JP2017072170A - ワイヤレスセンサ付き軸受 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ワイヤレスセンサ付き軸受1は、保持器6の転動体5を挟んで対向する端面のうち一方の端面に設けられたS極とN極とが周方向に交互に連続する環状の多極リング磁石7と、静止輪である第2の軌道輪3の外表面より内側に設けられた、第2の軌道輪3を含む構成部品に生じる物理現象に係る物理量を検出する検出センサ9と、第1のシール4の多極リング磁石7と対向する側の面に設けられた、コイル40、検出センサ9の検出結果に基づく情報を無線送信する処理を行う制御回路44、無線回路45及びアンテナ46、並びに多極リング磁石7とコイル40との相対回転によってコイル40に生じる誘導起電力を用いて検出センサ9、制御回路44及び無線回路45に駆動電力を供給する電源回路43と、を備える。
【選択図】図1
Description
そこで、本発明は、このような従来の技術の有する未解決の課題に着目してなされたものであって、既存のワイヤレス軸受との置き換えが容易なワイヤレスセンサ付き軸受を提供することを目的としている。
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
(構成)
本実施形態に係るワイヤレスセンサ付き軸受1は、図1(a)に示すように、第1の軌道輪である内輪2と、内輪2の外側に該内輪2と同心に配置された第2の軌道輪である外輪3と、内輪2及び外輪3の間の隙間を塞ぐ第1のシール4及び第2のシール8(後述)とを備える。本実施形態では、内輪2が回転軸(不図示)と共に回転する回転輪となり、外輪3が軸受ハウジング(不図示)等に固定されて回転しない静止輪となる。
この軸受1は、更に、図1(b)に示すように、内輪2の外周面及び外輪3の内周面との間に設けられた、球状の複数の転動体5、及びこれら複数の転動体5を転動自在に周方向に等間隔を空けて保持する環状の保持器6を備える。加えて、軸受1は、保持器6の転動体5を挟んで対向する2つの端面のうち一方の端面に設けられた多極リング磁石7を備える。
なお、本実施形態では、軸受1を転動体5の形状が球状の玉軸受から構成しているが、この構成に限らず、転動体5の形状が、円錐形状、円筒形状、針状、たる状などのころ軸受から構成してもよい。
コイル40は、例えば、銅等の導体を材料としてエッチング法等の薄膜パターン形成方法を用いて第1のシール4の多極リング磁石7と対向する側の面に設けられており、磁束密度(起電力)を大きくするための第1パターン40a及び第2パターン40bと、巻線部分である第3パターン40cとから構成される。
第2パターン40bは、第1のシール4の多極リング磁石7と対向する側の端面の内周側端部から外周側に向かって伸びる直線状のパターンが第1パターン40aの直線状のパターンと互い違いとなるように周方向に円弧状に等間隔に形成された櫛状のパターンである。
なお、本実施形態では、コイル40を一層の構成としたが、発電力向上のために多層構造としてもよい。
電源回路43、制御回路44、無線回路45及びアンテナ46は、第1のシール4の多極リング磁石7と対向する側の面における、コイル40の形成部分以外の残りの部分に形成されている。そして、本実施形態では、電源回路43、制御回路44、無線回路45及びアンテナ46は、図2に示すように、これらをグリースや摩耗粉から保護するための保護カバー47で覆われている。なお、各回路の詳細については後述する。
そして、このような構成の多極リング磁石7を、例えば6,6−ナイロン(登録商標)等の非磁性材料で形成された保持器6の転動体5を挟んだ一方の端面に、ヨーク70側の面を接合して取り付けている。
なお、強度の観点からは、射出成型によって一体成型することが望ましいが、ヨーク70及びマグネットゴムシート71を一体成型してなる多極リング磁石7を、保持器6の端面に接着や嵌合等の取付手段で取り付ける構成としてもよい。この構成とすることで、既存のセンサレス軸受の保持器をそのまま用いることが可能となる。
また、多極リング磁石7の劣化を防ぐために、マグネットゴムシート71又はプラスチックマグネットと、ヨーク70との表面をフッ素ゴム等で被覆する構成としてもよい。
また、マグネットゴムシート71又はプラスチックマグネットは、磁束密度を向上させるために、ネオジム磁石又はサマリウムコバルト磁石を含有していることが望ましい。
一方、第1のシール4は、図4及び図5に示すように、例えば電磁鋼板等の強磁性体材料から形成された環状の芯金41と、芯金41の表面を被覆するゴム等の絶縁材料から形成された絶縁膜42とから構成されている。そして、第1のシール4の絶縁膜42上に、コイル40、電源回路43、制御回路44、無線回路45及びアンテナ46が形成されている。
また、コイル40、電源回路43、制御回路44、無線回路45及びアンテナ46は、絶縁膜42上に直接設ける構成に限らず、別基板に形成して、絶縁膜42上に接着又は嵌合等の取付手段によって取り付ける構成としてもよい。
本実施形態において、第1のシール4は、外周側端部を外輪3の内周面の軸方向の一端側に設けられた第1の溝31の内側に嵌め込んで固定支持し、内周側端部を内輪2の外周面の軸方向の一端側に設けられた第2の溝21の内側の面に押し当てた状態で配置されている。
即ち、本実施形態において、第1のシール4及び第2のシール8は、接触形のシールから構成されている。なお、第1のシール4及び第2のシール8は、接触形のシールに限らず非接触形のシールから構成してもよい。
そして、回転軸が回転し内輪2が回転すると転動体5が転動し、転動体5から駆動力を受けて保持器6が回転する。これにより、保持器6と共に多極リング磁石7が回転して、多極リング磁石7と静止状態にあるコイル40とが相対回転する。
一方、本実施形態に係る軸受1は、図5に示すように、外輪3の内周面における転動体5を挟んで第1のシール4側に検出センサ9が設けられている。検出センサ9は、軸受1の構成部品に生じる物理現象(例えば、発熱、振動、変形等)に係る物理量を検出する1つ以上のセンサから構成されている。
本実施形態では、図7に示すように、コイル40で発電された電力が、電源回路43を介して駆動電力として、検出センサ9、制御回路44及び無線回路45に供給されるように電気的な配線等が構成されている。また、検出センサ9の検出結果は、制御回路44へと入力されるように電気的な配線等が構成されている。
無線回路45は、制御回路44からの制御信号に従って、予め設定した周期で演算結果を、アンテナ46を介して外部に無線送信し、送信タイミング以外ではスリープ状態となるように動作する。この無線送信された演算結果は、上位装置等の備える無線受信部100によって受信される。
また、電源回路43は、図8に示すように、整流回路430と、平滑回路431と、蓄電回路432と、蓄電用二次電池433と、定電圧出力回路434とを備える。
整流回路430は、コイル40から入力される起電力(交流電力)を整流して直流電力へと変換し、この直流電力を平滑回路431へと出力する。
蓄電回路432は、制御回路44の演算処理及び無線回路45の無線送信処理の実行期間は、平滑回路431から入力された直流電力を定電圧出力回路434に出力する。一方、制御回路44の演算処理及び無線回路45の無線送信処理が実行されない期間は、平滑回路431から入力された直流電力によって蓄電用二次電池433を充電する。
定電圧出力回路434は、蓄電回路432からの直流電力、又は蓄電用二次電池433からの直流電力を一定電圧Vbの駆動電力として制御回路44、無線回路45及び検出センサ9に供給する。なお、本実施形態では、蓄電用二次電池433に蓄電された電力は、検出センサ9、制御回路44及び無線回路45の起動後のサポート用の駆動電力として用いられる。
次に、本実施形態に係る軸受1の動作を説明する。
軸受1の支持する回転軸(不図示)が回転することで内輪2が回転し、この回転に伴って転動体5が転動し、転動体5からの駆動力によって保持器6が回転する。これにより、保持器6の端面に設けられた多極リング磁石7の磁極面と第1のシール4の内側の面に設けられたコイル40のパターン面とが対面しつつ回転軸回りに相対的に回転運動を行う。
この相対的な回転運動によって、コイル40を構成する第3パターン40cの始端40s及び終端40eとの間に交流の起電力が発生する。この起電力は、電源回路43に入力され、電源回路43において、整流及び平滑化されて直流電力に変換され、この直流電力が蓄電回路432を経て定電圧出力回路434から一定電圧Vbの駆動電力として、制御回路44、無線回路45及び検出センサ9へと供給される。
検出センサ9は、温度センサ90が外輪3の温度検出を開始し、加速度センサ91が外輪3に生じる振動に応じた加速度の検出を開始し、荷重センサ92が外輪3にかかる荷重の検出を開始する。
これらセンサ90〜92で検出した温度、加速度及び荷重の検出結果は、制御回路44に入力される。
無線回路45は、制御回路44からの制御信号に従って、演算結果を、アンテナ46を介して無線送信する。なお、無線回路45は、制御信号が入力されていない期間はスリープ状態となって消費電力を抑える。
アンテナ46を介して無線送信された演算結果は、上位装置等の備える無線受信部100において受信される。
ここで、回転軸(内輪2)の回転数と、検出センサ9(ここでは温度センサ90に着目)、制御回路44及び無線回路45の動作との関係を見ると、図9中の太線に示すように、回転軸の回転数が低い初期の期間はコイル40の発電電力不足によって検出センサ9、制御回路44及び無線回路45が起動できない状態となる。そのため、温度センサ90による温度検出が行われないと共に、制御回路44の演算処理及び無線回路45の無線送信処理も行われない(図9中の無線OFF)。なお、図9において、横軸は時間、縦軸は回転軸の回転数及び温度センサ90で検出した温度を示す。
引き続き、図9中の太線に示すように、回転軸の回転数が回転数Bに向けて徐々に低下していくが、この期間は、蓄電用二次電池433による駆動サポートが行われるため、起動に必要な回転数Aに応じた電力と比較して低い電力で検出センサ9、制御回路44及び無線回路45が動作を継続する。即ち、図9中の細線に示すように、温度センサ90による温度検出が行われ、予め設定した周期で制御回路44の演算処理及び無線回路45の無線送信処理が実行される。
その後、図9中の太線に示すように、回転軸の回転数が高くなって回転数A以上となると、検出センサ9、制御回路44及び無線回路45が再び起動し、温度センサ90による温度検出が再開されると共に、予め設定した周期で実行される制御回路44の演算処理及び無線回路45の無線送信処理が再開される(図9中の無線ON)。
ここで、制御回路44及び無線回路45は、無線処理回路に対応し、アンテナ46は、送信用アンテナに対応する。
(1)上記実施形態に係るワイヤレスセンサ付き軸受1は、第1の軌道輪としての内輪2と、内輪2の外側に該内輪2と同心に配置された第2の軌道輪としての外輪3と、内輪2及び外輪3との間に設けられた複数の転動体5と、内輪2及び外輪3との間に設けられ、複数の転動体5を転動自在に周方向に等間隔を空けて保持する環状の保持器6と、保持器6の転動体5を挟んで対向する端面のうち一方の端面に設けられた、N極及びS極が周方向に交互に連続して配置された環状の多極リング磁石7と、内輪2及び外輪3のうち固定支持される方の軌道輪に支持され、内輪2と外輪3との間の隙間を塞ぐ環状の第1のシール4及び第2のシール8と、固定支持される方の軌道輪の外表面より内側に設けられた、該軌道輪を含む構成部品に生じる物理現象に係る物理量を検出する検出センサ9と、第1のシール4の多極リング磁石7と対向する側の面に設けられたコイル40と、第1のシール4の多極リング磁石7と対向する側の面に設けられたアンテナ46と、第1のシール4の多極リング磁石7と対向する側の面に設けられた、検出センサ9の検出結果に基づく情報を、アンテナ46を介して無線送信する処理を行う制御回路44及び無線回路45と、第1のシール4の多極リング磁石7と対向する側の面に設けられた、多極リング磁石7とコイル40との相対回転によってコイル40に生じる誘導起電力を用いて検出センサ9、制御回路44及び無線回路45に駆動電力を供給する電源回路43と、を備える。
これによって、例えば、軸受ハウジングの形状変更等なしに既存の軸受との置き換えを容易に行うことが可能となる。また、既存のセンサレス軸受の構成部品に対して検出センサ9、コイル40、電源回路43、制御回路44、無線回路45及びアンテナ46を付加することで構成することが可能である。即ち、構成部品の少なくとも一部を既存の軸受部品で流用できるため、製造を容易に行うことが可能となる。
この構成であれば、ヨーク70によって、マグネットゴムシート71の磁束密度を高めることが可能となり、コイル40の発電量を向上することが可能となる。
(3)上記実施形態に係るワイヤレスセンサ付き軸受1は、保持器6、ヨーク70及びマグネットゴムシート71が一体成型されている。
この構成であれば、保持器6が高速回転した場合に、ヨーク70やマグネットゴムシート71が保持器6から離脱することを低減することが可能となる。
この構成であれば、軸受1の温度、軸受1の振動によって生じる加速度、軸受1にかかる荷重の少なくとも1つを検出し、その検出結果に係る情報を外部に無線送信することが可能となる。
(5)上記実施形態に係るワイヤレスセンサ付き軸受1は、検出センサ9が、軸受ハウジング等に固定支持される外輪3の内周面に設けられている。
この構成であれば、検出センサ9を、軸受の内部に収容することが可能となる。
この構成であれば、グリースや摩耗粉などから制御回路44、無線回路45、アンテナ46及び電源回路43を保護することが可能となり、その結果、これら回路やアンテナのグリースや摩耗粉などによる故障の発生を低減することが可能となる。
(1)上記実施形態では、検出センサ9を、静止輪である外輪3の内周面に設ける構成としたが、この構成に限らない。例えば、図10(a)に示すように、外輪3の肩の部分に第5の溝33を形成し、この第5の溝33の内側に検出センサ9を設ける構成としてもよい。また、図10(b)に示すように、外輪3の外周面に第6の溝34を形成し、この第6の溝34の内側に検出センサ9を設ける構成としてもよいし、図10(c)に示すように、外輪3の軸方向端面に第7の溝35を形成し、この第7の溝35の内側に検出センサ9を設ける構成としてもよい。また、例えば、図10(d)に示すように、検出センサ9を、第1のシール4の多極リング磁石7と対向する側の面に設ける構成としてもよい。この構成によって、制御回路44とセンサ9との間の配線を外部に伸ばす必要が無くなると共に、配線長を短くすることが容易となり、簡易にセンサ信号へのノイズ混入等の影響を低減できる配線構成とすることが可能となる。
(3)上記実施形態では、温度センサ90、加速度センサ91及び荷重センサ92の3種類のセンサを設ける構成としたが、この構成に限らない。例えば、回転数や湿度を検出するセンサなど他の種類のセンサを設ける構成としてもよい。
(5)上記実施形態では、第1の軌道輪(内輪)が回転し、第2の軌道輪(外輪)が固定された構成としたが、この構成に限らない。例えば、内輪が固定され、外輪が回転する構成としてもよい。
Claims (6)
- 第1の軌道輪と、
前記第1の軌道輪の外側に該第1の軌道輪と同心に配置された第2の軌道輪と、
前記第1の軌道輪と前記第2の軌道輪との間に設けられた複数の転動体と、
前記第1の軌道輪と前記第2の軌道輪との間に設けられ、前記複数の転動体を転動自在に周方向に間隔を空けて保持する環状の保持器と、
前記保持器の前記転動体を挟んで対向する端面のうち少なくとも一方の端面に設けられた、N極及びS極が周方向に交互に連続して配置された環状の多極リング磁石と、
前記第1の軌道輪及び前記第2の軌道輪のうち固定支持される方の軌道輪に支持され、前記第1の軌道輪と前記第2の軌道輪との間の隙間を塞ぐ環状のシールと、
前記固定支持される方の軌道輪の外表面より内側に設けられた、該軌道輪を含む構成部品に生じる物理現象に係る物理量を検出するセンサと、
前記シールの前記多極リング磁石と対向する側の面に設けられたコイルと、
前記シールの前記多極リング磁石と対向する側の面又は該面とは反対側の面に設けられた送信用アンテナと、
前記シールの前記多極リング磁石と対向する側の面に設けられた、前記センサの検出結果に基づく情報を、前記送信用アンテナを介して無線送信する処理を行う無線処理回路と、
前記シールの前記多極リング磁石と対向する側の面に設けられた、前記多極リング磁石と前記コイルとの相対回転によって前記コイルに生じる誘導起電力を用いて前記センサ及び前記無線処理回路に駆動電力を供給する電源回路と、を備えるワイヤレスセンサ付き軸受。 - 前記多極リング磁石は、強磁性体材料から形成された環状かつ薄板状のヨークに、N極及びS極が周方向に交互に連続して配置された環状かつ薄板状の磁石を重ね合わせて構成され、前記保持器の前記一方の端面に前記ヨーク側の面を接合して設けられている請求項1に記載のワイヤレスセンサ付き軸受。
- 前記保持器、前記ヨーク及び前記磁石は一体成型されている請求項2に記載のワイヤレスセンサ付き軸受。
- 前記センサは、加速度センサ、温度センサ及び荷重センサのうちの少なくとも1つである請求項1から3のいずれか1項に記載のワイヤレスセンサ付き軸受。
- 前記センサは、前記固定支持される方の軌道輪の内周面と、前記固定支持される方の軌道輪の外表面に形成した溝部の内側と、前記シールの前記多極リング磁石と対向する側の面とのうち少なくとも1つに設けられている請求項1から4のいずれか1項に記載のワイヤレスセンサ付き軸受。
- 前記シールの前記多極リング磁石と対向する側の面に、前記無線処理回路及び前記電源回路を覆う保護カバーを設けた請求項1から5のいずれか1項に記載のワイヤレスセンサ付き軸受。
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