセリドの値が顕著に低減することが明らかにな
った。また本発明に係る混合トリグリセリドからなる油
脂(試験油)を添加した区では、PGI2 の産生量が顕
著に増大(すなわち血小板凝集能の抑制作用および動脈
弛緩作用の増加)し、かつTXA2 の産生量が極めて減
少(すなわち血小板凝集能の誘起作用および動脈収縮作
用の低下)することが明らかになった。したがって本発
明に係る混合トリグリセリドからなる油脂は、高脂血症
や動脈硬化症の予防および治療のために利用できる可能
性が認められた。
【0041】
【表2】 ※1 日本クレア(株)製、AIN−93G−MX ※2 日本クレア(株)製、AIN−93−VX ※3 t−ブチルヒドロキノン
【0042】
【表3】 ※対照油添加区の値に対して危険率5%以下で有意差あり。
【0043】
【表4】 ※:表3の注釈と同じ。
【0044】参考例2 試験油脂(本発明の混合トリグリセリドを含む油脂)お
よび対照油脂を次のように調製した。すなわち試験油脂
は harp seal(アザラシ)油脂をドライアイス/アセト
ン冷媒で−80℃、1時間冷却し、析出した結晶部を濾
紙で濾別して調製した。対照油脂は脂肪酸組成の異なる
2種類の魚油(タラ肝油と雑魚油との混合油、マグロ眼
窩油)をドライアイス/アセトン冷媒で同様に冷却、分
別した濃縮物をブレンドし、その総脂肪酸組成を試験油
脂のそれとほぼ近似するものとした。表5にこれらの脂
肪酸組成を示す。
【0045】
【表5】 ※:表1の注釈と同じ。
【0046】4週齢のSD系雄性ラット7匹を1試験区
とし、前記の試験油脂および対照油脂をそれぞれ20重
量%含む油脂(試験油脂または対照油脂20重量部、パ
ーム油50重量部、ハイオレイックサフラワー油5重量
部およびハイリノールサフラワー油25重量部の混合油
脂。脂肪酸組成は表6参照。)を各10重量%配合した
飼料(飼料組成は脂肪5重量%を10重量%とし、コー
ンスターチ41.7重量%を36.7重量%とする以外
は参考例1と同じ。)で、飼育実験を行った。この間、
飼料成分の酸化劣化を防ぐために、飼料は毎日調製し給
餌した。水と前記各飼料とを自由摂取させて3週間飼育
したのち、参考例1と同様に各試験区ラットの血中およ
び肝臓中の中性脂質、総コレステロールおよびリン脂質
各含有量を測定した(表7参照)。また同じく各試験区
ラットの大動脈のPGI2 および血液中のTXA2 の各
量を測定した(表8参照)。なお各試験区とも飼料摂食
量、体重増加量および肝臓重量に有意な差異は認められ
なかった。
【0047】この実験結果から、本発明に係る混合トリ
グリセリドを含有してなる油脂(試験油脂)はラットに
対して副作用を及ぼさず、血中および肝臓中のトリグリ
セリド(中性脂質)および総コレステロールの値を効果
的に低減することが認められた。また試験油脂を添加し
た区では、PGI2 産生量の増大およびTXA2 産生量
の減少すなわち血小板凝集能の抑制作用と動脈血管拡張
作用とが増強されることが明らかになった。したがって
本発明に係る混合トリグリセリドを含有してなる油脂
は、高脂血症や動脈硬化症の予防および治療のために利
用できる可能性が認められた。
【0048】
【表6】 ※:表1の注釈と同じ。(n−6)はn−6系脂肪酸を示す。 ※※:飽和脂肪酸、モノ不飽和脂肪酸、n−6系脂肪酸およびn−3系脂 肪酸のうちの各脂肪酸の割合。
【0049】
【表7】 ※:表3の注釈と同じ。
【0050】
【表8】 ※:表3の注釈と同じ。
【0051】参考例3 参考例2で使用した試験油脂および対照油脂の配合割合
を変えた油脂を飼料に添加して参考例2と同様にラット
飼育実験を行った。すなわち4週齢のSD系雄性ラット
7匹を1試験区とし、参考例2に記載の試験油脂または
対照油脂をそれぞれ10重量%含む油脂(試験油脂また
は対照油脂10重量部、パーム油50重量部、ハイオレ
イックサフラワー油10重量部およびハイリノールサフ
ラワー油30重量部の混合油脂。脂肪酸組成は表9参
照。)を各10重量%配合した飼料(飼料組成は脂肪分
を除き参考例2と同じ。)で、飼育実験を行った。この
間、飼料成分の酸化劣化を防ぐために、飼料は毎日調製
した。水と前記各飼料とを自由摂取させて3週間飼育し
たのち、参考例1と同様に各試験区ラットの血中および
肝臓中の中性脂質、総コレステロールおよびリン脂質各
含有量を測定した(表10参照)。また同じく各試験区
ラットの大動脈のPGI2 および血液中のTXA2 の各
量を測定した(表11参照)。なお各試験区とも飼料摂
取量、体重増加量および肝臓重量に有意な差異は認めら
れなかった。
【0052】この実験結果および参考例2の結果から、
本発明に係る混合トリグリセリドを含有してなる油脂
(試験油脂)はラットに対して副作用を及ぼさず、対照
油脂に比べて少量の試験油脂を混合した油脂の場合をも
含めて、血中および肝臓中のトリグリセリド(中性脂
質)値を顕著に低減する効果をもつことが認められた。
また試験油脂を添加した区では、PGI2 産生量の増大
およびTXA2 産生量の減少をひきおこし、血小板凝集
能の抑制作用と動脈血管の拡張作用とを増強せしめるこ
とが明らかになった。このことから本発明に係る混合ト
リグリセリドを含有してなる油脂は、高脂血症や動脈硬
化症の予防および治療のために利用できる可能性が認め
られた。
【0053】
【表9】 ※および※※:表6の注釈と同じ。
【0054】
【表10】 ※:表3の注釈と同じ。
【0055】
【表11】 ※:表3の注釈と同じ。
【0056】参考例4 微細藻類クリプテコディニウム コーニー(Crypthecod
inium cohnii、ATCC 30336)を表12に示す
培地30リットルに植えつけ、30℃にて、ジャーファ
ーメンターで100時間通気培養し、培養液から培養藻
体を遠心分離して集め、さらにこれを凍結乾燥した(収
量625g)。この乾燥藻体をクロロホルム:メタノー
ル=1:1(重量比)混合溶媒中でヒスコトロン( 商品
名。日音医理科器械製作所製)により細胞破砕して抽出
し、油分520gを得た。n−ヘキサン中に分散させた
シリカゲル(和光純薬(株)製、商品名:ワコーゲルC
100)を充填したステンレス製カラムに前記油分を供
し、ジエチルエーテル:n−ヘキサン=10:90(容
量比)にて溶出させ、本発明に係る混合トリグリセリド
250gを得た。本トリグリセリド(これを試験油とし
た)の脂肪酸組成を参考例1と同様にして求めた(表1
3参照)。
【0057】
【表12】 ※1:ビタミンミックス水溶液(該水溶液1リットル中の重量) ビオチン: 0.003 g チアミン: 1.000 g ※2:メタルミックス水溶液(該水溶液1リットル中の重量) Na2 EDTA: 1.00g FeCl3 ・6H2 O: 0.05g H3 BO3 : 1.00g MnCl2 ・4H2 O: 0.15g ZnCl2 : 0.01g CoCl2 ・6H2 O: 0.005g
【0058】
【表13】 ※:表1の注釈と同じ。
【0059】かくして得られた微細藻類由来のトリグリ
セリド(試験油脂)および参考例2に記載の対照油脂を
それぞれ10重量%含む油脂(試験油脂または対照油脂
10重量部、パーム油50重量部、ハイオレイックサフ
ラワー油10重量部およびハイリノールサフラワー油3
0重量部の混合油脂。脂肪酸組成は表14参照)を各1
0重量%配合した飼料(飼料組成は脂肪分を除き参考例
3と同じ。)を調製し、参考例3と同様の飼育試験を行
った。各試験区ラットの血中および肝臓中脂質含量の分
析結果を表15に示す。また各試験区ラットの大動脈の
PGI2 および血中のTXA2 の産生量の分析結果を表
16に示す。なお各試験区とも飼料摂取量、体重増加量
および肝臓重量に有意差は認められなかった。
【0060】この実験結果および参考例2の結果から、
本発明に係る混合トリグリセリドを含有してなる油脂
(試験油脂)はラットに対して副作用を及ぼさず、対照
油脂に比べて少量の試験油脂を混合した油脂の場合をも
含めて、血中および肝臓中のトリグリセリド(中性脂
質)および総コレステロールの値を顕著に低減化する効
果をもつことが認められた。また試験油脂を添加した区
では、PGI2 産生量の増大およびTXA2 産生量の減
少をひきおこし、血小板凝集能の抑制作用と動脈血管の
拡張作用とを増強せしめることが明らかになった。この
ことから本発明に係る混合トリグリセリドを含有してな
る油脂は、高脂血症や動脈硬化症の予防および治療のた
めに利用できる可能性が認められた。
【0061】
【表14】 ※および※※:表6の注釈と同じ。
【0062】
【表15】 ※:表3の注釈と同じ。
【0063】
【表16】 ※:表3の注釈と同じ。
【0064】実施例1 参考例1で調製した本発明に係る油脂(試験油)10重
量部、大豆硬化油20重量部、レシチン0.2重量部お
よびグリセリン脂肪酸エステル(花王(株)製、商品
名:エキセル0−95R)0.2重量部を均一に溶解さ
せて油相部とした。一方、脱脂粉乳3重量部、ソルビト
ール5重量部、生クリーム10重量部、ポリグリセリン
脂肪酸エステル(坂本薬品(株)製、商品名:SYグリ
スター MS−310)0.5重量部および水51.1
重量部を溶解させて水相部とした。ついで80℃に加温
した水相部に同温度に加温した油相部を加え、70〜7
5℃で予備乳化後、ホモジナイザーを用いて圧力:50
kg/cm2 で処理して均質化し、室温まで冷却して本発明
の飲食物である水中油型クリームを得た。また参考例1
で調製した本発明に係る油脂(試験油)に代えて参考例
2で調製した本発明に係る油脂(試験油脂を20重量%
含む油脂)を同量使用する以外は同様にして本発明の飲
食物である水中油型クリームを得た。なお比較のため、
本発明に係る油脂に代えて大豆サラダ油を同量使用して
同様に処理し同乳化型クリームを得た。専門パネル10
名により、これらクリームの風味および食感を評価した
ところ、本発明に係る油脂を配合したことによるクリー
ムの品質への影響はなかった。
【0065】実施例2 大豆硬化油/参考例1で調製した本発明に係る油脂(試
験油)=2/3(重量比)からなる油脂83重量部に、
グリセリン脂肪酸エステル(理研ビタミン(株)製、商
品名:エマルジーMU)0.5重量部、レシチン0.1
重量部およびβ−カロチン微量を加え、さらに水15重
量部および食塩1.4重量部を加えて乳化させた後、急
冷しながら練りあわせて、本発明の飲食物であるマーガ
リンを得た。また参考例1で調製した本発明に係る油脂
(試験油)に代えて参考例2で調製した本発明に係る油
脂(試験油脂を20重量%含む油脂)を同量使用する以
外は同様にして本発明の飲食物であるマーガリンを得
た。なお比較のため、本発明に係る油脂に代えて調合サ
ラダ油、参考例1記載の対照油、参考例2記載の対照油
脂を20重量%含む油脂のそれぞれを同量使用して同様
に処理しマーガリンを得た。実施例1と同様に両マーガ
リンの風味および食感を評価したところ、本発明に係る
油脂を配合したことによるマーガリンの品質への影響は
なかった。
【0066】また本実施例で得られた5種類のマーガリ
ン(参考例1で調製した本発明に係る前記油脂を配合し
たもの、参考例2で調製した本発明に係る前記油脂を配
合したもの、調合サラダ油を配合したもの、参考例1で
調製した対照油を配合したもの、参考例2で調製した対
照油脂を含む油脂を配合したもの)を用いて、参考例2
に記載した方法によりラット飼育実験を行い、血中脂質
濃度およびエイコサノイド産生量を測定した。このと
き、参考例2に記載の飼料組成のうち、脂肪(10重量
%)全量を前記マーガリンのいずれか1種に置き換え
た。この結果、本発明に係る油脂を配合した場合はいず
れも、調合サラダ油、参考例1記載の対照油、参考例2
記載の対照油脂を含む油脂の各々を配合した場合に比べ
て、血中コレステロール値および/または血中トリグリ
セリド値の低減度合が大きく、かつPGI2 の産生量が
多くまたTXA2 の産生量が少なかった。
【0067】実施例3 β−シクロデキストリン(関東化学(株)製、試薬グレ
ード)10重量部を水100重量部に添加し、十分に攪
拌後、参考例4で調製した本発明に係る油脂(試験油脂
を10重量%含む油脂)3重量部を加え室温で2時間攪
拌した。ついでこれを凍結乾燥処理して粉末状油脂含有
物(包接物)とした。該粉末15重量部をニンジン搾汁
85重量部に加えて本発明の飲食物であるジュースを得
た。実施例1と同様に本ジュースの風味を評価したとこ
ろ、におい、味および外観において違和感のないもので
あった。
【0068】実施例4 キサンタンガム0.3重量部、水34.5重量部、食酢
9重量部および砂糖11重量部を十分に攪拌して水和混
合した後、さらに食塩4重量部および辛子粉末1.2重
量部を加えた。ついでこれを攪拌しながら、参考例1〜
4で調製した本発明に係る油脂(参考例1:試験油、参
考例2:試験油脂を20重量%含む油脂、参考例3およ
び4:試験油脂を10重量%含む油脂)のいずれか40
重量部を少量ずつ加えた後、コロイドミルに通し、本発
明の飲食物であるサラダドレッシングを得た。なお比較
のため、本発明に係る油脂に代えて大豆サラダ油を同量
使用して同様に処理しサラダドレッシングを得た。これ
らのサラダドレッシング(本発明品:4種類、比較品:
1種類)につき、実施例1と同様に風味および食感を評
価したところ、本発明に係る油脂を配合したことによる
サラダドレッシングの品質への影響はなかった。
【0069】実施例5 ゼラチン3重量部および水30重量部を加温しながら混
合し、ゼラチン水溶液とした後、これを攪拌しながら4
0℃まで冷却した。ついでこれに参考例1〜4で調製し
た本発明に係る油脂(実施例4と同じ)各20重量部お
よび大豆トコフェロール(日清製油(株)製、商品名:
トコフェロール100S)0.03重量部を添加し、ホ
モジナイザーを用いて水中油型乳化物とした後、10重
量%アラビアガム水溶液30重量部を加え混合した。温
度を40℃に保持して攪拌を続けながら同温の水140
重量部および10重量%酢酸5重量部を加え、5℃に冷
却し、pHを4.2に調整して、さらに30重量%エタ
ノール水溶液1000重量部を攪拌下に混合した。スラ
リーをエタノールで洗浄し、30℃、減圧下で乾燥させ
て、粒径:10〜50μmのマイクロカプセルを得た。
実施例1と同様に品質評価したところ、におい、味およ
び外観において違和感のないものであった。
【0070】実施例6 参考例1〜4で調製した本発明に係る油脂(実施例4と
同じ)のそれぞれに大豆トコフェロール(実施例5と同
じ)0.3重量%を混合し、一方10重量%ゼラチン水
溶液を作成した。これらを二重円筒式オリフィス(フロ
イント産業(株)製、商品名:スフェレクス・ラボ)に
供し、ゼラチンをカプセル被膜形成物質とした直径5mm
のシームレスカプセルを得た。実施例1と同様にこれら
を品質評価したところ、におい、味および外観において
違和感のないものであった。
【0071】
【発明の効果】本発明の飲食物は、ヒトをはじめ動物に
対して、副作用がなく、従来のn−3系長鎖多価不飽和
脂肪酸供給源を配合した飲食物に比べて血中コレステロ
ール値および/または血中トリグリセリド値を低減化す
る効果が大きく、かつエイコサノイドのPGI2 産生量
を増加せしめ、またTXA2 産生量を減少せしめる効果
すなわち血小板凝集能抑制効果が大きい。このため本発
明の飲食物は、魚油等の従来のn−3系長鎖多価不飽和
脂肪酸供給源を配合した飲食物よりも少量の摂取で、血
中脂質濃度を改善し、血小板の凝集を低減、調節するこ
とができる。また本発明の飲食物は、高脂血症の予防や
治療、動脈硬化症の予防や治療の用途に利用することも
可能である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成8年8月12日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正内容】
【0007】ところで、通常の食事に供される原材料の
中には血中コレステロールや血中トリグリセリドの濃度
を低下させる成分を含むものがある。例えば前記ソイス
テロールは大豆中に含まれる不ケン化物のステロールで
あり、また特開平3−53866号公報にはゴマ油由来
のリグナン類化合物が開示され、これを配合したバター
やマヨネーズ等の飲食物が提案されている。エイコサペ
ンタエン酸(C20:5、但しCの後の数字は総炭素数:二
重結合数を表わす。以下同様。全シス−5,8,11,14,17−
eicosapentaenoic acid 、以下EPAと略す。)やドコ
サヘキサエン酸(C22:6、全シス−4,7,10,13,16,19 −
docosahexaenoic acid、以下DHAと略す。)のような
n−3系長鎖多価不飽和脂肪酸およびこれらを含む食品
素材が血清中のコレステロール値やトリグリセリド値を
低減させる作用があることも動物実験や臨床実験により
明らかになっている(例えばJ.Dyerbergら、Prog.Lipid
Res. 、第21巻、第255〜269頁、1982
)。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正内容】
【0022】前記エステル交換の原料は、成分a−1と
してアマニ油、エゴマ油、シソ油等の植物油、イワシ
油、タラ肝油、ニシン油、イカ油、マグロ眼窩油等の魚
油、クジラ、アザラシ、オットセイ等の海産哺乳動物を
起源として得られる圧搾もしくは抽出油、該動物の乳
脂、クロレラ、スピルリナ、ドナリエラ等またナンノク
ロロプシス属(例えばNannochloropsis oculata 、UTEX
LB 2164等)、トラストキトリウム属(例えばThrausto
chytrium aureum 、ATCC 28211、同34304 等)、クリプ
テコディニウム属(例えばCrypthecodinium cohnii、AT
CC 30021、同30334、同30336 、同50052 等)、イソク
リシス属(例えばIsochrysis galbana、CCAP927/1、UTE
X LB 987 等)等に属する微細藻類から抽出された油
脂、モルティエレラ(Mortierella)属等の微生物(M.is
abellina、IFO 6336、同6739、同7873、同7884、ATCC 4
4853等)に由来する油脂、またn−3系長鎖多価不飽和
脂肪酸またはこれを任意の割合で含む前記各種脂肪酸
(段落番号0018の項参照)との混合脂肪酸のトリグ
リセリドを使用できる。ここでATCC:American Type Cul
tureCollection (米国)、CCAP:Culture Collection o
f Algae and Protozoa (英国)、UTEX:Culture Collec
tion of Algae at the University of Texas (米
国)、IFO:大阪発酵研究所の各略称である。成分a−2
としては段落番号0018の項に記載の各種脂肪酸また
はその誘導体を用いることができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正内容】
【0039】4週齢のSD系雄性ラット7匹を1試験区
とし、試験油および対照油を用い、各5重量%配合した
飼料(表2参照)を用いて飼育実験を行った。この間、
飼料成分の酸化劣化を防ぐために、飼料は毎日調製し給
餌した。水と前記各飼料とを自由摂取させて3週間飼育
したのち、各試験区ラットの血中および肝臓中の中性脂
質、総コレステロールおよびリン脂質各含有量を測定し
た。この結果を表3に示す。また同時に各試験区ラット
の大動脈のPGI2 および血液中のTXA2 の各量を測
定した。この結果を表4に示す。なお各試験区とも飼料
摂取量、体重増加量および膵臓重量に有意差は認められ
なかった。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0046
【補正方法】変更
【補正内容】
【0046】4週齢のSD系雄性ラット7匹を1試験区
とし、前記の試験油脂および対照油脂を用い、それぞれ
20重量%含む油脂(試験油脂または対照油脂20重量
部、パーム油50重量部、ハイオレイックサフラワー油
5重量部およびハイリノールサフラワー油25重量部の
混合油脂。脂肪酸組成は表6参照。)を各10重量%配
合した飼料(飼料組成は脂肪5重量%を10重量%と
し、コーンスターチ41.7重量%を36.7重量%と
する以外は参考例1と同じ。)で、飼育実験を行った。
この間、飼料成分の酸化劣化を防ぐために、飼料は毎日
調製し給餌した。水と前記各飼料とを自由摂取させて3
週間飼育したのち、参考例1と同様に各試験区ラットの
血中および肝臓中の中性脂質、総コレステロールおよび
リン脂質各含有量を測定した(表7参照)。また同じく
各試験区ラットの大動脈のPGI2および血液中のTX
2 の各量を測定した(表8参照)。なお各試験区とも
飼料摂食量、体重増加量および肝臓重量に有意な差異は
認められなかった。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0059
【補正方法】変更
【補正内容】
【0059】かくして得られた微細藻類由来のトリグリ
セリド(試験油脂)および参考例2に記載の対照油脂を
用い、それぞれ10重量%含む油脂(試験油脂または対
照油脂10重量部、パーム油50重量部、ハイオレイッ
クサフラワー油10重量部およびハイリノールサフラワ
ー油30重量部の混合油脂。脂肪酸組成は表14参照)
を各10重量%配合した飼料(飼料組成は脂肪分を除き
参考例3と同じ。)を調製し、参考例3と同様の飼育試
験を行った。各試験区ラットの血中および肝臓中脂質含
量の分析結果を表15に示す。また各試験区ラットの大
動脈のPGI2および血中のTXA2 の産生量の分析結
果を表16に示す。なお各試験区とも飼料摂取量、体重
増加量および肝臓重量に有意差は認められなかった。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0069
【補正方法】変更
【補正内容】
【0069】実施例5 ゼラチン3重量部および水30重量部を加温しながら混
合し、ゼラチン水溶液とした後、これを攪拌しながら4
0℃まで冷却した。ついでこれに参考例1〜4で調製し
た本発明に係る油脂(実施例4と同じ)のいずれか20
重量部および大豆トコフェロール(日清製油(株)製、
商品名:トコフェロール100S)0.03重量部を添
加し、ホモジナイザーを用いて水中油型乳化物とした
後、10重量%アラビアガム水溶液30重量部を加え混
合した。温度を40℃に保持して攪拌を続けながら同温
の水140重量部および10重量%酢酸5重量部を加
え、5℃に冷却し、pHを4.2に調整して、さらに3
0重量%エタノール水溶液1000重量部を攪拌下に混
合した。スラリーをエタノールで洗浄し、30℃、減圧
下で乾燥させて、粒径:10〜50μmのマイクロカプ
セルを得た。実施例1と同様に品質評価したところ、に
おい、味および外観において違和感のないものであっ
た。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0070
【補正方法】変更
【補正内容】
【0070】実施例6 参考例1〜4で調製した本発明に係る油脂(実施例4と
同じ)のそれぞれ99.7重量%に大豆トコフェロール
(実施例5と同じ)0.3重量%を混合した。一方10
重量%ゼラチン水溶液を作成した。これらを二重円筒式
オリフィス(フロイント産業(株)製、商品名:スフェ
レクス・ラボ)に供し、ゼラチンをカプセル被膜形成物
質とした直径5mmのシームレスカプセルを得た。実施例
1と同様にこれらを品質評価したところ、におい、味お
よび外観において違和感のないものであった。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 31/23 ADN A61K 31/23 ADN 35/12 35/12 35/80 35/80 Z

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 グリセリドの構成脂肪酸としてn−3系
    長鎖多価不飽和脂肪酸を含み、n−3系長鎖多価不飽和
    脂肪酸の総量の40モル%未満がグリセリドの2位に結
    合した混合トリグリセリドからなる油脂を配合した油脂
    含有飲食物。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の混合トリグリセリドを
    5重量%以上含んでなる油脂を配合した油脂含有飲食
    物。
  3. 【請求項3】 n−3系長鎖多価不飽和脂肪酸がα−リ
    ノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコ
    サペンタエン酸およびドコサヘキサエン酸からなる群か
    ら選ばれる1種もしくは2種以上である請求項1または
    2に記載の油脂含有飲食物。
  4. 【請求項4】 n−3系長鎖多価不飽和脂肪酸がエイコ
    サペンタエン酸および/またはドコサヘキサエン酸であ
    る請求項1または2に記載の油脂含有飲食物。
  5. 【請求項5】 混合トリグリセリドが海産哺乳動物もし
    くは微細藻類から得られるものまたはこれらを濃縮処理
    したものまたはこれらをエステル交換処理したものであ
    る請求項1〜4のいずれか1項に記載の油脂含有飲食
    物。
  6. 【請求項6】 海産哺乳動物がクジラまたはアザラシで
    ある請求項5に記載の油脂含有飲食物。
  7. 【請求項7】 微細藻類がナンノクロロプシス属、トラ
    ストキトリウム属、イソクリシス属またはクリプテコデ
    ィニウム属のいずれかに属するものである請求項5に記
    載の油脂含有飲食物。
  8. 【請求項8】 混合トリグリセリドがグリセリドの1,
    3位に特異性を有するリパーゼを用い、エステル交換反
    応によって製造されたものである請求項1、2または5
    のいずれか1項に記載の油脂含有飲食物。
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