JP2004361362A - 回転センサ付き転がり軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】回転センサ付き転がり軸受のセンサハウジングを、簡単な手段で芯金に精度よく固定することである。
【解決手段】回転軌道輪側の内輪1に被検出素子5を取り付け、固定軌道輪側の外輪2に取り付ける芯金7に、センサハウジング9の外周面に沿う環状部を設けて、この芯金7の環状部とセンサハウジング9との隙間に樹脂モールド材8を充填することにより、被検出素子5に対向する検出素子10を装着するセンサハウジング9を、簡単に精度よく芯金7に固定できるようにした。
【選択図】 図1
【解決手段】回転軌道輪側の内輪1に被検出素子5を取り付け、固定軌道輪側の外輪2に取り付ける芯金7に、センサハウジング9の外周面に沿う環状部を設けて、この芯金7の環状部とセンサハウジング9との隙間に樹脂モールド材8を充填することにより、被検出素子5に対向する検出素子10を装着するセンサハウジング9を、簡単に精度よく芯金7に固定できるようにした。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、回転軸の回転数や回転角を検出する回転センサを取り付けた回転センサ付き転がり軸受に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
回転軸の回転数や回転角を検出する回転センサを取り付けた回転センサ付き転がり軸受には、回転軌道輪側に回転センサの被検出素子を取り付け、固定軌道輪側に芯金を介して取り付けた環状のセンサハウジングに、被検出素子に対向する検出素子を装着したものがある。
【0003】
回転センサとしては、多極に着磁した被検出素子の回転に伴う磁気の変化を検出素子で検出し、この検出信号を回路基板に組み込んだ電子回路で処理するものが多く用いられている。センサハウジングは、検出素子や回路基板を装着するために複雑な形状となり、かつ、検出素子に対する磁気外乱を抑制する必要があるので、樹脂で形成されたものが多い。
【0004】
この種の回転センサ付き転がり軸受では、使用環境温度の変化により、芯金と樹脂製センサハウジングの膨張差に起因して、芯金に固定したセンサハウジングが緩むことがある。センサハウジングが緩むと、これに装着した検出素子がずれて正確な回転検出ができなくなる。また、緩みが大きくなって、センサハウジングが芯金から外れることもある。
【0005】
このようなセンサハウジングの緩みや外れを防止するために、センサハウジングを弾性接着剤で芯金に接着するとともに、芯金に形成した凸部とセンサハウジングに形成した凹部とを嵌め合わせて、センサハウジングを芯金に固定するようにした回転センサ付き転がり軸受がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−295465号公報(第3−5頁、第1−10図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の回転センサ付き転がり軸受は、弾性接着剤による接着と、嵌め合わせ用の凹凸部を精度よく形成するために、センサハウジングの固定に手間がかかり、コスト高となる問題がある。また、凹凸部を嵌合するときの圧入圧力により、センサハウジングが位置ずれする恐れもある。
【0008】
そこで、この発明の課題は、回転センサ付き転がり軸受のセンサハウジングを、簡単な手段で芯金に精度よく固定することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、この発明は、回転軌道輪側に回転センサの被検出素子を取り付け、固定軌道輪側に芯金を介して取り付けた環状の樹脂製センサハウジングに、前記被検出素子に対向する検出素子を装着した回転センサ付き転がり軸受において、前記芯金に前記センサハウジングの外周面または内周面に沿う環状部を設け、この芯金の環状部とセンサハウジングとの隙間に樹脂モールド材を充填して、前記センサハウジングを前記芯金に固定する構成を採用した。
【0010】
すなわち、芯金にセンサハウジングの外周面または内周面に沿う環状部を設けて、この芯金の環状部とセンサハウジングとの隙間に樹脂モールド材を充填することにより、圧入を必要とする嵌合等を行うことなく、センサハウジングを簡単に精度よく芯金に固定できるようにした。
【0011】
前記芯金の環状部が沿うセンサハウジングの外周面または内周面に、前記樹脂モールド材が充填される溝を設けることにより、この溝への樹脂モールド材の充填で、より強固にセンサハウジングを芯金に固定することができる。
【0012】
前記センサハウジングに沿う芯金の環状部に、前記樹脂モールド材が係合する凹凸部を設けることによっても、より強固にセンサハウジングを芯金に固定することができる。
【0013】
また、この発明は、回転軌道輪側に回転センサの被検出素子を取り付け、固定軌道輪側に芯金を介して取り付けた環状の樹脂製センサハウジングに、前記被検出素子に対向する検出素子を装着した回転センサ付き転がり軸受において、前記芯金を前記センサハウジングにアウトサート成形またはインサート成形して、前記芯金と前記センサハウジングとを固定する構成も採用した。
【0014】
すなわち、芯金をセンサハウジングにアウトサート成形またはインサート成形することによっても、センサハウジングを簡単に精度よく芯金に固定できるようにした。
【0015】
前記芯金に前記センサハウジングの外周面または内周面に沿う環状部を設け、この環状部に、前記センサハウジングを成形する樹脂が係合する凹凸部を設けることにより、センサハウジング成形時の樹脂の凹凸部への係合で、より強固にセンサハウジングと芯金を固定することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図1乃至図10に基づき、この発明の実施形態を説明する。図1および図2は、第1の実施形態を示す。この回転センサ付き転がり軸受は、図1(a)、(b)に示すように、内輪1と外輪2間にボール3が保持器4で保持された玉軸受の回転軌道輪側の内輪1に、多極に着磁した環状の被検出素子5を外嵌したバックメタル6を取り付けるとともに、固定軌道輪側の外輪2に環状部を設けた芯金7を取り付け、その環状部の内周側に樹脂モールド材8の充填で固定した環状の樹脂製センサハウジング9に、被検出素子5に対向する磁気検出素子10と、その検出信号を処理する回路基板11を装着したものである。
【0017】
前記環状のセンサハウジング9は、周壁部9aとその軸方向先端側から内向きに張り出す鍔部9bとからなり、鍔部9bが設けられた軸方向先端面の概ね半周に渡って、外周面に連なる扇形の凹み段差部12が形成されている。また、周壁部9aの外周面には、図2に示すように、軸方向に延びて段差部12に連なる複数の溝13が設けられ、周壁部9aの内周面には、磁気検出素子10を被検出素子5に対向させて収納する凹部14が設けられて、段差部12と穴15で連なっている。
【0018】
前記段差部12とこれに連なる各溝13および穴15には樹脂モールド材8が充填され、磁気検出素子10の端子に接続された扇形の回路基板11が、段差部12で樹脂モールド材8に埋め込まれている。この樹脂モールド材8の充填により、センサハウジング9が軸方向と周方向で芯金7に精度よく固定されている。また、被検出素子5に対向する磁気検出素子10も、樹脂モールド材8の充填でセンサハウジング9の凹部14に固定されている。
【0019】
図3(a)、(b)、(c)は、前記センサハウジング9の溝13の変形例を示す。図3(a)は、軸方向に延びる溝13を外周面の全長に渡って延長した例、図3(b)は、溝13に連なって周方向に延びる溝13aを設けた例である。この周方向の溝13aは、複数に設けてもよい。また、図3(c)は、前記扇形の凹み段差部12に連なる部分の外周面に、溝13よりも幅広の凹み段差13bを設けた例である。
【0020】
図4(a)、(b)は、第2の実施形態を示す。この回転センサ付き転がり軸受は、基本的な構成は第1の実施形態のものと同じであり、前記芯金7の環状部に、センサハウジング9の各溝13位置に合致する位相で、凹凸部としての複数の貫通孔16を設けた点が異なる。この実施形態では、樹脂モールド材8が各貫通孔16に充填されて係合するので、センサハウジング9がより強固に芯金7に固定される。
【0021】
図5(a)、(b)、(c)は、第2の実施形態の芯金7の変形例を示す。図5(a)は、前記凹凸部としての貫通孔16の替りに、環状部の内径面に突出する凸部16aを設けた例、図5(b)は、環状部の内径面に周方向に延びる凸条16bを設けた例、図5(c)は、同じく周方向に延びる凹溝16cを設けた例である。これらの各変形例は、図3(a)、(b)、(c)に示したセンサハウジング9の各変形例と組み合わせることもできる。
【0022】
図6は、第3の実施形態を示す。この回転センサ付き転がり軸受も、基本的な構成は第1の実施形態のものと同じであり、環状の樹脂製センサハウジング9に、環状部を有する芯金7をアウトサート成形して、芯金7とセンサハウジング9とを固定した点が異なる。センサハウジング9の鍔部9bを設けた軸方向先端面には、第1の実施形態のものと同様に、外周面に連なる扇形の凹み段差部12が形成され、周壁部9aの内周面には、磁気検出素子10を収納する凹部14が設けられて、段差部12と穴15で連なっており、段差部12に充填された樹脂モールド材8に回路基板11が埋め込まれるとともに、磁気検出素子10が凹部14に固定されている。
【0023】
図7(a)、(b)は、第4の実施形態を示す。この回転センサ付き転がり軸受は、第3の実施形態と同様に、樹脂製センサハウジング9に芯金7をアウトサート成形したものであり、芯金7の環状部に凹凸部としての複数の貫通孔16を設けた点のみが異なる。この実施形態では、センサハウジング9を成形する樹脂が、アウトサート成形時に芯金7の各貫通孔16に入り込んで係合するので、芯金7とセンサハウジング9がより強固に固定される。
【0024】
図8(a)、(b)、(c)は、第4の実施形態の芯金7の変形例を示す。図8(a)は、前記凹凸部としての貫通孔16の替りに、環状部の内径面に突出する凸部16aを設けた例、図8(b)は、環状部の内径面に周方向に延びる凸条16bを設けた例、図8(c)は、同じく周方向に延びる凹溝16cを設けた例である。
【0025】
図9(a)、(b)は、第4の実施形態のアウトサート成形方法の変形例を示す。図9(a)は、アウトサート成形される芯金7の環状部の長さを、環状のセンサハウジング9の長さの半分程度に短くした例、図9(b)は、センサハウジング9の軸方向基端面に、環状部をなくした芯金7をアウトサート成形した例である。
【0026】
図10(a)は、第5の実施形態を示す。この回転センサ付き転がり軸受は、第4の実施形態のアウトサート成形の替りに、短い環状部を有する芯金7をセンサハウジング9にインサート成形したものである。その他の基本的な構成は、第1の実施形態のものと同じである。図10(b)は、センサハウジング9の軸方向基端面に、環状部をなくした芯金7をインサート成形した変形例である。
【0027】
上述した各実施形態では、内輪が回転軌道輪となる玉軸受に回転センサを取り付けたものとしたが、本発明に係る回転センサ付き転がり軸受は、外輪が回転軌道輪となる玉軸受やころ軸受にも適用することができる。この場合は、外輪側に被検出素子を取り付け、内輪側に芯金を介してセンサハウジングを取り付けて、被検出素子に対向する検出素子を装着すればよく、樹脂モールド材の充填でセンサハウジングを固定する場合は、環状のセンサハウジングの内周面に沿わせて芯金の環状部を設ければよい。
【0028】
【発明の効果】
以上のように、この発明の回転センサ付き転がり軸受は、固定軌道輪側に取り付けられる芯金に、センサハウジングの外周面または内周面に沿う環状部を設けて、この芯金の環状部とセンサハウジングとの隙間に樹脂モールド材を充填する構成を採用したので、センサハウジングを簡単に精度よく芯金に固定することができる。
【0029】
前記芯金の環状部が沿うセンサハウジングの外周面または内周面に、樹脂モールド材が充填される溝を設けたり、前記センサハウジングに沿う芯金の環状部に、凹凸部を設けたりすることにより、より強固にセンサハウジングを芯金に固定することができる。
【0030】
また、この発明の回転センサ付き転がり軸受は、固定軌道輪側に取り付ける芯金を、センサハウジングにアウトサート成形またはインサート成形する構成も採用したので、センサハウジングを簡単に精度よく芯金に固定することができる。
【0031】
この構成の場合は、前記芯金にセンサハウジングの外周面または内周面に沿う環状部を設け、この環状部に凹凸部を設けることにより、センサハウジング成形時の樹脂の凹凸部への係合で、より強固にセンサハウジングと芯金を固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】aは第1の実施形態の回転センサ付き転がり軸受を示す切欠き正面図、bはaのIB−IB線における縦断側面図
【図2】図1のセンサハウジングを示す側面図
【図3】a、b、cは、それぞれ図2のセンサハウジングの変形例を示す側面図
【図4】aは第2の実施形態の回転センサ付き転がり軸受を示す一部省略縦断側面図、bはaの芯金を示す縦断側面図
【図5】a、b、cは、それぞれ図4(b)の芯金の変形例を示す縦断側面図
【図6】第3の実施形態の回転センサ付き転がり軸受を示す一部省略縦断側面図
【図7】aは第4の実施形態の回転センサ付き転がり軸受を示す一部省略縦断側面図、bはaの芯金を示す縦断側面図
【図8】a、b、cは、それぞれ図7(b)の芯金の変形例を示す縦断側面図
【図9】a、bは、それぞれ第4の実施形態の回転センサ付き転がり軸受の変形例を示す一部省略縦断側面図
【図10】aは第5の実施形態の回転センサ付き転がり軸受を示す一部省略縦断側面図、bはaの変形例を示す一部省略縦断側面図
【符号の説明】
1 内輪
2 外輪
3 ボール
4 保持器
5 被検出素子
6 バックメタル
7 芯金
8 樹脂モールド材
9 センサハウジング
9a 周壁部
9b 鍔部
10 検出素子
11 回路基板
12 段差部
13、13a 溝
13b 凹み段差
14 凹部
15 穴
16 貫通孔
16a 凸部
16b 凸条
16c 凹溝
【発明の属する技術分野】
この発明は、回転軸の回転数や回転角を検出する回転センサを取り付けた回転センサ付き転がり軸受に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
回転軸の回転数や回転角を検出する回転センサを取り付けた回転センサ付き転がり軸受には、回転軌道輪側に回転センサの被検出素子を取り付け、固定軌道輪側に芯金を介して取り付けた環状のセンサハウジングに、被検出素子に対向する検出素子を装着したものがある。
【0003】
回転センサとしては、多極に着磁した被検出素子の回転に伴う磁気の変化を検出素子で検出し、この検出信号を回路基板に組み込んだ電子回路で処理するものが多く用いられている。センサハウジングは、検出素子や回路基板を装着するために複雑な形状となり、かつ、検出素子に対する磁気外乱を抑制する必要があるので、樹脂で形成されたものが多い。
【0004】
この種の回転センサ付き転がり軸受では、使用環境温度の変化により、芯金と樹脂製センサハウジングの膨張差に起因して、芯金に固定したセンサハウジングが緩むことがある。センサハウジングが緩むと、これに装着した検出素子がずれて正確な回転検出ができなくなる。また、緩みが大きくなって、センサハウジングが芯金から外れることもある。
【0005】
このようなセンサハウジングの緩みや外れを防止するために、センサハウジングを弾性接着剤で芯金に接着するとともに、芯金に形成した凸部とセンサハウジングに形成した凹部とを嵌め合わせて、センサハウジングを芯金に固定するようにした回転センサ付き転がり軸受がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−295465号公報(第3−5頁、第1−10図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の回転センサ付き転がり軸受は、弾性接着剤による接着と、嵌め合わせ用の凹凸部を精度よく形成するために、センサハウジングの固定に手間がかかり、コスト高となる問題がある。また、凹凸部を嵌合するときの圧入圧力により、センサハウジングが位置ずれする恐れもある。
【0008】
そこで、この発明の課題は、回転センサ付き転がり軸受のセンサハウジングを、簡単な手段で芯金に精度よく固定することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、この発明は、回転軌道輪側に回転センサの被検出素子を取り付け、固定軌道輪側に芯金を介して取り付けた環状の樹脂製センサハウジングに、前記被検出素子に対向する検出素子を装着した回転センサ付き転がり軸受において、前記芯金に前記センサハウジングの外周面または内周面に沿う環状部を設け、この芯金の環状部とセンサハウジングとの隙間に樹脂モールド材を充填して、前記センサハウジングを前記芯金に固定する構成を採用した。
【0010】
すなわち、芯金にセンサハウジングの外周面または内周面に沿う環状部を設けて、この芯金の環状部とセンサハウジングとの隙間に樹脂モールド材を充填することにより、圧入を必要とする嵌合等を行うことなく、センサハウジングを簡単に精度よく芯金に固定できるようにした。
【0011】
前記芯金の環状部が沿うセンサハウジングの外周面または内周面に、前記樹脂モールド材が充填される溝を設けることにより、この溝への樹脂モールド材の充填で、より強固にセンサハウジングを芯金に固定することができる。
【0012】
前記センサハウジングに沿う芯金の環状部に、前記樹脂モールド材が係合する凹凸部を設けることによっても、より強固にセンサハウジングを芯金に固定することができる。
【0013】
また、この発明は、回転軌道輪側に回転センサの被検出素子を取り付け、固定軌道輪側に芯金を介して取り付けた環状の樹脂製センサハウジングに、前記被検出素子に対向する検出素子を装着した回転センサ付き転がり軸受において、前記芯金を前記センサハウジングにアウトサート成形またはインサート成形して、前記芯金と前記センサハウジングとを固定する構成も採用した。
【0014】
すなわち、芯金をセンサハウジングにアウトサート成形またはインサート成形することによっても、センサハウジングを簡単に精度よく芯金に固定できるようにした。
【0015】
前記芯金に前記センサハウジングの外周面または内周面に沿う環状部を設け、この環状部に、前記センサハウジングを成形する樹脂が係合する凹凸部を設けることにより、センサハウジング成形時の樹脂の凹凸部への係合で、より強固にセンサハウジングと芯金を固定することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図1乃至図10に基づき、この発明の実施形態を説明する。図1および図2は、第1の実施形態を示す。この回転センサ付き転がり軸受は、図1(a)、(b)に示すように、内輪1と外輪2間にボール3が保持器4で保持された玉軸受の回転軌道輪側の内輪1に、多極に着磁した環状の被検出素子5を外嵌したバックメタル6を取り付けるとともに、固定軌道輪側の外輪2に環状部を設けた芯金7を取り付け、その環状部の内周側に樹脂モールド材8の充填で固定した環状の樹脂製センサハウジング9に、被検出素子5に対向する磁気検出素子10と、その検出信号を処理する回路基板11を装着したものである。
【0017】
前記環状のセンサハウジング9は、周壁部9aとその軸方向先端側から内向きに張り出す鍔部9bとからなり、鍔部9bが設けられた軸方向先端面の概ね半周に渡って、外周面に連なる扇形の凹み段差部12が形成されている。また、周壁部9aの外周面には、図2に示すように、軸方向に延びて段差部12に連なる複数の溝13が設けられ、周壁部9aの内周面には、磁気検出素子10を被検出素子5に対向させて収納する凹部14が設けられて、段差部12と穴15で連なっている。
【0018】
前記段差部12とこれに連なる各溝13および穴15には樹脂モールド材8が充填され、磁気検出素子10の端子に接続された扇形の回路基板11が、段差部12で樹脂モールド材8に埋め込まれている。この樹脂モールド材8の充填により、センサハウジング9が軸方向と周方向で芯金7に精度よく固定されている。また、被検出素子5に対向する磁気検出素子10も、樹脂モールド材8の充填でセンサハウジング9の凹部14に固定されている。
【0019】
図3(a)、(b)、(c)は、前記センサハウジング9の溝13の変形例を示す。図3(a)は、軸方向に延びる溝13を外周面の全長に渡って延長した例、図3(b)は、溝13に連なって周方向に延びる溝13aを設けた例である。この周方向の溝13aは、複数に設けてもよい。また、図3(c)は、前記扇形の凹み段差部12に連なる部分の外周面に、溝13よりも幅広の凹み段差13bを設けた例である。
【0020】
図4(a)、(b)は、第2の実施形態を示す。この回転センサ付き転がり軸受は、基本的な構成は第1の実施形態のものと同じであり、前記芯金7の環状部に、センサハウジング9の各溝13位置に合致する位相で、凹凸部としての複数の貫通孔16を設けた点が異なる。この実施形態では、樹脂モールド材8が各貫通孔16に充填されて係合するので、センサハウジング9がより強固に芯金7に固定される。
【0021】
図5(a)、(b)、(c)は、第2の実施形態の芯金7の変形例を示す。図5(a)は、前記凹凸部としての貫通孔16の替りに、環状部の内径面に突出する凸部16aを設けた例、図5(b)は、環状部の内径面に周方向に延びる凸条16bを設けた例、図5(c)は、同じく周方向に延びる凹溝16cを設けた例である。これらの各変形例は、図3(a)、(b)、(c)に示したセンサハウジング9の各変形例と組み合わせることもできる。
【0022】
図6は、第3の実施形態を示す。この回転センサ付き転がり軸受も、基本的な構成は第1の実施形態のものと同じであり、環状の樹脂製センサハウジング9に、環状部を有する芯金7をアウトサート成形して、芯金7とセンサハウジング9とを固定した点が異なる。センサハウジング9の鍔部9bを設けた軸方向先端面には、第1の実施形態のものと同様に、外周面に連なる扇形の凹み段差部12が形成され、周壁部9aの内周面には、磁気検出素子10を収納する凹部14が設けられて、段差部12と穴15で連なっており、段差部12に充填された樹脂モールド材8に回路基板11が埋め込まれるとともに、磁気検出素子10が凹部14に固定されている。
【0023】
図7(a)、(b)は、第4の実施形態を示す。この回転センサ付き転がり軸受は、第3の実施形態と同様に、樹脂製センサハウジング9に芯金7をアウトサート成形したものであり、芯金7の環状部に凹凸部としての複数の貫通孔16を設けた点のみが異なる。この実施形態では、センサハウジング9を成形する樹脂が、アウトサート成形時に芯金7の各貫通孔16に入り込んで係合するので、芯金7とセンサハウジング9がより強固に固定される。
【0024】
図8(a)、(b)、(c)は、第4の実施形態の芯金7の変形例を示す。図8(a)は、前記凹凸部としての貫通孔16の替りに、環状部の内径面に突出する凸部16aを設けた例、図8(b)は、環状部の内径面に周方向に延びる凸条16bを設けた例、図8(c)は、同じく周方向に延びる凹溝16cを設けた例である。
【0025】
図9(a)、(b)は、第4の実施形態のアウトサート成形方法の変形例を示す。図9(a)は、アウトサート成形される芯金7の環状部の長さを、環状のセンサハウジング9の長さの半分程度に短くした例、図9(b)は、センサハウジング9の軸方向基端面に、環状部をなくした芯金7をアウトサート成形した例である。
【0026】
図10(a)は、第5の実施形態を示す。この回転センサ付き転がり軸受は、第4の実施形態のアウトサート成形の替りに、短い環状部を有する芯金7をセンサハウジング9にインサート成形したものである。その他の基本的な構成は、第1の実施形態のものと同じである。図10(b)は、センサハウジング9の軸方向基端面に、環状部をなくした芯金7をインサート成形した変形例である。
【0027】
上述した各実施形態では、内輪が回転軌道輪となる玉軸受に回転センサを取り付けたものとしたが、本発明に係る回転センサ付き転がり軸受は、外輪が回転軌道輪となる玉軸受やころ軸受にも適用することができる。この場合は、外輪側に被検出素子を取り付け、内輪側に芯金を介してセンサハウジングを取り付けて、被検出素子に対向する検出素子を装着すればよく、樹脂モールド材の充填でセンサハウジングを固定する場合は、環状のセンサハウジングの内周面に沿わせて芯金の環状部を設ければよい。
【0028】
【発明の効果】
以上のように、この発明の回転センサ付き転がり軸受は、固定軌道輪側に取り付けられる芯金に、センサハウジングの外周面または内周面に沿う環状部を設けて、この芯金の環状部とセンサハウジングとの隙間に樹脂モールド材を充填する構成を採用したので、センサハウジングを簡単に精度よく芯金に固定することができる。
【0029】
前記芯金の環状部が沿うセンサハウジングの外周面または内周面に、樹脂モールド材が充填される溝を設けたり、前記センサハウジングに沿う芯金の環状部に、凹凸部を設けたりすることにより、より強固にセンサハウジングを芯金に固定することができる。
【0030】
また、この発明の回転センサ付き転がり軸受は、固定軌道輪側に取り付ける芯金を、センサハウジングにアウトサート成形またはインサート成形する構成も採用したので、センサハウジングを簡単に精度よく芯金に固定することができる。
【0031】
この構成の場合は、前記芯金にセンサハウジングの外周面または内周面に沿う環状部を設け、この環状部に凹凸部を設けることにより、センサハウジング成形時の樹脂の凹凸部への係合で、より強固にセンサハウジングと芯金を固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】aは第1の実施形態の回転センサ付き転がり軸受を示す切欠き正面図、bはaのIB−IB線における縦断側面図
【図2】図1のセンサハウジングを示す側面図
【図3】a、b、cは、それぞれ図2のセンサハウジングの変形例を示す側面図
【図4】aは第2の実施形態の回転センサ付き転がり軸受を示す一部省略縦断側面図、bはaの芯金を示す縦断側面図
【図5】a、b、cは、それぞれ図4(b)の芯金の変形例を示す縦断側面図
【図6】第3の実施形態の回転センサ付き転がり軸受を示す一部省略縦断側面図
【図7】aは第4の実施形態の回転センサ付き転がり軸受を示す一部省略縦断側面図、bはaの芯金を示す縦断側面図
【図8】a、b、cは、それぞれ図7(b)の芯金の変形例を示す縦断側面図
【図9】a、bは、それぞれ第4の実施形態の回転センサ付き転がり軸受の変形例を示す一部省略縦断側面図
【図10】aは第5の実施形態の回転センサ付き転がり軸受を示す一部省略縦断側面図、bはaの変形例を示す一部省略縦断側面図
【符号の説明】
1 内輪
2 外輪
3 ボール
4 保持器
5 被検出素子
6 バックメタル
7 芯金
8 樹脂モールド材
9 センサハウジング
9a 周壁部
9b 鍔部
10 検出素子
11 回路基板
12 段差部
13、13a 溝
13b 凹み段差
14 凹部
15 穴
16 貫通孔
16a 凸部
16b 凸条
16c 凹溝
Claims (5)
- 回転軌道輪側に回転センサの被検出素子を取り付け、固定軌道輪側に芯金を介して取り付けた環状の樹脂製センサハウジングに、前記被検出素子に対向する検出素子を装着した回転センサ付き転がり軸受において、前記芯金に前記センサハウジングの外周面または内周面に沿う環状部を設け、この芯金の環状部とセンサハウジングとの隙間に樹脂モールド材を充填して、前記センサハウジングを前記芯金に固定するようにしたことを特徴とする回転センサ付き転がり軸受。
- 前記芯金の環状部が沿うセンサハウジングの外周面または内周面に、前記樹脂モールド材が充填される溝を設けた請求項1に記載の回転センサ付き転がり軸受。
- 前記センサハウジングに沿う芯金の環状部に、前記樹脂モールド材が係合する凹凸部を設けた請求項1または2に記載の回転センサ付き転がり軸受。
- 回転軌道輪側に回転センサの被検出素子を取り付け、固定軌道輪側に芯金を介して取り付けた環状の樹脂製センサハウジングに、前記被検出素子に対向する検出素子を装着した回転センサ付き転がり軸受において、前記芯金を前記センサハウジングにアウトサート成形またはインサート成形して、前記芯金と前記センサハウジングとを固定するようにしたことを特徴とする回転センサ付き転がり軸受。
- 前記芯金に前記センサハウジングの外周面または内周面に沿う環状部を設け、この環状部に、前記センサハウジングを成形する樹脂が係合する凹凸部を設けた請求項4に記載の回転センサ付き転がり軸受。
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-
2003
- 2003-06-09 JP JP2003163240A patent/JP2004361362A/ja active Pending
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