JPH08173134A - Dhaを含有した卵酒 - Google Patents

Dhaを含有した卵酒

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JPH08173134A
JPH08173134A JP31988594A JP31988594A JPH08173134A JP H08173134 A JPH08173134 A JP H08173134A JP 31988594 A JP31988594 A JP 31988594A JP 31988594 A JP31988594 A JP 31988594A JP H08173134 A JPH08173134 A JP H08173134A
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JP
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dha
egg
dhal
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docosahexaenoic acid
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JP31988594A
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Toshio Takahashi
敏雄 高橋
Naomichi Nishimura
直道 西村
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ドコサヘキサエン酸を含有する脂質を存在せ
しめることを特徴とする卵酒、およびドコサヘキサエン
酸を含有する脂質を卵とともに乳化した後、含水エチル
アルコールを添加することを特徴とするドコサヘキサエ
ン酸の酸化防止方法。 【効果】 風味、保存性を低下させることなくDHAを
高濃度に含有する卵含有の酒が提供でき、DHAの分離
がなく、嗜好性の高い酒を通して、DHAが日常的に無
理なく、しかも効率的に摂取することが可能となり、D
HAの好ましい生理活性効果が期待できる。また、酸化
されやすいDHAを保存する簡便かつ有用な方法を提供
できるものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ドコサヘキサエン酸を
含有する脂質を存在せしめることを特徴とする卵酒に関
する。また本発明は、ドコサヘキサエン酸の酸化防止方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】ドコサヘキサエン酸は(以下、DHAと
略称することがある)、多価不飽和脂肪酸の一種で魚類
の脂質中に多く含まれていることが知られている。DH
Aには血小板凝集抑制作用、血中中性脂肪低下作用、血
中コレステロール低下作用、制癌作用、脳機能向上効果
等の種々の生理活性機能があることが知られている。
【0003】通常DHAは、グリセリンとのエステルで
あるグリセリドの形態で存在することが多く、また、ヒ
トの消化器官での吸収においては、このグリセリドの形
態の方が、DHAのエチルエステルの場合よりも優れて
いることが知られている。(Larry D.et a
l.,Biochemical and Biophy
sical ResearchCommunicati
ons Vol.152,No.1,Page328−
335 (1988))従来日本人は、魚中心の食生活
でこれらDHAを自然に摂取してきたが、最近の日本人
の食生活は肉類中心の欧米型に傾いており、それに伴い
DHAなど不飽和脂肪酸の摂取不足による高血圧、心臓
病等の循環器系疾患等が増加して問題となっている。
【0004】DHAを多く含む魚類の油脂は、安定に入
手可能であるが、その製造原料に由来する魚臭を伴うた
め、そのまま食品に添加するのは難しい(丸山一輝、N
ewFoods Industry Vol.34,N
o.10,Page49−54(1992))。また、
DHAは6個の二重結合を持っている多価不飽和脂肪酸
であることから極めて酸化されやすく、酸化後はそれ自
身が不快な臭いや味を呈することも知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前述の如くDHAは、
魚臭や酸化による不快な臭いや味を呈するため、DHA
ないしはDHAを含有する組成物を単純に飲食品に添加
することはできず、ましてや、十分量のDHAを飲食品
より摂取させるためには、これらの不快感がさらに増大
し、飲食品の風味等を味わうことをしばしば犠牲にせざ
るをえなかった。従来よりこれらの問題点を解決しよう
とする試みが行われてきたが、十分なものではなかっ
た。
【0006】したがって本発明は、飲食品本来の風味を
損なうことなく、DHAを無理なく、しかも効率的に摂
取できる飲食品の提供を課題とする。また本発明は、極
めて酸化されやすいドコサヘキサエン酸の酸化を防止す
る方法の開発を課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題
を達成せんとして鋭意検討を重ねた結果、DHAを含有
する脂質と卵を乳化し、さらにこれに含水エチルアルコ
ールを添加、混合することにより、本来の性質、風味を
そこなわない卵酒が得られ、しかもこの酒には十分量の
DHAを含有せしめることができること、およびDHA
の酸化防止が達成されることを確認して、本発明を完成
したものである。
【0008】即ち本発明は、ドコサヘキサエン酸を含有
する脂質を存在せしめることを特徴とする卵酒である。
本発明でドコサヘキサエン酸を含有する脂質(これらを
DHALと略記することがある)としては、ドコサヘキ
サエン酸を構成脂肪酸とする脂質や、遊離または塩とな
ったドコサヘキサエン酸を意味し、通常は、ドコサヘキ
サエン酸を構成脂肪酸とする脂質が好ましく、この場合
の脂質としては、グリセリドやリン脂質等の生体内に存
在する脂質が好ましく、さらに好ましい例としてはグリ
セリドが挙げられる。また、グリセリドとしては、トリ
グセリド、ジグリセリド、モノグリセリドが挙げられ
が、本願においては、これらのグリセリドを構成する脂
肪酸(構成脂肪酸)の少なくとも一つがドコサヘキサエ
ン酸となったものが例示される。
【0009】本発明で使用されるDHALは、その中の
DHA含有量が10重量%以上であることが好ましく、
30重量%以上あることがさらに好ましく、60重量%
以上であれば特に好ましい。通常DHALとして簡便に
利用し得る脂質は、海産動物油脂、例えばイカ油、オキ
アミ油、カツオ油、サバ油、サンマ油、タラ肝油、マグ
ロ油等に由来するものが例示されるが、マグロまたはカ
ツオの眼か脂肪由来のものが好ましく、またDHAを高
度に精製濃縮したものが食品の風味を低下させずに多く
のDHAを含有させることができ都合がよい。
【0010】通常、DHAとして30重量%以上を含有
する脂質を調製する方法としては、脱酸、脱色した上記
原料由来の油をウインタリングまたは蒸留により濃縮し
た後、脱溶剤、脱臭する方法が挙げられるが、より簡便
には市販品であるハリマ化成株式会社製のDHAー30
M、DHA−35M、DHA−37M あるいは日本化
学飼料株式会社製のDHA−30G、DHA−35G、
DHA−38G等を利用すればよい。
【0011】さらに、DHA含有率60重量%以上の脂
質においても、総グリセリド(トリグリセリド、ジグリ
セリド、モノグリセリドの総量)に対する、ジグリセリ
ドとモノグリセリドの合計量が80重量%以上であるD
HALや、モノグリセリドとジグリセリドの合計量に対
するジグリセリドの比率が70重量%以上のDHALを
使用すると効果はより顕著であり特に好ましい。
【0012】このDHA含有率60重量%以上、且つモ
ノグリセリド、またはモノグリセリドおよびジグリセリ
ドを高い比率で含有するDHALの製造法としては、例
えばDHAを豊富に含む天然油脂を、DHAに対して基
質特異性の低いリパーゼを用いてDHA以外の脂肪酸を
選択的に加水分解する方法により調製できる。リパーゼ
としてはキャンディダ・シリンドラセ由来の酵素(例え
ばシグマ社製 カタログNO.L8525)やキャンデ
ィダ・リポリティカ(ATCC 34088)由来の酵
素が好ましい。上記酵素で加水分解する反応は、酵素の
活性を発現するのに十分な量の水の存在下で行うが、そ
の量は、例えば油脂に対して1ー300重量%が挙げら
れ、また40ー100重量%程度が好ましい例として挙
げられる。前記酵素の使用量は原料油脂中のDHA含有
率、反応温度、反応pH、反応時間によっても適宜選択
することができるが、油脂1gあたり約10ユニット
(U)以上、好ましくは50U以上が例示され、上限に
ついては経済的な必要性から判断することができ、特に
限定されないが、通常は1000U程度、好ましくは3
00U程度が例示される。反応温度はリパーゼが失活し
ない範囲であれば特に限定されないが、通常は20℃以
上、好ましくは25℃以上が例示され、上限としては通
常は60℃以下、好ましくは40℃以下が例示される。
【0013】また、反応媒体としては、水の他、緩衝液
や、場合によっては該反応を阻害しない親水性有機溶媒
を使用してもよく、pHとしては通常7から9までの範
囲が例示され、特に好ましくはpH7.5−8.5が挙
げられる。更に加水分解の反応を速めるためにカルシウ
ムやマグネシウム等の2価の金属イオンを反応液に添加
することも可能であり、特にカルシウムイオンが好まし
い。その濃度は通常10ー500mMの範囲が例示さ
れ、さらに150ー250mMが好ましい例として挙げ
られる。該酵素反応は空気の存在下で行ってもよいが、
DHAが酸化されやすいことから、一般的に窒素やアル
ゴンガス等の不活性ガスの雰囲気下、あるいは酸素を制
限した雰囲気下で反応せしめることが好ましい。
【0014】上記の酵素は、原料として用いたDHAL
に含まれるDHAエステルをほとんど加水分解しないか
もしくは加水分解してもその程度はきわめて低い。上記
の酵素を用いることにより、DHA以外の脂肪酸は優先
的に加水分解されるためにこれを除去し、未分解で残存
するグリセリドを分離回収すればDHAを高濃度に含有
するグリセリドが調製され、特にこのグリセリドはジグ
リセリド、モノグリセリドを主成分とする。
【0015】上記の反応液よりグリセリド画分を採取す
る方法としては通常行われているアルカリ脱酸法、水蒸
気蒸留法、イオン交換樹脂による分画、分子蒸留、吸着
クロマト等の手段を利用すればよく特にその方法は問わ
ない。本発明においてDHAL中の遊離脂肪酸の含有率
は、通常0.5重量%以下であることが好ましいが、D
HALを添加した卵酒の製造に際し、必要により遊離脂
肪酸をあらためて加えることもあり、特に限定されるも
のではない。
【0016】本発明で言うDHAは以下のようにして定
量すればよい。 <DHAL中の総DHAの定量>約125mgの試料を
50mlのナス型フラスコにとり0.5Nメタノール性
水酸化ナトリウム4mlを添加し冷却器を付けて水浴上
で均一な溶液になるまで加熱(5〜10分)してケン化
する。冷却器上部より三フッ化ホウ素錯体メタノール溶
液を5ml添加し2分加熱してメチルエステル化する。
次いでヘキサン4mlを添加し1分加熱後冷却し、飽和
食塩水を加えてメチルエステルをヘキサン層へ抽出す
る。上層のヘキサン層の1.0μlをガスクロマトグラ
フィーに供する。面積百分率法では内部標準物質は不要
であるが脂肪酸絶対量を求めるときには内部標準として
リグノセリン酸を使用する。
【0017】ガスクロマトグラフィーの条件は以下のと
うりである。 機器:島津製作所製 GC−12A,カラムサイズ:内
径3mm,長さ2m、充填剤:液相;ジエチレングリコ
ールサクシネート10%、担体;Chromosorb
W・AW・DMCS 60・80meshキャリヤー
ガス:窒素、流量30ml/分、検出器:FID、カラ
ム温度:200℃、注入部温度:250℃、検出部温
度:250℃ <DHAL中の遊離DHAの定量>ケン化操作を行わず
に直接メチルエステル化してヘキサンで抽出し、前記の
<DHAL中の総DHAの定量>の条件でガスクロマト
グラフィーに供し、同様に測定する。
【0018】卵酒中の総DHAの定量、遊離DHAの定
量、DHAを構成脂肪酸とする脂質に由来するDHA量
の定量等を行うときには、上記の測定法を適宜利用すれ
ばよいが、具体的に示すとすれば、例えば以下の通りで
ある。 <卵酒中の総DHAの定量>試料を減圧下、低温で蒸発
乾固した後、乾固した試料に対し約5倍容のクロロホル
ムーメタノール(2:1)を加え振とう混合して濾液を
分離、これを数回くりかえして集めた抽出液を濃縮す
る。さらに減圧下にメタノールとクロロホルムを蒸発除
去する。得られた画分につき、<DHAL中の総DHA
の定量>と同様の操作を行う。内部標準としてリグノセ
リン酸を使用する。
【0019】<卵酒中の遊離DHAの定量>前記のクロ
ロホルムーメタノール抽出液の溶媒を蒸発除去した画分
につき<DHAL中の遊離DHAの定量>と同様の操作
を行う。内部標準としてリグノセリン酸を使用する。な
お、DHAを構成脂肪酸とする脂質に由来するDHA量
は、前記の<卵酒中の総DHAの定量>と<卵酒中の遊
離DHAの定量>の測定値の差引により計算される。
【0020】本発明の卵酒を製造するに際しては、通常
の方法で卵組成物とアルコール組成物を混合するだけで
よく、本発明のDHALを適宜の時期に添加すればよ
い。卵組成物は、卵およびその他の必要により添加され
る成分から構成される。上記の卵としては鶏卵の殻を除
去した生の全卵もしくは卵黄であれば、鶏の種類、餌の
種類、飼育法等には特に限定されない。また、鶏に飼育
に際し栄養成分を強化した餌を用い卵中に特定の栄養成
分を移行させた強化卵を使用してもよい。強化された栄
養成分としては例えば、沃素、ビタミン類、DHA(ま
たはDHAL)などが挙げられる。その他の必要により
添加される成分としては、卵酒の嗜好性を上げるための
天然色素、フレバー、調味料等や栄養強化成分、保存
剤、乳化剤等が例示され、適宜選択できる。これらの成
分を通常、常温で十分に混合すれば卵組成物とすること
ができる。
【0021】またアルコール組成物としては、アルコー
ル、砂糖、水およびその他の必要により添加される成分
から構成される。上記のアルコールとしてはエチルアル
コールを含む飲用可能なものであれば特に限定されない
が、原料アルコールの他、酒類、例えばブランデー、ウ
イスキー、ワイン、リキュール、ラム酒、ジン、ウオッ
カ、カクテル、日本酒、焼酎などが挙げられる。砂糖は
蔗糖を主成分として含有するものなら特に限定されず、
水も飲用可能なものなら特に限定されない。その他の必
要により添加される成分としては、前述の卵組成物に用
いられるものと同様の成分が挙げられるが、これに加え
香料植物から蒸留、抽出等によって調製した香味液を添
加してもよい。
【0022】アルコール組成物の製造において、アルコ
ール、砂糖、水の使用量は最終製品の嗜好性に応じて決
めればよいが、例を挙げるとすれば、最終製品のエチル
アルコール濃度の添加率は通常5〜30%(W/V)、
好ましくは10〜20%(W/V)が挙げられるる。最
終製品の砂糖濃度は通常10〜30%(W/V),好ま
しくは20〜25%(W/V)が挙げられる。
【0023】卵組成物とアルコール組成物の混合比率
は、最終製品の嗜好性に応じて決めれば良いが、例示す
れば、最終製品に対する卵組成物の比率は通常10〜4
0容量%、好ましくは20〜30容量%が挙げられる。
前記のその他必要により添加される成分は、卵組成物ま
たはアルコール組成物にそれぞれ別々に添加する方法で
あっても、さらに卵組成物とアルコール組成物を混合し
てからさらに添加する方法であってもよく、場合によっ
ては全く添加しない場合もある。
【0024】かくして得られた卵酒は、通常、75℃以
下の温度で加熱殺菌し、40℃まで冷却してからステン
レス製の金網(50ー80メッシュ)で濾過して製品と
する。本発明において卵酒へDHALを添加する方法
は、適宜の時期にDHALを添加することにより行い得
るが、DHALを卵組成物とともに乳化した後、これを
アルコール組成物と混合すると特に好ましい。DHAL
を卵組成物とともに乳化するには単に撹拌混合するだけ
でもよいが、DHALの添加量を増加させ安定な乳化組
成物を得るためには乳化機で均質化することが好まし
い。またさらに乳化組成物の安定性を向上させるために
界面活性剤をDHALと卵の総量に対し0.1〜3重量
%添加してもよい。界面活性剤としては可食性界面活性
剤が好ましく、例えば、ポリグリセリン縮合リシノレイ
ン酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖
脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレ
ングリコール酸エステルおよびダイズレシチンよりなる
群から選ばれる1種以上のものが例示される。
【0025】卵組成物中のDHAL添加率は界面活性剤
を使用したときは50重量%以下が好ましい例として挙
げられ、界面活性剤を使用しないときは20重量%以下
が好ましい例として挙げられる。通常、添加するDHA
Lの量が多すぎると、アルコール組成物と混合した後
に、製品からDHALの分離が認められるようになりや
すい。また20重量%以上DHALを添加すると飲んだ
時、やや違和感を感ずるようになるので実用的には20
重量%以下が例示され、より好ましくは15重量%以
下、特に好ましくは10重量%以下にするとよい。DH
AL添加率の下限は、DHAの生理的有効量を摂取する
のに適当であれば特に限定されないが、通常は、0.5
重量%以上が例示され、好ましくは1重量%以上、さら
に好ましくは3重量%以上、特に好ましくは5重量%以
上が挙げられる。
【0026】前記の如く調製されたDHALを添加した
卵組成物は、アルコール組成物と混合して、両者の合計
量に対し通常10〜40容量%、好ましくは20〜30
容量%になるようにすればよいが、このときその他必要
により添加される微量成分のひとつとしてそれぞれの嗜
好にあわせてフレバーを添加すると魚臭を和らげ、DH
ALの添加量を増加することが可能になる。このとき使
用されるフレバーとしては風味付与効果を有するフレバ
ー、マスキング効果を有するフレバー、あるいはその両
方の効果を有するフレバーであれば限定されないが、例
えばミルクフレバー、柑橘系のフレバー、吟醸フレバー
などを挙げることができる。
【0027】かくして得られた本発明のDHALを含有
した卵酒は、異臭がマスキングされ、本来の卵酒とほと
んど差がない風味を示し、分離がなく、長期保存ができ
るものである。また本発明は、ドコサヘキサエン酸を含
有する脂質を卵とともに乳化した後、含水エチルアルコ
ールを添加することを特徴とするドコサヘキサエン酸の
酸化防止方法である。
【0028】本発明の酸化防止方法において卵とは、前
記卵酒における卵組成物と同じであってもよく、含水エ
チルアルコールについもアルコール組成物と同じであっ
てもよく、その他の条件等についても同様に考えること
ができる。例えば、乳化方法は、必要により前述の界面
活性剤の存在下または非存在下で乳化することにより行
うことができ、含水エチルアルコールを添加し混合する
ことにより、DHAの酸化を顕著に防止する効果が認め
られる。したがって、本発明は酸化されやすいDHAの
保存に有用且つ簡便な方法を提供するものである。
【0029】以下に実施例を挙げて、本発明を詳細に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0030】
【実施例】
【0031】
【実施例1】市販の鶏卵の全卵250mlに35重量%
のDHAを含有するDHAL(日本化学飼料社製 商品
名 DHA−35G)をそれぞれ、0、2、5、10、
15、20、25、50、75、および100g添加混
合し、室温(25℃)で均質化してDHALを添加した
卵組成物を調製した。
【0032】砂糖240gを水に溶解して砂糖水溶液を
調製し、これに原料アルコール(アルコール含有率 9
5w/v%)168.4mlを添加混合しアルコール組
成物を調製した。この場合水の量は最終製品のアルコー
ル含有率が16w/v%になるように適宜調整した。卵
組成物とアルコール組成物を混合して、70℃で10分
間保持して加熱殺菌を行い、40℃まで冷却してからス
テンレス製金網(50−80メッシュ)で濾過して卵酒
1,000mlを得た。
【0033】この得られた卵酒を12時間、室温(25
℃)に放置し、DHALの乳化安定性の観察を行い、ま
た魚臭の有無を10人のパネラーにより評価した。その
結果を表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】DHALの油滴分離はDHALの添加率が
5w/v%以下では認められず、またこの添加率以下で
は明らかに魚臭があると答えた人はいなかった。
【0036】
【実施例2】0.2M塩化カルシウム、5w/v%アラ
ビアゴムから構成される水溶液にキャンディダ・シリン
ドラセ由来のリパーゼ(シグマ社製、カタログNO.L
8525)を30ユニット/mlになるように溶解し、
さらにDHA含有率30重量%の精製油脂(日本化学飼
料社製 商品名DHA−30G)を10w/v%混合し
45℃で15時間撹拌し、2N水酸化ナトリウムで連続
的にpHを8.2に調整しながら加水分解反応を行っ
た。反応終了液と等容量のヘキサンで油脂を抽出し、遠
心分離によりヘキサン層を回収した。ヘキサン抽出液1
容量部に対し、0.4容量部のアセトン、ついで0.2
容量部の0.3N水酸化ナトリウムを加え室温で1時間
撹拌した。遊離の脂肪酸が除去されたグリセリドがヘキ
サン層に回収でき、溶媒を減圧下で溜去して原料油脂に
対し35重量%の製品油脂が得られた。本製品油脂のD
HA含有率は62重量%であり、イアトロスキャンを用
いて測定したグリセリドの組成は、トリグリセリド10
%、ジグリセリド63%、モノグリセリド27%であっ
た。
【0037】このようにして調製したDHA含有率62
重量%のDHALを実施例1におけるDHA含有率35
重量%のDHALと置き換える以外は、実施例1と同一
の条件でDHAL含有の卵酒を調製した。この得られた
卵酒を12時間、室温(25℃)に放置し、DHALの
乳化安定性の観察を行い、また魚臭の有無を10人のパ
ネラーにより評価した。
【0038】表1に示される通り、DHALの油滴分離
はDHALの添加率が7.5w/v%以下では認められ
ず、またこの添加率以下では明らかに魚臭があると答え
た人はいなかった。乳化安定性、魚臭の評価とも35重
量%のDHALより優れていた。
【0039】
【実施例3】実施例1と同様の操作で35重量%のDH
ALを使用して卵酒を調製し、最終工程においてミルク
フレバー3302Z(理研香料工業社製)を0、0.
1、0.2、0.5、1.0w/v%添加した。これら
の製品につき魚臭の有無を10人のパネラーにより評価
した結果を表2に示した。
【0040】
【表2】
【0041】ミルクフレバーの添加により魚臭がマスキ
ングできより多くのDHALの添加が可能となることが
示された。
【0042】
【実施例4】実施例1で調製した卵酒のなかでDHAL
の添加率が1.5w/v%のものを密封して暗所に25
℃で保存し、調製直後、保存30日、60日、90日の
DHA含有率の測定を行い、魚臭または異臭発生の有無
を評価した。その結果を表3に示した。
【0043】
【表3】
【0044】90日保存後も卵酒中のDHAは安定なま
ま保持されていることが確認され、また油滴の分離も認
められなかった。
【0045】
【実施例5】実施例2で調製した卵酒のなかでDHAL
の添加率が1.5w/v%のものを密封して暗所に25
℃で保存し、調製直後、保存30日、60日、90日の
DHA含有率の測定を行い、魚臭または異臭発生の有無
を評価した。その結果を表4に示した。
【0046】
【表4】
【0047】90日保存後も卵酒中のDHAは安定なま
ま保持されていることが確認され、また油滴の分離も認
められなかった。
【0048】
【実施例6】実施例2において全卵としてDHA強化卵
(イセ食品製、DHA400mg/コ含有)を使用し、
DHA含有率65%のDHALの添加率を最終製品に対
して1.5w/v%とする以外は同様の操作を行った。
得られた卵酒を密封して暗所に25℃で保存し、調製直
後、保存30日、60日、90日のDHA含有率の測定
を行い、魚臭または異臭発生の有無を評価した。その結
果を表5に示した。
【0049】
【表5】
【0050】90日保存後も卵酒中のDHAは安定なま
ま保持されていることが確認され、また油滴の分離も認
められなかった。
【0051】
【発明の効果】本発明の方法によれば、風味、保存性を
低下させることなくDHAを高濃度に含有する卵含有の
酒が提供でき、DHAの分離がなく、嗜好性の高い酒を
通して、DHAが日常的に無理なく、しかも効率的に摂
取することが可能となり、DHAの好ましい生理活性効
果が期待できる。
【0052】また、酸化されやすいDHAを保存する簡
便な方法を提供できるものである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ドコサヘキサエン酸を含有する脂質を存
    在せしめることを特徴とする卵酒。
  2. 【請求項2】 ドコサヘキサエン酸を含有する脂質を卵
    とともに乳化した後、含水エチルアルコールを添加する
    ことを特徴とするドコサヘキサエン酸の酸化防止方法。
JP31988594A 1994-12-22 1994-12-22 Dhaを含有した卵酒 Pending JPH08173134A (ja)

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JP31988594A JPH08173134A (ja) 1994-12-22 1994-12-22 Dhaを含有した卵酒

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