JP2002372548A - 車輪用軸受装置 - Google Patents

車輪用軸受装置

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JP2002372548A JP2001231772A JP2001231772A JP2002372548A JP 2002372548 A JP2002372548 A JP 2002372548A JP 2001231772 A JP2001231772 A JP 2001231772A JP 2001231772 A JP2001231772 A JP 2001231772A JP 2002372548 A JP2002372548 A JP 2002372548A
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浩一 岡田
Hisashi Otsuki
寿志 大槻
Akira Torii
晃 鳥居
Takayuki Norimatsu
孝幸 乗松
Hiroaki Oba
博明 大庭
Toru Takahashi
亨 高橋
Masatoshi Mizutani
政敏 水谷
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/80Technologies aiming to reduce greenhouse gasses emissions common to all road transportation technologies
    • Y02T10/86Optimisation of rolling resistance, e.g. weight reduction 

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  • Arrangements For Transmission Of Measured Signals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 回転数検知機能を有しながら、車外での断線
の恐れがなく、より一層の小型化と、配線の煩雑性の回
避、軸受の密封性の向上が得られる車輪用軸受装置を提
供する。 【解決手段】 外方部材1と内方部材2の間に複列の転
動体3とを介在させる。外方部材1と内方部材2との相
対回転によって発電する発電機4を設ける。発電機4
は、コイルをリング部材に収容したコイル・磁性体組1
7と多極磁石18とからなる。発電機4から出力される
車輪13の回転数の信号をワイヤレスで送信する送信手
段5を設ける。送信手段5は、環状の送信機を有するも
のとしても良い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、自動車等に用い
られる車輪用軸受装置に関し、特にアンチロックブレー
キ用の回転数検出手段となる発電機を備えた車輪用軸受
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】アンチロックブレーキ装置(ABS)
は、低摩擦路やパニックブレーキ時のタイヤロックを検
知し、ブレーキを緩めてタイヤグリップを確保すること
で、操舵安定性を得るものである。タイヤロックを検知
する車輪回転数のセンサは、車輪用軸受装置に設けられ
る。このセンサは、一般には、軸受外部における軌道輪
の端部等にパルサリングを設け、このパルサリングに対
峙してセンサ部を設けている。また、従来、センサ内蔵
の車輪用軸受装置として、図28に示すように、固定輪
となる軸受外輪51に、センサ部57を組み込んだもの
が提案されている(例えば、実開平1−156464
号)。この軸受装置は、車体取付用の外輪51と、ハブ
輪54の軸部に嵌合させた内輪52の間に転動体53を
介在させ、シール60を設けたものである。回転センサ
55は、内輪52の外径面に設けられたパルサーリング
56に対峙するように、センサ部57を、外輪51に設
けられた孔58に差し込んで設置したものである。この
ようにセンサ内蔵とすることにより、パルサリングおよ
びセンサ部を軸受外部の端部に配置したものに比べて、
車輪用軸受装置の小型化が得られる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の車輪回転数のセ
ンサを設けた車輪用軸受装置は、いずれもセンサの検出
信号やセンサへの電力供給を、電線で車体部とやりとり
するようにしている。図28の従来例では、電線59で
信号の取り出しおよび電力供給が行われる。このよう
に、従来の車輪用軸受装置は、センサ出力の取り出し等
に電線を用いており、この電線は、車輪用軸受装置と車
体との間では車外に露出することになる。そのため、石
跳ねやタイヤハウス内の雪の凍結等により、断線等の支
障を起こし易い。また、操舵輪の場合は、電線に予め捩
れを与えておく必要があったり、電線の固定に多大な工
数が必要であったりする。上記の電線は、その被覆も必
要で、自動車の軽量化の妨げとなり、また電線の固定の
工数が多いことから、コスト高となっている。また、従
来の図28に示したようなセンサ内蔵タイプの車輪用軸
受装置は、比較的小型化が図れるが、回転センサ55の
保守のためには、車輪用軸受装置の外,内輪51,52
を分解する必要があり、保守性が悪いという課題があ
る。このため、回転センサ55の故障時に、軸受装置の
全体を交換することが必要になることがある。また同図
の従来例は、内蔵タイプであるが、センサ部57の一部
が軸受外に突出するため、今一つ、小型化が十分でな
い。さらに同図の例は、センサ部57を差し込む外輪5
1の孔58のシールが施し難く、異物の侵入を防ぎ難い
という課題もある。
【0004】この発明の目的は、車輪回転数の検知機能
を有していて、車外での断線の恐れがなく、また自動車
の軽量化、コスト低下が図れる車輪用軸受装置を提供す
ることである。この発明の他の目的は、車輪回転数の検
知機能を有しながら、コンパクト化が図れるようにする
ことである。この発明のさらに他の目的は、車輪回転数
の検知手段の保守性に優れたものとすることである。こ
の発明のさらに他の目的は、コンパクトな構成で、シー
ル機能に優れたものとすることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明の車輪用軸受装
置は、内周に複列の転走面を有する外方部材と、これら
転走面にそれぞれ対向する転走面を有する内方部材と、
前記転走面間に収容される複列の転動体とを備え、車体
に対して車輪を回転自在に支持する車輪用軸受装置にお
いて、外方部材と内方部材との相対回転によって発電す
る発電機を有し、発電機から出力される車輪の回転数の
信号をワイヤレスで送信する送信手段を設けたことを特
徴とする。この構成によると、外方部材と内方部材との
相対回転によって発電する発電機を設けたため、発電機
の出力を車輪の回転数の信号として利用し、車輪回転数
を検知することができる。また、発電機から出力される
信号を、ワイヤレスで送信する送信手段を設けたため、
回転数の検出信号を制御部まで引き出す電線が不要とな
る。発電機をセンサとして用いるため、センサへの給電
用の電線も不要となる。発電機で得られる電力は、ワイ
ヤレス送信手段の電源として利用することもできる。こ
れらのため、電線類が車外に露出せず、断線の支障を起
こすことがないうえ、煩雑な配線固定作業も不要とな
り、自動車の軽量化、コスト低下にもつながる。上記ワ
イヤレス送信手段は、電波に限らず、磁気結合による伝
送、赤外線等の光による伝送、または超音波による伝送
を行うものなど、空間を伝送する信号を用いるものであ
れば良い。
【0006】この発明において、前記外方部材と内方部
材のいずれか一方に車輪取付フランジを設けても良い。
また外方部材と内方部材のいずれか一方に車体に取付け
るためのフランジを設けても良い。例えば、外方部材と
内方部材のいずれか一方に車輪取付フランジを設け、他
方に車体に取付けるためのフランジを設けても良い。車
輪取付フランジ,車体取付フランジを有する車輪用軸受
装置は、部品の統合による軽量化・コンパクト化を図っ
た軸受装置であるが、このような軸受装置において、こ
の発明の回転検出用の発電機およびワイヤレスの送信手
段を設けた構成が効果的なものとなる。
【0007】この発明において、前記発電機が、コイル
を収容した磁性体のリング部材と多極磁石からなり、こ
のリング部材を前記外方部材および内方部材のうちのい
ずれか一方に設け、他方の部材に多極磁石を設けたもの
としても良い。このように発電機を多極磁石を有するも
のとすることにより、回転数に応じた周波数の交流電圧
が、高い周波数で発生し、その交流周波数を回転数検出
に精度良く利用することができる。また、コイルを収容
した磁性体をリング部材とし、これを多極磁石と組み合
わせて発電機とするため、小型で効率の良い発電が行え
る。
【0008】この発明において、発電機が、コイルを収
容した磁性体のリング部材と多極磁石からなるものであ
る場合に、外方部材および内方部材に形成した複列の転
走面間に、前記リング部材と多極磁石が配置されたもの
としても良い。このように、複列の転走面間にリング部
材,多極磁石を配置することより、転走面間の空間を有
効に利用して、発電機を軸受装置に内蔵することがで
き、発電機を備えながら、車輪用軸受装置が小型化され
る。また、発電機がリング部材と多極磁石とでなるた
め、発電機の全体を軸受装置内に収めることができ、セ
ンサ挿入口等を設ける必要がなくて、センサ挿入口から
の軸受内への異物混入の問題が生じない。
【0009】この発明において、発電機が、コイルを収
容した磁性体のリング部材と多極磁石からなるものであ
る場合に、前記リング部材と多極磁石の少なくとも一方
が、前記外方部材と内方部材間の環状空間の開口端部を
シールするシール部材と一体に形成されているものとし
ても良い。このように、発電機の構成部品を、内,外方
の部材間の開口端部に設けられるシール部材と一体化す
ることにより、軸受装置に対する発電機の着脱が容易と
なり、発電機の保守・修理を容易に行うことができる。
そのため、発電機の故障時に軸受装置そのものを交換す
る必要がなくなる。また、発電機の取付自由度、つまり
発電機を軸受装置に対して取付ける位置や構造の自由度
が向上し、軸受装置のコンパクト化も図り易い。発電機
を単に内外方の部材の端部に配置しただけでも、発電機
の着脱の容易化は得られるが、シール部材と別々に発電
機の構成部品があると、嵩張ってコンパクトが図り難
く、また部品点数が増えて組立性が悪くなる。しかし、
発電機の構成部品とシール部材とが一体化されている
と、コンパクトに発電機を配置することができ、部品点
数も削減できて、組立性にも優れたものとなる。
【0010】この発明において、上記のようにリング部
材と多極磁石の少なくとも一方が、シール部材と一体に
形成されたものである場合に、前記リング部材と多極磁
石の隙間に異物が入り込むことを防止するシールをさら
に設けても良い。このようにシールをさらに設けること
で,リング部材と多極磁石の隙間への異物の入り込みに
よる発電機の損傷を防止できる。
【0011】この発明において、前記リング部材は、断
面形状が溝型ないしC字型に形成されて前記コイルを収
容する収容部分と、この収容部分の両側の側面からそれ
ぞれ延びた櫛歯状の複数の爪とを有し、これら両側の櫛
歯状の爪が周方向に交互に並ぶものとしても良い。例え
ば、リング部材の断面形状が溝型である場合、溝の側面
の開口縁から対向する側面側へ折れ曲がった櫛歯状の複
数の爪を有し、これら両側面の櫛歯状の爪が周方向に交
互に並ぶものとしても良い。このような櫛歯状の爪を有
するリング部材を用いることにより、多極化、小型化が
容易で、磁束の利用効率に優れた効率の良い発電が行え
る。この櫛歯状の爪を有するリング部材を多極磁石と組
み合わせて用いるため、より一層、効率の良い発電が行
える。そのため、送信手段の電源を上記発電機から得る
場合も、十分な電力を得ることができる。
【0012】上記のようにリング部材を、両側面の櫛歯
状の爪が周方向に交互に並ぶものとした場合に、前記リ
ング部材の一方の側面の爪と他方の側面の爪とが、周方
向に互いに所定の隙間をもって配列されていても良い。
このように爪間の隙間を持たせることで、隣接磁極から
の磁束漏れが少なくなり、磁束の利用効率が高く得られ
る。この発明において、上記のようにリング部材を、両
側面の櫛歯状の爪が周方向に交互に並ぶものとした場合
に、前記リング部材の各爪の幅が、先端に向けて漸減す
るものとしても良い。爪幅が基端から先端まで一定幅の
場合、基端の折り曲げ部の磁束密度が大きくなり、磁気
飽和を起こし易いが、上記のように各爪を爪幅が先端側
へ漸減する形状とすることにより、曲げ部の磁気飽和が
起こらないようにできる。その結果、より一層の多極
化、小型化が可能になる。
【0013】この発明において、前記発電機が、コイル
を収容した磁性体のリング部材と多極磁石からなる場合
に、前記リング部材は、円周方向に沿って磁極が並ぶ環
状の磁極部を同心に有し、この磁極部の両面にそれぞれ
対向させて前記多極磁石を一対配置しても良い。前記リ
ング部材に前記櫛歯状の爪を設けた場合は、この櫛歯状
の爪の並びが前記環状の磁極部となる。磁極部と多極磁
石との対向方向はアキシアル方向であっても、ラジアル
方向であっても良い。このように、コイルを収容した磁
性体のリング部材の磁極部の両側に多極磁石を配置した
場合、多極磁石と対向する面積が増大し、コイルと鎖交
する磁束を増やすことができて、発電機出力を増加させ
ることができる。
【0014】この発明において、前記送信手段が環状の
送信機を有するものとしても良い。送信機を環状とする
と、一部に纏まった箱状の送信機とする場合に比べて、
同じ送信出力のものとする場合に、送信機の横断面の寸
法が小さいもので済む。一般的に、車輪用軸受装置の周
辺には、ナックル等の車体への取付手段や、等速ジョイ
ント等があって、広い配置空間を得ることが難しいが、
上記のように送信機を環状とすると、断面寸法が小さく
なるため、車輪用軸受装置の周囲の小さな空間を利用し
て送信機を配置することができる。また、送信機を環状
とすると、送信機を設置する部材が回転側の部材であっ
ても、送信手段から受信手段への信号送信を、受信信号
に大きな変動を生じさせずに行うことができる。
【0015】この発明において、発電機が、コイルを収
容した磁性体のリング部材と多極磁石からなるものであ
る場合に、前記送信手段が環状の送信機を有し、この送
信機が前記発電機を構成するリング部材と一体となって
いるものとしても良い。このように環状の送信機と発電
機のリング部材とを一体化させた場合、発電機と送信手
段の組み合わが、より一層コンパクト化され、また部品
点数が削減される。そのため、車輪用軸受装置の組立性
も向上する。
【0016】この発明において、発電機が、コイルを収
容した磁性体のリング部材と多極磁石からなるものであ
る場合に、前記リング部材と環状の送信機が径方向に重
なるように配置しても良い。送信機を環状とする場合
に、このように送信機を配置すると、これら送信機とリ
ング部材の組み合わせが、車輪用軸受装置の軸方向に大
きく突出せず、よりコンパクトとなり、車輪用軸受装置
の周辺の空間を効果的に利用することができる。例え
ば、駆動輪側の車輪用軸受装置では、等速ジョイントが
組み合わせられるが、車輪用軸受装置と等速ジョイント
との間の隙間は、小さなものであり、またその隙間の外
周は、車輪用軸受装置を車体に取付ける部材等があっ
て、上記隙間は僅かなものとなる。送信機を環状として
リング部材の外周に配置した場合、このような車輪用軸
受装置と等速ジョイント間の狭い空間を利用して配置す
ることが可能になる。
【0017】この発明において、発電機が、コイルを収
容した磁性体のリング部材と多極磁石からなるものであ
る場合に、前記送信手段が環状の送信機を有し、この送
信機が前記発電機を構成するリング部材と一体となって
いて、前記リング部材が前記内方部材の端部に取付けら
れ、前記内方部材と外方部材の開口端部をシールするシ
ール部材を、前記外方部材に取付けられて前記リング部
材の外周に接するものとしても良い。このように、発電
機のコイルを収容したリング部材にシール部材を接触さ
せてシールを行うようにした場合、リング部材自体がシ
ールを行う部材としての機能を兼ねることになり、シー
ルのための構成がより一層コンパクト化される。
【0018】この発明において、発電機が、コイルを収
容した磁性体のリング部材と多極磁石からなるものであ
る場合に、前記送信手段が環状の送信機からなり、この
送信機が前記発電機を構成するリング部材と一体とさ
れ、前記多極磁石が、外方部材と内方部材間の開口端部
をシールするシール部材と一体に形成され、これら送信
機およびリング部材により構成される組立部品と、多極
磁石およびシール部材により構成される組立部品との2
部品により、上記開口端部がシールされるものとしても
良い。この構成の場合、2つの組立部品でシールと発電
機と送信手段が構成されるため、部品点数が少なく、組
立性に優れる。
【0019】
【発明の実施の形態】この発明の第1の実施形態を図1
ないし図5と共に説明する。この実施形態は第4世代の
内輪回転タイプであって、駆動輪支持用の軸受装置に適
用した例である。この実施形態は請求項5に記載の発明
に対応する。この車輪用軸受装置は、外方部材1と内方
部材2の間に複列の転動体3を介在させ、これら内外の
部材2,1間の環状空間内に回転センサ兼用の発電機4
を内蔵し、この発電機4から出力される回転数信号をワ
イヤレスで送信する送信手段5を設けたものである。発
電機4は両列の転動体3,3間に配置されている。外方
部材1は、内周に複列の転走面6,7を有し、これら転
走面6,7にそれぞれ対向する転走面8,9が内方部材
2の外周に設けられている。複列の転動体3は、転走面
6,8間、および転走面7,9間に収容される。この車
輪用軸受装置は、複列のアンギュラ玉軸受とされ、背面
合わせとなるように各転走面6〜9の接触角が形成され
ている。転動体3は各列毎に保持器10で保持されてい
る。内外の部材2,1間の両端は、シール11,11A
で密封されている。外方部材1は、一端に車体取付フラ
ンジ1aを有し、この車体取付フランジ1aを介して車
体12のナックル等の車輪軸受支持部品12aに取付け
られる。外方部材1は、車体取付フランジ1aを含め
て、全体が一体の部材である。内方部材2は、車輪取付
フランジ2aを有し、この車輪取付フランジ2aに車輪
13がボルト14で取付けられる。
【0020】内方部材2は、車輪取付フランジ2aを一
体に有するハブ輪2Aと、他の内輪構成部材2Bとを組
合わせたものとされ、これらハブ輪2Aおよび内輪構成
部材2Bのそれぞれに、上記複列の転走面8,9のうち
の各列の転走面8,9が形成されている。内輪構成部材
2Bは、等速ジョイント15の外輪15aが一体に形成
された部材であり、等速ジョイント15の内輪(図示せ
ず)には駆動軸(図示せず)が接続される。内輪構成部
材2Bは、等速ジョイント外輪15aから一体に延びる
軸部16が、基端側の大径部16aと、この大径部16
aに段差を介して続く小径部16bとで形成され、小径
部16bの外周にハブ輪2Aが嵌合する。上記転走面9
は大径部16aに形成されている。ハブ輪2Aと内輪構
成部材2Bとは加締等の塑性結合により一体固着されて
いる。
【0021】発電機4は、コイルを内蔵したリング状の
コイル・磁性体組17の内周側に対峙させて多極磁石1
8を設けたものである。コイル・磁性体組17は、固定
側の部材である外方部材1の内径面に取付けられ、発電
機4のステータとなる。多極磁石18は回転側の部材で
ある内方部材2の外径面、詳しくはハブ輪2Aの外径面
に取付けられ、発電機4のロータとなる。
【0022】ワイヤレスの送信手段5は、外方部材1の
外径面における周方向の一部に設置されており、電子部
品を外装用のケースに収容した送信機からなる。上記ケ
ースは箱型のものであり、内部に送信アンテナ(図示せ
ず)が設けられている。ワイヤレスの送信手段5は、例
えば、微弱電波で信号伝送する送信機とされる。信号
は、電波をオンオフするものであっても良く、また搬送
波を周波数変調等で変調するものであっても良い。ワイ
ヤレス送信手段5は、電波により伝送するものの他に、
磁気結合による伝送、赤外線等の光による伝送、または
超音波による伝送を行うものとしても良く、空間を伝送
する信号を用いるものであれば良い。ワイヤレス送信手
段5の電源には、発電機4が用いられる。ワイヤレス送
信手段5に対する受信手段(図示せず)は、例えば車体
12のタイヤハウス(図示せず)等に設置され、受信手
段からアンチロックブレーキシステムの制御部に信号伝
達される。受信手段は、送信手段5から発信される電波
等の信号を効率良く受信するために、金属等の障害物が
ないように、送信手段5が見通せる位置に固定される。
送信手段5と発電機4のコイル・磁性体組17のコイル
との間には、発電機4の発電電力および回転検出信号の
取出し用の電線(図示せず)が接続される。この電線
は、外方部材1の周壁を径方向に貫通して設けられた配
線孔(図示せず)に挿通され、上記配線孔は弾性体や湿
式シール等のシール部材で密封される。上記電線に代え
てコネクタ(図示せず)を設けても良い。
【0023】発電機4は、例えば図3〜図5に示すもの
が使用される。図3に示すように、多極磁石18は、リ
ング状の部材であって、円周方向に並べて磁極N,Sが
設けられている。
【0024】図4に示すように、コイル・磁性体組17
は、爪21a,21bからなる多数の磁極を並べた形式
のものとされる。爪21a,21bは、例えばポール状
とされ、このコイル・磁性体組17はクローポール型等
と呼ばれる。コイル・磁性体組17は、図5(A),
(B)は、それぞれ図4(A),(B)の一部を拡大し
た図である。コイル・磁性体組17は、詳しくは、磁性
体のリング部材19とこのリング部材19内に収容され
たコイル20とを備える。リング部材19は、コイル2
0を収容する収容部分の断面形状が、内周側に向く溝形
とされ、すなわち内周側に向くコ字状の断面形状とさ
れ、かつ溝側面をなす両フランジ19a,19bの開口
縁から対向する側面側へ折れ曲がった櫛歯状の複数の爪
21a,21bを有する。これら両フランジ19a,1
9bの櫛歯状の各爪21a,21bは、周方向に互いに
所定の隙間をもって交互に配列されている。各爪21
a,21bの並びにより、それぞれ環状の磁極部が構成
される。各爪21a,21bは、突出方向に長い長方形
状とされ、同じ方向の各爪21a,21b間の隙間dの
幅は、例えば爪21a,21bの幅の3倍程度とする。
リング部材19の両フランジ19a,19bの内周縁に
は、各爪21a,21bの形成部分の間に切欠部22
a,22bが設けられ、これら22a,22bに、対向
側のフランジ19b,19aの各爪21b,21aの先
端が臨んでいる。切欠部22a,22bは、半円状ない
しU字状に形成されている。リング部材19は、板金の
プレス加工品とされ、板金材料には例えばステンレス板
等の磁性部材が用いられる。なお、リング部材19は、
幅方向の中央、つまりウェブの中央で2分割されている
が、一体の部材であっても良い。
【0025】この構成の車輪用軸受装置によると、外方
部材1と内方部材2との相対回転によって発電する発電
機4を設けたため、発電機4の出力を車輪13の回転数
の信号として利用し、車輪回転数を検知することができ
る。発電機4は、外方部材1と内方部材2の間の環状空
間内に内蔵したため、回転数検出機能を備えながら、軸
受装置が小型化される。また、発電機4から出力される
車輪回転数の検出信号を、ワイヤレスで送信する送信手
段5を設けたため、回転数の検出信号を制御部まで引き
出す電線が不要となる。発電機4をセンサとして用いる
ため、センサへの給電用の電線も不要となる。また、発
電機4で得られる電力は、ワイヤレス送信手段5の電源
として利用され、車体12からワイヤレス送信手段5へ
の給電用の電線は不要である。これらのため、電線類が
車外に露出せず、断線の支障を起こすことがないうえ、
煩雑な配線固定作業も不要となり、自動車の軽量化、コ
スト低下にもつながる。さらに、発電機4の全体を外方
部材1と内方部材2間の環状空間に内蔵することから、
発電機4の一部を露出させる孔を設けることが不要で、
軸受の密封性も向上する。発電機4とワイヤレス送信手
段5間の電線を通す孔は、外方部材1に設けることが必
要であるが、電線挿通用の孔は小さな孔で済むため、密
封が容易に行える。
【0026】発電機4は、櫛歯状の爪21a,21bを
有するリング部材19と、コイル20とでなるコイル・
磁性体組17を用い、リング状の多極磁石18と組み合
わせているため、多極化、小型化が容易で、磁束の利用
効率に優れた効率の良い発電が行える。特に、コイル・
磁性体組17は、対向して延びる爪21a,21b間の
隙間を大きく取り、隣接磁極からの磁束漏れを少なくす
る構造であるため、磁束の利用効率が高く得られる。
【0027】発電機4は、上記構成のものに代えて、コ
イル・磁性体組17を図6に示す構成のものとしても良
い。図6に示すコイル・磁性体組17は、リング部材1
9の爪21a,21bの形状を、爪幅が先端に向けて漸
減する形状としたものである。リング部材19は一対の
リング部材構成材19A,19Bに分割されている。各
リング部材構成材19A,19Bは、それぞれフランジ
19a,19bと、これらフランジ19a,19bの外
径縁から径方向に延びるウェブ構成片19ca,19c
bと有し、これらウェブ構成片19ca,19cbが、
互いに幅方向の一部で重なるように、両リング部材構成
材19A,19Bが組み合わせられる。各リング部材構
成材19A,19Bは、それぞれ前記の櫛歯状の爪21
a,21bがフランジ19a,19bの内径縁から折り
曲げて形成され、これらの対向する爪21a,21b
は、周方向に互いに所定の隙間をもって交互に配列され
ている。同図のコイル・磁性体組17におけるその他の
構成は、図4,図5の例のコイル・磁性体組17と同じ
である。図4,図5の例と、図6の例とにおいて、対応
部分には同一符号を付してある。
【0028】図4,図5に示す矩形の爪21a,21b
を持つコイル・磁性体組17と、図6に示すテーパ状の
爪21a,21bを持つコイル・磁性体組17とを比較
すると、次の得失がある。図4,図5の矩形の爪21
a,21bを持つコイル・磁性体組17の場合、磁束の
利用効率としては最も良いと考えられるが、爪21a,
21bの折り曲げ部である基端の磁束密度が大きくな
り、磁気飽和を起こさないためにはある程度の断面積が
必要である。そのため、多極化、小型化には制限があ
る。図6のテーパ状の爪21a,21bを持つコイル・
磁性体組17の場合、爪21a,21bの曲げ部の磁気
飽和が起きず、多極化,小型化が可能である。すなわ
ち、NS隣接磁石の磁界強度は正弦波状をしているた
め、NS切換り点の磁界は非常に弱く、隣接磁極爪21
a,21bに漏れても影響は少ないと考え、曲げ部の磁
気飽和が起こらないように、爪21a,21bをテーパ
状にしたものである。リング部材19を分割型としたの
は、加工の都合上であり、図6の例においてリング部材
19を一体型としても良い。また、図6の例において、
一対のリング部材構成材19A,19Bを、図4,図5
の例と同様にウェブ部19cで突き合わせるようにして
も良い。また、図4,図5の例において、リング部材1
9を図6の例と同様にウェブ構成片が一部で重なる分割
型としても良い。
【0029】なお、上記実施形態では、発電機4を複列
の転走面間に配置したが、発電機4は、以下の各実施形
態等に示すように、内方部材2と外方部材1間の開口端
部に設けても良い。また、上記実施形態では、ワイヤレ
スの送信手段5を、円周方向の一部に設けられた箱型送
信機からなるものとしたが、ワイヤレスの送信手段5
は、環状の送信機で構成されるものであっても良い。そ
の場合に、環状の送信機を発電機4のリング部材19と
一体化しても良い。次に、発電機4をシール11の構成
部品とし、かつワイヤレス送信手段5を環状の送信機と
して発電機4のリング部材と一体化した各種実施形態を
説明する。
【0030】図7〜図22は、それぞれこの発明におけ
る他の各実施形態を示す。まず、これらの実施形態に共
通する事項を説明する。これらの各実施形態は、いずれ
も、内周に複列の転走面6,7を有する外方部材1と、
これら転走面6,7にそれぞれ対向する転走面8,9を
有する内方部材2と、前記転走面6,8間、転走面7,
9間に収容される複列の転動体3とを備え、車体12に
対して車輪を回転自在に支持する車輪用軸受装置であ
る。この車輪用軸受装置は、複列のアンギュラ玉軸受と
され、背面合わせとなるように各転走面6〜9の接触角
が形成されている。転動体3は各列毎に保持器10で保
持されている。内外の部材2,1間に形成される環状空
間は、両側の開口端部が、それぞれシール11,11A
で密封されている。シール11はインボード側の開口端
部を、シール11Aはアウトボード側の開口端部をそれ
ぞれシールする。外方部材1と内方部材2との相対回転
によって発電する発電機4を有し、発電機4から出力さ
れる車輪の回転数の信号をワイヤレスで送信する送信手
段5が設けられている。発電機4は、コイル20を収容
した磁性体のリング部材19と、リング状の多極磁石1
8とからなる。リング部材19を外方部材1および内方
部材2のうちのいずれか一方に設け、他方の部材に多極
磁石18を設けている。発電機4は、コイル・磁性体組
17と多極磁石18とが対面する方向、つまり磁極が向
く方向が、軸受軸方向に向くスラスト型のものか、また
は第1の実施形態のように軸受径方向に向くラジアル型
のものとされている。リング部材19と多極磁石18の
少なくとも一方は、外方部材1と内方部材2間の開口端
部をシールするシール11の構成部材であるシール部材
と一体に形成されている。送信手段5は、環状の送信機
5Aで構成され、この送信機5Aは、発電機4を構成す
るリング部材19と一体となっている。送信機5Aとコ
イル20とは、電線または接続用コネクタ(図示せず)
で接続される。以下、個々の実施形態を説明する。
【0031】図7は、この発明の第2の実施形態を示
す。この実施形態の車輪用軸受装置は第3世代の内輪回
転タイプで、かつ駆動輪支持用の軸受装置である。発電
機4はスラスト型である。この実施形態は、請求項13
の発明に対応する。外方部材1は車体取付フランジ1a
を有し、第1の実施形態と同様に、車体12のナックル
等の車輪軸受支持部品12aに取付けられる。内方部材
2は、ハブ輪2Aと、ハブ輪2Aの端部外径に嵌合した
別の内輪構成部材2Cとで構成される。ハブ輪2Aは車
輪取付フランジ2aを一体に有する。内方部材2におけ
る各列の転走面8,9は、ハブ輪2Aと内輪構成部材2
Cに形成されている。内方部材2には、この車輪用軸受
装置とは別に製造された等速ジョイント15の外輪15
aが連結される。等速ジョイント外輪15aは、その外
底部から軸部16が一体に延びており、この軸部16が
ハブ輪2Aの内径面に挿通され、ナット止めされること
により、内方部材2に連結される。等速ジョイント外輪
15aの外底部に設けられた軸方向に向く平坦段部16
cは、内輪構成部材2Cの端面に当接し、内輪構成部材
2Cを止め付けている。
【0032】軸受背面側のシール11は、図7(B)に
拡大して示すように、内方部材2と外方部材3に各々取
付けられた第1および第2の環状のシール部材31,3
2を有する。これらシール部材31,32は、各々内方
部材2および外方部材3に圧入状態に嵌合させることで
取付けられている。両シール部材31,32は、いずれ
も板状の部材であり、各々円筒部31a,32aと立板
部31b,32bとでなる断面L字状に形成されて互い
に対向する。第1のシール部材31は、内方部材2およ
び外方部材1のうちの回転側の部材である内方部材2に
嵌合される。第1のシール部材31の立板部31bは、
軸受外方側に配され、その外方側の側面に、多極磁石1
8の磁石部材34が設けられている。この磁石部材34
は、第1のシール部材31と共に発電機4の多極磁石1
8を構成するものであり、第1のシール部材31は磁性
体とされる。磁石部材34は、図8のように周方向に交
互に磁極N,Sが形成され、磁極N,Sは、ピッチ円直
径(PCD)において、所定のピッチpとなるように形
成されている。この多極磁石18の磁石部材34に対面
して、図7(B)のようにコイル・磁性体組17を配置
することにより、回転センサ兼用の発電機4が構成され
る。多極磁石18の磁石部材34は、磁性体粉の混入さ
れた弾性部材からなり、第1のシール部材31に加硫接
着されており、いわゆるゴム磁石とされている。なお、
多極磁石18の磁石部材34は、加硫接着に代えて、磁
性体粉をボンドで固めたもの(ネオジムボンド磁石な
ど)を用い、これを第1のシール部材31に接着固定し
たものであっても良い。
【0033】第2のシール部材32は、第1のシール部
材31の立板部31bに摺接するサイドリップ36aと
円筒部31aに摺接するラジアルリップ36b,36c
とを一体に有する。これらリップ36a〜36cは、第
2のシール部材32に加硫接着された弾性部材36の一
部として設けられている。第2のシール部材32の円筒
部32aと第1のシール部材31の立板部31bの先端
とは僅かな径方向隙間をもって対峙させ、その隙間でラ
ビリンスシール37を構成している。
【0034】コイル・磁性体組17は、コイル20を収
容した磁性体のリング部材19からなる。リング部材1
9は、第1の実施形態(図1)における図4,図5と共
に説明したコイル・磁性体組17におけるリング部材1
9と、磁極の向く方向が異なる他は、同じである。すな
わち、図7の例のリング部材19は、図4,図5の例に
おけるリング部材19と同様に、断面形状が溝型であっ
て、溝の側面の開口縁から対向する側面側へ折れ曲がっ
た櫛歯状の複数の爪21a,22aを有し、これら両側
面の櫛歯状の爪21a,22aが周方向に交互に並ぶも
のである。ただし、図7の実施形態におけるコイル・磁
性体組17は、図4,図5の例とは異なり、溝開口方向
が軸方向となっており、櫛歯状の爪21a,22aで形
成される磁極は、軸方向に向く。図7の例のリング部材
19においても、図6の例と同様に、櫛歯状の爪21
a,22aをテーパ状にしたものであっても良い。
【0035】図7(B)において、コイル・磁性体組1
7は、そのリング部材19が取付リング49に取付けら
れており、この取付リング49に、送信手段5における
環状の送信機5Aが取付けられている。このように、送
信機5Aとコイル・磁性体組17のリング部材19とを
同じ取付リング49に取付けることにより、これら送信
機5Aとコイル・磁性体組17のリング部材19とが一
体となっている。環状の送信機5Aは、リング部材19
の外周に配置されている。取付リング49は、金属板の
成形品からなり、コイル・磁性体組17が嵌合した横向
きの溝形部分49aと、この溝形部分49aの外周側開
口縁から径方向外側に延びて溝形部分49aの開口方向
と同じ方向に延びる逆L形部分49bとを有する。取付
リング49は、逆L形部分49bが外方部材1の端部外
径面に圧入状態に嵌合することにより外方部材1に取付
けられる。このように取付けることにより、コイル・磁
性体組17は、外方部材1と内方部材2間の開口端部に
対向して位置し、したがって多極磁石18と対向し、送
信機5Aは外方部材1の端面に対向して位置する。取付
リング49は、外方部材1と内方部材2間の端部開口を
略覆っていて、この端部開口のシール手段を兼ねてお
り、取付リング49と内方部材2との間の残りの隙間を
覆うシール38が、取付リング49の溝形部分49aに
おける内径側の開口縁に取付けられている。シール38
は、ゴム等の弾性体からなり、内方部材2の端面に摺接
する。このシール38は、コイル・磁性体組17を構成
するリング部材19と多極磁石18の磁石部材34との
隙間に異物が入り込むことを防止するものであり、発電
機4が損傷するのを防止する。なお、シール38は、請
求項7で言うシールに相当する。
【0036】この実施形態の場合、次の各作用,効果が
得られる。発電機4が、外方部材1と内方部材2の開口
端部に配置されているため、第1の実施形態のように軸
受内部に発電機4を配置したものと異なり、軸受の外方
部材1と内方部材2とを分解することなく、発電機4の
着脱が行え、発電機4の保守・修理を容易に行うことが
できる。また、発電機4の多極磁石18が、外方部材1
と内方部材2間の開口端部のシール部材31と一体に形
成されているため、コンパクトに発電機4を構成するこ
とができ、部品点数が少なく、組立性にも優れたものと
なる。送信手段5は、環状の送信機5Aで構成されるた
め、送信機5Aの横断面を小さなものとでき、軸受装置
の周辺の小さな空き空間を利用して送信機5Aを配置す
ることができる。すなわち、図1の実施形態のように、
箱型の送信手段5を設けた場合、送信手段5が嵩張るた
めに、その箱型送信手段5の取付スペースが得られるよ
うに車輪用軸受装置の周辺の設計を行う必要があるが、
環状の送信機5Aとした場合、車輪用軸受装置の周辺に
通常に生じる空間を送信機5Aの配置に利用できる。車
輪用軸受装置の周辺に通常に生じる空間、特に端部開口
付近に生じる空間は、図7からもわかるように、等速ジ
ョイント15や車輪軸受取付部材12aが周囲にあっ
て、非常に限られた小さな空間となることが多い。この
ような小さな周辺空間にも、送信機5Aを環状とするこ
とにより、配置することができる。特に、上記の周辺空
間は、等速ジョイント15が迫っているために、軸方向
よりも径方向に比較的余裕のある形状となっているが、
この実施形態では、送信機5Aをコイル・磁性体組17
の外周に重ねて配置しているため、両者を軸方向に並べ
る場合に比べて、上記の周辺空間に効率良く収めること
ができる。また、この実施形態では、環状の送信機5A
と発電機4のリング部材19とを一体としたため、これ
ら送信機5Aと発電機4の組み合わせがより一層コンパ
クト化されて、配置空間が確保し易く、また部品点数も
さらに削減できる。
【0037】コイル・磁性体組17および送信機5Aを
取付ける取付リング49は、多極磁石18を覆ってお
り、またこの取付リング49と内方部材2との間をシー
ルするシール38を取付けているため、多極磁石18と
コイル・磁性体組17との隙間に異物が入り込むことが
防止される。この取付リング49およびシール38によ
り、発電機4の異物の侵入による損傷が防止される。シ
ール11は、第2のシール部材32に設けられた各シー
ルリップ36a〜36cの第1のシール部材31との摺
接と、ラビリンスシール37とにより、その軸受端部の
密封性を得る。
【0038】図9は、この発明の第3の実施形態を示
す。この実施形態は、第1世代の内輪回転タイプの車輪
用軸受装置であり、回転センサとなる発電機4はスラス
ト型である。外方部材1は、固定側の部材となるもので
あって、単独の軸受外輪からなる。内方部材2は、回転
側の部材となるものであって、2つの軸受内輪2Dを軸
方向に並べたものからなる。外方部材1および内方部材
2は、車輪取付フランジおよび車体取付けフランジを、
いずれも有しない。
【0039】軸受背面側の開口端部に設けられたシール
11は、第2の実施形態(図7)におけるシール11と
同じ構成のものであり、第1および第2のシール部材3
1,32を有している。発電機4も第2の実施形態と同
じ構成のものであり、その多極磁石18が、第1のシー
ル部材31に一体に設けられている。発電機4のコイル
・磁性体組17は、第2の実施形態と同じく、そのリン
グ部材19が取付リング49によって外方部材1に取付
けられている。取付リング49は、第2の実施形態と同
じ構成のものであり、シール38が取付けられている。
送信手段5は、第2の実施形態と同じく環状の送信機5
Aからなるが、その取付位置は、コイル・磁性体組17
と軸方向に並べた位置とされている。この環状送信機5
Aは、取付リング49における溝形部49aの外底面に
取付けられている。
【0040】この実施形態も、発電機4の多極磁石18
をシール11の構成部品とし、かつワイヤレス送信手段
5を環状の送信機5Aとして発電機4のリング部材19
と一体化したため、発電機4の保守性が良く、かつ発電
機4および送信手段5の設置スペースが小さくて済むと
いう効果が得られる。この効果は、以下の各実施形態に
おいても同様に得られる。
【0041】図10は、この発明の第4の実施形態を示
す。この車輪用軸受装置は第2世代の内輪回転タイプの
車輪用軸受装置であり、回転センサとなる発電機4はス
ラスト型である。この実施形態は、外方部材11に車体
取付フランジ1aが設けられており、その他の構成は図
9に示す第3の実施形態と同じである。
【0042】図11は、この発明の第5の実施形態を示
す。この車輪用軸受装置は第3世代の内輪回転タイプ
で、かつ駆動輪支持用の車輪用軸受装置である。この実
施形態は、第3世代の車輪用軸受装置において、シール
11にスラスト型の回転センサ兼用の発電機4を組み込
み、かつ発電機4のリング部材19を環状の送信機5A
と軸方向に並べた例である。シール11、発電機4、お
よび送信手段5は、特に説明する事項を除き、図7と共
に説明した第2の実施形態と同じである。簡単に説明す
ると、多極磁石18は第1のシール部材31と共に内方
部材2に固定されている。コイル・磁性体組17は、そ
のリング部材19が取付リング49を介して外方部材1
に固定されている。環状の送信機5Aは、取付リング4
9に固定され、コイル・磁性体組17とは取付リング4
9に対して反対側に位置する。外方部材1は、車体取付
フランジ1aを有する一体の部材である。内方部材2
は、ハブ輪2Aと、このハブ輪2Aの端部外径に嵌合し
た別体の内輪構成部材2Cとで構成される。内輪構成部
材2Cは、ハブ輪2Aに設けられた加締部でハブ輪2A
に軸方向に締め付け固定される。内方部材2は、車輪取
フランジ2aを有し、内方部材2にはその内径孔に等速
ジョイント(図示せず)の軸部が挿通されて固定され
る。
【0043】図12は、この発明の第6の実施形態を示
す。この実施形態は、図11に示す第5の実施形態にお
いて、軸受の開口部、つまりシール11を配置する部分
に、内輪外径を小径とした小径化部81を設け、シール
11の容積を内径方向に拡大して多極磁石18の表面積
と発電機4の容積を増やしたものである。小径化部81
は、段差を持って小径に形成してあり、内輪構成部材2
Cに形成されている。このように小径化部81を設ける
ことにより、発電機4の軸方向の長さをよりコンパクト
にできる。つまり径方向に長くした分、軸方向に短くで
きる。このように内輪外径に小径化部81を設けてシー
ル11の容積を内径方向に拡大する構成は、シール11
と発電機4の構成部品を一体化させた車輪用軸受装置一
般に適用することができる。なお、この実施形態では、
送信手段5における環状の送信機5Aの配置は、コイル
・磁性体組17の外周とし、送信機5Aを取付リング4
9に固定してある。
【0044】図13は、この発明の第7の実施形態を示
す。この車輪用軸受装置は第3世代の内輪回転タイプ
で、かつ従動輪支持用の車輪用軸受装置である。回転セ
ンサとなる発電機4は、スラスト型である。この例は、
従動輪用であるため、内方部材2が内径孔を有しない形
状とされている。その他の構成は図11と共に説明した
第5の実施形態と同じである。
【0045】図14は、この発明の第8の実施形態を示
す。この実施形態は、第2世代で外輪回転タイプの車輪
用軸受装置であり、回転センサとなる発電機4はスラス
ト型である。外方部材1は、正面側となる一端に車輪取
付フランジ1bを有する。内方部材2は、2つの軸受内
輪2Dを軸方向に並べた分割型のものとされている。シ
ール11、発電機4、および送信手段5は、図9と共に
説明した第3の実施形態と同じである。この実施形態の
場合、外方部材1が回転側の部材となるため、外方部材
1に取付けられた送信手段5の送信機5Aが回転するこ
とになるが、送信機5Aは環状のものであるため、送信
機5Aの回転が受信側で検出信号の変動として影響しな
い。
【0046】図15は、この発明の第9の実施形態を示
す。この実施形態は、第1世代で内輪回転タイプの車輪
用軸受装置であり、回転センサとなる発電機4はスラス
ト型である。外方部材1は、固定側の部材となるもので
あって、単独の軸受外輪からなる。内方部材2は、回転
側の部材となるものであって、2つの軸受内輪2Dを軸
方向に並べたものからなる。外方部材1および内方部材
2は、車輪取付フランジおよび車体取付けフランジを、
いずれも有しない。シール11、発電機4、および送信
手段5は、次の事項を除いて、図9と共に説明した第3
の実施形態と同じである。この実施形態では、シール1
1の第1のシール部材31は、円筒部31aと、この円
筒部31aから外径側に曲がった立板部31bと、この
立板部31bの先端から内径側に折り返された折り返し
立板部31cと、この折り返し立板部31cの内径側端
部から折れ曲がって軸受外方に延びる外側円筒部31d
とからなる。折り返し立板部31cは、円筒部31aよ
りも内径側に延びている。多極磁石18の磁石部材34
は、折り返し立板部31cにおける軸受外方側の側面に
設けられる。シール部材31は、内方部材2の端部外径
面に圧入状態に嵌合し、折り返し立板部31cは内周部
分が内方部材2の端面の外側に位置する。発電機4のコ
イル・磁性体組17および送信機5Aは、第3の実施形
態と同じ取付リング49により外方部材1に取付けられ
るが、この取付リング49の内周部に設けられるシール
38は、第1のシール部材31の外側円筒部31dの外
径面となる。この実施形態の場合、第3の実施形態に比
べて、シール11、発電機4、および送信機5Aの組み
合わせ体が軸方向に若干長くなるが、シール38が外側
円筒部31dの外径面に接するため、第1のシール部材
31の軸方向の取付位置が若干変動しても、シール38
によるシール機能が低下しない。
【0047】図16は、この発明の第10の実施形態を
示す。この実施形態は第3世代の外輪回転タイプで、か
つ従動輪支持用の車輪用軸受装置である。回転センサと
なる発電機4はスラスト型である。外方部材1は、正面
側である一端に車輪取付フランジ1bを有する。内方部
材2は、2つの内輪構成部材2E,2Fとで構成され、
内輪構成部材2Fに車体取付フランジ2bが設けられて
いる。車体取付フランジ2bは、外方部材1の背面側の
端部よりもさらに背面側に位置して設けられている。内
輪構成部材2Eは、正面側の端部に配置され、内輪構成
部材2Fに設けられた加締部により固定される。シール
11、発電機4、および送信手段5は、次の事項を除い
て、図9と共に説明した第3の実施形態と同じである。
この実施形態では、シール11の第1のシール部材31
は、内方部材2の外径面における軌道面9と車体取付フ
ランジ2bとの間の部分に圧入状態に嵌合する。発電機
4のコイル・磁性体組17および送信機5Aは、第3の
実施形態と同じ取付リング49により外方部材1に取付
けられるが、この取付リング49の内周部に設けられる
シール38は、内方部材2の外径面に摺接する。この実
施形態の場合、内方部材2の外周において、外方部材1
の端部と車体取付フランジ2bとの間に溝状の空間が生
じるが、発電機4と環状の送信機5Aとが軸方向に重な
るため、上記の内方部材2の外周空間を効果的に利用し
て発電機4および送信機5Aが配置できる。
【0048】図17は、この発明の第11の実施形態を
示す。この実施形態は、第2世代で外輪回転タイプの車
輪用軸受装置であり、回転センサとなる発電機4はスラ
スト型である。この実施形態は請求項14の発明に対応
する。外方部材1は回転側の部材であり、正面側となる
一端に車輪取付フランジ1bを有する。内方部材2は固
定側の部材であり、2つの軸受内輪2Dを軸方向に並べ
た分割型のものとされている。送信手段5は、環状の送
信機5Aで構成される。この送信機5Aは、発電機4を
構成するコイル・磁性体組17と共通の取付リング49
Aに取付けることにより、コイル・磁性体組17のリン
グ部材19と一体となっている。取付リング49Aは、
円筒部49Aaと立板部49Abとでなる断面L字状の
板状の部材であり、円筒部49Aaの外周にコイル・磁
性体組17が取付けられ、立板部49Abの外側の側面
に環状の送信機5Aが取付けられる。取付リング49A
は、内方部材2の外径面に円筒部49Aaで圧入状態に
嵌合して取付けられ、これによりコイル・磁性体組17
のリング部材19および送信機5Aが内方部材2の端部
外周に取付けられる。
【0049】発電機4は、互いに対面する多極磁石18
とコイル・磁性体組17とで構成され、多極磁石18は
外方部材1の内径面に取付けられている。多極磁石18
は、リング状基板48と磁石部材34とで構成される。
リング状基板48は、円筒部48aと立板部48bとで
なる断面逆L字状に形成され、円筒部48aで外方部材
1の内径面に圧入状態に嵌合して取付けられる。磁石部
材34は、リング状基板48に固定されたものであるこ
とを別にして、図8と共に前述した磁石部材34と同じ
である。コイル・磁性体組17は、図7以降の各実施形
態におけるコイル・磁性体組17と同じであり、溝型の
リング部材19内にコイル20を収容したものである。
コイル・磁性体組17の断面形状は、軸方向幅が径方向
幅に比べて広い偏平形状としてあるが、必ずしも偏平形
状としなくても良い。シール11は、外方部材1に取付
けられたシール部材45を有し、このシール部材45
は、溝型のリング部材19の溝側壁部分である外径面に
摺接する。シール部材45は、芯金47と、この芯金4
7に一体化された弾性部材46とで構成される。芯金4
7は、断面逆L字状に形成され、外方部材1の端部外周
に圧入状態に嵌合する。弾性部材46は、コイル・磁性
体組17のリング部材19の外径面に摺接するリップ4
6b,46cと、取付リング49Aの立板部49Abに
摺接するリップ46aとを有する。
【0050】この構成の場合、発電機4のコイル20を
収容したリング部材19にシール部材45を接触させて
シールを行う構成であるため、リング部材19自体がシ
ールを行う部材としての機能を兼ねることになり、シー
ルのための構成がより一層コンパクト化される。また、
発電機4の多極磁石18だけでなく、コイル・磁性体組
17の一部が、外方部材1と内方部材2間の内部に配置
されるため、発電機4および送信機5Aの軸受から突出
部分が少なく、より一層配置空間が小さくて済む。
【0051】図18は、この発明の第12の実施形態を
示す。この実施形態は、第3世代の内輪回転タイプで、
かつ駆動輪支持用の車輪用軸受装置であり、回転センサ
となる発電機4は、スラスト型である。外方部材1は、
車体取付フランジ1aを有する一体の部材である。内方
部材2は、ハブ輪2Aと、このハブ輪2Aの端部外径に
嵌合した別体の内輪構成部材2Bとで構成される
【0052】図19は、この発明の第13の実施形態を
示す。この実施形態は、第1世代で内輪回転タイプの車
輪用軸受装置であり、回転センサとなる発電機4はラジ
アル型である。この実施形態、および以降の各実施形態
は、送信機5Aおよびリング部材19により構成される
組立部品Aと、多極磁石18およびシール部材45Bに
より構成される組立部品Bとの2部品により、外方部材
1と内方部材2間の開口端部をシールするものである。
【0053】第13の実施形態において、外方部材1
は、固定側の部材となるものであって、単独の軸受外輪
からなる。内方部材2は、回転側の部材となるものであ
って、2つの軸受内輪2Dを軸方向に並べたものからな
る。外方部材1および内方部材2は、車輪取付フランジ
および車体取付けフランジを、いずれも有しない。送信
手段5は、環状の送信機5Aで構成される。この送信機
5Aは、発電機4を構成するコイル・磁性体組17と共
通の取付リング49Bに取付けることにより、コイル・
磁性体組17のリング部材19と一体となっている。こ
の一体化されたものが、コイル側の組立部品Aとなる。
開口端部をシールするシール11は、シール部材45B
を有し、このシール部材45Bに発電機4の多極磁石1
8が取付けられている。シール部材45Bは、シール芯
金47Bと弾性部材46Bとを有し、弾性部材46Bが
取付リング49Bに摺接する。シール部材45Bと多極
磁石18とでなるものが、磁石側の組立部品Bとなる。
コイル・磁性体組17のリング部材19は、取付リング
49Bを介して内方部材2の端部外径面に取付けられて
おり、外方部材1の端部は、略コイル・磁性体組17の
幅だけ内方部材2よりも軸受中央側に引っ込ませてあ
る。
【0054】取付リング49Bは、第1の円筒部49B
aの一端側に、外径側へ延びる第1の立板部49Bb、
第2の円筒部49Bc、およびその外径側へ延びる第2
の立板部49Bdが続く形状とされている。コイル・磁
性体組17は、そのリング部材19が取付リング49B
の第1の円筒部49Baの外径面に嵌合し、かつ第1の
立板部49Bbに接するように、取付リング49Bに取
付けられる。環状の送信機5Aは、取付リング49Bの
第2の立板部49Bdの外側面に取付けられる。取付リ
ング49Bは、内方部材2の端部外径面に第1の円筒部
49Baで圧入状態に嵌合して取付けられる。シール芯
金47Bは、第1の円筒部47Baの一端側に、内径側
へ延びる第1の立板部47Bb、第2の円筒部47B
c、およびその内径側へ延びる第2の立板部47Bdが
続く形状とされている。シール芯金47Bは、第1の円
筒部47Baで外方部材1の端部外径面に圧入状態に嵌
合して取付けられる。弾性部材46Bは、取付リング4
9Bの第2の円筒部49Bcおよび第2の立板部49B
dに接する複数のリップ46Ba〜46Bcを有する。
【0055】発電機4は、図1ないし図5に示す第1の
実施形態と同様にラジアル型ではあるが、第1の実施形
態とは逆に多極磁石18が外径側に、コイル・磁性体組
17が内径側に配置される。多極磁石18は、円筒状基
板48Cと磁石部材34とで構成され、シール芯金47
Bの第2の円筒部47Bcの内径面に嵌合して取付けら
れる。磁石部材34は、円筒状基板48Cに固定された
ものであることを別にして、図3と共に前述した磁石部
材34と同じである。コイル・磁性体組17は、コイル
20を収容した磁性体のリング部材19からなる。リン
グ部材19は、第1の実施形態(図1)における図4,
図5と共に説明したコイル・磁性体組17におけるリン
グ部材19と、磁極の向く方向が異なる他は、同じであ
る。すなわち、図19の例のリング部材19は、図4,
図5の例におけるリング部材19と同様に、断面形状が
溝型であって、溝の側面の開口縁から対向する側面側へ
折れ曲がった櫛歯状の複数の爪21a,22aを有し、
これら両側面の櫛歯状の爪21a,22aが周方向に交
互に並ぶものである。ただし、図19の実施形態におけ
るコイル・磁性体組17は、図4,図5の例とは異な
り、溝開口方向が外径側となっており、櫛歯状の爪21
a,22aで形成される磁極は、外径側に向く。図19
の例のリング部材19においても、図6の例と同様に、
櫛歯状の爪21a,22aをテーパ状にしたものであっ
ても良い。
【0056】この構成の場合、2つの組立部品でシール
11と発電機4と送信手段5が構成されるため、部品点
数が少なく、組立性に優れる。
【0057】図20は、この発明の第14の実施形態を
示す。この実施形態は、第2世代で内輪回転タイプの車
輪用軸受装置であり、回転センサとなる発電機4はラジ
アル型である。外方部材1は、外周に車輪取付フランジ
1aを有する一体の部材である。内方部材2は、2つの
軸受内輪2Dを軸方向に並べて構成される。シール1
1、発電機4、および送信手段5は、図19に示した第
13の実施形態と同じであり、2つの組立部品A,Bで
構成される。
【0058】図21は、この発明の第15の実施形態を
示す。この実施形態は、第3世代の内輪回転タイプで、
かつ従動輪支持用の車輪用軸受装置である。回転センサ
となる発電機4は、ラジアル型である。外方部材1は、
車体取付フランジ1aを有する一体の部材である。内方
部材2は、ハブ輪2Aと、このハブ輪2Aの端部外径に
嵌合した別体の内輪構成部材2Cとで構成される。内輪
構成部材2Cは、ハブ輪2Aに設けられた加締部でハブ
輪2Aに軸方向に締め付け固定される。内方部材2は、
内径孔を有しない非貫通部材であり、車輪取付フランジ
2aを一端に有している。シール11、発電機4、およ
び送信手段5は、図19に示した第13の実施形態と同
じであり、2つの組立部品A,Bで構成される。
【0059】図22は、この発明の第16の実施形態を
示す。この実施形態は、第3世代の内輪回転タイプで、
かつ駆動輪支持用の車輪用軸受装置である。回転センサ
となる発電機4は、ラジアル型である。この実施形態
は、内方部材2が内径孔2hを有している。その他の構
成は図21に示した第15の実施形態と同じである。
【0060】図23は、この発明の第17の実施形態を
示す。この実施形態は、第2世代で外輪回転タイプの車
輪用軸受装置であり、回転センサとなる発電機4はラジ
アル型である。外方部材1は、外周に車輪取付フランジ
1aを有する一体の部材である。内方部材2は、2つの
軸受内輪2Dを軸方向に並べて構成される。シール1
1、発電機4、および送信手段5は、図19に示した第
13の実施形態と同じであり、2つの組立部品A,Bで
構成される。
【0061】図24は、この発明の第18の実施形態を
示す。この実施形態は、図22に示す第16の実施形態
において、次に説明する構成を変えたものである。すな
わち多極磁石18を内径側に、発電機4のコイル・磁性
体組17を外径側に配置している。また、送信機5Aは
環状とし、発電機4の外周に配置した。この構成の場
合、送信機5Aは環状とし、発電機4の外周に配置した
ため、第16の実施形態(図22)よりも軸方向の突出
部分が少なく、等速ジョイントが車輪用軸受装置に迫っ
ている場合に、効率良く周辺空間を利用できる。また、
送信機5Aと発電機4との配線が無くなる。
【0062】図25〜図27は、この発明の第19の実
施形態を示す。この実施形態は、発電機4を次の構成と
したものである。すなわち、発電機4のコイル20を収
容したリング部材69における磁極部69bの両面にそ
れぞれ対向させて一対の多極磁石18,18を設けたも
のである。磁極部69bは、リング部材69のコイル2
0を収容する収容部分69aに対して内径側に設けら
れ、磁極部69bと多極磁石18,18とはラジアル方
向に対面している。リング部材69は外方部材1に取付
けられ、両多極磁石18,18は内方部材2に取付けら
れている。両多極磁石18,18は、共通の取付部材7
1に取付けられ、この取付部材71を介して内方部材2
に取付けられている。取付部材71は、各多極磁石1
8,18に個別に設けてもよく、また取付リング49B
を介して内方部材2に取付けてもよい。
【0063】リング部材69は、コイル20を収容する
収容部分69aの断面形状がC字型とされ、図26,図
27に示すように、収容部分69aの両側の側面から櫛
歯状の複数の爪21a,21bが延びている。図26と
図27は、同じリング部材69を方向を変えて図示して
いる。下方の側面から延びる爪21aは、詳しくは収容
部分69aの内周部分から延びている。これらの爪21
a,21bは図5,図6等に示した溝型のリング部材1
9の例と同様に、互いに隙間を介して交互に噛み合って
おり、各爪21a,21bが磁極を形成する。これらの
爪21a,21bの環状の並びが、リング部材69にお
ける上記磁極部69bとなる。リング部材69は全体が
磁性体からなる。
【0064】この実施形態における車輪用軸受装置の発
電機4を除く構成は、図22と共に説明した第16の実
施形態において、送信機5Aの配置を発電機4の外径側
に配置し、取付リング45Bに取付けた構成としてあ
る。
【0065】この実施形態の場合、コイル20を収容し
たリング部材69の磁極部69bの両側に多極磁石1
8,18を配置したため、爪21a,21bからなる磁
極部69bの面積を変えないで、多極磁石18,18と
対向する面積が増大する。これにより、コイル20と鎖
交する磁束を増やすことができて、発電機4の出力を増
加させることができる。例えば、多極磁石18が1枚の
場合に比べて、略2倍の磁束を集めることができ、発電
電力が略2倍となる。
【0066】この種の車輪用軸受装置に装備する発電機
4は、配置空間が厳しく制限されるため、コンパクトな
構成で発電機出力を増大させることが望まれる。特に、
小径の軸受の場合には、発電機4のコイル20の横断面
の面積を同じにしても(コイルの巻き数を変えない)、
多極磁石18の表面が小さくなるので発電電力が小さく
なるという課題がある。発電機出力を増大させるには、
磁力アップ、ギャップ縮小、コイル巻き数の増大(容積
増大)、磁石対向面積を増やす、という4つの要因が主
に上げられる。このうち、磁力アップは材質面で限りが
あり、ギャップ縮小は精度面で難しく、コイル巻き数の
増大はコンパクト化の妨げとなる。この実施形態による
と、2枚の多極磁石18,18を同じ磁極部69bの両
側に対面配置したため、発電機4のコイル20の容積や
磁力を変えずに、鎖交磁束を増やし、発電機出力を増加
させることができる。多極磁石18,18は2枚となる
が、コイル容積の増大に比べて、コンパクト化が容易で
ある。ヨークとなるリング部材69の形状を、図26,
図27に示すようにC字型の収容部分69aと、これよ
り延びる磁極部69bとで形成した場合、リング部材6
9と2枚の多極磁石18A,18Bの配置がコンパクト
に納まり、発電機4と多極磁石18,18を合わせた容
積を小さくすることができ、システムのより小型化が可
能となる。また、このように磁極部69bの両側に多極
磁石18,18を配置する構成であると、磁極部69b
が組立時や回転時に径方向に変位しても、磁極部69b
と各多極磁石18,18との間の磁気ギャップの和は変
動しないので、上記変位が発電性能に与える影響が、1
枚の多極磁石18の場合に比べて小さい。
【0067】なお、この実施形態では、コイル20を収
容したリング部材69を外方部材1に設け、両多極磁石
18を内方部材2にそれぞれ設けたが、これとは逆にリ
ング部材69を内方部材2に、両多極磁石18を外方部
材1に取付けても良い。この場合に、外方部材1および
内方部材2のうちのいずれが回転側であっても良い。ま
た、この実施形態は、第3世代で、駆動側の車輪用軸受
装置に適用した場合につき説明したが、この磁極部69
bの両側に多極磁石18,18を配置する構成は、第2
または第4世代など、軸受の世代形式にかかわらず、ま
た駆動側であるか従動側であるかを問わず、適用するこ
とができる。
【0068】
【発明の効果】この発明の車輪用軸受装置は、内周に複
列の転走面を有する外方部材と、これら転走面にそれぞ
れ対向する転走面を有する内方部材と、前記転走面間に
収容される複列の転動体とを備え、車体に対して車輪を
回転自在に支持する車輪用軸受装置において、外方部材
と内方部材との相対回転によって発電する発電機を有
し、発電機から出力される車輪の回転数の信号をワイヤ
レスで送信する送信手段を設けたものであるため、車輪
回転数の検知機能を有しながら、車外での断線の恐れが
なく、また自動車の軽量化、コスト低下が図れる。前記
発電機が、コイルを収容した磁性体のリング部材と多極
磁石からなり、このリング部材を前記外方部材および内
方部材のうちのいずれか一方に設け、他方の部材に多極
磁石を設けた場合は、回転数の検出を精度良く行え、ま
た小型で効率の良い発電が行える。発電機が、コイルを
収容した磁性体のリング部材と多極磁石からなるもので
ある場合に、外方部材および内方部材に形成した複列の
転走面間に、前記リング部材と多極磁石を配置した場合
は、転走面間の空間を有効に利用して発電機を内蔵で
き、車輪用軸受装置がより一層小型化される。また、セ
ンサ挿入口からの軸受内への異物混入の問題が生じな
い。発電機のリング部材と多極磁石の少なくとも一方
が、前記外方部材と内方部材間の環状空間の開口端部を
シールするシール部材と一体に形成されたものである場
合は、軸受装置に対する発電機の着脱が容易となり、発
電機の保守・修理を容易に行うことができる。また、発
電機の取付自由度が向上し、軸受装置のコンパクト化も
図り易い。部品点数も削減できて、組立性にも優れたも
のとなる。発電機のリング部材が、断面形状溝型ないし
C字型であって、前記コイルを収容する部分と、この収
容部分の両側の側面からそれぞれ延びた櫛歯状の複数の
爪とを有し、これら両側面の櫛歯状の爪が周方向に交互
に並ぶものとした場合は、隣接磁極からの磁束漏れが少
なくなり、磁束の利用効率が高く得られる。また、各爪
の幅が先端に向けて漸減するものである場合は、より一
層の多極化、小型化が可能になる。前記発電機の前記コ
イルを収容した前記磁性体のリング部材が、円周方向に
沿って磁極が並ぶ環状の磁極部を有し、この磁極部の両
面にそれぞれ対向させて前記多極磁石を配置した場合
は、発電機出力を増加させることができる。
【0069】前記送信手段が環状の送信機を有するもの
である場合は、車輪用軸受装置の周囲の小さな空間を利
用して送信機を配置することができ、また送信機を回転
側の部材に取付けることもできる。送信手段が環状の送
信機を有し、この送信機が発電機を構成するリング部材
と一体となったものである場合は、より一層コンパクト
化され、また部品点数が削減され、組立性も向上する。
送信手段の環状の送信機をリング部材の外周に配置した
場合は、車輪用軸受装置の周辺における各種の部材で制
限された僅かな空間に対して、空間効率良く送信機およ
び発電機を配置することができる。発電機のコイルを収
容したリング部材にシール部材を接触させてシールを行
うようにした場合は、リング部材自体がシールを行う部
材としての機能を兼ねることになり、シールのための構
成がより一層コンパクト化される。環状の送信機および
リング部材により構成される組立部品と、多極磁石およ
びシール部材により構成される組立部品との2部品によ
り、外方部材と内方部材の開口端部がシールされるもの
とした場合は、2つの組立部品でシールと発電機と送信
手段とが構成されるため、部品点数が少なく、組立性に
優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施形態にかかる車輪用軸受
装置の断面図である。
【図2】同車輪用軸受装置を等速ジョイント側から見た
側面図である。
【図3】(A),(B)は各々発電機の多極磁石の断面
図および正面図である。
【図4】(A),(B)は各々発電機のリング部材の破
断側面図および正面図である。
【図5】(A),(B)は各々図4(A),(B)の一
部を拡大した拡大図である。
【図6】(A)〜(C)は各々発電機のリング部材の変
形例を示す破断側面図、正面図、および同図(B)の部
分拡大図である。
【図7】(A),(B)はこの発明の第2の実施形態に
かかる車輪用軸受装置の断面図、およびその要部拡大断
面図である。
【図8】その軸受装置における発電機の多極磁石となる
弾性部材の部分正面図である。
【図9】(A),(B)はこの発明の第3の実施形態に
かかる車輪用軸受装置の断面図、およびその要部拡大断
面図である。
【図10】この発明の第4の実施形態にかかる車輪用軸
受装置の断面図である。
【図11】この発明の第5の実施形態にかかる車輪用軸
受装置の断面図である。
【図12】この発明の第6の実施形態にかかる車輪用軸
受装置の断面図である。
【図13】この発明の第7の実施形態にかかる車輪用軸
受装置の断面図である。
【図14】この発明の第8の実施形態にかかる車輪用軸
受装置の断面図である。
【図15】この発明の第9の実施形態にかかる車輪用軸
受装置の断面図である。
【図16】(A),(B)はこの発明の第10の実施形
態にかかる車輪用軸受装置の断面図、およびその要部拡
大断面図である。
【図17】(A),(B)はこの発明の第11の実施形
態にかかる車輪用軸受装置の断面図、およびその要部拡
大断面図である。
【図18】この発明の第12の実施形態にかかる車輪用
軸受装置の断面図である。
【図19】(A),(B)はこの発明の第13の実施形
態にかかる車輪用軸受装置の断面図、およびその要部拡
大断面図である。
【図20】この発明の第14の実施形態にかかる車輪用
軸受装置の断面図である。
【図21】この発明の第15の実施形態にかかる車輪用
軸受装置の断面図である。
【図22】この発明の第16の実施形態にかかる車輪用
軸受装置の断面図である。
【図23】この発明の第17の実施形態にかかる車輪用
軸受装置の断面図である。
【図24】この発明の第18の実施形態にかかる車輪用
軸受装置の断面図である。
【図25】(A)はこの発明の第19の実施形態にかか
る車輪用軸受装置の断面図、(B)はその部分拡大断面
図である。
【図26】同実施形態におけるリング部材の部分斜視図
である。
【図27】同リング部材を方向を変えて示す部分斜視図
である。
【図28】従来の車輪用軸受装置の断面図である。
【符号の説明】
1…外方部材 2…内方部材 1a,2b…車体取付フランジ 1b,2a…車輪取付フランジ 3…転動体 4…発電機 5…ワイヤレスの送信手段 5A…送信機 6〜9…転走面 11…シール 12…車体 13…車輪 17…コイル・磁性体組 18…多極磁石 19…リング部材 20…コイル 21a,21b…爪 31…シール部材 34…磁石部材 38…シール 45…シール部材 48…リング状基板 49,49A,49B…取付リング 69…リング部材 69a…収容部分 69b…磁極部 A,B…組立部品
フロントページの続き (72)発明者 鳥居 晃 静岡県磐田市東貝塚1578番地 エヌティエ ヌ株式会社内 (72)発明者 乗松 孝幸 静岡県磐田市東貝塚1578番地 エヌティエ ヌ株式会社内 (72)発明者 大庭 博明 静岡県磐田市東貝塚1578番地 エヌティエ ヌ株式会社内 (72)発明者 高橋 亨 静岡県磐田市東貝塚1578番地 エヌティエ ヌ株式会社内 (72)発明者 水谷 政敏 静岡県磐田市東貝塚1578番地 エヌティエ ヌ株式会社内 Fターム(参考) 2F073 AA36 AB02 AB11 BB01 BC02 BC04 BC05 CC01 EE11 GG04

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内周に複列の転走面を有する外方部材
    と、これら転走面にそれぞれ対向する転走面を有する内
    方部材と、前記転走面間に収容される複列の転動体とを
    備え、車体に対して車輪を回転自在に支持する車輪用軸
    受装置において、外方部材と内方部材との相対回転によ
    って発電する発電機を有し、発電機から出力される車輪
    の回転数の信号をワイヤレスで送信する送信手段を設け
    たことを特徴とする車輪用軸受装置。
  2. 【請求項2】 前記外方部材と内方部材のいずれか一方
    に車輪取付けフランジを設けた請求項1に記載の車輪用
    軸受装置。
  3. 【請求項3】 前記外方部材と内方部材のいずれか一方
    に車体に取付けるためのフランジを設けた請求項1また
    は請求項2に記載の車輪用軸受装置。
  4. 【請求項4】 前記発電機が、コイルを収容した磁性体
    のリング部材と多極磁石からなり、このリング部材を前
    記外方部材および内方部材のうちのいずれか一方に設
    け、他方の部材に多極磁石を設けた請求項1ないし請求
    項3のいずれかに記載の車輪用軸受装置。
  5. 【請求項5】 前記外方部材および内方部材に形成した
    複列の転走面間に、前記リング部材と多極磁石が配置さ
    れた請求項4に記載の車輪用軸受装置。
  6. 【請求項6】 前記リング部材と多極磁石の少なくとも
    一方が、前記外方部材と内方部材間の開口端部をシール
    するシール部材と一体に形成されている請求項4に記載
    の車輪用軸受装置。
  7. 【請求項7】 前記リング部材と多極磁石の隙間に異物
    が入り込むことを防止するシールをさらに設けた請求項
    6に記載の車輪用軸受装置。
  8. 【請求項8】 前記リング部材は、断面形状が溝型ない
    しC字型に形成されて前記コイルを収容する収容部分
    と、この収容部分の両側の側面からそれぞれ延びた櫛歯
    状の複数の爪とを有し、これら両側の櫛歯状の爪が周方
    向に交互に並ぶものとした請求項4ないし請求項7のい
    ずれかに記載の車輪用軸受装置。
  9. 【請求項9】 前記リング部材の一方の側面の爪と他方
    の側面の爪とが、周方向に互いに所定の隙間をもって配
    列されている請求項8に記載の車輪用軸受装置。
  10. 【請求項10】 前記リング部材の各爪の幅が、先端に
    向けて漸減している請求項8または請求項9に記載の車
    輪用軸受装置。
  11. 【請求項11】 前記発電機の前記コイルを収容した前
    記磁性体のリング部材は、円周方向に沿って磁極が並ぶ
    環状の磁極部を同心に有し、この磁極部の両面にそれぞ
    れ対向させて前記多極磁石を一対配置した請求項4ない
    し請求項10のいずれかに記載の車輪用軸受装置。
  12. 【請求項12】 前記送信手段が環状の送信機を有する
    請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の車輪用軸
    受装置。
  13. 【請求項13】 前記送信手段が環状の送信機を有し、
    この送信機が前記発電機を構成するリング部材と一体と
    なっている請求項4ないし請求項12のいずれかに記載
    の車輪用軸受装置。
  14. 【請求項14】 前記リング部材と送信機が径方向に重
    なるように配置した請求項12または請求項13に記載
    の車輪用軸受装置。
  15. 【請求項15】 前記送信手段が環状の送信機を有し、
    この送信機が前記発電機を構成するリング部材と一体と
    なっていて、前記リング部材が前記内方部材の端部に取
    付けられ、前記内方部材と外方部材の開口端部をシール
    するシール部材を、前記外方部材に取付けられて前記リ
    ング部材の外周に接するものとした請求項4、または請
    求項6ないし請求項11のいずれかに記載の車輪用軸受
    装置。
  16. 【請求項16】 前記送信手段が環状の送信機からな
    り、この送信機が前記発電機を構成するリング部材と一
    体とされ、前記多極磁石が、外方部材と内方部材間の開
    口端部をシールするシール部材と一体に形成され、これ
    ら送信機およびリング部材により構成される組立部品
    と、多極磁石およびシール部材により構成される組立部
    品との2部品により、上記開口端部をシールした請求項
    4、または請求項8ないし請求項11のいずれかに記載
    の車輪用軸受装置。
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