JP2004156726A - センサ付き転がり軸受装置 - Google Patents

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JP2004156726A JP2002323914A JP2002323914A JP2004156726A JP 2004156726 A JP2004156726 A JP 2004156726A JP 2002323914 A JP2002323914 A JP 2002323914A JP 2002323914 A JP2002323914 A JP 2002323914A JP 2004156726 A JP2004156726 A JP 2004156726A
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Mamoru Aoki
護 青木
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Abstract

【課題】軸受部の内圧変化を抑制でき、そしてセンサ部内への外部からの異物等の侵入を防止できることは勿論のこと軸受部からセンサ部への潤滑剤の漏れを防止でき、よって磁気センサの検出精度を維持でき、更には摩擦トルクも抑制できるセンサ付き転がり軸受装置を提供すること。
【解決手段】第1および第2軸受シール部材(38,36)が、軸受部(21)内外の圧力差を抑制するために当該軸受部(21)内外を連通する空気孔をそれぞれ有している。また、センサ室シール部材(39)の先端部が、第1ホルダ(34)または前記第2ホルダ(35)に締め代をもって摺接する第1リップ部(39a)、および当該第1リップ部(39a)との間に潤滑剤溜まり(40)を形成するように設けられた第2リップ部(39b)を有する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、センサ付き転がり軸受装置に関し、より詳細には、内輪または外輪に固定された回転部材の回転数、回転角度(回転位相)、等を検出でき、或いは検出した回転部材の回転数、回転角度(回転位相)、等に加えて軸受部の温度、振動、等も検出するセンサ付き転がり軸受装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のセンサ付き転がり軸受装置として、軸受部内にセンサ部が配置されるように当該軸受部の内外輪にそれぞれセンサ部の部材を嵌合固定し、当該センサ部の部材間にシール部材を配置して軸受部と共にセンサ部を密封した構造のもの(例えば、特許文献1参照)や、軸受部の内外輪間にシール部材を配置して当該軸受部を密封し且つ、該軸受部に隣接するセンサ部にも他のシール部材を配置してセンサ部を密封した構造のもの(例えば、特許文献2参照)が知られている。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−211311号公報(第2〜3頁、第2図)
【特許文献2】
特開平7−325098号公報(第2〜3頁、第9図)
【0004】
図4は、特許文献1で開示されている従来のセンサ付き転がり軸受装置の要部縦断面図である。図4に示されるように、センサ付き転がり軸受装置1の軸受部1aは、外輪2と、内輪3と、転動体4と、を備えている。また、センサ付き転がり軸受装置1のセンサ部1bは、第1フランジ5aを有する第1環体5と、第2フランジ6aを有する第2環体6と、第1環体5に固定されたパルサ9と、該パルサ9と対向するように第2環体6に固定されたセンサ7と、を備えている。
【0005】
第1環体5は外輪2に嵌合固定され、そして第2環体6は内輪3に嵌合固定される。第1フランジ5aに固定されたシール部材8のリップ8aは、第2環体6に接触している。このようにセンサ付き転がり軸受装置1は、センサ部1bのパルサ9およびセンサ7が配置された軸受部1aがシール部材8により密封されることで、外部から鉄粉、塵埃、泥水、等が侵入してパルサ9およびセンサ7に付着しないように、構成されている。
【0006】
図5は、特許文献2で開示されている従来のセンサ付き転がり軸受装置の要部縦断面図である。図5に示されるように、センサ付き転がり軸受装置10の軸受部10aは、外輪12と、内輪13と、転動体14と、を備えている。また、センサ付き転がり軸受装置10のセンサ部10bは、外輪12の一端部を軸方向に延長して設けられた延長部12aと、該延長部12aの内周面の段部12bに着磁部を有する被磁気検出部として嵌着される管状部材15と、を備えている。
【0007】
更に、センサ部10bは、内輪13の一端部に嵌着されたセンサ保持筒16と、該センサ保持筒16の外周面(即ち、延長部12aと対向する面)に配置された磁気センサ18と、を備えている。外輪12の軌道溝を挟む両側部内周面および延長部12aの外端部内周面には夫々シール部材19の外周部が固定され、外輪12と内輪13との間の空間および延長部12aとセンサ保持筒16との間の空間を密封している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
図4のセンサ付き転がり軸受装置1は、シール部材8で密封された軸受部1a内にセンサ部1bのパルサ9およびセンサ7が配置されるシール構造を有する。このシール構造では、軸受部1a内に存在する潤滑剤からパルサ9およびセンサ7を守る仕切壁等が無いため、パルサ9ならびにセンサ7への潤滑剤の付着は阻止できない。その上、当該潤滑剤には摩耗鉄粉等が含まれている場合がある。潤滑剤がパルサ9およびセンサ7に付着した場合(より深刻なのは、該潤滑剤がパルサ9とセンサ7との間の隙間に浸入した場合)は、この付着によって潤滑剤の攪拌抵抗が大きくなり、軸受部1aの円滑な回転の障害となるだけでなく、回転速度、回転角度(回転位相)、等の検出精度にも影響を及ぼす。
【0009】
また、図5のセンサ付き転がり軸受装置10においては、軌道輪である外輪12に段部12bを高精度に加工することは実際には困難である。この段部12bは、磁気センサ18の検出精度に係わる管状部材15が嵌着される部位であるため、その加工精度が重要となる。また、図5のセンサ付き転がり軸受装置10は、磁気センサ18からの出力を伝達するための配線が困難な構造を有しており、実用的とは言えない。
【0010】
その上、センサ付き転がり軸受装置10の内外に温度変化が生じた場合、軸受部10aの内圧変化によって、軸受部10aから潤滑剤が漏れ出るだけでなく該軸受部10aを密封するシール部材19のリップ部(即ち、内周部)が内輪13に吸着したり、或いはまた、管状部材15および磁気センサ18が収容されたセンサ部10bを密封するシール部材19のリップ部(即ち、内周部)の潤滑性能が不足して、摩擦抵抗が増加したり、シール部材19のリップ部に摩耗が生じる。
【0011】
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、軸受部の内圧変化を抑制でき、そしてセンサ部内への外部からの異物等の侵入を防止できることは勿論のこと軸受部からセンサ部への潤滑剤の漏れを防止でき、よって磁気センサの検出精度を維持でき、更には摩擦トルクも抑制できるセンサ付き転がり軸受装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するために、本発明に係るセンサ付き転がり軸受装置は、請求項1に記載したように、
内輪、外輪、および当該内外輪の間で周方向に転動自在に配設された複数の転動体を有する軸受部と、
前記内外輪それぞれの一端部に隣接しており且つ、前記内輪の一端部に密着固定された第1ホルダ、当該第1ホルダと協働してセンサ室を画成するように前記外輪の一端部に密着固定された第2ホルダ、前記センサ室内に配置されるように前記第1ホルダおよび前記第2ホルダのいずれか一方に固定された磁気センサ、および前記センサ室内に配置されるように前記第1ホルダおよび前記第2ホルダの他方に固定された被磁気検出部を有するセンサ部と、
前記内外輪の一端部間に配置された第1軸受シール部材と、
前記内外輪の他端部間に配置された第2軸受シール部材と、
前記第1ホルダおよび前記第2ホルダのいずれか一方に取付けられており且つ、前記内外輪の一端部近傍に位置する前記第1および第2ホルダ間の開口とは別の前記第1および第2ホルダ間の開口を気密封止するように前記第1ホルダおよび前記第2ホルダの他方に先端部が接触するセンサ室シール部材と、
を備えたセンサ付き転がり軸受装置であって、
前記第1および第2軸受シール部材が、前記軸受部内外の圧力差を抑制するために当該軸受部内外を連通する空気孔をそれぞれ有していることを特徴としている。
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、第1および第2軸受シール部材に設けられた空気孔によって軸受部ならびにセンサ部(センサ室)の内圧変化を抑制でき、そしてセンサ室シール部材によってセンサ部内への外部からの潤滑剤、鉄粉、塵埃、泥水、等の異物の侵入を防止できることは勿論のこと第1軸受シール部材によって軸受部からセンサ部への潤滑剤の漏れを防止でき、よって磁気センサの検出精度を維持でき、潤滑剤の攪拌抵抗の増大が阻止され、更には摩擦トルクも抑制でき、円滑な回転を維持することができる。
【0014】
従って、長期間にわたって回転数、回転角度(回転位相)、等を高精度で検出できるセンサ付き転がり軸受装置を提供することができる。例えば温度変化等によって軸受部の内外に圧力差が生じると、空気孔を介して軸受部内外の空気を流通させ、軸受部内外の圧力を同一圧力とすることができる。それ故、各軸受シール部材のリップ部が回転側軌道輪に吸着することが阻止され、リップ部の摩耗を防止してシール部材の長寿命化を図ることができる。
【0015】
また、前述した目的を達成するために、本発明に係るセンサ付き転がり軸受装置は、請求項2に記載したように、
内輪、外輪、および当該内外輪の間で周方向に転動自在に配設された複数の転動体を有する軸受部と、
前記内外輪それぞれの一端部に隣接しており且つ、前記内輪の一端部に密着固定された第1ホルダ、当該第1ホルダと協働してセンサ室を画成するように前記外輪の一端部に密着固定された第2ホルダ、前記センサ室内に配置されるように前記第1ホルダおよび前記第2ホルダのいずれか一方に固定された磁気センサ、および前記センサ室内に配置されるように前記第1ホルダおよび前記第2ホルダの他方に固定された被磁気検出部を有するセンサ部と、
前記内外輪の一端部間に配置された第1軸受シール部材と、
前記内外輪の他端部間に配置された第2軸受シール部材と、
前記第1ホルダおよび前記第2ホルダのいずれか一方に取付けられており且つ、前記内外輪の一端部近傍に位置する前記第1および第2ホルダ間の開口とは別の前記第1および第2ホルダ間の開口を気密封止するように前記第1ホルダおよび前記第2ホルダの他方に先端部が接触するセンサ室シール部材と、
を備えたセンサ付き転がり軸受装置であって、
前記センサ室シール部材の先端部が、前記第1ホルダまたは前記第2ホルダに締め代をもって摺接する第1リップ部、および当該第1リップ部との間に潤滑剤溜まりを形成するように設けられた第2リップ部を有することを特徴としている。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、センサ室シール部材の先端部は第1および第2リップ部を有する二重リップ構造であり、当該第1および第2リップ部間には潤滑剤溜まりが設けられているので、潤滑剤が潤滑剤溜まりに効率よく長期間にわたって確実に貯溜され、被磁気検出部および磁気センサに潤滑剤を付着させることなく第1リップ部の接触部を確実に潤滑して第1リップ部の摩耗が防止され、これによりリップ部の長寿命化が図られ且つ安定した回転が得られる。
【0017】
尚、上述した被磁気検出部ならびに磁気センサが固定される第1ホルダおよび第2ホルダは、軌道輪と比較して高精度で加工し易い材料からなることが望ましい。そして磁気センサに必要な配線を容易に行なえるようにセンサ部を構成することが好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る好適な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係るセンサ付き転がり軸受装置の縦断面図、図2は図1右下の円IIで囲まれた部分の拡大縦断面図、そして図3は図1左上の円IIIで囲まれた部分の拡大縦断面図である。
【0019】
図1〜図3に示されるように、本発明のセンサ付き転がり軸受装置20は、円環状の軸受部21および該軸受部21の側方に隣接する円環状のセンサ部22を有している。軸受部21は、外周面に内輪軌道面23aが形成された内輪23と、内周面に外輪軌道面24aが形成された外輪24と、保持器25によって周方向に整列させて保持され、内輪23および外輪24の間に転動自在に配設された複数個の転動体である玉26と、を備えている。
【0020】
尚、本実施形態では転動体として玉26を用いているが、代わりにころを用いてもよい。また、本実施形態では、内輪23を回転軌道輪とし、外輪24を固定軌道輪としているが、外輪24を回転軌道輪とし、内輪23を固定軌道輪としてもよい。また、本実施形態では、内輪23が軸(不図示)に外嵌し、そして外輪24がハウジング(不図示)に内嵌して、軸(不図示)が軸受部21によりハウジング(不図示)に対して回転自在に支持される。
【0021】
センサ部22は、磁性金属製(例えば、鉄製等)の第1ホルダ34と、磁性金属製(例えば、鉄製等)の第2ホルダ35と、センサ室28と、該センサ室28内に配置された被磁気検出部である多極磁石29と、磁気センサ30と、合成樹脂製のスペーサ31と、回路基板32と、合成樹脂製のセンサ位置決め部材33と、を備えている。センサ室28は、第1ホルダ34と第2ホルダ35とによって囲繞されて画成される。
【0022】
第1ホルダ34は、円環状の一端34bから一旦半径方向に立ち下げられ(換言すれば、軸(不図示)に向けて曲げられ)、折り返されて(換言すれば、半径方向に立ち上げられて)フランジ部34cが形成され、そして該フランジ部34cが断面L字型に曲げられて先端部34aが形成された円環状の部材である。円環状の一端34bは、内輪23の一端部の外周面23bに圧入嵌合または加締め加工されて、内輪23の一端部に密着固定されている。
【0023】
第2ホルダ35は、断面が略コの字形状を有する円環状の部材であり、第1ホルダ34の先端部34aを、略コの字形部の内部に包み込むようにして、先端部35aが第1ホルダ34の先端部34aに対向して配置されている。第2ホルダ35の一端35bは、外輪24の外周部に設けられた環状凹部24bに圧入嵌合または加締め加工されて、外輪24の一端部に密着固定されている。
【0024】
第1ホルダ34の先端部34aの内周面上には、被磁気検出部として円環状の多極磁石29が固定されている。第2ホルダ35の先端部35aの内周面上には、円環状のセンサ位置決め部材33が固定されている。そして、多極磁石29に対向可能なようにホールIC等の磁気センサ30がセンサ位置決め部材33を介して第2ホルダ35の先端部35aに固定されている。センサ位置決め部材33は、その外周面に磁気センサ30を位置決め固定する凹部(不図示)を有しており、該凹部(不図示)に磁気センサ30が内挿固定される。
【0025】
多極磁石29と磁気センサ30は、対向した際に、それらの間に僅かな隙間Bが設けられるように配置される。多極磁石29と磁気センサ30との間の隙間Bは、第1ホルダ34および/または第2ホルダ35の曲げ位置を調整することによって、容易に精度良く調整できる。第1ホルダ34および第2ホルダ35は、本センサ付き転がり軸受装置20の外部の磁気によって磁気センサ30や多極磁石29に影響が与えられないように磁性材料で形成されており、磁気シールドの役割も担っている。
【0026】
磁気センサ30は、スペーサ31を介して配置された回路基板32に電気的に接続されている。回路基板32にはセンサ部22の外部に磁気センサ30の検出信号を出力するためのケーブル41が電気的に接続されている。このケーブル41は第2ホルダ35に形成された貫通孔35dを通ってセンサ室28からセンサ部22の外部へ導出される。このように磁気センサ30の出力信号は、センサ付き転がり軸受装置20から容易に外部測定機器(不図示)に送信することができる。
【0027】
内輪23の一端部と外輪24の一端部との間(即ち、図1において玉26の右側)には第1軸受シール部材38が配設され、そして内輪23の他端部と外輪24の他端部との間(即ち、図1において玉26の左側)には第2軸受シール部材36が配設されている。第1軸受シール部材38および第2軸受シール部材36は、それぞれ適度な弾性を有しており、互いに寸法および形状が異なるものの、それぞれ同様な構成要素により形成されている。
【0028】
図1および図3に示されるように、第2軸受シール部材36は、玉26側に向く金属製の芯金部36a、および該芯金部36aを包み込み、内周部にリップ部36cが形成されたゴム製のラバー部36bを有している。第2軸受シール部材36は、外輪24の他端部内周面に設けられたシール溝24cに、第2軸受シール部材36(即ち、ラバー部36b)の外周部が圧入されて外輪24に固定されている。
【0029】
第2軸受シール部材36(即ち、ラバー部36b)の内周部に形成されたリップ部36cは、内輪23の他端部外周面に設けられたシール溝23cに微小の締め代をもって摺接しており、内輪23の他端部と外輪24の他端部との間が第2軸受シール部材36によりシールされている。尚、外輪24のシール溝24cに圧入されたラバー部36bの外周部には逃げ溝36dが設けられており、軸受部21の内外を連通させる空気孔として作用するようになっている。
【0030】
図1および図2に示されるように、第1軸受シール部材38は、玉26側に向く金属製の芯金部38a、および該芯金部38aを包み込み、内周部にリップ部38cが形成されたゴム製のラバー部38bを有している。第1軸受シール部材38は、外輪24の一端部内周面に設けられたシール溝24dに、第1軸受シール部材38(即ち、ラバー部38b)の外周部が圧入されて外輪24に固定されている。
【0031】
第1軸受シール部材38(即ち、ラバー部38b)の内周部に形成されたリップ部38cは、第1ホルダ34の一端34bの外周面に微小の締め代をもって摺接しており、内輪23の一端部と外輪24の一端部との間が第1軸受シール部材38によりシールされている。尚、外輪24のシール溝24dに圧入されたラバー部38bの外周部には逃げ溝38dが設けられており、軸受部21の内外を連通させる空気孔として作用するようになっている。
【0032】
このように、軸受部21は第1軸受シール部材38および第2軸受シール部材36によりシールされながらも軸受部21の内外の圧力差を抑制する逃げ溝38dおよび逃げ溝36dにより僅かに空気を流出および流入できるように構成されている。これら逃げ溝38dおよび36dは微小であるので外部から軸受部21への鉄粉、塵埃、泥水、等の異物の侵入は概ね防止できる。
【0033】
また、内輪23の一端部と外輪24の一端部との間が第1軸受シール部材38によりシールされるので、内輪23および外輪24の一端部近傍に位置する第1ホルダ34と第2ホルダ35との間に形成されたセンサ室28の円環状の第1開口28aも第1軸受シール部材38により実質的にシールされる。但し、軸受部21とセンサ室28とは逃げ溝38dにより僅かに空気を流出および流入できるようになっている。
【0034】
従って、逃げ溝38dおよび逃げ溝36dを第1軸受シール部材38および第2軸受シール部材36に設けたことにより、軸受部21の内圧またはセンサ部22の内圧の低下等による第1軸受シール部材38のリップ部、第2軸受シール部材36のリップ部、およびセンサ室シール部材39のリップ部の対応する接触部への吸着が阻止され、リップ部の摩耗を防止することができる。
【0035】
軸受部21内にはグリース等の潤滑剤が封入されて、玉26、内輪軌道面23aおよび外輪軌道面24aが潤滑される。
【0036】
円環状のセンサ室シール部材39は、ゴム等の弾性を有する材料により形成されており、円環状の基端部が第2ホルダ35の先端部35aに接着剤等により固着されて取付けられている。センサ室シール部材39の円環状の先端部は、センサ室28の第1開口28aとは別に設けられるセンサ室28の円環状の第2開口28bを気密封止する。センサ室シール部材39の先端部には、無負荷状態で軸方向に延びる第1リップ部39a、および半径方向外方に延びる第2リップ部39bが形成されている。
【0037】
第1リップ部39aは、第1ホルダ34のフランジ部34cに微小の締め代をもって摺接する。第2リップ部39bは、第1ホルダ34のフランジ部34cとの間に微小な隙間を隔てて配置されている。第1リップ部39aと第2リップ部39bとの間には、潤滑剤溜まり40が形成され、該潤滑剤溜まり40にグリース等の潤滑剤が塗布されて貯溜されている。該潤滑剤によって第1リップ部39aとフランジ部34cとの接触部が潤滑されるようになっている。
【0038】
次に、本実施形態の作用を説明する。
内輪23を回転させると、これに伴なって多極磁石29が回転する。このとき、磁気センサ30が多極磁石29の着磁パターンに応じた磁気の変化を検出し、電気信号に変換してケーブル41を介して外部に出力する。出力された電気信号を外部測定機器(不図示)によって適宜処理することによって、内輪23の回転数、回転速度、回転角度(回転位相)、等といったセンサ付き転がり軸受装置20の情報を得ることができる。
【0039】
尚、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、前述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0040】
例えば、上述した実施形態においては、第1ホルダに被磁気検出部である多極磁石を配置し、第2ホルダに磁気センサを配置するようにしたが、これとは逆に、第1ホルダに磁気センサを配置し、第2ホルダに多極磁石を配置するようにしてもよい。この場合は、内輪を固定軌道輪とし、外輪を回転軌道輪として設定することが構造上望ましい(特に、ケーブル41の配索上好ましい)。
【0041】
また、例えば、上述した実施形態においては、第2ホルダにセンサ室シール部材の基端部を取付け、第1ホルダにセンサ室シール部材の先端部を摺接させるようにしたが、これとは逆に、第1ホルダにセンサ室シール部材の基端部を取付け、第2ホルダにセンサ室シール部材の先端部を摺接させるようにしてもよい。
その他、第1および第2軸受シール部材38,36に設けられる空気孔をそれぞれ内周側のリップ部38c,36cに設けたり(代表として、第1軸受シール部材38の内周部に空気孔38eを設けた変形例を図2左上の円IIa内に示す。)、内外輪いずれかの軌道輪のシール溝24c、23c或いは24dに切り欠きを設けるようにしてもよい。
【0042】
尚、被磁気検出部ならびに磁気センサが固定される第1ホルダおよび第2ホルダは、軌道輪と比較して高精度で加工し易い材料からなることが望ましい。そして磁気センサに必要な配線を容易に行なえるようにセンサ部を構成することが好ましい。
【0043】
尚、本発明において、センサ付き転がり軸受装置として深列玉軸受装置を例示して説明したが、これに限定されるものではなく、アンギュラ玉軸受装置、円筒ころ軸受装置、針状ころ軸受装置、スラスト玉軸受装置、スラスト円筒ころ軸受装置、等の他形態の転がり軸受装置でもよい。
【0044】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明によれば、軸受部の内外輪それぞれの一端部にセンサ部がその第1ホルダおよび第2ホルダによって隣接され、第1ホルダおよび第2ホルダにより画成されるセンサ室内に配置されるように第1ホルダおよび第2ホルダのいずれか一方に磁気センサが固定され、該センサ室内に配置されるように第1ホルダおよび第2ホルダの他方に被磁気検出部が固定され、軸受部の内外輪の一端部間に第1軸受シール部材が配置され、内外輪の他端部間に第2軸受シール部材が配置され、内外輪の一端部近傍に位置する第1および第2ホルダ間の開口とは別の第1および第2ホルダ間の開口を先端部によって気密封止するようにセンサ室シール部材が設けられ、そして第1および第2軸受シール部材が軸受部内外の圧力差を抑制するために当該軸受部内外を連通する空気孔をそれぞれ有しているので、第1および第2軸受シール部材に設けられた空気孔によって軸受部ならびにセンサ部(センサ室)の内圧変化を抑制でき、そしてセンサ室シール部材によってセンサ部内への外部からの潤滑剤、鉄粉、塵埃、泥水、等の異物の侵入を防止できることは勿論のこと第1軸受シール部材によって軸受部からセンサ部への潤滑剤の漏れを防止でき、よって磁気センサの検出精度を維持でき、潤滑剤の攪拌抵抗の増大が阻止され、更には摩擦トルクも抑制でき、円滑な回転を維持することができる。
【0045】
従って、長期間にわたって回転数、回転角度(回転位相)、等を高精度で検出できるセンサ付き転がり軸受装置を提供することができる。例えば温度変化等によって軸受部の内外に圧力差が生じると、空気孔を介して軸受部内外の空気を流通させ、軸受部内外の圧力を同一圧力とすることができる。それ故、各軸受シール部材のリップ部が回転側軌道輪に吸着することが阻止され、リップ部の摩耗を防止してシール部材の長寿命化を図ることができる。
【0046】
また、本発明によれば、センサ室シール部材の先端部は第1および第2リップ部を有する二重リップ構造であり、当該第1および第2リップ部間には潤滑剤溜まりが設けられているので、潤滑剤が潤滑剤溜まりに効率よく長期間にわたって確実に貯溜され、被磁気検出部および磁気センサに潤滑剤を付着させることなく第1リップ部の接触部を確実に潤滑して第1リップ部の摩耗が防止され、これによりリップ部の長寿命化が図られ且つ安定した回転が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るセンサ付き転がり軸受装置の縦断面図である。
【図2】図1の円IIで囲まれた部分の拡大図である。
【図3】図1の円IIIで囲まれた部分の拡大図である。
【図4】特許文献1で開示されている従来のセンサ付き転がり軸受装置の要部縦断面図である。
【図5】特許文献2で開示されている従来のセンサ付き転がり軸受装置の要部縦断面図である。
【符号の説明】
20 センサ付き転がり軸受装置
21 軸受部
22 センサ部
23 内輪
23a 内輪軌道面
24 外輪
24a 外輪軌道面
26 玉(転動体)
28 センサ室
28a 第1開口
28b 第2開口
29 多極磁石(被磁気検出部)
30 ホールIC(磁気センサ)
34 第1ホルダ
35 第2ホルダ
36 第2軸受シール部材
36d 逃げ溝(空気孔)
38 第1軸受シール部材
38d 逃げ溝(空気孔)
39 センサ室シール部材
39a 第1リップ部
39b 第2リップ部
40 潤滑剤溜まり

Claims (2)

  1. 内輪、外輪、および当該内外輪の間で周方向に転動自在に配設された複数の転動体を有する軸受部と、
    前記内外輪それぞれの一端部に隣接しており且つ、前記内輪の一端部に密着固定された第1ホルダ、当該第1ホルダと協働してセンサ室を画成するように前記外輪の一端部に密着固定された第2ホルダ、前記センサ室内に配置されるように前記第1ホルダおよび前記第2ホルダのいずれか一方に固定された磁気センサ、および前記センサ室内に配置されるように前記第1ホルダおよび前記第2ホルダの他方に固定された被磁気検出部を有するセンサ部と、
    前記内外輪の一端部間に配置された第1軸受シール部材と、
    前記内外輪の他端部間に配置された第2軸受シール部材と、
    前記第1ホルダおよび前記第2ホルダのいずれか一方に取付けられており且つ、前記内外輪の一端部近傍に位置する前記第1および第2ホルダ間の開口とは別の前記第1および第2ホルダ間の開口を気密封止するように前記第1ホルダおよび前記第2ホルダの他方に先端部が接触するセンサ室シール部材と、
    を備えたセンサ付き転がり軸受装置であって、
    前記第1および第2軸受シール部材が、前記軸受部内外の圧力差を抑制するために当該軸受部内外を連通する空気孔をそれぞれ有していることを特徴とするセンサ付き転がり軸受装置。
  2. 内輪、外輪、および当該内外輪の間で周方向に転動自在に配設された複数の転動体を有する軸受部と、
    前記内外輪それぞれの一端部に隣接しており且つ、前記内輪の一端部に密着固定された第1ホルダ、当該第1ホルダと協働してセンサ室を画成するように前記外輪の一端部に密着固定された第2ホルダ、前記センサ室内に配置されるように前記第1ホルダおよび前記第2ホルダのいずれか一方に固定された磁気センサ、および前記センサ室内に配置されるように前記第1ホルダおよび前記第2ホルダの他方に固定された被磁気検出部を有するセンサ部と、
    前記内外輪の一端部間に配置された第1軸受シール部材と、
    前記内外輪の他端部間に配置された第2軸受シール部材と、
    前記第1ホルダおよび前記第2ホルダのいずれか一方に取付けられており且つ、前記内外輪の一端部近傍に位置する前記第1および第2ホルダ間の開口とは別の前記第1および第2ホルダ間の開口を気密封止するように前記第1ホルダおよび前記第2ホルダの他方に先端部が接触するセンサ室シール部材と、
    を備えたセンサ付き転がり軸受装置であって、
    前記センサ室シール部材の先端部が、前記第1ホルダまたは前記第2ホルダに締め代をもって摺接する第1リップ部、および当該第1リップ部との間に潤滑剤溜まりを形成するように設けられた第2リップ部を有することを特徴とするセンサ付き転がり軸受装置。
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