JP2005331430A - 回転センサ付軸受装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 回転数および回転方向の検出が可能なアニューラ型の回転センサ付きの軸受装置を提供する。
【解決手段】 この回転センサ付軸受装置は、外方部材1および内方部材2と、これら両部材の間に介在する転動体3と、回転センサ7とを備える。外方部材1および内方部材2のうちのいずれか一方の部材にパルサリング9が設けられ、他方の部材に、コイル12を内蔵したリング状の磁気ヨーク8A,8Bがパルサリング9に対向して設けられる。パルサリング9と磁気ヨーク8A,8Bとで回転センサ7が構成される。回転センサ7は、パルサリング9と磁気ヨーク8A,8Bとの相対回転でコイル12に誘起される発電電圧を回転信号として回転検出を行う。回転センサ7は、磁気ヨーク8A,8B内のコイル12から、位相の異なる2つの回転信号を出力する。
【選択図】 図1
【解決手段】 この回転センサ付軸受装置は、外方部材1および内方部材2と、これら両部材の間に介在する転動体3と、回転センサ7とを備える。外方部材1および内方部材2のうちのいずれか一方の部材にパルサリング9が設けられ、他方の部材に、コイル12を内蔵したリング状の磁気ヨーク8A,8Bがパルサリング9に対向して設けられる。パルサリング9と磁気ヨーク8A,8Bとで回転センサ7が構成される。回転センサ7は、パルサリング9と磁気ヨーク8A,8Bとの相対回転でコイル12に誘起される発電電圧を回転信号として回転検出を行う。回転センサ7は、磁気ヨーク8A,8B内のコイル12から、位相の異なる2つの回転信号を出力する。
【選択図】 図1
Description
この発明は、各種の設備機器や、自動車の車輪用軸受装置等に適用される回転センサ付軸受装置に関する。
工場内におけるコンベヤ設備やモータ動力の伝達系、その他種々の機器において、回転速度を検出することが求められることがある。このような回転検出の手段を軸受に一体化して、回転センサの設置作業上の利便や設置空間の確保の容易化を図った回転センサ付軸受装置が提案されている。
また、自動車においては、アンチロックブレーキシステム(ABS)の制御や、走行姿勢の制御等のために、回転検出が求められ、その回転センサを車輪用軸受装置に装備したものがある。
また、自動車においては、アンチロックブレーキシステム(ABS)の制御や、走行姿勢の制御等のために、回転検出が求められ、その回転センサを車輪用軸受装置に装備したものがある。
このような車輪用軸受装置に設けられるパッシブ型ABSセンサとして、アニューラ型回転センサ、つまり環状の回転センサが提案されている(例えば、特許文献1,特許文献2)。これらの特許文献のアニューラ型回転センサは、パルサリングと、コイルを内蔵した環状の磁気ヨークとからなる。磁気ヨークにはパルサリングと対向する位置に複数の歯が、パルサリングの磁極と同じピッチで設けられており、パルサリングの回転に伴って磁気ヨークを通る磁束が変化することでコイルに電圧が誘起される。これにより回転センサが車輪の回転を検出する。上記アニューラ型回転センサは、回転によりコイル電圧を誘起して回転検出信号とするものであるため、電源供給が不要と言う利点がある。また環状に設けられた磁気ヨークの全周に並ぶ歯を利用して検出できるため、高い分解能が得られるという利点がある。
特開平5−264562号公報
特開平8−285879号公報
しかし、従来のアニューラ型回転センサは、1つの回転信号を出力するものであり、そのため回転方向の検出が行えなかった。回転センサ付軸受装置を使用する各種の機器において、回転方向まで検出可能とすることが望まれる場合が多くある。例えば、車輪用軸受装置においては、回転方向が検出できると、坂道発進時の車両の後退検出によるヒルホールド制御等が行える。
回転センサ付軸受装置に用いられる回転センサとして、パルサリングとその円周方向の一部に対向するホール素子等を用いたものにおいては、回転方向の検出が可能なものが提案されている。これは、ホール素子をパルサリングの円周方向に離して複数設けることで2つの回転信号を得るものである。しかし、上記ホール素子等を用いた回転センサは、強い信号出力を得るためには、電源が必要であり、電源供給の面で不利である。また、分解能がパルサリングの極数に依存するため、分解能を高めることが難しい。
回転センサ付軸受装置に用いられる回転センサとして、パルサリングとその円周方向の一部に対向するホール素子等を用いたものにおいては、回転方向の検出が可能なものが提案されている。これは、ホール素子をパルサリングの円周方向に離して複数設けることで2つの回転信号を得るものである。しかし、上記ホール素子等を用いた回転センサは、強い信号出力を得るためには、電源が必要であり、電源供給の面で不利である。また、分解能がパルサリングの極数に依存するため、分解能を高めることが難しい。
この発明の目的は、回転数および回転方向の検出が可能なアニューラ型の回転センサ付きの軸受装置を提供することである。
この発明の回転センサ付軸受装置は、内周に軌道面を有する外方部材と、この軌道面に対向する軌道面を外周に有する内方部材と、対向する軌道面間に介在した複数の転動体とを備え、前記外方部材および内方部材のうちのいずれか一方の部材にパルサリングが設けられ、他方の部材に、コイルを内蔵したリング状の磁気ヨークが前記パルサリングに対向して設けられ、これらパルサリングとコイル内蔵の磁気ヨークとにより、両者の相対回転によってコイルに誘起される発電電圧により回転を検出する回転センサを構成したものであって、前記回転センサが、位相の異なる2つの回転信号を出力するものであることを特徴とする。
この構成によると、外方部材と内方部材の相対回転によって、回転センサのパルサリングと磁気ヨークとが相対回転し、磁気ヨーク内蔵のコイルに回転数に比例した周波数の電圧が誘導される。その誘起電圧が回転信号として回転センサから出力される。回転センサからは位相の異なる2つの回転信号が出力されるため、その位相差から回転方向を検出することができる。回転センサは、パルサリングと磁気ヨークとが相対回転でコイルに電圧を誘起させるものであるため、センサ用の電源を設けることなく回転検出でき、したがって電源不要で回転数および回転方向の検出が可能な回転センサ付軸受装置とすることができる。
2つの回転信号の位相は、略90°異なるものであることが望ましい。2つの回転信号の位相差が略90°であると、回転方向の検出が、簡易な信号処理で確実に行える。
前記回転センサは、前記コイルを内蔵したリング状の磁気ヨークを2つ並べて搭載したものであっても良い。これら2つの磁気ヨークは、内蔵のコイルの位置、あるいは磁気ヨークに設けられる歯の位相等を互いに変えることで、2つの磁気ヨークのコイルから、互いに位相の異なる回転信号が得られる。
この発明において、前記回転センサが、回転検出手段と電力の供給手段とを兼ねるものとしても良い。前記回転センサの出力する回転信号は、コイルに誘起された発電電力によるものであるため、その発電電力を他の機器への電力として使用できる。例えば、軸受装置に温度センサなど他のセンサ類や、センサ信号の無線送信のための電子回路等を搭載する場合に、それらのセンサ類や電子回路に別途電源を設ける必要がなく、それだけ軸受装置をコンパクトに構成でき、配線系も簡素にできる。
この発明において、前記回転センサ付軸受装置が、内周に複列の軌道面を有する外方部材と、この軌道面に対向する軌道面を外周に有する内方部材と、対向する軌道面間に介在した複列の転動体とを備え、車体に対して車輪を回転自在に支持する車輪用軸受装置であっても良い。
車輪用軸受装置においては、前記センサから得られる回転信号は、車輪の回転数の検出信号としてアンチロックブレーキシステムや姿勢制御システム等に利用れる。また、回転センサから出力される2つの回転信号により車輪回転方向の検出が行え、これにより坂道発進時の車両の後退検出等が行え、車両制御の一層の高度化を図ることができる。
車輪用軸受装置においては、前記センサから得られる回転信号は、車輪の回転数の検出信号としてアンチロックブレーキシステムや姿勢制御システム等に利用れる。また、回転センサから出力される2つの回転信号により車輪回転方向の検出が行え、これにより坂道発進時の車両の後退検出等が行え、車両制御の一層の高度化を図ることができる。
この発明の回転センサ付軸受装置は、内周に軌道面を有する外方部材と、この軌道面に対向する軌道面を外周に有する内方部材と、対向する軌道面間に介在した複数の転動体とを備え、前記外方部材および内方部材のうちのいずれか一方の部材にパルサリングが設けられ、他方の部材に、コイルを内蔵したリング状の磁気ヨークが前記パルサリングに対向して設けられ、これらパルサリングとコイル内蔵の磁気ヨークとにより、両者の相対回転によってコイルに誘起される発電電圧により回転を検出する回転センサを構成したものであって、前記回転センサを、位相の異なる2つの回転信号を出力するものとしたため、回転数の他に回転方向の検出が可能となり、アニューラ型の回転センサにおける電源不要等の利点を得ながら、回転数および回転方向の検出が可能な優れた機能を有するものとできる。
この発明の第1の実施形態を図1ないし図4と共に説明する。この実施形態に係る回転センサ付軸受装置はラジアル型の深溝玉軸受であって、内周に軌道面1aを有する外方部材1と、この軌道面1aに対向する軌道面2aを外周に有する内方部材2と、前記両軌道面1a,2a間に介在した複数の転動体3と、回転センサ7とを備える。外方部材1は固定側の軌道輪であり、一体の外輪からなる。内方部材2は回転側の軌道輪であり、回転軸6に圧入嵌合される一体の内輪からなる。転動体3はボールからなり、保持器4で保持されている。内方部材2と外方部材1の間の一端はシール部材5で密封されている。
回転センサ7はアニューラ型のものであって、それぞれコイル12を内蔵して外方部材1に取付けられた2つのリング状の磁気ヨーク8A,8Bと、内方部材2に取付けられた1つのパルサリング9とでなる。この回転センサ7は、前記磁気ヨーク8A,8Bとパルサリング9との相対回転によりコイル12に誘起される発電電圧により回転検出を行うものである。
パルサリング9は芯金10付きの多極磁石11からなる。芯金10は大径部10aと小径部10bとからなる断面Z字状の段付き円筒部材とされ、その小径部10bの外周に、例えばゴム磁石とされた前記多極磁石11が加硫接着等で固着される。芯金10は磁性体であることが望ましい。パルサリング9は、その芯金10の大径部10aを内方部材2の外径面に圧入嵌合させることにより、内方部材2における前記シール部材5の設置側とは反対側の端部に、その端部から軸方向外方に張り出した状態で取付けられる。上記したように、芯金10の小径部10bに多極磁石11を設けることで、空間的に余裕のない軸受端部に回転センサ7を容易に装着できる。多極磁石11は、図2に示すようなリング状であり、円周方向に並べて磁極N,Sが等間隔で交互に着磁されている。多極磁石11は、ゴム磁石に限らず、プラスチック磁石や焼結磁石を用いても良い。さらには多極磁石11として、フェライトや、Nd系,SmFe系の希土類磁石を用いても良い。
磁気ヨーク8A,8Bはラジアル型であり、それぞれコイル12を内蔵した磁性体のリング部材からなり、共通の支持部材13を介して外方部材1に取付けられる。すなわち、前記支持部材13は小径部13aと大径部13bとからなる断面Z字状の段付き円筒部材とされ、その大径部13bの内周に前記各磁気ヨーク8A,8Bが、前記パルサリング9の多極磁石11に対して径方向に対向するように軸方向に並べて取付けられる。その支持部材13の小径部13aを外方部材1の内径面に圧入嵌合させることにより、外方部材1における前記シール部材5の設置側とは反対側の端部に、その端部から軸方向外方に張り出した状態で磁気ヨーク8A,8Bが取付けられる。磁気ヨーク8A,8Bには、その内部から外側に向けて延びるコネクタピン14が設けられており、このコネクタピン14の内端にコイル12が接続されている。
各磁気ヨーク8A,8Bは、図3(A)に半部を破断した側面図で示すように、軸方向に向けて開口する溝形の断面形状とされた2つの磁性体リング15,16からなる。両磁性体リング15,16を、その開口が互いに対向するように向かい合わせて外径部で互いに嵌合させることで、断面が略方形のリング体の磁気ヨーク8A,8Bとされている。各磁性体リング15,16の前記多極磁石11と対面する内周側部分には、互いに軸方向に対向して延びる櫛歯状の爪15a,16aが形成され、この2組の各爪15a,16aは円周方向に上記多極磁石11の磁極と同じピッチで交互に配列されている。これらの磁性体リング15,16は接着剤で一体に組み立てても、樹脂等で固めて組み立てても良い。
このように磁気ヨーク8A,8Bを構成することにより、磁気ヨーク8A,8Bの多極磁石11と対向する面積を大きくすることができ、それだけ磁気ヨーク8A,8Bに導かれる磁束を多くすることができる。その結果、磁気ヨーク8A,8Bにおけるコイル12の発電電圧を高めることができ、回転センサ7の出力を大きくすることができる。
各磁気ヨーク8A,8Bの前記支持部材13への取付けにおいては、磁気ヨーク8A,8Bにおける爪15a,16aの位相が両磁気ヨーク8A,8B間で互いに異なるように、磁気ヨーク8A,8Bの円周方向位置が設定される。ここでは、隣接する両爪15a,16aが並ぶ周方向間隔を1周期区間として、両磁気ヨーク8A,8Bは互いに略90°の位相差を持つように円周方向位置が設定される。このように磁気ヨーク8A,8Bを円周方向の所定位置に固定するために、前記支持部材13の大径部13bと磁気ヨーク8A,8Bの外径部とに位置合わせ用の孔を設け、支持部材13の孔と磁気ヨーク8A,8Bの孔とが整合する位置で各磁気ヨーク8A,8Bを固定するようにしても良い。
この構成の回転センサ付軸受装置によると、パルサリング9と磁気ヨーク8A,8Bとの相対回転により、磁気ヨーク8A,8Bに内蔵されているコイル12に内方部材2の回転数に比例した周波数の電圧が誘導され、その誘起電圧が回転信号となる。
図4は、回転センサ7から出力される回転信号を示す波形図である。図4(A)は磁気ヨーク8Aからの回転信号波形を示し、図4(B)は磁気ヨーク8Bからの回転信号波形を示す。両磁気ヨーク8A,8Bは円周方向に略90°の位相差を持たせて設置されているので、これらの回転信号も図4のように互いに略90°の位相差を持つ。これら両回転信号により、内方部材2の回転数および回転方向を検出することができる。すなわち、両回転信号のいずれか一方により回転数を検出することができる。また、両回転信号の位相差から回転方向を検出することができる。
図4は、回転センサ7から出力される回転信号を示す波形図である。図4(A)は磁気ヨーク8Aからの回転信号波形を示し、図4(B)は磁気ヨーク8Bからの回転信号波形を示す。両磁気ヨーク8A,8Bは円周方向に略90°の位相差を持たせて設置されているので、これらの回転信号も図4のように互いに略90°の位相差を持つ。これら両回転信号により、内方部材2の回転数および回転方向を検出することができる。すなわち、両回転信号のいずれか一方により回転数を検出することができる。また、両回転信号の位相差から回転方向を検出することができる。
なお、前記両回転信号の位相差は必ずしも90°でなくても良いが、90°であることが、信号処理の容易や方向検出の確実のために望ましい。
また、これら2つの回転信号を逓倍しても良く、その場合には回転検出の分解能を高めることができる。
また、これら2つの回転信号を逓倍しても良く、その場合には回転検出の分解能を高めることができる。
さらに、この実施形態の回転センサ付軸受装置において、温度センサなどの他の電気部品を装着しても良い。この場合には、磁気ヨーク8A,8Bのコイル12に誘導される電力を前記電気部品に供給できる。すなわち、回転センサ7は回転検出手段となるだけでなく、電気部品に電力を供給する供給手段にも兼用できる。その結果、他の電気部品のために別途電源を設ける必要がなく、それだけ軸受装置をコンパクトに構成できる。
また、コイル12の回転信号をワイヤレスで送信する送信手段(図示せず)を設け、その送信手段を構成する電子回路の電源として、回転センサ7の発電電力を利用するものとしても良い。
また、コイル12の回転信号をワイヤレスで送信する送信手段(図示せず)を設け、その送信手段を構成する電子回路の電源として、回転センサ7の発電電力を利用するものとしても良い。
図5は、この発明の他の実施形態を示す。この回転センサ付軸受装置は、図1に示す第1の実施形態の深溝玉軸受において、内輪である内方部材2が固定側、外輪である外方部材1が回転側である外輪回転タイプとしたものである。回転センサ7Aは、この場合もアニューラ型のものであるが、そのパルサリング9は外輪1に、磁気ヨーク8A,8Bは内方部材2に取付けられる。
パルサリング9は芯金20付きの多極磁石11からなる。芯金20は小径部20aと大径部20bとからなる断面Z字状の段付き円筒部材とされ、その大径部20bの内周に多極磁石11が加硫接着される。パルサリング9は、その芯金20の小径部20aを外方部材1の内径面に圧入嵌合させることにより、外方部材1におけるシール部材5の設置側とは反対側の端部に、その端部から軸方向外方に張り出した状態で取付けられる。
磁気ヨーク8A,8Bはこの場合もラジアル型のものであり、それぞれコイル12を内蔵した磁性体のリング部材からなり、共通の支持部材23を介して内方部材2に取付けられる。すなわち、前記支持部材23は大径部23aと小径部23bとからなる断面Z字状の段付き円筒部材とされ、その小径部23bの外周に前記磁気ヨーク8A,8Bが取付けられる。その支持部材23の大径部23aを内方部材2の外径面に圧入嵌合させることにより、内方部材2におけるシール部材5の設置側とは反対側の端部に、その端部から軸方向外方に張り出した状態で磁気ヨーク8A,8Bが取付けられる。
磁気ヨーク8A,8Bの構造は、第1の実施形態の場合と略同じであるが、前記多極磁石11と対面する外周側部分に、互いに軸方向に対向して延びる櫛歯状の爪15a,16aが形成されている点が異なる。その他の構成は第1の実施形態の場合と同じである。
この構成の回転センサ付軸受装置においても、パルサリング9と磁気ヨーク8A,8Bとの相対回転により、磁気ヨーク8A,8Bに内蔵されているコイル12に外方部材1の回転数に比例した周波数の電圧が誘導され、その誘起電圧が回転信号となる。両磁気ヨーク8A,8Bの回転信号は互いに略90°の位相差を持つので、これら両回転信号により外方部材1の回転数および回転方向を検出することができる。すなわち、回転数は、両回転信号のいずれか一方により検出することができ、両回転信号の位相差から回転方向を検出することができる。
図6は、この発明の他の実施形態を示す。この実施形態は第3世代の内輪回転タイプであって、従動輪支持用の軸受装置に適用した例である。なお、この明細書において、車両に取付けた状態で車両の車幅方向外側寄りとなる側をアウトボード側と言い、車両の中央寄りとなる側をインボード側と呼ぶ。図6では、左側がアウトボード側、右側がインボード側となる。この回転センサ付軸受装置は、内周に複列の軌道面1aを有する外方部材1と、これら軌道面1aにそれぞれ対向する軌道面2aを有する内方部材2と、軌道面1a,2a間に介在した複数の転動体3と、回転センサ7とを備える。外方部材1は、一端に車体取付フランジ1bを有し、この車体取付フランジ1bを介して車体のナックル(図示せず)等に取付けられる。
内方部材2は、車輪取付フランジ2bを有し、この車輪取付フランジ2bに車輪(図示せず)がボルト22で取付けられる。この軸受装置は、複列のアンギュラ玉軸受とされ、背面合わせとなるように各軌道面1a,2aの接触角が形成されている。転動体3は各列毎に保持器4で保持されている。前記のアウトボード側の転動体3の外側において、外方部材1と内方部材2との間の環状空間がシール部材5により密封されている。
内方部材2は、車輪取付フランジ2bを一体に有するハブ輪2Aと、他のハブ内輪2Bとを加締等の塑性結合により一体に組み合わせたものとされ、これらハブ輪2Aおよびハブ内輪2Bのそれぞれに、上記複列の軌道面2aのうちの各列の軌道面2aが形成されている。
外方部材1には、この軸受装置のインボード側の端部全体を覆うキャップ24が取付けられ、このキャップ24の内側に回転センサ7が配置されている。このキャップ24により、外部から軸受装置内への浸水が防止される。キャップ24は円筒状のものであり、一端部はコネクタ嵌合部24bを除き閉鎖された端面部24cとされている。
外方部材1には、この軸受装置のインボード側の端部全体を覆うキャップ24が取付けられ、このキャップ24の内側に回転センサ7が配置されている。このキャップ24により、外部から軸受装置内への浸水が防止される。キャップ24は円筒状のものであり、一端部はコネクタ嵌合部24bを除き閉鎖された端面部24cとされている。
この例の回転センサ7は、図1ないし図4に示す第1の実施形態のものと同じであり、その詳細な構造については説明を省略する。パルサリング9は、その芯金10をハブ内輪2Bのインボード側端部外径面に圧入嵌合させることにより内方部材2に取付けられ、内方部材2と共に回転する。磁気ヨーク8A,8Bは、コネクタ34と共に樹脂で一体成形され、その一体成形品のコネクタ部分をキャップ24に接着させることで、キャップ円筒部24aの内周側に磁気ヨーク8A,8Bが軸方向に並べて設置されている。磁気ヨーク8A,8Bはコネクタ34と共に樹脂でキャップ24に一体成形しても良く。さらには、磁気ヨーク8A,8Bをキャップ円筒部24aの内周に直接圧入嵌合させても良い。コネクタピン14は磁気ヨーク8A,8Bの外部で折り曲げられて、キャップ24に設けられたコネクタ34からキャップ24の外部に突出させてある。このコネクタ34を介して磁気ヨーク8A,8Bが外部のECU(電気制御ユニット)と接続される。コネクタ嵌合部24bにおけるコネクタ24の出口近傍には弾性体リング35が介装されており、これによりコネクタ嵌合部24bの防水が図られている。
この構成の回転センサ付軸受装置では、パルサリング9の取付けられた内方部材2が車輪と一体に回転すると、パルサリング9と磁気ヨーク8A,8Bとの相対回転により、磁気ヨーク8A,8Bの各コイル12に車輪回転数に比例した周波数の電圧が誘導され、これが回転信号として各磁気ヨーク8A,8Bから出力される。その出力はコネクタ34を介して外部に取り出される。回転センサ7から出力される回転信号により、車輪の回転数を検出することができる。また、回転センサ7から出力される2つの回転信号は位相が略90°異なることから、車輪の回転方向も検出することができ、坂道停車時の車両の後退検出などに利用できて、車両制御の高度化を図ることができる。
図7は、この発明のさらに他の実施形態を示す。この実施形態の回転センサ付軸受装置は、図6に示した実施形態において、ラジアル型の回転センサ7をアキシアル型の回転センサ7Bに置き換えたものである。この場合の回転センサ7Bもアニューラ型のものであって、外方部材1に取付けられコイル12を内蔵したリング状の磁気ヨーク18A,18Bと、内方部材2に取付けられたパルサリング19とでなり、磁気ヨーク18A,18Bとパルサリング19との相対回転により誘起される発電電圧により回転検出を行う。
前記パルサリング19は芯金30付きの多極磁石31からなる。芯金30は断面概形がL字状の環体とされ、その立板部30bの側面に、例えばゴム磁石とされた多極磁石31が加硫接着等で固着される。芯金30は磁性体であることが望ましい。パルサリング19は、その芯金30の円筒部30aを前記ハブ内輪2Bのインボード側端部外径面に圧入嵌合させることにより内方部材2に取付けられ、内方部材2と共に回転する。多極磁石31は、第1の実施形態の場合と同様に、図8に示すようなリング状のゴム磁石であって、円周方向に並べて磁極N,Sが等間隔で交互に着磁されている。多極磁石31にはプラスチック磁石や焼結磁石を用いても良い。さらには、多極磁石31として、フェライトや、Nd系,SmFe系の希土類磁石を用いても良い。
前記磁気ヨーク18A,18Bはアキシアル型のものであって、前記パルサリング19の多極磁石31に対して軸方向に対向する位置にコイル12を内蔵した磁性体のリング部材からなり、コネクタ34と共に樹脂で一体成形され、その一体成形品のコネクタ部分をキャップ24のコネクタ嵌合部24bに嵌着させることで、キャップ円筒部24aの内周側に磁気ヨーク8A,8Bが同心状に設置されている。前記コネクタ34を介して磁気ヨーク8A,8Bが外部のECUと接続されることや、コネクタ嵌合部24bにおけるコネクタ24の出口近傍に弾性体リング35が介装されていることは、図6の実施形態の場合と同じである。
磁気ヨーク18A,18Bは、図9(B)に半部を破断した側面図で示すように、断面L字状の2つの磁性体リング25,26と、軸方向に向けて開口する溝形の断面形状とされた1つの磁性体リング27を互いに嵌合させることで、断面が略方形のリング体とされている。2つの磁性体リング25,26の上記多極磁石31と対面する側面部分には、図9(A)に正面図で示すように、互いに径方向に対向して延びる櫛歯状の爪25a,26aが形成され、この2組の各爪25a,26aは円周方向に上記多極磁石31の磁極と同じ間隔で交互に配列されている。これらの磁性体リング25〜27は接着剤で一体に組み立てても良く、あるいは樹脂等で固めて組み立てても良い。
各磁気ヨーク18A,18Bのキャップ円筒部24a内への設置においては、磁気ヨーク18A,18Bにおける爪25a,26aの位相が両磁気ヨーク18A,18B間で互いに異なるように、磁気ヨーク18A,18Bの円周方向位置が設定される。すなわち、ここでは、隣接する両爪25a,26aが並ぶ周方向間隔を1周期区間として、両磁気ヨーク18A,18Bは互いに90°の位相差を持つように円周方向位置が設定される。
この構成の回転センサ付軸受装置においても、パルサリング19の取付けられた内方部材2が車輪と一体に回転すると、パルサリング19と磁気ヨーク18A,18Bとの相対回転により、磁気ヨーク18A,18Bの各コイル12に車輪回転数に比例した周波数の電圧が誘導され、これが回転信号として各磁気ヨーク18A,18Bから出力される。その出力はコネクタ24を介して外部に取り出される。
図10は、この発明のさらに他の実施形態を示す。この実施形態の回転センサ付軸受装置は、図6に示した実施形態において、ラジアル型の回転センサ7を以下の構成の回転センサ7Cに置き換えたものである。この場合の回転センサ7Cもアニューラ型の回転センサであって、キャップ24を介して外方部材1に取付けられ軸方向に並ぶ磁気ヨーク28A,28Bと、内方部材2に取付けられるパルサリング29とでなる。パルサリング29は大径部29aと小径部29bとからなる断面Z字状のリング部材とされ、その小径部29bに、円周方向に等間隔で並べた複数の窓32が形成されている。パルサリング29は、その大径部29aをハブ内輪2Bの外径面に圧入嵌合させることにより、ハブ内輪2Bの端部から軸方向外方に張り出した状態で取付けられる。
磁気ヨーク28A,28Bは、第1の実施形態と略同様の構造であり、上記パルサリング29の小径部29bと対面する内周側部分に、互いに軸方向に対向して延びる櫛歯状の爪15a,16aを有するものとされる。この2組の各爪15a,16aは円周方向に上記パルサリング29の窓32と同じ間隔で交互に配列されている。また、この場合の回転センサ7Bでは、前記各実施形態においてパルサリング9,19側に多極磁石11,31を設けていたのに代えて、一方向に着磁させた磁石36が、両磁気ヨーク28A,28Bで挟まれるように設置されている。磁石36はリング状であっても、複数個を円周方向に並べて配置しても良い。その他の構成は、図6に示す実施形態の場合と同じである。
この構成の回転センサ付軸受装置においても、パルサリング29と磁気ヨーク28A,28Bとの相対回転により、磁気ヨーク28A,28Bの各コイル12に車輪回転数に比例した周波数の電圧が誘導され、これが回転信号として各磁気ヨーク28A,28Bから出力される。その出力はコネクタ34を介して外部に取り出される。
1…外方部材
1a…軌道面
2…内方部材
2a…軌道面
3…転動体
7,7A,7B,7C…回転センサ
8A,8B…磁気ヨーク
9,19,29…パルサリング
12…コイル
18A,18B…磁気ヨーク
28A,28B…磁気ヨーク
1a…軌道面
2…内方部材
2a…軌道面
3…転動体
7,7A,7B,7C…回転センサ
8A,8B…磁気ヨーク
9,19,29…パルサリング
12…コイル
18A,18B…磁気ヨーク
28A,28B…磁気ヨーク
Claims (5)
- 内周に軌道面を有する外方部材と、この軌道面に対向する軌道面を外周に有する内方部材と、対向する軌道面間に介在した複数の転動体とを備え、前記外方部材および内方部材のうちのいずれか一方の部材にパルサリングが設けられ、他方の部材に、コイルを内蔵したリング状の磁気ヨークが前記パルサリングに対向して設けられ、これらパルサリングとコイル内蔵の磁気ヨークとにより、両者の相対回転によってコイルに誘起される発電電圧により回転を検出する回転センサを構成した回転センサ付軸受装置であって、前記回転センサが、位相の異なる2つの回転信号を出力するものであることを特徴とする回転センサ付軸受装置。
- 請求項1において、2つの回転信号の位相が略90°異なる回転センサ付軸受装置。
- 請求項1または請求項2において、前記コイルを内蔵したリング状の磁気ヨークを2つ並べて搭載した回転センサ付軸受装置。
- 請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、前記回転センサが、回転検出手段と電力の供給手段とを兼ねるものとした回転センサ付軸受装置。
- 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の回転センサ付軸受装置であって、内周に複列の軌道面を有する外方部材と、この軌道面に対向する軌道面を外周に有する内方部材と、対向する軌道面間に介在した複列の転動体とを備え、車体に対して車輪を回転自在に支持する車輪用軸受装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004151240A JP2005331430A (ja) | 2004-05-21 | 2004-05-21 | 回転センサ付軸受装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2004151240A JP2005331430A (ja) | 2004-05-21 | 2004-05-21 | 回転センサ付軸受装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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JP2017072170A (ja) * | 2015-10-06 | 2017-04-13 | 日本精工株式会社 | ワイヤレスセンサ付き軸受 |
-
2004
- 2004-05-21 JP JP2004151240A patent/JP2005331430A/ja active Pending
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