JPH0913077A - 臓器蓄積性の高い油脂 - Google Patents

臓器蓄積性の高い油脂

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JPH0913077A
JPH0913077A JP16863395A JP16863395A JPH0913077A JP H0913077 A JPH0913077 A JP H0913077A JP 16863395 A JP16863395 A JP 16863395A JP 16863395 A JP16863395 A JP 16863395A JP H0913077 A JPH0913077 A JP H0913077A
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oil
docosahexaenoic acid
fat
triglyceride
acid
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JP16863395A
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Hiroaki Tsuji
宏明 辻
Akira Seto
明 瀬戸
Katsumi Imaizumi
勝己 今泉
Ikuo Ikeda
郁男 池田
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Nisshin Oil Mills Ltd
Original Assignee
Nisshin Oil Mills Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ドコサヘキサエン酸のような多価不飽和脂肪
酸は、食用植物油脂の構成脂肪酸に比べて酸化され易
く、過剰に摂取すると生体に有害な作用をもたらすおそ
れがある。 【解決手段】 トリグリセリドの2位に結合するドコサ
ヘキサエン酸残基が、トリグリセリド中に存在するドコ
サヘキサエン酸残基の総量の40モル%未満で、1位お
よび3位の脂肪酸残基がそれらの位置間で規則的に、ま
たはランダムに分布する構造を持つ混合トリグリセリド
を有効成分とする、臓器蓄積性の高い油脂。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ドコサヘキサエン
酸の臓器蓄積性の高い油脂に関する。
【0002】
【従来の技術】n−3系長鎖多価不飽和脂肪酸は、動物
の脳の大脳皮質シナプス膜や網膜の光受容膜などの神経
関連組織に、リン脂質の形態で多く分布している。これ
らn−3系長鎖多価不飽和脂肪酸は、そのほとんどがド
コサヘキサエン酸(全cis−4,7,10,13,1
6,19−docosahexaenoic acid,C22:6、ただしCの
後の数字は総炭素数:二重結合数を示し以下同様とす
る。)であり、種々の哺乳類大脳、網膜におけるドコサ
ヘキサエン酸の含量が、食餌にかかわらずほぼ一定であ
ることから、脳や神経系との係わりが存在すると推測さ
れている。
【0003】ドコサヘキサエン酸は、網膜の桿体節を構
成するリン脂質中の脂肪酸のうち約35〜60%を占め
ている。ドコサヘキサエン酸と網膜機能との関係につい
ては、ラットやリーサス猿を用いた実験がなされてお
り、ドコサヘキサエン酸をはじめとするn−3系脂肪酸
の欠乏によって、視力閾値の低下や網膜電位の低下が認
められることが報告され(Bourre ら、J.Nutr., 119, 1
880, (1989))、ドコサヘキサエン酸が網膜機能と深く
かかわっていることが示唆されている。
【0004】ヒト大脳中のドコサヘキサエン酸含量は、
妊娠期間の最後の3か月で3〜5倍に増加し、生後12
週間にさらに3〜5倍に上昇する。
【0005】ラットを用いた実験では、ドコサヘキサエ
ン酸は、生体内合成能力が低い胎児期では母ラットから
胎盤経由で、また出生後は乳汁から供給され、生体内で
のドコサヘキサエン酸生成能力が十分になる約7週齢で
肝臓から供給されるようになることが示唆されている。
その中で、胎児期には胎盤を経由し、出生後は乳汁か
ら、さらに離乳後は食餌から絶えずドコサヘキサエン酸
を摂取した群が有意に優れた学習能力を有することが認
められている(「水産脂質−その特性と生理活性」恒星
社厚生閣(1993))。
【0006】また、Lucas らは、300名の未熟児の7
〜8歳時の知能指数を調べた結果、母乳(ドコサヘキサ
エン酸を含む)を与えられた群は、ドコサヘキサエン酸
を含まない人工乳を与えられた群より知能指数がおよそ
10高いことを報告している(Proc Natl Acad Sci USA
89, 7840,(1992))。
【0007】これらの研究から、ドコサヘキサエン酸が
学習能力や記憶保持に有効であるとみられている。特
に、人の発育、成長時に必須な成分と考えられ、最近、
ドコサヘキサエン酸を強化した育児用調製粉乳等の製品
が開発されている。
【0008】Soderberg らは、脳の中でも記憶に関与す
る海馬部位のリン脂質中ドコサヘキサエン酸含量を調べ
たところ、アルツハイマー病で死亡した人(平均80
歳)のドコサヘキサエン酸は、他の疾患で死亡した人
(平均79歳)の1/2量に減少していることを報告し
ている(Proc Natl Acad Sci USA 89, 7836,(1992))。
【0009】一方、老齢ラットにドコサヘキサエン酸を
投与した結果、脳内ドコサヘキサエン酸含有量が高めら
れた実験が報告されている(Int News Fats Oils Relat
Mater 1, 520(1990))。
【0010】これらの報告から、ドコサヘキサエン酸が
老化や痴呆症と係わっており、高年齢層の脳機能向上に
役立つと考えられている。
【0011】そこで、ドコサヘキサエン酸を体外から補
給するために、ドコサヘキサエン酸を含む魚を多く含む
食品を意図的に摂取したり、ドコサヘキサエン酸を含む
魚油や魚油濃縮物などを素材とする育児用調製粉乳、健
康食品等が市販されている。しかし前記の所望の効果を
得るためには、これらを多量かつ長期にわたり摂取ある
いは投与することが必要であった。
【0012】ドコサヘキサエン酸を含む素材としては、
魚油が多く利用されている。魚油は、主にイワシ油、タ
ラ肝油、ニシン油、イカ油、そしてマグロ眼窩油が用い
られるが、これらの油脂の化学的構造を調べると、いず
れもトリグリセリドの2位にエステル結合するドコサヘ
キサエン酸残基が、トリグリセリド中に存在するドコサ
ヘキサエン酸残基の総量の50モル%以上で、1位およ
び3位よりも2位に結合するドコサヘキサエン酸残基が
多いトリグリセリド構造をとっている。
【0013】一方、ドコサヘキサエン酸のような多価不
飽和脂肪酸は反面、通常の例えば食用植物油脂の構成脂
肪酸に比べて二重結合を分子内に数多く持つため酸化さ
れ易く、過剰に摂取すると生体に有害な作用をもたらす
ことも知られている。生体内で脂質の過酸化反応が進行
すると、生体膜に障害を生じ、虚血性疾患、動脈硬化、
白内障、癌、アルツハイマー病、膠原病、アミロイドー
シス等の病変の原因となることが推測されている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
現状に鑑みてなされたもので、ヒトをはじめ動物に対し
て、副作用がなく、従来のドコサヘキサエン酸供給源よ
りも少量の摂取で、ドコサヘキサエン酸を臓器に蓄積せ
しめやすい作用のある油脂を提供することを目的として
いる。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく鋭意研究を行ったところ、トリグリセリド
構造の1,3位にドコサヘキサエン酸を多く持つ油脂
は、ドコサヘキサエン酸の供給源として一般に用いられ
ている、2位にドコサヘキサエン酸を多く持つ魚油より
もドコサヘキサエン酸の臓器蓄積効果が高く、上記の目
的が達成されることを見出した。本発明はかかる知見に
基づいて完成されたものである。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明において、トリグリセリド
構造の2位に結合するドコサヘキサエン酸残基がトリグ
リセリド中に存在するドコサヘキサエン酸残基の総量の
40モル%未満で、1位および3位の脂肪酸残基がそれ
らの位置間で規則的又はランダムに分布する構造を持つ
混合トリグリセリドを有効成分とする油脂は、海産哺乳
類油脂、その乳脂、微生物油脂、微細藻類油脂のような
天然由来油脂の他、1,3位特異性リパーゼを用い、エ
ステル交換反応によって製造される油脂を包含する。本
発明で特徴的な混合トリグリセリドはドコサヘキサエン
酸を含む脂肪酸とグリセリンとからなるトリグリセリド
において、ドコサヘキサエン酸の総量を100モル%と
するとき、その40モル%未満とドコサヘキサエン酸以
外の任意の脂肪酸がトリグリセリドの2位に位置し、か
つドコサヘキサエン酸の60モル%以上とドコサヘキサ
エン酸以外の任意の脂肪酸とがトリグリセリドの1位お
よび3位においてランダムにまたは非ランダムに分布し
ているものである。
【0017】本発明に係る混合トリグリセリドを構成す
る脂肪酸は、ドコサヘキサエン酸およびこれ以外の脂肪
酸である。後者の脂肪酸(脂肪酸〔I〕)としては、短
鎖、中鎖および長鎖各脂肪酸、また飽和および不飽和各
脂肪酸のいずれを問わず使用できるが、このうち直鎖状
であって、炭素数が6以上の中鎖ないし長鎖の、飽和ま
たは不飽和脂肪酸に属するものが望ましい。かかる脂肪
酸としては、カプロン酸(C6:0)、カプリル酸
(C8:0)、カプリン酸(C10:0)、ラウリン酸
(C12:0)、ミリスチン酸(C14:0)、パルミチン酸
(C16:0)、パルミトオレイン酸(C16:1)、ステアリ
ン酸(C18:0)、オレイン酸(C18:1)、エライジン酸
(C 18:1)、リノール酸(C18:2)、α−リノレン酸
(C18:3,9,12,15−オクタデカトリエン酸)、
α′−リノレン酸(C18:3,5,8,11−オクタデカ
トリエン酸)、γ−リノレン酸(C18:3,6,9,12
−オクタデカトリエン酸)、エレオステアリン酸(C
18:3,9,11,13−オクタデカトリエン酸)、オク
タデカテトラエン酸(C18:4,6,9,12,15−オ
クタデカテトラエン酸)、アラキジン酸(C20:0)、ア
ラキドン酸(C20:4)、ガドレイン酸(C20 :1)、エイ
コサペンタエン酸(C20:5,5,8,11,14,17
−エイコサペンタエン酸)、ベヘン酸(C22:0)、エル
カ酸(C22:1)、ブラシジン酸(C22 :1)、ドコサペン
タエン酸(C22:5,7,10,13,16,19−ドコ
サペンタエン酸)等をあげることができる。これらの脂
肪酸は単独で用いてよく、または任意の割合の混合脂肪
酸として使用してもさしつかえない。なおこれらのう
ち、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレ
イン酸、リノール酸、α−リノレン酸、アラキドン酸、
エイコサペンタエン酸、ドコサペンタエン酸が好まし
い。
【0018】ドコサヘキサエン酸およびこれ以外の脂肪
酸で構成される本発明に係る混合トリグリセリドを製造
するには、化学合成法、エステル交換法、あるいは前記
天然物からの油脂抽出法等の技術を利用すればよい。
【0019】化学合成法としては、例えば所望量および
組成の脂肪酸、脂肪酸無水物あるいは脂肪酸ハロゲン化
物(脂肪酸クロライド)とグリセリンとを、酸性物質
(塩酸、硫酸、パラトルエンスルホン酸等)、アルカリ
酸性物質(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)、金
属(亜鉛、スズ、チタン、ニッケル等)、金属酸化物
(酸化亜鉛、アルミナ、酸化第一鉄等)、金属ハロゲン
化物(塩化アルミニウム、塩化スズ等)等のエステル化
触媒の存在下または非存在下で、窒素ガス気流中にて1
00〜250℃に加熱し、生成水を除去しながら1〜2
5時間エステル化反応させるとよい。
【0020】エステル化生成物は、必要に応じてアルカ
リ脱酸処理、活性炭、活性白土、アルミナ、シリカゲ
ル、イオン交換樹脂等を用いる吸着・分画処理、メタノ
ールやエタノール等の親水性有機溶剤および/またはn
−ヘキサンやキシレン等の親油性有機溶剤を用いる溶剤
分別処理を施して遊離脂肪酸、モノグリセリド、ジグリ
セリド、着色物質、有臭成分等の不純物を除き、さらに
はこれらの処理を適宜に組み合わせてトリグリセリドの
2位に結合するドコサヘキサエン酸残基の含有量が、ト
リグリセリドの1位、2位および3位に結合するドコサ
ヘキサエン酸残基の総含有量の40モル%未満となるよ
うにトリグリセリド成分を分画ないしは濃縮してもよ
い。なお本発明に係る混合トリグリセリドは、例えば加
熱かつ減圧下に水蒸気を吹き込み脱臭処理しておくこと
が望ましい。
【0021】エステル交換法を利用して本発明に係る混
合トリグリセリドを得るには、例えば原料としてドコサ
ヘキサエン酸を多量に含有する脂肪酸のトリグリセリド
(成分a−1)とドコサヘキサエン酸を実質的に含まな
いか少量含有の脂肪酸(成分a−2)、成分a−2の低
級アルコールエステル(メチルエステル、エチルエステ
ル等。以下同様。)または成分a−2のトリグリセリド
とを所望割合で混合し、あるいはドコサヘキサエン酸を
実質的に含まないか少量含有の脂肪酸のトリグリセリド
(成分b−1)とドコサヘキサエン酸を多量に含有する
脂肪酸(成分b−2)または成分b−2の低級アルコー
ルエステルとを所要量混合し、触媒として水酸化ナトリ
ウム、水酸化カリウム等のアルカリ性物質、ナトリウム
メチラート、ナトリウムエチラート、リチウムブチラー
ト等の金属アルコラート(金属アルコキシド)、塩基性
アニオン交換樹脂、酸性カチオン交換樹脂等のイオン交
換樹脂、あるいはリパーゼを用いてエステル交換反応を
行わせるのが簡便である。なお触媒として特定のリパー
ゼを用いてエステル交換すると、後述するように、トリ
グリセリドの1位および3位に選択的に新たな脂肪酸を
導入することができ、本発明に係る混合トリグリセリド
を製造する方法として望ましい。
【0022】前記エステル交換の原料は、成分a−1と
してイワシ油、タラ肝油、ニシン油、イカ油、マグロ眼
窩油等の魚油、クジラ、アザラシ、オットセイ等の海産
哺乳動物を起源として得られる圧搾もしくは抽出油、該
動物の乳脂、クロレラ、スピルリナ、ドナリエラ等また
はナンノクロロプシス属(例えばNannochloropsis ocul
ata)、トラストキトリウム属(例えばThraustochytriu
m aureum)、クリプテコディニウム属(例えばCrypthec
odinium cohnii)、イソクリシス属(例えばIsochrysis
galbana)等に属する微細藻類から抽出される油脂、モ
ルティエレラ(Mortierella)属等の微生物に由来する油
脂、またドコサヘキサエン酸またはこれを任意の割合で
含む前記各種脂肪酸〔I〕との混合脂肪酸のトリグリセ
リドを使用できる。成分a−2としては前記各種脂肪酸
〔I〕またはその誘導体を用いることができる。
【0023】また成分b−1として動植物、微生物、微
細藻類等から得られるトリグリセリドがあり、大豆油、
菜種油、綿実油、コーン油、パーム油、ヤシ油、サフラ
ワー油、ハイオレイックサフラワー油、ヒマワリ油、ハ
イオレイックヒマワリ油、オリーブ油、落花生油、カカ
オ脂、チャイニーズタロウ、サル脂、シア脂、牛脂、ラ
ード、これらの水素添加油脂、分別油脂、前記成分a−
2のトリグリセリドを例示でき、成分b−2としては前
記成分a−1の加水分解処理によって得られる脂肪酸が
ある。
【0024】エステル交換反応は、一例として前記原料
をモル比率で成分a−1:成分a−2=1:0.1〜
5、成分b−1:成分b−2=1:2〜10となるよう
に混合し、アルカリまたは金属アルコラートを触媒とす
る場合には実質的に無水状態として80〜120℃で
0.5〜3時間エステル交換反応せしめる。またイオン
交換樹脂を用いる場合も同様に無水状態とするが、室温
〜40℃程度にてカラム方式で原料を循環接触させるの
がよい。リパーゼを触媒として用いる場合には、原料中
の水分量を1重量%以下にし、市販のリパーゼ粉末ある
いはこれを公知の担体例えばセライト、ケイソウ土、活
性炭、多孔質ガラス、イオン交換樹脂、キトサン、高分
子ゲル、セルロース粉末等に固定化した固定化リパーゼ
を加え、20〜80℃で0.5〜20時間エステル交換
反応せしめる。
【0025】リパーゼは以下に述べる微生物を起源とす
るものあるいは動物臓器由来のものを使用できる。すな
わちアスペルギルス属(例えばAspergillus niger)、ム
コール属(例えばMucor miehei)、キャンディダ属(例
えばCandida cyrindracea)、シュードモナス属(例えば
Psendomonas fragi)、アルカリゲネス属(例えば特公昭
58−36953号公報に記載のAlcaligenes sp.)リゾ
プス属(例えばRhizopus delemar) 、ジオトリクム属
(例えばGeotrichum candidum)等に属する微生物起源の
リパーゼおよびブタ膵臓リパーゼである。このうちアス
ペルギルス属、ムコール属、アルカリゲネス属およびリ
ゾプス属の微生物を起源とするリパーゼ、ブタ膵臓リパ
ーゼはグリセリドの1位および3位に特異的に作用する
ため、本発明に係るトリグリセリドを製造するに際して
は好適である。
【0026】前述した各種エステル交換方法によって得
られるエステル交換反応物は、選択する原料の種類によ
ってはエステル交換反応物そのものを本発明に係る混合
トリグリセリドとすることができるが、前記化学合成法
によって得られるエステル化生成物の場合と同様に、必
要に応じてアルカリ脱酸処理、吸着・分画処理、溶剤分
別処理あるいは無溶剤分別(ウインタリング)処理等を
適宜に組み合わせてエステル交換反応物に施し、不純物
を除去したりグリセリド成分を分画あるいは濃縮して本
発明に係る混合トリグリセリドとすることもできる。な
お該トリグリセリドは脱臭処理しておくことが望まし
い。
【0027】本発明に係る混合トリグリセリドは天然物
から油脂分を抽出する方法によっても得ることができ
る。すなわち前記エステル交換の原料(成分a−1)と
して記載したもののうち、クジラ、アザラシ(harbour
seal,harp seal等)、オットセイ等の海産哺乳動物の
体組織、該動物から分泌される乳汁 、クロレラ、スピ
ルリナ、ドナリエラ等の微細藻類の細胞またはこれらの
培養細胞、ナンノクロロプシス(Nannochloropsis)属、
トラストキトリウム(Thraustochytrium)属、クリプテ
コディニウム(Crypthecodinium)属およびイソクリシス
(Isochrysis)属等に属する微細藻類例えばナンノクロ
ロプシス オキュラータ(Nannochloropsisoculata)、
トラストキトリウム アウレウム(Thraustochytrium a
ureum)、クリプテコディニウム コーニー(Crypthecod
inium cohnii)、イソクリシス ガルバナ(Isochrysis
galbana)等の細胞またはこれらの培養細胞を原料とす
る。なお微生物を起源とする場合には、これから得られ
るトリグリセリドが本発明に係る混合トリグリセリド構
造を満足するものであればさしつかえない。
【0028】これらを圧搾処理もしくはn−ヘキサン、
クロロホルム、ベンゼン、メタノール、ジエチルエーテ
ル等の有機溶剤を用いて抽出処理または分別処理して油
分を得、これに脱ガム、アルカリ脱酸、脱色、脱臭等の
処理を施して遊離脂肪酸、リン脂質、糖脂質、不ケン化
物、着色物質、有臭成分等の不純物を除き、グリセリド
画分を得ることができる。このグリセリド画分は本発明
に係る混合トリグリセリドとして利用できるが、該グリ
セリド画分をさらに無溶剤低温分別、溶剤分別、あるい
はシリカゲル・カラム等により分画して、トリグリセリ
ドの2位に結合するドコサヘキサエン酸残基がより一層
少ないトリグリセリドを製造することも可能である。
【0029】以上に述べたような化学合成法、エステル
交換法、あるいは天然物からの抽出法等によって製造さ
れる本発明に係る混合トリグリセリドは、その構成脂肪
酸としてドコサヘキサエン酸の総量の40モル%未満が
トリグリセリドの2位にエステル結合するものである
が、より好ましくは20モル%未満である。40モル%
以上になると本発明の所望の効果は小さくなる。そして
ドコサヘキサエン酸の総量の60モル%以上およびドコ
サヘキサエン酸以外の脂肪酸がトリグリセリドの1位お
よび3位にランダムまたは非ランダムに分布してエステ
ル結合した構造のものである。本発明に係る混合トリグ
リセリドはそのままで油脂として利用でき、またこれを
有効成分として通常の食用油脂例えば成分b−1として
記載したような動植物系油脂と混合して油脂としても用
いることができる。このとき本発明に係る混合トリグリ
セリドの含有量は油脂全体の5〜100重量%が望まし
く、さらには10〜100重量%がより一層好ましい。
最も好ましくは20〜100重量%である。5重量%未
満では本発明の所望の効果が小さい。
【0030】本発明の油脂は、乳児用調製粉乳の素材の
他、ソフトカプセル、マイクロカプセルなどのカプセル
状態にして摂取することができ、また通常の食用油脂と
同様に食品素材として各種加工食品の原料、料理の材料
に用い、摂食することができる。また、飼料原料として
使用することにより、ドコサヘキサエン酸が多く含まれ
る卵を生産する可能性も考えられる。
【0031】
【実施例】
(実施例1)トリオレイン1kgと、魚油(タマ生化学
(株)製、商品名:EPA−18)加水分解混合脂肪酸
を低温分別した魚油加水分解脂肪酸濃縮物(総脂肪酸中
のC 20:5:37.4モル%、C22:5:5.4モル%、C
22:6:25.2モル%。BHTを0.01重量%添加)
とを1:5(モル比)に混合し、水分含量を0.2重量
%に調節した後、リポザイムIM20(商品名「ノ
ボ」、ノルディスク社製、ムコール ミーハイ(Mucor
miehei)由来リパーゼ)を充填したガラス製カラム(1
0cmφ×60cm)に40℃にて通し選択的エステル
交換反応を行わせた。
【0032】水蒸気蒸留および水洗処理にてエステル交
換反応物から遊離脂肪酸を除去した後、n−ヘキサンで
浸潤させたシリカゲル(商品名「ワコーゲルC10
0」、和光純薬(株)製)を充填したステンレス製カラ
ムに供し、n−ヘキサンで溶出させ、ジグリセリドを除
き、本発明に係る混合トリグリセリド720gを得た。
本トリグリセリドを構成する全脂肪酸組成、グリセリド
の1位および3位、2位の各脂肪酸組成をGLC分析に
よって求めた。この結果を表1に示す。本トリグリセリ
ドを構成する脂肪酸のうちC22:6(ドコサヘキサエン
酸)の総量の4モル%がトリグリセリドの2位に分布し
ていた。本トリグリセリドを以下の動物実験の試験油と
した。
【0033】本トリグリセリドの一部にナトリウムメト
キシド0.1重量%を加え、減圧下100℃にてランダ
ムエステル交換反応を行わせた後、セライトを用いて濾
過し、本トリグリセリドのランダムエステル交換反応物
を得た。この全脂肪酸組成、1位および3位、2位の各
脂肪酸組成を前記同様に求めた(表1参照)。このトリ
グリセリドの2位にはドコサヘキサエン酸の総量の45
モル%が分布していた。このランダムエステル交換物を
動物実験の対照油とした。
【0034】
【表1】 * 総炭素数:二重結合数で表示 4週齢のSD系雄性ラット7匹を1試験区とし、試験油
および対照油を各5重量%配合した飼料(表2参照)を
用いて飼育実験を行った。この間、調製飼料の酸化劣化
を防ぐために、飼料は毎日調製し給餌した。水と前記各
飼料とを自由摂取させて3週間飼育したのち、各試験区
ラットの臓器および血中におけるリン脂質中ドコサヘキ
サエン酸含量(ホスファチジルコリン、ホスファチジル
エタノールアミン等の各リン脂質分子種を構成する全脂
肪酸中のドコサヘキサエン酸含量。以下同様。)を測定
した。この結果を表3に示す。また各試験区とも飼料摂
取量、体重増加量および肝臓重量に有意差は認められな
かった。
【0035】なお、有意差の検定はT検定法に拠った。
(以下同様) この実験結果から、本発明に係るトリグリセリド(試験
油)はラットに対して副作用を及ぼさず、試験油を添加
した区では、脳中のホスファチジルエタノールアミンお
よび血中のホスファチジルコリンにドコサヘキサエン酸
が多量に存在することが明らかになり、ドコサヘキサエ
ン酸の臓器蓄積性が高いことが認められた。
【0036】
【表2】 *1 日本クレア(株)製、AIN−93G−MX *2 日本クレア(株)製、AIN−93−VX *3 t−ブチルヒドロキノン
【0037】
【表3】 1):ホスファチジルコリン、2):ホスファチジルエタノールアミン 注)* は対照油添加区に対して統計的に危険率5%以下で有意差があることを 示す。(以下同様) (実施例2)試験油脂(本発明の混合トリグリセリドを
含む油脂)および対照油脂を以下のようにして調製し
た。
【0038】試験油脂は、Harp seal 油脂をドライアイ
ス/アセトン冷媒で−80℃にて1時間冷却し、析出し
た結晶部を濾紙で濾別して調製した。対照油脂は脂肪酸
組成の異なる2種類の魚油(タラ肝油と雑魚油との混合
油、マグロ眼窩油)をドライアイス/アセトン冷媒で同
様に冷却、分別した濃縮物をブレンドし、試験油脂と総
脂肪酸組成を合わせた。表4にこれらの脂肪酸組成を示
す。
【0039】
【表4】 * :表1の注釈と同じ。
【0040】4週齢のSD系雄性ラット7匹を1試験区
とし、前記の試験油脂および対照油脂をそれぞれ20重
量%含む油脂(試験油脂または対照油脂20重量部、パ
ーム油50重量部、ハイオレイックサフラワー油5重量
部およびハイリノールサフラワー油25重量部の混合油
脂。脂肪酸組成は表5参照。)を各10重量%配合した
飼料(飼料組成は、脂肪5重量%を10重量%とし、コ
ーンスターチ41.7重量%を36.7重量%とする以
外は実施例1と同じ。)で、飼育実験を行った。この
間、調製飼料の酸化劣化を防ぐために、飼料は毎日調製
し給餌した。水と前記各飼料とを自由摂取させて3週間
飼育したのち、各試験区ラットの臓器および血中におけ
るリン脂質中ドコサヘキサエン酸含量を測定した。この
結果を表6に示す。なお各試験区とも飼料摂取量、体重
増加量および肝臓重量に有意差は認められなかった。
【0041】この実験結果から、本発明に係る油脂はラ
ットに対して副作用を及ぼさず、脳中のホスファチジル
エタノールアミンおよび血中のホスファチジルコリンに
ドコサヘキサエン酸が多く存在することから明らかなよ
うに、ドコサヘキサエン酸の臓器蓄積性が高いことが認
められた。
【0042】
【表5】 * :表1の注釈と同じ。** :飽和脂肪酸、モノ不飽和脂肪酸、n−6系脂肪酸(表中、n−6と表示)お よびn−3系脂肪酸(表中、n−3と表示)のうちの各脂肪酸の割合。
【0043】
【表6】 1),2)および* :表3の注釈と同じ。 (実施例3)9週齢のSD系雌ラット8匹を1試験区と
し、実施例2で使用した各飼料を3週間与えた後、雄ラ
ットと交配させ、妊娠させた、妊娠中および出産後も同
じ食餌を与えた。母親ラットの乳汁における乳脂中のド
コサヘキサエン酸含量、生後2週間目の子ラットの脳中
リン脂質(ホスファチジルエタノールアミン)のドコサ
ヘキサエン酸含量を測定した。この結果を表7および表
8に示す。本発明に係る油脂を配合した飼料で飼育する
と、母親ラットの乳汁中のドコサヘキサエン酸含量が増
加し、また子ラットの脳中のホスファチジルエタノール
アミン中のドコサヘキサエン酸含量も増加した。この結
果からも本発明に係る油脂ではドコサヘキサエン酸の臓
器蓄積性が高いことが認められた。
【0044】
【表7】 * :表3の注釈と同じ。
【0045】
【表8】 * :表3の注釈と同じ。 (実施例4)実施例2で使用した試験油脂および対照油
脂の配合割合を変えた油脂を飼料に添加して実施例2と
同様にラット飼育実験を行った。すなわち4週齢のSD
系雄性ラット7匹を1試験区とし、実施例2に記載の試
験油脂または対照油脂をそれぞれ10重量%含む油脂
(試験油脂または対照油脂10重量部、パーム油50重
量部、ハイオレイックサフラワー油10重量部およびハ
イリノールサフラワー油30重量部の混合油脂。脂肪酸
組成は表9参照。)を各10重量%配合した飼料(飼料
組成は脂肪分を除き実施例2と同じ。)で、飼育実験を
行った。この間、調製飼料の酸化劣化を防ぐために、飼
料は毎日調製した。水と前記各飼料とを自由摂取させて
3週間飼育したのち、各試験区ラットの臓器および血中
におけるリン脂質中ドコサヘキサエン酸含量を測定し
た。この結果を表10に示す。なお各試験区とも飼料摂
取量、体重増加量および肝臓重量に有意差は認められな
かった。
【0046】この実験結果および実施例2の結果から、
本発明に係る油脂はラットに対して副作用を及ぼさず、
対照油脂に比べて少量の試験油脂を混合した油脂の場合
をも含めて、脳中のホスファチジルエタノールアミンお
よび血中のホスファチジルコリンにドコサヘキサエン酸
が多く存在し、ドコサヘキサエン酸の臓器蓄積性が高い
ことが認められた。
【0047】
【表9】 * および**:表5の注釈と同じ。
【0048】
【表10】 1),2)および* :表3の注釈と同じ。 (実施例5)微細藻類クリプテコディニウム コーニー
(Crypthecodinium cohnii,ATCC30336)を表11に示す
培地30リットルに植えつけ、30℃にて、ジャーファ
ーメンターで100時間通気培養し、該培養液から培養
藻体を遠心分離して集め、さらにこれを凍結乾燥した
(収量625g)。この乾燥藻体をクロロホルム:メタ
ノール=1:1(重量比)混合溶媒中でヒスコトロン
(商品名、日音医理科器械製作所製)により細胞破砕し
て抽出し、油分520gを得た。n−ヘキサン中に分散
させたシリカゲル(和光純薬(株)製、商品名:ワコー
ゲルC100)を充填したステンレス製カラムに前記油
分を供し、ジエチルエーテル:n−ヘキサン=10:9
0(容量比)にて溶出させ、本発明に係るトリグリセリ
ド250gを得た。本トリグリセリド(これを試験油脂
とした)の脂肪酸組成を実施例1と同様にして求めた
(表12参照)。
【0049】
【表11】 (PH:6.8) *1ビタミンミックス水溶液(単位:該水溶液1リットル中の重量) ビオチン :0.003g チアミン :1.000g *2メタルミックス水溶液(単位:該水溶液1リットル中の重量) Na2EDTA :1.00g FeCl3・6H2O:0.05g H3 BO3 :1.00g MnCl2・4H2O:0.15g ZnCl2 :0.01g CoCl2・6H2O:0.005g
【0050】
【表12】 * :表1の注釈と同じ。
【0051】かくして得られた微細藻類由来のトリグリ
セリド(試験油脂)および実施例2に記載の対照油脂を
それぞれ10重量%含む油脂(試験油脂または対照油脂
10重量部、パーム油50重量部、ハイオレイックサフ
ラワー油10重量部およびハイリノールサフラワー油3
0重量部の混合油脂:脂肪酸組成は表13参照。)を各
10重量%配合した飼料(飼料組成は脂肪分を除き実施
例2と同じ。)を調製し、実施例4と同様の飼育試験を
行った。各試験区ラットの臓器および血中におけるリン
脂質中ドコサヘキサエン酸含量を測定した。この結果を
表14に示す。なお各試験区とも飼料摂取量、体重増加
量および肝臓重量に有意差は認められなかった。この実
験結果および実施例2の結果から、本発明に係る油脂は
ラットに対して副作用を及ぼさず、対照油脂に比べて少
量の試験油脂を混合した油脂の場合をも含めて、脳中の
ホスファチジルエタノールアミンおよび血中のホスファ
チジルコリンにドコサヘキサエン酸が多く存在し、ドコ
サヘキサエン酸の臓器蓄積性が高いことが認められた。
【0052】
【表13】 * および**:表5の注釈と同じ。
【0053】
【表14】 1),2)および* :表3の注釈と同じ。
【0054】
【発明の効果】以上に説明したように本発明によれば、
動物に対して、副作用がなく、従来のドコサヘキサエン
酸供給源に比べてドコサヘキサエン酸の臓器蓄積効果が
大きく、魚油等のドコサヘキサエン酸供給源よりも少量
の摂取で、ドコサヘキサエン酸の体内への蓄積を容易な
らしめる油脂を提供できる。
【手続補正書】
【提出日】平成8年8月21日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正内容】
【0005】ラットを用いた実験では、ドコサヘキサエ
ン酸は、生体内合成能力が低い胎児期では母ラットから
胎盤経由で、また出生後は乳汁から供給され、生体内で
のドコサヘキサエン酸生成能力が十分になる約7週齢で
肝臓から供給されるようになることが示唆されている。
その中で、胎児期には胎盤を経由し、出生後は乳汁か
ら、さらに離乳後は食餌から絶えずドコサヘキサエン酸
を摂取した群が有意に優れた学習能力を有することが認
められている(藤本健四郎編、「水産脂質−その特性と
生理活性」恒星社厚生閣(1993))。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正内容】
【0006】また、Lucas らは、300名の未熟児の7
〜8歳時の知能指数を調べた結果、母乳(ドコサヘキサ
エン酸を含む)を与えられた群は、ドコサヘキサエン酸
を含まない人工乳を与えられた群より知能指数がおよそ
10高いことを報告している(鈴木平光、「食品と開
発」、27巻、No.8、第6〜9頁、1992年、
(株)健康産業新聞社)。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正内容】
【0008】Soderberg らは、脳の中でも記憶に関与す
る海馬部位のリン脂質中ドコサヘキサエン酸含量を調べ
たところ、アルツハイマー病で死亡した人(平均80
歳)のドコサヘキサエン酸は、他の疾患で死亡した人
(平均79歳)の1/2量に減少していることを報告し
ている(「食品と開発」、前記)。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正内容】
【0009】一方、老齢ラットにドコサヘキサエン酸を
投与した結果、脳内ドコサヘキサエン酸含有量が高めら
れた実験が報告されている(「食品と開発」、前記)。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正内容】
【0022】前記エステル交換の原料は、成分a−1と
してイワシ油、タラ肝油、ニシン油、イカ油、マグロ眼
窩油等の魚油、クジラ、アザラシ、オットセイ等の海産
哺乳動物を起源として得られる圧搾もしくは抽出油、該
動物の乳脂、クロレラ、スピルリナ、ドナリエラ等また
はナンノクロロプシス属(例えばNannochloropsis ocul
ata、UTEX LB2164等)、トラストキトリウム属(例えば
Thraustochytrium aureum、ATCC28211、同34304等)、
クリプテコディニウム属(例えばCrypthecodinium cohn
ii、ATCC30021、同30334、同30336、同50052等)、イソ
クリシス属(例えばIsochrysis galbana、CCAP927/1、U
TEX LB987等)等に属する微細藻類から抽出される油
脂、モルティエレラ(Mortierella)属等の微生物(M.is
abellina,IFO6336、同6739、同7837、同7884、ATCC4485
3等)に由来する油脂、またドコサヘキサエン酸または
これを任意の割合で含む前記各種脂肪酸〔I〕との混合
脂肪酸のトリグリセリドを使用できる。ここでATCC: Am
erican Type Culture Collection(米国)、CCAP: Cult
ure Collection of algae and Protozoa(英国)、UTE
X: Culture Collection of Algae at the University o
f Texas(米国)、IFO:大阪発酵研究所、の略称であ
る。成分a−2としては前記各種脂肪酸〔I〕またはそ
の誘導体を用いることができる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正内容】
【0034】
【表1】 * 総炭素数:二重結合数で表示 4週齢のSD系雄性ラット7匹を1試験区とし、試験油
および対照油のいずれかを各5重量%配合した飼料(表
2参照)を用いて飼育実験を行った。この間、調製飼料
の酸化劣化を防ぐために、飼料は毎日調製し給餌した。
水と前記各飼料とを自由摂取させて3週間飼育したの
ち、各試験区ラットの臓器および血中におけるリン脂質
中ドコサヘキサエン酸含量(ホスファチジルコリン、ホ
スファチジルエタノールアミン等の各リン脂質分子種を
構成する全脂肪酸中のドコサヘキサエン酸含量。以下同
様。)を測定した。この結果を表3に示す。また各試験
区とも飼料摂取量、体重増加量および肝臓重量に有意差
は認められなかった。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正内容】
【0040】4週齢のSD系雄性ラット7匹を1試験区
とし、前記の試験油脂および対照油脂を用い、それぞれ
20重量%含む油脂(試験油脂または対照油脂20重量
部、パーム油50重量部、ハイオレイックサフラワー油
5重量部およびハイリノールサフラワー油25重量部の
混合油脂。脂肪酸組成は表5参照。)を各10重量%配
合した飼料(飼料組成は、脂肪5重量%を10重量%と
し、コーンスターチ41.7重量%を36.7重量%と
する以外は実施例1と同じ。)で、飼育実験を行った。
この間、調製飼料の酸化劣化を防ぐために、飼料は毎日
調製し給餌した。水と前記各飼料とを自由摂取させて3
週間飼育したのち、各試験区ラットの臓器および血中に
おけるリン脂質中ドコサヘキサエン酸含量を測定した。
この結果を表6に示す。なお各試験区とも飼料摂取量、
体重増加量および肝臓重量に有意差は認められなかっ
た。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0051
【補正方法】変更
【補正内容】
【0051】かくして得られた微細藻類由来のトリグリ
セリド(試験油脂)および実施例2に記載の対照油脂を
用い、それぞれ10重量%含む油脂(試験油脂または対
照油脂10重量部、パーム油50重量部、ハイオレイッ
クサフラワー油10重量部およびハイリノールサフラワ
ー油30重量部の混合油脂:脂肪酸組成は表13参
照。)を各10重量%配合した飼料(飼料組成は脂肪分
を除き実施例2と同じ。)を調製し、実施例4と同様の
飼育試験を行った。各試験区ラットの臓器および血中に
おけるリン脂質中ドコサヘキサエン酸含量を測定した。
この結果を表14に示す。なお各試験区とも飼料摂取
量、体重増加量および肝臓重量に有意差は認められなか
った。この実験結果および実施例2の結果から、本発明
に係る油脂はラットに対して副作用を及ぼさず、対照油
脂に比べて少量の試験油脂を混合した油脂の場合をも含
めて、脳中のホスファチジルエタノールアミンおよび血
中のホスファチジルコリンにドコサヘキサエン酸が多く
存在し、ドコサヘキサエン酸の臓器蓄積性が高いことが
認められた。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トリグリセリドの2位に結合するドコサ
    ヘキサエン酸残基がトリグリセリド中に存在するドコサ
    ヘキサエン酸残基の総量の40モル%未満で、1位およ
    び3位の脂肪酸残基がそれらの位置間で規則的又はラン
    ダムに分布する構造を持つ混合トリグリセリドを有効成
    分とするドコサヘキサエン酸の臓器蓄積性の高い油脂。
  2. 【請求項2】 前記混合トリグリセリドが、海産哺乳類
    油脂、乳脂、または微細藻類油脂を含む天然由来油脂ま
    たはこれらを濃縮処理したものまたはこれらをエステル
    交換処理したもので構成された有効成分からなる請求項
    1に記載の油脂。
  3. 【請求項3】 海産哺乳類がクジラまたはアザラシであ
    る請求項2に記載の油脂。
  4. 【請求項4】 微細藻類がナンノクロロプシス属、トラ
    ストキトリウム属、イソクリシス属、またはクリプテコ
    ディニウム属のいずれかに属するものである請求項2に
    記載の油脂。
  5. 【請求項5】 前記混合トリグリセリドが、1,3位特
    異性リパーゼを用い、エステル交換反応によって製造さ
    れたトリグリセリドで構成された有効成分からなる請求
    項1または2に記載の油脂。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US8143383B2 (en) 2001-01-25 2012-03-27 Abbott Laboratories Δ-6 desaturase and uses thereof

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