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ドコサヘキサエン酸およびドコサペンタエン酸の製造方法
JP3538418B2
Japan
- Other languages
English - Inventor
悟広 田中 敏昭 矢口 昌 清水 功 十合 茂昭 藤川 - Current Assignee
- Nagase Chemtex Corp
- Nagase and Co Ltd
- Suntory Ltd
Description
translated from
ことによってドコサヘキサエン酸(以下「DHA」とも
いう)および/またはドコサペンタエン酸(以下「DP
A」ともいう)を含有する油脂を製造する方法、ならび
に、この油脂からDHAおよび/またはDPAを製造す
る方法に関する。本発明はまた、この油脂を生産する能
力を有するウルケニア(Ulkenia)属に属する微
生物に関する。
まれている。特に、DHAは、イワシまたはマグロ由来
の油に含まれており、ここでDHAは、20%前後の量
で含まれている。
のDHAを高濃度に含有する原料が発見され、また脂肪
酸の高度精製技術が発達したことなどから、DHAの生
理活性機能の解明、およびその実用化の研究が活発に進
められている。DHAの生理活性機能としてコレステロ
ール低下作用、抗血液凝固作用、および制癌作用などが
含まれることが明らかになっている。また、脳代謝系に
関連して、DHAが、記憶学習能力の向上、老人性痴呆
症の予防、およびアルツハイマー病の治療に効果がある
ことが明らかになっている。さらに、DHAは、稚魚の
成長に必須の脂肪酸であることも明らかとなっている。
上記の理由から、DHAは各種食品、飼料、および餌料
に使用されている。
られているが、その含量はごくわずかである。DPAの
生理活性機能については未だ不明の点が多く、薬剤を脳
へ運びやくする担体として機能することなどがわずかに
知られているにすぎない(特開昭61−204136号
(1986))。しかし、動物体内でのDHAの不足の
代償として、DPAが増加することが知られているので
(Homayounら、J.Neurochem.,v
ol.51,p.45(1988);Hammら、Bi
ochem.J.,vol.245,p.907(19
87);およびRebhungら、Biosci.Bi
otech.Biochem.,vol.58,p.3
14(1994))、DPAが動物体内で何らかの生理
的役割を有し得ることが予想される。
ようとする場合、例えば、所望の脂肪酸の含有率が低い
こと、魚類の回遊性等から魚油が安定な供給源となりに
くいこと、または魚油特有の異臭があるなどのいくつか
の欠点がある。さらに、魚油はアラキドン酸(ARA)
やエイコサペンタエン酸(EPA)などの不飽和脂肪酸
(これらは、油脂を酸化されやすくする)をさらに含む
ため、安定した品質の油脂を得ることが困難である。
供給源として、DHAおよび/またはDPAの生産能を
有する微生物の培養菌体中に蓄積した油脂が考えられ
る。例えば、以下の微生物が、DHAおよび/またはD
PAを生産することが知られている:深海から分離され
た細菌ビブリオ・マリナス(Vibrio marin
us)ATCC 15381;深海魚の腸内から分離さ
れたビブリオ属細菌;鞭毛菌類(例えば、スラウストキ
トリウム・アウレウム(Thraustochytri
um aureum)ATCC 34304、スラウス
トキトリウム・エスピー(Thraustochytr
ium sp.)ATCC 28211、ATCC 2
0890、およびATCC 20891、シゾキトリウ
ム・エスピー(Schizochytrium s
p.)ATCC 20888およびATCC 2088
9(米国特許第5,340,742号)、スラウストキト
リウム属SR21株(日本農芸化学会誌、第69巻、臨
時増刊号、1995年7月5日)、およびジャポノキト
リウム・エスピー(Japonochytrium s
p.)ATCC 28207(特開平1−199588
号(1989)));微細藻類(例えば、シクロテラ・
クリプティカ(Cyclotella cryptic
a)、クリプテコディニウム・コーニー(Crypth
ecodiniumcohnii)(特表平5−503
425号(1993))、およびエミリアニア・エスピ
ー(Emiliania sp.)(特開平5−308
978号(1993))。
も、例えば、DHAおよび/またはDPAの生産率が低
いこと、十分量のDHAおよび/またはDPAを得るた
めに必要とされる培養時間が長いこと、または生産に特
別の培地または培養条件を必要とすることなどのいくつ
かの問題点がある。エミリアニア・エスピーなどの藻類
を生産のために用いる場合、DHAの高い生産量は達成
され得るが、培養に光を必要とするために、培養工程が
複雑になるという欠点が存在し得る。その結果、そのよ
うな方法は、工業生産に適していない。
記載される本発明は、安価な、そして常用の培地、およ
び単純な生産工程を用いて、短時間および高収率で、D
HAおよび/またはDPA、ならびにDHAおよび/ま
たはDPAを含有する油脂を製造し得る方法を提供する
利点を可能にする。
/またはDPA含有油脂の製造方法であって、DHAお
よび/またはDPAを生産する能力を有するウルケニア
属に属する微生物を培地中で培養する工程、ならびに培
養物から油脂を採取する工程を包含する方法を提供す
る。
Aの製造方法であって、DHAおよび/またはDPAを
生産する能力を有するウルケニア属に属する微生物を培
地中で培養する工程、培養物から油脂を採取する工程、
ならびに油脂からDHAおよび/またはDPAを分離す
る工程を包含する方法を提供する。
コサペンタエン酸含有油脂の製造方法は、ドコサヘキサ
エン酸およびドコサペンタエン酸含有油脂を生産する能
力を有するウルケニア属に属する微生物を培地中で培養
する工程、ならびに培養物から油脂を採取する工程を包
含する。
法は、ドコサヘキサエン酸含有油脂を生産する能力を有
するウルケニア属に属する微生物を培地中で培養する工
程、培養物から油脂を採取する工程、および油脂からド
コサヘキサエン酸を分離する工程を包含する。
法は、ドコサペンタエン酸含有油脂を生産する能力を有
するウルケニア属に属する微生物を培地中で培養する工
程、培養物から油脂を採取する工程、および油脂からド
コサペンタエン酸を分離する工程を包含する。
たはドコサペンタエン酸含有油脂を含む、ウルケニア属
に属する微生物の菌体を提供する。
サペンタエン酸含有油脂を生産する能力を有するウルケ
ニア属SAM2179株を提供する。
れる油脂を含有する、栄養補助食品、乳幼児用調製乳、
未熟児用調製乳、幼児用食品、妊産婦用食品、老人用食
品、経腸栄養剤、動物用飼料、動物用飼料の添加物、お
よび微小餌料生物用飼料を提供する。
ペンタエン酸含有構造脂質の製造方法は、ドコサヘキサ
エン酸およびドコサペンタエン酸含有油脂を生産する能
力を有するウルケニア属に属する微生物を培地中で培養
する工程、培養物から油脂を採取する工程、ならびに油
脂をカビ由来のリパーゼで処理して、1位および3位の
脂肪酸を中鎖(C:8〜12、「生化学辞典」(第2
版)、834頁、東京化学同人(1990)を参照のこ
と)脂肪酸に変換する工程を包含する。
する。本明細書中で用いる用語「ドコサヘキサエン酸」
または「DHA」とは(n−3)系のドコサヘキサエン
酸を指す。本明細書中で用いる用語「ドコサペンタエン
酸」または「DPA」とは(n−3)系および/または
(n−6)系のドコサペンタエン酸を指す。本明細書に
おいて、「油脂」、「脂質」および「油」なる用語は同
じ意味で使用する。
またはDPAの生産能を有するのであれば、全てのウル
ケニア属に属する微生物を使用することができる。例え
ば、本発明者らが海水から分離したウルケニア属SAM
2180株およびSAM2179株を使用することがで
きる。これら菌株のうち、SAM2179株は、DHA
およびDPAの両方を最も高生産する。この菌株は、工
業技術院生命工学工業技術研究所(住所:日本国茨城県
つくば市東1丁目1番3号(郵便番号305))に19
96年7月23日付けで寄託され、受託番号FERM
BP−5601を取得している。
M2180株の菌学的性質は以下の通りである。これら
微生物を、KMV液体培地(Fuller,M.および
A.Jaworski(編):Zoosporic F
ungi in Teaching & Resear
ch VII+303頁,1987,Southeas
tern Publishing Corporati
on,Athens)で、20℃で、暗所で培養する
と、球形または卵形の細胞が観察され、また2本の鞭毛
を持つ遊走子も観察された。しかし、網目状の裸の原形
質は観察されなかった。従って、これら微生物は、小林
義雄および今野和子:日本産水棲菌類図説(169頁、
1986年、著者自費出版)に準拠して、Thraus
tochytrialesに属する菌類に分類された。
さらに、これらの微生物は、KMV液体培地において、
仮根を形成し、胞嚢を欠き、そしてアメーバー状の細胞
を形成した。それゆえ、これら2つの分離微生物株は、
ウルケニア属に属する菌類と同定され、そしてそれぞれ
ウルケニア属(Ulkenia sp.)SAM217
9およびSAM2180と指定された。
ア属に属する微生物は、野性株には限定されず、変異株
または組換え株も含み得る。従って、DHAおよび/ま
たはDPAを効率的に産生するように設計された変異株
および組換え株の使用は、本発明の範囲内にある。この
ような変異株または組換え株には、同じ基質を用いて、
元の野性株が産生する比率または量と比べて、油脂中の
DHAおよび/またはDPAの比率が高くなるように、
または総油脂量が多くなるように、あるいはその両方を
意図して設計された微生物が含まれる。本発明による野
生株は、油脂中少なくとも25%のDHAおよび/また
は少なくとも5%のDPA、好ましくは40〜48%の
DHAおよび/または8〜13%のDPAを含む。さら
に、本発明による野生株は、1リットルの培地あたり少
なくとも3gのDHAおよび/または少なくとも0.5
gのDPA、好ましくは5gのDHAおよび/または1
gのDPAを含む。さらに、費用効果の優れた基質を効
率よく用いて、対応する野性株と同様の量のDHAおよ
び/またはDPAを産生するように設計された微生物も
意図される。
養物を、液体培地または固体培地に接種して培養する。
培地は、天然海水または人工海水を含んでもよく、含ま
なくてもよい。
グルコース、フルクトース、キシロース、サッカロー
ス、マルトース、可溶性デンプン、フコース、グルコサ
ミン、およびデキストランなどの炭水化物、ならびにオ
レイン酸、大豆油などの油脂類、グルタミン酸、糖蜜、
グリセロール、マンニトール、および酢酸ナトリウムを
含む従来使用されている炭素源をいずれも使用できる
が、これらに限られるものではない。
麦芽エキス、肉エキス、カザミノ酸、およびコーンステ
ィープリカー、大豆かす等の天然窒素源、グルタミン酸
ナトリウム、および尿素などの有機窒素源、ならびに、
酢酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウ
ム、および硝酸アンモニウム等の無機窒素源を用いるこ
とができる。
およびリン酸二水素カリウム等のリン酸塩、硫酸アンモ
ニウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸鉄、
硫酸銅、塩化マグネシウム、および塩化カルシウム等の
無機塩、ならびにビタミン類が、微量栄養源として添加
され得る。
生物の生育に有害な影響を有しないのであれば、特に制
限しない。一般的には、炭素源は培地1リットルあたり
20〜180gの濃度で添加され得、そして窒素源は培
地1リットルあたリ0.6〜6gの濃度で添加され得
る。好ましくは、窒素源の量は、炭素源の量の増加に伴
って増加させる。
用いて、そのpHを3.0〜8.0、好ましくは3.5〜
5.0、より好ましくは3.5〜4.5の範囲に調整し、
次いでこの培地をオートクレーブ等により殺菌する。微
生物の培養は、通気撹拌培養、振盪培養または静置培養
のいずれかによって、10〜35℃、好ましくは17〜
30℃にて、通常2〜7日間、好ましくは2〜5日間行
う。
産を促進するために、DHAおよび/またはDPAの前
駆体を培地に添加することができる。前駆体として、例
えば、テトラデカン、ヘキサデカン、およびオクタデカ
ン等の炭化水素、オレイン酸、リノール酸、およびα−
リノレン酸等の脂肪酸、またはその塩(例えば、ナトリ
ウム塩またはカリウム塩)もしくはそのエステルを用い
る。さらに、これら脂肪酸を構成成分として含む油脂
(例えば、オリーブ油、大豆油、綿実油、またはヤシ
油)を添加することができる。これらの成分を、単独で
または互いに組合せて用いることができる。
前または培養中に培地へ添加することができる。これら
の成分の添加は、一回、複数回、または連続的に行うこ
とができる。
用上適切な収率で採取するには、液体培地を用い、そし
て通気撹拌培養することが好ましい。通常の撹拌式発酵
槽あるいは気泡塔型培養装置を使用することができる。
よび/またはDPA含有油脂が生成および蓄積される。
液体培地を使用した場合には、培養期間中の培養物もし
くは殺菌した培養物、培養終了時の培養物もしくは殺菌
した培養物、またはそれぞれの上記の培養物から集菌し
た培養菌体もしくは乾燥菌体からDHAおよび/または
DPA含有油脂を採取できる。本明細書中で用いる用語
「培養物」は、培養菌体、乾燥培養菌体、および処理培
養菌体、ならびに菌体および培養上清を含む培養液を含
む。
Aおよび/またはDPA含有油脂から、DHAおよび/
またはDPAを単離できる。培養終了後、遠心分離およ
び濾過等の常用の固液分離手段により培養物から菌体を
採取する。菌体を十分水洗し、好ましくは次いで乾燥す
る。菌体の乾燥は凍結乾燥、風乾等によって行うことが
できる。次いで乾燥菌体を、例えばダイノミルまたは超
音波などにより破砕し、そして好ましくは窒素気流下で
有機溶媒によって菌体から油脂を抽出する。エーテル、
ヘキサン、メタノール、エタノール、クロロホルム、ジ
クロロメタン、または石油エーテル等の有機溶媒を用い
ることができる。メタノールおよび石油エーテルの交互
抽出またはクロロホルム−メタノール−水の混合溶媒系
を用いた抽出も使用することができる。抽出物から減圧
下で有機溶媒を留去することにより、高濃度のDHAお
よび/またはDPA含有油脂が得られる。
ができる。この場合には、メタノールおよびエタノール
等の水に対して相溶性の溶媒、またはこれらアルコール
と水および/または他の溶媒とからなる水に対して相溶
性の混合溶媒を使用できる。その他の手順は上記と同様
である。
量は、1リットルの培養物あたり少なくとも3g、好ま
しくは1リットルの培養物あたり5gである。油脂中の
DPAの量は、1リットルの培養物あたり少なくとも
0.7g、好ましくは1リットルの培養物あたり1.0g
である。
HAおよび/またはDPAが中性脂質(例えば、トリア
シルグリセロール)または極性脂質(例えば、フォスフ
ァチジルコリン、フォスファチジルエタノールアミン、
もしくはフォスファチジルイノシトール)の形で存在し
ている。培養物から採取したDHAおよび/またはDP
A含有油脂からのDHAおよび/またはDPA含有トリ
アシルグリセロールの精製は、常法、例えば冷却分離
法、またはカラムクロマトグラフィー法などを用いて行
う。
含量は非常に高い(全油脂の90%より高い)。中性脂
質中の脂肪酸の代表的な組成は、以下のとおりである。
パルミチン酸:30〜38%;(n−3)DHA:40
〜48%;(n−6)DPA:8〜13%;(n−3)
EPA:0〜1%;ARA:0〜0.6%;その他の脂
肪酸:10〜20%。
も85%のトリアシルグリセロール、好ましくは少なく
とも90%のトリアシルグリセロールを含む。中性脂質
中のジアシルグリセロールまたはモノアシルグリセロー
ルの量は、非常に低い。遊離ステロールおよび/または
ステロールエステルもまた、1〜3%の量で含まれる。
代表的には、以下の分子種がトリアシルグリセロール中
に見出される:16:0−16:0−22:5、16:
0−16:0−22:6、16:0−22:5−22:
6、16:0−22:6−22:6、22:5−22:
6−22:6、および22:6−22:6−22:6。
ここで、例えば、「16:0」は、「16」個の炭素原
子および「0」個の二重結合を有する脂肪酸を意味す
る。高度不飽和脂肪酸のみからなるトリアシルグリセロ
ールが本発明の油脂中に存在することは興味深い。
のDHAおよび/またはDPAの分離は、油脂を加水分
解し、次いでそれから調製される得られる混合脂肪酸ま
たは混合脂肪酸エステルを、常法により、例えば尿素付
加法、冷却分離法、またはカラムクロマトグラフィー法
などを用いることにより濃縮分離することにより行うこ
とができる。
はDPA含有油脂ならびにDHAおよび/またはDPA
を種々の食品、飼料、または餌料に添加して、DHAお
よび/またはDPAの不足を補うことができる。このよ
うな食品の例としては、例えば、栄養補助食品、乳幼児
用または未熟児用調製乳、健康食品、機能性食品(例え
ば、経腸栄養剤)、幼児用食品、妊産婦用食品、および
老人用食品などが含まれる。飼料としては、豚および牛
などの家畜のための飼料、鶏などの家禽のための飼料、
犬、猫などのためのペットフード、および養魚用の飼料
などが挙げられる。餌料としては、例えば、魚貝類の養
殖のために餌料として与える微小生物(いわゆる、動物
プランクトン)のための餌料が挙げられる。
生物の培養物、この培養物から集めた菌体、または油脂
を採取した後の菌体の残渣を用いることが好都合かつ経
済的である。例えば、DHAおよび/またはDPAを生
産する微生物の菌体は、それらを動物プランクトンなど
を介して間接的に与える代わりに、稚魚(若魚)に与え
るために直接的に使用し得る。これらの材料は、必要に
応じて乾燥または殺菌した後に用いてよい。
PAを強化した家禽卵の生産のために使用され得、これ
は、本発明の油脂を含有する飼料を採卵用家禽(好まし
くは、鶏)に与えることによって得られる。このような
家禽卵またはその卵黄から常法を用いて油脂を抽出する
ことにより、DHAおよび/またはDPAを強化した卵
黄油を生産することもできる。このような卵黄油を含有
する乳幼児用および未熟児用調製乳、幼児用食品、妊産
婦用食品もまた意図される。
ようとする努力が古くから行われている。特に、粉乳中
の母乳の主要成分(すなわち、タンパク質、脂肪、およ
び糖)の組成を母乳の成分に類似させることが重要であ
る。油脂に関しては、本来母乳に含まれている高度不飽
和脂肪酸が、従来の粉乳に欠乏していることが問題とな
っている。母乳中の不飽和脂肪酸の組成についてのいく
つかの報告が、刊行されている(アメリカ人、ヨーロッ
パ人、およびアフリカ人の母乳中の高度不飽和脂肪酸に
ついては、INFORM,6(8):940−946
(1995)を参照のこと;日本人の母乳の高度不飽和
脂肪酸については、JJPEN,13(9):765−
772(1991)を参照のこと)。
れており、そして乳児の発育に有効であることが示され
た(「Advances in Polyunsatu
rated Fatty Acid Researc
h」,Elsevier Science Publi
shers,261−264頁,(1993))。身長
増加および脳の発育におけるARAおよびDHAの重要
性も報告された(Proc.Natl.Acad.Sc
i.USA,90:1073−1077(1993);
Lancet,344:1319−1322(199
4))。
の添加についての関心が高まっている。DHAの供給源
として、魚油を含む調製粉乳が現在上市されている。魚
油はまた、母乳中にはほとんど存在しないEPAを含
む。そしてEPAは未熟児の成育に悪影響を与えること
が報告されている(「Advances in Pol
yunsaturated Fatty Acid R
esearch」,Elsevier Science
Publishers,261−264頁,(199
3))。本発明の油脂は、EPA含量が極めて低いの
で、調製乳への添加物として適切である。本発明の油脂
は、幼児用食品にも同様に添加され得る。
品、または健康食品などの食品に、DHAおよび/また
はDPAを補うために、あるいは健康維持のために添加
され得る。食品組成物は、固形もしくは液状の食品、ま
たは油脂を含む食品の形態であり得る。食品中の油脂の
含量は、油脂が添加される食品の性質に依存して、好ま
しくは0.001重量%と50重量%との間である。
はナッツ等の本来油脂を含む天然食品、スープ等の調理
時に油脂を加える食品、ドーナッツ等の熱媒体として油
脂を用いる食品、バター等の油脂食品、クッキー等の加
工時に油脂を加える加工食品、あるいはハードビスケッ
ト等の加工仕上げ時に油脂を噴霧または塗布する食品等
が挙げられる。本発明の油脂(あるいは分離されたDH
Aおよび/またはDPA)はまた、油脂を含まない、農
産食品、発酵食品、畜産食品、水産食品、または飲料に
添加することができる。
品に添加され得る。機能性食品は、DHAおよび/また
はDPAの、その生理活性を、身体の機能低下を回復す
るために、または機能低下を予防するために発揮する。
本発明の機能性食品は、医薬製剤の形態であってもよ
く、または、タンパク質、糖類、脂質、微量元素、ビタ
ミン類、乳化剤、または香料と本発明の油脂が配合され
た、経腸栄養剤、粉末、顆粒、トローチ、内服液、懸濁
液、乳濁液、シロップ等の加工形態であってもよい。
浄剤のための添加物として、あるいは医薬品として使用
されるその誘導体を製造するための出発材料として使用
され得る。
明する。しかし、本発明は、実施例に限定されない。
を用いる油脂の製造(1))ウルケニア属SAM218
0株およびSAM2179株を、以下の組成を有する培
地3Lを含む容量5Lの培養槽(ジャーファーメンター
型)中で、以下の培養条件下で培養した。
て凍結乾燥し、次いで培地1Lあたりの菌体量(重量)
を測定した。次いで、この乾燥菌体にクロロホルム/メ
タノール(2:1、v/v)混合液を、菌体に対して1
00倍重量で加え、そしてガラスビーズの存在下で混合
溶液をホモジナイズすることにより、菌体の破砕および
油脂の抽出を行った。抽出液をFolch法により洗浄
した後、溶媒を留去して精製油脂を得、次いで油脂の重
量を測定した。
ために、油脂の一部を、10%HC1を含むメタノール
溶液とジクロロメタンとの等量混合液に溶解し、そして
この混合液を60℃で2時間熱処理することにより、脂
肪酸メチルエステルを調製した。次いでこのエステルを
ガスクロマトグラフィーに供して脂肪酸組成を分析し
た。ガスクロマトグラフィーの分離条件は以下のとおり
であった。
Science Co.,Ltd.)、内径0.25m
m×長さ30m 2)流速:0.8ml/分、100kPa(カラム頭部
圧力) 3)キャリアーガス:窒素ガス 4)カラム温度:昇温モード、170〜220℃(4℃
/分) 5)検出:FID この結果を以下の表1および表2に示す。
の製造(2))ウルケニア属SAM2179株を、以下
の組成を有する培地3Lを含む容量5Lの培養槽(ジャ
ーファーメンター型)中で、以下の培養条件下で培養し
た。
て凍結乾燥し、次いで培地1Lあたりの菌体量(重量)
を測定した。次いで、この乾燥菌体にクロロホルム/メ
タノール(2:1、v/v)混合液を、菌体に対して1
00倍重量で加え、そしてガラスビーズの存在下で混合
液をホモジナイスすることにより、菌体の破砕および油
脂の抽出を行った。抽出液をFo1ch法により洗浄し
た後、溶媒を留去して精製油脂を得、次いで油脂の重量
を測定した。
ために、油脂の一部を、10%HC1を含むメタノール
溶液とジクロロメタンとの等量混合液に溶解し、そして
この混合液を60℃で2時間熱処理することにより、脂
肪酸メチルエステルを調製した。次いでこのエステルを
ガスクロマトグラフィーに供して脂肪酸組成を分析し
た。ガスクロマトグラフィーの分離条件は実施例1に記
載のとおりであった。
析)実施例1で得られた油脂から中性脂質および極性脂
質を、ヘキサンおよび90%メタノールを用いる常法の
液−液分配技術により分離した。それぞれ0.92gの
中性脂質および0.05gの極性脂質が、1gの油脂か
ら得られた。得られた中性脂質および極性脂質を、薄層
クロマトグラフィーを用いて分析した。発色は、硫酸を
用いて行い、次いで得られるスポットの同定は、標準脂
質のRf値とのそれらのRf値の比較により確認した。
リセロールであった。極性脂質は、フォスファチジルコ
リン(60〜80%)、フォスファチジルエタノールア
ミン(5〜20%)、およびフォスファチジルイノシト
ール(2〜8%)からなった。
液体クロマトグラフィー(カラム:ODSカラム;移動
相:アセトン/アセトニトリル(3:2);検出:示差
屈折検出計)により分子種を分離することによりさらに
分析した(図1を参照)。得られたピークを単離し、そ
して加水分解後、メチルエステルに変換した。ガスクロ
マトグラフィーを使用してその脂肪酸種を決定した。
定した。トリアシルグリセロールは、12.8%の1,
2,3−トリ−ドコサヘキサエノイル−トリアシルグリ
セロールおよび8.0%の1−ドコサペンタエノイル−
2,3−ジ−ドコサヘキサエノイル−トリアシルグリセ
ロールから構成された。全トリアシルグリセロールの約
20%は、トリ−高度不飽和脂肪酸から構成された。
決定)実施例3で得たトリアシルグリセロールの脂肪酸
残基の結合位置を、以下のように分析した。実施例3で
得たトリアシルグリセロール(分子種:16:0−1
6:0−22:6)を、乾燥し、そして1、3位に特異
的なリパーゼ(Rhizopus japonicus
由来)で処理した。得られた2−モノアシルグリセロー
ルをトリメチルシリル化した後に、GC/MSを用いて
脂肪酸残基を同定した。リパーゼ処理は、リパーゼ10
00単位を含む50mM酢酸緩衝液(pH5.5)2m
l中、35℃、30分間で行った。反応生成物をエーテ
ルにより抽出し、そして市販のトリメチルシリル化剤を
用いて、トリメチルシリル化した。
ルの分子量に相当するフラグメントピークが観察され、
これは本トリアシルグリセロールは22:6の脂肪酸残
基がグリセロール骨格の2位に結合している、16:0
−22:6−16:0であることを示す。
乳の調製)粉乳100gに、実施例1の油脂(これは4
6.2%のDHAおよび10.6%のDPAを含有する)
0.44gを添加することにより、DHAおよびDPA
含有調製乳を調製した。
組成は、それぞれ全脂肪酸の0.80%および0.19%
であり、これは母乳の組成に類似していた。
脂質の調製)リパーゼ溶液(5600 U/ml、Rh
izopus delemar由来の1、3位に特異的
なリパーゼ)50mlを、固定化担体としてのCaCO
32.5gと混合した。この混合液に40mlのアセト
ンを添加することにより酵素を固定化および沈澱し、次
いで固定化された酵素を乾燥した。得られた固定化酵素
の比活性は9.3U/mgであった。固定化酵素120
mgを、実施例1でSAM2180から得られたDHA
およびDPA含有油脂1g、カプリル酸2g、および水
60mgと、撹拌しながら、30℃で、8時間混合し
た。次いで、常法を用いてトリアシルグリセロールを反
応混合液から回収し、そしてトリアシルグリセロールの
脂肪酸組成を決定した。結果は表6に示す。
ールのSN2位に高度不飽和脂肪酸を有する。従って、
これらの油脂は、グリセロールのSN1位およびSN3
位に中鎖脂肪酸を、そしてグリセロールのSN2位に高
度不飽和脂肪酸を含む構造脂質の作製のために適切であ
る。
び/またはDPAおよび少量のEPAを含有する油脂
が、本発明の方法によって得られ得る。DHAおよび/
またはDPAもまた、油脂からそれをさらに分離するこ
とによって得られ得る。
油脂、分離されたDHA、および分離されたDPAは、
食品、飼料、餌料、医薬品などのための添加物として有
用である。飼料または餌料のためには、本発明のDHA
および/またはDPA含有菌体が使用され得る。DHA
および/またはDPA強化家禽卵または家禽卵黄は、家
禽に本発明の飼料を与えることによって生産され得る。
ルグリセロールの液体クロマトグラムである。
Claims (7)
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translated from
- 【請求項1】 ウルケニア属SAM2179株(FER
M BP−5601)の菌体から抽出される、ドコサヘ
キサエン酸およびドコサペンタエン酸含有油脂であっ
て、該油脂中のドコサヘキサエン酸の含量が40−48
%、ドコサペンタエン酸の含量が8−13%、およびエ
イコサペンタエン酸の含量が1%未満である、油脂。 - 【請求項2】 ドコサヘキサエン酸およびドコサペンタ
エン酸含有油脂を含有する乳幼児用調製乳であって、該
油脂中のドコサヘキサエン酸の含量が40−48%、ド
コサペンタエン酸の含量が8−13%、およびエイコサ
ペンタエン酸の含量が1%未満であり、該油脂がドコサ
ヘキサエン酸および/またはドコサペンタエン酸含有油
脂を生産する能力を有するウルケニア属に属する微生物
を培地中で培養する工程、ならびに培養物から該油脂を
採取する工程、 を包含する方法によって得られる、乳幼児用調製乳。 - 【請求項3】 ドコサヘキサエン酸およびドコサペンタ
エン酸含有油脂を含有する未熟児用調製乳であって、該
油脂中のドコサヘキサエン酸の含量が40−48%、ド
コサペンタエン酸の含量が8−13%、およびエイコサ
ペンタエン酸の含量が1%未満であり、該油脂がドコサ
ヘキサエン酸および/またはドコサペンタエン酸含有油
脂を生産する能力を有するウルケニア属に属する微生物
を培地中で培養する工程、ならびに培養物から該油脂を
採取する工程、 を包含する方法によって得られる、未熟児用調製乳。 - 【請求項4】 ドコサヘキサエン酸およびドコサペンタ
エン酸含有油脂を含有する経腸栄養剤であって、該油脂
中のドコサヘキサエン酸の含量が40−48%、ドコサ
ペンタエン酸の含量が8−13%、およびエイコサペン
タエン酸の含量が1%未満であり、該油脂が、 ドコサヘキサエン酸および/またはドコサペンタエン酸
含有油脂を生産する能力を有するウルケニア属に属する
微生物を培地中で培養する工程、ならびに培養物から該
油脂を採取する工程、 を包含する方法によって得られる、経腸栄養剤。 - 【請求項5】 ドコサヘキサエン酸およびドコサペンタ
エン酸含有油脂を含有する妊産婦用食品であって、該油
脂中のドコサヘキサエン酸の含量が40−48%、ドコ
サペンタエン酸の含量が8−13%、およびエイコサペ
ンタエン酸の含量が1%未満であり、該油脂が、 ドコサヘキサエン酸および/またはドコサペンタエン酸
含有油脂を生産する能力を有するウルケニア属に属する
微生物を培地中で培養する工程、ならびに培養物から該
油脂を採取する工程、 を包含する方法によって得られる、妊産婦用食品。 - 【請求項6】 ドコサヘキサエン酸およびドコサペンタ
エン酸含有構造脂質の製造方法であって: ドコサヘキサエン酸の含量が40−48%、ドコサペン
タエン酸の含量が8−13%、およびエイコサペンタエ
ン酸の含量が1%未満である、ドコサヘキサエン酸およ
びドコサペンタエン酸含有油脂を生産する能力を有する
ウルケニア属に属する微生物を培地中で培養する工程、 培養物から該油脂を採取する工程、ならびに該油脂をカ
ビ由来のリパーゼで処理して、1位および3位の脂肪酸
を中鎖脂肪酸に変換する工程、 を包含する、方法。 - 【請求項7】 ドコサヘキサエン酸およびドコサペンタ
エン酸、またはドコサペンタエン酸を添加された食品の
製造方法であって: ドコサヘキサエン酸およびドコサペンタエン酸含有油
脂、またはドコサペンタエン酸を得る工程であって、該
工程は、 ドコサヘキサエン酸およびドコサペンタエン酸含有油脂
を生産する能力を有するウルケニア属に属する微生物を
培地中で培養すること、ならびに培養物から該油脂を採
取すること、 を包含するか、あるいはドコサペンタエン酸含有油脂を
生産する能力を有するウルケニア属に属する微生物を培
地中で培養すること、 培養物から該油脂を採取すること、および該油脂から該
ドコサペンタエン酸を分離すること、 を包含する、工程、 ならびに該油脂またはドコサペンタエン酸を、食品に添
加する工程、 を包含し、ここで、該食品は、乳幼児用調製乳、未熟児
用調製乳、経腸栄養剤および妊産婦用食品からなる群か
ら選択される、方法。