JP6891445B2 - ワイヤレスセンサ付き軸受 - Google Patents
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Description
つまり、特許文献1に記載された発明は、既存の転がり軸受のシールをセンサユニット付きのシールに交換するだけで、発電機能を有するワイヤレスセンサ付き軸受を得ることを目指したものと言える。
また、ワイヤレスセンサ付き軸受の発電機構については、例えば、特許文献2に、内輪よび外輪の一方に、周方向に沿ってN極とS極が交互に配置された環状の磁石を固定し、この磁石と軸方向で対向する環状の導体を他方に固定し、磁石と導体との相対回転により起電力を生じさせる技術も開示されている。これらの環状の磁石および導体は、既存の転がり軸受の構成部品に追加で必要となるものである。
(1) 外周面に内輪軌道面を有する内輪と、内輪軌道面と対向配置される外輪軌道面を内周面に有する外輪と、内輪軌道面と外輪軌道面とで形成される軌道に配置された転動体と、を有する。
(2) 転動体を回転自在に保持するポケットを有する保持器を有する。この保持器は環状体からなり、ポケットは環状体の周面を貫通し、ポケットは環状体の周方向に複数個形成され、ポケットの環状体の軸方向両端側が閉塞されている。
(3) 複数の磁石を有する。この磁石は、保持器のポケット同士の間に、環状体の周方向で各磁石のN極とS極が隣り合うように固定されている。
(4) 内輪と外輪との間を軸方向一端部で密封する第一シールを有する。第一シールは保持器に対して相対回転する。第一シールの磁石との対向面に固定されたコイルを有する。内輪と外輪との間を軸方向他端部で密封する第二シールを有する。
(5) 内輪、外輪、および第一シールのいずれかに設置されたセンサを有する。
(6) 第一シールに形成された回路部を有する。この回路部は、磁石とコイルとの相対回転による電磁誘導でコイルに生じた電流を電源供給部へ供給する電源回路と、センサで検出された検出情報から検出値を演算する演算回路と、演算結果を示す無線信号を作成する無線回路と、を備えている。
(7) 無線信号を送信するアンテナを有する。
また、以下に示す実施形態では、この発明を実施するために技術的に好ましい限定がなされているが、この限定はこの発明の必須要件ではない。
図1に示すように、この実施形態のワイヤレスセンサ付き軸受10は、内輪1、外輪2、ボール(転動体)3と、保持器4と、八個(複数個、偶数個)の磁石5と、ヨーク6と、第一シール7と、第二シール7Aを有する。
図2に示すように、保持器4は環状体からなり、ボール3を回転自在に保持するポケット41を有する。ポケット41は保持器4の周面を貫通する。ポケット41は保持器4の周方向に八個(複数個、偶数個)形成されている。ポケット41の環状体軸方向両端側が閉塞されている。保持器4の隣り合うポケット41間の部分(柱部)42に、軸方向に伸びる貫通穴43が形成されている。
また、保持器4は、環状体の軸方向で分割された第一分割体401および第二分割体402が結合されたものである。第一分割体401の軸方向寸法は第二分割体402の軸方向寸法より大きい。図3では、第一分割体401および第二分割体402が分割面を手前にして描かれている。
貫通穴43の内面の大径面43aは、第一分割体401の貫通穴431の大径面431aと、第二分割体402の貫通穴432の大径面432aとに分割されている。貫通穴43の内面の小径面43bは、第一分割体401の貫通穴431の小径面431bと、第二分割体402の貫通穴432の小径面432bとに分割されている。貫通穴43の内面の一対の対向面43c,43dは、第一分割体401の貫通穴431の対向面431c,431dと、第二分割体402の貫通穴432の対向面432c,432dとに分割されている。。
第二分割体402の分割面422aから二対四本のピン45が突出し、各ピン45が嵌まる穴46が、第一分割体401の分割面421aに形成されている。各ピン45を対応する各穴46に嵌めて分割面421aと分割面422aを密着させ、熱圧着することで、第一分割体401および第二分割体402が結合され、保持器4が組み立てられる。
なお、第一分割体401は、通常の転がり軸受で使用される冠型保持器(環状体からなり、環状体の周面を貫通するポケットを有し、ポケットの環状体軸方向一端側が開放されている保持器)と同じである。
図2に示すように、ヨーク6は円環状の金属板であって、保持器4の凹部44aに嵌合する寸法を有する。図1に示すように、ヨーク6は凹部44aに嵌合されて、貫通穴43に配置された磁石5の軸方向他端面56に接触している。ヨーク6は電磁鋼等の比透磁率の高い材料で形成されている。
保持器4を構成する第一分割体401および第二分割体402は、それぞれ6,6−ナイロン等の非磁性材料で形成されている。第一分割体401および第二分割体402は、同じ材料で形成されていてもよいし、異なる材料で形成されていてもよい。第一分割体401および第二分割体を射出成形で作製する場合、磁石5とヨーク6を金型に配置して一体成形することが好ましい。射出成形された第一分割体401の貫通穴431に磁石5を入れて接着し、射出成形された第二分割体の凹部44aにヨーク6を嵌めて接着してもよい。
コイル8の芯金81は電磁鋼等の比透磁率の高い材料で形成されている。コイル8と磁石5の相対回転で生じる電磁誘導による発電量を向上させるために、コイル8は、薄膜コイルが積層されたものを使用してもよいし、直径が0.025mm以下の金属線が巻かれたものを使用してもよい。
第二シール7Aは、図1に示すように、芯金71Aとゴム製のシール部72とからなる通常のシールである。第二シール7Aは、シール部72の内周部を内輪1の周溝12に配置し、シール部72の外周部を外輪2のシール取付溝22に弾性変形状態で嵌め入れることで、内輪1と外輪2との間に設置されている。つまり、第二シール7Aは外輪2に固定されている。
上述のように、第一シール7の芯金71の内側面71aに、複数個のコイル8と一つの回路基板9が固定されているが、さらにその上を保護カバーで覆うことが好ましい。これにより、コイル8、回路基板9、およびアンテナ94が、軸受内部に充填されたグリースや使用時に生じる摩耗粉で汚染されることが防止できる。
これに伴い、コイル8と磁石5との相対回転による磁束密度変化で電磁誘導が生じ、この電磁誘導でコイル8に生じた電流が、電源回路91で整流、平滑化されて、電源供給部(センサ92a、制御回路92、無線回路93)へ供給されるとともに、二次電池に蓄電される。
また、この実施形態のワイヤレスセンサ付き軸受10は、コイル8と磁石5と間の電磁誘導で発電を行うため、熱発電素子であるゼーベック素子や振動発電素子であるエレクトレット素子を用いた発電を行うワイヤレスセンサ付き軸受では発電が困難であった、振動の少ない使用初期や、低速回転時であっても、必要な電力が得られてセンサ機能が発揮できる。
また、磁石5の全部が保持器4に埋め込まれた構造となっているため、コイル8に対して垂直磁場変化の強い磁石を使用することが可能となる。その結果、磁石の埋め込み量が少ない構造のものと比較して発電効率が高くなる。
さらに、この実施形態のワイヤレスセンサ付き軸受10は、第一分割体401と第二分割体402が結合され、ポケット41の環状体軸方向両端側が閉塞された保持器4を使用している。そのため、冠型保持器(環状体からなり、環状体の周面を貫通するポケットを有し、ポケットの環状体軸方向一端側が開放されている保持器)を用いた場合と比較して以下の効果が得られる。
これに対して、この実施形態のワイヤレスセンサ付き軸受10で使用している保持器4は、図6(b)に示すように、ポケット41の環状体軸方向両端側が閉塞されている。すなわち、第一分割体401のポケット部411の環状体軸方向一端側が、第二分割体402のポケット部412で閉塞されている。
また、保持器4の組み立て時に、第一分割体401と第二分割体402の結合を、二対四本のピン45と穴46との嵌め合いを行った後に、分割面(柱部の軸方向端面)421a,422aを熱圧着して行うため、第一分割体401と第二分割体402の位置決め精度が高くなる。
なお、第一分割体401と第二分割体402の結合は、熱圧着以外に、嵌合、圧着、接着剤による接合で行うこともできる。
第一分割体401と第二分割体402を結合させる際には、先ず、第一分割体401の上に第二分割体402を位置決めして載せる。次に、磁石5Aの挿入部501を、第二分割体402の貫通穴432側から貫通穴43に挿入し、第一分割体401の貫通穴431まで挿入する。そして、挿入部501の先端面をヨーク6に接触させ、突出部502を保持器4の軸方向一端面40に接触させる。これにより、磁石5Aとヨーク6の引力で第一分割体401と第二分割体402が固定される。また、貫通穴43からはみ出す端部502aを有する突出部502により、磁石5Aが貫通穴34から抜けにくい構造となっている。
第一分割体401と第二分割体402を結合させる際には、先ず、第一分割体401の上に第二分割体402を位置決めして載せる。次に、磁石5Bの尖端側を、第二分割体402の貫通穴432側から貫通穴43に挿入し、第一分割体401の貫通穴431まで挿入し、磁石5Bの先端面をヨーク6に接触させる。これにより、磁石5Bとヨーク6の引力で第一分割体401と第二分割体402が固定される。また、磁石5Bと貫通穴34との嵌め合い面がテーパ面となっているため、磁石5Bが貫通穴34から抜けにくい。
また、この実施形態のワイヤレスセンサ付き軸受10では、一つの回路基板9に、電源回路91と制御回路92と無線回路93とアンテナ94が形成され、その回路基板9が芯金71に固定されているが、電源回路91と制御回路92と無線回路93とアンテナ94が別々の基板に形成されていてもよい。さらに、電源回路91と制御回路92と無線回路93とアンテナ94は、芯金71の内側面71aに形成された絶縁膜上に直接形成されていてもよい。
しかし、第一シール7が固定されている外輪2の軸方向端面、外周面、および内周面の少なくともいずれかの面に、センサを固定していもよい。第一シール7が内輪に固定されている場合は、内輪の軸方向端面、外周面、および内周面の少なくともいずれかの面にセンサを固定していもよい。また、上記いずれかの面に、センサを固定するための凹部を設けてもよい。
さらに、この実施形態のワイヤレスセンサ付き軸受10では、ポケットの環状体軸方向両端部が閉塞されている保持器として、冠型保持器に相当する第一分割体401と、そのポケット部411の開放されている環状体軸方向一端を塞ぐ第二分割体402とが結合された保持器4を使用している。しかし、分割されない構造の保持器、つまり、一定幅の環状体に環状体の幅より小さい寸法のポケットが環状体の周面を貫通している保持器を使用してもよい。
11 内輪軌道面
12 シール配置用の周溝
2 外輪
21 外輪軌道面
22 シール取付溝
3 ボール(転動体)
4 保持器
401 保持器の第一分割体
402 保持器の第二分割体
41 ポケット
40 保持器の軸方向一端面
42 柱部(ポケット間の部分)
43 貫通穴
44 保持器の軸方向他端面
44a 保持器の凹部
5 磁石
5A 磁石
5B 磁石
6 ヨーク
7 第一シール
71 第一シールの芯金
71a 第一シールの芯金の内側面(磁石との対向面)
72 シール部
7A 第二シール
71A 第二シールの芯金
8 コイル
9 回路基板(回路部)
91 電源回路
92 制御回路(演算回路、電源供給部)
93 無線回路(電源供給部)
94 アンテナ
92a センサ(電源供給部)
10 ワイヤレスセンサ付き軸受
Claims (3)
- 外周面に内輪軌道面を有する内輪と、
前記内輪軌道面と対向配置される外輪軌道面を内周面に有する外輪と、
前記内輪軌道面と前記外輪軌道面とで形成される軌道に配置された転動体と、
前記転動体を回転自在に保持するポケットを有する保持器であって、環状体からなり、前記ポケットは前記環状体の周面を貫通し、前記ポケットは前記環状体の周方向に複数個形成され、前記ポケットの前記環状体の軸方向両端側が閉塞されている保持器と、
複数の磁石であって、前記保持器の前記ポケット同士の間に、前記環状体の周方向で各磁石のN極とS極が隣り合うように固定された磁石と、
前記内輪と前記外輪との間を軸方向一端部で密封する第一シールであって、前記保持器に対して相対回転する第一シールと、
前記第一シールの前記磁石との対向面に固定されたコイルと、
前記内輪と前記外輪との間を軸方向他端部で密封する第二シールと、
前記内輪、前記外輪、および前記第一シールのいずれかに設置されたセンサと、
前記第一シールに形成された回路部であって、前記磁石と前記コイルとの相対回転による電磁誘導で前記コイルに生じた電流を電源供給部へ供給する電源回路と、前記センサで検出された検出情報から検出値を演算する演算回路と、演算結果を示す無線信号を作成する無線回路と、を有する回路部と、
前記無線信号を送信するアンテナと、
を有し、
前記保持器は、前記環状体の軸方向で分割された第一分割体および第二分割体が、前記磁石を用いて結合されたものであり、
前記保持器は前記磁石を挿入する貫通穴を有し、
前記磁石は、前記貫通穴に挿入される挿入部と、前記保持器の軸方向一端面から突出する突出部とからなり、
円環状の金属板であって、前記保持器の軸方向他端面に接するように配置されたヨークを有し、
前記挿入部の先端面が前記ヨークに接触し、前記突出部が前記保持器の軸方向一端面に接触しているワイヤレスセンサ付き軸受。 - 外周面に内輪軌道面を有する内輪と、
前記内輪軌道面と対向配置される外輪軌道面を内周面に有する外輪と、
前記内輪軌道面と前記外輪軌道面とで形成される軌道に配置された転動体と、
前記転動体を回転自在に保持するポケットを有する保持器であって、環状体からなり、前記ポケットは前記環状体の周面を貫通し、前記ポケットは前記環状体の周方向に複数個形成され、前記ポケットの前記環状体の軸方向両端側が閉塞されている保持器と、
複数の磁石であって、前記保持器の前記ポケット同士の間に、前記環状体の周方向で各磁石のN極とS極が隣り合うように固定された磁石と、
前記内輪と前記外輪との間を軸方向一端部で密封する第一シールであって、前記保持器に対して相対回転する第一シールと、
前記第一シールの前記磁石との対向面に固定されたコイルと、
前記内輪と前記外輪との間を軸方向他端部で密封する第二シールと、
前記内輪、前記外輪、および前記第一シールのいずれかに設置されたセンサと、
前記第一シールに形成された回路部であって、前記磁石と前記コイルとの相対回転による電磁誘導で前記コイルに生じた電流を電源供給部へ供給する電源回路と、前記センサで検出された検出情報から検出値を演算する演算回路と、演算結果を示す無線信号を作成する無線回路と、を有する回路部と、
前記無線信号を送信するアンテナと、
を有し、
前記保持器は、前記環状体の軸方向で分割された第一分割体および第二分割体が、前記磁石を用いて結合されたものであり、
前記磁石はテーパ面を有し、
前記保持器は前記磁石を挿入する貫通穴を有し、前記貫通穴は前記磁石のテーパ面に対応するテーパ面を有し、
円環状の金属板であって、前記保持器の軸方向他端面に接するように配置されたヨークを有し、
前記磁石のテーパ面が前記貫通穴のテーパ面に接触し、前記磁石の先端面が前記ヨークに接触しているワイヤレスセンサ付き軸受。 - 前記第一分割体の軸方向寸法は前記第二分割体の軸方向寸法より大きく、前記第一分割体は冠型保持器であり、前記第二分割体は、前記冠型保持器のポケット部の開放されている環状体軸方向一端を塞ぐものであり、
前記ヨークは前記冠型保持器のポケット部の開放されていない環状体軸方向他端に接するように配置されている請求項1または2記載のワイヤレスセンサ付き軸受。
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JP2016205180A Active JP6891445B2 (ja) | 2016-10-19 | 2016-10-19 | ワイヤレスセンサ付き軸受 |
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