JP3983509B2 - 車輪用軸受装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動車等に用いられる車輪用軸受装置に関し、特にアンチロックブレーキ用の回転数検出手段となる発電機を備えた車輪用軸受装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
アンチロックブレーキ装置(ABS)は、低摩擦路やパニックブレーキ時のタイヤロックを検知し、ブレーキを緩めてタイヤグリップを確保することで、操舵安定性を得るものである。タイヤロックを検知する車輪回転数のセンサは、車輪用軸受装置に設けられる。このセンサは、一般には、軸受外部における軌道輪の端部等にパルサリングを設け、このパルサリングに対峙してセンサ部を設けている。
また、従来、センサ内蔵の車輪用軸受装置として、図28に示すように、固定輪となる軸受外輪51に、センサ部57を組み込んだものが提案されている(例えば、実開平1−156464号)。この軸受装置は、車体取付用の外輪51と、ハブ輪54の軸部に嵌合させた内輪52の間に転動体53を介在させ、シール60を設けたものである。回転センサ55は、内輪52の外径面に設けられたパルサーリング56に対峙するように、センサ部57を、外輪51に設けられた孔58に差し込んで設置したものである。このようにセンサ内蔵とすることにより、パルサリングおよびセンサ部を軸受外部の端部に配置したものに比べて、車輪用軸受装置の小型化が得られる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の車輪回転数のセンサを設けた車輪用軸受装置は、いずれもセンサの検出信号やセンサへの電力供給を、電線で車体部とやりとりするようにしている。図28の従来例では、電線59で信号の取り出しおよび電力供給が行われる。このように、従来の車輪用軸受装置は、センサ出力の取り出し等に電線を用いており、この電線は、車輪用軸受装置と車体との間では車外に露出することになる。そのため、石跳ねやタイヤハウス内の雪の凍結等により、断線等の支障を起こし易い。また、操舵輪の場合は、電線に予め捩れを与えておく必要があったり、電線の固定に多大な工数が必要であったりする。上記の電線は、その被覆も必要で、自動車の軽量化の妨げとなり、また電線の固定の工数が多いことから、コスト高となっている。
また、従来の図28に示したようなセンサ内蔵タイプの車輪用軸受装置は、比較的小型化が図れるが、回転センサ55の保守のためには、車輪用軸受装置の外,内輪51,52を分解する必要があり、保守性が悪いという課題がある。このため、回転センサ55の故障時に、軸受装置の全体を交換することが必要になることがある。また同図の従来例は、内蔵タイプであるが、センサ部57の一部が軸受外に突出するため、今一つ、小型化が十分でない。さらに同図の例は、センサ部57を差し込む外輪51の孔58のシールが施し難く、異物の侵入を防ぎ難いという課題もある。
【0004】
この発明の目的は、車輪回転数の検知機能を有していて、車外での断線の恐れがなく、また自動車の軽量化、コスト低下が図れる車輪用軸受装置を提供することである。
この発明の他の目的は、車輪回転数の検知機能を有しながら、コンパクト化が図れるようにすることである。
この発明のさらに他の目的は、車輪回転数の検知手段の保守性に優れたものとすることである。
この発明のさらに他の目的は、コンパクトな構成で、シール機能に優れたものとすることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明の車輪用軸受装置は、内周に複列の転走面を有する外方部材と、これら転走面にそれぞれ対向する転走面を有する内方部材と、前記転走面間に収容される複列の転動体とを備え、車体に対して車輪を回転自在に支持する車輪用軸受装置において、外方部材と内方部材との相対回転によって発電する発電機を有し、発電機から出力される車輪の回転数の信号をワイヤレスで送信する送信手段を設け、次の構成としたことを特徴とする。前記発電機は、前記外方部材にこの外方部材と同心に取付けられコイルを収容した磁性体のリング部材と、前記内方部材にこの内方部材と同心に取付けられた一対のリング状の多極磁石とでなる。前記リング部材は、前記コイルを収容した収容部分、およびこの収容部分に対して内径側に位置する磁極部を有し、前記収容部分は、リング部材の軸心を含む平面で断面した断面形状が、内周壁部、外周壁部、および一対の側壁部からなる略矩形の管状であって、前記内周壁部と一方の側壁部とが不連続である。前記磁極部は、前記一方の側壁部から延びて円周方向に櫛歯状に並ぶ複数の爪と、前記内周壁部から延びて円周方向に櫛歯状に並ぶ複数の爪とを、円周方向に互いに隙間を介して交互に並べてなる。前記一方の側壁部から延びる複数の爪は、この側壁部の内径側端から内径側に延びてさらに他方の側壁部側へ折れ曲がって延びる形状であり、前記内周壁部から延びる複数の爪は、この内周壁部における前記一方の側壁部側の端部から内径側へ折れ曲がって延びてさらに他方の側壁部側へ折れ曲がって延びる形状である。前記一対のリング状の多極磁石はそれぞれ円周方向に並ぶ複数の磁極を有し、これら一対のリング状の多極磁石は、前記リング部材における前記磁極部の内径側の面と外径側の面とにそれぞれラジアル方向に対面させる。
この構成によると、外方部材と内方部材との相対回転によって発電する発電機を設けたため、発電機の出力を車輪の回転数の信号として利用し、車輪回転数を検知することができる。また、発電機から出力される信号を、ワイヤレスで送信する送信手段を設けたため、回転数の検出信号を制御部まで引き出す電線が不要となる。発電機をセンサとして用いるため、センサへの給電用の電線も不要となる。発電機で得られる電力は、ワイヤレス送信手段の電源として利用することもできる。これらのため、電線類が車外に露出せず、断線の支障を起こすことがないうえ、煩雑な配線固定作業も不要となり、自動車の軽量化、コスト低下にもつながる。
上記ワイヤレス送信手段は、電波に限らず、磁気結合による伝送、赤外線等の光による伝送、または超音波による伝送を行うものなど、空間を伝送する信号を用いるものであれば良い。
【0006】
この発明において、前記外方部材と内方部材のいずれか一方に車輪取付フランジを設けても良い。また外方部材と内方部材のいずれか一方に車体に取付けるためのフランジを設けても良い。例えば、外方部材と内方部材のいずれか一方に車輪取付フランジを設け、他方に車体に取付けるためのフランジを設けても良い。車輪取付フランジ,車体取付フランジを有する車輪用軸受装置は、部品の統合による軽量化・コンパクト化を図った軸受装置であるが、このような軸受装置において、この発明の回転検出用の発電機およびワイヤレスの送信手段を設けた構成が効果的なものとなる。
【0007】
また、発電機を多極磁石を有するものとしたため、回転数に応じた周波数の交流電圧が、高い周波数で発生し、その交流周波数を回転数検出に精度良く利用することができる。また、コイルを収容した磁性体をリング部材とし、これを多極磁石と組み合わせて発電機とするため、小型で効率の良い発電が行える。
【0008】
この発明において、発電機が、コイルを収容した磁性体のリング部材と多極磁石からなるものである場合に、外方部材および内方部材に形成した複列の転走面間に、前記リング部材と多極磁石が配置されたものとしても良い。
このように、複列の転走面間にリング部材,多極磁石を配置することより、転走面間の空間を有効に利用して、発電機を軸受装置に内蔵することができ、発電機を備えながら、車輪用軸受装置が小型化される。また、発電機がリング部材と多極磁石とでなるため、発電機の全体を軸受装置内に収めることができ、センサ挿入口等を設ける必要がなくて、センサ挿入口からの軸受内への異物混入の問題が生じない。
【0011】
上記のような櫛歯状の爪を有するリング部材を用いることにより、多極化、小型化が容易で、磁束の利用効率に優れた効率の良い発電が行える。この櫛歯状の爪を有するリング部材を多極磁石と組み合わせて用いるため、より一層、効率の良い発電が行える。そのため、送信手段の電源を上記発電機から得る場合も、十分な電力を得ることができる。
【0012】
上記のようにリング部材の爪間に隙間を持たせることで、隣接磁極からの磁束漏れが少なくなり、磁束の利用効率が高く得られる。
【0013】
また、コイルを収容した磁性体のリング部材の磁極部の両側に多極磁石を配置したため、多極磁石と対向する面積が増大し、コイルと鎖交する磁束を増やすことができて、発電機出力を増加させることができる。
【0014】
この発明において、前記送信手段が環状の送信機を有するものとしても良い。送信機を環状とすると、一部に纏まった箱状の送信機とする場合に比べて、同じ送信出力のものとする場合に、送信機の横断面の寸法が小さいもので済む。一般的に、車輪用軸受装置の周辺には、ナックル等の車体への取付手段や、等速ジョイント等があって、広い配置空間を得ることが難しいが、上記のように送信機を環状とすると、断面寸法が小さくなるため、車輪用軸受装置の周囲の小さな空間を利用して送信機を配置することができる。また、送信機を環状とすると、送信機を設置する部材が回転側の部材であっても、送信手段から受信手段への信号送信を、受信信号に大きな変動を生じさせずに行うことができる。
【0015】
この発明において、発電機が、コイルを収容した磁性体のリング部材と多極磁石からなるものである場合に、前記送信手段が環状の送信機を有し、この送信機が前記発電機を構成するリング部材と一体となっているものとしても良い。
このように環状の送信機と発電機のリング部材とを一体化させた場合、発電機と送信手段の組み合わが、より一層コンパクト化され、また部品点数が削減される。そのため、車輪用軸受装置の組立性も向上する。
【0019】
【発明の実施の形態】
この発明の基礎となる第1の提案例を図1ないし図5と共に説明する。この提案例は第4世代の内輪回転タイプであって、駆動輪支持用の軸受装置に適用した例である。
この車輪用軸受装置は、外方部材1と内方部材2の間に複列の転動体3を介在させ、これら内外の部材2,1間の環状空間内に回転センサ兼用の発電機4を内蔵し、この発電機4から出力される回転数信号をワイヤレスで送信する送信手段5を設けたものである。発電機4は両列の転動体3,3間に配置されている。
外方部材1は、内周に複列の転走面6,7を有し、これら転走面6,7にそれぞれ対向する転走面8,9が内方部材2の外周に設けられている。複列の転動体3は、転走面6,8間、および転走面7,9間に収容される。この車輪用軸受装置は、複列のアンギュラ玉軸受とされ、背面合わせとなるように各転走面6〜9の接触角が形成されている。転動体3は各列毎に保持器10で保持されている。内外の部材2,1間の両端は、シール11,11Aで密封されている。
外方部材1は、一端に車体取付フランジ1aを有し、この車体取付フランジ1aを介して車体12のナックル等の車輪軸受支持部品12aに取付けられる。外方部材1は、車体取付フランジ1aを含めて、全体が一体の部材である。内方部材2は、車輪取付フランジ2aを有し、この車輪取付フランジ2aに車輪13がボルト14で取付けられる。
【0020】
内方部材2は、車輪取付フランジ2aを一体に有するハブ輪2Aと、他の内輪構成部材2Bとを組合わせたものとされ、これらハブ輪2Aおよび内輪構成部材2Bのそれぞれに、上記複列の転走面8,9のうちの各列の転走面8,9が形成されている。内輪構成部材2Bは、等速ジョイント15の外輪15aが一体に形成された部材であり、等速ジョイント15の内輪(図示せず)には駆動軸(図示せず)が接続される。内輪構成部材2Bは、等速ジョイント外輪15aから一体に延びる軸部16が、基端側の大径部16aと、この大径部16aに段差を介して続く小径部16bとで形成され、小径部16bの外周にハブ輪2Aが嵌合する。上記転走面9は大径部16aに形成されている。ハブ輪2Aと内輪構成部材2Bとは加締等の塑性結合により一体固着されている。
【0021】
発電機4は、コイルを内蔵したリング状のコイル・磁性体組17の内周側に対峙させて多極磁石18を設けたものである。コイル・磁性体組17は、固定側の部材である外方部材1の内径面に取付けられ、発電機4のステータとなる。多極磁石18は回転側の部材である内方部材2の外径面、詳しくはハブ輪2Aの外径面に取付けられ、発電機4のロータとなる。
【0022】
ワイヤレスの送信手段5は、外方部材1の外径面における周方向の一部に設置されており、電子部品を外装用のケースに収容した送信機からなる。上記ケースは箱型のものであり、内部に送信アンテナ(図示せず)が設けられている。ワイヤレスの送信手段5は、例えば、微弱電波で信号伝送する送信機とされる。信号は、電波をオンオフするものであっても良く、また搬送波を周波数変調等で変調するものであっても良い。ワイヤレス送信手段5は、電波により伝送するものの他に、磁気結合による伝送、赤外線等の光による伝送、または超音波による伝送を行うものとしても良く、空間を伝送する信号を用いるものであれば良い。ワイヤレス送信手段5の電源には、発電機4が用いられる。ワイヤレス送信手段5に対する受信手段(図示せず)は、例えば車体12のタイヤハウス(図示せず)等に設置され、受信手段からアンチロックブレーキシステムの制御部に信号伝達される。受信手段は、送信手段5から発信される電波等の信号を効率良く受信するために、金属等の障害物がないように、送信手段5が見通せる位置に固定される。送信手段5と発電機4のコイル・磁性体組17のコイルとの間には、発電機4の発電電力および回転検出信号の取出し用の電線(図示せず)が接続される。この電線は、外方部材1の周壁を径方向に貫通して設けられた配線孔(図示せず)に挿通され、上記配線孔は弾性体や湿式シール等のシール部材で密封される。上記電線に代えてコネクタ(図示せず)を設けても良い。
【0023】
発電機4は、例えば図3〜図5に示すものが使用される。図3に示すように、多極磁石18は、リング状の部材であって、円周方向に並べて磁極N,Sが設けられている。
【0024】
図4に示すように、コイル・磁性体組17は、爪21a,21bからなる多数の磁極を並べた形式のものとされる。爪21a,21bは、例えばポール状とされ、このコイル・磁性体組17はクローポール型等と呼ばれる。コイル・磁性体組17は、図5(A),(B)は、それぞれ図4(A),(B)の一部を拡大した図である。
コイル・磁性体組17は、詳しくは、磁性体のリング部材19とこのリング部材19内に収容されたコイル20とを備える。リング部材19は、コイル20を収容する収容部分の断面形状が、内周側に向く溝形とされ、すなわち内周側に向くコ字状の断面形状とされ、かつ溝側面をなす両フランジ19a,19bの開口縁から対向する側面側へ折れ曲がった櫛歯状の複数の爪21a,21bを有する。これら両フランジ19a,19bの櫛歯状の各爪21a,21bは、周方向に互いに所定の隙間をもって交互に配列されている。各爪21a,21bの並びにより、それぞれ環状の磁極部が構成される。各爪21a,21bは、突出方向に長い長方形状とされ、同じ方向の各爪21a,21b間の隙間dの幅は、例えば爪21a,21bの幅の3倍程度とする。
リング部材19の両フランジ19a,19bの内周縁には、各爪21a,21bの形成部分の間に切欠部22a,22bが設けられ、これら22a,22bに、対向側のフランジ19b,19aの各爪21b,21aの先端が臨んでいる。切欠部22a,22bは、半円状ないしU字状に形成されている。
リング部材19は、板金のプレス加工品とされ、板金材料には例えばステンレス板等の磁性部材が用いられる。
なお、リング部材19は、幅方向の中央、つまりウェブの中央で2分割されているが、一体の部材であっても良い。
【0025】
この構成の車輪用軸受装置によると、外方部材1と内方部材2との相対回転によって発電する発電機4を設けたため、発電機4の出力を車輪13の回転数の信号として利用し、車輪回転数を検知することができる。発電機4は、外方部材1と内方部材2の間の環状空間内に内蔵したため、回転数検出機能を備えながら、軸受装置が小型化される。また、発電機4から出力される車輪回転数の検出信号を、ワイヤレスで送信する送信手段5を設けたため、回転数の検出信号を制御部まで引き出す電線が不要となる。発電機4をセンサとして用いるため、センサへの給電用の電線も不要となる。また、発電機4で得られる電力は、ワイヤレス送信手段5の電源として利用され、車体12からワイヤレス送信手段5への給電用の電線は不要である。これらのため、電線類が車外に露出せず、断線の支障を起こすことがないうえ、煩雑な配線固定作業も不要となり、自動車の軽量化、コスト低下にもつながる。さらに、発電機4の全体を外方部材1と内方部材2間の環状空間に内蔵することから、発電機4の一部を露出させる孔を設けることが不要で、軸受の密封性も向上する。発電機4とワイヤレス送信手段5間の電線を通す孔は、外方部材1に設けることが必要であるが、電線挿通用の孔は小さな孔で済むため、密封が容易に行える。
【0026】
発電機4は、櫛歯状の爪21a,21bを有するリング部材19と、コイル20とでなるコイル・磁性体組17を用い、リング状の多極磁石18と組み合わせているため、多極化、小型化が容易で、磁束の利用効率に優れた効率の良い発電が行える。特に、コイル・磁性体組17は、対向して延びる爪21a,21b間の隙間を大きく取り、隣接磁極からの磁束漏れを少なくする構造であるため、磁束の利用効率が高く得られる。
【0027】
発電機4は、上記構成のものに代えて、コイル・磁性体組17を図6に示す構成のものとしても良い。図6に示すコイル・磁性体組17は、リング部材19の爪21a,21bの形状を、爪幅が先端に向けて漸減する形状としたものである。
リング部材19は一対のリング部材構成材19A,19Bに分割されている。各リング部材構成材19A,19Bは、それぞれフランジ19a,19bと、これらフランジ19a,19bの外径縁から径方向に延びるウェブ構成片19ca,19cbと有し、これらウェブ構成片19ca,19cbが、互いに幅方向の一部で重なるように、両リング部材構成材19A,19Bが組み合わせられる。各リング部材構成材19A,19Bは、それぞれ前記の櫛歯状の爪21a,21bがフランジ19a,19bの内径縁から折り曲げて形成され、これらの対向する爪21a,21bは、周方向に互いに所定の隙間をもって交互に配列されている。
同図のコイル・磁性体組17におけるその他の構成は、図4,図5の例のコイル・磁性体組17と同じである。図4,図5の例と、図6の例とにおいて、対応部分には同一符号を付してある。
【0028】
図4,図5に示す矩形の爪21a,21bを持つコイル・磁性体組17と、図6に示すテーパ状の爪21a,21bを持つコイル・磁性体組17とを比較すると、次の得失がある。
図4,図5の矩形の爪21a,21bを持つコイル・磁性体組17の場合、磁束の利用効率としては最も良いと考えられるが、爪21a,21bの折り曲げ部である基端の磁束密度が大きくなり、磁気飽和を起こさないためにはある程度の断面積が必要である。そのため、多極化、小型化には制限がある。
図6のテーパ状の爪21a,21bを持つコイル・磁性体組17の場合、爪21a,21bの曲げ部の磁気飽和が起きず、多極化,小型化が可能である。すなわち、NS隣接磁石の磁界強度は正弦波状をしているため、NS切換り点の磁界は非常に弱く、隣接磁極爪21a,21bに漏れても影響は少ないと考え、曲げ部の磁気飽和が起こらないように、爪21a,21bをテーパ状にしたものである。
リング部材19を分割型としたのは、加工の都合上であり、図6の例においてリング部材19を一体型としても良い。また、図6の例において、一対のリング部材構成材19A,19Bを、図4,図5の例と同様にウェブ部19cで突き合わせるようにしても良い。また、図4,図5の例において、リング部材19を図6の例と同様にウェブ構成片が一部で重なる分割型としても良い。
【0029】
なお、上記提案例では、発電機4を複列の転走面間に配置したが、発電機4は、以下の各実施形態等に示すように、内方部材2と外方部材1間の開口端部に設けても良い。
また、上記実施形態では、ワイヤレスの送信手段5を、円周方向の一部に設けられた箱型送信機からなるものとしたが、ワイヤレスの送信手段5は、環状の送信機で構成されるものであっても良い。その場合に、環状の送信機を発電機4のリング部材19と一体化しても良い。
次に、発電機4をシール11の構成部品とし、かつワイヤレス送信手段5を環状の送信機として発電機4のリング部材と一体化した各種提案例を説明する。
【0030】
図7〜図22は、それぞれさらに他の提案例を示す。まず、これらの提案例に共通する事項を説明する。これらの各提案例は、いずれも、内周に複列の転走面6,7を有する外方部材1と、これら転走面6,7にそれぞれ対向する転走面8,9を有する内方部材2と、前記転走面6,8間、転走面7,9間に収容される複列の転動体3とを備え、車体12に対して車輪を回転自在に支持する車輪用軸受装置である。この車輪用軸受装置は、複列のアンギュラ玉軸受とされ、背面合わせとなるように各転走面6〜9の接触角が形成されている。転動体3は各列毎に保持器10で保持されている。内外の部材2,1間に形成される環状空間は、両側の開口端部が、それぞれシール11,11Aで密封されている。シール11はインボード側の開口端部を、シール11Aはアウトボード側の開口端部をそれぞれシールする。
外方部材1と内方部材2との相対回転によって発電する発電機4を有し、発電機4から出力される車輪の回転数の信号をワイヤレスで送信する送信手段5が設けられている。
発電機4は、コイル20を収容した磁性体のリング部材19と、リング状の多極磁石18とからなる。リング部材19を外方部材1および内方部材2のうちのいずれか一方に設け、他方の部材に多極磁石18を設けている。発電機4は、コイル・磁性体組17と多極磁石18とが対面する方向、つまり磁極が向く方向が、軸受軸方向に向くスラスト型のものか、または第1の提案例のように軸受径方向に向くラジアル型のものとされている。
リング部材19と多極磁石18の少なくとも一方は、外方部材1と内方部材2間の開口端部をシールするシール11の構成部材であるシール部材と一体に形成されている。
送信手段5は、環状の送信機5Aで構成され、この送信機5Aは、発電機4を構成するリング部材19と一体となっている。送信機5Aとコイル20とは、電線または接続用コネクタ(図示せず)で接続される。
以下、個々の提案例を説明する。
【0031】
図7は、第2の提案例を示す。この提案例の車輪用軸受装置は第3世代の内輪回転タイプで、かつ駆動輪支持用の軸受装置である。発電機4はスラスト型である。
外方部材1は車体取付フランジ1aを有し、第1の実施形態と同様に、車体12のナックル等の車輪軸受支持部品12aに取付けられる。内方部材2は、ハブ輪2Aと、ハブ輪2Aの端部外径に嵌合した別の内輪構成部材2Cとで構成される。ハブ輪2Aは車輪取付フランジ2aを一体に有する。内方部材2における各列の転走面8,9は、ハブ輪2Aと内輪構成部材2Cに形成されている。
内方部材2には、この車輪用軸受装置とは別に製造された等速ジョイント15の外輪15aが連結される。等速ジョイント外輪15aは、その外底部から軸部16が一体に延びており、この軸部16がハブ輪2Aの内径面に挿通され、ナット止めされることにより、内方部材2に連結される。等速ジョイント外輪15aの外底部に設けられた軸方向に向く平坦段部16cは、内輪構成部材2Cの端面に当接し、内輪構成部材2Cを止め付けている。
【0032】
軸受背面側のシール11は、図7(B)に拡大して示すように、内方部材2と外方部材3に各々取付けられた第1および第2の環状のシール部材31,32を有する。これらシール部材31,32は、各々内方部材2および外方部材3に圧入状態に嵌合させることで取付けられている。両シール部材31,32は、いずれも板状の部材であり、各々円筒部31a,32aと立板部31b,32bとでなる断面L字状に形成されて互いに対向する。
第1のシール部材31は、内方部材2および外方部材1のうちの回転側の部材である内方部材2に嵌合される。第1のシール部材31の立板部31bは、軸受外方側に配され、その外方側の側面に、多極磁石18の磁石部材34が設けられている。この磁石部材34は、第1のシール部材31と共に発電機4の多極磁石18を構成するものであり、第1のシール部材31は磁性体とされる。磁石部材34は、図8のように周方向に交互に磁極N,Sが形成され、磁極N,Sは、ピッチ円直径(PCD)において、所定のピッチpとなるように形成されている。この多極磁石18の磁石部材34に対面して、図7(B)のようにコイル・磁性体組17を配置することにより、回転センサ兼用の発電機4が構成される。
多極磁石18の磁石部材34は、磁性体粉の混入された弾性部材からなり、第1のシール部材31に加硫接着されており、いわゆるゴム磁石とされている。なお、多極磁石18の磁石部材34は、加硫接着に代えて、磁性体粉をボンドで固めたもの(ネオジムボンド磁石など)を用い、これを第1のシール部材31に接着固定したものであっても良い。
【0033】
第2のシール部材32は、第1のシール部材31の立板部31bに摺接するサイドリップ36aと円筒部31aに摺接するラジアルリップ36b,36cとを一体に有する。これらリップ36a〜36cは、第2のシール部材32に加硫接着された弾性部材36の一部として設けられている。第2のシール部材32の円筒部32aと第1のシール部材31の立板部31bの先端とは僅かな径方向隙間をもって対峙させ、その隙間でラビリンスシール37を構成している。
【0034】
コイル・磁性体組17は、コイル20を収容した磁性体のリング部材19からなる。リング部材19は、第1の提案例(図1)における図4,図5と共に説明したコイル・磁性体組17におけるリング部材19と、磁極の向く方向が異なる他は、同じである。すなわち、図7の例のリング部材19は、図4,図5の例におけるリング部材19と同様に、断面形状が溝型であって、溝の側面の開口縁から対向する側面側へ折れ曲がった櫛歯状の複数の爪21a,22aを有し、これら両側面の櫛歯状の爪21a,22aが周方向に交互に並ぶものである。ただし、図7の提案例におけるコイル・磁性体組17は、図4,図5の例とは異なり、溝開口方向が軸方向となっており、櫛歯状の爪21a,22aで形成される磁極は、軸方向に向く。図7の例のリング部材19においても、図6の例と同様に、櫛歯状の爪21a,22aをテーパ状にしたものであっても良い。
【0035】
図7(B)において、コイル・磁性体組17は、そのリング部材19が取付リング49に取付けられており、この取付リング49に、送信手段5における環状の送信機5Aが取付けられている。このように、送信機5Aとコイル・磁性体組17のリング部材19とを同じ取付リング49に取付けることにより、これら送信機5Aとコイル・磁性体組17のリング部材19とが一体となっている。環状の送信機5Aは、リング部材19の外周に配置されている。
取付リング49は、金属板の成形品からなり、コイル・磁性体組17が嵌合した横向きの溝形部分49aと、この溝形部分49aの外周側開口縁から径方向外側に延びて溝形部分49aの開口方向と同じ方向に延びる逆L形部分49bとを有する。取付リング49は、逆L形部分49bが外方部材1の端部外径面に圧入状態に嵌合することにより外方部材1に取付けられる。このように取付けることにより、コイル・磁性体組17は、外方部材1と内方部材2間の開口端部に対向して位置し、したがって多極磁石18と対向し、送信機5Aは外方部材1の端面に対向して位置する。
取付リング49は、外方部材1と内方部材2間の端部開口を略覆っていて、この端部開口のシール手段を兼ねており、取付リング49と内方部材2との間の残りの隙間を覆うシール38が、取付リング49の溝形部分49aにおける内径側の開口縁に取付けられている。シール38は、ゴム等の弾性体からなり、内方部材2の端面に摺接する。このシール38は、コイル・磁性体組17を構成するリング部材19と多極磁石18の磁石部材34との隙間に異物が入り込むことを防止するものであり、発電機4が損傷するのを防止する。
【0036】
この提案例の場合、次の各作用,効果が得られる。発電機4が、外方部材1と内方部材2の開口端部に配置されているため、第1の提案例のように軸受内部に発電機4を配置したものと異なり、軸受の外方部材1と内方部材2とを分解することなく、発電機4の着脱が行え、発電機4の保守・修理を容易に行うことができる。また、発電機4の多極磁石18が、外方部材1と内方部材2間の開口端部のシール部材31と一体に形成されているため、コンパクトに発電機4を構成することができ、部品点数が少なく、組立性にも優れたものとなる。
送信手段5は、環状の送信機5Aで構成されるため、送信機5Aの横断面を小さなものとでき、軸受装置の周辺の小さな空き空間を利用して送信機5Aを配置することができる。すなわち、図1の提案例のように、箱型の送信手段5を設けた場合、送信手段5が嵩張るために、その箱型送信手段5の取付スペースが得られるように車輪用軸受装置の周辺の設計を行う必要があるが、環状の送信機5Aとした場合、車輪用軸受装置の周辺に通常に生じる空間を送信機5Aの配置に利用できる。車輪用軸受装置の周辺に通常に生じる空間、特に端部開口付近に生じる空間は、図7からもわかるように、等速ジョイント15や車輪軸受取付部材12aが周囲にあって、非常に限られた小さな空間となることが多い。このような小さな周辺空間にも、送信機5Aを環状とすることにより、配置することができる。特に、上記の周辺空間は、等速ジョイント15が迫っているために、軸方向よりも径方向に比較的余裕のある形状となっているが、この提案例では、送信機5Aをコイル・磁性体組17の外周に重ねて配置しているため、両者を軸方向に並べる場合に比べて、上記の周辺空間に効率良く収めることができる。
また、この提案例では、環状の送信機5Aと発電機4のリング部材19とを一体としたため、これら送信機5Aと発電機4の組み合わせがより一層コンパクト化されて、配置空間が確保し易く、また部品点数もさらに削減できる。
【0037】
コイル・磁性体組17および送信機5Aを取付ける取付リング49は、多極磁石18を覆っており、またこの取付リング49と内方部材2との間をシールするシール38を取付けているため、多極磁石18とコイル・磁性体組17との隙間に異物が入り込むことが防止される。この取付リング49およびシール38により、発電機4の異物の侵入による損傷が防止される。
シール11は、第2のシール部材32に設けられた各シールリップ36a〜36cの第1のシール部材31との摺接と、ラビリンスシール37とにより、その軸受端部の密封性を得る。
【0038】
図9は、第3の提案例を示す。この提案例は、第1世代の内輪回転タイプの車輪用軸受装置であり、回転センサとなる発電機4はスラスト型である。
外方部材1は、固定側の部材となるものであって、単独の軸受外輪からなる。内方部材2は、回転側の部材となるものであって、2つの軸受内輪2Dを軸方向に並べたものからなる。外方部材1および内方部材2は、車輪取付フランジおよび車体取付けフランジを、いずれも有しない。
【0039】
軸受背面側の開口端部に設けられたシール11は、第2の提案例(図7)におけるシール11と同じ構成のものであり、第1および第2のシール部材31,32を有している。発電機4も第2の提案例と同じ構成のものであり、その多極磁石18が、第1のシール部材31に一体に設けられている。発電機4のコイル・磁性体組17は、第2の提案例と同じく、そのリング部材19が取付リング49によって外方部材1に取付けられている。取付リング49は、第2の提案例と同じ構成のものであり、シール38が取付けられている。
送信手段5は、第2の提案例と同じく環状の送信機5Aからなるが、その取付位置は、コイル・磁性体組17と軸方向に並べた位置とされている。この環状送信機5Aは、取付リング49における溝形部49aの外底面に取付けられている。
【0040】
この提案例も、発電機4の多極磁石18をシール11の構成部品とし、かつワイヤレス送信手段5を環状の送信機5Aとして発電機4のリング部材19と一体化したため、発電機4の保守性が良く、かつ発電機4および送信手段5の設置スペースが小さくて済むという効果が得られる。この効果は、以下の各提案例または実施形態においても同様に得られる。
【0041】
図10は、この発明の第4の提案例を示す。この車輪用軸受装置は第2世代の内輪回転タイプの車輪用軸受装置であり、回転センサとなる発電機4はスラスト型である。
この提案例は、外方部材11に車体取付フランジ1aが設けられており、その他の構成は図9に示す第3の提案例と同じである。
【0042】
図11は、この発明の第5の提案例を示す。この車輪用軸受装置は第3世代の内輪回転タイプで、かつ駆動輪支持用の車輪用軸受装置である。
この提案例は、第3世代の車輪用軸受装置において、シール11にスラスト型の回転センサ兼用の発電機4を組み込み、かつ発電機4のリング部材19を環状の送信機5Aと軸方向に並べた例である。シール11、発電機4、および送信手段5は、特に説明する事項を除き、図7と共に説明した第2の提案例と同じである。簡単に説明すると、多極磁石18は第1のシール部材31と共に内方部材2に固定されている。コイル・磁性体組17は、そのリング部材19が取付リング49を介して外方部材1に固定されている。環状の送信機5Aは、取付リング49に固定され、コイル・磁性体組17とは取付リング49に対して反対側に位置する。
外方部材1は、車体取付フランジ1aを有する一体の部材である。内方部材2は、ハブ輪2Aと、このハブ輪2Aの端部外径に嵌合した別体の内輪構成部材2Cとで構成される。内輪構成部材2Cは、ハブ輪2Aに設けられた加締部でハブ輪2Aに軸方向に締め付け固定される。内方部材2は、車輪取フランジ2aを有し、内方部材2にはその内径孔に等速ジョイント(図示せず)の軸部が挿通されて固定される。
【0043】
図12は、この発明の第6の提案例を示す。この提案例は、図11に示す第5の提案例において、軸受の開口部、つまりシール11を配置する部分に、内輪外径を小径とした小径化部81を設け、シール11の容積を内径方向に拡大して多極磁石18の表面積と発電機4の容積を増やしたものである。小径化部81は、段差を持って小径に形成してあり、内輪構成部材2Cに形成されている。
このように小径化部81を設けることにより、発電機4の軸方向の長さをよりコンパクトにできる。つまり径方向に長くした分、軸方向に短くできる。このように内輪外径に小径化部81を設けてシール11の容積を内径方向に拡大する構成は、シール11と発電機4の構成部品を一体化させた車輪用軸受装置一般に適用することができる。
なお、この提案例では、送信手段5における環状の送信機5Aの配置は、コイル・磁性体組17の外周とし、送信機5Aを取付リング49に固定してある。
【0044】
図13は、この発明の第7の提案例を示す。この車輪用軸受装置は第3世代の内輪回転タイプで、かつ従動輪支持用の車輪用軸受装置である。回転センサとなる発電機4は、スラスト型である。
この例は、従動輪用であるため、内方部材2が内径孔を有しない形状とされている。その他の構成は図11と共に説明した第5の提案例と同じである。
【0045】
図14は、この発明の第8の提案例を示す。この提案例は、第2世代で外輪回転タイプの車輪用軸受装置であり、回転センサとなる発電機4はスラスト型である。
外方部材1は、正面側となる一端に車輪取付フランジ1bを有する。内方部材2は、2つの軸受内輪2Dを軸方向に並べた分割型のものとされている。シール11、発電機4、および送信手段5は、図9と共に説明した第3の提案例と同じである。この提案例の場合、外方部材1が回転側の部材となるため、外方部材1に取付けられた送信手段5の送信機5Aが回転することになるが、送信機5Aは環状のものであるため、送信機5Aの回転が受信側で検出信号の変動として影響しない。
【0046】
図15は、この発明の第9の提案例を示す。この提案例は、第1世代で内輪回転タイプの車輪用軸受装置であり、回転センサとなる発電機4はスラスト型である。
外方部材1は、固定側の部材となるものであって、単独の軸受外輪からなる。内方部材2は、回転側の部材となるものであって、2つの軸受内輪2Dを軸方向に並べたものからなる。外方部材1および内方部材2は、車輪取付フランジおよび車体取付けフランジを、いずれも有しない。
シール11、発電機4、および送信手段5は、次の事項を除いて、図9と共に説明した第3の提案例と同じである。この提案例では、シール11の第1のシール部材31は、円筒部31aと、この円筒部31aから外径側に曲がった立板部31bと、この立板部31bの先端から内径側に折り返された折り返し立板部31cと、この折り返し立板部31cの内径側端部から折れ曲がって軸受外方に延びる外側円筒部31dとからなる。折り返し立板部31cは、円筒部31aよりも内径側に延びている。多極磁石18の磁石部材34は、折り返し立板部31cにおける軸受外方側の側面に設けられる。シール部材31は、内方部材2の端部外径面に圧入状態に嵌合し、折り返し立板部31cは内周部分が内方部材2の端面の外側に位置する。
発電機4のコイル・磁性体組17および送信機5Aは、第3の提案例と同じ取付リング49により外方部材1に取付けられるが、この取付リング49の内周部に設けられるシール38は、第1のシール部材31の外側円筒部31dの外径面となる。
この提案例の場合、第3の提案例に比べて、シール11、発電機4、および送信機5Aの組み合わせ体が軸方向に若干長くなるが、シール38が外側円筒部31dの外径面に接するため、第1のシール部材31の軸方向の取付位置が若干変動しても、シール38によるシール機能が低下しない。
【0047】
図16は、この発明の第10の提案例を示す。この提案例は第3世代の外輪回転タイプで、かつ従動輪支持用の車輪用軸受装置である。回転センサとなる発電機4はスラスト型である。
外方部材1は、正面側である一端に車輪取付フランジ1bを有する。内方部材2は、2つの内輪構成部材2E,2Fとで構成され、内輪構成部材2Fに車体取付フランジ2bが設けられている。車体取付フランジ2bは、外方部材1の背面側の端部よりもさらに背面側に位置して設けられている。内輪構成部材2Eは、正面側の端部に配置され、内輪構成部材2Fに設けられた加締部により固定される。
シール11、発電機4、および送信手段5は、次の事項を除いて、図9と共に説明した第3の提案例と同じである。この提案例では、シール11の第1のシール部材31は、内方部材2の外径面における軌道面9と車体取付フランジ2bとの間の部分に圧入状態に嵌合する。発電機4のコイル・磁性体組17および送信機5Aは、第3の提案例と同じ取付リング49により外方部材1に取付けられるが、この取付リング49の内周部に設けられるシール38は、内方部材2の外径面に摺接する。
この提案例の場合、内方部材2の外周において、外方部材1の端部と車体取付フランジ2bとの間に溝状の空間が生じるが、発電機4と環状の送信機5Aとが軸方向に重なるため、上記の内方部材2の外周空間を効果的に利用して発電機4および送信機5Aが配置できる。
【0048】
図17は、この発明の第11の提案例を示す。この提案例は、第2世代で外輪回転タイプの車輪用軸受装置であり、回転センサとなる発電機4はスラスト型である。
外方部材1は回転側の部材であり、正面側となる一端に車輪取付フランジ1bを有する。内方部材2は固定側の部材であり、2つの軸受内輪2Dを軸方向に並べた分割型のものとされている。
送信手段5は、環状の送信機5Aで構成される。この送信機5Aは、発電機4を構成するコイル・磁性体組17と共通の取付リング49Aに取付けることにより、コイル・磁性体組17のリング部材19と一体となっている。取付リング49Aは、円筒部49Aaと立板部49Abとでなる断面L字状の板状の部材であり、円筒部49Aaの外周にコイル・磁性体組17が取付けられ、立板部49Abの外側の側面に環状の送信機5Aが取付けられる。取付リング49Aは、内方部材2の外径面に円筒部49Aaで圧入状態に嵌合して取付けられ、これによりコイル・磁性体組17のリング部材19および送信機5Aが内方部材2の端部外周に取付けられる。
【0049】
発電機4は、互いに対面する多極磁石18とコイル・磁性体組17とで構成され、多極磁石18は外方部材1の内径面に取付けられている。多極磁石18は、リング状基板48と磁石部材34とで構成される。リング状基板48は、円筒部48aと立板部48bとでなる断面逆L字状に形成され、円筒部48aで外方部材1の内径面に圧入状態に嵌合して取付けられる。磁石部材34は、リング状基板48に固定されたものであることを別にして、図8と共に前述した磁石部材34と同じである。
コイル・磁性体組17は、図7以降の各提案例におけるコイル・磁性体組17と同じであり、溝型のリング部材19内にコイル20を収容したものである。コイル・磁性体組17の断面形状は、軸方向幅が径方向幅に比べて広い偏平形状としてあるが、必ずしも偏平形状としなくても良い。
シール11は、外方部材1に取付けられたシール部材45を有し、このシール部材45は、溝型のリング部材19の溝側壁部分である外径面に摺接する。シール部材45は、芯金47と、この芯金47に一体化された弾性部材46とで構成される。芯金47は、断面逆L字状に形成され、外方部材1の端部外周に圧入状態に嵌合する。弾性部材46は、コイル・磁性体組17のリング部材19の外径面に摺接するリップ46b,46cと、取付リング49Aの立板部49Abに摺接するリップ46aとを有する。
【0050】
この構成の場合、発電機4のコイル20を収容したリング部材19にシール部材45を接触させてシールを行う構成であるため、リング部材19自体がシールを行う部材としての機能を兼ねることになり、シールのための構成がより一層コンパクト化される。また、発電機4の多極磁石18だけでなく、コイル・磁性体組17の一部が、外方部材1と内方部材2間の内部に配置されるため、発電機4および送信機5Aの軸受から突出部分が少なく、より一層配置空間が小さくて済む。
【0051】
図18は、この発明の第12の提案例を示す。この提案例は、第3世代の内輪回転タイプで、かつ駆動輪支持用の車輪用軸受装置であり、回転センサとなる発電機4は、スラスト型である。
外方部材1は、車体取付フランジ1aを有する一体の部材である。内方部材2は、ハブ輪2Aと、このハブ輪2Aの端部外径に嵌合した別体の内輪構成部材2Bとで構成される
【0052】
図19は、この発明の第13の提案例を示す。この提案例は、第1世代で内輪回転タイプの車輪用軸受装置であり、回転センサとなる発電機4はラジアル型である。
この提案例、および以降の各提案例または実施形態は、送信機5Aおよびリング部材19により構成される組立部品Aと、多極磁石18およびシール部材45Bにより構成される組立部品Bとの2部品により、外方部材1と内方部材2間の開口端部をシールするものである。
【0053】
第13の提案例において、外方部材1は、固定側の部材となるものであって、単独の軸受外輪からなる。内方部材2は、回転側の部材となるものであって、2つの軸受内輪2Dを軸方向に並べたものからなる。外方部材1および内方部材2は、車輪取付フランジおよび車体取付けフランジを、いずれも有しない。
送信手段5は、環状の送信機5Aで構成される。この送信機5Aは、発電機4を構成するコイル・磁性体組17と共通の取付リング49Bに取付けることにより、コイル・磁性体組17のリング部材19と一体となっている。この一体化されたものが、コイル側の組立部品Aとなる。開口端部をシールするシール11は、シール部材45Bを有し、このシール部材45Bに発電機4の多極磁石18が取付けられている。シール部材45Bは、シール芯金47Bと弾性部材46Bとを有し、弾性部材46Bが取付リング49Bに摺接する。シール部材45Bと多極磁石18とでなるものが、磁石側の組立部品Bとなる。コイル・磁性体組17のリング部材19は、取付リング49Bを介して内方部材2の端部外径面に取付けられており、外方部材1の端部は、略コイル・磁性体組17の幅だけ内方部材2よりも軸受中央側に引っ込ませてある。
【0054】
取付リング49Bは、第1の円筒部49Baの一端側に、外径側へ延びる第1の立板部49Bb、第2の円筒部49Bc、およびその外径側へ延びる第2の立板部49Bdが続く形状とされている。コイル・磁性体組17は、そのリング部材19が取付リング49Bの第1の円筒部49Baの外径面に嵌合し、かつ第1の立板部49Bbに接するように、取付リング49Bに取付けられる。環状の送信機5Aは、取付リング49Bの第2の立板部49Bdの外側面に取付けられる。取付リング49Bは、内方部材2の端部外径面に第1の円筒部49Baで圧入状態に嵌合して取付けられる。
シール芯金47Bは、第1の円筒部47Baの一端側に、内径側へ延びる第1の立板部47Bb、第2の円筒部47Bc、およびその内径側へ延びる第2の立板部47Bdが続く形状とされている。シール芯金47Bは、第1の円筒部47Baで外方部材1の端部外径面に圧入状態に嵌合して取付けられる。弾性部材46Bは、取付リング49Bの第2の円筒部49Bcおよび第2の立板部49Bdに接する複数のリップ46Ba〜46Bcを有する。
【0055】
発電機4は、図1ないし図5に示す第1の提案例と同様にラジアル型ではあるが、第1の提案例とは逆に多極磁石18が外径側に、コイル・磁性体組17が内径側に配置される。
多極磁石18は、円筒状基板48Cと磁石部材34とで構成され、シール芯金47Bの第2の円筒部47Bcの内径面に嵌合して取付けられる。磁石部材34は、円筒状基板48Cに固定されたものであることを別にして、図3と共に前述した磁石部材34と同じである。
コイル・磁性体組17は、コイル20を収容した磁性体のリング部材19からなる。リング部材19は、第1の提案例(図1)における図4,図5と共に説明したコイル・磁性体組17におけるリング部材19と、磁極の向く方向が異なる他は、同じである。すなわち、図19の例のリング部材19は、図4,図5の例におけるリング部材19と同様に、断面形状が溝型であって、溝の側面の開口縁から対向する側面側へ折れ曲がった櫛歯状の複数の爪21a,22aを有し、これら両側面の櫛歯状の爪21a,22aが周方向に交互に並ぶものである。ただし、図19の提案例におけるコイル・磁性体組17は、図4,図5の例とは異なり、溝開口方向が外径側となっており、櫛歯状の爪21a,22aで形成される磁極は、外径側に向く。図19の例のリング部材19においても、図6の例と同様に、櫛歯状の爪21a,22aをテーパ状にしたものであっても良い。
【0056】
この構成の場合、2つの組立部品でシール11と発電機4と送信手段5が構成されるため、部品点数が少なく、組立性に優れる。
【0057】
図20は、この発明の第14の提案例を示す。この提案例は、第2世代で内輪回転タイプの車輪用軸受装置であり、回転センサとなる発電機4はラジアル型である。
外方部材1は、外周に車輪取付フランジ1aを有する一体の部材である。内方部材2は、2つの軸受内輪2Dを軸方向に並べて構成される。
シール11、発電機4、および送信手段5は、図19に示した第13の提案例と同じであり、2つの組立部品A,Bで構成される。
【0058】
図21は、この発明の第15の提案例を示す。この提案例は、第3世代の内輪回転タイプで、かつ従動輪支持用の車輪用軸受装置である。回転センサとなる発電機4は、ラジアル型である。
外方部材1は、車体取付フランジ1aを有する一体の部材である。内方部材2は、ハブ輪2Aと、このハブ輪2Aの端部外径に嵌合した別体の内輪構成部材2Cとで構成される。内輪構成部材2Cは、ハブ輪2Aに設けられた加締部でハブ輪2Aに軸方向に締め付け固定される。内方部材2は、内径孔を有しない非貫通部材であり、車輪取付フランジ2aを一端に有している。
シール11、発電機4、および送信手段5は、図19に示した第13の提案例と同じであり、2つの組立部品A,Bで構成される。
【0059】
図22は、この発明の第16の提案例を示す。この提案例は、第3世代の内輪回転タイプで、かつ駆動輪支持用の車輪用軸受装置である。回転センサとなる発電機4は、ラジアル型である。
この提案例は、内方部材2が内径孔2hを有している。その他の構成は図21に示した第15の提案例と同じである。
【0060】
図23は、この発明の第17の提案例を示す。この提案例は、第2世代で外輪回転タイプの車輪用軸受装置であり、回転センサとなる発電機4はラジアル型である。
外方部材1は、外周に車輪取付フランジ1aを有する一体の部材である。内方部材2は、2つの軸受内輪2Dを軸方向に並べて構成される。
シール11、発電機4、および送信手段5は、図19に示した第13の提案例と同じであり、2つの組立部品A,Bで構成される。
【0061】
図24は、第18の提案例を示す。この提案例は、図22に示す第16の提案例において、次に説明する構成を変えたものである。すなわち多極磁石18を内径側に、発電機4のコイル・磁性体組17を外径側に配置している。また、送信機5Aは環状とし、発電機4の外周に配置した。
この構成の場合、送信機5Aは環状とし、発電機4の外周に配置したため、第16の提案例(図22)よりも軸方向の突出部分が少なく、等速ジョイントが車輪用軸受装置に迫っている場合に、効率良く周辺空間を利用できる。また、送信機5Aと発電機4との配線が無くなる。
【0062】
図25〜図27は、この発明の第1の実施形態を示す。この実施形態は、発電機4を次の構成としたものである。すなわち、発電機4のコイル20を収容したリング部材69における磁極部69bの両面にそれぞれ対向させて一対の多極磁石18,18を設けたものである。磁極部69bは、リング部材69のコイル20を収容する収容部分69aに対して内径側に設けられ、磁極部69bと多極磁石18,18とはラジアル方向に対面している。リング部材69は外方部材1に取付けられ、両多極磁石18,18は内方部材2に取付けられている。両多極磁石18,18は、共通の取付部材71に取付けられ、この取付部材71を介して内方部材2に取付けられている。取付部材71は、各多極磁石18,18に個別に設けてもよく、また取付リング49Bを介して内方部材2に取付けてもよい。
【0063】
リング部材69は、コイル20を収容する収容部分69aの断面形状がC字型とされ、図26,図27に示すように、収容部分69aの両側の側面から櫛歯状の複数の爪21a,21bが延びている。図26と図27は、同じリング部材69を方向を変えて図示している。下方の側面から延びる爪21aは、詳しくは収容部分69aの内周部分から延びている。これらの爪21a,21bは図5,図6等に示した溝型のリング部材19の例と同様に、互いに隙間を介して交互に噛み合っており、各爪21a,21bが磁極を形成する。これらの爪21a,21bの環状の並びが、リング部材69における上記磁極部69bとなる。リング部材69は全体が磁性体からなる。
このリング部材69の構成を纏め直すと次の通りである。図26,27に示すように、リング部材69は、前記コイルを収容した収容部分69a、およびこの収容部分69aに対して内径側に位置する磁極部69bを有し、前記収容部分69aは、リング部材69の軸心を含む平面で断面した断面形状が、内周壁部69a、外周壁部69b、および一対の側壁部69c,69dからなる略矩形の管状であって、前記内周壁部69aaと一方の側壁部69acとが不連続であり、前記磁極部69abは、前記一方の側壁部69acから延びて円周方向に櫛歯状に並ぶ複数の爪21bと、前記内周壁部69acから延びて円周方向に櫛歯状に並ぶ複数の爪21aとを、円周方向に互いに隙間を介して交互に並べてなり、前記一方の側壁部69acから延びる複数の爪21bは、この側壁部69acの内径側端から内径側に延びてさらに他方の側壁部69ad側へ折れ曲がって延びる形状であり、前記内周壁部69aaから延びる複数の爪21aは、この内周壁部69aaにおける前記一方の側壁部69ac側の端部から内径側へ折れ曲がって延びてさらに他方の側壁部69ad側へ折れ曲がって延びる形状である。
【0064】
この実施形態における車輪用軸受装置の発電機4を除く構成は、図22と共に説明した第16の提案例において、送信機5Aの配置を発電機4の外径側に配置し、取付リング45Bに取付けた構成としてある。
【0065】
この実施形態の場合、コイル20を収容したリング部材69の磁極部69bの両側に多極磁石18,18を配置したため、爪21a,21bからなる磁極部69bの面積を変えないで、多極磁石18,18と対向する面積が増大する。これにより、コイル20と鎖交する磁束を増やすことができて、発電機4の出力を増加させることができる。例えば、多極磁石18が1枚の場合に比べて、略2倍の磁束を集めることができ、発電電力が略2倍となる。
【0066】
この種の車輪用軸受装置に装備する発電機4は、配置空間が厳しく制限されるため、コンパクトな構成で発電機出力を増大させることが望まれる。特に、小径の軸受の場合には、発電機4のコイル20の横断面の面積を同じにしても(コイルの巻き数を変えない)、多極磁石18の表面が小さくなるので発電電力が小さくなるという課題がある。
発電機出力を増大させるには、磁力アップ、ギャップ縮小、コイル巻き数の増大(容積増大)、磁石対向面積を増やす、という4つの要因が主に上げられる。このうち、磁力アップは材質面で限りがあり、ギャップ縮小は精度面で難しく、コイル巻き数の増大はコンパクト化の妨げとなる。
この実施形態によると、2枚の多極磁石18,18を同じ磁極部69bの両側に対面配置したため、発電機4のコイル20の容積や磁力を変えずに、鎖交磁束を増やし、発電機出力を増加させることができる。多極磁石18,18は2枚となるが、コイル容積の増大に比べて、コンパクト化が容易である。ヨークとなるリング部材69の形状を、図26,図27に示すようにC字型の収容部分69aと、これより延びる磁極部69bとで形成した場合、リング部材69と2枚の多極磁石18A,18Bの配置がコンパクトに納まり、発電機4と多極磁石18,18を合わせた容積を小さくすることができ、システムのより小型化が可能となる。
また、このように磁極部69bの両側に多極磁石18,18を配置する構成であると、磁極部69bが組立時や回転時に径方向に変位しても、磁極部69bと各多極磁石18,18との間の磁気ギャップの和は変動しないので、上記変位が発電性能に与える影響が、1枚の多極磁石18の場合に比べて小さい。
【0067】
なお、この実施形態は、第3世代で、駆動側の車輪用軸受装置に適用した場合につき説明したが、この磁極部69bの両側に多極磁石18,18を配置する構成は、第2または第4世代など、軸受の世代形式にかかわらず、また駆動側であるか従動側であるかを問わず、適用することができる。
【0068】
【発明の効果】
この発明の車輪用軸受装置は、内周に複列の転走面を有する外方部材と、これら転走面にそれぞれ対向する転走面を有する内方部材と、前記転走面間に収容される複列の転動体とを備え、車体に対して車輪を回転自在に支持する車輪用軸受装置において、外方部材と内方部材との相対回転によって発電する発電機を有し、発電機から出力される車輪の回転数の信号をワイヤレスで送信する送信手段を設けたものであるため、車輪回転数の検知機能を有しながら、車外での断線の恐れがなく、また自動車の軽量化、コスト低下が図れる。
前記発電機が、コイルを収容した磁性体のリング部材と多極磁石からなり、このリング部材を前記外方部材に設け、内方部材に多極磁石を設けたため、回転数の検出を精度良く行え、また小型で効率の良い発電が行える。
発電機のリング部材が、前記コイルを収容する部分と、この収容部分の両側からそれぞれ延びた櫛歯状の複数の爪とを有し、これら両側の櫛歯状の爪が周方向に交互に並ぶものとしたため、隣接磁極からの磁束漏れが少なくなり、磁束の利用効率が高く得られる。
前記発電機の前記コイルを収容した前記磁性体のリング部材が、円周方向に沿って磁極が並ぶ環状の磁極部を有し、この磁極部の両面にそれぞれ対向させて前記多極磁石を配置したため、発電機出力を増加させることができる。
【0069】
前記送信手段が環状の送信機を有するものである場合は、車輪用軸受装置の周囲の小さな空間を利用して送信機を配置することができ、また送信機を回転側の部材に取付けることもできる。
送信手段が環状の送信機を有し、この送信機が発電機を構成するリング部材と一体となったものである場合は、より一層コンパクト化され、また部品点数が削減され、組立性も向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の基礎となる第1の提案例にかかる車輪用軸受装置の断面図である。
【図2】 同車輪用軸受装置を等速ジョイント側から見た側面図である。
【図3】 (A),(B)は各々発電機の多極磁石の断面図および正面図である。
【図4】 (A),(B)は各々発電機のリング部材の破断側面図および正面図である。
【図5】 (A),(B)は各々図4(A),(B)の一部を拡大した拡大図である。
【図6】 (A)〜(C)は各々発電機のリング部材の変形例を示す破断側面図、正面図、および同図(B)の部分拡大図である。
【図7】 (A),(B)は第2の提案例にかかる車輪用軸受装置の断面図、およびその要部拡大断面図である。
【図8】 その軸受装置における発電機の多極磁石となる弾性部材の部分正面図である。
【図9】 (A),(B)は第3の提案例にかかる車輪用軸受装置の断面図、およびその要部拡大断面図である。
【図10】 第4の提案例にかかる車輪用軸受装置の断面図である。
【図11】 第5の提案例にかかる車輪用軸受装置の断面図である。
【図12】 第6の提案例にかかる車輪用軸受装置の断面図である。
【図13】 第7の提案例にかかる車輪用軸受装置の断面図である。
【図14】 第8の提案例にかかる車輪用軸受装置の断面図である。
【図15】 第9の提案例にかかる車輪用軸受装置の断面図である。
【図16】 (A),(B)は第10の提案例にかかる車輪用軸受装置の断面図、およびその要部拡大断面図である。
【図17】 (A),(B)は第11の提案例にかかる車輪用軸受装置の断面図、およびその要部拡大断面図である。
【図18】 第12の提案例にかかる車輪用軸受装置の断面図である。
【図19】 (A),(B)は第13の提案例にかかる車輪用軸受装置の断面図、およびその要部拡大断面図である。
【図20】 第14の提案例にかかる車輪用軸受装置の断面図である。
【図21】 第15の提案例にかかる車輪用軸受装置の断面図である。
【図22】 第16の提案例にかかる車輪用軸受装置の断面図である。
【図23】 第17の提案例にかかる車輪用軸受装置の断面図である。
【図24】 第18の提案例にかかる車輪用軸受装置の断面図である。
【図25】 (A)はこの発明の第1の実施形態にかかる車輪用軸受装置の断面図、(B)はその部分拡大断面図である。
【図26】 同実施形態におけるリング部材の部分斜視図である。
【図27】 同リング部材を方向を変えて示す部分斜視図である。
【図28】 従来の車輪用軸受装置の断面図である。
【符号の説明】
1…外方部材
2…内方部材
1a,2b…車体取付フランジ
1b,2a…車輪取付フランジ
3…転動体
4…発電機
5…ワイヤレスの送信手段
5A…送信機
6〜9…転走面
11…シール
12…車体
13…車輪
17…コイル・磁性体組
18…多極磁石
19…リング部材
20…コイル
21a,21b…爪
31…シール部材
34…磁石部材
38…シール
45…シール部材
48…リング状基板
49,49A,49B…取付リング
69…リング部材
69a…収容部分
69b…磁極部
A,B…組立部品
Claims (6)
- 内周に複列の転走面を有する外方部材と、これら転走面にそれぞれ対向する転走面を有する内方部材と、前記転走面間に収容される複列の転動体とを備え、車体に対して車輪を回転自在に支持する車輪用軸受装置において、外方部材と内方部材との相対回転によって発電する発電機を有し、発電機から出力される車輪の回転数の信号をワイヤレスで送信する送信手段を設け、前記発電機が、前記外方部材にこの外方部材と同心に取付けられコイルを収容した磁性体のリング部材と、前記内方部材にこの内方部材と同心に取付けられた一対のリング状の多極磁石とでなり、前記リング部材は、前記コイルを収容した収容部分、およびこの収容部分に対して内径側に位置する磁極部を有し、前記収容部分は、リング部材の軸心を含む平面で断面した断面形状が、内周壁部、外周壁部、および一対の側壁部からなる略矩形の管状であって、前記内周壁部と一方の側壁部とが不連続であり、前記磁極部は、前記一方の側壁部から延びて円周方向に櫛歯状に並ぶ複数の爪と、前記内周壁部から延びて円周方向に櫛歯状に並ぶ複数の爪とを、円周方向に互いに隙間を介して交互に並べてなり、前記一方の側壁部から延びる複数の爪は、この側壁部の内径側端から内径側に延びてさらに他方の側壁部側へ折れ曲がって延びる形状であり、前記内周壁部から延びる複数の爪は、この内周壁部における前記一方の側壁部側の端部から内径側へ折れ曲がって延びてさらに他方の側壁部側へ折れ曲がって延びる形状であり、前記一対のリング状の多極磁石はそれぞれ円周方向に並ぶ複数の磁極を有し、これら一対のリング状の多極磁石は、前記リング部材における前記磁極部の内径側の面と外径側の面とにそれぞれラジアル方向に対面させたことを特徴とする車輪用軸受装置。
- 前記外方部材と内方部材のいずれか一方に車輪取付けフランジを設けた請求項1に記載の車輪用軸受装置。
- 前記外方部材と内方部材のいずれか一方に車体に取付けるためのフランジを設けた請求項1または請求項2に記載の車輪用軸受装置。
- 前記一対の多極磁石が、共通の取付部材に取付けられ、この取付部材を介して前記内方部材に取付けられている請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の車輪用軸受装置。
- 前記送信手段が環状の送信機を有する請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の車輪用軸受装置。
- 前記送信手段が環状の送信機を有し、この送信機が前記発電機を構成するリング部材と一体となっている請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の車輪用軸受装置。
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